JP2016013999A - 連鎖移動剤を含むレジン人工歯 - Google Patents
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Abstract
【課題】レジン人工歯の成形加工段階において、レジン人工歯の内部で発生するひずみを低減することにより局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良の発生を抑制し、且つ発泡による気泡混入がない加圧加熱条件下による成形加工が可能なレジン人工歯の提供。【解決手段】50〜200℃の沸点を有する単官能性重合性単量体、非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー、重合開始剤、およびテルペノイド系化合物のような連鎖移動剤を含むレジン人工歯。連鎖移動剤がγ−テルピネンであるレジン人工歯【選択図】なし
Description
本発明は、歯科医療分野において欠損歯列の有床義歯補綴治療に用いる補綴装置、例えば部分床義歯又は全部床義歯において、義歯を構成するレジン人工歯に関するものであり、より詳細には単層もしくは多層構造を有するレジン人工歯に関する。
歯の欠損により低下した口腔機能の回復を図るためには失われた歯の代替機能を担う人工歯と義歯床からなる義歯=補綴装置を口腔内に装着して治療が行われている。その補綴装置には、残存歯に支えを求める部分床義歯と残存歯牙が全くない全部床義歯がある。また、インプラントと呼ばれる人工歯根を利用した義歯(インプラントオーバーデンチャー)もある。
いずれの義歯も人工歯を用いて次の手順により製作される。
まず、患者の口腔内を審査診断後、粘膜面の印象採得を行い、口腔内粘膜の形状を複写した石膏模型を作製する。次に、患者の咬合関係の採得に必要となる蝋堤を作製して咬合採得を行う。咬合採得の後、顎運動を再現する咬合器に石膏模型を装着し、馬蹄形の蝋堤に人工歯を排列して患者の顎運動に調和した蝋義歯を作製する。人工歯を排列した蝋義歯は、二ッ割のフラスコに石膏で埋没し、脱蝋工程を経て割型を作製する。人工歯を残し床部が空洞となった割型に床用のレジンを填入後、加熱重合もしくは常温重合によりレジン床義歯を完成する。
いずれの義歯も人工歯を用いて次の手順により製作される。
まず、患者の口腔内を審査診断後、粘膜面の印象採得を行い、口腔内粘膜の形状を複写した石膏模型を作製する。次に、患者の咬合関係の採得に必要となる蝋堤を作製して咬合採得を行う。咬合採得の後、顎運動を再現する咬合器に石膏模型を装着し、馬蹄形の蝋堤に人工歯を排列して患者の顎運動に調和した蝋義歯を作製する。人工歯を排列した蝋義歯は、二ッ割のフラスコに石膏で埋没し、脱蝋工程を経て割型を作製する。人工歯を残し床部が空洞となった割型に床用のレジンを填入後、加熱重合もしくは常温重合によりレジン床義歯を完成する。
義歯の製作に用いる人工歯としては、無機材料が主成分である陶歯と有機材料が主成分であるレジン歯がある。陶歯は材質的に硬く物理学的特性が高いために口腔内において咀嚼時の咬合摩耗が少なく、また耐久性や審美性等においても優れた特徴を有している。その一方で材質的な硬さから咬合調整が難しいこと、また陶歯を支える床部(義歯床)と化学的に接着しないことから陶歯の基底部には維持部が必要である等の使用上の問題点も認められる。さらに価格も高いなどの理由も相まって使用される頻度が減少してきている状況にある。
一方、レジン歯は陶歯に比べ物理学的特性や耐久性等おいては及ばないものの、咬合調整作業が容易であることや義歯床と化学的に接着すること等、使用上において多くの利点も認められ、さらに価格的にも安価であることから幅広く臨床応用されている。
一方、レジン歯は陶歯に比べ物理学的特性や耐久性等おいては及ばないものの、咬合調整作業が容易であることや義歯床と化学的に接着すること等、使用上において多くの利点も認められ、さらに価格的にも安価であることから幅広く臨床応用されている。
また、レジン歯には単官能性(メタ)アクリレート系モノマーや非架橋性有機フィラーを主成分としたレジン人工歯及び無機フィラーや有機-複合フィラーからなるフィラー成分と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーを主成分としたコンポジットレジン人工歯がある。
コンポジットレジン人工歯はレジン人工歯に比較して物理学的特性が高いものの、色調安定性に乏しく、変色や着色が起こり易いなどの問題点が指摘されている。一方レジン人工歯はコンポジットレジン人工歯に比較して物理学的特性は低いものの、色調安定性に優れ、変色や着色が起こり難いことが特徴である。
これらのようにレジン歯は配合されるフィラー成分やレジン成分の種類・性質・特性に基因した一長一短の特徴を有しているのであるが、近年それぞれの短所を克服するための様々な成分組成に関する先行技術が提案されている。例えば、特許文献1には3種類のレジン成分と無機質充填材を含む人工歯が、また特許文献2〜6には含フッ素ビスフェノール基含有レジンモノマーを含む人工歯等が挙げられる。これらの成分をレジン歯に配合することにより変着色を抑制できるものの、レジン歯は成形物であるために、材料的な特徴よりも成分組成や金型に基因する層構造に影響を受けやすい加圧・加熱時の成形特性を制御することが製造の安定化を図るために重要となる。
またレジン歯は天然歯類似の解剖学的形態、その形態を作り上げている層毎の構造、そして層毎の光透過特性や色調等が複雑に関与しながら優れた審美性をもたらしている。そのためレジン歯を成形する段階で用いる人工歯の層構造を複写した金型構造も重要となり、様々な層構造を有した人工歯やそれに対応した金型等に関する先行技術(特許文献7)も提案されている。さらに、中間段階まで成形された人工歯に関する先行技術(特許文献8)も提案されており、その人工歯を用いてそれぞれの患者に合ったオーダーメイドの最終人工歯を歯科医院や技工所で製作するというものである。しかし、審美性を有した高品質の人工歯を提供するためには様々な厚みからなる層を均一に重合硬化させ、且つ数種類の層を積層して天然歯類似の解剖学的形態を作り上げる成形特性が製造の安定化を図るためにより重要となる。
コンポジットレジン人工歯はレジン人工歯に比較して物理学的特性が高いものの、色調安定性に乏しく、変色や着色が起こり易いなどの問題点が指摘されている。一方レジン人工歯はコンポジットレジン人工歯に比較して物理学的特性は低いものの、色調安定性に優れ、変色や着色が起こり難いことが特徴である。
これらのようにレジン歯は配合されるフィラー成分やレジン成分の種類・性質・特性に基因した一長一短の特徴を有しているのであるが、近年それぞれの短所を克服するための様々な成分組成に関する先行技術が提案されている。例えば、特許文献1には3種類のレジン成分と無機質充填材を含む人工歯が、また特許文献2〜6には含フッ素ビスフェノール基含有レジンモノマーを含む人工歯等が挙げられる。これらの成分をレジン歯に配合することにより変着色を抑制できるものの、レジン歯は成形物であるために、材料的な特徴よりも成分組成や金型に基因する層構造に影響を受けやすい加圧・加熱時の成形特性を制御することが製造の安定化を図るために重要となる。
