JP2015535350A - ディスプレイカバー用フィルム及びこのフィルムを有するディスプレイデバイス - Google Patents

ディスプレイカバー用フィルム及びこのフィルムを有するディスプレイデバイス Download PDF

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Abstract

ディスプレイデバイスカバー用フィルム及びこのフィルムを有するディスプレイデバイスカバーが開示される。一実施形態において、ディスプレイデバイスに結合するためのディスプレイカバーは第1の表面及び第2の表面を有する周縁領域を含む。周縁領域の第1の表面または第2の表面の少なくとも一方にポリマー材料のフィルムを取り付けることができる。フィルムは周縁領域の縁端から距離Lに延びる第1のプリズムアレイを有することができる。第1のプリズムアレイはフィルムの表面からオフセットされて、オフセット間隔dzだけフィルムの表面より下に配置され得る。

Description

関連出願の説明
本出願は2012年11月7日に出願された米国仮特許出願第61/723588号の米国特許法第119条e項の下の優先権の恩典を主張する。この仮特許出願の明細書の内容はその全体が参照として本明細書に含められる。
本開示は、テレビなどのディスプレイのためのディスプレイカバー用フィルム、及びこのフィルムを有するディスプレイデバイスに関する。
本明細書に用いられるように、術語「ディスプレイデバイス」は、ラップトップ、ノートブック、タブレット及びデスクトップを含むコンピュータ、携帯電話、及びテレビ(TV)を含むがこれらには限定されない、ビジュアルコンテンツを表示することができる全てのデバイスを包含するとされる。上記デバイスのそれぞれは、個々のコンポーネントが中に収まることができる物理的ケースまたはキャビネット、回路基板、集積電子部品のような回路素子及び、もちろん、ディスプレイパネル自体を含む、多くのコンポーネント部品を有する。現在、これらのディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ素子、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ素子、またはプラズマディスプレイ素子、及び、もちろん、これらの素子が配されるかまたは封入される、ガラスまたはプラスチックの基板を有するフラットパネルディスプレイである。一般に、フラットパネルディスプレイ及びディスプレイデバイス自体の縁端部は、電気リード及び、パネルピクセルを駆動する回路のような、またLCDディスプレイパネルの場合のLED照明のような、ディスプレイパネルの動作に付随する様々なその他の電子コンポーネントのために利用される。この結果、フラットディスプレイパネル製造業者は縁端部をベゼルの内部及び/または背後に収容することになり、これは上述したコンポーネントを隠すに役立つが、ディスプレイパネルの縁端部を覆い隠し、よって画像全体の大きさを減じる。
審美的理由のため、フラットパネルディスプレイメーカーは画像表示領域を最大化し、審美的に一層好ましい外観を与えようと、したがって、画像を囲むベゼルの寸法を最小化しようとしている。しかし、この最小化には実用限界があり、現行のベゼル寸法は幅が3mmから10mmのオーダーにある。したがって、完全無ベゼルの究極目標を達成するため、画像がパネル面全体を占め、同時に、画像形成ディスプレイパネルとディスプレイカバーの間の隙間を減じる印象を観察者に与えるであろう、光学的解決策が提案されている。
一実施形態にしたがえば、ディスプレイデバイスに結合するためのディスプレイカバーは、第1の表面及び第2の表面を有する、周縁領域を有する。周縁領域の第1の表面または第2の表面の少なくとも一方にポリマー材料のフィルムを取り付けることができる。フィルムは周縁領域から距離Lに延びる第1のプリズムアレイを有することができる。第1のプリズムアレイはフィルムの表面からオフセットさせることができ、オフセット間隔dzだけフィルムの表面より下に配置することができる。
別の実施形態において、ポリマー材料のフィルムは、少なくとも1つのステップ構造により、フィルムの表面からオフセットされて、フィルムの表面より下に配置された、第1のプリズムアレイを有することができる。第1のプリズムアレイは、オフセット間隔dzだけ、表面からオフセットさせることができる。いくつかの実施形態において、オフセット間隔dzは(k・λ/(n−1))±2μmに等しい。ここで、λはフィルムを透過する光の中心波長、kは1以上の整数、nはフィルムの屈折率である。
別の実施形態にしたがえば、ポリマー材料のフィルムは、フィルムの表面からオフセットされて、オフセット間隔dzだけフィルムの表面より下に配置された、第1のプリズムアレイを有することができる。第1のプリズムアレイは、表面からオフセットされて、表面がある距離にかけてプリズムアレイに遷移するように表面に対して角度φをなして配向された傾斜領域により、表面より下に配置され得る。いくつかの実施形態において、角度φは、フィルムが取り付けられるディスプレイデバイスのピクセル寸法の1/10よりも小さい大きさdxだけ、フィルムの傾斜領域を通過する光がオフセットされるような角度である。いくつかの別の実施形態において、角度φは、フィルムが取り付けられるディスプレイデバイスの1ピクセル寸法に等しい大きさdxだけ、フィルムの傾斜領域を通過する光がオフセットされるような角度である。
また別の実施形態において、ポリマー材料のフィルムは、少なくとも1つの、鋸歯パターンが形成されている縁端を有することができる。鋸歯パターンの縁端はarctan(SDP)に等しい歯端角βを有することができる。ここでSDPはポリマー材料のフィルムが取り付けられるディスプレイデバイスのサブデューティピクセルファクターである。フィルムは、鋸歯パターンのそれぞれの鋸歯の縁端がディスプレイデバイスの少なくとも1つの対応するピクセルの対角線と平行であるように、ディスプレイカバー上で位置を合わせることができる。いくつかの実施形態において、ディスプレイデバイスのSDPは1/3とすることができる。
上記及びその他の態様は添付図面を参照して以下の詳細な説明を読んだときに一層良く理解される。
図1Aはディスプレイパネル及びベゼルを有するディスプレイデバイスの前面図である。 図1Bはディスプレイデバイスのタイル配列アレイの前面図である。 図2はベゼルを隠すためのプリズム領域を有するディスプレイカバーの前面図である。 図3Aは、本明細書に説明される一実施形態にしたがう個々のプリズムを示す、プリズム領域の一部の略図である。 図3Bはプリズム角θをディスプレイデバイス上の位置の関数として示すグラフである。 図4はベゼル隠蔽ディスプレイカバーによってカバーされたディスプレイデバイスのディスプレイパネルから遠く離れた場所にいる観察者を簡略に示す。 図5はディスプレイデバイス上の位置対ベゼル隠蔽ディスプレイカバー上の位置のプロットである。 図6は、プリズム角θの関数としての、ベゼル幅Wに対する隙間距離Dの比のプロットである。 図7は、プリズムを有するディスプレイカバーの一部を通して見られるような、プリズム位置における局所画像拡大(濃淡縞形成)を示す、画像を示す。 図8は赤色、緑色及び青色(RGB)ピクセルアレイの略図であり、ピクセルは、濃淡縞形成を抑えるため、プリズムアレイのプリズムの長軸に対して直交方向に配列されている。 図9は濃淡縞形成を抑えるように配列されたRGBピクセルアレイの略図である。 図10は、プリズムを有するディスプレイカバーを通して見られるような、プリズムがない部分、プリズムはあるが局所ぼやけはない部分及びプリズムと局所ぼやけがある部分を示す、画像領域を示す。 図11は湾曲前方面を有するプリズムの略図である。 図12は、垂直入射の視角及び10°の視角に対する、ディスプレイ上の位置対ベゼル隠蔽ディスプレイカバー上の位置のプロットである、 図13はディスプレイパネル及びベゼル、及び、ディスプレイカバーの橋から長さLにわたって分布するプリズムアレイを有する、ディスプレイカバーの略図である。 図14は図13のディスプレイパネル及びベゼル、及びプリズムアレイの1つのプリズムの、正と負の視角及び間隙Gを示す、略図である。 図15は、プリズム角θの関数としての、間隙/ベゼル幅比のグラフである。 