JP2016023135A - 新規ピリミジン誘導体及びそれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

新規ピリミジン誘導体及びそれを用いた有機電界発光素子 Download PDF

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成伸 平野
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Toshiya Kosaka
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Abstract

【課題】有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現する新規なピリミジン誘導体及びそれを用いた有機EL素子を提供すること。【解決手段】下記一般式(I)で示されるピリミジン誘導体。(R1乃至R18は水素原子またはハロゲン原子または一価の置換基である。Xは水素またはハロゲン原子または一価の置換基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規な4,6−フェニルピリジルピリミジン誘導体およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機EL素子は、電極から注入されたホールと電極の再結合によって生成した励起エネルギーが発光過程を経て基底状態に緩和されることにより自発光する。しかしながら、ホールと電子の再結合によって生成する励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大で25%であるので、この時取り出し効率を20%とすると、最大外部量子効率は5%が理論限界であった。
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い三重項励起状態からの発光、すなわちリン光発光を用いることにより発光効率の向上が報告されるようになった(例えば、非特許文献1(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest APPLIED PHYSICS LETTER 1999 75(1) 4−7))。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用することで最大内部量子効率は理論上100%に到達することが可能で、リン光材料は発光材料として注目を浴びている。
例えば緑色材料として、下記式に示すトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[Ir(ppy)3]が広く利用されている。
Figure 2016023135
また安達らによる非特許文献2(Appl.Phys.Lett.,79, 2082(2001))などにより青色発光材料である下記式で示すビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
Figure 2016023135
で示すビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
その結果最近ではM.E.Thompsonらによる非特許文献4(Polyhedron 23 (2004) 419−428)では下記式で示すビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)が開発された。
Figure 2016023135
これら発光材料を効率よく発光させるにはホールと電子の注入バランスを整えて、発光層の中で十分にこれらのキャリアの結合が行えるようにホール輸送剤や電子輸送剤などを選択しなければならない。
特に青色リン光材料についてはエネルギーギャップ(三重項準位T1)が大きいためにワイドギャップ化されたホール輸送剤や電子輸送剤が必要になってくる。現在これらリン光材料については、電子輸送材料に従来から使用されているAlq3〔トリス(8−キノリノラト)アルミニウム〕やBAlq2〔ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムp−フェニルフェノラート〕等が使用されているが、リン光材料に使用するには十分なエネルギーギャップを持ち合わせておらず、これらを用いた場合発光層からのエネルギー損失が発生する。そのため、新規なワイドギャップな電子輸送材料の開発が必要である。近年、電子欠乏性の複素環であるピリジン環やピリミジン環あるいはトリアジン環を導入した電子輸送性材料の開発が進められている。中でも、スターバースト状の分子や、その分子骨格全体を屈曲させた構造の材料が非晶質かつワイドバンドギャップを実現できるものとして広く用いられている。例えば、特許文献1(特開2012−74711号公報)には、下記構造のトリフェニルベンゼンを中心骨格とした材料が開示されている。
Figure 2016023135
トリフェニルベンゼン骨格はビフェニル部位の水素原子同士の立体反発により、分子自体が一定のねじれた構造を有するため結晶性が低く、溶解性も一定以上担保できるという特徴があるが、ガラス転移点が十分に高いとはいえず、また電子欠乏性の環の割合が低いため、電子移動度、電子注入の観点からは不十分であった。
また、特許文献2(特開2013−48192号公報)には、下記トリアジン誘導体が開示されている。
Figure 2016023135
上記のようにトリアジンは良好な電子欠乏性の環であるが、水素原子を有しないため、フェニル基と結合させた場合の二面角がほぼ0度となるため、分子の平面性が高くなりすぎ、結晶性が高く、また溶解性が非常に低くなることが問題であった。
また、非特許文献5には、下記ピリミジン誘導体が開示されている。
Figure 2016023135
ピリミジン環はトリアジンと同様、良好な電子欠乏性の環であり、2,4,6位に置換した分子においても5位の水素の存在により、4, 6位において立体反発によるねじれが生じるため、分子の平面性が高くなりすぎることが無い。加えて、ピリジン環をm位に複数置換し分岐させることで、非晶質性、溶解性の点でより優れたものが得られている。
しかしながら上記の材料のいずれも耐久性、キャリア移動度、溶解性などの諸特性が未だ不十分であり、さらなる改良が求められていた。
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現する新規なピリミジン誘導体及びそれを用いた有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、前記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
