JP2016013938A - 赤外線透過材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外域透過特性、赤外域屈折性、モールド成形可能性及び耐湿性のいずれの特性にも優れている、新たな赤外線透過材料を提供する。
【解決手段】Tl、S及びIを含む単結晶体又は多結晶体からなる赤外線透過材料、例えば式:Tl4+2xx4(式中、x=0.95〜1.10)で表すことができる単結晶体又は多結晶体からなる赤外線透過材料を提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、温度計測装置、火災検知装置、人体検知装置、サーモグラフィー、赤外線カメラ、赤外線レーザーシステムなど、赤外線を使用する各種機器乃至装置に用いられるレンズ・ミラー・フィルタ・プリズムなどを構成する材料として用いることができる赤外線透過材料に関する。
赤外線は、温度計測装置、火災検知装置、人体検知装置、サーモグラフィー、赤外線カメラ、赤外線レーザーシステムなどの機器乃至装置に広く利用されている。これらの機器乃至装置には、赤外線を透過する材料が必須である。
この種の用途に用いることのできる赤外線透過材料としては、例えばSi,Ge,ZnS、ZnSe、KRS-5(TlIとTlBrの固溶体)、CaF2およびAl23等の単結晶の他、カルコゲナイドガラス、フッ化物ガラスならびにGeO2系ガラスなどが知られている。
Geに関しては、例えば特許文献1において、ゲルマニウムのみからなる赤外線ズームレンズが開示されている。
カルコゲナイドガラスに関しては、例えば特許文献2において、赤外線透過性に優れたカルコゲナイドガラスとして、Geを2〜22%、Sb又はBiを6〜34%、Sn又はZnを1〜20%、S、Se又はTeを58〜70%含有するカルコゲナイドガラスが開示されている。
また、特許文献3には、硫化亜鉛(ZnS)やシリコン(Si)からなる赤外線透過レンズ基材に、カルコゲナイドガラスをモールドプレス成形により、一体化してなる赤外線ハイブリッドレンズが開示されており、特許文献4には、ゲルマニウムを主成分とするレンズと共に、硫黄・セレン・テルルなどを主成分とするカルコゲナイドガラスからなるレンズが開示されている。
特開2011−186071号公報 特開2009−161374号公報 特開2006−220705号公報 特開2014−2182号公報
Sandy L.Nguyen.「Photoconductivity in TI6SI4:A Novel Semiconductor for Hard Radiation Detection」.CHEMISTRY OF MATERIALS,2013.25,P2868-2877
赤外線透過材料を用いて光学レンズを工業的に製造する際、その赤外線透過材料には、1)波長域:λ=0.78μm〜14μmにおける優れた赤外域透過特性、2)波長域:λ=0.78μm〜14μmでの屈折率が2.0〜4.0程度である赤外域屈折性、3)融点が600℃以下であることが求められるモールド成形可能性、さらには4)吸湿によって赤外線透過性が劣化しない耐湿性などの特性が求められる。
しかしながら、赤外線透過材料として従来提案されている材料は、前記1)〜4)の全ての特性を満足するものではなかったため、工業的に利用するには課題を抱えていた。
例えばGeは、原料コストが高い上、融点が938℃と高くモールド成形が困難であるという問題を抱えていた。
ZnSは、透過波長域が8μm〜13μmと狭いばかりか、融点が1700℃と高く、しかも1180℃で昇華してしまうため、モールド成形は困難であった。
カルコゲナイドガラスは、Geを含むため、原料コストが高くなるばかりか、透過波長域が8μm〜12μmと狭いという課題を抱えていた。
また、低融点の赤外透過材料として知られているKRS−5(TlIとTlBrの固溶体)は、極めて脆いばかりか、吸湿によって赤外線透過性が劣化してしまうという課題を抱えていた。
