JP2016026532A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】アプローチショットのスピン量に対して、ドライバーショットのスピン量が低いゴルフボールを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域に、コア硬度分布における最低硬度点が存在することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴルフボールに関し、アプローチショットのスピン量に対して、ドライバーショットのスピン量が低いゴルフボールに関する。
ドライバーショットのスピン量を抑制する方法として、ゴルフボールの硬度分布を制御する方法がある。例えば、ゴルフボールの硬度分布を外剛内柔とすることで、ドライバーショットのスピン量を低くすることができ、ドライバーショットの飛距離を大きくすることができる。
硬度分布を制御したゴルフボールとして、例えば、特許文献1には、2層以上の構造を有するコアと、このコアを被覆する2層のカバーとからなり、その外側カバーの硬度がショアD40〜60度であり、内側カバーの硬度がショアD53度以下でかつ外側カバー硬度より低硬度であることを特徴とする4層以上の構造を有するマルチピースソリッドゴルフボールが記載されている。
また、特許文献2には、塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、カバー層とを有し、上記最外遷移部が上記コアの上記外側表面および上記幾何中心の間に配され、上記遷移部が上記コアの上記外側表面と合致する外側部分を具備し、上記コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、上記コアの上記外側表面の硬度および上記最外遷移部内の硬度の双方が上記幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するゴルフボールが記載されている。
特開平8−336617号公報 特開2009−233335号公報
ゴルフボールの硬度分布を外剛内柔とすることで、ドライバーショットのスピン量を低くすることができる。しかしながら、この場合、ドライバーショットのスピン量だけでなく、アプローチショットのスピン量も低下する傾向がある。よって、外剛内柔のゴルフボールでは、ドライバーショットの飛距離が向上するものの、アプローチショットでのコントロール性が低下する傾向がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域に、コア硬度分布における最低硬度点が存在することを特徴とする。硬度が均一なゴルフボールをドライバーで打撃した場合、ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%である領域が最もひずみが大きくなる。本発明者は、この領域にコア硬度分布における最低硬度点が存在することにより、ドライバーショットのスピン量が独立的に低くなることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、ドライバーショットのスピン量を、アプローチショットのスピン量から独立して低下させることができるので、アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールが得られる。
本発明によれば、硬度分布が適正化されたゴルフボールであって、アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールが得られる。アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールは、ドライバーショットの飛距離が大きく、アプローチショットのコントロール性に優れる。
本発明の好ましい実施形態に係るゴルフボールを示す模式的断面図。 本発明のゴルフボールの硬度分布を示す模式的断面図。 本発明のゴルフボールの硬度分布を示す模式的断面図。 本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
本発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、ゴルフボールの中心からの距離がゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域に、コア硬度分布における最低硬度点が存在することを特徴とする。
(1)ゴルフボールの構造および硬度分布について
以下、本発明のゴルフボールを、図面を参照しながら説明するが、本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。図1に示すように、本発明のゴルフボールは、ゴルフボールの中心からの距離がゴルフボール半径の36.0%〜65.0%である領域Sに、コア硬度分布における最低硬度点が存在する。コア硬度分布は、コアを半球状に2等分した断面硬度で評価することが好ましい。断面硬度は、ゴルフボールを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離において硬度を測定すればよい。また、硬度を測定する部分が、熱可塑性樹脂組成物から形成されている場合、この熱可塑性樹脂組成物の材料硬度(スラブ硬度)をその部分の硬度とみなすことができる。また、硬度を測定する部分が、ゴム組成物から形成されている場合、ゴルフボール作製時の熱処理温度と同じ温度で作製したスラブの硬度をその部分の硬度とみなすことができる。硬度は、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定できる。
硬度が均一なゴルフボールをドライバーで打撃した場合、ゴルフボール中心からの距離が前記ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%である領域Sが最もひずみが大きくなる。この領域に最低硬度点が存在するゴルフボールは、ドライバーショットのスピン量が独立的に低下する。その結果、アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールが得られる。アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールは、ドライバーショットの飛距離が大きく、かつ、アプローチショットのコントロール性に優れる。前記最低硬度点が存在する領域のゴルフボール中心からの距離は、ゴルフボール半径の40.0%以上であることが好ましく、45.0%以上がより好ましく、62.5%以下であることが好ましく、60.0%以下がより好ましい。なお、最低硬度点が、硬度分布が均一である層に存在する場合、この層の少なくとも一部が前記領域Sに存在すればよい。
前記最低硬度点の最低硬度(Hs)は、ショアD硬度で40以下が好ましく、より好ましくは35以下、さらに好ましくは30以下、特に好ましくは25以下であり、3以上が好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。前記最低硬度(Hs)が、前記範囲内であれば、ドライバーショットのスピン量が独立的に低下する。その結果、アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールが得られる。
前記ゴルフボールの中心硬度(Ho)は、ショアD硬度で、15以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上であり、55以下が好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは45未満である。中心硬度(Ho)が、前記範囲内であれば、ゴルフボールの反発性が低下しない。
前記ゴルフボールは、ゴルフボールの中心から最低硬度点までの平均下降勾配が、ショアD硬度で、−2.5ポイント/mm以上であることが好ましく、より好ましくは−2.2ポイント/mm以上、さらに好ましくは−1.9ポイント/mm以上であり、−0.1ポイント/mm以下が好ましく、より好ましくは−0.3ポイント/mm以下、さらに好ましくは−0.1ポイント/mm以下である。ここで、「平均下降勾配」とは、(Hs−Ho)/(ゴルフボールの中心から最低硬度点までの距離)により算出される値(ポイント/mm)である。なお、最低硬度点が、硬度分布が均一である層に存在する場合、この層の厚さ方向中央部を最低硬度点とする。
前記ゴルフボールは、ゴルフボールの中心から最低硬度点に向かって、コア硬度が、ショアD硬度で、−0.5ポイント/mm〜−2ポイント/mmの勾配で低下し、ゴルフボール中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域において、前記最低硬度に到達することが好ましい。ゴルフボールの中心から表面側にむかって、一定勾配でコア硬度が低下することにより、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域に、最低硬度点が存在しやすくなるからである。前記勾配とは、単位距離あたりの硬度の変化量である。
コア硬度は、中心から最低硬度点までの範囲において、中心からの距離がYmmの地点における硬度(Hy)と中心からの距離がY−1mmの地点における硬度(Hy−1)との硬度差(Hy−(Hy−1))が、ショアD硬度で、5以下が好ましく、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下、特に好ましくは0以下である。なお、前記Yは、1以上、中心から最低硬度点までの距離(mm)以下である。
また、コア硬度は、ゴルフボールの中心から表面に向かって、ショアD硬度で漸次低下し、前記領域Sにおいて最低硬度に達することが好ましい。ここで、硬度が漸次低下するとは、コア中心から前記領域Sまで、硬度が増加することなく、徐々に低下する、あるいは、段階的に低下することを意味する。
前記ゴルフボールは、ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の36.0%から50.0%までの全領域の硬度が、ショアD硬度で45未満であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、35以下であることがさらに好ましい。ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の36.0%から50.0%までの全領域の硬度が、ショアD硬度で45未満であれば、ドライバーショットのスピン量の低下と、アプローチショットのスピン量の増加をより高いレベルで実現することができる。
前記ゴルフボールは、ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボール半径の0%から50.0%までの全領域の硬度が、ショアD硬度で45以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、35以下であることがさらに好ましい。ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボール半径の0%から50.0%までの全領域の硬度が、ショアD硬度で45以下であれば、ドライバーショットのスピン量の低下と、アプローチショットのスピン量の増加をより高いレベルで実現することができる。
