JP2015525766A - 神経変性障害を治療するためのテトラサイクリン化合物 - Google Patents

神経変性障害を治療するためのテトラサイクリン化合物 Download PDF

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Abstract

神経変性障害を治療するためのテトラサイクリン化合物が本明細書に開示される。同様に開示されるのは、テトラサイクリン化合物を含む医薬組成物、及び単独で又は第2の治療剤と併用して、テトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物を投与することによって、対象における神経変性障害又は炎症を治療、予防、又は改善するための方法である。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、2012年7月13日に出願された米国特許仮出願第61/671,587号への優先権を主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
多数の科学文献が、テトラサイクリンの神経保護特性を示している。テトラサイクリン、例えばミノサイクリンは、ミクログリア活性化を抑制し、グルタミン酸の興奮毒性後の神経細胞のアポトーシスを阻害し、活性酸素種及び窒素種を捕捉し、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性を抑制することが示された。テトラサイクリンは、脳卒中、ハンチントン病、パーキンソン病、ALS、アルツハイマー病、及び脊髄損傷の動物モデルにおいて神経保護剤としての効能も示した。臨床的に、テトラサイクリンは、急性虚血性脳卒中後の臨床結果を改善することにおいて有効であり、現在、パーキンソン病、脊髄損傷、統合失調症、及び他の神経変性疾患の治験において評価されている。
テトラサイクリンの臨床試験は、中枢神経系(CNS)病変の著しい減少、及び臨床的に承認された多発性硬化症(MS)治療に匹敵する又はより良いEDSSスコアの改善を通して、非常に有利な治療効能を示した。追加の試験は、さらにMS患者のためになるテトラサイクリン、例えばCOPAXONE(登録商標)と併用された場合のミノサイクリン、及びAVONEX(登録商標)と併用された場合のドキシサイクリンを示した。テトラサイクリンは、動物モデルにおいてMSを治療することにおいても有効であった。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において、ミノサイクリンは、単独で又はグラチラマー酢酸塩及びIFNなどの他の薬物と併用して、疾病経過に好ましい効果を示した。テトラサイクリンは、MOGに誘発された視神経炎のラットモデルにおける網膜神経節細胞の生存を増加させることにおいても有効であった。
現在の免疫調節治療と異なり、テトラサイクリンは、神経保護物質としての効能も示し、進行性の神経変性、例えば、MSの全ての形態に見られるものを有効に制限する独特の可能性を有する。独自にMS治療薬として有望であるが、臨床上用いられるテトラサイクリンは、胃腸障害、日和見真菌感染症、及び慢性使用後の耐性菌の発現を引き起こし得る広域スペクトルの抗生物質である。加えて、テトラサイクリンのいくつかは、望ましくない日光過敏症及び組織汚染を引き起こすことが知られている。従って、長期間確立された安全性、薬物動態、及びテトラサイクリンクラスの効能を維持又は改善しつつ、化合物の抗菌活性を除去することによって、MS及び他の神経変性障害の長期間治療のために特に設計された新規のテトラサイクリン化合物を開発するニーズが現在存在する。本発明はこのニーズに取り組むものである。
本発明は、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物:
Figure 2015525766
又は薬学的に許容されるその塩に関し、式中:
R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立にH又は非置換C1〜C6アルキルであり、
R5、R5'、R6及びR6'は、それぞれ独立にH、ヒドロキシル、又は非置換C1〜C6アルキルである。
本発明は、式(I)、(Ia)又は(Ib)のテトラサイクリン化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にも関する。このような医薬組成物は、神経変性疾患を治療、予防、又は改善することにおいて使用することができる。
本発明は、式(I)、(Ia)又は(Ib)のテトラサイクリン化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にも関する。このような医薬組成物は、多発性硬化症を治療、予防、又は改善することにおいて使用することができる。
本発明は、対象において神経変性疾患を治療、予防、又は改善するための方法にも関する。該方法は、神経変性疾患が治療、予防、又は改善されるように、式(I)、(Ia)又は(Ib)のテトラサイクリン化合物又はその医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む。
本発明は、対象において多発性硬化症を治療、予防、又は改善するための方法にも関する。該方法は、多発性硬化症が治療、予防、又は改善されるように、式(I)、(Ia)又は(Ib)のテトラサイクリン化合物又はその医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む。
B57BL/6マウスにおけるMOGペプチドに誘発されたEAEの臨床経過に対するミノサイクリン及び化合物1の効果を示す図である。 ラットEAEの臨床経過に対するミノサイクリン及び化合物1の効果を示す図である。 経口投与後のマウスEAEの臨床経過に対する化合物1の効果を示す図である。 経口投与後のラットEAEの臨床経過に対する化合物1の効果を示す図である。 ミノサイクリン及び化合物1による、小脳顆粒神経細胞におけるグルタミン酸によって誘発された神経変性の阻害の用量反応である。 TTCで染色された、90分の一時的MCA閉塞されたラットからの試料脳切片を示す図である。 細胞を含まないMMP-9活性アッセイにおけるミノサイクリン及び化合物1のインビトロ効果を示す図である。 J774A.1マウスマクロファージによるLPSにより誘発されたNOの産生に対するミノサイクリン及び化合物1のインビトロ効果を示す図である。 RAW 264.7マウスマクロファージによるLPSにより誘発されたTNFαの産生に対するミノサイクリン及び化合物1のインビトロ効果を示す図である。 破線が50%分解マークを示す、EA-トロロックス酸化の経時変化を示す図である。 化合物1及び陰性対照による処置後の、脆弱X症候群のマウスモデル及び野生型マウスにおける高架式十字迷路試験中にセンターで費やされた時間を示す図である。 化合物1及び陰性対照による処置後の、脆弱X症候群のマウスモデル及び野生型マウスにおける高架式十字迷路試験中にクローズアームで費やされた時間を示す図である。 化合物1及び陰性対照による処置後の、脆弱X症候群のマウスモデル及び野生型マウスにおけるオープンフィールド試験のトライアル1の結果を示す図である。 化合物1及び陰性対照による処置後の、脆弱X症候群のマウスモデル及び野生型マウスにおけるオープンフィールド試験のトライアル2の結果を示す図である。 化合物1及び陰性対照による処置後の、脆弱X症候群のマウスモデル及び野生型マウスにおけるオープンフィールド試験のトライアル3の結果を示す図である。
本発明は、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物:
Figure 2015525766
又は薬学的に許容されるその塩に関し、式中:
R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立にH又は非置換C1〜C6アルキルであり、
R5、R5'、R6及びR6'は、それぞれ独立にH、ヒドロキシル、又は非置換C1〜C6アルキルである。
一実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。好ましい一実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれメチルである。
一実施形態において、R5、R5'、R6及びR6'は、それぞれ水素である。別の実施形態において、R5及びR5'は、それぞれ水素であり、R6及びR6'の一方は、ヒドロキシルであり、他方はメチルである。別の実施形態において、R5及びR5'の一方は、水素であり、他方は、ヒドロキシルであり、R6及びR6'の一方は、水素であり、他方はメチルである。別の実施形態において、R5及びR5'の一方は、水素であり、他方は、ヒドロキシルであり、R6及びR6'の一方は、ヒドロキシルであり、他方はメチルである。
一実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれメチルであり、R5、R5'、R6及びR6'は、それぞれ水素である。別の実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれメチルであり、R5及びR5'は、それぞれ水素であり、R6及びR6'の一方は、ヒドロキシルであり、他方はメチルである。別の実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれメチルであり、R5及びR5'の一方は、水素であり、他方は、ヒドロキシルであり、R6及びR6'の一方は、水素であり、他方はメチルである。別の実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれメチルであり、R5及びR5'の一方は、水素であり、他方は、ヒドロキシルであり、R6及びR6'の一方は、ヒドロキシルであり、他方はメチルである。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、次の構造を有する化合物1である。
Figure 2015525766
別の実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、次の構造を有する化合物2である。
Figure 2015525766
さらに別の実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、次の構造を有する化合物3である。