即ち、上記課題は、つぎの(1)に記載の「ピリミジン誘導体」によって解決される。
(1)「下記一般式(I)で示されるピリミジン誘導体;
Figure 2016023135
(R乃至R18は水素原子またはハロゲン原子または一価の置換基である。Xは水素またはハロゲン原子または一価の置換基である。)。」
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明は、有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現する新規なピリミジン誘導体及びそれを用いた有機EL素子を提供できるという極めて優れた効果を奏するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は上記(1)に記載の「ピリミジン誘導体」に係るものであるが、この「ピリミジン誘導体」は、つぎの(2)〜(3)記載の「ピリミジン誘導体」及び(4)〜(5)記載の「有機電界発光素子」の態様を包含するものであるので、これら(2)〜(5)記載の「ピリミジン誘導体」、「有機電界発光素子」についても併せて詳細に説明する。
(2)「前記Xが水素原子、ハロゲン原子または置換されても良いアルキル基またはアリール基またはヘテロアリール基であることを特徴とする前記(1)に記載のピリミジン誘導体。」
(3)「前記置換されても良いアルキル基またはアリール基またはヘテロアリール基は炭素数1−30であることを特徴とする前記(2)に記載のピリミジン誘導体」、
(4)「前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のピリミジン誘導体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。」
(5)「前記ピリミジン誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする前記(4)に記載の有機電界発光素子。」
[ピリミジン誘導体]
まず、本発明の下記一般式(I)の構造を有するピリミジン誘導体について以下に詳細に説明する。
Figure 2016023135
(R1乃至R18は水素原子またはハロゲン原子または一価の置換基である。Xは水素またはハロゲン原子または一価の置換基である。)
上記R1乃至R18およびXについて、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、一価の置換基としては、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、アミド基、チオール基、スルホニル基、ホスホニル基、シリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基等が挙げられる。
アルキル基(好ましくは置換または無置換の炭素数1以上のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基)、シクロアルキル基(好ましくは置換または無置換の炭素数3以上のアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ペンタフルオロシクロヘキシル基)が含まれる。
以下に説明する置換基においても、アルキル基は上記概念のアルキル基を示す。
アルケニル基は直鎖または分岐または環状の置換または無置換のアルケニル基を表す。
それらは、アルケニル基(好ましくは置換または無置換の炭素数2以上のアルケニル基であり、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上二重結合としたものが挙げられる。
例えばエテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、1,1,1−トリフルオロ−2−ブテニル基、シクロアルケニル基(上記した炭素数2以上のシクロアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上二重結合としたもの)が挙げられる。 例えば、1−シクロアリル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、1−シクロヘプテニル基、2−シクロヘプテニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロヘプテニル基、3−フルオロ-1-シクロヘキセニル基等)が挙げられる。
なお、該アルケニル基はトランス(E)体及びシス(Z)体等の立体異性体が存在する場合は、その何れであってもよく、またそれらの任意の割合の混合物であってもよい。
アルキニル基(好ましくは置換または無置換の炭素数2以上のアルキニル基であり、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上三重結合としたものが挙げられる。
例えば、エチニル基、プロパギル基、トリメチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基)が挙げられる。)
アリール基としては、好ましくは置換または無置換の炭素数6以上のアリール基であり、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ペンタセンなどの縮合多環系化合物由来の基、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニルなどの多環化合物由来の基が挙げられ、上記の化合物から水素を一つ取り去ったものを置換基として挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物(好ましくは5または6員の置換または無置換のヘテロ環化合物であり、ピリジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、イミダゾール等)由来の基が挙げられる。
ヘテロアリール基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物由来の基であり)、例えば、2−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−チエノチエニル、−2−ベンゾチエニル2−ピリミジル等が挙げられ、上記の化合物から水素を一つ取り去ったものを置換基として挙げることができる。
アルコキシル基およびチオアルコキシル基(好ましくは置換または無置換のアルコキシル基およびチオアルコキシル基であり、上記に例示したアルキル基およびアルケニル基およびアルキニル基の結合位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアルコキシ基あるいはチオアルコキシ基としたもの)が具体例として挙げられる。
