JP2016012592A - 太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシート - Google Patents

太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシート Download PDF

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Abstract

【課題】過酷な環境下にも耐え得る強度な接着性を有し、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下における接着性の低下をほとんど引き起こさず、多様な封止材に対しても良好な接着性を有し、かつ太陽電池モジュール作製工程でのフィルムハンドリング時におけるコート層の粉落ちを抑制できる太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】少なくとも片面に塗布層を有する基材厚みが20〜500μmのポリエステルフィルムであって、前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を主成分とする太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシートに関する。詳しくは、太陽電池用バックシートの封止剤に接する面に用いた際に、高温高湿下においても封止剤との接着に優れ、かつ太陽電池モジュール作製工程でのフィルムハンドリング時におけるコート層の粉落ちを抑制できるポリエステルフィルム、およびそれを用いたバックシートに関する。
近年、地球温暖化の原因となる石油エネルギーに代わる、エネルギー手段として、太陽電池が注目を浴びており、その需要が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムであり、太陽電池素子として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体や、化合物系、あるいは有機物系色素など使用されている。このような太陽電池素子単体を一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長期間(約20年以上)に亘って素子を保護するため種々のパーケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼ぶ。
ここで、太陽電池モジュールは、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、太陽電子素子を封止材で間隙を埋め、裏面をバックシートと呼ばれる耐熱、耐候性プラスチック材料などの複数の層構成からなる保護シートで保護された構成になっている。
太陽電池素子を充填する封止材としてはエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、EVA)やポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB)などのオレフィン系樹脂が用いられる。これらの封止材を用い、上記ガラス基板/封止材/太陽電池素子/封止材/バックシートの構成で重ね合わせ、真空ラミネーターなどで加熱圧着することによりモジュールが作製される。封止材には、太陽電池素子を接着固定するとともに、外部からの湿気の侵入を防ぎ、太陽電池素子を保護する役割がある。
太陽電池用バックシートとしては、太陽電池素子側(封止材側)からポリエステルフィルム/接着剤/ポリエステルフィルム(着色)/金属、または、金属酸化物系薄膜層(防湿層)/接着剤/フッ素フィルム(防汚層)などの積層構成を有したものが提案されている。バックシートには太陽電池素子を外部の湿気や汚染から長期にわたり、保護する役目がある。そのため、封止材と直接的に接する太陽電池素子側のポリエステルフィルムと封止材との接着性は重要である。しかしながら、表面未処理のポリエステルフィルムでは、十分な接着性が得られず、改善することが求められている。ポリエステルフィルムの接着性を改善させる方法として、樹脂や架橋剤を含む接着層を設けることが提案されている(特許文献1〜5)。
特開2006−152013号公報 特開2006−332091号公報 特開2007−48944号公報 特開2007−136911号公報 特許第4803317号公報
屋外で過酷な環境条件下で使用される太陽電池モジュールは、20年以上の長寿命化が期待されている。そのため、部材として用いられる封止材易接着フィルムにおいても、初期接着性だけでなく、高温高湿下でも長期間、接着性を保持することが必要であると考えられた。しかしながら、上記特許文献に開示されるような太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムは、いまだ接着性が不十分であり、特に高温高湿下の長期間の使用においては接着強度の低下は避けられないものであった。
加えて、封止材には、生産性の向上や劣化防止の観点から架橋剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含む多様な組成物種が用いられるようになってきた。また、用いる封止材により多様なパッケージング工程が採用されるようになってきている。例えば、スタンダードキュアタイプとされる封止材では、加熱圧着(例えば90〜130℃で5〜10分)の仮接着後に熱処理(例えば140〜160℃で30〜50分)を行い、ゆっくりと封止材を硬化させる接着条件が採用される。一方、ファストキュアタイプとされる封止材では、短時間で加熱圧着(例えば140〜160℃で15〜20分)を行い、急速に封止材を硬化させる接着条件が採用される。そのため、多様な封止材に対しても同程度の接着性を示す汎用性の高さだけでなく、多様な接着条件にも対応し得る汎用性の高い易接着性フィルムが求められている。
また、太陽電池モジュール作製時に、封止材との密着性を有するコート層の粉落ちが発生する場合、太陽電池モジュールの汚染、外観不良が発生し歩留まりが低下する場合があった。例えば、ハンドリング時にコート層と封止材の摩擦により、コート層の樹脂、粒子が脱落することで太陽電池セルラミネート時に樹脂と粒子の凝集物が封止材中にトラップされることがあった。
本発明は上記課題に鑑み、過酷な環境下にも耐え得る強度な接着性を有し、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下における接着性の低下をほとんど引き起こさず、多様な封止材に対しても良好な接着性を有し、かつ太陽電池モジュール作製工程でのフィルムハンドリング時におけるコート層の粉落ちを抑制できる太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを提供するものである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤、好ましくはブロックイソシアネート架橋剤を主成分とする塗布層を用いることにより、各種封止材・接着条件を用いる場合であっても過酷な環境下にも耐え得る強度な接着性を奏し、高温高湿下でも優れた接着性を奏し、且つ、太陽電池モジュール作製工程でのフィルムハンドリング時におけるコート層の粉落ちを抑制できることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 少なくとも片面に塗布層を有する基材厚みが20〜500μmのポリエステルフィルムであって、前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を主成分とする太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
