JP2016026182A - 網膜疾患を処置するための方法および眼科用組成物 - Google Patents

網膜疾患を処置するための方法および眼科用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、網膜疾患の処置のための新規な方法および脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物の使用を提供するものである。さらに本発明の目的は、視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能あるいは患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を改善するための新規な方法および脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物の使用を提供するものである。【解決手段】本発明は、有効量のイソプロピルウノプロストンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者における網膜疾患の処置のための眼局所投与用眼科用組成物であって、1日1眼あたり少なくとも210μgのイソプロピルウノプロストンが点眼投与される眼科用組成物を提供する。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、脂肪酸誘導体を用いる網膜疾患の処置方法、および脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物の使用に関する。本発明はまた、脂肪酸誘導体を用いる患者の視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能あるいは患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を改善するための方法および脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物の使用に関する。本発明はさらに、網膜感度および視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)に基づく網膜疾患の評価のためのプログラムおよびシステムに関する。
関連技術の詳細
網膜は、眼の最内層にある光の感受という視機能に関して重要な役割を果たす膜状の組織である。網膜は、例えば、外側から順に、網膜色素上皮層、視細胞層、外境界膜、外顆粒層、外網状層、内顆粒層、内網状層、神経節細胞層、神経繊維(線維)層、内境界膜の10層に分けられる。外界から網膜に照射された光は、内堺界膜側から網膜層を透過し、視細胞層に存在する光受容細胞である視細胞(桿体細胞および錐体細胞)によって感受される。視細胞で光から神経信号へと変換され、その信号は網膜にある種々の神経細胞により処理を受け、最終的に網膜の表面(眼球の中心側)に存在する神経節細胞から視神経を経て、脳中枢へ情報が伝達される。網膜中心部は視力に最も関係している部位で、黄褐色に見えるため、黄斑部と呼ばれる。さらに黄斑の中央部は網膜が0.05mm程度と薄く、すり鉢状に凹んでおり、中心窩と呼ばれ、視力が最もよい部位である。網膜の光感受性受容器である錐体と桿体との分布は異なる。錐体は、明るい場所で働き、明所視を司り、中心窩から黄斑部に多く存在し、その密度は中心窩から離れると減少する。一方、桿体は黄斑部を取り巻くように網膜周辺部に多く存在し、暗い場所で働き、暗所視を司る。
何らかの要因により視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能に障害が生ずれば、視力や視野などに対して深刻な影響を及ぼすことになる。視細胞機能障害を惹起する一つの要因として、中心性網脈絡膜症、中心性網脈絡膜炎、高血圧性網膜症、加齢性黄斑変性、動脈硬化性網膜症、腎性網膜症、糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、黄斑浮腫、網膜色素変性、未熟児網膜症、貧血性網膜症、白血病性網膜症、外傷による網脈絡膜障害、視神経炎、乳頭網膜炎、乳頭炎、神経網膜炎、クモ膜炎、脊髄炎、視神経委縮(遺伝性視神経症(レーベル病を含む)、虚血性視神経症、突発性視神経症、緑内障性視神経症、外傷性視神経症、その他の視神経萎縮に伴う疾患を含む)、脈絡膜血管新生および網膜血管新生のような眼の血管新生、またはその他の眼底疾患などの網膜疾患が挙げられる。例えば、網膜色素変性は、4000〜8000人に1人に発症する遺伝性疾患であるが、孤発例も多い。組織学的には桿体から障害が始まり、錐体まで障害が及ぶ視細胞機能の障害に基づく疾患である。臨床症状としては、夜盲から始まり進行すると網膜感度を低下させ、視野狭窄、視力低下を引き起こし、失明に至る難治性の疾患である。従って、網膜色素変性患者の網膜感度(特に黄斑部の網膜感度)が改善されれば、視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能そのものの改善が認められたと判断できる。
脂肪酸誘導体は、ヒトおよびその他の哺乳動物の組織または臓器に含まれる有機カルボン酸類の1種であり、広範な生理的活性を示す。天然に見出された脂肪酸誘導体類は一般に、その構造的特徴として、式(A)に示すプロスタン酸骨格を有する:
Figure 2016026182
一方、天然プロスタグランジン(PG)類の幾つかの合成類似体は、修飾された骨格を有する。天然PG類は5員環部分の構造特性によって、PGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類およびPGJ類に分類され、さらに炭素鎖部分の不飽和結合の数と位置によって、以下の3つのタイプに分類される。
タイプ1(下付1):13,14−不飽和−15−OH
タイプ2(下付2):5,6−および13,14−ジ不飽和−15−OH
タイプ3(下付3):5,6−、13,14−および17,18−トリ不飽和−15−OH。
さらに、PGF類は、9位のヒドロキシ基の配置によってα型(ヒドロキシ基がアルファー配置である)およびβ型(ヒドロキシ基がベータ配置である)に分類される。
プロスタン酸骨格の15位にオキソ基を有するプロストン類(15−ケト型)および13位と14位の間が単結合であり、15位にオキソ基を有するプロストン類(13,14−ジヒドロ−15−ケト型)は、天然PG類の代謝中に酵素の作用によって自然に産生する物質として知られており、治療的効果を有する。プロストン類は、米国特許第5073569号、米国特許5534547号、米国特許第5225439号、米国特許第5166174号、米国特許第5428062号、米国特許5380709号、米国特許第5886034号、米国特許第6265440号、米国特許第5106869号、米国特許第5221763号、米国特許5591887号、米国特許第5770759号および米国特許第5739161号に記載されており、これらの文献の開示内容はいずれも引用により本明細書に包含される。
幾つかの脂肪酸誘導体は、眼圧降下剤あるいは緑内障治療薬などの眼科領域の医薬品として有用であることが知られている。例えば、(+)−イソプロピル(Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−[(3R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル]シクロペンチル]−5−ヘプタン酸エステル(一般名:ラタノプロスト)、イソプロピル(5Z)−7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−{(1E,3R)−3−ヒドロキシ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブト−1−エニル}シクロペンチル)ヘプト−5−エノエート(一般名:トラボプロスト)、(5Z)−7−{(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペント−1−エン−1−イル]シクロペンチル}−N−エチルヘプト−5−エンアミド(一般名:ビマトプロスト)および1−メチルエチル(5Z)−7−{(1R,2R,3R,5S)−2−[(1E)−3,3−ジフルオロ−4−フェノキシ−1−ブテニル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル}−5−ヘプタン酸エステル(一般名:タフルプロスト)は、キサラタン(登録商標)、トラバタン(登録商標)、ルミガン(登録商標)およびタプロス(登録商標)点眼液として、緑内障および/または高眼圧症治療用の医薬品として既に市販されている。
さらに、プロストン類は、眼圧降下剤および緑内障治療薬(米国特許第5001153号、米国特許第5151444号、米国特許第5166178号、米国特許第5194429号および米国特許第5236907号)、白内障処置剤(米国特許第5212324号および米国特許第5686487号)、脈絡膜血流量増加剤(米国特許第5221690号)、視神経障害改善剤(米国特許第5773471号)などの眼科領域の医薬品として有用であることも知られている(これらの文献の開示内容は引用により本明細書に包含される)。(+)−イソプロピル(Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−(3−オキソデシル)シクロペンチル]ヘプト−5−エノエート(一般名:イソプロピルウノプロストン)を含む点眼液は、レスキュラ(登録商標)点眼液として、緑内障・高眼圧症治療用の医薬品として既に市販されている。また、イソプロピルウノプロストンは、BKチャネルモジュレーターとしても公知である(Biochimica et Biophysica Acta 1768 (2007) 1083−1092)。本明細書に記載の文献は引用により本明細書に包含される。
日本において、イソプロピルウノプロストンを用いた網膜色素変性の患者に対する臨床的研究に関する報告がいくつかなされている(例えば、The 50th Annual Congress of Japan Clinical Ophthalmology, 1996、Arch Ophthalmol. vol. 120, 348−352, 2002、The 60th Annual Congress of Japan Clinical Ophthalmology, 2007、IOVS 2008 49 abstract 2185、IOVS 2009 50 abstract 989)。日本で緑内障・高眼圧症治療薬として製造販売承認を取得しているレスキュラ(登録商標)点眼液は、活性成分としてイソプロピルウノプロストンを0.12重量%含み、用法・用量は、「1回1滴、1日2回点眼」である。これまでに行われた日本での網膜色素変性の患者に対する臨床的研究はいずれもレスキュラ(登録商標)点眼液0.12重量%の緑内障・高眼圧症治療薬の適応である1回1滴、1日2回点眼の用法・用量に基づいて実施されている。また、いずれの臨床的研究もプラセボ点眼液を対照とした試験ではないため、イソプロピルウノプロストンの網膜色素変性の患者に対する明確な有効性は評価されていない。上記の本明細書に記載の文献は、引用により本明細書中に包含される。
眼疾患に対しては薬剤を点眼投与するのが最も一般的であるが、点眼投与では網膜等の眼底組織へは薬剤がほとんど移行せず、移行しても組織中の薬剤濃度を持続させるのは極めて困難といわれており、眼底組織に薬剤を送達するために、硝子体注射やテノンのう下注射などが試みられている(US20060286173A、引用により本明細書中に包含させる)のが現状である。
発明の開示
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、網膜疾患の処置のための新規な方法および脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物の使用を提供するものである。さらに本発明の目的は、視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能あるいは患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を改善するための新規な方法および脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物の使用を提供するものである。
発明の概要
本発明者らは、60μg以上のイソプロピルウノプロストンを投与したとき、例えば1回1滴、1日2回点眼の変わりに、1回2滴、1日2回のレスキュラ(登録商標)を点眼したとき(すなわち、12μg/ml、35μl/滴または15μg/ml 22μl/滴の何れか)、神経保護効果が見られることを発見した。下記の実施例1に記載の通り、イソプロピルウノプロストンの増加用量の送達は、より増大した網膜感度ならびにAUCの増大を供する。この増加用量は、改善された投与期間;AUCの増大;前部(例えば、表面および前房)、中間部および後部(すなわち、網膜脈絡膜)を含む、眼中または眼の周囲のイソプロピルウノプロストンの量の増大および/または改善された分布;Cmaxの増大;Cminの増大;ならびに、眼の液体(例えば、水性体液、血液、間質性体液、硝子体液および細胞内液体)中の濃度の増大および/または改善された分布の1つまたはそれ以上を含む、既存剤形の効果的な薬物動態または薬理学的動態を増大させる。
網膜変性疾患および網膜疾患の処置に関して、典型的に公知の指標は、結果と効果がある点までのみ改善し得るような”U”形応答曲線を有し、その点以降、応答および効果は減少し、しばしば神経毒作用を有し得る。例えば、一酸化窒素(“NO”)は、低用量で神経伝達および血管拡張において有益な作用を有するが、より高濃度で、脳卒中、脱髄および他の神経変性疾患の病因と関係する(R.N. Saha and K. Pahan, Antioxidants & Redox signaling , Vol. 8, No. 5 & 6, 929 (2006))。同様に、眼疾患の処置に使用される多くのNMDA受容体アンタゴニストは、より高用量で神経毒性を引き起こす(Wlaz et al., Eur. J. Neurosci. 1994; 6:1710−1719)。
驚くことに、本発明者らは、イソプロピルウノプロストンの有効用量を増大することにより、神経機能の保存を提供する神経保護作用が見られることを見出した。故に、細胞機能、細胞神経保護、細胞の生存、細胞への栄養供給、細胞への酸素供給、細胞の老廃物の排出(例えば、網膜から脈絡膜へ)、眼圧の低下、水性体液流出機能(それによる、低い眼内液量)ならびに血液および水性体液脈管流動電位の1つ又はそれ以上の改善が、見られる。この増大した投与量は、特に、緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)および色素性網膜炎などの神経変性性眼疾患の処置に有用である。
本発明は、脂肪酸誘導体を用いる網膜疾患の新規処置法および脂肪酸誘導体を含む医薬組成物の新規使用に関する。特に、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の方法および眼科用組成物の使用に関する。
本発明はさらに、網膜感度および視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)に基づいて網膜疾患を評価し得るプログラムおよびシステムを提供する。
本発明は以下のことを提供する:
(1) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、患者に対して少なくとも1日2回点眼することを特徴とする、網膜疾患患者の処置のための脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物。
(2) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンである、(1)の眼科用組成物。
(3) 眼科用組成物中のイソプロピルウノプロストンの濃度が0.15%である、(2)の眼科用組成物。
(4) 網膜疾患が、中心性網脈絡膜症、中心性網脈絡膜炎、高血圧性網膜症、加齢性黄斑変性、動脈硬化性網膜症、腎性網膜症、糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、黄斑浮腫、網膜色素変性、未熟児網膜症、貧血性網膜症、白血病性網膜症、外傷による網脈絡膜障害、視神経炎、乳頭網膜炎、乳頭炎、クモ膜炎、脊髄炎、眼の血管新生または視神経委縮である、(1)の眼科用組成物。
(5) 網膜疾患が網膜色素変性である、(4)の眼科用組成物。
(6) 1眼あたり少なくとも1回2滴の脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物を患者に対して少なくとも1日2回点眼することを含む、網膜疾患を処置する方法。
(7) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、患者に対して少なくとも1日2回点眼することを特徴とする、網膜疾患を処置するための眼科用組成物の製造のための、脂肪酸誘導体の使用。
(8) 脂肪酸誘導体を活性成分として含有する桿体機能および/または錐体機能を改善するための眼科用組成物。
(9) 桿体機能および/または錐体機能が網膜感度で示されるものである、(8)の眼科用組成物。
(10) 網膜感度が微小視野検査(MP−1)中心2度による網膜感度である、(9)の眼科用組成物。
(11) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、患者に対して少なくとも1日2回点眼することを特徴とする、桿体機能および/または錐体機能を改善するための脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物。
(12) 脂肪酸誘導体を活性成分として含有する、視細胞機能を改善するための眼科用組成物。
(13) 視細胞機能が網膜感度で示されるものである、(12)の眼科用組成物。
(14) 網膜感度がハンフリー視野検査(SITA−Standard プログラム中心10−2)を用いて測定される、(13)の眼科用組成物。
(15) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、患者に対して少なくとも1日2回点眼することを特徴とする、視細胞機能を改善するための脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物。
(16) 脂肪酸誘導体を活性成分として含有する、視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を改善するための眼科用組成物。
(17) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」を尺度として測定される、(16)の眼科用組成物。
(18) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、NEI VFQ−25の下位尺度である「見え方による社会生活機能(Social function: SF)」で測定される、(17)の眼科用組成物。
(19) 対象が網膜疾患患者である、(16)の眼科用組成物。
(20) 網膜疾患が網膜色素変性である、(19)の眼科用組成物。
(21) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、患者に対して少なくとも1日2回点眼することを特徴とする、視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を改善するための脂肪酸誘導体を含む眼科用組成物。
(22) 網膜感度がハンフリー視野検査による中心2度の網膜感度である、(14)の眼科用組成物。
(23) 活性成分として脂肪酸誘導体を含み、さらにホウ酸および/またはその塩を含む、網膜疾患を処置するための(1)の眼科用組成物。
(24) 活性成分として脂肪酸誘導体を含み、さらにエデト酸および/またはその塩を含む、網膜疾患を処置するための(1)の眼科用組成物。
(25) 活性成分として脂肪酸誘導体を含み、さらに多糖類を含む、網膜疾患を処置するための(1)の眼科用組成物。
(26) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、患者に対して少なくとも1日2回点眼することを特徴とする、視細胞機能を改善する化合物を含む、網膜疾患を処置するための眼科用組成物。
(27) 有効量のイソプロピルウノプロストンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者における網膜疾患の処置のための眼局所投与用投与単位(dosage unit)であって、1日1眼あたり少なくとも3滴の投与単位が投与される、投与単位。
(28) イソプロピルウノプロストン濃度が少なくとも0.15重量%である、(27)の投与単位。
(29) 1眼あたり少なくとも1日4滴の投与単位が患者に点眼される、(27)の投与単位。
(30) 1眼あたり少なくとも1回2滴の投与単位が、患者に対して1日2回点眼される、(27)の投与単位。
(31) 投与単位が、塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない、(27)の投与単位。
(32) 投与単位が、単回使用のための滅菌単位用量型(sterile unit dose)として製剤化される、(27)の投与単位。
(33) 網膜疾患が網膜色素変性である、(27)の投与単位。

(34) 有効量のイソプロピルウノプロストンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者における視細胞機能を改善するための眼局所投与用投与単位であって、1日1眼あたり少なくとも3滴の投与単位が投与される、投与単位。
(35) 有効量のイソプロピルウノプロストンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者における網膜変性の処置のための眼局所投与用投与単位であって、1日1眼あたり少なくとも約72μgのイソプロピルウノプロストンが点眼投与される、投与単位。
(36) イソプロピルウノプロストンが、1日1眼あたり少なくとも約90μg点眼投与される、(35)の投与単位。
(37) イソプロピルウノプロストンが、1日1眼あたり少なくとも約120μg点眼投与される、(35)の投与単位。
(38) イソプロピルウノプロストンが、1日1眼あたり少なくとも約180μg点眼投与される、(35)の投与単位。
(39) 投与単位が塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない、(35)の投与単位。
(40) 投与単位が、単回使用のための滅菌単位用量型(sterile unit dose)として製剤化される、(35)の投与単位。
(41) 網膜疾患が網膜色素変性である、(35)の投与単位。
(42) 有効量のイソプロピルウノプロストンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者における視細胞機能を改善するための眼局所投与用投与単位であって、1日1眼あたり少なくとも約72μgのイソプロピルウノプロストンが点眼投与される、投与単位。
(43) 1眼あたり少なくとも1日3滴の眼科用組成物が患者に点眼される、ヒト患者における網膜疾患の処置のための眼局所投与用眼科用組成物。
(44) 活性成分として(i)脂肪酸誘導体を含み、さらに(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む、(43)の眼科用組成物。
(45) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンである、(44)の眼科用組成物。
(46) イソプロピルウノプロストン濃度が少なくとも0.15重量%である、(45)の眼科用組成物。
(47) 少なくとも1日4滴の眼科用組成物が患者に点眼される、(43)の眼科用組成物。
(48) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物が、患者に対して1日2回点眼される、(43)の眼科用組成物。
(49) 1眼あたり少なくとも1回2滴(1滴点眼後に少なくとも5分の間隔を空ける)の眼科用組成物が、患者に対して少なくとも1日2回点眼される、(43)の眼科用組成物。
(50) 眼科用組成物が、塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない、(44)の眼科用組成物。
(51) 眼科用組成物が、単回使用のための滅菌単位用量型(sterile unit dose)として製剤化される、(43)の眼科用組成物。
(52) 網膜疾患が網膜色素変性である、(43)の眼科用組成物。
(53) 1眼あたり少なくとも1日3滴の眼科用組成物が患者に点眼される、ヒト患者における視細胞機能を改善するための眼局所投与用眼科用組成物。
(54) 網膜疾患の処置を要するヒト患者における網膜疾患の処置方法であって、1眼あたり少なくとも1日3滴の有効量の活性成分を含む眼科用組成物を眼局所投与することを含む、方法。
(55) 眼科用組成物が、活性成分として(i)脂肪酸誘導体を含み、さらに(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む、(54)の方法。
(56) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンである、(55)の方法。
(57) 眼科用組成物中のイソプロピルウノプロストン濃度が少なくとも0.15重量%である、(56)の方法。
(58) 1眼あたり少なくとも1日4滴の眼科用組成物が患者に点眼される、(54)の方法。
(59) 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物が、患者に対して1日2回点眼される、(54)の方法。
(60) 1眼あたり少なくとも1回2滴(1滴点眼後に少なくとも5分の間隔を空ける)の眼科用組成物が、患者に対して少なくとも1日2回点眼される、(54)の方法。
(61) 眼科用組成物が、塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない、(55)の方法。
(62) 眼科用組成物が、単回使用のための滅菌単位用量型として製剤化される、(54)の方法。
(63) 網膜疾患が網膜色素変性である、(54)の方法。
(64) 視細胞機能の改善を要するヒト患者における視細胞機能を改善するための方法であって、1眼あたり少なくとも1日3滴の有効量の活性成分を含む眼科用組成物を眼局所投与することを含む、方法。
(65) 網膜疾患の処置を要するヒト患者における網膜疾患の処置方法であって、1日1眼あたり少なくとも約72μgのイソプロピルウノプロストンが点眼投与される、(i)有効量のイソプロピルウノプロストンおよび(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む投与単位を患者に投与することを含む、方法。
(66) イソプロピルウノプロストンが、1日あたり少なくとも約90μg点眼投与される、(65)の方法。
(67) イソプロピルウノプロストンが、1日あたり少なくとも約120μg点眼投与される、(65)の方法。
(68) イソプロピルウノプロストンが、1日あたり少なくとも約180μg点眼投与される、(65)の方法。
(69) 投与単位が塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない、(65)の方法。
(70) 投与単位が、単回使用のための滅菌単位用量型として製剤化される、(65)の方法。
(71) 網膜疾患が網膜色素変性である、(65)の方法。
(72) 視細胞機能の改善を要するヒト患者における視細胞機能を改善するための方法であって、1日1眼あたり少なくとも約72μgのイソプロピルウノプロストンが点眼投与される、(i)有効量のイソプロピルウノプロストンおよび(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む投与単位を患者に投与することを含む、方法。
(73) ヒト眼底部への脂肪酸誘導体および薬学的に許容される担体を含む眼科用組成物の継続的供給法であって、それを必要とするヒト患者の眼底部に有効量の眼局所投与用眼科用組成物を投与することを含み、該方法は、日中の眼自律神経の機能を回復または維持する、方法。
(74) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(73)の方法。
(75) 角膜損傷を引き起こすことなくヒトの眼底への活性成分、脂肪酸誘導体および薬学的に許容される担体を含む眼科用組成物の継続的な供給法であって、それを必要とするヒト患者の眼底部に有効量の眼科用組成物を投与することを含み、該方法は、日中の眼自律神経の機能を回復または維持する、方法。
(76) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(75)の方法。
(77) イソプロピルウノプロストン濃度が少なくとも約0.18重量%である、(27)の投与単位。
(78) イソプロピルウノプロストン濃度が少なくとも約0.18重量%である、(45)の眼科用組成物。
(79) イソプロピルウノプロストン濃度が少なくとも約0.18重量%である、(56)の方法。
(80) 脂肪酸誘導体が少なくとも約0.18重量%の濃度でイソプロピルウノプロストンを含む、(74)および(76)のいずれかの方法。
(81) ヒト患者における網膜変性の処置のための眼局所投与用眼科用組成物であって、1回1眼あたり少なくとも2滴の該組成物が点眼される、眼科用組成物。
(82) ヒト患者における視細胞機能を改善するための眼局所投与用眼科用組成物であって、1回1眼あたり少なくとも2滴の該組成物が点眼される、眼科用組成物。
(83) 網膜疾患の処置を必要とするヒト患者における網膜疾患の処置方法であって、患者に1回1眼あたり少なくとも2滴の有効量の活性成分を含む眼局所投与用眼科用組成物を点眼することを含む、方法。
(84) 視細胞機能の改善を要するヒト患者における視細胞機能を改善するための方法であって、患者に1回1眼あたり少なくとも2滴の有効量の活性成分を含む眼局所投与用眼科用組成物を点眼することを含む、方法。
(85) 賦形剤が実質的に塩化ベンザルコニウムを含まない、(73)および(75)のいずれかの方法。
(86) 組成物が点眼液の形態である、(73)および(75)のいずれかの方法。
(87) 該点眼液が患者に対して1眼あたり少なくとも1日3滴投与される、(86)の方法。
(88) 該点眼液が患者に対して1眼あたり少なくとも1日4滴投与される、(86)の方法。
(89) 該点眼液が患者に対して1眼あたり少なくとも1回2滴、1日2回投与される、(86)記載の方法。
(90) 該点眼液が患者に対して1眼あたり少なくとも1回2滴(1滴点眼後に少なくとも5分の間隔を空ける)、1日2回投与される、(86)の方法。
(91) 眼科用組成物が眼軟膏剤である、(73)および(75)のいずれかの方法。
(92) 眼科用組成物が注射によって投与される、(73)および(75)のいずれかの方法。
(93) 眼科用組成物が眼用ポンプにより投与される、(73)および(75)のいずれかの方法。
(94) 眼科用組成物がコンタクトレンズの使用によって投与される、(73)および(75)のいずれかの方法。
(95) 網膜色素変性、糖尿病性網膜炎および糖尿病性網膜症のうち1つを処置する、(73)および(75)のいずれかの方法。
(96) 局所的投与工程が、セルロースレンズ、マイクロポンプ、結膜のポンプ、注射器、移植可能なデバイス、ゲルカプセル、パッチ等の少なくとも1つを使用することを含む、(73)および (75)のいずれかの方法。
(97) 眼科用組成物が、高粘性製剤およびゲル剤の少なくとも1つを含む、(73)および(75)のいずれかの方法。
(98) 眼科用組成物が、乳化剤、吸収促進剤および可塑剤(elasticizer)の少なくとも1つを含む、(73)および(75)のいずれかの方法。
(99) 眼科用組成物が、RPE細胞へのイソプロピルウノプロストンの継続的供給を提供する、(73)および(75)のいずれかの方法。
(100) 増加用量を送達する全ての方法における、目的組成物としてのイソプロピルウノプロストンを投与するための全ての製剤、使用、システムまたは装置。
(101) イソプロピルウノプロストンの増加用量の神経変性性眼疾患の処置を必要とする患者への投与。
(102) 神経変性性眼疾患の処置における、ヒト臨床試験で証明された許容される治療係数を有するエンドセリンアンタゴニストの使用。
(103) 神経変性性眼疾患の処置における、ヒト臨床試験で証明された許容される治療係数を有する微小血管循環強化剤(microvascular circulation enhancer)の使用。
(104) 神経変性性眼疾患の処置におけるヒト臨床試験で証明された許容される治療係数を有するBKチャネル調節剤の使用。
(105) 対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を診断および評価するための方法であって、ハンフリー視野検査により対象の網膜感度を決定すること、および決定された網膜感度に基づき網膜疾患の有無、重篤度または改善度を診断または評価することを含む、方法。
(106) 網膜感度が、眼底の中心視野のハンフリー視野検査により決定される、(105)の方法。
(107) 眼底の中心2度の網膜感度が決定される、(106)の方法。
(108) 対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を診断および評価するための方法であって、MP−1微小視野計により対象の眼底の中心視野の網膜感度を決定すること、および決定された網膜感度に基づき網膜疾患の有無、重篤度または改善度を診断または評価することを含む、方法。
(109) 眼底の中心2度の網膜感度が決定される、(108)の方法。
(110) 対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を診断および評価するための方法であって、対象の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を評価することを含む、方法。
(111) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」を尺度として測定される、(110)の方法。
(112) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、NEI VFQ−25の下位尺度である「見え方による社会生活機能(Social function: SF)」で評価される、(111)の方法。
(113) 対象が網膜疾患患者である、(110)の方法。
(114) 網膜疾患が網膜色素変性である、(105)−(113)のいずれかの方法。
(115) MP−1微小視野計および/またはハンフリー視野検査計により測定された対象の眼底の中心視野の網膜感度を測定情報としてコンピュータメモリに保存するためのプログラム命令;および
保存した測定情報を処理し、対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を評価するコンピュータの評価手段のためのプログラム命令
を含む、コンピュータで使用するためのプログラム。
(116) 測定情報が眼底の中心10度の網膜感度を含む、(115)のプログラム。
(117) 測定情報が眼底の中心2度の網膜感度を含む、(115)のプログラム。
(118) 評価情報として対象の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を保存するための手段、および
保存した評価情報を処理し、対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を評価するための手段
として機能するコンピュータ用プログラム。
(119) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」を尺度として測定される、(118)のプログラム。
(120) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、NEI VFQ−25の下位尺度である「見え方による社会生活機能(Social function: SF)」で評価される、(118)のプログラム。
(121) 対象が網膜疾患患者である、(118)のプログラム。
(122) 網膜疾患が網膜色素変性である、(115)−(121)のいずれかのプログラム。
(123) 対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を診断および評価するためのシステムであって、
MP−1微小視野計および/またはハンフリー視野検査計により測定される対象の眼底の中心視野の網膜感度を測定情報として保存する手段、および
保存した評価情報を処理し、対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を評価するための手段
を含む、システム。
(124) 測定情報が眼底中心10度の網膜感度を含む、(123)のシステム。
(125) 測定情報が眼底中心2度の網膜感度を含む、(123)のシステム。
(126) 対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を診断および評価するためのシステムであって、
対象の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を評価情報として保存する手段、および
保存した評価情報を処理し、対象における網膜疾患の有無、重篤度、または改善度を評価するための手段
を含む、システム。
(127) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」を尺度として測定される、(126)のシステム。
(128) 視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が、NEI VFQ−25の下位尺度である「見え方による社会生活機能(Social function: SF)」で評価される、(127)のシステム。
(129) 対象が網膜疾患患者である、(126)のシステム。
(130) 網膜疾患が網膜色素変性である、(123)−(129)のいずれかのシステム。
(131) 脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸代謝産物の血漿濃度が1ng/mlまたはそれ以上であるように患者に投与される、患者における網膜疾患を処置するための脂肪酸誘導体を含む医薬組成物。
(132) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンである、(131)の医薬組成物。
(133) 脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸代謝産物の血漿濃度が1ng/mlまたはそれ以上であるように患者に脂肪酸誘導体を含む医薬組成物を投与することを含む、患者における網膜疾患の処置法。
(134) 医薬組成物が、脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸代謝産物の血漿濃度が1ng/mlまたはそれ以上であるように患者に投与されることを特徴とする、患者における網膜疾患の処置のための医薬組成物の製造のための脂肪酸誘導体の使用。
(135) 脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸代謝産物の血漿濃度が1ng/mlまたはそれ以上であるように患者に投与される、患者における視細胞機能を改善するための脂肪酸誘導体を含む医薬組成物。
(136) ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により眼の中心視野の温度を検出または測定する工程を含む、対象における眼の血流量を検出または測定する方法。
(137) ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により測定される眼の中心視野が中心2度の領域である、(136)の方法。
