JP2016010203A - インバータ制御装置、そのインバータ制御装置を用いた分散型電源系統連系システム、及びインバータの制御方法、並びにプログラム。 - Google Patents

インバータ制御装置、そのインバータ制御装置を用いた分散型電源系統連系システム、及びインバータの制御方法、並びにプログラム。 Download PDF

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隆章 甲斐
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Abstract

【課題】電力系統の瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止して、電圧復帰後の速やかなインバータの電力出力回復を図り、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすインバータの制御技術を提供する。
【解決手段】系統連系システム100のインバータ40を制御するインバータ制御回路50は、瞬時電圧低下が発生期間中、及び電圧復帰後の一定期間と、それ以外の期間とでインバータの出力電流の出力範囲の上限値を変更し、インバータの出力電流の出力範囲内でインバータ40を駆動させる。インバータ制御回路50の内部でインバータの出力電流の出力範囲の上限値を超えるような演算結果は全て上限値に相当する結果に置き換えてインバータ40を駆動させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インバータの制御装置、そのインバータ制御装置を用いた分散型電源系統連系システム、及びインバータの制御方法、並びに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関し、特に、電力系統の瞬時電圧低下時に所定の処理を行うインバータの制御装置、そのインバータ制御装置を用いた分散型電源系統連系システム、及びインバータの制御方法、ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
日本では、電力会社と太陽光発電などの分散型電源設置者との間での電力品質や保安を維持・確保するための系統連系協議は、社団法人日本電気協会が発刊の「系統連系規程」に基いて実施されている。これが2013年2月に「系統連系規程2012」JEFC9701−2012として改訂され、太陽光発電などの大量導入の必要性から系統事故などによる電圧低下期間中の運転継続と電圧復帰直後の速やかな出力復帰特性などを求めるFRT(Fault Ride Through)要件が追加された。
そのような中、2〜5kWの国内9メーカー10機種のPCS(パワーコンディショナ)の瞬時電圧低下に対する運転性能報告がされている(例えば、非特許文献1参照。)。その報告の中では、電圧低下が30%(残電圧70%)を超えると停止台数が急増し、その低下が60%以上になると瞬低継続時間(電圧低下)0.5秒で全台が停止するとされている。停止した場合、再起動に概ね5秒〜15秒を要している。また再起動から出力が瞬時電圧低下前の値に戻るまでの出力復帰時間は,太陽電池最大出力追従制御機能の設計仕様の違いにより大きくばらつくが,最小でも4秒程度である。
その一方で、単相インバータに対してFRT性能を改善した報告がなされている。その報告では、瞬時電圧低下が生じた期間中は、PCS主回路中のインバータの出力電流が瞬時電圧低下直前の電流値になるようにPCS制御回路に電流一定制御をさせることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。そして、電流一定制御と同時にインバータの内部電圧が予め設定された設定値になるようPCS主回路中の昇圧チョッパ部の入力電流をPCS制御回路に制御させることも報告されている。その報告の中で、シミュレーションによるFRT性能確認の結果、電圧低下率80%(残電圧20%)、電圧低下期間0.5秒の条件で改善された報告がなされている。
電力中央研究所報告 「瞬時電圧低下が太陽光発電と風力発電に与える影響の実験解明」財団法人電力中央研究所 平成23年5月発行 報告書番号:R10037 電力中央研究所報告 「太陽光発電用パワーコンディショナの瞬低回復時の運転安定化方式」財団法人電力中央研究所 平成22年10月発行 報告書番号:R09015
しかしながら、上述の非特許文献2での報告において「系統連系規程2012」のFRT要件である電圧低下率が80%以上(残電圧0%〜20%)で、電圧低下期間1秒の条件に対してはシミュレーションによる性能結果の報告がされていない。例えば、「系統連系規程2012」のFRT要件の残電圧が0%の場合でも、確実にFRT要件を満たすインバータ制御方式が望まれる。しかし、従来のd/q軸電流制御方式を採用した分散型電源系統連系システムや、瞬時値電流制御方式を採用した分散型電源系統連系システムでは、図11、及び図19の説明で後述するが、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電力が過電流に起因して定格値を大きく超えてしまう。
そこで、本発明は、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止して、電圧復帰後の速やかなインバータの電力出力回復を図り、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすインバータの制御装置、そのインバータ制御装置を用いた分散型電源系統連系システム、及びインバータの制御方法、ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のインバータ制御装置は、分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータのインバータ制御装置であって、上記電力系統において瞬時電圧低下が生じたことを検出する瞬低検出手段と、上記瞬低検出手段における検出結果に応じて上記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を設定する範囲上限設定手段と、上記設定された上記インバータ出力電流の出力範囲内で上記インバータを駆動させるインバータ駆動手段とを備えたことを特徴とする。これにより、インバータ制御装置は、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止し、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすという作用をもたらす。
また、本発明のインバータ制御装置において、上記範囲上限設定手段は、上記瞬低検出手段において瞬時電圧低下が検出された場合、上記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を、瞬時電圧低下が生じる直前の上記インバータの出力電流値である瞬低直前出力電流値に設定することを特徴とする。
また、本発明のインバータ制御装置において、上記範囲上限設定手段は、瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間中、上記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を上記瞬低直前出力電流値に設定することを特徴とする。
また、本発明のインバータ制御装置において、上記範囲上限設定手段は、瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間を除き、上記瞬低検出手段において瞬時電圧低下が検出されない場合、上記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を、上記インバータの出力電流の定格値に設定することを特徴とする。
また、本発明のインバータ制御装置において、上記インバータ駆動手段は、上記分散型電源の出力電力に基いて上記インバータが出力すべき有効電力に対応する有効電力制御目標値を演算する有効電力制御目標値演算手段と、上記電力系統の系統電圧、及び上記インバータの出力電流、並びに、上記電力系統の系統電圧の位相、上記有効電力制御目標値に基いて、上記インバータの有効電流の制御目標値を演算する有効電流制御目標値演算手段と、上記有効電流の制御目標値が、上記範囲上限設定手段で設定された上記上限値よりも小さい場合には上記有効電流の制御目標値をそのまま出力し、上記有効電流の制御目標値が上記範囲上限設定手段で設定された上記上限値よりも大きい場合には上記有効電流の制御目標値を上記範囲上限設定手段で設定された上記上限値にして出力する有効電流上限値制限手段と、上記有効電流上限値制限手段から出力された上記有効電流の制御目標値に基いて上記インバータのゲートに制御信号を出力して、上記設定された上記インバータ出力電流の出力範囲内で上記インバータを駆動させるゲート制御手段とを具備することを特徴とする。これにより、インバータ制御装置は、力率1制御の条件の下、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止し、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすという作用をもたらす。
また、本発明のインバータ制御装置において、上記分散型電源と上記インバータとの間に接続される直流リンク回路を備え、上記インバータ駆動手段は、上記電力系統の系統電圧、及び上記インバータの出力電流、並びに、上記電力系統の系統電圧の位相、上記直流リンク回路にかかる直流リンク電圧と、予め設定された直流リンク電圧制御目標値に基いて、上記インバータの有効電流の制御目標値を演算する有効電流制御目標値演算手段と、上記有効電流の制御目標値が、上記範囲上限設定手段で設定された上記上限値よりも小さい場合には上記有効電流の制御目標値をそのまま出力し、上記有効電流の制御目標値が上記範囲上限設定手段で設定された上記上限値よりも大きい場合には上記有効電流の制御目標値を上記範囲上限設定手段で設定された上記上限値にして出力する有効電流上限値制限手段と、上記有効電流上限値制限手段から出力された上記有効電流の制御目標値に基いて上記インバータのゲートに制御信号を出力して、上記設定された上記インバータ出力電流の出力範囲内で上記インバータを駆動させるゲート制御手段とを具備することを特徴とする。これにより、インバータ制御装置は、力率1の条件の下、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止し、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすという作用をもたらす。
また、本発明のインバータ制御装置において、上記インバータ駆動手段は、さらに上記電力系統の系統電圧、及び上記インバータの出力電流、並びに、上記電力系統の系統電圧の位相に基いて上記インバータが出力すべき無効電力に対応する無効電力制御目標値を演算する無効電力制御目標値演算手段と、上記電力系統の系統電圧、及び上記インバータの出力電流、並びに、上記電力系統の系統電圧の位相、上記無効電力制御目標値に基いて、上記インバータの無効電流の制御目標値を演算する無効電流制御目標値演算手段と、上記無効電流の制御目標値が、予め設定された設定値よりも小さい場合には上記無効電流の制御目標値をそのまま出力し、上記無効電流の制御目標値が上記設定値よりも大きい場合には上記無効電流の制御目標値を上記設定値にして出力する無効電流上限値制限手段と、上記有効電流上限値制限手段から出力された上記有効電流の制御目標値、及び上記無効電流上限値制限手段から出力された上記無効電流の制御目標値に基いて上記インバータのゲートに制御信号を出力して、上記設定された上記インバータ出力電流の出力範囲内で上記インバータを駆動させるゲート制御手段とを具備することを特徴とする。これにより、インバータ制御装置は、様々なインバータ制御方式を採用しても、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止し、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすという作用をもたらす。
また、本発明の分散型電源系統連系システムは、分散型電源と、上記分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータと、上記インバータを制御するインバータ制御装置とを少なくとも備えた分散型電源系統連系システムである。
また、本発明のインバータの制御方法は、分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータの制御方法であって、上記電力系統で瞬時電圧低下が生じたか否かで上記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を変えて設定し、上記設定された上記インバータ出力電流の出力範囲内で上記インバータを制御して駆動させることを特徴とする。これにより、本発明のインバータの制御方法は、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止し、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たすという作用をもたらす。
