JP2015526881A - 有機電子マトリクス材料のためのp−型ドーパントとしての金属錯体 - Google Patents

有機電子マトリクス材料のためのp−型ドーパントとしての金属錯体 Download PDF

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Abstract

本発明は、有機電子部品におけるマトリクス材料のためのp−型ドーパントとしての、二核又は多核の、Vb/VIb/VIIb族、即ち第5〜7族、の金属錯体であって、少なくとも一つの下記構造(a)の配位子Lを含有する金属錯体に関する。【化1】(a)(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレン、NH又はNR4(R4は、アルキル及びアリールを含んでなる群から選ばれ、R3と結合していてもよい。)であり;R3は、アルキル、長鎖アルキル、アルコキシ、長鎖アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アリーレン、ハロアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ケトアリール、ハロケトアリール、ケトヘテロアリール、ケトアルキル、ハロケトアルキル、ケトアルケニル又はハロケトアルケニルであって、適切な基における一つ以上の隣接していないCH2基は、独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−SiR0R00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO2−、−S−CO−、−CO−S−、−CY1=CY2又は−C≡C−によって、酸素及び/又は硫黄原子がお互いに直接結合しないように、置換されていてもよく、同様に、好ましくは1〜30個の炭素原子を有するアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい(末端CH3基は、CH2−Hという意味で、CH2基と見做される。)。)【選択図】図4

Description

本発明は、有機電子マトリクス材料のためのp−ドーパントとしての二核又は多核の金属錯体の使用に関する。
有機エレクトロニクスにおいて、基本的に、2つの重要な商用技術分野を認定することができる。第一の技術分野は、光を電流に変換し乃至は電流を光に変換するための有機マトリクス材料の使用に関し、第二の技術分野は、有機半導体による電気部品の構築に向けられている。前者の範疇の例は、例えば、図1に図式的に示した、光を電気的信号又は電流に変換する光検出器及び有機太陽電池であり、また、有機電子材料により光を発生することができる有機発光ダイオード(OLED)である(第2図参照)。第2の技術分野においては、例えば、図3に図式的に示した、電極と半導体材料との間の接触抵抗がドーピングにより減少する有機電界効果トランジスタであり、また、バイポーラトランジスタである。
上記の全ての用途における共通の要素は、基本的な機能素子として、その組成に応じて異なる伝導機構を有する電気輸送層が存在するということである。一般に、有機材料の固有のp−伝導性(正孔伝導性)とn−伝導性(電子伝導性)とは、はっきり区別される。これらの有機物質群の電気的特性は、部品を高効率で利用するには一般的に不十分であるので、層の電気的特性を改良することを意図して追加化合物と混合される。これは、典型的には、金属化合物又は金属化合物と更に有機化合物をドープすることにより、行なわれる。伝導性の著しい改良を達成するための一つのアプローチは、金属錯体、特には遷移金属錯体、の添加である。
例えば、特許文献1には、下式を始めとする構造を有するn−伝導層の製造のためのドーパントが記載されている。
Figure 2015526881
この種の化合物の構造は、前記文献において、「パドルホイール錯体」とも呼ばれている。より詳細には、前記文献には、有機半導体マトリクス材料に、その電気的特性を変化させる目的で、ドープするためのn−ドーパントとしての金属錯体の使用が記載されている。そこに提示された化合物は、上記マトリクス材料に関して、n−ドーパントとして使用可能であるといわれている。
ルイス酸性金属錯体を用いてp−伝導性輸送層をドープするもう一つの方法がエンドウらにより示されている(非特許文献1)。この文献には、FeCl及びアリールアミン誘導体、例えばN,N’−ジナフチル−N,N−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、からの共ドープによって調製されたp−伝導層を有する有機エレクトロルミネッセンスデバイスが記載されている。しかしながら、この部品についての、ルミネッセンスの消滅、固有吸収の増加等の重大な不都合も、また、そこに記載されている。
バイポーラトランジスタ用の有機半導体をドーピングによって構成する他の方法が、更に、特許文献2に開示されている。
国際特許出願公開第2005/086251号 ドイツ特許出願公開第102010041331号
Endoら、Jpn.J.Appl.Phys.第41巻(2002)、L358−L360
しかしながら、有機電子マトリクス材料、特に正孔輸送体、におけるp−ドーパントとして適切であって、これらの層を含有する部品の効率を向上させる更なる材料を見出す必要があるという課題が生じている。
この課題は、本発明の請求項1による有機電子部品により解決される。
かくして、本発明によれば、マトリクスを有する有機電子部品であって、該マトリクスが、p−ドーパントとして、二核又は多核のVb/VIb/VIIb族即ち第5〜7族金属錯体を含有し、ここで、該金属錯体が少なくとも一つの下記構造の配位子Lを含有する電子部品が提案される。
Figure 2015526881
式中、R及びRは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレン、NH又はNR(Rは、アルキル及びアリールを含んでなる群から選ばれ、Rと結合していてもよい。)であり;Rは、アルキル、長鎖アルキル、アルコキシ、長鎖アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アリーレン、ハロアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ケトアリール、ハロケトアリール、ケトヘテロアリール、ケトアルキル、ハロケトアルキル、ケトアルケニル又はハロケトアルケニルであって、適切な基における一つ以上の隣接していないCH基は、独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY又は−C≡C−によって、酸素及び/又は硫黄原子がお互いに直接結合しないように、置換されていてもよく、同様に、好ましくは1〜30個の炭素原子を有するアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい(末端CH基は、CH−Hという意味で、CH基と見做される。)。
驚くべきことに、これらの材料は、有機電子部品におけるマトリクス材料のp−ドーパントとして適切であることが見出された。より詳細には、これらの材料は、下記の利点の一つ以上を有する。
