JP2016009991A - 画像処理装置、カメラおよび画像処理プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】流し撮りの技法により撮影された画像をよりよく再現した画像を得る画像処理装置を提供する。【解決手段】画像処理装置は、第1時刻に撮影され主要被写体部分を含む第1画像と、第2時刻に撮影され主要被写体部分を含み第1画像とは異なる範囲を撮影した第2画像と、から主要被写体部分以外の部分である背景部分を特定する背景特定手段と、第1画像と第2画像とについて背景特定手段により特定された背景部分に基づき、第1時刻から第2時刻にかけての背景部分の移動軌跡を推定する移動推定手段と、移動推定手段により推定された移動軌跡に基づき、第1時刻に露光を開始し第2時刻に露光を終了することにより撮影される流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する背景画像推定手段と、第1画像または第2画像の主要被写体部分と、背景画像推定手段により推定された背景部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する合成手段と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、画像処理装置、カメラおよび画像処理プログラムに関する。
従来、時間的に連続する複数枚の画像を合成し、いわゆる流し撮りの技法により撮影される流し撮り画像を再現した画像を作成する撮像装置が知られている(例えば特許文献1)。このような撮像装置を用いると、高度な撮影技術を持たない撮影者であっても、流し撮り画像に似た画像を撮影することができる。
特開2010−246162号公報
特許文献1に記載の撮像装置は、流し撮りに似た効果が付与された画像を作成するものであり、実際の流し撮り画像を十分に再現できていない。
請求項1に記載の画像処理装置は、第1時刻に撮影され主要被写体部分を含む第1画像と、前記第1時刻より後の第2時刻に撮影され前記主要被写体部分を含み前記第1画像とは異なる範囲を撮影した第2画像と、から前記主要被写体部分以外の部分である背景部分を特定する背景特定手段と、前記第1画像と前記第2画像とについて前記背景特定手段により特定された背景部分に基づき、前記第1時刻から前記第2時刻にかけての背景部分の移動軌跡を推定する移動推定手段と、前記移動推定手段により推定された前記移動軌跡に基づき、前記第1時刻に露光を開始し前記第2時刻に露光を終了することにより撮影される流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する背景画像推定手段と、前記第1画像または前記第2画像の前記主要被写体部分と、前記背景画像推定手段により推定された背景部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
請求項5に記載のカメラは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の画像処理プログラムは、第1時刻に撮影され主要被写体部分を含む第1画像と、前記第1時刻より後の第2時刻に撮影され前記主要被写体部分を含み前記第1画像とは異なる範囲を撮影した第2画像と、から前記主要被写体部分以外の部分である背景部分を特定する背景特定ステップと、前記第1画像と前記第2画像とについて前記背景特定ステップにより特定された背景部分に基づき、前記第1時刻から前記第2時刻にかけての背景部分の移動軌跡を推定する移動推定ステップと、前記移動推定ステップにより推定された前記移動軌跡に基づき、前記第1時刻に露光を開始し前記第2時刻に露光を終了することにより撮影される流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する背景画像推定ステップと、前記第1画像または前記第2画像の前記主要被写体部分と、前記背景画像推定ステップにより推定された背景部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する合成ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、従来技術よりも流し撮りの技法により撮影された画像をよりよく再現した画像を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの構成を模式的に示す断面図である。 制御部11の要部構成を例示する図である。 流し撮り画像作成処理の概念を説明する図である。 背景部分と撮像画素との関係を模式的に示す図である。 制御部11が実行する流し撮り画像作成処理のフローチャートである。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの構成を模式的に示す断面図である。レンズ一体型のデジタルカメラ1は、撮像素子10と、制御部11とを備える。撮像素子10は、被写体像を撮像して撮像信号を出力する。制御部11は、不図示のCPU、RAMおよび周辺回路から構成され、デジタルカメラ1全体を制御する。
