JP2016018545A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作者がパネルを操作した際に、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルなクリック触感を呈示できる電子機器を提供する。
【解決手段】パネル12と、パネル12に対する押圧を検出する押圧検出部13と、パネル12を振動させる振動部14と、パネル12に対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たすと、パネル12を振動させるように振動部14を制御する制御部15と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、押圧による入力を受け付けるパネルを備える電子機器に関するものである。
近年、情報機器や家電製品等には、ユーザによる入力操作を受け付けるパネルとして、タッチパネルやタッチスイッチ等の接触による入力を受け付けるパネルを備える電子機器が広く使用されている。このようなパネルには、抵抗膜方式や静電容量方式等の種々の方式がある。しかし、これらのパネルは、いずれも、指やスタイラスペンによる押圧による入力を受け付けるものであって、パネル自体は、押圧されても、押しボタンスイッチのようには変位しない。
このため、操作者は、入力操作が受け付けられた際にフィードバックを得ることができない。その結果、例えば、タッチパネルを備える電子機器においては、同じ位置を何度も入力操作する等の誤操作による入力ミスが生じ易く、操作者にストレスを与える場合がある。
このような入力ミスを防止するものとして、例えば、入力操作を受け付けて、音を鳴らしたり、当該入力操作領域に対応して表示部に画像表示されている入力ボタン等の入力用オブジェクトの表示色を変更する等の表示態様を変更したりして、聴覚や視覚により入力操作の受付を確認できるようにしたものが知られている。
しかし、聴覚に働きかけるフィードバック方法の場合は、騒音環境下での確認が困難になるとともに、使用機器がマナーモード等で消音状態にある場合は、対応できないことになる。また、視覚に働きかけるフィードバック方法の場合は、表示部に表示されている入力用オブジェクトのサイズが小さいと、特に指入力の場合は、指の下に入力用オブジェクトが隠れて表示態様の変化が確認できない場合がある。
また、聴覚や視覚によらず、タッチパネルが入力を受け付けると、タッチパネルを振動させて、操作者の指先に触覚を発生させるようにしたフィードバック方法も提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2003−288158号公報 特開2008−130055号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に開示の技術は、単に、操作者の指先に振動による触覚を発生させるものである。すなわち、タッチパネルを振動させることにより、タッチパネルに接触している操作者の指先に、「ブルブル」と感じられる触感を呈示するもので、例えば、メタルドームを有する押しボタンスイッチを操作した際に感じられる「カッチッ」というような、リアルなクリック触感を呈示するものではない。
このため、例えば、携帯電話等の携帯端末、電卓、券売機等の情報機器の入力キーや、電子レンジやテレビ等の家電製品における操作部の入力キー等をタッチパネルで構成して、該タッチパネルに上記のフィードバック技術を適用した場合、操作者は違和感を覚えることになる。
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、操作者がパネルを操作した際に、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルなクリック触感を呈示できる電子機器を提供することにある。
上記目的を達成する本発明に係る電子機器は、
パネルと、
前記パネルに対する押圧を検出する押圧検出部と、
前記パネルを振動させる振動部と、
前記パネルに対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たすと、前記パネルを振動させるように前記振動部を制御する制御部と、
を備えるものである。
本発明によれば、操作者がパネルを操作した際に、操作者に対して押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルなクリック触感を呈示することが可能となる。
押しボタンスイッチの一般的な荷重特性を示す図である。 押下荷重が異なる種々の押しボタンスイッチを操作した際の官能評価結果を示す図である。 ストロークが異なる種々の押しボタンスイッチを操作した際の官能評価結果を示す図である。 押しボタンスイッチを操作した際に押しボタンに生じる振動の測定結果の一例を示す図である。 本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。 図5に示した電子機器の実装構造の一例を示す図である。 図5に示した電子機器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施の形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。 図8に示した電子機器の正面図である。 図5に示した振動部を駆動する駆動信号の周波数を変化させた場合のクリック触感の官能評価結果を示す図である。 図5に示したタッチパネルの振動振幅を変化させた場合のクリック触感の官能評価結果を示す図である。 図5に示した振動部を駆動する駆動信号の周期を変化させた場合のクリック触感の官能評価結果を示す図である。 図5に示した振動部を駆動する駆動信号の波形を変化させた場合のクリック触感の官能評価結果を示す図である。 