2. 前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分及びイソシアヌレート環由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が1.56〜2.30である上記第1に記載の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
3. 前記イソシアネート架橋剤の親水成分としてポリオキシアルキレン基含有化合物、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸のいずれかを含む上記第1または第2に記載の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
4. エチレン酢酸ビニル共重合体もしくはポリビニルブチラール樹脂を主成分とする封止材の積層に用いる上記第1〜第3のいずれかに記載の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
5. 上記第1〜第4のいずれかに記載する太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを最表層に積層した太陽電池用バックシート。
6. 上記第5に記載する太陽電池バックシートの塗布層面に封止材を積層してなる太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムは多様な封止材・接着条件であっても強固な接着性を奏し、特に、高温高湿下での接着性(耐湿熱性)に優れ、ハンドリング時のコート層粉落ちを抑制できる。本発明の好ましい実施態様としては、本発明の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムをバックシートの部材として用いた場合、封止材との接着性が良好である。
(ポリエステルフィルム)
本発明で基材を構成するポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したポリエステル樹脂などを用いることができる。
本発明で好適に用いられるポリエステル樹脂は、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする。これらのポリエステル樹脂の中でも、物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。また、これらのポリエステルフィルムは二軸延伸することで耐薬品性、耐熱性、機械的強度などを向上させることができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、単層のポリエステルフィルムであっても良いし、最外層と中心層を有する、少なくとも3層からなるポリエステルフィルムであっても良い。
本発明において3層構成とする場合、最外層(上記2種3層の場合はA層)に粒子を含有し、中心層(上記2種3層の場合はB層)には実質的に粒子を含まなくてもよい。A層に粒子を含有させるのが好ましいとした理由は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池用の部材とした場合、金属、または、金属酸化物系薄膜層や塗布層等の防湿機能層、防汚機能層などを積層するなど後加工工程でのハンドリング性を向上させるためである。最外層に粒子を添加する場合は、加工性に適した十分なハンドリング性が得られる。
また、B層には実質的に粒子を含まないことが好ましいとした理由は、滑剤粒子、特に無機粒子の凝集体による突起の生成確率を低減させるためである。また係る構成をとることで、透明性の高いフィルムを得ることができ、シースルー型太陽電池など透明性が求められる分野にも好適である。
なお、「不活性粒子が実質上含有されていない」とは、例えば、無機粒子の場合、蛍光X線分析で粒子に由来する元素を定量分析した際に、50ppm未満、好ましくは10ppm未満、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に粒子を添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
これらの各層には、必要に応じて、ポリエステル中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが挙げられる。
最外層に含まれる粒子の種類及び含有量は、無機粒子であっても、有機粒子であってもよく、特に限定されるものではないが、シリカ、二酸化チタン、タルク、カオリナイト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウムなどのポリエステルに対し不活性な無機粒子が例示される。これらの不活性な無機粒子は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
前記の粒子は、平均粒子径が0.1〜3.5μmであることが好ましい。前記平均粒子径の下限は、0.5μmがより好ましく、0.8μmがさらに好ましく、1.0μmがよりさらに好ましい。また、前記平均粒子の上限は、3.0μmであることがより好ましく、2.8μmであることがよりさらに好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では十分なハンドリング性が得られない。3.5μmを越えると粗大突起が生成しやすくなる。
また、これらの粒子は多孔質粒子、特に多孔質シリカが好ましい。多孔質粒子はフィルム製膜工程での延伸時に扁平型に変型しやすく、透明性の低下が小さいため、好ましい。
最外層の無機粒子の含有量は最外層を構成するポリエステルに対し、0.01〜0.20質量%であることが好ましい。前記濃度の下限は、0.02質量%がより好ましく、0.03質量%がさらに好ましい。また前記濃度の上限は、0.15質量%がより好ましく、0.10質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満では十分なハンドリング性が得られない。0.2質量%を越えると透明性が低下し、好ましくない。
前記粒子の平均粒子径の測定は下記方法によって求めることができる。
