JP2016015949A - 子宮体癌に関する情報の取得方法、ならびに子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーおよびキット - Google Patents

子宮体癌に関する情報の取得方法、ならびに子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーおよびキット Download PDF

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Abstract

【課題】子宮体癌に特異的な新規マーカーを用いて、被験者の生体試料から抽出したDNAのメチル化状態を解析し、その解析結果に基づいて被験者の子宮体癌に関する情報を取得する方法を提供する。【解決手段】被験者の生体試料から抽出したDNAに含まれるTMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析し、その解析結果に基づいて被験者の子宮体癌に関する情報の取得方法。【選択図】なし

Description

本発明は、被験者の子宮体癌に関する情報の取得方法に関する。また、本発明は、子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーおよびキットに関する。
子宮は、入口部分に相当する子宮頸部とその奥にある子宮体部とからなるが、子宮体癌は子宮体部に発生する癌である。子宮体癌は、子宮内膜から発生することから子宮内膜癌とも呼ばれる。子宮体癌の検査では、子宮内膜の細胞または組織を採取して顕微鏡で観察する病理検査(細胞診および組織診)が一般に行われている。しかし、この病理検査では、細胞または組織を採取するために特殊な器具を子宮体部に挿入する必要があり、また、痛みと出血を伴う場合があるので、被験者への負担が大きい。
子宮体癌の検査では、血液中の腫瘍マーカーの測定も行われている。腫瘍マーカーとしてはCA125、CA19-9などが用いられている。しかし、これらの腫瘍マーカーの検査は、癌の検出感度が十分ではなく、また、子宮体癌とは異なる種類の癌にも利用されているので、子宮体癌の特異的なスクリーニング検査として感度、特異度ともに十分でない。
他方で、近年、新たな癌の診断方法として、遺伝子情報に基づく方法が研究されている。そのような方法としては、例えば、DNAのメチル化に関する情報に基づく方法が挙げられる。この方法では、所定の遺伝子の塩基配列中のCpG部位(5'-(CG)-3')をマーカーとして用いる。そして、該マーカーのメチル化状態の解析結果に基づいて癌細胞の存否などの情報を取得し、これを指標にして癌の診断が行われる。
子宮体癌においても、DNAのメチル化解析を利用した癌の判定方法の研究・開発が行なわれている。例えば、Esteller M.らの文献には、MLH1遺伝子が正常な子宮内膜組織ではメチル化されていないが、子宮内膜癌の組織では高度にメチル化されていることが開示されている(非特許文献1参照)。Furlan D.らの文献には、MLH1、CDKN2AおよびMGMTの3つの遺伝子が、子宮内膜および卵巣の腫瘍組織で高度にメチル化されていることが開示されている(非特許文献2参照)。
Esteller M.ら、Am. J. Pathol. vol. 155, p. 1767-1772 (1999) Furlan D.ら、Clin. Cancer Res. vol. 12, p. 3329-3336 (2006)
上述のように、子宮体癌において異常メチル化を示す遺伝子が報告されているが、この遺伝子は、子宮体癌とは異なる種類の癌においてもある程度メチル化されている。しかし、子宮体癌を含む複数の種類の癌においてメチル化されている遺伝子をマーカーとして用いてそのメチル化解析を行った場合、その解析結果から得られた情報には、子宮体癌に関する情報のみならず、他の種類の癌に関する情報も含まれる可能性がある。例えば、解析結果に基づいて試料中に癌細胞が存在するという情報を得たとしても、その癌細胞が子宮体癌に由来するのか、または、他の種類の癌に由来するのかを判別することは困難である。
このように、マーカーのメチル化解析により子宮体癌に関する情報を取得するためには、該マーカーの子宮体癌への特異性が非常に重要な要素となる。それゆえ、子宮体癌に由来する癌細胞を特異的に検出することを可能にするような、子宮体癌に特異的な新規マーカーの開発が望まれている。
そこで、本発明は、そのような新規マーカーを同定し、そのマーカーについてメチル化の状態を解析することにより、子宮体癌に関する情報の取得方法を提供することを目的とする。また、本発明は、その方法に好適に用いられるキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、子宮体癌の癌部組織から得たDNAに特異的にメチル化が認められる遺伝子領域を、新規マーカーとして同定した。そして、本発明者らは、これらのマーカーについてメチル化状態を解析して得られた結果に基づいて、子宮体癌に由来する癌細胞と、その他の細胞(正常組織の細胞、非癌部組織の細胞、および、子宮体癌とは異なる種類の癌に由来する癌細胞)とを明確に区別できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、被験者から採取した生体試料からDNA試料を調製する工程と、調製工程で得られたDNA試料に含まれるTMCO1(Transmembrane and coiled-coil domains 1)遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する工程と、解析工程で得られた解析結果に基づいて、上記の被験者の子宮体癌に関する情報を取得する工程とを含む、子宮体癌に関する情報の取得方法が提供される。
本発明によれば、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つである、メチル化解析により子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーが提供される。
また、本発明によれば、TMCO1遺伝子のプロモータ領域の全部またはその一部の連続する塩基配列からなり且つ該プロモータ領域中の少なくとも1つのCpG部位およびCpG部位を構成しない少なくとも1つのシトシンを含む単離DNAをバイサルファイト処理して得られるポリヌクレオチドである、子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーが提供される。
さらに、本発明によれば、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つのメチル化の状態を解析するためのプライマーセットを含む、子宮体癌に関する情報を取得するためのキットが提供される。
本発明は、子宮体癌に関する情報の取得を可能にする方法を提供することができる。また、本発明は、子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーおよびキットを提供することができる。