前記ゴルフボールは、図2に示すように、ゴルフボール中心からの距離が、ゴルフボール半径の85.0%〜99.5%の領域Hにコア硬度分布における最高硬度点が存在することが好ましい。前記領域Hにコア硬度分布における最高硬度点が存在することにより、ゴルフボールは外剛内柔構造となり、ドライバースピン量がより低下するからである。前記最高硬度点が存在する領域のコア中心からの距離は、コア中心からの距離が、ゴルフボール半径の87.5%以上であることが好ましく、90.0%以上であることがより好ましく、99.0%以下であることが好ましく、98.0%以下であることがより好ましい。なお、最高硬度点が、硬度分布が均一である層に存在する場合、この層の少なくとも一部が前記領域Hに存在すればよい。
前記最高硬度点の最高硬度(Hh)は、ショアD硬度で30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上であり、85以下が好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは77以下である。最高硬度(Hh)が前記範囲内であれば、外剛内柔構造の程度が高くなり、ドライバースピン量がより低下するからである。
前記ゴルフボールは、最低硬度点から最高硬度点までの平均上昇勾配が、ショアD硬度で、2ポイント/mm以上であることが好ましく、より好ましくは3ポイント/mm以上、さらに好ましくは4ポイント/mm以上であり、10ポイント/mm以下が好ましく、より好ましくは8ポイント/mm以下、さらに好ましくは6ポイント/mm以下である。ここで、「平均上昇勾配」とは、(Hh−Hs)/(最低硬度点から最高硬度点までの距離)により算出される値(ポイント/mm)である。なお、最高硬度点が、硬度分布が均一である層に存在する場合、この層の厚さ方向中央部を最高硬度点とする。
前記ゴルフボールは、前記最低硬度点から最高硬度点に向かって、コアの硬度が、ショアD硬度で、3ポイント/mm〜6ポイント/mmの勾配で増加することが好ましい。前記硬度勾配の下限は、3.5ポイント/mmが好ましく、4ポイント/mmがより好ましい。また、前記硬度勾配の上限は、5.5ポイント/mmが好ましく、5ポイント/mmがより好ましい。硬度勾配が、前記範囲内であれば、外剛内柔構造の程度が高いコアが得られる。その結果、ドライバースピン量がより低下するからである。
また、コア硬度は、前記最低硬度点から最高硬度点に向かって、ショアD硬度で漸次増加することが好ましい。漸次増加するとは、最低硬度点から最高硬度点まで、硬度が低下することなく、徐々に増加する、あるいは、段階的に増加することを意味する。
前記最高硬度Hhとゴルフボールの中心硬度(Ho)との比(Hh/Ho)は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上であり、45以下が好ましく、より好ましくは35以下、さらに好ましくは30以下である。前記比(Hh/Ho)が1.1以上であれば、ドライバーショットのスピン量が低下しやすくなるからである。また、前記比(Hh/Ho)が、80以下であれば、ショット時の打感が良くなるからである。
前記最高硬度(Hh)と前記ゴルフボールの中心硬度(Ho)との硬度差(Hh−Ho)は、ショアD硬度で1以上が好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であり、70以下が好ましく、より好ましくは65以下、さらに好ましくは60以下である。前記硬度差(Hh−Ho)がショアD硬度で1以上であれば、ドライバーショットのスピン量が低下しやすくなるからである。また、前記硬度差(Hh−Ho)がショアD硬度で、70以下であれば、ゴルフボールの反発性が低下しないからである。
前記最高硬度(Hh)と前記最低硬度(Hs)との硬度差(Hh−Hs)は、ショアD硬度で30以上が好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは34以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは75以下、さらに好ましくは70以下である。前記硬度差(Hh−Hs)がショアD硬度で30以上であれば、ドライバーショットのスピン量が低下しやすくなる。また、前記硬度差(Hh−Hs)がショアD硬度で80以下であれば、ショット時の打感が、良くなるからである。
前記カバーの厚みは、2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.6mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。カバーの厚みが、2.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。カバーの厚みが0.1mm未満では、カバーの成形が困難になるおそれがあり、また、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合もある。
前記カバーの材料硬度(Hc)は、ショアD硬度で、5以上が好ましく、より好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上であり、55以下が好ましく、より好ましくは53以下、さらに好ましくは50以下である。カバーの材料硬度(Hc)が前記範囲内であれば、アプローチショットのスピン量がより高くなるからである。
前記ゴルフボールの直径は、40mm〜45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本発明のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
前記ゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.2mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
本発明のゴルフボールの構造としては、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%である領域Sに、コア硬度分布における最低硬度点が存在するものであれば、特に限定されないが、例えば、コアと前記コアを被覆する単層のカバーとを有するツーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆する包囲層とからなるコアと、前記コアを被覆する単層のカバーとを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む)などを挙げることができる。
本発明は、上記いずれの構造のゴルフボールにも利用できるが、適正な硬度分布を付与しやすい点で、本発明のゴルフボールは、球状センターと、前記球状センターを被覆するn層(nは、2以上の自然数)の包囲層とからなるコアと、前記コアを被覆する単層のカバーとを有するマルチピースゴルフボールであることが好ましい。以下、本発明を、センターと、前記センターを被覆するn層(nは、2以上の自然数)の包囲層とからなるコアと、前記コアを被覆する単層のカバーとを有するマルチピースゴルフボールの態様に基づいて詳述する。
図3は、本発明の好ましい実施形態であるマルチピースゴルフボールの構造を模式的に示す断面図である。図3において、マルチピースゴルフボールは、センターCと、センターCを被覆するn層の包囲層(nは2以上の自然数)とからなるコアBと、前記コアBを被覆する単層のカバーAとが形成されている。なお、包囲層は、センター側から順番に、第1包囲層1、第2包囲層2、第3包囲層3、第4包囲層4、…第n−1包囲層n−1、第n包囲層nと称する。
前記nは、2以上の自然数であることが好ましく、3以上の自然数であることがより好ましく、4以上の自然数であることがさらに好ましい。また、前記nは、9以下の自然数であることが好ましく、8以下の自然数であることがより好ましく、7以下の自然数であることがさらに好ましい。包囲層の数が2以上であれば、ゴルフボールに適正な硬度分布を付与しやすくなる。一方、包囲層の数が多すぎると、包囲層の成形性が低下する。なお、包囲層間の密着性を高めるために設けられる補強層(接着剤層)は、包囲層に含まれない。補強層(接着剤層)と包囲層とは、膜厚の範囲が異なる。補強層(接着剤層)の膜厚は、通常、50μm以下である。
本発明の好ましい態様であるマルチピースゴルフボールは、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%である領域Sに、コア硬度分布における最低硬度点が存在する包囲層(以下、単に「最低硬度包囲層(Es)」と称する場合がある)が形成されていることが好ましい。すなわち、最低硬度包囲層(Es)は、コアを構成する樹脂材料の中で、ショアD硬度で最も硬度が低い樹脂材料から形成されていることが好ましい。またこの場合、最低硬度包囲層(Es)の全体が、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%である領域Sに配置されていることが好ましい。前記最低硬度包囲層(Es)が配置される領域は、ゴルフボール中心からの距離が、ゴルフボール半径の40.0%以上であることが好ましく、45.0%以上がより好ましく、62.5%以下が好ましく、60.0%以下がさらに好ましい。
前記最低硬度包囲層(Es)の厚みは、0.2mm以上が好ましく、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、20mm以下が好ましく、より好ましくは17mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。最低硬度包囲層(Es)の厚みが、0.2mm以上であれば、ドライバーショットのスピン量が低下しやすくなるからである。前記最低硬度包囲層(Es)の厚みが、20mm以下であれば、ゴルフボールの反発が低下しないからである。
前記最低硬度包囲層(Es)の硬度(Hs)は、ショアD硬度で、40以下が好ましく、より好ましくは35以下、さらに好ましくは30以下、特に好ましくは25以下であり、3以上が好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。最低硬度包囲層(Es)の材料硬度(Hs)が、前記範囲内であれば、ドライバーショットのスピン量が独立的に低下する。その結果、アプローチショットのスピン量に対するドライバーショットのスピン量の比が小さいゴルフボールが得られる。
本発明の好ましいマルチピースゴルフボールの態様では、コアの構成部材の材料硬度が、ゴルフボールの中心から表面に向かって、ショアD硬度で、−0.5ポイント/mm〜−2ポイント/mmの勾配で漸次低下し、前記領域Sにおいて最低硬度に達することが好ましい。ゴルフボールの中心から表面に向かって、一定勾配でコア硬度が漸次低下することにより、ゴルフボールの半径の36.0%〜65.0%の領域に、最低硬度点が存在しやすくなるからである。ここで、硬度が漸次低下するとは、コア中心から前記領域Sまで、硬度が増加することなく、徐々に低下する、あるいは、段階的に低下することを意味する。前記「勾配」とは、(最低硬度−ゴルフボールの中心硬度)/(ゴルフボールの中心から最低硬度点までの距離)により算出される値である。また、最低硬度点は、最低硬度包囲層(Es)の厚み方向の中点に位置するものとし、コア中心から最低硬度点までの距離は、コア中心から最低硬度包囲層(Es)の厚み方向の中点までの距離である。
