JP2016000003A - 新規抗ヒトtweak抗体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較して優れた活性を有する抗ヒトTWEAK抗体、並びに、該抗体を用いた、ヒトTWEAKが病態形成に関与する各種疾患の予防又は治療手段を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列、特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列、又は特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、又は特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域をそれぞれ含む、抗ヒトTWEAK抗体。
【選択図】なし
【解決手段】特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列、特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列、又は特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、又は特定のアミノ酸配列のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域をそれぞれ含む、抗ヒトTWEAK抗体。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規な抗ヒトTWEAK抗体に関する。詳細には、本発明の新規抗ヒトTWEAK抗体は、従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較してsTWEAK及びmTWEAKのいずれに対しても優れた活性を有する抗ヒトTWEAK抗体である。
TWEAK(TNF-like weak inducer оf apоptоsis)は、マクロファージ、T細胞などの免疫担当細胞や腎メサンギウム細胞などを含む細胞及び組織に広く発現する一回膜貫通型の蛋白質である(非特許文献1)。TWEAKの受容体はFn14蛋白質であり、TWEAKがFn14蛋白質と複合体を形成することで活性化され、細胞内にシグナルを伝達する。TWEAKシグナルの活性化は、例えばNF−κB転写因子の活性化を介して、単球走化活性因子(MCP−1)などの炎症性のケモカインの発現を誘導し、炎症応答を惹起する(非特許文献2)。
TWEAKは細胞膜上に膜型TWEAK(mTWEAK)として存在し、細胞外領域がfurin型セリンプロテアーゼにより切断された場合には、可溶型TWEAK(sTWEAK)となる(非特許文献3)。いずれのTWEAKもFn14蛋白質と複合体を形成し、細胞内にシグナルを伝達するが、伝達シグナルの最大活性はsTWEAKに比べてmTWEAKが強い(非特許文献4)。
TWEAKは、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、強皮症などの自己免疫疾患、脳卒中、動脈硬化症、虚血による急性腎障害、慢性腎不全、癌などの疾患に関与することが知られている(非特許文献5〜15)。
全身性エリテマトーデスは、DNA−抗DNA抗体などの免疫複合体の組織沈着により起こる全身性炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患である。症状は寛解と憎悪を繰り返して慢性の経過を取ることが多い。また、多くの臓器が侵されるため臨床所見も多彩で、腎障害、中枢神経病変、血管病変、血液異常、関節症状、皮膚病変などがみられる。全身性エリテマトーデス病態においては、種々の細胞がアポトーシスを起こすことで、細胞からDNAやRNAが放出されるが、自己反応性T細胞に発現するmTWEAK分子により、単球のアポトーシスが促進されることが報告されている(非特許論文16)。
ループス腎炎は、全身性エリテマトーデス患者の多くが発症する腎炎であり、命にかかわる危険性が高い疾患である。マウスのループス腎炎病態モデルにおいては、抗TWEAK抗体の投与により、蛋白尿が改善され、腎臓におけるMCP−1などのケモカインやサイトカインの産生が抑制されることが報告されている(非特許文献17)。さらに、Fn14の遺伝的欠損動物(ノックアウトマウス)のループス腎炎病態モデルにおいても、蛋白尿などの腎病態改善作用が見られることから、ループス腎炎病態にTWEAK及びFn14が関与していることが報告されている(非特許文献17)。また、TWEAKの刺激により、ヒトメサンギウム細胞株においてMCP−1などの炎症性メディエーターの発現が誘導されることや、TWEAK刺激によるサイトカインの産生がNF−κBの活性化を介しており、抗TWEAK抗体によりサイトカインの産生が阻害されることも報告されている(非特許文献18)。さらに、ループス腎炎患者においては、腎臓におけるTWEAK遺伝子発現の増大及び尿中へのTWEAK蛋白質の分泌増大が報告されている(非特許文献19、20)。
関節リウマチは、関節内に存在する滑膜組織の異常増殖により、関節内に慢性の炎症を生じる疾患で、進行によって関節破壊等の様々な機能障害を引き起こす自己免疫疾患である。TWEAKに対する拮抗剤又はFn14に対する拮抗剤を用いた試験で、関節炎スコアなどに対して改善効果が認められることから、関節リウマチの病態にはTWEAK及びFn14が関与していることが報告されている(非特許文献21、22)。
炎症性腸疾患は、腸管内の免疫異常が関連し、腸管を主とする原因不明の難病である。腹痛、下痢、血便、下血、発熱、又は体重減少等の症状があり、代表的なものとしては、クローン病や潰瘍性大腸炎などがこれに含まれる。TWEAKのノックアウトマウス及びTWEAKに対する拮抗剤を用いた試験で、炎症の改善効果が認められることから、TWEAKシグナルが関与していることが報告されている(非特許文献23)。
多発性硬化症は、炎症及び髄鞘消失を特徴とする中枢神経系疾患である。マウスEAEモデル(実験的自己免疫性脳炎モデル)では、TWEAKに対する拮抗剤により、症状の改善効果が認められることから、多発性硬化症病態におけるTWEAKの関与が報告されている(非特許文献24)。
脳卒中は、虚血による酸素欠乏及び二次的事象により、脳において神経細胞の壊死及び損傷を引き起こす疾患である。マウス脳虚血モデルにおいて、TWEAKに対する拮抗剤により、症状の改善が認められることから、脳卒中におけるTWEAKの関与が報告されている(非特許文献25)。
急性腎障害は、外傷性や手術に伴う出血、血圧の急激な低下、脱水症、薬の副作用など様々な因子によって発症し、数日間のうちに腎機能が低下する重篤な病態であり、細胞障害と虚血障害に大別される。Fn14は、ヒト虚血腎において発現が増大することが報告されており、また、マウス急性腎障害モデルにおいては、TWEAKに対する拮抗剤又はFn14に対する拮抗剤を用いた試験で、腎機能や生存率に改善効果が認められることから、急性腎障害にはTWEAK及びFn14が関与していることが報告されている(非特許文献26、27)。
TWEAKやFn14が種々の癌腫で発現が増大することが知られている(非特許文献28、29)。また、TWEAKの過剰発現細胞が形質転換能を持つことも報告されている(非特許文献30)。さらに、TWEAKに対する拮抗剤が、Xenograftモデル(担癌移植モデル)において、癌細胞増殖を抑制することが報告されている(非特許文献31)。
従って、TWEAKに特異的に結合し、TWEAKの作用を阻害するモノクローナル抗体を開発することができれば、TWEAKが病態形成に関与する各種疾患の治療、予防に有用であることが期待される。
現在までに研究が進められてきたヒトTWEAKに対して機能阻害作用を示す抗体としては、マウスモノクローナル抗体であるmP2D10とそのヒト化モノクローナル抗体であるhuP2D10−1及びhuP2D10−2(特許文献1)や、マウスモノクローナル抗体であるMTW−1(非特許文献32)が報告されている。また、ハムスターモノクローナル抗体であるTW−212とそのヒト化モノクローナル抗体(特許文献2)や、ウサギモノクローナル抗体であるTW−305とそのヒト化モノクローナル抗体(特許文献3)も報告されている。しかし、従来の抗体はTWEAKに対する中和活性が十分とはいえない。
また、抗体医薬の有効投与量を規定する主な要因としては、抗体が有する抗原に対する結合活性や中和活性、体内に存在する抗原の量が挙げられるが、結合活性や中和活性を向上させることは投与量の低減に繋がり、結果として患者の経済的な負担や医療コストの低減にも繋がる極めて有益な改良であるといえる。
こうしたことから、従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較して活性において優れた抗ヒトTWEAK抗体を取得することが、ヒトに投与して各種疾患の治療、予防に利用するためには必要である。
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本発明の課題は、従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較して優れた活性を有する抗ヒトTWEAK抗体を提供することにある。
すなわち、本発明は、医学上又は産業上有用な物質及び方法として以下の発明を含むものである。
(1)以下の1)〜3)のいずれかから選択される、抗ヒトTWEAK抗体。
1)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体;
2)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体;
3)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
(2)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、上記(1)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(3)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、上記(1)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(4)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、上記(1)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(5)前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(6)前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(7)前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域であり、前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(8)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、上記(2)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(9)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号7に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、上記(3)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(10)配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号11に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、上記(4)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
(12)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
(13)上記(11)及び/又は(12)に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
(14)上記(13)に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
