JP2016015445A - 熱処理装置 - Google Patents

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努 伊藤
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Abstract

【課題】装置高さをより低減できる熱処理装置を提供する。【解決手段】モータ21からの駆動力により物品支持体50を処理空間16内で上下方向に昇降させる昇降パイプ31aは、モータ21からの駆動力により物品支持体50と共に昇降し、常に物品支持体50の左側方に位置している。また、昇降パイプ31bは、モータ21からの駆動力により物品支持体50と共に昇降し、常に物品支持体50の右側方に位置している。モータ21は、チャンバ11の外に配置され、チャンバ11は、段差面15a,15bが上下方向に面している段差部14a,14bを有している。昇降パイプ31a,31bは、段差部14a,14bを貫通している。熱処理装置10は、段差部14a,14bと昇降パイプ31a,31bとの間を接続し、昇降パイプ31a,31bの昇降に伴って伸縮するベローズ35a,35b、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、熱処理装置に関する。
従来、ガラス基板や半導体基板などの被処理物に対して加熱などの熱処理を行う熱処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、処理空間を形成する処理槽と、処理空間を加熱するヒーター及びファンと、被処理物を上下に複数配置して支持する物品支持体と、物品支持体を昇降可能な昇降駆動手段と、を備えた熱処理装置が記載されている。この熱処理装置では、昇降駆動手段が、物品支持体の下方に接続され処理槽の底部を貫通する4本のロッドと、処理槽の下方に配置されモータにより回転するねじ棒と、ねじ棒に螺合しロッドと接続された水平板と、を備えている。そして、ねじ棒を回転させることで水平板及びロッドを昇降させ、これにより物品支持体を昇降させている。
特許第2585952号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱処理装置では、物品支持体の下方に接続されたロッドやねじ棒の高さ分だけ、熱処理装置の装置高さが高くなってしまうという問題があった。設置スペースの制約などにより、装置高さをなるべく低くできる熱処理装置が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、装置高さをより低減できる熱処理装置を提供することを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の熱処理装置は、
被処理物に対して熱処理を行う処理空間を内部に形成するチャンバと、
前記処理空間内に配置され、前記被処理物を支持可能な物品支持体と、
駆動力を発生させる駆動手段と、
軸方向が上下方向に沿っており、前記駆動手段からの駆動力により前記物品支持体を前記処理空間内で前記上下方向に昇降可能であり、前記物品支持体が上昇した状態又は下降した状態の少なくとも一方の状態で前記物品支持体の側方に位置する1以上の軸体と、
前記物品支持体に支持された前記被処理物を加熱又は冷却可能な熱処理手段と、
を備えたものである。
この本発明の熱処理装置では、駆動手段からの駆動力により物品支持体を処理空間内で上下方向に昇降させる軸体が、物品支持体が上昇した状態又は下降した状態の少なくとも一方の状態で物品支持体の側方に位置している。そのため、軸体が物品支持体の上方や下方に接続されている場合と比較して、装置高さをより低減できる。ここで、軸体が「物品支持体の側方に位置する」とは、物品支持体の上端から下端までの間の上下方向の領域に軸体の少なくとも一部が存在することを意味する。換言すると、物品支持体の上下方向の存在範囲と軸体の上下方向の存在範囲とが少なくとも一部重複することを意味する。また、前記軸体は、前記駆動手段からの駆動力により回転可能であってもよいし、昇降可能であってもよい。前記軸体は、前記駆動手段からの駆動力が直接伝達されてもよいし、他の部材を介して伝達されてもよい。軸体から物品支持体への駆動力の伝達も同様である。前記物品支持体は、前記被処理物を上下に複数配置して支持可能であってもよい。
本発明の熱処理装置において、前記駆動手段は、前記チャンバの外に配置され、前記チャンバは、段差面が前記上下方向に面している段差部を有し、前記軸体は、前記段差部を貫通しており、前記駆動手段からの駆動力により前記上下方向に昇降することで前記物品支持体を昇降可能であり、前記段差部と前記軸体との間を接続し、前記軸体の前記昇降に伴って伸縮する伸縮管、を備えていてもよい。このように、軸体がチャンバの段差部を貫通するようにすることで、例えば軸体がチャンバの上端部や下端部を貫通している場合と比べて、軸体のうちチャンバの上下端よりも上下に飛び出す部分の長さを少なくすることができる。これにより、熱処理装置の装置高さをより低減できる。また、伸縮管が存在することで、軸体が上下に昇降する態様であっても段差部の貫通部分からのガスの流出入を抑制でき、処理空間の雰囲気を維持しやすくなる。この場合において、前記段差部は、上面側がチャンバ外に面していてもよいし、下面側がチャンバ外に面していてもよい。また、前記伸縮管は、前記段差部と前記軸体との間を直接的に接続していてもよいし、他の部材を介するなど前記段差部と前記軸体との間を間接的に接続していてもよい。
前記軸体が昇降する態様の本発明の熱処理装置において、前記駆動手段は、回転動力を発生可能であり、前記チャンバの外に配置され、前記駆動手段からの回転動力を前記上下方向の動力に変換して前記軸体を昇降させる動力変換手段、を備えていてもよい。こうすれば、動力変換手段をチャンバ内に配置した場合と比べて、回転動力で回転する部材をチャンバ内に配置する必要がなくなる。そのため、回転する部材に使用されるグリスの処理空間内での飛散などを抑制でき、処理空間のクリーン度の低下をより抑制できる。また、チャンバの外に配置されていることで回転する部材の熱膨張又は熱収縮をより抑制できるため、物品支持体の昇降動作の精度低下をより抑制できる。この場合において、前記動力変換手段は、前記チャンバの側方に配置されていてもよい。こうすれば、動力変換手段がチャンバの上方や下方に配置されている場合と比較して熱処理装置の高さをより低減できる。さらに、前記動力変換手段は、前記チャンバの上下端から上下に飛び出す部分がないものとしてもよい。
前記軸体が昇降する態様の本発明の熱処理装置において、前記軸体は、前記駆動手段からの駆動力を受ける部分よりも前記物品支持体に駆動力を伝える部分が下方に位置していてもよい。こうすれば、物品支持体は軸体に吊り下げられた状態で昇降することになる。そのため、軸体のうち駆動手段からの駆動力を受ける部分よりも物品支持体に駆動力を伝える部分が上方に位置する場合と比べて、物品支持体の昇降が安定しやすい。
本発明の熱処理装置において、前記軸体を冷却する軸体用冷媒が流通可能な軸体用冷媒流路形成部材、を備え、前記熱処理手段は、前記被処理物を加熱可能としてもよい。こうすれば、加熱による軸体の熱膨張を抑制して、熱膨張による昇降の不具合が生じるのをより抑制できる。熱膨張による昇降の不具合とは、例えば物品支持体が傾くことや、物品支持体の上下の位置が本来の位置からずれることなどである。この場合において、軸体は、軸体用冷媒流路形成部材とは別の部材であってもよいし、軸体用冷媒流路形成部材の少なくとも一部を構成していてもよい。
本発明の熱処理装置は、前記軸体と前記熱処理手段との間に配置された遮熱体を備えていてもよい。こうすれば、熱処理手段による軸体の熱膨張又は熱収縮を抑制して、これらによる昇降の不具合が生じるのをより抑制できる。熱膨張又は熱収縮による昇降の不具合とは、例えば物品支持体が傾くことや、物品支持体の上下の位置が本来の位置からずれることなどである。
本発明の熱処理装置において、前記チャンバは、前記熱処理時に前記処理空間が真空状態となってもよい。この場合において、本発明の熱処理装置は、前記チャンバ内のガスを吸引して前記処理空間を真空状態にする吸引手段を備えていてもよい。
