JP2015535025A - 良好な光学特性を有しヘキサン含量が低いボトル用ランダムプロピレンコポリマー - Google Patents

良好な光学特性を有しヘキサン含量が低いボトル用ランダムプロピレンコポリマー Download PDF

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Abstract

0.8より高く2.5g/10minより低い範囲内のメルトフローレートMFR2(230℃)、25.0から35.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、4.5より高く10.0wt%までの範囲内のコモノマー含量を有するプロピレンコポリマーであって、さらに、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分が、12.0から22.0wt%の範囲内のコモノマー含量及び、プロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)画分が4.9より高く10.0までの多分散度(Mw/Mn) を有する上記プロピレンコポリマー。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な軟質プロピレンコポリマー並びに新規な軟質プロピレンコポリマーを含む押出ブロー成形物品に関する。
ポリマーは、様々な要求の厳しい用途においてますます使用されている。同時に、これらの用途の要件を満たすように調整されたポリマーが継続して求められている。多くのポリマー特性は直接又は間接的に相互に関係しているため、こうした要求は難題であることがある。例えば、異相系は、それらの良好な衝撃挙動について知られている。そのような異相プロピレンコポリマーは、弾性コポリマーが分散している、プロピレンホモポリマー又はランダムプロピレンコポリマーのいずれかであるマトリックスを含む。よって、ポリプロピレンマトリックスは、マトリックスの一部ではない(微細に)分散した介在物(inclusion)を含有し、前記介在物は弾性コポリマーを含有する。「介在物」という用語は、マトリックスと介在物が異相系中で異なる相を形成し、前記介在物が、例えば、高解像度顕微鏡、例えば電子顕微鏡若しくは原子間力顕微鏡で、又は動的粘弾性測定(dynamic mechanical thermal analysis)(DMTA)などで見えることを示す。特にDMTAにおいては、多相構造の存在は、少なくとも2つの別個のガラス転移温度が存在することによって特定することができる。
透明で滅菌可能な押出ブロー成形物品を当業者が製造することが可能となるような軟質異相系もやはり難題である。特定の軟質異相プロピレンコポリマーは、WO2008/141934A1に記述されている。この異相プロピレンコポリマーは、低めの溶融温度及び低い剛性を有する。
しかしながら押出ブロー成形物品の分野では、良好な光学特性が必要とされる。その一方で、押出ブロー成形物品の光学特性の品質を判断するための値として、ヘイズだけを使用するべきではないということが明らかになってきた。例えば、押出成形物品の外観は、ヘイズ値が低めであったとしても許容されないことがわかった。よって、ボトルの光学的外観を判断するために、ヘイズ値単独では十分ではないことが明らかとなり、このため新規なパラメータ、いわゆるボトル外観係数(BAF:bottle appearance factor)が、BAF=(透明度*光沢)/ヘイズとして規定された。
光学特性に加えて、軟質異相プロピレンコポリマーのヘキサン可溶性成分含量も重要な事項である。しかしながら、低ヘキサン含量は食品及び健康業界においては不可欠な要件である。
したがって、本発明の目的は、良好な光学特性、すなわち高いBAF値と許容量のヘキサン含量を兼ね備えたプロピレンコポリマーを提供することである。
本発明の知見は、全体としてのコモノマー含量は高めであるが低温キシレン可溶性成分(XCS)含量は中等度であるプロピレンコポリマーを提供することである。さらに、低温キシレン可溶性成分(XCS)画分中のプロピレン含量は高めであるべきである。さらなる知見は、プロピレンコポリマーのマトリックスが、バイモーダルなコモノマー含量及び分子量分布を特徴とする場合に特に良好な結果が得られるということである。
したがって、第1の側面において本発明は、
(a) ISO1133に従って測定される、0.8より高く2.5g/10minより低い範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)、
(b) ISO16152(25℃)に従って決定される、25.0から35.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、及び
(c) 4.5より高く10.0wt%までの範囲内のコモノマー含量
を有するプロピレンコポリマーであって、さらに、
(d) プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分のコモノマー含量が、12.0から22.0wt%の範囲内であり、
(e) DIN ISO1628/1(デカリン中135℃)に従って決定される、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分の固有粘度(IV)が、1.5より高く3.0dl/gより低い範囲内である、
上記プロピレンコポリマーに関する。
好ましくは、第1の側面のプロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)画分は、4.9より大きく10.0までの多分散度(Mw/Mn)を有する。
第2の側面において本発明は、
(a) ISO1133に従って測定される、0.8より高く2.5g/10minより低い範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)、
(b) ISO16152(25℃)に従って決定される、25.0から35.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、及び
(c) 4.5より高く10.0wt%までの範囲内のコモノマー含量
を有するプロピレンコポリマーであって、さらに、
(d) プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分のコモノマー含量が、12.0から22.0wt%の範囲内であり、
(e) プロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)画分が、4.9より大きく10.0までの多分散度(Mw/Mn)を有する、
上記プロピレンコポリマーに関する。
好ましくは、第2の側面のプロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、DIN ISO1628/1(デカリン中135℃)に従って決定される固有粘度(IV)が、1.5より高く3.0dl/gより低い範囲内である。
好ましくは、第1及び第2の実施形態のプロピレンコポリマーはα−核形成されており、すなわちα−核化剤を含む。
驚くべきことに、そのようなプロピレンコポリマーは非常に高いBAF値及び相対的に低いヘキサン可溶性成分を有することが見いだされた。
以下に、本発明の第1の側面及び第2の側面を、まとめてより詳細に規定する。
プロピレンコポリマーは、プロピレンの他にコモノマーも含む。好ましくはプロピレンコポリマーは、プロピレンの他に、エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィンを含む。したがって本発明の「プロピレンコポリマー」という用語は、
(a) プロピレン
並びに
(b) エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィン
に由来する単位を含み、好ましくは前記単位からなるポリプロピレンと理解される。
よって、本発明のプロピレンコポリマーは、プロピレンと共重合可能なモノマー、例えば、エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィン、特にエチレン及び/又はC〜Cα−オレフィン、例えば、1−ブテン及び/又は1−ヘキセンなどのコモノマーを含む。好ましくは、本発明のプロピレンコポリマーは、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群からののプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、本発明のプロピレンコポリマーは、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。好ましい実施形態において、本発明のプロピレンコポリマーは、エチレン及びプロピレンに由来する単位のみを含む。
加えて、プロピレンコポリマーは、好ましくは、軟質性及び良好な光学特性に寄与する非常に限定的な範囲のコモノマー含量を有することが好ましい。よって、プロピレンコポリマーのコモノマー含量は、4.5から10.0wt%の範囲内であることが必要であり、例えば4.5以上10.0wt%未満の範囲内、より好ましくは4.5から9.5wt%の範囲内、いっそうより好ましくは5.0又はそれより高く9.0wt%までの範囲内、例えば6.0又はそれより高く9.0wt%までなどである。
本発明のプロピレンコポリマーは、低温キシレン可溶性成分(XCS)画分中のコモノマーの量によりさらに規定することができる。したがって、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分中のコモノマー含量は、低めであることが好ましい。よって、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分中のコモノマー含量は、12.0から22.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは14.0から20.0wt%の範囲内、なおより好ましくは15.0から19.0wt%の範囲内であることが好ましい。
低温キシレン可溶性成分(XCS)画分中に存在するコモノマーに関して、プロピレンコポリマーについて示されている情報が参照される。したがって特定の実施形態において、低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。好ましい実施形態において、低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、エチレン及びプロピレン由来する単位のみを含む。
上記に示した情報を考慮すると、プロピレンコポリマーは、不等式(I)、より好ましくは不等式(Ia)、いっそうより好ましくは不等式(Ib)、なおより好ましくは不等式(Ic)
Figure 2015535025
(式中
Co(Total)は、プロピレンコポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、
Co(XCS)は、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分のコモノマー含量[wt%]である。)
を満たすことが好ましい。
さらに、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、その固有粘度により規定されることが好ましい。低い固有粘度(IV)値は、低い重量平均分子量を表す。本発明のために好ましくは、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、ISO1628/1(デカリン中135℃)に従って測定される、1.5から3.0dl/gの範囲内、例えば1.7以上2.8dl/g未満の範囲内、より好ましくは1.8から2.7dl/gの範囲内の固有粘度(IV)を有する必要がある。