粒子を電子顕微鏡または光学顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(多孔質シリカの場合は凝集体の粒径)を測定し、その平均値を平均粒子径とする。また、積層フィルムの被覆層中の粒子の平均粒子径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、粒子の最大径を求めることができる。
ポリエステルに上記粒子を配合する方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用いエチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行うことができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの厚みは20〜500μmであり、より好ましくは25〜450μmであり、さらに好ましくは30〜300μmである。基材厚みが薄いと、熱収縮の影響が大きく、高温高湿処理後の接着性が低下する場合がある。厚いとロールとして巻き取りができなくなってしまう。
(塗布層)
本発明の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムには、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を主成分とした塗布層が形成されていることが好ましい。そして、前記塗布層の赤外分光法による測定で、脂肪族系ポリカーボネート成分及びイソシアヌレート環由来の成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が1.56〜2.30であることが特に好ましい。ここで、「主成分」とは、塗布層に含まれる全固形成分中として50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することを意味する。上限はもちろん100質量%であるが、95質量%以下でも構わない。
上記特許文献1〜4のように、従来の技術常識では塗布層の耐久性を向上させる点からは塗布層形成において架橋構造を積極的に導入し、剛直で強硬な塗布層にすることが望ましいと考えられていた。また、特許文献5では脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂を赤外分光法による吸光度を一定の範囲に制御することで、強固な接着性を奏し、かつ高温高湿熱下での接着性を向上させる効果を提案している。
本発明では脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を主成分とする塗布層を積層し、特に好ましくは、赤外分光法による測定で、脂肪族系ポリカーボネート成分及びイソシアヌレート環由来の成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が1.56〜2.30とすることで、近年の太陽電池モジュール生産量増加に伴う歩留まり向上の要求に対応できる耐粉落ち性の良好な太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを提供できるものである。このような構成により、密着性を維持しつつ耐粉落ち性を向上させることの機序はよくわからないが、本発明者は次のように考えている。
例えば、モジュールのパッケージングに際して、ガラス基板/封止材/塗布層を有するポリエステルフィルム(塗布層)を積層した構成で高温での加熱圧着が行われる。この際、高温接着時のフィルムの熱収縮により、フィルム(塗布層)と封止材の間に応力が生じる。特に、係る応力の発生も多様な封止材の種類・接着条件によって変化しうる。特に、高い温度が長時間かかるスタンダードキュアタイプでは熱収縮に伴う応力変化が大きくなる。その結果、上記応力が緩和し切れず、封止材との接着性が低下すると考えられた。さらに、係る積層体を高温高湿下においた場合、加水分解により、塗布層の劣化が進行する。その結果、上記応力に耐え切れず、封止材が剥離し、高温高湿下での接着性が低下すると考えられた。そのため、封止材との強固な密着性や高温高湿下での接着性を高度に保持するためには、単に塗布層を強固に架橋することで耐久性を付与するのではなく、耐熱、耐加水分解性を保持した成分で、かつ、上記応力に耐えうる柔軟性を備えることが望ましいと考えられる。しかし、単に柔軟性を有するだけでは、ファストキュアタイプのように短時間で高温加熱圧着させる場合、塗布層に部分的に溶解した封止材が侵食し、特に高温高湿処理後のフィルム基材との接着性が低下すると考えられる。また、柔軟性を有するだけではコート層の耐粉落ち性に劣る。そのためこれら相反する特性を両立させることが最も望ましい。
本発明では、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を主成分とする塗布層を積層するものであり、特に好ましくは、赤外分光法により測定される脂肪族系ポリカーボネート成分及び、イソシアヌレート環由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が1.56〜2.30とすることで、上記特性を両立させるものである。すなわち、耐加水分解性を有する脂肪族ポリカーボネート成分と、強硬性を奏するウレタン成分を所定の割合で共存させ、さらにヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を添加することで、上記特性の両立を図るものである。これにより、高温での熱接着時のフィルムの熱収縮による応力を緩和することができるため、様々な封止材・接着条件であっても強固な接着性を得ることができ、その後の高温高湿の環境下でも、耐熱、耐加水分解性を保持しているため、塗布層の劣化を防止できると考えている。更にヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネートを有するため常温でのハンドリング時には、強固な塗膜となり耐粉落ち性が良好となる。
ここで、1460cm−1付近の吸光度(A1460)は、脂肪族系ポリカーボネート成分に含まれるメチレン基のC−H結合に特有の変角振動とイソシアヌレート環に由来する。よって、1460cm−1付近の吸光度(A1460)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネートポリオール成分量及び、ブロックイソシアネートに含まれるイソシアヌレート成分量に依存する。一方、1530cm−1付近の吸光度(A1530)は、ウレタン成分に含まれるN−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1530cm−1付近の吸光度(A1530)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成するウレタン成分量に依存する。そのため、これらの吸光度比率(A1460/A1530)は、それぞれ異なる特性を有する両成分を特定の割合で共存していることを示すものである。本発明では、好ましくは、前記比率(A1460/A1530)が1.56〜2.30であるが、前記比率(A1460/A1530)の下限はより好ましくは1.57であり、更に好ましくは1.58である。また、前記比率(A1460/A1530)の上限はより好ましくは2.29であり、更に好ましくは2.28であり、特に好ましくは2.27である。前記比率(A1460/A1530)が、1.56未満の場合は、イソシアヌレート成分が少ないため、ハンドリング時の耐粉落ち性が低下し易くあまり好ましくない。また、前記比率(A1460/A1530)が、2.30を越える場合は、強硬なイソシアヌレート成分が多くなり、塗布層の応力緩和が低下し易く耐湿熱性が低下し易くなるので、あまり好ましくない。