(15)以下の(a)及び(b)からなる群より選択される、上記(14)に記載の宿主細胞。
(a)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞;及び
(b)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
(16)上記(14)又は(15)に記載の宿主細胞を培養し、抗ヒトTWEAK抗体を発現させる工程を包含する、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体を生産する方法。
(17)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体を含む、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎治療薬。
(18)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体の治療有効量を投与する工程を包含する、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎を予防又は処置するための方法。
(19)全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の予防又は処置に使用するための、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(1)以下の1)〜3)のいずれかから選択される、抗ヒトTWEAK抗体。
1)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体;
2)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体;
3)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
(2)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、上記(1)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(3)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、上記(1)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(4)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、上記(1)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(5)前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(6)前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(7)前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域であり、前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(8)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、上記(2)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(9)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号7に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、上記(3)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(10)配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号11に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、上記(4)に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
(12)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
(13)上記(11)及び/又は(12)に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
(14)上記(13)に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
(15)以下の(a)及び(b)からなる群より選択される、上記(14)に記載の宿主細胞。
(a)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞;及び
(b)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
(16)上記(14)又は(15)に記載の宿主細胞を培養し、抗ヒトTWEAK抗体を発現させる工程を包含する、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体を生産する方法。
(17)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体を含む、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎治療薬。
(18)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体の治療有効量を投与する工程を包含する、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎を予防又は処置するための方法。
(19)全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の予防又は処置に使用するための、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の抗ヒトTWEAK抗体。
本発明によって、従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較してsTWEAK及びmTWEAKのいずれに対しても優れた活性を有する抗ヒトTWEAK抗体が提供される。本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、sTWEAKとmTWEAKの両者の機能を阻害することにより、免疫担当細胞、腎糸球体上皮細胞、メサンギウム細胞などの細胞に対する抑制作用を有するものであり、ヒトTWEAKが病態形成に関与する各種疾患の予防又は治療に有用である。そして、このような本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、投与量の低減、投与間隔の拡大、投与方法の改善(例えば、皮下注射剤)等の臨床適用における優れた改善をもたらし、治療有効性及び患者コンプライアンスの改善に大きく寄与するものである。
以下に、本発明について詳述する。
本発明者らは、抗ヒトTWEAK抗体の作製において相当の創意検討を重ねた結果、従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較してsTWEAK及びmTWEAKのいずれに対しても優れた活性を有する抗ヒトTWEAK抗体を作製することに成功した。
本発明者らは、抗ヒトTWEAK抗体の作製において相当の創意検討を重ねた結果、従来の抗ヒトTWEAK抗体と比較してsTWEAK及びmTWEAKのいずれに対しても優れた活性を有する抗ヒトTWEAK抗体を作製することに成功した。
抗体分子の基本構造は、各クラス共通で、分子量5万〜7万の重鎖と2〜3万の軽鎖から構成される。重鎖は、通常約440個のアミノ酸を含むポリペプチド鎖からなり、クラスごとに特徴的な構造をもち、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEに対応してγ、μ、α、δ、ε鎖とよばれる。さらにIgGには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が存在し、それぞれγ1、γ2、γ3、γ4とよばれている。軽鎖は、通常約220個のアミノ酸を含むポリペプチド鎖からなり、L型とK型の2種が知られており、それぞれλ、κ鎖とよばれる。抗体分子の基本構造のペプチド構成は、それぞれ相同な2本の重鎖及び2本の軽鎖が、ジスルフィド結合(S−S結合)及び非共有結合によって結合され、分子量15万〜19万である。2種の軽鎖は、どの重鎖とも対をなすことができる。個々の抗体分子は、常に同一の軽鎖2本と同一の重鎖2本からできている。
鎖内S−S結合は、重鎖に四つ(μ、ε鎖には五つ)、軽鎖には二つあって、アミノ酸100〜110残基ごとに一つのループを成し、この立体構造は各ループ間で類似していて、構造単位あるいはドメインとよばれる。重鎖、軽鎖ともにN末端に位置するドメインは、同種動物の同一クラス(サブクラス)からの標品であっても、そのアミノ酸配列が一定せず、可変領域とよばれており、各ドメインは、それぞれ、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)とよばれている。これよりC末端側のアミノ酸配列は、各クラスあるいはサブクラスごとにほぼ一定で定常領域とよばれている(各ドメインは、それぞれ、CH1、CH2、CH3あるいはCLと表される)。
抗体の抗原決定部位はVH及びVLによって構成され、結合の特異性はこの部位のアミノ酸配列によっている。一方、補体や各種細胞との結合といった生物学的活性は各クラスIgの定常領域の構造の差を反映している。軽鎖と重鎖の可変領域の可変性は、どちらの鎖にも存在する3つの小さな超可変領域にほぼ限られることがわかっており、これらの領域を相補性決定領域(CDR;それぞれN末端側からCDR1、CDR2、CDR3)と呼んでいる。可変領域の残りの部分はフレームワーク領域(FR)とよばれ、比較的一定である。
本発明者らが作製に成功した本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、以下のいずれかの特徴を有する抗ヒトTWEAK抗体である。
1)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
2)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
3)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
1)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
2)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
3)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
具体的には、本発明者らは、ヒトモノクローナル抗体開発技術「ベロシミューン」(VelocImmune antibody technology;Regeneron社(米国特許6596541号))マウスを用いて抗体を作製し、各種生物学的活性試験及び物性試験を用いた抗体のスクリーニングによって、本発明の抗ヒトTWEAK抗体を同定することに成功した。ベロシミューン技術では、内因性の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の可変領域が対応するヒト可変領域で置換されたトランスジェニックマウスを目的の抗原(例えば、ヒトmTWEAK(配列番号16)、ヒトsTWEAK(配列番号15)及び/又はそれらの変異体(例えば、配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるヒトmTWEAK変異体)で免疫した後、抗体を発現するマウスのリンパ系細胞を取得し、マウスミエローマ細胞と細胞融合することによってハイブリドーマを作製する。次いで、このハイブリドーマ細胞を、目的の抗原に特異的に結合する抗体を産生するか否かについてスクリーニングする。ここで産生される抗体は、ヒト抗体の可変領域とマウス抗体の定常領域を有する抗体(キメラ抗体とも称する)である。次いで、目的の抗原に特異的に結合する抗体が同定された場合、そのハイブリドーマ細胞から抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、そのDNAを所望のクラスのヒト抗体重鎖及び軽鎖の定常領域をコードするDNAにそれぞれ連結する。このようにして得られた重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を細胞内(例えば、CHO細胞)で発現させて、抗体分子を産生する。当該方法により作製された抗体の重鎖及び軽鎖は、ヒト免疫グロブリン遺伝子に由来する「完全ヒト型」抗体の重鎖及び軽鎖である。
