JP2016015894A - β−グルコシダーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】アスペルギルス・アキュレータス由来の野生型β−グルコシダーゼ1に対して好ましくは同等程度以上のセロビアーゼ活性を有する改変されたβ−グルコシダーゼを提供する。【解決手段】アスペルギルス・アキュレータス由来の野生型β−グルコシダーゼ1のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列と、前記野生型β−グルコシダーゼ1の69番目のグルタミン酸、201番目のグルタミン、436番目のセリンのいずれか1又は2以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された変異と、を有し、好ましくは前記野生型β−グルコシダーゼ1に対して90%以上のβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質。【選択図】図6

Description

本発明はβ−グルコシダーゼ、具体的には改良されたβ−グルコシダーゼに関する。
β−グルコシダーゼ(BGL1)はセロビオースをグルコースに分解する酵素であって、セルロース系バイオマスの糖化には必要不可欠の酵素である。しかし、自然界から見いだされたβ−グルコシダーゼのセロビオースに対する加水分解活性(セロビアーゼ活性)は不十分である。そこで、自然界のβ−グルコシダーゼに改変を施してその特性を強化する試みが種々行われている。
例えば、特許文献1には、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の野生型β−グルコシダーゼ(親グルコシダーゼ)において特定位置のアミノ酸が置換された改変β−グルコシダーゼが開示されている。この改変により親グルコシダーゼの4量体が不安定化され、安定な2量体構造が形成される。その結果、親グルコシダーゼに比べて高いセロビアーゼ活性が呈される。
特許文献2には、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)由来の野生型β−グルコシダーゼにおいて活性中心近傍に位置する1又は数個のアミノ酸が置換された改変β−グルコシダーゼが開示されている。この改変グルコシダーゼは、pH5.0以下において親グルコシダーゼのグルコシダーゼ活性よりも高い活性を呈する。
特許文献3 には、ヒポクレア・ジェコリナ由来の野生型β−グルコシダーゼにおいて単一又は2つ以上のアミノ酸が置換された改変β−グルコシダーゼが開示されている。この改変により、セロビアーゼ活性が改良されることが示されている。
非特許文献1には、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の親β−グルコシダーゼに対して特定位置のアミノ酸が置換された改変β−グルコシダーゼが開示されている。ここではGH3に属するグルコシダーゼの酸/塩基触媒の候補と考えられる保存性の高いアスパラギン酸、グルタミン酸をアラニンに置換した変異体の酵素反応速度論的な解析がおこなわれている。その中で、E496位のアスパラギン酸をアラニンに置換した改変グルコシダーゼの活性が野生型β-グルコシダーゼに比べてKm値が0.51倍、kcat値が1.16倍となり、kcat/Km値が2.28倍になると結果をまとめた表に記載されている。しかしながら、この変異部位は活性中心から離れた部位であることや文献内で結果のみ表で示され本文では全く触れられていないことなどから、本当に活性が上昇するのか定かではない。
一方、アスペルギルス・アキュレータス(Aspergillus aculeatus)由来の野生型β−グルコシダーゼは既知のβ−グルコシダーゼの中でセロビオースに対する加水分解活性が最も高く、BGL1の遺伝子を導入したトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)から調製されたセルラーゼ酵素剤は、アルカリ処理した稲わらから野生型のそれよりも約2倍のグルコースを生産すると言われている(非特許文献2,3)。
特開2012−34690号公報 特開2011−224022号公報 特開2013−511280号公報
Preeyanuch Thongpoo et al., Biochemica et Biophysica Acta, 1830(2013), p2739-2749 Hikaru Nakazawa et al., Biotechnology and Bioengineering, 106(2012), p92-99 Tetsushi Kawai et al., Journal of Industrial Biotechnology, 39(2012), p1741-1749