Figure 2015525766
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量より低い用量で炎症を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%である用量で炎症を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンと比べて炎症をより良く阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、炎症の約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、又は約100%以上を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、脱髄を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約100mg/kg以下、約75mg/kg以下、約50mg/kg以下、約40mg/kg以下、約30mg/kg以下、約25mg/kg以下、約20mg/kg以下、約15mg/kg以下、約10mg/kg以下、又は約5mg/kg以下の用量で脱髄を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約25mg/kgの用量で脱髄を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量より低い用量で脱髄を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%である用量で脱髄を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンに比べてより良く脱髄を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、又は約100%以上の脱髄を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、軸索消失を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約100mg/kg以下、約75mg/kg以下、約50mg/kg以下、約40mg/kg以下、約30mg/kg以下、約25mg/kg以下、約20mg/kg以下、約15mg/kg以下、約10mg/kg以下、又は約5mg/kg以下の用量で軸索消失を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約25mg/kgの用量で軸索消失を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量より低い用量で軸索消失を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%である用量で軸索消失を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンに比べてより良く軸索消失を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、軸索消失の約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、又は約100%以上を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約100mg/kg以下、約75mg/kg以下、約50mg/kg以下、約40mg/kg以下、約30mg/kg以下、約25mg/kg以下、約20mg/kg以下、約15mg/kg以下、約10mg/kg以下、又は約5mg/kg以下の用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約60mg/kgの用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約30mg/kgの用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約25mg/kgの用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約15mg/kgの用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約12mg/kgの用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量より低い用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンの用量の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%である用量で自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンと比べてより良く自己免疫性脳脊髄炎を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、自己免疫性脳脊髄炎の約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、又は約100%以上を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、MMP-9及び/又はTNFα活性を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンと比較して同程度にMMP-9及び/又はTNFα活性を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、抗酸化活性を有する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、酸化、例えば鉄によって誘発された脂質過酸化を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、オキシダント、例えば酸化的ラジカル、例えば、アルキルペルオキシラジカル、過酸化水素(H2O2)、スーパーオキシド(O2 ・-)、ヒドロキシルラジカル(OH)、一酸化窒素(NO・)、過酸化亜硝酸(ONOO-)、及びニトロソペルオキシカーボネート(ONOOCO2 -)に起因する酸化を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、他のテトラサイクリン、例えばミノサイクリンと比較してより低い濃度で酸化を阻害する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約100μM以下、約75μM以下、約50μM以下、約40μM以下、約30μM以下、約25μM以下、約20μM以下、約15μM以下、約10μM以下、又は約5μM以下の濃度で酸化を阻害する。特定の一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、約12.6μMで酸化を阻害する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリン及びドキシサイクリンなどの他のテトラサイクリン化合物と比較してCNSにおいて類似した又は改善された生物学的利用能を示す。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと比較して類似又はより高いCNS中の濃度(例えば、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、又は約30倍)を示す。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、有用な抗菌活性を有さず、細菌タンパク質合成を阻害しない。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、64μg/mLより大きいMIC値を有する。
一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリン及びドキシサイクリンなどの他のテトラサイクリン化合物と比較して類似の又は改善された薬物動態を示す。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと比較して類似の又はより高い最大血漿濃度(例えば、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、又は約30倍)を示す。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと比較してより長期間(例えば、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、又は約30倍)、高い血漿濃度を維持する。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと類似した最高血漿濃度に達する。
本発明は、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物及び薬学的に許容される担体の医薬組成物にも関する。本発明は、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物の塩及び薬学的に許容される担体の医薬組成物にも関する。
本発明は、対象における炎症を阻害、予防、治療又は改善するための方法にも関する。上記方法は、炎症が阻害、予防、治療、又は改善されるように、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物を対象に投与するステップを含む。特定の一実施形態において、テトラサイクリン化合物は、化合物1である。
一実施形態において、本明細書に開示された炎症を阻害、予防、治療又は改善するための方法は、本発明のテトラサイクリン化合物による、MMP-9及び/又はTNFα活性及び/又は一酸化窒素(NO)産生の阻害を含む。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンと比較して少なくとも同程度に、MMP-9及び/又はTNFα活性及び/又は一酸化窒素(NO)産生を阻害する。他の実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、ミノサイクリンと同じ用量で使用される場合、ミノサイクリンに比べてより大きい程度に、MMP-9及び/又はTNFα活性及び/又はNO産生を阻害する。一実施形態において、テトラサイクリン化合物は、化合物1である。