またレジン歯は天然歯類似の解剖学的形態、その形態を作り上げている層毎の構造、そして層毎の光透過特性や色調等が複雑に関与しながら優れた審美性をもたらしている。そのためレジン歯を成形する段階で用いる人工歯の層構造を複写した金型構造も重要となり、様々な層構造を有した人工歯やそれに対応した金型等に関する先行技術(特許文献7)も提案されている。さらに、中間段階まで成形された人工歯に関する先行技術(特許文献8)も提案されており、その人工歯を用いてそれぞれの患者に合ったオーダーメイドの最終人工歯を歯科医院や技工所で製作するというものである。しかし、審美性を有した高品質の人工歯を提供するためには様々な厚みからなる層を均一に重合硬化させ、且つ数種類の層を積層して天然歯類似の解剖学的形態を作り上げる成形特性が製造の安定化を図るためにより重要となる。
レジン人工歯は粉材と液材を混和し膨潤させた餅状の混和物を原料として金型に填入して加圧・加熱する圧縮成形法やその混和物を原料として金型中に一定の圧力により打ち込む射出成型法等により、それぞれの層を積層しながら重合硬化させて、天然歯類似の形態を作り上げている。しかし、積層する層の厚みが均一ではなく、同一層内においても薄い部分と厚い部分が存在すること、また、金型中に混和物を填入した時の金型からの位置関係(金型近傍や金型内部等)等によって熱の伝わり方が異なる。その結果、重合硬化の速度も変わるため加圧・加熱による成形時において部分的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの欠陥が起こるなどの問題があった。また、レジン人工歯の成分である単官能性(メタ)アクリレートモノマーは低沸点であるために、重合硬化時において急激な温度上昇により発泡して気泡が混入しやすい状況にある。均一な状態で重合硬化させるためには長い時間を掛けて重合硬化させる必要があるなど生産性という観点からも多くの課題があった。
レジン人工歯は、ポリメチルメタクリレートを主成分とする粉材とメチルメタクリレートを主成分とする液材を混和後、その混和物を金型中に填入して、加圧・加熱の成形加工により製造する。その時、その混和物は熱伝導率が高いために金型内部に比較して金型近傍にある混合物から急速に重合硬化が始まる、いわゆる不均一な状態での重合硬化が進行するためにひずみが発生し、局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良が起こるなどの問題があった。また、混和物を金型に填入後、加圧・加熱の成形加工により薄い層を積層しながら重合硬化させて天然歯類似の形態を再現するのであるが、その時積層する層構造の厚みの違いによって重合硬化の速度が変わり、不均一な重合硬化に伴うひずみが発生して局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良が起こるなどの問題があった。さらに、レジン人工歯の成分である単官能性(メタ)アクリレートモノマーは低沸点であるために、重合硬化時において発泡による気泡の混入などが起こりやすく、均一な状態で重合硬化させるためには長い時間を掛けて重合硬化させるなど生産性という観点からも多くの課題があった。
以上のことから、本発明の課題はレジン人工歯の成形加工段階において、レジン人工歯の内部で発生するひずみを低減することにより局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良の発生を抑制し、且つ発泡による気泡混入がない加圧加熱条件下による成形加工が可能なレジン人工歯を提供することにある。
以上のことから、本発明の課題はレジン人工歯の成形加工段階において、レジン人工歯の内部で発生するひずみを低減することにより局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良の発生を抑制し、且つ発泡による気泡混入がない加圧加熱条件下による成形加工が可能なレジン人工歯を提供することにある。
上記課題を解決するために発明者らは鋭意検討の結果、それぞれの層を重合硬化させて積層しながら天然歯類似の形態を再現するレジン人工歯の成形加工段階において、レジン人工歯の成分として連鎖移動剤を配合することにより、層構造の厚みや金型中における原料の位置関係等に影響を受けることなく重合硬化の速度を遅延させ、均一な重合硬化をもたらすことができ、また発泡による気泡の混入も低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明者らは本発明において以下の発明を提供する。
レジン人工歯であって、(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー
(c)重合開始剤
(d)連鎖移動剤
を含むことを特徴とするレジン人工歯を提供する。
本発明はレジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体を10〜70重量部、
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを30〜90重量部、
(c)重合開始剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.1〜5重量部、
(d)連鎖移動剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.001〜1重量部を含むことを特徴とするレジン人工歯である。
また、前記(d)連鎖移動剤がテルペノイド系化合物であることを特徴とするレジン人工歯を提供する。
更に、レジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体であるメチルメタクリレートを10〜70重量部、
(b)重量平均分子量が10〜150万であって、平均粒子径が5〜150μmの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーであるポリメチルメタクリレートを30〜90重量部、
(c)重合開始剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.1〜5重量部、
(d)連鎖移動剤であるγ−テルピネンを単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.001〜1重量部を含むことを特徴とするレジン人工歯を提供する。
また更に、レジン人工歯の製造方法において、加熱加圧条件下によりレジン層を順次、重合硬化させて積層していくレジン人工歯の製造方法を提供する。
すなわち、本発明者らは本発明において以下の発明を提供する。
レジン人工歯であって、(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー
(c)重合開始剤
(d)連鎖移動剤
を含むことを特徴とするレジン人工歯を提供する。
本発明はレジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体を10〜70重量部、
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを30〜90重量部、
(c)重合開始剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.1〜5重量部、
(d)連鎖移動剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.001〜1重量部を含むことを特徴とするレジン人工歯である。