しかしながら、これまでのところ、改変されたアスペルギルス・アキュレータス由来のβ−グルコシダーゼについての報告はなく、野生型のそれよりも高いセロビアーゼ活性を有するβ−グルコシダーゼが求められていた。
本発明は、アスペルギルス・アキュレータス由来の野生型β−グルコシダーゼ1に対して好ましくは同程度以上のβ−グルコシダーゼ活性を有する改変されたβ−グルコシダーゼを提供することを課題とする。
本発明は、アスペルギルス・アキュレータス由来の野生型β−グルコシダーゼ1の特定位置のアミノ酸残基が改変されたβ−グルコシダーゼであって、好ましくは野生型β−グルコシダーゼ1のβ−グルコシダーゼ活性の90%以上の活性を有する。
本発明によると、野生型β−グルコシダーゼ1よりもさらに高いβ−グルコシダーゼ活性を有するβ−グルコシダーゼが提供される。
図1はS. cerevisiae DC5用発現プラスミドの構造(pMBGLc)を示す図である。 図2は野生型および各種変異体BGL1を発現させたS. cerevisiae DC5における一定菌体当たりに換算した培養液1mL当たりのpNPグルコシド及びセロビオースに対する活性の比較を示すグラフである。各変異体においてそれぞれ左側のグラフはpNPグルコシドに対する活性、右側のグラフはセロビオースに対する活性を示す。また、横軸の数字は得られた株を示す番号である 図3はA. oryzae niaD300によって生産したE69、Q201、S436変異体の精製タンパク質(酵素)の電気泳動による結果を示す画像である。 図4は精製した変異酵素のセロビオースに対する比活性の比較を示すグラフである。 図5はA. oryzae niaD300によって生産した二重変異体、三重変異体の精製タンパク質(酵素)の電気泳動による結果を示す画像である。 図6は精製した二重変異体、三重変異体のセロビオースに対する比活性の比較を示すグラフである。
本発明に係るタンパク質(β−グルコシダーゼ)は、アスペルギルス・アキュレータス由来の野生型β−グルコシダーゼ1(以下「親グルコシダーゼ」ともいう。)のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列と、前記野生型β−グルコシダーゼ1の68番目、69番目、98番目、99番目、200番目、201番目、204番目、248番目、305番目、358番目、436番目、437番目、511番目に対応する位置のアミノ酸残基のうちいずれか1又は2箇所以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基に置換された変異とを有する。親グルコシダーゼであるアスペルギルス・アキュレータス(A. aculeatus)由来の野生型(WT型)β−グルコシダーゼ1のアミノ酸配列は配列番号1で示される。
本発明では置換後のアミノ酸残基の種類は特に限定されず、親グルコシダーゼの酵素特性に影響を与えるアミノ酸残基であればよい。酵素活性の観点からすれば、本発明においては、変異を有するタンパク質(変異体)のβ−グルコシダーゼ活性が、好ましくは親グルコシダーゼのβ−グルコシダーゼ活性に対して90%以上、望ましくはそれと同等以上の活性を呈するアミノ酸残基が好ましい。
β−グルコシダーゼは糖のβ−グルコシド結合を加水分解する反応や糖転移反応を触媒する酵素であって、β−グルコシド結合を有する種々の化合物が基質となり得る。本発明では、β−グルコシダーゼ活性とはβ−グルコシド結合を有する基質に対する加水分解活性を意味する。親グルコシダーゼとの対比に用いられる基質は、例えば天然の基質であるセロビオースであり、ラミナリビオースであり、ゲンチオビオースであり、ソフォロースであり、合成基質であるpNP-Glc(4-Nitrophenyl-β-D-glucopyranoside)であり得る。本発明では、糖化への寄与という観点から、基質は好ましくはセロビオース又はβ−グルコシダーゼ活性の測定に汎用されるpNP-Glcであり、望ましくはセロビオースである。β−グルコシダーゼ活性の対比は測定されたunits/g、Km値若しくはVmax値、kcat値,kcat/Km値を指標として行われ、何れかの指標、好ましくは比活性が親グルコシダーゼとの対比において90%以上若しくは同等以上であればよい。なお、活性の測定方法は親グリコシダーゼとの対比ができれば何れの方法でもよく、例えば実施例に記載の方法が例示される。