本発明は、対象における神経変性障害(例えば、多発性硬化症)を治療、予防、又は改善するための方法にも関する。上記方法は、神経変性障害が治療、予防、又は改善されるように、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物を対象に投与するステップを含む。特定の一実施形態において、テトラサイクリン化合物は、化合物1である。
いくつかの実施形態において、神経変性障害、例えば、多発性硬化症は、同じ用量のミノサイクリンによって生ずるより少ない組織汚染で治療される。特定の一実施形態において、神経変性障害、例えば、多発性硬化症は、実質的に組織汚染することなく治療される。
いくつかの実施形態において、神経変性障害、例えば、多発性硬化症は、同じ用量のミノサイクリンによって生ずるより少ない抗菌効果で治療される。特定の一実施形態において、神経変性障害、例えば、多発性硬化症は、実質的に抗菌効果なく治療される。
一実施形態において、本明細書で開示された、対象における神経変性障害を治療、予防、又は改善するための方法は、本発明のテトラサイクリン化合物による、酸化、例えば、脂質過酸化及び活性酸素種の捕捉の阻害を含む。一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物は、活性酸素種、例えば酸化的ラジカル、例えば、アルキルペルオキシラジカル、過酸化水素(H2O2)、スーパーオキシド(O2 ・-)、ヒドロキシルラジカル(OH)、一酸化窒素(NO・)、過酸化亜硝酸(ONOO-)、及びニトロソペルオキシカーボネート(ONOOCO2 -)を捕捉し、これらの種に起因する酸化を阻害する。
上記方法は、第2の治療剤、例えば、神経変性障害(例えば、多発性硬化症)の治療、予防、若しくは改善を強化し得る又は炎症を阻害、治療、予防若しくは改善し得る治療剤と併用して、本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物を投与するステップをさらに含み得る。
第2の治療剤と「併用して」という用語は、本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物及び第2の治療剤の同時投与、最初の本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物の投与、続いての第2の治療剤の投与、及び最初の第2の治療剤の投与、続いての本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物の投与を含む。第2の治療剤は、神経変性障害を治療、予防、又は改善することが当技術分野で知られているいずれの治療剤であってもよい。さらに、第2の治療剤は、テトラサイクリン化合物と併用して投与される場合、患者のためになる、いずれの治療剤であってもよい。
第2の治療剤は、神経変性障害を治療、予防、又は改善するいずれの化合物であってもよい。一実施形態において、第2の治療剤は、免疫反応(例えば、自己免疫)を調節すること(例えば、減少すること及び阻害すること)によって神経変性障害を治療、予防、又は改善する。一実施形態において、第2の治療剤は、炎症を調節すること(例えば、減少すること及び阻害すること)によって神経変性障害を治療、予防、又は改善する。一実施形態において、第2の治療剤は、神経細胞又は軸索を損傷又は傷害から保護することによって神経変性障害を治療、予防、又は改善する。一実施形態において、第2の治療剤は、ベータインターフェロン(例えば、AVONEX(登録商標)(即ち、インターフェロンベータ-1a)、BETASERON(登録商標)(即ち、インターフェロンベータ-1b)、EXTAVIA(登録商標)(即ち、インターフェロンベータ-1b)、及びREBIF(登録商標)(即ち、インターフェロンベータ-1a))、グラチラマー(即ち、L-グルタミン酸-L-アラニン-L-リシン-L-リシンコポリマー(C5H9NO4-C3H7NO2-C6H14N2O2-C9H11NO3)x-xC2H4O2(例えば、COPAXONE(登録商標)))、フィンゴリモド(即ち、2-アミノ-2-[2-(4-オクチルフェニル)エチル]プロパン-1,3-ジオール(例えば、GILENYA(商標)))、ナタリズマブ(CAS No. 189261-10-7(例えば、TYSABRI(登録商標)))、ミトキサントロン(1,4-ジヒドロキシ-5,8-ビス[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミノ]-アントラセン-9,10-ジオン(例えば、NOVANTRONE(登録商標)))である。
用語「およその」又は「約」は、本明細書に記載された数値が、示された数値に比べて1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%だけより高い又はより低いことがあることを意味する。一実施形態において、数値は、示された数値に比べて10%だけより高い又はより低いことがある。一実施形態において、数値は、示された数値に比べて5%だけより高い又はより低いことがある。一実施形態において、数値は、示された数値に比べて2%だけより高い又はより低いことがある。
用語「テトラサイクリン化合物」には、テトラサイクリンに類似した四縮合環構造を有する化合物が含まれる。テトラサイクリン化合物の例には、例えば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、サンサイクリン、及びドキシサイクリンが含まれる。例えば、テトラサイクリン化合物は、式Iのテトラサイクリン化合物である。一実施形態において、テトラサイクリン化合物は、化合物1、化合物2又は化合物3である。特定の一実施形態において、テトラサイクリン化合物は、化合物1である。
用語「アルキル」は、一価の直鎖又は分岐炭化水素鎖を意味する。直鎖アルキルの例には、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが含まれる。分岐アルキルの例には、限定はされないが、イソプロピル、tert-ブチル、及びイソブチルが含まれる。アルキル基は、直鎖ではその主鎖に1〜20個の炭素原子を、分枝鎖では3〜20個の炭素原子を含有し得る。一実施形態において、アルキル基は、直鎖ではその主鎖に1〜6個の炭素原子を、分枝鎖では3〜6個の炭素原子を含有し得る。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖ではその主鎖に1〜4個の炭素原子を、分枝鎖では3〜4個の炭素原子を含有し得る。
本発明のテトラサイクリン化合物のいくつかの構造は、二重結合又は不斉炭素原子を含む。このような化合物は、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一の鏡像体、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、及びシス-若しくはトランス-又はE-若しくはZ-二重結合異性体として存在し得る。このような異性体は、古典的な分離技術によって及び立体化学的に制御された合成によって、ほぼ純粋な形態で得ることができる。さらに、本発明で論じられる構造及び他の化合物及び部分は、それらの全ての互変異性体も含む。
本発明のテトラサイクリン化合物は、塩基性又は酸性であってよく、種々の酸及び塩基と多種多様な塩を形成し得る。塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩を調製するために使用し得る酸は、無毒性の酸付加塩を形成するもの、例えばHCl塩、HBr塩、HI塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、パントテン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパルモ酸塩である。酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩を調製するために使用し得る塩基は、無毒性の塩基性塩を形成するもの、例えばアルカリ金属カチオン(例えば、Na及びK)、アルカリ土類金属カチオン(例えば、Mg及びCa)、及びアミンを含有する塩である。
「神経変性」は、神経細胞の死又は脱髄を含む、神経細胞の構造又は機能の進行性損傷を意味する。従って、「神経変性障害」は、神経変性を含む任意の障害である。神経変性障害の例には、限定はされないが、アルツハイマー病、アルツハイマー病に関連した認知症(例えばピック病)、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、老年性認知症、ハンチントン病、脳炎、ジル-ド-ラ-ツレット症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上まひ、てんかん、及びクロイツフェルト-ヤコブ病、脳卒中、又は脆弱X症候群が含まれる。さらなる神経変性障害には、例えば、国立衛生研究所に列挙されたものが含まれる。
特定の一実施形態において、神経変性障害は、多発性硬化症である。別の特定の実施形態において、神経変性障害は、脆弱X症候群である。別の特定の実施形態において、神経変性障害は、脳卒中である。
いくつかの実施形態において、神経変性障害は、脳及び脊髄の炎症に関連した障害、例えば、脳脊髄炎である。脳脊髄炎の例には、限定はされないが、急性播種性脳脊髄炎(又は感染後脳脊髄炎)、散在性脳脊髄炎(encephalomyelitis disseminate)、即ち、多発性硬化症、馬脳脊髄炎、筋痛性脳脊髄炎、及び自己免疫性脳脊髄炎が含まれる。特定の一実施形態において、神経変性障害は、多発性硬化症である。別の特定の実施形態において、神経変性障害は、自己免疫性脳脊髄炎(EAE)である。
いくつかの実施形態において、神経変性障害は、脱髄に関連した障害である。「脱髄」は、神経細胞の髄鞘への損傷を意味する。脱髄は、罹患した神経における信号の伝導を損ない、どの神経が関与しているかに応じて感覚、運動、認識、又は他の機能における傷害を引き起こし得る。脱髄は、CNS及び末梢神経系の両方における多くの疾患、例えば多発性硬化症、ビタミンB12欠乏症、橋中央ミエリン溶解、脊髄癆、横断性脊髄炎、デビック病、進行性多巣性白質脳症、視神経炎、大脳白質萎縮症、ギラン-バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、抗MAG末梢神経障害、シャルコー-マリー-ツース病、及び銅欠乏症に関連している。
