《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態に係る電子機器システムについて、図1〜図6に基づいて、詳細に説明する。図1には、第1の実施形態に係る電子機器システム100の構成が模式図にて示されている。
電子機器システム100は、図1に示すように、サーバ1と、ICカード10と、携帯端末30と、ATM(Automated Teller Machine)装置20と、を備える。サーバ1、携帯端末30、及びATM装置20は、インターネットなどのネットワーク2に接続されている。なお、本実施形態では、ICカード10を金融機関の顧客であるユーザ(例えば、高齢の母親)が保有しているものとする。また、携帯端末30は、ユーザの息子や娘、孫などが保有している携帯端末であるものとする。
図2にはサーバ1、ICカード10、携帯端末30、ATM装置20がブロック図にて示されている。なお、ATM装置20および携帯端末30は図示簡略化のため1つずつしか示していないが、複数でも構わない。
(サーバ1)
サーバ1は、例えば金融機関内やデータセンタなどに設置されているコンピュータであり、ATM装置20を介して入力される情報に基づいて所定の処理(振込み処理や、入金処理などの各種銀行処理)を実行する。
サーバ1は、図2に示すように、制御部71と、通信部73と、記憶部72とを備える。
制御部71は、サーバ1全体を統括的に制御する。制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えている。
記憶部72には、金融機関で扱う情報が格納されている。例えば、記憶部72には、金融機関の顧客(ユーザ)の情報(ユーザの氏名、口座番号、パスワードなど)などが格納されている。
通信部73は、ネットワーク2を介して、ATM装置20と通信するものであり、有線通信と無線通信とのいずれを用いてもよい。
(ICカード10)
ICカード10は、ATM装置20で利用可能なICチップを搭載したICキャッシュカードである。ICカード10は、ICチップ上において、制御部11、記憶部12、および通信部13を備えている。
制御部11は、ICカード10の各部を統括的に制御する。制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備える。
記憶部12は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、ATM装置20で利用する情報が格納されている。例えば記憶部12には、ユーザ情報(ユーザの氏名、口座番号、暗証番号、取引履歴など)が格納されている。また、記憶部12には、図3に示すようなペアリングDB(データベース)が格納されている。ペアリングDBには、ユーザの息子や娘、孫などの情報(氏名、メールアドレス、電話番号、ユーザとの関係など)が格納されている。本実施形態では、ペアリングDBに情報が格納されているユーザの息子や娘、孫などを、ペアリング相手と呼ぶものとする。なお、ペアリングDBには、ペアリング相手の機密情報(暗証番号など)は、格納しないものとする。なお、ペアリングDBの情報は、ICカード10発行時にユーザが申告した情報に基づいて銀行員等が登録するようにしてもよいし、ICカード10発行後に、ユーザがATM装置20等を操作して登録することとしてもよい。
通信部13は、ATM装置20と近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)などの通信を行う。なお、近距離無線通信としては、例えばBluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、TransferJet(登録商標)などを用いることができる。
なお、ユーザは、ICカード10に代えてATM装置20において読み取り可能な磁気カードを保持していてもよい。この場合、磁気カードには、上述したユーザ情報やペアリングDBの情報が格納されていればよい。また、ユーザは、ICカード10に代えて、ICチップを内蔵する携帯端末を保持していてもよい。この場合、ICチップは、ICカード10と同様、上述したユーザ情報やペアリングDBの情報を保持し、ATM装置20との間で近距離無線通信が可能であればよい。
なお、ペアリングDBは、サーバ1やATM装置20において保持されていてもよい。この場合、各装置の記憶部72,28では、ユーザの識別情報と、該ユーザに対応するペアリングDBとを対応付けて管理するものとする。
(ATM装置20)
ATM装置20は、例えば銀行などの金融機関、その出張所及びコンビニエンスストア等に設置されている端末装置である。ATM装置20は、図2に示すように、制御部21、現金投入・払い出し部22、表示部23、操作部24、第1通信部25、第2通信部26、記憶部28、および撮像部29等を備える。
