JP2016015942A - グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法を提供する。【解決手段】グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法は、還元末端に第1の標識化合物を結合させて標識グリコサミノグリカン糖鎖を生成するステップと、標識された糖鎖を限定分解するステップと、限定分解された標識グリコサミノグリカン糖鎖を、二糖ずつ糖鎖長が異なる糖鎖のそれぞれに分離するステップと、分離された糖鎖のそれぞれを二糖に分解し、非標識二糖と第1の標識二糖を生成するステップと、第2の標識二糖を形成するステップと、第2の標識二糖と、第1の標識二糖との組成を、二糖ずつ糖鎖長が異なる糖鎖のそれぞれについて決定するステップと、グリコサミノグリカン糖鎖の組成に基づいて、グリコサミノグリカン糖鎖の配列を決定するステップと、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法に関する。
生体内に広く分布する主な酸性多糖体であるグリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸とヘパラン硫酸/ヘパリンである。グリコサミノグリカンは成長因子や細胞受容体と結合および相互作用することにより、多様で重要な生理機能を発揮している。グリコサミノグリカンは、分子量が通常数千から数万Daであり、原則として直鎖構造である。グリコサミノグリカンは、基本的にはウロン酸とアミノ糖の二糖が繰り返した構造をとっており、その糖水酸基に多数の硫酸基が結合して、複雑で多様な修飾構造をした多糖体である。
主要なグリコサミノグリカンの1つであるコンドロイチン硫酸は、ウロン酸としてD−グルクロン酸(GlcA)とアミノ糖としてN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)の繰り返し二糖構造を基本骨格とする。コンドロイチン硫酸は、多数の硫酸基が複雑かつ多様に結合した構造を有している。図1に示すように、コンドロイチン硫酸の主要な二糖単位として、硫酸基がないコンドロイチン二糖(O)、GalNAc残基の4位が硫酸化されたコンドロイチン硫酸A二糖(A)、およびGalNAc残基6位が硫酸化されたコンドロイチン硫酸C二糖(C)などがある。
グリコサミノグリカンの生理機能は、その直鎖多糖構造内部に存在する特異で複雑な硫酸化糖鎖配列に依存すると考えられている。しかし、その構造解析手法は、非特許文献1で示されるように、分解酵素などで完全分解した後の二糖組成を分析する方法や、数個の糖より形成される短い糖鎖配列を決定する方法しか知られていなかった。
Anal.Biochem.(1989)vol.177,pp327−332
しかしながら、非特許文献1の方法では、その活性糖鎖の配列を決定することができないという問題があった。また、従来の他の方法を用いたとしても、特に十糖を越えるような長い糖鎖の配列を決定することができないという問題があった。
そのため、他の生体内高分子である核酸やタンパク質に比べ、多糖体の生理機能解析と構造活性相関研究が遅れていた。グリコサミノグリカンの糖鎖配列を決定する方法が開発されれば、活性構造の同定などの基礎研究が促進されるだけでなく、活性糖鎖配列を利用した医薬品や診断薬の開発などの臨床応用も促進される。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法は、グリコサミノグリカン糖鎖の還元末端に第1の標識化合物を結合させて標識グリコサミノグリカン糖鎖を生成するステップと、加水分解酵素を用いて、標識グリコサミノグリカン糖鎖を限定分解するステップと、限定分解された標識グリコサミノグリカン糖鎖を、二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれに分離するステップと、脱離酵素を用いて、分離された標識グリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれを二糖に分解し、非標識二糖と第1の標識化合物により標識された第1の標識二糖を生成するステップと、非標識二糖の還元末端を、第2の標識化合物を結合させて第2の標識二糖を形成するステップと、第2の標識二糖と、第1の標識二糖との組成を、二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれについて決定するステップと、決定されたそれぞれのグリコサミノグリカン糖鎖の組成に基づいて、グリコサミノグリカン糖鎖の配列を決定するステップと、を含むことを特徴とする。
この態様によると、グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を容易に決定することができる。
