JP2016022079A - 膵液瘻の予防及び治療 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた効果を期待できる、膵液瘻に対する新たな予防又は治療手段を提供することを課題とする。
【解決手段】マンノースによって活性が高められた脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有する、膵液瘻治療用細胞シートが提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は膵液瘻の予防及び治療に関する。詳しくは、膵液瘻の予防又は治療に有効な組成物及びその用途等に関する。
膵液瘻は、膵臓に瘻孔が生じ、膵液が持続的ないし断続的に漏出する状態である。膵液瘻は、最も頻度の高い膵臓手術後合併症の一つである。膵炎(急性又は慢性)、外傷によって膵液瘻が発生することもある。膵液瘻は重篤な場合には死に至る難治性の疾患であるが、治療法として確立されたものはなく、新たな治療法が切望されている。
ところで、再生医療を目的とした幹細胞のソースとして脂肪組織が有望視されている。実際、脂肪組織由来間葉系幹細胞(Adipose-derived stem cells: ASCs, ADSCs、Adipose-derived regeneration cells: ADRCs、Adipose-derived mesenchymal stem cells: AT-MSCs, AD-MSCsなどと呼ばれる。以下、脂肪組織由来間葉系幹細胞を「ASCs」と略称することがある)の臨床応用を目指し、各種疾患を治療標的とした研究が進められている(例えば特許文献1〜5を参照)。また、特許文献6には、脂肪由来間質幹細胞を瘻孔治療に適用する試みが提案されている。
国際公開第2008/018450A1号パンフレット 特開2009−001509号公報 特表2010−528107号公報 特開2007−507202号公報 特表2009−535035号公報 特表2012−525377号公報
上記の通り、現在のこところ、確立された膵液瘻の治療法はない。そこで本発明は、優れた効果を期待できる、膵液瘻に対する新たな予防又は治療手段を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく研究を進める中で本発明者らは、脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASCs)の潜在能力に注目するとともに、(1)細胞単独では目的の部位に留めていくことが困難であり、所望の治療効果を発揮できない可能性があること(組織への接着が不十分なため生体内で移動し、十分な効果をあげることができないと予想される)、及び(2)多くの細胞は外部からの刺激により様々な機能が誘導されることから、高い治療効果を発揮させるためにはASCsの活性を高めることが望まれること、に着眼した。この着眼点に基づき検討を重ね、(1)に対してはASCsをシート化することで対処し、(2)に対してはマンノースを利用するという、新たな戦略を考えた。ASCsをシート化すれば、細胞の移動が制限され、持続的な作用を期待できる。また、面として作用することによる効率的且つ高い作用の発揮も期待できる。動物モデルを用いて当該戦略の有効性を検証したところ、期待を超える優れた効果が認められた。以下に示す発明は主として上記成果ないし知見に基づく。
[1]マンノースによって活性が高められた脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有する、膵液瘻治療用細胞シート。
[2]脂肪組織由来間葉系幹細胞シートをマンノースで処理することによって得られたものである、[1]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[3]前記処理が、マンノースを含有する溶液への前記脂肪組織由来間葉系幹細胞シートの浸漬である、[2]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[4]前記処理が、前記脂肪組織由来間葉系幹細胞シートに対する、マンノースを含有する溶液の塗布である、[2]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[5]前記脂肪組織由来間葉系幹細胞シートが、以下のステップ(1)〜(4)によって作製される、[2]〜[4]のいずれか一項に記載の膵液瘻治療用細胞シート:
(1)磁気ラベルした脂肪組織由来間葉系幹細胞を用意するステップ;
(2)I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分として含むゲル材料と前記脂肪組織由来間葉系幹細胞との混合物を培養容器に播種するステップ;
(3)磁力を作用させることによって、前記混合物中の前記脂肪組織由来間葉系幹細胞を前記培養容器の培養面に引き寄せ、多層の細胞層を形成させるステップ;
(4)前記ゲル材料をゲル化させるステップ。
[6]ステップ(2)における前記混合物が、I型コラーゲンを有効成分とした第1ゲル要素と、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分とした第2ゲル要素と、前記脂肪組織由来間葉系幹細胞とを混合することによって得られる、[5]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[7]ステップ(2)における前記培養容器の培養面上には、着脱可能な仕切りによる、上方が開放された区画が形成されており、該区画内に前記混合物が播種される、[5]又は[6]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[8]ステップ(3)と(4)の間に以下のステップ(3')を行う、[5]〜[7]のいずれか一項に記載の膵液瘻治療用細胞シート:
(3')前記細胞層の上方に存在する余分なゲル材料を除去するステップ。
[9]マンノースを含有している、[1]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[10]マンノースで処理された脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有する、[1]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[11]脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有し、その使用時に、マンノース含有組成物がシート面に貼付又は塗布される、膵液瘻治療用細胞シート。
[12]前記マンノースが低濃度である、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[13]低濃度が、0.8%(w/v)以下の濃度である、[12]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