本発明のプロピレンコポリマーの別の特徴的な性質は、その中等度の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分である。したがって、プロピレンコポリマーは、25.0から35.0wt%の範囲内、例えば25.0以上35.0wt%未満の範囲内、より好ましくは27.0から34.0wt%の範囲内、さらにより好ましくは28.0又はそれより多く33.5wt%までの範囲内の低温キシレン可溶性画分を有することが好ましい。
低温キシレン中に溶解しないプロピレンコポリマー部分は、低温キシレン不溶性成分(XCI)画分である。好ましくはこの画分もまたいくつかの特有の特性を示す。
したがって、プロピレンコポリマーの低温不溶性成分(XCI)画分の多分散度(Mw/Mn)は、4.9より大きく10.0までの範囲内、より好ましくは5.0から9.0の範囲内、なおより好ましくは5.0から8.0の範囲内であることが好ましい。
好ましい実施形態の1つにおいて、プロピレンコポリマーの低温不溶性成分(XCI)画分中のコモノマー含量、好ましくはエチレン含量は、3.0から7.0wt%の範囲内であり、いっそうより好ましくは3.5から6.0wt%の範囲内である。
さらに、両画分中のコモノマー含量、好ましくはエチレン含量は、互いに対して特定の比であることが好ましい。したがって、プロピレンコポリマーは、不等式(II)、より好ましくは不等式(IIa)、いっそうより好ましくは不等式(IIb)
Figure 2015535025
(式中
Co(XCS)は、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)のコモノマー含量[wt%]であり、
Co(XCI)は、プロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)のコモノマー含量[wt%]である。)
を満たすことが好ましい。
好ましくは、プロピレンコポリマーは、例えば加熱滅菌法を行うことができるように、熱機械的に安定であることが望ましい。したがって、プロピレンコポリマーは、少なくとも145℃、より好ましくは148から159℃の範囲内、なおより好ましくは149から157℃の範囲内、例えば149から155℃の範囲内の溶融温度を有することが好ましい。
本発明のプロピレンコポリマーはさらに、低めのメルトフローレートMFR(230℃)を特徴とする。したがって、プロピレンコポリマーは、ISO1133に従って測定される、0.8より高く2.5g/10minまでの範囲内、より好ましくは1.0より高く2.2g/10minまでの範囲内、なおより好ましくは1.2から2.0g/10minの範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
本発明のプロピレンコポリマーは特に、その特定の光学特性をさらに特徴とする。したがって、プロピレンコポリマーは、式(I)、(Ia)、(Ib)のボトル外観係数(BAF)を有する
Figure 2015535025
(式中
Hはヘイズ値であり、
Cは、透明度の値であり、
Gは、光沢の値であり、
さらに
ヘイズ、透明度及び光沢は、本発明のプロピレンコポリマーから製造された肉厚0.3mmのボトルから切り取られた、0.3×60×60mmのサイズの試験片において、ASTM D1003−07に従って決定される。)。
さらに、プロピレンコポリマーは、5.5wt%未満、より好ましくは0.5以上5.5wt%未満の範囲内、なおより好ましくは2.0から5.2wt%の範囲内、例えば2.0から5.0wt%の範囲内のヘキサン可溶性成分含量を有することが好ましい。
上記で示したように、本発明のプロピレンコポリマーは、相当量の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分を特徴とする。一方で、プロピレンコポリマーはまた、好ましくは、高温で溶融する結晶性画分の量が多めであることも特徴とする。したがって本発明のプロピレンコポリマーは、結晶性ポリマーと非晶質材料の混合物である。そのようなタイプのポリマーは、異相プロピレンコポリマーとして分類される。異相プロピレンコポリマーは、非晶質材料、例えば弾性プロピレンコポリマーが分散しているポリマーマトリックス、例えば(半)結晶性ポリプロピレンを含む。よって好ましい実施形態において、本発明のプロピレンコポリマーは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)である。より正確には、本発明のプロピレンコポリマーは、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)であり、その中に弾性プロピレンコポリマー(E)が分散しているマトリックス(M)を含む異相プロピレンコポリマー(RAHECO)である。よって、マトリックス(M)は、マトリックス(M)の一部ではない(微細に)分散した介在物を含有し、前記介在物は、弾性プロピレンコポリマー(E)を含有する。本発明の「介在物」という用語は、好ましくは、マトリックスと介在物が異相プロピレンコポリマー(RAHECO)中で異なる相を形成し、前記介在物が、例えば、高解像度顕微鏡、例えば電子顕微鏡若しくは原子間力顕微鏡で、又は動的粘弾性測定(DMTA)などで見えることを示す。特にDMTAにおいては、多相構造の存在は、少なくとも2つの別個のガラス転移温度が存在することにより特定することができる。
好ましくは、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、ポリマー成分として、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)、及び弾性プロピレンコポリマー(E)のみを含む。言い換えると、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、さらなる添加剤、特にα−核化剤を含有してもよいが、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)に対して5wt%を超える、より好ましくは3wt%を超える、例えば1wt%を超える量の他のポリマーは含有しない。そのような少量で存在していてもよい追加のポリマーの1つは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の製造により得られる副反応生成物である、ポリエチレンである(詳細については下記を参照されたい)。したがって、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)、弾性プロピレンコポリマー(E)及び任意にポリエチレンのみをこの段落で述べた量で含有することが特に好ましい。
好ましくはマトリックス(M)、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)と、弾性プロピレンコポリマー(E)の間の重量比は、60/40から90/10、より好ましくは70/30から85/15、いっそうより好ましくは75/25から85/15である。
以下に、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)及び弾性プロピレンコポリマー(E)を、より正確に規定する。
ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、例えば、エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィン、特にエチレン及び/又はC〜Cα−オレフィン、例えば、1−ブテン及び/又は1−ヘキセンなどのコモノマーを含む。好ましくは、本発明のランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、本発明のランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。好ましい実施形態において、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、エチレン及びプロピレンに由来する単位のみを含む。
ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のコモノマー含量は、7.0wt%以下、より好ましくは6.0wt%以下、なおより好ましくは1.0から7.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは1.5から6.0wt%の範囲内、なおより好ましくは1.5から5.5wt%の範囲内、例えば2.0以上5.0wt%未満の範囲内である。
さらに、プロピレンコポリマーは、不等式(III)、より好ましくは不等式(IIIa)、いっそうより好ましくは不等式(IIIb)、なおより好ましくは不等式(IIIc)、なおいっそうより好ましくは不等式(IIId)
Figure 2015535025
(式中
Co(Total)は、プロピレンコポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、
Co(RPP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のコモノマー含量[wt%]である。)
を満たすことが好ましい。
「ランダム」という用語は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の、並びに第1のプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)のコモノマーが、プロピレンコポリマー中にランダムに分布していることを示す。ランダムという用語は、IUPAC(高分子科学の基本的術語の用語集;IUPAC勧告 1996)に従って理解される。
マトリックス(M)の、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のコモノマー含量はまた、マトリックス(M)中の低温キシレン可溶性成分の量にも影響を与える。よって、マトリックス(M)の、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分の量は、20.0wt%又はそれ未満であることが好ましく、より好ましくは8.0以上20.0wt%以下(又は未満)の範囲内、例えば10.0から18.0wt%の範囲内である。
ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は好ましくは、0.5より高く3.0g/10min以下又は未満の範囲内、例えば0.5より高く3.0g/10minより低い範囲内、より好ましくは0.5より高く2.5g/10minまでの範囲内、なおより好ましくは0.6から1.7g/10minの範囲内、例えば0.7以上1.5g/10min未満の範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、好ましくは、少なくとも2つのポリマー画分、例えば2つ又は3つのポリマー画分を含み、それらはすべてプロピレンコポリマーである。好ましくは、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、少なくとも2つの異なるランダムプロピレンコポリマー画分、例えば2つの異なるランダムプロピレンコポリマー画分を含み、さらに上記2つのランダムプロピレンコポリマー画分は、コモノマー含量及び/又はメルトフローレートMFR(230℃)が異なり、好ましくはコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)が異なる。
