JP2016009622A - 電子顕微鏡における検出器の位置調整方法及び画像検出器の位置調整方法 - Google Patents

電子顕微鏡における検出器の位置調整方法及び画像検出器の位置調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子顕微鏡の検出器の位置調整を効率よく正確に行うことのできる電子顕微鏡の検出器の位置調整方法を提供する。【解決手段】試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子線または散乱された電子線を検出器により検出することにより電子顕微鏡像が得られる電子顕微鏡における検出器の位置調整方法において、前記検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、前記最適解に基づき前記検出器の中心と前記電子線の経路の中心とが一致するように補正を行う工程と、を有することを特徴とする電子顕微鏡における検出器の位置調整方法を提供することにより上記課題を解決する。【選択図】 図8

Description

本発明は、電子顕微鏡の検出器の位置調整方法及び画像検出器の位置調整方法に関するものである。
透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)法は、材料の原子レベルでの構造解析や組成解析を行う際に用いられる極めて重要な技法の一つである。中でも、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)法は、原子構造の直視性が極めて高く、世界的にも広く用いられている。STEM法は、大きく分けて二つに分類することができる。具体的には、環状検出器を用いて高角度に散乱した電子を検出して結像する暗視野法と円板状の検出器を用いて結像する明視野法に分類することができる。暗視野法は、得られた像の輝度が原子番号に依存するため、広く用いられている。また、明視野法は近年、軽元素を検出するための技法が開発されたことに伴い、特に注目されている。
このような走査透過型電子顕微鏡においては、明視野を取得するための円板状検出器が直接確認することができない装置構成であるため、電子線の経路の中心が円板状検出器の中心に位置するように調整することが、極めて困難である。そのため、円板状検出器の位置を調整する方法として、円板状検出器の中心を意図的にずらした状態で像を取得して、理論計算像との比較から円板状検出器の位置を測定する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2013−58363号公報
しかしながら、走査透過型電子顕微鏡においては、理論計算像と実験像とをフィッティングするために必要な決定すべきパラメータが多いため、理論計算像と実験像とをフィッティングすることが困難である。
このため、理論計算像と実験像とを効率よく正確にフィッティングすることができ、電子顕微鏡の検出器の位置調整を効率よく正確に行うことのできる電子顕微鏡の検出器の位置調整方法が求められている。
本実施の形態の一観点によれば、試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子線または散乱された電子線を検出器により検出することにより電子顕微鏡像が得られる電子顕微鏡における検出器の位置調整方法において、前記検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、前記最適解に基づき前記検出器の中心と前記電子線の経路の中心とが一致するように補正を行う工程と、を有することを特徴とする。
開示の電子顕微鏡における検出器の位置調整方法によれば、電子顕微鏡の検出器の位置調整を効率よく正確に行うことができる。
本実施の形態における電子顕微鏡の構造図 本実施の形態における電子顕微鏡の説明図 本実施の形態における電子顕微鏡の検出器の位置調整方法の説明図 回転角度θ一致度との相関図 実験像と計算像が一致するように複数回最適化を行った結果の説明図 座標位置X及びYと一致度との相関図 座標位置X及びYと頻度との相関図 実験像と計算像の説明図 本実施の形態における電子顕微鏡の検出器の位置調整方法のフローチャート
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
(走査透過電子顕微鏡)
最初に、本実施の形態において用いられる走査透過電子顕微鏡について、図1に基づき説明する。本実施の形態において用いられる走査透過電子顕微鏡は、共焦点走査透過型電子顕微鏡装置であり、電子線10を放出する電子源となる電界放射型電子銃11、放出された電子線10を加速する加速部12を備えている。