そこで本発明は、赤外域透過特性、赤外域屈折性、モールド成形可能性及び耐湿性のいずれの特性にも優れている、新たな赤外線透過材料を提供せんとするものである。
本発明は、Tl、S及びIを含む単結晶体又は多結晶体からなる赤外線透過材料、例えば式:Tl4+2xx4(式中、x=0.95〜1.10)で表すことができる単結晶体又は多結晶体からなる赤外線透過材料を提案する。
本発明が提案する赤外線透過材料は、赤外域透過特性、赤外域屈折性、モールド成形可能性及び耐湿性のいずれの特性にも優れているから、例えば赤外線透過モールドレンズの材料として特に優れている。
なお、非特許文献1には、Tl6SI4について記載されているが、X線を直接電気信号に変換できる作用乃至効果が記載されているだけであり、赤外領域の光線透過性については何ら記載されていない。
a)は実施例1においてゾーンメルトで得た結晶体の粉末X線回折測定によるXRDプロファイルであり、b)は実施例1で最終的に得た精製結晶体の粉末X線回折測定によるX線プロファイルであり、c)は実施例2で最終的に得た単結晶体の粉末X線回折測定によるX線プロファイルである。 実施例1で最終的に得た精製結晶体の単結晶X線回折測定によるX線回折パターンである。 実施例1で最終的に得た精製結晶体の中赤外域〜遠赤外域での赤外域外部透過率を示した図である。 実施例2で最終的に得た精製結晶体の単結晶X線回折測定によるXRD回折パターンである。 実施例2で最終的に得た精製結晶体の中赤外域〜遠赤外域での赤外域外部透過率を示した図である。 KRS−5の耐湿性試験前後の中赤外域〜遠赤外域での赤外域外部透過率を示した図である。 実施例1で得られたTl6SI4多結晶体の耐湿性試験前後の中赤外域〜遠赤外域での赤外域外部透過率を示した図である。 実施例1で得られたTl6SI4多結晶体の可視光域〜中赤外域での外部透過率を示した図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本赤外線透過材料>
本発明の実施形態の一例に係る赤外線透過材料(以下「本赤外線透過材料」と称する)は、Tl、S及びIを含む単結晶体又は多結晶体からなるものである。
本赤外線透過材料は、Tl、S及びIを含む単結晶体又は多結晶体であればよいから、Tl、S及びI以外の成分を含んでいてもよい。但し、Tl、S及びIが主成分であるのが好ましく、Tl、S及びIが96質量%以上、中でも99質量%以上、その中でも99.99質量%以上(100質量%を含む)を占めるものが特に好ましい。
なお、Tl、S及びIを含む単結晶体と、Tl、S及びIを含む多結晶体とを比較すると、内部透過率の点で単結晶体の方が優れているものの、赤外域透過特性、赤外域屈折性、硬度特性、モールド成形性、耐湿性などの点では遜色ないことが確認されている。
本赤外線透過材料は、式:Tl4+2xx4(式中、x=0.95〜1.10)で表すことができる単結晶体又は多結晶体であるのが好ましい。
式:Tl4+2xx4(式中、x=0.95〜1.10)で表すことができる単結晶体又は多結晶体は、波長域:λ=0.78μm〜37μmにおける優れた赤外域透過特性と、波長域:λ=0.78μm〜14μmの屈折率が2.0〜4.0であるという優れた赤外域屈折性と、優れた硬度特性と、融点が440℃であってモールド成形可能である特性と、を有しているばかりか、吸湿によって赤外線透過性が劣化しない耐湿性をも備えており、赤外線透過材料として特に優れている。
なお、式:Tl4+2xx4で表すことができる単結晶体又は多結晶体において、化学量論組成(stoichiometry)であるx=1.0から所定の範囲内、すなわちx=0.95〜1.10に制御することは簡単なことではない。後述するように、ゾーンメルト精製(帯域精製)では、ヨウ化タリウムが蒸発して再混入することによってヨウ化タリウムリッチになり易いため、後述するような特別な工夫が必要である。例えば、帯溶融精製において、アンプル内を不活性ガス雰囲気とすると共に、加熱温度をできるだけ低温、具体的には440〜450℃にすることで、ヨウ化タリウムの蒸発を抑制しつつ、精製回数を少なくとも50回以上行った後、純度の高い先端部のみ取り出し、再度別のアンプルに入れて、さらに50回以上の精製を行うようにするなどの工夫が必要である。