本発明の熱処理装置において、前記軸体は、前記物品支持体を前記処理空間内で昇降させるか又は前記物品支持体の昇降をガイドし、前記軸方向に貫通する貫通孔が形成されており、該貫通孔を介して、前記被処理物を加熱又は冷却するための電力又は流体が外部から前記熱処理手段に供給されていてもよい。こうすれば、物品支持体を昇降又はガイドする軸体が、電力又は流体を供給するための配管を兼ねている。また、チャンバの貫通部分と軸体との間を接続する伸縮管が存在することで、軸体が上下に昇降する態様であっても貫通部分からのガスの流出入を抑制でき、処理空間と外部空間との間は封止される。これらにより、軸体と配管とが別々にチャンバの壁部を貫通する場合と比べて、チャンバの貫通部分を封止するための部品点数をより削減できコストダウンできる。
本発明の熱処理装置は、前記軸体の貫通孔を通過し、外部から前記電力又は前記流体を前記熱処理手段に供給する経路を形成する1以上の供給路形成部材を備えていてもよい。供給路形成部材は、電力を供給するためのリード線などの配線としてもよいし、流体を供給するためのチューブなどの管状部材としてもよい。また、本発明の熱処理装置は、供給路形成部材を複数備えていてもよい。
熱処理装置10を左上前方から見た斜視図。 図1のA−A断面図。 図2(a)のB−B断面図。 図3のC−C断面図。 図3のD−D断面図。 物品支持体50周辺を右上後方から見た斜視図。 変形例の熱処理装置110の断面図。 変形例の熱処理装置210の断面図。 昇降パイプ31aの外周面に巻き付けたチューブ32aを示す説明図。 昇降パイプ31aの内周面に巻き付けたチューブ32aを示す説明図。 昇降パイプ31aの内部に形成された空間33aを示す説明図。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である熱処理装置10を左上前方から見た斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図2(a)のB−B断面図である。図4は、図3のC−C断面図である。図5は、図3のD−D断面図である。図6は、熱処理装置10の内部の物品支持体50周辺を右上後方から見た斜視図である。A−A断面の位置は図3にも示した。なお、図1,図2(a),図4(a),図5(a)は、いずれも物品支持体50が最も上昇したときの様子を示している。また、図2(b),図4(b),図5(b)は、いずれも物品支持体50が最も下降したときの様子を示している。本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図1に示した通りとする。
この熱処理装置10は、処理空間16を形成するチャンバ11と、物品支持体50を昇降させる昇降機構20と、被処理物70を複数載置可能な物品支持体50(図2〜図6参照)と、被処理物70を加熱するヒータ52(図2〜図4,図6参照)と、処理空間16の雰囲気を吸引して真空状態にする真空ポンプ60(図2〜図4参照)と、を備えている。この熱処理装置10は、真空である処理空間16に配置された被処理物70を加熱して熱処理を行う真空加熱装置として構成されている。
チャンバ11は、被処理物70に対して熱処理を行う処理空間16を内部に形成する部材であり、第1チャンバ12と、第1チャンバ12の下方に取り付けられた第2チャンバ13と、を備えている。第1チャンバ12及び第2チャンバ13は、例えばステンレスなどの鋼材からなる金属製の板状部材を曲げ加工や溶接して形成された部材である。第2チャンバ13は、上面が開口し内部に空間を有する略直方体の部材である。第1チャンバ12は、第2チャンバ13と比べて左右方向の幅が小さい略直方体の本体部と、その本体部の下端から左右に飛び出して形成された板状の段差部14a,14b(図2,4,5参照)と、を有している。第1チャンバ12と第2チャンバ13とは、図2(a)右下の拡大部分に示すように、ボルト14cなどの複数のボルトで接続されている。また、第1チャンバ12と第2チャンバ13との隙間は、Oリング14dにより封止されている。Oリング14dは、第2チャンバ13の上側の開口周縁の全周にわたって設けられている。段差部14a,14bを有することで、前方や後方から見ると、チャンバ11は凸形状をしている。段差部14aの上面である段差面15aと、段差部14bの上面である段差面15bとは、それぞれチャンバ11の外部空間に面している。第1チャンバ12の下方は開口しており、第1チャンバ12の内部空間と第2チャンバ13の内部空間とは上下に連通している。これにより、第1チャンバ12及び第2チャンバ13の内部空間として処理空間16が形成されている。また、第1チャンバ12の前側は一部が開口しており、開口部分にゲートバルブ17が取り付けられている。ゲートバルブ17は、処理空間16への被処理物70の搬出入路となるものである。ゲートバルブ17は、上下に昇降可能なシャッタ17aを有しており、シャッタ17aが上下することで搬出入路が開閉される。第1チャンバ12の後方及び第2チャンバ13の後方には、それぞれ処理空間16を気密に閉じることが可能な第1メンテナンス扉18及び第2メンテナンス扉19が取り付けられている(図3,5参照)。この第1メンテナンス扉18及び第2メンテナンス扉19を開けることで、例えばメンテナンス時などに作業員が処理空間16内にアクセスできるようになっている。また、チャンバ11の下方には、チャンバ11を床面から所定高さだけ離間して支持する複数(本実施形態では4本とした)の脚部80が取付けられている。脚部80は、高さの調整が可能となっている。
昇降機構20は、物品支持体50を上下方向に昇降させる機構であり、図1に示すように、モータ21と、左昇降部20aと、右昇降部20bと、を備えている。モータ21は、例えばサーボモータとして構成されており、外部空間において第1チャンバ12の上に配置されている。モータ21は、回転動力を出力して左昇降部20aの回転軸22aと右昇降部20bの回転軸22bとを回転させる。
左昇降部20aは、物品支持体50を左方から支持しつつこれを昇降させる機構であり、回転軸22aと、ギヤボックス23aと、ねじ軸24aと、接続部材26aと、昇降パイプ30a,31aと、ベローズ34a,35aと、レール28aと、スライダ29a(図4参照)と、を備えている。回転軸22aは、モータ21の左側に配置されて、モータ21の回転軸と接続されている。回転軸22aは、軸方向が左右方向に沿っており、モータ21からの回転動力で回転する。ギヤボックス23aは、回転軸22aとねじ軸24aとを接続する図示しないギヤを内部に有している。ギヤボックス23aは、回転軸22aの回転方向(回転軸が左右方向に沿っている)をねじ軸24aの回転方向(回転軸が上下方向に沿っている)に変換して、回転軸22aの回転動力によりねじ軸24aを回転させる。ねじ軸24aは、軸方向が上下方向に沿っており、外周面に雄ネジが形成された円柱状の部材である。ねじ軸24aは、第1チャンバ12やその内部に配置された物品支持体50の左方に配置されており、ギヤボックス23aと段差面15aとで回転自在に支持されている。ねじ軸24aは、上下端がチャンバの上下端から上下に飛び出す部分がないように配置されている。接続部材26aは、例えば金属などの板状の部材を複数溶接して形成されており、ねじ軸24aと昇降パイプ30a及び昇降パイプ31aとを接続する部材である。接続部材26aは、前後方向の中央をねじ軸24aが貫通している。接続部材26aは、ねじ軸24aの貫通部分の内周面に雌ネジが形成されており、ねじ軸24aのナットとして構成されている。また、接続部材26aは、ねじ軸24aの貫通部分の内周面で図示しない複数のボールを介してねじ軸24aと接続されている。これにより、ねじ軸24a及び接続部材26aはボールねじとして構成され、ねじ軸24aからの回転動力により接続部材26aは上下に昇降する。また、接続部材26aの後端には昇降パイプ30aの上端が取り付けられ、接続部材26aの前端には昇降パイプ31aの上端が取り付けられている。これにより、接続部材26aと昇降パイプ30a,31aとは一体的に昇降する。なお、接続部材26aの下端には、スライダ29aが取り付けられている(図4,5参照)。スライダ29aは、長手方向が上下方向に沿っており第1チャンバ12の左側面に取り付けられたレール28aと共に、いわゆるリニアガイドとして構成されている。スライダ29aは、レール28aに摺動自在に取り付けられ、レール28aに沿って上下に昇降可能である。このスライダ29a及びレール28aが、接続部材26aの昇降を補助(ガイド)している。