また、本発明のインバータの制御方法において、上記電力系統で瞬時電圧低下が生じた場合、瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間中は上記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を、瞬時電圧低下が生じる直前の出力電流値である瞬低直前出力電流値に設定し、上記瞬低直前出力電流値を超えないように上記インバータを制御して駆動させることを特徴とする。
また、本発明のインバータの制御方法において、上記瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間中以外は、上記インバータ出力電流の出力範囲の上限値を、上記インバータ出力電流の定格値に設定し、上記インバータ出力電流の定格値を超えないように上記インバータを制御して駆動させることを特徴とする。
また、本発明のコンピュータに実行させるプログラムは、分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータを制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、上記電力系統の系統電圧値を計測する電圧計測手順と、上記インバータの出力電流値を計測する電流計測手順と、上記計測した系統電圧値と、設定値の大きさを比較する比較手順と、上記比較の結果、上記計測した系統電圧値が設定値より小さい場合、及び上記設定値より小さかった系統電圧値が上記設定値より大きくなった後に一定期間経過するまでは、その瞬時電圧低下前の上記インバータの出力電流値を上記インバータの出力電流の上限値に設定する設定手順とをコンピュータに実行させるものである。
本発明によれば、瞬時電圧低下から電圧復帰直後のインバータの出力電流が過電流になることを防止して、電圧復帰後の速やかなインバータの電力出力回復を図り、「系統連系規程2012」のFRT要件を満たす分散型電源系統連系システムを実現させるという優れた効果を奏し得る。
本発明の実施の形態における分散型電源系統連系システム100を示す図である。 インバータ駆動部53としてd/q軸電流制御方式を採用した分散型電源系統連系システム200を示す図である。 インバータ制御回路250における出力電流上限値設定回路251、及び電流調整回路257の機能ブロック図である。 出力電流上限値設定回路251の動作を表すフローチャートである。 図5は、図4のフローチャートの時間経過とインバータ出力電流の上限値の関係を表す図である。 本発明の実施の形態における分散型電源系統連系システム200の一例としての実施例1と連系する電力系統で生じた短絡事故を2パターン示す図である。 図6(a)の状態で三相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合のインバータ240aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 図6(b)の状態で三相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合のインバータ240aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 図6(a)の状態で二相短絡事故(b―c相電圧)が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合のインバータ240aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 図6(b)の状態で二相短絡事故(b―c相電圧)が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 分散型電源系統連系システム200においてd/q軸電流制御方式インバータ制御回路から本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムで三相短絡事故(残電圧0%)が生じた場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使って求めた結果を示す図である。 インバータ駆動部53として瞬時値電流制御方式(力率制御)を採用した分散型電源系統連系システム300を示す図である。 インバータ駆動部53として瞬時値電流制御方式(力率1固定)を採用した分散型電源系統連系システム400を示す図である。 本発明の別の実施の形態における分散型電源系統連系システム400の一例としての実施例2と連系する電力系統で生じた短絡事故を2パターン示す図である。 図14(a)の状態で三相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 図14(b)の状態で三相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 図14(a)の状態で二相短絡事故(b―c相二相短絡事故)が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 図14(b)の状態で二相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使ったシミュレーション結果を示す図である。 分散型電源系統連系システム400において力率1制御時の瞬時値電流制御方式インバータ制御回路から本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムで、三相短絡事故(残電圧0%)が生じた場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使って求めた結果を示す図である。
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における分散型電源系統連系システム100を示す図である。分散型電源系統連系システム100は、商用電源の電力系統800と分散型電源10との系統連系を制御するものであり、例えば、分散型電源10と、昇圧チョッパ回路20と、直流リンク回路30と、インバータ40と、インバータ制御回路50と、連系変圧器60と、連系開閉器70とを備える。
分散型電源10は、例えば太陽光エネルギーを直流電力に変換する太陽電池のような直流電源が想定されるが、これに限るものではない。分散型電源10をその他の全ての直流電源に置き換えたものも本発明の範囲に含まれる。
昇圧チョッパ回路20は、分散型電源10の直流電圧を所望の電圧に昇圧して出力するものである。これにより、分散型電源10の直流電圧が低い場合でも、必要な電圧を得られる。また、分散型電源210が太陽光電池アレイの場合、昇圧チョッパ回路20に、太陽光電池アレイの出力電力が最大になるようにその電圧を制御する機能である最大電力点追従制御機能(Maximum power point tracking)を持たせるようにしてもよい。直流リンク回路30は、昇圧チョッパ回路20で昇圧された直流電圧の脈動成分を所定レベルに平滑化して、インバータ40に出力する。
インバータ40は、インバータ制御回路50に制御されて、直流電力を交流電力に変換して出力するものである。インバータ40は、例えば3相インバータであることが想定されるが、これに限るものではなく、単相インバータ及びその他のインバータであってもよい。
連系変圧器60は、インバータ40から出力される交流電圧を所望の電圧に昇圧、又は降圧するものである。具体的には、連系変圧器60は、インバータ40から出力される交流電圧を電力系統800の系統電圧とほぼ同一のレベルに昇圧または降圧することが想定される。
連系開閉器70は、分散型電源系統連系システム100と電力系統800との間の接続、及び解列を行うものである。連系開閉器70は、分散型電源系統連系システム100が電力系統800に電力を供給できる状態になったときに、分散型電源系統連系システム100と電力系統800とを接続する。また、連系開閉器70は、例えば、電力系統800で系統事故などの異常が発生した場合に、分散型電源系統連系システム100と電力系統800との接続を切り離して、解列する。
また、計器用変圧器VT、計器用変流器CTが連系開閉器70と電力系統800との間に設けられている。計器用変圧器VT、計器用変流器CTは、例えば、電力系統800における系統電圧、インバータ40からの出力電流を計測するために用いられる。また、昇圧チョッパ回路20、又は直流リンク回路30を通じて出力される分散型電源10の出力電流、出力電圧を測定する計器用変流器CTなどを別途設けてもよい。また、例えば家庭用の機器としての負荷が連系開閉器70の手前に接続されている。
次に、インバータ制御回路50について説明する。インバータ制御回路50は、電力系統800で瞬時電圧低下が発生している期間中、及び瞬時電圧低下から電圧復帰後一定期間と、それ以外の期間とでインバータの出力電流の出力範囲の上限値を変更し、インバータの出力電流の出力範囲内でインバータ40を駆動させるものである。具体的にインバータ制御回路50は、電力系統800で瞬時電圧低下が発生した場合、瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧復帰後一定期間は、インバータ40の出力電流の出力範囲の上限値を瞬時電圧低下が生じる直前のインバータ40の出力電流値(以下において、瞬時電圧低下が生じる直前のインバータの出力電流値を瞬低直前出力電流値と呼ぶ。)としてインバータ40を制御するものである。
なお、電圧復帰後一定期間として、約1〜2秒間程度が一例として想定されるが、これに限るものではなく、その他の一定期間であってもよい。また、瞬時電圧低下が生じる直前には、例えば、瞬時電圧低下が生じた時刻よりも数サイクル程度前も含ませることが一例として想定されるが、これに限るものではなく、その他の観点より瞬時電圧低下が生じる直前を定義してもよい。
また、インバータ制御回路50は、電力系統800における瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧復帰後一定期間以外は、インバータ40の出力電流の出力範囲の上限値をインバータ40の出力電流の定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値に設定してインバータ40を制御する。インバータ40の制御方式として、例えば、d/q軸電流制御方式や瞬時値電流方式などが想定されるが、これに限るものではなく、その他の方式であってもよい。また、定格値をやや上回る出力電流値とは、過電流を定格値(100%)の125%とした場合、定格値の100%〜125%の間が想定されるが、105%〜110%の間が適当と考えられる。
インバータ制御回路50は、例えば、瞬低検出部51と、出力範囲上限設定部52と、インバータ駆動部53とを備える構成が一例として想定される。瞬低検出部51は、例えば計器用変圧器VTを介して電力系統800で瞬時電圧低下が生じたことを検出するものである。検出結果は、出力範囲上限設定部52に出力される。
出力範囲上限設定部52は、瞬低検出部51から出力される検出結果に応じてインバータ40の出力電流の出力範囲の上限値を設定するものである。また、出力範囲上限設定部52は、計器用変流器CTを介してインバータ40の出力電流を計測してその計測結果を(図示しない)記憶部に保持している。保持態様として、例えば計測時刻とインバータ40の出力電流計測値とを関連付けて保持する態様が一例として想定されるが、これに限るものではなく、その他の保持態様であってもよい。
そして、出力範囲上限設定部52は、瞬低検出部51から電力系統800で瞬時電圧低下が生じた旨の出力を受けた場合、(図示しない)記憶部に保持するインバータ40の出力電流値のうち瞬低直前出力電流値をインバータ40の出力電流の出力範囲の上限値として設定する。出力範囲上限設定部52は、例えば、電力系統800で瞬時電圧低下が生じた時刻を参照して(図示しない)記憶部から瞬低直前出力電流値を探し出し、その瞬低直前出力電流値を設定する態様が一例として想定される。電力系統800で瞬時電圧低下が継続している間、及び電圧復帰後一定期間は、上記瞬低直前出力電流値をインバータ40の出力電流の出力範囲の上限値とする状態が継続する。
一方、出力範囲上限設定部52は、電力系統800における瞬時電圧低下から電圧復帰後一定期間を除いて、瞬低検出部51から電力系統800で瞬時電圧低下が生じていない旨の出力を受けた場合、インバータ40の出力電流の出力範囲の上限値をインバータ40の出力電流の定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値に設定する。なお、このインバータ40の出力電流の定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値も予め(図示しない)記憶部に保持させるようにしてもよい。