本赤外線透過材料は、式:Tl4+2xx4(式中、x=0.95〜1.10)で表すことができる結晶構造からなる単相のものであっても、TlS、TlIなどの結晶構造からなる異相を含むものであってもよい。但し、前記単相のものが好ましい。
(純度)
本赤外線透過材料は、その純度が2N以上であるのが好ましく、中でも4N以上、その中でも6N以上であるのが特に好ましい。
本赤外線透過材料の純度を上記の如く高めて不純物濃度を下げるためには、例えば、後述するように、帯溶融精製において、アンプル内を不活性ガス雰囲気とすると共に、加熱温度をできるだけ低温、具体的には440〜450℃にすることで、ヨウ化タリウムの蒸発を抑制しつつ、精製回数を少なくとも50回以上行った後、純度の高い先端部のみ取り出し、再度別のアンプルに入れて、さらに50回以上の精製を行うようにするのが好ましい。但し、この方法に限定するものではない。
<本赤外線透過材料の特性>
本赤外線透過材料は、λ=0.78μm〜37μmにおいて、優れた赤外域透過特性を有し、且つ、λ=0.78μm〜14μmでの屈折率を2.0〜4.0とすることができ、しかも、吸湿によって赤外線透過性が劣化しない耐湿性にも優れている。
よって、温度計測、火災検知、人体検知、サーモグラフィー、赤外線カメラ用レンズ、赤外線レーザーシステム、さらに光通信分野、暗視分野、組成イメージングシステム分野、高感度ガスセンシング分野などで用いられる赤外線透過材料として有用である。
また、本赤外線透過材料は、融点が390〜450℃なのでモールド成形可能である。
モールド成形可能であるから、球面レンズ、非球面レンズ、レンズアレイ、マイクロレンズアレイ、回折格子などの光学素子を容易に作製することができる。
<製造方法>
本赤外線透過材料の製造方法の一例として、所定量のTlI粉末と、所定量のTl2S粉末とを混合し、混合物をガラス管内に封入し、加熱して真空溶融させてTl−S−I化合物を合成し、得られた合成物に対して所定の精製を行い、得られた精製結晶体を再びガラス管内に封入してゾーンメルト精製(帯域精製)することで、多結晶体からなる本赤外線透過材料(「本赤外線透過多結晶体」)を得る方法を挙げることができる。
そして必要に応じてさらに、このようにして得られた本赤外線透過多結晶体を用いて結晶育成を行い、必要に応じて研磨して、単結晶体からなる本赤外線透過材料(「本赤外線透過単結晶体」)を得ることができる。
原料としては、単相のTlI及び単相のTl2Sを、それぞれ製造するか或いは購入して用意し、これらを原料として用いて製造するのが好ましい。
この際、TlI及びTl2Sのいずれかが異相を有するものであると、製造される単結晶体も異相を有するものとなる可能性が高くなり、好ましくない。
Tl−S−I化合物を合成する際の密閉管内の雰囲気としては、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気が好ましく、その際の加熱温度としては、原料及び製造物の融点以上であるのが好ましい。かかる観点から、440℃以上、中でも500℃以上、その中でも550℃以上であるのが特に好ましい。上限温度は、装置や原料の量などに応じて異なるが、目安としては、700℃以下、中でも650℃以下であるのがさらに好ましい。加熱時間は、数分以上、好ましくは6時間以上で加熱温度により適宜調整するのが好ましい。
精製方法としては、Tl−S−I化合物をアンプルに入れて、アルゴンなどの不活性雰囲気として密封し、このアンプルを、移動型ヒーターで周囲から加熱するゾーンメルト精製(帯域精製)を繰り返し行うのが好ましい。
ゾーンメルト精製(帯域精製)においては、帯溶融精製の際の温度をできるだけ低温、具体的には440〜450℃にすることで、ヨウ化タリウムの蒸発を抑制しながら、精製回数を少なくとも50回以上行った後、純度の高い先端部のみ取り出し、再度別のアンプルに入れて、さらに50回以上の精製を行うのが好ましい。なお、帯溶融精製の際の温度が440℃より低いと精製効果を得られ難くなり、450℃より高いと分離する可能性があるから、440〜450℃程度が好ましい。
