JP2016016411A - 金属部材の溶接条件設定方法 - Google Patents

金属部材の溶接条件設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】第1の鉄系金属部材2と第2の鉄系金属部材3とを当接して、該両金属部材2,3の当接部間に形成した開先部4に、少なくともNi及びCrを含有するフィラー材を供給しつつ、該両金属部材2,3の当接部間をレーザ溶接する場合に、両金属部材2,3の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を容易に設定できるようにする。【解決手段】予め求めておいた、溶融凝固部6のNi当量及びCr当量と溶融凝固部6を介した両金属部材2,3の接合強度との関係である第1の関係と、両金属部材2,3及びフィラー材の成分、溶融凝固部6の断面積、並びに開先部4の断面形状及び溶融凝固部6に対する相対位置から算出したNi当量及びCr当量と、予め求めておいた、溶接条件と溶融凝固部6のNi当量及びCr当量との関係である第2の関係とから、両金属部材2,3の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を設定する。【選択図】図3

Description

本発明は、第1の鉄系金属部材及び第2の鉄系金属部材の当接部間をレーザ溶接するための溶接条件を設定する、金属部材の溶接条件設定方法に関する技術分野に属する。
従来より、第1の鉄系金属部材と第2の鉄系金属部材とを当接して、該両金属部材の当接部間に形成した開先部にフィラー材を供給しつつ、該両金属部材の当接部間をレーザ溶接することが行われている。このような方法で溶接された上記両金属部材の当接部間には、レーザ溶接により溶融しかつ溶接後に凝固した溶融凝固部が形成される。この溶融凝固部は、上記開先部及び上記両金属部材における開先部の近傍部を含む部分に形成されていて、上記両金属部材及びフィラー材の成分からなる。
ここで、例えば特許文献1には、不活性ガス100%の雰囲気下で、互いに絶縁されかつCr当量及びNi当量の組成が異なる第1溶接ワイヤ及び第2溶接ワイヤを送給し、近接する2つのアークを発生させて高合金鋼の母材を溶接する高合金鋼の2電極アーク溶接方法において、溶接部にオーステナイト組織及び少量のフェライト組織からなる組織を形成するように溶接部のCr当量及びNi当量を設定し、母材、第1溶接ワイヤ及び第2溶接ワイヤのそれぞれのCr当量及びNi当量並びに上記溶接部のCr当量及びNi当量の設定値を入力として第1溶接ワイヤ及び第2溶接ワイヤのそれぞれの送給速度を算出するようにすることが記載されている。すなわち、第1及び第2溶接ワイヤ(フィラー材)を用いて高合金鋼の母材を溶接するに際して、Cr当量及びNi当量に基づくシェフラーの組織図から溶接部(溶融凝固部)の組織を推定して割れに関する情報を得て、溶接部の割れが生じないような溶接条件を設定している。
特開2007−181876号公報
しかし、特許文献1では、溶接部の割れに関する情報が得られても、溶接部(溶融凝固部)を介した2つの金属部材の接合強度が分からないため、溶接部がいかなる強度で割れるのかが分からない。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1の鉄系金属部材と第2の鉄系金属部材とを当接して、該両金属部材の当接部間に形成した開先部に、少なくともNi及びCrを含有するフィラー材を供給しつつ、該両金属部材の当接部間をレーザ溶接する場合に、上記両金属部材の接合強度を所望の強度にするための溶接条件を容易に設定できるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、第1の鉄系金属部材と第2の鉄系金属部材とを当接して、該両金属部材の当接部間に形成した開先部に、少なくともNi及びCrを含有するフィラー材を供給しつつ、該両金属部材の当接部間をレーザ溶接するための溶接条件を設定する、金属部材の溶接条件設定方法を対象として、レーザ溶接後に、上記両金属部材の当接部間に形成された溶融凝固部の断面積を算出する断面積算出ステップと、上記両金属部材及び上記フィラー材の成分、上記溶融凝固部の断面積、並びに上記開先部の断面形状及び上記溶融凝固部に対する相対位置から、該溶融凝固部のNi当量及びCr当量を算出する当量算出ステップと、予め求めておいた、上記溶融凝固部のNi当量及びCr当量と該溶融凝固部を介した上記両金属部材の接合強度との関係である第1の関係と、上記当量算出ステップで算出したNi当量及びCr当量と、予め求めておいた、溶接条件と上記溶融凝固部のNi当量及びCr当量との関係である第2の関係とから、上記両金属部材の接合強度を所望の強度にするための溶接条件を設定する溶接条件設定ステップと、を備えるようにした。