本発明の好ましいマルチピースゴルフボールの態様では、図2に示すように、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の85.0%〜99.5%の領域Hにコア硬度分布における最高硬度点が存在する包囲層(以下、単に「最高硬度包囲層(Eh)」と称する場合がある)が形成されていることが好ましい。すなわち、最高硬度包囲層(Eh)は、コアを構成する樹脂材料の中で、ショアD硬度で最も硬度が高い樹脂材料から形成されていることが好ましい。また、この場合、最高硬度包囲層(Eh)の全体が、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の85.0%〜99.5%である領域Hに配置されていることが好ましい。
前記最高硬度包囲層(Eh)が配置される領域は、コア中心からの距離が、ゴルフボール半径の87.5%以上であることが好ましく、90.0%以上であることがより好ましく、99.0%以下であることが好ましく、98.0%以下であることがより好ましい。ゴルフボール半径の前記領域にコア硬度分布における最高硬度層(Eh)が配置されることにより、ゴルフボールは外剛内柔構造となり、ドライバースピン量がより低下するからである。
前記最高硬度包囲層(Eh)の厚みは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、5mm以下が好ましく、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。最高硬度包囲層(Eh)の厚みが0.1mm以上であれば、ゴルフボールの耐久性が向上するからである。最高硬度包囲層(Eh)の厚みが5mm以下であれば、ショット時の打感が良くなるからである。
前記最高硬度層(Eh)の硬度(Hh)は、ショアD硬度で30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上であり、85以下が好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは77以下である。最高硬度層(Eh)の硬度(Hh)が前記範囲内であれば、ドライバースピン量がより低下するからである。
本発明の好ましいマルチピースゴルフボールの態様では、コアの構成部材の硬度が、前記最低硬度点から最高硬度点に向かって、ショアD硬度で、3ポイント/mm〜6ポイント/mmの勾配で漸次増加することが好ましい。漸次増加するとは、最低硬度点から最高硬度点まで、硬度が低下することなく、徐々に増加する、あるいは、段階的に増加することを意味する。前記硬度勾配の下限は、3.5ポイント/mmが好ましく、4ポイント/mmがより好ましい。また、前記硬度勾配の上限は、5.5ポイント/mmが好ましく、5ポイント/mmがより好ましい。硬度勾配が、前記範囲内であれば、外剛内柔構造の程度が高いコアが得られる。その結果、ドライバースピン量がより低下するからである。ここで、「勾配」とは、(最高硬度−最低硬度)/(コア中心から最高硬度点までの距離−コア中心から最低硬度点までの距離)により算出される値である。なお、最高硬度点は、最高硬度包囲層(Eh)の厚み方向の中点に位置するものとし、コア中心から最高硬度点までの距離は、コア中心から最高硬度包囲層(Eh)の厚み方向の中点までの距離である。
本発明の好ましい態様であるマルチピースゴルフボールは、ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の34.0%〜65.0%である全領域に配置された構成部材の硬度が、ショアD硬度で45未満であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、35以下であることがさらに好ましい。ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の34.0%〜65.0%である全領域に配置された構成部材の硬度が、ショアD硬度で45未満であれば、ドライバーショットのスピン量の低下と、アプローチショットのスピン量の増加をより高いレベルで実現することができる。なお、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の34.0%〜65.0%である全領域に配置されたショアD硬度が45未満である構成部材は、その全体がゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の34.0%〜65.0%の領域に存在するものとする。
本発明の別の好ましい態様であるマルチピースゴルフボールでは、ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の0%〜50.0%である領域に配置された構成部材の硬度が、ショアD硬度で45以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、35以下であることがさらに好ましい。ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の0%〜50.0%である領域に配置された構成部材の硬度が、ショアD硬度で45以下であれば、ドライバーショットのスピン量の低下と、アプローチショットのスピン量の増加をより高いレベルで実現することができる。なお、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の0%〜50.0%である領域に配置されたショアD硬度が45以下の構成部材は、その全体がゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボールの半径の0%〜50.0%の領域に存在するものとする。
本発明の好ましい態様であるマルチピースゴルフボールにおいて、球状センターの中心硬度(Ho)は、ショアD硬度で15以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上であり、55以下が好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは45未満である。球状センターの中心硬度(Ho)が、ショアD硬度で15未満であると、軟らかくなりすぎて反発性が低下する場合がある。球状センターの中心硬度(Ho)がショアD硬度で55を超えると、硬くなり過ぎて、打球感が低下する傾向があるからである。
前記球状センターの直径は、5mm以上が好ましく、より好ましくは7mm以上、さらに好ましくは10mm以上であり、25mm以下が好ましく、より好ましくは22mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。前記球状センターの直径が5mm以上であれば、ドライバースピン量がより低下するからである。一方、球状センターの直径が25mm以下であれば、アプローチスピン量が低下しにくくなるからである。また、このように直径の小さな球状センターを有することで、多数の包囲層を設けることができ、ゴルフボールに適正な硬度分布を付与しやすくなる。
前記球状センターは、直径5mm〜25mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にセンターが縮む量)が、1.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.7mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上であり、5.0mm以下が好ましく、より好ましくは4.7mm以下、さらに好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が、1.5mm以上であれば打球感がより良好となり、5.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
前記最低硬度包囲層(Es)および最高硬度包囲層(Eh)以外の包囲層の厚みは、特に限定されず、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましく、15mm以下が好ましく、13mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
前記カバーの厚みは、2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.6mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。カバーの厚みが2.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。カバーの厚みが0.1mm未満では、カバーの成形が困難になるおそれがあり、また、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合もある。
前記カバーの材料硬度Hcは、ショアD硬度で、5以上が好ましく、より好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上であり、55以下が好ましく、より好ましくは53以下、さらに好ましくは50以下である。カバーの材料硬度が前記範囲内であれば、アプローチショットのスピン量がより高くなるからである。
本発明のマルチピースゴルフボールの具体例としては、4ピースゴルフボール、5ピースゴルフボール、6ピースゴルフボール、7ピースゴルフボールなどを挙げることができる。
(2)ゴルフボール構成材料
本発明のゴルフボールを構成する構成材料について説明する。本発明のゴルフボールを構成する構成材料としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物およびゴム組成物を挙げることができる。これらの材料を用いて、球状センター、包囲層、および、カバーを形成することができる。各材料の材料硬度は、原料の組成を変更することで調整できる。
熱可塑性樹脂組成物
まず、本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物について説明する。前記熱可塑性樹脂組成物が含有する(A)樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であれば、特に限定されない。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂の中でも、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性アクリル系エラストマーなどを挙げることができる。
(2−1)アイオノマー樹脂
前記アイオノマー樹脂としては、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂;オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂;または、これらの混合物を挙げることができる。
なお、本発明において、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂」を単に「二元系アイオノマー樹脂」と称し、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂」を単に「三元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。
前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。前記炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。