第1の標識化合物と、第2の標識化合物として、互いに異なる化合物を用いることが好ましい。この態様によると、検出を容易にすることによって糖鎖配列の決定の効率を高めることができる。
グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法において、グリコサミノグリカン糖鎖は、コンドロイチン硫酸であってもよい。この態様によると、より容易に糖鎖の配列を決定することができる。
グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法において、グリコサミノグリカン糖鎖は、配列の異なる複数の糖鎖を含んでもよい。この態様によると、各糖鎖の配列をまとめて決定することができる。
本発明によれば、グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を容易に決定することができる。
コンドロイチン硫酸の主要な二糖単位構造を示す図である。 本実施の形態にかかるコンドロイチン硫酸オリゴ十二糖の配列構造決定方法を示す概念図である。図2(A)は、試料であるCSA12を示す図である。図2(B)は、CSA12の還元末端に第1の標識化合物a(PA)を結合させて標識CSA12を形成させた状態を示す図である。図2(C)は、分解された標識CSA12を修飾基PAの蛍光にて検出することにより、非還元末端から二糖ずつ切断された十糖、八糖、六糖のPA標識体を分離する手順を示す図である。図2(D)は、分解前の標識CSA12を、脱離酵素を用いて完全分解し、第2の標識化合物b(AB)を結合させた状態を示す図である。図2(E)は、標識CSA12の限定分解物十糖(PA化十糖)を、脱離酵素を用いて完全分解し、第2の標識化合物b(AB)を結合させた状態を示す図である。図2(F)は、標識CSA12の限定分解物八糖(PA化八糖)を、脱離酵素を用いて完全分解し、第2の標識化合物b(AB)を結合させた状態を示す図である。図2(G)は、標識CSA12の限定分解物六糖(PA化六糖)を、脱離酵素を用いて完全分解し、第2の標識化合物b(AB)を結合させた状態を示す図である。 飽和および不飽和二糖標準品のAB標識体の蛍光HPLCパターンを示す図である。
今まで不可能であった糖鎖の長いグリコサミノグリカン糖鎖の配列決定法を確立すべく誠意研究を重ねた。その結果、本研究者らは、加水分解酵素の限定分解と、脱離酵素による完全分解、複数の糖鎖還元末端標識方法、および飽和糖と不飽和糖を分離・定量する技術を駆使することで、グリコサミノグリカン糖鎖の配列決定方法を確立した。
本発明者らは、分解酵素である加水分解酵素および脱離酵素(リアーゼ)によって形成される切断糖鎖構造の違いを利用して、糖鎖配列決定を行う方法を開発すべく研究を重ねた。具体的には、糖の加水分解酵素は、糖と糖をつなぐ脱水結合であるグリコシド結合を加水分解で切断する酵素である。加水分解酵素による切断箇所には通常の飽和糖鎖が現れる。一方、脱離酵素(リアーゼ)は加水分解を伴わない分解酵素である。グリコサミノグリカン糖鎖の場合、脱離酵素(リアーゼ)はアミノ糖とウロン酸の間のグリコシド結合を切断する。その際、切断箇所のウロン酸残基は4−5位間で脱水反応が起こり、2重結合が形成され、非還元末端に不飽和ウロン酸残基をもつ分解産物が生成する。
ここで、糖鎖は一般に可視および紫外吸収が少ないため、検出感度が低いことが問題となる。そこで、糖鎖還元末端に検出感度を高める標識分子を結合させることによって、微量で分析可能とする。さらに、糖鎖還元末端を標識することで、酵素分解後に生成する還元末端遊離糖分解物と、元の糖鎖還元末端を含む還元末端標識糖鎖分解物を識別および分離することができる。さらに、元の長鎖グリコサミノグリカン糖鎖と、分解後の二糖を異なった分子で標識し、各々の標識体の混合試料であっても検出方法を変えれば、それぞれの標識体を識別して分析することができる。
本発明は、このような分解酵素と分子標識および分析方法を組み合わせて、グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造の決定方法を提供するものである。
以下、本実施の形態に係るグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法について詳細に説明する。
グリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法は、以下のステップを含む。
(ステップ1)グリコサミノグリカン糖鎖の還元末端に第1の標識化合物aを結合させて標識グリコサミノグリカン糖鎖を生成するステップ。
(ステップ2)加水分解酵素を用いて、標識グリコサミノグリカン糖鎖を限定分解するステップ。
(ステップ3)限定分解された標識グリコサミノグリカン糖鎖を、二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれに分離するステップ。