置換後のアミノ酸は、例えばタンパク質を構成する20種類のLアミノ酸であり、それ以外の天然アミノ酸であり、Dアミノ酸であり、修飾されたアミノ酸でもあり得る。具体的には、置換後のアミノ酸残基は好ましくはバリンであり、セリンであり、グルタミンであり、アルギニンであり、メチオニンであり、グルタミン酸であり、トリプトファンであり、トレオニン(いずれもLアミノ酸が好ましい)であり得る。
変異箇所は前記13箇所のアミノ酸残基のうち1箇所のアミノ酸残基の置換であり、2箇所のアミノ酸残基の置換でもあり、3箇所のアミノ酸残基の置換でもあり得る。これらの変異を有するタンパク質の中で、配列番号1で示されるアミノ酸配列における69番目のグルタミン酸(E69)、201番目のグルタミン(Q201)、436番目のセリン(S436)のいずれか1又は2以上のアミノ酸残基がそれぞれ親グルコシダーゼにおけるアミノ酸とは異なるアミノ酸残基に置換された変異を有するタンパク質が好ましい。これら3箇所のアミノ酸残基は、グルコシダーゼの表面に位置するだけでなく、これらのアミノ酸残基が親グルコシダーゼのアミノ酸残基と異なるアミノ酸残基に置換されることで、セロビオースに対する基質認識や酵素特性に大きな変化が生じると考えられる。
さらに具体的に言うと、本発明のタンパク質は、例えば、69番目のグルタミン酸がバリンに置換されたアミノ酸配列(E69V)、同グルタミン酸がアルギニンに置換されたアミノ酸配列(E69R)、同グルタミン酸がメチオニンに置換されたアミノ酸配列(E69M)、201番目のグルタミンがグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列(Q201E)、436番目のセリンがバリンに置換されたアミノ酸配列(S436V)、同セリンがトレオニン(S436V)に置換されたアミノ酸配列をそれぞれ有するタンパク質であり得る。また、201番目のグルタミンがグルタミン酸と436番目のセリンがバリンに置換されたアミノ酸配列(Q201E/S436V)を有するタンパク質(二重変異体)であり、さらに69番目のグルタミン酸がメチオニンに置換されたアミノ酸配列(Q201E/S436V/E69M)を有するタンパク質(三重変異体)であり得る。
また、本発明に係るタンパク質は、親グルコシダーゼのアミノ酸配列と90%以上の相同性があるタンパク質でもあり得る。相同性は、BLASTやFASTAなどアミノ酸配列の相同性を検索するプログラムによって算出されるが、本発明においては相同性を検索するプログラムのうち少なくとも一つのプログラムによって90%以上、好ましくは95%、さらに好ましくは99%以上の相同性が示されればよい。90%以上の相同性があり、β−グルコシダーゼ活性が親グルコシダーゼの90%以上の活性を有し、かつ上記アミノ酸残基の変異があれば、当該変異タンパク質における基質認識に、同様な変化が生じていると考えられるからである。ここにおいて、対応するアミノ酸残基の位置は、それぞれタンパク質の立体構造から見て対応するセロビオースに対する基質認識部位の周辺に相当する位置にあるアミノ酸である。本発明においては、相同性があるタンパク質の中で、親グルコシダーゼの69番目のグルタミン酸(E)、201番目のグルタミン(Q)、436番目のセリン(S)が保存されているタンパク質が好ましい。本発明は、セロビオースの認識部位の周辺構造を変えることで、グルコシダーゼの活性に変化を与えるものだからである。
さらに、本発明に係るタンパク質は、E69、Q201、S436のアミノ酸残基の変異の他に1又は2〜10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含み得る。
本発明に係るタンパク質は遺伝子工学的手法によって生産され得る。遺伝子工学的手法は公知であり、遺伝子工学的手法による生産方法は限定されない。例えば、上記タンパク質をコードする塩基配列をアミノ酸配列に基づいて構築するステップと、構築した塩基配列を各種の発現用ベクターに組み込むステップと、発現用ベクターを宿主細胞に形質転換するステップと、形質転換した宿主細胞を培養してタンパク質を産生させるステップを有する。タンパク質を発現させるためのベクターや宿主細胞も公知である(例えば特許文献1参考)。本発明において宿主細胞は限定されず、宿主細胞は、例えばトリコデルマ(Trichoderma)属微生物、例えばトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)であり、アスペルギルス属微生物、例えばアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)であり、クロストリジウム属微生物、例えばクロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)などであり、好ましくはトリコデルマ属に属する微生物である。トリコデルマ属の微生物には、トリコデルマ・リーゼイのように異なる様式の活性を有する複数かつ高活性のセルラーゼを生産する生産菌が存在することが知られている。こうしたセルラーゼを生産するトルコデルマ属微生物に、β−グルコシダーゼ変異体の遺伝子を組み込むことで、セルロースを基質とする糖化に有利なセルラーゼ酵素剤を生産し得る。生産されたタンパク質は精製物又は粗精製物でもあり得る。また、タンパク質を培養菌体から取り出すことなく菌体を処理した菌体処理物も酵素として利用され得る。