図5に示した振動部を駆動する駆動信号の波形と実際のタッチパネルの振動振幅波形とを示す図である。 本発明の第3実施の形態に係る電子機器の動作を示すフローチャートである。 第3実施の形態に係る電子機器において、押圧時とリリース時との基準の荷重を同じに設定した場合のクリック触感呈示の一例を説明するための図である。 第3実施の形態に係る電子機器において、リリース時の基準の荷重を押圧時の基準の荷重よりも小さく設定した場合のクリック触感呈示の一例を説明するための図である。 第3実施の形態に係る電子機器によるクリック触感の官能評価結果の一例をリリース触感なしの場合と比較して示す図である。 押圧時とリリース時との基準の荷重が同じに設定された場合の連続入力時における触感提示の一例を説明するための図である。 リリース時の基準の荷重が押圧時の基準の荷重に対して低すぎる値に設定された場合の連続入力時における触感呈示の一例を説明するための図である。 リリース時の基準の荷重が押圧時の基準の荷重に近い値に設定された場合の連続入力時における触感呈示の一例を説明するための図である。 本発明の第4実施の形態に係る電子機器において、押圧時の基準の荷重を1Nに設定した場合の触感呈示の官能評価結果例を示す図である。 本発明の第4実施の形態に係る電子機器において、押圧時の基準の荷重を2Nに設定した場合の触感呈示の官能評価結果例を示す図である。 本発明の第4実施の形態に係る電子機器において、押圧時の基準の荷重を3Nに設定した場合の触感呈示の官能評価結果例を示す図である。
先ず、本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明に係る電子機器によるクリック触感呈示方法の原理について説明する。
ヒトが触感として感じる要素には、対象物に触れたときに骨や筋に伝わる荷重により硬さや柔らかさ等の触感を感じる圧覚神経と、対象物に触れた際の皮膚表面に伝わる振動を検知して物の手触り等を感じる触覚神経とがある。つまり、圧覚は荷重を検知し、触覚は振動を検出する。そして、一般に触感とは、圧覚と触覚とが複合した感覚である。したがって、押しボタンスイッチを操作した際の「圧覚」および「触覚」への刺激を、例えばタッチパネル上で同じように再現すれば、操作者にクリック触感を呈示することが可能となる。
一方、情報機器や家電製品に使用されている押しボタンスイッチには、例えば、メタルドームスイッチ、エンボススイッチ、ラバースイッチ、タクタイルスイッチ等が広く知られている。これらの一般的な押しボタンスイッチにおける荷重特性は、スイッチの種類によって、押しボタンのストロークや、加える荷重(押下力)に差はあるものの、概ね、図1に示すような特性を有する。
図1の押下時の荷重特性において、A点からB点までの期間は、押しボタンの押し込み開始から押し込みにほぼ比例して荷重が増加する期間である。B点からC点までの期間は、押しボタンの押し込みによりメタルドーム等の凸型形状の弾性部材が座屈して荷重が急激に減少する期間である。C点からD点までの期間は、スイッチの接点が閉成して、押し込みにほぼ比例して荷重が増加する期間である。
また、押しボタンのリリース時における荷重特性は、多少のヒシテリシスを有するが、押下時とは逆の変化を辿る。すなわち、D点からE点までの期間は、リリースの開始からほぼ比例して荷重が減少する期間で、スイッチの接点が閉状態を維持する期間である。E点からF点までの期間は、押しボタンのリリースにより弾性部材が座屈状態から凸型形状に復帰して荷重が急激に増加する期間で、この期間の開始によりスイッチの接点が開成する。F点からG点までの期間は、弾性部材の復帰後、押しボタンから指を離すまでの期間で、ほぼ比例して荷重が減少する期間である。
なお、図1に示した荷重特性において、押しボタンの最大ストロークは、例えば、メタルドームスイッチ、エンボススイッチ、タクタイルスイッチの場合で、1mm以下であり、ラバースイッチの場合でも、3mm以下と微少である。また、B点における荷重は、メタルドームスイッチ、エンボススイッチ、タクタイルスイッチの場合で、例えば、1N前後から6N前後であり、ラバースイッチの場合で、例えば、0.5N前後である。そして、何れの押しボタンスイッチを操作した場合でも、操作者は、クリック触感が得られる。
そこで、本発明者らは、押しボタンスイッチがどのような動きをした時に、「圧覚」および「触覚」が生むクリック触感が得られるのかを検討した。先ず、クリック触感は、ストローク変化によるものなのか、押下荷重変化によるものなのかを検討した。
図2は、押下荷重が異なる種々の押しボタンスイッチを操作した際に、操作者がどのように感じるかを示した官能評価結果を示す図である。横軸は、実際の押下荷重を示し、縦軸は押しボタンスイッチに関して重いと感じたか軽いと感じたかを7点満点で示す。被験者は、携帯端末の使用に慣れている5人である。図2から明らかなように、押下荷重については、押下荷重の高い押しボタンスイッチに関しては、重いと認識でき、押下荷重の低い押しボタンスイッチに関しては、軽いと認識できていることが解る。
図3は、ストロークが異なる種々の押しボタンスイッチを操作した際に、操作者がどのように感じるかを示した官能評価結果を示す図である。横軸は、実際のストロークを示し、縦軸は、押しボタンスイッチに関して長いと感じたか、短いと感じたかを7点満点で示す。被験者は、図2の場合と同じ、携帯端末の使用に慣れている5人である。図3から明らかなように、微小なストロークに関しては、長い短いを明確に認識できていないことが解る。
以上の官能評価結果から、人は、荷重の違いは認識できるが、微小なストロークの違いは認識できないことが解る。
そこで、本発明者らは、押下荷重の変化に着目した。すなわち、ヒトがストロークの違いを認識できないならば、タッチパネルのような平面上での押圧荷重変化、つまり圧覚への刺激を、図1に示したABC点のように変化させれば、クリック触感が感じられるかを検討した。そのため、垂直方向に変位可能なプレートを有する実験装置を作成して、プレートを図1に示したA点からB点にかけて押下し、B点の荷重に達した時点で瞬時にプレートを下方に微少量変位させてBC点間の荷重変化を再現した。