−これらの材料は、定義された組成を有するドープされたマトリクス層が形成されるように、2つの個別の源からのマトリクス材料との良好な共蒸発性を有する。
−これらの材料は、簡単な方法で得ることができ、複雑な調製プロセスを必要としない。
−ドープ力を、マトリクスに適合させることができる。
−伝導性を、物質の濃度及び種類により、調整することができる。
驚くべきことに、これらの材料は、電子輸送層のn−ドーピングに用いられた場合には、従来技術で述べられているように、該層の電子伝導性のブロッキングを起こすが、電子伝導性の増加は引き起こさないということも、また、判明した。
本発明の文脈において、用語「有機電子部品」は、特に、有機トランジスタ、有機発光ダイオード、発光電気化学的セル、有機太陽電池、フォトダイオード及び有機光電池全般を意味し及び/又は包含する。
本発明の文脈において、用語「p−ドーパント」は、特に、ルイス酸性を有する材料、及び/又は、これらの材料がルイス酸(形式的な意味においてそうであればよい。)として機能するマトリクス材料との錯体を形成することができる材料を意味し又は包含する。
このような金属錯体マトリクス材料(正孔導体)は、例えば、以下の構造を有する(実施例Iをも参照せよ。)
Figure 2015526881
用語「Vb/VIb/VIIb族即ち第5〜7族金属」は、IUPACによる第5〜7族の金属(古い定義では、Vb/VIb/VIIb族)、即ち、バナジウム、ニオブ及びタンタル(第5族)、クロム、モリブデン及びタングステン(第6族)、マンガン、テクネチウム及びレニウム(第7族)、又はこれらの混合物を意味すると理解される。好ましくは、第6族の金属、即ち、クロム、モリブデン及びタングステンであり、更に好ましくは、クロム及びモリブデンである。
用語「二核又は多核の」は、特に、錯体が上で規定した金属の2つ以上を含有することを意味すると、解すべきである。ここでは、金属−金属相互作用の形態での金属原子間の相互作用、即ち、金属−金属単結合又は金属−金属多重結合が好ましい。
一般的な基の定義:明細書及び特許請求の範囲において、一般的な基、例えば、アルキル、アルコキシ、アリール等がクレームされ記述されている。本発明の文脈において、別段の記載がない限り、総称で記述された基のうち、以下の基を使用することが好ましい。
アルキル:直鎖状又は分岐状のC〜Cアルキル。
長鎖アルキル:直鎖状又は分岐状のC〜C20アルキル。
アルケニル:C〜Cアルケニル。
シクロアルキル:C〜Cシクロアルキル。
アルコキシ:C〜Cアルコキシ。
長鎖アルコキシ:直鎖状又は分岐状のC〜C20アルコキシ。
アルキレン:メチレン;1,1−エチレン;1,2−エチレン;1,1−プロピリデン;1,2−プロピレン;1,3−プロピレン;2,2−プロピリデン;ブタン−2−オール−1,4−ジイル;プロパン−2−オール−1,3−ジイル;1,4−ブチレン;シクロヘキサン−1,1−ジイル;シクロヘキサン−1,2−ジイル;シクロヘキサン−1,3−ジイル;シクロヘキサン−1,4−ジイル;シクロペンタン−1,1−ジイル;シクロペンタン−1,2−ジイル及びシクロペンタン−1,3−ジイルを含んでなる群から選ばれる。
アリール:300Da未満の分子量を有する芳香族から選ばれる。
アリーレン:1,2−フェニレン;1,3−フェニレン;1,4−フェニレン;1,2−ナフチレン;1,3−ナフタレニレン;1,4−ナフチレン;2,3−ナフチレン;1−ヒドロキシ−2,3−フェニレン;1−ヒドロキシ−2,4−フェニレン;1−ヒドロキシ−2,5−フェニレン及び1−ヒドロキシ−2,6−フェニレンを含んでなる群から選ばれる。
ヘテロアリール:ピリジニル;ピリミジニル;ピラジニル;トリアゾリル;ピリダジニル;1,3,5−トリアジニル;キノニニル;イソキノニニル;キノキサリニル;イミダゾリル;ピラゾリル;ベンズイミダゾリル;チアゾリル;オキサゾリジニル;ピロリル;チオフェニル;カルバゾリル;インドリル及びイソインドリルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロアリールは、選択されたヘテロアリールの環内の任意の原子を介して、化合物と結合していてもよい。
ヘテロアリーレン:ピリジンジイル;キノリンジイル;ピラゾジイル;ピラゾールジイル;トリアゾールジイル;ピラジンジイル;チオフェンジイル及びイミダゾールジイルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロアリーレンは、選択されたヘテロアリールの環内の任意の原子を介して化合物内の橋架けとして機能するが、以下のものが特に好ましい:ピリジン−2,3−ジイル;ピリジン−2,4−ジイル;ピリジン−2,5−ジイル;ピリジン−2,6−ジイル;ピリジン−3,4−ジイル;ピリジン−3,5−ジイル;キノリン−2,3−ジイル;キノリン−2,4−ジイル;キノリン−2,8−ジイル;イソキノリン−1,3−ジイル;イソキノリン−1,4−ジイル;ピラゾール−1,3−ジイル;ピラゾール−3,5−ジイル;トリアゾール−3,5−ジイル;トリアゾール−1,3−ジイル;ピラジン−2,5−ジイル;及びイミダゾール−2,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−3,5−ジイル;以下を含んでなる群から選ばれる−C〜C−ヘテロシクロアルキル:ピペリジニル;ピペリジン;1,4−ピペラジン;テトラヒドロチオフェン;テトラヒドロフラン;1,4,7−トリアザシクロノナン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン;1,4−ジオキサン;1,4,7−トリチアシクロノナン;ピロリジン及びテトラヒドロピラン、ここで、ヘテロアリールは、選択されたヘテロアリールの環内の任意の原子を介して、C〜C−アルキルと結合していてよい)。
ヘテロシクロアルキレン:ピペリジン−1,2−イレン; ピペリジン−2,6−イレン;ピペリジン−4,4−イリデン;1,4−ピペラジン−1,4−イレン;1,4−ピペラジン−2,3−イレン;1,4−ピペラジン−2,5−イレン;1,4−ピペラジン−2,6−イレン;1,4−ピペラジン−1,2−イレン;1,4−ピペラジン−1,3−イレン;1,4−ピペラジン−1,4−イレン;テトラヒドロチオフェン−2,5−イレン;テトラヒドロチオフェン−3,4−イレン;テトラヒドロチオフェン−2,3−イレン;テトラヒドロフラン−2,5−イレン;テトラヒドロフラン−3,4−イレン;テトラヒドロフラン−2,3−イレン;ピロリジン−2,5−イレン;ピロリジン−3,4−イレン;ピロリジン−2,3−イレン;ピロリジン−1,2−イレン;ピロリジン−1,3−イレン;ピロリジン−2,2−イリデン;1,4,7−トリアザシクロノナ−1,4−イレン;1,4,7−トリアザシクロノナ−2,3−イレン;1,4,7−トリアザシクロノナ−2,9−イレン;1,4,7−トリアザシクロノナ−3,8−イレン;1,4,7−トリアザシクロノナ−2,2−イリデン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1,4−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1,8−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−2,3−