JP2016025003A - 燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転状態に応じて改質器の温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させたり、低下させたりすることができる燃料電池装置を提供すること。
【解決手段】燃料電池装置FCは、改質器208と水蒸発器206との間に形成される熱移動空間を介した改質器208と水蒸発器206との間の熱移動を調整する熱移動整手段を備える。
【選択図】図4
【解決手段】燃料電池装置FCは、改質器208と水蒸発器206との間に形成される熱移動空間を介した改質器208と水蒸発器206との間の熱移動を調整する熱移動整手段を備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、燃料電池装置に関する。
都市ガス等の燃料ガスと、空気や酸素等の酸化剤ガスとをセルスタックに供給し、電気化学反応を生じさせて発電を行う燃料電池装置では、燃料ガスを水素リッチなガスに改質する改質器が設けられている。このような改質器として、燃料ガスとともに水蒸気を改質触媒に導入し、水蒸気改質を行うものが知られている。
このような燃料電池装置では、発電可能な状態まで移行する起動工程や、その後の電力の取り出しを行う発電工程では、セルスタックや改質器の温度を上昇させたり、高温に維持したりする必要がある。これに対し、例えば下記特許文献1には、セルスタックにおける電気化学反応に用いられなかった残余の燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱を利用してセルスタックや改質器を加熱する燃料電池装置が記載されている。
水蒸気改質は、水素の収率が高い改質反応であるが、強い吸熱反応である。したがって、水蒸気改質を安定的に進行させるためには、多量の熱が必要となる。改質器の温度が低下し、水蒸気改質に用いることができる熱が減少すると、水素の収率や発電効率の低下を招くおそれがある。このため、起動工程では改質器を迅速に昇温させるとともに、発電工程では改質器を高温に維持させる必要がある。
燃料電池装置では、セルスタックの点検作業や、改質器に用いられている改質触媒の交換作業を行う際など、それまでに行っていた発電を停止するとともに、セルスタックや改質器の温度を常温程度まで迅速に低下させることを求められる場面がある。上記特許文献1に記載の燃料電池装置では、このような燃料電池装置の停止工程において、低温の燃料ガスをセルスタックに供給し、熱を奪うことでセルスタックの温度を低下させている。
しかしながら、上記特許文献1には、燃料電池装置の停止工程において積極的に改質器を冷却する手段については、何ら開示されていなかった。前述したように、起動工程や発電工程における、改質器の温度を迅速に昇温させたり高温に維持させたりするという要求と、停止工程おける、改質器の温度を迅速に低下させるという要求と、を同時に満足させる手段については、これまでに十分な検討がなされていなかった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転状態に応じて改質器の温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させたり、低下させたりすることができる燃料電池装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池装置は、水を加熱して水蒸気を発生させると共にその発生させた水蒸気を送り出す送出口(231、231A、231B)を有する水蒸発器(206、206A、206B)と、前記水蒸発器と向き合うように配置され、水蒸気を受け入れる受入口(232、232A、232B)を有し、被改質ガスを水蒸気改質して燃料ガスとする改質器(208、208A、208B)と、前記送出口と前記受入口とを繋ぐ水蒸気流路(207,207A、208B)と、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給され、電気化学反応によって電力を発生させるセルスタック(CS)と、を備え、前記送出口及び前記受入口は、前記改質器と前記水蒸発器との間に形成される熱移動空間に臨むように形成され、前記水蒸気流路は、前記熱移動空間において前記送出口と前記受入口とを繋いでおり、前記熱移動空間を介した前記改質器と前記水蒸発器との間の熱移動を調整する熱移動整手段を備えている、ことを特徴としている。
水蒸発器が有する熱は、気化する水によって奪われるため、水蒸発器は燃料電池装置の他の要素と比べて低温となる傾向がある。このため、改質器を水蒸発器と向き合うように配置すると、改質器と水蒸発器との間に形成された熱移動空間を介して、改質器から水蒸発器への熱移動が生じる。
本発明では、この熱移動空間を介した改質器と水蒸発器との間の熱移動を調整することにより、運転状態に応じて改質器の温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させたり、低下させたりすることができる。例えば、燃料電池装置の起動工程や発電工程では、上記熱移動を抑制することで、改質器の温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させることが可能となる。また、燃料電池装置の停止工程では、上記熱移動を促すことで、改質器の温度を迅速に低下させることが可能となる。
本発明によれば、運転状態に応じて改質器の温度を迅速に上昇あるいは高温に維持したり、低下させたりすることができる燃料電池装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る燃料電池装置FCは、セルスタックCSと、ケーシング10と、燃料ガス供給部20と、空気供給部30と、燃焼部40と、燃焼ガス排出部50と、を備えている。まず、図1を参照しながら、セルスタックCS及びケーシング10の構成について説明する。