また、前記(d)連鎖移動剤がテルペノイド系化合物であることを特徴とするレジン人工歯を提供する。
更に、レジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体であるメチルメタクリレートを10〜70重量部、
(b)重量平均分子量が10〜150万であって、平均粒子径が5〜150μmの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーであるポリメチルメタクリレートを30〜90重量部、
(c)重合開始剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.1〜5重量部、
(d)連鎖移動剤であるγ−テルピネンを単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.001〜1重量部を含むことを特徴とするレジン人工歯を提供する。
また更に、レジン人工歯の製造方法において、加熱加圧条件下によりレジン層を順次、重合硬化させて積層していくレジン人工歯の製造方法を提供する。
本発明により以下の諸効果がもたらされる。
本発明のレジン人工歯は低沸点で且つ重合性が高い、単官能性(メタ)アクリレートモノマーを含んでいるにも関わらず、連鎖移動剤の効果により重合硬化の速度を遅延させて、均一に重合硬化させることができる。
そのため重合硬化時におけるひずみの発生や発泡による気泡の混入を抑制することができるため、局所的な収縮、割れ、白濁、欠け、気泡などの不良を低減することができる。また、それぞれの層を積層しながら重合硬化させて天然歯類似の形態を再現するレジン人工歯の成形加工段階においても層構造の厚みや金型中における原料の位置関係等による影響が受けにくく、局所的な収縮、割れ、白濁、欠け、気泡などの不良を低減することができる。
本発明のレジン人工歯は低沸点で且つ重合性が高い、単官能性(メタ)アクリレートモノマーを含んでいるにも関わらず、連鎖移動剤の効果により重合硬化の速度を遅延させて、均一に重合硬化させることができる。
そのため重合硬化時におけるひずみの発生や発泡による気泡の混入を抑制することができるため、局所的な収縮、割れ、白濁、欠け、気泡などの不良を低減することができる。また、それぞれの層を積層しながら重合硬化させて天然歯類似の形態を再現するレジン人工歯の成形加工段階においても層構造の厚みや金型中における原料の位置関係等による影響が受けにくく、局所的な収縮、割れ、白濁、欠け、気泡などの不良を低減することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のレジン人工歯に用いることができる(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体は、一般に歯科分野で用いられている公知の単官能性重合性単量体のうちから、沸点が50〜200℃である単官能性重合性単量体であれば何等制限なく使用することができる。一般に好適に使用される代表的なものを例示すれば、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有する単官能性重合性単量体である。なお、本発明においては(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロイルをもって単官能性アクリロイル基含有重合性単量体と単官能性メタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
本発明のレジン人工歯に用いることができる(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体は、一般に歯科分野で用いられている公知の単官能性重合性単量体のうちから、沸点が50〜200℃である単官能性重合性単量体であれば何等制限なく使用することができる。一般に好適に使用される代表的なものを例示すれば、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有する単官能性重合性単量体である。なお、本発明においては(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロイルをもって単官能性アクリロイル基含有重合性単量体と単官能性メタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体を具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの単官能性重合性単量体は単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
これらの単官能性重合性単量体のなかでも沸点が70〜170の範囲であるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは沸点が100〜120の範囲であるメチルメタクリレート、エチルメタクリレートを用いることである。これらの単官能性重合性単量体の中でもメチルメタクリレートを用いることが最も好ましい。
本発明の歯科用レジン人工歯に用いることができる50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体の含有量は10〜70重量部の範囲であれば何等制限なく含有することができ、好ましくは10〜50重量部の範囲、さらに好ましくは20〜40重量部の範囲である。単官能性重合性単量体の含有量が10重量部未満の場合は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの膨潤が均一に起こらなく成型性に問題が発生する。一方、70重量部を超える場合は、レジン成分が多くなるために重合硬化が速くなるなど、成形技術の制御が困難になり、また十分な物理学特性が得られないなどの問題等が認められる。
これらの単官能性重合性単量体のなかでも沸点が70〜170の範囲であるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは沸点が100〜120の範囲であるメチルメタクリレート、エチルメタクリレートを用いることである。これらの単官能性重合性単量体の中でもメチルメタクリレートを用いることが最も好ましい。
本発明の歯科用レジン人工歯に用いることができる50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体の含有量は10〜70重量部の範囲であれば何等制限なく含有することができ、好ましくは10〜50重量部の範囲、さらに好ましくは20〜40重量部の範囲である。単官能性重合性単量体の含有量が10重量部未満の場合は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの膨潤が均一に起こらなく成型性に問題が発生する。一方、70重量部を超える場合は、レジン成分が多くなるために重合硬化が速くなるなど、成形技術の制御が困難になり、また十分な物理学特性が得られないなどの問題等が認められる。