加速部12において加速された電子線10は、収束レンズ13、14(図においては、集束レンズが2段構造のものを示している)により収束された後、収束レンズ絞り15により試料40に照射される電子線の照射半角度が調整される。このように収束された電子線10からなる電子線プローブは、電子線走査部となる走査コイル16により偏向され、球面収差補正部17を介した後、対物レンズ18により極微小電子線プローブとなり、試料40に照射される。この走査透過電子顕微鏡では、走査コイル16により電子線10を偏向することにより、電子線10を走査することができ、試料40を構成している原子像等を得ることができる。尚、球面収差補正部17は、上述した球面収差補正装置が用いられており、電子線10の球面収差補正及び色収差補正を行うことができ、球面収差補正部17により、球面収差係数を1μm以下にすることができる。図1に示される走査透過電子顕微鏡においては、2段構造の収束レンズ13、14を示しているが、集束レンズは、複数段配置した構造のものであってもよい。
収束レンズ13、14を調整することにより、焦点位置が調整された極微小電子線プローブとなった電子線は、試料40に照射され、試料40を透過、または、試料40において散乱される。このように試料40を透過、または、試料40において散乱散乱された電子線は、投影レンズ(projection lens:PL)19を介し、試料40の後段に設置されている第1の電子顕微鏡像検出器21と第2の電子顕微鏡像検出器22により検出される。第1の電子顕微鏡像検出器21は、ADF(annular dark-filed:環状暗視野)−STEM像を検出するためのものであり、中央部分に開口部21aが形成されておりリング状に形成されている。第2の電子顕微鏡像検出器22は、BF(bright-field:明視野)−STEM像を検出するためのものであり、第1の電子顕微鏡像検出器21の開口部21aを通った電子線を検出する。尚、図2は、試料40に照射された電子線10と、第1の電子顕微鏡像検出器21及び第2の電子顕微鏡像検出器22との位置関係を示す図である。
また、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡は、制御解析部50を有している。制御解析部50は、収束レンズ13、14、球面収差補正部17、対物レンズ18、投影レンズ19等の制御を行うとともに、第1の電子顕微鏡像検出器21及び第2の電子顕微鏡像検出器22において検出された情報に基づき解析等を行う。制御解析部50には、表示部60が接続されており、表示部60において、電子顕微鏡画像等が表示される。更に、本実施の形態においては、制御解析部50において、後述する第2の電子顕微鏡像検出器22等における位置調整方法における制御等を行ってもよい。
(電子顕微鏡における検出器の位置調整方法)
次に、本実施の形態における電子顕微鏡における検出器の位置調整方法について説明する。前述したように、電子顕微鏡、特に、STEMにおいては、第1の電子顕微鏡像検出器21及び第2の電子顕微鏡像検出器22の位置を調整することは、極めて重要である。STEMでは、図2に示されるように、試料40の上方より収束させた電子線を入射させて、試料40の下方に設置された第1の電子顕微鏡像検出器21及び第2の電子顕微鏡像検出器22により、収束電子線の位置に対する各種の信号を取得する。この際、収束電子線を走査しながら、取得された信号を電子線の入射位置の関数として画像化することにより、STEM像が得られる。
図2においては、第1の電子顕微鏡像検出器21は、高角度散乱を検出する環状検出器であるADF検出器であり、このADF検出器において検出された信号を画像化したものはHAADF−STEM像とも呼ばれている。また、第2の電子顕微鏡像検出器22は、試料40を透過した電子を含む低角度に散乱された電子を検出するために用いられる円板状の検出器であり、この円板状の検出器において取得された像はBF−STEM像と呼ばれている。
上述したように、STEMにおいて、質の高い像を取得するためには、電子線の経路の中心に円形状の検出器の中心が位置するように設置されていることが好ましい。しかしながら、図2に示される円板状の検出器である第2の電子顕微鏡像検出器22、即ち、明視野検出器は、一般的な電子顕微鏡装置では、直接確認することができない位置にあるため、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置を調整することは極めて困難である。尚、STEMにおいては、一般的に、第1の電子顕微鏡像検出器21におけるリングの内側の開口の中心と第2の電子顕微鏡像検出器22の中心とは一致している。従って、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置を最適な位置に調整することにより、自動的に第1の電子顕微鏡像検出器21の位置も最適な位置に調整される。
前述した特許文献1においては、第2の電子顕微鏡像検出器22である明視野検出器の中心位置を求める方法が開示されている。具体的には、最初に、任意の距離だけ第2の電子顕微鏡像検出器22の位置を各々の方向にずらして、複数のSTEM像を取得し、得られた複数のSTEM像と、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置をパラメータとして計算した計算像とのパターンマッチを行う。これにより、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置ずれ量を算出し、算出された第2の電子顕微鏡像検出器22の位置ずれ量に基づき、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置座標を算出して、第2の電子顕微鏡像検出器22等の位置の補正を行っている。