インバータ駆動部53は、出力範囲上限設定部52で設定されたインバータ40の出力電流の出力範囲内でインバータ40を駆動させるものである。具体的には、インバータ駆動部53は、例えば、電力系統800における瞬時電圧低下期間中に自身の内部演算処理の中で、瞬低直前出力電流値を超えるような電流出力制御目標値が演算結果として出た場合、インバータ40の出力電流が瞬低直前出力電流値になるような演算結果に置き換えてインバータ40を駆動させる。また、インバータ駆動部53は、例えば、電力系統800における瞬時電圧低下期間中以外でも自身の内部演算処理の中で、インバータ40の出力電流の定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値を超えるような電流出力制御目標値が演算結果として出た場合、インバータ40の出力電流が定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値になるような演算結果に置き換えてインバータ40を駆動させる。
図2は、インバータ駆動部53としてd/q軸電流制御方式を採用した分散型電源系統連系システム200を示す図である。分散型電源系統連系システム200は、商用電源の電力系統810と分散型電源210との系統連系を制御するものであり、例えば、分散型電源210と、昇圧チョッパ回路220と、直流リンク回路230と、インバータ240と、インバータ制御回路250と、連系変圧器260と、連系開閉器270とを備える。
なお、分散型電源系統連系システム200における分散型電源210と、昇圧チョッパ回路220と、直流リンク回路230と、連系変圧器260と、連系開閉器270とは、分散型電源系統連系システム100における分散型電源10と、昇圧チョッパ回路20と、直流リンク回路30と、連系変圧器60と、連系開閉器70と機能が同じであり、既に図1で説明済みであるため、その説明を省略する。
インバータ240は、インバータ制御回路250に制御されて、直流電力を交流電力に変換して出力するものである。インバータ240は、例えば三相インバータであることが想定されるが、これに限るものではない。
次に、インバータ制御回路250について説明する。インバータ制御回路250は、インバータ駆動部53と同様の機能を有するものであり、図1の出力範囲上限設定部52で設定されたインバータ240の出力電流の出力範囲内でインバータ240を駆動させるものである。インバータ制御回路250は、d/q軸電流制御方式を用いたものであるが、これは一例であって、これに限るものではなく、その他の制御方式を用いたインバータ制御回路であってもよい。
インバータ制御回路250は、例えば、瞬低検出部51及び出力範囲上限設定部52を含む出力電流上限値設定回路251と、インバータ駆動部252とを備える。そして、インバータ駆動部252は、図1におけるインバータ駆動部53に相当するものであり、位相取得回路253と、電力演算回路254と、有効電力調整回路255と、有効電力制御目標値演算回路255Pと、直流リンク電圧制御目標値保持部255Dと、無効電力調整回路256と、無効電力制御目標値演算回路256Pと、電流調整回路257と、電流演算回路258aと、系統電圧d/q軸電圧演算回路258bと、座標変換回路258cと、PWM制御回路259とを備えた構成が想定される。
出力電流上限値設定回路251は、瞬低検出部51及び出力範囲上限設定部52の機能を含むものである。すなわち、出力電流上限値設定回路251は、例えば計器用変圧器VTを介して電力系統810で瞬時電圧低下が生じたことを検出する。また、出力電流上限値設定回路251は、計器用変流器CTを介してインバータ240の出力電流を計測して保持する。
そして、出力電流上限値設定回路251は、電力系統810で瞬時電圧低下が生じたことを検出した場合、瞬低直前出力電流値をインバータ240の出力電流の出力範囲の上限値として設定する。一方、出力電流上限値設定回路251は、電力系統810で瞬時電圧低下が生じたことを検出しない場合(瞬時電圧低下から電圧回復後の一定期間を除く)、インバータ240の出力電流の出力範囲の上限値をインバータ240の出力電流の定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値に設定する。
次に、インバータ駆動部252を構成する各部について説明する。位相取得回路253は、例えば、計器用変圧器VTを介して電力系統810における系統電圧の位相を取得して出力するものである。位相取得回路253として、例えば、PLL(Phase Lock Loop)回路が想定されるが、これに限るものではなく、その他の回路構成であってもよい。
電力演算回路254は、例えば、計器用変圧器VTを介して計測された系統電圧、計器用変流器CTを介して計測されたインバータ240からの出力電流、位相取得回路253で取得された系統電圧の位相に基いて、インバータ240が出力する有効電力、及び無効電力を演算して出力するものである。具体的に電力演算回路254は、計器用変圧器VTを介して計測された3相の系統電圧、計器用変流器CTを介して計測された3相の電流を別々に取り込んで、それらの電圧、電流を2相のd軸成分とq軸成分の電圧、電流に変換する。そして、電力演算回路254は、d軸成分とq軸成分の電圧、電流及び、位相取得回路253で取得された系統電圧の位相に基いて、有効電力P2、無効電力P4を演算して有効電力調整回路255、及び無効電力調整回路256にそれぞれ出力する。
有効電力制御目標値演算回路255Pは、昇圧チョッパ回路220、又は直流リンク回路230を介して出力される分散型電源210からの出力電圧V、及び出力電流Iより演算される分散型電源210の出力電力に基いて、有効電力制御目標値P1を演算して出力するものである。分散型電源210で発電された直流電力をインバータ240で交流電力に変換して電力系統810へ出力するため、分散型電源210の出力電力に応じたインバータ240の制御を行うため有効電力制御目標値演算回路255Pが設けられている。
有効電力調整回路255は、有効電力制御目標値P1と、電力演算回路254で演算された有効電力P2との偏差をゼロにするよう演算し、その演算結果を有効電流制御目標値として電流調整回路257へ出力するものである。具体的に有効電力調整回路255は、加算器255aとPI制御回路255bとにより構成させることが一例として想定される。加算器255aは、入力された有効電力制御目標値P1と、電力演算回路254で演算された有効電力P2との偏差の演算を行い、その偏差ΔPをPI制御回路255bへ出力する。PI制御回路255bは、その偏差ΔPに基いて比例積分(PI)制御を行い、偏差ΔPをゼロにするような演算結果を有効電流制御目標値I1として電流調整回路257へ出力する。すなわち、有効電力調整回路255は、有効電力P2が有効電力制御目標値P1に収束するように、フィードバック制御する。
直流リンク電圧(DCLinkV)制御目標値保持部255Dは、直流リンク電圧制御目標値を保持するものである。直流リンク電圧(DCLinkV)制御目標値保持部255Dは、スイッチS2が図2の下側へ切り替わると有効電力調整回路255へ直流リンク電圧制御目標値を出力する。この直流リンク電圧制御目標値は、例えば、直流リンク回路230の定格電圧に設定することが一例として想定されるが、これに限るものではなく、その他の電圧値であってもよい。
有効電力調整回路255で、有効電流制御目標値を直流リンク回路230電圧の一定制御の条件の下で求める場合、スイッチS1及びスイッチS2を図2の下側に切り替える。この場合、有効電力調整回路255には、直流リンク回路230電圧と直流リンク電圧(DC LinkV)制御目標値が入力され、直流リンク回路230電圧と直流リンク電圧(DC LinkV)制御目標値の偏差がゼロになるよう演算され、その演算結果は有効電流制御目標値として電流調整回路257へ出力される。
直流リンク回路230にはキャパシタが設置されており、分散型電源210で発電された直流電力とインバータ240で電力系統810へ出力される交流電力とに過不足が生じると、その差はこのキャパシタに充放電されてこの直流リンク回路230の電圧は上昇または低下する。よって、直流リンク電圧制御目標値を直流リンク回路230の定格電圧に設定して直流リンク回路230の電圧を一定制御することにより、分散型電源210で発電された直流電力を全てインバータ240で交流電力に変換して電力系統810へ出力することができる。
無効電力制御目標値演算回路256Pは、例えば、力率一定制御するため電力演算回路254で演算された有効電力P2から力率制御値となる無効電力を演算して、これを無効電力目標値P3として設定する。
無効電力調整回路256は、無効電力制御目標値P3と、電力演算回路254で演算された無効電力P4との偏差をゼロにするよう演算し、その演算結果を無効電流制御目標値として電流調整回路257へ出力するものである。具体的に無効電力調整回路256は、加算器256aとPI制御回路256bとにより構成させることが一例として想定される。加算器256aは、入力された無効電力制御目標値P3と、電力演算回路254で演算された無効電力P4との偏差の演算を行い、その偏差ΔPをPI制御回路256bへ出力する。PI制御回路256bは、その偏差ΔPに基いて比例積分(PI)制御を行い、偏差ΔPをゼロにするような演算結果を無効電流制御目標値I2として電流調整回路257へ出力する。すなわち、無効電力調整回路256は、無効電力P4が無効電力制御目標値P3に収束するように、フィードバック制御する。
電流調整回路257は、上記有効電流制御目標値I1、及び上記無効電流制御目標値I2と、電流演算回路258aで演算された有効電流、及び無効電流と、出力電流上限値設定回路251で設定された上限値と、系統電圧d/q軸電圧演算回路258bで演算された系統電圧d/q軸電圧とに基いて、インバータd/q軸出力電圧変調波を出力するものである。電流調整回路257の詳細は後述する。
電流演算回路258aは、計器用変流器CTを介して計測されたインバータ240からの出力電流、及び位相取得回路253で取得された系統電圧の位相に基いて、有効電流、及び無効電流を演算して出力するものである。具体的に電流演算回路258aは、インバータ240からの3相出力電流を別々に取り込んで2相の電流にそれぞれ変換すると共に、2相の電流をd軸成分とq軸成分に分ける。そして、電流演算回路258aは、位相取得回路253で取得された系統電圧の位相を加味したd軸及びq軸の有効電流Iq、無効電流Idを電流調整回路257にそれぞれ出力する。
系統電圧d/q軸電圧演算回路258bは、計器用変圧器VTを介して計測された系統電圧、及び位相取得回路253で取得された系統電圧の位相に基いて、d軸成分及びq軸成分の系統電圧を演算して出力するものである。座標変換回路258cは、二相のインバータd/q軸出力電圧変調波を三相のインバータabc出力電圧変調波に変換するものである。PWM制御回路259は、座標変換回路258cから出力された三相のインバータabc出力電圧変調波に基いて、PWM信号を生成して、インバータ240にゲートパルス信号を出力する。インバータ240は、このゲートパルス信号にしたがって動作を行う。
なお、インバータ制御回路250は、電流測定信号及び電圧測定信号などの信号に基づいてインバータ240を制御するものであり、その構成として、例えば、中央演算処理装置であるCPU、メモリに記憶されたプログラム、入出力インターフェイス、A/D変換部等を備えた汎用、又は専用のコンピュータにより構成させることが一例として想定される。インバータ制御回路250中のCPUは、メモリの所定領域に記憶させた所定のプログラムにしたがって上記説明した処理、及び図3以降において説明する処理を行ってインバータ240を制御して駆動させている。
図3は、インバータ制御回路250における出力電流上限値設定回路251、及び電流調整回路257の機能ブロック図である。電流調整回路257は、有効電流調整回路257aと、無効電流調整回路257bと、d/q軸電圧演算回路257cとを備える。
有効電流調整回路257aは、加算器257dと、PI制御回路257eと、リミッタ回路257fとを備える。加算器257dには、電流演算回路258aから有効電流Iqが入力され、有効電力調整回路255から有効電流制御目標値I1が入力される。そして、加算器257dは、有効電流制御目標値I1と、有効電流Iqとの偏差を演算して、偏差をPI制御回路257eへ出力する。PI制御回路257eは、その偏差に基いて比例積分(PI)制御を行い、その演算結果をリミッタ回路257fへ出力する。
リミッタ回路257fは、有効電流の上限値を制限する有効電流上限値制限の役割を果たすものである。具体的には、リミッタ回路257fは、PI制御回路257eでの演算結果をそのまま出力すると、インバータ240の出力電流が出力電流上限値設定回路251の設定した上限値を超えてしまう場合、上記設定した上限値になるような演算結果に置き換えて出力する。すなわち、リミッタ回路257fは、PI制御回路257eでの演算結果としての有効電流制御目標値が出力電流上限値設定回路251で設定された上限値よりも大きい場合にはその有効電流制御目標値を出力電流上限値設定回路251で設定された上限値に置き換えて出力する。