制御部21は、CPU、RAM、ROM等を備え、ATM装置20全体を統括的に制御する。制御部21は、サーバ1と連携して、通常のATM装置が実行する処理(ユーザ認証や、振込み、振り替え、預け払い、残高照会等の処理)を行うほか、後述する携帯端末30との連携処理を実行する。
現金投入・払い出し部22は、制御部21の指示の下、ユーザが投入した現金を回収したり、ユーザに対して現金を払い出したりする。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイなどであり、取引のための操作メニュー画面を表示する。操作部24は、表示部23上に設けられ、又は表示部23内に組み込まれたタッチパネルを有する。操作部24は、表示部23(タッチパネル)の表面に対するユーザの接触操作を検出し、種々の情報入力を受け付ける。すなわち、ユーザは、表示部23に表示された操作メニュー画面やアイコンに触れる動作を行うことで、ATM装置20を操作することができる。なお、操作部24は、テンキー等を有していてもよい。
第1通信部25は、ICカード10の通信部13と例えば近距離無線通信などの通信を行うことで、ICカード10の記憶部12に格納されている情報を取得する。なお、上述した通り、近距離無線通信としては、例えばBluetooth(登録商標)、RFID、TransferJET(登録商標)などを用いることができる。
第2通信部26は、ネットワーク2を介して、サーバ1の通信部73および携帯端末30の通信部35と通信を行うものであり、通信部73との通信では有線通信または無線通信を用いることができ、通信部35との通信では無線通信を用いることができる。
記憶部28は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、各種プログラムに加えて、制御部21の処理に必要な情報や、ユーザから入力された情報(取引金額、振込先)、ICカード10から入力された情報(ペアリング相手の情報など)、撮像部29により撮像された画像(画像データ)などを記憶する。
撮像部29は、レンズ、撮像素子、画像処理部などを備え、静止画や動画を撮像するものである。
なお、上述の構成に加え、ATM装置20にユーザの指紋や静脈の情報により生体認証する生体認証部や、端末の正面(表示部側)を撮像する撮像部を設けてもよい。
(携帯端末30)
携帯端末30は、ペアリング相手が所有する携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ノートPC(Personnel Computer)などであり、本実施形態では、一例としてスマートフォンであるものとする。なお、携帯端末30に代えて、デスクトップ型のPCや、固定電話であってもよい。
携帯端末30は、制御部31、表示部32、操作部33、記憶部34、通信部35、撮像部36、マイク37、スピーカ38、および位置検出部39等を備える。
制御部31は、携帯端末30全体を統括的に制御する。制御部31は、CPU、RAM、ROM等を備える。制御部31は、後述するATM装置20との連携処理を実行する。
表示部32は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、各種コンテンツやアプリケーションの画面を表示するとともに、ATM装置20から携帯端末30に連絡があった際にその旨を表示する。操作部33は、キーボード、または表示部32に設けられたタッチパネルであり、ユーザの操作を受け付け、制御部31に入力する。
記憶部34は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、各種プログラムに加えて、制御部31の処理に必要な情報、撮像部36が撮像した画像などを記憶する。
通信部35は、ネットワーク2を介して、ATM装置20の第2通信部26と通信を行うものであり、本実施形態においては無線通信を行うものである。
撮像部36は、レンズ、撮像素子、画像処理部などを備え、静止画や動画を撮像するものである。マイク37は、携帯端末30の所有者の音声を収集する音声収集装置である。スピーカ38は、音声を出力する音声出力装置である。
位置検出部39は、例えば、GPS(Global Positioning System)モジュールを含み、携帯端末30の位置(例えば緯度及び経度)、すなわち、ペアリング相手の位置を検出し、制御部31に出力する。
(ATM装置20と携帯端末30の連携処理)
次に、図4〜図5(b)に沿って、ATM装置20と携帯端末30とによる連携処理について詳細に説明する。本処理の前提として、ATM装置20を利用しようとしているユーザは高齢者(母親)であり、ICカード10のペアリングDBにはユーザの息子の情報が格納されているものとする。また、携帯端末30は、ユーザの息子や娘(成人)によって保持されているものとする。なお、本実施形態の連携処理は、例えばユーザ(高齢者)が、不審人物に騙されてATM装置20において現金を引き出したり、振り込みを行ったりするのを防止するための処理である。図4、図5(a)にはATM装置20の制御部21が実行する処理がフローチャートにて示されている。また、図5(b)には携帯端末30の制御部31が実行する処理がフローチャートにて示されている。
