JP2016021292A - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】接触端子を介して試料にリターディング電圧を印加し、試料表面の測定や検査を実行する荷電粒子線装置において、試料と接触端子の接触状態に依存して、リターディングオートフォーカスを実行した際に像ボケが発生することのない荷電粒子線装置を提供する。【解決手段】接触端子に印加するリターディング電圧を変化させたときの試料の電位変動を表面電位計で測定し、これから試料の電位変動の時定数を求め、この時定数にもとづいて荷電粒子ビームによる測定または検査を実行継続するか、中止または接触端子と試料の導通確保処理を実行するかを決定する。【選択図】 図2

Description

本発明は、電子ビームやイオンビームを利用して、半導体デバイス等の線幅計測や欠陥検査、画像取得等をおこなう荷電粒子線装置に係り、特に試料を静電吸着によって保持する静電チャック機構を備えた荷電粒子線装置に関する。
近年、半導体デバイスパターンの寸法測定や欠陥検査に荷電粒子線装置の1種である電子顕微鏡が応用されている。例えば、半導体デバイスのゲート寸法の測定には測長SEM(Critical−Dimension Scanning Electron Microscope、以下CD−SEM)を用い、欠陥検査には欠陥検査SEMを用いる。また、電位コントラストを利用し、配線用深穴の導通検査にも走査電子顕微鏡が用いられるようになっている。また、イオンビームを用いて半導体デバイスの加工、観察を行う集束イオンビーム装置もある。
一方、上述のような荷電粒子線装置による測定、或いは検査対象となる半導体ウェハなどの試料表面は、絶縁膜で覆われていることがある。このような試料にビームを照射すると、試料の表面電位が上昇し、フォーカスずれや像ドリフトの原因となる場合がある。特許文献1には、このような電位上昇を抑制するために、試料表面の絶縁膜を破るためのコンタクトピンが設置された静電チャックが開示されている。更に、特許文献1には、コンタクトピンと試料が適正に導通されているか否かを判断するために、リターディング電圧のシフト量を評価する手法が説明されている。
特開2010−272586号公報
特許文献1に開示されているように、リターディング電圧のシフト量を評価することによって、導通、非導通の判断を行うことが可能である。しかしながら、絶縁膜の厚さやコンタクトピンの接触の具合によって、コンタクトピンと試料間の接触抵抗が変化する。接触抵抗が大きいと、リターディング電圧の変化に対する試料電位の変化の応答速度が低下し、リターディング電圧を変化させることによって、フォーカス調整を行う、いわゆるリターディングフォーカスを適正に行うことができなくなる場合がある。
以下に、コンタクトピンの接触具合に応じて、適正な光学条件設定、或いは測定又は検査条件の設定を目的とする荷電粒子線装置について説明する。
上記目的を達成するための一態様として、以下に、荷電粒子源から放出される荷電粒子ビームを集束する対物レンズと、当該対物レンズによって集束される荷電粒子ビームが照射される試料を載置ための試料台と、前記試料に対して電圧を印加する電圧印加電源と、前記対物レンズ及び前記電圧印加電源を制御する制御装置を備えた荷電粒子線装置であって、前記制御装置は、前記電圧印加電源から前記試料に電圧を印加した後、所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化、或いは時定数を計測し、前記所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化情報、或いは時定数が所定の条件を満たす場合に、前記電圧印加電源の調整に基づいて、前記荷電粒子ビームの焦点調整を実行する荷電粒子線装置を提案する。
上記構成によれば、コンタクトピンの接触具合に応じた適正な装置条件の設定が可能となる。
静電チャック機構の概要を示す図。 荷電粒子線装置による試料の計測工程を示すフローチャート。 走査電子顕微鏡の一例を示す図。 静電チャック機構の概要を示す図。 荷電粒子線装置による試料の計測工程を示すフローチャート。 荷電粒子線装置による試料の計測工程を示すフローチャート。 荷電粒子線装置による試料の計測工程を示すフローチャート。 荷電粒子線装置による試料の計測工程を示すフローチャート。 リターディング電圧印加時の試料表面電位の変化を示すタイムチャート。
以下に説明する実施例は、主にコンタクトピンを有する試料台を備えた走査電子顕微鏡に関するものであり、特に、試料台、或いは試料に負電圧(リターディング電圧)を印加する負電圧印加電源を備えた走査電子顕微鏡に関するものである。
コンタクトピンと試料(ウエハ)との導通を確かなものとするために、予めコンタクトピンと試料の接触個所の絶縁膜を除去することが考えられる。試料表面の絶縁膜を除去するために、処理室内に反応ガスを導入した上で試料表面にレーザを照射し、これにより絶縁膜が除去された部分に接地端子を接触して試料の電位を安定化することが考えられる。これにより、単に先端が鋭利なピンを試料表面に衝突させて機械的に試料に接地端子を接触させて電荷を放出させる場合に比べて、絶縁膜の異物が発生せずに半導体装置の歩留まりの低下が抑えられる効果が得られる。
一方、CD−SEMに代表される測定、検査装置には、試料であるウエハに何らかの手段、例えば接触端子をウエハに接触させて直接的に、またはウエハの上下面を同電位の部材で静電容量的に挟み込むなどして間接的に、リターディング電圧を印加しておおよその電位に設定し、これを微調整することでフォーカス合わせする、いわゆるリターディングフォーカスと呼ばれる焦点調整法が採用されているものがある。いずれの方式でウエハ電位を調整するかは装置の使用状況に応じて適宜選択されるべきものであるが、接触端子を用いた場合にはステージなど周囲の帯電の影響を受けない利点が認められる。
