JP2015534061A - 未分化リンパ腫キナーゼ(alk)をマーカーとして使用する治療応答性非小細胞肺癌の同定法 - Google Patents

未分化リンパ腫キナーゼ(alk)をマーカーとして使用する治療応答性非小細胞肺癌の同定法 Download PDF

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Abstract

ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ、を用いる治療に応答すると推測されるか又は応答する可能性が高いNSCLCを持つとして被検体を同定する方法を開示する。該方法は、免疫組織化学(IHC)を用いてNSCLC腫瘍細胞を含有する試料をALK陽性と又はALK陰性と同定すること及び本明細書に開示の方法をスコア化することを含む。試料がALK陽性と同定された場合に、被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が高いNSCLCを持つと同定され、試料がALK陰性と同定された場合に、被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が低いNSCLCを持つと同定される。方法の一定の実施態様によれば、ALK阻害剤に応答すると推測された被検体は次いでクリゾチニブ等のALK阻害剤で処置される。【選択図】図1A−B

Description

関連出願の相互参照
本発明は、2012年9月24日に出願された、米国仮特許出願第61/704,960号に対する優先権を主張し、その内容はその全体がここに参照により援用される。
分野
本出願は、非小細胞肺癌の診断法に関し、特に、非小細胞肺癌が未分化リンパ腫キナーゼ阻害剤に応答すると予測されるか否かを決定する方法に関する。
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)タンパク質は、インスリンレセプターサブファミリーのレセプターチロシンキナーゼのメンバーである。ALKは、通常は神経系のみに発現する、I型膜糖タンパク質である。染色体2p内の反転は、棘皮動物微小管関連タンパク質様4(EML4)遺伝子とALK遺伝子の融合遺伝子産物の形成をもたらし、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株及び保存臨床材料中で発見された(Soda et al., Nature 448561-566, 2007)。ALKは現在NSCLCでの重要なプレイヤーとして認識されており、EML4が優性な融合パートナーではあるが、他の融合パートナー遺伝子も同定されている。ALK遺伝子転位の頻度は2〜7%の範囲であるようであり、米国で年間約6000のALK陽性患者に、全世界で年間約40000のALK患者に翻訳されている。重要なことに、ALK遺伝子転位はめったにEGFR、HER2、又はKRAS変異と一致して起こることがなく、ALK陽性であることは区別される疾患サブタイプであることを実証している。
クリゾチニブ(XALKORI, Pfizer)は、ALKを阻害する強力なチロシンキナーゼ阻害剤である。2つの臨床試験において、クリゾチニブで治療された、局所的にALK陽性の進行性又は転移性NSCLC患者は、全体的な応答率50%(N=136; 95% CI 42%, 59%)及び61%(N=119; 95% CI 52%, 70%)をそれぞれ示した。このように、NSCLC患者におけるALKの状態の決定は、患者のケアを指向するのに重要である。しかしながら、クリゾチニブ治療に応答する可能性が高いNSCLC患者を迅速且つ正確に同定する、特定の、高感度で標準化されたALKの状態に対するアッセイの需要が残存している。
本明細書は、ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ、を用いる治療に応答すると予測されるNSCLCを持つとして被検体を同定する方法の実施態様を開示する。該実施態様は、免疫組織化学(IHC)を用いてNSCLC腫瘍細胞を含有する試料をALK陽性と又はALK陰性と同定すること及び本明細書に開示の方法をスコア化することを含む。試料がALK陽性と同定された場合に被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が高いNSCLCを持つと同定され、試料がALK陰性と同定された場合に被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が低いNSCLCを持つと同定される。幾つかの例において、試料は抗ALK抗体で標識され、顆粒状の強い細胞質染色を有する少なくとも一の腫瘍細胞が試料に存在する場合に、該試料がALKに対して陽性であると同定される。
開示される方法の幾つかの実施態様はまた、ALK阻害剤を用いた治療のためのALK陽性NSCLC腫瘍を有する被検体を選択することを含む。開示される方法の追加の実施態様はまた、ALK陽性NSCLC腫瘍を有する被検体にALK阻害剤(クリゾチニブ等)を単独で、又は他の既知の又は将来開発される治療との併用で投与すること等の治療に応答すると予測されるNSCLCを有すると同定された被検体を治療することを含む。
開示の上記および他の特徴は、添付図面を参照して進み、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
図1Aと1Bは、抗ALK(D5F3)染色(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIg染色(右パネル)での均一なALK IHC発現を示す2つの例示的ALK陽性症例のデジタル画像である。 図2A−Cは、抗ALK(D5F3)染色(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIg染色(右パネル)での不均一なALK IHC発現を示す3つの例示的ALK陽性症例のデジタル画像である。抗ALK染色された試料において強い細胞質染色が存在するが、強度は様々である。 抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における腺上皮細胞の点状の顆粒状染色を示すデジタル画像である(左パネル)。対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおいては、腺上皮細胞の染色が明確でない(右パネル)。腺上皮細胞の染色は正常組織要素には存在したが、癌細胞には存在しなかったため、スライドの解釈からは排除した。 図4Aは、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における外見上の神経組織要素の染色を示すデジタル画像(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける染色の欠失を示すデジタル画像(右パネル)である。図4Bは、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける(右パネル)神経組織の染色を示すデジタル画像である。該染色は、正常組織要素又は細胞に存在していたため、スライドの解釈では排除された。 図5は、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における肺胞のマクロファージに存在する顆粒状点刻を示すデジタル画像(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける染色の欠失を示すデジタル画像(右パネル)である。この染色は、正常細胞に存在していたが、腫瘍細胞には存在していなかったため、スライドの解釈では排除された。 図6Aは、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける(右パネル)ムチンの染色を示すデジタル画像である。正常組織及び腫瘍細胞に染色がなかったため、この試料はALK陰性であると解釈された。図6Bは、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける(右パネル)ムチンの染色を示すデジタル画像である。正常組織は陰性であったが腫瘍細胞は染色されたため、この試料はALK陽性であると解釈された。 図7Aと7Bは、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける(右パネル)幾つかのリンパ球の染色を示すデジタル画像である。この染色は、正常細胞に存在していたため、スライドの解釈では排除された。 図8Aと8Bは、抗ALK(D5F3)染色(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIg染色(右パネル)での腫瘍細胞におけるALK IHC発現の不在を示す2つの例示的ALK陰性症例のデジタル画像である。 図9Aと9Bは、抗ALK(D5F3)染色(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIg染色(右パネル)の両方での弱い顆粒状細胞質染色を示す例示的ALK陰性症例のデジタル画像である。 図10A−Dは、抗ALK(D5F3)染色(左パネル)での、対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIg染色(右パネル)より顕著な細胞質染色を示す例示的ALK陰性症例のデジタル画像である。これら症例は、強い細胞質染色の欠如のため、ALK陰性であると解釈された。 図11は、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色された試料における(左パネル)及び対応するウサギモノクローナルネガティブコントロールIgスライドにおける(右パネル)膜/細胞質染色を示すデジタル画像である。染色は、ネガティブコントロールよりも抗ALK抗体を用いて染色されたスライド上で高頻度にみられたが、強い顆粒状細胞質染色ではなかったため、この結果はALK陰性であると解釈された。
I.略語
ALK 未分化リンパ腫キナーゼ