セルスタックCSは、複数の燃料電池セル(不図示)の集合体である。各燃料電池セルは、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であり、電極として正極(アノードまたは燃料極とも言い、Anとも記す)と負極(カソードまたは空気極とも言い、Caとも記す)と、を有している。複数の燃料電池セルは、全て電気的に直列に接続されている。各燃料電池セルの正極及び負極は、いずれも導電性セラミックスで形成されている。正極と負極との間には、イオン伝導性を有する固体電解質が設けられている。セルスタックCSは、ベースプレートBP上に立設されている。
ケーシング10は、セルスタックCSを収容する筐体であり、第1筒状体101と、第2筒状体102と、第3筒状体103と、第4筒状体104と、第5筒状体105と、を有している。第1筒状体101、第2筒状体102、第3筒状体103、第4筒状体104及び第5筒状体105は、いずれも金属製で中心軸周りに略円筒状に形成されており、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。
第1筒状体101は、上端を塞ぐ天板部101aと、円筒状の円筒部101bとを有する。第1筒状体101は、ベースプレートBP上に立設されたセルスタックCSをその内部に収容しており、その下端がベースプレートBP上に当接して固定されている。円筒部101bの下部には、後述する空気供給部30の吹出口303が形成されている。
第2筒状体102は、上円筒部102aと、下円筒部102bとを有している。下円筒部102bの径は、上円筒部102aの径に比べて小さくなるように構成されている。下円筒部102bの上端外周と、上円筒部102aの下端外周とは、ドーナツ状の円板部102cで繋がれている。第2筒状体102は、全体として段付きの筒状に形成されており、第1筒状体101の外部に配置されている。
上円筒部102aは、円筒部101bの外側面と所定の距離を保つように、円筒部101bを覆っている。従って、上円筒部102aの内側面と、円筒部101bの外側面との間に隙間が形成されている。下円筒部102bには、後述する燃焼ガス排出部50の燃焼ガス排出口501が形成されている。
第3筒状体103は、その上端から下端まで径がほぼ一様の筒状に形成されている。第3筒状体103は、第2筒状体102の外側に配置されている。第3筒状体103は、第2筒状体102の外側面と所定の距離を保つように、その外側面を覆っている。第3筒状体103の内側面と第2筒状体102の外側面との間に隙間が形成されている。
第4筒状体104は、その下端にフランジ部104aを有する筒状に形成されており、第3筒状体103の外部に配置されている。このフランジ部104aは、ケーシング10の固定に利用される。第4筒状体104は、第3筒状体103の外側面を覆うとともに、その内側面が第3筒状体103の外側面との間に隙間を形成するように配置されている。第4筒状体104の下部の内部には、円板状の底板104bが配置されている。底板104bは、第2筒状体102の下端を塞ぐとともに、第4筒状体104の内部を上下に区画している。
第2筒状体102、第3筒状体103及び第4筒状体104のそれぞれの上端部の上方には、円環状の環状内蓋106が配置されている。環状内蓋106は、第2筒状体102の内側面及び第4筒状体104の外側面に対して固定され、第2筒状体102と第4筒状体104との間に形成される空間を覆っている。環状内蓋106は、第3筒状体103上端との間に隙間を空けて配置されている。
第5筒状体105は、第4筒状体104の外部に配置され、第4筒状体104の上部の外側を覆っている。第5筒状体105は、その内側面が第4筒状体104の外側面との間に隙間を形成するように配置されている。
続いて、図1及び図2を参照しながら、燃料ガス供給部20、空気供給部30、燃焼部40及び燃焼ガス排出部50の構成について説明する。
燃料ガス供給部20は、水供給管201と、原料ガス供給管240と、改質ユニット202と、燃料ガス供給管203と、脱硫器204(図2参照)と、を有している。
水供給管201は、その内部に水を流す配管である。水供給管201は、ケーシング10の底板104bを貫通し、第2筒状体102と第3筒状体103との間に形成される隙間に延びるように形成されている。
原料ガス供給管240は、炭化水素を含む都市ガスをその内部に流す配管である。原料ガス供給管240は、都市ガスに加えて空気を流すこともできる。原料ガス供給管240は、その途中で第1供給管241と第2供給管242とに分岐している。第1供給管241及び第2供給管242は、ケーシング10の底板104bを貫通し、第2筒状体102と第3筒状体103との間に形成される隙間に延びるように形成されている。第1供給管241と第2供給管242との分岐部には、切替バルブ243が設けられている。切替バルブ243は、原料ガス供給管240を流れるガスが第1供給管241及び第2供給管242の一方に流入するよう、流路を択一的に切り替える。都市ガスは、原料ガス供給管240の上流において脱硫器204を通過することで、セルスタックCSの電池性能の低下を招く硫黄成分が除去される。
改質ユニット202は、バーナー402を囲むように円環状に形成されており、その中心軸は第1筒状体101、第2筒状体102、第3筒状体103、第4筒状体104及び第5筒状体105の中心軸と同軸とされている。改質ユニット202は、第2筒状体102の下円筒部102bと第3筒状体103との間に形成される隙間に配置されている。また、改質ユニット202は、その内周側の側面が下円筒部102bの外側面との間に隙間を形成するとともに、その外周側の側面が第3筒状体103の内側面と当接するように配置されている。
また、図2に示されるように、改質ユニット202は、その内部に水蒸発器206と、改質器208と、を有している。後述するように、改質ユニット202は、水蒸発器206及び改質器208をユニットケーシング205(図2においては明示せず、図3参照)の内部に収めることでユニット化されている。水供給管201、第1供給管241及び第2供給管242は、この改質ユニット202に接続されている。詳細には、第1供給管241は水蒸発器206に接続され、第2供給管242は水蒸発器206と改質器208とを繋ぐ水蒸気流路207の途中に接続されている。
燃料ガス供給管203は、改質ユニット202に接続され、改質ユニット202から排出される燃料ガスをその内部に流す配管である。燃料ガス供給管203は、改質ユニット202から下方に延びて底板104bを貫通し、底板104bの下方において上方に折り返すように形成されている。さらに、折り返した燃料ガス供給管203は、第2筒状体102の下円筒部102bの内部に配置されるように底板104bを貫通し、ベースプレートBPまで延びるように形成されている。