[14]低濃度が、0.2%(w/v)〜0.8(w/v)である、[12]に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
ラット膵液瘻モデルを用いた実験のプロトコール。 ラット膵液瘻に対するマンノース処理ASCsシートの効果。ラット膵液瘻モデルの処置後の腹腔内所見を比較した。左:術後2日目の膵液瘻未治療群、中央:ASCsシート群、右:マンノース処理ASCsシート群。 ラット膵液瘻に対するマンノース処理ASCsシートの効果。各群の腹水アミラーゼ量を比較した。 ラット膵液瘻に対するマンノース処理ASCsシートの効果。各群の腹水リパーゼ量を比較した。 ラット膵液瘻に対するASCsの有効性。コラーゲンシートと、マンノースで処理したコラーゲンシートを移植し、腹水アミラーゼ量を比較した。
本発明は膵液瘻の予防又は治療に用いられる細胞シート(膵液瘻治療用細胞シート)及びその用途に関する。本発明の細胞シートは、マンノースによって活性が高められた脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASCs)を含有する。本発明において「脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASCs)」とは、脂肪組織に含まれる体性幹細胞のことをいうが、多分化能を維持している限りにおいて、当該体性幹細胞の培養(継代培養を含む)により得られる細胞も「脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASCs)」に該当するものとする。通常、ASCsは、生体から分離された脂肪組織を出発材料とし、細胞集団(脂肪組織に由来する、ASCs以外の細胞を含む)を構成する細胞として「単離された状態」に調製される。ここでの「単離された状態」とは、その本来の環境(即ち生体の一部を構成した状態)から取り出された状態、即ち人為的操作によって本来の存在状態と異なる状態で存在していることを意味する。尚、脂肪組織由来間葉系幹細胞はADSCs、ADRCs、AT-MSCs、AD-MSCs等とも呼ばれる。本明細書では以下の用語、即ち、脂肪組織由来間葉系幹細胞、ASCs、ADSCs、ADRCs、AT-MSCs、AD-MSCsを相互に置換可能に使用する。
(ASCsの調製法)
ASCsは、脂肪基質からの幹細胞の分離、洗浄、濃縮、培養等の工程を経て調製される。ASCsの調製法は特に限定されない。例えば公知の方法(Fraser JK et al. (2006), Fat tissue: an underappreciated source of stem cells for biotechnology. Trends in Biotechnology; Apr;24(4):150-4. Epub 2006 Feb 20. Review.; Zuk PA et al. (2002), Human adipose tissue is a source of multipotent stem cells. Molecular Biology of the Cell; Dec;13(12):4279-95.; Zuk PA et al. (2001), Multilineage cells from human adipose tissue: implications for cell-based therapies. Tissue Engineering; Apr;7(2):211-28.等が参考になる)に従ってASCsを調製することができる。また、脂肪組織からASCsを調製するための装置(例えば、Celution(登録商標)装置(サイトリ・セラピューティクス社、米国、サンディエゴ))も市販されており、当該装置を利用してASCsを調製することにしてもよい。当該装置を利用すると、脂肪組織より、細胞表面マーカーCD29及びCD44陽性の細胞を分離できる。以下、ASCsの調製法の具体例を示す。
(1)脂肪組織からの細胞集団の調製
脂肪組織は動物から切除、吸引などの手段で採取される。ここでの用語「動物」はヒト、及びヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ等)を含む。免疫拒絶の問題を回避するため、本発明の細胞シートを適用する対象(患者)と同一の個体から脂肪組織(自己脂肪組織)を採取することが好ましい。但し、同一の個体からの採取が困難な場合や好ましくない場合(例えば、採取の際の過度の侵襲が想定される場合など)には、同種の個体(他家)から脂肪組織を採取するとよい。尚、異種動物の脂肪組織の使用を妨げるものではない。
脂肪組織として皮下脂肪、内臓脂肪、筋肉内脂肪、筋肉間脂肪を例示できる。この中でも皮下脂肪は局所麻酔下で非常に簡単に採取できるため、採取の際の患者への負担が少なく、好ましい細胞源といえる。通常は一種類の脂肪組織を用いるが、二種類以上の脂肪組織を併用することも可能である。また、複数回に分けて採取した脂肪組織(同種の脂肪組織でなくてもよい)を混合し、以降の操作に使用してもよい。脂肪組織の採取量は、ドナーの種類や組織の種類、或いは必要とされるASCsの量を考慮して定めることができ、例えば0.5〜500g程度である。ヒトをドナーとする場合にはドナーへの負担を考慮して一度に採取する量を約10〜20g以下にすることが好ましい。採取した脂肪組織は、必要に応じてそれに付着した血液成分の除去及び細片化を経た後、以下の酵素処理に供される。尚、脂肪組織を適当な緩衝液や培養液中で洗浄することによって血液成分を除去することができる。
酵素処理は、脂肪組織をコラゲナーゼ、トリプシン、ディスパーゼ等の酵素によって消化することにより行う。このような酵素処理は当業者に既知の手法及び条件により実施すればよい(例えば、R.I. Freshney, Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 4th Edition, A John Wiley & Sones Inc., Publication参照)。以上の酵素処理によって得られた細胞集団は、多分化能幹細胞、内皮細胞、間質細胞、血球系細胞、及び/又はこれらの前駆細胞等を含む。細胞集団を構成する細胞の種類や比率などは、使用した脂肪組織の由来や種類に依存する。
(2)沈降細胞集団(SVF画分:stromal vascular fractions)の取得
細胞集団は続いて遠心処理に供される。遠心処理による沈渣を沈降細胞集団(本明細書では「SVF画分」ともいう)として回収する。遠心処理の条件は、細胞の種類や量によって異なるが、例えば1〜10分間、800〜1500rpmである。尚、遠心処理に先立ち、酵素処理後の細胞集団をろ過等に供し、その中に含まれる酵素未消化組織等を除去しておくことが好ましい。