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−2,5−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1,2−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−2,2−イリデン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−1,4−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−1,7−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−1,2−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−2,3−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−2,2−イリデン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−1,4−イレン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−1,7−イレン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−2,3−イレン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−1,2−イレン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−2,2−イリデン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−1,4−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−1,2−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−2,3−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−6,8−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−2,2−イリデン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−1,4−イレン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−1,2−イレン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−2,3−イレン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−6,8−イレン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−2,2−イリデン;1,4−ジオキサン−2,3−イレン;1,4−ジオキサン−2,6−イレン;1,4−ジオキサン−2,2−イリデン;テトラヒドロピラン−2,3−イレン;テトラヒドロピラン−2,6−イレン;テトラヒドロピラン−2,5−イレン;テトラヒドロピラン−2,2−イリデン;1,4,7−トリチアシクロノナ−2,3−イレン;1,4,7−トリチアシクロノナ−2,9−イレン;及び1,4,7−トリチアシクロノナ−2,2−イリデンを含んでなる群から選ばれる。
ヘテロシクロアルキル:ピロリニル;ピロリジニル;モルフォリニル;ピペリジニル;ピペラジニル;ヘキサメチレンイミン;1,4−ピペラジニル;テトラヒドロチオフェニル;テトラヒドロフラニル;1,4,7−トリアザシクロノナニル;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカニル;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナニル;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナニル;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカニル;1,4−ジオキサニル;1,4,7−トリチアシクロノナニル;テトラヒドロピラニル;及びオキサゾリジニルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロシクロアルキルは、選択されたヘテロシクロアルキルの環内の任意の原子を介して、化合物に結合していてもよい。
アミン:−N(R)基。ここで、各Rは、それぞれ独立に、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルキル−C;及びフェニルから選ばれ、ここで、両方のR’がC〜Cアルキルである場合は、2つのR’は、−NC〜−NCヘテロ環を形成してもよく、このとき、アルキル鎖の残りは、ヘテロ環上にアルキル置換基を形成してもよい。
ハロゲン:F;Cl;Br及びIを含んでなる群から選ばれる。
ハロアルキル;モノ−、ジ−、トリ−、ポリ−及びパーハロゲン化された直鎖状及び分岐状のC〜Cアルキル、より好ましくは、CF
擬ハロゲン:−CN、−SCN、−OCN、N、−CNO及び−SeCNを含んでなる群から選ばれる。
カルボキシレート:−C(O)OR基、ここで、Rは、水素、C〜Cアルキル、フェニル及びC〜Cアルキル−Cから選ばれる。
カルボニル:−C(O)R基、ここで、Rは、水素、C〜Cアルキル、フェニル、C〜Cアルキル−C及びアミンから選ばれる。アミンは、基NR’から選ばれ、ここで、各R’は、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C及びフェニルから選ばれ、両方のR’がC〜Cアルキルの場合は、2つのR’は、−NC〜NCヘテロ環を形成してもよく、このとき、アルキル鎖の残りは、ヘテロ環上のアルキル置換基を形成してもよい。
別段規定しない限り、前記一般的な基の定義の中で、以下の基が、より好ましい。
アルキル:直鎖状又は分岐状のC〜Cアルキル。
長鎖アルキル:直鎖状又は分岐状のC〜C10アルキル、好ましくはC〜Cアルキル。
アルケニル:C〜Cアルケニル。
シクロアルキル:C〜Cシクロアルキル。
アルコキシ:C〜Cアルコキシ。
長鎖アルコキシ:直鎖状又は分岐状のC〜C10アルコキシ、好ましくは直鎖状のC〜Cアルコキシ。
アルキレン:メチレン;1,2−エチレン;1,3−プロピレン;ブタン−2−オール−1,4−ジイル;1,4−ブチレン;シクロヘキサン−1,1−ジイル;シクロヘキサン−1,2−ジイル;シクロヘキサン−1,4−ジイル;シクロペンタン−1,1−ジイル;及びシクロペンタン−1,2−ジイルを含んでなる群から選ばれる。
アリール:フェニル、ビフェニル、ナフタレニル、アントラセニル及びフェナントラセニルを含んでなる群から選ばれる。
アリーレン:1,2−フェニレン;1,3−フェニレン;1,4−フェニレン;1,2−ナフチレン;1,4−ナフタレニレン;2,3−ナフチレン;及び1−ヒドロキシ−2,6−フェニレンを含んでなる群から選ばれる。