空気供給部30は、空気加熱流路301と、空気導入管302と、吹出口303と、を有している。空気加熱流路301は、第1加熱流路301a及び第2加熱流路301bを有している。第1加熱流路301aは、第4筒状体104と第5筒状体105との間に形成された隙間である。第2加熱流路301bは、第1筒状体101と第2筒状体102との間に形成された隙間である。空気導入管302は、第5筒状体105の外側面に接続される配管であり、空気加熱流路301の第1加熱流路301aに連通している。吹出口303は、第1筒状体101の下部に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる貫通孔である。
燃焼部40は、燃焼室401と、バーナー402と、イグナイタ403と、を有している。燃焼室401は、第2筒状体102の下円筒部102bの内部に形成された空間である。バーナー402は、ベースプレートBPから下方の燃焼室401内に向けて突出するように設けられている。バーナー402は、セルスタックCSにおける電気化学反応に用いられなかった残余の燃料ガスをその内部に流し、下端から燃焼室401内に供給する。
イグナイタ403は、点火装置であり、ケーシング10の底板104bを貫通して燃焼室401内に臨出するよう設けられている。イグナイタ403は、高電圧が印加されることで火花放電を発生させ、燃焼室401内の燃料ガスに着火して燃焼させる。このような残余の燃料ガスの燃焼により、燃焼室401内で燃焼ガスが発生する。
燃焼ガス排出部50は、燃焼ガス排出口501と、燃焼ガス排出流路502と、燃焼ガス排出管503と、を有している。燃焼ガス排出口501は、第2筒状体102の下円筒部102bに、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる貫通孔である。燃焼ガス排出流路502は、第1排出流路502a及び第2排出流路502bを有している。
第1排出流路502aは、第2筒状体101の下円筒部102bと第3筒状体103との間に形成された隙間である。第2排出流路502bは、第3筒状体103と第4筒状体104との間に形成された隙間である。燃焼ガス排出管503は、ケーシング10の第4筒状体104の外側面に接続される配管であり、燃焼ガス排出流路502の第2排出流路502bと連通している。
引き続いて、図1及び図2を参照しながら、以上のように構成された燃料電池装置FCの動作について説明する。
燃料電池装置FCの起動工程の際など、セルスタックCSや改質器208の温度が低い状態にあるときは、燃料ガス供給部20は、都市ガス及び空気を改質ユニット202に供給する。都市ガス及び空気は、原料ガス供給管240の第1供給管241によって改質ユニット202に供給され、まず水蒸発器206に導入される。そして、水蒸発器206を通過した都市ガス及び空気は、水蒸気流路207を介して改質器208に導入される。
改質器208は、その内部に改質触媒が充填されている。改質器208において、都市ガスに含まれる炭化水素ガスと、空気に含まれる酸素とによる部分酸化改質が行われる。この部分酸化改質により、水素を含む燃料ガスが生成される。部分酸化改質は発熱反応であることから、改質器208において生成される燃料ガスも高温となる。また、改質ユニット202に接続された燃料ガス供給管203は、その一部が燃焼室401内(第2筒状体102の下円筒部102bの内部)に配置されているため、燃料ガスは当該部位を流れる際に燃焼ガスによって加熱され、さらに高温となる。このようにして高温となった燃料ガスが、セルスタックCSを構成する燃料電池セルの正極Anに供給されることで、セルスタックCSが加熱されて昇温し、燃料電池装置FCの迅速な起動に寄与する。
一方、空気供給部30の空気導入管302によってケーシング10内に導入される空気は、図1に示されるように、空気加熱流路301の第1加熱流路301aを上方に流れる。次に、空気は上面蓋107に沿ってその向きをケーシング10の中央側に変え、さらに第2加熱流路301bを下方に流れる。第2加熱流路301bを流れて第1筒状体101の下部に至った空気は、吹出口303から第1筒状体101の内部に向けて吹き出し、セルスタックCSを構成する燃料電池セルの負極Caに供給される。
後述するように、空気加熱流路301を流れる空気は、高温の燃焼ガスを熱源として加熱され、昇温する。このようにして高温となった空気が燃料電池セルの負極Caに供給されることで、セルスタックCSが加熱されて昇温し、燃料電池装置FCの迅速な起動に寄与する。
セルスタックCSでは、以上のように供給される燃料ガスと空気を用いて電気化学反応を生じさせ、発電を行う。セルスタックCSにおける電気化学反応に用いられなかった残余の燃料ガスは、バーナー402から燃焼室401内に吹き出され、イグナイタ403によって着火されて燃焼する。この燃焼の結果として、燃焼室401内に高温の燃焼ガスが発生する。
燃焼室401内で発生した高温の燃焼ガスは、燃焼ガス排出口501から排出され、燃焼ガス排出流路502の第1排出流路502aに流入する。第1排出流路502aには改質ユニット202が配置されており、燃焼ガスは改質ユニット202の側面に沿って上方に流れる。これにより、高温の燃焼ガスによって改質ユニット202の改質器208が加熱され、昇温する。
改質ユニット202の側面を通過した第1排出流路502aの燃焼ガスは、空気加熱流路301の第2加熱流路301bを下方に流れる空気と、第2筒状体102の上円筒部102aを挟んで逆向きに流れる。これにより、第2加熱流路301bを流れる空気は、上円筒部102aを介して高温の燃焼ガスによって加熱され、昇温する。
第1排出流路502aを通過した燃焼ガスは、環状内蓋106に沿って折り返し、次に第2排出流路502bを下方に流れる。第2排出流路502bの燃焼ガスは、空気加熱流路301の第1加熱流路301aを流れる空気と、第4筒状体104を挟んで逆向きに流れる。これにより、第1加熱流路301aを流れる空気は、第4筒状体103を介して高温の燃焼ガスによって加熱され、昇温する。