ここで得られた「SVF画分」はASCsを含む。従って、SVF画分を用いて本発明の細胞シートを調製することができる。つまり、本発明の細胞シートの一態様では、活性化されたSVF画分が含有されることになる。尚、SVF画分を構成する細胞の種類や比率などは、使用した脂肪組織の由来や種類、酵素処理の条件などに依存する。また、SVF画分は、CD34陽性且つCD45陰性の細胞集団と、CD34陰性且つCD45陽性の細胞集団を含む点によって特徴付けられる(国際公開第2006/006692A1号パンフレット)。
(3)接着性細胞(ASCs)の選択培養及び細胞の回収
SVF画分にはASCsの他、他の細胞成分(内皮細胞、間質細胞、血球系細胞、これらの前駆細胞等)が含まれる。そこで本発明の一態様では以下の選択培養を行い、SVF画分から不要な細胞成分を除去する。そして、その結果得られた細胞を本発明の細胞シートに用いる。
まず、SVF画分を適当な培地に懸濁した後、培養皿に播種し、一晩培養する。培地交換によって浮遊細胞(非接着性細胞)を除去する。その後、適宜培地交換(例えば3日に一度)をしながら培養を継続する。必要に応じて継代培養を行う。継代数は特に限定されない。尚、培養用の培地には、通常の動物細胞培養用の培地を使用することができる。例えば、Dulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)(日水製薬株式会社等)、α-MEM(大日本製薬株式会社等)、DMEM:Ham's F12混合培地(1:1)(大日本製薬株式会社等)、Ham's F12 medium(大日本製薬株式会社等)、MCDB201培地(機能性ペプチド研究所)等を使用することができる。血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清など)又は血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)を添加した培地を使用することにしてもよい。血清又は血清代替物の添加量は例えば5%(v/v)〜30%(v/v)の範囲内で設定可能である。
以上の操作によって接着性細胞が選択的に生存・増殖する。続いて、増殖した細胞を回収する。回収操作は常法に従えばよく、例えば酵素処理(トリプシンやディスパーゼ処理)後の細胞をセルスクレイパーやピペットなどで剥離することによって容易に回収することができる。また、市販の温度感受性培養皿などを用いてシート培養した場合は、酵素処理をせずにそのままシート状に細胞を回収することも可能である。このようにして回収した細胞(ASCs)を用いることにより、ASCsを高純度で含有する細胞シートを調製することができる。
(4)低血清培養(低血清培地での選択的培養)及び細胞の回収
本発明の一態様では、上記(3)の操作の代わりに又は上記(3)の操作の後に以下の低血清培養を行う。その結果得られた細胞をASCsとして本発明の細胞シートに用いることもできる。
低血清培養では、SVF画分((3)の後にこの工程を実施する場合には(3)で回収した細胞を用いる)を低血清条件下で培養し、目的の多分化能幹細胞(即ちASCs)を選択的に増殖させる。低血清培養法では用いる血清が少量で済むことから、本発明の細胞シートを適用する対象(患者)自身の血清を使用することが可能となる。即ち、自己血清を用いた培養が可能となる。自己血清を使用することによって、製造工程中から異種動物材料を排斥し、安全性が高く且つ高い治療効果を期待できる細胞シートが提供される。ここでの「低血清条件下」とは5%以下の血清を培地中に含む条件である。好ましくは2%(V/V)以下の血清を含む培養液中で細胞培養する。更に好ましくは、2%(V/V)以下の血清と1〜100ng/mlの線維芽細胞増殖因子-2(bFGF)を含有する培養液中で細胞培養する。
血清はウシ胎仔血清に限られるものではなく、ヒト血清や羊血清等を用いることができる。好ましくはヒト血清、更に好ましくは本発明の細胞シートを適用する対象の血清(即ち自己血清)を用いる。
培地は、使用の際に含有する血清量が低いことを条件として、通常の動物細胞培養用の培地を使用することができる。例えば、Dulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)(日水製薬株式会社等)、α-MEM(大日本製薬株式会社等)、DMEM:Ham's F12混合培地(1:1)(大日本製薬株式会社等)、Ham's F12 medium(大日本製薬株式会社等)、MCDB201培地(機能性ペプチド研究所)等を使用することができる。
以上の方法で培養することによって、ASCsを選択的に増殖させることができる。また、上記の培養条件で増殖するASCsは高い増殖活性を持つので、継代培養によって、本発明の細胞シートに必要とされる数の細胞を容易に調製することができる。尚、SVF画分を低血清培養することによって選択的に増殖する細胞はCD13、CD90及びCD105陽性であり、CD31、CD34、CD45、CD106及びCD117陰性である(国際公開第2006/006692A1号パンフレット)。
続いて、上記の低血清培養によって選択的に増殖した細胞を回収する。回収操作は上記(3)の場合と同様に行えばよい。回収した細胞(ASCs)を用いることにより、ASCsを高純度で含有する細胞シートを調製することができる。
以上の方法で得られる細胞、即ち、SVF画分を低血清培養して増殖した細胞ではなく、脂肪組織から得た細胞集団を直接(SVF画分を得るための遠心処理を介することなく)低血清培養することによって増殖した細胞をASCsとして用いることにしてもよい。即ち本発明の一態様では、脂肪組織から得た細胞集団を低血清培養したときに増殖した細胞をASCsとして用いる。また、選択的培養(上記(3)及び(4))によって得られるASCsではなく、SVF画分(脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有する)をそのまま用いることにしてもよい。この態様の細胞シートは、(a)脂肪組織をプロテアーゼ処理した後、濾過処理に供し、次いで濾液を遠心処理することによって沈渣として回収される沈降細胞集団(SVF画分)、又は(b)脂肪組織をプロテアーゼ処理した後、濾過処理を経ることなく遠心処理することによって沈渣として回収される沈降細胞集団(SVF画分)を含有することになる。尚、ここでの「そのまま用いて」とは、選択的培養を経ることなく細胞シートの有効成分として用いることを意味する。