この接触端子でウエハ電位を調節してフォーカス合わせを実行し、高いスループットを確保しながらウエハ面内の複数の計測点を検査するためには、短時間の内にリターディング電圧の調節を完了させる必要がある。ところが、ウエハと接触端子間の接触抵抗が大きい場合、リターディング電圧を変化させても時定数が大きいために応答性が悪いためにうまくフォーカス合わせができない可能性があることが、発明者らの検討によって明らかになった。これを回避するために、レーザ照射により試料表面の絶縁膜を除去することは有効な手法であるが、実際には絶縁膜の厚みが試料毎に異なることがあるため、絶縁膜が十分に除去されたか否かの判断が難しい。また、過剰にレーザ照射を行うと試料にダメージを与えてしまう可能性もある。
以上のように、酸化膜の除去機能を用いてコンタクトピンと試料の導通を確保するためには、酸化膜の厚さ等に応じた適切な除去条件を見出す必要がある。以下に説明する実施例では、コンタクトピンの接触状態を適正に把握し、適正な装置条件設定を可能とする荷電粒子線装置について説明する。
以下に説明する実施例では、主に、試料を保持するためのステージ(試料台)を備えた荷電粒子線装置において、ステージには試料を積載したさいに試料に弾性的に接触する接触端子を備え、この接触端子は試料にリターディング電圧を印加するためのリターディング電源に接続した構成とし、試料に印加するリターディング電圧を変化させた時の試料の表面電位を表面電位計で測定して電位変化の時定数を求め、この時定数にもとづいて荷電粒子ビームによる測定、或いは検査の実行継続、または中止を決定するか、フォーカス合わせの方法を変更する荷電粒子線装置を提案する。このような構成によれば、リターディング電圧を変化させてフォーカス合わせを実行してもフォーカスぼけのある状態で計測または検査することがないため、信頼性の高い計測が可能となる。また、ステージとして静電チャックを採用した場合、静電チャックに印加する電圧を変化させ、このときのウエハ電位を表面電位計で計測するようにすれば、ウエハと接触端子が導通しているのか否かを判断することが可能である。
また、上記目的を達成するための他の態様として、荷電粒子線装置に対し試料表面に付着した絶縁膜を絶縁破壊または除去する手段を設け、試料に印加するリターディング電圧を変化させた時の試料の表面電位を表面電位計で測定して電位変化の時定数を求め、この時定数にもとづいて荷電粒子ビームによる測定や検査を実行継続するか、または試料表面に付着した絶縁膜の絶縁破壊ないしは除去を実行してから測定や検査を継続するか決定する荷電粒子線装置を提案する。このような構成によれば、試料表面の絶縁膜の状況や接触端子と試料の接触状態に依存しない計測が可能となり、信頼性の高い計測が可能となる。
上記構成によれば、試料に付けられた絶縁膜の厚みによらず、応答性良くリターディング電位を変更することが可能になり、測定や検査の高精度化と高スループット化の両立を実現することができる荷電粒子線装置の提供が可能となる。
以下に荷電粒子線装置について説明する。一例として、CD−SEMを例にとり、測定の基本原理を簡単に説明する。CD−SEMは走査型電子顕微鏡の一種であり、半導体デバイス等のパターンの線幅等を測定するための機能が搭載されている。電子銃から一次電子を放出させ、電圧を印加して加速する。その後、電磁レンズによって電子ビームのビーム径を細く絞る。この電子ビームを半導体ウエハ等の試料上に2次元的に走査する。走査した電子ビームが試料に入射することにより発生する二次電子を検出器で検出する。この二次電子の強度は、試料表面の形状を反映するので、電子ビームの走査と二次電子の検出を同期させてモニタに表示することで、試料上の微細パターンが画像化できる。CD−SEMでは、例えばゲート電極の線幅を測定する場合には、得られた画像の明暗の変化にもとづいてパターンのエッジを判別して寸法を導き出す。以上がCD−SEMの測定原理である。
このCD−SEMは半導体製造ラインにおけるデバイスパターンの寸法測定に使用されるため、分解能、測長再現性といった電子顕微鏡としての性能だけでなく、スループットが非常に重要となる。これらの装置性能に悪影響をおよぼす要因の一つに、ウエハの電位変動の問題が存在する。つまり、ウエハを保持するための静電チャックの表面が帯電することによる電位変動や、ウエハに照射する電子ビームに起因する電位変動、ウエハから放出されたガスに起因する放電による電位変動などである。
その結果、例えばSEM画像を撮影中にウエハ電位が変動してしまうと、像ぼけが発生し、分解能や測長再現性の悪化を引き起こす。この電位変動を抑制するための一手段として、ウエハ表面に電極となる端子や導通ピンなどの導通部材を押しあて、この導通部材を介してウエハ電位を固定する方法が開示されている。ただし、ウエハ表面には絶縁膜がまちまちの厚みで付いている場合があるため、導通のとれ具合にばらつきが残る場合がある。
上述のように、レーザを照射することでウエハ表面の絶縁膜そのものを除去すれば、単なる導通ピンの押し当てによる場合に比べれば導通のとれ具合の再現性が改善すると期待できるものの、絶縁膜の厚みによって必要な照射時間も変わってくるため、やはり導通を安定的に確保することは困難である。