しかしながら、複数枚の実験像と、いくつもの計算条件で計算することにより得られた計算像とを比較して、実験像を再現する計算像を求めることは容易ではない。即ち、計算像を求める際に用いられる計算パラメータが多数存在するため、最適解を得ることは容易ではない。
このようなパラメータとしては、電子線の経路の中心に対する第2の電子顕微鏡像検出器22の中心座標(X、Y)、計算像の座標軸に対する第2の電子顕微鏡像検出器22の移動方向における座標軸の回転角度θ、x方向、y方向に変化させるカレントノブに対応したスケーリング因子(Nx、Ny)、試料40の厚さ、焦点外れ量、分解能関数、第2の電子顕微鏡像検出器22における取り込み角度等が挙げられる。このうち、試料40の厚さは、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置とは別のパラメータであり、焦点外れ量、分解能関数、第2の電子顕微鏡像検出器22における取り込み角度については、他の方法でも得ることが可能である。
よって、電子線の経路の中心に対する第2の電子顕微鏡像検出器22の中心座標(X、Y)、計算像の座標軸に対する第2の電子顕微鏡像検出器22の移動方向における座標軸の回転角度θ、x方向、y方向に変化させるカレントノブに対応したスケーリング因子(Nx、Ny)が必須のパラメータとなる。従って、本実施の形態においては、これら5つをパラメータとした場合について説明する。
また、一般的に、第2の電子顕微鏡像検出器22である明視野検出器の位置調整に関しては、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置そのものを変化させることは定量性に欠けるため好ましくない。このため、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置を固定したまま、回折像の原点を投影レンズ19の励磁電流を変化させることにより、第2の電子顕微鏡像検出器22における取り込み領域を変化させてSTEM像の取得を行う。
次に、上述したパラメータについて、図3に基づき説明する。図3は、電子線の経路の中心に対し、第2の電子顕微鏡像検出器22の中心座標が(X、Y)となるように設置されている。更に、この中心座標(X、Y)から、投影レンズ19におけるカレントノブ(current knob)をx方向又はy方向に15ノッチ(notch)動かしたノッチ数の座標を示している。
本実施の形態においては、設定された第2の電子顕微鏡像検出器22の中心位置(X、Y)の周囲において投影レンズ19のカレントノブを順に15ノッチずつ時計回りに変化させて、合計8枚のSTEM像を取得する。即ち、図3に示されるように、♯1〜♯8の位置P〜PにおけるSTEM像を取得する。尚、♯1の位置P(15、0)、♯2の位置P(15、−15)、♯3の位置P(0、−15)、♯4の位置P(−15、−15)、♯5の位置P(−15、0)、♯6の位置P(−15、15)、♯7の位置P(0、15)、♯8の位置P(15、15)である。
投影レンズ19におけるカレントノブのx方向及びy方向は、試料40の挿入方向によって異なる。通常、STEM像の観察の際には、この方向は特に意識することなく設置し、スキャンローテーション(scan rotation)によって、試料40の結晶方位と走査方向が平行になるように調整することが一般的に行われている。そのため、投影レンズ19におけるカレントノブのx方向及びy方向は、試料40の結晶の方位とは、一般的には無関係である。
本実施の形態においては、投影レンズ19におけるカレントノブの1ノッチの変化量が回折像面で回折像をいくら変化させるかを2つの変数(Nx、Ny)として設定した。この2つの変数は、ほぼ同程度であることが予想されるが、今回の解析では別々の変数として定義した。次に、その投影レンズ19におけるカレントノブを変化させる中心座標が、電子線の経路の中心からどの程度変位しているを(X、Y)の位置座標として2の変数に設定した。加えて、上述したように、投影レンズ19におけるカレントノブによる変化の方向は、電子顕微鏡装置の鏡体に固有の方向性を有しているため、試料40の挿入方向を厳密に合わせなければ、試料40の結晶性と対応させることができない。そこで、本実施の形態においては、特定の結晶軸方位からの回転角度をθとして、入力変数に設定した。図3においては、第2の電子顕微鏡像検出器22の位置を測定するための5つの変数、即ち、X、Y、Nx、Ny、θを示している。
また、他のパラメータとして、焦点外れ量、分解能関数、試料40の厚さ、第2の電子顕微鏡像検出器22における取り込み角度も決定すべき変数として設定する。分解能関数に関しては、計算により得られた計算像に分解能関数を畳み込むことにより、その効果を取り入れている。 分解能関数は、近似的にガウシアン(Gaussian)形状としいるため、求めるパラメータとしてはその半値幅を設定した。これらのパラメータは、どれもラフに設定することはできるが、厳密に測定することは困難なパラメータである。