アリールオキシ基およびチオアリールオキシ基[好ましくは置換または無置換のアリールオキシ基およびアリールチオオキシ基であり、上記に例示したアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアリールオキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる]。
ヘテロアリールオキシ基およびヘテロチオアリールオキシ基(好ましくは置換または無置換のヘテロアリールオキシ基およびヘテロアリールチオオキシ基であり、上記に例示したヘテロアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してヘテロアリールオキシ基あるいはヘテロアリールチオアリールオキシ基としたもの)が具体例として挙げられる)
アミノ基[(好ましくは、アミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)等が挙げられる)]が挙げられる。
Xは、水素またはハロゲン原子または一価の置換基であるが、好ましくは水素または一価の置換基であり、より好ましくは上記一価の置換基である。一価の置換基のうち、好ましくは、置換されても良いアルキル基またはアリール基またはヘテロアリール基である。
キャリア輸送の観点からは、Xとしては電子求引基あるいは電子欠乏性のアリール基またはヘテロアリール基が好ましい。未だ定かではないが、ピリミジン環の電子密度を下げることで分子全体の最低空軌道(LUMO)が低下するため、電極とのエネルギー障壁が低減できるため、素子性能が改善されることが期待される。
そのような置換基としては、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、4−シアノフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、ピリジニル基、フェニルピリジニル基、ピリミジル基などが挙げられる。
[ピリミジン誘導体の合成]
以下、本発明のピリミジン誘導体の合成方法について詳細に説明する。
本発明のピリミジン誘導体は下記一般式(II−I)で示される4,6−ジハロゲン化ピリミジン中間体あるいは一般式(II−II)で示される2,4,6−トリハロゲン化ピリミジン誘導体と一般式(III)で示されるフェニルピリミジン誘導体との、触媒を用いた公知のクロスカップリング反応によって得られる。クロスカップリング反応としては、ボロン酸またはボロン酸エステルと塩基を用いるSuzuki-Miyauraクロスカップリング反応や有機スズ誘導体を用いるStilleカップリング反応、有機亜鉛試薬を用いるNegisiカップリング反応を用いることができる。好ましくはSuzukiカップリング反応である。
Figure 2016023135
(上記式(II−I)中、Halはハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)を示す。Xはハロゲン原子以外の一価の置換基である。)
Figure 2016023135
Figure 2016023135
(上記一般式中R1乃至R4およびR9乃至R12については前述と同様の範囲である。Yはボロン酸あるいはボロン酸エステル類またはハロゲンとクロスカップリング可能な官能基(トリアルキルスタニル基、ZnBr基などが挙げられる)を表す。
フェニルピリジンが3置換したスターバースト状の誘導体を得るには、一般式(II−II)で示される2,4,6−トリハロゲン化ピリミジンと一般式(III)で示されるフェニルピリジン誘導体を用いてクロスカップリング反応を行えば良い。
4,6位にフェニルピリジン誘導体が2置換した誘導体を得るには、まずXに所望の置換基を有する一般式(II−I)で示されるジハロゲン化ピリミジン誘導体と一般式(III)で示されるフェニルピリジン誘導体とのクロスカップリング反応を行えば良い。
または2,4,6−トリハロゲン化ピリミジン誘導体(好ましくは3つのハロゲンが全て同一であるか、2位が塩素原子であり、4,6位が臭素原子であることまたは2位が臭素原子で4,6位がヨウ素原子であること)に対して概ね2当量の一般式(III)で示されるフェニルピリジン誘導体を反応させれば良い。
ピリミジンの反応性は2位よりも4,6位が活性であり、反応温度、溶液濃度を制御することで高い収率で4,6位にのみ置換反応を起こすことが可能である。また4,6位のいずれか片方に導入した後、もう片一方に入れることで4,6位に異なる置換基を導入することもできる。
その後に、2位のハロゲンと所望の官能基を有するボロン酸誘導体または有機スズ誘導体、有機亜鉛試薬などをクロスカップリング反応で導入することで、2,4,6位にそれぞれ異なる官能基を導入することができる。
前記有機スズ官能基としては、SnMe基やSnBu基などのアルキルスズ基を有する誘導体を用いることができる。
また、ボロン酸誘導体としては、ボロン酸のほか、熱的に安定で、空気中で容易に扱えるビス(ピナコラト)ジボロンを用いハロゲン化誘導体から合成されるボロン酸エステルを用いてもよい。
上述のとおり、ピリミジン誘導体あるいはフェニルピリジン誘導体のどちらがハロゲンおよびトリフラート体またはボロン酸誘導体および有機スズ誘導体であっても構わないが、誘導体化の容易さや副反応を減らすという意味では、フェニルピリジン誘導体の方をボロン酸誘導体および有機スズ誘導体とした方が良い場合が多い。
Stilleカップリング反応においては、特に塩基は不要であるが、Suzukiカップリング反応においては塩基が必ず必要となり、Na2CO3、NaHCOなどの比較的弱い塩基が良好な結果を与える。
立体障害等の影響を受ける場合には、Ba(OH)2やK3PO4、NaOHなどの強塩基が有効である。
その他、苛性カリ、金属アルコシド等、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシドなども用いることができる。
トリエチルアミン等の有機塩基も用いることができる。
