JP2016004240A - 光スキャナ - Google Patents

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Abstract

【課題】鋸波状波形の駆動電圧をミアンダ構造の圧電アクチュエータに印加して非共振駆動をさせた場合に、ミアンダ構造の圧電アクチュエータの構造に由来する振動を抑制できる圧電アクチュエータを用いた光スキャナを提供する。
【解決手段】光を反射するミラー部10を支持する内枠部20と、内枠部を支持する外枠部30と、ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバー52a〜52dを有し、内枠部20と外枠部30との間に介在して、第1回転軸線に直交する第2回転軸線の回りにミラー部10を往復回動させる外側圧電アクチュエータ50とを備えた光スキャナ1において、内枠部20と圧電カンチレバー52aとの間及び圧電カンチレバー同士の間に形成された間隙に粘性体70を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとして製造される光スキャナに関する。
近年、マイクロマシニング技術等を利用して製造されるMEMSデバイスの一種としてMEMS光スキャナの開発が各研究機関で盛んに行われている。MEMS光スキャナは、入射光を反射するミラー部と、ミラー部を回転軸線の回りに往復回動させるアクチュエータとを備え、回転軸線の回りのミラー部の往復回動によりミラー部の揺動角を制御し反射光を出射するものである。MEMS光スキャナは、例えばレーザプロジェクタ、レーザビームプリンタ、レーザレーダー、バーコードリーダ、エリアセンサ等、種々の光学機器への応用が可能であり、これら光学機器の小型化に寄与するものである。
MEMS光スキャナのアクチュエータとして、ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーを有し、ミラー部の回転軸線の回りにミラー部を往復回動させる圧電アクチュエータがある。例えば、当該MEMS光スキャナをレーザプロジェクタに適用し、映像が所定方向に圧縮されることを防止するために、有効走査領域である直線領域が大きい鋸波状波形の駆動電圧が当該圧電アクチュエータに印加される光スキャナが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2009−223165号公報
しかしながら、特許文献1に記載された光スキャナは、鋸波状波形の駆動電圧をミアンダ構造の圧電アクチュエータに印加して当該圧電アクチュエータを駆動させた場合、圧電アクチュエータ自体が有する固有振動モードも同時に励起され、圧電アクチュエータに振動が発生し、ミラー部の応答波形に振動成分が加わる(図6A,図6B)。その結果、光スキャナが適用されたプロジェクタの画像に濃淡ノイズが現れ、画質が低下することがある。
そこで、本発明は、鋸波状波形の駆動電圧をミアンダ構造の圧電アクチュエータに印加して当該圧電アクチュエータを駆動させた場合に、圧電アクチュエータの構造に由来する振動を抑制できる圧電アクチュエータを用いた光スキャナを提供することを目的とする。
第1の発明は、光を反射するミラー部と、前記ミラー部を支持する支持部と、ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーを有し、前記ミラー部と前記支持部との間に介在して、前記ミラー部の回転軸線の回りに前記ミラー部を往復回動させる圧電アクチュエータとを備えた光スキャナにおいて、前記ミラー部と前記圧電カンチレバーとの間及び前記圧電カンチレバー同士の間に形成された間隙に粘性体を有することを特徴とする。
本発明によれば、各カンチレバーに駆動電圧が印加されると、印加された電圧に応じて、圧電カンチレバーの長手方向に伸縮し、これに伴い、各圧電カンチレバーは厚み方向に湾曲変形し、ミラー部の回転軸線回りに回転駆動力をミラー部に付与する。