好ましくは、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の2つのランダムポリマーコポリマー画分のうちの一方の画分はコモノマー低含有画分であり、他方の画分はコモノマー高含有画分であり、さらに上記低含有画分及び高含有画分は、不等式(IV)、より好ましくは不等式(IVa)、なおより好ましくは不等式(IVb)
Figure 2015535025
(式中
Co(lean)は、低い方のコモノマー含量を有するランダムプロピレンコポリマー画分のコモノマー含量[wt%]であり、
Co(rich)は、高い方のコモノマー含量を有するランダムプロピレンコポリマー画分のコモノマー含量[wt%]である。)
を満たす。
不等式(IV)に加えて又はその代替として、ランダムプロピレンコポリマー(R−PPの2つのランダムポリマーコポリマー画分のうちの一方の画分は低メルトフローレートMFR(230℃)画分であり、他方の画分は高メルトフローレートMFR(230℃)画分であり、さらに上記低フロー画分及び高フロー画分は、不等式(V)、より好ましくは不等式(Va)、なおより好ましくは不等式(Vb)
Figure 2015535025
(式中
MFR(high)は、高い方のメルトフローレートMFR(230℃)を有するランダムプロピレンコポリマー画分のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]であり、
MFR(low)は、低い方のメルトフローレートMFR(230℃)を有するランダムプロピレンコポリマー画分のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]である。)
を満たす。
さらにより好ましくは、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、第1のプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)を含み、好ましくはそれらからなり、さらに、上記第1のプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、コモノマー含量及び/又はメルトフローレートMFR(230℃)が異なり、好ましくはコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)が異なる。
よって実施形態の1つにおいて、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)と比べてより高いコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
別の実施形態において、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と比べてより高いコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
なお別の実施形態において、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)と比べてより高いコモノマー含量を有するが、より低いメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
さらなる実施形態において、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と比べてより高いコモノマー含量を有するが、より低いメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
よって、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は共に、不等式(VI)、より好ましくは不等式(VIa)、なおより好ましくは不等式(VIb)
Figure 2015535025
(式中
Co(R−PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のコモノマー含量[wt%]であり、
Co(R−PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)のコモノマー含量[wt%]である。)
を満たすことが特に好ましい。
不等式(VI)に加えて又はその代替として、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は共に、不等式(VII)、より好ましくは不等式(VIIa)、なおより好ましくは不等式(VIIb)
Figure 2015535025
(式中
MFR(R−PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]であり、
MFR(R−PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]である。)
を満たす。
特定の実施形態の1つにおいて、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)を含み、好ましくはそれらからなり、さらに、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)は、
(a) 不等式(VIII)、より好ましくは不等式(VIIIa)、なおより好ましくは不等式(VIIIb)
Figure 2015535025
(式中
Co(R−PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のコモノマー含量[wt%]であり、
Co(R−PP)は、ランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP)のコモノマー含量[wt%]である。)、
及び/又は
(b) 不等式(IX)、より好ましくは不等式(IXa)、なおより好ましくは不等式(IXb)
Figure 2015535025
(式中
MFR(R−PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]であり、
MFR(R−PP)は、ランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]である。)
を満たす。
よって、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)は、4.0wt%又はそれ未満、より好ましくは3.5wt%又はそれ未満、いっそうより好ましくは0.2から4.0wt%の範囲内、なおより好ましくは0.5から3.5wt%の範囲内、例えば1.0から3.0wt%の範囲内のコモノマー含量を有することが好ましい。
第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のコモノマーは好ましくは低めであるため、その低温キシレン可溶性成分(XCS)もまた同程度に低い。よって、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分の量は、10.0wt%又はそれ未満であることが好ましく、より好ましくは1.0から10.0wt%の範囲内であり、なおより好ましくは2.0から9.0wt%の範囲内であり、いっそうより好ましくは2.5から8.0wt%の範囲内である。
好ましくは、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)は好ましくは、0.3から5.5g/10minの範囲内、より好ましくは1.0から4.5g/10minの範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
一方、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は好ましくは、1.0から12.0wt%の範囲内、なおより好ましくは1.5から10.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは2.5から9.0wt%の範囲内のコモノマー含量を有する。
第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)それぞれの、プロピレンと共重合可能なコモノマーは、エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィン、特にエチレン及び/又はC〜Cα−オレフィン、例えば1−ブテン及び/又は1−ヘキセンである。好ましくは、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)はそれぞれ、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)はそれぞれ、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。好ましい実施形態において、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、同じコモノマー、すなわちエチレンのみを含む。
好ましくは、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、0.1から5.5g/10minの範囲内、より好ましくは0.3から4.5g/10minの範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
好ましくは、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の間の重量比は、20/80から80/20、より好ましくは30/70から70/30、例えば40/60から60/40である。
上記で述べた通り、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のさらなる成分は、マトリックス(M)中、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)中に分散している弾性プロピレンコポリマー(E)である。弾性プロピレンコポリマー(E)において使用されるコモノマーに関して、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)及びランダムプロピレンコポリマー(R−PP)についてそれぞれ示されている情報が参照される。したがって、弾性プロピレンコポリマー(E)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、例えば、エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィン、特にエチレン及び/又はC〜Cα−オレフィン、例えば、1−ブテン及び/又は1−ヘキセンなどのコモノマーを含む。好ましくは、弾性プロピレンコポリマー(E)は、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、弾性プロピレンコポリマー(E)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。よって、特に好ましい実施形態において、弾性プロピレンコポリマー(E)は、エチレン及びプロピレンに由来する単位のみを含む。ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)及び弾性プロピレンコポリマー(E)は、同じコモノマーを含むことが特に好ましい。したがって特定の実施形態の1つにおいて、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)及び弾性プロピレンコポリマー(E)は、プロピレン及びエチレンのみを含む。