典型的には、ASCs又はASCsを含む細胞集団(SVF画分の細胞、上記選択培養(3)の結果得られた細胞、上記低血清培養(4)の結果得られた細胞、或いは市販の装置(例えば、Celution(登録商標)装置)等によって得られた細胞)を用いてシート状構造物(本発明の細胞シートと区別するために、当該構造物のことを「ASCsシート」と呼ぶ)を作製する。マンノースによって活性が高められたASCsを含有する本発明の細胞シートは、例えば、ASCsシートをマンノースで処理することによって得られる。ここでの処理は、マンノースを含有する溶液へのASCsシートの浸漬や、マンノースを含有する溶液のASCsシートへの塗布などによって行うことができる。浸漬の条件は例えば、35℃〜42℃の温度で1時間〜3週間である。好ましくは、より確実且つ効率的にASCsを活性化するために、低濃度のマンノースを用いて処理を行う。本発明において「低濃度」とは0.8(w/v)以下の濃度である。濃度の下限値は、本発明に特徴的な効果、即ち、ASCsの活性を高めるという効果を発揮できる限り特に限定されない。例えば、マンノースの濃度を0.2%(w/v)〜0.8(w/v)とする。マンノースは、木材、こんにゃく等に含まれるグルコマンナンやグアーガム等に含まれるガラクトマンナンを加水分解(酸分解、酵素分解など)することにより製造することができる。また、ヤシ油抽出残渣からも製造することができる(特開平11−137288、特開2010−22267)。一方、モリブデン酸塩を触媒としてグルコースから製造する方法や、微生物由来の酵素を利用した製造方法も報告されている(特開2001−231592)。
ASCsシートの作製方法は特に限定されない。好ましい作製方法の一例を以下に示す。この作製方法では、以下のステップ(1)〜(4)を行う。
(1)磁気ラベルした脂肪組織由来間葉系幹細胞を用意するステップ;
(2)I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分として含むゲル材料と前記脂肪組織由来間葉系幹細胞との混合物を培養容器に播種するステップ;
(3)磁力を作用させることによって、前記混合物中の前記脂肪組織由来間葉系幹細胞を前記培養容器の培養面に引き寄せ、多層の細胞層を形成させるステップ;
(4)前記ゲル材料をゲル化させるステップ。
<ステップ(1):磁気ラベルした細胞の調製>
ステップ(1)では、磁気ラベルした脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASCs)を用意する。「磁気ラベル」とは「磁性化」と同義であり、細胞に磁性粒子を導入したり、付着したりすること等によって、細胞を磁力で操作可能な状態にすることをいう。細胞の磁気ラベルは、好ましくは磁性粒子の導入又は付着によって行う。磁性粒子は、細胞が保持可能であり且つ細胞が保持した際に細胞に磁性を付加するものであればどのようなものでもよい。例えば、フェライトやマグネタイトなどの酸化鉄、酸化クロム、コバルトなどの磁性材料の粒子を磁性粒子として用いることができる。二種類以上の磁性粒子を組み合わせて用いてもよい。磁性粒子の粒径は特に限定しないが、例えば粒径が5nm〜100μmの磁性粒子を用いることができる。後述するリポソーム封入型の磁性粒子の場合は特に粒径が5nm〜25nmの磁性粒子を用いることが好ましい。この範囲の粒径の磁性粒子を用いることにより、リポソームの分散安定性を高めることができる。
磁性粒子の導入により細胞を磁気ラベルする場合は、細胞への導入に適した形態に調製した磁性粒子を使用する。このような形態の磁性粒子の具体例は、リポソーム等の脂質膜に封入(内包)された磁性粒子である。例えば、磁性粒子をリポソームに封入した磁性粒子封入リポソーム(ML: MagnetoliposomeあるいはMagnetite liposome)や磁性粒子を正電荷リポソームに封入した磁性粒子封入正電荷リポソーム(MCL: Magnetite cationic liposome)を用いることができる。これらのリポソーム封入型の磁性粒子では、リポソームの有する細胞親和性によって、細胞への付着及び取り込みが可能となる。特に、磁性粒子封入正電荷リポソームは、細胞表面との疎水性相互作用や電気的相互作用によって効率的に細胞内へと取り込まれる。尚、細胞に磁性粒子を取り込ませることによって、より確実に細胞を磁気ラベルすることができ、また多くの磁性粒子を細胞に保持させることができるため磁力の作用による細胞のコントロールが容易になる。
MCLの具体例として、マグネタイト等の磁性粒子が、正電荷脂質を含有するリポソームに封入された構造を備えるものを挙げることができる。当該MCLは表面に正電荷を帯びているために細胞への接着性に優れるとともに、リポソームを構成成分とするために細胞内へと取り込まれやすい。このような特性を備えるMCLは様々な細胞の磁気ラベルに適する。MCLは、例えばJpn.J. Cancer Res.第87巻第1179〜1183頁(1996年)に記載された磁性粒子封入正電荷リポソームの製造方法を参照して調製することができる。
一方、磁性粒子を付着することで細胞を磁気ラベルする場合には、細胞接着性物質と複合体を形成した磁性粒子を使用するとよい。例えば、細胞接着性物質が直接又は間接的に磁性粒子に結合して構成される複合体や、細胞接着性物質を含有する材料(多糖類や脂質など)で磁性粒子を被覆ないし封入して構成される複合体を使用することによって細胞に磁性粒子を付着することができる。尚、上記のリポソーム封入型の磁性粒子も細胞接着性であり、これを磁性粒子の付着による磁気ラベルに使用することもできる。
細胞接着性物質は、幅広い細胞に対して接着性を有する物質と、特定の細胞に対して選択的な接着性を示す物質とに分類することができる。前者の例として細胞膜の構成成分に結合性又は接着性を有する化合物を挙げることができる。このような化合物として、フィブロネクチン、フィブロネクチンの一部であって例えばアミノ酸配列RGD(Arg-Gly-Asp、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)、KQAGDV(Lys-Gln-Ala-Gly-Asp-Val、リシン−グルタミン−アラニン−グリシン−アスパラギン酸−バリン)(配列番号1)、若しくはREDV(Arg-Glu-Asp-Val、アルギニン−グルタミン酸−アスパラギン酸−バリン)(配列番号2)を含むペプチド、同じく細胞接着性タンパク質であるラミニン、又はラミニンの一部であって例えばアミノ酸配列YIGSR(Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン)(配列番号3)、若しくはIKVAV(Ile-Lys-Val-Ala-Val、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン)(配列番号4)を含むペプチドなどを例示することができる。このような細胞接着性ペプチドの長さは、特に限定されるものではないが、好ましくはアミノ酸数個〜10数個程度、さらに好ましくは10個以下程度である。例えば、アミノ酸配列RGDを有するペプチドあるいはアミノ酸配列YIGSR(配列番号3)を有するペプチドであってアミノ酸残基数が10個以下のペプチドを好適に用いることができる。このような細胞接着性ペプチドは、好ましくは、ペプチドの末端側にこれらの特定アミノ酸配列を有し、より好ましくはそのN末端側にこれらのアミノ酸配列を有する状態でそのC末端で磁性粒子等の表面に結合されており、さらに好ましくは、そのN末端にこれらのアミノ酸配列のN末端残基が位置する。
