JP2016016096A - 血管状態解析装置およびそれを備えたシステム - Google Patents

血管状態解析装置およびそれを備えたシステム Download PDF

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Abstract

【課題】画像解析を利用して非侵襲で冠動脈等の血管状態を解析でき、また、狭窄や心筋虚血の有無や程度の評価を行い易い血管状態解析装置等を提供する。【解決手段】この血管状態解析装置は、冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、表示デバイスと、制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、(a)少なくとも2本の冠動脈につき、各冠動脈の起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブを作成する血管状態解析部と、(b)冠動脈ごとに作成した少なくとも2つの前記実測TAGカーブを、1つのグラフ中に併存させて前記表示デバイスに表示させる表示制御部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、血管状態解析装置等に関し、特には、画像解析を利用して非侵襲で冠動脈等の血管状態を解析でき、また、狭窄や心筋虚血の有無や程度の評価を行い易い血管状態解析装置等に関する。
心疾患の原因となる冠動脈の狭窄や虚血状態の有無を非侵襲または低侵襲に予防・診断するための技術が望まれている。冠動脈の狭窄は虚血性心疾患に至る重大な病変である。そして、この狭窄を診断する方法としては、例えば、カテーテルによる冠動脈造影検査(CAG:Coronary Angiography)が知られている。この冠動脈造影検査は、カテーテルを通じた造影剤注入を伴うものであるが、X線透視下で冠動脈の状態を観察する透視撮影法であり、冠動脈の狭窄や閉塞の発見に役立つ。
冠動脈の器質的病変の診断指標としては、また、心筋血流予備量比(FFR:Fractional Flow Reserve)という指標が知られている。FFRは、狭窄非存在下の最大冠血流に対する狭窄存在下の最大冠血流の比率として定義され、狭窄近位部冠内圧に対する狭窄遠位部冠内圧の比率に略一致する。FFRの測定は、カテーテル先端に設けられた圧力センサを利用するものであるので、やはり、心臓カテーテル検査が必要となる。心臓カテーテル検査で血管内圧などを計測し、そのデータに基いてFFRを求めるもとしては、例えば特許文献1のようなものが公知である。
特開2014−61268号
ところで、冠動脈の血管状態解析を、カテーテル手術を必要としない造影撮像で行うことができれば、低侵襲でかつ、患者の負担低減および医療コストも節約できるので好ましい。
本発明の一形態は、上記の点に鑑みてなされたものであって、その目的は、画像解析を利用して非侵襲で冠動脈等の血管状態を解析でき、また、狭窄や心筋虚血の有無や程度の評価を行い易い血管状態解析装置等を提供することにある。
本発明の一形態は下記の通りである:
(1)冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、
表示デバイスと、制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
(a)少なくとも2本の冠動脈につき、各冠動脈の起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブを作成する血管状態解析部と、
(b)冠動脈ごとに作成した少なくとも2つの前記実測TAGカーブを、1つのグラフ中に併存させて前記表示デバイスに表示させる表示制御部と、
を備える、血管状態解析装置。
(2)冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、
表示デバイスと、制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
(a1)少なくとも1本の冠動脈につきその起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブと、(a2)重度の狭窄が存在しないと仮定した場合のその冠動脈のTAGカーブである標準カーブと、を作成し、(b)前記実測TAGカーブと標準カーブとを比較し、所定以上の逸脱があった場合に、当該冠動脈に重度の狭窄が存在する可能性があると自動判定する血管状態解析部を有する、血管状態解析装置。
(3)a:薬液が充填されたシリンジのピストン部材をシリンダ部材に対して相対移動させるピストン駆動機構と、
b:薬液の注入プロトコルを設定するための装置であって、入力装置、表示デバイス、記憶部および制御部を有するコンピュータ装置と、
を備え、
前記制御部は、
(b−1)冠動脈の血管状態解析用の注入プロトコルとして、(i)初期速度である第1の速度からそれより低速の第2の速度まで単調減少しながら、所定時間のあいだ、造影剤を注入する第1フェーズと、(ii)その後、第2の速度と同一または実質的同一な一定速度で、所定時間のあいだ、造影剤の注入を継続する第2フェーズとを含む基本注入プロトコルのデータを読み込み、
(b−2)操作者による、前記基本注入プロトコルに対する変更および/または確認の入力を受け付け、
(b−3)確認された注入プロトコルまたは変更が反映された注入プロトコルにしたがって前記ピストン駆動機構を動作させて薬液注入を行う、
ように構成されている、システム。
(用語の説明)
「薬液」とは、例えば、造影剤、生理食塩水、またはそれらを混合したものをいう。
「造影剤」の具体例としては、ヨード濃度240mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度3.3Pa・s、比重1.268〜1.296)、ヨード濃度300mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度6.1mPa・s、比重1.335〜1.371)、ヨード濃度350mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度10.6mPa・s、比重1.392〜1.433)等がある。
「生理食塩水」の具体例としては、生理食塩水20ml中に塩化ナトリウム180mgを含有した生理食塩水(例えば、20℃において粘度0.9595mPa・s、比重1.004〜1.006)等がある。
「注入プロトコル」とは、どのような薬液を、どの程度の量、どの程度の注入速度および注入時間で注入するかを示すものである。
「可変注入」とは、時間とともに注入速度が増加または減少するフェーズを少なくとも一部に含む注入プロトコルで薬液注入を行うことをいう。
「可変定数」とは、時間とともに注入速度が増加または減少するフェーズにおける終端注入速度を、開始速度で除した値をいう。例えば、そのフェーズの開始速度が3.0ml/secで終端速度が1.5ml/secの場合、可変定数は0.5である。
「接続」−本明細書において、所定の機器と他の機器とが接続されていると言った場合には、有線接続または無線接続のいずれの態様であってもよい。また、他の機器を制御することができるように一方向または双方向に接続されている形態は、「操作可能に接続(operably connected/linked)」と表すこともできる。
「電気的に接続」とは、一方向または双方向に電気的信号の送信が行えるように構成要素どうしが接続されていることをいい、有線接続または無線接続のいずれの形態であってもよい。また、接続および電気的に接続には、構成要素どうしが互いに直接接続されているものに加え、他の要素を介して間接的に接続されている場合も含む。
「端末」とは、ネットワークに接続されまたはスタンドアロンで使用される、データ処理を行うコンピュータシステムのことをいい、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、携帯型コンピュータまたはタブレット型コンピュータ等を含む。
「制御部」とは、CPUおよびメモリ等を有し演算処理を行うものであり、「コントローラ」、「コントローラユニット(制御ユニット)」、「コントローラ回路(制御回路)」、「コントローラモジュール(制御モジュール)」、「プロセッサ部」、「プロセッサユニット」、「プロセッサモジュール」等と呼ぶこともできる。「制御部」は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、他のプログラム可能な回路などを有するものとして構成することができる。本明細書において、「制御部」は、物理的に1つの構成であってもよいが、2つまたは3以上の制御部が機能的に協働して1つの「制御部」を構成するものであってもよい。
制御部における基本的な処理は、一例で、まずメモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、次にコンピュータプログラムの指示に従って入力装置や記憶装置からデータを受け取り、そのデータを演算・加工した上で、データをメモリなどの記憶装置や表示デバイスなどの出力装置に出力するというものである。
「コンピュータプログラム」は、それを記憶した記憶媒体を所定の装置・デバイス・機構等で読み出し、それらのコンピュータを所定の機能で動作させるものであってもよい。この場合、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明の一形態を構成することになる。また、コンピュータプログラムは、通信ネットワーク(一例でインターネット)を介して提供されるものであってもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分プログラムであってもよい。
「記憶媒体」としては、例えば、不揮発性のメモリカード(フラッシュメモリ)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、一例で、CDやDVD等などを用いることができる。記憶媒体としては、磁気的記録媒体や光学的記録媒体等、種々のものを利用できる。