本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、本願明細書に開示される、その重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列情報に基づいて、当該分野で公知の方法を使用して、当業者によって容易に作製され得る。好ましくは、本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、その重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をヒト抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域にそれぞれ連結して、完全ヒト型抗体として作製することができる。具体的には、本発明の抗体の重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列、配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列、又は配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列)をコードする塩基配列を含む重鎖可変領域遺伝子断片、及び本発明の抗体の軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、又は配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列)をコードする塩基配列を含む軽鎖可変領域遺伝子断片を作製する。そして、この可変領域遺伝子をヒト抗体の適当なクラスの定常領域遺伝子と連結させて完全ヒト型抗体遺伝子を作製する。次いで、この抗体遺伝子を適当な発現ベクターに連結し、培養細胞中に導入する。最後にこの培養細胞を培養して培養上清からモノクローナル抗体を得ることができる。
本発明の抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む遺伝子断片は、例えば、該重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列に基づいてデザインされた塩基配列に基づき、当該分野で公知の遺伝子合成方法を利用して合成することが可能である。このような遺伝子合成方法としては、WO90/07861に記載の抗体遺伝子の合成方法等の当業者に公知の種々の方法が使用され得る。また、本発明の抗体の可変領域遺伝子断片を一旦取得すれば、この遺伝子断片の所定の部位に変異を導入することによって、本発明の他の抗体を取得することも可能である。このような変異導入方法としては、部位特異的変異誘発法(Current Protocols in Molecular Biology edit.Ausubel et al.(1987)Publish.John Wiley & Sons Section 8.1−8.5)等の当業者に公知の種々の方法が使用され得る。
次いで、上記の可変領域遺伝子断片とヒト抗体の定常領域遺伝子とを連結させて完全ヒト型抗体遺伝子を作製する。使用されるヒト抗体の定常領域は、どのようなサブクラスの定常領域(例えば、重鎖としてγ1、γ2、γ3又はγ4、軽鎖としてλ又はκ鎖の定常領域)も選択可能であり得るが、好ましくは重鎖定常領域としてはヒトIgγ1が、また、軽鎖定常領域としてはヒトIgκを用いることができる。
この完全ヒト型抗体遺伝子の作製につづく、抗体遺伝子の発現ベクターへの導入、発現ベクターの培養細胞への導入、培養細胞の培養、抗体の精製等については、当該分野で公知の種々の方法を使用して行うことができる。
上記のようにして得られた抗体遺伝子と連結される発現ベクターとしては、例えば、GSベクターpEE6.4やpEE12.4(Lonza Biologics社)が挙げられるが、抗体遺伝子を発現することができるものであれば特に制限されない。また、AG−γ1やAG−κ(例えば、WO94/20632を参照)等の予めヒトIg定常領域遺伝子を有する発現ベクターに可変領域遺伝子断片を導入して抗体遺伝子を発現することもできる。
上記の発現ベクターは、例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等により、培養細胞中に導入される。
発現ベクターを導入する培養細胞としては、例えば、CHO−K1SV細胞、CHO−DG44細胞、293細胞等の培養細胞が使用でき、これを常法により培養すればよい。
上記培養後、培養上清中に蓄積された抗体は、各種カラムクロマトグラフィー、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムを用いた各種クロマトグラフィーにより精製することができる。
本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、ヒトmTWEAK及びヒトsTWEAKに結合する抗体である。得られた抗ヒトTWEAK抗体のヒトmTWEAK又はヒトsTWEAKに対する結合活性を測定する方法としては、Enzyme−Linked ImmunoSorbant Assay(ELISA)やFluorescence Activated Cell Sorting(FACS)等の方法がある。ヒトmTWEAKに対する結合活性を測定する場合は、例えば、FACSを用いることができ、ヒトmTWEAK(配列番号16に示されるアミノ酸配列からなる)又はヒトmTWEAK変異体(配列番号13に示されるアミノ酸配列からなる)を発現させた細胞(例えば、HEK293細胞)を分注したチューブに抗ヒトTWEAK抗体を添加して反応させた後、洗浄し、フィコエリスリン(PE)等の蛍光蛋白質で標識した抗IgG抗体等の二次抗体を反応させ、FACS array等を用いた蛍光値の測定により、二次抗体の結合を同定する。ヒトsTWEAKに対する結合活性を測定する場合は、例えば、ELISAを用いることができ、ヒトsTWEAK(配列番号15)をELISAプレートに固定化し、これに対して抗ヒトTWEAK抗体を添加して反応させた後、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素で標識した抗IgG抗体等の二次抗体を反応させ、洗浄した後、その活性を検出する試薬(例えば、HRP標識の場合、BM−Chemiluminescence ELISA Substrate(POD)(ロシュダイアグノスティック社))等を用いた活性測定により、二次抗体の結合を同定する。また、本発明の抗体には、他の動物由来のTWEAK(例えば、サルTWEAK)にも結合する抗体も含まれ、同様の方法を用いてこれらの蛋白質に対する結合活性を測定することができる。
また、本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、ヒトmTWEAK及びヒトsTWEAKに対する中和活性を有している。本明細書中で使用される場合、抗体の「中和活性」とは、mTWEAK及び/又はsTWEAKへの結合によりTWEAKを介してもたらされる任意の生物活性を阻害する活性を意味し、TWEAKの1つ又は複数の生物活性を指標に評価することができる。このような中和活性としては、例えば、TWEAK刺激によるNF−κBの活性化阻害が挙げられ、後記実施例に記載されるような方法を用いることによって評価することができる。
抗ヒトTWEAK抗体の各種安定性(例えば、熱安定性、長期保存安定性、高濃度安定性)を評価する方法としては、例えば、示差走査熱量測定や、抗体保存中の凝集体形成の測定を利用する方法が挙げられる。
好ましくは、本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、当該分野で公知の方法を用いて、配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列、配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列、又は配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列に示される重鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNA、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列、又は配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAを合成し、これらを適当なクラスのヒト抗体定常領域遺伝子、好ましくは、重鎖についてはヒトIgγ1定常領域遺伝子、軽鎖についてはヒトIgκ定常領域遺伝子と連結して完全ヒト型抗体遺伝子を構築し、当該分野で公知の種々の方法を用いて、該抗体遺伝子を発現ベクターへ導入し、該発現ベクターを培養細胞に導入して該培養細胞を培養し、得られる培養物から抗体を精製することによって、容易に取得することができる。
好ましくは、配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列に示される重鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号2の塩基番号1から354までの塩基配列を含む。配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列に示される重鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号6の塩基番号1から375までの塩基配列を含む。配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列に示される重鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号10の塩基番号1から363までの塩基配列を含む。
好ましくは、配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号4の塩基番号1から324までの塩基配列を含む。配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号8の塩基番号1から324までの塩基配列を含む。配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号12の塩基番号1から324までの塩基配列を含む。
本発明の好ましい抗ヒトTWEAK抗体重鎖は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる重鎖であり、アミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域とヒトIgγ1定常領域とを含む。本発明の好ましい抗ヒトTWEAK抗体軽鎖は、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖であり、アミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域とヒトIgκ定常領域とを含む。好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトTWEAK抗体重鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号2に示される塩基配列を含む。好ましくは、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトTWEAK抗体軽鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号4に示される塩基配列を含む。配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、本発明の抗ヒトTWEAK抗体としては、後記実施例に記載される完全ヒト型TBA3−25抗体が挙げられる。