また、本発明の歯科用レジン人工歯における物理学的特性や成形加工性に影響を与えない程度であれば(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体以外に他の(e)成分として(a)成分以外の重合性単量体を併用しても何等制限はない。これらの(e)成分である(a)成分以外の重合性単量体は、一般に歯科分野で用いられている公知のアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体を用いることが好ましい。以下にそれらの(e)成分である(a)成分以外の重合性単量体を具体的に例示するが、これらに限定されるものではない。なお、本発明においては(メタ)アクリレート系重合性単量体はアクリロイル基含有重合性単量体とメタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
単官能性重合性単量体としてはベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類、2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物が挙げられる。
芳香族系二官能性単量体としては、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
単官能性重合性単量体としてはベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類、2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物が挙げられる。
芳香族系二官能性単量体としては、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
脂肪族系二官能性単量体としては、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能性単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能性単量体としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン系重合性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体と、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4、4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン系重合性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体と、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4、4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系重合性単量体以外に分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有するオリゴマーまたはプレポリマーを用いても何等制限はない。また、フルオロ基等の置換基を同一分子内に有していても何等問題はない。
これらの重合性単量体は単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
これらの重合性単量体は単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の歯科用レジン人工歯に用いることができる(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーは単官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体により膨潤するものであれば特に限定されず、(メタ)アクリレート系重合性単量体を単独に重合させたポリマーやそれら複数種類の(メタ)アクリレート系重合性単量体を共重合させたポリマー、さらに他の重合性単量体と共に共重合させたポリマー等が何等制限なく用いることができる。それらの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを具体的に例示するとポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等の単独重合ポリマーやメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の中から二種類以上を組み合わせた共重合コポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーは単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
これらの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの中でもポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合コポリマーを用いることが好ましい。ポリメチルメタクリレートが最も好ましい。
これらの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーは単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
これらの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの中でもポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合コポリマーを用いることが好ましい。ポリメチルメタクリレートが最も好ましい。
これら非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの重合方法においても何等制限はなく、乳化重合、懸濁重合等のいずれの重合方法で製造されたものであっても何等問題はない。これらの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの形状は球状、破砕状、中空状のいずれの形状であっても何等制限なく用いることができるが、好ましくは球状である。非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの平均粒子径(50部)は1〜300μmの範囲であれば何等制限なく用いることができるが、好ましくは1〜200μmの範囲、さらに好ましくは5〜150μmの範囲である。また、非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの重量平均分子量は1万〜200万の範囲であれば何等制限なく用いることができるが、好ましくは5万〜150万の範囲であり、さらに好ましくは10万〜150万である。
また、有機充填材、無機充填材、有機‐無機複合充填材や有機・無機化合物、さらに有機・無機顔料等の表面を非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーで被覆する等の表面改質処理や複合化処理等を二次的に加工したものであっても、何等制限なく用いることができる。