その結果、押しボタンスイッチを「押した」と言う「押下感」は得られたものの、例えばメタルドームスイッチを操作した場合に感じられる「カッチッ」というような、リアルなクリック触感は得られなかった。つまり、リアルなクリック触感を得るには、ストロークと荷重との関係では判明できない他の要素があることが判明した。
そこで、本発明者らは、次に「圧覚」だけでなく、もう一つの感覚神経である「触覚」に着目して検討した。そのため、本発明者らは、メタルドームスイッチの押しボタンスイッチを有する電子機器が搭載された種々の携帯端末について、押しボタンを操作した際に押しボタンに生じる振動を測定した。その結果、押しボタンは、押下荷重が図1のB点に達した時点おいて、すなわちメタルドームが座屈を開始した時点において、おおよそ100Hz〜200Hzの周波数で振動することが判明した。
図4は、その場合の測定結果の一例を示す図である。横軸は押下経過時間を示し、縦軸は振動振幅を示す。この押しボタンスイッチは、図1のB点において、図4に実線で示すように振動する。これにより、この押しボタンスイッチの場合、ヒトは、押下時に、周期約6ms(周波数で約170Hz)の振動刺激を、約1周期分受けていることが判明した。また、この押しボタンスイッチは、リリース時に押下荷重が図1のF点に達した時点、すなわちメタルドームが座屈状態から復帰した時点で、押しボタンが、図4に一点鎖線で示すように振動する。これにより、この押しボタンスイッチの場合、ヒトは、リリース時に、周期約8ms(周波数で約125Hz)の振動刺激を、約1周期分受けていることが判明した。
以上のことから、タッチパネルを押圧する際、図1に示すA点からB点までの荷重では、パネルを振動させずに、操作者に自発的に押下させて圧覚を刺激し、その状態で、B点において、例えば、周波数170Hzでパネルを約1周期分振動させて触覚を刺激すれば、操作者に対して図4の測定結果に係る押しボタンスイッチを操作した場合と同様の触感を呈示する(ストロークを錯覚する)ことが可能となる。
本発明に係る電子機器は、以上の原理に基づいて、パネルを押圧する場合に、パネルに対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たすまでは圧覚を刺激し、所定の基準を満たした際に、パネルを所定の駆動信号、すなわち一定周波数、駆動時間である周期(波長)、波形、振幅、で振動させて触覚を刺激する。これにより、操作者に対して、押しボタンスイッチを押下した場合と同様のリアルな触感を呈示する(ストロークを錯覚する)ものである。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図5は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。この電子機器は、表示パネル11、タッチパネル12、押圧検出部13、振動部14、および、全体の動作を制御する制御部15を有する。表示パネル11は、入力ボタン等の入力用オブジェクトを表示する表示部を構成するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。タッチパネル12は、表示パネル11に対する入力を受け付けるもので、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等の公知のものを用いて構成される。押圧検出部13は、タッチパネル12に対する押圧を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサを用いて構成される。また、振動部14は、タッチパネル12を振動させるもので、例えば、圧電振動素子を用いて構成される。
図6は、図5に示した電子機器の実装構造の一例を示すもので、図6(a)は要部断面図、図6(b)は要部平面図である。表示パネル11は、筐体21内に収納保持される。表示パネル11上には、弾性部材からなるインシュレータ22を介して、タッチパネル12が保持される。なお、本実施の形態に係る電子機器は、表示パネル11およびタッチパネル12が、平面視で矩形状をなしている。タッチパネル12は、図6(b)に仮想線で示す表示パネル11の表示領域Aからはずれた4隅に配設されたインシュレータ22を介して表示パネル11上に保持される。
また、筐体21には、表示パネル11の表示領域から外れたタッチパネル12の表面領域を覆うようにアッパカバー23が設けられる。このアッパカバー23とタッチパネル12との間には、弾性部材からなるインシュレータ24が配設される。
なお、タッチパネル12は、例えば、表面すなわち操作面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧力に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものが使用可能である。
タッチパネル12の表面の透明フィルム上には、アッパカバー23で覆われる各辺の近傍に、タッチパネル12に加わる荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサ31がそれぞれ接着等により設けられている。また、タッチパネル12の裏面のガラス面上には、対向する2つの辺の近傍に、タッチパネル12を振動させるための圧電素子32がそれぞれ接着等により設けられている。すなわち、図6に示す電子機器は、図5に示した押圧検出部13が4つの歪みゲージセンサ31を用いて構成され、振動部14が2つの圧電素子32を用いて構成される。なお、図6(b)は、図6(a)に示した筐体21、アッパカバー23およびインシュレータ24の図示を省略している。