本発明の好ましい抗ヒトTWEAK抗体重鎖は、配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる重鎖であり、アミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域とヒトIgγ1定常領域とを含む。本発明の好ましい抗ヒトTWEAK抗体軽鎖は、配列番号7に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖であり、アミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域とヒトIgκ定常領域とを含む。好ましくは、配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトTWEAK抗体重鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号6に示される塩基配列を含む。好ましくは、配列番号7に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトTWEAK抗体軽鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号8に示される塩基配列を含む。配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号7に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、本発明の抗ヒトTWEAK抗体としては、後記実施例に記載される完全ヒト型TBA3−35.1抗体が挙げられる。
本発明の好ましい抗ヒトTWEAK抗体重鎖は、配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる重鎖であり、アミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域とヒトIgγ1定常領域とを含む。本発明の好ましい抗ヒトTWEAK抗体軽鎖は、配列番号11に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖であり、アミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域とヒトIgκ定常領域とを含む。好ましくは、配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトTWEAK抗体重鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号10に示される塩基配列を含む。好ましくは、配列番号11に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトTWEAK抗体軽鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号12に示される塩基配列を含む。配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号11に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、本発明の抗ヒトTWEAK抗体としては、後記実施例に記載される完全ヒト型TBA4−1抗体が挙げられる。
本発明は、以下のいずれかの特徴を有する抗ヒトTWEAK抗体をも包含する。
1)配列番号1のアミノ酸番号31から35までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号1のアミノ酸番号50から66までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号1のアミノ酸番号99から107までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む重鎖可変領域、並びに、配列番号3のアミノ酸番号24から34までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号3のアミノ酸番号50から56までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号3のアミノ酸番号89から97までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
2)配列番号5のアミノ酸番号31から35までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号5のアミノ酸番号50から66までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号5のアミノ酸番号99から114までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む重鎖可変領域、並びに、配列番号7のアミノ酸番号24から34までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号7のアミノ酸番号50から56までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号7のアミノ酸番号89から97までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
3)配列番号9のアミノ酸番号31から35までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号9のアミノ酸番号50から66までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号9のアミノ酸番号99から110までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む重鎖可変領域、並びに、配列番号11のアミノ酸番号24から34までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号11のアミノ酸番号50から56までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号11のアミノ酸番号89から97までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
1)配列番号1のアミノ酸番号31から35までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号1のアミノ酸番号50から66までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号1のアミノ酸番号99から107までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む重鎖可変領域、並びに、配列番号3のアミノ酸番号24から34までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号3のアミノ酸番号50から56までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号3のアミノ酸番号89から97までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
2)配列番号5のアミノ酸番号31から35までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号5のアミノ酸番号50から66までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号5のアミノ酸番号99から114までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む重鎖可変領域、並びに、配列番号7のアミノ酸番号24から34までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号7のアミノ酸番号50から56までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号7のアミノ酸番号89から97までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
3)配列番号9のアミノ酸番号31から35までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号9のアミノ酸番号50から66までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号9のアミノ酸番号99から110までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む重鎖可変領域、並びに、配列番号11のアミノ酸番号24から34までのアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号11のアミノ酸番号50から56までのアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号11のアミノ酸番号89から97までのアミノ酸配列からなるCDR3とを含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
本発明は、本発明の抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域とを含み、中和活性を保持した、一本鎖可変領域フラグメント(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)2等の抗ヒトTWEAK抗体フラグメントをも包含する。また当業者であれば、本発明に基づいて、当該抗体フラグメントと他のペプチドや蛋白質との融合体を作製することや、修飾剤を結合させた修飾体を作製することも可能である。融合に用いられる他のペプチドや蛋白質は、抗体フラグメントの結合活性を低下させないものである限り特に限定されず、例えば、ヒト血清アルブミン、各種tagペプチド、人工ヘリックスモチーフペプチド、マルトース結合蛋白質、グルタチオンSトランスフェラーゼ、各種毒素、その他多量体化を促進しうるペプチド又は蛋白質等が挙げられる。修飾に用いられる修飾剤は、抗体フラグメントの結合活性を低下させないものである限り特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、糖鎖、リン脂質、リポソーム、低分子化合物等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の抗ヒトTWEAK抗体又は抗体フラグメントは、必要によりさらに精製された後、常法に従って製剤化され、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、強皮症などの自己免疫疾患、脳卒中、動脈硬化症、虚血による急性腎障害、慢性腎不全又は癌等のTWEAKが病態形成に関連する疾患の治療に用いることができる。
本発明の抗ヒトTWEAK抗体又は抗体フラグメントは、好ましくは、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の治療剤として用いることができる。これら治療剤等の剤型の例としては、注射剤、点滴用剤等の非経口剤とすることができ、静脈内投与、皮下投与等により投与することが好ましい。また、製剤化にあたっては、薬学的に許容される範囲で、これら剤型に応じた担体や添加剤を使用することができる。
上記製剤化に当たっての本発明の抗ヒトTWEAK抗体又は抗体フラグメントの添加量は、患者の症状の程度や年齢、使用する製剤の剤型、あるいは抗体の結合力価等により異なるが、例えば、0.001mg/kgないし100mg/kg程度を用いればよい。