昇降パイプ30a,31aは、軸方向が上下方向に沿っており、段差面15aを上下に貫通している円筒状の部材である。昇降パイプ30a,31aは、いずれも第1チャンバ12や物品支持体50の左方に配置されている。昇降パイプ30a,31aは、例えば金属などで形成されており、上述したように接続部材26aと供に昇降可能である。昇降パイプ30a,31aの下端は、いずれも物品支持体50の左下方に配置された大気ボックス59aと接続されている(図2,5参照)。昇降パイプ30a,31aは円筒状であり上下方向に貫通孔が形成されている。この貫通孔内と大気ボックス59aの内部空間とは連通している。そのため、チャンバ11の外部空間の雰囲気(本実施形態では大気)は、昇降パイプ30a,31aの円筒の貫通孔を通過して大気ボックス59a内に到達可能であり、大気ボックス59a内は外部空間と同じ雰囲気(大気雰囲気)となっている。昇降パイプ30a,31aの貫通孔には、外部からヒータ52に電力を供給するための複数のリード線48が通されており、図1に示すように昇降パイプ30a,31aの上端から外部にリード線48が引き出されている。なお、図2〜5ではリード線48の図示を省略している。また、ヒータ52から外部までのリード線48の配線の経路については後述する。
昇降パイプ30aの上端と段差面15aのうち昇降パイプ30aの貫通部分との間は、ベローズ34aにより接続されている。より具体的には、ベローズ34aは、昇降パイプ30aの上端に接続された接続部材26aを介して、昇降パイプ30aと接続されている。また、ベローズ34aは、段差面15aと直接接続されている。これにより、ベローズ34aは処理空間16と外部空間とを封止しており、昇降パイプ30aが段差面15aを貫通する部分での処理空間16の雰囲気の流出入が生じないようになっている。なお、例えば図2(a),(b)に示すように、ベローズ34aは昇降パイプ30aの昇降に伴って伸縮可能であるため、昇降パイプ30aが昇降しても、処理空間16と外部空間との封止は保たれる。また、昇降パイプ30aの外周面のうち段差面15aよりも上方に飛び出している部分はベローズ34aに覆われている。そのため、昇降パイプ30aの外周面は外部空間ではなく処理空間16に露出している。ベローズ35aは、ベローズ34aと同様に、昇降パイプ31aの上端と段差面15aのうち昇降パイプ31aの貫通部分との間を接続している。
右昇降部20bは、物品支持体50を右方から支持しつつこれを昇降させる機構であり、図1に示すように、回転軸22bと、ギヤボックス23bと、ねじ軸24bと、接続部材26bと、昇降パイプ30b,31bと、ベローズ34b,35bと、レール28bと、スライダ29bと、を備えている。右昇降部20bの各構成要素は、モータ21の右側に配置され、いずれも左昇降部20aの各構成要素と左右対称に形成されている点以外は、左昇降部20aの各構成要素と同様である。そこで、右昇降部20bの各構成要素は左昇降部20aの対応する各構成要素の符号の末尾を「a」から「b」に変更した符号を伏して、詳細な説明を省略する。なお、昇降パイプ30b,31bの下端は、いずれも物品支持体50の右下方に配置された大気ボックス59bと接続されている(図2参照)。昇降パイプ30b,31bの内部空間と大気ボックス59bの内部空間とは連通している。そのため、チャンバ11の外部空間の雰囲気(本実施形態では大気)は、昇降パイプ30b,31bの円筒の内側を上下に通過して大気ボックス59b内に到達可能であり、大気ボックス59b内は外部空間と同じ雰囲気(大気雰囲気)となっている。また、昇降パイプ30b,31bの内部には、外部からヒータ52に電力を供給するための複数のリード線48が通されている。さらに、昇降パイプ30bの上端と段差面15bのうち昇降パイプ30bの貫通部分との間は、ベローズ34bにより接続されている。これにより、ベローズ34bは処理空間16と外部空間とを封止しており、昇降パイプ30bが段差面15bを貫通する部分での処理空間16の雰囲気の流出入が生じないようになっている。ベローズ35bは、ベローズ34bと同様に、昇降パイプ31bの上端と段差面15bのうち昇降パイプ31bの貫通部分との間を接続している。
こうして構成された昇降機構20では、モータ21が駆動力を発生させると、その駆動力により左昇降部20aの回転軸22a,ギヤボックス23aを介してねじ軸24aが回転する。そして、この回転により接続部材26aが昇降することで、昇降パイプ30a,31a及び大気ボックス59aが昇降する。右昇降部20bについても同様に、モータ21からの駆動力によりねじ軸24bが回転して接続部材26bが昇降し、昇降パイプ30b,31b及び大気ボックス59bが昇降する。そして、大気ボックス59a,59bに取り付けられている物品支持体50もこれに伴い昇降する。なお、1つのモータ21の駆動力により物品支持体50の四方に配置された昇降パイプ30a,30b,31a,31bが同時に昇降するため、昇降時に物品支持体50が傾きにくく、昇降が安定しやすくなっている。また、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは、上昇時に熱処理装置10の他の構成要素の上端(本実施形態ではモータ21やギヤボックス23a,23bの上端)から上に飛び出す部分や、下降時に第2チャンバ13の下面から下に飛び出す部分がないように、長さや配置が定められている。
物品支持体50は、図2,4に示すように、複数の被処理物70を上下に配置して処理空間16内で支持する部材である。この物品支持体50は、被処理物70の前後左右の外周付近を支持可能な複数の枠体と、この複数の枠体を上下に離間しつつ支持する骨組みとを備えている。また、物品支持体50は、平板状のヒータ52を支持可能な枠体も複数備えており、被処理物70とヒータ52とを上下方向に交互に支持可能である。本実施形態では、物品支持体50は6段のヒータ52を支持可能であり、隣接するヒータ52の間に被処理物70を1つずつ載置して計5つの被処理物70を載置可能であるものとした。これにより、物品支持体50は、複数(本実施形態では5つ)の被処理物70を同時に熱処理可能になっている。図2〜図4に示すように、物品支持体50の上下左右には、それぞれ遮熱板41〜44が取り付けられている。遮熱板43は、左右方向で物品支持体50と昇降パイプ30a,31aとの間に位置している。遮熱板44は、左右方向で物品支持体50と昇降パイプ30b,31bとの間に位置している。また、図3及び図5(b)に示すように、物品支持体50の後方には、遮熱板45が取り付けられている。物品支持体50の前方以外の方向(上下左右及び後方)は、これらの遮熱板41〜45でほぼ囲まれている。また、図3及び図5に示すように、物品支持体50の前方には、遮熱板46が配置されている。遮熱板46は、遮熱板41〜45とは異なり、物品支持体50ではなくチャンバ11の前側の内周面に取り付けられている。この遮熱板46は、第1チャンバ12のうちゲートバルブ17に連通する開口を残して、チャンバ11の前側の内周面の全面をほぼ覆っている。このように、遮熱板41〜46は、ゲートバルブ17からの被処理物70の搬出入を妨げないようにしつつ、なるべく物品支持体50の周囲を覆うように配置されている。遮熱板41〜46は、ヒータ52からの赤外線を反射可能な材料(例えば金属など)で形成されており、本実施形態では表面を研磨したSUS材からなるものとした。この遮熱板41〜46は、ヒータ52からの赤外線を反射することで被処理物70の加熱効率を高めたり、チャンバ11や昇降パイプ30a,30b,31a,31bなどの被処理物70以外の物体の過熱を抑制する役割を果たす。
ヒータ52は、図6に示すように、前後左右にそれぞれ3分割(計9分割)されたパネルヒーターとして構成されており、上下に配置された9分割×2枚の放熱板53と、放熱板53から後方に突出した複数(本実施形態では9本)のヒータ管54と、を備えている。なお、図6では、見やすくするために最上段のヒータ52のみ図示しており、以下この1つのヒータ52について説明するが、最上段以外のヒータ52も同様の構成である。放熱板53は、例えばジグザグの一筆書き状に形成された図示しない発熱体を上下に挟むものであり、発熱体からの赤外線で加熱されて被処理物70に赤外線を放射可能である。本実施形態では、放熱板53は、表面を黒アルマイト処理したアルミ板とした。また、図示は省略するが、発熱体は例えばSUS材の配管中にMgO等の絶縁体と共に封止されており、いわゆるシーズヒータとして構成されている。そのため、ヒータ52の発熱体は処理空間16内には露出していない。ヒータ管54は、SUS材などで形成された配管であり、ヒータ52の発熱体に電力を供給するための図示しない2つのヒータ端子が後端のフランジ部分の内部に配置されている。このヒータ管54は、発熱体を封止する上述した配管と接続されており、発熱体の両端が、内部の2つのヒータ端子の各々と電気的に導通している。なお、発熱体は9分割された各々の領域にそれぞれ配置されており、ヒータ管54もこの発熱体のそれぞれに対応して9本存在する。そのため、ヒータ52は、9分割された領域の各々の発熱体に別々に電力を供給することで、9分割された領域の温度を個別に調整できるようになっている。また、図6では図示を省略しているが、ヒータ管54は遮熱板45(図3参照)を前後に貫通している。