一方、特定の細胞に対して選択的な接着性を示す物質の例として、特定の細胞がその表面に発現する分子(マーカー分子)に対する抗体を挙げることができる。ここでの抗体としてFab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFvなどの抗体断片を用いることもできる。低分子化合物やタンパク質、標識物質などを融合又は結合させて構成される融合抗体又は標識化抗体を使用してもよい。標識物質としては125I等の放射性物質、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(RITC)、アルカリホスファターゼ、ビオチンなどを用いることができる。
細胞接着性物質を直接又は間接的に磁性粒子に結合することによって、細胞接着性磁性粒子を構築することができる。例えば、市販の磁性粒子Dynabeads(登録商標)に対して、ビオチンとストレプトアビジンの結合反応を利用して抗体を結合することによって、細胞接着性磁性粒子を得ることができる。その他、市販の磁性粒子リゾビスト(登録商標)、フェリデックス等をアミノシランカップリングして、細胞接着性物質が結合した磁性粒子を調製することができる。また、表面に細胞接着性物質を有するリポソーム(即ち、細胞接着性物質を含有したリポソーム又は細胞接着性物質が表面に付着ないし結合したリポソーム)に磁性粒子を封入することによっても細胞接着性磁性粒子を構築することができる。細胞接着性物質の種類に応じた各種の結合形成反応を利用することによって、このような磁性粒子封入リポソームを作製することが可能である。必要に応じて適切なリンカーを用いることもできる。例えば、リポソームへRGDペプチドを結合させるためには、ジスルフィド結合の形成による方法が好適である。この方法では、RGD配列のC末端側にシステインが付加されたRGDC配列(配列番号5)からなるペプチドを用いることが好ましい。かかるペプチドを使用することによって、SH基を有するリポソーム側との間に容易にジスルフィド結合を形成させることができる。尚、細胞接着性ペプチドをリポソームに結合させるためのリンカーはシステインに限られるものではなく、他のアミノ酸やペプチドを用いてもよい。
細胞接着性物質との複合体を形成した磁性粒子(細胞接着性磁性粒子)の具体例として、MCLのリポソーム表面にアミノ酸配列RGDC(配列番号5)からなるペプチドを結合した磁性粒子封入リポソームを挙げることができる。細胞接着性磁性粒子の他の具体例として、MCLのリポソーム表面に抗体を結合して得られる抗体固定化磁性粒子封入リポソーム(AML: Antibody-immobilized magnetite liposome)を挙げることができる。AMLは、マグネタイト等の磁性粒子がリポソームで封入されるとともに、リポソームに抗体が固定化された構造を備える。抗体としては磁性ラベルの対象の細胞に特異的に結合するものが選択される。これによって、細胞特異的に磁気ラベルすることが可能となる。AMLは、例えばJ. Chem. Eng. Jpn.第34巻第66〜72頁(2001年)に記載された方法を参照して調製すればよい。
磁気ラベルしたASCsは、用意したASCsを磁気ラベルに供することによって調製することができる。
<ステップ(2):細胞とゲル材料との混合>
ステップ(1)に続くステップ(2)では、ゲル材料とASCsとの混合物を培養容器に播種する。ゲル材料として、間質の主成分であるI型コラーゲンと、基底膜を構成する成分であるラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを用いることができる。ゲル材料を構成する各有効成分(I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン、エンタクチン)の由来としてはウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、サル、チンパンジー、及びヒトを例示できる。また、遺伝子組換え技術で調製した(リコンビナント)ものを使用してもよい。
ゲル材料を構成する各有効成分の含有比率は特に限定されない。各有効成分の含有比率(重量比)を例示すれば、コラーゲンI:ラミニン:コラーゲンIV:エンタクチン=1:10〜200:5〜100:1〜50である。好ましくは、コラーゲンI:ラミニン:コラーゲンIV:エンタクチン=1:20〜100:10〜50:2〜25とする。
ゲル材料は細胞の生存、維持に必要な培地成分を含有する。培地の例を挙げると、ダルベッコ変法イーグル(DMEM)培地(ナカライテスク株式会社、シグマ社、ギブコ社等)、RPMI 1640培地(ナカライテスク株式会社、シグマ社、ギブコ社等)、SmGM培地(CAMBREX社)である。培地成分の他、他のゲル化成分(III型コラーゲン、VIII型コラーゲンなど)、細胞接着因子(フィブロネクチンなど)、血清(FBS、ヒト血清等)、細胞増殖因子(EGF、PDGF、IGF-1、TGF-βなど)、分化誘導因子、無機塩類、ビタミン類、保存剤、防腐剤等がゲル材料に添加されていてもよい。
好ましい一態様では、I型コラーゲンを有効成分とした第1ゲル要素と、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分とした第2ゲル要素を予め用意しておき、これらのゲル要素とASCsとを混合することによって、ゲル材料とASCsとの混合物を得る。例えば、第1ゲル要素はI型コラーゲンを培地や緩衝液(例えばリン酸緩衝液)、或いは生理食塩水等に溶解・希釈することによって調製すればよい。第2ゲル要素についても同様の方法で調製することができるが、上記有効成分(ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチン)を含む市販の試薬(例えば、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社が販売するBDマトリゲルTM基底膜マトリックス等)を用いることにしてもよい。尚、第2ゲル中の有効成分の含有比率は特に限定されないが、好ましくは含有比率(重量比)をラミニン:IV型コラーゲン:エンタクチン=3〜15:2〜8:1とする。
ゲル成分による適度な間隔が細胞間に形成されるようにASCsの密度を設定することによって、移植効率や生着率の高いASCsシートを得ることが可能となる。そこで、混合物における細胞密度が例えば1.0×105細胞/cm3〜1.0×107細胞/cm3、好ましくは1.0x106細胞/cm3〜5.0×106細胞/cm3となるように、使用するASCsの数を設定するとよい。