本発明はまた、本発明の抗ヒトTWEAK抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチド及びそれを含む発現ベクターを提供する。本発明はまた、本発明の抗ヒトTWEAK抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチド、及び本発明の抗ヒトTWEAK抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチド、並びにそれらのいずれか又は両方を含む発現ベクターを提供する。前記の本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で公知の遺伝子合成方法を利用して合成することが可能である。このような遺伝子合成方法としては、WO90/07861に記載の抗体遺伝子の合成方法等の当業者に公知の種々の方法が使用され得る。本発明の発現ベクターは、原核細胞及び/又は真核細胞の各種の宿主細胞中で本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする遺伝子を発現し、これらポリペプチドを産生できるものであれば特に制限されない。例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)等を挙げることができる。好ましくは、本発明の発現ベクターは、前述の本発明の抗体の重鎖又は軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含むか、あるいは本発明の抗体の重鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む。
本発明の発現ベクターは、本発明の抗ヒトTWEAK抗体をコードする遺伝子あるいは本発明の抗ヒトTWEAK抗体の重鎖可変領域をコードする遺伝子及び/又は本発明の抗ヒトTWEAK抗体の軽鎖可変領域をコードする遺伝子に機能可能に連結されたプロモーターを含み得る。細菌中で本発明の抗体をコードする遺伝子あるいはその重鎖可変領域をコードする遺伝子及び/又は軽鎖可変領域をコードする遺伝子を発現させるためのプロモーターとしては、宿主がエシェリキア属菌の場合、例えば、Trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、tacプロモーターなどが挙げられる。酵母中での発現用プロモーターとしては、例えば、PH05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターが挙げられ、バチルス属菌での発現用プロモーターとしては、SL01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーターなどが挙げられる。また、宿主が哺乳動物細胞等の真核細胞である場合、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒートショックプロモーターなどが挙げられる。
宿主細胞として細菌、特に大腸菌を用いる場合、本発明の発現ベクターは、開始コドン、終止コドン、ターミネーター領域及び複製可能単位をさらに含み得る。一方、宿主として酵母、動物細胞又は昆虫細胞を用いる場合、本発明の発現ベクターは、開始コドン、終止コドンを含み得る。また、この場合、エンハンサー配列、本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域又は軽鎖可変領域をコードする遺伝子の5’側及び3’側の非翻訳領域、分泌シグナル配列、スプライシング接合部、ポリアデニレーション部位、又は複製可能単位などを含んでいてもよい。また、目的に応じて通常用いられる選択マーカー(例えば、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子)を含んでいてもよい。
本発明はまた、本発明の抗体をコードする遺伝子あるいは本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする遺伝子及び/又は本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする遺伝子で形質転換された宿主細胞(形質転換体)を提供する。このような形質転換体は、例えば、本発明の発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより作製できる。形質転換体の作製に用いられる宿主細胞としては、前記の発現ベクターに適合し、形質転換されうるものであれば特に限定されず、本発明の技術分野において通常使用される天然細胞あるいは人工的に樹立された細胞など種々の細胞(例えば、細菌(エシェリキア属菌、バチルス属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキア属など)、動物細胞(例えば、CHO)又は昆虫細胞(例えば、Sf9)など)が例示される。形質転換は自体公知の方法により行われ得る。
好ましくは、本発明の形質転換体は、本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞であるか、又は、本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞である。より好ましくは、本発明の形質転換体は、前述の本発明の抗体の重鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞であるか、又は、前述の本発明の抗体の重鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと本発明の抗体の軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞である。
本発明はまた、本発明の抗体をコードする遺伝子あるいは本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする遺伝子及び/又は本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする遺伝子を宿主細胞に発現させること、即ち、このような形質転換体を用いることを含む、本発明の抗ヒトTWEAK抗体の生産方法を提供する。好ましくは、該方法で使用される宿主細胞は、前述の本発明の発現ベクターで形質転換された宿主細胞であり、該発現ベクターは、本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを、別々に又は同時に含んでもよい。
本発明の抗ヒトTWEAK抗体の生産において、形質転換体は、栄養培地中で培養され得る。栄養培地は、形質転換体の生育に必要な炭素源、無機窒素源もしくは有機窒素源を含んでいることが好ましい。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストラン、可溶性デンプン、ショ糖などが、無機窒素源もしくは有機窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などが例示される。また所望により他の栄養素(例えば、無機塩(例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム)、ビタミン類、抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)など)を含んでいてもよい。
形質転換体の培養は自体公知の方法により行われる。培養条件、例えば、温度、培地のpH及び培養時間は、適宜選択される。例えば、宿主が動物細胞の場合、培地としては、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地(Science,Vol.122,p.501,1952)、DMEM培地(Virology,Vol.8,p.396,1959)、RPMI1640培地(J.Am.Med.Assoc.,Vol.199,p.519,1967)、199培地(proc.Soc.Exp.Biol.Med.,Vol.73,p.1,1950)等を用いることができる。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。宿主が昆虫細胞の場合、例えば、胎児牛血清を含むGrace’s培地(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.82,p.8404,1985)等が挙げられ、そのpHは約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約20〜40℃で15〜100時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。宿主が細菌、放線菌、酵母、糸状菌である場合、例えば、上記栄養源を含有する液体培地が適当である。好ましくは、pHが5〜8である培地である。宿主がE.coliの場合、好ましい培地としてLB培地、M9培地(Millerら、Exp.Mol.Genet,Cold Spring Harbor Laboratory,p.431,1972)等が例示される。かかる場合、培養は、必要により通気、撹拌しながら、通常14〜43℃、約3〜24時間行うことができる。宿主がBacillus属菌の場合、必要により通気、撹拌をしながら、通常30〜40℃、約16〜96時間行うことができる。宿主が酵母である場合、培地として、例えば、Burkholder最小培地(Bostian,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.77,p.4505,1980)が挙げられ、pHは5〜8であることが望ましい。培養は通常約20〜35℃で約14〜144時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。
本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、上述のような形質転換体を培養し、該形質転換体から回収、好ましくは単離、精製することができる。単離、精製方法としては、例えば、塩析、溶媒沈澱法等の溶解度を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動など分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーやヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーなどの荷電を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動などの等電点の差を利用する方法などが挙げられる。
本発明について全般的に記載したが、さらに理解を得るために参照する特定の実施例をここに提供するが、これらは例示目的とするものであって、本発明を限定するものではない。
市販のキット又は試薬等を用いた部分については、特に断りのない限り添付のプロトコールに従って実験を行った。
(実施例1:ヒトmTWEAK発現HEK293細胞の取得)
本発明者らは、抗ヒトTWEAK抗体の結合性試験、中和活性試験及び抗体取得のための細胞抗原として使用するために、ヒトmTWEAK発現細胞を取得した。ヒトmTWEAK変異体遺伝子(配列番号14(配列番号13に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列))を哺乳細胞発現用ベクターであるpcDNA3.1ベクター(Invitrogen社)に組み換えた。このベクターをトランスフェクション試薬であるFugene HD(Promega社)を用いてヒト樹立培養細胞であるHEK293細胞(ATCC:CRL−1573)へ遺伝子導入した。配列番号13に示されるヒトmTWEAK変異体は、配列番号16に示される野生型のヒトmTWEAKのアミノ酸番号90から93までのアミノ酸配列(プロテアーゼによる切断部位)を欠失させたヒトmTWEAKであり、これらのアミノ酸を欠失させても、TWEAKシグナルを活性化することは確認されている。この細胞をHygromycin含有DMEM培地にて選択培養した後、限界希釈法にてモノクローン化した。その後、抗ヒトTWEAK抗体(huP2D10−2;特許文献1)を用いたフローサイトメトリー測定により高い蛋白発現を示すクローンを選別した(以下、ヒトmTWEAK発現HEK293細胞と称する)。