「入力装置/入力デバイス」(コンピュータシステムに対する入力手段)としては、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、手動によりまたは機械によって操作される物理的スイッチ、マイク、音声入力、グラフィカルユーザインターフェース等であってもよい。操作者の動きを認識(一例で非接触)してその動きに応じた所定の入力を認識するものであってもよい。
「部(「エレメント」または「モジュール」等としても表現できる)」−本明細書で例えば「(機能の名称)」+「部」で表わされるものは、コンピュータによって実現される機能として実現可能なものである。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、システムにおけるいずれの機器に備わっていてもよい。また、必ずしも1つの機器内に備わっている必要はなく、相当する機能が2つ以上の機器に分散して備えられていてもよい。さらに、通信ネットワーク(例えばインターネット)を介して、所定の1つまたは複数の「部」のみが外部のサーバ等に備えられていてもよい。
なお、本明細書で云う各種の構成要素(デバイス、装置、部、モジュールなど)は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として構成されていること、一つの構成要素が複数の部材で構成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等であってもよい。各種構成要素は、その機能を実現するように構成されていればよく、ハードウェアにより実現するものでも、コンピュータプログラムにより実現されるものでも何れでも構わない。例えば、ある構成要素が、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより実現された設定装置、これらの組合せ、等として実現することができる。
「グラフィカルユーザインターフェース」(GUI)とは、例えば、画面上のアイコン、画像ボタン、プルダウンメニュー、または数値入力ウィンドウなどの1つまたは複数を、カーソルによりまたはタッチパネルの場合にはタッチすることにより、視覚的に操作できるインターフェースのことをいう。
「アイコン」とは 、(i)所定の情報を表示しかつ操作者によって選択することができるものと、(ii)単に所定の情報を表示するためのものであって選択できるようには構成されていないものとの両方を含むものであってもよい。画面に表示される全てまたは一部のアイコンは、それぞれの表示箇所をタッチペンあるいは操作者の指等でタッチすることで、または、画面上のカーソルによって、選択可能である。
(I.薬液注入装置の一般的説明)
「薬液注入装置」は、一形態では、次の構成要素を備えている:ピストン駆動機構、制御部(制御ユニット)、および、表示デバイス(ディスプレイ)等。ここで、制御部(制御ユニット)および表示デバイス(ディスプレイ)は、薬液注入装置を構成するいずれの機器に備えられていてもよい。すなわち、薬液注入装置が注入ヘッドおよびコンソール等を備える場合には、(i)注入ヘッドにピストン駆動機構が備えられ、コンソールに制御部とディスプレイとが備えられてもよいし、(ii)注入ヘッドとコンソールの双方に制御部が設けられもよいし、(iii)注入ヘッドとコンソールの双方にディスプレイが設けられもよい。このような制御部(制御ユニット)が、例えば、CTスキャナ、MRI装置、PET装置、超音波診断装置、血管造影撮像装置のような撮像装置の一部として設けられていてもよい。また、制御部(制御ユニット)は、撮像装置でも薬液注入装置でもないスタンドアロンな端末として設けられていてもよい。
造影剤の注入量を計算するためには、一例で患者の体重、必要なヨード量、およびヨード濃度が入力され、これら入力されたデータを用いて、コンピュータが、本注入での造影剤の注入量を算出してもよい。なお、これらの情報の一部は、例えば、操作者によって手入力されてもよいし、シリンジのICタグから読み取られてもよいし、または外部のサーバ内の情報(例えば病院システムの電子カルテ等)から取得されてもよい。
「注入ヘッド」は、シリンジを保持するシリンジ保持部と、そのシリンジのピストンを前進および/または後退させるピストン駆動機構を有する。シリンジの装着方法としては、主に、(i)シリンジ保持部が、ヘッド上面の凹部として形成されそこにシリンジがセットされるいわゆるサイドローディングのタイプと、(ii)シリンジ保持部がヘッド前面に形成されシリンジの基端部が保持されるいわゆるフロントローディングのタイプとがある。本発明の一形態においては、いずれのタイプの注入ヘッドをも含む。一筒式または二筒式のいずれの注入ヘッドであってもよい。
薬液注入装置または注入ヘッドは、次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:1つまたは複数の圧力センサ、1つまたは複数のシリンジ検出センサ(磁石センサ、ホールセンサ等)、1つまたは複数の傾斜センサ、1つまたは複数のロータリエンコーダ、および、1つまたは複数のモータ電流検出器、等。
・圧力センサ:圧力センサは、例えばピストン部材を押す圧力を検出するためのものであり、これにより、薬液の圧力推定値を求めることができる。圧力センサは、一例でロードセルであってもよい。ロードセルは、ピストン駆動機構のラム部材がピストン部材を押す圧力を検出できるような位置に設けられていればよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求める場合、その算出は、注入回路の抵抗(例えば針のサイズ等)、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われてもよい。他の態様では、薬液の圧力を直接的に検出する圧力センサなどを有していてもよい。
・シリンジ検出センサ:シリンジ検出センサは、シリンジ、アダプタ、および/または保護ケースが装着されたか否かを検出する、あるいは、どのような種類のシリンジ、アダプタ、および/または保護ケースが装着されたかを判定するのに用いられるものである。このようなセンサとしては、接触式または非接触式のいずれであってもよく、例えば次のようなものを利用できる:物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、光センサ、近接センサ、等。
・傾斜センサ:傾斜センサは、注入ヘッドの傾きを検出する。一般に、この種の注入ヘッドは、その前端側(つまりシリンジ側)が上方となるような姿勢でシリンジ内への薬液吸引が実施される。一方、薬液注入は、注入ヘッドの前端側が相対的に下方となるような姿勢(先端側をやや下に向けた姿勢)で実施される。傾斜センサの検出結果を用いることで、例えば、望ましくない姿勢での薬液吸引または薬液注入することを防止することも可能である。
・ロータリエンコーダ:ピストン駆動機構のモータや送りネジの回転数および/または回転方向を検出するためのロータリエンコーダ等が設けられていてもよい。
・モータ電流検出器:ロードセル等を用いずモータ電流に基づいて薬液の圧力推測値を算出することも可能である。この方式においては、モータ電流検出器により、モータの動作中、モータ電流を監視し、そのモータ電流に基づいて薬液の圧力推定値を求める。
薬液注入装置または注入ヘッドは、さらに、次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:1つまたは複数のヘッドディスプレイ、1つまたは複数のヘッド状況表示部、1つまたは複数の物理ボタン、1つまたは複数のRFID通信デバイス、1つまたは複数のデータレシーバ、1つまたは複数のデータトランスミッタ等。
・ディスプレイ:所定の情報を表示するためのディスプレイが注入ヘッドに設けられていてもよい。ディスプレイは、例えば、注入ヘッドの筐体の一部に設けられていてもよい。あるいは、筐体とは別体に用意されたディスプレイであってもよい。ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ等を利用した表示部であってもよいが、LED(Light Emitting Diode)を利用した表示部であってもよい。このディスプレイに表示される内容としては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい:注入動作中の所定の状態表示、注入予定の薬液注入条件、注入された薬液注入条件、薬液注入量、薬液圧力、注入速度、等。
例えば、注入ヘッドの筐体の一部に、注入ヘッドの所定の状態を操作者に知らせるための所定の発光部が設けられていてもよい。光源としては、一例でLED(Light
Emitting Diode)等を利用できる。このような発光部は、ヘッド状況表示部としての機能を有し、発光色や発光パターンを変化させることにより、注入ヘッドの種々の状況を操作者に知らせることができる。
・物理ボタン:物理ボタンとしては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい。ラム部材を前進させるための前進ボタン、ラム部材を後退させるための後退ボタン、前進ボタンまたは後退ボタンと同時に押すことでラム部材の移動速度を早くするアクセラレータボタン、および、ヘッドの動作を停止させる停止ボタン等。これらの物理ボタンは注入ヘッドの筐体の上面、側面、下面、後端面等に適宜配置可能である。二筒式の注入ヘッドの場合、一方のピストン駆動機構のための物理ボタンの配置と、他方のピストン駆動機構のための物理ボタンの配置とが非対称となっていてもよい。
・RFID通信デバイス:シリンジ、アダプタ、または保護カバーにICタグなどのデータ保持手段が付されている場合には、同タグの情報を読み取る無線通信デバイスが設けられていてもよい。この無線通信デバイスは、単にICタグからデータの読取りを行うRFIDリーダであってもよいし、または、ICタグにデータの書込みを行うことも可能なRFIDリーダ/ライタであってもよい。
・データレシーバ:データレシーバは、有線または無線により、外部から注入ヘッド等に対して送信されたデータを受けるためのものである。データレシーバは、一例で、次のようなデータを外部から受けるようになっていてもよい:撮像装置によって生成された任意のデータ、病院システムによって生成された任意のデータ、等。