ヘテロアリール:ピリジニル;ピリミジニル;キノニニル;ピラゾリル;トリアゾリル;イソキノニニル;イミダゾリル;及びオキサゾリジニルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロアリールは、選択されたヘテロアリールの環内の任意の原子を介して、化合物と結合していてもよい。
ヘテロアリーレン: ピリジン−2,3−ジイル;ピリジン−2,4−ジイル;ピリジン−2,6−ジイル;イミダゾール−3,5−ジイル;キノリン−2,3−ジイル;キノリン−2,4−ジイル;イソキノリン−1,3−ジイル;イソキノリン−1,4−ジイル;ピラゾール−3,5−ジイル及びイミダゾール−2,4−ジイル;を含んでなる群から選ばれる。
ヘテロシクロアルキル:ピロリジニル;モルフォリニル;ピペリジニル;ピペリジニル;1,4−ピペラジニル;テトラヒドロフラニル;1,4,7−トリアザシクロノナニル;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカニル;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカニル及びピペラジニルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロアリールは、選択されたヘテロアリールの環内の任意の原子を介して、化合物と結合していてもよい。
ヘテロシクロアルキレン:ピペリジン−2,6−イレン;ピペリジン−4,4−イリデン;1,4−ピペラジン−1,4−イレン;1,4−ピペラジン−2,3−イレン;1,4−ピペラジン−2,6−イレン;テトラヒドロチオフェン−2,5−イレン;テトラヒドロチオフェン−3,4−イレン;テトラヒドロフラン−2,5−イレン;テトラヒドロフラン−3,4−イレン;ピロリジン−2,5−イレン;ピロリジン−2,2−イリデン;1,4,7−トリアザシクロノナ−1,4−イレン;1,4,7−トリアザシクロノナ−2,3−イレン;1,4,7−トリアザシクロノナ−2,2−イリデン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1,4−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1,8−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−2,3−イレン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−2,2−イリデン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−1,4−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−1,7−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−2,3−イレン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−2,2−イリデン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−1,4−イレン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカ−1,7−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−1,4−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−2,3−イレン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナ−2,2−イリデン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−1,4−イレン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−2,3−イレン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナ−2,2−イリデン;1,4−ジオキサン−2,6−イレン;1,4−ジオキサン−2,2−イリデン;テトラヒドロピラン−2,6−イレン;テトラヒドロピラン−2,5−イレン;及びテトラヒドロピラン−2,2−イリデン;−C〜Cアルキルヘテロシクロアルキル(ここで、ヘテロシクロアルキルは、ピペリジニル;1,4−ピペラジニル;テトラヒドロフラニル;1,4,7−トリアザシクロノナニル;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカニル;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカニル及びピロリジニルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロシクロアルキルは、選択されたヘテロシクロアルキルの環内の任意の原子により、該化合物と結合していてよい。)を含んでなる群から選ばれる。
アミン:−N(R)基(ここで、各Rは、独立に、水素;C〜Cアルキル及びベンジルから選ばれる。)
ハロゲン:F及びClを含んでなる群から選ばれる。
カルボキシレート:−C(O)OR基(ここで、Rは、水素;C〜Cアルキル及びベンジルから選ばれる。)
カルボニル:−C(O)R基。ここで、Rは、水素;C〜Cアルキル;ベンジル及び−NR’から選ばれるアミン(ここで、各R’は、独立に、水素、C〜Cアルキル及びベンジルから選ばれる。)から選ばれる。
好ましい態様では、Rは、ハロアルキル、より好ましくは、1〜8個、より好ましくは1〜4個、の炭素を有するパーフルオロアルキル、ハロアリール、より好ましくはパーフルオロアリール、ハロアルキルアリール、特に好ましくは(パー)フルオロアルキルアリール及びハロヘテロアリール、特に好ましくはパーフルオロヘテロアリール。
配位子Lの更なる例には、好適には、以下のものが含まれる。フッ素化及び非フッ素化安息香酸類、例えば、2−(トリフルオロメチル)安息香酸;3,5−ジフルオロ安息香酸;3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸;3−フルオロ―4−メチル安息香酸;3−(トリフルオロメトキシ)安息香酸;4−(トリフルオロメトキシ)安息香酸;4−クロロ−2,5−ジフルオロ安息香酸;2−クロロ−4,5−ジフルオロ安息香酸;2,4,5−トリフルオロ安息香酸;2−フルオロ安息香酸;4−フルオロ安息香酸;2,3,4−トリフルオロ安息香酸;2,3,5−トリフルオロ安息香酸;2,3−ジフルオロ安息香酸;2,4−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸;2,4−ジフルオロ安息香酸;2,5−ジフルオロ安息香酸;2,6−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸;2,6−ジフルオロ安息香酸;2−クロロ−6−フルオロ安息香酸;2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸;2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)安息香酸;2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)安息香酸;3,4,5−トリフルオロ安息香酸;3,4−ジフルオロ安息香酸;3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸;3−(トリフルオロメチル)安息香酸;3−クロロ−4−フルオロ安息香酸;3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)安息香酸;3−フルオロ安息香酸;4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)安息香酸;4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸;5−フルオロ−2−メチル安息香酸;2−(トリフルオロメトキシ)安息香酸;2,3,5−トリクロロ安息香酸;4−(トリフルオロメチル)安息香酸;ペンタフルオロ安息香酸;2,3,4,5−テトラフルオロ安息香酸、