子宮体癌の癌部組織および正常子宮組織のメチル化データから算出した、TMCO1遺伝子のプロモータ領域のメチル化陽性率を示すグラフである。 種々の臨床検体のメチル化データから算出した、TMCO1遺伝子のプロモータ領域のメチル化陽性率を示すグラフである。 種々の臨床検体のメチル化データから算出した、既知のマーカー遺伝子MLH1のプロモータ領域のメチル化陽性率を示すグラフである。 種々の臨床検体のメチル化データから算出した、既知のマーカー遺伝子CDKN2Aのプロモータ領域のメチル化陽性率を示すグラフである。 正常子宮組織および子宮体癌の癌部組織から抽出したDNAにおけるTMCO1遺伝子のプロモータ領域のメチル化スコアを示すグラフである。 子宮体癌患者および健常人の末梢血から抽出したDNAを、TMCO1のプライマーセット(配列番号8および9)を用いてメチル化特異的PCR(MSP)法により増幅して得られた増幅産物のバンド強度を示す棒グラフである。 子宮体癌患者および健常人の末梢血から抽出したDNAを、精度管理用プライマーセット(配列番号10および11)を用いてMSP法により増幅して得られた増幅産物のバンド強度を示す棒グラフである。 被験者の子宮体癌に関する情報を提供するための判定装置の一例を示した概略図である。 図6の判定装置の機能構成を示すブロック図である。 図6に示された判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図6に示された判定装置を用いた、被験者の子宮体癌に関する情報を提供するための判定のフローチャートである。
本実施形態の子宮体癌に関する情報の取得方法(以下、単に「方法」ともいう)では、まず、被験者から採取した生体試料からDNA試料を調製する。
本実施形態において、生体試料は、被験者のDNAを含む生体由来の試料であれば特に制限されないが、好ましくはゲノムDNAを含む試料、例えば臨床検体である。臨床検体としては、例えば、体液、尿、手術または生検により採取した組織などが挙げられる。体液としては、血液、血清、血漿、リンパ液、腹水、骨髄液、乳頭分泌液などが挙げられる。また、被検者から採取した細胞または組織を培養して得られた培養物を生体試料として用いることもできる。さらに、被験者から採取した組織のホルマリン固定パラフィン包埋試料を生体試料として用いてもよい。
DNA試料の調製は、生体試料からDNAを抽出することにより行うことができる。生体試料からのDNAの抽出方法は当該技術において公知である。例えば、生体試料と、細胞または組織を可溶化する界面活性剤(例えばコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなど)を含む処理液とを混合し、得られた混合液に物理的処理(撹拌、ホモジナイズ、超音波破砕など)を施して、生体試料に含まれるDNAを該混合液中に遊離させることによって、DNAを抽出することができる。この場合、混合液を遠心分離して細胞破片を沈殿させ、遊離したDNAを含む上清を後述の解析工程に用いることが好ましい。また、得られた上清を当該技術において公知の方法により精製してもよい。なお、生体試料からのDNAの抽出および精製は、市販のキットを用いて行うこともできる。
上記の調製工程は、抽出したDNAを断片化する工程をさらに含むことが好ましい。DNAを適当な長さに断片化することにより、後述するメチル化DNA免疫沈降(MeDIP)法および非メチル化シトシン変換処理を効率よく行うことができる。
DNAの断片化は、超音波処理、アルカリ処理、制限酵素処理などにより行うことができる。例えば、アルカリ処理によりDNAの断片化を行なう場合は、DNA溶液に水酸化ナトリウム溶液を終濃度0.1〜1.0 Nとなるよう添加し、10〜40℃で5〜15分間インキュベーションすることによりDNAが断片化される。また、制限酵素処理によりDNAの断片化を行なう場合、用いる制限酵素はDNAの塩基配列に基づいて適宜選択され、例えばMseIやBamHIなどが用いられる。
本実施形態の方法では、上記の調製工程で得られたDNAに含まれるTMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する。
なお、本明細書において、「CpG部位」とは、塩基配列中のシトシン(C)とグアニン(G)とが5'から3'への方向にこの順序で隣り合った配列の部位を意味する。なお、CpGの「p」の文字は、シトシンとグアニンとの間のホスホジエステル結合を表わす。
また、本明細書において、「メチル化の状態を解析する」とは、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の有無を解析すること、または該プロモータ領域のメチル化の頻度を解析することを意味する。
当該技術において、TMCO1遺伝子は、HP10122、PCIA3、PNAS-136、RP11-466F5.7およびTMCC4の名称でも知られている。また、TMCO1遺伝子のプロモータ領域の塩基配列自体は公知であり、例えば米国国立医学図書館の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)により提供されるデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)などの公知のデータベースから知ることができる。TMCO1遺伝子の各種ID番号を、表1に示す。また、TMCO1遺伝子のプロモータ領域の塩基配列(プラス鎖(TOP)の配列)を、配列番号1の配列として示す。
本実施形態において、解析工程は、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のうち、少なくとも1つのCpG部位のメチル化の有無を解析する工程であってもよい。ここで、「メチル化の有無」とは、上記のプロモータ領域に存在するCpG部位のシトシンがメチル化されているか否かを意味する。この実施形態では、解析するCpG部位は1つであってもよいが、複数のCpG部位のメチル化の有無を解析することが好ましい。
別の実施形態において、解析工程は、TMCO1遺伝子のプロモータ領域におけるメチル化の頻度を解析する工程であってもよい。ここで、「メチル化の頻度」とは、上記のプロモータ領域に存在するCpG部位の数に対する、メチル化されたCpG部位の数の割合を意味する。この実施形態では、解析対象は、上記のプロモータ領域の全部であってもよいし、少なくとも1つのCpG部位を含む一部分であってもよい。なお、解析対象は、CpG部位を1つしか含んでいなくてもよいが、複数のCpG部位を含んでいることが好ましい。また、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位の位置および数は既知であるので、本実施形態においては、該プロモータ領域におけるメチル化されたCpG部位の数自体をメチル化の頻度として利用できる。
上記のメチル化の頻度は、DNA中のCpG部位のメチル化状態を、後述するMassARRAY(登録商標)などの質量分析法で解析することにより得られる「メチル化スコア」であってもよい。MassARRAY(登録商標)では、DNA断片を測定して、メチル化DNA断片に由来するピークと非メチル化DNA断片に由来するピークとの面積比からメチル化スコアが算出される。
本実施形態では、TMCO1遺伝子のプロモータ領域におけるメチル化の頻度は、用手法によって算出してもよいし、コンピュータなどの機械によって算出してもよい。
本実施形態では、TMCO1遺伝子のプロモータ領域中のいずれのCpG部位(あるいは該CpG部位を含む所定の範囲)を解析対象とするかについては特に限定されず、当業者が適宜決定することができる。なお、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位の位置および数は既知であるので、解析対象とするCpG部位または範囲は、後述の公知の解析方法を用いたルーチンの実験により決定することができる。
メチル化の状態を解析する方法は、当該技術において種々の方法が公知である。本実施形態の方法では、いずれの解析方法を用いるかは特に限定されないが、好ましくは、メチル化DNAと非メチル化DNAとを区別する工程と、DNAを増幅する工程と、メチル化DNAおよび/または非メチル化DNAを検出する工程とを含む方法である。
メチル化DNAと非メチル化DNAとを区別する工程としては、メチル化感受性制限酵素処理、MeDIP法、非メチル化シトシン変換処理などを行う工程が挙げられる。