これにより、ヨウ化タリウムの蒸発を抑制することができ、しかも、蒸発したヨウ化タリウムが再混入することを抑制することができる。
結晶育成方法は、単結晶を育成できる方法であれば任意である。例えば、チョクラルスキー法(CZ法)、徐冷法(GE法)、水平ブリッジマン法(HB法)、垂直ブリッジマン法(VB法)、トラベリングヒーター法(THM法)などを挙げることができる。
研磨法も任意であり、例えば研磨紙による研磨や、湿式研磨を適宜採用すればよい。
<語句の説明>
本発明において、「赤外線」とは、波長では0.78μm〜1000μmの範囲に分布する、近赤外線(0.78〜2.0μm)、中赤外線(2.0〜4.0μm)及び遠赤外線(4.0〜1000μm)を包含する。
本発明において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳述する。
〔実施例1〕
<サンプルの作製>
1) TlI単相(4N)粉末37.5と、Tl2S単相(4N)粉末12.5gとの混合物を、ガラス管に入れた後、0.5atmのアルゴン雰囲気として、該ガラス管を密閉した。
2) 1)で密閉したガラス管を、600℃で6時間加熱して、ガラス管内でTl−S−I化合物を合成した。
3) 2)において合成したTl−S−I化合物に対して、移動型ヒーターを用いて440℃のゾーンメルト精製(帯域精製)を繰り返し50回行い、精製した部分を取り出して結晶体を得た。
4) 3)で得られた結晶体をメノウ乳鉢で粉砕し、得られた粉末の粉末X線回折測定(XRD測定)をRINT-TTR III(株式会社リガク製)により行った。測定にはCuKα線を用い、加速電圧は50kV、印加電流は300mAとした。図1(a)に評価結果を示した。測定結果より、当該粉末がTl6SI4構造のピークを示すことを確認した。
5) 4)で得られた粉末、すなわちTl6SI4粉末10.0gをガラス管に入れた後、0.5atmのアルゴン雰囲気として、該ガラス管を密閉した。
6) 5)で密閉したガラス管を、移動型ヒーターを用いて440℃のゾーンメルト精製(帯域精製)を繰り返し50回行い、純度の高い先端部のみ取り出して精製結晶体(サンプル)を得た。
<サンプル(精製結晶体)の評価>
上述の方法で得られた精製結晶体を、粒度0.3μmのラッピングフィルムで研磨した後、次のように単結晶X線回折、赤外域透過率、屈折率及びビッカース硬度を評価した。また、結晶体をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末X線回折測定(XRD測定)を行った。得られた精製結晶体の純度は6Nであった。
(単結晶X線回折)
単結晶X線回折は、Smart Lab X-RAY DIFFRACT METER(株式会社リガク製)を用いて行った。測定にはCuKα線を用い、加速電圧は40kV、印加電流は30mAとした。
X線回折パターンを図2に示した。測定結果からは、ストリークの見られるプロファイルが確認され、上記で得られた精製結晶体は多結晶体であることが分かった。
(屈折率)
屈折率は、ESM-300(J.A.Woolam社製)を用いて、可視波長域で評価し、赤外波長域に外挿することで導出した。
導出の結果、波長10μmにおける屈折率外挿値は2.37であった。
(赤外域外部透過率)
赤外域外部透過率はVertex70v(Bruker社製)を用いて測定し、測定結果を図3に示した。この測定結果から、上記精製結晶体は、測定波長2.5μm〜25μmの範囲で優れた赤外域透過特性を有することが分かった。
赤外域外部透過率の測定結果に関して、以下の手法により赤外域内部透過率に変換し、結晶体内部での透過損失の大きさを評価した。
先ず、結晶体表面における反射率Rを、フレネルの式(1)を用いて計算した。ここで、nは屈折率を示す。
(1)・・・R={(n-1)/(n+1)}2