図4、図5(a)の処理では、まず図4のステップS10において、制御部21は、取引が開始されるまで待機する。第1通信部25がICカード10の通信部13と通信を行うことで、制御部21がICカード10からユーザの情報を受け付けるとともに、ユーザが入力した暗証番号を用いたユーザ認証に成功すると、制御部21は取引を開始する。この場合、制御部21は、メニュー画面等を表示部23に表示した後、ステップS12に移行する。
ステップS12に移行すると、制御部21は、操作部24におけるユーザの操作を受け付け、ユーザが入力した情報を受信する。この場合、制御部21が受信する情報は、取引に関する情報であり、取引の種類(金銭の支払い、預け入れ、振込み、記帳など)、取引する金額などが含まれる。
次いで、ステップS14では、制御部21は、操作が終了したか否かを判断する。このステップS14の判断が否定された場合には、制御部21はステップS12に戻る。一方、ステップS14の判断が肯定された場合には、制御部21はステップS16に移行する。例えば希望する取引の選択、金額の指定等が行われた場合に、操作が終了したものとして、ステップS14の判断が肯定される。
ステップS14の判断が肯定され、ステップS16に移行すると、制御部21は、取引金額が所定の金額を超えるか否かを判断する。所定の金額は、ユーザごとに予め定めておいてもよいし、デフォルトの金額(例えば50万円など)を用いてもよい。取引金額が所定額以下の場合、あるいは取引の種類が預け入れや記帳など金銭を騙し取られる可能性がないものである場合に制御部21は、ステップS16の判断を否定し、図5(a)のステップS28に移行する。なお、ステップS28に移行した場合、制御部21は、ユーザが指定した取引を実行する。すなわち、制御部21は、現金投入・払い出し部22を用いて現金の預け入れ、支払い、振込み、通帳への記帳などの処理を行う。ステップS28が行われた後に、制御部21は、図4、図5(a)の連携処理を終了してもよく、ステップS12に戻って次の操作を受け付けてもよい。
一方、ステップS16の判断が肯定された場合、制御部21はステップS18に移行し、ユーザにペアリング相手がいるか否かを判断する。ここで、ICカード10の記憶部12のペアリングDBにペアリング相手の情報が格納されていない場合にはステップS18の判断が否定され、制御部21は、ステップS28に移行して前述のように取引を実行する。
一方、ステップS18の判断が肯定された場合、すなわち記憶部12からペアリング相手の情報を取得できた場合には、制御部21はステップS20に移行する。ステップS20に移行すると、制御部21は、第2通信部26を用いて、サーバ1と通信を行い、ユーザの取引が許可されている否かを判断する。ここで、ペアリングDBに情報が格納されているペアリング相手は、ユーザが多額の現金を引き出したり、振り込んだりすることを予め認識しているような場合がある。このような場合には、ペアリング相手は、その取引を事前に許可する旨を、サーバ1の記憶部72に登録しておくことができるものとする。この場合、ペアリング相手は、電子メールや電話、金融機関のホームページなどから取引を事前に許可する手続きを行うことができるものとする。なお、ペアリング相手は、事前に自己の暗証番号をサーバ1に登録しておくことで、ペアリング相手以外の人がユーザの取引を事前に許可できないようにすることができる。
ステップS20の判断が肯定されると、制御部21は図5(a)のステップS28に移行し、上記と同様、ステップS28において取引を実行する。一方、ステップS20の判断が否定された場合には、制御部21は、図4のステップS22に移行する。
ステップS22に移行すると、制御部21は、第2通信部26を用いて、携帯端末30に対する連絡を実行する。制御部21は、ペアリングDBを参照して、例えば電話の発信または電子メールなどにより、ペアリング相手に対してユーザの取引の情報を知らせる。例えば、電子メールにて連絡を行う場合、制御部21は、電子メールの文面として、図6に示すような文を生成する。この場合、制御部21は、ペアリングDBのユーザとの関係を考慮して、文面を生成するものとする。これによりペアリング相手(息子や娘など)はユーザが取引しようとしていることを知ることができる。なお、制御部21は、電子メールの文面に、ATM装置20の位置やATM装置20の操作が行われた日時などの情報を追記してもよい。また、電子メールには、ATM装置20の撮像部29により撮像された画像などを添付してもよい。
一方、携帯端末30の制御部31は、図5(b)のステップS40において、ATM装置20から連絡があるまで待機している。すなわち、ATM装置20においてステップS22の処理が行われたタイミングで、制御部31はステップS42に移行する。