図2は、制御部11の要部構成を例示する図である。制御部11は、不図示の記憶媒体から所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、図2に示す各部をソフトウェア的に実現している。制御部11は、背景特定部21と、動きベクトル検出部22と、背景画像推定部23と、主要被写体画像抽出部24と、合成部25とを備える。
(流し撮り画像作成機能の説明)
次に、デジタルカメラ1が有する流し撮り画像作成機能について説明する。流し撮りとは、露光開始から露光完了までの時間(露光時間)中に、移動する被写体(主要被写体)が撮影画面中の略同一位置に存在するようにカメラを動かす撮影技法である。このように撮影を行うと、主要被写体が鮮鋭に写り、かつ、背景がカメラを動かした方向に流れて(ブレて)写った画像(流し撮り画像)が得られる。流し撮りは、主要被写体を略同一位置に保ちながらカメラを動かすという高度な技術を要する撮影技法である。デジタルカメラ1が有する流し撮り画像作成機能は、流し撮り画像を、そのような高度な技術を持ち合わせていなくても撮影することができる機能である。
流し撮り画像作成機能の利用手順について説明する。撮影者は、まず、流し撮り画像作成機能の利用を開始することをデジタルカメラ1に指示する。次に撮影者は、移動する主要被写体を撮影画面に入れたまま、2枚以上の連続撮影を行う。この連続撮影において、撮影画面における主要被写体の位置は同一であることが望ましいが、通常の流し撮りのように厳密に一致している必要はない。また、撮影者または制御部11が設定する露出設定(いわゆるシャッタースピード等)は、主要被写体が鮮鋭に写るように設定されることが望ましい。その後、撮影者がデジタルカメラ1に撮影完了を指示すると、制御部11は連続撮影により得られた2枚以上の画像に基づき、流し撮り画像を作成する。なお、ここで作成される画像は、流し撮り画像(通常の流し撮りにより得られる画像)と完全に同一ではないが、流し撮り画像を高度に再現した画像であるため、以下の説明では単に流し撮り画像と称する。
以下、制御部11が2枚の画像から流し撮り画像を作成する流し撮り画像作成処理について説明する。その後、3枚以上の画像から流し撮り画像を作成する方法について説明する。
図3は、流し撮り画像作成処理の概念を説明する図である。図3(a)には、流し撮り画像作成機能による撮影のタイムチャートを、図3(b)には、通常の流し撮り技法による流し撮り画像撮影のタイムチャートを、それぞれ示している。
図3(a)に示すように、時刻t1に1枚目の撮影画像(以下、第1撮影画像と称する)の露光が開始され、それから第1露光時間Ta後の時刻t2に露光が完了する。そして、時刻t2から時間Tbだけ後の時刻t3に、2枚目の撮影画像(以下、第2撮影画像と称する)の露光が開始され、それから第2露光時間Tc後の時刻t4に露光が完了する。制御部11は、第1撮影画像と第2撮影画像とに基づいて流し撮り画像を作成する。
次に、図3(a)と同一の期間において、実際の流し撮りを行う場合について検討する。実際の流し撮りを行う場合は、図3(b)に示すように、まず時刻t1に露光を開始し、それから時間Td後の時刻t4に露光が完了する。ここで、時間Tdは、第1露光時間Taと、時間Tbと、第2露光時間Tcとの合計に等しい。つまり、実際の流し撮り画像は、時刻t1から時刻t4までの期間に、継続して露光を行った画像である。時刻t1から時刻t4までの期間において流し撮りを行った場合、主要被写体のある一点からの光は、対応する1つの撮像画素に継続的に入射する。また、背景のある一点からの光は、デジタルカメラ1を動かした方向とは逆の方向に並んだ複数の撮像画素に順次入射する。
制御部11は、第1撮影画像と第2撮影画像とに対して以下に説明する処理を実行することにより、この実際の流し撮り画像を忠実に再現する。