(138) ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により測定される眼の中心視野が、中心2度の4点のうちの少なくとも1点である、(136)の方法。
(139) 眼の血流量が眼底血流量である、(136)の方法。
(140) 眼底血流量が網膜血流量または脈絡膜血流量である、(139)の方法。
(141) 対象においてハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により測定される眼の中心視野における熱力学的変化を生じる試験化合物の効果を評価する方法であって、
(i) 赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により対象の眼の中心部の第一温度を検出または測定し、
(ii) 試験化合物を含む組成物を該対象に投与し、
(iii) 赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により対象の眼の中心視野の第二温度を検出または測定し、
(iv) 第一および第二温度を比較し、そして
(v) 第二温度が第一温度より高いとき、該試験化合物が網膜変性の処置に有効であると評価する(第一温度は、工程(ii)および(iii)の前および/または後に測定され得る)
を含む、方法。
(142) 赤外線サーモグラフィーが赤外線イメージングサーモグラフィーである、(141)の方法。
(143) ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により測定される眼の中心視野が中心2度の領域である、(141)の方法。
(144) ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により測定される眼の中心視野が、中心2度の4点のうちの少なくとも1点である、(141)の方法。
(145) 網膜疾患の処置のための試験化合物の有効性を評価する方法であって、
(i) 赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により対象の眼の中心部の第一温度を検出または測定し、
(ii) 試験化合物を含む組成物を該対象に投与し、
(iii) 赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により対象の眼の中心視野の第二温度を検出または測定し、
(iv) 第一および第二温度を比較し、そして
(v) 第二温度が第一温度より高いとき、該試験化合物が網膜変性の処置に有効であると評価する(第一温度は、工程(ii)および(iii)の前および/または後に測定され得る)
を含む、方法。
(146) 有効量の脂肪酸誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む眼科用組成物をそれを必要とするヒト患者に局所投与することを含む、視細胞機能を改善するための方法であって、有効量の眼科用組成物が、眼底部への脂肪酸誘導体の増強された透過または継続的供給を提供し、継続的供給が、1時間あたり3ng/g以上の眼底部におけるAUC値により特徴づけられる、方法。
(147) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(146)の方法。
(148) AUC値が、2滴の0.12重量% イソプロピルウノプロストン(BID)の投与によるAUC値以上である、(146)の方法。
(149) AUC値が、72μg未満のイソプロピルウノプロストンの24時間投与によるAUC値以上である、(146)の方法。
(150) 有効量の脂肪酸誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む眼科用組成物をそれを必要とするヒト患者に局所投与することを含む、視細胞機能を改善するための方法であって、眼科用組成物が眼底部への脂肪酸誘導体の継続的供給を提供し、継続的供給が、1時間以上のt1/2値により特徴づけられる、方法。
(151) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(150)の方法。
(152) t1/2値が、2滴の0.12重量% イソプロピルウノプロストンの投与(BID)によるt1/2値以上である、(151)の方法。
(153) t1/2値が、72μg未満のイソプロピルウノプロストンの24時間投与によるt1/2値以上である、(151)の方法。
(154) 有効量の脂肪酸誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む眼科用組成物をそれを必要とするヒト患者に局所投与することを含む、視細胞機能を改善するための方法であって、眼科用組成物が眼底部への脂肪酸誘導体の継続的供給を提供し、継続的供給が、2ng/g以上のCmax値により特徴づけられる、方法。
(155) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(154)の方法。
(156) Cmax値が、2滴の0.12重量% イソプロピルウノプロストンの投与(BID)によるCmax値以上である、(155)の方法。
(157) Cmax値が、72μg未満のイソプロピルウノプロストンの24時間投与によるCmax値以上である、(155)の方法。
(158) 有効量の脂肪酸誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む継続的供給の可能な眼科用組成物であって、該組成物が、それを必要とする患者に投与されるとき、眼底部への脂肪酸誘導体の継続的供給を提供し得て、継続的供給が、1時間あたり3ng/g以上のAUC値により特徴づけられる、眼科用組成物。
(159) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(158)の眼科用組成物。
(160) 継続的供給が、2滴の0.12重量% イソプロピルウノプロストンの投与(BID)によるAUC値以上のAUC値により特徴付けられる、(159)の眼科用組成物。
(161) 継続的供給が、72μg未満のイソプロピルウノプロストンの24時間投与によるAUC値以上のAUC値により特徴付けられる、(159)の眼科用組成物。
(162) 眼科用組成物が高粘性剤として製剤される、(158)の眼科用組成物。
(163) 眼科用組成物が、乳化剤、吸収促進剤および可塑剤の少なくとも1つをさらに含む、(158)の眼科用組成物。
(164) 有効量の脂肪酸誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む継続的供給の可能な眼科用組成物であって、該組成物が、それを必要とする患者に投与されるとき、眼底部への脂肪酸誘導体の継続的供給を提供し得て、継続的供給が、1時間以上のt1/2値により特徴づけられる、眼科用組成物。
(165) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(164)の眼科用組成物。
(166) 継続的供給が、2滴の0.12重量% イソプロピルウノプロストン(BID)の投与によるt1/2値以上のt1/2値により特徴づけられる、(165)の眼科用組成物。
(167) 継続的供給が、72μg未満のイソプロピルウノプロストンの24時間投与によるt1/2値以上のt1/2値により特徴づけられる、(165)の眼科用組成物。
(168) 眼科用組成物が高粘性剤として製剤される、(164)の眼科用組成物。
(169) 眼科用組成物が、乳化剤、吸収促進剤および可塑剤の少なくとも1つをさらに含む、(164)の眼科用組成物。
(170) 有効量の脂肪酸誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む継続的供給の可能な眼科用組成物であって、該組成物が、それを必要とする患者に投与されるとき、眼底部への脂肪酸誘導体の継続的供給を提供し得て、継続的供給が、2ng/g以上のCmax値により特徴づけられる、眼科用組成物。
(171) 脂肪酸誘導体がイソプロピルウノプロストンを含む、(170)の眼科用組成物。
(172) 継続的供給が、2滴の0.12重量% イソプロピルウノプロストン(BID)の投与によるCmax値以上のCmax値により特徴づけられる、(171)の眼科用組成物。
(173) 継続的供給が、72μg未満のイソプロピルウノプロストンの24時間投与によるCmax値以上のCmax値により特徴づけられる、(171)の眼科用組成物。
(174) 眼科用組成物が高粘性剤として製剤される、(170)の眼科用組成物。
(175) 眼科用組成物が、乳化剤、吸収促進剤および可塑剤の少なくとも1つをさらに含む、(170)の眼科用組成物。
(176) 臨床試験研究で試験されたとおり、承認された剤形の1回1滴、1日2回点眼(“1滴BID点眼”)で送達または使用されるイソプロピルウノプロストンの薬物動態的活性量を超える量の、脈絡膜、網膜色素上皮または眼の神経保護の促進に好適な他の組織におけるイソプロピルウノプロストンの使用であって、上記の増加の何れかの面が、以下の因子:Cmax、Cmin、T1/2、AUCの何れか1つ以上の増加により測定され得て、かかる測定値の増加は、1滴BID点眼により達成される治療期間中のどの部分においても生じ得るか(イソプロピルウノプロストン量が、治療効果を達成するのに要されるCmin量を上回る用量の投与の間の期間に測定される通りである)、または単回用量、複数回用量もしくは投与の継続期間中に用量を放出することによる(例えば、継続的注入、マイクロパルス注入、経強膜イオン泳動投与または経強膜型または埋め込み型の継続的供給送達剤形もしくはデバイスからのイソプロピルウノプロストンの恒常的な溶出による)(以下で“増加用量”と称される上記の全て)、イソプロピルウノプロストンのより多量の投与により達成されるより長期の治療期間で生じ得る、使用。
(177) コンピュータで使用するためのコンピュータプログラムであって、
(i) 対象の眼の中心部の第一温度を記録する第一のメモリ手段のためのプログラム命令(第一温度が、赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により検出または測定される);
(ii) 対象の眼の中心部の第二温度を記録する第二のメモリ手段のためのプログラム命令(第二温度が、対象への試験化合物を含む組成物の投与後に、赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により決定または測定される);
(iii)第一と第二温度の相違を計測および記録する処理手段のためのプログラム命令;および
(iv)該相違に基づき眼の中心視野における熱力学的変化への試験化合物の効果を評価する処理手段のためのプログラム命令(ここで、第一温度の検出または測定が、第二温度の決定または測定の前および/または後に行われる)
を含む、プログラム。
(178) 試験化合物が、第二温度が第一温度より高いとき、網膜変性の処置に有効であると評価される、(177)のプログラム。
(179) 眼血流量への試験化合物の効果を評価するシステムであって、
(i) 対象の眼の中心部の第一温度を保存する手段(第一温度が、赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により検出または測定される);
(ii) 対象の眼の中心部の第二温度を保存する手段(第二温度が、対象への試験化合物を含む組成物の投与後に、赤外線サーモグラフィーを用いて、ハンフリー視野検査計またはMP−1微小視野計により決定または測定される);
(iii) 第一と第二温度の相違を計測および記録する手段;および
(iv) 該相違に基づき眼の中心視野における熱力学的変化への試験化合物の効果を評価する手段(ここで、第一温度の検出または測定(i)が、第二温度の決定または測定の前および/または後に行われる)
を含む、システム。
(180) 試験化合物が、第二温度が第一温度より高いとき、網膜変性の処置に有効であると評価される、(179)のシステム。
(181) コンピュータで使用するためのプログラムであって、
MP−1微小視野計および/またはハンフリー視野検査計により測定された対象の眼底の中心視野における網膜感度を測定情報として保存するコンピュータメモリのためのプログラム命令;および
保存された測定情報を処理し、対象における眼の血流量を評価するコンピュータ評価手段のためのプログラム命令
を含む、プログラム。
(182) 対象における眼の血流量を評価するシステムであって、
MP−1微小視野計および/またはハンフリー視野検査計により測定された対象の眼底の中心視野における網膜感度を測定情報として保存する手段;および
保存された測定情報を処理し、患者における眼の血流量を評価する手段
を含む、システム。
図面の簡単な説明
本発明は、詳細な説明および添付の図面から、より十分に理解され得る。
図1は、試験例1で観察された経時的なハンフリーMD値の変化(ハンフリーMD値の変化値[dB]の推移)を示す図である。図に示される“変化値”は、処置前に観察された値からの変化を示す。網膜色素変性を有する患者は、0.15% イソプロピルウノプロストン点眼液またはプラセボを1日2回点眼された。◆ 1回2滴群、■ 1回1滴群、および▲ プラセボ群。 図2は、24週処置後のVFQ−25下位尺度「見え方による社会生活機能」の変化値(VFQ−25下位尺度「見え方による社会生活機能」の変化値の群間比較(24週後))を示す図である。図に示される“変化値”は、処置前に測定された値からの変化を示す。 図3は、24週処置後のVFQ−25総合得点の変化(VFQ−25総合得点の変化値の群間比較(24週後))を示す図である。図に示される“変化値”は、処置前に測定された値からの変化を示す。 図4は、MP−1中心2度の網膜感度値(MP−1中心2度の網膜感度の変化値の推移)を示す図である。図に示される“変化値”は、処置前に測定された値からの変化を示す。 図5は、MP−1中心2度(4点)による網膜感度の平均変化値(MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度)を示す図である。図に示される“変化値”は、処置前に測定された値からの変化を示す。 図6は、本発明による網膜疾患の評価システムのブロック図である。 図7は、本発明の網膜疾患の評価のためのプログラムのフローチャートである。
本発明の詳細な説明
本発明で用いる脂肪酸誘導体がプロスタン酸骨格を有するとき、本発明で用いる該脂肪酸誘導体の命名に際しては、上記式(A)に示したプロスタン酸骨格の番号付けを用いる。
式(A)はC−20脂肪酸誘導体の基本骨格を示すが、本発明は炭素数がこれと同じものに限定されるものではない。式(A)において、脂肪酸誘導体の基本骨格を構成する炭素の番号はカルボン酸を1とし、5員環に向かって順に2〜7までをα鎖上の炭素に、8〜12までを該5員環の炭素に、13〜20までをω鎖上に付している。炭素数がα鎖上で減少するとき、2位から順次番号を抹消して命名する。炭素数がα鎖上で増加するとき、カルボキシル基(C−1)の代わりに2位において対応する置換基を有する置換化合物として命名する。同様に、炭素数がω鎖上で減少するとき、20位から順次番号を抹消して命名する。また、炭素数がω鎖上で増加するとき、21番目以後の炭素原子は置換基として命名する。化合物の立体配置に関しては、他に特記されない限り、上記式(A)の立体配置に従うものとする。
一般的に、PGD、PGEおよびPGFは、9位および/または11位にヒドロキシ基を有する脂肪酸誘導体を意味するが、本明細書では、9位および/または11位にヒドロキシ基以外の置換基を有するものも包含する。これらの化合物を、9−デオキシ−9−置換−脂肪酸誘導体または11−デオキシ−11−置換−脂肪酸誘導体と称する。なお、ヒドロキシ基の代わりに水素を有する脂肪酸誘導体は、単に9−あるいは11−デオキシ−脂肪酸誘導体と称する。
上記の通り、脂肪酸誘導体の命名はプロスタン酸骨格に基づいて行う。上記化合物が天然のPGと類似の部分構造を有する場合には、簡略化のため「PG」の略名を利用することがある。この場合、α鎖の炭素が2個延長された脂肪酸誘導体、すなわちα鎖の炭素数が9である脂肪酸誘導体は、2−デカルボキシ−2−(2−カルボキシエチル)−PG化合物と命名する。同様に、α鎖の炭素数が11である脂肪酸誘導体は、2−デカルボキシ−2−(4−カルボキシブチル)−PG化合物と命名する。さらに、ω鎖の炭素数が2個延長された脂肪酸誘導体、すなわちω鎖の炭素数が10である脂肪酸誘導体は、20−エチル−PG化合物と命名する。なお、これらの化合物は、IUPAC命名法に基づいて命名されることも可能である。
上記の脂肪酸誘導体の類縁体(置換化合物を含む)または誘導体の例には、上記脂肪酸誘導体のα鎖末端のカルボキシル基がエステル化された脂肪酸誘導体、α鎖が延長された脂肪酸誘導体、それらの生理学的に許容される塩、2−3位の炭素結合が2重結合または5−6位の炭素結合が3重結合を有する脂肪酸誘導体、3位、5位、6位、16位、17位、18位、19位および/または20位の炭素に置換基を有する脂肪酸誘導体、ならびに9および/または11位のヒドロキシ基の代りに低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を有する脂肪酸誘導体が包含される。
本発明において3位、17位、18位および/または19位の炭素の好ましい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、とりわけメチル基およびエチル基が挙げられる。16位の炭素の好ましい置換基としては、メチルおよびエチル等の低級アルキル、ヒドロキシ、塩素およびフッ素等のハロゲン原子、ならびにトリフルオロメチルフェノキシ等のアリールオキシが挙げられる。17位の炭素の好ましい置換基としては、メチルおよびエチル等の低級アルキル、ヒドロキシ、塩素およびフッ素等のハロゲン原子、ならびにトリフルオロメチルフェノキシ等のアリールオキシが挙げられる。20位の炭素の好ましい置換基としては、C1−4アルキルのような飽和または不飽和の低級アルキル基、C1−4アルコキシのような低級アルコキシ基、C1−4アルコキシ−C1−4アルキルのような低級アルコキシアルキルを含む。5位の好ましい置換基としては、塩素およびフッ素等のハロゲン原子を含む。6位の好ましい置換基としては、カルボニル基を形成するオキソ基を含む。9および/または11位にヒドロキシ基、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル置換基を有するPG類の立体配置は、α、βまたはそれらの混合物であり得る。
さらに、上記類縁体または誘導体は、ω鎖が天然のPG類より短い化合物のω鎖末端にアルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、フェノキシ基およびフェニル基等の置換基を有する化合物であってもよい。
本発明で用いる脂肪酸誘導体は式(I)で表される:
Figure 2016026182