一方、リミッタ回路257fは、PI制御回路257eでの演算結果をそのまま出力しても、インバータ240の出力電流が出力電流上限値設定回路251の設定した上限値を超えない場合、PI制御回路257eからの演算結果をそのまま出力する。すなわち、リミッタ回路257fは、PI制御回路257eでの演算結果としての有効電流制御目標値が出力電流上限値設定回路251で設定された上限値よりも小さい場合には有効電流制御目標値をそのまま出力する。
無効電流調整回路257bは、加算器257gと、PI制御回路257hと、リミッタ回路257iとを備える。加算器257gには、電流演算回路258aから無効電流Idが入力され、無効電力調整回路256から無効電流制御目標値I2が入力される。そして、加算器257gは、無効電流制御目標値I2と、無効電流Idとの偏差を演算して、偏差をPI制御回路257hへ出力する。PI制御回路257hは、その偏差に基いて比例積分(PI)制御を行い、その演算結果をリミッタ回路257iへ出力する。
リミッタ回路257iは、無効電流の上限値を制限する無効電流上限値制限の役割を果たすものである。リミッタ回路257iは、PI制御回路257hでの演算結果をそのまま出力すると、予め設定された無効電流上限値を超えてしまう場合、上記予め設定された無効電流上限値になるような演算結果に置き換えて出力する。すなわち、リミッタ回路257iは、PI制御回路257hでの演算結果としての無効電流制御目標値が予め設定された無効電流上限値よりも大きい場合にはその無効電流制御目標値を予め設定された無効電流上限値に置き換えて出力する。
一方、リミッタ回路257iは、PI制御回路257hでの演算結果をそのまま出力しても、予め設定された無効電流上限値を超えない場合、PI制御回路257hからの演算結果をそのまま出力する。すなわち、リミッタ回路257iは、PI制御回路257hでの演算結果としての無効電流制御目標値が予め設定された無効電流上限値よりも小さい場合には無効電流制御目標値をそのまま出力する。
d/q軸電圧演算回路257cは、系統電圧d/q軸電圧演算回路258bから出力されるd軸成分、及びq軸成分の系統電圧と、リミッタ回路257f及びリミッタ回路257iからの出力値であるd軸電流制御目標値及びq軸電流制御目標値とに基いてd軸出力電圧変調波、及びq軸出力電圧変調波を出力する。すなわち、d/q軸電圧演算回路257cは、系統電圧d/q軸電圧演算回路258bから出力されるd/q軸成分の系統電圧と、リミッタ回路257f、及びリミッタ回路257iからの出力値であるd/q軸電流制御目標値と、連系変圧器260(図2)の巻線抵抗と漏れインダクタンスに基づいてd/q軸出力電圧変調波を出力する。
2相のd軸出力電圧変調波及びq軸出力電圧変調波は、上記説明したように座標変換回路258cで、位相取得回路253の出力である系統電圧の位相に基いて3相のインバータabc相出力電圧変調波へ変換される。そして、3相のインバータabc相出力電圧変調波は、PWM制御回路259でPWM変換され、インバータ240のゲートに制御信号(ゲートパルス信号)として出力される。
次に、出力電流上限値設定回路251について説明する。出力電流上限値設定回路251は、例えば、系統電圧実効値計測部251aと、比較部251bと、上限値設定部251cと、インバータ出力電流実効値測定部251dと、計測結果保持部251eとを備える。
系統電圧実効値計測部251aは、計器用変圧器VTを介して系統電圧の実効値Vsを計測するものである。比較部251bは、予め設定された設定値と、系統電圧実効値計測部251aで計測された系統電圧の実効値Vsを比較して、上限値設定部251cへその比較結果を通知する。
上限値設定部251cは、比較部251bからの比較結果に応じて、インバータ出力電流上限値を設定するものである。インバータ出力電流実効値計測部251dは、計器用変流器CTを介してインバータ240からの出力電流を計測するものである。このインバータ240からの出力電流の計測結果は計測結果保持部251eに保持される。保持態様は、測定時刻と測定態様とを関連付けた態様が想定されるが、これに限るものではなく、その他の保持態様であってもよい。
比較部251bにおいて比較した結果、系統電圧の実効値Vsの大きさが設定値よりも小さい場合、比較部251bは、電力系統810において瞬時電圧低下が検出されたものと扱い、上限値設定部251cにその旨の通知をする。そして、瞬時電圧低下が検出された旨の通知を受けた上限値設定部251cは、計測結果保持部251eに対して瞬低直前出力電流値を要求する。この要求に応じて計測結果保持部251eは、上限値設定部251cへ瞬低直前出力電流値を出力する。上限値設定部251cは、瞬低直前出力電流値を上限値として設定してリミッタ回路257fへ出力する。
一方、比較部251bにおいて比較した結果、系統電圧の実効値Vsの大きさが設定値よりも大きい場合、比較部251bは、電力系統810において瞬時電圧低下が検出されていないものと扱い、上限値設定部251cにその旨の通知をする。そして、瞬時電圧低下が検出されていない旨の通知を受けた上限値設定部251cは、そのインバータ出力電流の定格値相当、又は定格値をやや上回る出力電流値相当を上限値として設定してリミッタ回路257fへ出力する。なお、上記設定値より小さかった系統電圧値が上記設定値より大きくなる切り替わりの時は、その切り替わりの時から一定期間経過するまでは、比較部251bにおいて比較した結果、系統電圧の実効値Vsの大きさが設定値よりも大きい場合であっても、瞬低直前出力電流値を上限値として設定してリミッタ回路257fへ出力する。
なお、系統電圧実効値計測部251aと、比較部251bとで図1における瞬低検出部を構成する。また、上限値設定部251cと、インバータ出力電流実効値測定部251dと、計測結果保持部251eとで図1における出力範囲上限設定部を構成する。
次に本発明の実施の形態における出力電流上限値設定回路251の動作について図面を参照して説明する。
図4は、出力電流上限値設定回路251の動作を表すフローチャートである。計器用変圧器VT、計器用変流器CTを介して系統電圧、インバータ出力電流が入力されると、出力電流上限値設定回路251は動作を開始する。動作が開始されるとまず、計器用変圧器VTを介して系統電圧の実効値Vsが計測される(ステップS101)。この計測は、例えば、出力電流上限値設定回路251の系統電圧実効値計測部251aに行わせることが一例として想定される。
また、同時に、計器用変流器CTを介してインバータ出力電流の実効値も演算される(ステップS102)。この計測は、例えば、出力電流上限値設定回路251のインバータ出力電流実効値測定部251dに行わせることが一例として想定される。そして、この計測結果を計測結果保持部251eに保持させることが一例として想定される。
次に、系統電圧の実効値Vsが予め設定された設定値より低いか否か判断される(ステップS103)。この判断は、例えば、出力電流上限値設定回路251の比較部251bに行わせることが一例として想定される。
系統電圧の実効値Vsが予め設定された設定値より低いと判断されると、電力系統で瞬時電圧低下が生じたものと扱われ、瞬低直前出力電流値がインバータ出力電流の上限値として設定される(ステップS104)。この動作は、例えば、電力系統で瞬時電圧低下が生じた旨を比較部251bが上限値設定部251cに通知し、その通知を受けた上限値設定部251cが計測結果保持部251eから瞬低直前出力電流値を取得することにより実現されることが想定される。
ステップS104において設定された上限値をリミッタ回路257fに出力する(ステップS105)。この動作は、上限値設定部251cに行わせることが一例として想定される。これにより、リミッタ回路257fは、インバータ出力電流の上限値が瞬低直前出力電流値になるよう動作する(ステップS106)。
一方、ステップS103において系統電圧の実効値Vsが予め設定された設定値より高いと判断されると、電力系統で瞬時電圧低下が検出されていないと扱われる。この場合、次に、一定期間以内に瞬時電圧低下が生じたか否かの判断が行われる(ステップS107)。
一定期間前以内に電力系統で瞬時電圧低下が生じていないと判断されると、インバータ出力電流の定格値、又は定格値をやや上回る出力電流値がインバータ出力電流の上限値として設定される(ステップS108)。一方、一定期間前以内に電力系統で瞬時電圧低下が生じたと判断されると、まだ、電力系統で瞬時電圧低下から電圧復帰した直後の一定期間を経過していないと扱われ、瞬低直前出力電流値がインバータ出力電流の上限値として設定される(ステップS104)。そして、それぞれにおいて設定された上限値がステップS108においてリミッタ回路257fに出力され(ステップS105)、リミッタ回路257fは、設定された上限値にしたがって動作する(ステップS106)。
図5は、図4のフローチャートの時間経過とインバータ出力電流の上限値の関係を表す図である。電力系統における瞬時電圧低下前の期間中においてもステップS101及びステップS102の系統電圧、インバータ出力電流の計測は常に行われている。また、系統電圧の実効値Vsを設定値と比較するステップS103の比較動作も常に行われている。
そして、時刻T1で電力系統における瞬時電圧低下が発生すると、ステップS103の動作で系統電圧の実効値が設定値よりも小さくなったと判断される。この場合、ステップS104で瞬低直前出力電流値がインバータ出力電流の上限値として設定される。
時刻T2で電力系統における瞬時電圧低下から通常電圧に回復しても、ステップS107の判断ステップがあり、直ぐには、インバータ出力電流の上限値を定格値にしない。一定期間経過するまでは、インバータ出力電流の上限値を瞬低直前出力電流の実効値にしておく。一定期間経過後に、インバータ出力電流の上限値を定格値に設定する。
次に、本発明の実施の形態における分散型電源系統連系システム200の一例としての実施例1に、短絡事故が生じた場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使って求めた結果を示す。
図6は、本発明の実施の形態における分散型電源系統連系システム200の一例としての実施例1と連系する電力系統で生じた短絡事故を2パターン示す図である。実施例1の分散型電源系統連系システム200aは、6.6(kV)/50(Hz)の電力系統810aと系統連系されている。実施例1の分散型電源系統連系システム200aは、分散型電源として定格出力110(kW)の太陽電池アレイ210aと、5000(μF)のコンデンサを使った直流リンク回路230aと、定格容量110(kW)、定格電圧415(V)の高圧連系三相電圧形電流制御PWMインバータ240aと、インバータ制御回路250aと、0.002(H)のリアクトルL及び0.04(Ω)の連系変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスを示す280aと、6.6(kV)/415(V)の連系変圧器260aとを少なくとも備えている。なお、インバータ制御回路250aにおける有効電力調整回路への入力は、スイッチS1及びスイッチS2は下側オン状態とし(図2参照)、直流リンク回路電圧制御一定制御の条件の下、インバータ240aの運転が行われているものとする。また、連系変圧器260aの結線は、高圧側がY結線で、低圧側がΔ結線である。また、電力系統810aは、リアクタンスがj2.02(Ω)のリアクトルX及び1.86(Ω)の抵抗Rの高圧配電線810bと、変電所開閉器810cと、リアクタンスがj0.22(Ω)の配電用変電所の背後リアクタンスXと、配電用変電所810dとにより構成されている。
図6(a)は、電力系統810aにおいて高圧配電線810bにおける連系変圧器260a高圧側至近端で事故点の残電圧が0%の短絡事故が生じたことを示す図である。図6(b)は、配電用変電所810dの別の高圧配電線810eで事故点の残電圧20%の短絡事故が生じたことを示す図である。瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCでは、図6(a)の状態で三相短絡事故、二相短絡事故が生じた場合と、図6(b)の状態で三相短絡事故、二相短絡事故が生じた場合の出力復帰特性についてシミュレーションした。その結果を図7乃至図10に示す。なお、上記短絡事故前は、インバータ240aの出力電力は定格値であるものとする。