生産されたタンパク質はβ−グルコシダーゼとして利用され得るほか、セルラーゼ酵素剤としても利用され得る。本発明におけるセルラーゼ酵素剤は、本発明のβ−グルコシダーゼとセルラーゼを含む組成物である。ここで、セルラーゼはβ−1,4グルカンのグルコシド結合を加水分解する酵素を意味し、狭義のセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、セロビオハイドラーゼなどを含む。これらのセルラーゼの由来は限定されるものではないが、上記のとおり、トリコデルマ属、特にトリコデルマ・リーゼイ由来のセルラーゼが好ましい。トリコデルマ属の生産するセルラーゼは高いセルラーゼ活性を有するからである。セルラーゼも精製物や未精製物でもあり得る。また、セルラーゼを生成する微生物の処理物でもあり得る。
セルラーゼ酵素剤は、セルロースを糖化してグルコースを生産するために使用され得る。セルロースは精製あるいは粗精製物として供給されるのみならず、広くセルロース含有バイオマスとして供給され得る。セルロース含有バイオマスは、セルロースを含む糖化資源であれば特に限定されず、例えば、木材、稲わら、樹皮、新聞紙、古紙、パルプであり得る。セルロール含有バイオマスの多くは、リグニンやヘミセルロースなどの不純物を含む。そこで、セルラーゼ酵素剤による処理の前処理に際し、酸及び/またはアルカリによる処理、加熱処理などの前処理が好ましく行われる。また、セルラーゼ酵素剤による処理条件は、適宜当業者によって定められ得る。
以下の実施例に基づき、本発明について具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔BGL1変異酵素(一重変異)のスクリーニング〕
立体構造情報を元にセロビオース(C2)の認識に関わる可能性がある、活性部位周辺のアミノ酸を13箇所(W68、E69、R98、D99、R200、Q201、E204、Y248、F305、W358、S436、D437、Y511)選抜した。PCR法を用いて、bgl1遺伝子に部位特異的飽和変異を導入して変異ライブラリを構築し、S. cerevisiae DC5 株を宿主として、C2に対する活性が向上した変異酵素のスクリーニングを行った。
変異ライブラリの作製は、図1に示すプラスミドpMBGLc(Goro Takada et al., Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 62(1998), p1615-1618)のbgl1の終止コドン直前に6つのHistidineをコードするように構築したオリゴDNA断片を挿入する方法を用いた。BGL1のC末端側にHistidine tagを付加することでBGL1の精製を容易にし,変異酵素の評価を簡便に行えるようにした。
挿入するDNA断片は、表1に示すプライマーを用いたPCR法により増幅を行い、TAEアガロースゲル電気泳動法により目的のDNA断片を回収した。タンパク質を構成する20種類全てのアミノ酸に置換されるように、選択したアミノ酸をコードするコドンをNNSに置き換えたプライマーを作製した。表2に示すプライマーセットを用いたPCRによるメガプライマーの作製(1st PCR)と、表3に示すプライマーセットを用いたPCRによる遺伝子全長の作製(2nd PCR)の2段階の増幅を行った。




作製されたDNA断片は、E69、R98、R200、E204、Y248の変異bgl1ライブラリのために、発現ベクターのbgl1断片からXho IとApa Iで切り出した部位に挿入された。S436、D437、Y511の変異bgl1ライブラリのために、発現ベクターのbgl1断片からApa IとBgl IIで切り出した部位に挿入された。W68、D99、Q201、F305、W358の変異bgl1ライブラリのために、発現ベクターのbgl1断片全長をXho IとBgl IIで切り出した部位に挿入することで構築した。なお、変異bgl1ライブラリを作製する際、pMBGLcからbgl1断片をXho IとBgl II処理で抜き出したベクターに対して、bgl1の終止コドンが抜けるように構築したプライマー(表1のRcbgl1、BglII2)を用いて増幅した変異bgl1ライブラリを挿入することで6つHistidineをコードするコドンの直後に終止コドンが出現するように発現プラスミドの構築を行った。