[式中、L、MおよびNは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソであり、ここで、LおよびMの少なくとも一方は水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよく;
Aは、−CH、−CHOH、−COCHOH、−COOHまたはそれらの官能性誘導体であり;
Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−であり;
Zは、
Figure 2016026182

または単結合(ここで、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシ(低級)アルキルである。ただしRおよびRが同時にヒドロキシおよび低級アルコキシであることはない。)であり;
は、非置換であるか、またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールもしくはヘテロ環式基で置換された、飽和または不飽和の二価の低〜中級脂肪族炭化水素基であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよく;
Raは、非置換であるか、またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環式基もしくはヘテロ環式オキシ基で置換された、飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;シクロ(低級)アルキル;シクロ(低級)アルキルオキシ;アリール;アリールオキシ;ヘテロ環式基;または、ヘテロ環式オキシ基である]。
本発明で用いられる好ましい脂肪酸誘導体は式(II)で表される:
Figure 2016026182

[式中、LおよびMは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソであり、ここで、LおよびMの少なくとも一方は水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよく;
Aは、−CH3、−CHOH、−COCHOH、−COOHまたはそれらの官能性誘導体であり;
Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−であり;
Zは、
Figure 2016026182
または単結合(ここで、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシ(低級)アルキルである。ただしRおよびRが同時にヒドロキシおよび低級アルコキシであることはない。)であり;
およびXは、水素、低級アルキル、またはハロゲンであり;
は、非置換であるか、またはハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールもしくはヘテロ環式基で置換された、飽和または不飽和の二価の低〜中級脂肪族炭化水素基であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよく;
は、単結合または低級アルキレンであり;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環式基またはヘテロ環式オキシ基である]。
上記式中、RおよびRaの定義における「不飽和」の語は、主鎖および/または側鎖の炭素原子間の結合として、1つまたはそれ以上の二重結合および/または三重結合を孤立、分離または連続して含むことを意味する。常用の命名法に従って、連続する2つの位置間の不飽和結合は、若い方の位置番号を表示することにより示し、連続しない2つの位置間の不飽和結合は両方の位置番号を表示して示す。
「低〜中級脂肪族炭化水素」の語は、炭素原子数1〜14の直鎖または分枝鎖(ただし、側鎖は炭素原子数1〜3のものが好ましい)を有する炭化水素基を意味し、好ましくは炭素原子数1〜10、とりわけ1〜8の炭化水素基である。
「ハロゲン原子」の語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。
「低級」の語は、他に特記されない限り、炭素原子数1〜6を有する基を包含することを意図する。
「低級アルキル」の語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝状の飽和炭化水素基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
「低級アルキレン」の語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝状の二価の飽和炭化水素基を意味し、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t−ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンを含む。
「低級アルコキシ」の語は、低級アルキルが上記と同意義である低級アルキル−O−基を意味する。
「ヒドロキシ(低級)アルキル」の語は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された上記のような低級アルキルを意味し、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチルおよび1−メチル−1−ヒドロキシエチルが挙げられる。
「低級アルカノイルオキシ」の語は、式RCO−O−(ここで、RCO−は上記のような低級アルキル基が酸化されて生じるアシル基、例えばアセチルである)で示される基を意味する。
「シクロ(低級)アルキル」の語は、炭素原子3個以上を含む上記のような低級アルキル基が環化して形成される環式基を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを含む。
「シクロ(低級)アルキルオキシ」の語は、シクロ(低級)アルキルが上記と同意義であるシクロ(低級)アルキル−O−基を意味する。
「アリール」の語は、非置換であるか、または置換された芳香族炭化水素環基(好ましくは単環式基)を包含し、例えばフェニル、トリル、キシリルが例示される。置換基としては、ハロゲン原子およびハロ(低級)アルキル(ここで、ハロゲン原子および低級アルキルは上記のとおりである)が含まれる。
「アリールオキシ」の語は、式ArO−(式中、Arは上記のようなアリールである)で示される基を意味する。
「ヘテロ環式基」の語としては、置換されていてもよい炭素原子、ならびに窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1種または2種のヘテロ原子を1〜4個、好ましくは1〜3個含む、5〜14員環、好ましくは5〜10員環の、単環式〜3環式、好ましくは単環式のヘテロ環式基が含まれ得る。ヘテロ環式基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、2−ピロリニル基、ピロリジニル基、2−イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、2−ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、インドリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、プリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズイミダゾリニル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基などが例示される。この場合の置換基としてはハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基(ここで、ハロゲン原子および低級アルキル基は上記の通りである)が例示される。
「ヘテロ環式オキシ基」の語は、式HcO−(式中、Hcは上記のようなヘテロ環式基である)で示される基を意味する。
Aの「官能性誘導体」の語は、塩(好ましくは、医薬上許容し得る塩)、エーテル、エステルおよびアミド類を含む。
好適な「薬学的に許容される塩」としては、医薬分野で慣用される非毒性塩基との塩を含み、無機塩基との塩、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩;または有機塩基との塩、例えばアミン塩(例えばメチルアミン塩、ジメチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ベンジルアミン塩、ピペリジン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)エタン塩、モノメチル−モノエタノールアミン塩、プロカイン塩およびカフェイン塩等)、塩基性アミノ酸塩(例えば、アルギニン塩およびリジン塩等)、テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの塩類は、例えば対応する酸および塩基から常套の反応によって、または塩交換によって製造され得る。
エーテルの例としてはアルキルエーテル、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、t−ブチルエーテル、ペンチルエーテルおよび1−シクロプロピルエチルエーテル等の低級アルキルエーテル;オクチルエーテル、ジエチルヘキシルエーテル、ラウリルエーテル、セチルエーテル等の中級〜高級アルキルエーテル;オレイルエーテル、リノレニルエーテル等の不飽和エーテル;ビニルエーテル、アリルエーテル等の低級アルケニルエーテル;エチニルエーテル、プロピニルエーテル等の低級アルキニルエーテル;ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシイソプロピルエーテル等のヒドロキシ(低級)アルキルエーテル;メトキシメチルエーテル、1−メトキシエチルエーテル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエーテル;例えばフェニルエーテル、トシルエーテル、t−ブチルフェニルエーテル、サリチルエーテル、3,4−ジメトキシフェニルエーテル、ベンズアミドフェニルエーテル等の所望により置換されていてよいアリールエーテル;および、ベンジルエーテル、トリチルエーテル、ベンズヒドリルエーテル等のアリール(低級)アルキルエーテルが挙げられる。
エステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、1−シクロプロピルエチルエステル等の低級アルキルエステル;ビニルエステル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル;エチニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニルエステル;ヒドロキシエチルエステル等のヒドロキシ(低級)アルキルエステル;メトキシメチルエステル、1−メトキシエチルエステル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエステルのような脂肪族エステル;および、例えばフェニルエステル、トリルエステル、t−ブチルフェニルエステル、サリチルエステル、3,4−ジメトキシフェニルエステル、ベンズアミドフェニルエステル等の所望により置換されていてよいアリールエステル;ベンジルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステル等のアリール(低級)アルキルエステルが挙げられる。
Aのアミドは、式−CONR’R”(式中、R’およびR”はそれぞれ水素、低級アルキル、アリール、アルキル−またはアリール−スルホニル、低級アルケニルおよび低級アルキニルである)で示される基を意味し、例えばメチルアミド、エチルアミド、ジメチルアミド、ジエチルアミド等の低級アルキルアミド;アニリド、トルイジド等のアリールアミド;および、メチルスルホニルアミド、エチルスルホニルアミド、トリルスルホニルアミド等のアルキル−またはアリール−スルホニルアミドが挙げられる。
好ましいLおよびMの例は、水素、ヒドロキシ、オキソを含む。
好ましいAの例は、−COOH、その薬学的に許容される塩、エステルまたはアミドである。
好ましいXおよびXの例は、水素またはハロゲンであり、より好ましくは両方が水素あるいはフッ素であるものが挙げられる。
好ましいRは、炭素原子数1〜10の炭化水素残基であり、好ましくは炭素原子数6〜10の炭化水素残基である。さらに、脂肪族炭化水素における少なくとも1の炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよい。
の例としては、例えば、以下のものが挙げられる:
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−O−CH−、
−CH−CH=CH−CH−O−CH−、
−CH−C≡C−CH−O−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−CH−CH−、および
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−。
好ましいRaは、炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜8の炭化水素である。Raは1個の炭素原子をそれぞれ有する1または2個の側鎖を有していてもよい。
上記式(I)および(II)において環およびα−および/またはω−鎖の配置は、天然PG類の配置と同じであっても異なっていてもよい。しかしながら、本発明はまた、天然タイプの配置を有する化合物と非天然タイプの配置を有する化合物の混合物も包含する。
本発明において、13と14位の間の結合が単結合であり(13,14−ジヒドロ化合物)、15位がケト(=O)により置換されている化合物は、11位のヒドロキシと15位のケト間のへミアセタール形成により、ケト−ヘミアセタール平衡を生ずる場合がある。
例えば、XおよびXの両方がハロゲン原子、とりわけフッ素原子であるとき、化合物は互変異性体、二環式化合物を含むことが確認されている。
このような互変異性体が存在するとき、両互変異性体の存在比率は分子の他の部分の構造または存在する置換基の種類により変動する。場合によっては、一方の異性体が他方と比較して圧倒的に存在することもある。本発明の脂肪酸誘導体は、これら両者を含むものとする。
さらに、本発明で用いられる脂肪酸誘導体は、二環式化合物およびその類縁体または誘導体を含む。
二環式化合物は式(III)で表される:
Figure 2016026182
[式中、Aは、−CH3、−CHOH、−COCHOH、−COOH またはそれらの官能性誘導体であり;
’およびX’は、水素、低級アルキル、またはハロゲンであり;
Yは、
Figure 2016026182