本発明は、上記態様により、封止材との強度な接着性を奏し、高温高湿下での接着性(耐湿熱性)と耐粉落ち性を向上させることができる。さらに、本発明の構成を以下に詳細する。
(ウレタン樹脂)
本発明におけるウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明のウレタン樹脂は、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。本発明では、ウレタン樹脂の構成成分として脂肪族系ポリカーボネートポリオールを有することを特徴とする。本発明の塗布層に脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を含有させることで、耐湿熱性を向上させることができる。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
本発明におけるウレタン樹脂の構成成分であるジオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有させることが好ましい。本発明の太陽光による黄変防止の点から脂肪族系ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族系ポリカーボネートジオール、脂肪族系ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適には脂肪族系ポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明のウレタン樹脂の構成成分である脂肪族系ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類の1種または2種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類と反応させることにより得られる脂肪族系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、好ましくは1500〜4000であり、より好ましくは2000〜3000である。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。芳香族イソシアネートを使用した場合、黄変の問題があり、好ましくない場合がある。また、脂肪族系と比較して、強硬な塗膜になるため、基材の熱収縮による応力を緩和できなくなり、接着性が低下する場合がある。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度の低下を防ぐために、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミンなどの直鎖で分子量の大きいものが好ましい。
本発明における塗布層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。そのため、本発明のウレタン樹脂は水溶性であることが望ましい。なお、前記の「水溶性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。また、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を導入することもできる。
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。
水溶性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3〜60モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合がある。また、前記組成モル比が60モル%を超える場合は、耐水性が低下するため耐湿熱性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂のガラス転移点温度は0℃未満が好ましく、より好ましくは−5℃未満である。ガラス転移点温度が0℃未満の場合は、加圧接着の際に部分的に溶融したEVAやPVBなどのオレフィン樹脂と粘度が近くなり、部分的混合による強固な接着性の向上に寄与し、塗布層の応力緩和の点から好適な柔軟性を奏しやすく好ましい。
本発明におけるウレタン樹脂には高温高湿後の接着性を向上させるために、樹脂自体に架橋基を導入しても良い。塗液の経時安定性や架橋密度向上効果からシラノール基が好ましい。
本発明におけるウレタン樹脂以外の樹脂でも、接着性を向上させるために含有させても良い。例えば、ポリエーテル、または、ポリエステルを構成成分とするウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
(架橋剤)
本発明において、塗布層中にヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を含有させることが好ましい。イソシアネート架橋剤は、ブロックイソシアネート架橋剤であることが特に好ましい。イソシアネート骨格として、一般的にジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等も使用されるが、耐黄変性、耐湿熱性が良好なヘキサメチレンジイソシアネートを骨格として使用することが特に好ましい。
ブロックイソシアネート架橋剤のヘキサメチレンジイソシアネート成分を100モル%としたときに、親水成分モル比が3〜15%であることが好ましく、5〜13モル%であることがより好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合があり、あまり好ましくない。また、前記組成モル比が15モル%を超える場合は、常温での強靭な塗膜を形成するイソシアヌレート成分の比率が低くなるため、耐粉落ち性が低下する場合があり、あまり好ましくない。
親水成分としては、スルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。その他の親水成分としては、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基も導入することもできる。なかでもポリオキシアルキレン基含有化合物、ジメチロールプロピオン酸、またはジメチロールブタン酸が架橋剤の水分散性、耐湿性、及び耐粉落ち性を両立する上で好適である。ポリオキシアルキレン基含有化合物としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルが好適に使用できる。