図7は、図6(a)の状態で三相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合のインバータ240aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図7(a)は、インバータ240aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。三相短絡事故期間中、インバータ240aのab相電圧、bc相電圧、ca相電圧はそれぞれeab、ebc、ecaで、短絡事故前の0%(電圧0kV)になっている。また、図7(b)は、インバータ240aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図7(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後のインバータ240aにおけるインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路250a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図7(c)は、インバータ240aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力は定格値である。三相短絡事故が1.5秒〜1.8秒の間に生じており、インバータ240aのインバータ出力電力がほぼ0になっている。そして、三相短絡事故除去後にインバータ240aが元の有効電力(1.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは10(ms)を要した。太陽光発電用三相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%未満の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後のインバータ電力の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が1秒以内であった。そして、瞬時電圧低下中はインバータは運転継続かゲートロックの状態である。したがって、実施例1の分散型電源系統連系システム200aにおいて図6(a)の状態で三相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が0%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。
図8は、図6(b)の状態で三相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合のインバータ240aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図8(a)は、インバータ240aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。三相短絡事故期間中は、インバータ240aのab相電圧、bc相電圧、ca相電圧は、短絡事故前の20%になっており、位相は短絡事故前と同じである。また、図8(b)は、インバータ240aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図8(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後のインバータ240aにおけるインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路250a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図8(c)は、インバータ240aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力は定格値である。三相短絡事故が1.5秒〜1.8秒の間に生じており、インバータ240aのインバータ出力電力が定格値の20%の22kW程度に下がっている。そして、三相短絡事故除去後にインバータ240aが元の有効電力(1.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは9(ms)を要した。太陽光発電用三相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%以上の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後のインバータ電力の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が0.1秒以内であった。したがって、実施例1の分散型電源系統連系システム200aにおいて図6(b)の状態で三相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が20%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。また、瞬時電圧低下期間中、インバータは運転継続されなければならないが、この要件も満たしている。
図9は、図6(a)の状態で二相短絡事故(b―c相電圧)が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合のインバータ240aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図9(a)は、インバータ240aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。二相短絡事故期間中、インバータ240aのab相電圧は、短絡事故前の50%になっており、位相は短絡事故前よりも60°遅れている。また、二相短絡事故期間中、インバータ240aのbc相電圧は、短絡事故前の50%になっており、位相は短絡事故前よりも60°進んでいる。その結果、ab相電圧とbc相電圧とは位相が同相になっている。また、インバータ240aのca相電圧は短絡事故前と変わっていない。また、図9(b)は、インバータ240aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図9(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後のインバータ240aにおけるインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路250a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図9(c)は、インバータ240aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力は定格値である。二相短絡事故が1.5秒〜1.8秒の間に生じており、インバータ240aのインバータ出力電力が二相短絡事故時の逆相成分によって系統周波数50Hzの2倍の周波数で振動している。そして、二相短絡事故除去後にインバータ240aが元の有効電力(1.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは15(ms)を要した。太陽光発電用三相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%以上の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後のインバータ電力の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が0.1秒以内であった。したがって、実施例1の分散型電源系統連系システム200aにおいて図6(a)の状態で二相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が0%の場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。また、瞬時電圧低下期間中も出力電力は定格値の50%の55kW(平均値)であり、運転継続されている。
図10は、図6(b)の状態で二相短絡事故(b―c相電圧)が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合の出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図10(a)は、インバータ240aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。二相短絡事故期間中、インバータ240aのab相電圧は、短絡事故前の52%になっており、位相は短絡事故前よりも41°遅れている。また、二相短絡事故期間中、インバータ240aのbc相電圧は、短絡事故前の52%になっており、位相は短絡事故前よりも41°進んでいる。その結果、ab相電圧とbc相電圧とは位相差が38°になっている。また、インバータ240aのca相電圧は短絡事故前と変わっていない。また、図10(b)は、インバータ240aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図10(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後のインバータ240aにおけるインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路250a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図10(c)は、インバータ240aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力は定格値である。二相短絡事故が1.5秒〜1.8秒の間に生じており、インバータ240aのインバータ出力電力が二相短絡事故時の逆相成分によって系統周波数50Hzの2倍の周波数で振動している。そして、二相短絡事故除去後に元の有効電力(1.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは4(ms)を要した。太陽光発電用三相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%以上の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が0.1秒以内であった。したがって、実施例1の分散型電源系統連系システム200aにおいて図6(b)の状態で二相短絡事故が0.3秒間(1.5秒〜1.8秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が20%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。
また、図7(c)〜図10(c)のインバータ240aのインバータ電力出力のシミュレーション結果において、いずれも瞬時電圧低下から電圧回復直後の電力出力が瞬時電圧低下前とほぼ同じ程度である。そして、いずれもその後の電力出力もそのまま同程度の値に安定している。これは、本発明の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路で出力電流の上限値を設定し、過電流を防止した効果である。なお、図7(c)〜図10(c)は、瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力が定格値であり、瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力が定格値以下の条件での電力の出力復帰特性のシミュレーション結果をここでは提示していないが、図7(c)〜図10(c)と同様の結果を得られたことを本発明者は確認した。すなわち、本発明を適用すれば、瞬時電圧低下前のインバータ240aのインバータ出力電力が定格値以下の条件であっても、電圧復帰後に瞬低直前出力電力(定格値以下である)を超えることなく、系統連系規程2012のFRT要件を満たしていた。
図11は、分散型電源系統連系システム200においてd/q軸電流制御方式インバータ制御回路から本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムで三相短絡事故が生じた場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使って求めた結果を示す図である。インバータの定格出力110kW、瞬時電圧低下時間が1.5秒〜1.8秒の間の0.3秒、残電圧0%の条件下でシミュレーションを行った。
図11に示すように、瞬時電圧低下前は、インバータの有効出力、無効電力は、それぞれ110kW、0kVarであった。そして、電圧復帰後は、19msで最大値152kW(定格値の140%)に達している。本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムのシミュレーション結果は、図7〜図10のシミュレーション結果と比べると、リミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路がないため、本発明の場合と違って電圧復帰直後の出力が定格値を大きく超える過電流が発生している。一方、本発明の分散型電源系統連系システムのシミュレーション結果である図7〜図10を見ると、瞬時電圧低下から電圧復帰直後の出力がほぼ瞬時電圧低下前と同じ状態である。
このように、本発明は、リミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路をインバータ制御回路に加えることにより、系統連系規程2012のFRT要件を満たすことを可能とした。また、本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムは、瞬時電圧低下から電圧復帰直後の電力の出力が、インバータの定格出力を大きく超えているのに対して、本発明のインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムは、インバータ出力電流を瞬時電圧低下前の電流値とほぼ同じ状態で運転させることができるため、速やかな電力出力復帰特性が得られている。同時に、この電力出力復帰特性は系統連系規程2012のFRT要件を満たす効果を達成している。