本発明の光スキャナは、ミラー部と圧電カンチレバーの間、及び、圧電カンチレバー同士の間とに形成された間隙に粘性体を有するので、圧電カンチレバーが変位する方向と反対方向に減衰力(ダンピング効果)が発生する。
従って、ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーからなる圧電アクチュエータのミアンダ構造に由来する振動を減衰させることができ、アクチュエータの振動を抑制できる圧電アクチュエータを提供することができる。
尚、複数の圧電カンチレバーに印加される鋸波状波形の駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段を備えることが好ましい。
特に、ミアンダ構造を有する圧電アクチュエータは、共振駆動以外に非共振駆動が可能である。従って、鋸波状波形の駆動電圧を圧電アクチュエータに印加して非共振駆動をさせた場合、圧電アクチュエータの振動を抑制できる圧電アクチュエータを用いた光スキャナを提供することができる。
また、第2の発明は、光を反射するミラー部と、前記ミラー部を包囲して支持する内枠部と、前記内枠部を包囲して支持する外枠部と、前記ミラー部の第1回転軸線上で、一端部が前記ミラー部と結合し、他端部が前記内枠部と結合する1対のトーションバーと、前記ミラー部と前記内枠部との間に介在して、前記トーションバーを前記第1回転軸線回りに往復回動させるように、先端部が前記トーションバーと結合し、かつ、少なくとも一部分が前記内枠部と結合する内側圧電アクチュエータと、ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーを有し、前記内枠部と前記外枠部との間に介在して、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の回りに前記ミラー部を往復回動させる外側圧電アクチュエータとを備えた光スキャナにおいて、前記内枠部と前記圧電カンチレバーとの間及び前記圧電カンチレバー同士の間に形成された間隙に粘性体を有することを特徴とする。
本発明によれば、各カンチレバーに駆動電圧が印加されると、ミラー部の第2回転軸線の回りの回転駆動力をミラー部に付与する。
本発明の光スキャナは、内枠部と圧電カンチレバーの間、及び、圧電カンチレバー同士の間に形成された間隙に粘性体を有するので、圧電カンチレバーが変位する方向と反対方向に減衰力(ダンピング効果)が発生する。
従って、ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーからなる圧電アクチュエータのミアンダ構造に由来する振動を減衰させることができ、アクチュエータの振動を抑制できる圧電アクチュエータを用いた2軸型光スキャナを提供できる。
尚、第1の発明と同様、複数の圧電カンチレバーに印加される鋸波状波形の駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段を備えることが好ましい。
また、第2の発明において、抵抗比例係数をc[N・s/m]、前記ミラー部、前記トーションバー及び前記内側圧電アクチュエータの総質量をm[kg]、前記複数の圧電カンチレバーのばね係数をk[N/m]と表した場合、下記式(1)で表される減衰比ξが1〜3の範囲であることが好ましい。
Dは前記圧電カンチレバーの厚み[m]、Lは前記圧電カンチレバーの長さ[m]、μは粘性体の動粘度[mm/sec]、ρは粘性体の密度[kg/m]、wは前記圧電カンチレバーの幅、[m]、Sは前記圧電カンチレバーの合計面積[m]、Sは前記圧電カンチレバーと前記粘性体で充填された領域の合計面積[m]を表す。
圧電アクチュエータのミアンダ構造に由来する振動は、ミアンダ構造を一本のばね、粘性体をダッシュポット(減衰機構)、ミラー部を錘とみなすことにより、ケルビン・フォークトモデルを用いてモデル化できる。