まず、動きベクトル検出部22が、周知の方法(例えばブロックマッチングやオプティカルフローなど)により、第1撮影画像と第2撮影画像との間で動きベクトルを検出する。次に背景特定部21が、周知の方法により、第1撮影画像と第2撮影画像との各々において背景部分を特定する。ここで背景部分とは、撮影画面全体のうち主要被写体部分以外の部分である。従って、主要被写体を識別する周知の方法を用いて主要被写体部分を特定すれば、背景部分を特定することができる。
例えば、撮影直前に行った焦点検出の結果(ピントが合っている物体が主要被写体であると判断可能)、動きベクトル検出部22によりされた動きベクトル、周知の方法により検出される特徴点などにより、主要被写体部分を特定することが可能である。
次に背景画像推定部23が、第1撮影画像の背景部分と、第2撮影画像の背景部分とに基づいて、流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する。以下、この点について詳述する。
図4は、背景部分と撮像画素との関係を模式的に示す図であり、図4(a)は第1撮影画像の撮影時(図3(a)の時刻t1〜t2)における背景部分と撮像画素との関係を、図4(b)は第2撮影画像の撮影時(図3(a)の時刻t3〜t4)における背景部分と撮像画素との関係をそれぞれ示している。なお、図4では便宜上、背景部分と撮像画素とを共に1次元的に図示している。
ここで、撮像画素X6に注目する。図4(a)に示す1回目の撮影時(すなわち時刻t1〜t2の時点)、撮像画素X6には、背景部分のF点からの光束が入射している。1回目の撮影時、撮像画素X6からは、F点からの光量と露出設定(露光時間(シャッタースピード)Ta(図3)、絞り値、感度)とに対応する信号s16が出力される。同様に、背景部分のA点、B点、C点、D点、E点、…からの光束は、それぞれ撮像画素X1、X2、X3、X4、X5、…に入射している。撮像画素X1、X2、X3、X4、X5、…からは、それぞれ信号s11、s12、s13、s14、s15、…が出力される。
図4(b)に示す2回目の撮影時(すなわち時刻t3〜t4の時点)、1回目の撮影時と比べて、背景部分は紙面右方向に5ピクセルに相当する量だけ移動している(デジタルカメラ1が紙面左方向に5ピクセルに相当する量だけ移動している)。背景画像推定部23は、動きベクトル検出部22により検出された動きベクトルから、このような背景部分の移動を認識することができる。具体的には、撮像画素X6を先頭とし紙面右方向を向く大きさ5の動きベクトルが検出されたとき、背景画像推定部23は背景部分に図4(b)に示す動きがあったと認識する。つまり、この「撮像画素X6を先頭とし紙面右方向を向く大きさ5の動きベクトル」は、背景部分のA点の移動軌跡を表している。
図4(b)に示す動きの結果、2回目の撮影時に撮像画素X6からは、A点からの光量と露出設定(露光時間Tc(図3)、絞り値、感度)とに対応する信号s36が出力される。同様に、背景部分のB点、C点、…からの光束は、それぞれ撮像画素X7、X8、…に入射している。撮像画素X7、X8、…からは、それぞれ信号、s37、s38、…が出力される。
ここで、1回目の撮影開始時から2回目の撮影終了時まで、すなわち時刻t1〜t4(図3)までの期間に流し撮りを行っていた場合を想定する。時刻t1〜t4にかけて、撮像画素X6に対応する背景部分はF点からA点まで移動している。従って、もし時刻t1〜t4にかけて継続的に露光を行っていた場合、撮像画素X6には背景部分のF点、E点、D点、C点、B点、A点からの光束が順次入射していたはずである。時刻t1〜t4にかけて、背景部分の移動速度が一定であると仮定すると、各点からの光束が撮像画素X6に入射していた時間τ1は、次式(1)により算出することができる。
τ1=Td/N ・・・(1)
上式(1)において、Nは対応する背景部分の点の数であり、ここではA点〜F点が該当するのでNは6である。また、Tdは図3に示すように、第1撮影画像の撮影開始時刻t1から第2撮影画像の撮影終了時刻t4までの時間である。
第1撮影画像の、撮像画素X6の画素値は、第2撮影画像の信号s41の信号量と等価であると推定される。前述の通り、信号s16は、背景部分のF点からの光を露光時間Taだけ受光したときの信号である。信号量は露光時間に比例すると考えられるので、次式(2)によって、F点からの光束を時間τ1だけ受光した場合の受光信号sfの信号量(信号s16の信号量のうち、流し撮り画像における撮像画素X6に対応する画素の画素値に寄与する量)を演算することができる。
sf=s16×(τ1/Ta) ・・・(2)