本実施形態では、ヒータ52が6段配置されているため、ヒータ管54は6段×9分割=54本存在し、ヒータ端子は54本×2端子=108個存在する。ヒータ管54内の各ヒータ端子には、それぞれリード線48が接続されており、リード線48はヒータ端子と同じ108本存在する。そして、これらのリード線48は保護管49を通過して外部に引き出されて、外部の図示しない電源に接続されている。保護管49は、配管55,56a〜56f,接続用ボックス57a〜57c,曲管58a〜58c,大気ボックス59a,59bを備えている。また、上述した昇降パイプ30a,30b,31a,31bも保護管49の一部を構成している。
配管55は、54本のヒータ管54の後端に、それぞれ同軸に接続されている。配管55は、前端にフランジ部を有し、ヒータ管54のフランジ部と接続されている。このヒータ管54と配管55とのフランジ部はICFフランジとなっており、ヒータ管54,配管55の外側である処理空間16が真空状態となっても、ヒータ管54,配管55の内外の封止が保たれる。また、配管55は、ベローズを有しており、前後方向に伸縮可能且つヒータ管54の中心から上下左右方向に偏心許容な状態になっている。配管55の後端は、長手方向が左右方向であり上下方向に並べて配置された配管56a〜56fのいずれかと接続されている。具体的には、最上段のヒータ52のヒータ管54に接続された配管55(計9本)が配管56aに接続されている。上から2段目のヒータ52のヒータ管54に接続された配管55(計9本)が配管56bに接続されている。同様に、上から3〜6段目のヒータ52のヒータ管54に接続された配管55は、それぞれ配管56c〜56fに接続されている。配管56a,56bの右端は、接続用ボックス57aと接続されている。配管56c,56dの左端は、接続用ボックス57bと接続されている。配管56e,56fの右端は、接続用ボックス57cと接続されている。接続用ボックス57a,57cは、それぞれ曲管58a,58cを介して物品支持体50の右下に配置された大気ボックス59bと接続されている。接続用ボックス57bは、曲管58bを介して物品支持体50の左下に配置された大気ボックス59aと接続されている。
保護管49を通過する各リード線48は、昇降パイプ30a,30b,31a,31bのいずれかの上端から外部に引き出されて(図1参照)、外部の図示しない電源に接続されている。例えば、最上段のヒータ52のヒータ管54内の各ヒータ端子に接続された各リード線48は、配管55,配管56a,接続用ボックス57a,曲管58a,大気ボックス59b内を通過して、昇降パイプ31bから外部に引き出されている。同様に、上から2段目のヒータ52の各ヒータ端子に接続された各リード線48は、大気ボックス59b内を通過して、昇降パイプ31bから外部に引き出されている。上から3,4段目のヒータ52のヒータ端子に接続された複数のリード線48は、接続用ボックス57b,曲管58b,大気ボックス59a内を通過して、昇降パイプ30a,31aのいずれかからそれぞれ外部に引き出されている。上から5,6段目のヒータ52の各ヒータ端子に接続された各リード線48は、接続用ボックス57c,曲管58c,大気ボックス59a内を通過して、昇降パイプ30bから外部に引き出されている。なお、図6では、複数のリード線48のうち、上から1段目の最も右に位置する配管55から昇降パイプ31bまでのリード線48の経路,上から3段目の最も左に位置する配管55から曲管58bまでのリード線48の経路,上から5段目の最も右に位置する配管55から昇降パイプ30bまでのリード線48の経路,をそれぞれ破線で示した。
このように、リード線48は、保護管49内を通っており、これによりリード線48が処理空間16に露出しないようになっている。また、保護管49の内部は昇降パイプ30a,30b,31a,31bの上端を介して外部空間と連通し且つ処理空間16からは封止されており、外部と同じ雰囲気(大気雰囲気)になっている。そのため、リード線48は、ヒータ端子側から昇降パイプ30a,30b,31a,31bの上端までに亘って、大気雰囲気中に配置されている。
なお、図示は省略するが、ヒータ52は発熱体や放熱板53の各領域の温度をそれぞれ測定する熱電対も備えている。この熱電対にもリード線48とは別のリード線が接続されている。熱電対用のリード線は、リード線48とは異なりヒータ52から処理空間16内に露出しつつ大気ボックス59aや大気ボックス59bまで配線され、大気ボックス59a,59bや昇降パイプ30a,30b,31a,31bの内部を通って外部に引き出されている。なお、処理空間16内に配線された熱電対用のリード線と、大気ボックス59a,59b内に配線された熱電対用のリード線とは、大気ボックス59a,59bに取り付けられた図示しないハーメチック端子を介して電気的に接続されている。そのため、ハーメチック端子により処理空間16と大気ボックス59a,59内との封止は保たれている。なお、熱電対用のリード線についてもリード線48と同様に保護管49内を通過するように配線して、熱電対用のリード線が処理空間16に露出しないようにしてもよい。
被処理物70は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いるガラス基板などの板状の部材である。本実施形態では、被処理物70は、有機ELディスプレイに用いられるものであり、ITO膜でコーティングされたガラス基板(ITO基板)とした。
次に、こうして構成された熱処理装置10を用いて被処理物70の熱処理を行う様子について説明する。まず、真空ポンプ60により予め処理空間16の雰囲気を吸引して真空状態(例えば、1Pa以下)にする。次に、ヒータ52にリード線48を介して電力を供給して発熱体を発熱させ、放熱板53を加熱して所定温度(例えば200℃など)に維持する。なお、外部に引き出された熱電対用のリード線を介して放熱板53の温度を図示しない制御装置が測定しており、放熱板53が所定温度になるようにヒータ52に供給される電力を制御装置が調整するものとした。続いて、放熱板53の温度が所定温度で安定した後、ゲートバルブ17のシャッタ17aを開放して複数(本実施形態では5枚)の被処理物70を処理空間16内に順次搬入し、物品支持体50に載置する。なお、上述したように、処理空間16が真空状態となっても、保護管49の内部は大気雰囲気のままである。
被処理物70の搬入処理は、具体的には以下のように行う。まず、モータ21を回転駆動させて、物品支持体50が最も下降した状態とする(図2(b),図4(b),図5(b)の状態)。そして、図示しない真空用ロボットのアームによりゲートバルブ17を介して被処理物70をチャンバ11内に水平に搬入して、物品支持体50の枠体の最上段に1枚目の被処理物70を載置する。なお、真空用ロボットはゲートバルブ17の外側に設けられ真空状態に保たれた図示しない搬送室内に配置されている。また、本実施形態では、物品支持体50が最も下降した状態における最上段の被処理物70の載置高さが、真空用ロボットが被処理物70を搬入するパスライン17b(図2,4参照)の高さと一致するように予め物品支持体50の昇降可能範囲や物品支持体50の高さが調整されているものとした。次に、1枚目の被処理物70の搬入から所定時間(本実施形態では3分とした)が経過した後、モータ21を回転駆動させて昇降機構20により物品支持体50を1段分上昇させて、被処理物70の上から2段目の載置高さとパスライン17bの高さとを一致させ、真空用ロボットにより2枚目の被処理物70を載置する。同様に、昇降機構20による物品支持体50の上昇と被処理物70の搬入とを所定時間(3分)毎に繰り返して、物品支持体50に計5枚の被処理物70を載置する。なお、本実施形態では、物品支持体50が最も上昇した状態(図2(a),図4(a),図5(a)の状態)における最下段の被処理物70の載置高さが、パスライン17bの高さと一致するように予め物品支持体50の昇降可能範囲が調整されているものとした。なお、本実施形態では、搬入処理において被処理物70は物品支持体50の最上段から載置していくものとしたが、最下段から載置してもよい。また、前の被処理物70の搬入から次の被処理物70の搬入までの所定時間(3分)の間は、ゲートバルブ17のシャッタ17aは閉じておく。