図7は、本実施の形態に係る電子機器の動作を示すフローチャートである。制御部15は、タッチパネル12への入力(接触)を監視するとともに、押圧検出部13によるタッチパネル12に対する押圧に基づくデータを監視する。そして、制御部15は、タッチパネル12への入力が表示パネル11に表示された入力用オブジェクトに対する入力で、かつ、押圧検出部13によるタッチパネル12に対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たしたのを検知する(ステップS81)。これを検知すると、制御部15は、その検知時点のタッチパネル12への入力を受け付けるとともに、振動部14を所定の駆動信号で駆動して、タッチパネル12を予め設定した所定の振動パターンで振動させる(ステップS82)。これにより、タッチパネル12を押圧している指もしくはスタイラスペンの押圧物を介して、操作者にクリック触感を呈示して、入力操作が完了したことを認識させる。なお、制御部15は、タッチパネル12に対する押圧に基づくデータとして、例えば、押圧検出部13の4つの歪みゲージセンサ31の出力の平均値に基づくデータを監視する。また、制御部15は、例えば、振動部14の2つの圧電素子32を同相で駆動する。
ここで、ステップS81で検知する所定の基準は、例えば、図1に示したB点の荷重に相当するデータである。したがって、この所定の基準は、表現したい押しボタンスイッチの押下時の荷重特性に応じて適宜設定すればよい。例えば、携帯端末に適用する場合においては、年配のユーザは重めに、頻繁にメールをするユーザは軽めに設定できるように、ユーザが自由に設定できるようにする。また、ステップS82で振動部14を駆動する所定の駆動信号、すなわち触覚を刺激する一定周波数、周期(波長)、波形、振幅は、呈示するクリック触感に応じて適宜設定すればよい。例えば、携帯端末に使用されているメタルドームスイッチに代表されるクリック触感を呈示する場合は、後述するように、例えば、170Hzの一定周波数のSin波からなる1周期分の駆動信号により振動部14を駆動して、タッチパネル12を、約15μm振動させる。これにより、操作者にリアルな触感を呈示する(ストロークを錯覚する)ことができる。
このように、本実施の形態に係る電子機器は、押圧検出部13によるタッチパネル12に対する押圧に基づくデータが、タッチパネル12への入力を受け付ける所定の基準を満たすまでは圧覚を刺激するようにし、所定の基準を満たすと、振動部14を所定の駆動信号で駆動してタッチパネル12を所定の振動パターンで振動させて触覚を刺激する。これにより、操作者に対してリアルな触感(ストロークを錯覚する触感)を呈示して、当該入力操作が完了したことを認識させる。したがって、操作者は、タッチパネル12を、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルな触感(ストロークを錯覚する触感)を得ながら、入力操作を行うことができるので、違和感を覚えることがない。また、操作者は、タッチパネル12を「押した」と言う意識との連動で入力操作を行うことができるので、単なる押圧による入力ミスも防止することができる。
(第2実施の形態)
図8および図9は、本発明の第2実施の形態に係る電子機器を示すもので、図8は概略構成を示すブロック図、図9は正面図である。この電子機器は、例えば、携帯端末に実装されるもので、図8に示すように、タッチパネル41と、タッチパネル41に対する入力位置を検出する位置検出部42と、位置検出部42で検出された入力位置に基づく情報を表示する表示パネル43と、タッチパネル41に対する押圧を検出する押圧検出部44と、タッチパネル41を振動させる振動部45と、全体の動作を制御する制御部46とを有する。
タッチパネル41には、図9に示すように、予め印刷や貼り付け等により、テンキー等の複数の入力用オブジェクト41aが形成されている。各入力用オブジェクト41aは、隣接する複数の入力用オブジェクト41aに跨る押圧による誤入力を防止するため、入力を受け付ける有効押圧領域が、当該入力用オブジェクト41aの形成領域よりも狭く設定されている。なお、図8において、押圧検出部44および振動部45は、図6に示した電子機器の場合と同様に、それぞれ歪みゲージセンサおよび圧電素子を用いて構成される。
制御部46は、タッチパネル41への入力(接触)、および、押圧検出部44によるタッチパネル41に対する押圧に基づくデータを、それぞれ監視するとともに、位置検出部42で検出されるタッチパネル41に対する入力位置を監視する。そして、位置検出部42により入力用オブジェクトの有効押圧領域の入力位置が検出され、かつ、押圧検出部44によるタッチパネル41に対する押圧に基づくデータが、入力を受け付ける所定の基準を満たした際に、振動部45を所定の駆動信号で駆動してタッチパネル41を予め設定した所定の振動パターンで振動させる。
すなわち、制御部46は、位置検出部42により入力用オブジェクトの有効押圧領域の入力位置が検出された場合は、第1実施の形態に係る電子機器と同様に、例えば、170Hzの一定周波数のSin波からなる1周期分の駆動信号により振動部45を駆動して、タッチパネル41を、約15μm振動させる。これにより、操作者に対しクリック触感を呈示して、その入力操作が完了したことを認識させる。また、制御部46は、タッチパネル41で検出された入力を受け付けることにより、表示パネル43に対して入力に応じた表示を行う。
したがって、本実施の形態に係る電子機器によれば、第1実施の形態の場合と同様に、操作者は、タッチパネル41を、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルな触感(ストロークを錯覚する触感)を得ながら、入力操作を行うことができるので、違和感を覚えることがない。また、操作者は、タッチパネル41を「押した」と言う意識との連動で入力操作が行われるので、単なる押圧による入力ミスも防止することができる。