作製された発現プラスミドを用いて大腸菌E. coli DH5αF´を形質転換し、これを培養することでアミノ酸が置換された変異bgl1ライブラリを作製した。次に、作製された変異bgl1ライブラリを用いてS.cerevisiae DC5株を形質転換することで、BGL1変異酵素を発現させた。形質転換体を5-bromo-4-chloro-3-indoryl-β-D-glucopyranoside(X-Glc)を塗布したSD plate上で培養し、各変異部位あたり300〜600コロニーを単離し、スクリーニングに供した。
単離したコロニーをYPD液体培地で培養した後、遠心分離することで得られた培養上清を活性測定に供した。活性は、2.7 mM cellobiose(C2)溶液(in 100 mM sodium acetate buffer, pH 5.0)を用い、酵素反応により生じたグルコースをグルコース C II-テストワコー(GOD) (WAKO 社製)を用いて定量することで測定した。1 unit は、1分間に2μmolのグルコースを遊離させる酵素量と定義した。スクリーニングは2段階で行った。まず、96穴マイクロタイタープレートを用いて単離したコロニーを培養した後、培養上清の活性測定を行い、活性の高い候補株を選択した。次いで、選択した候補株を中試験管中で培養した後、培養上清の活性を行い、1次スクリーニング及び2次スクリーニングを行った合計約7000株から、活性の高い候補株約20株を選択した。
〔A. oryzaeを宿主とした9種類の変異酵素の精製とその諸性質の解析〕
実施例1でスクリーニングされた9種類の変異酵素を糸状菌で発現させ、その酵素活性などについて調べた。
部位特異的飽和変異を導入するために、表4に示すプライマーを作製した。これらのプライマーを用いて実施例1と同様の方法で2段階のPCRによりオリゴDNA断片を増幅した。増幅したbgl1断片は、糸状菌用の高発現ベクターと共にNot IとSph Iにより消化し、ライゲーションを行うことで糸状菌用高発現ベクターを作製した。
作製した高発現ベクターを用いて大腸菌E. coli DH5αF´を形質転換し、これを培養して発現プラスミドを大量に調製した。次に調製した発現プラスミドを用いてA. oryzae niaD300株を形質転換した。形質転換は、A. oryzaeのプロトプラストを用いたprotoplast-PEG法により行った。形質転換体は、Regeneration medium(再生培地プレート)で培養後、再生培地プレートから形質転換体の胞子を採取して、最小培地プレート(MM plate:NO3 -、0.1%Triton X-100)上で培養した。形質転換体が生育した最小培地プレートから胞子懸濁液を作製し、MM液体培地で培養した後、遠心分離して得られた培養上清を活性測定に用いた。1.5 mM p-nitrophenyl-?-D-glucopyranoside(pNP-Glc)溶液(in 100 mM Acetate buffer, pH 5.0)を基質として用いたpNP法にて行った。1 unitは1分間に1μmolのpNPを遊離させる酵素量と定義し、pNPの吸光係数(??405 = 0.0185mL/(nmol・cm))から酵素活性を算出した。
得られた株から抽出されたプラスミドから置換後のアミノ酸を同定した結果、3箇所のアミノ酸置換(E69,Q201、S436)に収束し、計9種類の変異酵素を取得した(E69G、E69V、E69R、E69S、E69M、Q201E、S436V、S436T、S436R)(図2参照)。
次に酵素生産性の高い株を選択し、酵素の精製に用いた。選択した高変異酵素高発現株をMM(NO3 -)培地で培養後、集菌した菌体を遊離バッファー中で溶出した液を粗酵素液とした。粗酵素液をDEAE-TOYOPEARL 650Mと、Butyl-TOYOPEARL 650Mを順次用いて分画、精製した。精製されたタンパクをSDS-PAGEに供したところ、BGL1に相当する130kDaの単一バンドを確認した(図3)。SDS-PAGEはLaemmliの方法(Laemmli, Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4., Nature 227, 680-685, 1970)に従った。