前記二元系アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。前記三元系アイオノマー樹脂としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記二元系アイオノマー樹脂中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、15質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、15質量%以上であれば、得られる構成部材を所望の硬度にしやすくなるからである。また、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、30質量%以下であれば、得られる構成部材の硬度が高くなり過ぎず、耐久性と打球感が良好になるからである。
前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、15モル%以上が好ましく、20モル%以上が好ましく、100モル%以下が好ましい。中和度が15モル%以上であれば、得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。なお、前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。また、理論上のアイオノマー樹脂中のカルボキシル基の中和度が100モル%を超えるように金属成分を含有する場合がある。
二元系アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×二元系アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/二元系アイオノマー樹脂中のカルボキシル基の総モル数
前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。
前記二元系アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランAM7329(Zn)など」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されている「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li))」などが挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn))」などが挙げられる。
前記二元系アイオノマー樹脂は、例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。前記商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記二元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率は、140MPa以上が好ましく、より好ましくは150MPa以上、さらに好ましくは160MPa以上であり、550MPa以下が好ましく、より好ましくは500MPa以下、さらに好ましくは450MPa以下である。前記二元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率が低すぎると、ゴルフボールのスピン量が増加して飛距離が低下する傾向があり、曲げ剛性率が高すぎると、ゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。
前記二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.5g/10min以上、さらに好ましくは1.0g/10min以上であり、30g/10min以下が好ましく、より好ましくは20g/10min以下、さらに好ましくは15g/10min以下である。前記二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、例えば、薄い層の成形が可能となる。また、前記二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が30g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記三元系アイオノマー樹脂中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、2質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
前記三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、20モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上であり、100モル%以下が好ましい。中和度が20モル%以上であれば、熱可塑性樹脂組成物を用いて得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。なお、アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。また、理論上のアイオノマー樹脂中のカルボキシル基の中和度が100モル%を超えるように金属成分を含有する場合がある。
アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/アイオノマー樹脂中のカルボキシル基の総モル数
前記三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。
前記三元系アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(例えば、ハイミランAM7327(Zn)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミラン1856(Na)、ハイミランAM7331(Na)など)」が挙げられる。さらにデュポン社から市販されている三元系アイオノマー樹脂としては、「サーリン6320(Mg)、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。またエクソンモービル化学(株)から市販されている三元系アイオノマー樹脂としては、「アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。なお、商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Mgなどは、中和金属イオンの種類を示している。前記三元系アイオノマー樹脂は、単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記三元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率は、10MPa以上が好ましく、より好ましくは11MPa以上、さらに好ましくは12MPa以上であり、100MPa以下が好ましく、より好ましくは97MPa以下、さらに好ましくは95MPa以下である。前記三元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率が低すぎると、ゴルフボールのスピン量が増加して飛距離が低下する傾向があり、曲げ剛性率が高すぎると、ゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。
前記三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.3g/10min以上、さらに好ましくは0.5g/10min以上であり、20g/10min以下が好ましく、より好ましくは15g/10min以下、さらに好ましくは10g/10min以下である。前記三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、薄い包囲層の成形が容易になる。また、前記三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が20g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記三元系アイオノマー樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で20以上が好ましく、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上であり、70以下が好ましく、より好ましくは65以下、さらに好ましくは60以下である。前記スラブ硬度が、ショアD硬度で20以上であれば、得られる構成部材が柔らなく成り過ぎず、ゴルフボールの反発性が良好になる。また、前記スラブ硬度が、ショアD硬度で70以下であれば、得られる構成部材が硬くなりすぎず、ゴルフボールの耐久性がより良好となる。
(2−2)熱可塑性オレフィン共重合体
前記熱可塑性オレフィン共重合体としては、例えば、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体;オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体;または、これらの混合物を挙げることができる。前記熱可塑性オレフィン共重合体は、そのカルボキシル基が中和されていない非イオン性のものである。
なお、本発明において、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体」を単に「二元共重合体」と称し、「オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体」を単に「三元共重合体」と称する場合がある。
前記オレフィンとしては、アイオノマー樹脂を構成するオレフィンと同一のものを挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。前記炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルとしては、アイオノマー樹脂を構成する炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルと同一のものを挙げることができる。
前記二元共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸との二元共重合体が好ましい。前記三元共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記二元共重合体または三元共重合体中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、4質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