本発明の歯科用レジン人工歯に用いられる非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの含有量は30〜90重量部の範囲であれば何等制限なく用いることができるが、好ましくは40〜90重量部、さらに好ましくは50〜80重量部である。
非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの含有量が30重量部未満の場合は単官能性重合性単量体が過剰となるため、重合硬化が速くなり成形性に悪影響を及ぼしたり、また十分な物理学特性を得ることができない。一方、90重量部を越える場合は、単官能性重合性単量体が過剰量の非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを均一に膨潤させることができず、成型性に問題が発生する。
本発明のレジン人工歯の物理学的特性や審美性、そして成形性等に影響を与えない程度であれば、(f)成分として(b)成分の非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー以外の充填材を用いることができる。これらの充填材は単官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体に対して膨潤しないものであれば有機成分、無機成分及びそれらの混合物または複合物が該当し、何等制限なく使用することができる。
これらの充填材を具体的に例示すると水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等の炭酸塩、酸化アルミニウム等の金属酸化物、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム等の金属フッ化物、タルク、カオリン、クレー、雲母、ヒドロキシアパタイト、シリカ、石英、種々のガラス類(ナトリウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン等の重金属および/またはフッ素を含むフルオロアルミノシリケート、ボロシリケート、アルミノボレート、フルオロアルミノボロシリケート等のガラス類)等の無機系充填材、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレンーブタジエンゴム等のエラストマー類、単官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体と2個以上の官能基を有する重合性単量体を共重合させた架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー等の有機系充填材、無機充填材の表面を重合性単量体により重合被覆したもの、無機充填材と重合単量体を混合・重合させた後、適当な粒子径に粉砕したもの、あるいは、予め重合性単量体中に充填材を分散させて乳化重合または懸濁重合させたもの等の有機‐無機複合系充填材等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの充填材は単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの含有量が30重量部未満の場合は単官能性重合性単量体が過剰となるため、重合硬化が速くなり成形性に悪影響を及ぼしたり、また十分な物理学特性を得ることができない。一方、90重量部を越える場合は、単官能性重合性単量体が過剰量の非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを均一に膨潤させることができず、成型性に問題が発生する。
本発明のレジン人工歯の物理学的特性や審美性、そして成形性等に影響を与えない程度であれば、(f)成分として(b)成分の非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー以外の充填材を用いることができる。これらの充填材は単官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体に対して膨潤しないものであれば有機成分、無機成分及びそれらの混合物または複合物が該当し、何等制限なく使用することができる。
これらの充填材を具体的に例示すると水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等の炭酸塩、酸化アルミニウム等の金属酸化物、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム等の金属フッ化物、タルク、カオリン、クレー、雲母、ヒドロキシアパタイト、シリカ、石英、種々のガラス類(ナトリウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン等の重金属および/またはフッ素を含むフルオロアルミノシリケート、ボロシリケート、アルミノボレート、フルオロアルミノボロシリケート等のガラス類)等の無機系充填材、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレンーブタジエンゴム等のエラストマー類、単官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体と2個以上の官能基を有する重合性単量体を共重合させた架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー等の有機系充填材、無機充填材の表面を重合性単量体により重合被覆したもの、無機充填材と重合単量体を混合・重合させた後、適当な粒子径に粉砕したもの、あるいは、予め重合性単量体中に充填材を分散させて乳化重合または懸濁重合させたもの等の有機‐無機複合系充填材等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの充填材は単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
これら充填材は球状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の形状の充填材を用いることができる。また充填材の平均粒子径(50部)は1〜200μmの範囲であれば特に制限はないものの、好ましくは5〜100μmの範囲、さらに好ましくは10〜80μmの範囲である。
さらに充填材の表面を、表面処理剤等を用いた表面処理法により多機能化してもよく、これらの表面処理充填材も何等制限なく用いることができる。充填材の表面を多機能化するために用いる表面処理剤を具体的に例示すると界面活性剤、脂肪酸、有機酸、無機酸、各種カップリング材、金属アルコキシド化合物等が挙げられる。また表面処理方法を具体的に例示すると充填材を流動させた状態で上部から表面処理剤を噴霧する方法、表面処理剤を含んだ溶液中に充填材を分散させる方法及び充填材表面に数種類の表面処理剤を多層処理する方法等が挙げられる。しかしながら表面処理剤及び表面処理方法は、これらに限定されるものではない。また、これらの表面処理剤や表面処理方法はそれぞれ単独または複合的に組み合わせて用いることができる。