本発明によれば、減衰比ξが1〜3の範囲であるので、ミアンダ構造を有する圧電カンチレバーの構造由来の変位(振動)を「0」に減衰することができ、圧電アクチュエータの振動を抑制できる圧電アクチュエータを用いた光スキャナを提供することができる。
尚、減衰比ξが1未満の場合、時間の経過に従って振幅がξの値に応じて変化する可能性があるが、周期は一定のままの振動になり、圧電アクチュエータの振動を抑制し得ない。一方、減衰比ξが3を超える場合、粘性体を有しない光スキャナと比較して、圧電アクチュエータの変位が減少する。圧電アクチュエータの所望の変位を維持するために、圧電アクチュエータに印加する駆動電圧を大きくする必要があり、その結果、駆動電圧の限界値に近づき、光スキャナの信頼性が損なわれる可能性がある。
本実施形態に係る光スキャナの構成図。 ミアンダ構造を有する圧電カンチレバーの変位に対する粘性体のダンピング効果の説明図。 ケルビン・フォークトモデルを用いた振動モデルの説明図。 実施例の光スキャナのミラー振れ角によるミラー応答波形を示す図。 比較例の光スキャナのミラー振れ角によるミラー応答波形を示す図。 (A)光スキャナの鋸波状の駆動電圧を、(B)鋸波状の駆動電圧に対するとミラー振れ角によるミラー応答波形を示す図。
[光スキャナ]
図1を参照して、本実施形態の光スキャナ1の構成を説明する。光スキャナ1は、例えば、レーザレーダー、超小型プロジェクタ、バーコードリーダ等に用いられる部品であり、主に光偏向器2、レーザ光源80及び制御装置90から構成される。光偏向器2は、MEMSデバイスとして、マイクロマシニング技術を利用して製造される。
光偏向器2は、円形のミラー部10と、ミラー部10を包囲する環状矩形の内枠部20と、内枠部20を包囲する環状矩形の外枠部30とを、中心点を同一に揃えて備えている。また、光偏向器2は、ミラー部10と内枠部20との間に介在する内側圧電アクチュエータ40と、内枠部20と外枠部30との間に介在する外側圧電アクチュエータ50と、ミラー部の回転軸線上で、一端部がミラー部10と結合し、他端部が内枠部20と結合する1対のトーションバー60a,60bとを備える。
構造の説明の便宜上、図1を用いて、X−Y−Zの3軸直交座標系を定義する。図1に示されるように、3軸直交座標系において、原点Oを矩形のミラー部10の前面のミラー面の中心に位置付け、X軸及びY軸を外枠部30の長辺及び短辺に対してそれぞれ平行な方向に定義する。Z軸は、光偏向器2の後側から前側に向かう方向を正と定義する。
ミラー部10は、原点Oを中心とする円形部材である。また、ミラー部10は、ミラー部10の縁部からY軸方向に延在し、一端部がミラー部10と結合し、他端部が内枠部20と結合する一対のトーションバー60a,60bが連結される。
ミラー部10は、金属蒸着法等により例えばAl等の金属を珪素層の表面に形成したミラー面を前面に有する。ミラー面に対して、レーザ光源80からのレーザ光が入射され、入射光81をミラー面においてミラー部10の法線の向きに応じた反射角で反射して、走査光82として出射する。
内枠部20は、ミラー部10を包囲する環状矩形の部材であり、X軸、Y軸それぞれに対して線対称に形成されている。また、内枠部20は、ミラー部10外側のY軸方向両側に配設され、Y軸に沿って延在する一対のトーションバー60a,60bが連結される。
内枠部20は、下側から順番に、Al(アルミニウム)薄膜、珪素(Si)層、中間酸化膜層、珪素層及び表面酸化膜層の積層構造を有する。なお、中間酸化膜層及び表面酸化膜層の酸化膜はSiOで形成されている。珪素層、中間酸化膜層及び珪素層はSOI(Silicon on Insulator)ウエハを構成し、Al薄膜は、SOIウエハの裏面側に蒸着により形成され、表面酸化膜層は、珪素層の表面を酸化することにより形成される。
内側圧電アクチュエータ40は、内枠部20のX軸方向と平行で、所定同一幅で所定同一長さの4つの直線状圧電アクチュエータであり、全面で圧電アクチュエータとして機能する。