多数の実験像を使用したとしても実験像と一致する計算の条件は唯一つであるため、線形荷重和法等を用いて目的関数を一つにして最適化を行うことが可能であり、シンプレックス(SIMPLEX)法を用いることができる。しかしながら、シンプレックス法は、多峰性問題に弱いため、探索するパラメータが多く、解の探索範囲が広い場合には真の最適解には到達できず、局所最適解に陥る可能性が極めて高い。そこで、最初に8枚の実験像と計算像との一致度をそれぞれ独立な目的関数として設定し、すべての実験像を再現する最適な計算条件を多目的最適化によって探索することを行った。多目的最適化のアルゴリズムとしては、多目的遺伝的アルゴリズム(MOGA:Multi-Objective Genetic Algorithm)を用いることができる。また、実験像と計算像の一致度には実験像と計算像との相関係数(correlation coefficient)を用いた。
本実施の形態においては、以下に説明する2つのアプローチを用いることができる。1つめは、最初に、結果に最も寄与するパラメータを決定し、最適化アルゴリズムによって決定する変数の数を減らした後、他のパラメータにおける計算を行うものである。図4は、360個の異なる初期条件で計算された計算像を算出し、8枚の実験像と計算像との一致度を計算し、一致度を縦軸、回転角度θを横軸にプロットしたものである。尚、一致度は、数1に示される式より算出することができる。数1において、Ciは相関係数である。
360個からなる計算像を1組として、5組について、各々の組毎に一致度を算出している。この結果より、最適解とは異なる条件を入力したとしても、一致度は三角関数として近似されることを見出した。この結果は回転角度θが、一致度に最も寄与するパラメータであり、他のパラメータは、回転角度θよりも寄与が少ない。従って、適当な初期条件を選択していたとしても、多数の条件で一致度を求めれば、統計的に回転角度θを求めることができる。よって、複数のパラメータのうち、最初に回転角度θを決定することが好ましい。
2つめは、多目的最適化によって最適解を探索するアルゴリズムである。図5には、実験像と計算像が一致するように複数回最適化を行った結果が示されている。濃淡は計算の繰り返し回数を示しており、計算が進行するほど淡くなっている。図5における縦軸と横軸は入力変数を示している。図5(a)は、投影レンズ19におけるカレントノブの1ノッチを回折像のスケールに校正するスケーリング因子が最適化計算の過程で、どのように変化するかを示している。横軸のNx及び縦軸のNyは、各々x方向、y方向に変化させるカレントノブに対応したスケーリング因子を示している。図5(b)は、第2の電子顕微鏡像検出器22の中心座標(X、Y)におけるXを横軸、Yを縦軸とした場合における結果である。
図5(a)及び図5(b)に示されるように、実験像と計算像の一致度が最も良くなるように最適化によって計算条件をガイドしているため、計算に用いる変数が最適解近傍に集中していることがわかる。一般的には、各パラメータと一致度との関係をプロットした図等を作成し、一致度が最も高い箇所を最適解としている。しかしながら、一致度の定義の仕方や実験像に含まれる誤差によって、変数の変化に対して一致度の変化が少ないため、厳密な解を求めることが困難な場合がある。本実施の形態においては、このような場合を考慮し、計算に用いられた変数が集中している部分を最適解としている。
図6は、実験像と計算像を比較し、すべての一致度を同じ比率で積算して一致度として定義したときのX及びYの変化に対する一致度の関係を示している。図6は、図5(b)において最適化計算の過程が示されているX及びYを横軸に、一致度を縦軸とした場合の結果である。図6に示されるように、X及びYの値に対して一致度の変化は少ないため、この結果より最適解を決定することは、極めて大きな誤差が含まれる可能性があり好ましくない。
このため、本実施の形態においては、一致度の局在性が悪くても、図5に示されるように、最適化計算の過程において計算される頻度が高い部分に最適解が集まっていることに着目した。即ち、本実施の形態は、上述したように、最適化計算の過程で最も頻度が高く計算されている位置を最適解の位置と定めることとしたものである。従って、最適化計算された各パラメータのヒストグラムを作成し、正規分布でフィッティングさせることにより、一致度の指標によることなく、容易に信頼できる最適解を得ることができる。
図7に示されるヒストグラムは、図5(b)及び図6に示されている第2の電子顕微鏡像検出器22の中心位置(X、Y)について算出した結果であり、横軸をX及びYの値とし縦軸を計算回数としたものである。図7では、最適化計算の過程から求められたヒストグラムをマーカーにより、正規分布関数でフィッティングした結果を実線または破線により、各々示している。図7に示されるグラフでは、図6に示されるグラフに比べて、局在性が極めて高く、最頻値を最適解とすることにより、X及びYにおける最適解を容易に精度よく得ることができる。
本実施の形態においては、最適化計算に用いたすべてのパラメータにおいて、上記と同様の工程を行うことにより、すべてのパラメータにおける最適解を容易に高精度に得ることができる。即ち、この方法によれば、初期条件に依存することなく、所定の誤差範囲内で大局的単一解に収束するため、精度の高い最適解を容易に得ることができるのである。