軸索は、神経線維としても知られているが、神経細胞の長い、か細い突起であり、電気インパルスを伝導する。「軸索消失」又は軸索の消失は、軸索の構造又は機能の消失を意味する。軸索機能の消失は、軸索又は軸索を被う髄鞘への損傷又は傷害によって引き起こされることがある。
用語「対象」には、神経変性障害(例えば、多発性硬化症)又は神経変性障害(例えば、多発性硬化症)を発症することの増大したリスクを有するヒト及び他の動物(例えば、哺乳類(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、げっ歯類、ウサギ、リス、クマ、又は霊長類))が含まれる。一実施形態において、対象はヒトである。別の実施形態において、対象は哺乳類である。
用語「有効量」は、対象における神経変性障害(例えば、多発性硬化症)を治療、予防、又は改善するために必要な又は十分な化合物(例えば、テトラサイクリン化合物)の量である。有効量は、対象のサイズ及び重量、又は特定の化合物などの要因に応じて変わり得る。例えば、化合物の選択は、「有効量」を構成するものに影響を与え得る。当業者は、前述の要因を調べ、過度の実験をすることなく化合物の有効量に関する決定を行うことができる。
投与の計画は、有効量を構成するものに影響を与え得る。化合物(例えば、テトラサイクリン化合物)は、神経変性障害(例えば、多発性硬化症)の発症前又は発症後のいずれにも対象に投与することができる。さらに、いくつかの分割された用量、及び時差用量を、毎日若しくは連続的に投与することができ、又は用量を、継続的に注入、若しくは経口的に若しくは吸入によって、若しくはボーラス投与によって投与することができる。化合物の用量を、治療又は予防状況の緊急性によって示されるように比例的に増加又は減少することができる。
用語「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、神経変性障害(例えば、多発性硬化症)と闘う目的のための患者の管理及び保護を表し、神経変性障害を排除するための、本発明の活性剤(例えば、本明細書に記載されたテトラサイクリン化合物若しくはそれらの医薬組成物)、又は薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、多形体若しくは溶媒和物の投与を含む。
本明細書で使用される用語「予防する」、「予防すること」、又は「予防」は、臨床的に明らかな疾患の進行の開始を予防すること、又は危険な状態にある対象において神経変性障害(例えば、多発性硬化症)の前臨床的に明らかな段階の開始を予防すること若しくは遅くすることのいずれかを含む。これは、神経変性障害に罹患する危険性のある対象の予防的治療を含む。
用語「改善する」、「改善すること」、「改善」、「軽減する」、「軽減すること」、又は「軽減」は、神経変性障害(例えば、多発性硬化症)の徴候又は症状の重篤性が、それによって低減される過程を表すことが意図されている。重要なことには、徴候又は症状は、神経変性障害が排除されることなく改善又は軽減することができる。好ましい一実施形態において、本発明のテトラサイクリン化合物又はそれらの医薬組成物の投与は、神経変性障害の徴候又は症状の排除をもたらすが、神経変性障害の排除は求められない。
用語「症状」は、疾患、疾病、又は傷害、又は体のどこか調子の悪いことの現れとして定義される。症状は、その症状を経験している対象によって感じられ又は気づかれるが、他の人によって容易に気づかれないこともある。他の人は、非医療従事者と定義される。
用語「徴候」は、体のどこか調子の悪いことの現れと定義される。徴候は、医師、看護師、又は他の医療従事者が分かることができるものと定義される。
本発明のテトラサイクリン化合物は、当技術分野で承認されている技術、例えばWO 2010/033939、WO 2005/009943、WO 2002/004406、及びWO 2001/019784に記載されたものを使用することによって合成することができ、これらの文献のそれぞれの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
このように得られるテトラサイクリン化合物は、例えば、フラッシュカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、又は任意の既知の精製法によって、さらに精製することができる。
上記の特許出願公開に記載された合成経路に使用される試薬は、例えば、溶媒、試薬、触媒、並びに保護基及び脱保護基試薬を含むことができる。上記合成経路は、それらの中に個別に記載されたステップの前又は後のいずれかに、所望のテトラサイクリン化合物を最終的に合成させるために好適な保護基を添加又は除去するための追加のステップも含むことができる。加えて、種々の合成ステップを、所望のテトラサイクリン化合物を得るために交互の順序又は順番で実施することができる。例えば、化合物は、本発明の化合物を生成するために通常の化学変換によってさらに修飾することができる。合成化学変換及び保護基の方法論(保護及び脱保護)は、当技術分野で知られており、例えばR. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers (1989)、T.W. Greene及びP.G.M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons (1999)、 L. Fieser及びM. Fieser、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons (1994)、並びにL. Paquette編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons (1995)に記載されたものを含む。
上記の特許出願公開に記載された合成経路は、もっぱら例示の目的で使用されている。当業者は、これらのスキーム及びそれらの中に提供されている例を考慮して、本発明の化合物の全ては、当技術分野でよく知られている類似の方法によって生成することができることを理解されよう。
発明の例示
[実施例1]
一連の最近の臨床試験は、MSの治療についてテトラサイクリン、ミノサイクリン及びドキシサイクリンを使用して行われた。一般的な抗菌用量(200mg/日)で投与された場合、ミノサイクリンは、ガドリニウム増強MRI病変の数を93%減少させ、再発率を79%減少させ、MSにおける身体障害の悪化を防いだ(表1)。いくらかの患者における軽度の吐き気が、気づかれた唯一の有害事象であった。加えて、IFN-βと併用のドキシサイクリン及びグラチラマー酢酸塩と併用のミノサイクリンは、副作用を増加させることなく、病変の総数及び身体障害のスコアを著しく減少させることが示された。後者の試験において、併用治療は、グラチラマー酢酸塩単独と比べてより有効であった。
Figure 2015525766
[実施例2]
化合物1は、受け入れられているMSの動物モデル及び神経保護においてミノサイクリン及び他の承認されたMS療法に比べて改善された効能を示した(表2)。加えて、化合物1は、ミノサイクリンと比べて組織汚染を引き起こすより低い傾向を有し、前臨床毒性及びADME試験においてミノサイクリンと比べて改善された安全性及び薬物動態プロファイルを示した。
Figure 2015525766
[実施例3]
化合物1の阻害活性を、EAEのマウス及びラットモデルの両方において特徴付けた。マウスにCFAにおけるミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)ペプチド35〜55を皮下注射することにより免疫性を与え、後に百日咳毒素を静脈注射した。マウスを、第10日に無作為化し、化合物を腹腔内投与した。その後、化合物を毎日投与し、動物を臨床スコアについて評価した。マウスを次のとおりスコア化した。0=疾患なし、1=だらりとした尾、2=一方又は両方の後肢の麻痺、4=後肢及び前肢の両方の麻痺。ルイスラットに、CFA中に乳化されたモルモットミエリン塩基性タンパク質(MBP)を第1日に皮下注射することにより免疫性を与えた。ラットに第9日に開始して化合物を毎日腹腔内投与した。ラットを毎日スコア化し、実験期間にわたって毎日の平均スコアを加算することによって、累積スコアを求めた。
EAE阻害のスコア-用量反応が、図1(C57BL/6マウスモデル)及び図2(MBPによって誘発されたルイスラットEAEモデル)に化合物1について示されている。毎日の平均スコア+/- SEM及び累積平均スコアが示されている。累積平均スコアを、実験期間にわたって毎日の平均スコアを加算することによって求めた。化合物1は、両方の動物モデルにおいてミノサイクリンと比べてより強力に発症を遅らせ、最大の疾病重症度を阻害した。
経口の化合物1の効能を実証するためのその後の試験を、図3における結果をもたらす実験において、毎日2回化合物を投与したことを除いて、上記に記載されたものと類似した実験手順により実施した。結果が図3及び4に示されている。
[実施例4]
化合物1の保護効果を求めるために、化合物1を、クプリゾンによって誘発された脱髄のマウスモデルにおいて試験した。クプリゾンモデル脱髄の一般的プロトコールは、次のとおりである。
7〜8週齢のC57BL/6雌マウスに、クプリゾン飼料(7012、Harlan Teklad、Indianapolis、IN、米国から購入した標準ペレットげっ歯類飼料中に混合された0.2%クプリゾン)を5週間与えた。クプリゾン飼料を、2日毎に変え、水と一緒に随意に与えた。マウスの追加の群に、クプリゾンを含まない対照としての役割を果たすために5週間、通常の飼料を与えた。
動物に、化合物1(25mg/kg、生理食塩水中の10mL/kg)、ミノサイクリン陽性対照(25mg/kg、生理食塩水中の10mL/kg)又は生理食塩水の偽薬(sham)を、クプリゾン飼料開始の日(第0日)に開始して回収の日まで継続して体重に基づき毎日1回腹腔内(i.p.)投与した。
クプリゾン給餌の3、4、及び5週に、各群から10匹のマウスを、CO2による窒息及び断頭によって安楽死させ、脳を回収し、10%緩衝中性ホルマリン中に固定した。
固定後の脳をパラフィン包埋し、中隔線条体(septostriatal)及び吻側(rostral)間脳の間の脳の8〜12μm連続切片を、ルクソールファストブルー-過ヨウ素酸シッフベース(LFB-PAS)染色(脱髄)のために調製した。脳梁の中央及び側面の両方の脱髄を測定した。