背景画像推定部23は、上式(2)の演算を行い、「F点からの光束を時間τ1だけ受光した場合の受光信号sf」の信号量を演算する。背景画像推定部23は、A点〜E点についても同様の演算を行い、各点からの光束を時間τ1だけ受光した場合の信号量をそれぞれ求める。そして、A点〜F点の各々に対応するそれら6つの信号量を合計することにより、流し撮りを行った場合に撮像画素X6から出力されるであろう信号量を推定する。背景画像推定部23は、以上の処理を、背景部分の全ての撮像画素について実行するにより、流し撮り画像のうち背景部分の画像を作成する。
主要被写体画像抽出部24は、第2撮影画像から、背景特定部21により特定された背景部分以外の部分、すなわち主要被写体部分を抽出する。なお、第2撮影画像でなく第1撮影画像から主要被写体部分を抽出してもよい。最後に合成部25が、背景画像推定部23により作成された背景部分の画像と、主要被写体画像抽出部24により抽出された主要被写体部分の画像とを合成し、流し撮り画像を作成する。なお、抽出した主要被写体部分の画像は、流し撮り画像の任意の位置に配置することができる。例えば、第1撮影画像における主要被写体部分の位置に配置してもよいし、第2撮影画像における主要被写体部分の位置に配置してもよい。あるいは、第1撮影画像における主要被写体部分の位置と、第2撮影画像における主要被写体部分の位置との中間地点等に配置することもできる。例えば、第1撮影画像において主要被写体部分が画面左端近傍に位置しており、第2撮影画像において主要被写体部分が画面右端近傍に位置している場合には、流し撮り画像の左右中央近傍に主要被写体部分を配置する。
次に、3枚の撮影画像から流し撮り画像を作成する処理について説明する。図3(c)に示すように、時刻t1から時刻t4までの間に、1回目の撮影と2回目の撮影と3回目の撮影とが行われる。この場合には、1回目の撮影の露光時間Ta(時刻t1〜t2)と、1回目と2回目の撮影間隔Tb(時刻t2〜t3)と、2回目の撮影の露光時間Tc(時刻t3〜t31)と、2回目と3回目の撮影間隔Te(時刻t31〜t32)と、3回目の撮影の露光時間Tf(時刻t32〜t4)とを合計した時間Tdの間に流し撮りを行うことを想定すればよい。
制御部11は、まず、3回目の撮影により得られた第3撮影画像と、2回目の撮影により得られた第2撮影画像とを用いて、時刻t3〜t4の間に流し撮りを行った場合の流し撮り画像を合成する。次に、この流し撮り画像と、1回目の撮影により得られた第1撮影画像とを用いて、時刻t1〜t4の間に流し撮りを行った場合の流し撮り画像(最終的な流し撮り画像)を合成する。以下、これらの処理について順に説明する。
動きベクトル検出部22は、まず、3回目の撮影により得られた第3撮影画像と、2回目の撮影により得られた第2撮影画像との間で、動きベクトルを検出する。背景画像推定部23は、第3撮影画像と第2撮影画像に基づき、撮像画素X6について、時刻t3〜t4までの間に背景部分の各点からの光束を(t4−t3)/Nだけ受光した場合の信号量をそれぞれ求める。ここでNは、第3撮影画像と第2撮影画像との間で検出された動きベクトルから決定される数である。背景画像推定部23は、以上のように撮像画素X6について算出された各々の信号量を合算することにより、時刻t3から時刻t4の期間において流し撮りを行った場合の撮像画素X6に対応するピクセルの画素値を推定する。背景画像推定部23は、同様の処理を背景部分に対応する全撮像画素について行うことで、流し撮り画像の背景部分の画像を推定する。
次に、動きベクトル検出部22は、2回目の撮影により得られた第2撮影画像と、1回目の撮影により得られた第1撮影画像との間で、動きベクトルを検出する。背景画像推定部23は、第2撮影画像と第1撮影画像に基づき、撮像画素X6について、時刻t1〜t31までの間に背景部分の各点からの光束を(t31−t1)/Nだけ受光した場合の信号量をそれぞれ求める。ここでNは、第2撮影画像と第1撮影画像との間で検出された動きベクトルから決定される数である。背景画像推定部23は、以上のように撮像画素X6について算出された各々の信号量と、既出のt3〜t4の期間において流し撮りを行った場合の撮像画素X6に対応するピクセルの画素値を合算することにより、時刻t3から時刻t4の期間において流し撮りを行った場合の撮像画素X6に対応するピクセルの画素値を推定する。背景画像推定部23は、同様の処理を背景部分に対応する全撮像画素について行うことで、流し撮り画像の背景部分の画像を推定する。合成部25は、その背景部分の画像と、主要被写体画像抽出部24が第3撮影画像から抽出した主要被写体部分の画像とを合成することにより、時刻t3〜t4の間に流し撮りを行った場合の流し撮り画像を合成する。