(ステップ4)脱離酵素(リアーゼ)を用いて、分離された標識グリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれを二糖に分解し、非標識二糖と第1の標識化合物aにより標識された第1の標識二糖を生成するステップ。
(ステップ5)非標識二糖の還元末端を、第2の標識化合物bを結合させて第2の標識二糖を形成するステップ。
(ステップ6)第2の標識二糖と、第1の標識二糖の組成を、二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれについて決定するステップ。
(ステップ7)決定されたそれぞれのグリコサミノグリカン糖鎖の組成に基づいて、グリコサミノグリカン糖鎖の配列を決定するステップ。
以下、これらのステップを順に説明する。一例として、分析対象のグリコサミノグリカン糖鎖のモデル分子として、合成酵素により調製したコンドロイチン硫酸A十二糖(CSA12)を用いて、本実施の形態に係るグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法を具体的に示す(図2)。CSA12は、6つの二糖単位から構成される。
(ステップ1)
まず、試料であるCSA12(図2(A))の還元末端に第1の標識化合物aを結合させて標識CSA12を形成させる(図2(B))。第1の標識化合物aとしては、蛍光標識体2−アミノピリジン(PA)を好適に使用することができる。第1の標識化合物aとして使用可能な他の物質については、第2の標識化合物bと合わせて後述する。
(ステップ2)
次に、加水分解酵素を用いて、標識CSA12を限定分解する。加水分解酵素は、グリコサミノグリカン糖鎖をエンド型に切断するヒアルロニダーゼ(睾丸由来)を好適に使用することができる。その反応混合物から、たとえば還元糖吸着クロマトグラフィーを用いて還元末端標識分解物と還元末端遊離分解物を分離することが好ましい。
(ステップ3)
次に、標識CSA12の限定分解物を、二糖ずつ糖鎖長が異なる標識グリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれに分離する。すなわち、還元末端が第1の標識化合物aにより標識された糖鎖の分解物(還元末端a標識分解物)をその糖鎖長に応じて分離精製する。これにより、糖鎖試料の非還元末端から糖鎖が二糖ずつ切除された還元末端a標識分解物のそれぞれが取得できる。これらの分画物において、それぞれの非還元末端は飽和ウロン酸である。一方、還元末端は第1の標識化合物aで修飾され二糖ずつ糖鎖長が異なる糖鎖(a標識限定分解糖鎖)である。
具体的には、たとえばゲルろ過クロマトグラフィーによって、標識CSA12の分解産物を分離し、修飾基PAの蛍光にて検出する(図2(C))。これにより、非還元末端から二糖ずつ切断された十糖、八糖、六糖、および必要な場合には四糖のPA標識体が分取できる。
(ステップ4)脱離酵素(リアーゼ)を用いて、分離された鎖長が異なる標識グリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれを二糖に分解し、非標識二糖と第1の標識化合物aにより標識された第1の標識二糖を生成させる。脱離酵素(リアーゼ)は、第1の標識化合物aにより標識され加水分解酵素により限定分解された糖鎖を特異的に完全脱離分解する酵素である。その結果、それぞれのa標識限定分解糖鎖に由来する非還元末端の飽和二糖と中間の脱離反応によって生じた不飽和二糖、および還元末端に由来する不飽和二糖の第1の標識化合物aによる標識体(不飽和二糖a標識体)が生成される。
具体的には、分離精製したPA化限定分解物(PA化十糖、PA化八糖、およびPA化六糖)並びに分解前の十二糖のPA標識体を脱離分解酵素(コンドロイチンリアーゼC−ACII(以下、単にACIIともいう))で完全分解する(図2(D)〜(G))。これにより、それぞれの非還元末端の飽和二糖と中間の不飽和二糖、および還元末端に由来する不飽和二糖PA標識体が得られる。
(ステップ5)
次に、非標識二糖の還元末端を、第2の標識化合物bを結合させて第2の標識二糖を形成させる。つまり、分解産物である二糖の還元末端に第2の標識化合物bを結合させる反応を行う。これにより、既に第1の標識化合物aで標識されている還元末端二糖以外のすべての二糖分解物が第2の標識化合物bによって標識される。第2の標識化合物bとして、2−アミノベンズアミド(AB)を好適に使用することができる。