DAB 3,3'-ジアミノベンジディンテトラヒドロクロリド
FISH 蛍光インサイツハイブリダイゼーション
H&E ヘマトキシリン及びエオジン
HQ 3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸
HRP 西洋ワサビペルオキシダーゼ
IHC 免疫組織化学
NSCLC 非小細胞肺癌
II.用語
用語と方法の以下の説明は、本開示をより良く説明し、本開示を実施するために当業者を指導するために与えられる。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に特記する場合を除き、一又は一以上を指す。例えば、用語「抗体を含む」とは単数又は複数の抗体を包含し、「少なくとも一つの抗体を含む」のフレーズと等価であるとみなされる。用語「又は(or)」は、文脈が明確に特記する場合を除き、記述された別の要素の単一要素、又は2つ以上の要素の組合わせを言う。本明細書で使用される場合、「包含する(comprises)」とは「含む(includes)」を意味する。従って、「A又はBを包含する」とは付加的要素を除外することなく、「A、B、又はA及びBを含む」を意味する。本明細書で参照するGENBANK受入番号の日付は、少なくとも2012年9月24日以前に利用可能となった配列のものである。
特に説明がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同一の意味を持つ。本明細書に記載されるものと類似又は同等な方法及び材料が、本開示の実施又は試験において使用可能であるが、適切な方法及び材料は以下に記載される。材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、限定されるものとして意図されない。
本開示の様々な実施態様の総括を容易にするため、以下の特定用語の説明が与えられる。
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK): インスリンレセプターサブファミリーのレセプターチロシンキナーゼのメンバー。ALKは、細胞外ドメイン、単一の膜貫通ドメイン及び細胞内チロシンキナーゼドメインを包含する。ALK融合遺伝子をもたらす染色体再配置は、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞種、及び非小細胞肺癌を含む複数の腫瘍型に見出される。ALK/EMLは最も一般的なALK遺伝子融合体であり、追加のALK融合体には、ALK/RANBP2、ALK/ATIC、 ALK/TFG、 ALK/NPM1、 ALK/SQSTM1、 ALK/KIF5B、 ALK/CLTC、ALK/TPM4、及びALK/MSNが含まれる。
ALK配列は、例えば、GenBank(登録商標)配列データベース(例えば、受入番号NP_004295 (タンパク質)、及び NM_004304 (核酸))から公的に入手可能である。当業者は、ALK変異体及び/又はALK遺伝子融合体を含む、追加のALK核酸配列及びタンパク質配列を同定することができる。
ALK阻害剤は、ALKチロシンキナーゼ活性等のALK活性を阻害又は低減する分子である。幾つかの実施態様において、ALK阻害剤は、低分子、タンパク質(抗体等)、又は核酸(アンチセンス分子)であり得る。ALK阻害剤は、リガンド(プレイオトロフィン等)のALKへの結合を阻害又は低減して、ALKチロシンキナーゼ活性を低減してもよい。ALK阻害剤はまた、直接的にALKチロシンキナーゼ活性を阻害又は低減してもよく、例えば、ATP競合性阻害剤(クリゾチニブ等)。アンチセンス分子等のALK発現を阻害又は低減する分子もまたALK阻害剤である。幾つかの実施態様において、ALK阻害剤は、ALK遺伝子融合体(ALK/EML4遺伝子融合体を含むがこれに限定されない)等の遺伝子改変のALKの活性を阻害又は低減する。ALK阻害剤は、ALKチロシンキナーゼ活性を特異的に阻害してもよく、又はALKチロシンキナーゼ活性の阻害に加えて、他のレセプターチロシンキナーゼ活性(c−Met/HGFR等)を阻害してもよい。
抗体: 免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原(ALK等)と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子。例示的抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及びヒト化抗体を含む。
天然に生じる抗体(IgG、IgM、IgD等)は、ジスルフィド結合で相互に繋がった2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖である、4つのポリペプチド鎖を含む。本明細書で使用される用語抗体はまた、一又は複数の抗体鎖をコードする核酸を細胞中で発現させることにより産生された組換え抗体を含む(例えば、米国特許第4,745,055号、米国特許第4,444,487号、国際出願第88/03565号、欧州出願第256,654号、欧州出願第120,694号、欧州出願第125,023号、Faoulkner et al., Nature 298286, 1982; Morrison, J. Immunol.123793, 1979; Morrison et al., Ann Rev. Immunol. 2239, 1984を参照されたい)。
用語抗体はまた、天然に生じる抗体又は組換え抗体の抗原結合断片を含む。用語抗体に包含される結合断片の具体的、非限定的例は、Fab、 (Fab’)、Fv、及び単一鎖Fv(scFv)を含む。Fabは、抗体全体を酵素パパインで消化することにより、完全な軽鎖及び1つの重鎖の部分として得られて産生されるか又は遺伝子操作により等価的に産生される一価の抗原結合抗体分子断片である。Fab’は、抗体全体をペプシンで処理し、次いで還元により得られる抗体分子断片であり、完全な軽鎖及び重鎖の部分として得られ、抗体分子あたり2つのFab’断片が得られる。(Fab’)2は、抗体全体を、続く還元をしないで酵素ペプシンで処理して得られるか又は遺伝子操作により等価的に得られる抗体断片である。F(Ab’)2は、ジスルフィド結合により一緒に保持された2つのFAb’のダイマーである。Fvは、2本鎖として発現される軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域を含む遺伝子操作断片である。一本鎖抗体(「SCA」)は、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む、遺伝子的に融合された単一鎖分子として適切なポリペプチドリンカーにより連結された遺伝子操作分子である。これらの断片の作製法は当該分野でルーチンである。
色素原: ピグメント又は色素等の着色産物へ変換可能な物質である。特定の色素原は電子供与体であり、酸化されると着色産物になる。着色産物の産生と、酸化等の化学変換で不溶性になるという性質は、色素原をIHCに対して有用なものにする。発色化合物の特定の例としては、限定するものではないが、3,3'-ジアミノベンジジン(DAB)、4−ニトロフェニルリン酸(pNPP)、ファストレッド(fast red)、ファストブルー(fast blue)、ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2'-アジノ-ジ(3−エチルベンゾチアゾリンスルホン酸(ABTS)、o−ジアニシジン、4ークロロナフトール(4−CN)、ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、o−フェニレンジアミン(OPD)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイル−βーガラクトピラノシド(X−Gal)、メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド(MU−Gal)、p−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(PNP)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイル−βーD−グルクロニド(X−Gluc)、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー、及びテトラゾリウムバイオレッドを包含する。
接触: 一つの薬剤をもう一つの薬剤の近傍に置くことにより、薬剤が相互作用することを可能にすることである。例えば、抗体を、生物学的試料を含有する顕微鏡スライド又は他の表面に適用することにより、該抗体により特異的に認識される試料中のタンパク質を検出することを可能にすることができる。
クリゾチニブ: ALKを強力に阻害するレセプターチロシンキナーゼ阻害剤である。クリゾチニブ(PF-02341066又はXALKORI, Pfizerとしても知られる)は、経口利用可能な、ALK及びc−Met/HGFRチロシンキナーゼ及びそれらの発癌性変異体のATP競合性低分子阻害剤である。例えば、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組込まれる、米国特許第7,230,098号、米国特許第7,825,137号、米国特許第7,858,643号、及び米国特許第8,217,057号を参照されたい。クリゾチニブは、ALK陽性NSCLCを持つ患者の治療に使用することができる。
検出: 媒介物(agent)の存在又は不在を決定することである。幾つかの実施態様において、これは定量をさらに含むことができる。例えば、特定のタンパク質(ALK等)に対して特異的な抗体は、NSCLC組織を含有する試料等の、試料中のタンパク質を検出可能にする。特定の実施態様において、検出可能な標識(標的が存在する場合のシグナルの増加等)からの放出シグナルが検出される。検出はバルクでも可能で、巨視的数の分子が同時に観察され得る。検出はまた、顕微鏡及び背景ノイズを低減させる全反射照明といった技術を用いた単一分子からのシグナルの同定を含むことができる。