図16はディスプレイカバーの観察者側上に配置されたプリズムアレイの、ベゼルの像を生じさせるプリズム内の内部反射を示す、略図である。 図17はディスプレイカバーの観察者側上に配置されたプリズムアレイの、観察者が2つの入光面を通る画像を見るような、したがってベゼルの像を見ることが可能になるような、プリズムセットの角度を示す略図である。 図18は、プリズム角θの関数としての、(ベゼルに向かう)間違い方向で観察者に見える光の百分率のグラフである。 図19は、プリズム角の関数としての、全反射が生じるための視角のグラフである。 図20は、寄生像を生じさせている、ベゼル隠蔽ディスプレイカバーのプリズムの略図である。 図21は、ディスプレイカバー上のプリズムアレイのプリズムが同じ角度を有しているときに、いかにして観察者に像点が二重に見えるかの略図である。 図22Aはディスプレイカバーの観察者側上に配された、プリズムアレイのプリズム角がディスプレイカバーの縁端からプリズムアレイの長さにわたって緩やかに減少している、プリズムアレイの略図である。 図22Bはディスプレイカバーの観察者側上に配された、プリズムアレイのプリズム角がディスプレイカバーの縁端からプリズムアレイの長さにわたって急激に減少している、プリズムアレイの略図である。 図23はディスプレイカバーの縁端からの、プリズムアレイが延びる、距離の関数としての拡大倍率のグラフである。 図24は、与えられた拡大倍率に対する、ディスプレイカバーの縁端からの、アレイが延びる、距離の関数としてのプリズム角のグラフである。 図25はプリズム及びディスプレイパネルを有し、ディスプレイカバーとディスプレイパネルの間に反射器が配置されている、ディスプレイカバーの略図である。 図26は、光ガイドプレートの一方の表面にプリズムアレイを有する、光ガイドプレートの側断面図である。 図27はディスプレイカバー上に配されたプリズムアレイの1つのプリズムの略図であり、プリズムはディスプレイカバーのディスプレイパネル側上に配置されている。 図28は、ディスプレイカバーの観察者側上に配置されたプリズム及びディスプレイカバーのディスプレイパネル側上に配置されたプリズムについての、プリズム角の関数としての全反射が生じるための視角に対する角度のグラフである。 図29は、全反射を示す、ディスプレイカバーのディスプレイパネル側上に配置されたプリズムアレイの略図である。 図30は、本明細書に示され、説明される、1つ以上の実施形態にしたがう、透明ポリマー材料のフィルムの表面にオフセット無しで形成されたプリズムアレイの略図である。 図31は、本明細書に示され、説明される、1つ以上の実施形態にしたがう、透明ポリマー材料のフィルムの表面にオフセット付きで形成されたプリズムアレイの略図である。 図32は、図31のプリズムアレイについての、ピクセル位置の関数としてのピクセル強度のヒストグラムである。 図33は、画像アーティファクトについて、コントラスト(y軸)を光路差不整合(x軸)の関数としてグラフで示す。 図34は、画像アーティファクトについて、コントラスト(y軸)を波長の関数としてグラフで示す。 図35は、別の実施形態の、透明ポリマー材料のフィルムの表面にオフセット付きで形成されたプリズムアレイを簡略に示す。 図36は、また別の実施形態の、透明ポリマー材料のフィルムの表面にオフセット付きで形成されたプリズムアレイを簡略に示す。 図37は、波長変化にともなうコントラストの推移を示すため、コントラスト(y軸)を波長(x軸)の関数としてグラフで示す。 図38は、また別の実施形態の、透明ポリマー材料のフィルムの表面にオフセット付きで形成されたプリズムアレイを簡略に示す。 図39はピクセルアレイ上に重ねられたフィルムの縁端の鋸歯パターンの一部を簡略に示す。 図40は、フィルムの縁端に鋸歯パターンをもつ、フィルムを簡略に示す。
以降、実施形態例が示されている添付図面を参照して複数の例をさらに十分に説明する。可能であれば必ず、全図面を通して同じ参照数字が同じかまたは同様の要素を指すために用いられる。しかし、態様は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に述べられる実施形態に限定されると解されるべきではない。
テレビのディスプレイパネル、コンピュータモニタ及びラップトップディスプレイパネルのような、ディスプレイパネルの審美性は、そのようなディスプレイデバイスの周縁を巡って存在するベゼルの大きさ及び外観によって影響される。ディスプレイデバイスのベゼルは、例えば、ディスプレイパネルのピクセルを駆動するためのエレクトロニクスを収めるため、また、いくつかの場合には、ディスプレイデバイスのバックライト照明を与えるためにも、用いられ得る。例えば、LCDテレビのディスプレイパネルは、ディスプレイデバイスのベゼル領域内に保持される複数のバックライト照明用発光ダイオード(LED)を有することができる。
最近の数年間のトレンドは益々小さくなるベゼルに向かっている。現行のベゼル幅は3.0mmから10mmのオーダーである。しかし、非常に大きなディスプレイパネルを有するテレビモデルでは、少なくとも2辺で2mmもの狭い幅を有し、他の2辺では4mmの幅を有する、ベゼル領域が達成されている。しかし、ベゼルは、小さいとしても、非常に大型の表示画像を形成するためにディスプレイデバイスがタイル配列で集成されている場合は特に、未だに集中を妨げる存在である。そのようなタイル配列ディスプレイデバイスのベゼルは、継ぎ目のない密接した大型画像ではなく、望ましくない画像「格子」の外観を与える。眼はそのようなタイル配列ディスプレイデバイスを隔てている、そのような画像を見苦しくする、黒線に非常に敏感である。
本開示の実施形態は、ベゼルの存在が見えないかあるいは、少なくとも、予期され得る視角内では観察者に知覚され得ないようにベゼルを隠す、ベゼル隠蔽ディスプレイカバーを含む。そのようなディスプレイカバーは、例えば、ガラスで形成することができる。いくつかの実施形態において、ガラスは化学的強化ガラスとすることができる。
図1Aをここで参照すれば、フラットパネルディスプレイテレビとして構成されたディスプレイデバイス10が示されている。以下の説明は主にテレビに関するが、本明細書に説明される実施形態は他のディスプレイデバイスにも適し、したがって説明される実施形態はテレビに限定されないことに注意すべきである。ディスプレイデバイス10は、周縁を巡ってベゼル14が配置されている、ディスプレイパネル12を有する。ベゼル14は部分ベゼル14a〜14dを有する。部分ベゼル14a〜14dはディスプレイ駆動エレクトロニクスを、また、エッジ発光ダイオード(LED)のような、ディスプレイパネル部12をバックライト照明するためのバックライト照明ハードウエアも、収納することができる。部分ベゼル14a〜14dは、例えば、3mmと10mmの間のような、特定の幅を有することができる。部分ベゼル14a〜14dは、図1Bに示されるように、画像全体が見えるようにいくつかのディスプレイデバイスがマトリックス配列されている場合は特に、観察者の集中を妨げ得る。
図2は一実施形態にしたがうベゼル隠蔽ディスプレイカバー16を簡略に示す。図示される実施形態のベゼル隠蔽ディスプレイカバー16はディスプレイデバイス(例えば、図1Aに示されるようなディスプレイデバイス10)に機械的に結合されるように構成される。ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16は、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16とディスプレイデバイス10の表面の間に間隙(例えば、低屈折率間隙または空隙)があるように、ディスプレイデバイス10上に取り付けられるべきである。一実施形態において、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16は、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の角において透明支柱(図示せず)によりディスプレイデバイス10に結合される。
ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16は、例えば、ディスプレイカバーの周縁に隣接する4つのプリズム領域18a〜18dを有する周縁領域17を有する。以下でさらに詳細に説明されるように、プリズム領域18a〜18dは、観察者に対して部分ベゼル14a〜14dの背後に配置されるディスプレイパネル12の領域に光屈曲(屈折)フィルタとして作用する、アレイ配列された多くのプリズムを有する。ディスプレイカバー及び、プリズム領域18a〜18dによって与えられる、光屈曲フィルタは、ベゼルの存在が見えないかあるいは、少なくとも、予期され得る視角内で観察者に容易にはわからないようにベゼルを隠すことを可能にする。
いくつかの実施形態において、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16は、プリズムを全く含まず、したがって実質的に平坦である、プリズム領域18a〜18dによって囲まれた可視光透明中央領域20をさらに有することができる。別の実施形態において、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16は、周縁領域17によって定められるフレームだけが与えられるように、中央領域を有していない。
ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16はガラスでつくることができる。例えば、ガラスは、イオン交換ガラスまたは酸洗いガラスあるいは両者のような、化学的強化ガラスとすることができる。プリズム領域18a〜18dは、例えば、3M社で製造されたVikuiti像方向誘導フィルム(IDF II)のような、ディスプレイカバーに貼り付けることができる市販の光屈曲フィルタ材料でつくることができる。Vikuitiが多くの可能な光屈曲フィルタ解決法の1つでしかなく、本明細書には単に限定ではない例として提示されていることは当然である。別の例において、光屈曲フィルタはディスプレイカバー16に直接に組み込むことができる。例えば、ディスプレイカバー材料に直接にプリズムを形成することができる。以下でさらに詳細に説明されるように、観察者からベゼルを隠す目的のため、専用光屈曲フィルタを最適化及び開発することができる。Vikuiti光屈曲フィルタを用いる場合は、所望の横方向画像シフトのほぼ2.7倍の間隙が必要になり得ることに注意されたい。
別の実施形態において、プリズムは、ディスプレイを囲む、プラスチックまたはガラスのような透明材料で作製されたフレームの一部とすることもできる。フレームは、例えば、射出成形で作製することができ、成形金型自体が所望の光学効果を生成するに必要なマイクロプリズム構造を有することができる。そのような実施形態において、中央領域20は自由空間とすることができる。
図3Aを次に参照すれば、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16上に配置されたプリズム領域18の一部が示されている。プリズム領域18は三角形につくられた多くのプリズム22を有する。プリズム22は図においてディスプレイカバー16の(観察者に面している)外面上に配置される。プリズム22はベゼル近傍の像をシフトさせるプリズム角θを有し、プリズム角は、光が通過するプリズム面(ファセット)で境界が定められる角度である。図3Bはプリズム角θをディスプレイデバイス10上の位置の関数として示すグラフである。一般に、プリズム22の角度θはベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の縁端において最大であり、ディスプレイカバーの縁端から離れるとゼロになる(すなわち、プリズムが全く無くなる)べきである。したがって、ディスプレイパネル12で生成された画像の小部分だけがシフトされるであろう。プリズムの周期である、プリズムアレイの周波数は、得られる画像のエイリアシングを防止するため、ディスプレイパネルのピクセルの周波数より大きくすべきである。一般に、プリズムはディスプレイパネルのピクセルより小さい寸法を有するべきである。例えば、個々のプリズムはディスプレイパネルの単ピクセルの寸法の1/10にも小さくすることができる。
実線の曲線24は、プリズムの角度θがベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の縁端から距離Lにわたってリニアに減少し、中央領域においてゼロになる例を示す。破線の曲線26はプリズムの角度θが距離Lにわたって非線形に変化する例を示す。気になる画像不連続性を回避する目的で、破線の曲線26のさらに複雑な形状を考慮することができる。
図4はディスプレイデバイス10のディスプレイパネル12から離れた場所にいる観察者Oを簡略に示し、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16はディスプレイパネルと観察者Oの間に配置されている。ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16とディスプレイパネル12の間には間隙Gが存在する。このシミュレーションは、ディスプレイパネル12から観察者Oに向けて放射される光線をトレースして、ディスプレイパネル12上の与えられた位置X1に対し、光線がベゼル隠蔽ディスプレイカバー16に当たる位置X2を示す。一シミュレーションにおいて、プリズムは観察者Oに面し、プリズムのプリズム角は、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の直縁端(すなわち、ベゼル14の一部の上)における32°からディスプレイカバー16の外縁端から約10mm離れた位置における0°まで線形に変化する。シミュレーションにおいて、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の屈折率は1.5とし、間隙Gは約15mmとした。
図5は、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の直縁端(X2=0)において、観察者Oによって見られるディスプレイデバイス10のディスプレイパネル12上の位置X1がディスプレイスクリーン13の縁端から約4.8mm離れていることを示す、シミュレーション結果のグラフである。したがって、ベゼル14の大きさ(幅)が4.8mmより小さければ、ベゼル14は観察者には見えないであろう。
プリズムによって生じさせ得るビーム偏向の大きさはプリズムの角度θの関数である。図6に示されるグラフは、屈折率を1.5とし、さらに20°の視角に対してベゼルは基本的に見えないままであるべきであるとしたときの、ベゼル幅Wに対する間隙Gの比をプリズム角θの関数として示す。限定ではなく例として、45°のプリズム角θを用いると、間隙はベゼルの幅の少なくとも4倍(G/W比が4)とすることが必要である。
本明細書に説明されるベゼル隠蔽ディスプレイカバーの組込みにより、ディスプレイデバイスによって表示される画像に、観察者に見える、アーティファクト及び/または歪が導入され得る。導入され得るいくつかの画像アーティファクトが、またそのような画像アーティファクト及び/または歪の出現を最小限に抑えるために最適化することができる設計パラメータも、以下で説明される。
ディスプレイデバイス10のようなディスプレイデバイスのベゼル近傍において上記例のベゼル隠蔽ディスプレイカバー16によって与えられる局所光屈曲フィルタは局所画像拡大を生じさせ得る。局所拡大の第1の大きな影響は、画像歪補正アルゴリズムを用いることである程度は補償することができる、画像歪の導入である。画像歪補正アルゴリズムは、拡大の見掛けを最小限に抑えるため、ディスプレイパネル12によって表示される画像を操作することができる。しかし、画像の歪は(例えば、図12に示されるような)視角γの関数であるため、与えられた視角に対してしか(例えば、ディスプレイが垂直入射またはいずれか別の静的視角γで見られているときにしか)画像を補正することができない。
局所拡大に関連する別の画像アーティファクトは、個々のピクセルの像が大きく拡大され、この結果、画像に色付きまたは黒色の帯が導入され得ることである。図7はピクセル形スクリーンの前面におかれた角度変化プリズム構造を用いることによって局所的に画像が拡大されている場合を示す。拡大により、ピクセル間の隙間によって生じる領域30内の幅広黒色帯28が大きく拡大され、その結果、見て分かる黒線が画像に生じている。この効果は「濃淡縞形成」と称される。