上記のような架橋剤を含有させることにより、高温高湿下での接着性を向上させ、かつ耐粉落ち性を向上させることができる。また、短時間で高温加熱圧着させる場合にEVAの侵食による基材密着性の低下を防ぐことができる。そのため、各種の接着条件においても対応可能な汎用性の高い易接着性を奏することができる。塗膜強度の高いイソシアヌレート骨格を有するブロックイソシアネートを使用することで、脂肪族系ポリカーボネートポリオールで柔軟性を与えつつ、耐粉落ち性が良好な塗布層を形成できる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
イソシアネート架橋剤の含有量としては、ウレタン樹脂に対して、5質量%以上90質量%以下が好ましい。より好ましくは、10質量%以上50質量%以下である。少ない場合には、塗布層の高温高湿下での強度が低下し、接着性が低下したり、耐粉落ち性が低下する場合があり、あまり好ましくなく、多い場合には、塗布層の樹脂の柔軟性が低下し、常温、高温高湿下での接着性が低下する場合があり、あまり好ましくない。
本発明において、塗膜強度を向上させるために、他の架橋剤を混合させても良い。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
(添加剤)
本発明において、塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
前記粒子は、平均粒径が1〜500nmのものが好適である。平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から1〜100nmであれば好ましい。
前記粒子は、平均粒径の異なる粒子を2種類以上含有させても良い。
なお、上記の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、塗布層の断面に存在する10ヶ以上の粒子の最大径を測定し、それらの平均値として求めることができる。
粒子の含有量としては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。少ない場合は、十分な耐ブロッキング性を得ることができない。また、対スクラッチ性が悪化してしまう。多い場合は、塗膜強度が低下する。
塗布層には、コート時のレベリング性の向上、コート液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、封止材との接着性を損なわない程度の範囲、例えば、塗布液中に0.005〜0.5質量%の範囲で含有させることも好ましい。
塗布層に他の機能性を付与するために、封止材との接着性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
(太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムの製造)
本発明の光学用易接着性ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)フィルムを例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。
PET樹脂を十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、Tダイから約280℃の溶融PET樹脂を回転冷却ロールにシート状に溶融押出しし、静電印加法により冷却固化せしめて未延伸PETシートを得る。前記未延伸PETシートは、単層構成でもよいし、共押出し法による複層構成であってもよい。また、PET樹脂中に不活性粒子を実質的に含有させないことが好ましい。
得られた未延伸PETシートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍に延伸して、一軸延伸PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して、70〜140℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き、160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行ない、結晶配向を完了させる。
このフィルム製造工程の任意の段階で、PETフィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、前記塗布層を形成する。塗布層はPETフィルムの両面に形成させても特に問題はない。塗布液中の樹脂組成物の固形分濃度は、2〜35重量%であることが好ましく、特に好ましくは4〜15重量%である。
この塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
本発明においては、塗布層は未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムに前記塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させる。
本発明において、最終的に得られる塗布層の厚みは10〜3000nm、乾燥後の塗布量は、0.01〜3g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量が0.01g/m未満であると、接着性に対する効果がほとんどなくなる。一方、塗布量が3g/mを越えると、ヘイズが増加してしまう。
(太陽電池用バックシート)
本発明の太陽電池用バックシートは前記塗布層を有するポリエステルフィルムを構成部材とする。特に、封止材と直接的に接する最表層に用いることが好ましい。係る構成により本発明の太陽電池用バックシートは封止材との強固な密着性を奏することができ、長期にわたる過酷な環境下においても良好な密着性を奏する。そのため、太陽電池素子の防湿性保持やバリア性向上に寄与しうる。
本発明の太陽電池用バックシートの態様としては、例えば、前記塗布層を有するポリエステルフィルム/接着剤/金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルム/接着剤/ポリフッ化ビニルフイルム又はポリエステル系高耐久防湿フィルムといった構成が例示される。また本発明のポリエステルフィルムは両面に前記塗布層を有する構成であっても構わない。本発明の塗布層は封止材以外の構成とも良好な接着性を奏しうる。ここで金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルムとしては、水蒸気バリア性を有するものが好適に用いることができる。
前記金属の種類としてはアルミニウム、錫、マグネシウム、銀、ステンレスなどが挙げられるが中でもアルミニウム、銀が比較的高い反射率を有し、工業的に入手しやすいため好適である。金属層は金属箔をして使用しても良いし、ポリエステルフィルム等に薄膜として積層してもよい。これら金属を薄膜として積層する方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることができる。