標識: 例えば、分光光度法、フローサイトメトリー、又は顕微鏡(光学顕微鏡等)によって検出可能な試薬である。例えば、一又は複数の標識を抗体に付着させて、それにより標的タンパク質の検出を可能にすることができる。例示的標識は、放射性同位元素、フルオロフォア、リガンド、化学発光剤、ハプテン、酵素、及びそれらの組み合わせを含む。
非小細胞肺癌(NSCLC): 小細胞肺癌以外の任意のタイプの肺癌である。NSCLCは、扁平上皮細胞癌(SQCC)、腺癌(ADC)、及び大細胞癌を含む。ADCと大細胞癌の両方が、非扁平上皮細胞タイプの癌として分類されている。ADCがは、腺房癌、乳頭癌、気管支肺胞癌(BAC)、固形癌、及び混合亜型を含むサブクラスへグループ化できる(2004 World Health Organization classification of lung tumors, Beasley et al., Semin.Roentgenol.4090-97, 2004)。ADCは、全肺癌の約40%に及び、喫煙したことのない個人の間で最も一般的な形態の肺癌である。ADCは、非扁平上皮タイプのNSCLCとして分類されている。組織学的には、ADCは腺形成、乳頭構造、又はムチン産生を伴う固形成長を示す。大細胞癌は、巨細胞腫瘍、明細胞癌、腺扁平上皮癌、及び未分化癌を含む。
正常細胞又は組織: 非腫瘍、非悪性細胞及び組織である。
試料: 被験者から得た、ゲノムDNA、RNA(mRNAを含む)、タンパク質、又はそれらの組合わせを含む生物学的標本である。例としては、例えば、組織又は腫瘍生検、細針吸引物、気管支肺胞洗浄液、胸水、痰、手術標本、リンパ節、NSCLC転移、末梢血、又は剖検材料等の少なくとも1個のNSCLC細胞(「NSCLC試料」)を含有する標本が含まれる。他の例において、試料は非NSCLC細胞又は組織等の対照試料を含む。
感度及び特異性: 2値分類試験のパフォーマンスの統計的測定である。感度は、正確に同定された現実の陽性の比率(FISH等の別の方法によりALK陽性と同定されるALK陽性であると同定されるべきNSCLC腫瘍の百分率等)を測定する。特異性は、陰性の比率(FISH等の別の方法によりALK陰性と同定されるALK陰性であると同定されるNSCLC腫瘍の百分率等)を測定する。
被検体: ヒト及び獣医学的被検体等の非ヒトほ乳類を含むカテゴリーの、多細胞脊椎生物である。特定の例において、被検体は、NSCLC等の、肺癌を持つか又は肺癌を持つと推測される者である。
治療的有効量: 進行の抑制、増悪の遅延、又は疾患の減弱、又は例えば肺癌(NSCLC等)等の癌等の疾患により引き起こされる症状の低減に十分な用量である。
〜に十分な条件下: 所望の活性を許容する任意の環境を記載するのに用いられる語句である。例には、試料中の一又は複数の標的分子(ALK等)の検出を可能にするのに十分に抗体をNSCLC試料と接触させることが含まれる。
III. ALK阻害剤に応答する可能性が高い腫瘍を持つとして被検体を同定する方法
本明細書は、ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ、を用いる治療に応答すると予測されるNSCLCを持つとして被検体を同定する方法の実施態様を開示する。実施態様は、免疫組織化学(IHC)を用いてNSCLC腫瘍細胞をALK陽性と又はALK陰性と同定すること及び本明細書に開示の方法をスコア化することを含む。NSCLC腫瘍がALK陽性と同定された場合に、被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が高いか又は応答すると予測されるNSCLCを持つと同定され、NSCLC腫瘍がALK陰性と同定された場合に、被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が低いか又は応答しないと予測されるNSCLCを持つと同定される。
ALK阻害剤を用いた治療のためのNSCLCを持つ被検体を選択するための現在の方法は、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)アッセイを利用して被検体の腫瘍がALK陽性であるか否かを決定することに基づいている。しかしながら、FISHは、本明細書に開示の方法と比較して幾つかの不利点を提示する。FISHアッセイは、より時間がかかり、より高価で且つ、本明細書に開示の方法等、IHC法よりも結果の解釈に実質的により専門的な専門性を要する。加えて、本明細書に開示の方法は、NSCLC腫瘍を高感度及び高特異性で、ALK陽性又はALK陰性と同定する「2値」スコア化法を提供する。
ALK陽性NSCLCの迅速且つ正確な同定(例えば、腫瘍中にALK遺伝子再配置を持つ、及び/又はALKを発現する)は、患者のケアを先導するのに重要である。ALK阻害剤(クリゾチニブ)を用いて治療された、ALK陽性NSCLCを持つ被検体は、50%より高い全体的応答率を示した (e.g., Kwak et al., N. Engl. J. Med.3631693-1703, 2010; Shaw et al., Lancet Oncol.121004-1012, 2011)。NSCLCにおけるALK遺伝子再配置は、約2−7%の頻度を有すると推定されている。従って、ALK陽性NSCLCの正確な同定は、ALK阻害剤治療から利益を受ける可能性が高い被検体を選択するのに必要である。しかしながら、現在使用されているFISH「ブレーク・アパート」アッセイは、試料解釈において、顕著なチャレンジを提示する。例えば、染色体内遺伝子再配置は、潜在的に偽陰性の結果を導く、不安定な、検出困難な、分割したシグナルを産生する。加えて、FISHアッセイは、50個の核に対するシグナルパターンの列挙を要求する。50細胞中5を下回る細胞が陽性である場合、試料はALK陰性であるとみなされ、50細胞中25を超える細胞が陽性である場合、試料はALK陽性であるとみなされる。しかしながら、5−25の陽性細胞が存在する場合、試料は多義的であり、第2の読み取り者が要求される;次いで、平均パーセント細胞が15%以上の場合、試料はALK陽性であるとみなされる。このように、FISHアッセイは、時間がかかり費用追加的な試験を必要とさせる、相当数の「多義的」結果を産生することがある。さらに、最小腫瘍含量要求を満たさない場合、試料はFISHにより試験されないため、細針吸引物又はFFPE組織学的試料等の多くの症例標本はFISHにより試験されることはない。最後に、FISHは、約10−30%の不成功率を有し、多くの標本がALK結果を持つことがなく、ALK陽性被検体が見過ごされ、最適な治療を得ることがない。
対照的に、開示された実施態様は、ALKのIHC検出を利用する。IHC法は、迅速で、解剖学的病理学研究室においてルーチンであり、光学顕微鏡を利用し(専用の暗視野蛍光顕微鏡を要するFISHと比較して)、FISHより安価であり、解釈に専用の専門性を要求しない。加えて、開示された実施態様は自動化することができ、これは標準化された染色を提供し、アッセイの感度と特異性をさらに改善させる。開示されたIHC法のもう一つの利点は、事前に特定された腫瘍細胞含量要求がない(一方、FISHアッセイは少なくとも50の腫瘍細胞を要求する)ことである。加えて、開示されたIHC法は、病理学者又は読み取り者に(FISH法と対照的に)組織試料全体を評価することを可能にする。FISHに関しては、腫瘍を含有すると同定された試料の部分だけがFISH試薬と接触させられる。従って、ALKが組織上の異なる腫瘍領域に存在する場合、これは同定されないであろう。対照的に、開示された方法は、組織試料全体の文脈において、読み取り者にスライド上の腫瘍全体をみることを可能にする。最後に、本明細書に開示のスコア化法は、「2値」(陽性又は陰性)であり、従って明確な結果を提供する。ALK陽性NSCLC腫瘍検出のための以前のIHC法ですら、追加の試験を要求する不明確な結果を頻繁に生じさせ (例えば、Yi et al., J. Thorac.Oncol.6459-465, 2011)、又は半定量的なグレードの染色強度と免疫反応性腫瘍細胞の百分率の推定 を利用している(例えば、Mino-Kenudson et al., Clin.Cancer Res.161561-1571, 2010)。しかしながら、開示されたIHC法とスコア化法は、少しの腫瘍細胞(又は1つの腫瘍細胞のみでさえ)がALK抗体で強い顆粒状の細胞質染色を示す場合でさえ、NSCLC腫瘍の高感受性且つ特異的同定を提供する。
A. ALKの検出
特定の例において、被検体から得た試料は分析され、一又は複数の腫瘍細胞における検出可能なレベルのALKタンパク質等、これがALKタンパク質を含有するか否かが決定される。このように、試料は試料中のALKタンパク質の存在を検出又は測定、例えば、定量的又は半定量的測定されることができる。特定の例において、開示された方法は、試料中の腫瘍細胞におけるALKタンパク質の存在の定量的測定を利用する。
開示された実施態様は、IHCを利用して、被検体からの試料中のALKタンパク質を検出する。IHCは、抗原と抗体等の特異的結合薬剤との相互作用を検出することにより、試料(例えば、NSCLC腫瘍細胞又は組織を含む組織の部分又は切片等のNSCLC試料等)における抗原(タンパク質等)の存在又は分布を決定する方法である。抗原(標的抗原等)を含有する試料は、抗体−抗原結合を許容する条件下抗体とインキュベートされる。抗体−抗原結合は、抗体にコンジュゲートされた検出可能な標識によって(直接的検出)又は、1次抗体に対して生じさせた2次抗体にコンジュゲートされた検出可能な標識によって(間接的検出等)検出することができる。間接的検出の他の例において、抗体−抗原結合は、2次抗体に結合可能な3次抗体(2次抗体に対して生じさせた、又はハプテン等の2次抗体にコンジュゲートされた分子に対して生じさせた)にコンジュゲートされた検出可能な標識によって検出される。IHCに使用することができる例示的な検出可能な標識は、限定されないが、放射性同位元素、蛍光色素(フルオレセイン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、及びローダミン等)、ハプテン、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリフォスファターゼ等)及び色素原(3,3'-ジアミノベンジジン(DAB)又はファストレッド等)を含む。幾つかの例において、抗体−抗原結合はまた、シグナル増幅(チラミドシグナル増幅又は関連法)を含む。シグナル増幅法は、米国特許公開第2012/0171668号に記載の方法を含んでもよく、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