図1に示されるように、内側圧電アクチュエータ40は、ミラー部10から延在する1つのトーションバー60a(60b)の端部には、一対の内側圧電アクチュエータ40a,40b(40c,40d)がトーションバー60a(60b)を対称軸線として線対称に連結される。従って、一対の内側圧電アクチュエータ40a,40b(40c,40d)はそれぞれ、内枠部20と外枠部30との間で形成される空間部に、トーションバー60a,60bがY軸線上になるように、トーションバー60a,60bの端部と、内枠部20のX軸と平行な内枠部20の内面とに連結される。
直線状圧電アクチュエータは、圧電体と、圧電体を厚み方向の両側から挟む2つの電極と、圧電体及び電極を支持して圧電体と共に屈曲変形する支持体とを有する。電極は、図示しない配線を介して、電極間の圧電体に電圧を印加できるように制御装置90に電気的に接続されている。
外枠部30は、内枠部20を包囲する環状矩形の部材であり、X軸、Y軸それぞれに対して線対称に形成されている。また、外枠部30は、Y軸と平行な外枠部30内面において、外側圧電アクチュエータ50と連結される。
外枠部30は、内枠部20と同様に、下側から順番に、Al(アルミニウム)薄膜、珪素(Si)層、中間酸化膜層、珪素層及び表面酸化膜層の積層構造を有する。なお、中間酸化膜層及び表面酸化膜層の酸化膜はSiOで形成されている。
外側圧電アクチュエータ50は、外枠部30の内側で、かつ、内枠部20外側のX軸方向両側に配設され、内枠部20及び外枠部30に連結するための連結部21,22を備える。外側圧電アクチュエータ50において、連結部21の端部は外側圧電アクチュエータ50の作動端(先端)として、連結部22の端部は外側圧電アクチュエータ50の支持端(基端)として機能する。
外側圧電アクチュエータ50は、ミアンダ構造を有する圧電アクチュエータであり、折返し部54a〜54cにより直列に連結された一対の4つの圧電カンチレバー52a〜52dを備える。圧電カンチレバー52a〜52d及び折返し部54a〜54cの符号末尾のアルファベットは、ミラー部10に近い方からの順番に付されている。尚、一対の圧電カンチレバーの数は4には限定されず、2〜3、又は5以上にすることも可能である。
圧電カンチレバー52a〜52dは、圧電体と、圧電体を厚み方向の両側から挟む2つの電極と、圧電体及び電極を支持して圧電体と共に屈曲変形する支持体とを有する。電極は、図示しない配線を介して、電極間の圧電体に電圧を印加できるように制御装置90に電気的に接続されている。
圧電カンチレバー52a〜52dはそれぞれ、同一の長さ、同一の幅、同一の厚みを有するように形成された矩形状の部材である。図1において、Lは圧電カンチレバー52a〜52dの長さ[m]を、wは圧電カンチレバー52a〜52dの幅[m]を示している。また、dは内枠部20の外縁から外枠部30の内縁までのX軸方向の長さ[m]を示している。
また、図1に示されるように、外側圧電アクチュエータ50は、X軸方向に、内枠部20と圧電カンチレバー52aとの間、圧電カンチレバー52aと52bとの間、圧電カンチレバー52bと52cとの間、圧電カンチレバー52cと52dの間、圧電カンチレバー52dと外枠部30の間に形成された間隙に粘性体70を有する。
外側圧電アクチュエータ50が駆動された際、内枠部20に最も近い圧電カンチレバー52aが最も変位が大きくなる。そこで、粘性体70は、各間隙に充填される場合に限定されず、外側圧電アクチュエータ50の駆動により最も変位が大きい圧電カンチレバー52aのまわりの間隙、すなわち、内枠部20と圧電カンチレバー52aとの間、並びに、圧電カンチレバー52aと52bとの間に形成された間隙のみに、粘性体70を有することも可能である。
粘性体として、例えば、石油系鉱物油、炭化水素系合成油、動物性樹脂、エポキシ樹脂、メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
制御装置90は、内側圧電アクチュエータ40及び外側圧電アクチュエータ50を別個独立に駆動するために、内側圧電アクチュエータ40及び外側圧電アクチュエータ50それぞれに印加される駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段92と、制御信号をレーザ光源80に送信し、レーザ光81のオン・オフ及び輝度を制御するレーザ光源制御部94とを備える。