第2排出流路502bをさらに下方に流れた燃焼ガスは、改質ユニット202の外側面が当接する第3筒状体103の下部に沿って流れる。これにより、改質ユニット202の水蒸発器206は、第3筒状体103を介して高温の燃焼ガスによって加熱され、昇温する。第2排出流路502bを流れ終えた燃焼ガスは、燃焼ガス排出管503を介してケーシング10から排出される。この燃焼ガスは、排熱回収器504(図2参照)を通過することで熱を回収された後に、低温となって排出される。
燃料電池装置FCの運転に伴い、セルスタックCSや改質器208が所定温度まで昇温した後は、燃料ガス供給部20は、空気に代えて、あるいは空気に加えて、水供給管201に水を流して改質ユニット202に供給する。都市ガスとともに改質ユニット202に供給された供給された水は、まず水蒸発器206に導入される。前述したように水蒸発器206は燃焼ガスによって加熱されて昇温していることから、水蒸発器206に導入された水は加熱されて気化し、水蒸気となる。
水蒸発器206において発生した水蒸気は、都市ガスとともに水蒸気流路207を介して改質器208に導入される。改質器208では、その内部の改質触媒により、水蒸気と、都市ガスに含まれる炭化水素ガスとによる水蒸気改質が行われ、水素を含む燃料ガスが生成される。水蒸気改質は、部分酸化改質に比べて水素の収率が高い改質反応である。水蒸気改質は吸熱反応であるが、前述したように、改質器208は燃焼ガス排出流路502を流れる高温の燃焼ガスによって加熱されるため、水蒸気改質を安定的に行うことができる。
セルスタックCSや改質器208が高温となり、燃料電池装置FCがセルスタックCSからの電力の取り出しが可能な発電工程(定常運転)に移行した後は、改質器208における水蒸気改質により水素リッチな燃料ガスを生成することができる。これにより、燃料電池装置FCは高効率で発電を行うことが可能となる。
引き続いて、図3及び図4を参照しながら、改質ユニット202について説明する。まず、改質ユニット202の内部構造について説明する。
改質ユニット202は、ユニットケーシング205と、水蒸発器206と、水蒸気流路207と、改質器208と、を備えている。図3及び図4は、第1筒状体101(図1参照)等の中心軸に沿う平面における改質ユニット202の断面の一部を示す図であって、当該断面において離間して表れる2つの部位のうち、左側の部位を示している。
ユニットケーシング205は、改質ユニット202の筐体であり、金属製で、その外形は円環状に形成されている。ユニットケーシング205の内部には、2つの隔壁221,222が設けられている。隔壁221,222は、第1筒状体101等の中心軸を中心とする同心円状に設けられた円筒状の板状部材である。隔壁221は、径方向外側に配置されている。隔壁222は、隔壁221に対して径方向内側に配置されている。
隔壁221は、ユニットケーシング205の下側壁面212から上方に延びている。隔壁221は、その上端がユニットケーシング205の上側壁面211と所定間隔を空けて送出口231を形成するように設けられている。
隔壁222は、ユニットケーシング205の上側壁面211から下方に延びている。隔壁222は、その下端がユニットケーシング205の下側壁面212と所定間隔を空けて受入口232を形成するように設けられている。送出口231と受入口232とは互いに正対しないように、上下にオフセット配置されている。
この隔壁221,222との間に形成された領域(熱移動空間)には、さらに、2つの隔壁223,224が設けられている。隔壁223,224は、隔壁221,222と同様、第1筒状体101等の中心軸を中心として同心円状に設けられた円筒状の板状部材である。
隔壁223は、ユニットケーシング205の上側壁面211から下方に延びている。隔壁223は、その下端がユニットケーシング205の下側壁面212と所定間隔を空けて連通口233を形成するように設けられている。
隔壁224は、隔壁223よりも径方向内側で、ユニットケーシング205の下側壁面212から上方に延びている。隔壁224は、その上端がユニットケーシング205の上側壁面211と所定間隔を空けて連通口234を形成するように設けられている。
水蒸発器206は、隔壁221,222,223,224によって、ユニットケーシング205の内部に形成された5つの領域のうち、外周側壁面213と隔壁221とによって外周側に形成された領域を実質的に専有するように配置されている。水蒸発器206が配置されるこの空間には、ユニットケーシング205の下側壁面212に接続された水供給管201と、第1供給管241が連通している。外周側壁面213は、第3筒状体103の下部の内側面と当接するように配置されている。
水蒸気流路207は、ユニットケーシング205の内部に形成された5つの領域のうち、隔壁221と隔壁222との間に形成された3つの領域(熱移動空間)に設けられている。水蒸気流路207は、送出口231と受入口232とを接続している。
水蒸気流路207は、隔壁223,224が設けられることにより、ガスを上下方向に往復させながら流す蛇行流路となっている。水蒸気流路207は、直進部207a,207c,207eと、折返し部207b,207dと、を有している。折返し部207b,207dは、内部に流れる水蒸気の進行方向を転換させる部分である。直進部207a,207c,207eは、折返し部207b,207dに繋げて設けられ水蒸気の進行方向を一方向に維持させて流す部分である。
水蒸気流路207には、ユニットケーシング205の下側壁面212に接続された第2供給管242が連通している。第2供給管242は、下側壁面212のうち、直進部207cに臨む部分に接続されている。
改質器208は、ユニットケーシング205の内部に形成された5つの領域のうち、内周側壁面214と隔壁222とによって内周側に形成された領域を実質的に専有するように配置されている。これにより、改質器208と水蒸発器206は、径方向に間隔をあけて対向するように配置されることとなる。改質器208が配置されるこの空間には、ユニットケーシング205の上側壁面211に接続された燃料ガス供給管203が連通している。
次に、図3及び図4を参照しながら、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程と、停止工程と、における改質ユニット202の内部のガスの流れについて説明する。