特にCD−SEMのような、半導体製造の量産ラインに展開される装置においては、いかなるウエハが流れてきた場合においても、再現性良く寸法を計測し、スループットを落とさないで稼働しつづけることが重要となってくる。例えば接触端子を介してウエハにリターディング電位を印加し、このリターディング電位を調整してフォーカス合わせする場合には、導通の取れ方(接触抵抗)がばらつくとフォーカス合わせの時定数が大きいために像ボケが発生する。いかなるウエハであっても像ボケによる障害がなく、安心して計測を実行するためにはウエハと接触端子の接触抵抗を検証する機構が必要となる。
以下に説明する実施例はこのような要求に応えるものであり、ウエハに接触端子を接触させてリターディング電圧を印加し、リターディング電圧を調節してフォーカス合わせを実行してSEM画像を取得し計測する走査電子顕微鏡において、ウエハに印加するリターディング電圧を変化させたときのウエハ電位を表面電位計で測定し、その応答性からウエハと接触端子の接触状態を判定できる走査電子顕微鏡について説明する。
また、他の実施例として、ウエハに接触端子を接触させてリターディング電圧を印加し、リターディング電圧を調節してフォーカス合わせを実行してSEM画像を取得し計測する走査電子顕微鏡において、接触端子を複数個用意し、この接触端子間にスイッチの切り替え操作で電位差を印加して導通を確保し、ウエハに印加するリターディング電圧を変化させたときのウエハ電位を表面電位計で測定し、その応答性からウエハと接触端子の接触状態を判定できる走査電子顕微鏡について説明する。
更に、他の実施例として、ウエハに接触端子を接触させてリターディング電圧を印加し、リターディング電圧を調節してフォーカス合わせを実行してSEM画像を取得し計測する走査電子顕微鏡において、ウエハ裏面にレーザビームを照射して絶縁膜を除去して導通を確保し、ウエハに印加するリターディング電圧を変化させたときのウエハ電位を表面電位計で測定し、その応答性からウエハと接触端子の接触状態を判定できる走査電子顕微鏡について説明する。
より具体的には、ウエハに接触端子を接触させてリターディング電圧を印加し、リターディング電圧を調節してフォーカス合わせを実行してSEM画像を取得し計測する走査電子顕微鏡において、ウエハに接触端子が接触するようにステージに搭載後、計測を実行する前に、ウエハに印加するリターディング電圧を変化させたときのウエハ電位を表面電位計で測定してその応答時間を求め、この応答時間を予め決定しておいた応答時間の閾値と比較することでウエハと接触端子の接触状態を判定できる走査電子顕微鏡について説明する。
またウエハに接触させる接触端子を複数個用意し、この接触端子間にスイッチの切り替え操作で電位差を印加して導通を確保できる構成とし、ウエハに接触端子が接触するようにステージに搭載後、計測を実行する前に、ウエハに印加するリターディング電圧を変化させたときのウエハ電位を表面電位計で測定してその応答時間を求め、この応答時間を予め決定しておいた応答時間の閾値と比較することでウエハと接触端子の接触状態を判定できる走査電子顕微鏡について説明する。
更に、ウエハ裏面にレーザビームを照射して絶縁膜を除去して導通を確保できる構成とし、ウエハに接触端子が接触するようにステージに搭載後、計測を実行する前に、ウエハに印加するリターディング電圧を変化させたときのウエハ電位を表面電位計で測定してその応答時間を求め、この応答時間を予め決定しておいた応答時間の閾値と比較することでウエハと接触端子の接触状態を判定できる走査電子顕微鏡について説明する。
上記構成によれば、電子ビームを用いてSEM画像を取得し計測する走査電子顕微鏡において、像ボケの発生がない状態でSEM画像の取得と寸法計測ができるため、分解能の劣化や測長再現性の悪化がなく、信頼性の高い走査電子顕微鏡を提供することができる。
また、上記他の構成によれば、ウエハの裏面の絶縁膜の状態や接触端子の表面状態の影響を受けることなく像ボケの発生がない状態でSEM画像の取得と寸法計測ができるため、分解能の劣化や測長再現性の悪化がなく、信頼性の高い走査電子顕微鏡を提供することができる。
以下、図面を用いて走査電子顕微鏡の具体的な構成について説明する。はじめに図3を用いて、CD−SEM300の概要を説明する。電子源301から引出電極302によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム303は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ304によって、絞られた後に、走査偏向器305により、真空試料室307内に内蔵された試料9上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム303は試料台309に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ306のレンズ作用によって集束されて試料309上に照射される。試料台309は、試料の任意の位置へのビーム照射を行うべく、少なくともX−Y方向への移動が可能なように構成されている。
電子ビーム303が試料9に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子310が放出される。放出された電子310は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極312に衝突し、二次電子311を生じさせる。変換電極312から放出された二次電子311は、検出器313によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器313の出力が変化する。この出力に応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器305への偏向信号と、検出器313の出力との同期をとることで、走査領域の画像を形成する。また、図3に例示する走査電子顕微鏡には、電子ビームの走査領域を移動する偏向器(図示せず)が備えられている。この偏向器は異なる位置に存在する同一形状のパターンの画像等を形成するために用いられる。この偏向器はイメージシフト偏向器とも呼ばれ、試料ステージによる試料移動等を行うことなく、電子顕微鏡の視野位置の移動を可能とする。イメージシフト偏向器と走査偏向器を共通の偏向器とし、イメージシフト用の信号と走査用の信号を重畳して、偏向器に供給するようにしても良い。