DNAを増幅する工程としては、PCR法、定量的PCR法、IVT(in vitro transcription)増幅法、SPIA(商標)増幅法などを行う工程が挙げられる。
メチル化DNAおよび/または非メチル化DNAを検出する工程としては、電気泳動法、シークエンス解析法、マイクロアレイ解析法、質量分析法、サザンハイブリダイゼーションなどを行う工程が挙げられる。
MeDIP法とは、抗メチル化シトシン抗体もしくは抗メチル化シチジン抗体、またはメチル化DNA結合タンパク質を特異的に認識する抗体を用いる免疫沈降により、生体試料に含まれるメチル化DNAを濃縮する方法である。本実施形態において、解析工程は、抽出工程で得られたDNAに含まれるメチル化DNAをMeDIP法により濃縮し、得られたメチル化DNAのメチル化状態を解析する工程であってもよい。また、MeDIP法により濃縮したメチル化DNAを、IVT増幅法などにより増幅し、得られた増幅産物について、マイクロアレイを用いてメチル化状態を解析することもできる。このような解析方法は、MeDIP on chip法と呼ばれる。
非メチル化シトシン変換処理とは、生体試料から抽出したDNAと非メチル化シトシン変換剤とを反応させることにより、該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換する処理である。ここで、非メチル化シトシン変換剤とは、DNAと反応して該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換できる物質である。このような非メチル化シトシン変換剤としては、例えば亜硫酸水素のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの亜硫酸水素塩(バイサルファイト)が好適に用いられる。
バイサルファイトを用いるDNAの処理では、該DNA中の非メチル化シトシンは、脱アミノ化反応によりウラシルに変換されるが、メチル化シトシンには、このような塩基の変換が起こらない。したがって、DNA中のCpG部位のメチル化状態の違いは、バイサルファイトを用いる非メチル化シトシン変換処理によって、塩基配列の違い(CおよびUの違い)に変換される。なお、このようなバイサルファイトによる非メチル化シトシン変換処理は、バイサルファイト処理と呼ばれる。
バイサルファイト処理を行なう場合、バイサルファイトの添加量(濃度)は、DNA中の非メチル化シトシンを十分に変換できる程度であれば特に限定されないが、例えば、DNAを含む溶液中の終濃度として1M以上、好ましくは1〜15 M、より好ましくは3〜10 Mである。また、バイサルファイトを添加した後のインキュベーションの条件(温度および時間)は、バイサルファイトの添加量に応じて適宜設定できるが、例えば、バイサルファイトを終濃度6Mで添加した場合、50〜80℃で10〜90分間インキュベーションする。
DNAに含まれるCpG部位のメチル化状態は、バイサルファイト処理したDNAをシークエンス解析して、本来の塩基配列との違いを検出することにより解析できる。この方法は、バイサルファイトシークエンス法と呼ばれている。
また、CpG部位のメチル化状態は、質量分析法によって解析することができる。具体的には、バイサルファイト処理したDNAを鋳型として、解析対象とする塩基配列に特異的なプライマーセットを用いてPCR増幅した後、得られたPCR産物をさらにIVT増幅することにより、メチル化シトシンおよびウラシルはそれぞれグアニン(G)およびアデニン(A)となる。得られたIVT増幅産物をRNase Aで切断し、得られた核酸断片間におけるGとAとの質量差(16 Da)をMALDI-TOF(マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛行時間)型質量分析装置を用いて検出することにより、DNAのメチル化状態を解析できる。この方法はMassARRAY(登録商標)解析と呼ばれる。
IVT産物においてRNase Aによって切断される部位は、任意の塩基と該塩基に隣接するウラシル(U)またはチミン(T)との間であることが知られている。したがって、RNase Aによって切断されたIVT産物の塩基配列および質量は、鋳型として用いたDNAの塩基配列から予測することが可能である。したがって、MassARRAY(登録商標)で得られた各ピークについて、鋳型としたDNAの塩基配列のどの部分に由来するかを同定できる。例えば、DNA断片中の1か所のCpG部位がメチル化していた場合、MassARRAY(登録商標)で得られるピークは、高質量側へ16 Daシフトする。複数のCpG部位を有するDNA断片の解析では、例えば、該DNA断片中のCpG部位が2か所メチル化していた場合は32 Daシフトし、3か所メチル化していた場合は48 Daシフトする。
MassARRAY(登録商標)などの質量分析法では、測定したDNA断片のメチル化スコアを算出することができる。例えば、所定の配列のDNA断片について、分析で得られたチャートにおける非メチル化DNA断片のピークとメチル化DNA断片のピークとの面積比が1:3であった場合、このDNA断片のメチル化スコアは、3/(1+3)=0.75より、0.75となる。なお、メチル化スコアは、理論上、DNA断片が有する全てのCpG部位がメチル化している場合は1であり、全てのCpG部位がメチル化していない場合は0である。
CpG部位のメチル化状態は、メチル化特異的PCR(MSP)法によって解析することができる。MSP法とは、バイサルファイト処理したDNAを、後述するプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、PCR産物の有無を確認することによって、CpG部位のメチル化状態(メチル化の有無)を解析する方法である。
MSP法では、解析対象のCpG部位がメチル化されている(すなわち、シトシンがウラシルに変換されていない)塩基配列は増幅できるが、CpG部位がメチル化されていない(すなわち、該シトシンがウラシルに変換されている)塩基配列は増幅できないプライマーセットを用いる。このようなプライマーセットを用いるMSP法では、PCR産物が存在する場合に、解析対象のCpG部位がメチル化されていることがわかる。
また、MSP法は、解析対象のCpG部位のシトシンがウラシルに変換されていない塩基配列は増幅できないが、CpG部位のシトシンがウラシルに変換されている塩基配列は増幅できるプライマーセットを用いて行なうこともできる。この場合、PCR産物が存在しない場合に、解析対象のCpG部位がメチル化されていることがわかる。
MSP法で用いられるプライマーセットに含まれる各プライマーは、解析対象のCpG部位を含む塩基配列に応じて当業者が適宜設計できるが、プライマーの3'末端またはその付近に、解析対象のCpG部位のシトシンを含むように設計することが好ましい。
CpG部位のメチル化状態は、マイクロアレイを用いて解析することもできる。この場合、解析用マイクロアレイは、TMCO1遺伝子のプロモータ領域の塩基配列に相補的な核酸プローブを、基板上に固定して作製できる。なお、このようなマイクロアレイは、当該技術において公知の方法により作製できる。
マイクロアレイによる解析では、生体試料から抽出したDNAは、当該技術において公知の標識物質により標識されていることが好ましい。よって、本実施形態の判定方法は、抽出したDNAを標識する工程をさらに含むことが好ましい。この標識工程は、生体試料中の全てのDNAを標識できるので、上記のDNA増幅工程の後に行われるのが有利である。なお、標識物質としては、蛍光物質、ビオチンなどのハプテン、放射性物質などが挙げられる。また、蛍光物質としては、Cy3、Cy5、FITC、Alexa Fluor(商標)などが挙げられる。このようにDNAを標識することにより、マイクロアレイ上のプローブからのシグナルの測定が容易になる。なお、DNAをこれらの標識物質で標識する方法は、当該技術において公知である。