幾つかの例において、特異的結合剤は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体、又はその断片等の抗体である。幾つかの例において、抗体はヒト化抗体である。幾つかの例において、抗体はキメラ抗体である。所望の場合、抗体は、標的タンパク質/抗体複合体の検出を許容する、及び幾つかのケースにおいては標的タンパク質/抗体複合体の定量を許容する検出可能な標識を含有することができる。他の例において、抗体は適切に標識された2次抗体を用いて検体される。追加の例において、抗体は適切に標識された3次抗体を用いて検体される。
幾つかの例において、ALKに対する抗体は、Ventana Medical Systems, Inc. (Tucson, AZ)から得られる。特定の例において、抗体は、抗ALK D5F3ウサギモノクローナル抗体(Ventana、カタログ番号790-4794)である。しかしながら、当業者は、限定されないが、抗ALK 5A4抗体(Abcam, Cambridge, MA; Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)、抗ALK ALK1抗体(Dako, Carpinteria, CA)、及び抗ALK D9E抗体(Cell Signaling Technology, Danvers, MA)を含む、他の供給源から、本明細書に提供される方法に使用することができる他の抗体が商業的に利用可能であることを理解する。当業者は、現在利用可能であるか又は将来開発されるものを含む、本開示の方法に使用することができる追加の抗ALK抗体を選択することができる。
幾つかの例において、肺癌試料(NSCLC腫瘍組織を含む試料等)が得られ、IHCのために処理される。例えば、試料は固定され、例えば、ホルマリン及びパラフィンで包埋される。試料は次いで、顕微鏡ガラススライド等の支持体上にマウントされる。例えば、試料は連続の薄い切片にスライスされ(例えば、マイクロトームを使用して)、切片は顕微鏡スライドにマウントされる。幾つかの例において、単一のスライドは同じ肺癌試料からの多数の組織切片を含むか、又は同じ肺癌試料からの切片は異なるスライド上に置かれることができる。肺癌(NSCLC腫瘍等)試料の異なる切片は次いで、個々に異なる抗体、例えば、抗ALK抗体とネガティブコントロール抗体(例えば、試料中の内在的抗原に特異的に結合しない抗体)を用いて標識されることができる。つまり、1つの切片が抗ALK抗体を用いて標識され、もう1つの切片がネガティブコントロール抗体(試料中に内在的に生じることのない標的に結合する抗体等)を用いて標識されることができる。幾つかの例において、抗ALK抗体(又はネガティブコントロール抗体)を用いて標識されたスライドはまた、(例えば、試料中の細胞タイプを区別する等の形態学的又は組織学的情報を提供するのに)ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)を用いて染色される。他の例において、同じ被検体からの別のスライドは、H&Eを用いて標識される(同じNSCLC試料からの連続切片等)。幾つかの例において、さらなる抗体(例えば、抗EGFR抗体、抗RAS抗体、及び/又は抗HER2抗体)を用いて標識することにより、同一の又は追加の組織試料において、追加の対象タンパク質が検出され得る。幾つかの例において、自動化スライドステイナー(例えば、BENCHMARK XT又はBENCHMARK GX装置等の、Ventana Medical Systemsから入手するBENCHMARK装置等)を使用して、スライドを染色し処理することができる。
幾つかの例において、試料においてALKタンパク質を検出することは、抗ALK抗体の試料への結合の間接的検出を含む(例えば、抗ALK(1次)抗体は検出可能に標識されていない)。例えば、試料は、抗ALK抗体(抗ALK D5F3抗体等)と、抗ALK抗体が試料中のALKタンパク質に結合するために十分な条件下、接触させられる。試料は次いで、抗ALK抗体と特異的に結合することができる2次抗体(抗ALK抗体がウサギ抗体である場合、抗ウサギ抗体等)と、2次抗体が抗ALK抗体に結合するのに十分な条件下、接触させられる。2次抗体は検出可能に標識されることができる。検出可能な標識は、2次抗体にコンジュゲートされることができる。幾つかの例において、2次抗体にコンジュゲートされた検出可能な標識は、直接的に検出される(蛍光標識、又は、適切な基質の存在において検出可能な反応産物を産生することができる酵素等)。他の実施態様において、2次抗体は、一又は複数のハプテン(フルオレセイン、ジニトロフェニル、ビオチン、又は3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸(HQ)等)とコンジュゲートされる。試料は次いで、ハプテンでコンジュゲートされた2次抗体と特異的に結合することができる3次抗体(例えば、抗HQ抗体等の抗ハプテン抗体)と、3次抗体がハプテンに結合するのに十分な条件下、接触させられる。幾つかの例において、3次抗体は、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、又はアルカリフォスファターゼ(AP))等の検出可能な標識にコンジュゲートされる。試料は次いで、酵素存在下で検出可能な反応産物を産生する一又は複数の試薬と接触させられる。幾つかの例において、試料は、HRP基質(過酸化水素等)及びHRP存在下で視覚的に検出可能な産物を産生する色素原(DAB等)と接触させられる。幾つかの例において、試料中のALKタンパク質の検出は、OPTIVIEW DAB IHC検出キット(Ventana Medical Systems, Inc., Tucson, AZ, カタログ番号760-700)を使用して行われる。
さらなる例において、試料中のALKタンパク質の検出は、シグナル増幅を含む間接的検出を含む。幾つかの例において、シグナル増幅は、シグナル増幅なしでは弱い染色しか示さないALK陽性標本の明確な検出を可能にする。IHCのためのシグナル増幅法は、当業者に既知である。幾つかの例において、シグナル増幅は、Tyramide Signal Amplification (TSA(商標))としても知られる、CAtalyzed Reporter Deposition (CARD)を含む。この方法の一変法において、酵素でコンジュゲートされた2次抗体(HRPがコンジュゲートされた2次抗体等)が1次抗体に結合する。次いで、ビオチン化チラミドの基質(チラミンは4 - (2 - アミノエチル)フェノールである)が使用され、それはHRP酵素と相互作用すると、恐らくフリーラジカルになる。フェノール性ラジカルは次いで迅速に周辺の物質と反応し、従って、近傍にビオチンを沈着させるか又は固定する。このプロセスはさらに基質(ビオチン化チラミド)を与え、さらに局所性ビオチンを増大させることにより繰り返される。最後に、「増幅された」ビオチン沈着物が蛍光性分子へ結合したストレプトアビジンで検出される。あるいは、増幅されたビオチン沈着物は、アビジン-ペルオキシダーゼ複合体で検出することができ、その後DABと接触させられ茶色を生成する。
他の例において、シグナル増幅は、試料をHRPでコンジュゲートされた3次抗体と接触させた後に、1次抗体が試料に結合した部位又はその近傍にHQが沈着するのに十分な条件下、試料を過酸化水素及びチラミド−HQコンジュゲートと接触させることを含む。試料は次いで、HQに特異的に結合する、酵素でコンジュゲートされた抗体(HRP又はAPでコンジュゲートされた抗体等)と接触させられる。幾つかの例において、この酵素でコンジュゲートされた抗体は、HRPでコンジュゲートされた3次抗体と同一である。他の例において、酵素でコンジュゲートされた抗体は、HRPでコンジュゲートされた3次抗体とは異なる抗体である。試料は次いで、酵素存在下で検出可能な反応産物を産生する一又は複数の試薬と接触させられる。幾つかの例において、試料は、HRP基質(過酸化水素等)及びHRP存在下で視覚的に検出可能な産物を産生する色素原(DAB等)と接触させられる。幾つかの例において、シグナル増幅は、OPTIVIEW Amplification Kit (Ventana Medical Systems, Inc., Tucson, AZ, カタログ番号760-099)を使用して行われる。
B. ALK陽性又はALK陰性としての試料のスコア化
ALK陽性又はALK陰性としての試料のスコア化には、検出可能に標識されたALKを有するNSCLC試料(例えば、一又は複数のスライド、1、2、3、4、又は5スライド等)が使用される。幾つかの例において、NSCLC試料は、ALKに対して特異的な抗体及び適切に標識された2次及び/又は3次抗体を用いて、例えば、上記セクションAに記載されたように、標識されることができる。非限定的一例において、OPTIVIEW DAB IHC Detection Kit 及びOPTIVIEW Amplification Kit が、製造元の指示書に従って使用される(Ventana Medical Systems, Inc., それぞれ、カタログ番号760-700及び760-099)。
抗ALK標識NSCLC試料(又はそのデジタル画像)は、(例えば、光学顕微鏡を用いて又は用いずに)、例えば、病理学者により、視覚的に検査される。幾つかの例において、試料全体(組織切片全体等)が、例えば、光学顕微鏡を使用して、例えば、約2x〜20x倍率で、視覚的に検査される。他の例において、少なくとも1つの視野(少なくとも2、3、4、又は5つの異なる視野等)が、視覚的に検査される。視野は、切片全体又は切片のデジタル画像よりも小さい、顕微鏡により分析されるべき試料(例えば、組織切片)の領域である。幾つかの例において、2x、5x、10x、20x、40x、又は60x倍率(2x〜20x倍率等)で視認可能な試料の領域である。