ゲル材料とASCsとの混合物が播種される培養容器は特に限定されない。即ち、各種培養容器を使用可能である。好ましくは、培養皿(ペトリ皿、マルチウェルプレートなど)のように、上方が開放した培養容器を用いる。一方、形成されるASCsシートの回収を容易にすべく、低接着性の培養面を備える培養容器を採用することが好ましい。「低接着性の培養面」とは、細胞の接着性を高めるためにポリリジン等で表面処理(コート)された培養面とは対照的に、表面無処理(ノンコート)或いは非接着性又は低接着性材料による表面処理(コート)等によって細胞が接着し難い培養面をいう。低接着性の培養面を備える培養容器は各種市販されており、例えば、超低接着性細胞培養皿であるUltra Low Attachment Culture Dish(コーニング社)、アガロースゲルやアルギン酸ゲルをコートした培養皿、浮遊細胞を培養する培養皿を用いることができる。
本発明の一態様では、着脱可能な仕切りによる、上方が開放された区画が培養面上に形成されており、当該区画内にゲル材料とASCsとの混合物が播種される。この態様の場合、限定された領域内に細胞が封じ込められることになり、最終的に得られるASCsシートのサイズが培養面のサイズに依存しなくなる。従って、培養面のサイズの如何に拘わらず、自由にASCsシートのサイズを設計可能になる。また、ASCsシートの形状は区画(例えばリング状)の形状に依存し、様々な形状でASCsシートを提供可能となる。即ち、ASCsシートの形状についても、その設計自由度が飛躍的に高まる。更には、区画の使用によれば、ASCsシートを構成する細胞層の細胞密度も調整可能である。
<ステップ(3):磁力による細胞層の形成>
ゲル材料とASCsとの混合物を培養容器に播種した後、例えば、培養面の後方(即ち培養面の裏面側)から磁力を作用させ、混合物中のASCsを培養面に引き寄せる。具体的には例えば、培養面の後方に磁石を配置して当該操作を行う。培養容器として培養皿を使用する場合、典型的には、磁石の上に培養皿を設置することになる。培養皿の場合は通常、内底面が培養面となるが、容器の種類や形態の如何によっては容器の内底面以外の内壁面が培養面に設定される場合がある。
使用する磁石の種類は特に限定されない。例えば、永久磁石又は電磁石を用いることができる。電磁石を使用すれば、通電状態の操作によって磁力を制御可能である。永久磁石として、鋳造磁石(アルニコ磁石、鉄・クロム・コバルト磁石を含む)、塑性加工磁石(Fe-Mn系、Fe-Cr-Co系を含む)、フェライト磁石(Ba系、Sr系を含む)、希土類磁石(Sm-Co系、Nd-Fe-B系を含む)、ボンド磁石(Sm-Co系、Nd-Fe-B系、Sm-Fe-N系を含む)などを使用することができる。
磁力を作用させる時間は、多層の細胞層が形成される限りにおいて特に限定されない。使用する磁石の種類、磁気ラベルに使用する磁性粒子の種類、磁気ラベルされた細胞の量や密度などを考慮して作用時間を設定すればよいが、例えば30分〜2時間にわたって磁力を作用させる。最適な作用時間は予備実験を通して設定可能である。尚、磁力の強さ及び作用時間を調節することによって、所望の厚さ及び/又は所望の細胞密度の細胞層を形成することが可能である。
磁石から放出される磁力を直接利用するのではなく、磁石から放出される磁力を他の部材に伝搬させた後に利用することにしてもよい。例えば、Fe、Co、Ni、Fe-C、Fe-Ni、Fe-Co、Fe-Ni-Co-Al、Fe-Ni-Cr、SmCo5、Nd2Fe14B、Fe3O4、γ-Fe2O3、BaFe12O19等のように磁力を伝搬する特性の部材を磁石に接触又は近接させることにすれば、当該部材の表面(端面など)から磁力を放出させることが可能である。
本発明の一態様では、形成された細胞層の上方に存在する余分なゲル材料(即ち上澄み液)を除去する(ステップ(3'))。当該操作を行った場合には、細胞層の上に余分なゲル層のないASCsシートが得られることになる。当該細胞シートは取り扱いの面はもとより、治療効果の点でも有利である。尚、ゲル材料の除去は、例えば、スポイトなどの吸引器を用いて行うことができる。
<ステップ(4):ゲル化>
次に、ゲル材料をゲル化させる。典型的には、培養容器ごと、ゲル化に必要な温度(例えば37℃)でインキュベートする。ゲル化に必要な時間はゲル材料の組成や実施スケール等によって変動し得るが、例えば30分〜1時間である。
ゲル化によって形成されたシート状構造物を直ちに回収することにしてもよいが、培養容器に培地を添加し、シート状構造物を培地中に維持することが好ましい。当該操作(ステップ(5))を加えることによって、シート状構造物、即ちASCsシートの品質劣化を防止できる。ここでの培地は、シート状構造物内の細胞の維持に適したものが好ましく、例えばMEM培地等が使用できる。この操作の後、更に、ASCsが増殖可能な温度条件下で培養することにしてもよい(ステップ(6))。この操作はシート状構造物(細胞シート)内のASCsの維持、増殖に有効であり、品質劣化を防止する。ここでの温度条件の例として35℃〜38℃を挙げることができる。好ましくは37℃で培養する。尚、培養容器から回収されたシート状構造物(ASCsシート)は、通常、必要に応じて別容器に移された後、使用直前まで保存される。保存は低温(例えば4℃〜15℃)で行うとよい。このような保存を経ることなく使用に供する(即ち用時調製)ことにしてもよい。
以上の作製方法によれば、I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを含むゲルに包埋された状態でASCsが多層を形成したシートが得られる。特に特徴的な構造として、細胞層を構成する細胞間に上記ゲルが存在する。即ち、基本的には、細胞同士が接着ないし接しておらず、間にゲルが介在した状態で細胞が配列している。典型的には、このような特徴的な構造が細胞層の少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上において認められる。また、細胞層を形成する細胞は磁気ラベルされている。但し、培養操作を含む作製方法を適用し、細胞の増殖が生じた場合には、磁気ラベルされていない細胞も存在することになる。
ここで、予めマンノースで処理したASCsを用いてシート状構造物を作製すれば、その後にマンノース処理を行うことなく、本発明の細胞シートが得られる。予めマンノースで処理されたASCsは、例えば、マンノースを含有する培地を用いてASCsを培養することによって得ることができる。好ましくは、低濃度でマンノースを含有する培地を用いる。
本発明の別の態様(第2態様)では、細胞シートにマンノースを含有させ、シート内でマンノースによるASCsの活性化が生ずるようにする。好ましくは、低濃度でマンノースを含有させる。この態様の細胞シートは、例えば、上記の手順でASCsシートを作製する際のゲル化材料にマンノースを添加しておくことによって作製することができる。