(ここで、R’およびR’は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシ(低級)アルキルであり、R’およびR’は同時にヒドロキシおよび低級アルコキシであることはない)であり;
は、非置換であるか、またはハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールもしくはヘテロ環式基で置換された、飽和または不飽和の二価の低〜中級脂肪族炭化水素であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は、酸素、窒素または硫黄によって置換されていてもよく;
’は、非置換であるか、またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環式基またはヘテロ環式オキシ基で置換された、飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;シクロ(低級)アルキル;シクロ(低級)アルキルオキシ;アリール;アリールオキシ;ヘテロ環式基;ヘテロ環式オキシ基であり;
’は、水素、低級アルキル、シクロ(低級)アルキル、アリールまたはヘテロ環式基である]。
本発明の脂肪酸誘導体の典型例は、(Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−(3−オキソデシル)シクロペンチル]ヘプト−5−エン酸およびその誘導体または類縁体である。最も好ましい本発明の脂肪酸誘導体の例は、(+)−イソプロピル (Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−(3−オキソデシル)シクロペンチル]ヘプト−5−エノエート(以降、イソプロピルウノプロストンと称する)である。
本発明において、個々の互変異性体、その混合物、または光学異性体、その混合物、ラセミ混合物、およびその他の立体異性体のような異性体の全てを、同じ目的に用いることができる。
本発明で用いられる化合物のいくつかは、米国特許第5073569号、同第5166174号、同第5221763号、同第5212324号、同第5739161号および同第6242485号に記載の方法によって製造され得る(これら引用文献の開示内容は引用により本明細書に包含される)。
上記の脂肪酸誘導体は、網膜疾患の処置に有用である。本発明の化合物はまた、視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能の改善あるいは患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)の改善にも有用である。
エンドセリン・アンタゴニスト(ERA)は、エンドセリン受容体を阻害する化合物である。エンドセリンアンタゴニストとしては、エンドセリンA受容体に作用する選択的ETA受容体アンタゴニスト(すなわち、シタクスセンタン、アンブリセンタン、アトラセンタンおよびBQ−135);エンドセリンB受容体に作用する選択的ETB受容体アンタゴニスト、ならびに両受容体に作用する二重アンタゴニスト(すなわち、ボセンタン、テゾセンタン)が挙げられる。
BKチャネルモジュレーターは、Ca(2+)活性化K(+)チャネルを調節する化合物であり、内生BKチャネルモジュレーターおよび構造的類縁体、天然のBKチャネル阻害剤およびブロッカー、合成BKチャネル阻害剤およびブロッカー、天然のBKチャネル開口剤および構造的類縁体、ならびに合成BKチャネル開口剤が包含される。
本明細書で用いる「処置」または「処置する」なる用語は、予防、治療、症状の軽減、症状の減退、進行停止等を含むあらゆる状態の管理を意味する。
本明細書で用いる「許容される治療係数」は、ヒト臨床試験において実証された治療係数が包含される。
本発明において処置の対象となる網膜疾患には、中心性網脈絡膜症、中心性網脈絡膜炎、高血圧性網膜症、加齢性黄斑変性、動脈硬化性網膜症、腎性網膜症、糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、黄斑浮腫、網膜色素変性、未熟児網膜症、貧血性網膜症、白血病性網膜症、外傷による網膜/脈絡膜障害、視神経炎、乳頭網膜炎、乳頭炎、神経網膜炎、クモ膜炎、脊髄炎、視神経委縮(遺伝性視神経症(レーベル病を含む)、虚血性視神経症、突発性視神経症、緑内障性視神経症、外傷性視神経症、その他の視神経萎縮に伴う疾患を含む)、脈絡膜血管新生および網膜血管新生のような眼の血管新生、またはその他の眼底疾患が挙げられる。
「網膜色素変性」なる用語は、網膜に異常を来す遺伝性の網膜疾患群を意味する。網膜色素変性は、網膜の桿体細胞、錐体細胞および/または網膜色素上皮(RPE、網膜のすぐ外側の、脈絡膜に結合した色素上皮層)の異常が進行性の視力低下をもたらす網膜変性症の1つのタイプである。
本明細書で用いる「加齢黄斑変性症(AMD)」なる用語は、約50歳のような特定の年齢以上で個々に生じる黄斑変性症を意味する。1つの特定の態様において、ブルッフ膜のドルーセン化および/または肥厚化と関係がある。本発明の特定の態様において、暗順応は、AMDの1つの症状である。特定の態様において、該用語の範囲には、ソースビー眼底変性症のような他の変性症が包含される。
本発明において、脂肪酸誘導体は眼科用組成物として製剤化されてよく、患者に眼局所投与される。本発明の眼科用組成物は、点眼液、点眼剤および眼軟膏剤などの眼科の分野で用いられる眼局所投与のためのあらゆる投与量形態を含む。眼科用組成物は、当該技術分野で知られている常套手段に従って調製され得る。
点眼液または点眼剤は、活性成分を滅菌水溶液(例えば、食塩水および緩衝液)などの溶媒に溶解することによって、または使用時に溶解される粉末組成物を混合することによって調製される。眼軟膏剤は活性成分を基剤に混合することにより調製される。
浸透圧調節剤は眼科分野において通常用いられるいずれのものであってもよい。浸透圧調節剤の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、ホウ酸、ホウ砂(borax)、水酸化ナトリウム、塩酸、マンニトール、ソルビトール、グルコース、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、浸透圧調節化合物は、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコールおよび/またはグリセリンまたはプロピレングリコールのようなポリオールである。
本発明において脂肪酸誘導体の溶媒中の溶解度の改善のために、界面活性化剤などの可溶化剤を用いることができる。本発明に用いる界面活性剤としては、その目的を達成する限り限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤が好適である。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール[プルロニックF68]、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール[プルロニックP123]などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリオキシエチレン40モノステアレートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ならびに、ポリオキシル10オレイルエーテル(ブリジ97)およびポリオキシル20オレイルエーテル(ブリジ98)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン40モノステアレート、ポリオキシル10オレイルエーテルなどが挙げられ、これらの非イオン性界面活性剤はそれぞれ単独で、または2種以上を併せて使用され得る。
いくつかの態様において、脂肪酸誘導体製剤は、好ましくは、高粘性製剤である。本明細書で用いる「高粘性製剤」とは、該製剤の粘性が少なくとも100センチポアズであることを意味する。より好ましくは、粘性は、少なくとも500センチポアズまたは少なくとも1000センチポアズである。高粘性製剤の例としては、ゲル剤および軟膏剤が挙げられる。高粘性をもたらすのを助ける成分には、増粘剤、ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、アクリル酸由来のサブユニットを含む架橋ポリマー、ポリアクリル酸、セルロース誘導体、ポリカルボフィル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デキストリン、ポリサッカライド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートならびにそれらの誘導体、混合物およびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、眼科分野において常用される添加剤を所望により本発明の組成物に添加してもよい。かかる添加剤としては、緩衝剤 (例えば、ホウ酸、ホウ砂(borax)、リン酸一水素ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム、エデト酸ナトリウム)、防腐剤 (例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびクロロブタノール)、増粘剤 (例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、グアーガム、ゲランガム、キサンタンガムおよびアルギン酸ナトリウムなどの多糖類;メチルセルロース、メチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースポリマー類;ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーおよび架橋ポリアクリル酸)が挙げられる。
眼軟膏剤の調製において、上記添加剤の他に、組成物は常用される眼軟膏基剤を含んでいてもよい。かかる眼軟膏基剤としては、油性基剤、例えば、ワセリン、液体パラフィン、ポリエチレン、セレン50、プラスチベース、マクロゴールまたはそれらの組合せ;界面活性剤により乳化された油性相と水性相を有する乳濁基剤;ならびに、水溶性基剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いる用語「投与単位形態」および「投与量形態」は、薬剤投与のための単一形態(single entity)を意味する。一態様において、本発明の組成物は、防腐剤を含まないか、または防腐剤を実質的に含まない滅菌単位用量型(sterile unit dose)として製剤され得る。該単位投与量形態は、1日あたり1回、2回、3回、4回またはそれ以上投与されてよい。眼局所投与製剤を用いるとき、各回あたり1滴、2滴、3滴、4滴またはそれ以上を点眼してよい。一態様において、点眼液は、少なくとも1日3滴投与される。他の態様において、点眼液は、少なくとも1日4滴投与される。他の態様において、点眼液は、1回2滴、1日2回投与される。さらに他の態様において、点眼液は、1回2滴(第1滴点眼と第2滴点眼の間を少なくとも5分あける)、1日2回投与される。
一態様において、組成物は、コンタクトレンズ、セルロースレンズ、マイクロポンプ、結膜ポンプ、移植可能デバイス、ゲル、カプセル、パッチなどにより、眼科用注射ポンプにより投与される。
本発明で用いられる脂肪酸誘導体の濃度は、使用する化合物、対象の種類、年齢、体重、処置されるべき症状、所望の治療効果、用量、処置期間等により異なり、適宜適切な濃度が選択され得る。
本発明において、イソプロピルウノプロストンを用いる場合の化合物の濃度は0.12重量%以上、好ましくは0.15重量%以上である。上限濃度は特に限定的ではないが、10重量%程度とすればよい。
いくつかの態様において、局部または局所投与とは、ブルッフ膜、強膜、網膜、網膜色素上皮、脈絡膜、黄斑、硝子体、前房/後房および/または網膜下腔を含むが、これらに限定されない、眼の部分への脂肪酸誘導体の投与である。
脂肪酸誘導体は継続的に投与され得る。従って、眼への有効量の脂肪酸誘導体の継続的供給が提供される。
本発明に用いられる眼科用組成物の投与用法は、使用する化合物、動物またはヒト等のような対象の種類、年齢、体重、処置されるべき症状、所望の治療効果、処置期間等により異なる。点眼液または点眼剤の場合は少なくとも1日3滴以上の点眼投与とすればよい。投与時期は、一定間隔(例えば5時間ごと)を空けて投与してもよく、連続して投与することもできる。連続して投与する場合は、1滴点眼後に少なくとも5分の間隔をあけた後、次の1滴点眼を行うことが好ましい。好ましい用法例としては、少なくとも1日4滴以上の点眼投与が挙げられる。また、1回2滴以上、1日2回以上を点眼投与することもできる。この用法例において、第1滴点眼の5分後に第2滴点眼を行う。滴数がさらに増加する場合は5分ごとに1滴点眼を行うこともできる。1日あたりの点眼回数は2回から12回程度、1回あたりの点眼滴数は2滴から12滴程度である。
本発明に用いられる眼科用組成物の1滴容量は、少なくとも約20μL以上あればよく、好ましくは約30μL以上であり、通常、約20〜約50μL程度、好ましくは約30〜約40μL程度である。イソプロピルウノプロストン(0.12重量%)の点眼液または点眼剤を1滴約20μL用いた場合は、本発明の目的達成に必要な1滴あたりの化合物量は約24μg以上となる。1日3滴の場合は1日あたり約72μg、1日4滴の場合は1日あたり約96μg点眼投与されることが必要となる。また、イソプロピルウノプロストン(0.15重量%)の点眼液または点眼剤を1滴約20μL用いた場合は、1滴あたりの化合物量は約30μg以上となる。1日3滴の場合は1日あたり約90μg、1日4滴の場合は1日あたり約120μg点眼投与されることになる。1滴約30μL用いた場合は、1滴あたりの化合物量は約45μg以上となる。1日3滴の場合は1日あたり約135μg、1日4滴の場合は1日あたり約180μg点眼投与されることになる。
本明細書で用いる用語「約」は、30%まで、好ましくは20%まで、より好ましくは10%までの誤差を意味し得る。
本発明の目的を達成するためには、イソプロピルウノプロストンに代表される脂肪酸誘導体の緑内障適応に基づく用量に比較して、1日1眼あたりに投与される点眼液または点眼剤そのものの用量も増加することになる。故に、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤による副作用の問題を解決するために、本発明においては塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない眼科用組成物であることが好ましい。
本明細書において、「実質的に塩化ベンザルコニウムを含まない」および「実質的に塩化ベンザルコニウムを含まない」の語は両方とも、眼科用組成物が塩化ベンザルコニウムを含まないか、該組成物が含む塩化ベンザルコニウムが一定濃度以下であることを意味する。本発明において、眼科用組成物の塩化ベンザルコニウム濃度は、0.01重量%未満、好ましくは0.005重量%以下、より好ましくは0.003重量%以下である。また、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤を含まない滅菌単位用量型(例えば1日使いきりタイプあるいはシングルユニットドーズタイプ)は、本発明の好適な手段の1つである。
一般に、点眼投与では網膜等の眼底組織へは薬剤がほとんど移行せず、移行しても組織中の薬剤濃度を持続させるのは極めて困難と考えられている。しかしながら、本発明においてイソプロピルウノプロストンを代表とする脂肪酸誘導体の1日あたりの用量を増加することで点眼などの眼局所投与でも網膜疾患の処置に有意な効果をもたらすことは、予想され得ない結果と言える。
いくつかの態様において、局部または局所投与とは、ブルッフ膜、強膜、網膜、網膜色素上皮、脈絡膜、黄斑、硝子体、前房/後房および/または網膜下腔を含むが、これらに限定されない、眼の部分への脂肪酸誘導体の投与である。
脂肪酸誘導体は、継続的供給により投与され得る。従って、眼への有効量の脂肪酸誘導体の継続的供給が提供される。
イソプロピルウノプロストンの増加用量は、神経保護効果を有することが示されている。故に、イソプロピルウノプロストンには、神経変性性眼疾患の処置に有用である。用語「神経変性性眼疾患」とは、例えば、緑内障(全てのタイプ)、スターガルト病、滲出型および萎縮型の両方を含む加齢黄斑変性症(AMD)、ならびに網膜色素変性が挙げられる。
従って、本発明のいくつかの態様は、神経保護の促進に好適な脈絡膜、網膜色素上皮または他の組織における脂肪酸誘導体の使用に関する。
量は、レスキュラ(登録商標)の1回1滴、1日2回点眼で送達・使用される脂肪酸誘導体の薬理学的に活性な量を超えてよい。量は、Cmax、Cmin、T1/2、AUCまたは眼の周囲の容量もしくは眼の液体(すなわち、水性の体液、血液、間質性体液、硝子体液および細胞内液体)中の濃度の増大のような他の測定値のいずれか1つにより特徴付けられる供給の増加となるのに十分である。測定値の増加は、レスキュラ(登録商標)の1滴BID点眼により達成される治療期間中のどの部分においても生じ得る(例えば、プロスタグランジンの量が、治療効果が達成されるのに必要なCminを上回る点眼投与の間の期間で測定される通りである)。さらに、本発明は、治療期間が、より長くてもよく、単回用量で、複数回用量により、または投与の継続期間中に用量を放出することによる(例えば、継続的注入によるか、マイクロパルス注入によるか、経強膜的ピロカルピンイオン導入によるか、または経強膜型または埋め込み型の継続的供給送達製剤またはデバイスからのプロスタグランジンの恒常的な溶出による)、イソプロピルウノプロストンのようなプロスタグランジンの増加量の投与によって達成され得ることを提供する。
いくつかの態様において、増加用量(例えば、少なくとも72μg)のイソプロピルウノプロストンが、Cmax、Cmin、T1/2、AUCのいずれか1つにより特徴付けられる通り、眼底への送達の増加により測定され得る。他の態様において、イソプロピルウノプロストンの増加用量は、Cmax、Cmin、T1/2、AUC、眼中または眼の周囲(例えば、表面および前房を含む前部、網膜脈絡膜を含む中間部および後部)のイソプロピルウノプロストン容量または分布;ならびに、眼の液体(すなわち、水性の体液、血液、間質性体液、硝子体液および細胞内液体)中の濃度および分布のいずれか1つにより特徴付けられる通り、眼底への送達の増加により測定され得る。
脈絡膜血流量の増加は、例えば、Reitsamer et alら(Invest Ophthalmol Vis Sci. 2009; 50:2301−7)(引用によりその開示内容全体を本明細書に包含させる)に記載のとおりに測定され得る。硝子体液量は、例えば、蛍光光度計または示差蛍光光度計により測定され得て、例えばフルオロフォア崩壊により測定され得る。水性液体量測定は、例えば、蛍光光度計により測定され得る。
脂肪酸誘導体を用いたこれまでの網膜色素変性などの網膜疾患に対する臨床的研究は、プラセボ点眼液を対照とした試験は全く行われていない。本発明によって初めて、イソプロピルウノプロストンに代表される脂肪酸誘導体そのものの効果として、網膜疾患患者における視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能あるいは患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を改善する明確な有効性がみとめられたものである。
本発明において、微小視野検査(MP−1)中心部、例えば中心10度(24点)、特に微小視野検査(MP−1)中心3度(12点)、好ましくは微小視野検査(MP−1)中心2度(4点)による網膜感度を測定することによって、網膜疾患患者における視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能を短期間で評価することが可能となり、網膜感度の測定により網膜疾患の有無、重篤度、改善度を診断ならびに評価することも可能となる。