上記方法により、第1の関係と、Ni当量及びCr当量を算出した溶融凝固部の該Ni当量及びCr当量とから、当該溶融凝固部が形成されたときの溶接条件での両金属部材の接合強度を求めることができる。これにより、現在の溶接条件が、所望の接合強度を得るために適した条件であるか否かが分かる。現在の溶接条件が、所望の接合強度を得るために適した条件でない場合、又は、適した条件である場合も含めて、上記算出したNi当量及びCr当量が、上記第1の関係から所望の接合強度が得られるように設定した目標値から所定値以上外れている場合に、その目標値と上記算出したNi当量及びCr当量との比較から、所望の接合強度を得るため(Ni当量及びCr当量を目標値にするため)には、どのようにNi当量及び/又はCr当量を増大又は減少させなければならないかが分かる。このとき、第2の関係から、溶接条件をどのように変更すれば、そのようにNi当量及び/又はCr当量を増大又は減少できるかが分かり、よって、所望の接合強度が得られる溶接条件を設定することができる。
上記金属部材の溶接条件設定方法の一実施形態において、上記溶接条件は、レーザ出力、上記両金属部材の当接部同士が対向する方向におけるレーザ光の照射位置、レーザ光の照射速度、上記両金属部材に対するレーザ光の相対移動速度、及び、上記フィラー材の供給速度の群から選ばれた少なくも1つであるものとする。
このことにより、溶接条件を容易に変更することができ、両金属部材の接合強度を所望の接合強度に容易にすることができる。
以上説明したように、本発明の金属部材の溶接条件設定方法によると、予め求めておいた、溶融凝固部のNi当量及びCr当量と該溶融凝固部を介した第1及び第2の鉄系金属部材の接合強度との関係である第1の関係と、上記両金属部材及びフィラー材の成分、上記溶融凝固部の断面積、並びに上記開先部の断面形状及び上記溶融凝固部に対する相対位置から算出したNi当量及びCr当量と、予め求めておいた、溶接条件と上記溶融凝固部のNi当量及びCr当量との関係である第2の関係とから、上記両金属部材の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を設定するようにしたことにより、両金属部材の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を容易に設定することができる。
本発明の実施形態に係る金属部材の溶接条件設定方法を適用して溶接した溶接品を示す断面図である。 レーザ溶接前の開先部及びその近傍を示す拡大断面図である。 レーザ溶接後の開先部及びその近傍を示す拡大断面図である。 溶融凝固部のNi当量及びCr当量と該溶融凝固部を介した第1及び第2の鉄系金属部材の接合強度との関係を示すグラフである。 レーザ出力と溶融凝固部のNi当量及びCr当量との関係を示すグラフである。 第1及び第2の鉄系金属部材の当接部同士が対向する方向におけるレーザ光の照射位置と溶融凝固部のNi当量及びCr当量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る金属部材の溶接条件設定方法を適用して溶接した溶接品1を示す。この溶接品1は、第1の鉄系金属部材2と第2の鉄系金属部材3とを溶接したものである。
第1の鉄系金属部材2は、円筒状部2aと、該円筒状部2aの中心軸C方向の一側(図1の右側)に円筒状部2aの外周面から径方向外側に全周に亘って突出したリング状のフランジ部2bとを有する。この第1の鉄系金属部材2における円筒状部2aの外周面に、リング状の第2の鉄系金属部材3を嵌合した状態で、不図示の支持部材に支持固定されたレーザ溶接装置15により、該第2の鉄系金属部材3とフランジ部2bとの中心軸C方向の間を全周に亘ってレーザ溶接する。
本実施形態では、第1の鉄系金属部材2は、車両用デファレンシャル装置のデフケースであって、鋳鉄からなる。第2の鉄系金属部材3は、そのデフケースに固定されるリングギヤ(ハイポイドギヤ)であって、クロム鋼からなる。両金属部材2,3の材料は、同じであっても、異なっていてもよく、鉄系材料であればよい。円筒状部2aの中心軸C(第2の鉄系金属部材3の中心軸と略一致する)は、上記デフケース全体の中心軸であって、車両の左右の車輪にそれぞれ連結された左右のドライブシャフトの中心軸でもある。車両に搭載された上記車両用デファレンシャル装置において、上記デフケース及び上記リングギヤは、円筒状部2aの中心軸Cの回りに回転(自転)可能に支持され、この回転(自転)が、上記左右のドライブシャフトに同じ回転数又は異なる回転数でもって伝達されるように構成される。