図12は、インバータ駆動部53として瞬時値電流制御方式を採用した分散型電源系統連系システム300を示す図である。分散型電源系統連系システム300は、商用電源の電力系統820と分散型電源310のような直流電源との系統連系を制御するものであり、例えば、分散型電源310と、昇圧チョッパ回路320と、直流リンク回路330と、インバータ340と、インバータ制御回路350と、連系変圧器360と、連系開閉器370とを備える。
なお、分散型電源系統連系システム300における分散型電源310と、昇圧チョッパ回路320と、直流リンク回路330と、連系変圧器360と、連系開閉器370とは、分散型電源系統連系システム100における分散型電源10と、昇圧チョッパ回路20と、直流リンク回路30と、連系変圧器60と、連系開閉器70と機能が同じであり、既に図1で説明済みであるため、その説明を省略する。
インバータ340は、インバータ制御回路350に制御されて、直流電力を交流電力に変換して出力するものである。インバータ340は、例えば単相インバータであることが想定されるが、これに限るものではない。
次に、インバータ制御回路350について説明する。インバータ制御回路350は、図1におけるインバータ駆動部53と同様の機能を有するものであり、出力範囲上限設定部52で設定されたインバータ340の出力電流の出力範囲内でインバータ340を駆動するものである。インバータ制御回路350は、瞬時値電流制御方式を用いたものであるが、これは一例であって、これに限るものではなく、その他の制御方式を用いたインバータ制御回路であってもよい。
インバータ制御回路350は、例えば、瞬低検出部51及び出力範囲上限設定部52を含む出力電流上限値設定回路351と、インバータ駆動部352とを備える。そして、インバータ駆動部352は、図1におけるインバータ駆動部53に相当するものであり、位相取得回路353と、電力演算回路354と、有効電力調整回路355と、有効電力制御目標値演算回路355Pと、直流リンク電圧制御目標値保持部355Dと、無効電力調整回路356と、無効電力制御目標値演算回路356Pと、正弦波形出力回路357と、乗算器358a及び乗算器358bと、加算器358cと、ゲート制御回路359とを備えた構成が一例として想定される。
出力電流上限値設定回路351は、図2、図3で説明した出力電流上限値設定回路251と同様の機能を有するものである。すなわち、出力電流上限値設定回路351は、例えば計器用変圧器VTを介して電力系統820で瞬時電圧低下が生じたことを検出すると、瞬低直前出力電流値をインバータ340の出力電流の出力範囲の上限値として設定する。一方、出力電流上限値設定回路351は、例えば計器用変圧器VTを介して電力系統820で瞬時電圧低下が生じたことを検出しない場合(瞬時電圧低下から電圧回復後の一定期間を除く)、インバータ340の出力電流の出力範囲の上限値をインバータ340の出力電流の定格値に設定する。
次に、インバータ駆動部352を構成する各部について説明する。位相取得回路353は、例えば、計器用変圧器VTを介して電力系統820における系統電圧の位相を取得して出力するものである。位相取得回路353として、例えば、PLL(Phase Lock Loop)回路が想定されるが、これに限るものではなく、その他の回路構成であってもよい。
電力演算回路354は、例えば、計器用変圧器VTを介して計測された系統電圧、計器用変流器CTを介して計測されたインバータ340からの出力電流、位相取得回路353で取得された系統電圧の位相に基いて、インバータ340が出力する有効電力、及び無効電力を演算して出力するものである。
有効電力制御目標値演算回路355Pは、昇圧チョッパ回路320、又は直流リンク回路330を介して出力される分散型電源310からの出力電圧V、及び出力電流Iより演算される分散型電源310の出力電力に基いて有効電力制御目標値P5を演算して出力するものである。分散型電源310で発電された直流電力をインバータ340で交流電力に変換して電力系統820へ出力するため、分散型電源310の出力電力に応じたインバータ340の制御を行うため有効電力制御目標値演算回路355Pが設けられている。
有効電力調整回路355は、有効電力制御目標値P5と、電力演算回路354で演算された有効電力P6との偏差をゼロにするよう演算し、その演算結果を有効電流制御目標値I3として出力するものである。具体的に有効電力調整回路355は、加算器355aとPI制御回路355bと、リミッタ回路355cとにより構成させることが一例として想定される。
加算器355aは、入力された有効電力制御目標値P5と、電力演算回路354で演算された有効電力P6との偏差の演算を行い、その偏差ΔPをPI制御回路355bへ出力する。PI制御回路355bは、その偏差ΔPに基いて比例積分(PI)制御を行い、偏差ΔPをゼロにするような演算結果をリミッタ回路355cへ出力する。すなわち、加算器355a及びPI制御回路355bは、有効電力P5が有効電力制御目標値P6に収束するように、フィードバック制御するものである。
リミッタ回路355cは、有効電流の上限値を制限する有効電流上限値制限の役割を果たすものである。具体的には、リミッタ回路355cは、PI制御回路355bでの演算結果をそのまま出力すると、インバータ340の出力電流が出力電流上限値設定回路351の設定した上限値を超えてしまう場合、上記設定した上限値になるような演算結果に置き換えて出力する。すなわち、リミッタ回路355cは、PI制御回路355bでの演算結果としての有効電流制御目標値が出力電流上限値設定回路351で設定された上限値よりも大きい場合にはその有効電流制御目標値を出力電流上限値設定回路351で設定された上限値に置き換えて出力する。
一方、リミッタ回路355cは、PI制御回路355bでの演算結果をそのまま出力しても、インバータ340の出力電流が出力電流上限値設定回路351の設定した上限値を超えない場合、PI制御回路355bからの演算結果をそのまま出力する。すなわち、リミッタ回路355cは、PI制御回路355bでの演算結果としての有効電流制御目標値が出力電流上限値設定回路351で設定された上限値よりも小さい場合には有効電流制御目標値をそのまま出力する。
直流リンク電圧(DCLinkV)制御目標値保持部355Dは、直流リンク電圧制御目標値を保持するものである。直流リンク電圧(DCLinkV)制御目標値保持部355Dは、スイッチS4が図12の下側へ切り替わると有効電力調整回路355へ直流リンク電圧制御目標値を出力する。この直流リンク電圧制御目標値は、例えば、直流リンク回路330の定格電圧に設定することが一例として想定されるが、これに限るものではなく、その他の電圧値であってもよい。
なお、有効電力調整回路355で、有効電流制御目標値を直流リンク回路330電圧の一定制御の条件の下で求める場合、スイッチS3及びスイッチS4を図12の下側に切り替える。この場合、有効電力調整回路355には、直流リンク回路330電圧と直流リンク電圧(DC LinkV)制御目標値が入力され、直流リンク回路330電圧と直流リンク電圧(DC LinkV)制御目標値の偏差がゼロになるよう演算され、その演算結果は有効電流制御目標値として乗算器358aへ出力される。
直流リンク回路330にはキャパシタが設置されており、分散型電源310で発電された直流電力とインバータ340で電力系統820へ出力される交流電力とに過不足が生じるとその差はこのキャパシタに充放電されてこの直流リンク回路330の電圧は上昇または低下する。よって、直流リンク電圧制御目標値を直流リンク回路330の定格電圧に設定して直流リンク回路330の電圧を一定制御することにより、分散型電源310で発電された直流電力を全てインバータ340で交流電力に変換して電力系統820へ出力することができる。
無効電力制御目標値演算回路356Pは、例えば、力率一定制御するため電力演算回路354で演算された有効電力P6から力率制御値となる無効電力を演算して、これを無効電力目標値P7として設定する。
無効電力調整回路356は、無効電力制御目標値P7と、電力演算回路354で演算された無効電力P8との偏差をゼロにするよう演算し、その演算結果を無効電流制御目標値I4として出力するものである。具体的に無効電力調整回路356は、加算器356aとPI制御回路356bと、リミッタ回路356cとにより構成させることが一例として想定される。
加算器356aは、入力された無効電力制御目標値P7と、電力演算回路354で演算された無効電力P8との偏差の演算を行い、その偏差ΔPをPI制御回路356bへ出力する。PI制御回路356bは、その偏差ΔPに基いて比例積分(PI)制御を行い、偏差ΔPをゼロにするような演算結果を無効電流制御目標値I4としてリミッタ回路356cへ出力する。すなわち、加算器356a及びPI制御回路356bは、無効電力P8が無効電力制御目標値P7に収束するように、フィードバック制御するものである。
リミッタ回路356cは、無効電流の上限値を制限する無効電流上限値制限の役割を果たすものである。リミッタ回路356cは、PI制御回路356bでの演算結果をそのまま出力すると、予め設定された無効電流上限値を超えてしまう場合、上記予め設定された無効電流上限値になるような演算結果に置き換えて出力する。すなわち、リミッタ回路356cは、PI制御回路356bでの演算結果としての無効電流制御目標値が予め設定された無効電流上限値よりも大きい場合にはその無効電流制御目標値を予め設定された無効電流上限値に置き換えて出力する。
一方、リミッタ回路356cは、PI制御回路356bでの演算結果をそのまま出力しても、予め設定された無効電流上限値を超えない場合、PI制御回路356bからの演算結果をそのまま出力する。すなわち、リミッタ回路356cは、PI制御回路356bでの演算結果としての無効電流制御目標値が予め設定された無効電流上限値よりも小さい場合には無効電流制御目標値をそのまま出力する。
正弦波形出力回路357は、例えば、計器用変圧器VTを介して計測された系統電圧、位相取得回路353で取得された系統電圧の位相に基いて、系統電圧と同相の正弦波W1と、系統電圧の位相から90°遅れの正弦波W2とを生成して出力するものである。
乗算器358aは、有効電力調整回路355から出力された有効電流制御目標値I3と、正弦波形出力回路357から出力された正弦波W1を乗算してその乗算結果を有効電流制御目標値の瞬時値として加算器358cへ出力するものである。また、乗算器358bは、無効電力調整回路356から出力された無効電流制御目標値I4と、正弦波形出力回路357から出力された正弦波W2を乗算してその乗算結果を無効電流制御目標値の瞬時値として加算器358cへ出力するものである。
加算器358cは、入力された上記2つの乗算結果の偏差の演算を行ってその演算結果をインバータ出力電流制御目標値の瞬時値としてゲート制御回路359へ出力する。ゲート制御回路359は、加算器358cから出力されたインバータ出力電流制御目標値を基準に、それより、例えば1%程度大きくした上限値と、それより1%程度小さくした下限値を決定する。そして、ゲート制御回路359は、インバータ340の出力電流がその決定した上限値と下限値との範囲内に収まるようにインバータ340へゲート信号を出力してインバータ340を駆動させる。
図13は、インバータ駆動部53として瞬時値電流制御方式(力率1制御)を採用した分散型電源系統連系システム400を示す図である。分散型電源系統連系システム400は、商用電源の電力系統830と分散型電源410のような直流電源との系統連系を制御するものであり、例えば、分散型電源410と、昇圧チョッパ回路420と、直流リンク回路430と、インバータ440と、インバータ制御回路450と、連系変圧器460と、連系開閉器470とを備える。
なお、分散型電源系統連系システム400における分散型電源410と、昇圧チョッパ回路420と、直流リンク回路430と、連系変圧器460と、連系開閉器470とは、分散型電源系統連系システム100における分散型電源10と、昇圧チョッパ回路20と、直流リンク回路30と、連系変圧器60と、連系開閉器70と機能が同じであり、既に図1で説明済みであるため、その説明を省略する。
分散型電源系統連系システム400は、分散型電源系統連系システム300と同様に瞬時値電流制御方式を採用したものである。相違点は、分散型電源系統連系システム400は力率1の制御をしているところである。このため、分散型電源系統連系システム400は有効電力のみを出力する構成となり、分散型電源系統連系システム300のインバータ制御回路350中の無効電力関連の回路がない構成になっている。