次に、上述した方法により、異なる8つの位置において、第2の電子顕微鏡像検出器22により取得された実験像と最適化計算により得られた最適解によって計算された各々の計算像とを図8に示す。図8においては、実験像の各々の中心に計算像を配しているが、違いがわからないほど良い一致が得られている。このアルゴリズムによって、最初に設置された第2の電子顕微鏡像検出器22の中心位置(X、Y)が、実際の電子線の経路の中心からどの程度ずれているかが知ることができる。これにより、第2の電子顕微鏡像検出器22の中心位置(X、Y)を得ることができ、この分だけ中心位置を補正することにより、厳密に電子線の経路の中心と第2の電子顕微鏡像検出器22の中心とを一致させることができる。
上記においては、回転角度θを事前に決定するアルゴリズムと最適解を探索するアルゴリズムの2つについて説明したが、回転角度θについても、最適解を探索するアルゴリズムにより決定することが可能である。この場合、最適化計算に用いる変数が一つ増えるため、最適解の探索に要する時間は増すが、時間を考慮しなくてもよければ、回転角度θを事前決定するアルゴリズムは行わなくともよい。尚、短時間で結果を得たい場合には、回転角度θを事前に決定することが好ましい。このように、本実施の形態においては、事前情報なしで9つのパラメータの値を決定することも可能である。
次に、図9に示されるフローチャートに基づき、電子顕微鏡における検出器の位置調整方法について説明する。
最初に、ステップ102(S102)において、すべてのパラメータを変化させた複数の計算条件を設定する。
次に、ステップ104(S104)において、事前に回転角度θを算出するか否かを判断する。事前に回転角度θを算出する場合には、ステップ106に移行する。一方、事前に回転角度θを算出しない場合には、ステップ118に移行する。
次に、ステップ106(S106)において、実験像と計算像との一致度を算出する。
次に、ステップ108(S108)において、回転角度θとステップ106において得られた一致度の相関関係より、三角関数によるフッティングを行う。
次に、ステップ110(S110)において、ステップ108におけるフィッティングに基づき回転角度θを算出する。
次に、ステップ112(S112)において、残りのパラメータについて、多目的最適化による計算条件を設定する。
次に、ステップ114(S114)において、ステップ112において設定された計算条件に基づき、実験像と計算像の一致度を算出する。
次に、ステップ116(S116)において、繰り返し計算か終了したか否かが判断される。即ち、所定の繰り返し回数計算が行われたか否かが判断される。繰り返し計算が終了している場合には、ステップ124に移行する。繰り返し計算が終了していない場合には、ステップ112に移行する。
一方、ステップ118(S118)において、すべてパラメータについて、多目的最適化による計算条件を設定する。
次に、ステップ120(S120)において、ステップ118において設定された計算条件に基づき、実験像と計算像の一致度を算出する。
次に、ステップ122(S122)において、繰り返し計算か終了したか否かが判断される。即ち、所定の繰り返し回数計算が行われたか否かが判断される。繰り返し計算が終了している場合には、ステップ124に移行する。繰り返し計算が終了していない場合には、ステップ118に移行する。
次に、ステップ124(S124)において、各々のパラメータにおける計算頻度を算出し、正規分布関数によりフィッティングを行う。
次に、ステップ126(S126)において、ステップ124におけるフィッティングに基づき、最も頻度の高い最頻値を最適解とする。
次に、ステップ128(S128)において、ステップ126において得られた最適解に基づき電子顕微鏡の検出器の位置が所望の位置となるように補正を行う。
以上の工程により、電子顕微鏡における検出器の位置調整、即ち、前述した第2の電子顕微鏡像検出器22の位置調整をすることができる。また、上記の検出器の位置調整方法は、他の電子顕微鏡や電子顕微鏡以外における画像検出器の位置調整にも適用することが可能である。
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子線または散乱された電子線を検出器により検出することにより電子顕微鏡像が得られる電子顕微鏡における検出器の位置調整方法において、
前記検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、
前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、
前記最適解に基づき前記検出器の中心と前記電子線の経路の中心とが一致するように補正を行う工程と、
を有することを特徴とする電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
(付記2)
試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子線または散乱された電子線を検出器により検出することにより電子顕微鏡像が得られる電子顕微鏡における検出器の位置調整方法において、