以下、上記各実施の形態に係る電子機器において、本発明者らが検証したクリック触感(ストローク感も含む)の官能評価結果について説明する。
市販の携帯端末に広く使用されているメタルドームスイッチは、本発明者らによる測定によると、端末の機種によるバラツキはあるものの、概ね6N以下、一般には3N以下の所定の荷重が加わると、急激に荷重が減少する荷重特性を有している。そこで、本発明者らは、図5および図6に示した構成の電子機器において、振動部14の駆動を開始する所定の基準を1.5N(図1のB点の荷重)とし、駆動信号の周波数、周期(波長)、波形をパラメータとしてクリック触感の官能評価を行った。
これらの評価結果例を、図10〜図13に示す。図10〜図13において、被験者は、図2および図3の官能評価を行った者と同じ5人である。評価項目は、「クリック触感と感じる」、「触感として良い」、および、触感が「携帯端末と似ている」の3項目である。評価点は、「クリック触感と感じる」の評価項目では、「感じない」が1点、「強く感じる」が7点である。「触感として良い」の評価項目では、「悪い」が1点、「良い」が7点である。「携帯端末と似ている」の評価項目では、「似ていない」が1点、「非常に似ている」が7点である。各項目の評価得点は、それぞれ5人の平均点を示した。
図10は、周波数を変化させた場合の評価結果を示す。この官能評価においては、振動部14を駆動する駆動信号の周期(波長)すなわち駆動時間を1周期、波形をSin波として、周波数を50Hz〜250Hzの範囲で変化させた。なお、駆動信号の振幅は、タッチパネル12において、所定の基準のデータに相当する荷重が加わった状態で、15μmの振動振幅が得られる信号振幅とした。その結果、図10から明らかなように、周波数は、170Hzの場合が最も評価が高いが、140Hz以上であれば、ヒトは携帯端末と似たクリック触感が得られることが確認できた。なお、以下の説明において、「所定の基準のデータに相当する荷重」を、単に「所定の基準の荷重」とも言う。
図11は、駆動信号の振幅を変化させた場合の評価結果を示す。この官能評価においては、駆動部14を駆動する駆動信号の周波数を170Hz、周期を1周期、波形をSin波とした。また、信号振幅は、タッチパネル12が押圧されていない無負荷状態で、タッチパネル12が1μm〜35μm内の所定の振幅で振動するように変化させた。そして、各無負荷時の振動振幅条件で、タッチパネル12に1.5Nの荷重が加わった際に駆動部14を駆動して、各評価項目を評価した。なお、図11の横軸には、タッチパネル12の無負荷時の振動振幅に対応して、1.5Nの荷重が加わった状態での振動振幅を示す。その結果、図11から明らかなように、1.5Nの荷重が加わった状態では、振動振幅が15μm以上であれば、ヒトはクリック触感を十分に感じることが確認できた。つまり、タッチパネル12に1.5Nの押圧荷重が加わった状態で、170Hzの一定周波数で、タッチパネル12を15μm以上の振動振幅で、わずかに1周期分振動させることで、ヒトはクリック触感を感じるということが確認できた。
図12は、駆動時間である周期(波長)を変化させた場合の評価結果を示す。この官能評価においては、振動部14を駆動する駆動信号の波形をSin波、信号振幅をタッチパネル12に対し所定の基準の荷重が加わった状態での振動振幅が約15μmとなる振幅、周波数を170Hzとして、周期を1/4周期〜3周期の範囲で変化させた。なお、1/4周期および1/2周期では、他の周期とタッチパネル12における振動変位がほぼ等しくなる、すなわち約15μmの振動振幅が得られる信号振幅とした。その結果、図12から明らかなように、周期(波長)が1周期の場合に最も高い評価が得られた。また、5/4周期や、1周期未満でも、概ね良好な結果が得られたが、3/2周期以上になると、携帯端末のクリック触感からはずれることが確認できた。
図13は、駆動信号の波形を変化させた場合の評価結果を示す。この官能評価においては、振動部14を駆動する駆動信号の波形をSin波、矩形波、三角波とした場合のそれぞれについて評価した。なお、各信号の周波数は170Hz、信号振幅はタッチパネル12における所定の基準の荷重が加わった状態での振動振幅が約15μmとなる振幅、周期は1周期とした。その結果、図13から明らかなように、Sin波の場合に最も高い評価が得られた。
ここで、Sin波の駆動信号(駆動部14の入力電圧)は、図14に一点鎖線で示すように、位相0度から電圧が増加して減少する1周期に限らず、位相180度から電圧が減少して増加する等、任意の位相からの1周期の電圧とすることができる。なお、図14には、一点鎖線で示した入力電圧で駆動部14を駆動した際の、無負荷時におけるタッチパネル12の振動振幅波形(破線)と、1.5Nでの押圧時におけるタッチパネル12の振動振幅波形(実線)とを合わせて示す。
以上の評価結果例から、図5および図6に示した構成の電子機器を携帯端末に適用する場合は、タッチパネル12に押圧時に所定の基準の荷重を満たす荷重が加わった時点で、例えば、周波数140Hz以上、好適には170Hzの一定周波数で、5/4周期以下、好適には1周期のSin波の駆動信号により、タッチパネル12を約15μm以上振動させれば、操作者にリアルなクリック触感を呈示可能であることが確認できた。なお、図8および図9に示した構成の電子機器においても、同様の結果が得られることが確認できた。
(第3実施の形態)
ヒトが押しボタンスイッチを操作すると、押下時のみならず、リリース時においても、図4に示したように、指に押しボタンスイッチからの触感刺激が与えられる。そこで、本発明の第3実施の形態に係る電子機器においては、第1実施の形態または第2実施の形態に係る電子機器において、リリース時にも操作者にクリック触感(以下、リリース時のクリック触感を、適宜、リリース触感とも言う)を呈示する。これにより、操作者に、よりリアルなクリック触感を呈示する。以下、図5および図6の構成を例にとって、本実施の形態に係る電子機器の動作を説明する。