駆動電圧生成手段92は、ミアンダ構造を有する複数の圧電カンチレバー52a〜52d及び折返し部54a〜54cからなる外側圧電アクチュエータ50に印加される鋸波状波形の駆動電圧を生成する。
制御装置90は、駆動電圧生成手段92により生成された内側圧電アクチュエータ40及び外側圧電アクチュエータ50の駆動電圧を、それぞれの圧電アクチュエータに別個独立に印加することにより、内側圧電アクチュエータ40及び外側圧電アクチュエータ50を駆動させ、原点Oを通るY軸線及びX軸線回りにミラー部10を往復回動させる。
その結果、レーザ光源からミラー部10の中心(原点Oの位置)に入射したレーザ光が、X軸線及びY軸線回りに回動したミラー部10の振り角に応じた反射角で反射して、出射方向が変化する走査光として光偏向器2から出射される。
次に、本実施形態の光スキャナ1の作動について説明する。光スキャナ1では、ミラー部10の中心Oを通るY転軸線回りにミラー部10を往復回動させる内側圧電アクチュエータ40に印加される電圧と、ミラー部10の中心Oを通るX転軸線回りに内枠部20を往復回動させる外側圧電アクチュエータ50に印加される電圧とが駆動電圧生成手段92で生成され、それぞれの電圧が内側圧電アクチュエータ40及び外側圧電アクチュエータ50に独立して印加される。
まず、内側圧電アクチュエータ40によるY軸線回りの回転駆動について説明する。光偏向器2では、一方の対の直線状圧電アクチュエータ40a,40bに対して、直線状圧電アクチュエータそれぞれの電極間にそれぞれ第1の電圧、第2の電圧を印加して駆動させると、互いに逆方向に屈曲変形する。なお、第1の電圧と第2の電圧とは、互いに逆位相の交流電圧(例えば正弦波)とする。これらの屈曲変形により、トーションバー60aにねじれ変位が生じて、ミラー部10にトーションバー60aを中心とした回転トルクが作用する。
同様に、他方の対の直線状圧電アクチュエータ40c,40dに対して、直線状圧電アクチュエータそれぞれの電極間にそれぞれ第1の電圧、第2の電圧を印加して駆動させることにより、トーションバー60bに同じ方向にねじれ変位が生じて、ミラー部10にトーションバー60bを中心とした回転トルクが作用する。
内側圧電アクチュエータ40の駆動により、ミラー部10にはトーションバー60a,60bを中心とした回転トルクが作用する。これにより、ミラー部10は、トーションバー60a,60bを中心軸としてミラー部10の中心Oを通るY軸線回りで回転する。従って、ミラー部10を回転させてX軸方向に所定周波数で所定偏向角で光走査することができる。
このとき、内側圧電アクチュエータ40a〜40dでは、駆動電圧としてトーションバー60a,60bを含むミラー部10の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
次に、外側圧電アクチュエータ50によるX軸線回りの回転駆動について説明する。外側圧電アクチュエータ50は、ミラー部10の原点Oを通るY軸を対称軸線として線対称の位置で内枠部20と外枠部30との間に介在し、内枠部20及び外枠部30に結合するための連結部21,22を備える。外側圧電アクチュエータ50において、連結部21の端部は外側圧電アクチュエータの作動端(先端)として、連結部22の端部は内枠部20の支持端(基端)として機能する。
外側圧電アクチュエータ50は、駆動電圧生成手段92により生成された鋸波状の駆動電圧である第1電圧が、奇数番目の圧電カンチレバー52a、52cに印加される。また、偶数番目の圧電カンチレバー52b、52dに、第1の電圧とは逆位相の第2の電圧が印加される。