第1の標識化合物aと第2の標識化合物bは、検出を容易にするために異なることが好ましいが、同一の化合物であってもよい。同一の化合物を用いる場合は、中間糖鎖と還元末端糖鎖の区別がつかないため、完全配列を決定するためには、六糖以上に加えて、四糖分解物についても解析する必要がある。また、第1の標識化合物aおよび第2の標識化合物bとして、2−aminobenzoic acid、2−aminoacridone、1−pyrenebutanoic acid hydrazideなどの蛍光標識体を用いることもできる。また、第1の標識化合物aと第2の標識化合物bは、還元末端に修飾して検出可能な標識体であれば、蛍光標識体以外の物質を使用することもできる。例えば、第1の標識化合物aと第2の標識化合物bの少なくとも一方は、放射性同位元素(H、14C、32P、35S、125I)を含んだ基であっても良い。また、[H]−NaBHによる還元末端[H]標識なども好適である。
(ステップ6)
次に、第2の標識化合物bが結合した第2の標識二糖と、第1の標識化合物aにより標識された第1の標識二糖の組成を、二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれについて決定する。つまり、第2の標識化合物bにより標識された飽和二糖(飽和二糖b標識体)と第2の標識化合物bにより標識された不飽和二糖(不飽和二糖b標識体)を分離できる分析方法を用いて、標識化合物bを検出する。これにより、二糖ずつ糖鎖長が異なる限定分解物それぞれの非還元末端由来の飽和二糖b標識体と中間の不飽和二糖b標識体を同定および定量することができる。また、二糖分解物に対して、不飽和二糖a標識体を分離できる分離方法および第1の標識化合物aを検出する方法を用いることで、第1の標識化合物aにより標識された不飽和二糖の構造を同定できる。それは当初のグリコサミノグリカン糖鎖の還元末端二糖構造である。以上の方法により、グリコサミノグリカン糖鎖試料の全二糖配列が決定できる。
具体的には、分解された標識体の混合物を、食塩濃度勾配を利用した溶出によって、ABの蛍光波長で検出する蛍光高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行うことにより、硫酸化の位置及び数が異なる飽和および不飽和二糖のAB標識体が明確に分離されて検出される(図3)。このとき、ABの蛍光励起波長にて測定するためPA化二糖は検出されないので、PAによってAB標識体の解析は妨害されない。なお、還元端不飽和PA−二糖はアミノ化シリカゲルで充填したHPLCカラムでリン酸カリウムの濃度勾配によりクロマトグラフィーを行い、PAの蛍光励起波長で測定することで検出できる。
(ステップ7)
最後に、決定されたそれぞれのグリコサミノグリカン糖鎖の組成に基づいて、グリコサミノグリカン糖鎖の配列を決定する。それぞれの分解物から飽和二糖として検出および同定されるものが各々の非還元末端二糖単位であり、PA標識二糖として検出および同定されるものは還元末端二糖である。これらの結果を合わせることで、元の硫酸化コンドロイチン硫酸十二糖の全糖鎖配列構造が決定できる。
すなわち、n個の二糖単位からなる2n糖のグリコサミノグリカンを本実施の形態の方法により、二糖ずつ糖鎖長が異なる限定分解a標識糖鎖を調製し、それらa標識糖鎖を脱離完全分解後b標識し、それらの非還元末端b標識飽和二糖単位をそれぞれ単一構造として同定し、還元末端a標識不飽和二糖も単一構造として同定する。この場合、分解前の糖鎖から長い順に同定された非還元末端のb標識飽和二糖単位の構造を並べ、最後に還元末端のa標識不飽和二糖単位構造で終わる配列が、もとの2n糖のグリコサミノグリカンの全糖鎖配列である。
本ステップの労力は、グリコサミノグリカン糖鎖の硫酸化の程度や、サンプルに何種類の糖鎖が混在しているかに依存する。本ステップの労力を考慮すると、サンプル中に配列の異なる複数の配列が含まれる場合には、後述する実施例1および2に示すように、それらの長さおよび硫酸化の程度は互いに同一であることが好ましい。少なくとも還元末端から所定長における硫酸化の程度は同一であることが好ましい。
たとえば2n糖鎖長のサンプル中に特定の硫酸基修飾二糖構造SがX個存在している場合、本実施の形態の方法により同定された糖鎖配列のうち、非還元末端からNa,Nb,・・・・,Nm番目(m<n)の二糖構造が未硫酸化二糖Oと硫酸化構造Sが混在していると想定する。また、それぞれのS構造の割合がSa,Sb,・・・・,Smで、その他の位置の二糖構造はOまたはSのみと決定できた場合で、その決定済みのSの数は全てのS構造の数Xより1小さい場合(X−1)であったと想定する。このときサンプル中の糖鎖は糖鎖位置Na,Nb,・・・・,Nmのいずれか1箇所が硫酸化構造Sであるm種の糖鎖で構成されていることになる。それぞれの糖鎖の存在比はSa,Sb,・・・・,Smとなる(ただし、Sa+Sb+・・・・+Sm=1)。さらに、サンプル中に硫酸化の候補部位がn箇所あるn個の糖鎖配列が含まれる場合には、n元1次方程式を解けばサンプル中に含まれるこれらの糖鎖配列の割合を算出することができる。また、硫酸化の候補部位の数と糖鎖配列数が異なる場合にも、同様に算出することができる。