まず、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程では、切替バルブ243は、原料ガス供給管240を流れるガスを第1供給管241に流入させるように設定される。これにより、図3に示すように、燃料ガスを生成するための原料である都市ガスや空気が、第1供給管241によって水蒸発器206に導入される。また、水供給管201によって水が水蒸発器206に導入される。
前述したように、水蒸発器206は、燃焼ガス排出流路502の第2排出流路502bを流れる高温の燃焼ガスによって加熱されている。そのため、都市ガスや空気とともに水が水蒸発器206に導入される場合、水は加熱されて気化し、水蒸気が発生する。
水蒸発器206を通過したガスは、送出口231から水蒸気流路207に流入する。このガスは、隔壁221及び隔壁223に沿って直進部207aを下方に流れ、その下端において連通口233が設けられた折返し部207bを通過すると、次に隔壁221及び隔壁223に沿って直進部207cを上方に流れる。そして、ガスはその上端において連通口234が設けられた折返し部207dを通過すると、次に隔壁222及び隔壁224に沿って直進部207eを下方に流れ、受入口232に至る。すなわち、水蒸気流路207は、水蒸発器206と改質器208とが対向する方向(径方向)に対して垂直な方向(上下方向)に往復して蛇行するように形成されている。
受入口232からユニットケーシング205の内周側の領域に流入するガスは、当該領域に配置されている改質器208に導入される。改質器208では、前述したように部分酸化改質あるいは水蒸気改質が行われ、水素を含む燃料ガスが生成される。この燃料ガスは、上方に接続された燃料ガス供給管203に排出され、燃料ガス供給管203によってセルスタックCSに供給される。セルスタックCSは、供給される燃料ガスによって加熱されて昇温し、あるいは、発電を行う。
一方、燃料電池装置FCの停止工程では、切替バルブ243は、原料ガス供給管240を流れるガスを第2供給管242に流入させるよう設定される。これにより、図4に示すように、燃料ガスを生成するための原料である都市ガスや空気が、第2供給管242によって、水蒸気流路207の途中である直進部207cに流入する。
また、燃料電池装置FCの停止工程では、水供給管201によって水が水蒸発器206に導入される。水蒸発器206に導入された水は、加熱されて水蒸気となり、送出口231から水蒸気流路207に流入する。水蒸気流路207に流入した水蒸気は、直進部207a及び折り返し部207bを通過して直進部207cに流入し、直進部207cにおいて第2供給管242によって流入するガスと合流する。
直進部207cにおいて合流したガスは、次に折返し部207d、直進部207eを通過し、受入口232に至る。受入口232からユニットケーシング205の内周側の領域に流入するガスは、起動工程及び発電工程と同様に、水素を含む燃料ガスとなってセルスタックCSに供給される。セルスタックCSは、供給される燃料ガスによって正極の酸化を防止されながら、冷却されてその温度が低下する。
ここで、水蒸発器206が有する熱は、水蒸発器206で気化する水によって奪われる。このため、水蒸発器206は、燃料電池装置FCの他の要素と比べて低温となる傾向がある。仮に、起動工程や発電工程において、図3に矢印H3で示すように、熱移動空間を介して改質器208から水蒸発器206に輻射や熱伝達によって熱が移動し、改質器208において水蒸気改質に用いることができる熱が減少してしまうと、水素の収率や発電効率の低下を招くおそれがある。
このような課題に対し、本実施形態では、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程において、都市ガスや空気を水蒸発器206に導入することで、隔壁221と隔壁222との間に形成された領域(熱移動空間)を介した改質器208と水蒸発器206との間の熱移動を抑制している。詳述すると、まず、都市ガスや空気が水蒸発器206に導入されると、直進部207aを含む水蒸気流路207全体に都市ガス、空気あるいは水蒸気が流れ、水蒸気流路207を流れるガスの流量が比較的大きなものとなる。すなわち、直進部207aはガスの入れ替わりが著しくなる。
したがって、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程では、直進部207aに存在するガスは、図3に矢印H3で示すように改質器208から水蒸発器206に移動しようとする熱を受けても、温度が上昇し難い。すなわち、改質器208から水蒸発器206に移動しようとする熱にとって、直進部207aを大流量で流れるガスは大きな抵抗となるため、当該熱移動を抑制することが可能となる。概念的には、隔壁221と隔壁222との間に形成された熱移動空間の熱容量が比較的大きくなり、改質器208から水蒸発器206に熱が移動し難くなると考えることもできる。
一方、燃料電池装置FCの停止工程では、水蒸気流路207の途中である直進部207cに都市ガスや空気を流入させることで、隔壁221と隔壁222との間に形成された領域(熱移動空間)を介した改質器208と水蒸発器206との間の熱移動を促している。詳述すると、まず、都市ガスや空気を直進部207cに流入させることにより、直進部207cよりも上流側に位置する直進部207aには、水蒸発器206で発生させた水蒸気のみが流れることとなる。このため、燃料電池装置FCの停止工程では、水蒸気のみならず都市ガスや空気が直進部207aを流れる起動工程及び発電工程に比べて、直進部207aを流れるガスの流量が小さなものとなる。すなわち、直進部207aにおけるガスの入れ替わりが鈍くなる。
したがって、燃料電池装置FCの停止工程では、直進部207aに存在するガスは、図4に矢印H4で示すように、改質器208から水蒸発器206に移動しようとする熱を受けて温度が上昇し易い。すなわち、改質器208から水蒸発器206に移動しようとする熱にとって、直進部207aにおける抵抗が小さくなるため、当該熱移動を促すことが可能となる。概念的には、隔壁221と隔壁222との間に形成された熱移動空間の熱容量が比較的小さくなり、改質器208から水蒸発器206に熱が移動し易くなると考えることもできる。