・データトランスミッタ:データトランスミッタは、有線または無線により、注入ヘッド等から外部に対して所定のデータを送り出すためのものである。データレシーバおよびデータトランスミッタの通信プロトコルは、通信の相手方である他の機器との通信方式を考慮して適宜好適なものを採用すればよい。なお、外部機器との通信を行うデータトランスミッタ等はコンソールまたはその他の機器に設けられていてもよい。データトランスミッタにより注入ヘッドから外部に送信可能なデータとしては、次のようなものの1つまたは複数であってもよい:使用された造影剤の名称等(造影剤識別情報)、造影剤の注入総量、造影剤の注入時間、造影剤の注入圧力、造影剤の注入速度、設定した注入プロトコル等。また、次のようなものの1つまたは複数:患者の識別情報(例えば患者ID)、検査識別情報(例えば検査ID)、撮像時刻に関する情報、等。このような情報は、上述した造影剤に関する情報と組み合わせて送信されてもよい。
注入ヘッドおよびコンソールは、外部機器と通信を行うための通信部が設けられている。この通信部を介して外部機器から入力された注入条件に応じて、造影剤の注入量や注入の速度等を調節するようにピストン駆動機構が動作制御されるように構成されていてもよい。
(II.撮像装置の一般的説明)
撮像装置としては、例えばX線CTスキャナ等であってもよく、一般的には、撮像部(一例でガントリ)と、患者を載せるベッド(寝台)と、それらの動作を制御する動作制御部と、透視撮像データを収集処理するデータ収集部と、全体の動作を制御する制御ユニット等を有している。制御ユニットは、例えばスキャナコンソール(撮像装置用のコンソール)として設けられることもある。撮像装置は、また、所定の情報を表示する1つまたはそれ以上の表示デバイスを有することもある。CTスキャナの場合、ガントリの内部には、X線管やコリメータ等を有しX線を患者に向けて照射するX線照射部と、患者を透過したX線の検出を行う検出部等が配置される。X線照射部および検出部は、それらの位置関係を保ったまま患者の体軸の周りを回転しながらスキャンを行い、データ収集部によって透視撮像データ(投影データ)の収集が行われる。ベッドは、例えばモータを駆動源として移動可能に構成され、その移動は制御部によって制御される。
撮像装置と薬液注入装置との間、撮像装置のその他の機器との間、薬液注入装置とその他の機器との間といった、機器間の通信プロトコルとしては種々のものを利用でき、例えば、CANopen、HL7、DICOM等のプロトコルが挙げられる。
本発明によれば、画像解析を利用して非侵襲で冠動脈等の血管状態を解析でき、また、狭窄や心筋虚血の有無や程度の評価を行い易い血管状態解析装置等を提供することができる。
本発明の一形態に係る医用システムの構成を模式的に示す図である。 薬液注入装置の構成例を示す斜視図である。 注入ヘッドおよびそれに装着される薬液シリンジを示す斜視図である。 薬液注入装置および撮像装置のブロック図である。 プログラムにより実現される注入処理部の構成を示すブロック図である。 心臓の各部を示す図である。 大動脈および冠動脈を説明するための図である。 冠動脈を画像処理により直線状にして表示したものであり、起始部からの距離とCT値との関係を説明するための模式図である。 TAGカーブの2つの例を模式的に示すグラフである。 本発明の一形態に係る血管状態解析のフローである。 本発明の他の形態に係る血管状態解析のフローである。 1つのグラフ内に冠動脈の3つのTAGカーブを表示した例である。 非線形のTAGカーブの幾つかの例を模式的に示すグラフである。 略アーチ形のTAGカーブの幾つかの例を模式的に示すグラフである。 冠動脈の血管状態解析用の注入プロトコルの一例を示す計画グラフである。 注入プロトコルの設定から注入実行までの手順を簡単に示すフローチャートである。
1.システム構成
図1は、本願発明の一形態に係る医用システムの構成を模式的に示す図である。医用システムとしては、一例で、撮像装置であるCTスキャナ300、カルテ管理装置であるHIS360、撮像管理装置であるRIS370、データ保存装置であるPACS380、患者に造影剤等を注入する薬液注入装置100、血管状態の解析を行う血管状態解析装置700、それらの各機器を接続するネットワーク350等を備えている。
HIS(Hospital Information System)360は、専用のコンピュータプログラムが実装されたコンピュータであり、カルテ管理システムを有する。カルテ管理システムで管理される電子カルテは、例えば、固有の識別情報であるカルテID、患者ごとの患者ID、患者の氏名などの個人データ、患者の疾病に関するカルテデータ、等のデータを含むものであってもよい。また、カルテデータには、治療全般に関連した個人条件データとして、患者の体重、性別、年齢等が登録されていてもよい。
RIS(Radiology Information System)370は、患者の透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理する。この撮像オーダデータは、HISから取得する電子カルテに基づいて作成されるものであってもよい。撮像オーダデータは、例えば、固有の識別情報である撮像作業ID、CT撮像やMR撮像などの作業種別、前述の電子カルテの患者IDとカルテデータ、CTスキャナの識別情報、撮像開始および終了の日時、身体区分または撮像部位、撮像作業に対応した造影剤などの薬液種別からなる適正種別、撮像作業に適合した薬液IDからなる適正ID、等のデータを含むものであってもよい。
PACS(Picture Archiving and Communication Systems)380は、撮像装置から撮像オーダデータが付与された透視画像データを受信してそれを記憶装置内に保存する。
〔A.撮像装置〕
撮像装置は、例えばX線CTスキャナであり、図4に示すように、患者の透視画像を撮像する撮像部303bと、患者を載せるベッド304と、それらの動作を制御する制御部303aとを有するものであってもよい。
撮像部303bは、ガントリ内に配置された、X線管やコリメータ等を有しX線を患者に向けて照射するX線照射部と、患者を透過したX線の検出するX線検出器を有する検出部とを有するものであってもよい。X線照射部および検出部が、それらの位置関係を保ったまま患者の体軸の周りを回転しながらスキャンを行うように構成されている。
〔B.薬液注入装置〕
薬液注入装置100について図2〜図4を参照して説明する。
本発明の一形態に係る薬液注入装置100は、一例で可動式スタンド111の上部に保持された注入ヘッド110と、ケーブル102で注入ヘッド110に接続されたコンソール150とを備えている。この例では、注入ヘッド110には、2つのシリンジ200C、200Pが並列に取外し自在に装着される。なお、注入ヘッドとコンソールとは無線方式で接続されていてもよい。
なお、以下の説明では、シリンジ200C、200Pを区別せずに単に「シリンジ200」ということもある。「注入ヘッド」は、インジェクタまたはインジェクションヘッドなどとも呼ばれる。薬液注入装置100のコンソール150を、撮像装置のコンソールと区別するために「注入器コンソール」ということもある。また、以下の説明では、図面に表された1つの具体的な形態に基づいて説明を行うが、薬液注入装置やシリンジ等については下記に説明するもの以外にも種々変更可能である。
(B1.シリンジ)
シリンジ200C、200P(図3参照)に充填される薬液としては、造影剤および生理食塩水などが挙げられる。例えば、一方のシリンジ200Cに造影剤が充填され、もう一方のシリンジ200Pに生理食塩水が充填されていてもよい。
シリンジ200は、中空筒状のシリンダ部材221と、そのシリンダ部材221にスライド自在に挿入されたピストン部材222とを有している。シリンダ部材221は、その基端部にシリンダフランジ221aが形成されるとともに先端部に導管部221bが形成されたものであってもよい。ピストン部材222をシリンダ部材221内に押し込むことにより、シリンジ内の薬液が導管部221bを介して外部に押し出される。なお、シリンジは予め薬液が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。
各シリンジ200の導管部221bには、延長チューブ230が連結される。延長チューブ230は、いわゆるT字管またはY字管であってもよく、一方のシリンジ200Cの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231aと、他方のシリンジ200Pの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231bと、分岐部から患者に向けて延びるチューブ231cとを有するものであってもよい。チューブ231cの先端側(不図示)には例えば注入針が接続される。この注入針を患者の血管に穿刺して、シリンジ200Cおよび/またはシリンジ200P内の薬液を押し出すことで血管内に薬液が注入される。なお、延長チューブとしては第1の薬液と第2の薬液との合流箇所にミキシングデバイス(一例で内部に旋回流を生じさせて薬液どうしを混和するもの)が配置されたものを使用してもよい。
図4に示すように、シリンダ部材221の一部にICタグ225が付されていてもよい。このICタグ225には、シリンジに関する情報(シリンジの識別情報、シリンジの耐圧、シリンダ部材の内径、ピストン部材のストローク等)や、該シリンジに充填された薬液の情報(名称(例えば製品名)、ヨード量などの成分情報、消費期限、薬液容量等)が記憶されていてもよい。ICタグは、そのタグに固有のユニークIDを有していてもよい。ICタグは、シリンジサイズ、シリンジの製造番号、および薬剤標準化コードから選ばれる少なくとも1つの情報を有していてもよい。なお、ICタグとしては、例えば、RFID(Radio frequency identification)タグを利用することができる。ICタグを貼り付ける位置としては、一例で、シリンダ部材の外周面であってもよく、具体的には、外周面のうちシリンダフランジの付近であってもよい。