本発明のレジン人工歯を構成するそれぞれのレジン層に用いることができる(c)重合開始剤は特に限定されず、公知のラジカル発生剤が何等制限なく用いられる。重合開始剤としては混合することにより重合を開始させるもの(化学重合開始剤)、加熱により重合を開始させるもの(熱重合開始剤)、光照射により重合を開始させるもの(光重合開始剤)に大別されるが、本発明においてはいずれの重合開始剤も何等制限なく用いることができる。また、これらの重合開始剤は重合様式や重合方法に関係なく、単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。さらに、これらの重合開始剤は重合の安定化や重合の遅延等を実現するためにマイクロカプセルに内包する等の二次的な処理を施しても何等問題なく用いることができる。これらの重合開始剤の中でも、熱重合開始剤を用いることが好ましい。
化学重合開始剤としては、有機過酸化物/アミン化合物または有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩、有機過酸化物/アミン化合物/ボレート化合物からなるレドックス型の重合開始系、酸素や水と反応して重合を開始する有機金属型の重合開始剤系等が用いられる。また、スルフィン酸塩類やボレート化合物類は酸性基を有する重合性単量体との反応により重合を開始させることもできるため用いることができる。
以下に化学重合開始剤の具体例を例示するがこれらに限定されるものではない。
以下に化学重合開始剤の具体例を例示するがこれらに限定されるものではない。
有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等が挙げられる。
また、上記アミン化合物を具体的に例示すると、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが好ましく、具体的に例示するとp−N,N−ジメチル−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、p−N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−トルイジン、N−メチル−アニリン、p−N−メチル−トルイジン等が挙げられる。
また、スルフィン酸塩類を具体的に例示すると、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、ボレート化合物を具体的に例示すると、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
さらに有機金属型の重合開始剤を具体的に例示すると、トリフェニルボラン、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類等が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、光増感剤からなるもの、光増感剤/光重合促進剤等が挙げられる。以下に光重合開始剤の具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
光増感剤として具体的に例示すると、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p´−ジメトキシベンジル、p,p´−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1等のα−アミノアセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)等のケタール類、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル〕−チタン、ビス(シクペンタジエニル)−ビス(ペンタンフルオロフェニル)−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ジシロキシフェニル)−チタン等のチタノセン類等が挙げられる。
光増感剤として具体的に例示すると、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p´−ジメトキシベンジル、p,p´−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1等のα−アミノアセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)等のケタール類、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル〕−チタン、ビス(シクペンタジエニル)−ビス(ペンタンフルオロフェニル)−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ジシロキシフェニル)−チタン等のチタノセン類等が挙げられる。
光重合促進剤として具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、p−N,N−ジメチル−トルイジン、m−N,N−ジメチル−トルイジン、p−N,N−ジエチル−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−N,N−ジヒドロキシエチル−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2´−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、N−フェニルグリシン等の第二級アミン類、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジバーサテート、ジオクチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)塩、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等のスズ化合物類、ラウリルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド化合物類、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸等の含イオウ化合物等が挙げられる。
さらに、光重合促進能の向上のために、上記光重合促進剤に加えて、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類の添加が効果的である。
また、熱重合開始剤として具体的に例示するとベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類が好適に使用される。これらの中でも有機過酸化物の使用が好ましく、より好ましくはベンゾイルパーオキサイドである。
また、これらの重合開始剤は(b)成分である非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーの製造時において使用するものであり、製造した非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー中にその重合開始剤が残存していることがある。そのため重合開始剤が残存している非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを本発明のレジン人工歯に用いる場合は、(c)重合開始剤の代わり又は一部として用いても何等問題はない。