上記のシグナルは、マイクロアレイの種類に応じて適切なシグナルであり得る。例えば、シグナルは、マイクロアレイの各プローブとハイブリダイズしたDNA断片が存在する場合に発生する電気的シグナルであってもよいし、上記のように解析対象のDNAが標識されている場合は、標識物質から生じる蛍光、発光などのシグナルであってもよい。シグナルの検出は、通常のマイクロアレイ測定装置に備えられたスキャナーにより行うことができる。スキャナーとしては、例えば、GeneChip(登録商標) Scanner3000 7G(Affymetrix社)、Illumina(登録商標) BeadArray Reader(Illumina社)などが挙げられる。
本実施形態の方法では、上記の解析工程で得られた解析結果に基づいて、被験者の子宮体癌に関する情報を取得する。ここで、子宮体癌に関する情報とは、子宮体癌の診断の指標となり得る情報または子宮体癌の診断を補助する情報であれば特に限定されないが、好ましくは、被験者における子宮体癌の発生もしくは状態またはその両方を示す情報である。そのような情報としては、例えば、被験者から採取した生体試料における子宮体癌由来の癌細胞の存否、子宮体癌が被験者に発生している可能性、子宮体癌がこれから被験者に発生する危険性などが挙げられる。また、被験者に子宮体癌が発生している場合は、子宮体癌に関する情報として、被験者の予後、癌の進行度(ステージ)などが挙げられる。なお、上記の解析工程で得られた解析結果に基づいて取得した子宮体癌に関する情報は、子宮体癌とは異なる種類の癌に関する情報を実質的に含まない。これは、本実施形態の方法でマーカーとして用いる上記の遺伝子のプロモータ領域が、子宮体癌に由来する癌細胞に特異的にメチル化していることによる。
本実施形態では、解析工程において、メチル化されたCpG部位が有るという解析結果が得られた場合、子宮体癌が発生していることを示唆する情報、または子宮体癌の状態が不良である(もしくは、悪い)という情報を取得することができる。
別の実施形態では、解析工程で得られたメチル化の頻度が所定の閾値より高いか、または閾値と同じという結果が得られた場合、そのような情報を取得することができる。
より具体的には、生体試料中に子宮体癌由来の癌細胞が存在するという情報を取得することができる。あるいは、被験者が子宮体癌になる危険性が高いという情報、または子宮体癌がすでに発生しているという情報を取得することができる。また、被験者に子宮体癌が発生しているならば、被験者の予後が不良である(もしくは、悪い)という情報、または癌の状態がより進行したステージであるという情報を取得することができる。
反対に、解析工程において、メチル化されたCpG部位が無いという結果が得られた場合、子宮体癌が発生していないことを示唆する情報または子宮体癌の状態が良好であるという情報を取得することができる。あるいは、解析工程で得られたメチル化の頻度が所定の閾値より低いという結果が得られた場合に、そのような情報を取得することができる。より具体的には、生体試料中に子宮体癌に由来する癌細胞が存在しないという情報を取得することができる。あるいは、被験者が子宮体癌になる危険性が低いという情報、または子宮体癌はまだ発生していないという情報を取得することができる。また、被験者に子宮体癌が発生しているならば、被験者の予後が良好であるという情報、または癌の状態がそれほど進行したステージではないという情報を取得することができる。
なお、所定の閾値は特に限定されず、種々の生体試料についてのデータの蓄積により経験的に設定することができる。あるいは、次のようにして所定の閾値を設定してもよい。まず、子宮体癌に由来する癌細胞を含まないことが予め確認されている生体試料(正常子宮体の組織または細胞)、および、子宮体癌に由来する癌細胞を含む生体試料のそれぞれから抽出したDNAについて、メチル化の頻度を解析する。次いで、得られた解析結果に基づいて、癌細胞を含まない生体試料のメチル化の頻度よりも高く且つ癌細胞を含む生体試料のメチル化の頻度よりも低い範囲から閾値を設定する。好ましくは、癌細胞を含まない生体試料と癌細胞を含む生体試料とを高精度に区別し得る値を、閾値として設定する。
本発明の範囲には、メチル化解析により子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーも含まれる(以下、単に「マーカー」ともいう)。そのような本実施形態のマーカーは、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つである。本実施形態では、被験者から採取した生体試料から調製したDNA試料中の上記のマーカーについてメチル化状態を解析し、得られた解析結果に基づいて該被験者の子宮体癌に関する情報を取得することができる。なお、メチル化状態の解析および子宮体癌の情報の取得については、これまでに述べたことと同様である。
また、本発明の範囲には、子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカーとして、TMCO1遺伝子のプロモータ領域の全部またはその一部の連続する塩基配列からなり且つ該プロモータ領域中の少なくとも1つのCpG部位およびCpG部位を構成しない少なくとも1つのシトシンを含む単離DNAをバイサルファイト処理して得られるポリヌクレオチドを用いることも含まれる(以下、単に「ポリヌクレオチド」ともいう)。ここで、CpG部位を構成しないシトシンとは、CpG部位に含まれるシトシン以外であればよく、例えば、シトシン(C)と、アデニン(A)、チミン(T)またはシトシン(C)とが5'から3'への方向にこの順序で隣り合った塩基配列(すなわち、CA、CTまたはCC)中のシトシンが挙げられる。
本実施形態のポリヌクレオチドにおいては、上記の単離DNAのバイサルファイト処理により、該単離DNA中の非メチル化シトシンはウラシルに変換されているが、メチル化シトシンはそのままとなっている。本実施形態では、このようなポリヌクレオチド中のCpG部位のメチル化状態を解析することによって、子宮体癌に関する情報を取得することができる。なお、上記の単離DNAは、これまでに述べたDNA試料の調製と同様にして得ることができる。また、バイサルファイト処理、メチル化状態の解析および子宮体癌の情報の取得についても、これまでに述べたことと同様である。
本実施形態のポリヌクレオチドのサイズは、MSP法、シーケンス法または質量分析法によるメチル化状態の解析が可能なサイズであれば特に限定されないが、好ましくは70塩基以上400塩基以下、より好ましくは70塩基以上200塩基以下である。そのような本実施形態のポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。この配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチドは、MSP法によるメチル化状態の解析に適している。
本発明の範囲には、子宮体癌に関する情報を取得するためのキット(以下、単に「キット」ともいう)も含まれる。本実施形態のキットは、TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つのメチル化の状態を解析するためのプライマーセットを含む。
本実施形態において、キットに含まれるプライマーセットは、MassARRAY(登録商標)などの質量分析法、MSP法、バイサルファイトシーケンス法などのPCR増幅を伴う解析方法によりCpG部位のメチル化の状態を解析するためのプライマーセットであればよいが、好ましくはMassARRAY(登録商標)などの質量分析法またはMSP法で用いられるプライマーセットである。なお、プライマーセットに含まれる各プライマーの塩基配列は、上記のプロモータ領域の塩基配列に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、配列番号3および配列番号4で表される塩基配列のプライマーセット、ならびに配列番号8および配列番号9の塩基配列であるプライマーセットが挙げられる。