中央脳梁の脱髄スコアは、0から4の範囲にわたった(0=完全有髄、1=中央脳梁の中心における<1/3の脱髄、2=脳梁の中心における<2/3の脱 髄、3=脳梁の中心にミエリンが無い状態及び4=中央脳梁のアーチに伸びている脱髄)。側面脳梁における脱髄を、4及び5週にスコア化し、0から3の範囲にわたった(0=正常な髄鞘形成及び3=完全な脱髄)。脱髄を、少なくとも2つの脳切片について2〜3回スコア化した。
中央脳梁における軸索消失を、Bielschowsky銀染色を使用して、追加の脳の連続切片で測定した。中央脳梁における軸索消失を、3、4及び5週に0〜4(0=正常な軸索の数から4=完全な軸索消失まで)からスコア化した。スライドガラスは、処置群を知らされていない2人の技術者によってスコア化された。結果は表3に示されている。
Figure 2015525766
25mg/kg/dで腹腔内投与された化合物1は、クプリゾン給餌の3週に中央脳梁における脱髄を阻害(70%阻害)し、4週に側面脳梁における脱髄を阻害(62%阻害)した。化合物1は、3週(62%阻害)及び4週(41%阻害)に中央脳梁における軸索消失も著しく阻害した。25 mg/kg/dにおけるミノサイクリン処置は、3及び4週に中央脳梁における脱髄を阻害したが、効果は統計的に有意ではなかった。しかし、ミノサイクリンは、4週に側面脱髄(63%阻害)を著しく阻害したが、3週及び5週にわずかな効果しか有さなかった。軸索消失への統計的に有意な効果は、この試験においてミノサイクリン処置について観察されなかった。最も注目すべきことに、化合物1処置は、特に中央脱髄及び軸索消失に対して同じ用量でミノサイクリン処置と比べてより有効であった。
[実施例5]
試験の目的は、化合物1の神経保護効果を測定することである。
材料及び方法
小脳の顆粒神経細胞の単離の方法は、公開された研究において以前に記載された。7〜8日齢の新生児のC57BL/6マウスが得られる。頭を取り、70%アルコールですすぎ、氷上のPBSを満たした85mm皿に移した。頭を切って、脳を取り出し、小脳を切断し、氷上のPBSを満たした50mm皿に置いた。髄膜、脈絡叢及び血管を小脳から除き、きれいにした器官を、Ca2+及びMg2+を含有するハンクの緩衝塩溶液(HBSS)とともに35mm皿に移す。各小脳を、小片に切断し、トリプシン溶液とともに37℃で10分間インキュベートし、この後0.5mg/ml(最終濃度)のトリプシン阻害剤及び0.1mg/ml(最終濃度)のDNAアーゼを添加する。遠心分離後、小脳の断片を、解離培地(Ca2+、Mg2+、トリプシン阻害剤、DNAアーゼを含むHBSS)に再懸濁化し、パスツールピペットによる撹拌によって単一細胞懸濁液を生成する。細片が沈殿した後、上澄み(細胞懸濁液)を、セルストレーナー(40μm、Becton Dickinson #1942501)に通して50ml無菌管に入れ、細胞を遠心分離する。細胞を洗浄し、培地(10%ウシ胎仔血清、100 IU/mlペニシリン/ストレプトマイシン、10mM HEPES、25mM KCl、2mM L-グルタミン酸を含有するBME基礎培地)に再懸濁する。
細胞懸濁液を、ポリ-D-リシンコート皿に移し、5% CO2中37℃で25分間インキュベートする。インキュベーション後、非接着性細胞を取り出し、血球計でカウントする。細胞0.9×106個/mlの懸濁液を、培地中に調製し、ポリ-D-リシンコート96ウェルプレートに1ウェル当たり100μLの量(細胞250,000個/cm2)を添加する。プレーティング1日後、シトシンアラビノシド(AraC)を、10μMの最終濃度で添加する。6〜8日のインビトロ培養の後、神経細胞は、アッセイで使用する準備が整う。
化合物1及びミノサイクリンの活性を試験するために、化合物を、様々な濃度で神経細胞培養物に添加した。いくらかの細胞に、陰性対照として緩衝液を添加した。5% CO2、37℃における30分間の化合物との予備インキュベーションの後、グルタミン酸塩を、150mMの最終濃度で添加し、細胞を、さらに1時間インキュベートした。細胞生き残りのための陽性対照として、グルタミン酸塩を、いくらかの細胞に添加しなかった。1時間後、細胞を培地で1回洗浄し、ウェル当たり100μLの新しい培地を添加した。化合物を、細胞に再添加し、培養物を5% CO2、37℃で終夜インキュベートした。終夜のインキュベーションに続いて、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT) (Roche MTT Assay Kit # 1465007)の溶液の10μLアリコートを、各ウェルに添加し、5% CO2、37℃で4時間インキュベートした。続いて、可溶化溶液(100μL/ウェル)を添加し、5% CO2、37℃で終夜、細胞をインキュベートした。波長570nmにおける分光光度吸収を、マイクロプレートリーダーを使用して測定した。
非刺激細胞のMTT吸収を、100%生存レベルとみなした。化合物を受けていないグルタミン酸塩で刺激された細胞は、より低いMTT吸収値を示し、それらの生存率は約50%であった。化合物の添加による増加した神経細胞生存は、増加したMTT吸収として示された。
結果
化合物1及びミノサイクリンの両方とも、グルタミン酸塩によって刺激された小脳顆粒神経細胞の生存を用量依存的に増加した。結果は図5にグラフを使って示されている。興奮毒性の阻害についての化合物1の効能は、ミノサイクリンのそれにほぼ等しいことは明らかである。化合物のEC50値(最大反応の50%が観察される濃度)は、ミノサイクリンで1.4 +/- 0.1μMであり、化合物1で2.6 +/- 0.9μMである。
[実施例6]
化合物1を、詳しい抗炎症特性を求めるために試験した。マトリクスメタロプロテイナーゼ9(MMP-9)による基質開裂の阻害及びリポ多糖(LPS)によって活性化されたマクロファージによるTNFα産生の阻害を評価するためのインビトロアッセイを実施した。MMP-9活性を、組換えMMP-9のフルオレセイン結合DQゼラチンとの90分間のインキュベーション後の蛍光によって測定した。TNFα産生を、24時間の10ng/ml LPSのRAW264.7マクロファージ細胞とのインキュベーション及び、続いてのELISAによる培養物上澄み液中のTNFαの定量によって測定した。
結果は表4に示されている。化合物1は、ミノサイクリンと比べてMMP-9酵素活性及びTNFαのマクロファージ産生をより強力に阻害し、酸素ラジカル捕捉を通してより大きな神経保護活性を示した。
Figure 2015525766
[実施例7]
テトラサイクリン化合物を、ラットの脳組織中の第二鉄により誘発された脂質過酸化のインビトロアッセイにおいて試験した。結果は、100μMにおいて、化合物1は、ミノサイクリンと類似した抗酸化活性を有することを示している。
Figure 2015525766
別々のアッセイにおいて、ラジカル生成剤AIPH(2, 2'-アゾビス-[2-(2-イミダゾリン-2-イル)-プロパン]を使用してアルキルペルオキシラジカルを、インビトロで生成し、テトラサイクリンのこれらのラジカルを捕捉する能力を測定した。ミノサイクリンは、29μMのIC50値を獲得したが、化合物1は、12.6μMであることが見いだされた。同様に、化合物1及びミノサイクリンのペルオキシ亜硝酸-炭酸ラジカルを捕捉する能力を測定した。ミノサイクリン及び化合物1は、それぞれ10.9及び11.0μMのほぼ同じIC50値を有した。これらの結果は、化合物1が、ミノサイクリンと比べてより大きな抗酸化活性を有することも示している。
[実施例8]
化合物1の薬物動態を、サルにおいて試験し、PKパラメーター、及びラットの薬物動態のより詳細なデータが表6に示されている。加えて、マウスのCNSにおける化合物1の生物学的利用能を測定し、結果が表7に示されている。化合物1は、霊長類においてミノサイクリンと類似したPKパラメーターを示し、マウスにおいてより高いCNSレベルに達する。
化合物を示された経路で投与し、血液サンプルを最長で24時間までの種々の時間に採血した。化合物の濃度を、LC/MSによって測定した。Cmax=最大血漿濃度、Tmax=Cmaxが達成される時間、AUC=24時間の曲線下面積。
Figure 2015525766
Figure 2015525766
[実施例9]
前臨床的安全性及びADME試験において、化合物1は、遺伝毒性、CYP450阻害又は誘発、代謝又はhERG/イオンチャンネルアッセイに著しい影響を示さなかった。上記化合物は、GLP光毒性アッセイにおいて陰性であることも示された。処置に関連した影響は、サルにおける心血管安全性試験において観察されず、胎児の体重へのわずかな影響だけが、ラットにおける予備胎児DRF試験において250mg/kgの高用量において観察された。14日の急性毒性及び28日の毒性試験の両方を、比較のためのミノサイクリンと一緒に化合物1を用いてラットにおいて実施した。動物に、最長で4週間、15から150mg/kgの経口用量を毎日投与し、回復期間が続いた。両方の試験において化合物1のいずれの用量においても、少しの副作用しか観察されなかった。ミノサイクリンと異なって、化合物1は、患者において組織汚染を起こす可能性が低いことを示しているミノサイクリンと同等の用量において甲状腺組織汚染を少ししか又は全く示さなかった。
[実施例10]
化合物1の抗菌活性を、比較化合物であるミノサイクリン及びドキシサイクリンに対して評価した。試験化合物は、それらが4μM未満の試験濃度において細菌増殖を阻害する場合に抗菌活性を有すると考えられる。ミノサイクリン及びドキシサイクリンは、それぞれ、大腸菌(E.coli)に対して1.0及び0.5μMのMICの強い抗菌活性を示した(表8)。さらに、それらの抗菌活性の機構的な証拠を、試験化合物の存在下及び非存在下でタンパク質合成の細菌細胞効能を直接測定するインビトロアッセイにおいて転写/翻訳(TnT)を使用して評価した。このTnTアッセイは、ミノサイクリン及びドキシサイクリンの両方とも、細菌リボソームを直接阻害して、それぞれ1.9及び5.4μg/mLの値を得ることを示した。しかし、化合物1は、上述のアッセイにおいて>64μM MIC値及び>100μg/mL TnT値によって証明されたように、抗菌活性を有さない(表8)。
Figure 2015525766
[実施例11]