例として、同じ色のピクセルの間の隙間を最小にすることによって濃淡縞形成を弱めることができる。図8は、ディスプレイパネル12の赤ピクセル32,緑ピクセル34及び青ピクセル36をプリズムが長軸方向に直交して整列された例を示す。別の手法が図9に示される。この手法は、ピクセル(例えば、赤ピクセル32,緑ピクセル34及び青ピクセル36)の相互に大きな角度(例えば、ほぼ45°)をなす整列及び一列おきの色のシフトを含む。この場合、色付きまたは黒色の帯は一列おきにシフトされ、よって見えにくくなる。
さらに、拡大の効果を最小限に抑えるために個々のピクセルの大きさを操作することができる。55型ディスプレイのような、大型ディスプレイにおける一般的な単ピクセル寸法は、解像度に依存して、約0.7mmであり、これは拡大倍率が5のときにピクセルが容易に見えることを意味する。これは、ディスプレイパネルのピクセルをより小さくするかまたはピクセルに異なる幾何形状をとらせることによって回避することができる。5の拡大倍率に対し、1/5の大きさのピクセルを用いれば、認めされ得る濃淡縞形成は排除されるであろう。エレクトロニクス的観点からは、それぞれのサブピクセルセットは同じトランジスタでそのまま駆動することができ、よって一層複雑な電子回路は回避することができる。
濃淡縞形成を弱めるかまたは排除するためにベゼル隠蔽ディスプレイカバーを改変することもできる。例えば、プリズム面上に粗さを導入するかまたは表面を平坦ではなく若干湾曲させる(すなわち、プリズムにレンズ要素を付加する)ことで単ピクセルの像を若干ぼやけさせることによって、濃淡縞形成を弱めるかまたは排除することができる。適する粗さは、例えば、母型及び母型のマイクロ複製を形成するためのダイアモンド旋盤技術によって得ることができる。図10は、プリズムが湾曲を有する領域40(ある程度ぼやけるゾーン)及びプリズムが平坦面しか有していない別の領域42(ぼやけがないゾーン)の画像を示す。見て分かるように、領域42ではピクセル間の幅広黒線が排除されている。領域44はプリズム無しで見られる。図11は湾曲前方面46を有するプリズム22の略図である。
観察者がディスプレイデバイス10を垂直入射では見ない場合、ベゼル14はある程度または完全に観察者に見えるであろう。特に、観察者Oがディスプレイデバイス10の非常に近くにいる場合には、観察者が大入射角においてディスプレイカバーの縁端の全てを見ることになるであろうし、これはベゼル領域の全てを見えるようにすることができ、例えば、箱の内部にあるテレビの印象を与え得る。
図12は、ディスプレイデバイス10を垂直入射で見ている、図4に示される条件と同じ条件(曲線A)及び、入射角が10°の、図6に示される条件と同じ条件(曲線B,α=10)においてディスプレイデバイス10上に見られる位置に関するシミュレーション結果を示すグラフである。グラフに示されるように、曲線AとBは、互いに対してシフトされていることを除いて、同様である。第一近似において、曲線BはAG・sin(α)だけシフトされる。ここで、AGは空隙であり、αは視角である。したがって、比較的小さな視角(例えば、10°)において、ベゼルは見え始めるであろう。プリズム角はより大きな視角を与えるために非線形に変えられ得る(図3Bの破線の曲線26を見よ)ことに注意されたい。
いくつかの実施形態において、大きくなる入射角におけるベゼルの視認性の低減はベゼル隠蔽ディスプレイカバー16のプリズム領域18a〜18d上に拡散性構造を付加することによって達成することができる。部分ベゼル14a〜14dに近いこの領域において、画像のこの部分はベゼル隠蔽ディスプレイカバー16上で生成されるから、画像はある程度ぼやけ得る。しかし、観察者は通常画像の中心近傍に注意を集中させ、周辺情報はそれほど重要ではないから、大型テレビに対して10mmのぼやけ領域をとることは有意な視覚集中妨害にはなり得ない。いくつかの例において、プリズム領域18a〜18dは、視角を拡大するため、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の両面上にプリズムを有することができる。
次に図13を参照して、観察者Oがディスプレイパネル12の法線に対して視角γでディスプレイデバイス10(例えば、テレビ)を見つめていると考える。視角γにおいてベゼル14が見えないことを保証するためにはディスプレイカバー16上に配置されたプリズム22によって導入される偏差角δが式(1):
Figure 2015535350
すなわち
Figure 2015535350
であることが必要である。ここで、δはプリズム偏差角、γは視角、Wはベゼル幅、Gはディスプレイパネル12とディスプレイカバー16の間の間隙の距離である。図13は、ディスプレイカバーの縁端からディスプレイカバーの内側に向けて延びる、プリズムがそれにかけて配置されるべき、最小距離Lが式(2):
Figure 2015535350
であることも示す。
式(1)は、プリズム偏差角δが大きくなるかまたは視角γが小さくなるにともなって間隙Gが減少するであろうことを示し、ベゼル14がさらに小さい視角で観察者に見えるようなるであろうことを意味する。また、式(2)はベゼルを隠すために必要なディスプレイカバーの縁端からのプリズム22の分布の長さLが小さい間隙Gに対しては減少するであろうことを示し、画像アーティファクトがディスプレイデバイスの縁端近傍の画像の小領域内の局在されたままであることを意味する。次に図14を参照すれば、ディスプレイパネルが幅Wを有するベゼル14で囲まれているディスプレイデバイス10を見ているとして観察者Oが示されている。プリズムアレイの1つのプリズム22が示される。プリズム22は、前方面50,非光通過面48及び後方面56を有する。後方面56と前方面50がプリズム角θを定める。プリズム22が観察者Oに面している(ガラスカバーの観察者側上にある)とすれば、プリズム角θ及び、視角を様々な値に固定しながら決定される、間隙対ベゼル幅比G/Wに対して、偏差角δを計算することができる。
図15は、+30°の正の視角+γまでベゼルを見えなくしておくことが望ましいとして最小間隙−ベゼル幅比G/Wを示すグラフである。プリズムの屈折率は1.56とした。図15から分かるように、ベゼルを観察者に見えなくしておき、間隙Gを妥当な大きさに保つためには、プリズム角θを少なくとも55°とすべきである。ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の構成に対する最適設計は、以下でさらに詳細に説明される、他の画像アーティファクトの関数になり得る。
図16は、プリズム角θが小さいプリズム22を用い、対向する、非光通過面48(光線が通過しない面)が、隣接する、光通過前方面50に対して90°に設定されている(すなわち、角βによって直角三角形が形成されている)ときの結果を示す。光線52に沿ってディスプレイパネル画像を見ている場合、光線52は全反射によって対向面48で反射され、ベゼル14が見えるような方向に伝搬される。例として、プリズム角θが55°であると、プリズムに入る光線のほぼ40%が間違い方向に伝搬される。
あるいは、プリズム22の角βは、プリズム22の非光通過面が、図17に示されるように、プリズム内部で光線54と平行になるような角度である。しかし、この場合は光のその部分がプリズム22の面の1つを直接に通過し、55°のプリズム角θに対して、プリズムを通過する光のほぼ40%は間違い方向に伝搬されるであろう。図18のグラフは間違い方向に反射される光の量をプリズム角θの関数として示し、約55°のプリズム角θに対して、光線の約40%が間違った面に向かうことも示し、これは、観察者Oが見るような画像が縁端において薄暗く見えるであろうことを意味する。ほとんどの観察者にとって40%は許容され得るであろうが、40%より多い、間違って偏向された光の量は視覚上受け入れられない。したがって、広がった画像は縁端において薄暗くなるであろうし、55°のプリズム角θが輝度低下を40%以下に維持するための最大プリズム角である。