なお、ICタグへの情報の書き込みは、製造時に書き込まれるものであってもよいし、病院内で吸引器で吸い込んだ際に書き込まれるものであってもよい。
(B2.注入ヘッド)
注入ヘッド110は、図3に示すように、一例として前後方向に長く延びるような筐体を有しており、この筐体の上面先端側には、それぞれシリンジ200C、200Pが載せられる2つの凹部120aが形成されている。凹部120aはシリンジ保持部として機能する部分である。
凹部120aに対しては、シリンジ200が直接装着されてもよいし、または、所定のシリンジアダプタを介して装着されてもよい。図3では、各シリンジ200のシリンダフランジ221aおよびその近傍を保持するシリンジアダプタ121、122が一例として図示されている。シリンジアダプタの形状や機能は特定のものに限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
注入ヘッド110は、また、図3および図4に示すように、シリンジ200のピストン部材222を押し込む機能を少なくとも有するピストン駆動機構130を有している。ピストン駆動機構130は二系統設けられており、各機構130は独立して動作する。ピストン駆動機構130は、例えばシリンジ内への薬液吸引のために、ピストン部材222を後退させる機能を有するものであってもよい。2つのピストン駆動機構130は同時に駆動されてもよいし、別々のタイミングで駆動されてもよい。
ピストン駆動機構130は、詳細な図示は省略するが、駆動モータ(不図示)と、その駆動モータの回転出力を直線運動に変換する運動変換機構(不図示)と、その運動変換機構に連結され、ピストン部材222を前進および/または後退させるシリンジプレッサー(ラム部材)とを有するものであってもよい。このようなピストン駆動機構としては、薬液注入装置で一般に用いられる公知の機構を用いることができる。なお、モータ以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
典型的なピストン駆動機構の動作としては、次のようなものが挙げられる:薬液注入(ラム部材の前進)および薬液吸引(ラム部材の後退)。「薬液注入」では、所定のモータ制御信号にしたがってモータを動作させラム部材を前進させることにより、設定された注入プロトコル(注入条件)に従った薬液注入を行う。「薬液吸引」では、所定の制御信号にしたがってモータを動作させピストン部材を後退させることにより、シリンジ内に薬液を吸引する。なお、プレフィルドシリンジの場合には、薬液吸引は実施しなくてよい。
なお、ピストン駆動機構130は、ラム部材がピストン部材220を押圧する力を検出するためのロードセル(不図示)を有していてもよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求めることができる。この推定値の算出は、針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われる。他にも、ロードセル(不図示)を用いるのではなく、駆動モータ(不図示)のモータ電流に基づいて圧力の算出を行うものであってもよい。
シリンジにICタグ225が付されている場合には、注入ヘッド110は、図4に示すように、同ICタグ225の情報を読み取るおよび/または同ICタグ225に情報を書き込むリーダ/ライタ145を有していてもよい。このリーダ/ライタ145は、シリンジ200が装着される凹部120aに設けられていてもよい。なお、リーダ/ライタ145は、ICタグ225の情報を読み取る機能のみを有するものであってもよい。
注入ヘッド110は、図4に示すように、ピストン駆動機構130やリーダ/ライタ145の動作を制御するための制御部144を有していてもよい。また、例えば、ICタグ225から読み取られた情報を一時的に記憶する記憶部146を有していてもよい。制御部144は、プロセッサおよびメモリ等を有する制御回路として構成することができる。
注入ヘッド110の筐体の上面および側面には、注入ヘッド110に各種動作を行わせるための複数の物理ボタンも設けられている。これらの物理ボタンの一部は、例えば、所定の情報を術者に知らせるために発光するように構成されていてもよい。
(B3.コンソール)
コンソール150は、一例で検査室に隣接した操作室内に置かれて使用されるものであってもよい。コンソール150は、所定の画像を表示する表示デバイス151と、その筐体前面に設けられた操作パネル159と、筐体内に配置された制御回路(詳細下記)などを有している。操作パネル159は、1つまたは複数の物理ボタンが配置された部分であり、操作者によって操作される。表示デバイス151は、タッチパネル式表示デバイスであってもよいし、単なる表示デバイスであってもよい。コンソール150は、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。
コンソール150は、図4のブロック図では、接続されている各部の動作を制御する制御部153と、注入処理部155と、種々のデータが記憶される記憶部154と、所定の外部機器と接続するためのインターフェースとを有するものとして描かれている。コンソール150は、操作者の手元で操作されるハンドユニットなどの入力装置157(図1では不図示)を有していてもよい。
注入処理部155は、注入プロトコルの作成や注入の実行などを制御する部分であり、一例として、図5に示すように、設定画面表示部155a、注入プロトコル作成部155b、注入制御部155c、履歴生成部155d、および、履歴出力部155eを含む。
設定画面表示部155aは、注入プロトコルを設定するための情報、具体的には、注入プロトコル設定用のGUIを表示デバイス151に表示させる機能に相当するものであってもよい。注入プロトコル設定用のGUIは、薬液注入装置、撮像装置、またはその他のコンピュータの任意の記憶装置内に格納されていてもよい。
プロトコル作成部155bは、例えば、操作者による表示デバイス151のタッチパネル等への入力操作を受け付け、その内容が反映された注入プロトコルを作成する機能に相当するものであってもよい。このように操作者によって入力される条件としては、例えば、薬液の種類、薬液の注入速度、薬液の注入量、患者の身体情報、撮像を行う患者の身体区分、および撮像部位などから選ばれる少なくとも1つであってもよい。
注入制御部155cは、作成された注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構130の動作を制御する機能に相当するものであってもよい。注入制御部155bは、ピストン駆動機構130の一方のみを動作させること、および、両方を同時に動作させることを行うものであってもよい。
履歴生成部155dは、注入履歴データを生成する機能に相当するものであってもよい。「注入履歴データ」としては、例えば、注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、注入開始および終了の日時、薬液注入装置の識別情報、前述の注入条件である薬液や撮像部位の識別情報などであってもよい。これらはテキストデータであってもよい。また、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入速度の経時グラフの画像データなどであってもよい。注入履歴データとしては、シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報であってもよい。
履歴出力部155eは、注入履歴データを外部に送信する機能に相当するものであってもよい。具体的には、外部の所定の機器および/またはネットワークにデータを送信するものであってもよい。シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報が、薬液注入装置から病院内の医療情報システムに送信され、例えば会計処理機能を備えるシステムが、その情報に基づいて会計処理を行うようなシステム構成も可能である。
なお、各部155a〜155eの各機能は、実装されたプログラムによってコンピュータが実行するものであってもよい。プログラムは、コンソール内の所定の記憶手段(例えば記憶部154でもよい)に予め記憶されたものであってもよい。
記憶部154には、例えば、表示デバイス151に表示される画像やGUIのデータなどが記憶されていてもよい。また、注入条件を設定するための計算式などを含むアルゴリズムや、注入プロトコルのデータが記憶されていてもよい。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するものであってもよい。造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も、注入プロトコルに含まれる。なお、このような注入プロトコルに関する情報は、インターフェースを介して接続された外部機器から入力されてもよい。また、コンソール150がスロット(不図示)を有し、そこに差し込まれる外部記憶媒体を通じて入力されてもよい。
(B4.一般的な動作の一例)
本実施形態の薬液注入装置は、一例として次のように動作するものであってもよい。なお、下記の手順の順番は適宜変更可能であることは言うまでもない。
まず、薬液注入装置100の電源が入れられた状態で、操作者は、注入ヘッド110にシリンジ200P、200Cを装着する。シリンジ200P、200Cの装着後、操作者は、一例で、延長チューブ230を介してシリンジ200P、200Cに延長チューブを接続し、延長チューブの先端に設けられている注入針(不図示)を患者に穿刺する。
その後、一例として、操作者がコンソール150の所定のボタンを操作すると、表示デバイス151に注入プロトコル設定用の1つまたは複数の画面が表示される。本実施形態では、後述するような冠動脈の血管状態解析用の注入プロトコルを設定するためのGUIが表示されるようになっていることも好ましい。
この画面では、次のようなパラメータの少なくとも1つが入力、選択、または変更されるようになっていてもよい;
−撮像の対象である身体区分
−撮像の対象である部位(撮像部位という)
−患者の体重などの情報
−注入する薬液の種類、等
これらのパラメータを選択するための画像は順次あるいは一括して表示されてもよい。上記のようなパラメータの入力、選択、または変更は、装置の機能によって自動的になされるものであってもよいし、操作者の操作によりなされるものであってもよい。