開示された方法は、腫瘍をALK陽性又はALK陰性であるとして同定(例えば、スコア化)して、例えば、ALK阻害剤に対するNSCLCの応答可能性等の、予後情報を提供するのに使用することができる。腫瘍(例えば、腫瘍性)細胞は、腫瘍細胞におけるALKタンパク質の発現を示す、検出可能な標識(染色)の存在を評価される。腫瘍細胞における(腫瘍細胞の任意の百分率)強い顆粒性染色の存在を有する試料は、ALK陰性であると同定又はスコア化される。抗ALK抗体を用いて標識された試料中の少なくとも1つの腫瘍細胞(2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、又はより多くの腫瘍細胞等)における強い顆粒性細胞質染色は、ALK陽性試料としてスコア化される。例えば、抗ALK抗体を用いて標識された試料中の約1-100,000細胞(10-100,000細胞、1000-100,000細胞、1000-50,000細胞、10,000-50,000細胞、10-50,000細胞、500-50,000細胞、又は約1000-10,000細胞等)における強い顆粒性染色は、ALK陽性試料としてスコア化される。幾つかの例において、強い顆粒性細胞質染色は、腫瘍の腫瘍性部分にわたって均一に分布する。他の例において、強い顆粒性細胞質染色は、腫瘍の腫瘍性部分にわたって不均一に分布する。いずれかの例において、腫瘍の腫瘍性部分における(少なくとも一又は複数の腫瘍細胞における等)強い顆粒性細胞質染色は、ALK陽性としてスコア化される。
抗ALK抗体を用いて標識された試料における少なくとも1つの腫瘍細胞に強い顆粒性細胞質染色が存在しない場合、試料はALK陰性試料としてスコア化される。幾つかの例において、試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する腫瘍細胞がない限り、腫瘍細胞において、細胞質染色を有さない(例えば、バックグラウンド又はネガティブコントロールのレベルを超える染色がない)、弱い細胞質染色を有する、及び/又は中間的細胞質染色を有するNSCLC試料は、ALK陰性試料としてスコア化される。試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在する(この場合、試料はALK陽性としてスコア化される)のでなければ、弱い細胞質染色及び/又は中間的細胞質染色を任意の数の腫瘍細胞に有するNSCLC試料は、ALK陰性としてスコア化される。
染色強度(例えば、半定量的IHC法)の決定法は、当業者に知られている。幾つかの例において、強い顆粒性細胞質染色は、当業者により「3+」強度の染色として同定される一又は複数の腫瘍細胞の染色を含む(例えば、バックグラウンドを超える染色がない場合に0の、弱い強度の染色に1+の、中間的強度の染色に2+の、強い強度の染色に3+のスケールを利用して)。従って、幾つかの例において、3+(強い染色等)の細胞質染色強度を有する少なくとも1つの細胞の存在は、ALK陽性試料であるとみなされる。幾つかの例において、試料中に強い顆粒性細胞質染色(3+染色強度等)を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在しない限り、任意の数の腫瘍細胞での、当業者によって1+(弱い染色等)又は2+(中間的染色等)として同定される細胞質染色の試料における存在は、ALK陰性試料としてスコア化される。
当業者は、例えば、形態学的及び/又は組織学的特徴に基づいて、腫瘍性である(腫瘍細胞)試料の部分及び正常組織又は細胞である試料の部分を同定することができる。幾つかの例において、試料(例えば、抗ALK抗体を用いて標識された同一の試料又は近接の組織切片)は、H&Eを用いて染色され、組織及び細胞の形態を同定することを支援する。
開示された方法の幾つかの例において、一又は複数の壊死腫瘍領域が標識された試料に存在し得る。抗ALK抗体を用いた壊死腫瘍領域又は壊死腫瘍細胞(例えば、保存された細胞の輪郭の有無にかかわらず、核の欠失及び炎症性浸潤を伴う腫瘍領域)の染色は、腫瘍細胞の陽性染色であるとはみなされず、腫瘍細胞の強い顆粒性細胞質染色の評価から排除される。試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在しない限り、壊死腫瘍細胞又は領域の如何なる強度の染色(強い強度の染色を含む)を有する試料もALK陰性であるとみなされる。
開示された方法の他の例において、非腫瘍細胞又は細胞要素の染色は、たとえ強い顆粒性細胞質染色であっても陽性染色であるとはみなされず、試料の評価から排除される。例えば、神経由来の細胞(神経細胞及び/又は神経節細胞等)は、ALKを発現することが知られている(例えば、Iwahara et al., Oncogene 14439-449, 10997)。従って、神経又は神経節(又は神経由来の他の細胞)の染色は、試料の評価には含まれない。試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在しない限り、神経由来の細胞の如何なる強度の染色を有する試料もALK陰性であるとみなされる。
追加の例において、正常粘膜又は腺上皮細胞の染色(たとえ強い顆粒性細胞質染色であっても)は、ALK陽性染色であるとはみなされず、試料の評価から排除される。試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在しない限り、正常粘膜又は腺上皮細胞の如何なる強度の染色を有する試料もALK陰性であるとみなされる。同様に、肺胞のマクロファージの抗ALK染色(例えば、薄い顆粒状細胞質点刻)又は浸潤リンパ球の抗ALK染色は、ALK陽性染色であるとはみなされず、試料の評価から排除される。試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在しない限り、肺胞のマクロファージ又は浸潤リンパ球の如何なる強度の染色を有する試料もALK陰性であるとみなされる。
さらなる例において、ムチンは抗ALK抗体により染色されるが、ALK陽性染色であるとはみなされず、試料の評価から排除される。試料中に強い顆粒性細胞質染色を有する少なくとも1つの腫瘍細胞が存在しない限り、ムチンの如何なる強度の染色を有する試料もALK陰性であるとみなされる。
幾つかの例において、スコア化法は、抗ALK標識NSCLC試料を抗ALK抗体で標識された一又は複数のコントロール(例えば、NSCLC試料として同じIHC施行でアッセイされたコントロール)と比較することを含む。幾つかの例において、コントロールは、ALK陽性であることが知られている細胞(例えば、H228細胞)を含有する試料等、陽性コントロールを含む。他の例において、コントロールは、ALK陰性であることが知られている細胞(例えば、Calu−3細胞)を含有する試料等、陰性コントロールを含む。幾つかの例において、陽性及び/又は陰性コントロール試料は、アッセイ試薬及び装置の適切な機能を確保するためのシステムレベルのコントロールである。一例において、コントロールは、陽性及び陰性コントロールの両方を含む(例えば、ALK 2 in 1 Control Slides, Ventana Medical Systems, Inc., カタログ番号781-4796)。
他の例において、陰性コントロールは、陰性コントロール抗体を用いて染色されたNSCLC試料を含む。幾つかの例において、陰性コントロール抗体は、NSCLC試料には内在的に存在しない標的抗原に特異的に結合する抗体である。幾つかの例において、陰性コントロール抗体は、モノクローナル抗体等の免疫グロブリンである。陰性コントロール抗体を用いた染色は、被検体からの試料におけるバックグラウンド染色のレベルを評価するのに使用することができる。幾つかの例において、陰性コントロール抗体を用いて染色されたNSCLC試料は、抗ALK抗体を用いて染色された試料と同一の被検体から得たNSCLC試料(該試料の近接又は連続切片等)である。他の例において、陰性コントロール抗体を用いて染色されたNSCLC試料は、抗ALK抗体を用いて染色された試料とは異なる被検体からのものである。
C. 試料
被検体から生物学的試料を取得する方法は、当業者に知られている。例えば、肺組織又は肺細胞を取得する方法は、ルーチンである。例えば、細胞材料を含有する肺腫瘍からの試料は、全腫瘍又は腫瘍の一部の外科的切除により、腫瘍から細針吸引物を収集することにより、並びに当該分野で既知の他の方法により取得することができる。幾つかの例において、試料はNSCLCを持つか又は持つことが疑われる被検体から取得することができる。特定の例において、被検体から取得した試料は、少なくともNSCLC腫瘍部分等のNSCLC腫瘍細胞を含む。幾つかの例において、被検体からの試料はまた、正常(非腫瘍等)組織又は細胞を含む。
試料は収集後固定により処理され、幾つかの例においてはワックス(パラフィン等)で包埋される。マウントされた細胞及び組織調整物のための固定液は当該分野でよく知られており、限定されないが、以下を含む: ホルマリン固定液、95%アルコール性Bouin’s固定液、95%アルコール固定液、B5固定液、Bouin’s固定液、Karnovsky’s固定液(グルタルアルデヒド)、Hartman’s固定液、Hollande’s固定液、Orth’s溶液(ジクロメート固定液)、及びZenker’s固定液(Carson, Histotechology A Self-Instructional Text, ChicagoASCP Press, 1997等を参照されたい)。ALK染色強度は、特定の固定液(95%アルコール、AFA,B5、又はPrefer等)が使用された場合に減少する。ALK染色はまた、組織試料が収集の短時間以内に固定されなかった場合又は十分な時間で固定されなかった場合にも減少し得る。特定の例において、試料は中性平衡化ホルマリン(10%中性平衡化ホルマリン等)又は亜鉛ホルマリン中で固定される。幾つかの例において、試料は少なくとも約6時間(例えば、約6〜48時間、12〜24時間又は約6、12、16、18、24、36、又は48時間)固定される。追加の例において、試料は、収集の6時間以内(例えば、約15分、30分、1、2、3、4、5、又は6時間以内)に固定液に置かれる。