一方、サンプル中に含まれる複数の糖鎖配列間で硫酸化の程度が異なる場合には、実施例で示すようにイオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィーなどを用いて、同一の硫酸化程度を持つ糖鎖に分離してから、本ステップの糖鎖配列決定方法を実施することが好ましい。
(対象)
二糖ずつ長さが異なる限定分解物の分離が可能でさえあれば、解析対象とするグリコサミノグリカン糖鎖試料の糖鎖長に制限はない。現在のゲルろ過クロマトグラフィーにおいて、長さが二糖分異なる2つの糖鎖を分離する性能から考えると、糖鎖長は約6〜約30糖であることが好ましく、約12糖〜約20糖であることがより好ましい。糖鎖は、完全長の配列が決定される必要はなく、たとえば還元末端側から一部の配列のみが決定されてもよい。あるいは非還元末端側から一部の配列のみが決定されてもよい。
または、一度に長さが決定できない(ゲルろ過クロマトグラフィーにより分離できない)程度に長い糖鎖Xについて、図2(B)の操作のあとに第1の標識化合物aにより標識された還元末端側の糖鎖Xと標識されていない非還元末端側の糖鎖を分離する。次に、標識されていない非還元末端側の糖鎖について、図2(A)〜(B)の操作を行うことにより、還元末端側の糖鎖Xを得る。元の糖鎖の長さに応じてこの操作を繰り返すことにより、元の糖鎖の非還元末端を含む糖鎖Xを得る。これら糖鎖X〜Xの配列を図2(C)〜(G)の操作によってそれぞれ決定した上で、最終的にこれらの配列をつなげることによって、元の糖鎖Xの配列を決定してもよい。この場合には、配列の異なる複数種類の糖鎖配列が含まれていてもよい。
サンプル中に複数の糖鎖配列が含まれる場合には、グリコサミノグリカン糖鎖試料の糖鎖長は必ずしも単一である必要はない。試料の還元末端を標識するので、還元末端を基点とした配列構造を決定できるためである。つまり、配列として還元末端がそろった糖鎖試料であれば、鎖長が異なる試料の還元末端側からの配列構造を決定できる。また、試料の糖鎖長が不揃いでも本実施の形態の方法によって、試料の非還元末端二糖の同定が可能である。
さらに、上述のように、試料が完全に均一な分子ではなくても、すなわち配列や長さの異なる複数の糖鎖が混ざった混合物であってもよい。この場合でも、特定の糖鎖配列位置に存在する異なった二糖単位が存在している割合が決定できるため、試料に含まれる複数の糖鎖配列を同定し、その量的な割合も算定することができる。
本実施の形態の方法は、グリコサミノグリカン糖鎖すべてに適用可能である。コンドロイチン硫酸以外のグリコサミノグリカンとしては、デルマタン硫酸や、ヘパラン硫酸/ヘパリン糖鎖、あるいはヒアルロン酸などに適用可能である。
デルマタン硫酸の配列を決定する場合には、コンドロイチン硫酸の解析方法において、脱離分解酵素をコンドロイチンリアーゼABCあるいはコンドロイチンリアーゼBを併用する。ヘパラン硫酸/ヘパリンの配列を決定する場合には、コンドロイチン硫酸の解析方法において、ヘパラン硫酸/ヘパリンに特異的に反応する加水分解酵素(へパラナーゼ)と脱離分解酵素(ヘパリチナーゼ、へパリチンリアーゼ)とを組み合わせる。ヒアルロン酸の配列を決定する場合には、動物由来の加水分解酵素ヒアルロニダーゼと脱離酵素ヒアルロン酸リアーゼ(微生物由来ヒアルロニダーゼ)を組み合わせる。一般的にヒアルロン酸は硫酸基修飾はなされていないため、配列決定する意義は低いが、人工的あるいは生合成後に側鎖の修飾を受けたヒアルロン酸の分析に適用できる。
以上、本実施の形態に係るグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法を用いると、成長因子やサイトカインなどの生理活性分子と相互作用し、生理機能を発揮するグリコサミン糖鎖の配列を調べることにより、生理活性分子との特異的に結合する配列構造を決定できる。また、グリコサミノグリカン糖鎖を介した感染を行うバクテリアやウイルスとの結合配列構造や、グリコサミノグリカン特異的受容体を持つ神経細胞や免疫細胞などの細胞表面と相互作用する糖鎖配列構造を決定できる。また、人工的に硫酸転移酵素などのグリコサミノグリカン合成酵素を作用させて調製した糖鎖の配列構造を決定することにより、硫酸基転移酵素などの酵素反応位置や優先順位を明確に示すことができるため、生合成機構の解明にもつながる。
(有用性)
コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン糖鎖は、成長因子や細胞受容体など多くの生理活性分子との強い結合性を見せ、多様で重要な生理機能を発揮している。これらの生理機能として、例えば、癌抑制作用、中枢神経再生制御作用や、免疫細胞活性化作用、ウイルス感染防御作用などが知られている。グリコサミノグリカン糖鎖は、医薬品あるいは診断薬としての臨床応用が期待されている。しかし、従来は活性構造の糖鎖配列構造を解析する手法がなかったために、臨床応用に結びつく活性糖鎖開発が進展しなかった。本実施の形態に係る方法を用いて上記生理機能を示すグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定することによって、医薬品や診断薬開発などの臨床応用に結びつけることが可能となる。