以上のように、本実施形態では、水蒸気流路207を流れるガスの流れを変更することで、熱移動空間を介した改質器208と水蒸発器206との間の熱移動を調整することができる。燃料電池装置FCの起動工程や発電工程では、改質器208から水蒸発器206への熱移動を抑制することで、改質器208の温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させることが可能となる。また、燃料電池装置FCの停止工程では、改質器208から水蒸発器206への熱移動を促すことで、改質器208の温度を迅速に低下させることが可能となる。
続いて、本発明の第1変形例に係る燃料電池装置FCの改質ユニット202Aについて、図5及び図6を参照しながら説明する。改質ユニット202Aは、前述した実施形態の改質ユニット202に代えて燃料電池装置FCに搭載されるものであり、ケーシング10の第2筒状体102の下円筒部102bと第3筒状体103との間に形成される隙間(第1排出流路502a)に配置されている。
前述した実施形態の改質ユニット202の外形は円環状に形成されているが、本第1変形例の改質ユニット202Aの外形は方形状に形成されている。図5及び図6は、第1筒状体101(図1参照)等の中心軸に沿う平面における改質ユニット202Aの断面を示している。このように、改質ユニット202Aは、その形状が改質ユニット202と異なるが、水蒸発器(206、206A)と改質器(208、208A)とが向き合うように配置され、その間の熱移動空間に蛇行流路である水蒸気流路(207、207A)が設けられるという基本的な構成は、共通のものである。このため、以下では改質ユニット202Aのうち、改質ユニット202と同一の機能を有する構成については、適宜説明を省略する。
図5及び図6に示されるように、改質ユニット202Aのユニットケーシング205Aは、その内部に隔壁221A,222Aが設けられている。隔壁221Aと隔壁222Aとの間の熱移動空間には、さらに、隔壁223A,224Aが設けられている。
隔壁223Aは、その下端がユニットケーシング205Aの下側壁面212Aと所定間隔を空けて連通口233Aを形成するように設けられている。また、隔壁223Aは、その上端がユニットケーシング205Aの上側壁面211Aと所定間隔を空けてバイパス流路207Afを形成するように設けられている。バイパス流路207Afは、送出口231Aと向かい合う位置に形成されている。
ユニットケーシング205Aの上側壁面211Aにはスリット状の孔が形成されており、この孔を介して、シャッター209が水蒸気流路207A内に進退可能に設けられている。シャッター209は、進退することによって、バイパス流路207Afの下流側を閉塞あるいは開放することができる。
水蒸発器206Aは、ユニットケーシング205Aの内部に形成された5つの領域のうち、外周側壁面213Aと隔壁221Aとによって外周側に形成された領域を実質的に専有するように配置されている。水蒸発器206Aが配置されるこの空間には、ユニットケーシング205Aの下側壁面212Aに接続された原料供給管250が連通している。原料供給管250は、炭化水素を含む都市ガスと、空気あるいは水と、をその内部に流す配管である。
次に、図5及び図6を参照しながら、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程と、停止工程と、における改質ユニット202Aの内部のガスの流れについて説明する。
まず、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程では、図5に示すように、シャッター209を水蒸気流路207A内に進出させ、バイパス流路207Afを閉塞するように配置する。また、燃料ガスを生成するための原料である都市ガス、空気あるいは水が、原料供給管250によって水蒸発器206に導入される。都市ガスや空気とともに水が水蒸発器206に導入される場合、水は加熱されて気化し、水蒸気が発生する。
水蒸発器206Aを通過したガスは、送出口231Aから水蒸気流路207Aに流入する。シャッター209によってバイパス流路207Afが閉塞されているため、水蒸気流路207Aに流入したガスは、その全てが隔壁221A及び隔壁223Aに沿って直進部207Aaを下方に流れる。その後、当該ガスは、折返し部207Ab、直進部207Ac、折返し部207Ad、直進部207Aeを順に通過して、受入口232Aに至る。
受入口232Aからユニットケーシング205Aの内周側の領域に流入するガスは、当該領域に配置されている改質器208Aに導入される。改質器208Aでは、部分酸化改質あるいは水蒸気改質が行われ、水素を含む燃料ガスが生成される。この燃料ガスは、上方に接続された燃料ガス供給管203Aに排出され、燃料ガス供給管203AによってセルスタックCSに供給される。セルスタックCSは、供給される燃料ガスによって加熱されて昇温し、あるいは、発電を行う。
一方、燃料電池装置FCの停止工程では、図6に示すように、シャッター209を水蒸気流路207内から退出させ、バイパス流路207Afを開放するように配置する。また、都市ガス、空気あるいは水が、原料供給管250によって水蒸発器206に導入される。都市ガスや空気とともに水が水蒸発器206に導入される場合、水は加熱されて気化し、水蒸気が発生する。
水蒸発器206Aを通過したガスは、送出口231Aから水蒸気流路207Aに流入する。バイパス流路207Afが開放されていることから、水蒸気流路207Aに流入したガスは、その大半がバイパス流路207Afを通過し、残りの一部が隔壁221A及び隔壁223Aに沿って直進部207Aaを下方に流れる。直進部207Aaを下方に流れるガスは、その後、折返し部207Ab、直進部207Acを順に通過し、直進部207Acの下流側端部において、バイパス流路207Afを通過したガスと合流する。直進部207Acの下流側端部において合流したガスは、連通口234Aが設けられた折返し部207Adを通過すると、次に隔壁222A及び隔壁224Aに沿って直進部207Aeを下方に流れ、受入口232Aに至る。すなわち、バイパス流路207Afは、直進部207Aaを下方に流れる流路(主流路)よりも、流路長が小さい流路となっている。
受入口232Aからユニットケーシング205Aの内周側の領域に流入するガスは、起動工程及び発電工程と同様に、水素を含む燃料ガスとなってセルスタックCSに供給される。セルスタックCSは、供給される燃料ガスによって正極の酸化を防止されながら、冷却されてその温度が低下する。