本発明者らは、抗ヒトTWEAK抗体の結合性試験、中和活性試験及び抗体取得のための細胞抗原として使用するために、ヒトmTWEAK発現細胞を取得した。ヒトmTWEAK変異体遺伝子(配列番号14(配列番号13に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列))を哺乳細胞発現用ベクターであるpcDNA3.1ベクター(Invitrogen社)に組み換えた。このベクターをトランスフェクション試薬であるFugene HD(Promega社)を用いてヒト樹立培養細胞であるHEK293細胞(ATCC:CRL−1573)へ遺伝子導入した。配列番号13に示されるヒトmTWEAK変異体は、配列番号16に示される野生型のヒトmTWEAKのアミノ酸番号90から93までのアミノ酸配列(プロテアーゼによる切断部位)を欠失させたヒトmTWEAKであり、これらのアミノ酸を欠失させても、TWEAKシグナルを活性化することは確認されている。この細胞をHygromycin含有DMEM培地にて選択培養した後、限界希釈法にてモノクローン化した。その後、抗ヒトTWEAK抗体(huP2D10−2;特許文献1)を用いたフローサイトメトリー測定により高い蛋白発現を示すクローンを選別した(以下、ヒトmTWEAK発現HEK293細胞と称する)。
(実施例2:抗ヒトTWEAK抗体産生ハイブリドーマの作製)
本発明者らは、抗ヒトTWEAK抗体を取得するため、ベロシミューンマウスに、免疫反応を惹起するアジュバントと共に、ヒトsTWEAK蛋白質(Peprotech社、310−06)及びヒトmTWEAK発現HEK293細胞を免疫した。マウスを数回免疫し、血中抗体価の上昇を確認し、最終免疫を行った。定法に従い、免疫したマウスの脾臓やリンパ節を摘出しリンパ球を収集し、これをマウスミエローマ細胞SP2/0と細胞融合することでハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマの限界希釈サンプルを作製し、モノクローン化を行った。各クローンについて、拡大培養を行った後に無血清培地であるCDハイブリドーマメディウム(Invitrogen社)に培地変更し、5日間培養した。得られた培養上清からProtein G Purification kit(Proteus社)を用いて抗体を精製した。
本発明者らは、抗ヒトTWEAK抗体を取得するため、ベロシミューンマウスに、免疫反応を惹起するアジュバントと共に、ヒトsTWEAK蛋白質(Peprotech社、310−06)及びヒトmTWEAK発現HEK293細胞を免疫した。マウスを数回免疫し、血中抗体価の上昇を確認し、最終免疫を行った。定法に従い、免疫したマウスの脾臓やリンパ節を摘出しリンパ球を収集し、これをマウスミエローマ細胞SP2/0と細胞融合することでハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマの限界希釈サンプルを作製し、モノクローン化を行った。各クローンについて、拡大培養を行った後に無血清培地であるCDハイブリドーマメディウム(Invitrogen社)に培地変更し、5日間培養した。得られた培養上清からProtein G Purification kit(Proteus社)を用いて抗体を精製した。
(実施例3:細胞ELISA結合阻害アッセイ)
本発明者らは、抗体の抗原特異的結合阻害活性を測定するために、抗体によるヒト大腸癌細胞株HT29細胞(ATCC:HTB−38)(ヒトTWEAK受容体を内在的に発現している)に対するsTWEAK蛋白質の結合阻害を評価した。HT29細胞を384ウェルプレート(Gleiner社)に1ウェルあたり1万個を播種した。培地を除去後、ビオチン標識ヒトsTWEAK蛋白質(ビオチン化したPeprotech社のヒトsTWEAK蛋白質)とハイブリドーマの培養上清を30μl添加した。37℃に設定したCO2インキュベータにて1時間インキュベートした後、洗浄液(0.1%ウシ血清入りHEPES緩衝液)にて洗浄し、希釈液(1%ウシ血清入りHEPES緩衝液)で2000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(HRP−Streptavidin;Invitrogen社)を30μl添加した。37℃に設定したCO2インキュベータにて1時間インキュベートした後、洗浄液で洗浄した。化学発光検出試薬であるPOD(Roche社)を加えて、その化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
本発明者らは、抗体の抗原特異的結合阻害活性を測定するために、抗体によるヒト大腸癌細胞株HT29細胞(ATCC:HTB−38)(ヒトTWEAK受容体を内在的に発現している)に対するsTWEAK蛋白質の結合阻害を評価した。HT29細胞を384ウェルプレート(Gleiner社)に1ウェルあたり1万個を播種した。培地を除去後、ビオチン標識ヒトsTWEAK蛋白質(ビオチン化したPeprotech社のヒトsTWEAK蛋白質)とハイブリドーマの培養上清を30μl添加した。37℃に設定したCO2インキュベータにて1時間インキュベートした後、洗浄液(0.1%ウシ血清入りHEPES緩衝液)にて洗浄し、希釈液(1%ウシ血清入りHEPES緩衝液)で2000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(HRP−Streptavidin;Invitrogen社)を30μl添加した。37℃に設定したCO2インキュベータにて1時間インキュベートした後、洗浄液で洗浄した。化学発光検出試薬であるPOD(Roche社)を加えて、その化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
(実施例4:抗原ELISA結合アッセイ)
本発明者らは、抗体の抗原特異的結合活性を測定するために、抗原ELISAを使用した。ヒトsTWEAK蛋白質(Peprotech社)0.5μg/mlを、384ウェルプレート(Nunc社)に固相化した。ブロッキング剤(Blocking One;ナカライテスク社)を添加し室温にて1時間静置した後、洗浄液(TBS−T:0.05% Tween−20含有トリスバッファー生理食塩水(TBS)(pH7.4))で洗浄し、ハイブリドーマの培養上清を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液にて洗浄し、希釈液(Blocking Oneをリン酸緩衝液で2倍に希釈したもの)で2000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIg抗体(HRP−goat anti−mouse Ig antibody;Invitrogen社)を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液で洗浄した。化学発光検出試薬であるPOD(Roche社)を加えて、その化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
本発明者らは、抗体の抗原特異的結合活性を測定するために、抗原ELISAを使用した。ヒトsTWEAK蛋白質(Peprotech社)0.5μg/mlを、384ウェルプレート(Nunc社)に固相化した。ブロッキング剤(Blocking One;ナカライテスク社)を添加し室温にて1時間静置した後、洗浄液(TBS−T:0.05% Tween−20含有トリスバッファー生理食塩水(TBS)(pH7.4))で洗浄し、ハイブリドーマの培養上清を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液にて洗浄し、希釈液(Blocking Oneをリン酸緩衝液で2倍に希釈したもの)で2000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIg抗体(HRP−goat anti−mouse Ig antibody;Invitrogen社)を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液で洗浄した。化学発光検出試薬であるPOD(Roche社)を加えて、その化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
(実施例5:ヒトsTWEAK刺激NF−κB活性化阻害アッセイ)
TWEAKの刺激により、NF−κBが活性化されて、MCP−1などのケモカインの発現が誘導され炎症応答が惹起されること(非特許文献2)から、本発明者らは、NF−κBの活性化阻害を指標として、ヒトsTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ヒト樹立培養細胞であるHEK293細胞(ヒトTWEAK受容体を内在的に発現している)を、実験の3日前に4×106細胞/10cmディッシュとなるように、10cmディッシュ(IWAKI社)に17ml/ディッシュにて播種した。1時間後、pGL4.32[luc2P/NF−κB−RE/Hygro]Vector(Promega社)をFugene HD(Promega社)を用いて細胞に導入した。これにより、NF−κBの活性化をルシフェラーゼの活性を指標に評価することができる。翌々日、細胞を回収し、1×104細胞/ウェルで384ウェルプレート(Gleiner社)に30μlで播種した。15μlのハイブリドーマ由来抗体溶液(ハイブリドーマの培養上清をプロテインGカラム(Pro−Chem社)で精製し、DMEM培地で希釈した溶液)を加え、37℃に設定したCO2インキュベータにて5分間静置した。さらに、15μlのヒトsTWEAK(Peprotech社)溶液を添加し(終濃度100ng/ml)、37℃に設定したCO2インキュベータにて5時間培養した。培養上清を30μl除去した後、30μlのOne−Glo Luciferase Assay溶液(Promega社)を添加し、室温で10分間撹拌した。その後、化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
TWEAKの刺激により、NF−κBが活性化されて、MCP−1などのケモカインの発現が誘導され炎症応答が惹起されること(非特許文献2)から、本発明者らは、NF−κBの活性化阻害を指標として、ヒトsTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ヒト樹立培養細胞であるHEK293細胞(ヒトTWEAK受容体を内在的に発現している)を、実験の3日前に4×106細胞/10cmディッシュとなるように、10cmディッシュ(IWAKI社)に17ml/ディッシュにて播種した。1時間後、pGL4.32[luc2P/NF−κB−RE/Hygro]Vector(Promega社)をFugene HD(Promega社)を用いて細胞に導入した。これにより、NF−κBの活性化をルシフェラーゼの活性を指標に評価することができる。翌々日、細胞を回収し、1×104細胞/ウェルで384ウェルプレート(Gleiner社)に30μlで播種した。15μlのハイブリドーマ由来抗体溶液(ハイブリドーマの培養上清をプロテインGカラム(Pro−Chem社)で精製し、DMEM培地で希釈した溶液)を加え、37℃に設定したCO2インキュベータにて5分間静置した。さらに、15μlのヒトsTWEAK(Peprotech社)溶液を添加し(終濃度100ng/ml)、37℃に設定したCO2インキュベータにて5時間培養した。培養上清を30μl除去した後、30μlのOne−Glo Luciferase Assay溶液(Promega社)を添加し、室温で10分間撹拌した。その後、化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
(実施例6:ヒトmTWEAK刺激NF−κB活性化阻害アッセイ)
TWEAKの刺激により、NF−κBが活性化されて、MCP−1などのケモカインの発現が誘導され炎症応答が惹起されること(非特許文献2)、また、伝達シグナルの最大活性はsTWEAKに比べてmTWEAKのほうが強いこと(非特許文献4)から、本発明者らは、NF−κBの活性化阻害を指標として、ヒトmTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ヒト樹立培養細胞であるHEK293細胞(ヒトTWEAK受容体を内在的に発現している)を、実験の3日前に4×106細胞/10cmディッシュとなるように、10cmディッシュ(IWAKI社)に17ml/ディッシュにて播種した。1時間後、pGL4.32[luc2P/NF−κB−RE/Hygro]Vector(Promega社)をFugene HD(Promega社)を用いて細胞に導入した。これにより、NF−κBの活性化をルシフェラーゼの活性を指標に評価することができる。翌々日、細胞を回収し、1×104細胞/ウェルで384ウェルプレート(Gleiner社)に30μlで播種した。15μlのハイブリドーマ由来抗体溶液(ハイブリドーマの培養上清をプロテインGカラム(Pro−Chem社)で精製し、DMEM培地で希釈した溶液)を加え、37℃に設定したCO2インキュベータにて5分間静置した。さらに、ヒトmTWEAK発現HEK293細胞溶液を5×104細胞/ウェルとなるように15μl添加し、5時間培養した。培養上清を30μl除去した後、30μlのOne−Glo Luciferase Assay溶液(Promega社)を添加し、室温で10分間撹拌した。その後、化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
