JP2016017491A - タービン動翼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タービン動翼であって、翼部と、前記翼部の外端に備えられたチップシュラウド部とを有し、前記翼部と、前記チップシュラウド部とはセラミックス基複合部材からなり、前記翼部の少なくとも一部と、前記チップシュラウド部の少なくとも一部とが1つのセラミックス繊維織物から構成されていて繋がっており、前記セラミックス繊維織物における前記翼部を構成する部分と、前記チップシュラウド部を構成する部分とを所望の角度をなすように折り曲げ、型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成した、タービン動翼。
【選択図】図1
Description
例えば、図7(a)は、一般的な航空機用ターボファンエンジンの概略斜視図であり、図7(b)は、そのタービン動翼の一部を拡大した概略図であるが、エンジンの駆動時にタービン動翼には翼部の長手方向へ強い遠心力がかかるので、通常、タービン動翼はNi基合金等から製造される。また、図7(b)に示すように、タービン動翼100は、翼部102の外端にチップシュラウド部104、内端にプラットフォーム部106およびダブテール部108を備え、チップシュラウド部104およびプラットフォーム部106は、翼部102の主面に対して垂直方向へ伸びている形状を有し、さらに、チップシュラウド部104は外側へ伸びる2つのフィン104A、104Bを有している。このようにタービン動翼100は複雑な形状を有するものであるものの、Ni基合金等の金属材料を用いて鋳込むことで、比較的容易に製造することができる。
例えば特許文献1には、セラミックス基複合部材(CMC)からなるベーンについて記載されている。
すなわち、本発明は強い遠心力に耐え破壊し難い、少なくとも一部がセラミックス基複合部材からなるタービン動翼を提供することを目的とする。
(1)タービン動翼であって、
翼部と、前記翼部の外端に備えられたチップシュラウド部とを有し、
前記翼部と、前記チップシュラウド部とはセラミックス基複合部材からなり、
前記翼部の少なくとも一部と、前記チップシュラウド部の少なくとも一部とが1つのセラミックス繊維織物から構成されていて繋がっており、前記セラミックス繊維織物における前記翼部を構成する部分と、前記チップシュラウド部を構成する部分とを所望の角度をなすように折り曲げ、型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成した、タービン動翼。
(2)前記翼部のキャンバー角度が160度以下である、上記(1)に記載のタービン動翼。
(3)さらにプラットフォーム部およびダブテール部を有し、
前記プラットフォーム部および前記ダブテール部の少なくとも一部がセラミックス繊維織物を含むセラミック基複合部材からなり、
前記翼部、前記チップシュラウド部、前記プラットフォーム部および前記ダブテール部を型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成してなる、上記(1)または(2)に記載のタービン動翼。
本発明のタービン動翼は、翼部と、前記翼部の外端に備えられたチップシュラウド部とを有し、前記翼部と、前記チップシュラウド部とはセラミックス基複合部材からなり、前記翼部の少なくとも一部と、前記チップシュラウド部の少なくとも一部とが1つのセラミックス繊維織物から構成されていて繋がっており、前記セラミックス繊維織物における前記翼部を構成する部分と、前記チップシュラウド部を構成する部分とを所望の角度をなすように折り曲げ、型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成したタービン動翼である。
図1(a)は本発明のタービン翼の好ましい態様を示す概略斜視図であり、図1(b)はそれを構成するセラミックス繊維織物(以下では単に「繊維織物」ともいう)の構造例を示す概略斜視図である。
図1(a)に示すように、タービン動翼の外形は、通常のタービン動翼(例えば図7に示したもの)と同様であってよい。図1(a)に示すタービン動翼1は、翼部2と、その外端に配置されたチップシュラウド部4と、その内端に配置されたダブテール部8と、ダブテール部8と隣り合うように外端側に配置されたプラットフォーム部6とを備え、チップシュラウド部4およびプラットフォーム部6は、翼部2の主面に対して垂直方向へ伸びている形状であり、さらに、チップシュラウド部4は外側へ伸びる2つのフィン4A、4Bを有している。また、図1(a)は、ダブテール部8がディスク部9に嵌められた状態を示している。このようなタービン動翼1は、その使用時においてディスク部9が回転することで、翼部2の長手方向へ強い遠心力がかかる。なお、「外側」とは、使用時において遠心力がかかる方向を意味し、「内側」はその逆方向を意味するものとする。したがって「外端」および「内端」は「外側の端」および「内側の端」を意味する。
なお、本発明において用いるセラミックス繊維織物は、3次元構造を備えるものでなくてもよいし、部分的に3次元構造を備えるものであってもよい。
ここで、セラミックス繊維織物における主繊維とは、繊維織物を構成する繊維束の中の特定方向に延びる繊維群を意味する。また、特定方向とは、例えば、セラミックス繊維織物が3次元構造を備える場合、X方向、Y方向またはZ方向を意味する。したがって、この場合、X方向の繊維束、Y方向の繊維束、Z方向の繊維束のいずれか1つの方向に延びる繊維束の群が主繊維である。
本発明のタービン動翼にかかる遠心力の方向と、主繊維の方向(X方向、Y方向またはZ方向)とが略平行であると、強い遠心力がかかってもより破損し難いので好ましい。
本発明のタービン動翼における翼部のキャンバー角度が180度であると、容易に製造することができ、得られる本発明のタービン動翼の強度も十分となるが、キャンバー角度が180度よりも小さくなると、翼部の少なくとも一部とチップシュラウド部の少なくとも一部とが1つのセラミックス繊維織物から構成されていて繋がっているため、製造に困難性を伴う傾向がある。しかしながら、本発明のタービン翼は、セラミックス繊維織物における翼部を構成する部分と、チップシュラウド部を構成する部分とを所望の角度をなすように折り曲げ、型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成して、前記翼部の少なくとも一部と、前記チップシュラウド部の少なくとも一部とを得るので、キャンバー角度が180度未満であっても、問題なく製造することができ、得られる本発明のタービン動翼の強度も十分となる。