なお、図3の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
制御装置320は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。更に、制御装置320は、CD−SEM300を自動的に制御するための動作プログラムであるレシピに基づいて、負電圧印加電源(リターディング電源)321、対物レンズ306等を制御する。また、制御装置320は、予備排気室323から導入された試料9に負電圧を印加しつつ、試料表面電位を計測するように、負電圧印加電源321、試料台309、及び静電電位計34を制御する。より具体的には、試料9を載せた試料台309を、静電電位計34の下に位置付けた状態で、負電圧印加電源321から所定の電圧を印加し、そのときの試料表面電位を静電電位計34によって測定する。
更に、制御装置320は、検出器313によって得られた検出信号に基づいて、負電圧印加電源321、対物レンズ306、或いは負電圧印加電源321と対物レンズ306の双方を用いた焦点調整を実行する。具体的には、制御装置320は、検出信号に基づいて形成された画像の鮮鋭度(シャープネス)を評価し、鮮鋭度が最も高い、或いは所定条件以上のレンズ条件(負電圧印加電源321の印加電圧条件、対物レンズ306の励磁電流条件)を選択し、装置条件として選択する。また、制御装置320は、適正な評価が困難な試料が搬入された場合、その試料の測定を行うことなく、試料室外に搬出、或いは適正な測定が行われなかった可能性がある旨の測定結果を出力するように構成されている。
また、図示はしていないが、ウエハ(試料9)を静電チャック(試料台309)から着脱するため上下動作可能なウエハ搬送用リフト機構が備えてあり、図示しない搬送ロボットとの連携動作により予備排気室323(ロードロック室)との間でウエハの受け渡しを行うことができる。
測定対象であるウエハを静電チャックまで搬送する際の動作は、まずウエハカセットにセットされたウエハをミニエンの搬送ロボットで予備排気室323に搬入する。予備排気室323内は図示しない真空排気系により真空引きおよび大気解放することができ、バルブ324の開閉と搬送ロボットの動作で真空試料室307内の真空度を実用上問題ないレベルに維持しながらウエハを静電チャック上に搬送する。
図1、2を用いて、ウエハが静電チャック上に搭載された後、電子ビームを用いた計測に至るまでのCD−SEM300の処理の流れを説明する。以下に説明する処理は、レシピに従って制御装置320がCD−SEMの各構成要素を制御することで実施される。本実施例では、静電チャック10上にウエハ9が積載される際、ウエハ裏面に先端が弾性的に接触するようにコイルバネ36介して導電性ダイヤモンド製の接触端子17が配置されている。この端子の先端は曲率半径が数ミクロン程度の鋭利なものであることが望ましい。なお、接触端子の材質は導電性ダイヤモンドに限定されることはなく、硬く導電性のあるセラミックス製のものや硬質の導電性樹脂製のものであってもよい。
接触端子17はステージに印加するリターディング電源29(負電圧印加電源321)に接続されており、ウエハとの導通が確保されればリターディング電圧がウエハに印加されることになる。静電チャックの内部には内部電極26と30が埋め込まれており、直流電源27と28により電圧を印加することでウエハ9を静電吸着する。
ウエハ裏面には酸化膜や窒化膜などの絶縁膜がついている場合があり、接触端子と接触して導通が確保されるかどうかは、接触端子の先端形状とウエハへの押しつけ力に依存する。そこで、CD−SEMに搬送されてくるウエハの裏面絶縁膜の厚みに応じ、予め安定的に導通が確保できるように適切な押しつけ力で接触端子が押しつけられるようにコイルばねのバネ定数が調整されている。
静電チャックにウエハを搬送するホームポジション(以下HP)のチャンバ壁19(真空試料室307の上壁)には、ウエハの代表的な電位を計測できる位置に真空フランジ20を介して表面電位計34(Surface Potential Measurement:SPM)が取り付けられている。また、真空チャンバの内側にはチャンバ壁19と絶縁を確保しながらリターディング電圧を印加可能なトラップ板18が設けてあり、静電チャックに対してリターディング電源29でリターディング電圧を印加すれば、ウエハは上下の両面からリターディング電位で静電容量的に挟み込まれる。
ウエハ表面に形成されたパターンを計測する場合、ウエハのうねりやパターン形状、局所的な帯電が存在するため、フォーカス合わせをしなければならないが、フォーカス合わせには2通りの方法がある。一つは、リターディング電圧を変更してウエハ電位を調節しフォーカスを合わせる方法であり、もう一つはリターディング電圧を固定し対物レンズのコイル電流を変更してビームの収束を調節してフォーカスを合わせる方法である。いずれの方法でフォーカス合わせを実行するかは、測定条件に応じて適宜選択される。
本実施例のようにウエハに接触端子で直接リターディング電圧を印可する方式の場合、ウエハと接触端子の導通がきちんと確保され接触抵抗が小さい状態であれば、リターディング電位を調節する方式の方が応答性がよいというメリットが期待できる。また、前述したようなウエハ裏面の絶縁膜が厚く接触端子でウエハに接触しても完全に絶縁されている場合にも、ウエハは静電チャックとトラップ板がリターディング電位であり、ウエハは静電容量的な結合によりリターディング電位となるために、応答性よくフォーカス合わせをすることができるので問題はない。