ステップS42に移行すると、制御部31は、ATM装置20(制御部21)から連絡があったことをペアリング相手に報知する。制御部31は、例えば不図示のバイブレータの振動、表示部32への表示、LEDの点灯、スピーカからの音の出力などにより報知する。このとき、制御部31は、例えば振動の周波数やLEDの色を、通常の着信や電子メールの受信とは異なるものとしてもよい。これにより、緊急連絡があったことをペアリング相手が認識しやすくなる。
次いで、ステップS44では、制御部31は、ペアリング相手からの回答があるまで待機する。例えば、図6において、“許可する”ボタン又は“許可しない”ボタンをペアリング相手が操作部33を介して選択した場合、制御部31は、ステップS46に移行する。なお、制御部31は、図6の連絡画面に「お母様に連絡」というメニューアイコンを追加して、電話をかけたり、電子メールを送付する画面に切り替えたりするようにしてもよい。
ステップS46に移行すると、制御部31は、通信部35を用いて、ATM装置20に回答を送信する。ステップS46の後、制御部31は、図5(b)の処理を終了する。なお、連絡が電話によるものであった場合、ペアリング相手は、携帯端末30のテンキーを用いた回答(例えば、許可する場合に1、許可しない場合に2を押すなど)を行うこととすればよい。また、電子メールや電話での連絡に対し、ペアリング相手は、金融機関のホームページ等から回答を行うこととしてもよい。
ところで、ATM装置20の制御部21は、図5(a)のステップS24、S30において、携帯端末30から所定時間(例えば、1〜5分)内に回答があるまで待機する。所定時間内に回答があった場合、制御部21は、ステップS26に移行する。一方、所定時間に回答が無かった場合、制御部21は、ステップS32に移行する。
ステップS26に移行すると、制御部21は、携帯端末30から受信した回答に基づき、取引がペアリング相手により許可されたか否かを判断する。このステップS26の判断が否定された場合には、制御部21はステップS32に移行するが、肯定された場合には、制御部21はステップS28に移行する。
ステップS28に移行した場合、制御部21は取引を実行する。このように、本実施形態では、高額の取引については、ペアリング相手の許可があった場合に実行することができるようになっている。なお、ステップS28が行われた後は、図4、図5(a)の処理を終了する。
一方、ペアリング相手により取引が許可されなかった場合(S26:否定)、あるいは、所定時間内にペアリング相手から回答が無かった場合(S30:肯定)には、ステップS32に移行し、制御部21は、取引を中止、一部実行、一部停止などとする。S26が否定された場合に制御部21は、表示部23に例えば「ペアリング相手の許可が出なかったため、取引を中止しました」などのメッセージを表示してもよい。S30が肯定された場合に、制御部21は、表示部23に例えば「窓口までお越し下さい」、「A田B子さんにご連絡下さい」、「A田B子さんより10万円までの取引までにしてほしいとの連絡があります」などのメッセージを表示してもよい。
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によれば、ATM装置20の制御部21は、ユーザの情報とともに、取引要求を受け付け、ユーザの情報に基づいて、ペアリング相手に連絡するか否かを判断し(図4のステップS16〜S20)、連絡が必要と判断した場合に、ペアリング相手への連絡を実行する(S22)。これにより、ユーザが取引を行う場合に、ユーザの情報(例えばペアリングDB)に基づいて、ペアリング相手に自動的に連絡することができる。本電子機器システム100によれば、例えば、高齢者が取引を行おうとしているとき(例えば、高額の現金を振り込んだり、高額の現金を引き出そうとしているとき)に、ペアリング相手に自動的に連絡が行くようになっているので、ペアリング相手は、当該取引に疑いがある場合には、その取引を停止させたり、金融機関や警察に事前に通報したりすることができるようになる。また、本電子機器システム100によれば、取引に疑いがないと判断できる場合には、ペアリング相手はユーザによる取引を許可できる。従って、本第1の実施形態によれば、振り込め詐欺(Grandparent Scam)等を事前に防ぐことができるので、取引の安全性を向上することが可能となる。なお、ATM装置20の制御部21が行った制御の少なくとも一部をサーバ1の制御部71により実行するようにしてもよい。
また、第1の実施形態においては、ATM装置20が、ユーザを撮像可能な撮像部29を備えており、制御部21は、ペアリング相手への連絡の際に、撮像部29が撮像した画像を送信することができる。これにより、ペアリング相手は、ユーザの状況を詳しく知ることができる。例えば、ペアリング相手は、ユーザが不審人物と同行しているか否かや、ユーザの表情などを画像から確認することができる。したがって、ペアリング相手は、これらの確認内容を考慮して、取引を許可するか否かを判断することができる。