前記二元共重合体または三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、5g/10min以上が好ましく、より好ましくは10g/10min以上、さらに好ましくは15g/10min以上であり、1700g/10min以下が好ましく、より好ましくは1500g/10min以下、さらに好ましくは1300g/10min以下である。前記二元共重合体または三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が5g/10min以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、構成部材の成形が容易になる。また、前記二元共重合体または三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が1700g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記二元共重合体の具体例を商品名で例示すると、例えば、三井・デュポン・ポリケミカル社から商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルN1050H」、「ニュクレルN2050H」、「ニュクレルN1110H」、「ニュクレルN0200H」)」で市販されているエチレン−メタクリル酸共重合体、ダウケミカル社から商品名「プリマコール(PRIMACOR)(登録商標)5980I」で市販されているエチレン−アクリル酸共重合体などを挙げることができる。
前記三元共重合体の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポン・ポリケミカル社から市販されている商品名「ニュクレル(NUCREL)(例えば、「ニュクレルAN4318」「ニュクレルAN4319」)」、デュポン社から市販されている商品名「ニュクレル(NUCREL)(例えば、「ニュクレルAE」)」、ダウケミカル社から市販されている商品名「プリマコール(PRIMACOR)(例えば、「PRIMACOR AT310」、「PRIMACOR AT320」)」などを挙げることができる。前記二元共重合体または三元共重合体は、単独または二種以上を組み合わせて使用しても良い。
(2−3)熱可塑性ポリウレタン樹脂および熱可塑性ポリウレタンエラストマー
熱可塑性ポリウレタン樹脂および熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、分子の主鎖にウレタン結合を複数有する熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーを挙げることができる。前記ポリウレタンは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られるものが好ましい。前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、例えば、BASFジャパン(株)社製の商品名「エラストラン(登録商標)XNY85A」、「エラストランXNY90A」、「エラストランXNY97A」、「エラストランET885」、「エラストランET890」などが挙げられる。
(2−4)熱可塑性スチレン系エラストマー
熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマーを好適に使用できる。前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの構成成分としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の構成成分が併用されてもよい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。得られるゴルフボールの打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS、並びに、これらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、アイオノマー樹脂との相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイが用いられることにより、ゴルフボールの反発性能が向上する。好ましくは、炭素数が2以上10以下のオレフィンが用いられる。好適なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
ポリマーアロイの具体例としては、三菱化学社製「ラバロン(登録商標)T3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例としては、ダイセル化学工業社製「エポフレンドA1010」及びクラレ社製「セプトンHG−252」が挙げられる。
(2−5)熱可塑性ポリアミド樹脂および熱可塑性ポリアミドエラストマー
前記熱可塑性ポリアミドとしては、分子の主鎖中にアミド結合(−NH−CO−)を複数有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ラクタムを開環重合させたり、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを反応させたりすることによって、アミド結合が分子内に形成された生成物が挙げられる。
前記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド612などの脂肪族系ポリアミド;ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなどの芳香族系ポリアミドが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族系ポリアミドが好適である。
前記ポリアミド樹脂の具体例を商品名で示すと、例えば、アルケマ社から市販されている「リルサン(登録商標)B(例えば、リルサンBESN TL、リルサンBESN P20 TL、リルサンBESN P40 TL、リルサンMB3610、リルサンBMF O、リルサンBMN O、リルサンBMN O TLD、リルサンBMN BK TLD、リルサンBMN P20 D、リルサンBMN P40 Dなど)」などが挙げられる。
ポリアミドエラストマーは、ポリアミド成分からなるハードセグメント部分とソフトセグメント部分とを有する。ポリアミドエラストマーのソフトセグメント部分としては、例えば、ポリエーテルエステル成分又はポリエーテル成分を挙げることができる。前記ポリアミドエラストマーとしては、例えば、ポリアミド成分(ハードセグメント成分)と、ポリオキシアルキレングリコール及びジカルボン酸からなるポリエーテルエステル成分(ソフトセグメント成分)との反応で得られるポリエーテルエステルアミド;ポリアミド成分(ハードセグメント成分)と、ポリオキシアルキレングリコールの両末端をアミノ化又はカルボキシル化したものとジカルボン酸又はジアミンとからなるポリエーテル(ソフトセグメント成分)との反応で得られるポリエーテルアミドが例示される。
前記ポリアミドエラストマーとして、例えば、アルケマ社製の「ペバックス(PEBAX)(登録商標)2533」、「ペバックス3533」、「ペバックス4033」、「ペバックス5533」などを挙げることができる。
(2−6)熱可塑性ポリエステル樹脂および熱可塑性ポリエステルエラストマー
前記熱可塑性ポリエステル樹脂は、分子の主鎖にエステル結合を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを反応させることにより得られるものが好ましい。熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ポリエステル成分からなるハードセグメントと、ソフトセグメントとを有するブロック共重合体を挙げることができる。ハードセグメントを構成するポリエステル成分としては、例えば、芳香族ポリエステルを挙げることができる。ソフトセグメント成分としては、脂肪族ポリエーテルや、脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
前記ポリエステルエラストマーの具体例としては、東レ・デュポン社製の「ハイトレル(登録商標)3548」、「ハイトレル4047」、三菱化学社製の「プリマロイ(登録商標)A1606」,「プリマロイB1600」、「プリマロイB1700」などを挙げることができる。
(2−7)熱可塑性(メタ)アクリル系エラストマー
前記熱可塑性(メタ)アクリル系エラストマーとしては、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合してなる熱可塑性エラストマーを挙げることができる。前記熱可塑性(メタ)アクリル系エラストマーの具体例としては、例えば、クラレ社製「クラリティ(メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体)」を挙げることができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、樹脂成分として、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性アクリル系エラストマーの少なくとも1種を含有することが好ましい。所望の硬度を有する構成部材を形成しやすくなる。
本発明において、前記熱可塑性樹脂組成物が含有する樹脂成分として、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体を用いる場合、前記熱可塑性樹脂組成物は、さらに、後述する(B)塩基性脂肪酸金属塩を含有してもよい。(B)塩基性脂肪酸金属塩を含有することにより、アイオノマー樹脂および熱可塑性オレフィン共重合体の中和度を高めることができる。中和度を高めることにより、得られる構成部材の反発性が高くなる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩は、脂肪酸と金属酸化物又は水酸化物とを反応させる公知の製造方法により得られるが、一般の脂肪酸金属塩が脂肪酸と反応当量の金属酸化物又は水酸化物とを反応させるのに対して、(B)塩基性脂肪酸金属塩は脂肪酸と反応当量超の過剰に金属酸化物又は水酸化物を加えて得られたもので、その生成物の金属含有量、融点等は一般の脂肪酸金属塩とは異なる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩としては、例えば、下記一般式(1)で示されるものが好ましい。
mMO・M(RCOO) ・・・(1)
(1)式中、mは、上記式(1)に示される塩基性脂肪酸金属塩中の金属酸化物または金属水酸化物のモル数を示すものである。mは、0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがより好ましい。mが0.1未満であれば、得られる樹脂組成物の反発性が低下する場合があり、mが2.0を超えると、塩基性脂肪酸金属塩の融点が高くなり過ぎて、樹脂成分への分散性が困難になる場合がある。MおよびMは、それぞれ周期表第2族または第12族に属する金属が好ましい。MおよびMは、同一または異なっていてもよい。第2族に属する金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを挙げることができる。第12族に属する金属としては、亜鉛、カドミウム、水銀を挙げることができる。MおよびMの金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛が好ましく、マグネシウムがより好ましい。