レーザ溶接の際には、第1の鉄系金属部材2のフランジ部2bにおける円筒状部2a側の側面と第2の鉄系金属部材3におけるフランジ部2b側の側面とを当接させる。図2に示すように、これら両金属部材2,3の当接部間(第1の鉄系金属部材2のフランジ部2bにおける円筒状部2a側の側面と第2の鉄系金属部材3におけるフランジ部2b側の側面との間)に、径方向外側に開口する開先部4が全周に亘って形成されるようになされている。そして、この開先部4にワイヤー状のフィラー材(不図示)を供給しかつ両金属部材2,3を中心軸C回りに回転させつつ、該両金属部材2,3の当接部間を全周に亘ってレーザ溶接する。すなわち、レーザ溶接の際、上記供給されたフィラー材を、開先部4に向けて照射されたレーザ光により溶融して、両金属部材2,3の当接部間(開先部)に充填する。上記フィラー材は、Niを主成分とし(70質量%以上含有)かつその他にCr等を含有する材料からなる。尚、上記フィラー材は、少なくともNi及びCrを含有する材料からなっていればよい。
図3に示すように、両金属部材2,3の当接部間には、レーザ溶接により溶融しかつ溶接後に凝固した溶融凝固部6が形成される。この溶融凝固部6は、開先部4及び両金属部材2,3における開先部4の近傍部2c,3aを含む部分に形成されていて、両金属部材2,3及び上記フィラー材の成分からなる。レーザ溶接により、第1の鉄系金属部材2における開先部4の近傍部2cでは、該第1の鉄系金属部材2(母材)の成分と上記フィラー材の成分とが溶け合い、第2の鉄系金属部材3の開先部4の近傍部3aでは、該第2の鉄系金属部材3(母材)の成分と上記フィラー材の成分とが溶け合い、溶接後の凝固により溶融凝固部6となる。溶融凝固部6の開先部4に相当する部分における第1の鉄系金属部材2側の部分では、第1の鉄系金属部材2の成分が含まれ、第2の鉄系金属部材3側の部分では、第2の鉄系金属部材3の成分が含まることになる。本実施形態では、後述の、溶融凝固部6のNi当量及びCr当量の算出の際には、溶融凝固部6全体において、両金属部材2,3及び上記フィラー材の成分が一様に混ざっていると仮定する。
次に、両金属部材2,3の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件の設定方法について説明する。
先ず、或る溶接条件(例えば前回に設定した溶接条件)でのレーザ溶接後に、両金属部材2,3の当接部間に形成された溶融凝固部6の断面積を算出する(断面積算出ステップ)。この算出は、同じ上記溶接条件で溶接した複数の溶接品1のうちの1つを実際に溶融凝固部6の箇所で切断して、その切断断面のマイクロスコープ画像により行う。溶融凝固部6は、その周囲とは色が異なる(白っぽい色になる)ので、マイクロスコープ画像により溶融凝固部6の断面積を容易に算出することができる。
続いて、両金属部材2,3及び上記フィラー材の成分、溶融凝固部6の断面積、並びに開先部4の断面形状及び溶融凝固部6に対する相対位置から、該溶融凝固部6のNi当量及びCr当量を算出する(当量算出ステップ)。ここでは、これら両当量を、下記の式で定義する。尚、%Xは、X成分の割合(質量%)のことである。
Ni当量(%)=%Ni+30×%C+0.5×%Mn
Cr当量(%)=%Cr+%Mo+0.5×%Si+0.5×%C
本実施形態では、第1の鉄系金属部材2には、炭素(C)、ケイ素(Si)及びマンガン(Mn)が含有されているが、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)は含有されていない。また、第2の鉄系金属部材3には、Cr、C、Si及びMnが含有されているが、Mo及びNiは含有されていない。さらに、上記フィラー材には、Ni、Cr、C、Si及びMnが含有されているが、Moは含有されていない。