本発明においては前記塗布層を有するポリエステルフィルム、金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルム、ポリフッ化ビニルフイルム又はポリエステル系高耐久防湿フィルムの各層間を、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネーション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池用バックシートを製造することができる。上記において、各フィルム間の接着性等を高めるために、接着剤を介して積層するのが好ましい。接着剤としては例えば(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、その他等の樹脂をビヒクルの主成分とする加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤等が挙げられる。
ここで、高耐久防湿フィルムとは耐候性を向上させる目的で積層されるものであり、高耐久防湿フィルムとしては、例えばポリテトラフロロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニデン(PVDF)、もしくはポリフッカビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム、あるいはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル等の樹脂に紫外線吸収剤を練り混んだ樹脂組成物からなるフィルムが挙げられる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
(2)ガラス転移点温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、DSC曲線からガラス転移開始温度を求めた。
(3)赤外分光法による吸光度測定
得られた太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムについて塗布層を削り取り、約1mgの試料を採取した。採取した試料に圧力をかけ、厚み約1μmのフィルム状に成型した塗布層試料片(大きさ:約50μm×約50μm)を作成した。さらに、ブランク試料として基材フィルムと同質のPET樹脂についても前記手順と同様にして試料片(ブランク試料片)を作成した。
作成した試料片をKBr板上に載せ、下記条件の顕微透過法により赤外吸収スペクトルを測定した。塗布層の赤外分光スペクトルは、塗布層試料片から得た赤外分光スペクトルとブランク試料片のスペクトルとの差スペクトルとして求めた。
脂肪族系ポリカーボネート成分及びイソシアヌレート環由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)は1460±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とし、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)は1530±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とした。なお、ベースラインはそれぞれの極大吸収のピークの両側の裾を結ぶ線とした。得られた吸光度から下記式により吸光度比率を求めた。
(吸光度比率)=A1460/A1530
(測定条件)
装置:FT−IR分析装置SPECTRATECH社製 IRμs/SIRM
検出器:MCT
分解能:4cm−1
積算回数:128回
(4)イソシアネート中の親水成分のモル比の定量
DMSO−dに樹脂を溶解しヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)“ジェミニ−200”を用い、H−NMRにより樹脂組成比を求めた。
(5)接着性
得られた太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを100mm幅×100mm長、EVAシートを70mm幅×90mm長に切り出したもの用意し、フィルム(塗布層面)/下記記載のEVA/(塗布層面)フィルムの構成で重ね、真空ラミネーターで下記記載の接着条件で加熱圧着し、サンプルを作成した。作成したサンプルを20mm幅×100mm長に切り出した後、SUS板に貼りつけ、下記記載の条件で引張り試験機でフィルム層とEVA層の剥離強度を測定した。剥離強度は極大点を越えた後に安定して剥離している部分の平均値として求めた。下記の基準でランク分けした。
◎:100N/20mm以上、または、フィルムの材破
○:75N/20mm以上、100N/20mm未満
△:50N/20mm以上、75N/20mm未満
×:50N/20mm未満
(サンプル作成条件)
装置:真空ラミネーター エヌ・ピー・シー社製 LM−30×30型
加圧:1気圧
EVA:
A.スタンダードキュアタイプ
I.サンビック製 Urtla Pearl PV(0.4μm)
ラミネート工程:100℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:熱処理150℃(常圧45分)
II.三井ファブロ製 ソーラーエバ SC4(0.4μm)
ラミネート工程:130℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:150℃(常圧45分)
B.ファストキュアタイプ
I.サンビック製 Urtla Pearl PV(0.45μm)
ラミネート工程:135℃(真空5分、真空加圧15分)
II.三井ファブロ製 ソーラーエバ RC02B(0.45μm)
ラミネート工程:150℃(真空5分、真空加圧15分)
(測定条件)
装置:テンシロン 東洋BALDWIN社製 RTM−100
剥離速度:200mm/分
剥離角度:180度
(6)耐湿熱性
得られた太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを、高温高湿槽中で85℃、85%RHの環境下1000時間放置した。次いで、太陽電池用ポリエステルフィルムを取りだし、室温常湿で24時間放置した。その後は、前記(4)と同様の方法で剥離強度を測定し、下記の基準でランク分けをした。
◎:100N/20mm以上、または、フィルムの材破
○:75N/20mm以上、100N/20mm未満
△:50N/20mm以上、75N/20mm未満
×:50N/20mm未満
(7)耐粉落ち性
摩擦堅牢度試験機(大栄科学精器製作所製、RT−200)に後述する実施例で作製したフィルムを3cm(フィルム幅方向)×20cm(フィルム長手方向)を取り付け、おもり(300g)を付けた荷重ヘッド部(2cmx2cm、200g)と試料フィルムの接触部にアルミ箔(厚さ80μm、算術的平均表面粗さ0.03μm)を用い、10cmの距離を1往復20秒の速度で10往復させた。黒台紙の上に得られた試料フィルムをのせ、粉落ちしているか目視で確認した。