本発明の一形態のような冠動脈の血管状態解析検査用のプロトコルを設定する場合には、例えば、単に血管状態解析検査ということを選ぶだけで(すなわち、身体区分や部位選択をすることなく)、所定の設定モードとなるように構成されていてもよい。もっとも、当然ながら、身体区分や部位選択を選択したうえで、血管状態解析検査を選ぶという順番となっていてもよい。
入力が完了したら、操作者は画面上の所定のボタン(例えば確認ボタン)を押す。注入プロトコルを作成する場合には、画面に表示された注入プロトコル作成用の画像に従い、例えば、(i)予め用意された幾つかの基本パターンのうち1つを選択し、その内容を確認もしくは必要に応じて変更する、(ii)画面上に表示された注入グラフ内に幾つかの基準点をプロットしていくことにより任意の注入プロトコルを作成する、等の方式によって行うことができる。
(ii)の方式に関し、注入グラフ上に基準点をプロットしていくための操作としては、グラフ内の任意の位置(または、グラフ内の任意の格子点)に直接タッチして基準点を作成していく方式や、あるいは、所定のポップアップ画面の操作を経て基準点を作成していく方式等を採用しうる。「基準点」とは、例えば、注入速度を表わす、グラフ状の線分の端部の位置のこのという。
注入プロトコルが作成されたら、操作者により所定の注入開始ボタンが操作された後、その注入プロトコルに基づいてピストン駆動機構130が動作制御され、患者への薬液注入が行われる。
〔C.血管状態解析装置〕
本実施形態では、一例で、血管状態解析装置700はワークステーション等の端末として構成される。なお、血管状態解析装置700を薬液注入装置100のコンソール150に持たせてもよいが、以下の説明では、図1のようなスタンドアロンの端末として説明する。
血管状態解析装置700は、具体的には以下の構成の一部または全部を備えるものであってもよい:装置の全体的な制御を行うシステム制御部705、血管状態解析部701、表示制御部702、情報を表示する表示デバイス711、操作者からの種々の入力を可能とする入力装置712、記憶装置である記憶部715、外部機器との通信行うための1つまたは複数のインターフェースI/F720、等。限定されるものではないが、システム制御部705、血管状態解析部701、および表示制御部702は1つのユニットとして(これを「制御ユニット710」という)設けられていてもよい。
システム制御部710は、一例で、CPUやメモリ、コンピュータプログラム等を有するプロセッサを含むものであってもよい。システム制御部705は、インターフェースI/F720や入力装置712を介して入ってきた所定の入力を受け付け、それに応じて、例えば、血管状態解析部701、表示制御部702、表示デバイス711および記憶部715等に所定の動作を行わせる。
血管状態解析部701および表示制御部702は、一例で、コンピュータプログラムに従ってCPUが行う各種の機能に相当し、例えばソフトウェアの機能として提供されるものであってもよい。
表示デバイス711としては、情報を表示できるものであればどのようなものであっても構わないが、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等であってもよい。表示デバイス711の数は特に限定されるものではなく、1つまたは複数であってもよい。
入力装置712は、キーボード、マウス、トラックボール、音声入力、グラフィカルユーザインターフェース等から選ばれる1つまたは2つ以上であってもよい。入力装置712を通じて医師等からの指令が入力される。タッチパネル式表示デバイスの場合、そのタッチパネルが入力装置712としての役割を果たす。
なお、図示は省略するが、血管状態解析装置700は、コンピュータ可能媒体から接触式または非接触式でデータを読み取ることができるユニット(例えば媒体が差し込まれるスロット等)を有するものであってもよい。コンピュータ可能媒体に、汎用のコンピュータを本発明の一形態に係る血管状態解析装置とするための所定のコンピュータプログラムが格納されていてもよい。
(C1.血管状態解析について)
まず、本願発明の一形態の血管状態解析で利用する、TAG(Transluminal Attenuation Gradient)解析の基本的な考え方について説明する。
図6は心臓の各部を示す図であり、図7は大動脈および冠動脈を説明するための図である。「冠動脈」とは、大動脈の根元付近より左右に分岐し心筋の表面に沿って延びる血管であり、心臓に酸素を豊富に含んだ血液を供給する。冠動脈には、左冠動脈(LCA)と右冠動脈(RCA)の2本の主要動脈があり、左冠動脈は、さらに左前下行枝(LAD)と左回旋枝(LCX)という2本に分かれている。これらの太い動脈は、木の枝のように枝分かれして段々と細い動脈となって心臓の外側を走行し、さらに細い血管となって内側に伸びていき、これにより心筋全体に血液を送る。なお、本明細書では、説明の都合上、左前下行枝(LAD)と左回旋枝(LCX)の各々も「冠動脈」として扱うものとする。
これら冠動脈における疾病としては動脈硬化が挙げられる。すなわち、血管の内壁にコレステロールなどの脂肪が沈着することで、血管の内側に盛り上がり(プラーク等)が形成され、それが原因で血管が狭窄状態となる。正常な冠動脈の主要血管の太さ(内径)は、通常、約3〜4mmであるが、プラークが大きくなり血管内腔が狭くなると、心筋に十分な血液が送れなくなり、この段階の症状としては胸の痛みが出現する(この状態を狭心症という)。さらに、プラークが壊れると血栓ができて血管が詰まり、心筋へ血流を送ることができない状態となる。この状態は心筋が壊死へとつながり、これは心筋梗塞と呼ばれる。
(FFR:Fractional Flow Reserveについて)
さて、冠動脈の血管状態を解析する1つの方法として、従来、冠血流予備量比 (FFR)を指標とした検査が知られている。FFRとは、冠動脈内に狭窄病変があるとき、その狭窄病変によってどのくらい血流が阻害されているかを推測する指標である。この検査では、一般に、冠動脈拡張剤を点滴投与しながら、プレッシャーワイヤーを冠動脈内に挿入していき、各部の圧力を測定してFFRを算出する。具体的には、FFRは、冠動脈内の狭窄病変より近位部側の圧力(Pa)と遠位部(Pd)の圧力を測定し、FFR=Pd/Paとして求めることができる。そして、例えば、FFRが0.75程度以下の場合には、経皮的冠動脈インターベンションの適応が必要と判断される。
(TAGについて)
本願発明の一形態で利用するTAG(Transluminal Attenuation Gradient)検査では、心臓カテーテル検査は不要である。TAG検査では、まず、患者の静脈血管に、所定の注入条件で造影剤を注入する。
造影剤の注入は、前述したような薬液注入装置(図1〜図3等参照)を使って行うことができる。注入条件としては、一例で、冠動脈全体(すなわち、起始部から遠位部にわたる全体)が略均一に染まるような条件であることが好ましく、これを実現するために、より具体的には、左心室が所定時間にわたって所定のCT値以上となるような注入条件であることも好ましい。注入条件の詳しい一例については、別途後述するものとする。
図8は、冠動脈内が造影剤で染められた状態を模式的に示す図である。なお、この図では、画像処理により、屈曲した冠動脈を直線的に変形させて表示している。図の左側が起始部であり、右側が遠位部である。冠動脈の略中間の位置a1に、狭窄部分があるものとする。
図9(a)は、狭窄が存在しないまたは存在したとしても重度でない場合のTAGカーブを示し、図9(b)は、重度な狭窄がある場合のTAGカーブを示している。これらのグラフでは、横軸に冠動脈の起始部からの距離をとり、縦軸は冠動脈の各位置(例えば数mm間隔)のCT値(HU:ハンスフィールドユニット(Hounsfield Unit))としている。これらのグラフは、冠動脈の起始部からの距離によってCT値がどう変化するかを示すものである。
TAGカーブを作成するためには、一例で、図8のような実際の冠動脈の撮像画像に基づき、例えば、血管の中心位置でのCT値を数mm間隔で測定していき、それらをグラフ上にプロットする。TAGカーブは、それらのプロットに基づいて近似曲線を作成して得られたものであってもよく、近似曲線としては、線形または非線形のカーブのいずれであっても構わない。
冠動脈に重度の狭窄がない場合、TAGカーブは図9(a)に示すようにTAGカーブは緩やかに減少するものとなる(この例では一次曲線)。これに対して、重度の狭窄がある場合には、TAGカーブは図9(b)のように急勾配に減少するカーブとなる。この理由は、狭窄により血流が阻害され遅延することにより変化するためである。TAGカーブはこのように冠動脈の狭窄の有無および程度によってその傾きが変わるという特性を有しており、したがって、この傾きの程度に基いて、狭窄状態を推定することが可能である。
(I.データ解析例:自動判定)
本発明の一形態の血管状態解析装置700は、実際の撮像結果に基いて、冠動脈に重度の狭窄があるか否かを自動判定する。これについて、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、このフローチャートの中のステップの順番は特に本発明を限定するものではなく、順番は適宜変更可能である。また、自動判定ではなく、複数の冠動脈のTAGガーブをグラフ上に表示する例については他の形態として後述するものとする。
前提として、患者に対して所定の注入条件で造影剤が注入され(詳細後述)、冠動脈内に造影剤が達した状態でCTスキャナ300による撮像が行われて冠動脈の撮像データが得られているとする。
この状態で、血管状態解析装置700は、CTスキャナ300の撮像により得られた撮像データを取得する(ステップS1)。具体的には、例えば、操作者からの入力装置712を介した所定の入力があったときに、システム制御部710がそれをトリガとして、撮像データが保存されている外部機器から、インターフェース720経由で装置内にデータを読み込む。撮像データとしては、CTスキャナ300の記憶装置に保存されたものを読み込んでもよいし、または、PACS380内に保存されたものを読み込んでもよい。