フッ素化又は非フッ素化フェニル酢酸、例えば、2−フルオロフェニル酢酸;3−フルオロフェニル酢酸;4−フルオロフェニル酢酸;2,3−ジフルオロフェニル酢酸;2,4−ジフルオロフェニル酢酸;2,6−ジフルオロフェニル酢酸;3,4−ジフルオロフェニル酢酸;3,5−ジフルオロフェニル酢酸;ペンタフルオロフェニル酢酸;2−クロロ−6−フルオロフェニル酢酸;2−クロロ−3,6−ジフルオロフェニル酢酸;3−クロロ−2,6−ジフルオロフェニル酢酸;3−クロロ−4−フルオロフェニル酢酸;5−クロロ−2−フルオロフェニル酢酸;2,3,4−トリフルオロフェニル酢酸;2,3,5−トリフルオロフェニル酢酸;2,3,6−トリフルオロフェニル酢酸;2,4,5−トリフルオロフェニル酢酸;2,4,6−トリフルオロフェニル酢酸;3,4,5−トリフルオロフェニル酢酸;3−クロロ−2−フルオロフェニル酢酸;α−フルオロフェニル酢酸;4−クロロ−2−フルオロフェニル酢酸;2−クロロ−4−フルオロフェニル酢酸;α,α−ジフルオロフェニル酢酸;2,2−ジフルオロ−2−フェニル安息香酸エチル;及び
フッ素化又は非フッ素化酢酸、例えば、トリフルオロ酢酸メチル;トリフルオロ酢酸アリル;トリフルオロ酢酸エチル;トリフルオロ酢酸イソプロピル;トリフルオロ酢酸2,2,2−トリフルオロエチル;ジフルオロ酢酸;トリフルオロ酢酸;クロロジフルオロ酢酸メチル;ブロモジフルオロ酢酸エチル;クロロジフルオロ酢酸;クロロフルオロ酢酸エチル;ジフルオロ酢酸エチル;(3−クロロフェニル)−ジフルオロ酢酸;(3,5−ジフルオロフェニル)ジフルオロ酢酸;(4−ブチルフェニル)ジフルオロ酢酸;(4−tert−ブチルフェニル)ジフルオロ酢酸;(3,4−ジメチルフェニル)ジフルオロ酢酸;(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ジフルオロ酢酸;(4−クロロフェニル)ジフルオロ酢酸;2−ビフェニル−3’,5’−ジフルオロ酢酸;3−ビフェニル−3’,5’−ジフルオロ酢酸;4−ビフェニル−3’,5’−ジフルオロ酢酸;2−ビフェニル−3’,4’−ジフルオロ酢酸;3−ビフェニル−3’,4’−ジフルオロ酢酸;4−ビフェニル−3’,4’−ジフルオロ酢酸;及び2,2−ジフルオロプロピオン酸;並びにこれらのより高級な同族体。もし、配位子Lが酸性基を有するならば、その基は、好ましい態様では、脱プロトン化された形態であってもよい。
代わりの好ましい態様では、R
Figure 2015526881
を含んでなる群から選ばれる。式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、C−F、C−CF、C−NO、C−CN、C−ハロゲン、C−擬ハロゲン及びNを含んでなる群から選ばれる。
好ましい態様において、Rは、
Figure 2015526881
を含んでなる群から選ばれる。式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、C−F、C−CF、C−NO、C−CN、C−ハロゲン、C−擬ハロゲン及びNを含んでなる群から選ばれる。
好ましい態様において、Rは、
Figure 2015526881
を含んでなる群から選ばれる。式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、C−F、C−CF、C−NO、C−CN、C−ハロゲン、C−擬ハロゲン及びNを含んでなる群から選ばれる。
好ましい態様において、Rは、
Figure 2015526881
を含んでなる群から選ばれる。
好ましい態様において、Rは、ハロゲン化された、好ましくはパーハロゲン化及び/又は擬ハロゲン化された、プテリジン類、イソプテリジン類、ナフチリジン類、キノキサリン類、アザキノキサリン類を含んでなる群から選ばれる。
更に好ましい態様において、金属錯体は、非置換の、部分的にフッ素化された又はパーフルオロ化された有機カルボン酸の群から選ばれる、少なくとも1つの配位子を含有していてもよい。有機カルボン酸は、一般に、脂肪族飽和モノカルボン酸、脂肪族不飽和モノカルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン酸、脂肪族飽和トリカルボン酸、脂肪族不飽和ジカルボン酸、芳香族カルボン酸、ヘテロカルボン酸、脂肪族不飽和環状モノカルボン酸を含んでなる群から選ばれる。
好ましい態様では、少なくとも1つの配位子Lは、2つの金属の間で橋架け配置を取っていてもよい。
好ましい態様において、金属錯体は(マトリクス材料の不存在下において)ルイス酸性である。これは、マトリクス材料として機能する正孔導体との関係では、それが電子対受容体として機能することを意味する。マトリクス材料との相互作用にとって、このことが、特に好ましいということが分かっている。
好ましい態様において、金属錯体は(マトリクス材料の不存在下において)、少なくとも1つの非占有の又は部分的にアクセス可能な配位サイトを有している。マトリクス材料との相互作用にとって、このことも、また、特に好ましいということが分かっている。
好ましい態様では、金属錯体は、経験式M(ここで、M=金属、L=配位子、n=3又は4)を有しており、ここで、金属及び個々の配位子のいずれも、既に定義したように、独立に選択されてよい。
この構造の金属錯体において、M=M多重結合が存在してもよい。多重結合は、電気的及び光学的特性に特に有利であることが分かっている。この型の特別な金属錯体は、「パドルホイール」錯体とも呼ばれるが、これらは特に好ましい。
更に好ましい態様では、モリブデン含有金属錯体の群において、酸素/酸素、酸素/窒素又は窒素/窒素橋架け配位子を有するモリブデンパドルホイール金属錯体が特に好ましい。追加的に好ましくは、モリブデン錯体の群において、非パドルホイール構造を有するが、金属−金属相互作用を示す二核モリブデン錯体Mo 4+を使用することができる。非パドルホイール構造を有する二核モリブデン錯体Mo 4+にとって更に有利な配位子は、より有利には、上記列挙した配位子に加えて、ハロゲン、水、水素、アルコキシド、多座キレート配位子及びこれらの配位子の混合物から選択することができる。
