JP2016014509A - バッチ式の乾燥炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱風3を室内へ送風する送風ダクト22、24と熱風3を室外へ排風する排風ダクト23、242とを備え密閉した乾燥室2内に、ワークWを所要時間収容し、乾燥室2内に熱風3を循環させてワークWを乾燥させるバッチ式の乾燥炉10である。乾燥室2は、ワークWが移動するワーク搬送路1の上方に配置され、乾燥室2の床面261には、ワークWが通過可能な床下開口部21が形成されるとともに、当該床下開口部21は、ワークWを搭載してワーク搬送路1から乾燥室2の床面261まで昇降する昇降台26によって開閉される。乾燥室2には、送風ダクト22、24の送風方向3Fと排風ダクト23、242の排風方向3Rとが、乾燥室2内で交差するように、送風ダクトと排風ダクトとを配設した。
【選択図】図1
Description
しかし、上記平炉タイプの乾燥炉100では、乾燥室102へ塗完ボディ101を搬入搬出する度に、乾燥室102の前後に設けられた入口104及び出口105から熱が室外へ逃げてしまい、乾燥・焼付けに必要な温度に上昇させるまでに長時間かかり、無駄なエネルギーを使わざるを得ない問題があった。
また、図9、図11に示すように、上記平炉タイプの乾燥炉100において、塗完ボディ101の昇温には、部位によってバラツキがあることが、調査によって判明している。例えば、フード部a及びバックドア部bは、比較的早く昇温するが、Bピラー部c及びロッカー部dは、比較的遅く昇温する。そのため、最も昇温の遅い部位(例えば、ロッカー部d)に引きずられて、炉全体の加熱時間が必要以上に長くなり、乾燥炉100の生産性が低下する問題もあった。
また、例えば、特許文献2には、被乾燥物を熱風により乾燥させる乾燥炉において、被乾燥物中で、熱容量が他の部位より大きくて暖まり難い部位に、放射熱を加えて暖まり難い部位の温度が、前記他の部位の温度に近似するように加熱する加熱手段(例えば、近赤外線ランプ)を備えた乾燥炉が開示されている。
すなわち、上記熱処理炉には、床面上で開口部の真下に設定された第一位置と床面上で離間した第二位置との間で移動する可動台と、可動台に搭載されたワーク支持台上のワークを開口部から熱処理炉内へ入れることができる昇降駆動手段とを備えているので、ワークを炉内へ投入し、且つワークを炉内から取り出すために、ワークの搬入搬出口である第二位置を常に経由させる必要がある。そのため、第二位置で熱処理後のワークをワーク支持台から取出し、熱処理前のワークをワーク支持台に載せる時間(ワーク載せ替え時間)が、熱処理炉のサイクルタイムに加算されることになる。このワーク載せ替え時間には、ワーク搬送装置の待ち時間も含まれる。したがって、熱処理前後におけるワークの移動時間に多くの時間が費やされることになる。その結果、熱処理炉のサイクルタイムが長くなり、生産性が大きく低下する問題があった。
また、上記熱処理炉の開口部は、ワーク支持台によって蓋をする構造であるので、少なくともワーク支持台の往復移動時間中は、解放された状態となる。そのため、炉の下方とはいえ、熱風が炉外へ逃げ、エネルギーの無駄使いの問題が残っている。また、ワーク支持台、可動台、昇降駆動手段などを床面上に配設するので、熱処理炉が全体的に大きくなり、設備費の増加が避けられないという問題があった。
すなわち、上記乾燥炉には、放射熱を加えて暖まり難い部位の温度が、他の部位の温度に近似するように加熱する加熱手段(例えば、近赤外線ランプ)を備えているので、放射熱を加える光線(例えば、近赤外線)が当たる部位の温度は上昇させることができるが、その部位に遮られて放射熱を加える光線(例えば、近赤外線)が当たらない部位は、たとえ暖まり難い部位であっても昇温の効果が期待できない。そのため、同じワーク(例えば、サイドシルやロッカーパネル)において、放射熱の光線が当たるワーク外側と放射熱の光線が当たらないワーク内側とで温度差が生じやすくなり、その温度差による熱膨張差で、ワークに熱歪が生じる問題があった。
(1)熱風を室内へ送風する送風ダクトと熱風を室外へ排風する排風ダクトとを備え密閉した乾燥室内に、ワークを所要時間収容し、前記乾燥室内に熱風を循環させて前記ワークを乾燥させるバッチ式の乾燥炉であって、
前記乾燥室は、前記ワークが移動するワーク搬送路の上方に配置され、前記乾燥室の床面には、前記ワークが通過可能な床下開口部が形成されるとともに、当該床下開口部は、前記ワークを搭載して前記ワーク搬送路から前記乾燥室の床面まで昇降する昇降台によって開閉されること、
前記乾燥室には、前記送風ダクトの送風方向と前記排風ダクトの排風方向とが、前記乾燥室内で交差するように、前記送風ダクトと前記排風ダクトとを配設したことを特徴とする。