次いで、血管状態解析装置700は、取得した冠動脈の撮像データに基いて冠動脈の各部のCT値を計測していく(ステップS2)。具体的には、例えば、血管状態解析部701が、「血管位置抽出」、「CT値測定」、「テーブル作成」の処理を行う。
「血管位置抽出」では、対象の冠動脈について、その抽出を行い、起始部から所定距離ごとに(一例で数mm間隔)、CT値の測定を行う位置の決定を行う。測定位置の決定は、コンピュータにより自動的に行われるものであることが好ましいが、一形態では、操作者が手動で測定位置の選択を行ってもよい。「CT値測定」では、各測定位置でのCT値(HU)を測定していく。「テーブル作成」では、上記により得られた、各測定位置(すなわち、冠動脈の起始部からの距離)とCT値の相関データのデータテーブルを作成する。
次いで、ステップS3で「TAGカーブ作成」および「標準カーブ読込み」等を行う。「TAGカーブ作成」では、上記で得た相関データに基いて、例えば、最小二乗法、移動平均法等を利用して近似曲線を作成しTAGカーブを得る。これにより、実際の撮像データに基づいたTAGカーブ(これを「実測TAGカーブ」という)が作成される。
一方、「標準カーブ読込み」では、重度の狭窄が無いとした場合のTAGカーブ(「標準カーブ」という)のデータを読み込む。標準カーブは、患者の年齢、性別、体重といった身体的特徴の1つまたは複数をパラメータとして作成されるものであってもよいし、または、その患者の前回の検査データに少なくとも基いて作成された患者に特化されたカーブであってもよい。そして、図9(b)のように、標準カーブと実測TAGカーブとを含むグラフを作成する。本実施の形態によれば、グラフ中に標準的なカーブと、実測データに基いて作成したTAGカーブとが表示されることとなるので、医師が、対象の冠動脈状の態が正常かどうかを判断し易くなるという利点ある。実測TAGカーブが標準カーブに近接しているということは、冠動脈に重度の狭窄が存在しない可能性が高いことを示唆する。
本実施形態では、さらに、ステップS4として、こうした判断を支援するための比較判定ステップが存在していてもよい。ステップS4において、血管状態解析部701は、対象の冠動脈が重度の狭窄を含むものと推定されるものか否かを自動的に判定する。これは、一例で、血管状態解析部701が、実測TAGカーブの標準カーブからの乖離度合いを判別し、その乖離度合いが所定の基準値より大きい場合には、重度の狭窄が推定されると判定し、そうでない場合には重度の狭窄が推定されるではないと判定するものであってもよい。「乖離度合い」をみるための手法としては、例えば、TAGカーブの傾き(具体的な一例として、y=ax+cとしたときの係数a)の比較によって判定するものであってもよい。
このように血管状態解析部701によって自動判定を行った結果は、一例で、表示デバイス711上に文字情報および/または画像情報として表示されてもよい。このような表示は、画像診断を行っている医師の診断に有用な情報となり得る。
(II.データ解析例:複数冠動脈のTAGカーブ表示)
本発明の他の一形態の血管状態解析装置700は、実際の撮像結果に基いて、複数の冠動脈のTAGカーブを含むグラフを作成して表示する。これについて、以下、図11のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、このフローチャートの中のステップの順番は特に本発明を限定するものではなく、順番は適宜変更可能である。
まず、ステップS11において、血管状態解析装置700は、CTスキャナ300の撮像により得られた撮像データを取得する。このステップについては、基本的には図10のステップS1と同様に行い得るものであるので、重複する説明は省略する。
次いで、ステップS12では、複数の冠動脈についてCT値解析を行う。一例で、右冠動脈(RCA)、左前下行枝(LAD)、左旋回枝(LCX)のすべてを対象としてもよい。または、右冠動脈(RCA)、左前下行枝(LAD)、左旋回枝(LCX)のうちから選ばれる2本のみを対象としてもよい。各冠動脈について、図10のステップS2の同様と同じように「血管位置抽出」、「CT値測定」、「テーブル作成」の処理を行う。
次いで、ステップS13では、2本または3本の冠動脈について実測TAGカーブを作成する。そして、ステップS14で、表示制御部702(図1参照)が表示デバイス711に、図12に例示するような、複数の冠動脈の実測TAGカーブが表示されたグラフの画像を表示させる。
上述したような形態によれば、図12に例示するように、1つのグラフ中にそれぞれの冠動脈の実測TAGカーブが表示されるようになっているので、医師は、各冠動脈のTAGカーブを比較しつつ、どの冠動脈に狭窄がある可能性があるかや、狭窄の程度はどれほどかということの診断を行い易くなる。例えば、右冠動脈(RCA)、左旋回枝(LCX)のTAGカーブに比べて、左前下行枝(LAD)のTAGカーブの傾きがより急勾配となっている場合、左前下行枝(LAD)に狭窄の疑いがあることを推測することができる。
なお、このような冠動脈の実測TAGカーブどうしの比較によって狭窄の有無を診断する手法を行うためには、必ずしも3本すべての冠動脈のTAGカーブが表示されることは必要なく、2本の冠動脈のTAGカーブのみを表示する構成としてもよい。
本発明の別の形態としては上記に加えてさらに、次のようなものであってもよい:
(a1)上記実施形態ではTAGカーブを線形としたが、非線形、曲線状のTAGカーブであってもよい。例えば図13(a)の実測TAGカーブは、狭窄部のある部位a1付近で屈曲しており(すなわち、a1以降減少の傾きが急になっており)、これによりここが狭窄部であることが示唆される。また、例えば図13(b)の実測TAGカーブでは、狭窄部のある部位a1付近でCT値が著しく降下し、その後また比較的ゆるやかな減少となるクランク状のカーブとなっている。また、例えば図13(c)の実測TAGカーブでは、狭窄部のある部位a1付近が部分的にCT値が低くなり、この部分を過ぎるとCT値が若干上昇してその後また比較的ゆるやかな減少となる形状のカーブとなっている。
(a2)上述したTAGカーブはいずれも、基本的に、冠動脈の起始部付近のCTが最も高くその後遠位側に近づくにつれてCT値が徐々に減少する傾向を示すものであったが、造影剤の注入条件によっては(すなわち、冠動脈内の造影剤の濃度分布次第では)、図14に示すような傾向のTAGカーブとなることも想定される。この例では、冠動脈の起始部や遠位部に比べて中間部位のCTが高く全体として略アーチ型のカーブとなっている。
このような場合であっても、上述した実施形態と同様、実測TAGカーブと基準カーブとを表示するようにしたり(図14(a))、または、2本または3本の冠動脈のTAGカーブを表示するようにしたり(図14(b))してもよい。
(C2.注入プロトコルの作成手順の例)
上述したような冠動脈の血管状態解析検査では、造影剤の注入条件も重要となる。すなわち、冠動脈がその起始部から遠位部までの全体にわたって均一的に染まるような注入プロトコルを設定することが、一形態において、好ましい。このためには、一例で、左心室が所定時間にわたって所定のCT値以上となるような注入条件とするとよい。本発明の一形態では、図13に示すような冠動脈の血管状態解析検査用の注入プロトコルを使用する。図13は、薬液の注入速度(縦軸)と注入時間(横軸)との関係を示すグラフである。
図13に示すように、この注入プロトコルにおいては、造影剤および生理食塩水は次のような条件で注入される:
(i)第1フェーズ(時間tから時間tまで):
造影剤のみを注入する。注入速度は速度Vcから速度Vcまで線形または非線形に単調に減少する。速度Vcは、例えば、5.0±1.0ml/secであってもよく、速度Vcは、例えば、3.0±0.5ml/secであってもよい。好ましい一例としては、速度Vcが5.0ml/secで速度Vcが3.0ml/secである。「単調に減少する」とは、注入速度が直線的に増加/減少する態様に加え、曲線状もしくは階段状であるが実質的には直線的に増加/減少する態様をも含む。
(ii)第2フェーズ(時間tから時間t):
引き続き造影剤のみを注入する。注入速度は速度Vcと同一または実質的同一、もしくは、速度Vc±0.5ml/sec程度の速度であってもよい。「実質的に同一」とは、一方の速度と他方の速度との差が例えば10%以内であるような場合をも含む。
図15の注入プロトコルにおいて、時間tはたとえば0秒の地点であってもよい。または、所定の薬液注入に続いて行われる場合には、時間tは時間軸上の任意の地点であってもよい。第1フェーズの長さは、注入すべき造影剤量等に依存するが、一例として、
造影剤量を30〜50ml程度、好ましくは40ml±5mlなどとして、その量を注入できる長さとしてもよい。第2フェーズの長さも、注入すべき造影剤量等に依存するが、一例として、15〜30ml程度、好ましくは20ml±5mlなどとして、その量を注入できる長さとしてもよい。
(iii)第3フェーズ(時間tから時間t):
生理食塩水のみを注入する。注入速度は速度Vcと同一または実質的同一、もしくは、速度Vc±0.5ml/sec程度の速度であってもよい。注入すべき生理食塩水の量は、一例で、10〜30mlの範囲内であってもよい。
このような注入プロトコルで、造影剤を静脈から注入することで、患者心臓の左心室内を所定時間にわたって所定のCT値以上に染めることができ、ひいては、大動脈の基端部付近から延び出したそれぞれの冠動脈を、その長さ全体にわたって均一的に染めることができるものとなる。その結果、TAG解析を良好に実施することが可能となる。
次に、以上のように構成された本実施形態の薬液注入装置100での注入プロトコルの設定手順について、一例を示す。なお、以下の説明における手順の順番などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。また、下記で説明する手順(ステップ)の全てが本発明に必須という訳ではない。