また、本第1の実施形態においては、制御部21が、取引の内容(引き出し又は振り込み金額)に応じて、ペアリング相手に連絡するか否かを判断する(図4のステップS16)。この場合、ユーザが所定額(例えば50万円)を超える高額の取引を行おうとしている場合にペアリング相手への連絡がされるため、詐欺による大きな被害を抑制することができるとともに、大きな被害が出る可能性がある場合にのみ連絡することが可能となる。なお、所定額はユーザや家族が任意に定めることができるため、ペアリング相手ごとに別々の額を定めてもよい。また、制御部21は、時期に応じて所定額を変更するようにしてもよい。例えば、年金や給料の支給日、および支給日から数日以内の期間など、詐欺が行われる可能性が高い期間がある場合に、制御部21は、それらの期間の所定額をその他の期間における所定額よりも低くしてもよい。
なお、上記第1の実施形態において、制御部21はステップS16を省略してもよい。すなわち、制御部21は、取引内容に関わらず、ユーザにペアリング相手が存在していれば(図4のS18において肯定)、ペアリング相手の携帯端末30に連絡することとしてもよい。これにより、金額の多寡に関わらず詐欺を予防することができる。
なお、上記第1の実施形態では、ペアリングDBに1人のペアリング相手を登録する場合を例示したが、これに限らず、例えば、複数のペアリング相手をペアリングDBに設定し、制御部21は、複数のペアリング相手の少なくとも1人に対して連絡するようにしてもよい。複数のペアリング相手に対して連絡をする場合、連絡した全員から許可する旨の回答があった場合に、取引が実行されるようにしてもよいし、連絡したうちの1人から許可する旨の回答があった場合に、取引が実行されるようにしてもよい。なお、振り込め詐欺においては、家族の名前を語ったものが多いが、ペアリング相手に家族が含まれていることで、家族の名前を語った振り込め詐欺をより効果的に防ぐことが可能となる。
なお、上記第1の実施形態では、ペアリング相手からの連絡がない場合に、取引を中止する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、金額を制限して取引できるようにしてもよい。あるいは、金融機関や警察への連絡を行うなどをしてもよい。また、ユーザに応じて、連絡がない場合の対応を記憶部28に格納しておいてもよい。
なお、上記第1の実施形態において、ICカード10及びATM装置20を用いた取引が行われる場合に、ペアリング相手に連絡を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、ユーザ(子供など)がスマートフォンやPCなどの端末を用いてインターネットバンキングやオンラインゲームなどを行う場合に、サーバ1が図4および図5(a)の処理を行い、ペアリング相手(親など)に連絡するようにしてもよい。これにより取引(インターネットバンキングにおける取引、ゲームに伴う課金など)の安全性を向上することができる。
《第2の実施形態》
以下、第2の実施形係る電子機器システムについて、図7〜図14に基づいて、詳細に説明する。図7には、第2の実施形態に係る電子機器システム200の構成が模式図にて示されている。
電子機器システム200は、図7に示すように、ATM装置20と、携帯端末30、40と、を備える。携帯端末30、40は、携帯電話回線、3Gネットワークなどのネットワーク2に接続されている。
本第2の実施形態おいて、携帯端末30、40は例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、またはノートPCなどである。本第2の実施形態において、携帯端末40は、金融機関の顧客であるユーザが利用する装置であり、携帯端末30は、ペアリング相手が利用する装置であるものとする。
図8には、第2の実施形態に係る電子機器システム200の構成がブロック図にて示されている。なお、ATM装置20および携帯端末30は第1の実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
(携帯端末40)
携帯端末40は、制御部41、表示部42、操作部43、記憶部44、第1通信部45、撮像部46、マイク47、スピーカ48、位置検出部49、生体センサ50、および第2通信部51を備える。なお、携帯端末40の表示部42、操作部43、撮像部46、マイク47、スピーカ48、位置検出部49は、携帯端末30の対応する構成と同一又は同等の機能を有するので、詳細な説明は省略する。