したがって、インバータ440は、インバータ340と同様の機能を有するものである。また、インバータ制御回路450は、瞬低検出部51及び出力範囲上限設定部52を含む出力電流上限値設定回路451と、インバータ駆動部452とを備える。そして、インバータ駆動部452は、図1におけるインバータ駆動部53に相当するものであり、位相取得回路453と、電力演算回路454と、有効電力調整回路455と、正弦波形出力回路457と、乗算器458と、ゲート制御回路459とを備えた構成である。そして、出力電流上限値設定回路451、インバータ駆動部452、位相取得回路453、電力演算回路454、有効電力調整回路455、有効電力制御目標値演算回路455Pと、直流リンク電圧制御目標値保持部455Dと、正弦波形出力回路457、乗算器458、ゲート制御回路459は、それぞれ出力電流上限値設定回路351、インバータ駆動部352、位相取得回路353、電力演算回路354、有効電力調整回路355、有効電力制御目標値演算回路355Pと、直流リンク電圧制御目標値保持部355Dと、正弦波形出力回路357、乗算器358a及び乗算器358b、ゲート制御回路359と同様に説明が可能であるため、その説明を省略する。また、その他で図12でした分散型電源系統連系システム300の説明は可能な限り、分散型電源系統連系システム400にも適用される。
次に、本発明の別の実施の形態における分散型電源系統連系システム400の一例としての実施例2に、短絡事故が生じた場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使って求めた結果を示す。
図14は、本発明の別の実施の形態における分散型電源系統連系システム400の一例としての実施例2と連系する電力系統で生じた短絡事故を2パターン示す図である。実施例2の分散型電源系統連系システム400aは、6.6(kV)/50(Hz)の電力系統830aと系統連系されている。実施例2の分散型電源系統連系システム400aは、分散型電源として定格出力50(kW)の太陽電池アレイ410aと、50000(μF)のコンデンサを使った直流リンク回路430aと、定格容量50(kW)、定格電圧415(V)の単相インバータ440aと、インバータ制御回路450aと、0.001(H)の連系インピーダンスLと、6.6(kV)/415(V)の連系単相変圧器460aとを少なくとも備えている。そして、単相インバータ440aは、連系単相変圧器460aの低圧側a―b相に連系されている。また、連系変圧器460aの結線は、高圧側がY結線で、低圧側がΔ結線である。なお、インバータ制御回路450aにおける有効電力調整回路への入力は、スイッチS5及びスイッチS6は下側オン状態とし(図13参照)、直流リンク回路電圧制御一定制御の条件の下、単相インバータ440aの運転が行われているものとする。また、電力系統830aは、6.6(kV)相当の高圧配電線830bと、変電所開閉器830cと、リアクタンスがj0.22(Ω)の配電用変電所の背後リアクタンスXと、配電用変電所830dとにより構成されている。
図14(a)は、電力系統830aにおいて高圧配電線830bにおける連系変圧器460a高圧側至近端で事故点の残電圧が0%の短絡事故が生じたことを示す図である。図14(b)は、配電用変電所830dの別の高圧配電線830eで残電圧20%の短絡事故が生じたことを示す図である。瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCでは、図14(a)の状態で三相短絡事故、二相短絡事故が生じた場合と、図14(b)の状態で三相短絡事故、二相短絡事故が生じた場合の出力復帰特性についてシミュレーションした。その結果を図15乃至図18に示す。
図15は、図14(a)の状態で三相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図15(a)は、単相インバータ440aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。三相短絡事故期間中、単相インバータ440aの電圧は短絡事故前のほぼ0%になっている。また、図15(b)は、単相インバータ440aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図15(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後の単相インバータ440aのインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路450a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図15(c)は、単相インバータ440aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力は定格値である。三相短絡事故が2.5秒〜3.5秒の間の間に生じており、電力がほぼ0になっている。そして、三相短絡事故除去後に単相インバータ440aの元の有効電力(1.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは20(ms)を要した。太陽光発電用単相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%未満の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後のインバータ電力の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が1秒以内であった。したがって、実施例2の分散型電源系統連系システム400aにおいて図14(a)の状態で三相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が0%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。
図16は、図14(b)の状態で三相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図16(a)は、単相インバータ440aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。三相短絡事故期間中は、単相インバータ440aのab相電圧Einv(a―b相)は、短絡事故前の20%になっており、位相は短絡事故前と同じである。また、図16(b)は、単相インバータ440aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図16(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後の単相インバータ440aのインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路450a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図16(c)は、単相インバータ440aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力は定格値である。三相短絡事故が2.5秒〜3.5秒の間に生じており、単相インバータ440aの有効電力がほぼ事故前の20%程度に下がっている。そして、三相短絡事故除去後に単相インバータ440aの元の有効電力(2.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは9(ms)を要した。太陽光発電用単相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%以上の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が0.1秒以内であった。したがって、実施例2の分散型電源系統連系システム400aにおいて図14(b)の状態で三相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が20%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。
図17は、図14(a)の状態で二相短絡事故(b―c相二相短絡事故)が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が0%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図17(a)は、単相インバータ440aのインバータ電圧の時間経過を示す図である。二相短絡事故期間中、単相インバータ440aのインバータ出力電圧Einv(a―b相)は、短絡事故前の50%になっており、位相は短絡事故前よりも60°遅れている。また、図17(b)は、単相インバータ440aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図17(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後のインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路450a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図17(c)は、単相インバータ440aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力は定格値である。二相短絡事故が2.5秒〜3.5秒の間に生じており、単相インバータ440aの有効電力が事故前の50%程度になっている。そして、二相短絡事故除去後に単相インバータ440aの元の有効電力(2.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは15(ms)を要した。太陽光発電用単相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%以上の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が0.1秒以内であった。したがって、実施例2の分散型電源系統連系システム400aにおいて図14(a)の状態で二相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が0%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。
図18は、図14(b)の状態で二相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、瞬時電圧低下が生じて事故点の残電圧が20%になった場合の単相インバータ440aの出力復帰特性についてのシミュレーション結果を示す図である。図18(a)は、インバータ電圧の時間経過を示す図である。二相短絡事故期間中、単相インバータ440aのインバータ出力電圧Einv(a―b相)は、短絡事故前の52%になっており、位相は短絡事故前よりも41°遅れている。また、図18(b)は、単相インバータ440aのインバータ電流の時間経過を示す図である。図18(b)において瞬時電圧低下中、及び電圧復帰後の単相インバータ440aのインバータ電流は過電流が発生することなく、瞬時電圧低下前のインバータ電流と変わらず一定である。これは、本発明のインバータ制御回路450a中の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路によりインバータ電流が安定して瞬低直前出力電流値を超えないように制御されていることを示している。
図18(c)は、単相インバータ440aのインバータ出力電力の時間経過を示す図である。瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力は定格値である。二相短絡事故が2.5秒〜3.5秒の間に生じており、インバータ440aの有効電力出力が短絡事故前の52%程度になっている。そして、二相短絡事故除去後に単相インバータ440aの元の有効電力(2.5秒経過前の実線の有効電力値)の80%を出力するのに、シミュレーションでは4(ms)を要した。太陽光発電用単相インバータの系統連系規程2012のFRT要件では、インバータ電圧の残電圧が20%以上の場合、瞬時電圧低下から電圧回復後の出力が電圧低下直前の出力の80%以上になる時間が0.1秒以内であった。したがって、実施例2の分散型電源系統連系システム400aにおいて図14(b)の状態で二相短絡事故が1秒間(2.5秒〜3.5秒の間)生じて、インバータ電圧の残電圧が20%になった場合でも系統連系規程2012のFRT要件を満たしている。
また、図15(c)〜図18(c)の単相インバータ440aのインバータ電力出力のシミュレーション結果において、いずれも瞬時電圧低下から電圧回復直後の電力出力が瞬時電圧低下前とほぼ同じ程度である。そして、いずれもその後の電力出力もそのまま同程度の値に安定している。これは、本発明の出力電流上限値設定回路、及びリミッタ回路で出力電流の上限値を設定し、過電流を防止した効果である。なお、図15(c)〜図18(c)は、瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力が定格値であり、瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力が定格値以下の条件での電力の出力復帰特性のシミュレーション結果をここでは提示していないが、図15(c)〜図18(c)と同様の結果を得られたことを本発明者は確認した。すなわち、本発明を適用すれば、瞬時電圧低下前の単相インバータ440aのインバータ出力電力が定格値以下の条件であっても、電圧復帰後に瞬低直前出力電圧(定格値以下である)を超えることなく、系統連系規程2012のFRT要件を満たしていた。