一方、ウエハと接触端子の導通が不十分な場合、具体的には接触抵抗が大きい場合(典型的には数MΩ〜数百MΩ)には、リターディング電位を変更した場合に応答遅れが発生する場合がある。例えば、リターディング電圧としてはCD−SEMの場合には通常0Vから−5kV程度であることが多く、電源出力の応答性としては数十ミリ秒で設計されるが、ウエハと接触端子の接触抵抗が大きい場合にはウエハの電位変動の時定数が数秒から数十秒程度発生してしまうケースがある。
このようなケースでは、リターディングでフォーカス合わせをすると、ジャストフォーカスが得られたSEM画像とそのときのリターディング電圧が乖離してしまい、実質的にオートフォーカス合わせを実行できない。もし、極めてわずかだけ像ボケが発生してしまったような場合、仮にそのSEM画像で寸法計測を実行すると、CD値を大きく見積もってしまう場合がある。仮に、時定数に合わせてフォーカス合わせするためのリターディング電圧の調整速度を遅くすると計測にかかる時間が長くなるためにスループットが悪化する。
したがって、ウエハと接触端子の導通具合を計測して問題ないレベルで導通が確保できているか確認することが重要であり、もし計測上問題となるレベルの場合には計測を中止するか、フォーカス合わせの方法を切り替える必要がある。図2を用いて、計測を中止する場合のシーケンスについて説明する。
まず、ウエハを静電チャック上に積載(40)した後、静電チャックに電圧を印加する(41)。次に、リターディング電圧を印可(42)する。従来技術であれば、この後ステージを移動して測長点にウエハを搬送し、SEM画像を取得して寸法を計測する。一方、本実施例では、リターディング電圧をあらかじめ設定した値だけ変化させ(43)、このときのウエハ電位をSPMで計測する。SPMの時間分解能はリターディング電源の出力の応答性よりも速いものとし、ウエハ電位の変化の時定数を算出し(44)、予め設定した時定数と比較する(45)。この時定数が基準値以下であれば(45)、接触抵抗が十分小さいか、完全に絶縁されているかのいずれかであり、リターディングでオートフォーカス合わせを実行することができると判断し、計測を開始する(46)。もし時定数が基準値よりも大きい場合には、接触抵抗が大きくリターディングでのフォーカス合わせは不適切と判断し、計測を中止し(47)、アラームを発報する(48)。
本実施例の機能を備えたCD−SEMであれば、フォーカスずれを起こした状態の画像で寸法計測してしまうことによる測長値変動を防止することができる。
なお、本実施例ではウエハ電位の時定数が大きい場合の処置として、計測を中止したが、ウエハと接触端子の接触状態によっては、再度ウエハを搬送し直すことで導通が確保できる場合もある。このような場合を考慮して、時定数が基準値よりも大きい場合には一旦ウエハを搬送ロボットで搬送して静電チャック上に置き直し、再度静電チャックon(41)からの操作を試してみることも可能であり、あらかじめこのリトライ操作の回数を設定できるようにしておけばよい。
次に、図7を用いて、計測を中止する場合のシーケンスについて説明する。
まず、ウエハを静電チャック上に積載(40)した後、静電チャックに電圧を印加する(41)。次に、リターディング電圧を印可(42)する。従来技術であれば、この後ステージを移動して測長点にウエハを搬送し、SEM画像を取得して寸法を計測する。一方、本実施例では、リターディング電圧をあらかじめ設定した値だけ変化させ(43)、このときのウエハ電位をSPMで計測する。SPMの時間分解能はリターディング電源の出力の応答性よりも速いものとし、ウエハ電位の変化の時定数を算出し(44)、予め設定した時定数と比較する(45)。この時定数が基準値以下であれば(45)、接触抵抗が十分小さいか、完全に絶縁されているかのいずれかであり、リターディングでオートフォーカス合わせを実行することができると判断し、計測を開始する(46)。もし時定数が基準値よりも大きい場合には、接触抵抗が大きくリターディングでのフォーカス合わせは不適切と判断し、リターディング電圧の固定値を設定し(81)、対物レンズの電流調節モードに切り替え(82)、計測を開始する(46)。
本実施例の機能を備えたCD−SEMであれば、ウエハと接触端子の接触状態の如何にかかわらず計測を継続することが可能なCD−SEMを提供することが可能となる。
微細な寸法計測では、フォーカス合わせの方法がウエハ毎にわかってしまうのは再現性という点で問題になる場合もあるが、この点が特に問題とならない用途である場合には、計測を継続することが可能であり、装置の稼働率を落とすことなく運用することが可能となる。
なお、本実施例では時定数の基準値で以降の動作を自動的に判断して計測を継続する場合を説明したが、ユーザが状況を把握し、主体的に判断して以降の計測方法を選択できるようにすることも可能である。例えば、通常はリターディングオートフォーカスで計測を行い、異常時は対物レンズ電流調整モードで実行するかどうかを予め設定できるようにレシピ設定するようにしてもよい。