パラジウム触媒としては例えばパラジウムブロマイド、パラジウムクロライド、パラジウムヨージド、パラジウムシアニド、パラジウムアセテート、パラジウムトリフルオロアセテート、パラジウムアセチルアセトナト[Pd(acac)2 ]、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(OAc)2(PPh32]、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34]、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム[Pd(CH3CN)2Cl2 ]、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム[Pd(PhCN)2Cl2]、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム[Pd(dppe)Cl2]、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム[Pd(dppf)Cl2]、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム〔Pd[P(C61132 Cl2〕、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh32 Cl2 ]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム[Pd2 (dba)3]、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)2]、等が挙げられるが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34]、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム[Pd(dppe)Cl2]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh32 Cl2]等のホスフィン系触媒が好ましい。
上記の他にパラジウム触媒として、反応系中においてパラジウム錯体と配位子の反応により合成されるパラジウム触媒を用いることができる。
配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリス(n−ブチル)ホスフィン、トリス(tert−ブチル)ホスフィン、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィン、トリス(i−プロピル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−メチルビフェニル、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノブタン、ジフェニルホスフィノエチレン、ジフェニルホスフィノフェロセン、エチレンジアミン、N,N’,N’’,N’’’−テトラメチルエチレンジアミン、2,2’−ビピリジル、1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ジメチルジヒドロイミダゾリリデン、ジエチルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデンが挙げられ、これらの配位子のいずれかが配位したパラジウム触媒をクロスカップリング触媒として用いることができる。
反応溶媒としては、原料と反応し得るような官能基を有さず、かつ原料を適度に溶解させられることができるようなものが望ましく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコールおよびエーテル系、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の他、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等をあげることができる。
これらの溶媒は単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
またこれらの溶媒はあらかじめ乾燥、脱気処理を行うことが望ましい。
上記反応の温度は、用いる原料の反応性、また、反応溶媒により適宜設定され、通常0℃〜200℃の範囲で行うことが可能であるが、いずれの場合も上限としては溶媒の沸点以下に抑えることが好ましい。
下限としては、溶媒の融点までで行うことができるが、あまりに低温にしすぎても反応速度が著しく低下し好ましくない。
以上の観点から具体的には0℃〜150℃の範囲が好ましく、特に好ましくは0℃〜100℃の範囲が好ましく、もっとも好ましくは室温〜80℃である。
上記反応における反応時間は、用いる原料の反応性において適宜設定することができ、1〜72時間が好適であり、さらには、1〜24時間がより好ましい。
以上のようにして得られた化合物は、反応に使用した触媒、未反応の原料、又反応時に副生するボロン酸塩、有機スズ誘導体等の不純物を除去して使用される。
これらの精製は再沈澱法、カラムクロマト法、吸着法、抽出法(ソックスレー抽出法を含む)、限外濾過法、透析法、触媒を除くためのスカベンジャーの使用等をはじめとする従来公知の方法を使用できる。
以下に本発明のピリミジン誘導体の一例を例示するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
Figure 2016023135
Figure 2016023135
[有機EL素子]
本発明のピリミジン誘導体は、電子輸送媒体として好適であり、その応用例として有機EL材料として好適である。以下に、その応用例としての有機EL素子について説明する。
本発明の化合物を用いて有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
(基板)
有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、好ましくは、表面平滑性、防水性等に優れたガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
陽極は特に限定されないが、陽極の役割は正孔を正孔輸送層などの有機層に注入することであり、仕事関数が大きいものが好ましい。陽極材料としてはニッケル、金、白金、パラジウムやこれらの合金、或いは酸化スズ(SnO)、アクセプター性不純物を含んだ酸化亜鉛(ZnO)、沃化銅などの仕事関数の大きな金属やそれらの合金、化合物、更には、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール等の導電性ポリマーなどを用いることができる。陽極2に用いることができる透明導電材料としては、例えば、導電性、光透過性、エッチング加工性等を考慮し、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)により形成された透明電極等を好適に使用することができる。