本発明の範囲には、被験者における子宮体癌に関する情報の提供に適するシステムも含まれる。そのようなシステムは、例えば、次のとおりである。
プロセッサおよび該プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、
該メモリには、下記のステップ:
被験者由来のDNA試料に含まれるTMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得するステップと、
得られた解析結果に基づいて、上記の被験者の子宮体癌に関する情報を提供するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
被験者における子宮体癌に関する情報の提供に適するシステム。
また、本発明の範囲には、被験者における子宮体癌に関する情報の提供をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム製品も含まれる。そのようなコンピュータプログラム製品は、例えば、次のとおりである。
コンピュータに読み取り可能な媒体を備え、
該媒体には、下記のステップ:
被験者由来のDNA試料に含まれるTMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得するステップと、
得られた解析結果に基づいて、上記の被験者の子宮体癌に関する情報を提供するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
被験者における子宮体癌に関する情報の提供をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム製品。
以下に、本実施形態の方法を実施するのに好適な装置の一形態を、図面を参照して説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。図6は、被験者の子宮体癌に関する情報を提供するための判定装置の一例を示した概略図である。図6に示された判定装置1は、測定装置2と、該測定装置2と接続されたコンピュータシステム3とを含んでいる。
本実施形態においては、測定装置2は、MALDI-TOF型質量分析装置である。この測定装置2は、被験物質の飛行時間や質量電荷比(m/z値)などの質量分析情報を取得する。被験者由来のDNA試料から調製した測定用試料を測定装置2にセットすると、測定装置2は、該測定用試料に含まれる核酸の質量分析情報を取得し、得られた質量分析情報をコンピュータシステム3に送信する。
なお、メチル化の状態をMSP法により解析する場合、測定装置2は、蛍光イメージスキャナなどのゲルイメージング装置であってもよい。この場合、MSP法による核酸増幅を行った反応液をゲル電気泳動し、泳動後のゲルを測定装置2にセットすると、測定装置2は増幅産物を検出する。そして、測定装置2は、増幅産物のバンド強度データを取得し、得られたデータをコンピュータシステム3に送信する。
コンピュータシステム3は、コンピュータ本体3aと、入力デバイス3bと、検体情報、判定結果などを表示する表示部3cとを含む。コンピュータシステム3は、測定装置2から質量分析情報を受信する。そして、コンピュータシステム3のプロセッサは、質量分析情報に基づいて、被験者における子宮体癌に関する情報を提供するプログラムを実行する。
図7は、図6に示された判定装置の機能構成を示すブロック図である。図7に示されるように、コンピュータシステム3は、取得部301と、記憶部302と、算出部303と、判定部304と、出力部305とを備える。取得部301は、測定装置2と、ネットワークを介して通信可能に接続されている。なお、算出部303と判定部304とは、制御部306を構成している。
取得部301は、測定装置2から送信された情報を取得する。記憶部302は、判定に必要な閾値およびメチル化スコアを算出するための式を記憶する。算出部303は、取得部301で取得された情報を用い、記憶部302に記憶された式にしたがって、メチル化スコアを算出する。判定部304は、算出部303によって算出されたメチル化スコアが、記憶部302に記憶された閾値よりも低いか否かを判定する。出力部305は、判定部304による判定結果を、被験者の子宮体癌に関する情報(例えば、該被験者から採取した生体試料中の子宮体癌由来の癌細胞の有無)として出力する。
図8は、図6に示された判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図8に示されるように、コンピュータ本体3aは、CPU(Central Processing Unit)30と、ROM(Read Only Memory)121と、ROM32と、ハードディスク33と、入出力インターフェイス34と、読出装置35と、通信インターフェイス36と、画像出力インターフェイス37とを備えている。CPU30、ROM31、RAM(Random Access Memory)32、ハードディスク33、入出力インターフェイス34、読出装置35、通信インターフェイス36および画像出力インターフェイス37は、バス38によってデータ通信可能に接続されている。
CPU30は、ROM31に記憶されているコンピュータプログラムおよびROM32にロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。CPU30がアプリケーションプログラムを実行することにより、上述した各機能ブロックが実現される。これにより、コンピュータシステムが、被験者の子宮体癌に関する情報を提供するための判定装置としての端末として機能する。
ROM31は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されている。ROM31には、CPU30によって実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータが記録されている。
ROM32は、SRAM、DRAMなどによって構成されている。ROM32は、ROM31およびハードディスク33に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。ROM32はまた、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU30の作業領域として利用される。
ハードディスク33は、CPU30に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム(被験者の子宮体癌に関する情報を提供するためのコンピュータプログラム)などのコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
読出装置35は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどによって構成されている。読出装置35は、可搬型記録媒体40に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。
入出力インターフェイス34は、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス34には、キーボード、マウスなどの入力デバイス3bが接続されている。操作者は、当該入力デバイス3bを使用することにより、コンピュータ本体3aにデータを入力することが可能である。
通信インターフェイス36は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイスなどである。コンピュータシステム3は、通信インターフェイス36により、プリンタへの印刷データの送信が可能である。