(コンドロイチン硫酸A十二糖の合成)
Sugiuraらの方法(Glycoconj.J.(2008)vol.25、pp521−530)を用いて合成したコンドロイチン十二糖(CH−12)を、J.Biol.Chem.(2012)vol.287、pp43390−43400に記載の方法に準じて、組換えコンドロイチン4−硫酸基転移酵素−1(C4ST−1)を用いて酵素合成コンドロイチン硫酸A十二糖(CSA12)を合成した。この標品は6個あるGalNAc残基の4位水酸基に硫酸基が修飾された構造であり、その修飾硫酸基数と糖鎖配列における修飾位置が異なる糖鎖の混合物である。この標品をイオン交換樹脂カラム(mono Q HR 5/10、GEヘルスケア社製)にアプライし、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)から0.5Mの食塩を含有する同緩衝液への直線濃度勾配クロマトグラフィーにより溶出した。すると当該標品CSA12は複数の画分に分離され、その主要な画分を低塩濃度の溶出から順にCSA12−a、CSA12−bとした。二糖組成分析結果からそれぞれの画分の硫酸基修飾数は12糖あたり1個、2個と推定された。
[実施例1]
(コンドロイチン硫酸A十二糖の還元末端蛍光標識(PA化))
上記イオン交換クロマトグラフィーで分離した分子内に1個の硫酸基が結合した酵素合成コンドロイチン硫酸A十二糖画分(CSA12−a、9.4nmol)を0.025 mg/μLの2−アミノピリジン(PA)および0.024mg/μLのナトリウムシアノボロヒドリド(NaBHCN)の30%酢酸−ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液(5μL)を加え溶解し、60℃で2時間加熱した。反応液を室温まで冷却後、0.2M酢酸アンモニウム水溶液で平衡化したSuperdex Peptide HR 10/300カラム(GEヘルスケア社製)にアプライし、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。溶出液を励起波長(Ex)310nm、放出波長(Em)370nmの蛍光波長で検出し、当該画分を集め、還元末端蛍光標識コンドロイチン硫酸十二糖画分a(PA−CSA12−a)を得た。
(PA化コンドロイチン硫酸A十二糖の加水分解酵素による限定分解)
上記PA化コンドロイチン硫酸A十二糖画分a(PA−CSA12−a)を150mM食塩を含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)20μLで溶解し、ヒツジ睾丸由来ヒアルロニダーゼ(シグマ社製)を加えて、37℃で30分間インキュベートした。100℃で1分間加熱処理後、室温にまで冷却し、BlotGlycoカラム(住友ベークライト社製)に反応液を通し、水200μLを2回カラムに通し、PA化糖を回収した。このとき酵素分解によって生成する還元端遊離糖鎖はカラムに吸着される。通過液および洗浄液を集め、Superdex 30HR 16/600カラム(GEヘルスケア社製)にアプライし、0.2M酢酸アンモニウム水溶液で溶出した。溶出液をEx310nm、Em370nMの蛍光波長で検出し、部分分解されたPA化オリゴ糖(十糖、八糖、六糖)画分を分取した。
(PA化オリゴ糖の脱離酵素による分解と蛍光標識(AB化))
各PA化オリゴ糖(十糖、八糖、六糖)および分解前のPA化十二糖画分a(PA−CSA12−a)(各50〜200pmol)をそれぞれ、脱離酵素であるコンドロイチンリアーゼ(コンドロイチナーゼ)ACII(生化学工業社製)10mUを含む50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)50μLに溶解し、37℃で1時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、2−アミノベンズアミド(AB)およびNaBHCNの30%酢酸−DMSO溶液(5μL)を加え溶解後、60℃で2時間反応させた。反応液に水200μLを加え、酢酸エチル(200μL)で4回抽出を行い、過剰の反応試薬を除去した。その水層を減圧濃縮・凍結乾燥し、50μLの水で再溶解した。再溶解液には、それぞれの限定分解オリゴ糖画分由来の非還元末端AB化飽和二糖、中間のAB化不飽和二糖、および還元末端PA化不飽和二糖が含まれる。