図14を再度参照すれば、プリズム22が観察者Oの側にあり、平ガラス基板上に配置されている場合、後方面56(ディスプレイカバー16にある面)はディスプレイパネル12の平面に平行である。大きな負の視角(−γ)において、後方面56における光線の入射角は非常に大きくなり、光線は後方面56において全反射で反射される。図19のグラフは、プリズム内の全反射の発現に対して、プリズム角θを視角γの関数として示し、約55°のプリズム角θに対して全反射は約−31°の視角において始まることを示す。約−31°より小さい負の視角−γに対し、プリズム22は拡散性反射器のように見えるであろう。
いくつかの場合において、観察者がベゼル隠蔽ディスプレイカバーを特定の視角範囲内で見ているとき、彼または彼女は2つのオフセットされた画像を見ることになり得る。図20は観察者Oによって見られるようなベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の一部を示す。観察者Oは、1つはプリズム22の光通過前方面50を通って伝搬している光線21によって形成されるシフトされた画像であり、1つは、非光通過面であるはずの面48を通って伝搬している光線61によって形成される寄生画像である、2つの画像を見る。一実施形態において、二重像はそれぞれのプリズムの非光透過面を、光の通過を防止するように、不透明にすることで軽減される。例えば、非光透過面を(例えば、静電塗装プロセスにより)不透明コーティングで被覆することができる。したがって、光はプリズム22の光通過前方面50だけを通過することができる。
図21を参照すれば、プリズム(例えば、プリズム22)が定角θを有するときに、ディスプレイパネルの縁端近傍の(点60における画像部分のような)物体は複製されることができ、この複製は視覚的に邪魔になり得る。この歪はプリズム22を通して見たれる画像をぼやけさせることで軽減することができる。あるいは、偏差角δがゼロに近づくまで、プリズム角θをディスプレイカバーの縁端から内側に、空間的に、距離Lにかけて緩やかに小さくすることができる。プリズム角漸減がリニアであるとすれば、プリズムアレイは円筒フレネルレンズと等価になり、空間内のどこかにある焦点を有するであろう。
図22A及び22Bは、プリズム角漸減の2つの異なる場合を示す。図22Aはプリズム角θが一部で急速に減少する例を簡略に示す。焦点fはディスプレイパネルの表面上にある。したがって、プリズムがそれにかけて必要とされる、ディスプレイカバー16の縁端からの距離Lは上の式(2)を用いて決定することができる。しかし、この場合、観察者Oによって見られる光の全ては同じ点からくることになり、この結果、拡大倍率が大きくなる。図22Bはプリズム角θが、空間的に、図22Aに示される例よりも緩やかに減少する例を簡略に示す。図22Bに示されるプリズム角θの緩やかな空間的減少に対し、焦点fはディスプレイパネル12の背後にあり、拡大倍率(L/L')は小さくなる。しかし、プリズムがそれにかけて必要とされるであろう距離Lが大きくなり、これは、上述した全反射のような、他の欠陥が画像の大きな部分で見られるであろうことを意味する。したがって、限定ではなく例として、約50°から約60°の範囲にある、例えば55°の、プリズム角θが適切な折衷を提供し、4mm幅のベゼルに対して約10mmの間隙Gが得られる。
上述した画像アーティファクトは、様々なアーティファクトのバランスをとり、意図する視角及び距離に対して最適なベゼル隠蔽ディスプレイカバー16を設計するための設計プロセスを開発することで、軽減することができる。適切な設計を決定するためのプロセスの一例が以下に説明される。第1に、ベゼル14が見えるようになる正の視角+γを決定することができる。例えば、試験中、約30°の正の視角で許容できる間隙が得られた。第2に、間隙対ベゼル比を出発プリズム角θの関数として決定することができる。図15のグラフによれば、+30°の視角において、55°の出発プリズム角θに対してG/W比は約2.2である。次に、出発プリズム角θ(この例では55°)で、許容できる、間違った面を通る光漏れ量を得られるか否か、また入り光線の全反射がプリズムでおこり始める角度も、決定することができる。非常に大きなプリズム角の使用は画像アーティファクトを生じさせるから、出発プリズム角θは適度に小さく、例えば、約55°以下にすべきである。
出発プリズム角θが選ばれると、角度漸減率が決定される。漸減率は、画像アーティファクトが小さな領域に局所化されたままでいるように可能な限り高めるべきであるが、ピクセル拡大(濃淡縞形成)が大きくなりすぎないように十分に緩やかに漸減すべきでもある。リニア漸減に対し、画像拡大の絶対値は画像の縁において非常に高く、この結果、局所化されたピクセル拡大がおこる。いくつかの場合、拡大は負になり得る。これは画像が反転されることを意味する。この効果は主としてフレネルレンズによって生じる球面収差による。図23は画像拡大をディスプレイカバーの縁端からの距離Lの関数として示す。したがって、プリズム角漸減率が高められてもコンピュータ処理で拡大倍率を一定に保つことによって、拡大倍率を選ぶことができる。これはフレネルレンズ設計への非球面要素の付加と等価であることを示すことができる。図24は拡大倍率をそれぞれ5(曲線62)及び2(曲線64)に固定することによるプリズム角変化を示す。
実施例1
55°の出発プリズム角θを2の拡大倍率とともに選び、この結果、約18mmのプリズムアレイ長L(プリズムアレイがそれにかけて延びるディスプレイカバーの縁端からの距離)を得た。4mmのベゼル幅に対し、間隙Gはほぼ9mmであると決定した。したがって、ベゼルはほぼ30°の視角において見え始めるであろうし、全反射の発現は−30°の視角γに始まるであろう。
実施例2
55°の出発プリズム角θを5の拡大倍率とともに選び、この結果、約11.3mmのプリズムアレイ長Lを得た。4mmのベゼル幅に対し、間隙Gはほぼ9mmであると決定した。したがって、ベゼルはほぼ30°の視角において見え始めるであろうし、全反射の発現は−30°の視角γに始まるであろう。
実施例3
55°の出発プリズム角θを2の拡大倍率とともに選び、この結果、約45mmのプリズムアレイ長Lを得た。10mmのベゼル幅に対し、間隙Gはほぼ22mmであると決定した。したがって、ベゼルはほぼ30°の視角において見え始めるであろうし、全反射の発現は−30°の視角γに始まるであろう。
上述したように、視角が一層正になるにつれて、ベゼル14が見えるようになる。次に図25を参照すれば、ベゼル14の視認性は、それがなければベゼル14に当たるであろう光線を偏向させる(すなわち、逆方向において、ベゼル14を見ることを回避する)ための反射面66を提供することで軽減され得る。反射面66は、研磨されて鏡としてはたらくことができ、または、ある程度光を拡散して、反射された画像部分をある程度ぼやけさせる(あいまいにする)ための何らかの構造を有することができる。
上で説明したように、画像の縁は、間違ったプリズム面を通る光漏れによるかまたは間違ったプリズム面での光反射により、薄暗く見え得る。そのような漏れを回避するための別の方法は画像を局所的に明るくすることを含む。例えば、観察者が垂直入射にいるときに見える画像の薄暗くなりすぎ量を計算することができて、ディスプレイパネル12で生成される画像を対応して明るくする。これは、画像処理(この場合、画像自体が縁で薄暗いときにしかはたらかない)によるか、またはバックライト照明によって、行うことができる。図26は一実施形態にしたがうバックライトアセンブリ68を示す。このバックライトアセンブリ例は、光源72,反射面74及び光ガイドプレート70を有する。バックライト光ガイドプレート70から漏れる光をどれだけ多くするかによって画像を局所的に明るくすることができる。これは、例えば、光ガイドプレート上に浅いプリズムアレイ76を取り付けることによって達成することができる。
あるいは、少なくともピクセル寸法に等しい大きさだけ画像をぼやけさせることができる。これは、プリズム角に雑音(小さい偏差)を導入することで、または図11に関して先に説明したようにプリズムの出力面を湾曲させることで、達成することができる。
図27はプリズム22が、上述した実施形態におけるようにディスプレイパネル12に背を向けるのではなくではなく、ディスプレイパネル12を向いている、本開示の一実施形態を示す。この場合、プリズムの入光面(面56)は間違い方向を指している。言い換えれば、与えられた光線偏差角に対し、プリズム面にわたる出光線の角度(α)は、プリズムが観察者Oを向いているとき(この場合、面56はディスプレイに平行であるから)よりも必然的に大きい。この結果、かなり小さな視角に対して全反射がおこるであろう。