本発明の更に別の一態様(第3態様)の細胞シートは、それ自体にマンノースを含むのではなく、その使用時に、マンノース含有組成物がシート面に貼付又は塗布されるという特徴を有する。例えば、マンノースを含有する溶液ないしゲルを用意しておき、ASCsシート(この態様では、本発明の細胞シートに該当することになる)の移植の前又は後に、シート面にこれを塗布する。或いは、マンノースを含有するシート(例えばコラーゲンシート)を用意し、ASCsシートを移植した後、その上に当該シートを載置ないし貼付する。この態様においても、好ましくは低濃度のマンノースが用いられる。また、ここでのゲルを調製するための材料として、生体親和性が高いもの(例えばヒアルロン酸、コラーゲン、フィブリン糊)を用いることが好ましい。
本発明の細胞シートは、膵液瘻の予防又は治療に用いられる。膵液瘻の成因は特に限定されない。成因の例を挙げれば、膵・消化管吻合の縫合不全、膵臓に対する各種手術(膵体尾部切除、ネクロゼクトミー、ドレナージ手術)、脾臓摘出時の膵尾部損傷、胃切除術、大腸手術時の膵損傷、外傷による膵損傷である。本発明を適用するにあたっては、膵臓の切除部位(切除面)、外傷部位、患部(瘻孔及びその周囲)等に本発明の細胞シートを載置ないし貼付する。シート状構造物であるため通常は良好な接着性が得られるが、接着性ないし保持性を更に高めるため、フィブリン糊など、既存の接着材を併用することにしてもよい。また、複数枚の細胞シートを用意し、一部又は全部が重なるように適用してもよい。上記第3態様の場合には、細胞シート(ASCsシート)の移植の際、必要な処置(マンノース含有溶液/ゲルの塗布、マンノース含有シートの載置/貼付など)を行う。
1.活性化されたASCs含有シート(細胞シート)の作製
以下の(1)〜(5)によってASCsシートを作製した。
(1)磁気ラベル
マイクロチューブにマウスASCs(コラゲナーゼ処理(1〜3%コラゲナーゼ、37℃、60〜90分)および遠心処理(1200rpm、5分間)で調製)を懸濁させて浮遊状態にし、磁性ナノ微粒子(MCL)を添加した。37℃で2時間インキュベートし、MCLを細胞に取り込ませた。
(2)ゲル材料の用意
I型コラーゲン(3mg/ml)、10xMEM、緩衝液(NaHCO3)及びFBSを7:1:1:1の比率(重量比)で混合し、コラーゲンゲル(1ml中にI型コラーゲンを2.1mg含有する)とした。一方、ラミニン(560mg/ml)、IV型コラーゲン(310mg/ml)及びエンタクチン(80mg/ml)を含む基底膜ゲルを用意した。尚、以下の実験では基底膜ゲルとしてBDマトリゲル(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)(組成比率はラミニン56%、IV型コラーゲン31%、エンタクチン8%であり、bFGFを0〜0.1 pg/ml、EGFを0.5〜1.3 ng/ml、IGF-1を15.6 ng/ml、PDGFを12 pg/ml、NGFを0.2 ng/ml未満、TGF-βを2.3 ng/ml含有する)を使用した。
(3)細胞とゲル材料の混合及び播種
磁気ラベルした細胞(細胞数1.7x106(100μl))、コラーゲンゲル(170μl)及び基底膜ゲル(30μl)を混和し、低接着性ディッシュ(Ultra Low Attachment Culture Dish:コーニング社)に播種した。
(4)磁力による細胞層の形成
ディッシュの底面に磁石を配置して磁力を印加し、細胞を培養面に引き寄せた。細胞層が形成された段階で余分な上澄み液を除いた。
(5)ゲル化
37℃で1時間インキュベートし、ゲルを固める。その後、培地を添加した。
上記方法で作製したASCsシートをマンノース溶液で処理した。具体的には、0.4%(w/v)マンノース(椰子の実由来、純度99.7%)を添加した培地にASCsシートを1時間(37℃)、浸漬した(マンノース処理ASCsシート)。比較のために、マンノース溶液で処理しないASCsシートも用意した。
2.膵液瘻モデルを用いた移植実験
(1)方法
(1−1)使用動物
7〜8週齢Wistar/STラット:体重は255g〜314g(試験開始の少なくとも4日前に日本SLC社より購入した)
飼育環境:12時間ごとに明暗が切り替わり、室内温度23±2℃、湿度55±10%を維持
飼料:日本クレア社のCE-2
(1−2)手術前処置
絶飲食は行わず、摂食、飲水は自由とした。
(1−3)膵液瘻モデルの手術手技(図1)
体位:ラットを仰臥位とし約20×30cmのコルク板にガムテープなどを用いて四肢を固定した。
麻酔方法:マスクを用いた吸入麻酔にて、イソフルレン(商品名:エスカイン、ファイザー株式会社)を流量1L/分で、麻酔導入時に濃度5%、維持麻酔は濃度1.5〜2.0%にて行う。呼吸状態、覚醒状態に応じて麻酔の濃度を変更して行う。
手術:ラット腹部には体毛を認めるが剃毛は行わず、消毒用アルコールにて腹部の表皮の消毒を行う。皮切は腹部正中切開にて行う。消毒後、腹部正中の表皮に剣状突起から尾側にメスを用いて約3.5cmの切開を加えた。表皮の切開による出血は圧迫止血を行う。表皮を切開したのち腹直筋の白線、腹膜を切開し腹腔内に到達する。開創器をかけ胃を牽引し、大網及び脾臓を確認する。大網および脾臓を体外へ引出し、胃大網動静脈を温存するように、胃大網動静脈の尾側に沿って大網を切開する。これだけでは脾臓が短胃動静脈に固定されたままであり、このあとの膵臓の切離や細胞シートの貼付が行いにくいので、短胃動静脈も切離し脾臓および膵臓の可動性を良好にする。切離した血管より出血を認める場合もあるが、これらは圧迫による止血が可能であった。ラットの膵臓は大網と連続しており明確な境界がないため、脾動静脈を基準としてこの動静脈の約0.5mm手前まで膵臓に切れ込みをいれる。その後膵断端をセッシで挫滅を行う。これはヒトの膵臓においても膵断端を強く把持すると術後の膵液瘻の発生が上昇するため、膵液瘻の発生をより起こりやすくするために行う。次に、外に引っ張り出しておいた大網および脾臓などの臓器を一旦腹腔内の所定の位置に戻す。続いて、開創器を外し、生食20ml(大塚生食注(登録商標)、大塚製薬株式会社)を湿らせたキムワイプ(登録商標)(日本製紙クレシア株式会社)で開腹部を覆い、腹腔内の乾燥を防止しながら30分放置する。30分後再び胃を牽引し膵断端を直視下に確認し、止血が完全であることを確認した上で各種シート(ASCsシート、マンノース処理ASCsシート)を貼付した。また、コントロール群ではシートは貼付しなかった。そのまま1分ほどシートが定着するのを待ってシートがずれないように胃をもとの位置に戻す。腹膜、腹直筋及び表皮を1-0ナイロン(株式会社ベアーメディック)で連続縫合する。ラットは手術終了後速やかにケージに戻し手術終了とする。
(1−4)検体採取方法
第2病日に腹部正中創の抜糸をクーパーにて行い再開腹する。開腹時に腹水の有無、腹腔内の鹸化の程度を確認する。その後、5mLのシリンジで腹水をできるだけ回収し生化学スピッツに移し替える。腹水は全量でおよそ0.2mL〜0.5mLほどであり、この量ではアミラーゼの測定は困難であるため、5mLのシリンジで生食2mlを吸引し、先ほど腹水を入れた生化学スピッツに追加で加える。次に腸管を体外へ出し大動脈を確認し左右総腸骨動脈の分岐部より10mLシリンジに22G針を用いて採血を行う。この後、手術にて膵切離した部位で脾動静脈を切離し膵臓と脾臓を摘出する。膵臓と脾臓は7.4%ホルマリン(マスクドホルム2A(登録商標)、日本ターナー株式会社)内にいれ固定する。