得られた再溶解液をSenshu PAK DC−1151カラム(4.6×150mm、センシュウ科学社製)を用いて、1.2mMのテトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロゲン硫酸(TBAS)、8.5%アセトニトリルを含み、2mM〜140mMの食塩濃度勾配によるHPLCシステムで分離した。HPLC溶出液をEx330nm、Em420nmの蛍光波長で検出して、二糖分解物AB標識体を検出した。別途飽和及び不飽和二糖のAB蛍光標識体、飽和コンドロイチン二糖−AB(sO−AB)、不飽和コンドロイチン二糖−AB(ΔO−AB)、飽和コンドロイチン硫酸A二糖−AB(sA−AB)、不飽和コンドロイチン硫酸A二糖−AB(ΔA−AB)、飽和コンドロイチン硫酸C二糖−AB(sC−AB)、および不飽和コンドロイチン硫酸C二糖−AB(ΔC−AB)(各20pmol)を標準品として同HPLCシステムで分析を行い(図3)、標準品の溶出時間と蛍光強度を基準にして、本表品のAB標識二糖成分を分別定量した。その結果を表1に示す。PA−CSA10−a、PA−CSA8−a、PA−CSA6−aは、それぞれ分解後のPA化十糖画分a、PA化八糖画分a、PA化六糖画分aをあらわす。
Figure 2016015942
図2を用いて説明したように、各限定分解オリゴ糖の還元末端二糖はPA化されている。そのため、PA化された還元末端二糖は、AB化二糖の解析では蛍光波長の違いによって検出されなかった。図2を用いて説明したように、AB化二糖の解析において検出された飽和二糖は、各限定分解オリゴ糖の非還元末端二糖に相当する。検出された不飽和二糖は中間の二糖単位であり、十二糖で4個、十糖で3個、八糖で2個、六糖で1個に相当する。これら図2の原理から導き出せる飽和糖と不飽和糖の個数に基づいて、表1に示した飽和・不飽和二糖組成比を、飽和糖、不飽和糖に分けて分析糖単位数に換算した値を表2に示す。
Figure 2016015942
また、還元末端のPA化不飽和二糖の検出は、リアーゼ酵素分解物をPolyAmineカラム(4.6×250mm、YMC社製)またはUK aminoカラム(4.6 ×250mm、インタクト社製)を用いて、1mM TBAS含有40〜800mM リン酸2水素カリウム水溶液の濃度勾配によるHPLCシステムで、Ex310nm、Em370nmの蛍光波長で溶出液を測定することで行った。測定の結果、還元末端二糖は、すべて硫酸化されていないPA化不飽和コンドロイチン二糖(ΔO−PA)であった。本コンドロイチン硫酸画分CSA12−aは、十二糖中に1つの硫酸基が修飾されている。以上のデータから、十二糖の二糖単位を非還元末端から I、II、III、IV、V、VIとすると、それぞれの割合は表3のように概算できる。
Figure 2016015942
したがって、本コンドロイチン硫酸十二糖画分であるCSA12−aの糖鎖配列は、以下のように、非還元末端から3番目ないし4番目のいずれかの二糖単位が硫酸化されており、2種類の1硫酸化十二糖で構成されていることが分かった。ここでは、硫酸基がないコンドロイチン二糖をO、GalNAc残基の4位が硫酸化されたコンドロイチン硫酸A二糖をAで示す。
I II III IV V VI
糖鎖配列1:O − O − A − O − O − O
糖鎖配列2:O − O − O − A − O − O
表3より、糖鎖配列1と2の存在率が0.47:0.36であること、つまりCSA12−aには糖鎖配列1:O−O−A−O−O−Oが約57%、糖鎖配列2:O−O−O−A−O−Oが約43%含まれることが算定された。
[実施例2]
(コンドロイチン硫酸A十二糖の還元末端蛍光標識(PA化))
実施例1のイオン交換クロマトグラフィーで分離した分子内に2個硫酸基が存在する酵素合成コンドロイチン硫酸A十二糖の画分b(CSA12−b)について、実施例1と同様の方法で還元末端PA化標識を行った。続いてSuperdex Peptide HR 10/300カラムでゲルろ過クロマトグラフィーを行い、還元末端蛍光標識(PA化)コンドロイチン硫酸十二糖画分b(PA−CSA12−b)を得た。
(PA化コンドロイチン硫酸A十二糖の加水分解酵素による限定分解)
得られたPA化コンドロイチン硫酸A十二糖画分b(PA−CSA12−b)を実施例1と同様に、ヒツジ睾丸由来ヒアルロニダーゼで限定分解し、BlotGlycoカラムでPA化糖を回収した。さらに、Superdex 30 HR 16/600カラムにより、PA化コンドロイチン硫酸A十二糖画分bの部分分解オリゴ糖(十糖、八糖、六糖)を分取した。
(PA化オリゴ糖の脱離酵素による分解と蛍光標識(AB化))
各PA化オリゴ糖および分解前のPA化十二糖(PA−CSA12−b)を実施例1と同様にして、コンドロイチンリアーゼACIIで分解し、その後AB標識反応を行った。得られた標品をSenshu PAK DC−1151カラムを用いて飽和及び不飽和二糖のAB蛍光標識体を分離定量した。その結果を表4に示す。
Figure 2016015942