以上のような本第1変形例では、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程において、バイパス流路207Afを閉塞し、送出口231Aから水蒸気流路207Aに流入したガスの全てを直進部207Aaに流すことで、隔壁221Aと隔壁222Aとの間に形成された領域(熱移動空間)を介した、改質器208Aと水蒸発器206Aとの間の熱移動を抑制している。詳述すると、まず、水蒸気流路207Aに流入したガスの全てを直進部207Aaに流すと、直進部207Aaを流れるガスの流量が比較的大きなものとなる。すなわち、直進部207Aaは、ガスの入れ替わりが著しくなる。
したがって、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程では、直進部207Aaに存在するガスは、図5に矢印H5で示すように改質器208Aから水蒸発器206Aに移動しようとする熱を受けても、温度が上昇し難い。すなわち、改質器208から水蒸発器206に移動しようとする熱にとって、この大流量のガスは大きな抵抗となるため、当該熱移動を抑制することが可能となる。概念的には、隔壁221Aと隔壁222Aとの間に形成された熱移動空間の熱容量が比較的大きくなり、改質器208Aから水蒸発器206Aに熱が移動し難くなると考えることもできる。
一方、燃料電池装置FCの停止工程では、バイパス流路207Afを開放し、送出口231Aから水蒸気流路207Aに流入したガスの大半をバイパス流路207Afに通過させることで、隔壁221Aと隔壁222Aとの間に形成された領域(熱移動空間)を介した、改質器208Aと水蒸発器206Aとの間の熱移動を促している。詳述すると、まず、水蒸気流路207Aに流入したガスの大半をバイパス流路207Afに通過させ、残りの一部を直進部207Aaに流すと、全てのガスを直進部207Aaに流す起動工程及び発電工程に比べて、直進部207Aaを流れるガスの流量が小さなものとなる。すなわち、直進部207Aaにおけるガスの入れ替わりが鈍くなる。
したがって、燃料電池装置FCの停止工程では、直進部207Aaに存在するガスは、図6に矢印H6で示すように、改質器208Aから水蒸発器206Aに移動しようとする熱を受けて温度が上昇し易い。すなわち、改質器208Aから水蒸発器206Aに移動しようとする熱にとって、直進部207Aaにおける抵抗が小さくなるため、当該熱移動を促すことが可能となる。概念的には、隔壁221Aと隔壁222Aとの間に形成された熱移動空間の熱容量が比較的小さくなり、改質器208Aから水蒸発器206Aに熱が移動し易くなると考えることもできる。
以上のように、本第1変形例では、バイパス流路207Afにおけるガスの流れを変更することで、改質器208Aから水蒸発器206Aへの熱移動を調整することができる。燃料電池装置FCの起動工程や発電工程では、改質器208Aから水蒸発器206Aへの熱移動を抑制することで、改質器208Aの温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させることが可能となる。また、燃料電池装置FCの停止工程では、上記熱移動を促すことで、改質器208Aの温度を迅速に低下させることが可能となる。
続いて、本発明の第2変形例に係る燃料電池装置FCの改質ユニット202Bについて、図7及び図8を参照しながら説明する。改質ユニット202Bは、前述した実施形態の改質ユニット202に代えて燃料電池装置FCに搭載されるものであり、ケーシング10の第2筒状体102の下円筒部102bと第3筒状体103との間に形成される隙間(第1排出流路502a)に配置されている。
本第1変形例の改質ユニット202Bの外形も、前述した第1変形例の改質ユニット202Aと同様に、方形状に形成されている。図7及び図8は、第1筒状体101(図1参照)等の中心軸に沿う平面における改質ユニット202Bの断面を示している。改質ユニット202Bは、水蒸発器(206A、206B)と改質器(208A、208B)とが向き合うように配置され、その間の熱移動空間に蛇行流路である水蒸気流路(207A、207B)が設けられるという基本的な構成の点で、改質ユニットAと共通している。このため、以下では改質ユニット202Bのうち、改質ユニット202Aと同一の機能を有する構成については、適宜説明を省略する。
図7及び図8に示されるように、改質ユニット202Bのユニットケーシング205Bは、その内部に隔壁221B,222Bが設けられている。この隔壁221B,222Bにより、ユニットケーシング205Bの内部は、3つの領域に区画されている。
ユニットケーシング205Bの上側壁面211Bの一部であって、隔壁221B,222Bの間に位置する部分は、伸縮壁261で構成されている。また、ユニットケーシング205Bの下側壁面212Bの一部であって、隔壁221B,222Bの間に位置する部分は、伸縮壁262で構成されている。伸縮壁261及び伸縮壁262は、図示しないアクチュエータが駆動することで伸縮可能に構成されている。
次に、図7及び図8を参照しながら、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程と、停止工程と、における改質ユニット202Bの内部のガスの流れについて説明する。
まず、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程では、図7に示すように、伸縮壁261及び伸縮壁262を伸展させるようにアクチュエータを駆動させる。これにより、隔壁221Bと隔壁222Bとの間に形成された領域(熱移動空間)の容積が比較的大きくなるとともに、水蒸発器206Bと改質器208Bとが離反される。また、燃料ガスを生成するための原料である都市ガス、空気あるいは水が、原料供給管250によって水蒸発器206Bに導入される。都市ガスや空気とともに水が水蒸発器206Bに導入される場合、水は加熱されて気化し、水蒸気が発生する。
水蒸発器206Bを通過したガスは、送出口231Bから水蒸気流路207Bに流入する。このガスは、隔壁221B及び隔壁223Bに沿って流れ、受入口232Bに至る。