前記検出器の位置調整に用いられるパラメータのうち、前記電子線の経路を中心に前記検出器の位置座標を定める座標軸と、前記検出器を動かす方向における座標軸との回転角度θを設定する工程と、
回転角度θ以外の前記検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、
前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、
前記最適解に基づき前記検出器の中心と前記電子線の経路の中心とが一致するように補正を行う工程と、
を有することを特徴とする電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
(付記3)
一致度の算出を繰り返し行う工程は、多目的遺伝的アルゴリズムにより行うものであることを特徴とする付記1または2に記載の電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
(付記4)
前記最適解より、前記電子線の経路の中心と前記検出器の中心のずれ量を算出し、
前記補正する工程において、前記ずれ量の補正を行うことを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
(付記5)
画像を検出する画像検出器の位置調整方法において、
前記画像検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記画像検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、
前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、
前記最適解に基づき前記画像検出器が所望の位置となるように補正を行う工程と、
を有することを特徴とする画像検出器の位置調整方法。
10 電子線
11 電界放射型電子銃
12 加速部
13 収束レンズ
14 収束レンズ
15 収束レンズ絞り
16 走査コイル
17 球面収差補正部
18 対物レンズ
19 投影レンズ
21 第1の電子顕微鏡像検出器
22 第2の電子顕微鏡像検出器
40 試料
50 制御解析部
60 表示部

Claims (4)

  1. 試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子線または散乱された電子線を検出器により検出することにより電子顕微鏡像が得られる電子顕微鏡における検出器の位置調整方法において、
    前記検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、
    前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、
    前記最適解に基づき前記検出器の中心と前記電子線の経路の中心とが一致するように補正を行う工程と、
    を有することを特徴とする電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
  2. 試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子線または散乱された電子線を検出器により検出することにより電子顕微鏡像が得られる電子顕微鏡における検出器の位置調整方法において、
    前記検出器の位置調整に用いられるパラメータのうち、前記電子線の経路を中心に前記検出器の位置座標を定める座標軸と、前記検出器を動かす方向における座標軸との回転角度θを設定する工程と、
    回転角度θ以外の前記検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、
    前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、
    前記最適解に基づき前記検出器の中心と前記電子線の経路の中心とが一致するように補正を行う工程と、
    を有することを特徴とする電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
  3. 一致度の算出を繰り返し行う工程は、多目的遺伝的アルゴリズムにより行うものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子顕微鏡における検出器の位置調整方法。
  4. 画像を検出する画像検出器の位置調整方法において、
    前記画像検出器の位置調整に用いられるパラメータについて、前記画像検出器において得られる複数の実験像と、計算により得られる計算像との一致度の算出を繰り返し行う工程と、
    前記一致度の頻度が最も多い最頻値を最適解とする工程と、
    前記最適解に基づき前記画像検出器が所望の位置となるように補正を行う工程と、
    を有することを特徴とする画像検出器の位置調整方法。
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