本実施例ではウエハ電位変動の時定数からウエハと端子の接触抵抗がリターディングオートフォーカスに適しているか否かを判定したが、例えば静電チャックに印加している電圧を変化させたときのウエハ電位を測定するステップを追加すれば、導通が確保できているのか絶縁なのかを判断することが可能となる。図8を用いて、この場合のシーケンスを説明する。まず、ウエハを静電チャック上に積載(90)した後、静電チャックに電圧を印加する(91)。次に、リターディング電圧を印可(92)する。次に、リターディング電圧をあらかじめ設定した値だけ変化させ(93)、このときのウエハ電位をSPMで計測する。SPMの時間分解能はリターディング電源の出力の応答性よりも速いものとし、ウエハ電位の変化の時定数を算出し(94)、予め設定した時定数と比較する(95)。もし時定数が基準値よりも大きい場合には、接触抵抗が大きくリターディングでのフォーカス合わせは不適切と判断し、計測を中止し(96)、アラームを発報する(97)。この時定数が基準値以下であれば、接触抵抗が十分小さいか、完全に絶縁されているかのいずれかと判断し、静電チャックの印加電圧を予め設定した値だけ変化させ(98)、このときのウエハ電位をSPMで計測する(99)。もし、ウエハと接触端子の導通が取れている場合には、静電チャック電圧を変化させてもウエハ電位はリターディング電位を維持するが、絶縁の場合には電圧の変化にともない変化するので、導通がとれているのかどうかが判断できる。そこで、チャック電圧を変化させたときのウエハ電位の変動が基準値以下かどうか比較し(100)、もし基準値以下であれば導通が確保できていると判断、計測を開始する(101)。もし基準値以上の場合、計測を中止し(102)、アラームを発報する(102)。
本実施例の機能を備えたCD−SEMであれば、ウエハと接触端子の導通状態まで判断して計測を開始するか否かを判断することができるので、例えばビーム電流が極めて大きな計測条件など、ウエハの帯電によりウエハが静電チャックに残留吸着してしまうことが問題になるような条件であっても、安定して運用可能なCD−SEMを提供することが可能となる。
なお、本実施例ではウエハ電位変動を計測して導通不調と判断した場合の処理として計測中止としたが、必ずしもそうである必要はなくフォーカス合わせの条件を変更して計測を継続するなどしてもよい。
上述のように、リターディング電圧等を印加したときの試料表面電位の時定数を評価し、当該時定数が所定の条件を満たす場合(応答速度が所定値以上の場合)、選択的にリターディングフォーカスを適用し、それ以外の場合には測定の中断、エラーメッセージの発生、或いは磁界型の対物レンズを用いた焦点調整等を実行することによって、高精度測定と高いスループットの維持の両立を実現することが可能となる。
なお、図2等では時定数の算出に基づいて、リターディングフォーカスの適用の可否を判定する例について説明したが、これに限られることはなく、例えばリターディング電圧印加後、所定時間後の試料表面電位の測定に基づいて、上述のような判定を行うようにしても良い。例えば、図9に例示するように、リターディング電圧(Vr)901を印加後、所定時間(Δt)後に、試料表面電位(Vs)を計測し、当該試料表面電位が所定閾値904以上である場合は、リターディングフォーカスを実行し、所定閾値未満である場合には、測定中止や対物レンズを用いた焦点調整への変更を実行する。図9の例では、電位変化902の場合には、リターディングフォーカスを実行し、電位変化903の場合には、リターディングフォーカスを実行しないように装置条件を設定する。また、試料表面の電位の変化を波形の形状情報として検出し、当該形状情報が所定の条件を満たす場合に、リターディングフォーカスを実行するようにしても良い。
次に、ウエハ電位の時定数が基準値外の場合、ウエハ裏面の絶縁膜を電気的に絶縁破壊して導通を確保する場合について説明する。図4は、静電チャックの具体的な構成を示す図、図5は、ウエハが図4に例示する静電チャック上に搭載された後、電子ビームを用いた計測に至るまでのCD−SEM300の処理の流れを示す図である。静電チャック面内2カ所に貫通穴が設けてあり、貫通穴それぞれに接触端子17、21が弾性的にウエハ裏面に接触するように取り付けられている。この接触端子はスイッチ22の切り替え操作により端子間に直流電源23を用いて電圧を印可することで、ウエハ裏面に付着した絶縁膜を絶縁破壊して導通させることができる。また、スイッチ24の開閉操作により接触端子にリターディング電源との接続を切り替えることができる構成としている。
次に図5を用いて本実施例のシーケンスを説明する。まず、スイッチ24をonかつスイッチ22をaに切り替えた状態でウエハを静電チャック上に積載(50)した後、静電チャックに電圧を印加する(51)。次に、リターディング電圧を印可(52)する。
本実施例のような試料表面電位評価に基づく装置条件設定を行わないのであれば、この後ステージを移動して測長点にウエハを搬送し、SEM画像を取得して寸法を計測する。一方、本実施例では、リターディング電圧をあらかじめ設定した値だけ変化させ(53)、このときのウエハ電位をSPMで計測する。SPMの時間分解能はリターディング電源の出力の応答性よりも速いものとし、ウエハ電位の変化の時定数を算出し(54)、予め設定した時定数と比較する(55)。
この時定数が基準値以下であれば(55)、接触抵抗が十分小さいか、完全に絶縁されているかのいずれかであり、リターディングでオートフォーカス合わせを実行することができると判断し、計測を開始する(56)。もし時定数が基準値よりも大きい場合には、接触抵抗が大きくリターディングでのフォーカス合わせは不適切と判断し、以下の導通確保のシーケンスに移行する。まず、スイッチ24をoffし(57)、スイッチ22をbに切り替える(58)。その後、直流電源23により予め設定しておいた電圧を印加し(59)ウエハ裏面の絶縁膜を絶縁破壊して導通を確保する。その後スイッチ22をaに切り替え(60)、スイッチ24をonに切り替え(61)、再度リターディング電圧を変化させ(53)ウエハの電位の時定数を計測する。