こうして搬入処理を行って5枚目の被処理物70を物品支持体50に載置すると、所定時間(3分)が経過した後に、上述した1枚目の被処理物70の搬出を行い、続けて6枚目の被処理物70を物品支持体50の最上段(1枚目の被処理物70を載置していた空の段)に搬入する。これにより、1枚目の被処理物70は、上述した所定時間(3分)×物品支持体50による被処理物70を載置可能な段数(5枚)=15分間処理空間16内で加熱処理された後に搬出されることになる。また、6枚目の被処理物70の加熱処理が開始される。なお、これらの被処理物70の搬出及び搬入は、上述した搬入処理と同様に昇降機構20や真空用ロボットのアームを用いて行われる。以降は、所定時間(3分)が経過する毎に、処理空間16内に搬入した順序で被処理物70を1枚搬出する処理と、物品支持体50のうち搬出した被処理物70を載置していた空の段に次の新たな被処理物70を1枚搬入する処理と、を行う。これにより、2枚目以降の被処理物70も順次15分間ずつ加熱処理されていくことになる。この加熱処理では、処理空間16内で被処理物70に放熱板53を介して赤外線が照射されることで、被処理物70のガラス基板中の微量水分が除去される。なお、ガラス基板中に水分が多いほど、有機ELディスプレイが劣化しやすくなる。被処理物70の加熱処理は、このような劣化を防止するために行われる処理である。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の処理空間16が本発明の処理空間に相当し、チャンバ11がチャンバに相当し、物品支持体50が物品支持体に相当し、モータ21が駆動手段に相当し、ねじ軸24a,24b,昇降パイプ30a,30b,31a,31bが軸体に相当し、ヒータ52が熱処理手段に相当する。また、ベローズ34a,34b,35a,35bが伸縮管に相当し、ねじ軸24a,24b及び接続部材26a,26bが動力変換手段に相当し、遮熱板43,44が遮熱体に相当し、真空ポンプ60が吸引手段に相当する。また、リード線48が供給路形成部材に相当する。
以上説明した本実施形態の熱処理装置10では、モータ21からの駆動力により物品支持体50を処理空間16内で上下方向に昇降させるねじ軸24a,24b,昇降パイプ30a,30b,31a,31bが、物品支持体50が上昇した状態又は下降した状態の少なくとも一方の状態で物品支持体50の側方(前後左右方向)に位置している。より具体的には、ねじ軸24a,24bは、モータ21からの駆動力により物品支持体50を昇降可能であり、常に物品支持体50の左側方,右側方にそれぞれ位置している。また、昇降パイプ30a,31aは、モータ21からの駆動力により物品支持体50と共に昇降し、常に物品支持体50の左側方に位置している。また、昇降パイプ30b,31bは、モータ21からの駆動力により物品支持体50と共に昇降し、常に物品支持体50の右側方に位置している。そのため、例えば物品支持体50を上下に昇降させる軸体が物品支持体50の上方や下方に接続されている場合と比較して、熱処理装置10の装置高さをより低減できる。すなわち、物品支持体50を上下に昇降させる軸体が物品支持体50の上方や下方に接続されている場合は、少なくとも物品支持体50の高さ,軸体の高さ,上下の昇降範囲(上昇時と下降時との高さの差),を合計した高さ以上の装置高さが必要になる。これに対して、本実施形態の熱処理装置10では、物品支持体50の側方に軸体(ねじ軸24a,24b,昇降パイプ30a,30b,31a,31b)が存在するため、物品支持体50と軸体とが上下方向で少なくとも一部重複した位置に存在する。そのため、物品支持体50の高さ,軸体の高さ,上下の昇降範囲,の合計よりも必要な装置高さを小さくできる。なお、本実施形態では、真空状態に保たれた搬送室内の真空用ロボットを用いて被処理物70をチャンバ11に搬出入している。ここで、一般に真空用ロボットは被処理物70を上下方向に搬送する機能を有さないものが多い。すなわちパスライン17bの高さが変更できないものが多い。また、真空用ロボットのパスライン17bの高さが変更可能である場合でも、パスライン17bの変更に対応するためにはゲートバルブ17の開口高さを大きくする必要が生じ、処理空間16の雰囲気(例えば真空度,温度,クリーン度など)が維持しにくくなる。本実施形態の熱処理装置10では、熱処理装置10側で物品支持体50を昇降させることで、パスライン17bの高さが変更できない場合に対応したり、ゲートバルブ17の開口高さをなるべく小さく保ったりしつつ、熱処理装置10の装置高さをより低減できる。
また、モータ21は、チャンバ11の外に配置され、チャンバ11は、段差面15a,15bが上下方向に面している段差部14a,14bを有している。そして、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは、段差部14a,14bを貫通しており、モータ21からの駆動力により上下方向に昇降することで物品支持体50を昇降可能である。また、熱処理装置10は、段差部14a,14bと昇降パイプ30a,30b,31a,31bとの間を接続し、昇降パイプ30a,30b,31a,31bの昇降に伴って伸縮するベローズ34a,34b,35a,35b、を備えている。このように、昇降パイプ30a,30b,31a,31bがチャンバ11の段差部14a,14bを貫通するようにすることで、例えば昇降パイプがチャンバ11の上端部や下端部を貫通している場合と比べて、昇降パイプ30a,30b,31a,31bのうちチャンバ11の上下端よりも上下に飛び出す部分の長さを少なくすることができる。これにより、熱処理装置10の装置高さをより低減できる。また、ベローズ34a,34b,35a,35bが存在することで、昇降パイプ30a,30b,31a,31bが上下に昇降する態様であっても段差部14a,14bの貫通部分からのガスの流出入を抑制でき、処理空間16の雰囲気を真空状態に維持しやすくなる。
さらに、モータ21は回転動力を発生可能であり、チャンバ11の外に配置されモータ21からの回転動力を上下方向の動力に変換して昇降パイプ30a,30b,31a,31bを昇降させるねじ軸24a,24b及び接続部材26a,26bを備えている。そのため、ねじ軸24a,24bをチャンバ内に配置した場合と比べて、回転動力で回転する部材をチャンバ11内に配置する必要がなくなる。そのため、回転する部材に使用されるグリスの処理空間16内での飛散などを抑制でき、処理空間16のクリーン度の低下をより抑制できる。さらに、チャンバ11の外に配置されていることで回転する部材であるねじ軸24a,24bの熱膨張をより抑制できるため、物品支持体50の昇降動作の精度低下をより抑制できる。また、ねじ軸24a及び接続部材26aはチャンバ11の左側方に配置され、ねじ軸24b及び接続部材26bはチャンバ11の右側方に配置されている。そのため、ねじ軸24a,24b及び接続部材26a,26bがチャンバ11の上方や下方に配置されている場合と比較して熱処理装置10の高さをより低減できる。
さらにまた、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは、モータ21の駆動力を受ける部分(接続部材26a,26bに接続された上端部分)よりも物品支持体50に駆動力を伝える部分(大気ボックス59a,59bに接続された下端部分)が下方に位置している。これにより、物品支持体50は昇降パイプ30a,30b,31a,31bに吊り下げられた状態で昇降することになる。そのため、昇降パイプ30a,30b,31a,31bのうちモータ21からの駆動力を受ける部分よりも物品支持体50に駆動力を伝える部分が上方に位置する場合と比べて、物品支持体50の昇降が安定しやすい。
そしてまた、熱処理装置10は、昇降パイプ30a,31aとヒータ52との間に配置された遮熱体43や、昇降パイプ30b,31bとヒータ52との間に配置された遮熱体44を備えている。そのため、ヒータ52による昇降パイプ30a,30b,31a,31bの熱膨張を抑制して、これらによる昇降の不具合が生じるのをより抑制できる。熱膨張による昇降の不具合とは、例えば物品支持体50が傾くことや、物品支持体50の上下の位置が本来の位置からずれることなどである。