幾つかの例において、試料は、NSCLC腫瘍を含む固定され、ワックスで包埋された肺組織試料等の、固定され、ワックスで包埋された肺組織試料である。幾つかの例において、試料は、ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)で染色されたNSCLC腫瘍を含む肺組織切片である。幾つかの例において、試料は、直接的又は間接的(標識2次抗体等)に標識されてもよく、幾つかの例においてはさらにH&Eで染色される、ALKに対して特異的な1次抗体で標識されたNSCLC腫瘍を含む肺組織切片である。
幾つかの例において、試料(又はその断片)は、固体支持体上に存在する。固体支持体は、生物学的試料を有し、試料中のコンポーネント(タンパク質等)の便利な検出を可能にする。例示的支持体又は物質は、スライド(ガラス顕微鏡スライド又はプラスチック顕微鏡スライド等)、カバースリップ(ガラスカバースリップ又はプラスチックカバースリップ等)、組織培養皿、マルチウェルプレート、膜(ニトロセルロース又はポリビニリデンフルオリド(PVDF))又はBIACORE(商標)チップを含む。
D. 治療法
開示された実施態様は、例えば、被検体からの試料がALK陽性とスコア化された場合に、ALK阻害剤で治療するための被検体を選択することをさらに含むことができる。加えて、開示された方法は、被検体からの試料がALK陽性とスコア化された場合に、被検体にALK阻害剤を投与することをさらに含むことができる。
幾つかの例において、ALK阻害剤は、クリゾチニブ(Pfizer, New York, NY)、AP26113 (Ariad Pharmaceuticals, Cambridge, MA)、 CH5424802 (Chugai Pharmaceutical, Tokyo, Japan)、 LDK378 (Novartis, Basel, Switzerland)、ASP3026 (Astellas Pharma, Northbrook, IL)、 X-396 (Xcovery, West Palm Beach, FL)、 又はレタスピマイシン(retaspimycin) (Infinity Pharmaceuticals, Cambridge, MA)等の低分子阻害剤である。追加のALK阻害剤は、3-39 (Novartis),、GSK1838705A (GlaxoSmithKline, Boston, MA)、及びCEP-28122 (Cephalon, Frazer, PA)を含む。別の例において、ALK阻害剤は、ヒト化抗ALK抗体等の抗ALK抗体である。
幾つかの例において、開示された方法は、被検体(ALK陽性NSCLCを持つ被検体等)に治療的有効量のALK阻害剤を提供することを含む。係る薬剤及び治療の方法及び治療的用量は、当業者に知られており、例えば、熟練した臨床家によって決定されることができる。非限定的例において、治療的有効量のクリゾチニブは、ALK陽性と同定されたNSCLC腫瘍を持つ被検体に投与される。幾つかの例において、クリゾチニブの治療的有効量は、約50-2000 mg/日(約50、100、150、200、250、300、400、500、600、700 ,800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000 mg/日)であることができ、1日あたり一又は二用量で経口的に投与される。幾つかの例において、方法は、被検体からの試料がALK陽性とスコア化された場合に、200mgのクリゾチニブを1日あたり1又は2回被検体に経口的に投与することを含む。他の例において、方法は、被検体からの試料がALK陽性とスコア化された場合に、250mgのクリゾチニブを1日あたり1又は2回被検体に経口的に投与することを含む。被検体へのクリゾチニブの用量及び投与スケジュールは、腫瘍部位、腫瘍段階、腫瘍グレード、患者の治療履歴、患者行動及び栄養状態、随伴性の健康問題、社会的及びロジスティック因子、以前の原発腫瘍、及び患者の好み等の追加の因子を考慮して、熟練した臨床家により決定されることができる。クリゾチニブは、連続的投与スケジュールで又は一又は複数のサイクル(例えば、21〜28日の一又は複数のサイクル)で投与されてもよい。サイクルで投与される場合、治療は21〜28日ごとに反復されてもよい。
幾つかの実施態様において、被検体はまた、ALK阻害剤と併用して一又は複数の追加の化学療法剤を投与される。追加の化学療法剤は以下を含むが、これらに限定されるものではない:ナイトロジェンマスタード類(例えば、クロラムブシル、クロルメチン、シクロフォスファミド、イフォスファミド及びメルファラン)、ニトロソウレア類(例えば、カルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン及びストレプトゾシン)、プラチナ化合物(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン及びBBR3464)、ブスルファン、ダカルバジン、メクロルエタミン、プロカルバジン、テモゾロミド、チオテパ、及びウラムスチン等のアルキル化剤;葉酸 (例えば、メトトレキセート、ペメトレキシド(pemetrexed)及びラルティトレキシド(raltitrexed))、 プリン (例えば、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ピリミジン (例えば、カペシタビン)、シタラビン、フルオロウラシル及びゲムシタビン等の代謝拮抗剤;ポドフィラム(podophyllum) (例えば、エトポシド及びテニポシド)、タキサン (例えば、ドセタキセル及びパクリタキセル)、ビンカ (例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビン)等の植物アルカロイド;アンソラサイクリン(anthracycline)ファミリーメンバー (例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ダルビシン、マイトキサントロン及びバルルビシン(valrubicin))、ブレオマイシン、リファンピシン、ヒドロキシウレア及び マイトマイシン等の細胞傷害性/抗腫瘍抗生物質;トポテカン及びイリノテカン等のトポイソメラーゼ阻害剤;アレムツズマブ(alemtuzumab)、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ及びトラスツズマブ等のモノクローナル抗体;アミノレブリン酸、メチルアミノレブリネート、ポルフィマーナトリウム及びベルテポルフィン等の光感受性物質;及びアリトレチノイン、アルトレタミン、アムサクリン、アナグレリド、亜ヒ酸、アスパラギナーゼ、アキシチニブ、ベキサロテン、ベバシズマブ、 ボルテゾニブ、セレコキシブ、デニロイキンジフチトクス、エルロチニブ、エストラムスチン、ゲフィチニブ、ヒドロキシカルバミド、イマチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、ペントスタチン、マソプロコール、ミトタン、ペガスパルガーゼ、タモキシフェン、ソラフェニブ、スニチニブ、ベムラフィニブ、バンデタニブ及びトレチノイン等の他の薬剤。係る薬剤の選択及び治療的用量は、当業者に知られており、熟練した臨床家によって決定されることができる。
他の例において、開示された方法は、手術、放射線治療、及び/又は化学療法剤をALK阻害剤と組合わせ被検体に提供することを含む(例えば、連続的に、実質的に同時に、又は同時に)。係る薬剤と治療の方法及び治療的用量は、当業者に知られており、熟練した臨床家によって決定されることができる。
本開示は、以下の非限定的実施例により説明される。
実施例1
ALK免疫組織化学プロトコル
この実施例は、ALK陽性NSCLC試料の同定のためのALK IHC法を記載する。
ホルマリン固定パラフィン包埋NSCLC組織切片が、抗ALK D5F3ウサギモノクローナル抗体 (Ventana Medical Systems, カタログ番号790-4794)を用いて染色された。各NSCLC試料からの別々の組織切片が、ウサギモノクローナルネガティブコントロールIg(Ventana, カタログ番号790-4795)を用いて染色された。スライドは、ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)でも染色され、形態を区別した。一コントロールスライド中のALK 2(Ventanaカタログ番号781-4796)が、システムレベルの陽性及び陰性コントロールとして使用された。スライドは、表1に示す染色プロトコルを用いて、Ventana BENCHMARK XT自動化スライドステイナー及びOPTIVIEW DAB IHC Detection Kit (Ventana, カタログ番号760-700)及びOPTIVIEW Amplification Kit (Ventana カタログ番号760-099) を使用して染色された。同一のプロトコル及び試薬はまた、Ventana BENCHMARK GX 自動化スライドステイナーを使用しても試験された。
Figure 2015534061
実施例2
免疫組織化学結果の評価
この実施例は、ALK IHC結果を評価又はスコア化して、NSCLC試料がALKに対して陽性であるか又は陰性であるかを決定する例示的方法を記載する。
ALK IHCは、実施例1に記載されるように、抗ALK D5F3抗体を用いて行われた。 ALK IHCアッセイで標識された腫瘍性細胞が、DABシグナルの存在又は不在について評価された。対応する陰性コントロールスライドを使用して、特定の組織要素(肺胞のマクロファージ、神経細胞、腺上皮細胞、リンパ球浸潤物中の細胞)に起因して起こることが知られている非特異的バックグラウンド染色及びバックグラウンド染色の程度を評価した。試料は、表2のスコア化アルゴリズムに基づいて、ALKに対して陽性又は陰性であると決定された。