この試験の目的は、脳卒中のラットモデルにおいて化合物1の効能を評価することであった。約300〜350gの体重の雄ウィスター系ラットを、これらの試験に使用した。最初の400g/kg及び維持のための100mg/kgの抱水クロラール(一時的閉塞モデル用)、又は導入の5%イソフルラン及び維持のための1〜2%(永久閉塞モデル用)の腹腔内注射で、動物を麻酔した。体温を、実施の間及び麻酔からの回復期間、加熱灯によって37℃に維持した。小さな切開を行った後、左大腿静脈及び動脈を暴露するために局所的な切開を実施した。薬物を投与するために、PE-50カテーテルを、左大腿静脈に導入し、下大静脈の近くに通した。
局所的脳虚血の誘導
首より上の皮膚を薄く削り、小さな正中切開を行った。次いで、手術用顕微鏡下で、右総頸動脈(CCA)を暴露した。肩甲舌骨筋を分けた後、CCAを3-0絹縫合糸で分離した。外頸動脈(ECA)も分離し、5-0絹縫合糸で結紮した。同側近位CCAの結紮の直後、3-0モノフィラメントナイロン縫合糸(オクルダー)を、その先を炎熱で丸くして、小さな切開を通して右CCA内腔に導入した。オクルダーを、CCA分岐からICAにゆっくりと進めた。これは、オクルダーの先端が前大脳動脈(ACA)の近位部に達し、MCA及びPcomAの始まりを塞ぐのを可能にした。オクルダーを、3-0絹縫合糸を使用する二重結紮によってCCA内に固定した。一時的な閉塞の動物において、MCA閉塞の90分後にICAからオクルダーを引き抜くことによって再循環を行った。
化合物1の投与
化合物1を生理食塩水に溶解した。ラットは、MCA閉塞の前又は後の様々な時点において、20、25、又は40mg/kgの濃度で大腿静脈注入を通して化合物1処置を受けた。対照動物に、等量の生理食塩水を処置した。
神経学的評価
神経学的欠損を、6点スケールに従ってMCA閉塞4及び24時間後に評価した。0=神経学的欠損なし、1=左前肢を完全にのばせないこと、2=左に旋回、3=左に転倒すること、4=意識が低下して自発的に歩かないこと、及び5=死亡(Candelario-Jalil Eら、Brain Research、2004、Hattori Kら、Stroke、2000、Gerriets Tら、stroke、2004)。4より大きい神経学的認定のいずれの動物も人道的に安楽死させた。
脳梗塞の体積の評価
MCAOの24時間後における神経学的評価を完了後、動物を、麻酔の過量投与によって犠牲にし、脳を取り出し、凍結し、6個の2mm厚の薄片に冠状に切開した。次いで、脳の薄片を、2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)の2%溶液中において37℃で30分間、インキュベートし、10%ホルマリン中の浸漬によって固定した。TTCで染色した脳切片を、カラーフラットベッドスキャナーを使用してデジタル化し、画像処理ソフトウェアを使用して分析した。補正した梗塞体積を計算して、脳水腫の影響を補正した。図6に示されているのは、TTCで染色された90分の一時的MCA閉塞されたラットのサンプル脳切片である。赤い領域は、正常な組織を表し、白い領域は梗塞である。
統計的分析
データは平均±SDとして示されている。スチューデントのt試験を使用して、薬物処置群及び対照群の間の統計比較を行った。P<0.05は、統計的有意性とみなした。
結果
化合物1は、MCA閉塞の30又は60分後に開始された処置で90分の一時的閉塞モデル及び梗塞の90分前に開始された処置で永久閉塞モデルにおいて神経保護効果を示し、梗塞体積における統計的に有意な減少が指摘された。しかし、一時的に閉塞されたラットにおいて処置が閉塞の3時間後に開始された場合に、化合物1は、梗塞体積を減少させる能力を示さなかった。
Figure 2015525766
結論
化合物1は、一時的及び永久閉塞ラット脳卒中モデルにおいて梗塞体積を減少させることによって神経保護効果を示した。永久閉塞モデルにおいてTCの神経保護効果を調査するために、及び一時的閉塞モデルにおいて治療時間ウィンドウを拡張するために、高力価の化合物が必要である。
[実施例12]
炎症状態を、活性酸素種の濃度を増加させることによって特徴付ける。この試験において、ペルオキシ亜硝酸-炭酸ラジカルを特異的に捕捉する化合物1の能力を測定した。
1×96ウェルプレートアッセイのために、以下の体積の溶液を調製した。
Figure 2015525766
プレート準備
96ウェルPCRプレートの第1列(0.2mLの量)に、160μLのTCWSを添加した。第1列の1ウェルは、1つのIC50測定に相当する。一般的に、試験化合物は、二連で評価し、即ち、列1の2ウェルに、それぞれのTCWSを満たした。列2〜11中の残りのウェルに、80μLのDWSを添加した。マルチチャンネルピペッターを使用して、列1から80μLを取り、混合しながら列2に移すことによって、列1を、2倍希釈で連続希釈した。次いで、列2を、列3に希釈し、同様に列11まで希釈し、そこで、80μLの希釈された混合物を取り出し捨てた。行12の少なくとも2ウェルを、80μLのDWSが添加される0試験化合物対照として指定した。試験化合物毎に行12の1ウェルを、80μLのTCWSが添加される背景対照として指定した。
アッセイ
プレートに蓋をし、37℃で5分間インキュベートし、これに、混合しながらのマルチチャンネルピペッターを使用した列1〜11への20μLのSin-1の添加によって反応を開始した。列12の0試験化合物ウェルと同様に反応を開始した。背景対照ウェルに、20μLのPC緩衝液を添加した。プレートを37℃で8分間インキュベート(反応は10分間線形である)し、混合しながらの全てのウェルへの50μLのAAの添加によってクエンチした。プレートを氷上に5分間置いた。クエンチしたアッセイ混合物は、室温で少なくとも24時間、安定であった。
HPLC分析
各反応混合物(20μL)を、水 + 0.1% TFAのA緩衝液及びアセトニトリル + 0.1% TFAのB緩衝液及び以下の勾配法を使用して、Phenomenex Luna C18(2)カラム、3um、4.6×50mmを使用するHPLCによってローダミン123生成物について分析した。
Figure 2015525766
生成物ローダミン123を、4.0分の一般的な保持時間で500nmにおけるUV-visによって検出し、AUCを積分によって求めた(ローダミン123の保持時間及びAUC線形性を、種々の濃度における標準ローダミン123の注入によって確立した)。試験化合物ピークの共溶出(co-elution)がないことを確実にするために、280nmにおける吸収も記録した。
計算
最高の試験化合物濃度における背景対照サンプルの初期検査を、4分において、試験化合物ピークの生成物ローダミン123との共溶出がないことを確実にするために実施した。共溶出が観察された場合、生成物ピーク及び試験化合物ピークを分離するための適切なHPLC方法が開発されるまで、化合物を試験しなかった。次いで、ローダミン123 AUCを、各試験化合物濃度について求め、次いで、ローダミン123蛍光の阻害パーセントを、以下の方程式によって求めた。
%阻害 = [(AUC0-AUCx)/AUC0] * 100
式中、AUC0は、0試験化合物濃度におけるローダミン123ピークのAUCであり、AUCxは、各試験化合物濃度 = xにおけるローダミン123ピークのAUCである。
IC50(試験化合物が、ジヒドロローダミン123のローダミン123への酸化を50%阻害する濃度)を、4パラメーターロジスティック又はシグモイド用量反応モデルを使用して%阻害対濃度のプロットから求めた。IC50に適合する曲線の標準誤差もヒルスロープ(Hill slope)と一緒に求めた。尿酸について求めたIC50を、各試験化合物について求めたIC50によって割って尿酸に対するペルオキシ亜硝酸-炭酸ラジカル捕捉能力の尺度である尿酸当量を生成した。
尿酸当量 = IC50試験化合物/IC50尿酸
結果
アッセイ結果の概略を、以下の表10に見ることができる。尿酸に比べて、ミノサイクリンは、このアッセイにおいてペルオキシ亜硝酸-炭酸ラジカルを捕捉するその能力において同等であった。他の市販のテトラサイクリンは、尿酸当量で約3倍有効であったメタサイクリンを例外としてミノサイクリンほど有効ではなかった。化合物1は、少なくともミノサイクリンと同じほど良好な活性を示した。
Figure 2015525766
[実施例13]
試験の目的は、化合物1の抗炎症活性を求めることであった。ミノサイクリンを比較化合物として試験した。
材料及び方法
MMP-9酵素活性アッセイ
このアッセイは、精製された酵素による基質の分解を測定するために設計された。緩衝液(50mM トリス-HCl、150mM NaCl、5mM CaCl2、0.2mMアジ化ナトリウム、pH7.6)中の2.5μg/mlフルオレセイン結合DQゼラチン(Invitrogen)を含有する溶液に、テトラサイクリン化合物を、100から1μMの範囲の最終濃度で添加した。続いて、活性な組換えヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ9(MMP-9) (CalBioChem)のアリコートを添加して、0.05μg/mlの最終濃度とした。反応混合物の合計体積は200μLであり、サンプルは、96ウェルブラックプレート(Corning)に収容された。混合物を、室温において暗所で85分間インキュベートし、この後、マイクロプレートリーダーを使用して蛍光を測定した。MMP-9酵素を含有しないサンプルを陰性対照として使用し、酵素を含み化合物を含まないサンプルは陽性対照であった。
NO産生アッセイ
J774A.1マウスマクロファージ細胞株を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するDMEM培地中でコンフルエンスまで培養した。細胞を、単一細胞懸濁液中に回収(氷上のインキュベーション及び撹拌によって)し、細胞1×105個/ウェル(200μLの体積)で96ウェルプレート中に播種し、終夜インキュベート(5% CO2、37℃)した。化合物を、50から1μMの範囲の最終濃度で細胞に添加し、1時間プレインキュベートした。リポ多糖(LPS)を、10ng/mlの最終濃度で細胞に添加した。20時間のインキュベーション後、培養物上澄み液を回収し、新しい96ウェルプレートに移した。上澄み液中のLPSによって誘発されたNOのレベルを、陰性対照として役割を果たす刺激されていない細胞からの上澄み液とともにGreiss試薬によって定量した。
TNFα産生アッセイ