図28は、プリズムが観察者を向いている場合(曲線78)またはプリズムがディスプレイパネル12を向いている場合(曲線80)の、2つの状況においてプリズム22が全反射を生じる視角γを示すグラフである。例として、40°のプリズム角に対し、プリズム22は、ディスプレイパネルを向いているときには全ての負の視角−γに対して全反射状態にある(曲線80)が、プリズム22が観察者を向いているときには−40°より小さい負の視角−γに対してしか全反射はおこらない。したがって、フラットカバー化粧ディスプレイパネル12の裏面上にプリズム22を配置する場合には、全反射及び大きな間隙を回避するため、プリズム角θを非常に小さくすることが必要になるであろう。
次に図29を参照すれば、マイクロプリズム対面ディスプレイパネル12には全反射を生じる傾向があるから、いくつかの実施形態においては、観察者によって見られる通常モードに全反射モードを選ぶことができる。図29は、面の1つ(例えば、面50)が全反射を生じさせ、他の面(例えば、面56)は光線を透過させている実施形態を示す。さらに詳しくは、光線は面48でプリズムに入り、面50において全反射で反射され、面56でプリズムをでる。面50は入り光線65を反射しているから、プリズムの屈折率に無関係に非常に大きな偏差角を生じることができる。これにより、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16とディスプレイデバイス10の間に、極めて小さな間隙Gが可能になる。
上述したように、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16はガラス板(またはガラスフレーム)の表面に光屈曲フィルタ材料を貼り付け、続いて、ディスプレイデバイスにガラス板を取り付けることによって形成することができる。フィルタ材料は、プリズムアレイが形成されている、透明ポリマー材料のフィルムで形成することができる。特定の実施形態の1つにおいて、プリズムアレイはドラムまたはシリンダーに母型パターンをダイアモンド旋盤加工し、その後、母型パターンをもつドラムを用いてポリマー材料のフィルム上にプリズムアレイを転写することで形成される。あるいは、プリズムアレイは、ドラムの周りにポリマー材料のフィルムを巻き付け、ドラムを回転させながらダイアモンド工具を用いてポリマー材料の表面にアレイを加工することで、ポリマー材料上に形成することができる。例えば、図30はプリズムアレイ118が透明ポリマー材料のフィルム100の表面102に形成されているフィルム100の一部を簡略に示す。
図30に示されるような、ダイアモンド工具を用いるポリマー材料へのプリズムアレイの直接形成は、個々のプリズムの寸法が微細であれば、困難になり得る。特に、フィルム内のダイアモンド工具の絶対深さは非常に上手に制御することはできず、浅い深さでは特に、時間とともに変わり得る。例えば、加工プロセス中の温度変動は、プリズムアレイ118が加工されている間にドラムの直径をかなり変化させることができ、続いて、パターンの深さを変えることができる。さらに、材料のハイドロスコピー(hydroscopy)が加工中にフィルムの厚さをかなり増加させることができ、続いて、プリズムアレイに非一貫性を生じさせることができる。
次に図31を参照すれば、これらの製造異常は、ポリマー材料のフィルム100の表面102にプリズムアレイ118を、図31に簡略に示されるように、プリズムアレイ118が表面102からオフセットされ、表面102の下にオフセット間隔dzで配置されるように、形成することで軽減できると判定されている。しかし、フィルム100の表面102からのプリズムアレイ118のオフセット化は、フィルム100にステップ構造110(すなわち、表面と90°で交差する構造)をつくり込む。ステップ構造110は光を散乱させ、フィルム100を通して表示される画像に眼に見える画像アーティファクト(特に輝線)を生じさせる。
一実施形態において、ステップ構造110によって散乱される光はステップ構造の寸法、特にオフセット間隔dzを制御することによって軽減される(及び、対応する画像アーティファクトが排除または低減される)。さらに詳しくは、プリズムアレイ118と透明ポリマー材料のフィルム100の表面102の間の光路差は、フィルム100の屈折率nとオフセット間隔dzの積である(すなわち、OPD=(n−1)・dz)。光路差は空気を通る光路とポリマー材料のフィルムを通る光路の差である。OPDがフィルム100を透過する光の波長の中央値の整数k倍に等しい(すなわち、OPR=k・λである)ようにフィルムを形成することで、ステップ構造110による光の回折が最小限に抑えられ、ステップ構造110は見えなくなって付随する画像アーティファクトが排除されるであろう。これらの関係式を用いれば、 (n−1)・dzをk・λに等しいとおくことによって、オフセット間隔dzの適切な値を決定することができる。
例として図32を参照すれば、ディスプレイのピクセル強度のヒストグラムが、ディスプレイに取り付けられた(図31に示されるような)プリズムアレイ118を有する透明ポリマー材料フィルムに対するピクセル位置の関数として、グラフィックで示される。このシミュレーションに対し、ディスプレイのピクセル位置は0.7mmにとり、ピクセル−フィルム距離(上述のG)は25mmにとった。このシミュレーションの目的に対し、最悪の場合のシナリオ(すなわち、OPD≠k・λ)において現れる画像アーティファクトを示すため、光路差OPDを波長の1/2にとった。シミュレーションまたはモデルには光源(すなわち、ディスプレイのピクセル)から透明フィルムを通って観察者の眼まで伝搬する光を含めた。対応する光路のそれぞれの領域は光源が単点であるとするフーリエ光学モデルを用いて計算した。ピクセルの空間広がりを考慮するため、ピクセル広がりをカバーする多くの発光点を考察し、全ての単発光点について計算した強度の和として最終画像を計算した。図32に示されるように、ステップ構造110に直に隣接するプリズムに対応するディスプレイのピクセルは、プリズムを通過するこれらのピクセルから放射された光はステップ構造110によって散乱されるから、アレイ内の他のピクセルに対して減じられた強度を有する。この結果、これらのピクセルからの光はアレイ内の他のピクセルに対して13%も減衰されているように見える。この減衰は得られる画像内に見える線として現れる。しかし、光路差OPDが波長の整数倍(すなわち、OPD=k・λ)にとられると、ピクセルは減衰されず、したがって画像アーティファクトの出現は軽減される。
図32にグラフィックで示される画像アーティファクトまたは「線」の視認性は、そのコントラストで特性評価することができる。画像アーティファクトのコントラストをグラフィックでモデル化するため、式:
Figure 2015535350
及び
Figure 2015535350
を用いることができる。ここで、上述したように、OPDは光路差、nはポリマー材料のフィルムの屈折率、dzはオフセット間隔、kは整数(すなわち、1,2,3...)、λは(単色条件を仮定して)波長である。ΔOPDは、波長の整数倍に等しい光路差からの偏差を考慮するために用いられる、光路不整合である。上述したシミュレーションに基づいてコントラストを数学的にモデル化した。
図33を参照すれば、コントラスト(y軸)は、dzの固定値に対して、ΔOPD(x軸)によって変動する。詳しくは、ΔOPDがゼロのときにコントラストはゼロまで低下し、これは得られる画像に画像アーティファクトが見えないであろうことを示す。しかし、ΔOPDが大きくなるにつれてコントラストは高くなり、ΔOPDが0.5λに等しいときにコントラストは最大に達し、光路間の不整合が波長の1/2程度であるときに画像アーティファクトは最も顕著になるであろうことを示す。コントラストは光路差不整合の関数として変わり、波長の整数倍において最小に、また波長の半整数倍において最大になり、画像アーティファクトを最小化するにはオフセット間隔が波長の整数倍に定められるべきであることを示す。