背景画像推定部23は、以上のように撮像画素X6について算出された各々の信号量を合算することにより、時刻t1から時刻t4の期間において流し撮りを行った場合の撮像画素X6に対応するピクセルの画素値を推定する。背景画像推定部23は、同様の処理を背景部分に対応する全撮像画素について行うことで、流し撮り画像の背景部分の画像を推定する。合成部25は、その背景部分の画像と、主要被写体画像抽出部24が第3撮影画像から抽出した主要被写体部分の画像とを合成することにより、時刻t1〜t4の間に流し撮りを行った場合の流し撮り画像を合成する。
このように、2枚の撮影画像に基づいて流し撮り画像を合成する処理を繰り返し実行することにより、任意の枚数の撮影画像に基づく流し撮り画像を合成することができる。なお、途中で流し撮り画像を合成せずに、複数の撮影画像から直接最終的な流し撮り画像を作成することも可能である。この場合、1枚目の撮影画像と2枚目の撮影画像、2枚目の撮影画像と3枚目の撮影画像など、隣接する2つの撮影画像間における各撮像画素の受光信号を個別に演算し、最後にそれらを合算することで当該撮像画素の出力信号を推定すればよい。
図5は、制御部11が実行する流し撮り画像作成処理のフローチャートである。この処理は、制御部11が実行する制御プログラムに含まれる。まずステップS10で、撮像素子10が被写体像を撮像し制御部11が撮影画像を作成する。このとき制御部11は、撮影画像と共に、撮影開始時刻、撮影終了時刻、露出設定(シャッタースピードすなわち露光時間、絞り値、感度等)を記憶する。
ステップS20で制御部11は、撮影者により所定の撮影終了操作が為されたか否かを判定する。撮影終了操作が為されていない場合、制御部11は処理をステップS10に進める。他方、撮影終了操作が為されていた場合、制御部11は処理をステップS30に進める。
ステップS30で背景特定部21は、撮影画像の背景部分を特定する。ステップS40で動きベクトル検出部22は、連続する2つの撮影画像間の動きベクトルを検出する。以下の説明では便宜上、連続する2つの撮影画像のうち時系列順で前の撮影画像を第1撮影画像、後の撮影画像を第2撮影画像と呼ぶ。
ステップS50で背景画像推定部23は、第1撮影画像の背景部分から未選択の画素を注目画素として1つ選択する。ステップS60で背景画像推定部23は、第1撮影画像で選択された注目画素の、第1撮影画像から第2撮影画像にかけての移動軌跡、すなわち当該注目画素を先頭とする動きベクトルを特定する。ステップS70で背景画像推定部23は、第1撮影画像の移動軌跡の画素を特定する。例えば図4(a)に示したA点に相当する画素を注目画素として選択していた場合、移動軌跡は紙面右方向を向く5ピクセル分の軌跡であり、ここで特定される画素はA点、B点、C点、D点、E点、F点にそれぞれ対応する画素、すなわち撮像画素X1〜X6から出力された信号s11〜s16である。
ステップS80で背景画像推定部23は、ステップS70で特定された各画素に対応する被写体の各点からの光束1つ1つが1つの撮像画素に入射していた時間τ1、すなわち被写体の各点に対応する露光時間τ1を、上式(1)により算出する。ステップS90で背景画像推定部23は、ステップS70で特定された各画素の画素値から、露光時間τ1だけ被写体の各点からの光束を受光した場合における信号量を上式(2)により個別に演算し、演算結果を合算する。この合算した値が、流し撮り画像における注目画素の画素値である。
ステップS100で背景画像推定部23は、ステップS50において背景部分の全ての画素を選択し終わったか否かを判定する。未選択の画素が残っている場合、背景画像推定部23は処理をステップS50に進める。他方、全ての画素を選択し終わった場合、すなわち、背景部分の全ての画素について、流し撮り画像における当該画素の画素値を算出し終わった場合、換言すると、流し撮り画像における背景部分の画像を作成し終わった場合には、処理をステップS110に進める。
ステップS110において、主要被写体画像抽出部24は、第1撮影画像または第2撮影画像から、主要被写体部分の画像を抽出する。ステップS120で合成部25が、背景画像推定部23により作成された背景部分の画像と、ステップS110において抽出された主要被写体部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する。