次いで、結晶体の表面と裏面で生じる多重反射を考慮することで、結晶全体の反射損失割合Rlossを計算し、さらに、内部透過率%Tiと外部透過率%Toの関係式(2)より外部透過率を内部透過率に変換した。
(2)・・・%Ti=%To/(1−Rloss
また、得られた内部透過率は、ランベルト・ベールの式(3)を用いて、厚さ2mmでの値に変換した。ここで、κは吸収係数、tは厚さを示す。内部透過率を見積もった結果、波長10μmにおいて内部透過率は96.4%と計算され、結晶体内部での透過損失を抑制できていることが分かった。
(3)・・・%Ti=exp(−κt)
(ビッカース硬度)
ビッカース硬度は、MICRO HARDNESS TESTER MHT2(マツザワ社製)を用いて測定した。
測定した結果、上記精製結晶体の硬度はHv=61kg/mm2であることが分かった。
(粉末XRD測定)
粉末XRD測定は、RINT-TTR III(株式会社リガク製)を用いた。測定にはCuKα線を用い、加速電圧は50kV、印加電流は300mAとした。X線プロファイルを図1(b)に示した。
XRD測定した結果、単相のTlSIであることが分かった。
〔実施例2〕
<サンプルの作製>
1) 実施例1の4)で得られたTl6SI4粉末10.0gをガラス管に入れた後、0.5atmのアルゴン雰囲気として、該ガラス管を密閉した。
2) 1)で密閉したガラス管を、移動型ヒーターを用いて440℃のゾーンメルト精製(帯域精製)を繰り返し50回行い、精製した部分を取り出して精製結晶体を得た。
3) 2)で得られた精製結晶体を、トラベリングヒーター法(THM法)により、加熱温度440℃、育成速度5mm/時間で結晶育成して単結晶体(サンプル)を得た。
<サンプル(単結晶体)の評価>
上述の方法で得られた単結晶体を、粒度0.3μmのラッピングフィルムで研磨した後に、実施例1と同様に、単結晶X線回折、赤外域透過率、屈折率及びビッカース硬度を評価した。また、前記単結晶体をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末X線回折測定(XRD測定)を行った。
得られた単結晶体の純度は6Nであった。
実施例1と同様に単結晶X線回折を行い、X線回折パターンを図4に示した。この測定結果からはスポットが確認され、単結晶体であることが分かった。
実施例1と同様に屈折率を測定し、導出の結果、波長10μmにおける屈折率外挿値は2.37であった。
実施例1と同様に赤外域外部透過率を測定し、測定結果を図5に示した。この測定結果からは、当該結晶体が測定波長2.5μm〜25μmで優れた赤外域透過特性を有することが分かった。また、赤外域外部透過率の測定結果に関して、実施例1と同様に赤外域内部透過率に変換し、結晶体内部での透過損失の大きさを評価した結果、波長10μmにおける内部透過率は99.8%と計算され、結晶体内部での透過損失を抑制できていることが分かった。
実施例1と同様にビッカース硬度を測定した結果、硬度はHv=61kg/mm2であることが分かった。
実施例1と同様に粉末XRD測定をした結果、実施例2で得た単結晶体のX線プロファイルを図1(c)に示した。このようにXRD測定した結果、単相のTlSIであることが分かった。
[実施例3・4]
<サンプルの作製>
実施例3では、原料の混合量を、TlI単相(4N)粉末37.9gと、Tl2S単相(4N)粉末12.1gとに変更した以外、実施例1と同様にして精製結晶体を得た。
実施例4では、原料の混合量を、TlI単相(4N)粉末36.8gと、Tl2S単相(4N)粉末13.2gとに変更した以外、実施例1と同様にして精製結晶体(サンプル)を得た。
<サンプル(精製結晶体)の評価>
上記実施例3・4で得られた精製結晶体(サンプル)を、粒度0.3μmのラッピングフィルムで研磨した後に、実施例1と同様に、赤外域透過率及び屈折率を評価した。また、前記精製結晶体をメノウ乳鉢で粉砕し、実施例1と同様に粉末X線回折測定(XRD測定)を行った。さらに、ICP発光分析法により粉末の組成分析を行った。
実施例3、4で得られた精製結晶体の純度はいずれも6Nであった。