制御部41は、携帯端末40全体を統括的に制御する。制御部41は、CPU、RAM、ROM等を備える。記憶部44は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、金融機関で扱う情報が格納されている。例えば記憶部44には、第1の実施形態のICカード10のユーザ情報(ユーザの氏名、口座番号など)およびペアリング相手の情報(氏名、メールアドレス、電話番号、ユーザとの関係など)が格納されている。また記憶部44には、ATM装置20が設置されている金融機関やコンビニエンスストアの情報が記憶されている。第1通信部45は、ネットワーク2を介して、携帯端末30の通信部35と通信を行う。なお、制御部41は、ネットワーク2を介して、金融機関のホームページ上での取引(インターネットバンキング)を行うこともできるものとする。
生体センサ50は、携帯端末40を所有するユーザの生体情報を取得する。生体情報とは、例えば心拍数、脈拍、および発汗量などである。なお、携帯端末40から生体センサ50を省略して、例えば腕時計型センサ、リストバンド型センサ、衣服装着型のセンサなど、ユーザの身体に装着されるウェアラブルセンサからの出力を、第1通信部45や第2通信部51を用いて携帯端末40に入力するようにしてもよい。
第2通信部51は、ATM装置20の第1通信部25と近距離無線通信を行う。携帯端末40がATM装置20と接近した状態で、第2通信部51と第1通信部25とが通信を行い、携帯端末40の記憶部44に記憶されているユーザの情報がATM装置20に送信される。
(携帯端末40の処理)
次に、図9のフローチャートに沿って、第2の実施形態における処理について詳細に説明する。本第2の実施形態では、第1の実施形態においてATM装置20が行う処理と同様の処理を携帯端末40が実行する。また、第2の実施形態では、ペアリング相手に対する連絡を行うか否かを判定する際に、ユーザの生体情報を用いる。なお、以下の説明では、携帯端末40を有するユーザは高齢の母親であり、携帯端末30を保持するペアリング相手は、ユーザの長女(成人)であるものとする。
図9の処理では、まずステップS50において、制御部41は、位置検出部49を用いて携帯端末40の位置を検出する。次いで、ステップS52では、制御部41は、ステップS50において取得した位置がATM装置20の近傍であるか否かを判断する。この場合、制御部41は、記憶部44に記憶されている金融機関やコンビニエンスストアの地図情報と、位置検出部49が検出した位置情報とから、ATM装置20の近傍かどうかを判断すればよい。なお、記憶部44に地図情報を記憶させる代わり、または地図情報と併用して、第1通信部45を用いて地図情報を取得するようにしてもよい。携帯端末40の位置がATM装置20の位置(インターネット等により取得可能)を中心とした所定範囲内(例えば、10m以内)である場合にステップS52の判断が肯定され、制御部41はステップS54に移行する。一方、ステップS52の判断が否定されると、制御部41はステップS58に移行する。
ステップS52の判断が肯定され、ステップS54に移行すると、制御部41は、生体センサ50を用いて生体情報を取得する。次いで、ステップS56では、制御部41は、取得した生体情報に基づいて、ユーザが異常な状態(通常とは異なる状態)であるか否かを判断する。この場合、制御部41は、ユーザの脈拍、心拍数または発汗量などが正常の範囲であれば、ユーザは正常であると判定し(S56:否定)、ステップS58に移行する。一方、ユーザが不審者とともにATM装置20に接近すると、緊張状態に陥ったり、焦ったり、驚いたりして生体情報に異常が生じることがある。このような場合には、ステップS56の判断は肯定され、制御部41は、ステップS64に移行する。
ステップS64に移行した場合、制御部41は、記憶部44のペアリング相手の情報を参照し、第1通信部45を介して、ペアリング相手が保持する携帯端末30に対して連絡を行う。連絡は、第1の実施形態と同様、例えば電話の発信や、電子メールなどで行う。図10に一例を示すように、電子メールによる連絡を行う場合には、ユーザ(母親)の状態を示す定型文が送信されるものとする。これによりペアリング相手(娘など)はユーザの状況を知ることができる。ペアリング相手は、ユーザの状況を不審に感じた場合には、金融機関や警察に連絡をするなどの対策を講じることができる。ステップS64の処理が行われた後は、制御部41は、図9の処理を終了する。
これに対し、ステップS52又はS56の判断が否定され、ステップS58に移行した場合には、制御部41は、第2通信部51を用いてATM装置20と通信を行い、ATM装置20による取引が開始されるまで待機する。この場合、制御部41は、例えば、第2通信部51を介してユーザの情報を送信したタイミングで、ステップS60に移行する。なお、ステップS52の判断が否定された後にステップS58の判断が肯定される場合とは、例えば、ユーザが携帯端末40を用いてインターネットバンキングなどを行う場合などを意味する。