画像出力インターフェイス37は、LCD、CRTなどで構成される表示部3cに接続されている。これにより、表示部3cは、CPU30から与えられた画像データに応じた映像信号を出力することができる。表示部3cは、入力された映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
次に、判定装置1による、被験者の子宮体癌に関する情報の提供の処理手順を説明する。図9は、図6に示された判定装置を用いた子宮体癌に関する情報の提供のフローチャートである。ここでは、被験者由来のDNA試料から調製した測定用試料に含まれる核酸の質量分析情報からピーク面積を算出し、得られたピーク面積からメチル化スコアを算出し、得られたメチル化スコアが閾値よりも低いか否かの判定を行なう場合を例として挙げて説明する。しかし、本発明は、この実施形態のみに限定されるものではない。
まず、ステップS1−1において、判定装置1の取得部301は、測定装置2から質量分析情報を取得する。次に、ステップS1−2において、算出部303は、取得部301が取得した質量分析情報からピーク面積を算出し、記憶部302に送信する。そして、ステップS1−3において、算出部303は、記憶部302に記憶された該ピーク面積に基づき、記憶部302に記憶された式にしたがって、メチル化スコアを算出する。
その後、ステップS1−4において、判定部304は、算出部303で算出されたメチル化スコアが、記憶部302に記憶された閾値よりも低いか否かの判定を行う。ここで、メチル化スコアが閾値よりも低いとき、処理は、ステップS1−5に進行し、判定部304は、被験者から採取した生体試料には子宮体癌由来の癌細胞がないことを示す判定結果を出力部305に送信する。また、メチル化スコアが閾値よりも低くないとき(すなわち、メチル化スコアが閾値以上であるとき)、被験者から採取した生体試料には子宮体癌由来の癌細胞があることを示す判定結果を出力部305に送信する。
そして、ステップS1−7において、出力部305は、判定結果を、被験者の子宮体癌に関する情報として出力し、表示部3cに表示させたり、プリンタに印刷させたりする。これにより、被験者において子宮体癌があるのか、またはないのかについて判定することを補助する情報を医師などに提供することができる。
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1: 子宮体癌の癌部組織および正常子宮組織のメチル化データを利用した新規マーカーの同定
(1)メチル化データの取得
実施例1では、子宮体癌の癌部組織(70検体)および正常子宮組織(1検体)について、TCGA(The Cancer Genome Atlas:http://tcga-data.nci.nih.gov/tcga/tcgaHome2.jsp)において公開されているInfinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)のメチル化データを取得した。
(2)新規マーカーの同定
Infinium HumanMethylation27 BeadChipには、ヒトのゲノム上にあるCpG部位のうち、27,578ヶ所のCpG部位ごとにメチル化用プローブと非メチル化用プローブを設けている。本実施例では、CpG部位のメチル化用プローブのシグナル強度(シグナルM)と非メチル化用プローブのシグナル強度(シグナルU)とをBeadArray Readerで検出し、以下の計算式により各遺伝子のCpG領域のメチル化率(mCpG)を算出した。
(mCpG)=(シグナルM)/(シグナルM)+(シグナルU)
得られた各遺伝子のメチル化率(mCpG)の値について、閾値を「0.4」に設定し、メチル化率の値がこの閾値と同じか、またはこの閾値よりも高い検体を「メチル化陽性検体」とした。そして、メチル化陽性検体の数に基づいて、各種の組織における遺伝子のメチル化陽性率(%)を下記の式により算出した。
メチル化陽性率(%)=(メチル化陽性検体数/総検体数)×100
例えば、癌部組織検体の場合、遺伝子のメチル化陽性率は「(癌部組織検体のうちメチル化陽性検体数/癌部組織の総検体数)×100」によって算出される。そして、癌部組織検体と正常子宮組織検体との間で統計学的に有意な差を認められる場合に、その遺伝子を癌部組織でメチル化が認められるマーカーとした。
Infinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)を用いたデータマイニングの結果、TMCO1遺伝子のプロモータ領域が、子宮体癌の癌部組織に特異的にメチル化が認められるマーカーとして同定された(図1参照)。以降、このマーカーを本実施例のマーカーとも呼ぶ。
実施例2: 複数種類の癌/腫瘍由来の癌/腫瘍組織検体、非癌部組織検体および正常組織検体におけるメチル化データの比較
(1)メチル化データの取得
実施例2では、実施例1で示される子宮体癌の癌部組織(70検体)および正常子宮組織(1検体)に加えて、9種類の癌/腫瘍組織検体、6種類の非癌部組織検体および13種類の正常組織検体のメチル化データを比較した。なお、各組織の検体数を以下の表に示す。
上記の検体のうち、胃癌由来の癌組織検体、肝細胞癌由来の癌組織検体、肝細胞癌由来の非癌部組織検体、正常肝臓由来の正常組織検体、12種類の正常組織検体については、上記実施例1と同様にして、Infinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)を用いたInfinium Methylation Assayにより測定されたメチル化データを取得した。それ以外の検体については、TCGA(The Cancer Genome Atlas:http://tcga-data.nci.nih.gov/tcga/tcgaHome2.jsp)又は肺癌、前立腺癌、健常人の血球組織については下記の文献において公開されているInfinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)のメチル化データを取得した。
・肺癌:Selamat SA, Chung BS, Girard L, Zhang W etal. Genome-scale analysis of DNA methylation in lung adenocarcinoma and integration with mRNA expression. Genome Res. Jul;22(7):1197-211(2012).
・前立腺癌:Kobayashi Y, Absher DM, Gulzar ZG, Young SR, McKenney JK, Peehl DM, Brooks JD, Myers RM, Sherlock G. DNA methylation profiling reveals novel biomarkers and important roles for DNA methyltransferases in prostate cancer. Genome Res. Jul 21(7):1017-27(2011)
・健常人93例の末梢血の血球組織のデータ:Salhia B, Baker A, Ahmann G, Auclair D, Fonseca R, Carpten J. DNA methylation analysis determines the high frequency of genic hypomethylation and low frequency of hypermethylation events in plasma cell tumors. Cancer Res. Sep 1;70(17):6934-44(2010).