上述した第1の実施の形態によるデジタルカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)背景特定部21は、第1時刻に撮影され主要被写体部分を含む第1画像(第1撮影画像)と、第1時刻より後の第2時刻に撮影され主要被写体部分を含み第1画像とは異なる範囲を撮影した第2画像(第2撮影画像)と、から主要被写体部分以外の部分である背景部分を特定する。動きベクトル検出部22(移動推定手段)は、第1画像と第2画像とについて背景特定部21により特定された背景部分に基づき、第1時刻から第2時刻にかけての背景部分の移動軌跡である動きベクトルを推定する。背景画像推定部23は、動きベクトル検出部22により推定された移動軌跡に基づき、第1時刻に露光を開始し第2時刻に露光を終了することにより撮影される流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する。合成部25は、第1画像または第2画像の主要被写体部分と、背景画像推定部23により推定された背景部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する。このようにしたので、流し撮りの技法により撮影された画像をよりよく再現した画像を得ることができる。
(2)背景画像推定部23は、第1画像の背景部分から注目画素を選択し、第1画像の注目画素に関する移動軌跡上の各画素の値に基づき、流し撮り画像における注目画素の値を推定する。このようにしたので、流し撮りの技法により撮影された画像をよりよく再現した画像を得ることができる。
(3)背景画像推定部23は、第1画像を撮影したときの露光時間に基づいて、第1画像の移動軌跡上の各画素の値のうち、流し撮り画像における注目画素の値に寄与する量を演算する。このようにしたので、流し撮りの技法により撮影された画像をよりよく再現した画像を得ることができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上式(2)の演算に利用する信号量は、第1撮影画像ではなく第2撮影画像から得てもよい。例えば図4において、被写体のF点からの光束の光量は、第1撮影画像において、撮像画素X6の画素値(すなわち信号s16)から得ることもできるし、第2撮影画像において、撮像画素X10の画素値(すなわち信号s41)から得ることもできる。
特に、撮影画面の端部の画素については、一方の撮影画像に存在する画素が他方の撮影画像には存在しないということがある。この場合には、当該画素が存在する方の撮影画像から得られた画素値を演算に利用することが望ましい。
(変形例2)
上述した実施形態では、背景特定部21による背景部分の特定、動きベクトル検出部22による動きベクトルの検出、背景画像推定部23による背景画像の推定、主要被写体画像抽出部24による主要被写体画像の抽出、合成部25による流し撮り画像の合成、の全てを1画素単位で行っていた。本発明はこのような実施形態に限定されない。例えば、複数の画素から成るブロック単位でこれらの一部もしくは全ての処理を行ってもよい。
また、背景部分の全領域について背景画像推定部23による背景画像の推定処理を行う必要はない。例えば、動きベクトルから動きが全くない(またはほとんどない)ことが判明した画素(ブロック)については、単純に第1撮影画像または第2撮影画像から当該画素(ブロック)を抽出して、流し撮り画像における当該画素(ブロック)とすることができる。
更に、背景部分のうち、主要被写体部分の輪郭近傍の画素については、他の部分とは異なる処理を行ってもよい。例えば、そのような部分に対して、動きベクトルに応じた平滑化処理を行うことにより、主要被写体部分と背景部分とをより自然な形で合成することができる。
(変形例3)
図3(c)では、1回目の撮影と、2回目の撮影と、3回目の撮影との間に、撮影を行っていない時間Tb、Teが存在していたが、この期間に撮影を行ってもよい。つまり、時刻t1から絶え間なく連続して撮影を行い、それら多数の撮影画像から流し撮り画像を作成してもよい。このとき、流し撮り画像の背景画像は、それら多数の撮影画像すべてを用いて推定してもよいし、それら多数の撮影画像のうち任意の撮影画像の間(例えば2回目の撮影画像と5回目の撮影画像の間など)で推定してもよい。主要被写体部分についても同様に、任意の撮影画像から抽出してよい。換言すると、任意の撮影画像の組み合わせで流し撮り画像を合成することができる。