式(1)において、RCOOは、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の残基を示す。(B)塩基性脂肪酸金属塩の飽和脂肪酸成分の具体例(IUPAC名)としては、ブタン酸(C4)、ペンタン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ウンデカン酸(C11)、ドデカン酸(C12)、トリデカン酸(C13)、テトラデカン酸(C14)、ペンタデカン酸(C15)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、ノナデカン酸(C19)、イコサン酸(C20)、ヘンイコサン酸(C21)、ドコサン酸(C22)、トリコサン酸(C23)、テトラコサン酸(C24)、ペンタコサン酸(C25)、ヘキサコサン酸(C26)、ヘプタコサン酸(C27)、オクタコサン酸(C28)、ノナコサン酸(C29)、トリアコンタン酸(C30)などを挙げることができる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の不飽和脂肪酸成分の具体例(IUPAC名)としては、ブテン酸(C4)、ペンテン酸(C5)、ヘキセン酸(C6)、ヘプテン酸(C7)、オクテン酸(C8)、ノネン酸(C9)、デセン酸(C10)、ウンデセン酸(C11)、ドデセン酸(C12)、トリデセン酸(C13)、テトラデセン酸(C14)、ペンタデセン酸(C15)、ヘキサデセン酸(C16)、ヘプタデセン酸(C17)、オクタデセン酸(C18)、ノナデセン酸(C19)、イコセン酸(C20)、ヘンイコセン酸(C21)、ドコセン酸(C22)、トリコセン酸(C23)、テトラコセン酸(C24)、ペンタコセン酸(C25)、ヘキサコセン酸(C26)、ヘプタコセン酸(C27)、オクタコセン酸(C28)、ノナコセン酸(C29)、トリアコンテン酸(C30)などを挙げることができる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の脂肪酸成分の具体例(慣用名)としては、例えば、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、ミリストレイン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、パルミトレイン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、12−ヒドロキシステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ガドレイン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、べヘニン酸(C22)、エルカ酸(C22)、リグノセリン酸(C24)、ネルボン酸(C24)、セロチン酸(C26)、モンタン酸(C28)、メリシン酸(C30)などを挙げることができる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩は、塩基性不飽和脂肪酸金属塩であることが好ましい。前記不飽和脂肪酸成分としては、オレイン酸(C18)、エルカ酸(C22)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサペンタエン酸(C20)、ドコサヘキサエン酸(C22)、ステアリドン酸(C18)、ネルボン酸(C24)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エライジン酸(C18)、エイコセン酸(C20)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、アドレン酸(C22)、イワシ酸(C22)、ニシン酸(C24)、および、テトラコサペンタエン酸(C24)よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
(B)塩基性脂肪酸金属塩は、炭素数が8〜30の塩基性脂肪酸金属塩が好ましく、炭素数が12〜24の塩基性脂肪酸金属塩が好ましい。(B)塩基性脂肪酸金属塩の具体例としては、塩基性ラウリン酸マグネシウム、塩基性ラウリン酸カルシウム、塩基性ラウリン酸亜鉛、塩基性ミリスチン酸マグネシウム、塩基性ミリスチン酸カルシウム、塩基性ミリスチン酸亜鉛、塩基性パルミチン酸マグネシウム、塩基性パルミチン酸カルシウム、塩基性パルミチン酸亜鉛、塩基性オレイン酸マグネシウム、塩基性オレイン酸カルシウム、塩基性オレイン酸亜鉛、塩基性ステアリン酸マグネシウム、塩基性ステアリン酸カルシウム、塩基性ステアリン酸亜鉛、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、塩基性ベヘニン酸マグネシウム、塩基性ベヘニン酸カルシウム、塩基性ベヘニン酸亜鉛などが挙げられる。(B)塩基性脂肪酸金属塩としては、塩基性脂肪酸マグネシウムが好ましく、塩基性ステアリン酸マグネシウム、塩基性ベヘニン酸マグネシウム、塩基性ラウリン酸マグネシウム、および、塩基性オレイン酸マグネシウムがより好ましい。前記塩基性脂肪酸は、単独若しくは2種以上の混合物として使用することもできる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の融点は、特に制約されないが、例えば金属がマグネシウムの場合は、100℃以上のものが好ましく、300℃以下のものが好ましく、290℃以下のものがより好ましく、280℃以下のものがさらに好ましい。融点が、上記範囲であれば、樹脂成分への分散性が良好になるからである。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の金属成分の含有量は、1モル%以上が好ましく、1.1モル%以上がより好ましく、2モル%以下が好ましく、1.9モル%以下がより好ましい。金属成分の含有量が前記範囲内であれば、得られるゴルフボール構成部材の反発性が一層向上するからである。なお、(B)塩基性脂肪酸金属塩の金属成分の含有量は、金属塩1モルあたりに含まれる金属量gを、その金属の原子量で割った値をいい、モル%で表す。
本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物における(B)塩基性脂肪酸金属塩の含有量は、前記(A)樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、8質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい。(B)前記塩基性脂肪酸金属塩の含有量を5質量部以上とすることにより、ゴルフボール構成部材の反発性が向上し、100質量部以下とすることにより、低分子量成分の増加にともなうゴルフボール構成部材の耐久性の低下を抑制できるからである。
センターと、前記センターを被覆する2層以上の包囲層と、前記包囲層を被覆するカバーとを有する本発明のゴルフボールにおいて、前記センターまたは包囲層を構成する樹脂成分としては、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性スチレン系エラストマー、または、これらの混合物が好ましい。前記樹脂成分としては、熱可塑性スチレン系エラストマーを含有するものが好ましい。前記熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS並びにこれらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイが好適である。前記センターを構成する樹脂成分中の熱可塑性スチレン系エラストマーの含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
前記センターまたは包囲層を構成する樹脂成分の好ましい態様としては、以下の態様を挙げることができる。
(1)樹脂成分として、アイオノマー樹脂と熱可塑性スチレン系エラストマーとを含有する態様。より好ましい態様では、三元系アイオノマー樹脂と、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS並びにこれらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイとを含有する。
(2)アイオノマー樹脂と熱可塑性スチレン系エラストマーとを含有し、さらにアイオノマー樹脂の中和度を高めるために塩基性脂肪酸金属塩を含有する態様。より好ましい態様では、三元系アイオノマー樹脂と、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS並びにこれらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイとを含有し、さらに、アイオノマー樹脂の中和度を高めるために塩基性脂肪酸金属塩を含有する。
(3)熱可塑性オレフィン共重合体と熱可塑性スチレン系エラストマーとを含有し、さらに熱可塑性オレフィン共重合体の中和度を高めるために塩基性脂肪酸金属塩を含有する態様。前記熱可塑性オレフィン共重合体としては、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、および/または、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が好ましく、熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS並びにこれらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイが好ましい。
前記最低硬度包囲層を構成する樹脂成分は、アイオノマー樹脂と熱可塑性スチレン系エラストマーとを含有し、これらの合計含有量が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、この場合、アイオノマー樹脂と熱可塑性スチレン系エラストマーとの比(アイオノマー樹脂/熱可塑性スチレン系エラストマー)が0.1以上が好ましく、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上であり、3.0以下が好ましく、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.2以下である。
前記最高硬度包囲層を構成する樹脂成分は、アイオノマー樹脂を含有し、アイオノマー樹脂の含有率が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
カバーを構成する樹脂成分は、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む)、または、これらの混合物を含有することが好ましい。カバーを構成する樹脂成分が、アイオノマー樹脂を含有することにより、耐久性に優れ、飛距離が大きいゴルフボールが得られる。カバーを構成する樹脂成分が、熱可塑性ポリウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む)を含有することにより、打球感およびコントロール性に優れるゴルフボールが得られる。