図15は、本実施の形態に係る電子機器の動作を示すフローチャートである。先ず、図7において説明したように、制御部15は、タッチパネル12への入力(接触)が表示パネル11に表示された入力用オブジェクトに対する入力で、かつ、押圧検出部13によるタッチパネル12に対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たしたのを検知する(ステップS81)。そして、制御部15は、その検知時点のタッチパネル12への入力を受け付けるとともに、振動部14を所定の駆動信号で駆動して、タッチパネル12を予め設定した所定の振動パターンで振動させる(ステップS82)。
その後、制御部15は、押圧検出部13によるタッチパネル12に対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たしたのを検知すると(ステップS83)、押圧時と同様に、振動部14を、所定の駆動信号で駆動して、タッチパネル12を予め設定した所定の振動パターンで振動させる(ステップS84)。
ここで、ステップS83のリリース時、すなわち押圧入力の受け付け後に検知する所定の基準の荷重は、ステップS81で検知する押圧時の所定の基準の荷重以下の任意の荷重に設定することができる。また、ステップS84のリリース時において、振動部14を駆動する駆動信号は、ステップS82の押圧時における駆動信号と同じとすることもできるし、異ならせることもできる。例えば、タッチパネル12への入力を受け付ける押圧時における駆動信号の周波数は170Hzとし、リリース時における駆動信号の周波数は、例えば図4に示したように125Hzとすることができる。
このように、押圧入力を受け付けた後のリリース時に、押圧検出部13によるタッチパネル12に対する押圧に基づくデータが所定の基準を満たした際に、押圧時と同様に、振動部14を所定の駆動信号で駆動して、タッチパネル12を予め設定した所定の振動パターンで振動させることにより、リリース触感を呈示することができる。したがって、押圧時のクリック触感と相俟って、より押しボタンスイッチに近いクリック触感を操作者に呈示することができる。
例えば、押圧時とリリース時とで、振動部14を駆動する基準の荷重を同じに設定した場合は、押圧時の最大荷重が基準の荷重を超えていれば、図16に示すように、押圧時とリリース時とでクリック触感を呈示することができる。したがって、押しボタンスイッチにより近いクリック触感を操作者に呈示することができる。なお、図16および他の図において、「カッ」および「チッ」は、ヒトが受けるクリック触感を表現したものである。
また、振動部14を駆動する基準の荷重を、リリース時は押圧時よりも低い任意の荷重に設定した場合は、押圧時の最大荷重が押圧時の基準の荷重であった場合でも、すなわち押圧時の基準の荷重で押圧物を引き返した場合でも、図17に示すように、押圧時とリリース時とでクリック触感を呈示することができる。なお、図16に示したように、振動部14を駆動する基準の荷重を、押圧時とリリース時とで同じ荷重に設定した場合において、押圧時の最大荷重が基準の荷重と一致する場合は、リリース時に振動部14が駆動されないことがある。また、操作者が押圧荷重を基準の荷重で保持しようとした場合、予期せぬリリース触感が呈示されることがある。その結果、操作者に違和感を与える場合が想定される。これに対し、図17に示したように、リリース時に振動部14を駆動する基準の荷重を、押圧時の基準の荷重よりも低い任意の荷重に設定すれば、リリース時に確実にリリース触感を提示できる。したがって、より押しボタンスイッチに近いクリック触感を、より確実に、操作者に呈示することができる。
以下、第3実施の形態に係る電子機器において、本発明者らが検証した、振動部14を押圧時のみ駆動する場合と、押圧時およびリリース時の双方で駆動する場合とのクリック触感の官能評価結果について説明する。
図18は、この場合の評価結果例を示す図である。図18において、左側は、振動部14を押圧時のみ駆動する場合、すなわち「リリース触感なし」の場合の評価結果を示し、右側は、押圧時およびリリース時の双方で駆動する場合、すなわち「リリース触感あり」の場合の官能評価結果を示す。被験者は、図2および図3の官能評価を行った者と同じ5人である。評価項目は、図10〜図13における3項目に、「フィードバックとしてよい(認識し易い)」の項目を加えた4項目である。各項目の評価点は、7点を満点として、5人の平均点を示した。なお、「フィードバックとしてよい」の評価項目では、「悪い」が1点、「良い」が7点である。また、押圧時およびリリース時とも、振動部14を駆動する所定の基準の荷重を同じにするとともに、駆動信号も同じとする。ここでは、所定の基準の荷重は、1.5Nとした。また、駆動信号は、周波数170HzのSin波を1周期分として、タッチパネル12を1.5Nの押圧状態で約15μm振動させた。
図18の評価結果から明らかなように、リリース時にもタッチパネル12を振動させてリリース触感を呈示した方が、携帯端末のクリック触感により類似し、かつ、フィードバック(認識)も良好であることが確認できた。
(第4実施の形態)
ところで、例えば、携帯端末に使用される電子機器は、電話番号やメール等の入力の際に、同一の入力用オブジェクトを連続して入力する、いわゆる連打が頻繁に行なわれる。このような場合、図18に示したように、タッチパネル12を、押圧時のみならず、リリース時にも所定の振動パターンで振動させる場合は、リリース時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重を適切に設定する必要がある。