弾性プロピレンコポリマー(E)のコモノマー含量は好ましくは、25.0wt%以下、なおより好ましくは12.0から25.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは14.0より高く22.0wt%までの範囲内、さらにより好ましくは15.0より高く20.0wt%までの範囲内である。
本発明において規定されているプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、5.0wt%までの添加剤、例えばα−核化剤及び酸化防止剤、並びにスリップ剤及びブロッキング防止剤を含有してもよい。好ましくは、添加剤含量は3.0wt%未満、例えば1.0wt%未満である。
好ましくは、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、α−核化剤を含む。さらにより好ましくは、本発明はβ−核形成剤を含まない。したがって、α−核化剤は好ましくは、
(i) モノカルボン酸及びポリカルボン酸の塩、例えば安息香酸ナトリウム又はtert−ブチル安息香酸アルミニウム、並びに
(ii) ジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール)及びC〜Cアルキル置換ジベンジリデンソルビトール誘導体、例えばメチルジベンジリデンソルビトール、エチルジベンジリデンソルビトール又はジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)など、又は置換ノニトール誘導体、例えば1,2,3,−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなど、並びに
(iii) リン酸のジエステルの塩、例えばナトリウム2,2‘−メチレンビス(4,6,−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート又はアルミニウム−ヒドロキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、並びに
(iv) ビニルシクロアルカンポリマー及びビニルアルカンポリマー(下記でより詳細に論じる)、並びに
(v) それらの混合物
からなる群より選択される。
そのような添加剤は一般に市販されており、例えば、Hans Zweifelの「Plastic Additives Handbook」(第5版、2001)に記述されている。
好ましくは、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、5wt%までのα−核化剤を含有する。好ましい実施形態において、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、200ppm以下、より好ましくは1から200ppm、より好ましくは5から100ppmの、特にジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール)、ジベンジリデンソルビトール誘導体、好ましくはジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)、又は置換ノニトール誘導体、例えば1,2,3,−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなど、ビニルシクロアルカンポリマー、ビニルアルカンポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択されるα−核形成剤を含有する。
プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、ビニルシクロアルカンの、例えばビニルシクロヘキサン(VCH)のポリマー及び/又はビニルアルカンポリマーを含有することが特に好ましい。特定の実施形態の1つにおいて、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、ビニルシクロアルカンの、例えばビニルシクロヘキサン(VCH)のポリマー及び/又はビニルアルカンポリマーを含有する。好ましくは、ビニルシクロアルカンがビニルシクロヘキサン(VCH)であるポリマーを、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)中に、BNT技術により導入する。
本発明は、本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)だけでなく、それから製造される成形物品、好ましくはブロー成形物品(押出ブロー成形、射出ブロー成形又は射出延伸ブロー成形)、例えば押出ブロー成形物品など、例えば、ボトル、例えば押出ブロー成形ボトルなどにも関する。したがってさらなる実施形態において本発明は、本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を少なくとも70wt%含む、好ましくは少なくとも80wt%含む、より好ましくは少なくとも90wt%含む、なおより好ましくは少なくとも95wt%含む、いっそうより好ましくは少なくとも99wt%含む、成形物品、例えば成形ボトルなど、好ましくはブロー成形物品、より好ましくは押出ブロー成形物品、例えば押出ブロー成形ボトルなどに関する。好ましい実施形態の1つにおいて、成形物品、例えば成形ボトルなど、好ましくはブロー成形物品、より好ましくは押出ブロー成形物品、例えば押出ブロー成形ボトルなどは、プロピレンコポリマーからなり、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)からなる。特定の実施形態の1つにおいて、ブロー成形物品はブロー成形ボトル、例えば押出ブロー成形ボトルなどである。
成形物品を製造するために適用されるプロセスは、当業者の知識の範囲内である。Polypropylene Handbook、Nello Pasquini、第2版、Hanserが参照される。例えば、押出ブロー成形(EBM)プロセスにおいて、ポリマー溶融物をまず管状ダイから空気中に押し出し、ポリマーチューブ(polymer tube)を形成し、続いて前記ポリマーチューブ(この技術分野において通常「パリソン」と呼ばれる)を、チューブの外側が金型の境界に達するまで膨らませる。ポリマーチューブと金型の間の空気を完全に除去しなければならないため、金型の内壁を膨らませたポリマーチューブで完全に覆うことは、射出成形と比較してやや困難であり、これは要求の厳しいプロセス工程である。さらに、ポリマーチューブの内側は金型と接触していないため、チューブの内側表面構造に影響を与えることはほとんどできない。その結果として、押出ブロー成形物品、例えばボトルなどは通常、任意の射出成形物品と比較して劣った光学特性を示す。例えば、押出ブローボトルの内側及び/又は外側の表面特性は通常、不均一(フローライン、メルトフラクチャー)であり、射出成形ボトル又は射出延伸ブロー成形物品(ISBM)と比較して全体の光沢及び透過率が低くなる。
通常、成形物品(ボトル)、好ましくはブロー成形物品(ボトル)、より好ましくは押出ブロー成形物品(ボトル)は、0.1から1.0mmの範囲内の肉厚を有する。
本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、好ましくは、特定のプロセスにより得られる。したがって本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、好ましくは、
(a) 第1の反応器(R1)において、
プロピレン並びに
エチレン及び/又はC4〜C12α−オレフィン、好ましくはエチレン、
を重合させ、第1のポリマー画分、すなわち第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)を得る工程、
(b) 第1のポリマー画分、すなわち第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)を第2の反応器(R2)中に移す工程、
(c) 第1のポリマー画分、すなわち第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の存在下で前記第2の反応器(R2)において、
プロピレン並びに
エチレン及び/又はC4〜C12α−オレフィン、好ましくはエチレン、
を重合させ、第2のポリマー画分、すなわち第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)を得、第1及び第2のポリマー画分がランダムプロピレンコポリマー(R−PP)を形成する工程、
(d) 前記ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)を第3の反応器(R3)中に移す工程、
(e) ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の存在下で前記第3の反応器(R3)において、
プロピレン並びに
エチレン及び/又はC4〜C12α−オレフィン、好ましくはエチレン、
を重合させ、弾性プロピレンコポリマー(E)である第3のポリマー画分を得、第3のポリマー画分及びランダムプロピレンコポリマー(R−PP)がプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を形成する工程、及び
(f) 第3の反応器(R3)からプロピレンコポリマーを取り出す工程
を含む逐次重合プロセスにより得られる。
好ましくは、第2の反応器(R2)と第3の反応器(R3)の間でモノマーを流出させる。
「逐次重合プロセス」という用語は、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)が、直列に接続された少なくとも4つの反応器において、好ましくは4つの反応器において製造されることを示す。したがって本発明のプロセスは、少なくとも第1の反応器(R1)、第2の反応器(R2)、及び第3の反応器(R3)を有する。「重合反応器」という用語は、主重合が起こることを示す。よって、プロセスが3つの重合反応器からなる場合、この定義は、全体のプロセスが例えば前重合反応器中での前重合工程を含むという選択肢を除外しない。「〜からなる(consist of)」という用語は、主重合反応器のみに関連した限定的な表現である。
上述したように、最初の2つの反応器において、マトリックス(M)、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)が製造される。より正確には、第1の反応器(R1)において第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)が製造され、一方、第2の反応器(R2)において第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)が製造される。
第1の反応器(R1)において使用される好ましいコモノマーは、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)について上記で示したものと同じである。したがって、特に好ましいコモノマーは、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンである。特定の実施形態の1つにおいて、コモノマーはエチレンである。