そしてまた、チャンバ11は、熱処理時に処理空間16が真空状態となるものである。また、熱処理装置10は、チャンバ11内のガスを吸引して処理空間16を真空状態にする真空ポンプ60を備えている。
さらにまた、チャンバ11の段差面15a,15bを貫通し物品支持体50を昇降させる昇降パイプ30a,30b,31a,31bに、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。そして、被処理物70を加熱するための電力が外部からこの貫通孔を介してヒータ52に供給されている。そのため、物品支持体50を昇降する昇降パイプ30a,30b,31a,31bが、電力を供給するためのリード線48が通過する配管を兼ねている。また、チャンバ11の貫通部分と昇降パイプ30a,30b,31a,31bとの間を接続するベローズ34a,34b,35a,35bが存在することで、昇降パイプ30a,30b,31a,31bが上下に昇降する態様であっても貫通部分からのガスの流出入を抑制でき、処理空間16と外部空間との間は封止される。これらにより、昇降パイプ30a,30b,31a,31bとリード線48用の配管とが別々にチャンバ11の壁部を貫通する場合と比べて、チャンバ11の貫通部分を封止するための部品点数をより削減できコストダウンできる。また、熱処理装置10をより小型化できる。
また、熱処理装置10は、昇降パイプ30a,30b,31a,31bの貫通孔を通過し、外部から電力をヒータ52に供給する経路を形成する供給路形成部材である複数のリード線48を備えている。そして、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは、貫通孔内が外部空間と連通し且つ処理空間16とは連通していない。そのため、貫通孔を通過するリード線48が処理空間16に露出していることによる不具合をより抑制できる。例えば、リード線48が処理空間16に露出していると、リード線48がガラス被覆リード線である場合にはリード線48からパーティクルが生じる場合がある。また、リード線48が処理空間16に露出していると、リード線48が樹脂被覆リード線である場合にはリード線48からガスが生じる場合がある。リード線48が貫通孔内で処理空間16に露出していないことで、これらの不具合をより抑制して、処理空間16の雰囲気を維持しやすくなる。さらに、リード線48は、チャンバ11内において昇降パイプ30a,30b,31a,31bを含む保護管49に覆われており、処理空間16に露出する部分がない。そのため、リード線48が処理空間に露出していることによる上述した不具合をさらに抑制できる。また、チャンバ11は、熱処理時に処理空間16が真空状態となるものであり、熱処理装置10は、チャンバ11内のガスを吸引して処理空間16を真空状態にする真空ポンプ60を備えている。ここで、リード線48を介してヒータ52に電力を供給する場合にリード線48が発熱する場合があるが、昇降パイプ30a,30b,31a,31bの貫通孔内が外部空間と連通し且つ処理空間16と連通していないことで、外部空間のガス(本実施形態では大気)によってリード線48が冷却されやすくなる。また、リード線48を覆う保護管49内が外部空間と連通しているため、リード線48がさらに冷却されやすくなる。そのため、リード線48が真空状態の処理空間16に露出している場合と比較してリード線48の過熱をより抑制できる。また、リード線48が真空状態の処理空間16に露出していると、リード線48が樹脂被覆リード線である場合などにはリード線48からグロー放電が生じる場合があるが、リード線48が処理空間16に露出していないことで、これも抑制することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、チャンバ11は、第2チャンバ13と比べて第1チャンバ12の本体部の左右方向の幅が小さくなっているものとしたが、これに限られない。チャンバは段差面が上下方向に面している段差部を有していればよい。例えば、上述した実施形態では段差面15a,15bが段差部14a,15bの上面であるものとしたが、下面であってもよい。図7は、この場合の変形例の熱処理装置110の断面図である。なお、図7は、図2と同じ断面を図示している。また、図7(a)は物品支持体50が最も下降したときの様子を示しており、図7(b)は、物品支持体50が最も上昇したときの様子を示している。この熱処理装置110は、熱処理装置10の上下が逆転した構成をしており、脚部80の代わりに脚部180を備えたものである。そのため、熱処理装置110の構成要素のうち、上下が逆転している点以外は熱処理装置10と同じ構成要素については熱処理装置10と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。脚部180は、チャンバ11の下方に配置されてチャンバ11を床面から所定高さだけ離間して支持するものである。脚部180の高さは調整可能であり、モータ21のメンテナンスに必要な空間がチャンバ11の下面と床面との間に形成されるように、適宜定められている。この変形例の熱処理装置110でも、ねじ軸24a,24b,昇降パイプ30a,30b,31a,31bは物品支持体50の側方に位置している。そのため、熱処理装置10と同様に、例えば物品支持体50を上下に昇降させる軸体が物品支持体50の上方や下方に接続されている場合と比較して、熱処理装置110の装置高さをより低減できる。また、物品支持体50を昇降する昇降パイプ30a,30b,31a,31bが、電力を供給するためのリード線48が通過する配管を兼ねているため、熱処理装置10と同様に、チャンバ11の貫通部分を封止するための部品点数をより削減できる。
上述した実施形態では、ねじ軸24a及び接続部材26aはチャンバ11の外に配置されているものとしたが、少なくとも一部がチャンバ11の中に配置されていてもよい。図8は、この場合の変形例の熱処理装置210の断面図である。なお、図8(a),(b)は、中央の一点鎖線を境に各々の右半分が図2と同じ断面を示しており、左半分が図4と同じ断面を示している。また、図8(a)は物品支持体50が最も上昇したときの様子を示しており、図8(b)は、物品支持体50が最も下降したときの様子を示している。この熱処理装置210は、昇降機構20の代わりに昇降機構220を備えている点以外は、熱処理装置10と同じ構成をしている。そこで、熱処理装置10と同じ構成要素については熱処理装置10と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。熱処理装置210の昇降機構220は、モータ21と、左昇降部220aと、右昇降部220bと、を備えている。左昇降部220aは、モータ21に接続された回転軸22a,ギヤボックス23aを備えている。モータ21,回転軸22a,ギヤボックス23aは、上下が逆転しており第2チャンバ13の下面に取り付けられている点以外は、熱処理装置10のモータ21,回転軸22a,ギヤボックス23aと同じである。また、左昇降部220aは、ねじ軸224aと、ナット226aとを備えている。ねじ軸224aは、ねじ軸24aと同様の円柱状の部材である。ねじ軸224aは、物品支持体50が下降した状態(図8(b)の状態)で物品支持体50の左側方に配置されており、第2チャンバ13の底部を上下に貫通している。ねじ軸224aは、下端がギヤボックス23aに接続されて、ギヤボックス23aと段差部14aの下面との間で回転可能に支持されている。第2チャンバ13のうちねじ軸224aが貫通する部分には磁気流体シール(磁気シールともいう)213aが設けられている。この磁気流体シール213aは、第2チャンバ13の貫通部分を封止して処理空間16と外部との間のガスの流出入を抑制している。ナット226aは、大気ボックス59aに取り付けられており、中央をねじ軸224aが上下に貫通している。ナット226aは、ねじ軸224aの貫通部分の内周面に雌ネジが形成されており、ねじ軸224aとナット226aはボールねじとして構成されている。ねじ軸224aがギヤボックス23aからの回転動力により回転すると、ナット226aは上下に昇降する。なお、ナット226aにおけるねじ軸224aの貫通部分は、ナット226aにより大気ボックス59aの内部(リード線48が通過する空間)とは区画されている。右昇降部220bは、回転軸22bと、ギヤボックス23bと、ねじ軸224bと、ナット226bとを備えている。