すなわち、ヒトが連続入力を素早く行う際には、一般に、押圧荷重は「0」まで下がりきらずに次の入力が開始され、押圧時の最大荷重にはバラツキが生じる。この際、第3実施の形態で説明したように、振動部14を駆動する所定の基準の荷重が、押圧時とリリース時とで同じに設定されている場合は、図19に示すような現象が生じることが想定される。すなわち、連打入力の途中で、押圧荷重が基準の荷重で引き返されると、当該入力においては、リリース時に振動部14が駆動されなかったり、操作者がリリースした意識よりも先に触感が呈示されたりする。その結果、入力操作と触感とが合わず、操作者に違和感を与える場合があることが想定される。なお、図19は、4回の連続入力において、3回目の入力操作における押圧荷重が基準の荷重で引き返された場合を示す。
一方、リリース時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重が、押圧時に振動部14を駆動する基準の荷重と比較して低すぎる値に設定されている場合は、図20に示すような現象が生じることが想定される。すなわち、連打入力の途中で、押圧荷重がリリース時の基準の荷重まで戻らずに、次の入力動作が行われると、触感呈示にずれが生じて、操作者に違和感を与える場合があることが想定される。なお、図20は、4回の連打入力において、2回目の入力操作におけるリリース時の荷重が、リリース時の基準の荷重まで達しないうちに、3回目の入力操作が行われた場合を示す。また、このように、リリース時における所定の基準の荷重が低すぎると、当該所定の基準に戻るまでに時間がかかる。その結果、操作者は呈示される触感に違和感を覚えることなく、連続入力を行いたいにも拘らず、次の入力までの時間がかかり、素早い連続入力が行えなくなって、連続入力(連打)時の操作性が低下することが懸念される。
これに対し、リリース時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重が、押圧時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重に近い値に設定されている場合は、より素早く連続入力が可能になる。その反面、連続入力の途中で押圧状態を保持(ホールド)しようとした場合は、予期せぬリリース触感が呈示されて操作者に違和感を与える場合があることが想定される。すなわち、連続入力の途中で押圧状態をホールドする場合、操作者は、押圧荷重を一定に保持しているつもりでも、微小な荷重変動がある。このため、例えば、図21に示すように、押圧時における基準とリリース時における基準との荷重幅が、上記のホールド状態での荷重変動の幅よりも狭いと、操作者は、ホールドしているつもりでも、リリース時の触感が呈示されて違和感を覚えることになる。
そこで、本発明の第4実施の形態においては、上述した連続入力時の操作性およびホールド状態での微小な荷重変化にも対応でき、操作者がリアルなクリック触感を得ながらスムーズな連続入力を可能とする。そのため、第4実施の形態に係る入力装置は、第3実施の形態で説明した電子機器において、リリース時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重を、押圧時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重に対して、50%〜80%の範囲の値に設定する。
以下、第4実施の形態に係る電子機器において、本発明者らが検証したクリック触感の官能評価結果について説明する。
図22〜図24は、この場合の評価結果例を示す図である。図22〜図24において、被験者は、図18の官能評価を行った者と同じ5人である。評価項目は、図18における4項目に「連打しやすい」の項目を加えた5項目である。各項目の評価点は、7点を満点として、5人の平均点を示した。なお、「連打しやすい」の評価項目では、「やりずらい」が1点、「連続入力しやすい」が7点である。また、押圧時およびリリース時とも、振動部14を駆動する駆動信号は、周波数170HzのSin波を1周期分として、それぞれタッチパネル12に対する押圧に基づくデータが所定の基準を満たした際に、タッチパネル12を約15μm振動させた。
図22は、押圧時の所定の基準が1Nで、リリース時の所定の基準が0N、0.5N、1Nの場合の評価結果を示す。図22から明らかなように、押圧時に振動を開始する所定の基準の荷重が1Nの場合は、リリース時に振動を開始する所定の基準の荷重が0.5Nの場合に、全ての評価項目で最も高い評価が得られた。
図23は、押圧時の所定の基準が2Nで、リリース時の所定の基準が0N、0.5N、1N、1.5N、2Nの場合の評価結果を示す。図23から明らかなように、押圧時に振動を開始する所定の基準の荷重が2Nの場合は、リリース時に振動を開始する所定の基準の荷重が1Nおよび1.5Nの場合に高い評価が得られ、特に1.5Nの場合に、全ての評価項目で最も高い評価が得られた。
図24は、押圧時の所定の基準が3Nで、リリース時の所定の基準が0N、0.5N、1N、1.5N、2N、2.5N、3Nの場合の評価結果を示す。図24から明らかなように、押圧時に振動を開始する所定の基準の荷重が3Nの場合は、リリース時に振動を開始する所定の基準の荷重が1.5N、2Nおよび2.5Nの場合に高い評価が得られ、特に2Nの場合に、全ての評価項目で最も高い評価が得られた。
以上の評価結果例から、リリース時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重は、押圧時に振動部14を駆動する所定の基準の荷重に対して、50%〜80%の範囲の値に設定すれば、連続入力(連打)において、順次の入力と触感呈示タイミングとが合致し、違和感のないリアルなクリック触感を呈示できることが確認できた。すなわち、リリース時の所定の基準の荷重を、押圧時の所定の基準の荷重よりも小さく、かつ、押圧時の所定の基準の荷重の50%以上とする。これにより、違和感を与えることなく連続入力時の操作性を格段に向上することができる。また、リリース時の所定の基準の荷重を、押圧時の所定の基準の荷重の80%以下とする。これにより、連続入力時のホールド状態での微小な荷重変化にも対応することができる。