溶融凝固部6の断面積は、開先部4の断面積に、第1の鉄系金属部材2の成分と上記フィラー材の成分とが溶け合う上記近傍部2cの断面積と、第2の鉄系金属部材3の成分と上記フィラー材の成分とが溶け合う上記近傍部3aの断面積と、開先部4の径方向外側に盛り上がった部分の断面積とを加えた値になる。このことより、上記近傍部2c,3a及び上記盛り上がった部分の断面積は、溶融凝固部6の断面積と開先部4の断面形状及び溶融凝固部6に対する相対位置とから算出することができる。開先部4の溶融凝固部6に対する相対位置は、上記切断断面において、溶融凝固部6の外形ライン、開先部4よりも径方向内側における、第1の鉄系金属部材2と第2の鉄系金属部材3との境界ライン及びフランジ部2bの径方向外側面のラインより分かる。そして、開先部4及び上記盛り上がった部分に位置する上記フィラー材の成分と、上記近傍部2cに位置する第1の鉄系金属部材2の成分と、上記近傍部3aに位置する第2の鉄系金属部材3の成分とが一様に混ざって溶融凝固部6が形成されたと仮定して、溶融凝固部6のNi当量及びCr当量を算出する。
次いで、予め求めておいた、溶融凝固部6のNi当量及びCr当量と該溶融凝固部6を介した両金属部材2,3の接合強度との関係である第1の関係と、上記当量算出ステップで算出したNi当量及びCr当量と、予め求めておいた、溶接条件と溶融凝固部6のNi当量及びCr当量との関係である第2の関係とから、両金属部材2,3の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を設定する(溶接条件設定ステップ)。この溶接条件は、レーザ出力、両金属部材2,3の当接部同士が対向する方向(つまり中心軸C方向)におけるレーザ光の照射位置、レーザ光の照射速度、両金属部材2,3に対するレーザ光の相対移動速度(つまり両金属部材2,3の中心軸C回りの回転速度)、及び、上記フィラー材の供給速度の群から選ばれた少なくも1つであればよい。
上記第1の関係は、上記のようにしてNi当量及びCr当量を算出した溶融凝固部6と同じ溶接条件でレーザ溶接した溶接品1について両金属部材2,3の接合強度を測定するとともに、このことを、溶接条件を変えて(つまりNi当量及びCr当量が変わるようにする)、繰り返すことによって得られた関係であり、例えば図4のようになる。図4には、第1の鉄系金属部材2(「FCD」と記載)、第2の鉄系金属部材3(「SCR」と記載)及びフィラー材自体のNi当量及びCr当量も併せて記載している(図5及び図6も同様)。両金属部材2,3の接合強度を、例えば350MPa以上にするためには、Ni当量及びCr当量の組み合わせを、斜線を施した実線の範囲内にする必要がある。
上記第2の関係は、上記第1の関係を求める際において、溶接条件を変えたときに、Ni当量及びCr当量がどのように変わるかを調べることにより得られた関係であり、例えばレーザ出力については、図5のようになり、両金属部材2,3の当接部同士が対向する方向(中心軸C方向)におけるレーザ光の照射位置については、図6のようになる。ここで、図6の「FCD側0.2mm(0.4mm)」は、開先部4の中心軸C方向中央からFCD側(フランジ部2b側)へ0.2mm(0.4mm)移動した位置にレーザ光を照射した場合であり、「SCR側0.2mm(0.4mm)」は、開先部4の中心軸C方向中央からSCR側(第2の鉄系金属部材3側)へ0.2mm(0.4mm)移動した位置にレーザ光を照射した場合である。
図5より、レーザ出力が変化すると、Ni当量が殆ど変化せずに、Cr当量が変化し、レーザ出力が大きいほど、Cr当量が小さくなることが分かる。また、図6より、上記レーザ光の照射位置が変化すると、Cr当量が殆ど変化せずに、Ni当量が変化し、該照射位置が、開先部4の中心軸C方向中央からFCD側へ行くほど、Ni当量が大きくなり(第1の鉄系金属部材2自体のNi当量に近づき)、該照射位置が、開先部4の中心軸C方向中央からSCR側に行くほど、Ni当量が小さくなる(第2の鉄系金属部材3自体のNi当量に近づく)ことが分かる。
レーザ光の照射速度、両金属部材2,3に対するレーザ光の相対移動速度(両金属部材2,3の中心軸C回りの回転速度)、及び、上記フィラー材の供給速度と、Ni当量及びCr当量との関係を示すグラフは省略するが、レーザ光の照射速度及び上記相対移動速度が速くなるほど、Ni当量及びCr当量が共に小さくなり、上記フィラー材の供給速度が速くなるほど、Ni当量が多くなる(Cr当量は殆ど変化しない)。
両金属部材2,3の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件として、溶接条件の変化によりNi当量及びCr当量の両方が変化するように、例えばレーザ出力及び上記照射位置とすることが好ましい。