TWEAKの刺激により、NF−κBが活性化されて、MCP−1などのケモカインの発現が誘導され炎症応答が惹起されること(非特許文献2)、また、伝達シグナルの最大活性はsTWEAKに比べてmTWEAKのほうが強いこと(非特許文献4)から、本発明者らは、NF−κBの活性化阻害を指標として、ヒトmTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ヒト樹立培養細胞であるHEK293細胞(ヒトTWEAK受容体を内在的に発現している)を、実験の3日前に4×106細胞/10cmディッシュとなるように、10cmディッシュ(IWAKI社)に17ml/ディッシュにて播種した。1時間後、pGL4.32[luc2P/NF−κB−RE/Hygro]Vector(Promega社)をFugene HD(Promega社)を用いて細胞に導入した。これにより、NF−κBの活性化をルシフェラーゼの活性を指標に評価することができる。翌々日、細胞を回収し、1×104細胞/ウェルで384ウェルプレート(Gleiner社)に30μlで播種した。15μlのハイブリドーマ由来抗体溶液(ハイブリドーマの培養上清をプロテインGカラム(Pro−Chem社)で精製し、DMEM培地で希釈した溶液)を加え、37℃に設定したCO2インキュベータにて5分間静置した。さらに、ヒトmTWEAK発現HEK293細胞溶液を5×104細胞/ウェルとなるように15μl添加し、5時間培養した。培養上清を30μl除去した後、30μlのOne−Glo Luciferase Assay溶液(Promega社)を添加し、室温で10分間撹拌した。その後、化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定した。
実施例3、4、5及び6での抗体の評価の結果、TBA3−25、TBA3−35、及びTBA4−1と命名した抗体(キメラ抗体)が、ヒトsTWEAK及びヒトmTWEAKに対する高い結合活性及び中和活性を有していることが明らかとなった。
(実施例7:抗体の配列決定)
前述のアッセイによって同定された抗体について、本発明者らはハイブリドーマから抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子をクローニングした。各ハイブリドーマからRNAを抽出し、cDNA増幅キット(SMARTer RACE cDNA Amplification kit;Clontech社)を用いて、cDNAを作製した。次いで、PCRを用いて、重鎖及び軽鎖の可変領域を伸長及び増幅した。このPCR産物を直接シークエンサー(ABI PRISM 3100;Applied Biosystems社)で配列解析を行った。また、PCR産物をpCR2.1−TOPO(Invitrogen社)等のPCR産物サブクローニング用ベクターへ組み換えた後、遺伝子配列を解析して配列決定を行った。
前述のアッセイによって同定された抗体について、本発明者らはハイブリドーマから抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子をクローニングした。各ハイブリドーマからRNAを抽出し、cDNA増幅キット(SMARTer RACE cDNA Amplification kit;Clontech社)を用いて、cDNAを作製した。次いで、PCRを用いて、重鎖及び軽鎖の可変領域を伸長及び増幅した。このPCR産物を直接シークエンサー(ABI PRISM 3100;Applied Biosystems社)で配列解析を行った。また、PCR産物をpCR2.1−TOPO(Invitrogen社)等のPCR産物サブクローニング用ベクターへ組み換えた後、遺伝子配列を解析して配列決定を行った。
抗体の配列決定後、抗体の物性及び安定性向上のために、前述の抗体TBA3−35については、その重鎖及び軽鎖の可変領域にアミノ酸変異を導入して、抗体の改変体(TBA3−35.1)を作製した。
(実施例8:完全ヒト型抗体の作製)
前述の抗体は、可変領域がヒト由来であり、定常領域がマウス由来の抗体である。そこで、本発明者らは、GSベクター(Lonza Biologics社)を用いて、重鎖及び軽鎖の両遺伝子を含む発現ベクターを構築し、完全ヒト型抗体を作製した。具体的には、TBA3−25、TBA3−35.1及びTBA4−1の各抗体の重鎖可変領域遺伝子の5'側にシグナル配列(Nigel Whittleら、Protein Engineering 1987;1(6):499−505.)を、そして3'側にヒトIgγ1の定常領域遺伝子(GenBank登録番号Y14735.1の塩基番号465から1457までの塩基配列からなる)をそれぞれ繋げ、この重鎖遺伝子をGSベクターpEE6.4に挿入した。また、抗体の軽鎖可変領域遺伝子の5’側にシグナル配列(Nigel Whittleら、前出)を、そして3’側にヒトκ鎖の定常領域遺伝子(GenBank登録番号Y14736.1の塩基番号405から725までの塩基配列からなる)をそれぞれ繋げ、この軽鎖遺伝子をGSベクターpEE12.4に挿入した。
前述の抗体は、可変領域がヒト由来であり、定常領域がマウス由来の抗体である。そこで、本発明者らは、GSベクター(Lonza Biologics社)を用いて、重鎖及び軽鎖の両遺伝子を含む発現ベクターを構築し、完全ヒト型抗体を作製した。具体的には、TBA3−25、TBA3−35.1及びTBA4−1の各抗体の重鎖可変領域遺伝子の5'側にシグナル配列(Nigel Whittleら、Protein Engineering 1987;1(6):499−505.)を、そして3'側にヒトIgγ1の定常領域遺伝子(GenBank登録番号Y14735.1の塩基番号465から1457までの塩基配列からなる)をそれぞれ繋げ、この重鎖遺伝子をGSベクターpEE6.4に挿入した。また、抗体の軽鎖可変領域遺伝子の5’側にシグナル配列(Nigel Whittleら、前出)を、そして3’側にヒトκ鎖の定常領域遺伝子(GenBank登録番号Y14736.1の塩基番号405から725までの塩基配列からなる)をそれぞれ繋げ、この軽鎖遺伝子をGSベクターpEE12.4に挿入した。
作製したTBA3−25の完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25)の重鎖の塩基配列を配列番号2に、アミノ酸配列を配列番号1に、該抗体の軽鎖の塩基配列を配列番号4に、アミノ酸配列を配列番号3にそれぞれ示す。完全ヒト型TBA3−25の重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなり、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、それぞれ配列番号1のアミノ酸番号31から35、50から66、99から107までのアミノ酸配列からなる。完全ヒト型TBA3−25の軽鎖可変領域は、配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなり、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、それぞれ配列番号1のアミノ酸番号24から34、50から56、89から97までのアミノ酸配列からなる。
作製したTBA3−35.1の完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−35.1)の重鎖の塩基配列を配列番号6に、アミノ酸配列を配列番号5に、該抗体の軽鎖の塩基配列を配列番号8に、アミノ酸配列を配列番号7にそれぞれ示す。完全ヒト型TBA3−35.1の重鎖可変領域は、配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなり、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、それぞれ配列番号5のアミノ酸番号31から35、50から66、99から114までのアミノ酸配列からなる。完全ヒト型TBA3−35.1の軽鎖可変領域は、配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなり、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、それぞれ配列番号7のアミノ酸番号24から34、50から56、89から97までのアミノ酸配列からなる。
作製したTBA4−1の完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA4−1)の重鎖の塩基配列を配列番号10に、アミノ酸配列を配列番号9に、該抗体の軽鎖の塩基配列を配列番号12に、アミノ酸配列を配列番号11にそれぞれ示す。完全ヒト型TBA4−1の重鎖可変領域は、配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなり、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、それぞれ配列番号9のアミノ酸番号31から35、50から66、99から110までのアミノ酸配列からなる。完全ヒト型TBA4−1の軽鎖可変領域は、配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなり、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、それぞれ配列番号11のアミノ酸番号24から34、50から56、89から97までのアミノ酸配列からなる。
各抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子がそれぞれ挿入された前述のGSベクターを用いて、一過性発現及び恒常的発現の2種類の方法で抗体発現を行った。一過性発現については、FreeStyle 293 Expression medium(Invitrogen社)で約100万個/mLに培養されたFreeStyle 293細胞(Invitrogen社)に対し、前述の重鎖及び軽鎖の両発現ベクターをトランスフェクション試薬である293フェクチン(Invitrogen社)を用いてトランスフェクトし、7日間培養した。もしくは、約1000万個のCHO−K1SV細胞に対して、前述の重鎖及び軽鎖の両発現ベクターをエレクトロポレーション法を用いてトランスフェクトし、CD−CHO medium(Invitrogen社)中で14日間培養した。培養上清をプロテインA又はプロテインG(GEヘルスケアジャパン社)を用いて精製し、各完全ヒト型抗体の精製抗体を得た。恒常的発現については、各抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子がそれぞれ挿入された前述のGSベクターをNotIとPvuIで制限酵素切断し、Ligation−Convenience Kit(NIPPONGENE社)又はLigation−high(TOYOBO社)を用いてライゲーションを行い、重鎖と軽鎖の両遺伝子が挿入されたGSベクターを構築した。この発現ベクターは、完全長の重鎖及び軽鎖とグルタミン合成酵素(Glutamine synthetase)をコードしており、CHO−K1SV細胞にトランスフェクションにより抗体を発現させた。培養上清をプロテインA又はプロテインGカラム(GEヘルスケアジャパン社)で精製し、各完全ヒト型抗体の精製抗体を得た。
(実施例9:完全ヒト型抗体のヒトsTWEAKに対する結合活性評価)