本発明のレジン人工歯に用いることができる(c)重合開始剤の含有量は特に限定されないが、(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部の範囲である。重合開始剤の含有量が0.1重量部より少ない場合は、重合硬化が均一に起こらず、残留未反応モノマーの存在や重合不良等により十分な物理学的特性が得られない。また5重量部より多い場合は、重合硬化が速すぎるために単官能性重合性単量体の重合速度を制御できず、均一に成型できないことから、物理学的特性が低下し、すぐに硬化するという問題が発生する。
本発明のレジン人工歯に用いることができる(d)連鎖移動剤は特に限定されず、公知の化合物が何等制限なく使用することができる。連鎖移動剤を具体的に例示するとn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン化合物、リモネン、ミルセン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、β−ピネン、α−ピネンなどのテルペノイド系化合物、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。それらの中でもテルペノイド系化合物を用いることが好ましく、具体的にはα−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネンが特に好ましい。これら連鎖移動剤は、単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。更にγ−テルピネンが最も好ましい。
本発明の歯科用レジン歯に用いることができる連鎖移動剤の含有量は特に限定されないが、(a)50〜200℃の沸点を有する単官能性重合性単量体100重量部に対して、0.001〜3重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5重量部の範囲である。
連鎖移動剤の含有量が0.001重量部未満の場合は重合硬化速度を遅延させることができず、成形時にひずみが発生して局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良や発泡による気泡の混入を抑制することができない。一方3重量部以上の場合は重合硬化が進まず十分な物理学的特性を得ることができない。
本発明の歯科用レジン歯に用いることができる連鎖移動剤の含有量は特に限定されないが、(a)50〜200℃の沸点を有する単官能性重合性単量体100重量部に対して、0.001〜3重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5重量部の範囲である。
連鎖移動剤の含有量が0.001重量部未満の場合は重合硬化速度を遅延させることができず、成形時にひずみが発生して局所的な収縮、割れ、白濁、欠けなどの不良や発泡による気泡の混入を抑制することができない。一方3重量部以上の場合は重合硬化が進まず十分な物理学的特性を得ることができない。
また、本発明のレジン歯には、上記の(a)〜(f)の成分以外に、フュームドシリカに代表される賦形剤、2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾフェノンのような紫外線吸収剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2、5−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤、変色防止剤、抗菌材、着色顔料、その他の従来公知の添加剤等の成分を必要に応じて任意に添加することができる。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例にて調製したレジン人工歯の性能を評価する試験方法は次の通りである。
(1)クラック及び発泡確認試験
目的:レジン組成物の成形時におけるクラック、内部発泡、局所的な収縮の評価
方法:液材組成物と粉材組成物を各実施例の配合比にて混和し、その混和物をアルミ合金製金型(キャビティ部分:10mm×10mm×10mm)へ填入後、上からナイロンフィルムを挟み、アルミ合金製平板で圧接した。その後、熱プレス機(松風社製)を用いて、プレス圧2t、プレス板設定温度100℃、プレス時間10分で熱プレスを行い、10mm×10mm×10mmの硬化体を得た。
硬化体は目視において観察し、「クラック」もしくは「内部発泡」、「局所的な収縮」に関して4段階で評価し(◎:非常に良い、○:やや良い、△:少し問題があるが臨床的に問題がない、×:問題があり臨床的に使用できない)、◎〜△を良品とした。良品率は90部以上が望ましい。
目的:レジン組成物の成形時におけるクラック、内部発泡、局所的な収縮の評価
方法:液材組成物と粉材組成物を各実施例の配合比にて混和し、その混和物をアルミ合金製金型(キャビティ部分:10mm×10mm×10mm)へ填入後、上からナイロンフィルムを挟み、アルミ合金製平板で圧接した。その後、熱プレス機(松風社製)を用いて、プレス圧2t、プレス板設定温度100℃、プレス時間10分で熱プレスを行い、10mm×10mm×10mmの硬化体を得た。
硬化体は目視において観察し、「クラック」もしくは「内部発泡」、「局所的な収縮」に関して4段階で評価し(◎:非常に良い、○:やや良い、△:少し問題があるが臨床的に問題がない、×:問題があり臨床的に使用できない)、◎〜△を良品とした。良品率は90部以上が望ましい。
(2)表面硬度試験
目的:レジン組成物の成形時における表面硬度(物性)の評価
方法:上述の(1)クラック及び発泡確認試験で成型した硬化体の表面硬度をビッカース硬度計を用いて測定を行った。5点の表面硬度を測定し、平均値を算出した。レジン人工歯としては15以上、好ましくは18以上の硬度が適合範囲とする。
目的:レジン組成物の成形時における表面硬度(物性)の評価
方法:上述の(1)クラック及び発泡確認試験で成型した硬化体の表面硬度をビッカース硬度計を用いて測定を行った。5点の表面硬度を測定し、平均値を算出した。レジン人工歯としては15以上、好ましくは18以上の硬度が適合範囲とする。
本発明の実施例に使用した化合物および化合物の略号を以下に示す。
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体
MMA(メチルメタアクリレート) 沸点 101℃
NBMA:n−ブチル(メタ)アクリレート沸点 162℃
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー
PMMA(1)(ポリメチルメタクリレート粉末)平均粒子径(D50)50μm、重量平均分子量80万
PMMA(2)(ポリメチルメタクリレート粉末)平均粒子径(D50)100μm、重量平均分子量80万
PEMA:ポリエチルメタクリレート粉末 D50 平均粒子径 50μm、重量平均分子量80万
PMMA(3):ポリメチルメタクリレート粉末 D50 平均粒子径500μm、重量平均分子量200万
(c)重合開始剤
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
(d)連鎖移動剤
α-テルピネン
β-テルピネン
γ-テルピネン
リモネン
(e)(a)以外の重合性単量体
EMA:エチレングリコールジメタクリレート 沸点 260℃