その他、インジウム亜鉛酸化物(IZO:In−ZnO)等もあげることができる。また例えば、銀電極など反射電極上に上記透明導電材料を積層した構造を用いても良い。さらに、膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。もっとも、一重項励起子および三重項励起子を十分に閉じ込めることができなくても、高い発光効率を得ることが可能な場合もあるため、高い発光効率を実現しうるホスト材料であれば特に制約なく本発明に用いることができる。有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の少なくとも一方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光層中における発光材料の含有量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
ゲスト材料として使用する蛍光またはリン光材料は特に制限されるものではなく、例えば、蛍光材料としては、例えば、ペリレン誘導体、ルブレン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体等を挙げることができる。この中では、ジスチリルアリーレン誘導体を好ましく用いることができ、この誘導体の例として、ジフェニルアミノビニルアリーレンを挙げることができる。また、リン光材料としては、イリジウム錯体を好適に使用することができる。イリジウム錯体としては、例えば、緑色の発光色を得ることができるトリス−(2−フエニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、赤色の発光色を得ることができるビス(2−(2−ベンゾ4,5−アチエニルピリジナト−N,C3)イリジウムアセチルアセネート(Btp2Iracac)、青色の発光色を得ることができるビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フエニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム III(FIrpic)を挙げることができる。
遅延蛍光材料としては、1,2,3,5-tetrakis(carbazol-9-yl)-4,6-dicyanobenzene (4CzIPN)や
phenoxazine-triphenyltriazine誘導体(PXZ-TRZ)などのドナーアクセプター構造を有する化合物が好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。具体的には、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフエニルベンジリジディジン(α−NPD)、4,4’,4’’−トリス[3−メチルフエニル(フエニル)−アミノ]トリフエニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4’’−トリス[2−ナフチル(フエニル)アミノ]トリフエニルアミン(2−TNATA)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフエニルアミン(TCTA)、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジフエニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−TAD)、N,N’−ジフエニル−p−フエニレンジアミン(DPPD)等を挙げることできる。これらの正孔輸送材料は、単独で用いてもよく、或いは、二種以上を組合せて用いてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。電子輸送材料として例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(Alq3)を挙げることができる。更に、電子輸送材料として、Alq3の他に、オキサジアゾール誘導体(例えば、2−(4’−t−ブチルフエニル)−5−(4’’−フエニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD))、二量化、スターバースト化されたオキサジアゾール誘導体を挙げることができる。これらの化合物は一種で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、本発明の化合物をいずれの有機層に適用してもよい。例えば、上記の注入層、阻止層、正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層、正孔輸送層、電子輸送層などに本発明を適用することが可能である。
なお、発光層のみならず、キャリア輸送層、注入層にもドーピングを行ってもよい。例えば、正孔輸送層にルブレンをドーピングすることによってルブレンから発光が観測され、素子の発光効率が向上する。また、キャリア輸送層、注入層へのドーピングにより、素子の長寿命化、耐久性の向上等の効果を得ることができる。
図1に模式的に示した有機EL素子は公知の製造方法により製造することができ特に製造方法は限定されない。例えば、真空蒸着法(熱蒸着法)、スピンキャスト法によるコーティング(スピンコート法)、ソルベントキャスト法等を好適に用いることができる。
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明を利用して製造した有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常の蒸着法で製造した場合と同等の発光性能を示す。その一方で、本発明を利用すればマスクを準備する必要がないため、極めて簡便かつ安価に製造することができる。また本発明によれば、レーザー等によるパターン状の加熱態様を速やかに変更することができるため、パターニングの態様の変更を極めて容易に行うことができるという利点もある。したがって、本発明を利用するメリットは極めて大きい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以下に実施例(合成実施例およびEL素子実施例)を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。化合物の同定は、1H NMR(JEOL社製、500MHz)またはMS(Waters社製, LCT-Premier, ASAPプローブ)にて行った。本実施例で用いた中間体は、市販品あるいは公知の方法で合成した物を用いた。なお、発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)、分光放射計(トプコン社製:SR−3)を用いて行った。なお、各実施例(合成実施例およびEL素子実施例)中の化合物番号は、表1中のピリミジン誘導体化合物例番号の略である。
[実施例1;合成実施例1(化合物例(1)の合成)]