RAW 264.7マウスマクロファージ細胞株を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するDMEM培地中でコンフルエンスまで培養した。細胞を、単一細胞懸濁液中に回収し、細胞1〜2×105個/ウェル(200μLの体積)で96ウェルプレート中に播種し、終夜インキュベート(5% CO2、37℃)した。化合物を、50から1μMの範囲の最終濃度で細胞に添加し、30分間プレインキュベートした。リポ多糖(LPS)を、10ng/mlの最終濃度で細胞に添加した。20時間のインキュベーション後、培養物上澄み液を回収し、新しい96ウェルプレートに移した。上澄み液中のLPSによって誘発されたTNFαのレベルを、陰性対照として役割を果たす刺激されていない細胞からの上澄み液とともにELISA(R & D Systems)によって定量した。
結果
インビトロMMP-9酵素アッセイ、NO産生アッセイ、及びTNFα産生アッセイにおけるミノサイクリン及び化合物1の用量反応は、それぞれ図7、8及び9に示されている。アッセイにおける2種の化合物のIC50が、表11に要約されている。両方のテトラサイクリンが、これらのアッセイにおいて阻害活性を示すが、化合物1は、ミノサイクリンと比べてより強力である。
Figure 2015525766
[実施例14]
この試験において、アルキルペルオキシラジカルを、ラジカル生成剤AIPH(2, 2'-アゾビス-[2-(2-イミダゾリン-2-イル)-プロパン]を使用してインビトロで生成し、テトラサイクリン、例えば化合物1の、これらのラジカルを捕捉する能力を求めた。
アッセイ原理
トロロックスは、ペルオキシラジカルの既知のスカベンジャーである。a-トコフェロールと構造的に似て、トロロックスは、過剰な酸素条件下で線形動力学の既知の機序でペルオキシラジカルと反応する。競合する抗酸化化合物の存在下で、トロロックス酸化の速度は、酸化の相対速度及び競合する抗酸化化合物の濃度に基づいて変化する(Huangら、J. Agric. Food Chem. 2005、25巻、1841〜1856ページ)。トロロックスの分解の速度への抗酸化剤濃度の影響を測定することによって、化合物の相対抗酸化能力を求めることができる。この原理は、広く使用されている抗酸化能力アッセイ、ORACの基礎である(Huangら、J. Agric. Food Chem. 2002、50巻、1815〜1821ページ)。蛍光染料指示薬を使用するORACと異なり、本明細書に記載されたアッセイは、トロロックス誘導体、2-アミノエチル-トロロックス(AE-トロロックス)の酸化を直接測定する。この方法は、テトラサイクリン化合物による蛍光染料反応の干渉を排除する。
材料
リン酸緩衝液(PB緩衝液)
全てのアッセイを、リン酸緩衝液(PB緩衝液)(水で75mMに希釈しHClでpH7.5に調節した1Mリン酸ナトリウム緩衝液)中で実施した。
6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-クロマン-2-カルボン酸(2-アミノ-エチル)-アミド(アルキルペルオキシラジカルプローブ)(AE-トロロックス)
Figure 2015525766
合成: 30mLのDMFに、3.4gのトロロックス及び1.9gのN-ヒドロキシスクシンイミドを添加し、溶液を40℃に加熱した。撹拌しながら、2.52g(2.52mL)のジイソプロピルカルボジイミドを添加した。30分後、反応は完了した。反応物を、酢酸エチルで200mLに希釈し、有機層を、200mLアリコートの水、次いで100mLの水中の飽和塩化ナトリウムで3回洗浄した。有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで留去して4.3gの淡いベージュ色の粉末を得た。20mLのNMPに、1.35gのNHS-トロロックスを添加し、溶液を、室温で20mLのNMP中に溶解した0.5gのエチレンジアミンに迅速に添加した。10分後、反応は完了した。反応物を、水で1リットルに希釈し、pHをTFAで2に調節した。溶液を濾過し、生成物を、TFA緩衝液及びアセトニトリルを使用する分取HPLCによって精製した。純粋な画分を、RPカラムに装入し、水中の0.1% HCl溶液を使用して3当量のHClで洗浄した。純粋なHCl塩を、アセトニトリルで溶出し、乾固するまで留去してAE-トロロックスHClを得た。
AE-トロロックスの貯蔵液を、10mMで水中に調製し、PB緩衝液で0.1mMに連続希釈した。AE-トロロックス使用液(AET-WS)を、0.1mM貯蔵液(625μL)を9.375mLのPB緩衝液で希釈することによって調製した。
6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-クロマン-2-カルボン酸(2-アミノ-エチル-d4)-アミド(プローブの内部標準、AE-トロロックス-d4)
AE-トロロックスの安全な同位体標識された内部標準を、エチレン-d4-ジアミンが最終ステップで試薬に置換されたこと以外は、AE-トロロックスとまったく同様に調製した。AE-トロロックス-d4の貯蔵液を、水中に100μMで調製した。
試験化合物
試験化合物貯蔵液(TCS)を、溶解度に応じて5〜20mMで水中に最初に調製した。ある場合には、少量の6N HCl又は10N NaOHを、溶解性を得るために添加した。1.25×最高の所望のアッセイ濃度の試験化合物濃度及び6.25μMのAE-トロロックス濃度を達成するために、適切な量の試験化合物貯蔵液、0.1mM AE-トロロックス貯蔵液及びPB緩衝液を混合することによって、試験化合物使用液(TCWS)を調製した。試験化合物使用液を氷上に維持した。
2,2'-アゾビス-[2-(2-イミダゾリン-2-イル)-プロパン(AIPH)
アッセイの直前に、10mLのPB緩衝液中に80.75mgのAIPHを溶解することによって、AIPH溶液を調製した(25mM AIPH)。溶液を氷上に維持した。
内部標準を含むアスコルビン酸クエンチ溶液(AA)
固体アスコルビン酸(1056mg)を水に溶解して1Mの最終濃度にすることによって、アスコルビン酸クエンチ溶液(約6mL)を調製した。この溶液に、375μLの0.1mM AE-トロロックス-d4貯蔵液を添加した。
試薬の量 - 96アッセイ
1×96ウェルプレートアッセイ用に、以下の量の溶液を調製した。
Figure 2015525766
方法
プレート準備
96ウェルPCRプレート(0.2mL体積)の第1列に160μLのTCWSを添加した。第1列の1ウェルは、1つのIC50測定に相当する。一般的に、試験化合物は、二連で評価し、即ち、列1の2ウェルに、それぞれのTCWSを満たした。列2〜11中の残りのウェルに、80μLのAET-WSを添加した。マルチチャンネルピペッターを使用して、列1から80μLを取り、混合しながら列2に移すことによって、列1を、2倍希釈で連続希釈した。次いで、列2を、列3に希釈し、同様に列11まで希釈し、そこで、80μLの希釈された混合物を取り出し捨てた。行12の4ウェルを、80μLのAET-WSが添加される0試験化合物/0 AIPH対照として指定した。試験化合物毎に行12の1ウェルを、80μLのAET-WSが添加される0試験化合物対照として指定した。
アッセイ
プレートに蓋をし、37℃で5分間インキュベートし、これに、混合しながらのマルチチャンネルピペッターを使用した列1〜11への20μLのAIPHの添加によって反応を開始した。列12の0試験化合物ウェルと同様に反応を開始した。0試験化合物/0 AIPH対照ウェルに、20μLのPB緩衝液を添加した。プレートを37℃で8分間インキュベート(反応は、10分間、線形である)し、混合しながらの全てのウェルへの50μLのAAの添加によってクエンチした。プレートを氷上に5分間置いた。クエンチしたアッセイ混合物は、室温で少なくとも24時間、安定であった。
2D-LCMS分析
ローディングカラム(Shim-pack MAYI-ODS、4.6×10mm)及び勾配カラムPhenomenex Luna C18(2)カラム、3um、4.6×50mmを備えたShimadzu 2010による2D-LCMSによってAE-トロロックスについて各反応混合物を分析した。自動2ポジション切り替え弁を使用して、ポンプCによってサンプルをローディングカラムにロードし、ローディング緩衝液で1分間洗浄した。1分において、弁を溶出ポジション(ポジションB、ローディングカラムを通る逆流)に切り替え、勾配カラムを通してサンプルを溶出した。ローディング緩衝液(緩衝液C)は、0.2%ギ酸を含む水中の10%アセトニトリルであり、勾配緩衝液は、水+0.2%ギ酸(A緩衝液)及びアセトニトリル+0.2%ギ酸(B緩衝液)であった。ローディング及び溶出勾配が表1に示されている。一般的な注入体積は30μLであった。
MH+=293(AE-トロロックス)及び297(AE-トロロックス-d4)についてMSを正イオンSIMモードに設定した。検出器電圧は1.5kVであり、CDL及びブロック温度は250℃であり、ネブライザーガスは5L/分に設定した。
2D-LCMS法
Figure 2015525766
AE-トロロックス及びAE-トロロックス-d4は、3.34分の保持時間で共溶出し、TICからの各イオンのAUCは、積分によって求めた。AE-トロロックスAUCの線形性は、100〜0.14 pmolから求めた。
計算
AE-トロロックス及びAE-トロロックス-d4のTIC積分から、比を計算した。
比 = AUC AE-トロロックス/AUC AE-トロロックス-d4
次いで、AE-トロロックス酸化の阻害パーセントを、次式によって求めた。
%阻害=[1-((比0-比x)/(比0-比f))] * 100
式中、比0は、0試験化合物/0 AIPH対照アッセイの平均AUC比であり、比xは、様々な濃度における試験化合物アッセイのAUC比であり、比fは、0試験化合物対照アッセイの平均AUC比である。一般的に、比0及び比fは、それぞれ4対照ウェルを平均することによって求められる。
IC50(試験化合物が、AE-トロロックスの酸化を50%阻害する濃度)を、4パラメーターロジスティック又はシグモイド用量反応モデルを使用して%阻害対濃度のプロットから求めた。IC50に適合する曲線の標準誤差もヒルスロープと一緒に求めた。トロロックスについて求めたIC50を、各試験化合物について求めたIC50によって割ってトロロックスに対するアルキルペルオキシラジカル捕捉能力の尺度であるトロロックス当量を生成した。
トロロックス当量=IC50試験化合物/IC50トロロックス
結果
AE-トロロックス酸化の経時変化
AE-トロロックス酸化の経時変化(5μM)を5 mM AIPHにおいて行った。それがアルキルペルオキシラジカルの26nmol/sのラジカル流動速度を生成するので、5mM AIPHの濃度を選択した。これは、10分にわたって酸素の過剰(約10倍)を維持した。図10に見られるように、AE-トロロックスの消失は、10分にわたって線形であり、この後、速度は劇的に遅くなった。