図33はコントラストの変動をΔOPDの関数として示すが、図34は、dzの固定値に対して、コントラスト(y軸)を波長(x軸)の関数としてグラフで示し、ここでdzは緑色光の波長(すなわち、λ=540nm)に対して最適化してある。緑色光は、赤ピクセル、緑ピクセル及び青ピクセルを用いる標準のディスプレイデバイスにおいて、緑ピクセルから放射される光の波長は、赤ピクセル、緑ピクセル及び青ピクセルのアレイから放射されるスペクトルの中央にあるから、最適化のために選ばれる。また、人間の眼は緑色光の波長において最も感度が高いから、通常はその色における画像アーティファクト排除が最善である。上述したシミュレーションは、オフセット間隔dzを制御することにより、特定の波長に対して画像アーティファクトを排除できることを示すが、実際のディスプレイは波長のスペクトルを放射することを考慮することが重要である。図34は、OPDが波長(波長は540nmに固定されている)の1倍、2倍または3倍にとられているとして、ピクセルコントラストを波長の関数として示す。
図34に示されるように、オフセット間隔dzが一波長(すなわち、k=1)に等しいときに可視スペクトル全体にわたるコントラストが最小化される。図34は、緑色スペクトル(すなわち、540nm周辺のスペクトル)の波長に対してコントラストを最小化することができるが、緑色スペクトルの外側(すなわち、赤色スペクトル及び青色スペクトル)ではコントラストが高くなることも示す。
したがって、本明細書に説明される一実施形態において、プリズムアレイのオフセット間隔dzは540nmの波長において一波長(すなわち、k=1)に等しく設定される。ポリマー材料のフィルムがほぼ1.5の屈折率を有するとすれば、対応するオフセット間隔dzは1.08μm(すなわち、OPD=(n−1)dz=kλ,dz=kλ/(n−1)=(540nm)/(1.5−1))である。
ほぼ1μmのオフセット間隔dzでは画像アーティファクトの発生を最小限に抑えることができるが、このオフセット間隔はポリマー材料のフィルムにプリズムアレイを形成する目的には不十分であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、図35に簡略に示されるように、それぞれのステップ構造が先行するステップに対して1.08μmのオフセット間隔を有する、一連のステップ構造を用いることによってプリズムアレイまたは構造をポリマー材料のフィルムに形成することができる。
次に図36を参照すれば、別の実施形態において、それぞれのステップが一波長に等しいOPDに対応するステップ高dz’を有し、dz’の総和が、画像アーティファクトを排除するために材料内でオフセットされるべき大きさである、dzに等しい、一連の小ステップを用いて、プリズムアレイ118の所望の全オフセット間隔dzを得ることができる。
本明細書に説明される実施形態において、オフセット間隔dzは±0.2μmの許容範囲を有する。例えば、図37はオフセット間隔dzが波長の1/10だけ調節されたときのコントラストへの効果をグラフで示す。詳しくは、図37は、オフセット間隔dzの波長の1/10の変化がコントラスト曲線をシフトさせ、続いて、得られる画像アーティファクトを、シフトの符号に依存して、スペクトルの赤色領域または青色領域において一層見えるようにすることを示す。
図37に示されるシミュレーションデータに基づいて、スペクトルの隣接領域における画像アーティファクトの出現を最小限に抑えるためには、プリズムアレイのオフセット間隔dzが選ばれた値の±0.2μm内にあるべきであると決定した。例えば、上述したように、オフセット間隔が1.08μmに選ばれる場合、画像アーティファクトの出現を最小限に抑えるためには、実オフセット間隔は0.88μmと1.28μmの間に維持されるべきである。ここでは、1.5の屈折率を有するポリマー材料のフィルムにプリズムアレイが形成されると仮定している。
図31及び35〜36は、プリズムアレイ118が一ステップ構造または複数のステップ構造でフィルム100の表面102からオフセットされている一実施形態を示すが、他の実施形態が可能であることは当然である。
例えば、図38は、プリズムアレイ118がポリマー材料の透明フィルム100の表面102からフィルムの厚さ内にオフセットされるようにフィルム100に形成されたプリズムアレイ118を示す。この実施形態において、プリズムアレイ118または構造は、プリズムアレイ118とフィルムの表面102の間に傾斜領域103を形成することによって、フィルムの表面からオフセットされる。傾斜領域103は表面102に対して、表面102がある距離にかけてプリズムアレイ118に遷移するように角度φで配向される。垂直入射で入ってくる光がそのような表面に当たると、光はsin(φ)=nsin(α1)であるような角度α1で偏向される。ここで、nはフィルムの屈折率である。また、光が透明フィルムを出るときの最終偏差角は、sin(α2)=nsin(α1)であるような角度α2に等しい。フィルムがディスプレイから距離Dにおかれているとすれば、プリズム118の効果は視線をdx=D・tan(α2)だけ変位させることであろう。
この実施形態はフィルム100におけるプリズムアレイ118の製造性を向上させるが、傾斜領域103の角度配向により、いくつかの画像アーティファクトが形成され得る。詳しくは、傾斜表面はディスプレイからの光を図18に示される大きさdxだけ回折させる。例えば、dxをピクセルの1/3(すなわち、dxは赤、緑または青のサブピクセルの幅に等しい)とする。プリズムアレイ118においてフィルムに接触する光線はRGB-RGB-RGBサブピクセルの像を形成するであろう。しかし、傾斜領域103においてフィルム100上に入射する光はピクセルの1/3だけ回折され、したがって、色の1つが失われている画像を形成するであろう。例えば、得られるピクセルシーケンスはRGB-GB-RGBになり得る。色(この場合は赤)が失われる結果、画像に色付きの線が現れ、容易に見ることができる画像アーティファクトを形成する。
しかし、上述の画像アーティファクトは、角度φを最小化し、したがって、dxの値を減じることにより、回避することができる。例えば、dxがピクセル寸法の1/10より小さくなるように傾斜領域103の角度φを設定することで画像アーティファクトの発生はかなり抑えられ、軽減さえされるであろうと仮定される。あるいは、dxが一ピクセルの幅に等しくなるように、傾斜領域103の角度φを設定することができる。この実施形態においては、得られる画像の一列が失われるであろうが、これは画像内の色付き線より見え難いであろう。
本明細書に説明される実施形態において、プリズムアレイはポリマー材料のフィルムに、初めにドラムの周りにフィルムを巻き付けることによって、形成することができる。次いでドラムを回転させ、大半径ダイアモンド工具を用いてフィルムの表面を調整する。その後、小半径ダイアモンド工具をフィルムの表面に、接触させずに、極めて近接させる。これはビジョンシステムを用いて達成することができる。その後、フィルムに溝が現れるまでフィルムの表面に向けて、小さな増分(すなわち、0.2μm未満の増分)で、ダイアモンド工具を前進させることができる。対応する深さはゼロ深さとして指標付けされる。次いで、ダイアモンド工具の深さをコンピュータ制御で調節しながらフィルムの表面にわたってダイアモンド工具を行き来させることにより、所望のパターンをフィルムに加工する。
図2を再び参照すれば、本明細書に説明される実施形態において、ディスプレイの中央領域における画像劣化を回避するため、プリズムアレイをもつ透明フィルムは一般にディスプレイカバー16の縁端近くにしか施されない。しかし、フィルムの内縁端(すなわち、ディスプレイカバー16の中央に近い側の縁端)は、光を回折させるステップ型不連続性を示し、よって画像アーティファクトを形成する。言い換えれば、ディスプレイの限定された領域にだけ微細構造を配することが必要な場合、画像の一部だけをカバーする小寸のフィルムの作製がある程度問題になり得る。この場合、フィルムの物理的縁端は光路にステップ関数を形成する縁端であり、上述した解決策はフィルムの縁端によって形成される画像アーティファクトの排除には適し得ない。