Figure 2016023135
フラスコに4,6−ジクロロピリミジン(1.49g,10mmol)を入れ、アルゴンガスで置換を行った後、アルゴンガスで脱気したジオキサン(120mL)、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(20mmol,5.6g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(0.2 mmol,140mg)を加えた1。溶液をアルゴンガスでバブリングした後、2M炭酸カリウム水溶液(40mL)を加え、100℃で8時間加熱撹拌を行った。内容物をセライト濾過し、ろ液に水、クロロホルムを加えて有機層を分離した後、水層をクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ液を濃縮し、粗体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム/メタノール)で精製し、得られた固体をクロロホルム/ヘキサンで洗浄し、濾取した固体を真空乾燥させ、淡黄色の固体として目的物を得た(収量1.58g, 収率41%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 9.39 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.73 (dd, J1 = 4.6 Hz, J2 = 2.2 Hz, 4H), 8.32 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 8.22 (d, J= 1.2 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.60 (dd, J1 = 4.6 Hz, J2 = 1.2 Hz, 4H)
MS(ASAP) m/z: [M]+ 386.5
NMRおよびMSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例2;合成実施例2(化合物例(15)の合成)]
Figure 2016023135
実施例1の4,6−ジクロロピリミジンを2,4,6−トリクロロピリミジンへ変えた以外は実施例1と同様にして、反応、精製を行い淡黄色の固体として化合物1(15)を得た。
収量1.17g,収率72%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 8.87 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.75-8.72 (m, 6H), 8.15 (s, 1H),8.46 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.89- 7.85 (m, 6H), 7.64-7.61 (m, 6H)
MS(ASAP) m/z: [M]+ 539.2
NMRおよびMSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例3;合成実施例3(化合物例(2)の合成)]
Figure 2016023135
2,4,6−トリクロロピリミジンを4,6−ジクロロ-2-メチルピリミジンに変えた以外は実施例1と同様にして、反応、精製を行い淡黄色の固体として化合物(2)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 8.73 (dd, J1 = 4.6 Hz, J2 = 2.2 Hz, 4H), 8.32 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 8.22 (d, J= 1.2 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.60 (dd, J1 = 4.6 Hz, J2 = 1.2 Hz, 4H), 2.44 (s, 3H)
MS(ASAP) m/z: [M]+ 400.2
NMRおよびMSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例4;合成実施例4(化合物例(14)の合成)]
Figure 2016023135
フラスコに2,4,6−トリクロロピリミジン(732mg,4.0mmol)を入れ、アルゴンガスで置換を行った後、アルゴンガスで脱気したジオキサン(60mL)、下記構造式(28)で表される4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(8.0 mmol,2.26g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(0.3mmol,210mg)を加えた。
Figure 2016023135
溶液をアルゴンガスでバブリングした後、 2 M K2CO3(20mL)を加え、50℃で4時間加熱撹拌を行った。次に4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(4mmol,820mg)を加えて、100℃で4時間加熱撹拌を行った。続けて内容物をセライトろ過し、ろ液に水、クロロホルムを加えて有機層を分離した後、水層をクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ液を濃縮し、粗体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム/メタノール)で精製し、濃縮後得られた固体を真空乾燥させ、淡黄色の固体として目的物を得た(収量1.13g,収率61%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 8.87 (dd, J1 = 4.7 Hz, J2 = 1.7 Hz, 2H), 8.75 (dd, J1 = 4.0 Hz, J2 = 1.7 Hz, 4H), 8.58 (dd, J1 = 4.7 Hz, J2 = 1.7 Hz, 2H), 8.45 (dt J1 = 8.0 Hz, J2 = 1.7 Hz, 4H), 8.21 (s, 1H), 7.88 (dd, J1 = 8.6 Hz, J2 = 1.7 Hz, 4H), 7.61 (dd, J1 = 4.7 Hz, J2 = 1.7 Hz, 4H)
MS(ASAP) m/z: [M]+ 462.2
NMRおよびMSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例5;合成実施例5(化合物(7)の合成)]
Figure 2016023135