○:黒台紙上で粉落ちが確認できない。
×:黒台紙上で全体的にわずかな粉落ちが確認できる。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−1の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)を調製した。得られたポリウレタン樹脂(A−1)のガラス転移点温度は−30℃であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−1)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)20質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−1)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)のモル比を測定した結果、13.4%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−2)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))117質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ジメチロールプロピオン酸3質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−2)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ジメチロールプロピオン酸)のモル比を測定した結果、11.3%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−3)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))117質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ジメチロールブタン酸3質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−3)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ジメチロールブタン酸)のモル比を測定した結果、10.2%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−4)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))113質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)7質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−4)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)のモル比を測定した結果、4.7%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−5)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))105質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)15質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−5)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)のモル比を測定した結果、10.1%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−6)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))98質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)22質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−6)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)のモル比を測定した結果、14.8%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−7)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA−100(固形分100%))100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−7)を得た。ブロックイソシアネートにおけるヘキサメチレンジイソシアヌレートに対する親水成分(ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)のモル比を測定した結果、20.2%であった。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−8)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたアダクト構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートP301−75E(固形分75%))133質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−8)を得た。
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合B−9)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたビウレット構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネート24A−100(固形分100%))100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B−9)を得た。
実施例1
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液を作成した。
水 55.62質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 11.29質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B−1) 2.26質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
(2)太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムの製造