奇数番目の圧電カンチレバー52a、52cを上方向に屈曲変位させた場合、偶数番目の圧電カンチレバー52b、52dを奇数番目の圧電カンチレバー52a、52cと逆方向の下方向に屈曲変位させることができる。また、奇数番目の圧電カンチレバー52a、52cを下方向に屈曲変位させた場合、偶数番目の圧電カンチレバー52b、52dを上方向に屈曲変位させることができる。従って、ミラー部10を支持する内枠部20をミラー部10の中心Oを通るX軸線回りに往復回動させることができる。
尚、外側圧電アクチュエータ50に印加される駆動電圧は、走査領域を最大限に有効利用するために、走査領域の約90%を利用し、10%をブランキングとして使用できる9:1の鋸波状の駆動電圧が好ましい。
ここで、図2を用いて、外側圧電アクチュエータ50の圧電カンチレバー52a,52bを例に、ミアンダ構造を有する圧電カンチレバーの変位に対する粘性体のダンピング効果を説明する。図2は、圧電カンチレバー52bに対して圧電カンチレバー52aがZ軸の正方向に変位したことを示す概念図である。図2において、図1と同様、Lは圧電カンチレバー52a〜52dの長さ[m]を、wは圧電カンチレバー52a〜52dの幅[m]を示している。
図2に示されるように、圧電カンチレバー52bに対して圧電カンチレバー52aがZ軸の正方向に変位した場合、粘性体70により、圧電カンチレバー52aの変位方向と反対方向、すなわちZ軸の負方向に働く減衰力が発生する。
圧電カンチレバーの変位は、非共振駆動による変位とミアンダ構造の固有振動に由来する変位とを合わせたものである。ミアンダ構造に由来する振動は、図3に示されるように、ミアンダ構造を一本のばねS、粘性体70をダッシュポット(減衰機構)D、そして、ミラー部10、トーションバー60a,60b及び内側圧電アクチュエータ40を錘Mとみなすことにより、ケルビン・フォークトモデルを用いてモデル化できる。
具体的には、ミアンダ構造の圧電アクチュエータ50の振動は、圧電アクチュエータ50自身を通して内枠部20に伝わり、内枠部20内側のミラー部10とともに振動する。振動は、図3のモデルにおいて、ばねSと錘Mの間で発生する振動であると考え、ケルビン・フォークトモデルを用いると、ばねSと錘Mの間で発生する振動はダッシュポットDによって減衰される。これらの関係は以下の運動方程式によって表される。
但し、tは時間[sec]、uは変位[m]、mは錘Mの質量[kg]、cはダッシュポットの抵抗比例係数[N・s/m]、kはばね定数[N/m]を表す。
式(2)は次式(3)に変形することができる。
Dは前記圧電カンチレバーの厚み[m]、Lは前記圧電カンチレバーの長さ[m]、μは粘性体の動粘度[mm/sec]、ρは粘性体の密度[kg/m]、wは前記圧電カンチレバーの幅、[m]、Sは前記圧電カンチレバーの合計面積[m]、Sは前記圧電カンチレバーと前記粘性体で充填された領域の合計面積[m]を表す。
図1の光偏向器2では、圧電カンチレバーの合計面積Sは、(圧電カンチレバーの合計個数)×Lw、圧電カンチレバーと粘性体で充填された領域の合計面積Sは、2Ldで表される。
ξは、減衰比と呼ばれ、減衰の挙動を示すパラメータである。0<ξ<1の場合を不足減衰、ξ=1の場合を臨界減衰、ξ>1の場合を過減衰という。臨界減衰又は過減衰の場合、振動の変位は0(零)に減衰される。従って、減衰比ξ≧1を満たす抵抗比例係数を有する粘性体を、ミアンダ構造を有する圧電アクチュエータの隙間に充填することで、ミアンダ構造を有する圧電アクチュエータの構造由来の振動を減衰させることができる。
(実施例1)
ミラー部、トーションバー、内側圧電アクチュエータの各直線状圧電アクチュエータ、及び内枠部の質量が、235.8[μg]、9.3[μg]、225[μg]、546.2[μg]であり、かつ、外側圧電アクチュエータの各圧電カンチレバーの厚さ、全長、幅が、それぞれ40[μm]、3.9[mm]、0.7[mm]であり、そのバネ定数が1.6[N/μm]である光偏向器2を作成した。
また、X軸方向における、内枠部と圧電カンチレバーの間、圧電カンチレバー同士の間、及び、圧電カンチレバーと外枠部との間の隙間は、50[μm]であった。そして、表面張力を利用して、当該隙間に信越シリコーン社製HIVAC−F4(25℃での動粘度:37[mm/sec]、密度1.055[g/cm])を粘性体として充填した。