(1−5)採取検体の処理
(血液、腹水)
回収後、可及的速やかに遠心分離機(KUBOTA5920(登録商標)、久保田商事株式会社)で2500回転10分間の遠心を行い血液は血漿と血球成分に、腹水は液体成分と細胞成分に分離する。分離後上澄みを5mL サンプルチューブ(ワトソン株式会社)に回収し、使用直前まで-80℃で保管する。この検体をアミラーゼ及びリパーゼの検出に供した。
(臓器)
摘出後、可及的速やかに7.4%ホルマリンで固定後、パラフィン包埋し薄切切片を作製する。H.E.染色を行い、プレパラートを作製する。
(2)結果
第2病日に再開腹したときの各群の腹腔内の状態を図2に示す。未治療群(左)及びASCsシート群(中央)では膵液瘻による白色に変性した著明な鹸化を認めた。対照的に、マンノース処理ASCsシート群(右)では鹸化の範囲は縮小した。
各群について腹水アミラーゼ量を比較した(図3)。アミラーゼは膵液瘻の指標として用いられている。ASCsシート群は未治療群(膵液瘻群)よりアミラーゼ値が低下していた。マンノースで処理したASCsシートを移植すると(マンノース処理ASCsシート群)アミラーゼ値はさらに低下した。腹水リパーゼについても同様の傾向が見られ、未治療群とマンノース処理ASCsシート群の間には高い有意差(p=0.018)を認めた(図4)。
膵液瘻に対するASCsの有効性を調べるために、コラーゲンシートと、マンノースで処理したコラーゲンシートを用意し(いずれのシートもASCsを含有しない)、上記手順(1−3〜1−5)に準じて移植実験を行った。各群で腹水アミラーゼ量を比較したところ、有意差がなく、ASCsを含まない場合には膵液瘻に対する治療効果が認められなかった。この結果は、シートという形態的特徴に起因した物理的効果だけでは足らず、ASCsを含有したシートであることが治療効果の発揮に重要であることを示す。
(3)まとめ
マンノース処理ASCsシートはラット膵液瘻モデルにおいて優れた治療効果を発揮した。マンノースで活性化されたASCsを含有した細胞シートは、膵液瘻に対する新たな治療手段として極めて有望といえる。
本発明の細胞シートは膵液瘻の予防又は治療に利用される。本発明の細胞シートによれば、マンノースで活性化されたASCsが目的の部位に長期間留まり、高い治療効果を発揮する。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
配列番号1〜5:人工配列の説明:接着性ペプチド

Claims (14)

  1. マンノースによって活性が高められた脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有する、膵液瘻治療用細胞シート。
  2. 脂肪組織由来間葉系幹細胞シートをマンノースで処理することによって得られたものである、請求項1に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  3. 前記処理が、マンノースを含有する溶液への前記脂肪組織由来間葉系幹細胞シートの浸漬である、請求項2に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  4. 前記処理が、前記脂肪組織由来間葉系幹細胞シートに対する、マンノースを含有する溶液の塗布である、請求項2に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  5. 前記脂肪組織由来間葉系幹細胞シートが、以下のステップ(1)〜(4)によって作製される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の膵液瘻治療用細胞シート:
    (1)磁気ラベルした脂肪組織由来間葉系幹細胞を用意するステップ;
    (2)I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分として含むゲル材料と前記脂肪組織由来間葉系幹細胞との混合物を培養容器に播種するステップ;
    (3)磁力を作用させることによって、前記混合物中の前記脂肪組織由来間葉系幹細胞を前記培養容器の培養面に引き寄せ、多層の細胞層を形成させるステップ;
    (4)前記ゲル材料をゲル化させるステップ。
  6. ステップ(2)における前記混合物が、I型コラーゲンを有効成分とした第1ゲル要素と、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分とした第2ゲル要素と、前記脂肪組織由来間葉系幹細胞とを混合することによって得られる、請求項5に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  7. ステップ(2)における前記培養容器の培養面上には、着脱可能な仕切りによる、上方が開放された区画が形成されており、該区画内に前記混合物が播種される、請求項5又は6に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  8. ステップ(3)と(4)の間に以下のステップ(3')を行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載の膵液瘻治療用細胞シート:
    (3')前記細胞層の上方に存在する余分なゲル材料を除去するステップ。
  9. マンノースを含有している、請求項1に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  10. マンノースで処理された脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有する、請求項1に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  11. 脂肪組織由来間葉系幹細胞を含有し、その使用時に、マンノース含有組成物がシート面に貼付又は塗布される、膵液瘻治療用細胞シート。
  12. 前記マンノースが低濃度である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  13. 低濃度が、0.8%(w/v)以下の濃度である、請求項12に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
  14. 低濃度が、0.2%(w/v)〜0.8(w/v)である、請求項12に記載の膵液瘻治療用細胞シート。
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