更に好ましい態様では、金属錯体は、二核パドルホイール構造を有していてもよく、また、クロム又はモリブデンを含有していてもよく、R及びRは、酸素からなっていてもよい。パドルホイール構造を有する金属錯体は、文献で知られており、例えば、Cottonら、「金属原子間の多重結合」、第3版、2005、ISBN0−387−22605−2に記載されている。本発明で使用する好ましいパドルホイール構造は、例えば、以下の式で示される。
Figure 2015526881
好ましい態様において、有機エレクトロニクス部品のマトリクス材料は、下記の材料の一つ以上を含んでなる。
NPB(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)、β−NPB(N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)、TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)、スピロ−TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)、スピロ−NPB(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)スピロ)、DMFL−TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン)、DMFL−NPB(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン)、DPFL−TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン)、DPFL−NPB(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン)、スピロ−TAD(2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン)、9,9−ビス[4−(N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス(ナフタレン−2−イル)アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビスフェニルアミノ)−フェニル]−9H−フルオレン、N,N’−ビス(フェナントレン−9−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン、2,7−ビス[N,N−ビス(9,9−スピロビフルオレン2−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2’−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2’−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、ジ[4−(N,N−ジトルイルアミノ)フェニル]シクロヘキサン、2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジトルイルアミノ)スピロビフルオレン、N,N,N’,N’−テトラナフタレン−2−イルベンジジン。
これらの材料は、有機エレクトロニクス部品の正孔伝導性マトリクス材料として有用であることが見出されている。
本発明の好ましい態様では、マトリクス材料に対する金属錯体のドーピングレベルは、モル/モル比で、0.1%以上、50%以下である。この範囲が、目的に適切であることが分かっている。ドーピングレベルは、好ましくは0.5%以上、15%以下、より好ましくは1%以上、5%以下である。
本発明は、また、少なくとも1つの下記構造の配位子Lを含有する二核又は多核のVb/VIb/VIIb族、即ち第5−7族金属錯体の、電子部品のマトリクス材料のためのp−ドーパントとしての、使用に関する。
Figure 2015526881
式中、R及びRは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレン、NH又はNR(ここで、Rは、アルキル及びアリールを含んでなる群から選ばれ、Rに結合していてもよい。)であり;Rは、アルキル、長鎖アルキル、アルコキシ、長鎖アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アリーレン、ハロアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ケトアリール、ハロケトアリール、ケトヘテロアリール、ケトアルキル、ハロケトアルキル、ケトアルケニル及びハロケトアルケニルを含有してなる群から選ばれ、適切な基における一つ以上の隣接していないCH基は、独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY又は−C≡C−によって、酸素及び/又は硫黄原子がお互いに直接結合しないように、置換されていてもよく、同様に、好ましくは1〜30個の炭素原子を有するアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい。(末端CH基は、CH−Hという意味で、CH基と見做される。)
本発明による上述の使用のための部品及び特許請求の範囲に記載した又は実施例に記述した部品は、その大きさ、構成、材料選択及び技術的デザインの点で如何なる特別の例外的条件にも、従うものではなく、従って、用途分野で知られている選択基準が制限なく適用できる。
本発明の主題の更なる詳細、特徴及び利点は、従属請求項により、また、図の記述及び後続する対応実施例から明らかである。
図1は、有機発光ダイオード(10)の構造の概略図である。発光ダイオードは、ガラス層(1);透明伝導性酸化物(TCO)又はPEDOT:PSS又はPANI層(2);正孔注入層(3);正孔移送層(HTL)(4);エミッター層(EML)(5);正孔ブロッカー層(HBL)(6);電子輸送層(ETL)(7);電子注入層(ETL)(8);及び陰極層(9)から構成される。 図2は、光(21)を電流に変換するPIN構造(20)を有する有機太陽電池の構造の概略図である。太陽電池は、インジウムスズ酸化物(22)の層;p−ドープされた層(23);吸収層(24);n−ドープされた層(25);及び金属層(26)から成る。 図3は、有機電界効果トランジスタの考えられる断面の概略図である。基板(31)の上にゲート電極(32)、ゲート誘電体(33)、ソース及びドレイン接点(34+35)及び有機半導体(36)が付与されている。ハッチング領域は、接触ドーピングが役立つ位置である。 図4は、本発明の第1の実施態様におけるドープしていないマトリクス材料及び複数のドープされたマトリクス材料について、電圧に対する電流密度の関係を示す図である。 図5は、図4の材料について、波長に対する吸収の関係を示す図である。 図6は、図4の材料について、波長に対するフォトルミネッセンスの関係を示す図である。 図7は、図4のドープされた材料について、波長に対する規格化された発光の関係を示す図である。 図8は、本発明の第2の実施態様におけるドープしていないマトリクス材料及びいくつかのドープされたマトリクス材料について、電圧に対する電流密度の関係を示す図である。 図9は、図8の材料について、波長に対する吸収の関係を示す図である。 図10は、図8のドープされた材料について、波長に対するフォトルミネッセンスの関係を示す図である。 図11は、図8の材料について、波長に対する規格化された発光の関係を示す図である。