本発明のタービン動翼の製造方法の詳細は後述する。
図2は、翼部2を、径方向とは垂直に切った場合の概略断面図の例示である。
本発明のタービン翼において、キャンバー角度とは、翼前縁及び翼後縁の翼厚中心線をつないだ交点の角度である。
本発明のタービン動翼の製造方法は、セラミックス繊維織物における翼部を構成する部分と、チップシュラウド部を構成する部分とを所望の角度をなすように折り曲げ、型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成する方法であれば特に限定されないが、次に説明する方法で製造することが好ましい。
図3(a)および(b)は、翼部およびダブテール部になるセラミックス繊維織物13と、プラットフォーム部になるセラミックス繊維織物15とが繋がっている一体三又繊維織物11を表した図であり、図3(a)が概略側面図であり、図3(b)は図3(a)におけるA−A線断面図である。
図3に示すような一体三又繊維織物11を得た後、図4(a)に示すように、翼部およびダブテール部になるセラミックス繊維織物13に対して、プラットフォーム部になるセラミックス繊維織物15を所望の角度(略90度)をなすように折り曲げて、図4(b)に示すような態様の繊維織物を得る。
図4(b)に示す態様のものが得られた後は、2つのプラットフォーム部になる繊維織物15が重なった部分151を別の繊維束を用いて縫い合わせることが好ましい。得られる本発明のタービン動翼に用いるセラミックス繊維織物の強度がより高まるからである。
ここで一体三又繊維織物11は、例えば従来公知の方法で製造することができる。例えば、セラミックス繊維を数百〜数千本程度束ねて繊維束とした後、この繊維束をXYZ方向に織ることによって所望の形のものを得ることができる。
まず、図5(a)に示すようなパーツを用意する。すなわち、チップシュラウド本体となる繊維織物17、3つのフィンとなる繊維織物19および2つのスペーサー21である。チップシュラウド本体となる繊維織物17は翼部となる繊維織物13の断面と同じ形状の孔を有したものである。また、スペーサーがないとチップシュラウド本体となる繊維織物17とフィンとなる繊維織物19との間に隙間が生じ、後の工程でセラミックスマトリックスが形成され難くなる傾向がある。したがって隙間を埋めるためのスペーサーを用いることが好ましい。
このようにして得た成形体に気体からの化学反応や固体粉末をスラリー状にして流し込み焼結させる等の方法でセラミックスマトリックスを形成する。
例えば、型の内部で一体となった前記成形体をチャンバーの中で原料ガスに曝して化学反応によって前記成形体の表面にマトリックスを析出させる方法や、一体となった前記成形体に原料粉末固体をスラリー状にして含浸し、焼結する方法が挙げられる。
図6を用いて説明する。
まず、翼部となる繊維織物33の外端を、図6(a)に示すように広げ、翼部となる繊維織物33の主面と90度となすようにした。
次に、図6(a)に示すように、2つのチップシュラウド本体となる繊維織物35と、3つのフィンとなる繊維織物39とを組み合わせた後、繊維束を用いて縫い合わせ、図6(b)に示す態様のセラミックス繊維織物を得た。
次に、得られた繊維織物を6分割程度の型に組み付けて成形した。型は内部形状が、求める成形体の形状となっており、繊維織物を型に沿って変形させて組み付けることで、型の内部で繊維織物を一体に成形することができるものである。
このようにして得た成形体に原料粉末固体をスラリー状にして含浸し、その後、焼結してセラミックス基複合材料を得た。
その結果、所定荷重を負荷してもセラミックス基複合材料の破損が生じないことが確認できた。
2 翼部
4 チップシュラウド部
6 プラットフォーム部
8 ダブテール部
9 ディスク部
11 一体三又繊維織物
13 翼部およびダブテール部になる繊維織物
15 プラットフォーム部になる繊維織物
151 プラットフォーム部になる繊維織物の一部分
17 チップシュラウド本体になる繊維織物
19 フィンになる繊維織物
21 スペーサー
33 翼部になる繊維織物
35 チップシュラウド本体になる繊維織物
39 フィンになる繊維織物
100 タービン動翼
102 翼部
104 チップシュラウド部
106 プラットフォーム部
108 ダブテール部
Claims (3)
- タービン動翼であって、
翼部と、前記翼部の外端に備えられたチップシュラウド部とを有し、
前記翼部と、前記チップシュラウド部とはセラミックス基複合部材からなり、
前記翼部の少なくとも一部と、前記チップシュラウド部の少なくとも一部とが1つのセラミックス繊維織物から構成されていて繋がっており、前記セラミックス繊維織物における前記翼部を構成する部分と、前記チップシュラウド部を構成する部分とを所望の角度をなすように折り曲げ、型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成した、タービン動翼。 - 前記翼部のキャンバー角度が0度より大きく160度より小さい、請求項1に記載のタービン動翼。
- さらにプラットフォーム部およびダブテール部を有し、
前記プラットフォーム部および前記ダブテール部の少なくとも一部がセラミックス繊維織物を含むセラミック基複合部材からなり、
前記翼部、前記チップシュラウド部、前記プラットフォーム部および前記ダブテール部を型に組み付けて一体に成形し、得られた成形体にセラミックスマトリックスを形成してなる、請求項1または2に記載のタービン動翼。
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- 2014-07-10 JP JP2014141950A patent/JP2016017491A/ja active Pending
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