上記第1の関係と上記当量算出ステップで算出したNi当量及びCr当量とから、該Ni当量及びCr当量を算出した溶融凝固部6が形成されたときの溶接条件での両金属部材2,3の接合強度を求めることができ、これにより、現在の溶接条件が、所望の接合強度を得るために適した条件であるか否かが分かる。現在の溶接条件が、所望の接合強度を得るために適した条件でない場合、又は、適した条件である場合も含めて、上記算出したNi当量及びCr当量が、上記第1の関係から所望の接合強度が得られるように設定した目標値から所定値以上外れている場合に、その目標値と上記算出したNi当量及びCr当量との比較から、所望の接合強度を得るため(Ni当量及びCr当量を目標値にするため)には、どのようにNi当量及び/又はCr当量を増大又は減少させなければならないかが分かる。このとき、第2の関係から、溶接条件をどのように変更すれば、そのようにNi当量及び/又はCr当量を増大又は減少できるかが分かる。例えば、所望の接合強度を得るためにCr当量を減少させなければならない場合には、レーザ出力を増大し、Ni当量を減少させなければならない場合には、上記レーザ光の照射位置を、第2の鉄系金属部材3側へ移動させる。こうして、所望の接合強度が得られる溶接条件を設定することができる。
上記のようにして、所望の接合強度が得られる溶接条件に変更し、その変更した溶接条件でもって、再び複数の溶接品1を得るようにする。その後、それら複数の溶接品1のうちの1つを実際に溶融凝固部6で切断して、上記溶接条件の設定方法の各ステップを繰り返す。
したがって、本実施形態では、両金属部材2,3の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を容易に設定することができ、多量の溶接品1を製造する場合でも、両金属部材2,3の接合強度が所望の接合強度となる溶接品1を、安定して得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば上記実施形態では、第1の鉄系金属部材2のリング状のフランジ部2bとリング状の第2の鉄系金属部材3とを当接して、該両金属部材2,3の当接部間に形成した開先部4に上記フィラー材を供給しつつ、該両金属部材2,3の当接部間を全周に亘ってレーザ溶接するようにしたが、第1及び第2の鉄系金属部材2,3の形状はどのようなものであってもよく、例えば平板状のものであってもよい。また、両金属部材2,3を固定した状態で、レーザ溶接装置15を移動させたりレーザ光を走査したりしながら、両金属部材2,3の当接部間をレーザ溶接するようにしてもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、第1の鉄系金属部材と第2の鉄系金属部材とを当接して、該両金属部材の当接部間に形成した開先部に、少なくともNi及びCrを含有するフィラー材を供給しつつ、該両金属部材の当接部間をレーザ溶接するための溶接条件を設定する、金属部材の溶接条件設定方法に有用である。
1 溶接品
2 第1の鉄系金属部材
3 第2の鉄系金属部材
4 開先部
6 溶融凝固部

Claims (2)

  1. 第1の鉄系金属部材と第2の鉄系金属部材とを当接して、該両金属部材の当接部間に形成した開先部に、少なくともNi及びCrを含有するフィラー材を供給しつつ、該両金属部材の当接部間をレーザ溶接するための溶接条件を設定する、金属部材の溶接条件設定方法であって、
    レーザ溶接後に、上記両金属部材の当接部間に形成された溶融凝固部の断面積を算出する断面積算出ステップと、
    上記両金属部材及び上記フィラー材の成分、上記溶融凝固部の断面積、並びに上記開先部の断面形状及び上記溶融凝固部に対する相対位置から、該溶融凝固部のNi当量及びCr当量を算出する当量算出ステップと、
    予め求めておいた、上記溶融凝固部のNi当量及びCr当量と該溶融凝固部を介した上記両金属部材の接合強度との関係である第1の関係と、上記当量算出ステップで算出したNi当量及びCr当量と、予め求めておいた、溶接条件と上記溶融凝固部のNi当量及びCr当量との関係である第2の関係とから、上記両金属部材の接合強度を所望の接合強度にするための溶接条件を設定する溶接条件設定ステップと、を備えることを特徴とする金属部材の溶接条件設定方法。
  2. 請求項1記載の金属部材の溶接条件設定方法において、
    上記溶接条件は、レーザ出力、上記両金属部材の当接部同士が対向する方向におけるレーザ光の照射位置、レーザ光の照射速度、上記両金属部材に対するレーザ光の相対移動速度、及び、上記フィラー材の供給速度の群から選ばれた少なくも1つであることを特徴とする金属部材の溶接条件設定方法。
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