前記カバーを構成する樹脂成分は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有し、熱可塑性ポリウレタン樹脂の含有率が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物は、さらに、(C)添加材を含有することができる。(C)前記添加材としては、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料などの顔料成分、重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを挙げることができる。前記重量調整剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、(A)樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、得られるゴルフボール構成部材に隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるゴルフボール構成部材の耐久性が低下する場合があるからである。
本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物は、例えば、(A)樹脂成分と(C)添加材とをドライブレンドすることにより得られる。(B)塩基性脂肪酸金属塩は、必要に応じてブレンドされる。また、ドライブレンドした混合物を、押出してペレット化してもよい。ドライブレンドには、例えば、ペレット状の原料を配合できる混合機を用いるのが好ましく、より好ましくはタンブラー型混合機を用いる。押出は、一軸押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機など公知の押出機を使用することができる。
ゴム組成物
次に、本発明で使用し得るゴム組成物について説明する。前記ゴム組成物は、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、および、充填剤を含有するものを挙げることができる。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
前記架橋開始剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上であって、5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下である。0.3質量部未満では、得られる包囲層が柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、5質量部を超えると、適切な硬さにするために、共架橋剤の使用量を減少する必要があり、反発性が不足気味になる。
前記共架橋剤は、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有すると考えられている。前記共架橋剤としては、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。
前記共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、55質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは48質量部以下である。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために架橋開始剤の量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が55質量部を超えると、得られる包囲層が硬くなりすぎて、打球感が低下するおそれがある。
ゴム組成物に含有される充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。充填剤の配合量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記ゴム組成物には、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤および充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、しゃく解剤などを適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。これらの中でも、有機硫黄化合物として、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィドなどのモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのジ置換体;ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィドなどのテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドなどのペンタ置換体などが挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。前記有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記ゴム組成物は、各原材料を混合、混練し、金型内で成形することにより、包囲層に成形することができる。ゴム組成物からなる包囲層を成形する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ゴム組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球体を包み、130℃〜170℃で5分間〜30分間加圧成形する方法や、ゴム組成物を射出成形する方法が挙げられる。
本発明のゴルフボールの構造としては、球状センターと前記球状センターを被覆する2層の包囲層と、前記包囲層を被覆するカバーとを有する4ピースゴルフボール;球状センターと前記球状センターを被覆する3層の包囲層と、前記包囲層を被覆するカバーとを有する5ピースゴルフボール;球状センターと前記球状センターを被覆する4層の包囲層と、前記包囲層を被覆するカバーとを有する6ピースゴルフボール;球状センターと前記球状センターを被覆する5層の包囲層と、前記包囲層を被覆するカバーとを有する7ピースゴルフボールなどが挙げられる。
前記ゴルフボールの構成材料の組合せとしては、球状センターおよび最低硬度包囲層(Es)を熱可塑性樹脂組成物から形成する態様;球状センターおよび最低硬度包囲層(Es)をゴム組成物から形成する態様;球状センターを熱可塑性樹脂組成物から形成し、最低硬度包囲層(Es)をゴム組成物から形成する態様;球状センターをゴム組成物から形成し、最低硬度包囲層(Es)を熱可塑性樹脂組成物から形成する態様などが挙げられる。前記最高硬度包囲層(Eh)は熱可塑性樹脂組成物から形成することが好ましい。
図4は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状センターCと、この球状センターCの外側に配設された第1包囲層1と、この第1包囲層1の外側に配設された第2包囲層2と、この第2包囲層2の外側に配設された第3包囲層3と、この第3包囲層3の外側に配設された第4包囲層4と、この第4包囲層4の外側に配設された第5包囲層5と、この第5包囲層5の外側に配設されたカバーAを有する。前記カバーAの表面には、多数のディンプル81が形成されている。このカバーAの表面のうち、ディンプル81以外の部分は、ランド82である。7ピースゴルフボールの場合、第2包囲層を最低硬度包囲層(Es)とし、第5包囲層を最高硬度包囲層(Eh)とすることが好ましい。
(3)ゴルフボールの製造方法
以下、本発明のゴルフボールの製造方法を、球状センターと、前記球状センターを被覆する包囲層と、前記包囲層を被覆するカバーを有するゴルフボールの態様に基づいて説明するが、本発明のゴルフボールの製造方法は、以下に示した製造方法に限定されるものではない。
球状センター
前記球状センターの構成材料には、熱可塑性樹脂組成物またはゴム組成物が使用できる。前記球状センターを、熱可塑性樹脂組成物を用いて形成する場合、例えば、熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより得られる。具体的には、1MPa〜100MPaの圧力で型締めした金型内に、160℃〜260℃に加熱溶融した熱可塑性樹脂組成物を1秒〜100秒で注入し、30秒〜300秒間冷却して型開きすることにより行うことが好ましい。
前記球状センターを、ゴム組成物を用いて形成する場合、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。球状コアに成形する温度は、120℃〜170℃が好ましい。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
包囲層
前記包囲層の構成材料には、熱可塑性樹脂組成物またはゴム組成物が使用できる。前記包囲層を、熱可塑性樹脂組成物を用いて形成する場合、例えば、熱可塑性樹脂組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球体を包み、130℃〜170℃で1分間〜5分間加圧成形するか、または、熱可塑性樹脂組成物を直接球体上に射出成形してセンターを包み込む方法などが用いられる。
熱可塑性樹脂組成物を球体上に射出成形して包囲層を成形する場合、成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ホールドピンを備えているものを使用することが好ましい。射出成形による包囲層の成形は、ホールドピンを突き出し、被被覆球体を投入してホールドさせた後、加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物を注入して、冷却することにより包囲層を成形することができる。
圧縮成形法により包囲層を成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。熱可塑性樹脂組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、熱可塑性樹脂組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いて包囲層を成形する方法としては、例えば、球体を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形して包囲層に成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、熱可塑性樹脂組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みを有する包囲層を成形できる。
なお、成形温度とは、型締めから型開きの間に、下型の凹部の表面が到達する最高温度を意味する。また熱可塑性樹脂組成物の流動開始温度は、島津製作所の「フローテスター CFT−500」を用いて、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を、プランジャー面積:1cm、DIE LENGTH:1mm、DIE DIA:1mm、荷重:588.399N、開始温度:30℃、昇温速度:3℃/分の条件で測定することができる。
前記包囲層を、ゴム組成物を用いて形成する場合、例えば、ゴム組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球体を包み、130℃〜170℃で5分間〜30分間加圧成形する方法を挙げることができる。また、前記ゴム組成物を射出成形して包囲層を成形してもよい。
カバー
前記カバーの構成材料には、熱可塑性樹脂組成物が使用できる。熱可塑性樹脂組成物を用いてカバーを形成する方法は、前述した熱可塑性樹脂組成物を用いて包囲層を形成する方法が採用できる。成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。