図1の光スキャナ1の外側圧電アクチュエータ50に、振幅電圧50[V]、周波数60[Hz]、かつ、走査領域の約90%を利用し、10%をブランキングとして使用できる9:1の鋸波状の駆動電圧を印加した。非共振駆動させた内枠部20に支持されたミラー部10の応答波形、すなわち、時間経過[sec]に対するミラー部の振れ角[°]を図4に示す。
(実施例2)
粘性体として、信越シリコーン社製HIVAC−F−4に代えて、ULVAC社製ULVOIL D−11(25℃での動粘度:32[mm/sec]、密度0.91[g/cm])を用いた以外、実施例1と同様の光スキャナ1を用いた。
(実施例3)
粘性体として、信越シリコーン社製HIVAC−F−4に代えて、東レ・ダウコーニング社製SH200(25℃での動粘度:100[mm/sec]、密度0.966[g/cm])を用いた以外、実施例1と同様の光スキャナ1を用いた。
(比較例1)
粘性体として、信越シリコーン社製HIVAC−F−4に代えて、純水(25℃での動粘度:0.893[mm/sec]、密度1.0[g/cm])を用いた以外、実施例1と同様の光スキャナ1を用いた。図1の光スキャナ1の外側圧電アクチュエータ50に、実施例1と同様の鋸波状の駆動電圧を印加し、非共振駆動させた内枠部20に支持されたミラー部10の応答波形、すなわち、時間経過[sec]に対するミラー部の振れ角[°]を図5に示す。
[評価]
図4及び図5において、図1のミアンダ構造の圧電カンチレバー同士の間等の隙間に粘性体を充填しない従来の光スキャナの当該圧電カンチレバーに対して、実施例1と同様の鋸波状の駆動電圧を印加した場合を、破線で示した。また、図4において、実施例1の駆動方法を実線で示し、図5において、比較例1の駆動方法を実線で示した。
実施例1〜実施例3及び比較例1の結果を表1に示す。表1において、減衰比ξは式(3)に基づいて算出した値であり、理想直線からのズレは図1の光スキャナ1に対して図6Aに示すような光スキャナの鋸波状の駆動電圧を印加したとき、ミアンダ構造を有する圧電カンチレバーの構造由来の変位が「0」である理想的なミラー応答波形、すなわち、直線な応答波形に対して、実際に前述の変位を含んだミラー応答波形のばらつきにより求める値[%]であり、振幅倍率は、粘性体を充填した場合の光スキャナの振幅[°]を、粘性体を充填していない光スキャナの振幅[°]で除算した値である。
理想直線からのズレが2[%]未満であれば、圧電アクチュエータの構造に由来する振動を抑制できる。さらに、振幅倍率が0.80以上あれば、鋸波状の駆動電圧に対するとミラー部振れ角によるミラー応答波形が実用上理想波形として用いることができる。そこで、理想波形の直線部分からのズレが2[%]未満であり、かつ、振幅倍率が0.80以上ある場合、表1の評価の欄に「○」を記載し、理想波形の直線部分からのズレが2[%]未満であれば、振幅倍率が0.80未満であっても、表1の評価の欄に「△」を記載し、それ以外の場合、「×」を記載した。
表1より、減衰比ξが1≦ξ≦3である実施例1及び実施例2では、ミアンダ構造を有する圧電カンチレバーの構造由来の変位(振動)を「0」に減衰することができ、圧電アクチュエータの振動を抑制できる圧電アクチュエータを用いた光スキャナを提供することができることが分かる。
減衰比ξがξ=3.13である実施例3では、実施例1及び実施例2同様、ミアンダ構造を有する圧電カンチレバーの構造由来の変位(振動)を「0」に減衰することができた。ただし、粘性体を有しない光スキャナと比較して、粘性体の動粘度が大きいため、振幅倍率が0.80未満となり、圧電アクチュエータの変位が大きく減少する。そのため、圧電アクチュエータの所望の変位を維持するには、圧電アクチュエータに印加する駆動電圧を大きくする必要がある。
また、減衰比ξがξ<1である比較例1では、時間の経過に従って振幅が変化しなかったが、周期は一定のままの振動になり、理想直線とのズレが大きいので、圧電アクチュエータの振動を抑制し得ない。