右昇降部220bの各構成要素は、いずれも左昇降部220aの各構成要素と左右対称に形成されている点以外は、左昇降部220aの各構成要素と同様である。そこで、右昇降部220bの各構成要素は左昇降部220aの対応する各構成要素の符号の末尾を「a」から「b」に変更した符号を伏して、詳細な説明を省略する。なお、第2チャンバ13のうちねじ軸224bが貫通する部分には、磁気流体シール213aと同様の磁気流体シールが設けられている。また、ナット226bは、ナット226aと同様に大気ボックス59bに取り付けられている。こうして構成された昇降機構220では、モータ21が駆動力を発生させると、その駆動力によりねじ軸224a,224bが回転して、ナット226a,226bが昇降する。これに伴い、大気ボックス59a,59bや物品支持体50が昇降する。また、大気ボックス59a,大気ボックス59bには、熱処理装置10と同様に昇降パイプ30a,30b,31a,31bが取り付けられており(図8では昇降パイプ31bのみ図示)、大気ボックス59a,59bの昇降に伴って昇降パイプ30a,30b,31a,31bも昇降する。また、昇降パイプ31bの下端と段差部14bの下面のうち昇降パイプ31bの貫通部分との間は、ベローズ235bにより接続されている。昇降パイプ30a,30b,31aについても、同様にベローズが接続されている(図示せず)。なお、ヒータ52のヒータ端子から外部までのリード線48の経路は熱処理装置10と同じであり、図1と同様に昇降パイプ30a,30b,31a,31bの上端からリード線48が外部に引き出されている。熱処理装置10とは異なり、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは、モータ21から大気ボックス59a,59bに駆動力を伝える役割は有していない。ただし、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは大気ボックス59a,59bに接続されて上下に昇降可能であるため、熱処理装置10のレール28a,28b、スライダ29a,29bと同様に、物品支持体50の昇降をガイドすることはできる。脚部80の高さは、図7の脚部180と同様に、モータ21のメンテナンスに必要な空間がチャンバ11の下面と床面との間に形成されるように、適宜定められている。この変形例の熱処理装置210では、モータ21からの駆動力により物品支持体50を昇降させるねじ軸224a,224bが、物品支持体50が下降した状態(図8(b)の状態)で物品支持体50の側方に配置されている。そのため、熱処理装置10と同様に、例えば物品支持体50を上下に昇降させる軸体が物品支持体50の上方や下方に接続されている場合と比較して、熱処理装置210の装置高さをより低減できる。また、物品支持体50を昇降する昇降パイプ30a,30b,31a,31bが、電力を供給するためのリード線48が通過する配管を兼ねているため、熱処理装置10と同様に、チャンバ11の貫通部分を封止するための部品点数をより削減できる。なお、熱処理装置210におけるねじ軸224a,224bが、本発明の熱処理装置の軸体に相当する。
なお、図8の熱処理装置210において、昇降パイプ30a,30b,31a,31bを備えないものとしてもよい。この場合でも、ベローズ235bなどのベローズが大気ボックス59a,59bと段差部14a,14bの貫通孔との間を接続していれば、ベローズが昇降パイプ30a,30b,31a,31bと同様に保護管49の一部として機能する。そのため、リード線48を処理空間16内に露出させずに外部まで引き出すことはできる。また、この場合において、チャンバ12が直方体であり段差部14a,14bを備えないものとしてもよい。この場合、リード線48がベローズ235b内を通過して例えばチャンバ12の上端から外部に引き出されるようにしてもよい。こうしても、熱処理装置210の装置高さをより低減することはできる。
上述した実施形態では、熱処理装置10は被処理物70を加熱する真空加熱装置として構成されているものとしたが、被処理物70の熱処理を行うものであればこれに限られない。例えば、熱処理装置10を、真空である処理空間16に配置された被処理物70を冷却する真空冷却装置として構成してもよい。この場合、熱処理装置10は、被処理物70を冷却する熱処理手段を備えていればよく、例えばヒータ52に代えて冷却プレートを備えていてもよい。冷却プレートは、ヒータ52の発熱体と同様にジグザグの一筆書き状に形成されて冷媒(例えば水や空気など)を流通可能な配管である冷却配管と、ヒータ52の放熱板53と同様にその冷却配管を上下に挟む板状部材と、ヒータ管54と同様の形状の配管であり冷却配管内への冷媒流路となるチューブなどの管状部材が内部に通された配管と、を備えていてもよい。なお、この場合、複数の冷却プレートの各々の冷却配管への冷媒の流路となるチューブが複数本存在し、このチューブをリード線48と同様にチャンバ11の外部まで引き出す必要がある。このチューブは、リード線48と同様に保護管49を通って昇降パイプ30a,30b,31a,31bの上端から外部に引き出すものとしてもよい。こうすれば、チューブを介して外部から冷却配管に冷媒を流通させて、被処理物70を冷却することができる。また、チューブが保護管49を通っていることで、熱処理装置10のリード線48と同様に、チューブが処理空間16に露出しないようにできる。さらに、冷却配管側から昇降パイプ30a,30b,31a,31bの上端までに亘って、チューブを大気雰囲気中に配置することができる。あるいは、チューブを備えないものとし、保護管49自体を冷却配管に冷媒を供給する冷媒流路として構成してもよい。この場合、昇降パイプ30a,30b,31a,31bの上端から直接冷媒を流出入させることになり、保護管49内は冷媒で満たされる。なお、このように真空冷却装置として構成した熱処理装置は、例えば上述した実施形態の熱処理装置10で加熱処理されたあとの被処理物70を所定温度まで降温する冷却処理を行う装置として用いてもよい。熱処理装置10を冷却装置として構成した場合でも、昇降パイプ30a,30b,31a,31bは物品支持体50の側方に位置していることで、上述した実施形態と同様の効果が得られる。また、遮熱体43,44を備えることで、冷却プレートによる昇降パイプ30a,30b,31a,31bの熱収縮を抑制して、これらによる昇降の不具合が生じるのをより抑制できる。さらに、物品支持体50を昇降する昇降パイプ30a,30b,31a,31bが、水冷プレートに冷媒を供給するためのチューブなどの管状部材が通過する配管を兼ねているため、熱処理装置10と同様に、チャンバ11の貫通部分を封止するための部品点数をより削減できる。
上述した実施形態では、遮熱板43,44により昇降パイプ30a,30b,31a,31bの熱膨張を抑制するものとしたが、他の方法で熱膨張を抑制してもよい。例えば、熱処理装置10が昇降パイプ30a,30b,31a,31bを冷却する軸体用冷媒(例えば水や空気など)が流通可能な軸体用冷媒流路形成部材を備えるものとして、軸体用冷媒を流通させることで昇降パイプ30a,30b,31a,31bの熱膨張を抑制してもよい。軸体用冷媒流路形成部材は、例えば可撓性のチューブとしてもよく、昇降パイプ30a,30b,31a,31bの外周にこのチューブを巻き付けてもよい。図9は、昇降パイプ31aの外周面に巻き付けたチューブ32aを示す説明図である。このチューブ32aは、接続部材26aを2箇所で上下に貫通している。チューブ32aの一端側(図9では左上側)から軸体用冷媒を流入させることで、軸体用冷媒は、昇降パイプ31aの外周に巻き付けたられたチューブ32aの内部を通過して昇降パイプ31aを冷却し、他端側(図9では右上側)から流出するようになっている。また、昇降パイプ30a,30b,31a,31bの内部に軸体用冷媒流路形成部材としてのチューブを通してもよい。図10は、昇降パイプ31aの内周面に巻き付けたチューブ32aを示す説明図である。あるいは、昇降パイプ30a,30b,31a,31b内に、軸体用冷媒が流通可能な空間を形成して、この空間に軸体用冷媒を流通させることで昇降パイプ30a,30b,31a,31bの熱膨張を抑制してもよい。この場合、昇降パイプ30a,30b,31a,31b自体が軸体用冷媒流路形成部材を構成する。図11は、昇降パイプ31aの内部に形成された空間33aを示す説明図である。空間33aは、昇降パイプ31aの上端に形成された2箇所の開口と連通しており、軸体用冷媒の流路となっている。一方の開口(図11では左側の開口)から軸体用冷媒を流入させることで、軸体用冷媒は、昇降パイプ31aの内部を通過して昇降パイプ31aを冷却し、他方の開口(図11では右側の開口)から流出するようになっている。なお、熱処理装置10は、遮熱板43,44などの遮熱体と軸体用冷媒流路形成部材とを共に備えていてもよいし、遮熱体を備えず軸体用冷媒流路形成部材を備えていてもよい。また、軸体用冷媒流路形成部材が遮熱体に取り付けられている(例えば遮熱板43,44のうち物品支持体50とは反対側の面に取り付けらている)ものとして、軸体用冷媒が遮熱体を冷却することで間接的に昇降パイプ30a,30b,31a,31bを冷却してもよい。