IC50の測定
各試験化合物は、少なくとも3回評価し、全てのデータポイントを合わせて1つのIC50曲線を生成した。IC50データは、下記の表12に示されている。
Figure 2015525766
結論
化合物1は、アルキルペルオキシラジカルを捕捉することにおいてミノサイクリン及び他のテトラサイクリン類似体と比べてより良好であった。
[実施例15]
この試験の目的は、脆弱X症候群を治療することについて化合物1を試験することであった。この試験は、脆弱X症候群の動物モデルであるFmr1 KOマウスを使用した。Fmr1 KO突然変異マウスにおける前臨床治療効能試験に適する最も確実に表現型の違いを検出することにおける、以前及び新しく実証された有効性を含む一連の挙動パラダイムで、Fmr1 KOマウスを、それらの野生型同腹子対照マウスと一緒に試験した。Fmr1 KOマウスを、それらの野生型同腹子から確実に識別することが見いだされた挙動試験を、上記試験に使用した。
材料及び方法
Fmr1 KOマウス(C57BL/6背景)は、FRAXA Foundationから快く提供された。マウスを、同じ遺伝子型の群で、12時間明暗サイクル(7amから7pmまで点灯)の温度及び湿度制御された部屋に住まわせた。明相で試験を行った。食物及び水は随意に得られた。試験を、Fmr1 KOマウス及びそれらの野生型同腹子に対して行った。それらを、UKで購入した市販のプラスチックケージに住まわせた。実験を、英国動物(科学的処置)法, 1986(the UK Animals (Scientific Procedures) Act, 1986)の要求に沿って行った。
使用された用量プロトコールが以下に示されている。1週間、浸透圧ポンプ(0.5μl/時間)による腹腔内(i.p.)注入によってマウスに6〜7週において投与した。0.9%生理食塩水の溶液を、ビヒクルとして使用し、各群当たり10匹のマウスに投与した。
Figure 2015525766
結果
ベースラインにおいて、Fmr1 KOマウスは、オープンフィールド(p<0.01)及び高架式十字迷路試験(p<0.01)における活動過剰、オープンフィールド短期及び長期記憶、並びに日常生活の活動を含めて、野生型同腹子対照マウスと比較して多数の表現型の変化を発現した。化合物1による処置は、Fmr1 KO2マウス表現型のこれらの異常な特徴を著しく改善した。試験の結果が、図11〜15及び表13〜16に示されている。
Figure 2015525766
Figure 2015525766
Figure 2015525766
上記の表13〜15に示されたデータについて、処置群の間の平均値の差異は、見込みによって予想されるものに比べてより大きく、統計的に有意な差異(P<0001)が存在する。
ビー玉埋め試験
ビー玉埋め試験において、Fmr1 KO2マウスは、野生型マウスと比べて埋めたビー玉が著しくより少なく((P<0001)、これは、全ての試験期間においてビヒクルで処置されたWTマウスと同様に、化合物1によって著しく取り戻された。
Figure 2015525766
状況恐怖条件付け
不安に対する種に特異的な反応としてのフリージング(freezing)を測定した。急性のストレス状態下で、化合物1で処置されたFmr1 KO2マウスは、学習障害を完全に取り戻すことに失敗し、化合物1で処置及びビヒクルで処置されたWTマウスと比べてより高い割合のフリージングを示した。
結論
概して、結果は、化合物1は、Fmr1 KO2マウスにおける活動過剰、長期及び短期記憶並びに種に典型的な挙動に対して著しく好ましい効果を有することの直接の証拠を提供している。
[実施例16]
この試験の目的は、脆弱X症候群(FXS)のマウスモデルに由来する細胞及びそれらの野生型同腹子対照マウス胎児における樹状突起棘の発症に対するテトラサイクリン化合物、例えばミノサイクリン及び化合物1の直接の効果を調べることであった。
材料及び方法
区分化された細胞培養物を実験に使用した。胎児の16日(E6)における海馬の神経初代培養物を、Fmr1 KO及びWT同腹子対照マウス胎児から調製し、3つの独立した培養物を分析に使用した。GRPを含むインビトロシステムを、培養物の時間経過を通して樹状突起棘形態形成をモニターするために使用し、シナプトフィジンによる免疫染色を、シナプス前の神経線維末端を識別するために使用した。樹状突起棘は、通常、インビトロ培養日数(days in vitro (DIV))7〜14日の間に形成された。14 DIVまでに、大部分の樹状突起は棘であったが、それらの成熟は21 DIVまで続いた。テトラサイクリン化合物の効果は、18 DIVに評価した。共焦点画像分析を、University of Chile imaging centerにおいて実施した。WT対照及びFmr1 KOマウスからの海馬神経細胞の樹状棘の長さ、樹状棘の頭のサイズ分布及び形態の定量分析を、20μMテトラサイクリン化合物又はPBS対照による処置の17時間後に実施した。
結果
化合物1による処置は、FX海馬初代培養物(0.28±0.05)及び対照(0.25±0.08)の間の棘の数の著しい減少を引き起こした。
均等物
当業者は、本明細書に記載された個々の実施形態及び方法の多くの均等物を理解し、又は日常の実験を使用して解明することができよう。このような均等物は、本発明の範囲によって包含されることが意図されている。
本明細書に引用された全ての特許、特許出願、及び文献参照は、本明細書に参照により明確に組み込まれている。

Claims (30)

  1. 対象における神経変性障害を治療又は予防するための方法であって、前記神経変性障害が治療又は予防されるように、テトラサイクリン化合物、又は薬学的に許容されるその塩の有効量を前記対象に投与するステップを含む方法。
  2. テトラサイクリン化合物が、式(I):
    Figure 2015525766
    (式中、
    R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立にH又は非置換C1〜C6アルキルであり、
    R5、R5'、R6及びR6'は、それぞれ独立にH、ヒドロキシル、又は非置換C1〜C6アルキルである)
    の化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. テトラサイクリン化合物が、式(Ia)又は(Ib):
    Figure 2015525766
    Figure 2015525766
    の化合物である、請求項2に記載の方法。
  4. テトラサイクリン化合物が、化合物1:
    Figure 2015525766
    である、請求項3に記載の方法。
  5. 神経変性障害が、脳の炎症を伴う、請求項1に記載の方法。
  6. 神経変性障害が、多発性硬化症である、請求項5に記載の方法。
  7. 神経変性障害が、自己免疫性脳脊髄炎である、請求項5に記載の方法。
  8. 神経変性障害が、脱髄に関連した障害である、請求項1に記載の方法。
  9. 脱髄に関連した障害が、多発性硬化症である、請求項8に記載の方法。
  10. 脱髄を阻害するために有効なテトラサイクリン化合物の用量が、同程度の脱髄阻害を達成するために有効なミノサイクリンの用量より低い、請求項8に記載の方法。
  11. 軸索消失が阻害される、請求項8に記載の方法。
  12. 神経変性障害が、脳卒中である、請求項1に記載の方法。
  13. 神経変性障害が、脆弱X症候群である、請求項1に記載の方法。
  14. 対象における炎症を治療又は予防するための方法であって、前記炎症が治療又は予防されるように、テトラサイクリン化合物、又は薬学的に許容されるその塩の有効量を前記対象に投与するステップを含む方法。
  15. テトラサイクリン化合物が、式(I):
    Figure 2015525766
    (式中、
    R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立にH又は非置換C1〜C6アルキルであり、
    R5、R5'、R6及びR6'は、それぞれ独立にH、ヒドロキシル、又は非置換C1〜C6アルキルである)
    の化合物である、請求項14に記載の方法。
  16. テトラサイクリン化合物が、式(Ia)又は(Ib):
    Figure 2015525766
    の化合物である、請求項15に記載の方法。
  17. テトラサイクリン化合物が、化合物1:
    Figure 2015525766
    である、請求項16に記載の方法。
  18. MMP-9活性が阻害される、請求項14に記載の方法。
  19. TNFαが阻害される、請求項14に記載の方法。
  20. マクロファージによる一酸化窒素産生が阻害される、請求項14に記載の方法。
  21. 対象における脳卒中を治療又は予防するための方法であって、脳卒中が治療又は予防されるように、化合物1、又は薬学的に許容されるその塩の有効量を前記対象に投与するステップを含む方法。
  22. 対象における多発性硬化症を治療又は予防するための方法であって、多発性硬化症が治療又は予防されるように、化合物1、又は薬学的に許容されるその塩の有効量を前記対象に投与するステップを含む方法。
  23. 対象における脆弱X症候群を治療するための方法であって、脆弱X症候群が治療されるように、化合物1、又は薬学的に許容されるその塩の有効量を前記対象に投与するステップを含む方法。
  24. 対象がヒトである、請求項21、22又は23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 神経変性障害が、同じ用量のミノサイクリンによって生ずるより少ない組織汚染で治療される、請求項1に記載の方法。
  26. 神経変性障害が、実質的に組織汚染することなく治療される、請求項25に記載の方法。
  27. 神経変性障害が、同じ用量のミノサイクリンによって生ずるより少ない抗菌効果で治療される、請求項1に記載の方法。
  28. 神経変性障害が、実質的に抗菌活性を有さずに治療される、請求項27に記載の方法。
  29. 神経変性障害が、多発性硬化症である、請求項26又は28に記載の方法。
  30. 神経変性障害が、脳脊髄炎である、請求項1に記載の方法。
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