もし、一回の導通確保動作で時定数が十分に小さくできない場合には、予め決めておいた分端子間に印加する電圧を増加させて、導通動作を繰り返すことも可能である。本方式のCD−SEMであれば、確実にウエハとピンの接触抵抗を一定レベル以下に維持することができるため、フォーカス合わせをリターディング電圧の調節で実行することができ、再現性のよい測長を実現することができる。
なお、本実施例では時定数が不調の場合に再度導通をとるための操作に移行したが、かならずしもリトライする必要はなく、例えばピンの先端形状の異常と判断して計測を中止することも可能である。
次に、時定数評価に基づいて、絶縁膜除去処理の要否判定を行う例について説明する。本実施例では図1の例と同様に静電チャックに1箇所貫通穴を設け、この貫通穴に接触端子を配置し、リターディング電源に接続した構成としている。また、図示しないレーザ光源とレーザを室内に導入するためののぞき窓が予備排気室323の下方に設けられている。レーザ光源は、レーザビームが、接触端子17が接触するウエハ裏面位置に照射されるように配置されている。レーザの種類としては出力が1Wから10W程度のYAGレーザやUVレーザが適している。のぞき窓の材質は、レーザが透過しやすいように適宜選択される。このレーザ照射装置の配置位置は、照射したレーザでウエハ裏面の絶縁膜を除去した領域がちょうど静電チャックにウエハを積載したときに接触端子と接触する位置に配置されている。したがって、ウエハの裏面に絶縁膜が存在した場合であっても、レーザ照射すれば接触端子との接触抵抗を常に小さく抑えることができ、導通状態を毎回同じく管理することができる。
図6は、レーザを用いた絶縁膜除去の要否判定工程を含む計測工程を示す図である。まず、ウエハを静電チャック上に積載(70)した後、静電チャックに電圧を印加する(71)。次に、リターディング電圧を印可(72)する。その後、リターディング電圧をあらかじめ設定した値だけ変化させ(73)、このときのウエハ電位をSPMで計測する。SPMの時間分解能はリターディング電源の出力の応答性よりも速いものとし、ウエハ電位の変化の時定数を算出し(74)、予め設定した時定数と比較する(75)。この時定数が基準値以下であれば(75)、接触抵抗が十分小さいか、完全に絶縁されているかのいずれかであり、リターディングでオートフォーカス合わせを実行することができると判断し、計測を開始する(76)。もし時定数が基準値よりも大きい場合には、接触抵抗が大きくリターディングでのフォーカス合わせは不適切と判断し、以下の導通確保のシーケンスに移行する。まず、ウエハをロードロック室に搬出し(77)、レーザ照射装置で予め決定された条件(出力、時間、領域)でウエハ裏面にレーザビームを照射する(78)。その後、再度ウエハを静電チャックに積載し(70)、前回どうようにリターディング電圧を変化させ(73)ウエハの電位の時定数を計測する。もし、一回のレーザ照射で時定数が十分に小さくできない場合には、再度ビーム照射による絶縁膜除去を実行することも可能である。
本方式のCD−SEMであれば、確実にウエハとピンの接触抵抗を一定レベル以下に維持することができるため、フォーカス合わせをリターディング電圧の調節で実行することができ、再現性のよい測長を実現することができる。また、ピンを押しつける力を極力小さく、本数を最小限に押さえることができ、裏面異物の問題を最小限に抑制することが可能となる。
なお、本実施例ではウエハへのレーザ照射をロードロック室で実行したが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、例えばミニエン内で実行することも可能である。また、予備排気室323内の試料配置部に、リターディング電圧に相当する電圧を印加可能に構成することによって、一旦、真空試料室307に搬入したウエハを予備排気室323に搬出し、再度真空試料室307に搬入するような手間をかけることなく、適切な絶縁膜処理を行うことが可能となる。なお、この場合は、静電電位計を予備排気室323に設置する。
図5、6の例では通常は導通判定だけとし、電位変化の時定数が一定以上の場合のみ導通確保の動作に移行するシーケンスとしたが、かならずしもこれに限定される訳ではなく、例えばウエハを静電チャックに積載する前に毎回導通確保の動作を実行することも可能である。この場合、導通確保のためのリトライ操作の発生を低減する効果を期待できる。
本実施例の説明はウエハのステージはすべて静電チャックを採用した場合について説明したが、必ずしも静電チャックである必要はなく、例えばホルダタイプのステージやメカクランプタイプのステージでも同様に適用することができる。
17…接触端子、18…トラップ板、19…チャンバ壁、20…真空フランジ、21、22、23、24、25、26…内部電極、27…直流電源、28…直流電源、29…リターディング電源、30…内部電極、300…SEM、301…電子源、302…引出電極、303…電子ビーム、304…コンデンサレンズ、305…走査偏向器、306…対物レンズ、307…真空試料室、309…試料台、310…電子、311…二次電子、312…変換電極、313…検出器、320…制御装置

Claims (10)

  1. 荷電粒子源から放出される荷電粒子ビームを集束する対物レンズと、当該対物レンズによって集束される荷電粒子ビームが照射される試料を載置ための試料台と、前記試料に対して電圧を印加する電圧印加電源と、前記対物レンズ及び前記電圧印加電源を制御する制御装置を備えた荷電粒子線装置において、