Figure 2015534061
ALKに対して陽性: 実施例1に記載されたIHCアッセイを用いて染色された陽性のケースは、典型的には、強い、顆粒状細胞質染色を示した。任意の数の腫瘍細胞において強い細胞質染色(従来のIHCスコア化での3+染色等)を有する試料は、陽性とスコア化される。大部分の陽性ケースにおいて、シグナルは、腫瘍の腫瘍性部分にわたり均一なレベルの強度を有して、均一に分布していた。幾つかの陽性ケースにおいて、シグナルは染色強度においてより不均一であった。均一なALK IHC発現の例が図1A及びBに示される。不均一なALK IHC発現の例が図2A−Cに示される。
いくらかのバックグラウンド染色が、NSCLC試料における正常粘膜内、並びに壊死腫瘍領域に観察された。この染色は、ALK陽性染色とは評価されなかった。加えて、染色は、神経細胞(神経又は神経節細胞を含む)、腺上皮細胞、肺胞マクロファージ、及びリンパ球浸潤又はリンパ節への肺転移の細胞においてみとめられた。幾つかの試料において、ムチンの染色もみとめられた。これらの全てが、試料がALK陽性であるか否かを決定する際に排除された。これら排除されるタイプのALK染色の例が、図3(腺上皮細胞染色)、図4A及びB(神経細胞染色)、図5(肺胞マクロファージ染色)、図6A及びB(ムチン染色)、及び図7A及びB(リンパ球染色)に示される。
ALKに対して陰性: 大部分のALK陰性ケースは、対応する陰性コントロールスライドからのバックグラウンド染色を超えるDABシグナルの不在を示した(図8A及びB)。しかしながら、少数のALK陰性ケースは、対応する陰性コントロールスライドからのバックグラウンド染色を超えて検出された弱い、拡散した顆粒状細胞質パターンを示した(図9A及びB)。これらのケースは、ALK陰性ケースの約1〜2%を表すと推定され、確認的FISH解析により陰性であった。
少数のケースにおいて、抗ALK(D5F3)抗体を用いて染色されたスライド上の細胞質染色は、陰性コントロールスライド上におけるよりも顕著であった。しかしながら、これらのケースは強い細胞質染色を示さなかったため、ALK陰性であると決定された(図10A−D)。別の例において、膜/細胞質染色が、抗ALK抗体を用いて染色されたスライドにおいて観察された。この試料は、強い細胞質染色の欠如のため、ALK陰性であると決定された。
実施例3
免疫組織化学結果のFISHとの一致
この実施例は、実施例2に記載されるALK IHCスコア化法と、NSCLC試料のALK状態の決定のためのALKブレーク・アパートFISHとの一致を実証する。
3コホートが使用され、抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル1次抗体からの染色結果を、ALKの臨床的状態の面からALK FISHと比較した。コホートは、切除物、針生検、気管支生検、及び細針吸引物からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)細胞塊を含む、原発性及び転移性腫瘍からのヒトNSCLC組織試料の範囲を含んだ。IHCが実施例1に記載されるように実行された。全研究が、実施例2に記載のスコア化アルゴリズムを使用してスコア化された。ブレーク・アパートFISHデータが、製造者のプロトコルに従い、VYSIS ALK Break Apart FISH Probe Kit (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL) を使用して得られた。
一致研究1
研究は、抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル1次抗体をレトロスペクティブなブレーク・アパートFISHデータ(Cleveland Clinic Foundation)と比較して、外部研究室で行われた。外部サイトは、BenchMark XT装置上で、抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル1次抗体を使用して約100のNSCLC症例を染色した。抗ALK IHCアッセイは、このNSCLC試料コホートで、レトロスペクティブなALKブレーク・アパートFISHデータと98%を超える全体的パーセント一致を実証した。結果を表3及び4に詳述する。100症例のうち、86が、利用可能なFISHデータを有し、ALK IHC結果と比較するのに十分な腫瘍の存在を有した。この研究の組織標本の調整は、固定条件(収集後の固定までの時間、固定時間)について確認されなかった。
Figure 2015534061
Figure 2015534061
一致研究2
研究は、73のNSCLC症例(染色の1週間以内でカット)で、抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル1次抗体をブレーク・アパートFISHデータと比較して、第2の外部研究室で行われた。外部サイトは、実施例1に記載されるように、BenchMark XT装置上で、抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル1次抗体を使用して症例を染色した。VENTANA ALK IHCアッセイは、このNSCLC試料コホートで、レトロスペクティブなALKブレーク・アパートFISHデータと93%を超える全体的パーセント一致を実証した。結果を表5及び6に詳述する。
Figure 2015534061
Figure 2015534061
4つの不一致(FISH陰性、ALK IHC陽性)症例の追加の未染色スライドが、他のALK IHCアッセイを用いて試験された(異なるクローン及び検出システム)。4症例のうち3症例が、検出されたALK IHC染色の点で、抗ALK(D5F3)アッセイと一致した。
FISH結果が未決定又は実施されなかった10症例も存在した。これら症例のうち4つが、抗ALK(D5F3)IHCアッセイ及び他のALKクローンにより陽性であり、6つは、ALK IHCにより陰性であった。FISHにより陽性であったが、IHCで染色するのに十分な試料が利用可能でなかった1症例が存在した。
一致研究3
この研究において、ALKブレーク・アパートFISHプローブ研究に登録されたALK陽性NSCLC患者の進行中のグローバル臨床研究からの約300症例が、抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル抗体アッセイを用いて染色された。約300症例のうち、幾つかが、「FISHによる情報がない」又は「FISHアッセイ実施されず」と分類され、情報的目的のみのために染色されて評価された。試料のFISHデータは、臨床研究に参加している中心的研究室から取得された。
症例は、FISH状態に対して盲検化され、無作為化され、及び染色結果を評価した2人の読み取り者に提供された。結果が、グローバル臨床研究から得られたFISH状態と比較された。ALK IHCのALKブレーク・アパートFISHとの比較結果が、表7に示される。この研究の組織標本の調整は、固定条件(収集後の固定までの時間、固定時間)について確認されなかった。
Figure 2015534061
ALK IHC陽性、ALK FISH陰性であった矛盾した症例
・4症例が、少なくとも1人の読み取り者により、ALK IHC陽性、FISH陰性と評価された。コンセンサスレビューで、これらはIHC陰性と評価すべきであると決定された。これらの症例は、巣状の細胞質/膜染色を有しており、実施例2に記載されたように、陰性であるとみなされる。
・真の矛盾症例とみなされた9つのALK IHC陽性、ALK FISH陰性症例が存在した。
9つの不一致症例のうち、7つが追加のALK診断試験(異なるクローン及び検出システムを使用した分子試験及びIHC試験)に利用可能な未染色スライドを有していた。これらの追加の試験結果は、矛盾症例の大部分が、ALK FISH陰性の場合に、ALK状態に対して陽性IHC評価への支持を表明したことを示した。IHCアッセイの感度を低減させ得る、染色前に3ヶ月を超えたこれら症例のスライドはカットされた。
ALK IHC陰性、ALK FISH陽性であった矛盾した症例
・FISHにより陽性であったが、抗ALK IHCアッセイにより陰性であった、11症例が存在した。これら症例のうち10症例が、分子技術とIHCを用いた追加のALK診断試験に利用可能な未染色スライドを有していた。これらの追加の試験結果は、抗ALK D5F3 IHCアッセイにより陰性であった症例の大部分がまた、別のALK IHCシステムによっても陰性であったが、一又は複数の分子アッセイにより陽性であったことを示した。IHCアッセイの感度を低減させ得る、染色前に3ヶ月を超えたこれら症例のスライドはカットされた。
・このコホートには、FISHによる情報がない(結果が得られなかった)14症例が存在した。これらのうち、3つが、ALK IHCアッセイにより、両方の読み取り者によって、陽性と評価された。加えて、H&Eスライドに基づいたFISHアッセイが実行できなかった(通常、腫瘍含量が不十分であることにより)19症例が存在した。両方の読み取り者が、これらのうち4症例において、ALK IHC染色結果を陽性と評価した。従って、FISH結果が得られなかった平均21%の症例が、抗ALK(D5F3)IHCアッセイにより陽性ALK状態を有していた。
抗ALK IHCアッセイにより得られたALK状態の再現性が決定された。約300症例に対して各読み取り者により得られたALK状態が比較された。結果は、表8に示されるように、抗ALK IHCアッセイ及びスコア化アルゴリズムは、読み取り者間で高度に再現性があることを示す。
Figure 2015534061
結論
抗ALK(D5F3)ウサギモノクローナル1次抗体を用いたIHCは、BENCHMARK XT及びBENCHMARK GXプラットフォーム上での臨床的ALK状態に対する染色結果において、再現性があった。2値スコア化アルゴリズムは、読み取り者にわたり高度に再現性があった。アッセイは、ALK状態に対してALKブレーク・アパートFISH法と一致した。
実施例4