好ましくは、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の間の重量比は、20/80から80/20、より好ましくは30/70から70/30、いっそうより好ましくは40/60から60/40である。
したがって、第1の反応器(R1)において第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)が製造され、一方、第2の反応器(R2)において第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)が製造され、それによりランダムプロピレンコポリマー(R−PP)が得られる。個々の特性に関して、上記に示した情報が参照される。
プロピレンと共重合可能な、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の、及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)のコモノマーは、エチレン及び/又はC〜C12α−オレフィン、特にエチレン及び/又はC〜Cα−オレフィン、例えば1−ブテン及び/又は1−ヘキセンである。好ましくは、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)、及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。好ましい実施形態において、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)は、同じコモノマー、すなわちエチレンのみを含む。
さらに、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)、すなわち第1の反応器(R1)のポリマーは、好ましくは、10.0wt%又はそれ未満、より好ましくは1.0から10.0wt%の範囲内、なおより好ましくは2.0から9.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは2.5から8.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分を有する。
一方で、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)、すなわち第2の反応器(R2)において製造されるポリマーは、好ましくは、40wt%又はそれ未満、より好ましくは2から35wt%の範囲内、なおより好ましくは3から30wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分を有する。
したがって、第2の反応器中の全体の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分は、好ましくは20.0wt%又はそれ未満であり、より好ましくは8.0以上20.0wt%以下(又は未満)、なおより好ましくは10.0以上18.0wt%以下の範囲内である。
第2の反応器(R2)の後、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のマトリックス(M)、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)が得られる。続いてこのマトリックス(M)を第3の反応器(R3)に移し、その中で弾性プロピレンコポリマー(E)が製造され(工程(e))、このようにして本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)が得られる。
弾性プロピレンコポリマー(E)及びプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の個々の特性に関して、上記に示した情報が参照される。
好ましくは工程(c)の後のマトリックス(M)、すなわちランダムプロピレンコポリマー(R−PP)と、工程(e)において製造される弾性プロピレンコポリマー(E)の間の重量比は、60/40から90/10、より好ましくは70/30から85/15である。
第1の反応器(R1)は、好ましくはスラリー反応器(SR)であり、バルク又はスラリー状態で稼働する、任意の連続又は単純撹拌型のバッチタンク反応器又はループ反応器であってよい。バルクとは、少なくとも60%(w/w)のモノマーを含む反応媒体中での重合を意味する。本発明によれば、スラリー反応器(SR)は好ましくは(バルク)ループ反応器(LR)である。
第2の反応器(R2)及び第3の反応器(R3)は、好ましくは気相反応器(GPR)である。そのような気相反応器(GPR)は、任意の機械混合式反応器又は流動床反応器であってよい。好ましくは、気相反応器(GPR)は、ガス速度が少なくとも0.2m/secである機械撹拌式流動床反応器を含む。よって、気相反応器は、好ましくはメカニカルスターラーを備えた、流動床型の反応器であることが好ましい。
よって、好ましい実施形態において、第1の反応器(R1)はスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)であり、一方、第2の反応器(R2)、及び第3の反応器(R3)は気相反応器(GPR)である。したがって本発明のプロセスのために、直列に接続された少なくとも3つの、好ましくは3つの重合反応器、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)、第1の気相反応器(GPR−1)、及び第2の気相反応器(GPR−2)が使用される。必要であれば、スラリー反応器(SR)の前に前重合反応器を配置する。
好ましい多段階プロセスは「ループ−気相」プロセスであり、例えばEP0887379、WO92/12182、WO2004/000899、WO2004/111095、WO99/24478、WO99/24479又はWO00/68315などの特許文献に記述されている、デンマークのBorealis A/Sにより開発されたもの(BORSTAR(登録商標)技術として知られている)などである。
さらなる適したスラリー−気相プロセスは、BasellのSpheripol(登録商標)プロセスである。
好ましくは、上記で規定されたプロピレンコポリマー、すなわち、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を製造するための本発明のプロセスにおいて、工程(a)の第1の反応器(R1)、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)の条件は、以下の通りとすることができる:
− 温度は、40℃から110℃、好ましくは60℃と100℃の間、例えば68から95℃の範囲内であり、
− 圧力は20barから80bar、好ましくは40barから70barの間の範囲内であり、
− それ自体公知の方法でモル質量を調節するために水素を添加することができる。
続いて、工程(a)の反応混合物を第2の反応器(R2)、すなわち気相反応器(GPR−1)に、すなわち工程(c)に移すが、工程(c)における条件は好ましくは以下の通りである:
− 温度は、50℃から130℃、好ましくは60℃と100℃の間の範囲内であり、
− 圧力は、5barから50bar、好ましくは15barから35barの間の範囲内であり、
− それ自体公知の方法でモル質量を調節するために水素を添加することができる。
第3の反応器(R3)における、好ましくは第2の気相反応器(GPR−2)における条件は、第2の反応器(R2)と同様である。
滞留時間は、3つの反応器領域において変えることができる。
プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を製造するための方法の実施形態の1つにおいて、第1の反応器(R1)、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)における滞留時間は、0.2から4時間、例えば0.3から1.5時間の範囲内であり、気相反応器における滞留時間は一般に、0.2から6.0時間、例えば0.5から4.0時間である。
所望であれば、第1の反応器(R1)において、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)などにおいて、超臨界条件下で及び/又は気相反応器(GPR)において凝縮モードとして、公知の方法で重合を行ってもよい。
好ましくは、プロセスは、チーグラー・ナッタプロ触媒、外部供与体及び任意に共触媒を含む、下記に詳細に記述されている触媒系を用いる前重合も含む。
好ましい実施形態において、前重合は、液体プロピレン中のバルクスラリー重合として行い、すなわち、液相は主として、少量の他の反応物及び任意に不活性成分が溶解しているプロピレンを有する。
前重合反応は通常、0から50℃、好ましくは10から45℃まで、より好ましくは15から40℃までの温度で行う。
前重合反応器中の圧力は重要ではないが、反応混合物を液相中に維持するのに十分に高くなければならない。よって、圧力は、20から100barまで、例えば30から70barであってよい。
触媒成分は、好ましくはすべて前重合工程に導入される。しかしながら、固体触媒成分(i)及び共触媒(ii)を別々に供給することができる場合、共触媒の一部のみを前重合段階中に導入し、残りの部分をその後の重合段階中に導入することが可能である。そのような場合にもまた、十分な重合反応が得られる程度の共触媒を前重合段階中に導入することが必要である。
前重合段階に別の成分を添加することも可能である。よって、当技術分野において公知のように、プレポリマーの分子量を調節するために前重合段階に水素を添加してもよい。さらに、粒子が互いに又は反応器の内壁に付着しないように、帯電防止添加剤を使用してもよい。
前重合条件及び反応パラメータの厳密な制御は、当業者の技能の範囲内である。
本発明によれば、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、チーグラー・ナッタ触媒及び任意に外部供与体を含む触媒系、好ましくは3種の成分、すなわち成分(i)としてチーグラー・ナッタプロ触媒、及び任意に成分(ii)として有機金属共触媒及び成分(iii)として式(IIIa)又は(Iamb)により表される、好ましくは式(IIIa)により表される外部供与体を含む触媒系の存在下において、上記の逐次重合プロセスにより得られる。
プロセスは、チーグラー・ナッタ触媒系を使用することにより、好ましくは本明細書において下記に詳細に規定されているチーグラー・ナッタ触媒系、及び第2の反応器(R2)において及び/又は第3の反応器(R3)及び第4の反応器(R4)においてそれぞれ特定のコモノマー/プロピレン比を使用することにより、特に効率的に進行する。したがって、
(a) 第1の反応器(R1)において、すなわち工程(a)において、コモノマー/プロピレン比[Co/C3]、例えばエチレン/プロピレン比[C2/C3]が、1から15mol/kmolの範囲内、より好ましくは2から8mol/kmolの範囲内であり、
かつ/又は
(b) 第2の反応器(R2)において、すなわち工程(c)において、コモノマー/プロピレン比[Co/C3]、例えばエチレン/プロピレン比[C2/C3]が、10から65mol/kmolの範囲内、より好ましくは20から60mol/kmolの範囲内であり、
かつ/又は
(c) 第3の反応器(R3)において、すなわち工程(e)において、コモノマー/プロピレン比[Co/C3]、例えばエチレン/プロピレン比[C2/C3]が、120より大きく200mol/kmolまでの範囲内、より好ましくは130から180mol/kmolの範囲内である