なお、ここでいうメチル化データとは、次のようにして得られたTMCO1のCpG領域のメチル化率(mCpG)である。Infinium HumanMethylation27 BeadChipには、ヒトのゲノム上にあるCpGサイトのうち、27,578ヶ所のCpGサイトごとにメチル化用プローブと非メチル化用プローブを設けている。対象となる遺伝子(本実施例ではTMCO1)のCpGサイトのメチル化用プローブのシグナル強度(シグナルM)と非メチル化用プローブのシグナル強度(シグナルU)をBeadArray Readerで検出し、以下の計算式により対象となる遺伝子のCpG領域のメチル化率(mCpG)を算出した。
(mCpG)=(シグナルM)/(シグナルM)+(シグナルU)
(2)癌/腫瘍組織検体、非癌部組織検体および正常組織検体におけるメチル化陽性率の比較
得られたメチル化率(mCpG)の値について、腫瘍組織検体と正常組織検体との間で統計学的に有意な差を認められる場合にメチル化陽性とした。そして、各癌種のメチル化陽性率(%)を算出した。
メチル化陽性率(%)=(メチル化陽性検体数/総検体数)×100
(例えば、脳腫瘍の場合、メチル化陽性率は「脳腫瘍検体のうちメチル化陽性検体数/脳腫瘍総検体数=283)×100」によって算出する。)
結果を図2に示す。なお、図2において、「正常組織」とは、表4に示される組織のうち、健常人血球組織93検体を除いた正常組織を表し、「正常血液」とは、健常人血球組織93検体を表す。図2より、本実施例のマーカーは、子宮体癌において特異的且つ高度にメチル化していることがわかった。
比較例1: 複数種類の癌/腫瘍由来の癌/腫瘍組織検体、非癌部組織検体および正常組織検体におけるメチル化陽性率の比較
子宮体癌由来の癌細胞においてメチル化されていることが既に知られているMLH1およびCDKN2Aの各遺伝子(以下、「既知マーカー」という)について、実施例2と同様にして各組織におけるメチル化陽性率を算出した。結果を図3AおよびBに示す。
図3Aより、MLH1は、子宮体癌で症例の陽性率が認められず、むしろ他の種類の癌でメチル化を検出しているので、子宮体癌の診断マーカーにはなり得ない。図3Bより、CDKN2Aは、子宮体癌で症例の陽性率が高いが、他の種類の癌および他の非癌部組織でもメチル化を検出しているので、子宮体癌への特異性は低い。したがって、CDKN2Aは、子宮体癌マーカーとして感度は高いが、特異性の面では低い。よって、CDKN2Aは、子宮体癌の診断マーカーとしての性能において課題が多い。
実施例3: 正常子宮および子宮体癌におけるメチル化データ(MassARRAY)の比較
(1)生体試料
実施例3では、生体試料として、正常子宮組織(3検体)および子宮体癌の癌部組織(3検体)を用いた。
(2)測定用試料および対照試料の作製
(i)ゲノムDNAの抽出
上記の各組織からゲノムDNAを、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて抽出した。得られたDNA溶液に含まれるゲノムDNAを、Bioruptor(COSMO BIO社製)によって断片化した。また、質量分析法における検量線を作成するため、対照用ゲノムDNAとして、ヒト末梢血リンパ球のゲノムDNAを用いた。このヒト末梢血リンパ球のゲノムDNAを、GenomiPhi v2DNA amplificationキット(GEヘルスケアライフサイエンス社)を用いて増幅した。得られた増幅産物は非メチル化DNAからなる。次いで、該増幅産物をBioruptor(COSMO BIO社製)により断片化して、非メチル化DNA断片(0%メチル化DNA)の溶液を得た。この非メチル化DNA断片の溶液の一部を取り、これにSssIメチラーゼ(New England Biolab社)を反応させることによりCG配列にある全てのシトシンをメチル化させて、メチル化DNA断片(100%メチル化DNA)の溶液を得た。そして、0%メチル化DNAの溶液と100%メチル化DNAの溶液とを所定の割合で混合して、25%、50%および75%メチル化DNAの溶液を得た。
(ii)バイサルファイト処理
上記で得られた各DNA断片(500ng)を、EZ DNA Methylation Kit(Zymo Research社)を用いてバイサルファイト処理を行い、処理後のゲノムDNAを滅菌蒸留水(80μl)に溶出した。
(iii)PCRおよびIVTによる増幅
バイサルファイト処理した各DNA断片に含まれるメチル化シトシンおよびウラシルを、PCR法およびIVT増幅法により、それぞれグアニンおよびアデニンに変換した。
なお、PCR法に用いたプライマーセットがメチル化DNAおよび非メチル化DNAのいずれも偏りなく増幅できることは、後述する対照試料を用いたMassARRAY(登録商標)解析によって確認されている。本実施例のマーカーに対するプライマーセットの配列は、下記のとおりである。また、TMCO1遺伝子のプロモータ領域において、下記のプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖(TOP)の配列)を、配列番号5で示した。
フォワード:GGTTAGAATTTAGTTATTGG (配列番号3)
リバース :RTATACACAAACTTCTCCTC (配列番号4)
(Rは、AまたはGを示す)
なお、上記のプライマーセットのフォワードプライマーおよびリバースプライマーの5’末端には、IVT反応のために、それぞれ以下のタグ配列およびT7プロモータ配列が付加されている。
・タグ配列:AGGAAGAGAG (配列番号6)
・T7プロモータ配列:CAGTAATACGACTCACTATAGGGAGAAGGCT (配列番号7)
PCR反応液は、下記の試薬類を混合して調製した。
10x Hot Starバッファー(QIAGEN社) 0.5μL
25 mM dNTPミックス 0.04μL
Hot Star Taq(5U/μl)(QIAGEN社) 0.04μL
プライマーミックス 2.0μL
DNA溶液 1.0μL
水 1.42μL
トータル 5.0μL
上記の反応液について、下記の条件でPCR反応を行った。
94℃で15分を1サイクル、
94℃で20秒、52℃で30秒および72℃で1分を45サイクル、
72℃で3分。
得られた各PCR産物を、MassCLEAVE(商標)Reagentキット(SEQUENOM社)に含まれるSAP(Shrimp Alkaline Phosphatase)を用いて脱リン酸化処理した。次いで、これらに、上記のキットを用いて調製した下記の反応液を添加した。
5x T7 R&DNAポリメラーゼバッファー 0.89μL
T Cleavageミックス 0.24μL
100 mM DTT 0.22μL
T7 R&DNAポリメラーゼ 0.44μL
RNase A 0.06μL
RNaseフリーの水 3.15μL
トータル 5.0μL
得られた混合物を37℃で3時間インキュベーションして、IVT反応と、ウラシルまたはチミン特異的切断反応とを行った。そして、得られた各反応物をClean Resin(SEQUENOM社)により精製して、質量分析法のための試料を得た。これらの試料について、上記の臨床検体から抽出したゲノムDNAに由来する試料を測定用試料とし、対照ゲノムDNAに由来する試料を対照試料として、後述する質量分析法に用いた。
(3)MassARRAY(登録商標)を用いた質量分析法によるメチル化状態の解析
(i)検量線の作成
上記で得られた対照試料を2回ずつ独立に質量分析を行った。得られた解析結果より、各プライマーセットについての検量線を作成し、相関係数を算出した。これにより、用いたプライマーセットは、メチル化DNAおよび非メチル化DNAのいずれにも偏りなく増幅できることが確認された。
(ii)測定用試料の解析
上記で得られた測定用試料の質量分析を行い、測定用試料に含まれるDNA断片のピークを得た。次いで、得られた各ピークが、TMCO1の塩基配列のどの部分に由来するかを同定した。そして、同一の塩基配列に由来する断片について、メチル化CpG部位を含む断片のピークとメチル化CpG部位を含まない断片のピークとの面積比から、メチル化スコアを算出した。結果を図4に示す。