次に図39及び40を参照すれば、フィルム100の内縁端によって形成される画像アーティファクトは、図40に示されるようにフィルムの縁端に鋸歯パターンを形成し、パターン内のそれぞれの鋸歯がサブピクセルの対角線に平行になるようにフィルム100を位置合わせすることで、軽減することができる。図32に関して上述したように、選ばれた波長の整数倍以外に対応するオフセット間隔dzを有するステップ構造がピクセルアレイ内のサブピクセル列のいくつかからの光の減衰を生じさせ、よって画像全体にわたる色付き線の視角印象を与えるであろう。フィルム100の縁端を鋸歯パターン150につくることでそのような画像アーティファクトを軽減することができる。詳しくは、鋸歯パターン150は、鋸歯パターン150のそれぞれの鋸歯152の縁端154がディスプレイのそれぞれのサブピクセルの対角線に概ね平行になるように切断される。1/3のサブピクセルデューティサイクル(すなわち、それぞれのピクセル毎に3つのサブピクセルがある)を考えると、それぞれのサブピクセルの長辺に対する対角線の角度(したがって、鋸歯パターンのそれぞれの「歯」の角度)βは、arctan(1/3)≒18°である。したがって、フィルム100の縁端は、図40に示されるように、サブピクセルの長辺に対する鋸歯パターン150のそれぞれの鋸歯152の角βがほぼ18°になるように切断されるべきである。フィルム100が切断され、図39に簡略に示されるように、サブピクセルの対角線と位置合わせされると、フィルムの縁端において生じる光の回折は、異なるピクセルの赤サブピクセル、緑サブピクセル及び青サブピクセルに交互に作用し、したがって、線状画像アーティファクトを排除して、観察者によって知覚され難い、高空間周波数色変調で置き換える。
本明細書ではディスプレイベゼルの見掛けの排除を容易にするための上述したフィルムの使用を参照したが、他の用法が考えられることは当然である。特に、上述したフィルムは、ディスプレイデバイスの全ディスプレイ面より小さい領域にフィルムが施されるいかなる用途にも用いられ得ると考えられる。
本開示の実施形態を説明し、定める目的のため、述語「実質的に」、「ほぼ」及び「約」は、いかなる量的比較、値、測定値またはその他の表現にも帰因させ得る不確定性の本質的な度合いを表すために本明細書で用いられていることに注意されたい。
特定の仕方で、あるいは、特定の特性を具現化するかまたは特定の態様で機能するため、「構成」されている特定の実施形態のコンポーネントの本明細書における叙述は、目的用法の叙述に対するものとしての、構造叙述であることに注意されたい。さらに詳しくは、コンポーネントが「構成される」態様への本明細書における言及はコンポーネントの既存の物理的状況を表し、したがって、コンポーネントの構造特性の限定された叙述であるととられるべきである。
特定のコンポーネントまたは要素の説明における語句「少なくとも1つ」の使用は、他のコンポーネントまたは要素の説明における述語‘a’の使用がその特定のコンポーネントまたは要素に対する1つより多くの使用を排除することを意味しないことにも注意されたい。さらに詳しくは、あるコンポーネントが‘a’を用いて説明されるかもしれないが、そのコンポーネントをただ1つに限定すると解されるべきではない。
特定の実施形態を本明細書に示し、説明したが、特許請求される主題の精神及び範囲を逸脱することなく様々なその他の変更及び改変がなされ得ることは当然である。さらに詳しくは、説明される実施形態のいくつかの態様が好ましいかまたは特に有利であるとして本明細書で認定されることがあり得るが、特許請求される主題がそれらの好ましい態様に限定される必要はないと考えられる。
10 ディスプレイデバイス
12 ディスプレイパネル
14 ベゼル
14a,14b,14c,14d 部分ベゼル
16 ベゼル隠蔽ディスプレイカバー
17 周縁領域
18,18a,18b,18c,18d プリズム領域
20 中央領域
22 プリズム
32 赤ピクセル
34 緑ピクセル
36 青ピクセル
46 プリズムの湾曲前方面
48 プリズムの非光通過面
50 プリズム後方面
52,54,60,61,65 光線
56 プリズムの前方面
66,74 反射面
68 バックライトアセンブリ
70 光ガイドプレート
72 光源
76,118 プリズムアレイ
100 透明ポリマー材料フィルム
102 透明ポリマー材料フィルムの表面
103 傾斜領域
110 ステップ構造
150 鋸歯パターン
152 鋸歯
154 鋸歯の縁端
O 観察者
図5は、ベゼル隠蔽ディスプレイカバー16の直縁端(X2=0)において、観察者Oによって見られるディスプレイデバイス10のディスプレイパネル12上の位置X1がディスプレイパネル12の縁端から約4.8mm離れていることを示す、シミュレーション結果のグラフである。したがって、ベゼル14の大きさ(幅)が4.8mmより小さければ、ベゼル14は観察者には見えないであろう。

Claims (10)

  1. ディスプレイデバイスに結合するためのディスプレイカバーにおいて、前記ディスプレイカバーが、
    第1の表面及び第2の表面を有する周縁領域、及び
    前記周縁領域の前記第1の表面または前記第2の表面の少なくとも一方に取り付けられたポリマー材料のフィルムであって、前記周縁領域の縁端から距離Lに延びる第1のプリズムアレイを有するフィルム、
    を有し、
    前記第1のプリズムアレイが前記フィルムの表面からオフセットされて、オフセット間隔dzだけ前記フィルムの前記表面より下に配置される、
    ことを特徴とするディスプレイカバー。
  2. 前記第1のプリズムアレイが、前記オフセット間隔dzに等しいステップ高を有する単一ステップ構造によって、前記フィルムの前記表面からオフセットされることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイカバー。
  3. 前記第1のプリズムアレイが複数のステップ構造によって前記フィルムの前記表面からオフセットされ、前記複数のステップ構造の個々のステップ構造のステップ高の総和が前記オフセット間隔dzに等しいことを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイカバー。
  4. 前記第1のプリズムアレイが前記フィルムの前記表面からオフセットされて、前記表面がある距離にかけて前記プリズムアレイまで遷移するように前記表面に対して角度φをなして配向された傾斜領域により、前記フィルムの前記表面より下に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイカバー。
  5. 前記第1のプリズムアレイのそれぞれのプリズムはプリズム角θを有し、
    前記第1のプリズムアレイは前記ディスプレイパネルによって生成される画像の一部をシフトさせるように構成され、
    前記ディスプレイカバーは前記周縁領域によって囲まれた中央領域を有し、該中央領域には前記第1のプリズムアレイは存在しない、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のディスプレイカバー。
  6. 前記ポリマー材料のフィルムが、鋸歯パターンが形成されている縁端を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイカバー。
  7. ポリマー材料のフィルムにおいて、前記フィルムの表面からオフセットされて、少なくとも1つのステップ構造によって前記フィルムの前記表面より下に配置された第1のプリズムアレイを有し、前記第1のプリズムアレイのオフセット間隔がdzであることを特徴とするポリマー材料のフィルム。
  8. 前記少なくとも1つのステップ構造が、前記フィルムの前記表面に対して90°の角度をなして配置された単一ステップ構造であることを特徴とする請求項7に記載のポリマー材料のフィルム。
  9. 前記第1のプリズムアレイが複数のステップ構造によって前記フィルムの前記表面からオフセットされ、前記複数のステップ構造の個々のステップ構造のステップ高の総和が前記オフセット間隔dzに等しいことを特徴とする請求項7または8に記載のポリマー材料のフィルム。
  10. 前記オフセット間隔dzが、λを前記フィルムを透過する光の中心波長、kを1以上の整数、nを前記フィルムの屈折率として、(k・λ/(n−1))±2μmに等しいことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のポリマー材料のフィルム。
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