本発明において、網膜疾患患者における視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能を評価するには不十分と考えられ、長期間(3〜5年程度)にわたる評価が必要と考えられていたハンフリー視野検査による網膜感度を測定することによって網膜疾患患者における視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能を評価することが可能となり、網膜感度の測定により網膜疾患の有無、重篤度、改善度を診断ならびに評価することも可能となる。特にハンフリー視野検査中心10−2(中心20度(64点))網膜感度(MD値)を用いることにより、短期間(例えば、4週間)で網膜疾患患者における視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能を評価することが可能となる。
さらに、本発明において、微小視野検査(MP−1)中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)による網膜感度と、ハンフリー視野検査中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)による網膜感度が相関することが明らかとなり、ハンフリー視野検査中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)による網膜感度を評価することによって、網膜疾患患者における視細胞(桿体細胞および錐体細胞)機能を短期間で評価することが可能となり、網膜感度の測定により網膜疾患の有無、重篤度、改善度を診断ならびに評価することも可能となる。網膜感度は、脂肪酸誘導体を投与後かつ処置開始後の任意の時間に測定されてよい。一態様において、網膜感度は4週後に測定される。一態様において、網膜感度は処置の8週後、12週後、24週後またはそれ以上後に測定される。
眼表面の温度と、緑内障のような眼底疾患または症状の有無ならびに重篤度が相関することが報告されている(Br. J. Ophthalmol. 2007; 91: 878−881、引用によりその開示内容全体を本明細書に包含させる)。すなわち、患者における網膜疾患の存在または網膜疾患の重篤度の悪化は、眼表面の温度の低下をもたらす。眼表面の温度は、赤外検出器を備えるサーモグラフィーを用いて測定され得る。測定は、1日を通して眼表面の温度(OST)の増加による数値の偏りを避けるために毎日同じ時刻に行う。好ましくは、各試験前に、室温、湿度および気流を記録して行い、比較的一定の環境パラメーターであることを確認する。この方法の一例において、対象は、3−5秒間、目を閉じ、その後、両目を大きく開けて測定されることを要する。OST測定は20秒続き、データを毎秒記録し、開眼時および開眼後20秒目(それぞれフレーム0および109)でのみ測定したサーモグラムを統計的に分析して評価する。角膜の中心部を水平に通過する線を横切る5つの解剖学的ポイントの温度を記録する:内眼角(ポイント1)、内眼角と鼻音縁の中間(ポイント2)、角膜の中心部(ポイント3)、側角膜縁と外眼角の中間(ポイント4)および外眼角(ポイント5)。試験群およびバックグラウンド群から得られる値を比較するのに、対応のないデータのスチューデントt検定を用いる。一態様において、ポイント3が、最も信頼性の高いデータとして好ましい。従って、本発明はまた、ハンフリー視野検査中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)、または微小視野検査(MP−1)中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)による眼の中心視野の熱力学的変化を検出または測定する方法を提供する。該方法に基づき、眼の熱力学的変化をもたらす化合物の有効性を評価する方法も提供する。
また、眼表面の温度と眼血流量が相関すること、即ち、網膜疾患の患者の眼血流量が減少し、眼表面の温度が低下することが知られている。故に、本発明の別の面は、ハンフリー視野検査中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)、あるいは微小視野検査(MP−1)中心部、例えば中心10度(24点)、特に中心3度(12点)、好ましくは中心2度(4点)の温度を検出あるいは測定することによって眼血流を検出あるいは測定する方法、ならびに該方法により化合物の網膜疾患に対する有効性を評価する方法も含む。本発明において、眼血流とは、特に対象の眼底の血流を対象とし、網膜の血流や脈絡膜の血流を含む。
本発明において、視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を判断する方法としては、例えば、The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)、Activities of Daily Vision Scale、vision−specified Sickness Impact Profile(SIP)、Medical Outcomes study 12−item short form(SF−12)、Medical Outcomes study Short Form 36 item health survey(SF−36)、網膜色素変性症のQOL評価などが挙げられる。特にThe 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)が好ましく、NEI VFQ−25を基礎として評価に適した下位尺度構成を適宜選択して用いてもよい。
一方で上記結果は、眼局所投与であっても眼底機能の改善作用を有する化合物の有効量を何らかの手段で眼底部に継続的に供給されることが可能であれば、本発明と同様の効果が期待できることを示している。
故に、本発明のさらに別の面は、眼底機能の改善を図るための方法であって、眼局所投与によって眼底機能の改善作用を有する化合物を含む眼科用組成物の有効量を眼底部に継続的に供給するための方法である。該方法は、日中の眼自律神経機能を回復させる。本発明の目的を達成するための一面としては、眼底機能の改善作用を有する化合物の従来の用法が、例えば1日1回・1回1滴点眼の場合は少なくとも1日2滴以上、1日2回・1回1滴点眼の場合は少なくとも1日3滴以上、1日3回・1回1滴点眼の場合は少なくとも1日4滴以上点眼することがあげられる。
眼底機能の改善作用を有する化合物としては、イソプロピルウノプロストンに代表される脂肪酸誘導体の他に、眼血流改善作用を有するニプラジロールやブナゾシン塩酸塩など;神経保護機能を有する酒石酸ブリモニジン、ROCK(Rho−キナーゼ)阻害剤(DE−104、K−115、SNJ−1656など)、ロメリジン塩酸塩、塩酸メマンチンやグルタチオンなどが挙げられるが、眼底機能の改善作用を有する化合物である限り、特に限定されない。
眼局所投与であっても化合物の有効量を眼底部に継続的に供給することを可能とならしめる手段としては、増粘剤などによるゲル製剤、リポ製剤、リポソーム製剤、リピッドマイクロエマルジョン製剤、マイクロスフィア製剤、ナノスフィア製剤、インプラント製剤などが挙げられるが、本発明の目的を奏することができる手段である限り、本発明に含まれる。
本明細書で用いる用語“眼局所投与”または“眼への局所投与”には、点眼、眼周囲(例えば、テノン嚢下)投与、結膜下投与、眼内投与、網膜下投与、脈絡膜上投与および球後投与が挙げられる。眼局所投与はまた、例えば、眼軟膏剤、ゲル剤、パッチ、注射またはコンタクトレンズ、セルロースレンズ、眼科用ポンプ、マイクロポンプ、結膜ポンプ、注射器もしくは移植可能なデバイスのような手段を用いる局所投与でもよい。
本発明の効果を確認するため実施された臨床試験において、イソプロピルウノプロストンに代表される脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸の血漿中濃度と網膜感度の改善効果に相関が認められた。このことは脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸の血漿中濃度が一定量以上になるように該脂肪酸誘導体を患者に投与することで、網膜疾患の処置を有効に行うことができることを意味する。
従って、本発明の別の面は、脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸の血漿中濃度を一定値以上となるように該脂肪酸誘導体を患者に投与することを含む、視細胞機能を改善するための方法および医薬組成物の使用であり、網膜疾患の処置に有効である。
本発明において、脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸の血漿中濃度は、通常1ng/mL以上であればよく、好ましくは2ng/mL以上、より好ましくは2.5ng/mL以上、さらに好ましくは3ng/mL以上である。なお、脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸の血漿中濃度の測定のための採血は、通常、活性成分である脂肪酸誘導体の患者への投与後1時間以内に行い、好ましくは投与後30分以内、より好ましくは投与後15分を目処に行えばよい。
本発明によれば、脂肪酸誘導体は全身的にまたは局所的に適用され得る。通常、脂肪酸誘導体は、眼局所投与、経口投与、鼻腔内投与、口腔内投与、吸入による投与、静脈内注射(点滴を含む)、皮下注射、直腸内投与、膣内投与、経皮投与などにより投与され得る。
投与量は、患者の年齢、体重、処置すべき症状、望む治療効果、投与経路、処置期間等に応じて変化し得るが、本発明においては脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸の血漿中濃度が一定値(通常1ng/mL)以上となるように設定すればよく、患者における血漿中濃度を確認しながら個々に投与量を設定することも可能である。
本発明において、脂肪酸誘導体は、従来法により投与に適した医薬組成物として製剤化するのが好ましい。その組成物は、眼局所投与、経口投与、鼻腔内投与、口腔内投与、吸入による投与、注射または灌流に適したもの、ならびに外部薬、坐薬または腟坐薬であり得る。
本発明の医薬組成物は生理学的に許容し得る添加剤をさらに含んでもよい。そのような添加剤には、本発明の化合物とともに用いる成分、例えば、賦形剤、希釈剤、増量剤、溶剤、潤滑剤、アジュバント、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、カプセル化剤、軟膏基剤、坐薬用基剤、エアロゾル剤、乳化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、矯味剤、芳香剤、着色剤、機能性物質(例えばシクロデキストリン、生体内分解高分子等)、安定剤等が挙げられる。これらの添加剤は当業者に公知であり、一般的な製剤学の参考書に記載されているものから選択すればよい。
本発明の医薬組成物における上記の脂肪酸誘導体の量は、組成物の処方に応じて変化させてよく、一般に0.000001−10.0%、より好ましくは0.00001−5.0%、最も好ましくは0.0001−1%であり得る。
経口投与のための固体組成物の例には、錠剤、トローチ剤、舌下錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤等がある。固体組成物は1以上の活性成分と少なくとも1つの不活性希釈剤を混合して調製してもよい。その組成物に、不活性希釈剤以外の添加剤、例えば、潤滑剤、崩壊剤および安定剤をさらに含ませてもよい。錠剤および丸剤は、所望により、腸溶性または胃腸溶性フィルムによって被覆されてもよい。それらは2以上の層によって被覆されてもよい。それらは継続的供給物質に吸収させても、またはマイクロカプセル化してもよい。さらに、本組成物は、ゼラチン等の易分解性物質を用いてカプセル化してもよい。それらは、脂肪酸またはそのモノ、ジもしくはトリグリセリド等の好適な溶媒にさらに溶解させて軟カプセルとしてもよい。即効性が必要な場合は舌下錠を用いてもよい。
経口投与のための液体組成物の例には、エマルジョン剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤等が挙げられる。そのような組成物は、慣用される不活性希釈剤、例えば精製水またはエチルアルコールをさらに含んでもよい。この組成物は、不活性希釈剤以外の添加剤、例えば湿潤剤や懸濁化剤といったアジュバント、甘味剤、香味剤、芳香剤および防腐剤等を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、1以上の活性成分を含有する噴霧用組成物の形態であってもよく、これは既知の方法によって調製することができる。
鼻腔内用製剤の例は、1以上の活性成分を含む水性もしくは油性溶液剤、懸濁化剤またはエマルジョン剤であり得る。活性成分の吸入による投与において、本発明の組成物は、エアロゾルとして提供可能な懸濁液、溶液または乳液の形態、または乾燥粉末の吸入に適する粉末形態であり得る。吸入による投与のための組成物は、慣用される噴射剤をさらに含み得る。
非経腸投与のための本発明の注射用組成物の例には、滅菌した水性もしくは非水性溶液剤、懸濁化剤およびエマルジョン剤等がある。水性溶液剤または懸濁化剤のための希釈剤には、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水およびリンゲル液等が挙げられる。
溶液剤および懸濁化剤のための非水性希釈剤には、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(オリーブ油等)、アルコール(エタノール等)およびポリソルベート等があり得る。この組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の添加剤をさらに含んでもよい。組成物は、例えば細菌保留フィルターを通して濾過することによるか、滅菌剤を配合することによるか、またはガスもしくは放射性同位体照射滅菌により滅菌されてもよい。注射用組成物は、滅菌粉末組成物として提供され、使用前に注射用の滅菌溶媒に溶解させることもできる。
本発明の外部薬には、皮膚科学および耳鼻科学の分野において用いられるあらゆる外用製剤が含まれ、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤およびスプレー剤などがある。
本発明の別の面は坐剤または腟坐剤であり、これらは通常用いられる基剤、例えば体温で軟化するカカオバターに活性成分を混合することによって調製することができ、吸収性を向上させるために好適な軟化温度を有する非イオン性界面活性剤を用いてもよい。
本発明によれば、患者における脂肪酸誘導体の遊離カルボン酸血漿中濃度が一定値(通常1ng/mL)以上となるように、投与量、投与方法および剤形を設定することができるので、個々の患者に適した治療方針を選択することが可能となる。
用語“Cmax”は、眼底組織中の最大薬剤濃度(ng/g)を意味する。
用語“T1/2”は、眼底組織からの薬剤の排泄速度および濃度が50%まで減少するのに要する時間を意味する。
用語“AUC”は、時間経過による曲線下面積−薬剤血中濃度を意味する。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例
製剤例1
以下に示す重量%となるように各成分を精製水に溶解し、無菌濾過して、滅菌した低密度ポリエチレン容器に封入し、点眼液を得た(1滴容量:約35μL)。
0.15% イソプロピルウノプロストン(UF−021)
1.0% ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
1.0% マンニトール
1.9% グリセリン
0.05% エデト酸ナトリウム
0.003% 塩化ベンザルコニウム。
製剤例2
以下に示す重量%となるように各成分を精製水に溶解し無菌濾過した溶液を、成型同時充填(Blow Fill Seal)システムにより、滅菌単位用量型(1日使いきりタイプ)点眼液を得た。
0.18% イソプロピルウノプロストン
0.70% ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
0.30% ポリオキシル10オレイルエーテル
4.7% マンニトール
0.01% エデト酸ナトリウム。
製剤例3
以下に示す重量%となるように各成分を精製水に溶解し無菌濾過した溶液を、成型同時充填(Blow Fill Seal)システムにより、滅菌単位用量型(シングルユニットドーズタイプ)点眼液を得た。
0.24% イソプロピルウノプロストン
0.95% ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
0.42% ポリオキシル10オレイルエーテル
4.7% マンニトール
0.01% エデト酸ナトリウム。
製剤例4
以下に示す重量%となるように各成分を精製水に溶解し無菌濾過した溶液を、成型同時充填(Blow Fill Seal)システムにより、滅菌単位用量型(シングルユニットドーズタイプ)点眼液を得た。
0.15% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
1.65% ホウ酸
0.02% ホウ砂(Borax)
0.05% エデト酸ナトリウム。
製剤例5、6および7
以下に示す重量%となるように各成分を精製水に溶解し無菌濾過した溶液を、成型同時充填(Blow Fill Seal)システムにより、滅菌単位用量型(シングルユニットドーズタイプ)点眼液を得た。
0.15% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
1.65% ホウ酸
0.035% ホウ砂(Borax)
0.05% エデト酸ナトリウム。
0.2、0.4または0.6% ゲランガム。
製剤例8
以下に示す重量%となるように各成分を精製水に溶解し無菌濾過した溶液を、成型同時充填(Blow Fill Seal)システムにより、滅菌単位用量型(シングルユニットドーズタイプ)点眼液を得た。
0.15% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
1.65% ホウ酸
0.02% ホウ砂(Borax)
0.05% エデト酸ナトリウム。
0.6% キサンタンガム。
試験例1
網膜色素変性患者を対象として、イソプロピルウノプロストン 0.15重量%点眼液を1回1滴または1回2滴、24週間投与し、下記項目について検討した。112名の患者がこの試験に参加した。
※MP−1微小視野計による中心10度(24点)の網膜感度の変化
網膜カメラと自動視野計を組み合わせた機器で、あらかじめ眼底網膜上に設定された測定点の網膜感度を自動的に測定した。MP−1の特徴は眼の動きに応じて自動的にトラッキングを行うことができ、検査中のずれを検出して補正することにより眼底局所の正確な網膜感度の測定が可能である。また、前回と同じ網膜測定点での検査ができるため、眼底の同一部位の網膜感度を経時的に測定することが可能となる。
※MP−1微小視野計による中心2度(4点)の網膜感度の変化
※ハンフリー視野検査(SITA−Standard、10−2)による網膜感度の変化
※ハンフリー視野検査による中心2度(4点)の網膜感度の変化
※The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)コンポ8の変化:
※logMAR視力の変化
※コントラスト感度の変化
※Optical Coherence Tomography(OCT)検査所見
※安全性評価(1.有害事象、2.副作用、3.眼科的検査、バイタルサイン、臨床検査値)
※血漿中薬物濃度(被験薬投与開始20週後、第二液点眼投与15分後の血漿中薬物濃度を測定する)。評価項目:イソプロピルウノプロストンおよび代謝物A(イソプロピルウノプロストンの遊離カルボン酸)の血漿中濃度を測定。
被験薬として上記製剤例1の点眼液を用いた。プラセボ点眼液としてイソプロピルウノプロストンを含有しない上記製剤例1の基剤を含有する点眼液を用いた。
本試験における用法、用量および投与時期は、次の通りであった。
(1) 用法:1日2回点眼で、1回の点眼時に第一液を1滴、5分後に第二液を1滴、両眼に点眼する。
*:朝7時頃(6〜9時)と夕20時頃(19〜22時)
(2) 点眼液の内訳
Figure 2016026182
なお、自覚症状は視機能の良い眼に依存するため、両眼が選択基準をすべて満たす場合は、小数視力の良い方の眼を有効性評価眼とした。両眼の小数視力が同じ場合は右眼を有効性評価眼とした。
結果を以下に示す。
ハンフリー中心10−2網膜感度(MD値)の平均値を測定時点ごとに群間比較を行った。結果を表1にまとめた。
Figure 2016026182