    前記制御装置は、前記電圧印加電源から前記試料に電圧を印加した後、所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化、或いは時定数を計測し、前記所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化情報、或いは時定数が所定の条件を満たす場合に、前記電圧印加電源の調整に基づいて、前記荷電粒子ビームの焦点調整を実行することを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1において、
    前記制御装置は、所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化、或いは時定数を計測し、前記所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化情報、或いは時定数が、前記所定の条件を満たさない場合に、前記荷電粒子線装置を用いた測定、又は検査を中止、或いはエラー信号を発生することを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1において、
    前記制御装置は、所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化、或いは時定数を計測し、前記所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化情報、或いは時定数が、前記所定の条件を満たさない場合に、前記対物レンズを用いた焦点調整を実行することを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1において、
    前記試料裏面の絶縁膜を除去する除去機構を備え、前記制御装置は、所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化、或いは時定数を計測し、前記所定時間後の試料表面電位、電圧を印加した後の試料表面電位の変化情報、或いは時定数が、前記所定の条件を満たさない場合に、前記除去機構を用いた絶縁膜除去を実行することを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項4において、
    前記除去機構は、試料裏面に接触する複数の接触端子と、当該接触端子間に電位差を発生させるための電源を備えていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項4において、
    前記除去機構は、前記試料裏面にレーザを照射するレーザ光源を備えていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項1において、
    前記試料の電位を測定する電位計を備え、前記制御装置は、当該電位計によって計測された電位に基づいて、前記電圧印加電源を用いた焦点調整を実行するか否かを決定することを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 試料を保持するためのステージを備えた荷電粒子線装置において、
    前記ステージには前記試料を積載したさいに前記試料に弾性的に接触する接触端子を備え、該接触端子は前記試料にリターディング電圧を印加するためのリターディング電源に接続され、前記荷電粒子線装置には前記試料の表面電位を測定するための表面電位計を備え、前記リターディング電圧を変化させた時の前記試料の電位変動を前記表面電位計で測定し、該電位変動の時定数にもとづいて、前記荷電粒子ビームによる測定、或いは検査の実行継続、または中止を決定するように前記荷電粒子線装置を制御する制御装置を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 試料を保持するためのステージを備えた荷電粒子線装置において、
    前記ステージには前記試料を積載したさいに前記試料に弾性的に接触する接触端子を複数個備え、該複数個の接触端子間には電位差を印加できるように直流電源を接続し、かつ該複数個の接触端子は前記試料にリターディング電圧を印加するためのリターディング電源に接続され、前記荷電粒子線装置には前記試料の表面電位を測定するための表面電位計を備え、前記リターディング電圧を変化させた時の前記試料の電位変動を前記表面電位計で測定し、該電位変動の時定数にもとづいて、前記荷電粒子ビームによる測定、或いは検査の実行継続、または前記直流電源に電圧を印加することで前記試料表面に形成された絶縁膜を絶縁破壊するように前記荷電粒子線装置を制御する制御装置を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 試料を保持するためのステージを備えた荷電粒子線装置において、
    前記ステージには前記試料を積載したさいに前記試料に弾性的に接触する接触端子を備え、該接触端子には前記試料にリターディング電圧を印加するためのリターディング電源に接続され、前記荷電粒子線装置には前記試料の表面電位を測定するための表面電位計を備え、前記荷電粒子線装置には前記接触端子と接触する前記試料面付近にレーザを照射可能なレーザ照射装置を備え、前記リターディング電圧を変化させた時の前記試料の電位変動を前記表面電位計で測定し、該電位変動の時定数にもとづいて、前記荷電粒子ビームによる測定、或いは検査の実行継続、または前記レーザ照射装置により前記試料にレーザを照射することで前記試料表面に形成された絶縁膜を除去するように前記荷電粒子線装置を制御する制御装置を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
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