各オリゴ糖鎖の非還元末端二糖1単位に相当する飽和糖と、十二糖で4個、十糖で3個、八糖で2個、六糖で1個の糖鎖中の二糖単位に相当する不飽和糖の換算糖鎖数値を表5に示す。
Figure 2016015942
また、還元末端のPA化不飽和二糖は、100%硫酸化されていないPA化不飽和コンドロイチン二糖(ΔO−PA)であった。以上の結果から、本コンドロイチン硫酸画分CSA12−bの二糖単位を非還元末端からI、II、III、IV、V、VIとすると、それぞれ二糖単位組成の割合は表6のように概算できる。
Figure 2016015942
したがって、本コンドロイチン硫酸十二糖画分CSA12−bは、糖鎖配列が以下のように、II、III、IVの位置の二糖のいずれか2カ所が硫酸化された3種類の配列構造をもった十二糖(α、β、γ)で構成されていることが分かった。
I II III IV V VI
糖鎖配列α:O − A − A − O − O − O
糖鎖配列β:O − A − O − A − O − O
糖鎖配列γ:O − O − A − A − O − O
表6から、IIがCSAである割合は0.45、IIIがCSAである割合は0.60、IVがCSAである割合は0.57であることから、以下の式(1)〜(3)が成り立つ。
(α+β)÷2=0.45・・・・・(1)
(α+γ)÷2=0.60・・・・・(2)
(β+γ)÷2=0.57・・・・・(3)
これらの式より、α、β、γの値を求める。まず式(1)、(2)を変形することにより、以下の式(4)および(5)が得られる。
β=0.90−α ・・・・・(4)
γ=1.20−α ・・・・・(5)
式(4)および(5)を式(3)に導入すると、αが以下のように算出される。
α=(0.90+1.20−1.14)÷2=0.48
また、式(4)および(5)から、βとγが以下のように算出される。
β=0.90−0.48=0.42
γ=1.20−0.48=0.72
したがって、CSA12−bの3種の構成糖の存在比(α:β:γ)は、0.48:0.42:0.72、つまり糖鎖配列α:O−A−A−O−O−Oが約30%、糖鎖配列β:O−A−O−A−O−Oが約26%、糖鎖配列γ:O−O−A−A−O−Oが約44%であると算出された。
以上、本発明を上述の実施の形態や各評価試験を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態や各評価試験に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態おける組合せやステップの順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。

Claims (4)

  1. グリコサミノグリカン糖鎖の還元末端に第1の標識化合物を結合させて標識グリコサミノグリカン糖鎖を生成するステップと、
    加水分解酵素を用いて、前記標識グリコサミノグリカン糖鎖を限定分解するステップと、
    限定分解された前記標識グリコサミノグリカン糖鎖を、二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれに分離するステップと、
    脱離酵素を用いて、分離された前記標識グリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれを二糖に分解し、非標識二糖と前記第1の標識化合物により標識された第1の標識二糖を生成するステップと、
    前記非標識二糖の還元末端を、第2の標識化合物を結合させて第2の標識二糖を形成するステップと、
    前記第2の標識二糖と、前記第1の標識二糖との組成を、前記二糖ずつ糖鎖長が異なるグリコサミノグリカン糖鎖のそれぞれについて決定するステップと、
    決定されたそれぞれのグリコサミノグリカン糖鎖の組成に基づいて、グリコサミノグリカン糖鎖の配列を決定するステップと、を含むグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法。
  2. 前記第1の標識化合物と、前記第2の標識化合物として、互いに異なる化合物を用いる請求項1に記載のグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法。
  3. 前記グリコサミノグリカン糖鎖は、コンドロイチン硫酸である請求項1または2に記載のグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法。
  4. 前記グリコサミノグリカン糖鎖は、配列の異なる複数の糖鎖を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリコサミノグリカン糖鎖の配列構造を決定する方法。
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