[実施例I]
実施例Iは、以下に述べるようにして合成されたCr(OCCF(EtO)に関する。
(KCr(COの合成)
Cr(CO前駆体は、以下のようにして合成した。
シュレンク容器に金属メタル(2.5g;48.1ミリモル)を投入し、アルゴン気流下に、酸素を含まない水20mLを加えた。これに、塩酸(8mL;82.5ミリモル)を滴下して加えた。溶液は、直ちに濃青色に変化した。過剰のクロムを除去するために、セライトでろ過した。
アルゴン気流を1時間吹き込んだ20mLのKCO水溶液(12g;87.0ミリモル)を、青色のCrCl溶液に添加した。これにより、橙色/赤色の固体が析出した、この固体を濾過し、ジエチルエーテルで3回洗浄し、その後、減圧下に乾燥した。収率:94%。
(Cr(OCCF(EtO)(X<2の合成)
Cr(CO(4g;8.0ミリモル)及びトリフルオロ酢酸(3mL;38.9ミリモル)を、ジエチルエーテル中、還流下に6時間加熱した。この間に、約1時間後に、橙色溶液が濃青色になった。ろ過後、溶媒を除去し、減圧下に定重量となるまで乾燥した。これにより、紫色粉末が得られた(収率:86%)。
生成物を、更に昇華により精製した。
[蒸発]
予めITOを構築したガラス基板を10分間酸素プラズマ処理に曝し、次いで、できる限り迅速にベーパライザーに移した。ベーパライザーを、酸素及び水の濃度が2ppm未満の、アルゴングローブボックスに移した。
蒸発は、全て、基準圧力2×10−6ミリバール未満の真空下に実施した(圧力は、蒸発が進むにつれ、上昇した)。
先ず、マトリクス材料及びドーピング材料の双方を蒸発温度の直ぐ下まで加熱し、更に加熱を継続して、定常的な蒸発が観察され得るようにした。
全蒸発速度は、約1Å/秒であった。ここで、マトリクス材料の蒸発速度により、ドーピング材料の蒸発速度を設定した。
シャッターを閉じた後、系を40℃に冷却し、アルゴン下に真空にして、陰極の析出のためのマスクを交換した。
電極は、150nmの厚さのアルミニウム層からなるが、当初0.5Å/秒で徐々に5Å/秒まで増加した蒸発速度で、適用された。
図4〜7は、(Cr(OCCF(EtO)(X<2)でドープし又はドープしていないNPB(ビス−N,N,N’N’−(ナフチルフェニル)ベンジジン)に関する。これらの場合、一方では、200nm厚さのNPBの層が、他方では、200nm厚さの、2%の(Cr(OCCF(EtO)、5%の(Cr(OCCF(EtO)及び15%の(Cr(OCCF(EtO)でドープされたNPBの層が製造された。
図4は、2つの材料についての、印加された電圧に対する電流密度の関係を示す。2%ドープされた層の場合でも、印加された電圧に対して電流密度の増加が観察される。
本発明のドーパント材料の光学的特性を調査するために、吸収、反射及び規格化された発光が測定された(図4〜7)。錯体は、実質上、透明であり、これにより、この錯体が(オプト)エレクトロニクス部品における使用に適していることが分かる。
[実施例II]
実施例IIは、F.A.コットン及びJ.G.ノーマン,ジュニアの「配位化学」1971,1,161に従って合成したMo(OCCFに関する。
実施例Iと同様にして、3つの層、即ち、ドープされていないマトリクス材料の層(HTM−014、メルク)並びに5%及び15%のMo(OCCFでドープされた層、が適用された。層の厚さは、それぞれ、200nmであった。
図8は、上記3つの層についての印加電圧に対する電流の関係を示す。5%ドーピングの層の場合でさえ、印加電圧に対する電流密度の増加が観察される。
本発明のドーパント材料の光学的特性を調査するために、吸収、反射及び規格化された発光が測定された(図9〜11)。錯体は、実質上、透明であり、これにより、この錯体が(オプト)エレクトロニクス部品における使用に適していることが分かる。
既に述べた説明の構成要素及び特徴の個々の組み合わせは、説明的なものであり、これらの教示で本明細書中の他の教示を変換し及び代替することは、同様に、引用された刊行物と共に、明示的に意図されている。当業者にとって、ここで述べられた変更、修飾及びその他の実施が、本発明の思想及び本発明の範囲から離れることなく、同様に、起こりうることは明白である。
従って、上記記載は、説明的なものであって限定的なものではないとみなすべきである。特許請求の範囲において用いた用語「を含んでなる」は、他の構成成分又は工程を排除するものではない。不定冠詞「a」は、複数の意味を排除するものではない。相互に異なる請求項において特別な手段が引用されているということだけで、これらの手段の結合を有利に利用することができないということが意味されるものではない。本発明の範囲は、以下に述べる特許請求の範囲及びその均等物に定義されている。
驚くべきことに、これらの材料は、電子輸送層のn−ドーピングに用いられた場合には、従来技術で述べられているように該層の電子伝導性のブロッキングを起こすが、電子伝導性の増加は引き起こさないということも、また、判明した。
ヘテロアリーレン:ピリジンジイル;キノリンジイル;ピラゾジイル;ピラゾールジイル;トリアゾールジイル;ピラジンジイル;チオフェンジイル及びイミダゾールジイルを含んでなる群から選ばれ、ここで、ヘテロアリーレンは、選択されたヘテロアリールの環内の任意の原子を介して化合物内の橋架けとして機能するが、以下のものが特に好ましい:ピリジン−2,3−ジイル;ピリジン−2,4−ジイル;ピリジン−2,5−ジイル;ピリジン−2,6−ジイル;ピリジン−3,4−ジイル;ピリジン−3,5−ジイル;キノリン−2,3−ジイル;キノリン−2,4−ジイル;キノリン−2,8−ジイル;イソキノリン−1,3−ジイル;イソキノリン−1,4−ジイル;ピラゾール−1,3−ジイル;ピラゾール−3,5−ジイル;トリアゾール−3,5−ジイル;トリアゾール−1,3−ジイル;ピラジン−2,5−ジイル;及びイミダゾール−2,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−3,5−ジイル
以下を含んでなる群から選ばれる−C〜C−ヘテロシクロアルキル:ピペリジニル;ピペリジン;1,4−ピペラジン;テトラヒドロチオフェン;テトラヒドロフラン;1,4,7−トリアザシクロノナン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカン;1,4−ジアザ−7−チアシクロノナン;1,4−ジアザ−7−オキサシクロノナン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン;1,4−ジオキサン;1,4,7−トリチアシクロノナン;ピロリジン及びテトラヒドロピラン。
アミン:−N(R)基。ここで、各Rは、それぞれ独立に、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルキル−C;及びフェニルから選ばれ、ここで、両方のがC〜Cアルキルである場合は、2つのは、−NC〜−NCヘテロ環を形成してもよく、このとき、アルキル鎖の残りは、ヘテロ環上にアルキル置換基を形成してもよい。