図19は、分散型電源系統連系システム400において力率1制御時の瞬時値電流制御方式インバータ制御回路から本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムで、三相短絡事故が生じた場合の出力復帰特性について瞬時値解析シミュレーションソフトウエアPSCAD/EMTDCを使って求めた結果を示す図である。インバータの定格出力50kW、瞬時電圧低下時間が2.5秒〜3.5秒の1秒、残電圧0%の条件下でシミュレーションを行った。
図19に示すように、瞬時電圧低下前は、インバータの有効出力、無効電力は、それぞれ50kW、0kVarであった。そして、電圧復帰後は、41msで最大値100kW(定格値の200%)に達している。本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムのシミュレーション結果は、図15〜図18のシミュレーション結果と比べると、リミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路がないため、本発明の場合と違って電圧復帰直後の出力が定格値を大きく超える過電流が発生している。一方、本発明の分散型電源系統連系システムのシミュレーション結果である図15〜図18を見ると、瞬時電圧低下から電圧復帰直後の出力がほぼ瞬時電圧低下前と同じ状態である。
このように、本発明は、リミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路をインバータ制御回路に加えることにより、系統連系規程2012のFRT要件を満たすことを可能とした。また、本発明のリミッタ回路、及び出力電流上限値設定回路を除いたインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムは、瞬時電圧低下から電圧復帰直後の電力の出力が、インバータの定格出力を大きく超えているのに対して、本発明のインバータ制御回路を採用した分散型電源系統連系システムは、インバータ出力電流を瞬時電圧低下前の電流値とほぼ同じ状態で運転させることがため、速やかな電力出力復帰特性が得られている。同時に、この電力出力復帰特性は系統連系規程2012のFRT要件を満たす効果を達成している。
このように、本発明の実施の形態によれば、系統連系規程2012のFRT要件を満たすことができる。また、本発明の実施の形態によれば、瞬時電圧低下から電圧復帰直後の電力の出力を、速やかに回復させ、瞬時電圧低下前の電力の出力とほぼ同じ状態で安定した運転させることができるという効果を達成している。
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
なお、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。
10、210、310、410 分散型電源
210a、410a 太陽電池アレイ
20、220、320、420 昇圧チョッパ回路
30、230、230a、330、430、430a 直流リンク回路
40、240、240a、340、440 インバータ
50、250、250a、350、450、450a インバータ制御回路
51 瞬低検出部
52 出力範囲上限設定部
53 インバータ駆動部
60、260、260a、360、460、460a 連系変圧器
70、270、370、470 連系開閉器
100、200、200a、300、400、400a 分散型電源系統連系システム
251、351、451 出力電流上限値設定回路
251a 系統電圧実効値計測部
251b 比較部
251c 上限値設定部
251d インバータ出力電流実効値測定部
251e 計測結果保持部
252、352、452 インバータ駆動部
253、353、453 位相取得回路
254、354、454 電力演算回路
255、355、455 有効電力調整回路
255a、256a、257d、257g、355a、356a、358c 加算器
255b、256b、257e、257h、355b、356b PI制御回路
256、356 無効電力調整回路
257 電流調整回路
257a 有効電流調整回路
257b 無効電流調整回路
257c d/q軸電圧演算回路
257f、257i、355c、356c リミッタ回路
257g 加算器
258a 電流演算回路
258b d/q軸電圧演算回路
258c 座標変換回路
259 PWM制御回路
280a 系変圧器の巻線抵抗及び漏れリアクタンス
480a 連系インピーダンス
357、457 正弦波形出力回路
358a、358b、458 乗算器
359、459 ゲート制御回路
440a 単相インバータ
460a 連系単相変圧器
800、810、810a、820、830、830a 電力系統
810b、810e、830b、830e 高圧配電線
810c、830c 変電所開閉器
810d、830d 配電用変電所

Claims (12)

  1. 分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータのインバータ制御装置であって、
    前記電力系統において瞬時電圧低下が生じたことを検出する瞬低検出手段と、
    前記瞬低検出手段における検出結果に応じて前記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を設定する範囲上限設定手段と、
    前記設定された前記インバータ出力電流の出力範囲内で前記インバータを駆動させるインバータ駆動手段と
    を備えたことを特徴とするインバータ制御装置。
  2. 前記範囲上限設定手段は、前記瞬低検出手段において瞬時電圧低下が検出された場合、前記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を、瞬時電圧低下が生じる直前の前記インバータの出力電流値である瞬低直前出力電流値に設定することを特徴とする請求項1に記載のインバータ制御装置。
  3. 前記範囲上限設定手段は、瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間中、前記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を前記瞬低直前出力電流値に設定することを特徴とする請求項2に記載のインバータ制御装置。
  4. 前記範囲上限設定手段は、瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間を除き、前記瞬低検出手段において瞬時電圧低下が検出されない場合、前記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を、前記インバータの出力電流の定格値に設定することを特徴とする請求項3に記載のインバータ制御装置。
  5. 前記インバータ駆動手段は、
    前記分散型電源の出力電力に基いて前記インバータが出力すべき有効電力に対応する有効電力制御目標値を演算する有効電力制御目標値演算手段と、
    前記電力系統の系統電圧、及び前記インバータの出力電流、並びに、前記電力系統の系統電圧の位相、前記有効電力制御目標値に基いて、前記インバータの有効電流の制御目標値を演算する有効電流制御目標値演算手段と、
    前記有効電流の制御目標値が、前記範囲上限設定手段で設定された前記上限値よりも小さい場合には前記有効電流の制御目標値をそのまま出力し、前記有効電流の制御目標値が前記範囲上限設定手段で設定された前記上限値よりも大きい場合には前記有効電流の制御目標値を前記範囲上限設定手段で設定された前記上限値にして出力する有効電流上限値制限手段と、
    前記有効電流上限値制限手段から出力された前記有効電流の制御目標値に基いて前記インバータのゲートに制御信号を出力して、前記設定された前記インバータ出力電流の出力範囲内で前記インバータを駆動させるゲート制御手段と
    を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のインバータ制御装置。
  6. 前記分散型電源と前記インバータとの間に接続される直流リンク回路を備え、
    前記インバータ駆動手段は、
    前記電力系統の系統電圧、及び前記インバータの出力電流、並びに、前記電力系統の系統電圧の位相、前記直流リンク回路にかかる直流リンク電圧と、予め設定された直流リンク電圧制御目標値に基いて、前記インバータの有効電流の制御目標値を演算する有効電流制御目標値演算手段と、
    前記有効電流の制御目標値が、前記範囲上限設定手段で設定された前記上限値よりも小さい場合には前記有効電流の制御目標値をそのまま出力し、前記有効電流の制御目標値が前記範囲上限設定手段で設定された前記上限値よりも大きい場合には前記有効電流の制御目標値を前記範囲上限設定手段で設定された前記上限値にして出力する有効電流上限値制限手段と、
    前記有効電流上限値制限手段から出力された前記有効電流の制御目標値に基いて前記インバータのゲートに制御信号を出力して、前記設定された前記インバータ出力電流の出力範囲内で前記インバータを駆動させるゲート制御手段と
    を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のインバータ制御装置。
  7. 前記インバータ駆動手段は、さらに
    前記電力系統の系統電圧、及び前記インバータの出力電流、並びに、前記電力系統の系統電圧の位相に基いて前記インバータが出力すべき無効電力に対応する無効電力制御目標値を演算する無効電力制御目標値演算手段と、
    前記電力系統の系統電圧、及び前記インバータの出力電流、並びに、前記電力系統の系統電圧の位相、前記無効電力制御目標値に基いて、前記インバータの無効電流の制御目標値を演算する無効電流制御目標値演算手段と、
    前記無効電流の制御目標値が、予め設定された設定値よりも小さい場合には前記無効電流の制御目標値をそのまま出力し、前記無効電流の制御目標値が前記設定値よりも大きい場合には前記無効電流の制御目標値を前記設定値にして出力する無効電流上限値制限手段と、
    前記有効電流上限値制限手段から出力された前記有効電流の制御目標値、及び前記無効電流上限値制限手段から出力された前記無効電流の制御目標値に基いて前記インバータのゲートに制御信号を出力して、前記設定された前記インバータ出力電流の出力範囲内で前記インバータを駆動させるゲート制御手段と
    を具備することを特徴とする請求項5及び請求項6のいずれか一つに記載のインバータ制御装置。
  8. 分散型電源と、
    前記分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータと、
    前記インバータを制御する請求項1乃至請求項7に記載のインバータ制御装置と
    を少なくとも備えた分散型電源系統連系システム。
  9. 分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータの制御方法であって、
    前記電力系統で瞬時電圧低下が生じたか否かで前記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を変えて設定し、前記設定された前記インバータ出力電流の出力範囲内で前記インバータを制御して駆動させることを特徴とするインバータの制御方法。
  10. 前記電力系統で瞬時電圧低下が生じた場合、瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間中は前記インバータの出力電流の出力範囲の上限値を、瞬時電圧低下が生じる直前の出力電流値である瞬低直前出力電流値に設定し、前記瞬低直前出力電流値を超えないように前記インバータを制御して駆動させることを特徴とする請求項9に記載のインバータの制御方法。
  11. 前記瞬時電圧低下期間中、及び瞬時電圧低下から電圧が回復した後の一定期間中以外は、前記インバータ出力電流の出力範囲の上限値を、前記インバータ出力電流の定格値に設定し、前記インバータ出力電流の定格値を超えないように前記インバータを制御して駆動させることを特徴とする請求項10に記載のインバータの制御方法。
  12. 分散型電源の直流電力を交流電力に変換して電力系統と連系するインバータを制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記電力系統の系統電圧値を計測する電圧計測手順と、
    前記インバータの出力電流値を計測する電流計測手順と、
    前記計測した系統電圧値と、設定値の大きさを比較する比較手順と、
    前記比較の結果、前記計測した系統電圧値が設定値より小さい場合、及び前記設定値より小さかった系統電圧値が前記設定値より大きくなった後に一定期間経過するまでは、その瞬時電圧低下前の前記インバータの出力電流値を前記インバータの出力電流の上限値に設定する設定手順と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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