ステップS60に移行すると、制御部41は、第2通信部51を介して、ATM装置20から取引の情報を取得する。取引の情報には、ユーザが操作部24を介して入力した取引内容や取引金額などの情報が含まれる。次いで、ステップS62では、制御部41は、取引金額が所定額を超えるか否かを判断する。ステップS62の判断が否定された場合、取引に関する連絡をペアリング相手に対して行わなくてもよいので、制御部41は、図9の処理を終了する。一方、ステップS62の判断が肯定された場合には、制御部41はステップS64に移行する。
ステップS62の判断が肯定され、ステップS64に移行すると、制御部41は、第1通信部45を介して、携帯端末30に連絡を行う。この場合、制御部41は、図6と同様の電子メールを送信することができる。これによりペアリング相手(娘など)はユーザの状況を知ることができるため、振り込め詐欺等に対する対策を講じることができる。なお、電子メールには、定型文のほか、携帯端末40の位置、操作の行われた日時などを添付することとしてもよい。ステップS64の処理が行われた後は、制御部41は、図9の処理を終了する。
以上、詳細に説明したように、第2の実施形態によれば、携帯端末40の記憶部44はペアリング相手の情報を記憶しており、制御部41は、ユーザによる取引の情報を取得し、取引の内容に基づいて、ペアリング相手に連絡するか否かを判断する(図9のステップS58〜S62)。そして、制御部41は、ペアリング相手に連絡を行う(ステップS64)。このように、本第2の実施形態では、取引内容に応じてペアリング相手に連絡を行うので、ペアリング相手は、ユーザによる取引が詐欺によるものである可能性が高いと判断した場合に、金融機関に取引の中止を依頼したり、警察へ通報するなどの対策を講じることができる。これにより、詐欺が予防され、取引の安全性を向上することができる。
また、第2の実施形態によれば、携帯端末40の制御部41は、携帯端末40(ユーザ)の位置がユーザが取引を行う位置であり、ユーザの生体情報が所定の情報である場合に、ペアリング相手に連絡すると判断する(図9のステップS50〜S56)。これにより、ユーザが安全でない取引を行う蓋然性が高い場合に、ペアリング相手である家族らは連絡を受けることができるので、取引の中止や通報等の対策を講じることができる。
なお、上記第2の実施形態において、制御部41は、ユーザの位置(携帯端末40の位置)およびユーザの状態(生体情報)と、取引の情報(高額の取引を行うか否か)のうち、いずれか一方に基づいて、ペアリング相手に連絡するか否かを判断してもよい。つまり、制御部41は、ステップS50〜S56を省略してステップS58〜S62を実行してもよいし、ステップS58〜S62を省略してステップS50〜S56を実行してもよい。
《第3の実施形態》
以下、第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態においては、ATM装置20を利用するユーザが、図11(b)に示すような装着装置60を装着するとともに、第2の実施形態と同様、携帯端末40を利用した取引を行う。
図11(a)には第3の実施形態に係る電子機器システム200aが模式的に示されている。また、図12には、電子機器システム200aの構成がブロック図にて示されている。図11(a)に示すように、電子機器システム200aは、ATM装置20と、携帯端末30、40と、装着装置60と、を備える。装着装置60は、携帯端末40と通信することができる。なお、ATM装置20、携帯端末30、40の構成は、第2の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略するものとする。
(装着装置60)
装着装置60は、図11(b)に示すように、ユーザが身体(顔)に装着する眼鏡型の端末である。装着装置60は、眼鏡型のフレーム66を備えている。なお、図11(b)において図示され、図12において図示されていない装着装置60の構成は、フレーム66の内部や、フレーム66の一部に設けられているものとする。
図12に示すように、装着装置60は、制御部61、撮像部62、表示部63、操作部64、通信部65、および記憶部67を備える。
制御部61は、装着装置60全体を統括的に制御する。制御部61は、CPU、RAM、ROM等を備える。制御部61が実行する処理の詳細については後述する。
撮像部62は、レンズ、撮像素子、画像処理部などを備え、静止画や動画を撮像するものである。撮像部62は、図11(b)に示すように、フレーム66の端部近傍(ユーザの右目近傍)に設けられている。このため、ユーザが装着装置60を装着した状態では、ユーザが向いている(見ている)方向の画像を撮像することができる。
表示部63は、フレーム66内部又はフレーム66近傍に設けられたプロジェクタと、プロジェクタからの投影像をユーザの目に導くためのプリズムとを有している。表示部63は、制御部61の指示の下、各種情報を表示する。操作部64は、フレーム66に設けられたタッチパッドであり、ユーザの指の動きを検知して、ユーザからの操作を受け付け、操作情報を制御部61に送信する。