なお、ICP発光分析法では、塩酸と硝酸の混合物中でサンプルを溶解し、適宜希釈した後、ICP発光分析装置により液中のTl、S、Iの定量を行った。粉末の重量と希釈率により、粉末のTl、S、I組成(重量%)を算出した。
上記評価の結果、屈折率の評価結果からは、実施例3・4いずれのサンプルについても、屈折率は波長10μmにおいて2.37と導出された。
赤外域外部透過率の評価結果からは、実施例3・4いずれのサンプルについても、測定波長2.5μm〜25μmで優れた赤外域透過特性を有することが確認された。
また、赤外域内部透過率を計算した結果、波長10μmにおける赤外線内部透過率は、実施例3では95.8%、実施例4では96.1%と計算された。このため、実施例3・4のいずれのサンプルも結晶体内部での透過損失を抑制できることが分かった。
粉末X線回折測定(XRD測定)結果からは、実施例3・4のいずれのサンプルも、単相のTlSIであることが分かった。
また、ICP発光分析法に結果、各Tl、S、I組成値から、式:Tl4+2xx4におけるxを算出した結果、実施例3ではx=0.96であり、実施例4ではx=1.08であることが確認された。
実施例3及び4のように、Tl6SI4の化学量論組成比からTl2Sリッチ側及びTl2Sプア側に組成をずらして多結晶体及び単結晶体を製造して評価した結果、少なくとも組成式:Tl4+2xx4(0.95≦x≦1.10)で表わされる単結晶体及び多結晶体であれば、遠赤外線透過材料として有効であることが分かった。
〔参考試験〕
KRS−5(ピアーオプチクス社製 品番S5/13-2)と、実施例1で得られたTl6SI4多結晶体の耐湿性に関して、以下の工程1)と2)に示す加速劣化試験により評価した。
1) サンプル(KRS−5)及び実施例1で得られたTl6SI4の多結晶体を、各々1cm角、厚み2mm程度に形成して、水50mLで満たされたビーカー中に浸漬し、超音波を15分間照射した。
2)1)の加速劣化試験後のサンプルの赤外域外部透過率を評価し、試験前後での赤外透過特性の変化を評価した。
赤外域外部透過率の測定は、Vertex70v(Bruker社製)を用いて行った。
図6にKRS−5の測定結果を示した。測定結果からは、KRS−5が耐湿性試験の実施により、波長2.5μm〜14μmにおいて、透過率が著しく低下していることが分かった。
他方、図7には、実施例1で得られたTl6SI4多結晶体の測定結果を示した。この測定結果からは、透過率の低下が見られず、Tl6SI4多結晶体は、KRS−5に比べて耐湿性に優れていることが確認できた。
また、劣化率は、波長域8〜14μmにおいて、KRS−5では20%以上、Tl6SI4多結晶体では2%以下であることが確認された。
ここで、劣化率は以下の式を用いて計算した。
劣化率(%)=[1−(耐湿試験後の外部透過率/耐湿試験前の外部透過率)]×100
〔追加試験〕
実施例1で得られた精製結晶体、すなわちTl6SI4多結晶体について、可視光域〜中赤外域での透過特性を、U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて評価した。
図8に可視光域〜中赤外域での透過特性の測定結果を示した。この測定結果から、当該材料が、波長0.6μm付近に吸収端を持つ一方で、波長0.78μmから2.5μmまでの近赤外域〜中赤外域では、図3に示す中赤外域から遠赤外域での透過率と同等の高い透過率を示すことが確認できた。
以上の評価結果から、Tl6SI4が、近赤外線透過材料としても有効であることが確認された。

Claims (3)

  1. Tl、S及びIを含む単結晶体又は多結晶体からなる赤外線透過材料。
  2. 式:Tl4+2xx4(式中、x=0.95〜1.10)で表すことができる単結晶体又は多結晶体からなる請求項1記載の赤外線透過材料。
  3. 単相のTlI及び単相のTl2Sを原料として製造される請求項1又は2に記載の赤外線透過材料。

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