精製したタンパク質についてそれぞれC2に対する比活性を測定した。酵素活性は、実施例1と同様に、グルコース C II-テストワコー (GOD) (WAKO社製)を用いて生成されたグルコースを定量することで測定した。なお、基質濃度を10mMとし、反応時間が10分間でGODを添加した際のΔODの値が0.5以内に収まるように酵素濃度を調整した(0.544-0.763 nM)。なお、WT BGL1は、変異酵素と同様にBGL1遺伝子をA. oryzaeに導入した形質転換体にて生産し,精製したものを使用した。
また、精製したタンパク質を用いて調製した酵素液と、およそ Kmの1?4倍の範囲に収まるように基質濃度を振ったセロビオース溶液を混合し、基質の分解率が10%を超えないような反応時間となる0、2、4、6、8、10、12分でサンプリングして、1N HClの添加で反応を停止させた。そこに、GODを添加して生成されたグルコースを、グルコース C II-テストワコー (GOD) (WAKO 社製)を用いて定量した。反応時間ごとに算出された生成グルコース濃度について、横軸に反応時間、縦軸に生成グルコース濃度をプロットすることで、1分間当たりの生成グルコース濃度を算出し、各基質における初速度とした。続いて各基質濃度に対して初速度をプロットすることで、C2に対するWT BGL1並びに各変異酵素の酵素反応曲線を得た。また、Hanes-Woolf plot ([s]-[s]/v0 plot)を用いてKm値、Vmax値及びkcat値を算出した。その結果を表5と図4に示した。
〔BGL1変異酵素(二重変異、三重変異)のスクリーニング〕
各アミノ酸置換において最もC2に対する触媒効率を上昇させたE69M、Q201Eに加えて、比活性を向上させたS436Vの3種類のアミノ酸置換を組み合わせた二重変異体(E69M/Q201E、Q201E/S436V、E69M/S436V)、及び三重変異体 (E69M/Q201E/S436V) の作製を行った。表4に示すプライマーと鋳型プラスミドを用いて、実施例1と同様にして糸状菌用高発現プラスミドの構築を行った。PCRにおいては、表6及び表7に示すプライマーセットを用いた。また、実施例1と同様にして精製した二重変異体及び三重変異体を用いて酵素活性及び酵素特性を調べた。その結果を表8と図6に示した
本発明に係るタンパク質はこれまでにない高いセロビオース分解活性を有し、セルロースを含むバイオマス資源の糖化に役立つ。

Claims (10)

  1. アスペルギルス・アキュレータス由来の野生型β−グルコシダーゼ1のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列と、
    前記野生型β−グルコシダーゼ1の68番目、69番目、98番目、99番目、200番目、201番目、204番目、248番目、305番目、358番目、436番目、437番目、511番目に対応する位置のアミノ酸残基のうちいずれか1又は2箇所以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基に置換された変異と、
    を有するタンパク質。
  2. 前記野生型β−グルコシダーゼ1に対して90%以上のβ−グルコシダーゼ活性を有する請求項1に記載のタンパク質。
  3. 前記野生型β−グルコシダーゼ1の69番目、201番目、436番目に対応する位置のアミノ酸残基のうちのいずれか1又は2以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基に置換された変異を有する請求項1又は2に記載のタンパク質。
  4. 69番目のグルタミン酸のバリン又はアルギニン又はメチオニンへの置換、201番目のグルタミンのグルタミン酸への置換、436番目のセリンのバリン又はスレオニンへの置換の何れか1又は2以上の変異を有する請求項1〜3の何れか1項に記載のタンパク質。
  5. 201番目のグルタミンのグルタミン酸への置換と、436番目のセリンのバリンへの置換の変異を有する請求項1又は2に記載のタンパク質。
  6. さらに69番目のグルタミン酸のメチオニンへの置換の変異を含む請求項5に記載のタンパク質。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のタンパク質をコードするDNA。
  8. 請求項7に記載のDNAを含む発現ベクター。
  9. 請求項7に記載のDNAを発現可能に含む組換え体。
  10. 請求項1〜6の何れか1項に記載のタンパク質、又は請求項9に記載の組換え体の処理物を含むセルラーゼ酵素剤。
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