ことが好ましい。
以下に、使用される触媒をより詳細に規定する。
好ましくは、成分(i)は、低級アルコールとフタル酸エステルのエステル交換生成物を含有するチーグラー・ナッタプロ触媒である。
本発明により使用されるプロ触媒は、
a) 噴霧結晶化した(spray crystallized)又はエマルジョン凝固させた(emulsion solidified)、MgClとC〜Cアルコールの付加物をTiClと反応させること、
b) 段階a)の生成物を式(I)のフタル酸ジアルキル
Figure 2015535025
(式中、R1’及びR2’は独立に、少なくともCアルキルである。)
と、前記C〜Cアルコールと前記式(I)のフタル酸ジアルキルのエステル交換が起こる条件下で反応させて内部供与体を形成すること、
c) 段階b)の生成物を洗浄すること、又は
d) 任意に、工程c)の生成物をさらなるTiClと反応させること、
により製造される。
プロ触媒は、例えば、特許出願WO87/07620、WO92/19653、WO92/19658及びEP0491566において規定されている通り製造される。これらの文書の内容は、参照により本明細書に含まれる。
まず、式MgCl*nROHのMgClとC〜Cアルコールの付加物(式中、Rはメチル又はエチルであり、nは1から6である。)が形成される。好ましくはアルコールとしてエタノールを使用する。
付加物をまず溶融させ、次いで噴霧結晶化又はエマルジョン凝固させ、これを触媒担体として使用する。
次の工程で、噴霧結晶化又はエマルジョン凝固させた、式MgCl*nROHの付加物(式中、Rはメチル又はエチル、好ましくはエチルであり、nは1から6である。)をTiClと接触させて、チタン処理した(titanised)担体を形成し、その後、以下の工程を行う。
− 前記チタン処理担体に、
(i) 式(I)のフタル酸ジアルキル(式中、R1’及びR2’は独立に、少なくともCアルキル、例えば少なくともCアルキルである。)、
又は好ましくは
(ii) 式(I)のフタル酸ジアルキル(式中、R1’及びR2’は同じであり、少なくともC−アルキル、例えば少なくともCアルキルである。)、
又はより好ましくは
(iii) フタル酸プロピルヘキシル(PrHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジ−イソ−デシル(DIDP)、及びフタル酸ジトリデシル(DTDP)からなる群より選択される式(I)のフタル酸ジアルキル、いっそうより好ましくは、フタル酸ジオクチル(DOP)、例えばフタル酸ジ−イソ−オクチル又はフタル酸ジエチルヘキシル、特にフタル酸ジエチルヘキシルである式(I)のフタル酸ジアルキル
を添加して、第1の生成物を形成する工程、
− 前記第1の生成物を、適したエステル交換条件、すなわち100℃を超える、好ましくは100から150℃の間、より好ましくは130から150℃の間の温度に供し、その結果、前記メタノール又はエタノールが、前記式(I)のフタル酸ジアルキルの前記エステル基とエステル交換されて、好ましくは少なくとも80mol%、より好ましくは90mol%、最も好ましくは95mol%の式(II)のフタル酸ジアルキル
Figure 2015535025
(式中、R及びRはメチル又はエチル、好ましくはエチルである。)
を形成する工程であって、式(II)のフタル酸ジアルキルが内部供与体である、上記工程、及び
− 前記エステル交換生成物をプロ触媒組成物(成分(i))として回収する工程。
式MgCl*nROHの付加物(式中、Rはメチル又はエチルであり、nは1から6である。)は、好ましい実施形態において、溶融され、次いで溶融物を好ましくは、冷却された溶媒又は冷却された気体中に気体により注入し、それにより付加物を、例えばWO87/07620に記述されているような形態学的に好都合な形態に結晶化させる。
WO92/19658及びWO92/19653において記述されているように、この結晶化した付加物を、好ましくは触媒担体として使用し、本発明において有用なプロ触媒に反応させる。
触媒残渣は抽出により除去されるため、エステルアルコールに由来する基が変化した、チタン処理担体と内部供与体の付加物が得られる。
十分なチタンが担体上に残存する場合、これはプロ触媒の活性元素として作用する。
そうでなければ、十分なチタン濃度、よって活性を確実にするために、上記の処理の後にチタン処理(titanization)を繰り返す。
好ましくは本発明により使用されるプロ触媒は、2.5wt%以下、好ましくは2.2%wt%以下、より好ましくは2.0wt%以下のチタンを含有する。その供与体含量は、好ましくは4から12wt%の間、より好ましくは6と10wt%の間である。
より好ましくは、本発明により使用されるプロ触媒は、アルコールとしてエタノール及び式(I)のフタル酸ジアルキルとしてフタル酸ジオクチル(DOP)を使用し、内部供与体化合物としてフタル酸ジエチル(DEP)を得ることにより製造されたものである。
なおより好ましくは、本発明により使用される触媒は、特に式(I)のフタル酸ジアルキルとしてフタル酸ジオクチルを使用した、実施例の項において記述されている触媒である。
本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を製造するために、使用される触媒系は、好ましくは、特別なチーグラー・ナッタプロ触媒に加えて、成分(ii)として有機金属共触媒を含む。
したがって、トリエチルアルミニウム(TEA)などのトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロリド及びアルキルアルミニウムセスキクロリドからなる群より共触媒を選択することが好ましい。
使用される触媒系の成分(iii)は、式(IIIa)又は(Iamb)により表される外部供与体である。式(IIIa)は、
Si(OCH (IIIa)
(式中、Rは、3から12個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、好ましくは3から6個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、又は4から12個の炭素原子を有するシクロアルキル、好ましくは5から8個の炭素原子を有するシクロアルキルを表す。)により規定される。
は、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、tert−ブチル、tert−アミル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル及びシクロヘプチルからなる群より選択されることが特に好ましい。
式(Iamb)は、
Si(OCHCH(NR)(Iamb)
(式中、R及びRは、同じであるか又は異なることができ、1から12個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。)により規定される。
及びRは、1から12個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族炭化水素基、1から12個の炭素原子を有する分枝状脂肪族炭化水素基及び1から12個の炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素基からなる群より独立に選択される。R及びRは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、オクチル、デカニル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、tert−ブチル、tert−アミル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル及びシクロヘプチルからなる群より独立に選択されることが特に好ましい。
より好ましくは、R及びRは両方とも同じであり、いっそうより好ましくはR及びRは両方ともエチル基である。
より好ましくは、式(Iamb)の外部供与体はジエチルアミノトリエトキシシランである。
より好ましくは、外部供与体は、ジエチルアミノトリエトキシシラン[Si(OCHCH(N(CHCH)]、ジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH(シクロ−ペンチル)]、ジイソプロピルジメトキシシラン[Si(OCH(CH(CH]及びそれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、外部供与体はジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH(シクロ−ペンチル)]である。
所望であれば、チーグラー・ナッタプロ触媒は、特別なチーグラー・ナッタプロ触媒(成分(i))、外部供与体(成分(iii))及び任意に共触媒(成分(ii))を含む触媒系の存在下においてビニル化合物を重合させることにより修飾され、ビニル化合物は、式:
CH=CH−CHR
(式中、R及びRは一緒に、5又は6員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成するか、又は独立に、1から4個の炭素原子を含むアルキル基を表す。)を有する。このように修飾された触媒を、本発明のプロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を製造するために使用する。
上述した添加剤は、プロピレンコポリマー、すなわち異相プロピレンコポリマー(RAHECO)に、好ましくは押出により添加される。混合/押出のために、従来のコンパウンド又はブレンド装置、例えばBanburyミキサー、2本ロールゴムロール機、Bussコニーダー又は二軸スクリュー押出機を使用することができる。押出機から回収されるポリマー材料は通常、ペレットの形態である。次いで、これらのペレットを、例えば上記に記述されている(ブロー)金型成形(mold forming)プロセスによりさらに処理する。
以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。
1.測定方法
以下の用語及び決定方法の定義は、別段の規定がない限り、下記の実施例だけでなく上記の本発明の一般的な記述にも適用される。
第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)のコモノマー含量の計算:
Figure 2015535025
(式中
w(PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の重量分率[wt%]であり、
w(PP2)は、第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の重量分率[wt%]であり、
Co(PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のコモノマー含量[wt%]であり、
C(PP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のコモノマー含量[wt%]であり、
C(PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の算出されるコモノマー含量[wt%]である。)
第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量の計算:
Figure 2015535025
(式中
w(PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の重量分率[wt%]であり、