IHCアッセイでの組織処理条件の効果
この実施例は、IHCアッセイでの組織処理条件の変化の効果を記載する。
H288(ALK陽性)細胞株を使用して、SCIDマウスに異種移植腫瘍を生成させた。腫瘍が採取され、様々な時間、異なる固定液で固定され、実施例1に記載されたように抗ALK D5F3抗体を用いて染色された。
10%中性平衡化ホルマリンで少なくとも6時間固定された組織が、最適なALK IHC染色結果を与えた。少なくとも6時間での亜鉛ホルマリン固定もまた、許容可能なALK IHC染色結果を与えた。中性平衡化ホルマリン又は亜鉛ホルマリンでの6時間を下回る固定時間は、ALKに対する顕著に低減した染色強度をもたらした。追加の固定液(AFA、B5、Prefer、及び95%エタノール)も試験されたが、全ての時間点で、顕著に低減したALK染色強度をもたらした。
異種移植試料が採取され、30分から24時間の範囲の時間、未固定におかれ、次いで中性平衡化ホルマリン中で12時間固定された。ALK染色強度は、固定までの時間が6時間を超えて遅延した場合、低減した。
切り出されたが、様々な時間の間、染色されなかった切片もまた、ALK IHC染色に対して評価された。ALK染色強度は、染色前の3ヶ月を超える時点で切り出され室温で貯蔵された切片において低減した。低減した染色強度にかかわらず、ALK陽性症例はいずれもALK陰性へ状態を変更することはなかった。
これらのデータに基づき、採取の約6時間以内に、10%中性平衡化ホルマリン又は亜鉛ホルマリン中で少なくとも約6時間の試料の固定が、最適なALK染色結果のために推奨される。加えて、室温で貯蔵された場合、切片が切り出しの約3ヶ月以内に染色されるならば、染色は最適である。
開示の原則が適用され得る多くの可能な実施形態の観点において、示された実施形態は単なる例であり、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことを認識すべきである。正しくは、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義される。従って、我々はこれらの特許請求の範囲及び精神内に入る全てを我々の発明として主張する。

Claims (23)

  1. 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤での治療に応答する可能性が高い非小細胞肺癌(NSCLC)を持つとして被検体を同定する方法であって、
    被検体からのNSCLC腫瘍細胞を含む試料を抗ALK抗体と接触させること;
    該試料中でALKタンパク質の発現を検出すること;
    ALKに対して陽性又は陰性として試料をスコア化すること;及び
    試料がALKに対して陽性としてスコア化された場合に被検体をALK阻害剤での治療に応答する可能性が高いNSCLCを持つと同定するか又は、試料がALKに対して陰性としてスコア化された場合に被検体がALK阻害剤での治療に応答する可能性が低いNSCLCを持つと同定すること
    を含む方法。
  2. 試料をALKに対して陽性又は陰性としてスコア化することが、
    ALKタンパク質の発現の検出が、試料中の一又は複数の腫瘍細胞に顆粒状の強い細胞質染色の検出を含む場合に、該試料をALKに対して陽性としてスコア化すること;又は
    ALKタンパク質の発現の検出が、試料中の一又は複数の腫瘍細胞に顆粒状の強い細胞質染色の検出を含まない場合に、該試料をALKに対して陰性としてスコア化すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 試料をALKに対して陽性又は陰性としてスコア化することが、試料中の正常な細胞若しくは要素又は腫瘍壊死領域におけるALKタンパク質の発現を検出することを排除することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 試料中の正常細胞が、非腫瘍細胞、神経由来の細胞、肺胞のマクロファージ、腺上皮細胞、又はリンパ球を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 正常な要素がムチンを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 試料が組織生検、細針吸引物、気管支肺胞洗浄液、胸水、又は痰を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 組織生検が、組織切片を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 試料が固定されるものである、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 試料が、試料採集の約6時間以内に、中性緩衝化ホルマリン又は亜鉛ホルマリン中で少なくとも約6時間固定される、請求項8に記載の方法。
  10. 抗ALK抗体が、ウサギ抗ALK D5F3抗体である、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
  11. 試料中のALKタンパク質の発現を検出することが、抗ALK抗体の試料への結合の直接的又は間接的検出を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
  12. シグナル増幅工程をさらに含む、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
  13. 試料を抗ALK抗体に接触させること及び該試料中でALKタンパク質の発現を検出することが、自動化組織ステイナーで行われる、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
  14. 試料をALKに対して陽性又は陰性としてスコア化することが、目視検査を含む、請求項2から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 目視検査が、光学顕微鏡を使用して行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 試料をALKに対して陽性又は陰性としてスコア化することを検出することが、少なくとも一の視野の目視検査を含む、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 被検体からの試料がALKに対して陽性としてスコア化された場合に、ALK阻害剤を用いた治療のために被検体を選択することをさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 選択された被検体に治療的有効量のALK阻害剤を投与することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. ALK阻害剤がクリゾチニブを含む、請求項1から18の何れか一項に記載の方法。
  20. クリゾチニブでの治療に応答する可能性が高い非小細胞肺癌(NSCLC)を持つとして被検体を同定する方法であって、
    (a)被検体からのNSCLC腫瘍細胞を含む試料をウサギ抗ALK D5F3抗体に接触させる工程、
    (b)該試料中でALKタンパク質の発現を検出する工程、ここで、
    (i)試料を抗ALK抗体に結合する3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸にコンジュゲートされた二次抗体と接触させ、
    (ii)試料を3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸に結合する西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされた三次抗体と接触させ、
    (iii)試料を過酸化水素及び3,3'-ジアミノベンジディンテトラヒドロクロリドと接触させ、
    (iv)光学顕微鏡を使用してDAB沈着物を検出すること、を含み、
    (c)試料をALKに対して陽性又は陰性としてスコア化する工程、ここで、
    (i)試料中の一又は複数の腫瘍細胞に顆粒状の強い細胞質染色が存在する場合に、該試料がALKに対して陽性であるとしてスコア化すること、
    (ii)試料中の一又は複数の腫瘍細胞に顆粒状の強い細胞質染色が存在しない場合に、該試料がALKに対して陰性であるとしてスコア化すること、を含み、
    (d)試料がALKに対して陽性としてスコア化された場合に被検体をクリゾチニブでの治療に応答する可能性が高いNSCLCを持つと同定するか又は、試料がALKに対して陰性としてスコア化された場合に被検体がクリゾチニブでの治療に応答する可能性が低いNSCLCを持つと同定する工程
    を含む方法。
  21. 試料中でALKタンパク質の発現を検出することが、工程(b)(ii)後に、
    試料を3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸がALKタンパク質又はその近傍に沈着するのに十分な条件下で、過酸化水素及びチラミドにコンジュゲートされた3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸と接触させること、及び
    試料を3-ヒドロキシキノキサリン-2-カルボン酸に結合する三次抗体と接触させること
    をさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 被検体からの試料がALKに対して陽性としてスコア化された場合に、クリゾチニブを用いた治療のために被検体を選択することをさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
  23. 選択された被検体に治療的有効量のクリゾチニブを投与することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
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