†:t検定 p<0.05(対0週)。
ハンフリー中心10−2網膜感度の平均値(MD値)の推移を比較したところ、1回2滴群では、4週後、16週後、24週後の網膜感度の平均値(MD値)において0週と比較して統計学的に有意に該値が高くなっており、1回2滴群では網膜感度が改善したことがわかった。
ハンフリー中心10−2網膜感度(MD値)の変化値を測定時点ごとに群間比較を行った。結果を表2及び図1にまとめた。
Figure 2016026182

:Williamsの検定(有意水準片側2.5%) P<0.025(対プラセボ群)
†:t検定 p<0.05(対1回1滴群)。
ハンフリー中心10−2網膜感度(MD値)の変化値の4週後の値が、1回2滴群は0.831、1回1滴群が−0.218、またプラセボ群が−0.265であった。図1に示す通り、4週後でMD値の変化値を群間比較した結果、1回2滴群はプラセボ群および1回1滴群に対して統計学的に有意に高かった。8週後でMD値の変化値をプラセボ群と比較した結果、1回2滴群はプラセボ群に対して統計学的に有意に高かった。1回2滴群は4週以降MD値の変動は小さく、図1に示す通り、24週後も1回1滴群およびプラセボ群のMD値は1回2滴群を大きく下回った。このことから1回2滴群は4週という短期間で網膜感度の顕著な改善がみとめられ、その効果も24週にわたって維持していた。一方、1回1滴群ではプラセボ群に対して経時的な改善傾向はみとめられるものの、24週後でも十分な改善はみとめられなかった。
ハンフリー中心4点網膜感度の変化値を測定時点ごとに群間比較を行った。結果を表3にまとめた。
Figure 2016026182

:Williamsの検定(有意水準片側2.5%) P<0.025(対プラセボ群)
†1:t検定 p<0.05(対プラセボ群)
†2:t検定 p<0.05(対1回1滴群)。
ハンフリー中心4点網膜感度の変化値の24週後の値が、1回2滴群は2.009、1回1滴群が0.334、またプラセボ群が0.539であった。表3に示す通り、網膜感度の変化値を群間比較した結果、1回2滴群は16週後でプラセボ群に対して統計学的に有意に高かった。8週後でMD値の変化値をプラセボ群と比較した結果、1回2滴群はプラセボ群に対して統計学的に有意に高かった。さらに、24週後でも、1回2滴群は1回1滴群およびプラセボ群の値よりも統計学的に有意に高かった。
また、MP−1中心部、特に中心2度(4点)による網膜感度とハンフリー視野検査中心部、特に中心2度(4点)による網膜感度は相関することから、ハンフリー視野検査中心部、特に中心2度(4点)による網膜感度を評価することにより、網膜疾患の有無、重篤度および改善度を診断および評価可能であることが明らかである。
患者の視覚関連オリティーオブライフ(QOL)を測定する本来のNEI VFQ−25(The 25−item National Eye Institute Visual Function Questionnaire)は、さまざまな生活場面における視機能と、見え方による身体的・精神的・社会的な生活側面の制限の程度を測定する12の下位尺度(25項目の問題)から構成されている。本試験では、下位尺度のうち、一般的健康感、運転、周辺視力、眼の痛みを除く8個の下位尺度から構成されるコンポ8のアンケート用紙を用いた。前観察期終了時(0週)と治療終了時(24週)について、スコアーの変化値(24週後−0週)を評価した。VFQ−25下位尺度「見え方による社会生活機能」の変化値の群間比較を表4および図2にまとめた。VFQ−25総合得点の変化値の群間比較を表5および図3にまとめた。
Figure 2016026182

*:Williamsの検定(有意水準片側2.5%) P<0.001(対プラセボ群)
†:t検定 p<0.005(対1回1滴群、対プラセボ群)。
VFQ−25下位尺度「見え方による社会生活機能」の変化値の群間比較により、1回2滴群は、プラセボ群および1回1滴群に対して有意な改善が確認された。このことから、網膜感度の改善によって患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)も改善することがみとめられる。
Figure 2016026182

†:t検定 p<0.05(対1回1滴群)。
VFQ−25総合得点の前観察期終了時(0週)と治療終了時(24週)の変化値の群間においても、1回2滴群は、1回1滴群に対して有意な改善が確認された。またVFQ−25総合得点をプラセボ群、1回1滴群および1回2滴群で治療前(0週)と治療終了後(24週)での群内比較を行った結果、プラセボ群および1回1滴群では改善効果は認められなかったものの、1回2滴群において治療前(0週)に対してp<0.05(p=0.048(対治療前(0週) t検定)と統計学的に有意な改善が確認された。
各測定時点(被験者来院時期)での、MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度の前観察期終了時(0週)からの変化値を各眼で算出した。結果を表6および図4に示す。
Figure 2016026182

†:t検定 p<0.05(対0週)。
MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度をプラセボ群および1回2滴群で治療前(0週)と治療終了後(24週)での群内比較を行った結果、プラセボ群では改善効果は認められなかったものの、1回2滴群において治療前(0週)に対してp<0.05(p=0.02 対応あるt−検定)と統計学的に有意な網膜感度の改善が認められた。
MP−1中心2度(4点)による網膜感度の測定は、前観察期、4週後、8週後、16週後及び24週後に行なった。24週間にわたって測定することによる季節的変動等に起因するバラツキ(誤差)が生じると推測される。薬剤の効果を絶対的に評価する目的で、改善及び悪化双方向の打ち消しを含めた全体像をみるため、4回の測定における前観察期との差(変化値)の合算により群間比較を行なった。1回2滴群はプラセボ群に対して統計学的に有意に網膜感度の変化値が高くなっていた。結果を表7および図5に示す。
Figure 2016026182