まず、図16に示すように、ステップS21において、一例として薬液注入装置100の制御部153が患者情報等の入力を受け付ける。これらの情報は、例えば操作者によって入力されるものであってもよいし、ネットワーク等を通じて制御部153に入力されるものであってもよい。患者情報としては、身長、体重、および性別といった種々のパラメータから選ばれる少なくとも1つであってもよい。必要に応じて、身体区分や撮像部位等の入力を受け付けてもよい。このような入力を受け付けるために、本発明の一形態では、薬液注入装置がグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えていることも好ましい。
次いで、ステップS22において、一例で、薬液注入装置100の表示デバイス151に上記したような注入プロトコルを設定するための基本パターンの情報が表示される。具体的には、制御部153が例えば記憶部154からそのような基本パターンの情報を読み出すものであってもよい。
一例として、図15のようなグラフがGUIとして表示デバイス151に表示されてもよい。表示されたグラフがそれぞれのフェーズに対応した線分画像b−1〜b−3を含んでおり、その線分画像の片端部または両端部が、例えばタッチすることで選択可能に構成されており、その位置の変更などを行えるように構成されていることも好ましい。
もっとも、「基本パターンの情報」としては必ずしもグラフィカルな画像である必要はなく、単に文字情報として表示されるものであってもよい。すなわち、それぞれのフェーズの注入条件が、単に、注入速度、注入量、注入時間の全部または一部としてテキストデータで表示されるものであってもよい。
次いで、ステップS23において、操作者がタッチパネルを介して(一例)、パラメータの変更および/または注入パターンの形状変更の入力を行う。ここで、操作者が行いうる入力としては下記のようなものであってもよい:
−時間t、時間t、時間t等の少なくとも1つを変更する。
−速度Vc0、速度Vc1等の少なくとも1つを変更する。
−各速度を表す線分を上下および/または左右に移動もしくは変形させ、それにより、注入速度および/または注入時間を変更する。
−表示された基本パターンのままでよい場合(変更の必要がない場合)に、当該基本パターンの内容で注入を行う旨の入力を受け付ける。
次いで、ステップS24において、上記ステップS23でなされたユーザ入力に応じて、その内容を反映させた注入プロトコルを作成する。
そして、ステップS25において、例えば操作者からの所定の入力をトリガとして、上記ステップS24で作成された注入プロトコルにしたがって薬液注入を実施する。なお、薬液の注入を開始するまでに、例えば薬液内の気泡を排出するための所定の動作等が実施されてもよい。これらについては、従来公知の手順にしたがって実施可能であるので、本明細書では説明は省略する。
以上のような構成によれば、血管状態解析用の基本注入プロトコルのデータがシステムに登録されており、これを読み出し、必要に応じて適宜変更することで、血管状態解析用の注入プロトコルを容易に設定でき、冠動脈全体を均一的に染めることができるので、冠動脈の血管状態解析検査に有用である。
GUIとしては、フェーズごとに注入速度や注入量等をテキストデータで表示する態様としてもよいが、図15のようなグラフの態様の場合、注入計画を直感的に理解できるし、また、誤った注入条件を設定することを防止するのにも有効である。一例として、造影剤注入のフェーズと、生理食塩水注入のフェーズとでグラフ内の表示色彩を異ならせてもよく、これにより、操作者が条件をより直感的に理解できるものとなる。
以上、本発明の幾つかの形態について説明したが、本発明の他の形態では下記のような変更がなされてもよい:
(1)注入プロトコルを設定するための設定画面(GUI:グラフィカルユーザインターフェース)がシステム内の任意の表示デバイスに表示され、そのGUIを通じて注入条件の設定および変更の少なくとも一方を実施できる。注入器コンソールのディスプレイに表示される構成について説明したが、注入ヘッドがサブ表示デバイスを有し、そこにプロトコルを設定するための上記のような設定画面が表示されるようになっていてもよい。
(2)撮像装置側で設定された注入プロトコルのデータが、薬液注入装置に対して有線または無線でデータ送信され、撮像装置側から設定が行われる。
(3)システム内の任意の機器(例えば、薬液注入装置、撮像装置、データベースサーバまたはその他のコンピュータ装置)に注入プロトコルを設定するための上記のような設定画面(GUI:グラフィカルユーザインターフェース)のデータが格納される。
(4)上記では、例えば図1に示すように、注入ヘッドとコンソールとが別体に構成された薬液注入装置を示した。しかしながら、下記のような薬液注入装置としてもよい:
−注入ヘッドとコンソールとが一体となったような薬液注入装置、換言すれば、1つの装置で、注入プロトコルの設定、薬液注入中の各種状態の表示、およびピストン駆動機構の動作制御等を行うことができるような薬液注入装置。
−注入ヘッドとコンソールとが1つの筐体として一体となったような上記薬液注入装置において、さらに、別体のバッテリーユニットを備える薬液注入装置。このようなバッテリーユニットはAC電源であってもよく、また、検査室の任意の個所に据え置かれてもよいし、可動式スタンドの一部に保持されるものでもよい。
−コンソールを小型化したようなコントロールユニット(例えば1つまたは複数のボタンおよび/または表示デバイスを有するようなものであってもよい)が、注入ヘッドの近傍に配置された薬液注入装置。例えばこのようなコントロールユニットは、注入ヘッドと一緒に可動式スタンド上に保持される。または、例えばこのようなコントロールユニットは、注入ヘッドと一緒に天井懸垂式のアームに保持される。または、注入ヘッドにと一体化される。
(付記)本出願は、以下の発明を開示する:
1.冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、
表示デバイスと、制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
(a)少なくとも2本の冠動脈につき、各冠動脈の起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度(一例で、CT値〔HU〕)との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブを作成する血管状態解析部と、
(b)冠動脈ごとに作成した少なくとも2つの前記実測TAGカーブを、1つのグラフ中に併存させて前記表示デバイスに表示させる表示制御部と、
を備える、血管状態解析装置。
この構成は、複数の冠動脈の実測TAGカーブを表示させることで、所定の1つの冠動脈TAGカーブと残りの他のカーブとの対比により狭窄の有無等を判断するというものである。「表示デバイス」および「制御ユニット」は、システムの内のいずれの機器に備えられていてもよく、1つの機器に両方が備えられている場合と、そうでない場合との両方を含む。
2.前記血管状態解析部は、
前記実測TAGカーブとして、右冠動脈(RCA)、左前下行枝(LAD)、および左回旋枝(LCA)のうちの2本または全部の冠動脈のカーブを作成する、
上記1に記載の血管状態解析装置。
3.前記制御ユニットは、
前記実測TAGカーブのデータを、その検査の患者を識別するための識別情報とともに記憶装置に記憶させる、
上記1または2に記載の血管状態解析装置。
このような構成によれば、データが患者識別情報とともに記憶装置に記憶されるので、例えば、同じ患者に対して再度血管状態解析検査を行う場合にこれを読み出し、条件設定の参考にしたり、あるいは、前回の結果との比較を行ったりできる点で好ましい。
4.前記記憶装置が、血管状態解析装置の内部に備えられた記憶装置、または、同装置に接続される外部の記憶装置である、上記3に記載の血管状態解析装置。
5.前記実測TAGカーブが、線形または非線形の近似曲線である、上記1〜4のいずれか一つに記載の血管状態解析装置。
6.上記1〜5のいずれか一つに記載の血管状態解析装置と、
患者の透視画像を撮像する撮像装置と、
患者に少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
を備えるシステム。
なお、本明細書におけるシステムや装置等に関する発明は、システムや装置の作動方法などの方法発明として、また、コンピュータにそのような方法を行わせるためのコンピュータプログラム発明(あるいは媒体発明)としても表現し得るものである。
A1.冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、
表示デバイスと、制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
(a1)少なくとも1本の冠動脈につきその起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブと、(a2)重度の狭窄が存在しないと仮定した場合のその冠動脈のTAGカーブである標準カーブと、を作成し、(b)前記実測TAGカーブと標準カーブとを比較し、所定以上の逸脱があった場合に、当該冠動脈に重度の狭窄が存在する可能性があると自動判定する血管状態解析部を有する、血管状態解析装置。
A2.前記実測TAGカーブが線形近似曲線であって、
前記血管状態解析部は、前記所定以上の逸脱を、TAGカーブの傾きに基づいて判定する、上記A1に記載の血管状態解析装置。
A3.前記血管状態解析部は、前記所定以上の逸脱を、TAGカーブの形状に基づいて判定する、上記A1に記載の血管状態解析装置。
A4.さらに、
前記実測TAGカーブを前記表示デバイスに表示させ、かつ、冠動脈に重度の狭窄が存在する可能性があると自動判定した場合には、その旨を前記表示デバイスに表示させる、表示制御部を備える、上記A1〜A3のいずれか一つに記載の血管状態解析装置。
A5.前記制御ユニットは、
少なくとも前記実測TAGカーブのデータを、その検査の患者を識別するための識別データとともに記憶装置に記憶させる、
上記A1〜A4のいずれか一つに記載の血管状態解析装置。
A6.上記A1〜A5のいずれか一つに記載の血管状態解析装置と、
患者の透視画像を撮像する撮像装置と、
患者に少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
を備えるシステム。
B1.a:薬液が充填されたシリンジのピストン部材をシリンダ部材に対して相対移動させるピストン駆動機構(130)と、