また、多数の撮影画像のうち、どの撮影画像間で流し撮り画像を合成するかを決定する際に、主要被写体部分の位置に基づいて流し撮り画像の合成に用いる撮影画像を決定してもよい。例えば全5回の撮影を行い、第1〜第5の撮影画像を得たと仮定して、これら5つの撮影画像から任意の2つの撮影画像を選択してその2つの撮影画像に基づく流し撮り画像を作成する場合を考える。このとき、5つの撮影画像のうち、主要被写体部分が画面中央に最も近いのが、第2の撮影画像と第4の撮影画像であったとすれば、これら2つを選択して流し撮り画像を合成する。このとき、主要被写体部分はいずれか一方から抽出すればよい。あるいは、第2の撮影画像または第4の撮影画像の一方を選択し、もう1つの撮影画像は残りの撮影画像から任意に選択して流し撮り画像を合成してもよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
1…デジタルカメラ、10…撮像素子、11…制御部、21…背景特定部、22…動きベクトル検出部、23…背景画像推定部、24…主要被写体画像抽出部、25…合成部

Claims (6)

  1. 第1時刻に撮影され主要被写体部分を含む第1画像と、前記第1時刻より後の第2時刻に撮影され前記主要被写体部分を含み前記第1画像とは異なる範囲を撮影した第2画像と、から前記主要被写体部分以外の部分である背景部分を特定する背景特定手段と、
    前記第1画像と前記第2画像とについて前記背景特定手段により特定された背景部分に基づき、前記第1時刻から前記第2時刻にかけての背景部分の移動軌跡を推定する移動推定手段と、
    前記移動推定手段により推定された前記移動軌跡に基づき、前記第1時刻に露光を開始し前記第2時刻に露光を終了することにより撮影される流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する背景画像推定手段と、
    前記第1画像または前記第2画像の前記主要被写体部分と、前記背景画像推定手段により推定された背景部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する合成手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記背景画像推定手段は、前記第1画像の背景部分から注目画素を選択し、前記第1画像の前記注目画素に関する前記移動軌跡上の各画素の値に基づき、流し撮り画像における注目画素の値を推定することを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項2に記載の画像処理装置において、
    前記背景画像推定手段は、前記第1画像を撮影したときの露光時間に基づいて、前記第1画像の前記移動軌跡上の各画素の値のうち、流し撮り画像における前記注目画素の値に寄与する量を演算することを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
    前記移動推定手段は、前記第1画像と前記第2画像との動きベクトルを演算することにより、前記移動軌跡を推定することを特徴とする画像処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とするカメラ。
  6. 第1時刻に撮影され主要被写体部分を含む第1画像と、前記第1時刻より後の第2時刻に撮影され前記主要被写体部分を含み前記第1画像とは異なる範囲を撮影した第2画像と、から前記主要被写体部分以外の部分である背景部分を特定する背景特定ステップと、
    前記第1画像と前記第2画像とについて前記背景特定ステップにより特定された背景部分に基づき、前記第1時刻から前記第2時刻にかけての背景部分の移動軌跡を推定する移動推定ステップと、
    前記移動推定ステップにより推定された前記移動軌跡に基づき、前記第1時刻に露光を開始し前記第2時刻に露光を終了することにより撮影される流し撮り画像のうち背景部分の画像を推定する背景画像推定ステップと、
    前記第1画像または前記第2画像の前記主要被写体部分と、前記背景画像推定ステップにより推定された背景部分の画像とを合成して流し撮り画像を作成する合成ステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022512125A (ja) * 2018-12-06 2022-02-02 華為技術有限公司 長時間露光画像を撮影するための方法及び電子デバイス

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