カバーには、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上であり、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
(1)コア硬度分布(ショアD硬度)
ゴルフボールのコアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離における点における断面硬度(Ho,Hs,Hh)を測定した。なお、各点における硬度は、中心から所定の距離における任意の4点の断面硬度を測定し、これを平均することにより求めた。ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(2)材料硬度(ショアD)
各層の材料硬度は、以下の様に測定することができる。熱可塑性樹脂組成物の場合は、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製した。ゴム組成物の場合は、170℃で25分間プレスして、厚み約2mmのシートを作製した。このシートを、23℃で2週間保存し、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定する。
(3)圧縮変形量(mm)
ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
(4)アプローチショットのスピン量
ツルーテンパー社製スイングマシンに、サンドウエッジ(クリーブランドゴルフ社製CG15フォージドウエッジ(58°))を取り付け、ヘッドスピード10m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによってスピン量(rpm)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行い、その平均値をスピン量とした。
(5)ドライバースピン量(rpm)
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットM/Cに、メタルヘッド製W#1ドライバー(ダンロップスポーツ社製、XXIO S ロフト11°)を取り付け、ヘッドスピード50m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃直後のゴルフボールのスピン量を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。打撃直後のゴルフボールのスピン量は、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって測定した。
[ゴルフボールの作製]
(1)熱可塑性樹脂組成物の調製
表1に示すように、配合材料をドライブレンドし、二軸混練型押出機によりミキシングして、ストランド状に冷水中に押し出した。押出されたストランドをペレタイザーにより切断してペレット状の熱可塑性樹脂組成物を調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
Figure 2016026532
表1で使用した原料は、以下の通りである。
ハイミランAM7327:三井・デュポン・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル三元共重合体アイオノマー樹脂(メルトフローレイト(190℃×2.16kgf):0.7g/10min、曲げ剛性率:35MPa)
ニュクレルAN4319:三井・デュポン・ポリケミカル社製、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸ブチル共重合体(メルトフローレイト(190℃×2.16kgf):55g/10min、曲げ剛性率:21MPa)
ハイミラン1605:三井・デュポン・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(メルトフローレイト(190℃×2.16kgf):2.8g/10min、曲げ剛性率:320MPa)
ハイミランAM7329:三井・デュポン・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂(メルトフローレイト(190℃×2.16kgf):5g/10min、曲げ剛性率:221MPa)
HPF2000:デュポン社製、マグネシウムイオン中和三元共重合体アイオノマー樹脂(メルトフローレイト(190℃×2.16kgf):1.0g/10min、曲げ剛性率:64MPa)
HPF1000:デュポン社製、マグネシウムイオン中和三元共重合体アイオノマー樹脂(メルトフローレイト(190℃×2.16kgf):0.7g/10min、曲げ剛性率:190MPa)
ラバロンT3221C:三菱化学社製、熱可塑性スチレンエラストマー(SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS、並びに、これらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイ)
エラストランXNY84A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
塩基性オレイン酸マグネシウム:日東化成工業社製(金属含有量1.7モル%、式(1)において、M=M=Mg,R=炭素数17)
二酸化チタン:石原産業社製A220
(2)ゴム組成物の調製
表2に示した材料を混練してゴム組成物を調製した。
Figure 2016026532
表2で使用した原料は、以下の通りである。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン、シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺(登録商標)R」
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド:三協化成社製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
(3)球状センターの作製
前記で得た熱可塑性樹脂組成物を表3、5に示すように200℃にて射出成形して、球状センターを作製した。また、前記で得たゴム組成物を表4,6に示すように170℃で25分間プレスして、球状センターを作製した。なお、ゴルフボールNo.5−1については、表2に示したゴム組成物No.Aを、170℃で、25分間プレスして、球状センターを成形した。
(4)熱可塑性樹脂組成物からなる包囲層の作製
前記で得た熱可塑性樹脂組成物を、表3〜6に示した様に200℃で射出成形することにより、各包囲層を成形した。
(5)ゴム組成物からなる包囲層の作製
表4、5に示した様に、表2に示したゴム組成物からハーフシェルを成形した。球体を2枚のハーフシェルで被覆した。球体およびハーフシェルを、共に半球状キャビティを備えた上型および下型からなる金型に投入し、170℃で25分間加熱することにより、ゴム組成物からなる包囲層を作製した。ゴルフボールNo.5−1については、表2に示したゴム組成物No.Bを用いて、ゴム組成物からなる二層コアを成形した。
(6)熱可塑性樹脂組成物からなるカバーの作製
カバーは、前記で得た熱可塑性樹脂組成物を圧縮成形することにより形成した。ハーフシェルの圧縮成形は、得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに一つずつ投入し、加圧した。圧縮成形は成形温度160℃、成形時間2分、成形圧力11MPaの条件で行った。第n包囲層を形成した球体を、2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、キャビティ―面に多数のピンプルを備えた金型に投入して、圧縮成形によりカバーを成形した。圧縮成形は成形温度150℃、成形時間3分、成形圧力13MPaの条件で行った。成形後のカバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.8mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。得られたゴルフボールついて評価した結果を表3〜6に併せて示した。
Figure 2016026532
Figure 2016026532
Figure 2016026532
Figure 2016026532
表3〜6の結果から、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボールの半径の36.0%〜65.0%の領域に、コア硬度分布において最低硬度点が存在するゴルフボールは、アプローチショットのスピン量に対して、ドライバーショットのスピン量が低い。その結果、本発明のゴルフボールは、ドライバーショットでよく飛び、アプローチショットでよく止まる。
本発明は、ドライバーショットでよく飛び、アプローチショットでよく止まるゴルフボールとして有用である。本発明のゴルフボールは、ヘッドスピードが40m/S以上のゴルファー向けのゴルフボールとして好適である。
100:ゴルフボール、C:球状センター、1:第1包囲層、2:第2包囲層、3:第3包囲層、4:第4包囲層、5:第5包囲層、A:カバー、B:コア、81:ディンプル、82:ランド、S:ゴルフボールの中心からの距離が半径の36.0%〜65.0%である領域、H:ゴルフボールの中心からの距離が半径の85.0%〜99.5%である領域

Claims (8)

  1. コアとカバーとを有するゴルフボールであって、
    ゴルフボール中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域に、コア硬度分布における最低硬度点が存在することを特徴とするゴルフボール。
  2. ゴルフボール中心からの距離が、ゴルフボール半径の40.0%〜62.5%の領域に、コア硬度分布における最低硬度点が存在する請求項1に記載のゴルフボール。
  3. ゴルフボールの中心から最低硬度点に向かって、コア硬度が、ショアD硬度で、−2.5ポイント/mm〜−0.3ポイント/mmの平均下降勾配で低下し、
    ゴルフボール中心からの距離が、ゴルフボール半径の36.0%〜65.0%の領域において、前記最低硬度に到達する請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. ゴルフボールの中心からの距離が、前記ゴルフボール半径の36.0%から50.0%までの全領域の硬度が、ショアD硬度で45未満である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記最低硬度は、ショアD硬度で、3以上、40以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. ゴルフボールの中心からの距離が、ゴルフボール半径の85.0%〜99.5%の領域に、コア硬度分布における最高硬度点が存在する請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記最低硬度点から前記最高硬度点に向かって、ショアD硬度で、2ポイント/mm〜10ポイント/mmの平均上昇勾配で硬度が増加する請求項6に記載のゴルフボール。
  8. 前記最高硬度は、ショアD硬度で30〜85である請求項6または7に記載のゴルフボール。
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