上述した実施形態では、ベローズ34aは、昇降パイプ30aの上端と段差面15aのうち昇降パイプ30aの貫通部分との間を接続するものとしたが、段差部14aと昇降パイプ30aとの間を接続するものであればよい。例えば、熱処理装置10が、ベローズ34aに代えて、図8のベローズ235bと同様に昇降パイプ30aの下端と段差部14aの下面のうち昇降パイプ30aの貫通部分との間を接続するベローズを備えていてもよい。ベローズ34b,35a,35bについても同様である。逆に、図8の昇降機構220において、ベローズ235bなどのベローズの代わりに熱処理装置10のベローズ34a,34b,35a,35bを備えるものとしてもよい。
上述した実施形態では、昇降パイプ30aの上端と段差面15aのうち昇降パイプ30aの貫通部分との間をベローズ34aにより接続するものとしたが、昇降パイプ30aなどの軸体の昇降に伴って伸縮する伸縮管であれば、ベローズに限られない。
上述した実施形態では、リード線48は保護管49に覆われており処理空間16に露出していないものとしたが、処理空間16に露出する部分があってもよい。また、保護管49内は外部空間に連通しておりリード線48が大気雰囲気中に配置されているものとしたが、これに限られない。例えば、保護管49の内部の少なくとも一部が処理空間16及び外部空間のいずれとも連通していないものとしてもよい。また、リード線48は昇降パイプ30a,30b,31a,31bの貫通孔を通過して外部に引き出されているものとしたが、昇降パイプ30a,30b,31a,31b以外の部分でチャンバ11の壁部を貫通して外部に引き出されていてもよい。例えば、チャンバ11の壁部に設けられたハーメチック端子などを介して、チャンバ11の内部のリード線48と外部のリード線48とを電気的に接続してもよい。
上述した実施形態では、回転軸22a,22b及びギヤボックス23a,23bを用いて、モータ21からの回転動力をねじ軸24a,24bに振り分けるものとしたが、これに限らずモータ21からの回転動力を左昇降部20a及び右昇降部20bに伝達できればよい。例えば、回転軸22a,22b及びギヤボックス23a,23bに代えて、プーリー及びベルトを2組用いて、モータ21からの回転動力を左昇降部20a(ねじ軸24a)及び右昇降部20b(ねじ軸24b)に伝達してもよい。
上述した実施形態では、2本のねじ軸24a,24bと4本の昇降パイプ30a,30b,31a,31bとを用いて物品支持体50を昇降させるものとしたが、本数はこれに限られない。ねじ軸や昇降パイプは、それぞれ1本以上であればよい。ただし、昇降が安定しやすいため昇降パイプは2本以上とすることが好ましく、4本とすることがより好ましい。上述した実施形態では、ねじ軸24aが2本の昇降パイプ30a,31aを昇降させ、ねじ軸24bが2本の昇降パイプ30b,31bを昇降させるものとしたが、これに限られない。例えば、ねじ軸は昇降パイプに対して一対一に設けてもよい。
保護管49を通過する各リード線48は、昇降パイプ30a,30b,31a,31bのいずれの上端から外部に引き出してもよく、上述した実施形態の配線に限られない。例えば、最上段のヒータ52のヒータ管54内の各ヒータ端子に接続された各リード線48を昇降パイプ30bから引き出したりしてもよい。各リード線48をいずれの昇降パイプから引き出すかは、リード線48の本数や配線経路の長さ、昇降パイプの本数,昇降パイプの内径などに応じて適宜定めればよい。
上述した実施形態では、被処理物70は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いるガラス基板などの板状の部材としたが、特にこれに限られない。被処理物70は、熱処理(加熱又は冷却)が必要なものであればよい。また、熱処理時に処理空間16は真空状態となるものとしたが、これに限らず、被処理物70の熱処理に適した雰囲気とすればよい。
10 熱処理装置、11 チャンバ、12 第1チャンバ、13 第2チャンバ、14a,14b 段差部、14c ボルト、14d Oリング、15a,15b 段差面、16 処理空間、17 ゲートバルブ、17a シャッタ、17b パスライン、18 第1メンテナンス扉、19 第2メンテナンス扉、20 昇降機構、20a 左昇降部、20b 右昇降部、21 モータ、22a,22b 回転軸、23a,23b ギヤボックス、24a,24b ねじ軸、26a,26b 接続部材、28a,28b レール、29a,29b スライダ、30a,30b,31a,31b 昇降パイプ、32a チューブ、33a 空間、34a,34b,35a,35b ベローズ、41〜45 遮熱板、48 リード線、49 保護管、50 物品支持体、52 ヒータ、53 放熱板、54 ヒータ管、55,56a〜56f 配管、57a〜57c 接続用ボックス、58a〜58c 曲管、59a,59b 大気ボックス、60 真空ポンプ、70 被処理物、80 脚部、110 熱処理装置、180 脚部、210 熱処理装置、213a 磁気流体シール、220 昇降機構、220a 左昇降部、220b 右昇降部、224a,224b ねじ軸、226a ナット、235b ベローズ、280 脚部。

Claims (8)

  1. 被処理物に対して熱処理を行う処理空間を内部に形成するチャンバと、
    前記処理空間内に配置され、前記被処理物を支持可能な物品支持体と、
    駆動力を発生させる駆動手段と、
    軸方向が上下方向に沿っており、前記駆動手段からの駆動力により前記物品支持体を前記処理空間内で前記上下方向に昇降可能であり、前記物品支持体が上昇した状態又は下降した状態の少なくとも一方の状態で前記物品支持体の側方に位置する1以上の軸体と、
    前記物品支持体に支持された前記被処理物を加熱又は冷却可能な熱処理手段と、
    を備えた熱処理装置。
  2. 請求項1に記載の熱処理装置であって、
    前記駆動手段は、前記チャンバの外に配置され、
    前記チャンバは、段差面が前記上下方向に面している段差部を有し、
    前記軸体は、前記段差部を貫通しており、前記駆動手段からの駆動力により前記上下方向に昇降することで前記物品支持体を昇降可能であり、
    前記段差部と前記軸体との間を接続し、前記軸体の前記昇降に伴って伸縮する伸縮管、
    を備えた熱処理装置。
  3. 請求項2に記載の熱処理装置であって、
    前記駆動手段は、回転動力を発生可能であり、
    前記チャンバの外に配置され、前記駆動手段からの回転動力を前記上下方向の動力に変換して前記軸体を昇降させる動力変換手段、
    を備えた熱処理装置。
  4. 前記動力変換手段は、前記チャンバの側方に配置されている、
    請求項3に記載の熱処理装置。
  5. 前記軸体は、前記駆動手段からの駆動力を受ける部分よりも前記物品支持体に駆動力を伝える部分が下方に位置している、
    請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱処理装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱処理装置であって、
    前記軸体を冷却する軸体用冷媒が流通可能な軸体用冷媒流路形成部材、
    を備え、
    前記熱処理手段は、前記被処理物を加熱可能である、
    熱処理装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱処理装置であって、
    前記軸体と前記熱処理手段との間に配置された遮熱体、
    を備えた熱処理装置。
  8. 前記チャンバは、前記熱処理時に前記処理空間が真空状態となる、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱処理装置。
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