フィルム原料ポリマーとして平均粒径2.5μmのシリカ粒子を0.03質量%含有するPET樹脂ペレット(固有粘度が0.62dl/g)を、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約285℃で溶解した。このPET樹脂を、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、シート状に溶融押し出した。表面温度30℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、前記塗布液をロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/mになるように調整した。引続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で0.5秒間加熱し、さらに100℃で10秒間3%の幅方向の弛緩処理を行ない、250μmの太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
比較例1
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−7)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
比較例2
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−8)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
比較例3
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−9)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
水 58.02質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 8.06質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B−1) 3.76質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例3
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
水 54.75質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 4.83質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B−1) 5.26質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.03質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例4
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−2)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例5
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−3)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例6
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−4)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例7
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−5)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例8
ブロックポリイソシアネート架橋剤をブロックポリイソシアネート架橋剤(B−6)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを得た。
実施例9
(3)太陽電池用バックシートの製造
実施例1の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム/黒色ポリエステルフィルム(50μm)/アルミ箔(30μm)/ポリフッ化ビニルフィルム(38μm)の構成でドライラミネート法で接着し、太陽電池用バックシートを得た。
ドライラミネート用接着剤
タケラックA−315(三井化学製)/タケネートA−10(三井化学製)=9/1(固形分比)
本発明の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムは、封止材との接着性及び高温高湿下での接着性(耐湿熱性)及び耐粉落ち性に優れるため、太陽電池用バックシートの最内装の基材フィルムとして好適である。

Claims (6)

  1. 少なくとも片面に塗布層を有する基材厚みが20〜500μmのポリエステルフィルムであって、前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートに対する親水成分モル比が3〜15%であるイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート架橋剤を主成分とする太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
  2. 前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分及びイソシアヌレート環由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が1.56〜2.30である請求項1に記載の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
  3. 前記イソシアネート架橋剤の親水成分としてポリオキシアルキレン基含有化合物、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸のいずれかを含む請求項1または2に記載の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
  4. エチレン酢酸ビニル共重合体もしくはポリビニルブチラール樹脂を主成分とする封止材の積層に用いる請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載する太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムを最表層に積層した太陽電池用バックシート。
  6. 請求項5に記載する太陽電池バックシートの塗布層面に封止材を積層してなる太陽電池モジュール。
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