w(PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の重量分率[wt%]であり、
XS(PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量[wt%]であり、
XS(PP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量[wt%]であり、
XS(PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の算出される低温キシレン可溶性成分(XCS)含量[wt%]である。)
第2のプロピレンコポリマー画分(R−PP2)のメルトフローレートMFR(230℃)の計算:
Figure 2015535025
(式中
w(PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)の重量分率[wt%]であり、
w(PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の重量分率[wt%]であり、
MFR(PP1)は、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]であり、
MFR(PP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]であり、
MFR(PP2)は、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の算出されるメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]である。)
それぞれの弾性プロピレンコポリマー(E)のコモノマー含量の計算:
Figure 2015535025
(式中
w(PP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)、すなわち第1及び第2の反応器(R1+R2)において製造されるポリマーの重量分率[wt%]であり、
w(E)は、弾性プロピレンコポリマー(E)、すなわち第3の反応器(R3)において製造されるポリマーの重量分率[wt%]であり
C(PP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のコモノマー含量[wt%]、すなわち、第1及び第2の反応器(R1+R2)において製造されるポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、
C(RAHECO)は、プロピレンコポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、すなわち、第3の反応器(R4)における重合後に得られるポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、
C(E)は、弾性プロピレンコポリマー(E)、すなわち、第3の反応器(R3)において製造されるポリマーの算出されるコモノマー含量[wt%]である。)
MFR(230℃)は、ISO1133(230℃、2.16kg荷重)に従って測定する。
コモノマー含量、特にエチレン含量は、13C−NMRで較正したフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて測定する。ポリプロピレン中のエチレン含量を測定する場合、試料の薄フィルム(厚さ約250μm)をホットプレス法により製造した。Perkin Elmer FTIR1600分光器を用いて、プロピレン−エチレン−コポリマーでは720及び733cm−1の吸収ピーク面積を測定した。プロピレン−1−ブテン−コポリマーは、767cm−1において評価した。方法は、13C−NMRにより測定したエチレン含量データにより較正した。「IR−Spektroskopie fuer Anwender」;WILEY−VCH、1997及び「Validierung in der Analytik」、WILEY−VCH、1997も参照されたい。
固有粘度は、DIN ISO1628/1(1999年10月)(デカリン中、135℃)に従って測定する。
キシレン可溶性成分(XCS、wt%):低温キシレン可溶性成分(XCS)の含量は、25℃で、ISO16152(初版、2005−07−01)に従って決定する。
ヘキサン可溶性成分(C6可溶性成分、wt%):ヘキサン可溶性成分の含量は、欧州薬局方6.0、EP316に従って測定する。
厚さ0.3mmのボトルから採取した10gの試料を、300mlエルレンマイヤーフラスコに入れ、100mlのn−ヘキサンを加えた。混合物を環流冷却器において撹拌しながら4時間沸騰させた。高温の溶液を撹拌しながら45分間放冷し、真空下で濾過し(G4ガラスフィルター)、濾液を丸型シェンク(shenk)(90℃の真空オーブン中で乾燥させ、0.0001gの精度で重量を測定した)中に入れた。次いで、ロータリーエバポレーターにおいて窒素流下でヘキサンを蒸発させた。丸型シェンクを真空オーブン中90℃で終夜にわたり乾燥させ、少なくとも2時間デシケーター中に入れて放冷した。シェンク(shenk)の重量を再度測定し、ヘキサン可溶性成分をそこから計算した。
数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)及び多分散度(Mw/Mn)
以下の方法に従って、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定する:
重量平均分子量Mw及び多分散度(Mw/Mn)(式中、Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量である)は、ISO16014−1:2003及びISO16014−4:2003に基づく方法により測定する。屈折率検出器及びオンライン粘度計を備えたWaters Alliance GPCV2000装置を、TosoHaas製の3×TSKゲルカラム(GMHXL−HT)及び溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB、200mg/Lの2,6−ジtertブチル−4−メチル−フェノールで安定化)を用いて、145℃、1mL/minの一定流速で使用した。分析ごとに216.5μLの試料溶液を注入した。カラムセットは、0.5kg/mol〜11500kg/molの範囲の19種の狭MWDポリスチレン(PS)標準物質及び十分に特徴付けられた広分布ポリプロピレン標準物質のセットを用いて、相対的キャリブレーションを使用して較正した。全ての試料は、10mL(160℃)の安定化したTCB(移動相と同じ)に5〜10mgのポリマーを溶解し、GPC装置へのサンプリング前に連続振とうしながら3時間維持することにより調製した。
溶融温度(T)及び融解熱(H)、結晶化温度(T)及び結晶化熱(H):Mettler TA820示差走査熱量測定(DSC)により5から10mgの試料に対して測定する。DSCは、ISO3146/パート3/方法C2に従って、加熱/冷却/加熱サイクルで、10℃/minの走査速度、+23から+210℃の温度範囲において走査する。結晶化温度及び結晶化熱(H)は、冷却工程から決定し、溶融温度及び融解熱(H)は、第2の加熱工程から決定する。
曲げ弾性率:曲げ弾性率は、EN ISO1873−2に沿って射出成形された80×10×4mm短冊形試験片について、ISO178に従って23℃における3点曲げにおいて決定した。
ボトルの説明/寸法
外径90mm、肉厚:0.3mm;全高204mm、円筒部の高さ185mmの、1Lボトル
Systec Dシリーズ機(Systec Inc.、USA)において蒸気滅菌を行った。試料を、23℃から開始して5℃/minの加熱速度で加熱した。121℃で30分間保った後、蒸気滅菌器から試料を直ちに取り出し、さらに処理するまで室温で保存した。
ボトルに関する透過率、透明度、及びヘイズ測定
機器:BYK−Gardner製のヘイズ−ガードプラス(Haze−gard plus)
試験:ASTM D1003に従う(射出成形プレートに関して)
方法:測定は、ボトルの外壁に対して行った。ボトルの上部及び底部を切り落とす。次いで、得られる円筒形の側壁を、水平に2つに分割する。次いで、中央に近い方より、この側壁から約60×60mmの6つの同じ試料を切り取る。試験片を、それらの凸面側をヘイズポートの方に向けて機器に入れる。次いで、6つの試料のそれぞれについて透過率、ヘイズ及び透明度を測定し、ヘイズ値をこれらの6つの対応物の平均としてレポートする。
ボトルに関する光沢測定
機器:BYK−Gardner20製のSceen TRI−MICROGLOSS 20−60−80
試験:ASTM D2457(射出成形プレートに関して)
ボトル:ボトルの側壁に対して測定する。ボトルの上部及び底部を切り落とす。次いで、この円筒形の側壁を、水平に2つに分割する。次いで、この側壁を、射出成形部品の試験のために作製された特別なライトトラップにちょうど合うように、約90×90mmの6つの同じ25試料に切断する。次いで、これらの6つの試料について20°での光沢を測定し、20°の光沢として平均値をレポートする。
2.実施例
実施例E1、E2、CE1及びCE2の重合プロセスにおいて使用した触媒は、以下の通り製造された:まず、0.1molのMgCl×3EtOHを、不活性条件下において大気圧で、反応器中の250mlのデカンに懸濁した。溶液を、−15℃の温度まで冷却し、温度を前記レベルに維持しながら、300mlの冷TiClを加えた。次いで、スラリーの温度をゆっくりと20℃まで上昇させた。この温度で、0.02molのフタル酸ジオクチル(DOP)をスラリーに添加した。フタル酸エステルの添加後、温度を90分の間に135℃まで上げ、スラリーを60分間静置した。次いで、さらに300mlのTiClを加え、温度を120分間135℃に保った。この後、触媒を液体から濾過し、80℃の300mlのヘプタンで6回洗浄した。次いで、固体触媒成分を濾過し、乾燥した。触媒及びその製造概念は、例えば特許公報EP491566、EP591224及びEP586390に概して記述されている。共触媒としてトリエチル−アルミニウム(TEAL)及び供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン(D−供与体)を使用した。アルミニウム対供与体の比を表1に示す。
重合の前に、触媒を、最終ポリマー中のポリ(ビニルシクロヘキサン)(PVCH)の濃度200ppmを達成する量のビニルシクロヘキサンと前重合させた。それぞれのプロセスは、EP1028984及びEP1183307に記述されている。
添加剤として、合成ハイドロタルサイト(DHT−4A、Kisuma Chemicals(オランダ)より供給)0.04wt%及びBASF AG(ドイツ)製のIrganox B215(Irganox1010(ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルイル)−プロピオネートと、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート)ホスファイトの1:2ブレンド)0.15wt%を、同じ工程でポリマーに添加した。
本発明の研究において試験のために使用されるような1リットル丸型ボトルの製造のために、「Fischer Mueller」ブロー成形機を使用した。製造の主な処理パラメータは以下の通りである:
− 温度プロファイル:押出機、アダプタ及びヘッドにおいて180から200℃を適用
− 測定された溶融温度:190から200℃
− 押出機の速度(毎分回転数;rpm):13から16rpm