b:薬液の注入プロトコルを設定するための装置(150)であって、入力装置、表示デバイス(151)、記憶部および制御部(153,144)を有するコンピュータ装置(150)と、
を備え、
前記制御部は、
(b−1)冠動脈の血管状態解析用の注入プロトコルとして、(i)初期速度である第1の速度からそれより低速の第2の速度まで単調減少しながら、所定時間のあいだ、造影剤を注入する第1フェーズと、(ii)その後、第2の速度と同一または実質的同一な一定速度で、所定時間のあいだ、造影剤の注入を継続する第2フェーズとを含む基本注入プロトコルのデータを読み込み、
(b−2)操作者による、前記基本注入プロトコルに対する変更および/または確認の入力を受け付け、
(b−3)確認された注入プロトコルまたは変更が反映された注入プロトコルにしたがって前記ピストン駆動機構を動作させて薬液注入を行う、
ように構成されている、システム。
B2.前記ピストン駆動機構(130)を複数備え、
冠動脈の血管状態解析用の前記基本注入プロトコルが、さらに、(iii)前記第2フェーズの後、生理食塩水を後押し注入する第3フェーズを含んでいる、
上記B1に記載のシステム。
B3.さらに、
冠動脈の血管状態解析用の前記基本注入プロトコルを、操作者が、前記表示デバイス上で確認および/または変更するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える、
上記B1またはB2に記載のシステム。
B4.前記グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、
第1フェーズの造影剤の注入速度、注入量、および注入時間の少なくとも1つを示すテキストデータと、
第2フェーズの造影剤の注入速度、注入量、および注入時間の少なくとも1つを示すテキストデータと、
を含む、上記B3に記載のシステム。
B5.前記グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、
第1フェーズでの注入速度を示す線分と、
第2フェーズの造影剤での注入速度を示す線分と、
を含む、上記B3に記載のシステム。
B6.前記コンピュータ装置が、
注入ヘッドとそれに接続された注入器コンソールとを備える薬液注入装置の前記注入器コンソールとして、または、
患者の透視画像を撮像する撮像部とそれに接続されたスキャナコンソールとを備える撮像装置の前記スキャナコンソールとして構成されている、
上記B1〜B5のいずれか一つに記載のシステム。
100 薬液注入装置
102 ケーブル
110 注入ヘッド
120a 凹部
121、122 シリンジアダプタ
111 可動式スタンド
130 ピストン駆動機構
144 制御部
145 リーダ/ライタ
146 記憶部
150 コンソール(注入器コンソール)
151 表示デバイス(ディスプレイ)
153 制御部
154 記憶部
155 注入処理部
157 入力装置
159 操作パネル
200 シリンジ
221 シリンダ部材
222 ピストン部材
225 ICタグ
230 延長チューブ
231a〜231c チューブ
300 CTスキャナ(撮像装置)
303a 制御部
300b 撮像部
304 ベッド
350 ネットワーク
360 HIS
370 RIS
380 PACS
700 血管状態解析装置(端末)
701 血管状態解析部
702 表示制御部
705 システム制御部
710 制御ユニット
711 表示デバイス
712 入力装置
720 インターフェース

Claims (18)

  1. 冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、
    表示デバイスと、制御ユニットとを備え、
    前記制御ユニットは、
    (a)少なくとも2本の冠動脈につき、各冠動脈の起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブを作成する血管状態解析部と、
    (b)冠動脈ごとに作成した少なくとも2つの前記実測TAGカーブを、1つのグラフ中に併存させて前記表示デバイスに表示させる表示制御部と、
    を備える、血管状態解析装置。
  2. 前記血管状態解析部は、
    前記実測TAGカーブとして、右冠動脈(RCA)、左前下行枝(LAD)、および左回旋枝(LCA)のうちの2本または全部の冠動脈のカーブを作成する、
    請求項1に記載の血管状態解析装置。
  3. 前記制御ユニットは、
    前記実測TAGカーブのデータを、その検査の患者を識別するための識別情報とともに記憶装置に記憶させる、
    請求項1または2に記載の血管状態解析装置。
  4. 前記記憶装置が、血管状態解析装置の内部に備えられた記憶装置、または、同装置に接続される外部の記憶装置である、請求項3に記載の血管状態解析装置。
  5. 前記実測TAGカーブが、線形または非線形の近似曲線である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の血管状態解析装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の血管状態解析装置と、
    患者の透視画像を撮像する撮像装置と、
    患者に少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
    を備えるシステム。
  7. 冠動脈造影検査の透視画像のデータに基づいて冠動脈の血管状態解析を行うための装置であって、
    表示デバイスと、制御ユニットとを備え、
    前記制御ユニットは、
    (a1)少なくとも1本の冠動脈につきその起始部から遠位部へと向かう方向に沿う複数の位置と、それぞれの位置における造影強度との相関を示す実測TAG(Transluminal Attenuation Gradient)カーブと、(a2)重度の狭窄が存在しないと仮定した場合のその冠動脈のTAGカーブである標準カーブと、を作成し、(b)前記実測TAGカーブと標準カーブとを比較し、所定以上の逸脱があった場合に、当該冠動脈に重度の狭窄が存在する可能性があると自動判定する血管状態解析部を有する、血管状態解析装置。
  8. 前記実測TAGカーブが線形近似曲線であって、
    前記血管状態解析部は、前記所定以上の逸脱を、TAGカーブの傾きに基づいて判定する、請求項7に記載の血管状態解析装置。
  9. 前記血管状態解析部は、前記所定以上の逸脱を、TAGカーブの形状に基づいて判定する、請求項7に記載の血管状態解析装置。
  10. さらに、
    前記実測TAGカーブを前記表示デバイスに表示させ、かつ、冠動脈に重度の狭窄が存在する可能性があると自動判定した場合には、その旨を前記表示デバイスに表示させる、表示制御部を備える、請求項7〜9のいずれか一項に記載の血管状態解析装置。
  11. 前記制御ユニットは、
    少なくとも前記実測TAGカーブのデータを、その検査の患者を識別するための識別データとともに記憶装置に記憶させる、
    請求項7〜10のいずれか一項に記載の血管状態解析装置。
  12. 請求項7〜11のいずれか一項に記載の血管状態解析装置と、
    患者の透視画像を撮像する撮像装置と、
    患者に少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
    を備えるシステム。
  13. a:薬液が充填されたシリンジのピストン部材をシリンダ部材に対して相対移動させるピストン駆動機構と、
    b:薬液の注入プロトコルを設定するための装置であって、入力装置、表示デバイス、記憶部および制御部を有するコンピュータ装置と、
    を備え、
    前記制御部は、
    (b−1)冠動脈の血管状態解析用の注入プロトコルとして、(i)初期速度である第1の速度からそれより低速の第2の速度まで単調減少しながら、所定時間のあいだ、造影剤を注入する第1フェーズと、(ii)その後、第2の速度と同一または実質的同一な一定速度で、所定時間のあいだ、造影剤の注入を継続する第2フェーズとを含む基本注入プロトコルのデータを読み込み、
    (b−2)操作者による、前記基本注入プロトコルに対する変更および/または確認の入力を受け付け、
    (b−3)確認された注入プロトコルまたは変更が反映された注入プロトコルにしたがって前記ピストン駆動機構を動作させて薬液注入を行う、
    ように構成されている、システム。
  14. 前記ピストン駆動機構を複数備え、
    冠動脈の血管状態解析用の前記基本注入プロトコルが、さらに、(iii)前記第2フェーズの後、生理食塩水を後押し注入する第3フェーズを含んでいる、
    請求項13に記載のシステム。
  15. さらに、
    冠動脈の血管状態解析用の前記基本注入プロトコルを、操作者が、前記表示デバイス上で確認および/または変更するためのグラフィカルユーザインターフェースを備える、
    請求項13または14に記載のシステム。
  16. 前記グラフィカルユーザインターフェースは、
    第1フェーズの造影剤の注入速度、注入量、および注入時間の少なくとも1つを示すテキストデータと、
    第2フェーズの造影剤の注入速度、注入量、および注入時間の少なくとも1つを示すテキストデータと、
    を含む、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記グラフィカルユーザインターフェースは、
    第1フェーズでの注入速度を示す線分と、
    第2フェーズの造影剤での注入速度を示す線分と、
    を含む、請求項15に記載のシステム。
  18. 前記コンピュータ装置が、
    注入ヘッドとそれに接続された注入器コンソールとを備える薬液注入装置の前記注入器コンソールとして、または、
    患者の透視画像を撮像する撮像部とそれに接続されたスキャナコンソールとを備える撮像装置の前記スキャナコンソールとして構成されている、
    請求項13〜17のいずれか一項に記載のシステム。
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