図4より、MassARRAY(登録商標)解析により、正常子宮組織(3検体)および子宮体癌の癌部組織(3検体)の本実施例のマーカーのメチル化状態を定量したところ、正常子宮組織ではメチル化をほとんど検出せず、子宮体癌で3検体中少なくとも2検体でメチル化傾向であることが示された。また、実施例1のInfinium法の結果と同様に、本実施例のマーカーのメチル化スコアと子宮体癌とが相関することが示された。
実施例4: 健常人および子宮体癌患者の血漿におけるメチル化データ(MSP)の比較
実施例4では、生体試料として子宮体癌患者および健常人の末梢血を用いて、MSP法により、TMCO1のプロモータ領域中のCpG部位についてメチル化解析を行った。
(1)生体試料
本実施例では、生体試料として、子宮体癌患者から採取した末梢血(7検体)を用いた。また、対照試料として、健常人末梢血(3検体)を用いた。
(2)測定用試料の作製
(i)ゲノムDNAの抽出
上記の各末梢血(2ml)から常法により血漿を得た。得られた各血漿からゲノムDNAを、QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit(QIAGEN社)を用いて抽出した。
(ii)バイサルファイト処理
上記で得られた各DNA断片(500 ng)を、EZ DNA Methylation Kit(Zymo Research社)を用いてバイサルファイト処理を行い、処理後のゲノムDNAを滅菌蒸留水(80μl)に溶出した。
(3)MSP
上記(2)で得られた測定用試料を用いて、定性MSPを行った。用いたPCR試薬の組成、プライマーセットおよびPCR条件を以下に示す。
<PCR試薬>
DW(滅菌水) 10.88μL
10×PCR buffer with MgCl2(Roche社) 1.5μL
10 mM dNTP mix 0.3μL
10μMセンスプライマー 0.6μL
10μMアンチセンスプライマー 0.6μL
Faststart Taq polymerase(Roche社) 0.12μL
測定用試料 1.0μL
トータル 15.0μL
<プライマーセット>
MSPで用いた各プライマーの塩基配列を以下に示す。
・TMCO1用プライマーセット
センスプライマー :TCGTGAAGTAAGAAGATTGATTTTC (配列番号8)
アンチセンスプライマー:CGCTCCTTAAAACCAACGAC (配列番号9)
・精度管理用プライマーセット
センスプライマー :GGGATATTAAGTGGAGTTATTTTGGTTTTAGTT (配列番号10)
アンチセンスプライマー:CCCTCCCAACATCCTTCCTAA (配列番号11)
TMCO1用プライマーセットを用いたMSPでは、バイサルファイト処理後のDNAにおいて、増幅される領域中のCpG部位がメチル化している場合に増幅産物を得ることができる。精度管理用プライマーセットは、バイサルファイト処理が適切に行なわれたか否かを判定するためのプライマーセットである。なお、TMCO1遺伝子のプロモータ領域において、上記のプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖(TOP)の配列)を、配列番号12で示した。
<PCR反応条件>
95℃で6分、
95℃で30秒、X℃で30秒、72℃で30秒を50サイクル、
16℃で放置。
なお、上記の反応条件において「X」はアニーリング温度を表し、TMCO1用プライマーセットについては54℃であり、精度管理用プライマーセットについては60℃である。
(4)MSPの結果解析
上述のMSPで得られた増幅産物を2%アガロースゲル電気泳動で確認した。各増幅産物のバンド強度をグラフで表した(図5AおよびB参照)。図5Aにおいて、健常人の末梢血として表示されている棒グラフはバックグラウンドに相当し、バンドを検出していないことを示す。図5Aより、TMCO1についてのMSPの結果、健常人の末梢血ではバンドを検出せず、子宮体癌患者の末梢血では7症例中4症例でバンドを検出することができた。なお、図5Bより、精度管理用プライマーセットを用いたPCRにより、全てのサンプルにおいてバンドが検出されたことがわかる。これは、試料のバイサルファイト処理が適切に行なわれたことを示している。このように、本実施例のマーカーは、生体試料として末梢血を用いた場合でも、子宮体癌患者において高率にメチル化傾向を示し、健常人ではメチル化が検出されないことがわかった。よって、本実施例のマーカーは、子宮体癌に特異性の高いマーカーであり、血液試料中で子宮体癌に由来する癌細胞の存否を判定するのに有用であることが示唆された。
1 判定装置
2 測定装置
3 コンピュータシステム
3a コンピュータ本体
3b 入力デバイス
3c 表示部

Claims (11)

  1. 被験者から採取した生体試料からDNA試料を調製する工程と、
    調製工程で得られたDNA試料に含まれるTMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する工程と、
    解析工程で得られた解析結果に基づいて、前記被験者の子宮体癌に関する情報を取得する工程と
    を含む、子宮体癌に関する情報の取得方法。
  2. 解析工程が、少なくとも1つのCpG部位のメチル化の有無を解析する工程である請求項1に記載の方法。
  3. 被験者の子宮体癌に関する情報が、被験者から採取した生体試料における子宮体癌に由来する癌細胞の存否であり、
    情報取得工程が、メチル化されたCpG部位が有るという解析結果が得られた場合に、生体試料中に子宮体癌由来の癌細胞が存在するという情報を取得する工程である請求項2に記載の方法。
  4. 解析工程が、メチル化の頻度を解析する工程である請求項1に記載の方法。
  5. 被験者の子宮体癌に関する情報が、被験者から採取した生体試料における子宮体癌に由来する癌細胞の存否であり、
    情報取得工程が、解析工程で得られたメチル化の頻度が所定の閾値より高い場合に、生体試料中に子宮体癌由来の癌細胞が存在するという情報を取得する工程である、
    請求項4に記載の方法。
  6. TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つである、メチル化解析により子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカー。
  7. TMCO1遺伝子のプロモータ領域の全部またはその一部の連続する塩基配列からなり且つ前記プロモータ領域中の少なくとも1つのCpG部位およびCpG部位を構成しない少なくとも1つのシトシンを含む単離DNAをバイサルファイト処理して得られるポリヌクレオチドである、子宮体癌に関する情報を取得するためのマーカー。
  8. 配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチドである、請求項7に記載のマーカー。
  9. TMCO1遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つのメチル化の状態を解析するためのプライマーセットを含む、子宮体癌に関する情報を取得するためのキット。
  10. プライマーセットが、質量分析法およびメチル化特異的PCR法から選択される少なくとも1つの方法によりCpG部位のメチル化の状態を解析するためのプライマーセットである請求項9に記載のキット。
  11. プライマーセットが、
    配列番号3および配列番号4の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号8および配列番号9の塩基配列であるプライマーセット、ならびに
    から選択される少なくとも1つである請求項10に記載のキット。
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