よって、本発明によれば、乾燥炉としての生産性が高く、省エネルギーが可能で、ワークの均一な加熱ができるバッチ式の乾燥炉を提供することができる。
前記送風ダクトには、前記乾燥室の左右方向両壁面に配設された側方ダクトを含み、前記排風ダクトには、前記乾燥室の前方向壁面に配設された前方ダクト及び後方向壁面に配設された後方ダクトを含むことを特徴とする。
よって、本発明によれば、乾燥室の中央部へ相対的に温度が高い熱風を優先して供給することによって、乾燥炉としての生産性がより一層高く、省エネルギーが可能で、ワークのより一層均一な加熱ができる。
前記側方ダクトの前後方向の中央部から前記乾燥室内へ送風する熱風の流量は、前記側方ダクトの前後方向の前部及び後部から前記乾燥室内へ送風する熱風の流量より多いことを特徴とする。
よって、本発明によれば、乾燥室内のワークを、より一層迅速かつ均一に加熱することができる。
前記昇降台には、蓄熱部材を装着したことを特徴とする。
よって、本発明によれば、乾燥炉内における省エネルギーをより一層促進することができる。
まず、本実施形態に係る乾燥炉の全体構造を、図1、図2を用いて説明する。図1に、本発明の実施形態に係るバッチ式乾燥炉の前後方向断面図を示す。図2に、図1に示す乾燥炉の左右方向断面図を示す。
側方ダクト22は、上段ダクト221と中段ダクト222と下段ダクト223からなり、上下方向で3段階に仕切られている。上段ダクト221、中段ダクト222、下段ダクト223から室内へ送風される熱風3の送風方向3F1(3F)は、床面261と略平行で左右方向を向いている。左右の側方ダクト22(221、222、223)からは、乾燥室2内へ左右対称に熱風が送風される。
また、後方上部ダクト24(241)は、上下2段階に仕切られている。後方上部ダクト24(241)から室内に送風される熱風3の送風方向3F2(3F)は、斜め前下方に傾斜する方向を向いている。
後方ダクト242から室外へ排風される熱風3の排風方向3R2(3R)は、床面261と略平行で後方向を向いている。前方上部ダクト231から室外へ排風される熱風の排風方向3R11は、床面261と略平行で前方向を向いている。前方下部ダクト232から室外へ排風される熱風3の排風方向3R12は、床面261と略平行で前方向を向いている。天井コーナ部ダクト234から室外へ排風される熱風3の排風方向3R3(3R)は、左右方向で斜め上方を向いている。なお、前方上部ダクト231及び前方下部ダクト232から排風される熱風3は、円弧状の外部ダクト233を経由して天井コーナ部ダクト234へ送られる。
以上のように、送風ダクトの送風方向3Fと排風ダクトの排風方向3Rとが、乾燥室2内で交差するように形成されて、熱風3が乾燥室2内を隈なく循環することができる。
次に、乾燥室内を流れる熱風の流量及び循環状態と配管系統について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。図3に、図1に示すA−A断面の乾燥室内を流れる熱風の流量及び循環状態を表す模式図を示す。図4に、図1に示すB−B断面の乾燥室内を流れる熱風の流量及び循環状態を表す模式図を示す。図5に、図1に示す乾燥炉の配管系統図を示す。
つまり、側方ダクト22における前後方向中央に位置する中央部22Sから室内へ送風する熱風の流量3F13が、側方ダクト22における前方に位置する前部22Fから室内へ送風する熱風の流量3F11、3F12、及び側方ダクト22における後方に位置する後部22Rから室内へ送風する熱風の流量3F14、3F15より多く設定されている。
また、前方下部ダクト232及び後方ダクト242から略同量の熱風の流量が、前方及び後方に向けて、それぞれ室外へ排風されている。
また、乾燥室2の床面261近くは、冷気が溜まりやすいので、乾燥室2の床面261に隣接した前方下部ダクト232、及び後方ダクト242から熱風3を室外へ排風させることによって、その冷気も一緒に室外へ排出できる。そのため、温めにくいワークWの下部(例えば、ロッカー部)を迅速に昇温させることができる。
また、前方上部ダクト231から前方に向けて室外へ排風される熱風の流量3R11は、左右方向で略均等である。
また、排風ブロワ61を有する主排風配管6から分岐され、後方ダクト242への枝配管に接続されたダンパ弁64と、天井コーナ部ダクト234への枝配管に接続されたダンパ弁62と、前方下部ダクト232への枝配管に接続されたダンパ弁63とを、それぞれ別々に開閉制御することができる。
次に、乾燥炉に装着された昇降台及び昇降装置について、図6、図7を用いて説明する。図6に、図1に示す乾燥炉の昇降装置を表す模式的断面図を示す。図7に、図1に示す昇降台の平面図を示す。