本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、ヒトsTWEAKに対する結合活性を評価した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。ヒトsTWEAK蛋白質(Peprotech社)0.5μg/mlを、384ウェルプレート(Nunc社)に固相化した。ブロッキング剤(Blocking One;ナカライテスク社)を添加し室温にて1時間静置した後、洗浄液(TBS−T(pH7.4))で洗浄し、完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液にて洗浄し、希釈液(Blocking Oneをリン酸緩衝液で2倍に希釈したもの)で2000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIg抗体(HRP−goat anti−mouse Ig antibody;Invitrogen社)を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液で洗浄した。化学発光検出試薬であるPOD(Roche社)を30μl加えて、その化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定し、KD値を算出した(表1)。
表1:完全ヒト型抗体のヒトsTWEAKに対する結合活性
本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、ヒトsTWEAKに対する結合活性を評価した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。ヒトsTWEAK蛋白質(Peprotech社)0.5μg/mlを、384ウェルプレート(Nunc社)に固相化した。ブロッキング剤(Blocking One;ナカライテスク社)を添加し室温にて1時間静置した後、洗浄液(TBS−T(pH7.4))で洗浄し、完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液にて洗浄し、希釈液(Blocking Oneをリン酸緩衝液で2倍に希釈したもの)で2000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIg抗体(HRP−goat anti−mouse Ig antibody;Invitrogen社)を30μl添加した。室温にて1時間インキュベートした後、洗浄液で洗浄した。化学発光検出試薬であるPOD(Roche社)を30μl加えて、その化学発光量をEnVisionカウンター(パーキンエルマー社)で測定し、KD値を算出した(表1)。
表1:完全ヒト型抗体のヒトsTWEAKに対する結合活性
その結果、本発明の完全ヒト型抗体はいずれも、比較抗体huP2D10−2よりも高いヒトsTWEAKに対する結合活性を有することが明らかとなった。
(実施例10:完全ヒト型抗体のヒトmTWEAKに対する結合活性評価)
本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、ヒトmTWEAKに対する結合活性を評価した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。具体的には、FACS Array(Becton Dickinson社)を用いた結合アッセイにてKD値を算出した。ヒトmTWEAK発現HEK293細胞を1×105細胞/チューブで分注し、完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を30μl添加した。4℃で6時間インキュベーション後、FACS緩衝液(0.1%アジ化ナトリウム及び10%ウシ血清入りリン酸緩衝液)で洗浄し、FACS緩衝液で100倍希釈したPE標識goat anti−human IgG(Jackson社)を30μl加え、4℃で1時間インキュベーションした。FACS arrayを用いてMFI(median fluorescence intensity)値を測定し、KD値を算出した(表2)。
表2:完全ヒト型抗体のヒトmTWEAKに対する結合活性
本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、ヒトmTWEAKに対する結合活性を評価した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。具体的には、FACS Array(Becton Dickinson社)を用いた結合アッセイにてKD値を算出した。ヒトmTWEAK発現HEK293細胞を1×105細胞/チューブで分注し、完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を30μl添加した。4℃で6時間インキュベーション後、FACS緩衝液(0.1%アジ化ナトリウム及び10%ウシ血清入りリン酸緩衝液)で洗浄し、FACS緩衝液で100倍希釈したPE標識goat anti−human IgG(Jackson社)を30μl加え、4℃で1時間インキュベーションした。FACS arrayを用いてMFI(median fluorescence intensity)値を測定し、KD値を算出した(表2)。
表2:完全ヒト型抗体のヒトmTWEAKに対する結合活性
その結果、本発明の完全ヒト型抗体はいずれも、比較抗体huP2D10−2よりも高いヒトmTWEAKに対する結合活性を有することが明らかとなった。
(実施例11:ヒトsTWEAK刺激NF−κB活性化阻害アッセイ)
実施例5の方法に従い、本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、HEK293細胞を用いて、ヒトsTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ただし、ハイブリドーマ由来抗体溶液の代わりに、各完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を添加した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。
化学発光量を測定後、各抗体のヒトsTWEAK刺激NF−κB活性に対するIC50値を算出した(表3)。
表3:ヒトsTWEAK刺激NF−κB活性化阻害活性
実施例5の方法に従い、本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、HEK293細胞を用いて、ヒトsTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ただし、ハイブリドーマ由来抗体溶液の代わりに、各完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を添加した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。
化学発光量を測定後、各抗体のヒトsTWEAK刺激NF−κB活性に対するIC50値を算出した(表3)。
表3:ヒトsTWEAK刺激NF−κB活性化阻害活性
その結果、本発明の完全ヒト型抗体のいずれもが、ヒトsTWEAK刺激NF−κB活性に対して、比較抗体huP2D10−2よりも高い抑制作用を有していることが明らかとなった。
(実施例12:ヒトmTWEAK刺激NF−κB活性化阻害アッセイ)
実施例6の方法に従い、本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、HEK293細胞を用いて、ヒトmTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ただし、ハイブリドーマ由来抗体溶液の代わりに、各完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を添加した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。
化学発光量を測定後、各抗体のヒトmTWEAK刺激NF−κB活性に対するIC50値を算出した(表4)。
表4:ヒトmTWEAK刺激NF−κB活性化阻害活性
実施例6の方法に従い、本発明者らは、各完全ヒト型抗体について、HEK293細胞を用いて、ヒトmTWEAKに対する抗体の中和活性を評価した。ただし、ハイブリドーマ由来抗体溶液の代わりに、各完全ヒト型抗体(完全ヒト型TBA3−25、完全ヒト型TBA3−35.1又は完全ヒト型TBA4−1)を添加した。本実施例は、比較抗体としてhuP2D10−2を用いた。
化学発光量を測定後、各抗体のヒトmTWEAK刺激NF−κB活性に対するIC50値を算出した(表4)。
表4:ヒトmTWEAK刺激NF−κB活性化阻害活性
その結果、表4及び図1に示すように、比較抗体huP2D10−2が、ヒトmTWEAK刺激NF−κB活性を部分的にしか抑制しなかったのに対し、本発明の完全ヒト型抗体のいずれもが、ヒトmTWEAK刺激NF−κB活性を完全に抑制することが明らかとなった。
本発明の抗ヒトTWEAK抗体は、ヒトTWEAKが病態形成に関与する各種疾患の予防又は治療に有用である。
Claims (16)
- 以下の(1)〜(3)のいずれかから選択される、抗ヒトTWEAK抗体。
(1)配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体;
(2)配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体;
(3)配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。 - 配列番号1のアミノ酸番号1から118までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
- 配列番号5のアミノ酸番号1から125までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号7のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
- 配列番号9のアミノ酸番号1から121までのアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号11のアミノ酸番号1から108までのアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトTWEAK抗体。
- 前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
- 前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
- 前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域であり、前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、請求項2に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号7に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、請求項3に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号11に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、請求項4に記載の抗ヒトTWEAK抗体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 請求項11及び/又は12に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
- 請求項13に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
- 以下の(a)及び(b)からなる群より選択される、請求項14に記載の宿主細胞。
(a)請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞;及び
(b)請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞。 - 請求項14又は15に記載の宿主細胞を培養し、抗ヒトTWEAK抗体を発現させる工程を包含する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ヒトTWEAK抗体を生産する方法。
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