本実施形態の光スキャナは、2軸型光スキャナであるが、ミアンダ構造の圧電アクチュエータにより所定軸線回りに往復回動させる光スキャナであれば、1軸型光スキャナに変形することも可能である。この場合、図1の内側圧電アクチュエータ40が不要となる。そして、ミラー部が、図1のミラー部10と、内枠部10と、トーションバー60a,60bとから新たに構成され、新たに構成されたミラー部と外枠部30(支持部)との間にミアンダ構造の圧電アクチュエータ50が介在する。
尚、本実施形態の光スキャナは、例えば、プロジェクタ、レーザプリンタ、レーザーヘッドランプ、ヘッドアップディスプレイ等の光走査装置に用いることができる。
1…光スキャナ、2…光偏向器、10…ミラー部、20…内枠部、30…外枠部(支持部)、40,40a,40b,40c,40d…内側圧電アクチュエータ、50,50’…外側圧電アクチュエータ、52a〜52d…圧電カンチレバー、54a〜54c…折返し部、60a,60b…トーションバー、70…粘性体、80…レーザ光源、90…制御装置。

Claims (4)

  1. 光を反射するミラー部と、
    前記ミラー部を支持する支持部と、
    ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーを有し、前記ミラー部と前記支持部との間に介在して、前記ミラー部の回転軸線の回りに前記ミラー部を往復回動させる圧電アクチュエータとを備えた光スキャナにおいて、
    前記ミラー部と前記圧電カンチレバーとの間及び前記圧電カンチレバー同士の間に形成された間隙に粘性体を有することを特徴とする光スキャナ。
  2. 光を反射するミラー部と、
    前記ミラー部を包囲して支持する内枠部と、
    前記内枠部を包囲して支持する外枠部と、
    前記ミラー部の第1回転軸線上で、一端部が前記ミラー部と結合し、他端部が前記内枠部と結合する1対のトーションバーと、
    前記ミラー部と前記内枠部との間に介在して、前記トーションバーを前記第1回転軸線回りに往復回動させるように、先端部が前記トーションバーと結合し、かつ、少なくとも一部分が前記内枠部と結合する内側圧電アクチュエータと、
    ミアンダパターン配列で直列に結合している複数の圧電カンチレバーを有し、前記内枠部と前記外枠部との間に介在して、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の回りに前記ミラー部を往復回動させる外側圧電アクチュエータとを備えた光スキャナにおいて、
    前記内枠部と前記圧電カンチレバーとの間及び前記圧電カンチレバー同士の間に形成された間隙に粘性体を有することを特徴とする光スキャナ。
  3. 請求項2記載の光スキャナにおいて、
    抵抗比例係数をc[N・s/m]、前記ミラー部、前記トーションバー及び前記内側圧電アクチュエータの総質量をm[kg]、前記複数の圧電カンチレバーのばね係数をk[N/m]と表した場合、下記式(1)で表される減衰比ξが1〜3の範囲であることを特徴とする光スキャナ。
    Dは前記圧電カンチレバーの厚み[m]、Lは前記圧電カンチレバーの長さ[m]、μは粘性体の動粘度[mm/sec]、ρは粘性体の密度[kg/m]、wは前記圧電カンチレバーの幅、[m]、Sは前記圧電カンチレバーの合計面積[m]、Sは前記圧電カンチレバーと前記粘性体で充填された領域の合計面積[m]を表す。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光スキャナにおいて、
    前記複数の圧電カンチレバーに印加される鋸波状波形の駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段を備えることを特徴とする光スキャナ。
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