したがって、例えば、押圧時の所定の基準を1Nに設定した場合は、リリース時の所定の基準は0.5N〜0.8Nの任意の値に設定する。また、押圧時の所定の基準が高い荷重の場合は、当該基準が低い荷重の場合よりも、ホールド状態での荷重変動の幅も広くなる。このような場合でも、リリース時の所定の基準の荷重を、押圧時の所定の基準の荷重の50%〜80%の範囲に設定する。例えば、押圧時の所定の基準を6Nと高く設定した場合は、リリース時の所定の基準を3N〜4.8Nに設定する。これにより、予期せぬリリース触感を呈示することなく、連続入力に応じた違和感のないリアルなクリック触感を呈示することができる。これら、押圧時の所定の基準の荷重、および、リリース時の所定の基準の荷重は、固定的に設定してもよく、ユーザにおいて適宜選択して設定できるようにしてもよい。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、押圧検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサを用いて構成することができる。また、押圧検出部は、タッチパネルにおける入力検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から、あるいは静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から、押圧が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。また、押圧検出部は、圧電素子を用いて構成してもよい。この場合、圧電素子は、押圧が加わる速度又は加速度に応じて電圧を出力するので、その出力電圧からタッチパネルに対する押圧に基づくデータを取得することができる。また、振動部が圧電素子から構成される場合は、振動部の圧電素子を共用して押圧検出部を構成してもよい。つまり、タッチパネルに対する押圧を検出する場合は、圧電素子を押圧検出素子として機能させ、タッチパネルを振動させる場合は、圧電素子を振動素子として機能させる。
また、振動部は、任意の個数の圧電素子を用いて構成したり、タッチパネルの操作面の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようして構成したり、することもできる。
また、制御部は、図5および図6に示したように、電子機器が表示パネルを有する場合は、タッチパネルによる入力を受け付けた時点で、表示パネルの対応する入力用オブジェクトの表示色を反転する等の表示態様を変更するように制御することもできる。さらに、制御部は、タッチパネルで検出される入力位置に応じて、振動部を駆動する駆動信号を変更して呈示するクリック触感を変更するように構成することもできる。
また、本発明は、タッチパネルが一つのスイッチとして機能する電子機器にも有効に適用することができる。さらに、本発明に係る電子機器は、タッチパネルの押圧の途中で、異なる基準(荷重)で順次にクリック触感を呈示して、2段階スイッチ(押し込んだ後、さらに押し込む)などの多段階スイッチの触感を呈示することもできる。これにより、例えば、カメラのレリーズボタンに適用した場合は、フォーカスロック(1段押し)とレリーズ(2段押し)との触感を呈示することが可能となる。また、表示部と組み合わせた場合は、押し込みの段数に応じてメニュー画面等の表示を種々変更することが可能となる。さらに、このように、多段階スイッチの触感を呈示する場合は、各段階で振動部によりタッチパネルを振動させる駆動信号を変更して、各段階において異なるクリック触感を呈示することも可能である。
また、本発明は、押圧検出部により検出される押圧荷重が、入力を受け付ける所定の基準を満たした際に、振動部を駆動させる。ここで、上記押圧検出部により検出される押圧荷重が入力を受け付ける所定の基準を満たした際とは、押圧検出部により検出される押圧荷重が入力を受け付ける所定値に達した際であってもよいし、押圧検出部により検出される押圧荷重が入力を受け付ける所定値を超えた際でもよいし、押圧検出部により入力を受け付ける所定値が検出された際でもよい。
また、制御部は、押圧検出部により検出される押圧荷重が、所定の基準を満たした際に、振動部を駆動して、パネル(タッチパネル) を予め設定した所定の振動パターンで振動させるが、前記所定の振動パターンは、押圧時の場合、図4の実線が示す振動パターンであってもよい。また、前記所定の振動パターンは、リリース時の場合、図4の一点鎖線が示す振動パターンであってもよい。このようにタッチパネルを振動させることによって、操作者に対して、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のクリック触感(振動刺激)を呈示することが可能となる。
11 表示パネル
12 タッチパネル
13 押圧検出部
14 振動部
15 制御部
21 筐体
21 液晶パネル
22 インシュレータ
23 アッパカバー
24 インシュレータ
31 歪みゲージセンサ
32 圧電素子
41 タッチパネル
41a 入力用オブジェクト
42 位置検出部
43 表示パネル
44 押圧検出部
45 振動部
46 制御部

Claims (1)

  1. パネルと、
    前記パネルに対する押圧を検出する押圧検出部と、
    前記パネルを振動させる振動部と、
    前記パネルに対する押圧に基づくデータが、所定の基準を満たすと、前記パネルを振動させるように前記振動部を制御する制御部と、
    を備える電子機器。
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