式中、R及びRは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレン、NH又はNR(ここで、Rは、アルキル及びアリールを含んでなる群から選ばれ、Rに結合していてもよい。)であり;Rは、アルキル、長鎖アルキル、アルコキシ、長鎖アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アリーレン、ハロアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ケトアリール、ハロケトアリール、ケトヘテロアリール、ケトアルキル、ハロケトアルキル、ケトアルケニル及びハロケトアルケニルを含有してなる群から選ばれ、適切な基における一つ以上の隣接していないCH基は、独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY又は−C≡C−によって、酸素及び/又は硫黄原子がお互いに直接結合しないように、置換されていてもよく、同様に、好ましくは1〜30個の炭素原子を有するアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい。(末端CH基は、CH−Hという意味で、CH基と見做される。) 本発明による上述の使用のための部品及び特許請求の範囲に記載した又は実施例に記述した部品は、その大きさ、構成、材料選択及び技術的デザインの点で如何なる特別の例外的条件にも、従うものではなく、従って、用途分野で知られている選択基準が制限なく適用できる。

Claims (10)

  1. マトリクスを有する有機電子部品であって、該マトリクスが、p−ドーパントとして、二核又は多核の、Vb/VIb/VIIb族、即ち第5〜7族、の金属錯体を含有し、ここで、該金属錯体が少なくとも一つの下記構造の配位子Lを含有する電子部品。
    Figure 2015526881
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレン、NH又はNR(Rは、アルキル及びアリールを含んでなる群から選ばれ、Rと結合していてもよい。)であり;Rは、アルキル、長鎖アルキル、アルコキシ、長鎖アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アリーレン、ハロアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ケトアリール、ハロケトアリール、ケトヘテロアリール、ケトアルキル、ハロケトアルキル、ケトアルケニル又はハロケトアルケニルであって、適切な基における一つ以上の隣接していないCH基は、独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY又は−C≡C−によって、酸素及び/又は硫黄原子がお互いに直接結合しないように、置換されていてもよく、同様に、好ましくは1〜30個の炭素原子を有するアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい(末端CH基は、CH−Hという意味で、CH基と見做される。)。)
  2. 前記金属が、クロム、モリブデン、タングステン及びこれらの混合物を含んでなる群から選ばれる、請求項1に記載の部品。
  3. がハロアルキル、ハロアリール、ハロアルキルアリール及びハロヘテロアリールを含んでなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の部品。
  4. が下記式を含んでなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品。
    Figure 2015526881
    (式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、C−F、C−CF、C−NO、C−CN、C−ハロゲン、C−擬ハロゲン及びNを含んでなる群から選ばれる。)
  5. が下記式を含んでなる群から選ばれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品。
    Figure 2015526881
    (式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、C−F、C−CF、C−NO、C−CN、C−ハロゲン、C−擬ハロゲン及びNを含んでなる群から選ばれる。)
  6. が下記式を含んでなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか1項に記載の部品。
    Figure 2015526881
    (式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、C−F、C−CF、C−NO、C−CN、C−ハロゲン、C−擬ハロゲン及びNを含んでなる群から選ばれる。)
  7. 前記金属錯体が、非置換の、部分的にフッ素化された又はパーフルオロ化された有機カルボン酸から成る群から選ばれる少なくとも一つの配位子Lを、含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の部品。
  8. 前記金属錯体が、非置換の、部分的にフッ素化された又はパーフルオロ化された酢酸から成る群から選ばれる少なくとも一つの配位子Lを、含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の部品。
  9. 前記金属錯体がパドルホイール構造を有し、クロム又はモリブデンを含有し、R及びRが酸素からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の部品。
  10. 少なくとも1つの下記構造の配位子Lを含有する二核又は多核の、Vb/VIb/VIIb族、即ち第5〜7族、の金属錯体の、電子部品のマトリクス材料のためのp−ドーパントとしての、使用。
    Figure 2015526881
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレン、NH又はNR(ここで、Rは、アルキル及びアリールを含んでなる群から選ばれ、Rに結合していてもよい。)であり;Rは、アルキル、長鎖アルキル、アルコキシ、長鎖アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アリーレン、ハロアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ケトアリール、ハロケトアリール、ケトヘテロアリール、ケトアルキル、ハロケトアルキル、ケトアルケニル又はハロケトアルケニルであって、適切な基における一つ以上の隣接していないCH基は、独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY又は−C≡C−によって、酸素及び/又は硫黄原子がお互いに直接結合しないように、置換されていてもよく、同様に、好ましくは1〜30個の炭素原子を有するアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい(末端CH基は、CH−Hであるという意味で、CH基と見做される。)。)
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