*:Williamsの検定(有意水準片側2.5%) P<0.025(対プラセボ群)。
以上の結果より、1回2滴群は、プラセボ群に対して、有意に網膜感度の改善が認められることが分かった。
MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度において、24週間の経過観察中4dB以上の悪化症例はプラセボ群では7症例(21.2%)であったが、1回1滴群では6症例(15,8%)、1回2滴群では1症例(2.6%)であった。1回2滴群はプラセボ群に対して統計学的に有意に減少している。結果を表8にまとめた。
Figure 2016026182
*尤度比χ2検定 p<0.05(対プラセボ群)
このことから、1日2回、1回2滴点眼することは、MP−1中心2度の網膜感度の悪化を有意に抑制していることが分かった。
試験例1において被験薬投与開始20週後、第二液点眼投与15分後の血漿中薬物濃度を測定した。
評価項目:代謝物A(イソプロピルウノプロストンの遊離カルボン酸)の血漿中濃度
測定方法:被験薬投与開始20週後、第二液点眼投与15分後に1回4mL採血したものを測定試料として、その一部を用いて液体クロマトグラフ/タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)にて化合物Aの血漿中濃度を測定した。
測定装置:液体クロマトグラフ/タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)
[高速液体クロマトグラフィーシステム (島津製作所製 島津20A)
分析カラム:Develosil ODS−UG−3(2.0 mm I.D. ×50 mm、3μm、野村化学株式会社)
カラム温度:35℃
注入量:20μL
移動相A:アセトニトリル/10mmol/L 酢酸アンモニウム溶液/酢酸(20:80:0.1,v/v/v)
移動相B:アセトニトリル/酢酸(100:0.1、v/v)
ニードル洗浄液:メタノール
流速:0.25mL/分
質量分析装置(API 4000、Applied Biosystems製)]
イオン化法:ESI法(ターボイオンスプレー、350℃)
内標準物質:イソプロピルウノプロストン
内標準物質:17,20−ジメチル PGF
MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度の変化値(24週)とイソプロピルウノプロストン点眼群の代謝物A血漿中濃度の相関を評価するため、MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度の変化値(24週)が正の値であれば“改善”、ゼロおよび負の値であれば“非改善”として分類した。さらに代謝物Aの血漿中濃度(1ng/mL、2ng/mL、2.5ng/mLおよび3ng/mL)を境界濃度としてMP−1中心2度(4点)の平均網膜感度の変化値(24週)の分布を確認した。結果を表9に示す。
Figure 2016026182

*尤度比χ2検定 p<0.05。
代謝物A血漿中濃度の境界濃度が高くなるほど、MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度の変化度が改善した。特に、代謝物A血漿中濃度の境界濃度が2.5ng/mL以上であれば、MP−1中心2度(4点)の平均網膜感度の変化値が有意に改善している。眼圧(IOP)の低下が、24週の測定期間中、プラセボ群、1回1滴群および1回2滴群で観察されたが、1回1滴群および1回2滴群では、プラセボ群と比較して、この期間中のIOPが最も低下した。
試験例1において投薬終了後(24週後)までに確認された副作用の項目と各群の副作用の発現例数および発現率の一覧を表10に示す。
Figure 2016026182

*用量反応性(Conchan−Armitage検定) p<0.05
†3群比較(Fisherの直接確立計算法) p<0.05。
いずれの群においても重篤な副作用は発生しておらず、すべての副作用の発現例数はプラセボ群12例(34.3%)、1回1滴群28例(71.8%)、1回2滴群21例(55.3%)であった。薬剤投与群がプラセボ群に対して有意に高かったが、ほとんどが軽度の副作用であった。副作用の内訳では、点眼時刺激感が1回1滴群および1回2滴群はプラセボ群に対して有意に高かったが、1回1滴群と1回2滴群との間には差は認められなかった。このことから頻回点眼による網膜感度の改善と副作用の発現には用量依存的な相関性はみとめられないことが分かった。
上述した網膜疾患の有無、重篤度または改善度に関する評価は、コンピュータを含む網膜疾患評価システムを用いて行うことができる。この場合、網膜疾患評価システムは、好ましくは、微小視野計(MP−1)および/またはハンフリー視野検査計で測定された中心部の網膜感度を測定情報として記憶する記憶手段、記憶手段に記憶された測定情報を処理して、網膜疾患の有無、重篤度または改善度を評価する評価手段、ならびに評価手段の評価結果を出力する出力手段を含む。評価手段は、コンピュータに記憶されたプログラムを用いて、評価項目(網膜疾患の有無、重篤度、改善度)に応じて測定情報を処理する。また、該測定情報は、中心10度(24点)による網膜感度を含むことが好ましく、特に中心2度(4点)による網膜感度を含むことが好ましい。
別の面の網膜疾患評価システムは、好ましくは、視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を評価情報として記憶する記憶手段、記憶手段に記憶された評価情報を処理して、網膜疾患の有無、重篤度または改善度を評価する評価手段、評価手段の評価結果を出力する出力手段を含む。視覚関連クオリティーオブライフは、「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」を尺度として測られたものであることが好ましい。あるいは、視覚関連クオリティーオブライフは、「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」の下位の「見え方による社会生活機能(Social function: SF)」を尺度として測られたものであってもよい。あるいは、視覚関連クオリティーオブライフは、網膜疾患患者の視覚関連クオリティーオブライフであってもよい。
好ましくは、網膜疾患評価システムは、コンピュータを、微小視野計(MP−1)で測定された中心部の網膜感度を測定情報として記憶する記憶手段、ならびに記憶手段に記憶された測定情報を処理して、網膜疾患の有無、重篤度または改善度を評価する評価手段として機能させるための網膜疾患評価プログラムを含む。
別の面の網膜疾患評価システムは、コンピュータを、視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)を評価情報として記憶する記憶手段、ならびに記憶手段に記憶された評価情報を処理して、網膜疾患の有無、重篤度または改善度を評価する評価手段として機能させるための網膜疾患評価プログラムを含む 。
添付の図面を参照して、本発明のシステムおよび方法の一態様について述べる。図6は、網膜感度から網膜疾患を評価するためのシステムの構成要素を示す図である。一般的に、参照番号1で示される評価システムは、視野検査計2を有する。例えば、視野検査計2は、商品名“MP−1”としてNIDEK Inc., 47651 Westinghouse Drive, Fremont, California 94539−7474から市販されているマイクロペリメーター、または商品名“ハンフリー(登録商標)視野検査計II−iseries”としてCarl Zeiss Ophthalmic Systems, Inc., 5160 Hacienda Drive, Dublin, CA 94568から市販されているハンフリー視野検査計である。
当技術分野で周知の通り、視野検査計2は、予め決定された眼底測定点で網膜感度を測定するために設計される。例えば、視野検査計2は、網膜疾患の有無、重症または重篤度、および改善または回復/進行の程度を評価するために、眼底の中心10度(24点)、中心3度(12点)または中心2度(4点)での網膜感度を測定する。
システム1はまた、一般に、網膜疾患の有無、重篤度および改善度を評価するために検査計2で測定される網膜感度を処理するための番号3によって示されるコンピュータを有する。コンピュータシステムは、該コンピュータシステムの操作をコントロールすることができる1以上のプロセッサーを含み得る。該プロセッサー(複数可)は、何れのタイプのマイクロプロセッサーまたは中央演算処理装置(CPU)(プログラム可能な多目的であるか、または特殊マイクロプロセッサーを含む)を含み得る。通常のデスクトップ型コンピュータ、ワークステーション、ミニコンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAまたは他の型のデジタルデータ処理装置が市販されており、本明細書に記載の通り、図示したシステムの操作に適する。コンピュータシステムはまたメモリを含んでいてよく、それは、プロセッサーで実行されるコード/プログラム用の、またはコンピュータシステムに入力され、かつ/またはコンピュータシステムで得られるデータ用の、一時的または永久的記録媒体を提供し得る。該メモリは、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)の1つ以上の種類、および/またはメモリ技術の組合せを含み得る。記録装置は、データを不揮発性かつ/または非一時的に保存するための全ての常套媒体を含み得る。記録装置は1つ以上のハードディスク装置、フラッシュドライブ、USBドライブ、光ドライブ、種々のメディア・カードおよび/またはそれらの何れの組合せを含んでよく、例えばネットワークについて、直接コンピュータシステムに接続し得るか、またはそれと遠隔で接続され得る。図6に図示した部分は、1つの物理的な機械の部分の一部または全部であり得る。また、図示した部分の全てが、同じ物理的な機械に存在することが要されるわけではない。該コンピュータシステムは、単独で構成されるか、または本明細書に記載の方法の全てを実行するか、かかる方法のある工程を実行するプログラムを作動するために、他のコンピュータシステムと接続されて構成され得る。プログラムは、ハードディスク装置、フラッシュドライブ、USBドライブ、光ディスク、メディア・カード、メモリシステムおよび/またはそれらの組合せを含む種々の非一時的なコンピュータで読取り可能な記録媒体の何れかに格納され得る。この目的のために、コンピュータ3は、検査計2で網膜感度測定を受けるために視野検査計2の出力に電気的に接続する中央演算処理装置(CPU)4を備えている。CPU4はまた、検査計2で測定され、それから送信される網膜感度を記録するためのメモリ手段またはメモリユニット5と、該網膜感度の使用により、網膜疾患の有無、重篤度(重症度レベル)および回復および/または進行の程度を評価するための評価手段またはユニット6とも接続されている。好ましくは、システム1はさらに、該評価得ニット6によってなされる結果を示すための出力手段またはディスプレイ7を有する。
そのように構築されたシステム1の作動において、検査計2で測定された眼底の中心10度(24点)、中心3度(12点)または中心2度(4点)での網膜感度が、コンピュータ3に送信され、メモリユニット5に保存される。次いで、測定値は、評価ユニット6のメモリに格納されるプログラムにより該値を処理する評価ユニット6に送信される。あるいは、プログラムはメモリユニット5に格納され得る。具体的には、図7に示す通り、評価ユニット6は、網膜疾患の存在および該疾患患者の重篤度(レベル0、1、2または3)を決定するために、測定された網膜感度の平均MD値(平均値)と、評価ユニット6のメモリに格納される1つ以上の基準値R1、R2および/またはR3(R1>R2>R3)とを比較する(ステップ1〜7)。次いで、患者の網膜疾患の以前に評価された重篤度レベルがメモリユニット5または評価ユニット6のメモリに保存されるかどうかを、評価ユニット6は決定する(ステップ8)。この決定が肯定であるとき(ステップ8でYES)、評価ユニット6は以前に評価された重篤度レベル(OLD)を読み込み(ステップ9)、それまでのステップ4、5、6または7で得られた新しく決定され評価された重篤度レベル(NEW)とそれとを比較する(ステップ10)。比較の結果、新しく決定され評価された重篤度レベル(NEW)が以前に評価された重篤度レベル(OLD)より低いとき、例えば、新しく決定され評価された重篤度レベルと以前に評価された重篤度レベルとの差異を用いて網膜疾患からの回復の程度を示す(ステップ11)。これに対して、新しく決定され評価された重篤度レベル(NEW)が以前に評価された重篤度レベル(OLD)より高いとき、新しく評価された重篤度レベルと以前に評価された重篤度レベルの差異を用いて網膜疾患における進行の程度を示す(ステップ12)。示されないが、新しく評価された重篤度レベル(NEW)はメモリユニット5または評価ユニット6のメモリに格納される。網膜疾患の有無、新しく評価された重篤度レベル(NEW)、以前に評価された重篤度レベル(OLD)、回復の程度および/または進行の程度は、表示手段またはユニット7に送信され、その後ディスプレイユニット7のスクリーンに示される(ステップ13)。
発明の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、故に、本発明の主旨から逸脱しない種々な変法は、本発明の範囲内であることが意図される。かかる変形は、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされる。例えば、メモリユニット5は、患者の視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)のような別の情報を保存し得る。視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)は、「The 25−Item National Eye Institute Visual Functioning Questionnaire (NEI VFQ−25)」またはNEI VFQ−25の下位の「見え方による社会生活機能(SF)により決定され得る。次いで、決定された視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)は、網膜疾患の有無、重篤度レベル、回復の程度および進行の程度を評価するために、測定された網膜感度とは独立して、またはそれと組み合わせて用いられ得る。

Claims (13)

  1. 有効量のイソプロピルウノプロストンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者における網膜疾患の処置のための眼局所投与用眼科用組成物であって、1日1眼あたり少なくとも210μgのイソプロピルウノプロストンが点眼投与される、眼科用組成物。
  2. 1眼あたり少なくとも1回2滴の眼科用組成物を、少なくとも1日2回点眼するものである、請求項1に記載の眼科用組成物。
  3. 眼科用組成物がイソプロピルウノプロストンを0.15重量%含むものである、請求項1に記載の眼科用組成物。
  4. 眼科用組成物の一滴容量が20〜50μLである、請求項1〜3のいずれかに記載の眼科用組成物。
  5. 眼科用組成物の一滴容量が30〜40μLである、請求項4に記載の眼科用組成物。
  6. 網膜疾患が中心性網脈絡膜症、中心性網脈絡膜炎、高血圧性網膜症、加齢性黄斑変性、動脈硬化性網膜症、腎性網膜症、糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、黄斑浮腫、網膜色素変性、未熟児網膜症、貧血性網膜症、白血病性網膜症、外傷による網脈絡膜障害、視神経炎、乳頭網膜炎、乳頭炎、クモ膜炎、脊髄炎、眼の血管新生または視神経委縮である、請求項1〜5のいずれかに記載の眼科用組成物。
  7. 網膜疾患が網膜色素変性症である、請求項6に記載の眼科用組成物。
  8. ヒト患者における桿体細胞機能および/または錐体細胞機能が改善される、請求項1〜7のいずれかに記載の眼科用組成物。
  9. ヒト患者における視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が改善される、請求項1〜7のいずれかに記載の眼科用組成物。
  10. 「The 25−Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire(NEI VFQ−25)」を尺度として測定される視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が改善される、請求項9に記載の眼科用組成物。
  11. NEI VFQ−25の下位尺度である「見え方による社会生活機能(Social function: SF)」で測定される視覚関連クオリティーオブライフ(QOL)が改善される、請求項10に記載の眼科用組成物。
  12. MP−1微小視野計および/またはハンフリー視野検査計により測定される対象の眼底の中心視野の網膜感度が上昇する、1〜11のいずれかに記載の眼科用組成物。
  13. 網膜感度の上昇が、
    眼底中心10度(24点)のMP−1微小視野計による測定、
    眼底中心3度(12点)のMP−1微小視野計による測定、
    眼底中心2度(4点)のMP−1微小視野計による測定、
    眼底中心10度(24点)のハンフリー視野検査計による測定、
    眼底中心3度(12点)のハンフリー視野検査計による測定、および
    眼底の中心2度(4点)のハンフリー視野検査計による測定から選択される何れか1の測定により確認される網膜感度の上昇である、請求項12に記載の眼科用組成物。
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