通信部65は、携帯端末40の第2通信部51と人体通信または近距離無線通信などを行う。また、通信部65を無線通信としてネットワークを介して携帯端末30の通信部35と通信するようにしてもよい。なお、撮像部62、表示部63、及び操作部64などについては、例えば米国特許出願公開第2013/0044042号明細書にもその詳細が開示されている。
記憶部67は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、撮像部62が撮像した画像などを記憶する。
なお、装着装置60に位置検出装置やマイクロフォンやスピーカなどを追加して、位置情報や音声情報を収集するとともに、音声案内を行うようにしてもよい。スピーカとしては指向性のあるスピーカを用いることができる。
(携帯端末40と装着装置60の連携処理)
図13(a)には第3の実施形態に係る携帯端末40の制御部41が実行する処理がフローチャートにて示されている。図13(a)においては、ステップS66、S68(太線枠にて図示)以外は、図9と同一の処理が実行される。図13(b)には、装着装置60の制御部61が実行する処理がフローチャートにて示されている。
図13(a)の処理では、ステップS64を行う前に、制御部41は、ステップS66、S68の処理を実行する。具体的には、ステップS66では、制御部41は、装着装置60の制御部61に対して、画像を送信するよう要求する。この場合の画像は、装着装置60が現在撮像できる画像(ユーザが現在見ている方向の画像)である。ただし、これに限らず、画像は、装着装置60が所定時間(数分)前に撮像した画像であってもよい。
次いで、ステップS68では、制御部41は、画像を装着装置60から受信するまで待機する。
一方、装着装置60では、制御部61は、ステップS70において、携帯端末40から画像の送信要求を受信するまで待機している。この場合、制御部41において前述したステップS66の処理が行われたタイミングで、制御部61は、ステップS72に移行する。
ステップS72に移行すると、制御部61は、撮像した画像を携帯端末40(制御部41)に対して送信する。この場合、制御部61は、撮像部62において直前に撮像された画像を送信してもよいし、所定時間前(数分前)に撮像された画像を送信してもよい。なお、画像には、例えばユーザのいる場所や、ユーザの同伴者などが含まれていると考えられる。以上により、図13(b)の処理は終了する。
これに対し、図13(a)の処理では、図9のステップS72の処理が行われたタイミングで、ステップS64に移行する。ステップS64に移行すると、制御部41は、受信した画像を電子メールに添付して携帯端末30に送信することで、ペアリング相手への連絡を行う。この場合、例えば、図14に示すような電子メールがペアリング相手の携帯端末30に送信されることになる。その他の処理については、図9と同様である。
以上説明したように、本第3の実施形態によれば、制御部41は、装着装置60の撮像部62により撮像された画像を取得し、ペアリング相手への連絡の際に、画像を送信する。これにより、ペアリング相手は、ユーザの状況(ユーザのいる場所、ユーザと同行している人物など)を画像で確認することができる。これにより、ペアリング相手は、ユーザの置かれている状況を的確に判断することができるので、ユーザに対して的確な対応(連絡や通報など)をとることができる。なお、ペアリング相手からの応答(携帯端末30からの応答)は、携帯端末40の表示部42に表示してもよく、装着装置60の表示部63に表示してもよい。
なお、上記第3の実施形態においては、制御部41は、例えば携帯端末40の撮像部46により撮像した画像を、携帯端末30に送信するようにしてもよい。
なお、上記第3の実施形態では、装着装置60の一例として眼鏡型電子機器について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、体の任意の位置に装着可能な装着型端末であってもよく、その機能の一部が分離していてもよい。一例を挙げると、表示部を備えたコンタクトレンズ型の端末として、他の機能を腕時計型の端末に持たせるようにしてもよい。
なお、上記各実施形態においては、ICカード10や、携帯端末と連携する装置がATM装置20である場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば連携する装置としては、クレジットカードの暗証番号など機密情報を入力する機器、例えば券売機、ローンの無人契約機、などであってもよい。また、第2の実施形態のステップS50において、ユーザが接近したか否かを判断する位置としては、金融機関やATM装置以外であってもよい。例えば、高額の商品を購入するおそれのある店舗などであってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例であり、第1の実施形態から第3の実施形態を適宜組み合わせることができる。本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。