実施例4において、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステルをフェニルボロン酸へ変更した以外は同様に反応および精製を行い、淡黄色の固体として化合物(7)を得た(収量1.23g, 収率60%)。
MS(ASAP) m/z: [M]+ 462.2
MSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例6;合成実施例6(化合物(8)の合成)]
Figure 2016023135
実施例4において、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸へ変更した以外は同様に反応および精製を行い、淡き色の固体として化合物(8)を得た。収量1.74g,収率71%。
MS(ASAP) m/z: [M]+ 530.2
MSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例7;合成実施例7(化合物(9)の合成)]
Figure 2016023135
実施例4において、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを4−(シアノ)フェニルボロン酸へ変更した以外は同様に反応および精製を行い、淡黄色の固体として化合物(9)を得た。収量0.74g, 収率37%。
MS(ASAP) m/z: [M]+ 487.2
MSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例8;合成実施例8(化合物(10)の合成)]
Figure 2016023135
実施例4において、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを4−(2,6−ジフルオロ)フェニルボロン酸へ変更した以外は同様に反応および精製を行い、淡黄色の固体として化合物(10)を得た。収量0.54g, 収率31%。
MS(ASAP) m/z: [M]+ 498.2
MSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
[実施例9;合成実施例9(化合物(12)の合成)]
Figure 2016023135
実施例4において、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを下記構造式(29)の化合物(4−(ボロン酸ピナコールエステル)ベンジルジホスホン酸)へ変更した以外は同様に反応および精製を行い、淡黄色のアモルファス状固体として化合物(12)を得た。収量1.22g, 収率75 %。
MS(ASAP) m/z: [M]+ 612.2。
MSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
Figure 2016023135
[実施例10;合成実施例10(化合物(13)の合成)]
Figure 2016023135
実施例4の合成において、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを下記構造式(30)の化合物(4−(ボロン酸ピナコールエステル)フエニルエチルジホスホン酸)へ変更した以外は同様に反応および精製を行い、淡黄色のアモルファス状化合物(13)を得た。
収量1.86g, 収率74%。
Figure 2016023135
MS(ASAP) m/z: [M]+ 626.2
MSにより、得られた化合物が目的とする化合物であることが確認できた。
Tg(ガラス転移温度)については、DSC(Diffirential Scanning Calorimeter 示差熱量計)中にサンプルを加え、溶融させたものを急冷し、2〜3回繰り返すとガラス転移を表すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用した。
ガラス転移温度については、化合物9(12),(13)を除いていずれも観測されなかった。
[実施例11;(有機EL素子2の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子2を作製した。電子輸送層として実施例1で合成した化合物1を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物1,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例12;(有機EL素子2の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子2を作製した。電子輸送層として実施例2で合成した化合物15を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物15,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例13;(有機EL素子3の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子3を作製した。電子輸送層として実施例3で合成した化合物2を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物2,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例14;(有機EL素子4の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子4を作製した。電子輸送層として実施例4で合成した化合物14を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物14,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例15;(有機EL素子5の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子5を作製した。電子輸送層として実施例5で合成した化合物7を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物7,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例16;(有機EL素子6の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子6を作製した。電子輸送層として実施例6で合成した化合物8を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物8,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例17;(有機EL素子7の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子7を作製した。電子輸送層として実施例7で合成した化合物9を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物9,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例18;(有機EL素子8の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子8を作製した。電子輸送層として実施例8で合成した化合物10を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物10,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例19;(有機EL素子9の制作例)]