(f)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー以外の充填材
FASG:フルオロアルミノシリケートガラス粉末 平均粒子系(D50)10μm
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体
MMA(メチルメタアクリレート) 沸点 101℃
NBMA:n−ブチル(メタ)アクリレート沸点 162℃
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー
PMMA(1)(ポリメチルメタクリレート粉末)平均粒子径(D50)50μm、重量平均分子量80万
PMMA(2)(ポリメチルメタクリレート粉末)平均粒子径(D50)100μm、重量平均分子量80万
PEMA:ポリエチルメタクリレート粉末 D50 平均粒子径 50μm、重量平均分子量80万
PMMA(3):ポリメチルメタクリレート粉末 D50 平均粒子径500μm、重量平均分子量200万
(c)重合開始剤
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
(d)連鎖移動剤
α-テルピネン
β-テルピネン
γ-テルピネン
リモネン
(e)(a)以外の重合性単量体
EMA:エチレングリコールジメタクリレート 沸点 260℃
(f)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー以外の充填材
FASG:フルオロアルミノシリケートガラス粉末 平均粒子系(D50)10μm
人工歯の作製方法は、表1記載の配合割合で、(a)(e)(d)を混合して、液成分とし、(b)(f)を混合して粉成分とする。液成分と粉成分とを表1記載の配合割合になるように混合し、人工歯形状の金型内に充填し、100度で1分間加熱する。冷却は放冷にて行い人工歯を得た。
実施例1、2は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー(ポリメチルメタクリレート粉末)の違いを検討したものであり、いずれのポリメチルメタクリレート粉末を用いてもクラック、発泡、局所的な収縮の問題となる不良は認められなかった。
また実施例3は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー(ポリメチルメタクリレート粉末)を複数種類組み合わせて添加した系であるが、発泡や局所的な収縮はわずかであり、クラックは認められなかった。
実施例4は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー(ポリメチルメタクリレート粉末)に(f)成分として(b)成分の非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー以外の充填材を添加したものであるが、発泡や局所的な収縮はわずかであり、クラックは認められなかった。
実施例2、5、8は連鎖移動剤の違いを検討したものであり、いずれの連鎖移動剤を用いてもクラックの発生および発泡は認められなかった。
また実施例3は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー(ポリメチルメタクリレート粉末)を複数種類組み合わせて添加した系であるが、発泡や局所的な収縮はわずかであり、クラックは認められなかった。
実施例4は(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー(ポリメチルメタクリレート粉末)に(f)成分として(b)成分の非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー以外の充填材を添加したものであるが、発泡や局所的な収縮はわずかであり、クラックは認められなかった。
実施例2、5、8は連鎖移動剤の違いを検討したものであり、いずれの連鎖移動剤を用いてもクラックの発生および発泡は認められなかった。
実施例6、7、8、9および比較例1は連鎖移動剤の添加量を検討したものである。実施例6、7、8、9はクラックの発生や局所的な収縮はわずかに認められた程度であったが、比較例1の場合、(d)連鎖移動剤が添加されていなかったため、内部発泡が多数認められた。
実施例10および11は単官能性重合性単量体に(e)成分として(a)成分以外の重合性単量体を添加した系である。いずれの場合においてもクラックの発生および局所的な収縮はわずかに認められた程度であった。
実施例12、13は液材組成物と粉材組成物の配合比を検討したものである。実施例12は発泡がわずかに認められた程度であった。実施例13においては問題なく成型できていたことを確認した。
実施例1から13及び比較例1の表面硬度(物性)に関しては、(d)連鎖移動剤が(a)成分100重量部に対して3重量部添加している実施例9で表面硬度が少し低下する傾向が認められたものの、その低下は問題ないレベルであると考えられたため、連鎖移動剤の添加の有無による表面硬度(物性)への影響はなかったと判断できた。
比較例2は、実施例の成分組成のうち、(a)成分をすべて(e)成分に置換したものである。比較例2は明らかにクラックや局所的な収縮が発生していることを確認した。
Claims (5)
- レジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマー
(c)重合開始剤
(d)連鎖移動剤
を含むことを特徴とするレジン人工歯。 - レジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体を10〜70重量部、
(b)非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーを30〜90重量部、
(c)重合開始剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.1〜5重量部、
(d)連鎖移動剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.001〜1重量部を含むことを特徴とする請求項1記載のレジン人工歯。
- 前記(d)連鎖移動剤がテルペノイド系化合物であることを特徴とする請求項2記載のレジン人工歯。
- レジン人工歯であって、
(a)50〜200℃までの沸点を有する単官能性重合性単量体であるメチルメタクリレートを10〜70重量部、
(b)重量平均分子量が10〜150万であって、平均粒子径が5〜150μmの非架橋性(メタ)アクリレート系ポリマーであるポリメチルメタクリレートを30〜90重量部、
(c)重合開始剤は単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.1〜5重量部、
(d)連鎖移動剤であるγ−テルピネンを単官能性重合性単量体を100重量部に対して0.001〜1重量部を含むことを特徴とする請求項3記載のレジン人工歯。
- 請求項1〜4記載のレジン人工歯の製造方法において、加熱加圧条件下によりレジン層を順次、重合硬化させて積層していくことを特徴とするレジン人工歯の製造方法。
Priority Applications (11)
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