− ダイギャップ:ダイギャップは、BorealisグレードRB307MO(密度902kg/m及びMFR1.5g/10minのランダムプロピレンコポリマー)を用いて、40gの重量のボトルを得るように調整した
− サイクル時間:12から16秒
Figure 2015535025
Figure 2015535025
Figure 2015535025
CE4は、Borealis AG製の市販のLDPE Bormed LE6609−PHである。

Claims (17)

  1. (a) ISO1133に従って測定される、0.8より高く2.5g/10minより低い範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)、
    (b) ISO16152(25℃)に従って決定される、25.0から35.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、及び
    (c) 4.5より高く10.0wt%までの範囲内のコモノマー含量
    を有するプロピレンコポリマーであって、さらに
    (d) プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分のコモノマー含量が、12.0から22.0wt%の範囲内であり、
    (e) DIN ISO1628/1(デカリン中135℃)に従って決定されるプロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分の固有粘度(IV)が、1.5より高く3.0dl/gより低い範囲内である、
    上記プロピレンコポリマー。
  2. プロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)画分が、4.9より大きく10.0までの多分散度(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載のプロピレンコポリマー。
  3. (a) ISO1133に従って測定される、0.8より高く2.5g/10minより低い範囲内のメルトフローレートMFR(230℃)、
    (b) ISO16152(25℃)に従って決定される、25.0から35.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、及び
    (c) 4.5より高く10.0wt%までの範囲内のコモノマー含量
    を有するプロピレンコポリマーであって、さらに
    (d) プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分のコモノマー含量が、12.0から22.0wt%の範囲内であり、
    (e) プロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)画分が、4.9より大きく10.0までの多分散度(Mw/Mn)を有する、
    上記プロピレンコポリマー。
  4. DIN ISO1628/1(デカリン中135℃)に従って決定されるプロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分の固有粘度(IV)が、1.5より高く3.0dl/gより低い範囲内である、請求項3に記載のプロピレンコポリマー。
  5. (a) α−核化剤を含み、
    かつ/又は
    (b) 5.5wt%未満のヘキサン可溶性成分含量を有し、
    かつ/又は
    (c) 3.0から7.0の範囲内のコモノマー含量の低温キシレン不溶性成分(XCI)画分を有する、
    請求項1から4までの1項に記載のプロピレンコポリマー。
  6. (a) 不等式(I)
    Figure 2015535025
    (式中
    Co(Total)は、プロピレンコポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、
    Co(XCS)は、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)画分のコモノマー含量[wt%]である。)、
    及び/又は
    (b) 不等式(II)
    Figure 2015535025
    (式中
    Co(XCS)は、プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)のコモノマー含量[wt%]であり、
    Co(XCI)は、プロピレンコポリマーの低温キシレン不溶性成分(XCI)のコモノマー含量[wt%]である。)
    を満たす、請求項1から5の1項に記載のプロピレンコポリマー
  7. 示差走査熱量測定(DSC)により決定される、148から159℃の範囲内の溶融温度Tmを有する、請求項1から6までの1項に記載のプロピレンコポリマー。
  8. マトリックス(M)、及び前記マトリックス(M)中に分散している弾性プロピレンコポリマー(E)を含む異相プロピレンコポリマー(RAHECO)であり、前記マトリックス(M)がランダムプロピレンコポリマー(R−PP)である、請求項1から7の1項に記載のプロピレンコポリマー。
  9. マトリックス(M)と弾性プロピレンコポリマー(E)の間の重量比が、60/40から90/10である、請求項8に記載のプロピレンコポリマー。
  10. ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)が、
    (a) 1.0から7.0wt%の範囲内のコモノマー含量を有し、
    かつ/又は
    (b) 不等式(III)
    Figure 2015535025
    (式中
    Co(Total)は、プロピレンコポリマーのコモノマー含量[wt%]であり、
    Co(RPP)は、ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)のコモノマー含量[wt%]である。)を満たし、
    かつ/又は
    (c) 8.0以上20.0wt%未満の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)画分を有する、
    請求項8又は9に記載のプロピレンコポリマー。
  11. ランダムプロピレンコポリマー(R−PP)が、少なくとも2つの異なるランダムプロピレンコポリマー画分を含み、さらに前記2つのランダムプロピレンコポリマー画分の、コモノマー含量及び/又はメルトフローレートMFR(230℃)が異なり、好ましくはコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)が異なる、請求項8から10の1項に記載のプロピレンコポリマー。
  12. (a) 2つのランダムポリマーコポリマー画分の一方の画分がコモノマー低含有画分であり、他方の画分がコモノマー高含有画分であり、さらに前記低含有画分及び高含有画分が、不等式(IV)
    Figure 2015535025
    (式中
    Co(lean)は、低い方のコモノマー含量を有するランダムプロピレンコポリマー画分のコモノマー含量[wt%]であり、
    Co(rich)は、高い方のコモノマー含量を有するランダムプロピレンコポリマー画分のコモノマー含量[wt%]である。)
    を満たし、かつ/又は、好ましくは、
    (b) 前記2つのランダムプロピレンコポリマー画分の一方の画分が低メルトフローレートMFR(230℃)画分であり、他方の画分が高メルトフローレートMFR(230℃)画分であり、さらに前記低フロー画分及び高フロー画分が、不等式(V)
    Figure 2015535025
    (式中
    MFR(high)は、高い方のメルトフローレートMFR(230℃)を有するランダムプロピレンコポリマー画分のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]であり、
    MFR(low)は、低い方のメルトフローレートMFR(230℃)を有するランダムプロピレンコポリマー画分のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10min]である。)
    を満たす、請求項11に記載のプロピレンコポリマー。
  13. 前記2つのランダムプロピレンコポリマー画分が、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)及び第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)であり、さらに
    (a) 第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)が、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)と比べてより高いコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)を有し、
    又は
    (b) 第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)が、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と比べてより高いコモノマー含量及びメルトフローレートMFR(230℃)を有し、
    又は
    (c) 第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)が、第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)と比べてより高いコモノマー含量及びより低いメルトフローレートMFR(230℃)を有し、
    又は
    (d) 第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)が、第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と比べてより高いコモノマー含量及びより低いメルトフローレートMFR(230℃)を有する、
    請求項11又は12に記載のプロピレンコポリマー。
  14. (a) 第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)と第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)の間の重量比が、20/80から80/20であり、
    かつ/又は
    (b) 第1のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP1)が、0.2から4.0wt%の範囲内のコモノマー含量を有し、
    かつ/又は
    (c) 第2のランダムプロピレンコポリマー画分(R−PP2)が、1.0から12.0wt%の範囲内のコモノマー含量を有する、
    請求項13に記載のプロピレンコポリマー。
  15. 弾性プロピレンコポリマー(E)が、12.0以上25.0wt%未満の範囲内のコモノマー含量を有する、請求項8から14の1項に記載のプロピレンコポリマー。
  16. 請求項1から15の1項に記載のプロピレンコポリマーを含む、ブロー成形物品、好ましくは押出ブロー成形物品。
  17. ボトルである、請求項16に記載のブロー成形物品、好ましくは押出ブロー成形物品。
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