下記の素子構成で有機EL素子を作製した。電子輸送層として実施例9で合成した化合物12を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物12,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[実施例20;(有機EL素子10の制作例)]
(実施例20)
下記の素子構成で有機EL素子10を作製した。電子輸送層として実施例10で合成した化合物13を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(化合物10,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[比較例1]
下記の素子構成で有機EL素子を作製した。電子輸送層として3−(p−ビフェニル)−4−(p−エチルフェニル)−5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(3−(p−ビフェニル)−4−(p−エチルフェニル)−5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ),30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[比較例2]
下記の素子構成で有機EL素子を作製した。電子輸送層として下記に示す比較化合物1を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(比較化合物1,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
Figure 2016023135
[比較例3]
下記の素子構成で有機EL素子を作製した。電子輸送層として下記に示す比較化合物2を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(比較化合物2,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
[化26]
Figure 2016023135
[比較例4]
下記の素子構成で有機EL素子を作製した。電子輸送層として下記に示す比較化合物3を用いた。ITOを除く、有機層、金属層については真空蒸着により製膜を行った。
○:ITO/α-NPD(20nm)/CBP:Ir(ppy)3(8 wt%)(30nm)/電子輸送層(比較化合物3,30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
CBPは、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルである。
Figure 2016023135
これらの素子では、α−NPDをホール輸送層に、本発明の化合物を電子輸送層に使用している。これら素子の物性は表2に示す。
Figure 2016023135
いずれの素子においてもIr(ppy)3由来の緑色発光が得られた。
表において1cd/m2以上の輝度が得られた電圧を駆動電圧とした。また、窒素雰囲気下において、1000cd/m2の輝度で500時間連続駆動させた際の初期値に対する輝度減少率を記載した。500時間後の駆動電圧の上昇値を電圧上昇値とした。
実施例11乃至20および比較例1乃至4において、本発明の化合物を用いることで低電圧駆動かつ素子安定性の高い、すなわち高寿命の有機EL素子が提供できる。
本発明においては新規なピリミジン誘導体を提供できる。また、それを用いたが有機EL素子を提供することができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、素子特性、耐久性に優れており、素子の高性能化に貢献する。このため、本発明は産業上の利用可能性が大きい。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極
特開2012−74711号公報 特開2013−48192号公報
M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest APPLIED PHYSICS LETTER 1999 75(1) 4−7 Appl.Phys.Lett.,79, 2082(2001) J.Appl.Phys.90 5048(2001) Polyhedron 23 (2004) 419−428 Chem. Mater., 2012, 24 (20), pp 3817

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で示されるピリミジン誘導体。
    Figure 2016023135
    (R乃至R18は水素原子またはハロゲン原子または一価の置換基である。Xは水素またはハロゲン原子または一価の置換基である。)
  2. 前記Xが水素原子、ハロゲン原子または置換されても良いアルキル基またはアリール基またはヘテロアリール基であることを特徴とする請求項1に記載のピリミジン誘導体。
  3. 前記置換されても良いアルキル基またはアリール基またはヘテロアリール基は炭素数1−30であることを特徴とする請求項2に記載のピリミジン誘導体。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のピリミジン誘導体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  5. 前記ピリミジン誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
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