なお、各支持棒42は、乾燥室2の側壁29に連結された支柱41に案内されている。支持棒42が、支柱41に案内されて昇降するので、昇降台26の昇降時における平行度が維持される。
昇降装置4は、上記ワイヤ巻き取り方式に限らず、4柱油圧リフタ方式、チェーン駆動方式など様々な駆動方式を選択することができる。なお、4柱油圧リフタ方式を採用した場合、油圧機器を炉外へ設置することが可能となる。そのため、油圧機器の耐熱性能を低く抑えることによって、リフタ装置のコスト低減が可能となる。
次に、乾燥炉へのワークの搬入搬出方法について、図8を用いて説明する。図8に、図1に示す乾燥炉へのワークの搬入搬出方法を説明する側面図を示す。図8(a)は、乾燥前のワークを乾燥炉へ投入する前の状態を示す。図8(b)は、乾燥前のワークを乾燥室直下の待機室に移動させた状態を示す。図8(c)は、乾燥室内でワークWを乾燥中の状態を示す。図8(d)は、乾燥後のワークを乾燥室直下の待機室に移動させた状態を示す。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るバッチ式の乾燥炉10によれば、乾燥室2は、ワークWが移動するワーク搬送路1の上方に配置され、乾燥室2の床面261には、ワークWが通過可能な床下開口部21が形成されるとともに、当該床下開口部21は、ワークWを搭載してワーク搬送路1から乾燥室2の床面261まで昇降する昇降台26によって開閉されるので、ワーク搬送路1上のワークWを載置した搬送台車11ごと、昇降台26に搭載して乾燥室2内に投入すると同時に、乾燥室2を昇降台26によって閉鎖することができる。そのため、ワークWの乾燥室2内への移動時間と乾燥室2の開放時間を大幅に短縮することができる。したがって、乾燥炉10のサイクルタイムを短縮でき、生産性を向上させることができる。また、熱風3が床下開口部21から炉外へ逃げる時間を短縮でき、エネルギーの無駄使いを削減することができる。
特に、ワークWが車両の塗完ボディであるので、乾燥室2内の熱風3が、昇温しにくい部位(例えば、Bピラー部やロッカーパネル部)へ、他の昇温しやすい部位(例えば、フード部やバックドア部)より先行して流れ、加熱時間の短縮とワークW全体の均一加熱とを同時に促進させることができる。
例えば、上記実施形態では、後方上部ダクト24(241)から室内へ熱風を送風したが、後方上部ダクト24(241)から室外へ熱風を排風してもよい。
2 乾燥室
3 熱風
3F 送風方向
3R 排風方向
3F11、3F12 流量
3F13、3F14 流量
3F15 流量
4 昇降装置
10 乾燥炉
21 床下開口部
22 側方ダクト(送風ダクト)
22F 前部
22S 中央部
22R 後部
23 前方ダクト(排風ダクト)
24 後方上部ダクト(送風ダクト)
25S 乾燥室中央部
25F 乾燥室前部
25R 乾燥室後部
26 昇降台
242 後方ダクト(排風ダクト)
261 床面
262 蓄熱部材
W ワーク
Claims (4)
- 熱風を室内へ送風する送風ダクトと熱風を室外へ排風する排風ダクトとを備え密閉した乾燥室内に、ワークWを所要時間収容し、前記乾燥室内に熱風を循環させて前記ワークを乾燥させるバッチ式の乾燥炉であって、
前記乾燥室は、前記ワークが移動するワーク搬送路の上方に配置され、前記乾燥室の床面には、前記ワークが通過可能な床下開口部が形成されるとともに、当該床下開口部は、前記ワークを搭載して前記ワーク搬送路から前記乾燥室の床面まで昇降する昇降台によって開閉されること、
前記乾燥室には、前記送風ダクトの送風方向と前記排風ダクトの排風方向とが、前記乾燥室内で交差するように、前記送風ダクトと前記排風ダクトとを配設したことを特徴とするバッチ式の乾燥炉。 - 請求項1に記載されたバッチ式の乾燥炉において、
前記送風ダクトには、前記乾燥室の左右方向両壁面に配設された側方ダクトを含み、前記排風ダクトには、前記乾燥室の前方向壁面に配設された前方ダクト及び後方向壁面に配設された後方ダクトを含むことを特徴とするバッチ式の乾燥炉。 - 請求項2に記載されたバッチ式の乾燥炉において、
前記側方ダクトの前後方向の中央部から前記乾燥室内へ送風する熱風の流量は、前記側方ダクトの前後方向の前部及び後部から前記乾燥室内へ送風する熱風の流量より多いことを特徴とするバッチ式の乾燥炉。 - 請求項1乃至請求項3に記載されたバッチ式の乾燥炉において、
前記昇降台には、蓄熱部材を装着したことを特徴とするバッチ式の乾燥炉。
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