受入口232Bからユニットケーシング205Aの内周側の領域に流入するガスは、当該領域に配置されている改質器208Bに導入される。改質器208Bでは、部分酸化改質あるいは水蒸気改質が行われ、水素を含む燃料ガスが生成される。この燃料ガスは、上方に接続された燃料ガス供給管203Bに排出され、燃料ガス供給管203BによってセルスタックCSに供給される。セルスタックCSは、供給される燃料ガスによって加熱されて昇温し、あるいは、発電を行う。
一方、燃料電池装置FCの停止工程では、図8に示すように、伸縮壁261及び伸縮壁262を縮小させるようにアクチュエータを駆動させる。これにより、隔壁221B,222Bとの間に形成された領域(熱移動空間)の容積が比較的小さくなるとともに、水蒸発器206Bと改質器208Bとが接近する。都市ガスや空気とともに水が水蒸発器206Bに導入される場合、水は加熱されて気化し、水蒸気が発生する。
水蒸発器206Bを通過したガスは、送出口231Bから水蒸気流路207Bに流入する。このガスは、隔壁221B及び隔壁223Bに沿って流れ、受入口232Bに至る。
受入口232Bからユニットケーシング205Bの内周側の領域に流入するガスは、起動工程及び発電工程と同様に、水素を含む燃料ガスとなってセルスタックCSに供給される。セルスタックCSは、供給される燃料ガスによって正極の酸化を防止されながら、冷却されてその温度が低下する。
以上のような本第2変形例では、燃料電池装置FCの起動工程及び発電工程において、伸縮壁261及び伸縮壁262を伸展させ、水蒸発器206Bと改質器208Bとを離反させることで、隔壁221Bと隔壁222Bとの間に形成された領域(熱移動空間)を介した、改質器208Bと水蒸発器206Bとの間の熱移動を抑制している。つまり、水蒸発器206Bと改質器208Bとを離反させることで、図7に矢印H7で示すように、改質器208Bから水蒸発器206Bへの熱の移動経路が長くなるため、当該熱移動を抑制することが可能となる。概念的には、隔壁221Bと隔壁222Bとの間に形成された熱移動空間の熱容量が比較的大きくなり、改質器208Bから水蒸発器206Bに熱が移動し難くなると考えることもできる。
一方、燃料電池装置FCの停止工程では、伸縮壁261及び伸縮壁262を縮小させ、水蒸発器206Bと改質器208Bとを接近させることで、隔壁221Bと隔壁222Bとの間に形成された領域(熱移動空間)を介した、改質器208Bと水蒸発器206Bとの間の熱移動を促している。つまり、水蒸発器206Bと改質器208Bとを接近させることで、図8に矢印H8で示すように、改質器208Bから水蒸発器206Bへの熱の移動経路が短くなるため、当該熱移動を促すことが可能となる。概念的には、隔壁221Bと隔壁222Bとの間に形成された熱移動空間の熱容量が比較的小さくなり、改質器208Bから水蒸発器206Bに熱が移動し易くなると考えることもできる。
以上のように、本第2変形例では、改質器208Bと水蒸発器206Bとを離反あるいは接近させることで、改質器208Aから水蒸発器206Aへの熱移動を調整することができる。燃料電池装置FCの起動工程や発電工程では、改質器208Bから水蒸発器206Bへの熱移動を抑制することで、改質器208Bの温度を迅速に上昇あるいは高温に維持させることが可能となる。また、燃料電池装置FCの停止工程では、上記熱移動を促すことで、改質器208Bの温度を迅速に低下させることが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
FC:燃料電池装置
CS:セルスタック
206,206A,206B:水蒸発器
207,207A,207B:水蒸気流路
207Aa:直進部(主流路)
207Af:バイパス流路
208,208A,208B:改質器
209:シャッター(バルブ)
231,231A,231B:送出口
232,232A,232B:送出口
242:第2供給管(被改質ガス導入部)
CS:セルスタック
206,206A,206B:水蒸発器
207,207A,207B:水蒸気流路
207Aa:直進部(主流路)
207Af:バイパス流路
208,208A,208B:改質器
209:シャッター(バルブ)
231,231A,231B:送出口
232,232A,232B:送出口
242:第2供給管(被改質ガス導入部)
Claims (5)
- 燃料電池装置(FC)であって、
水を加熱して水蒸気を発生させると共にその発生させた水蒸気を送り出す送出口(231,231A,231B)を有する水蒸発器(206,206A,206B)と、
前記水蒸発器と向き合うように配置され、水蒸気を受け入れる受入口(232,232A,232B)を有し、被改質ガスを水蒸気改質して燃料ガスとする改質器(208,208A,208B)と、
前記送出口と前記受入口とを繋ぐ水蒸気流路(207,207A,208B)と、
燃料ガス及び酸化剤ガスが供給され、電気化学反応によって電力を発生させるセルスタック(CS)と、を備え、
前記送出口及び前記受入口は、前記改質器と前記水蒸発器との間に形成される熱移動空間に臨むように形成され、
前記水蒸気流路は、前記熱移動空間において前記送出口と前記受入口とを繋いでおり、
前記熱移動空間を介した前記改質器と前記水蒸発器との間の熱移動を調整する熱移動調整手段を備えている、ことを特徴とする燃料電池装置。 - 前記熱移動調整手段は、前記水蒸気流路の少なくとも一部におけるガスの流量を変更することにより前記改質器と前記水蒸発器との間の熱移動を調整する、請求項1に記載の燃料電池装置。
- 前記熱移動調整手段は、前記水蒸気流路の途中に被改質ガスを導入する被改質ガス導入部(242)を有している、請求項2に記載の燃料電池装置。
- 前記熱移動調整手段は、前記水蒸気流路の流路長を変更する変更機構を有している、請求項2に記載の燃料電池装置。
- 前記水蒸気流路は、主流路と、前記主流路から分岐し前記主流路よりも流路長が小さいバイパス流路(207Af)と、を有し、
前記熱移動調整手段は、前記バイパス流路を開閉するバルブ(209)を有している、請求項4に記載の燃料電池装置。
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- 2014-07-22 JP JP2014149174A patent/JP2016025003A/ja active Pending
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