JP2015519206A - ロール装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1つのロール胴(11)と2つのロールネック(10)を有するロールと、ロールネック(10)の少なくとも一方を回転不能に収容するための少なくとも1つのネックブッシュ(20)とを有する、冶金技術において使用するためのロール装置(100)に関する。ロールネック(10)とネックブッシュ(20)の間に、噛合い係合式の回転不能の結合部としてのドグ要素(25)が配置されている。ロール支承部の構造サイズもしくは組込みサイズを拡大することなくロール軸受部の負荷能力を向上させるため、及び、同時に容易な組立性を保証するため、ロールネック(10)が、半径方向の遊びをもってネックブッシュ(20)内に支承され、これにより、無負荷状態で、半径方向の遊びに基づいて、環状の中空空間(12)が、ネックブッシュ(20)とロールネック(10)の間に構成される。中空空間(12)を拡大するため、付加的にロールネック(10)又はネックブッシュの内周面(21)は、凹の輪郭(50)もしくはプロフィルを有するように形成される。

Description

本発明は、1つのロール胴と2つのロールネックを有するロールと、ロールネックの少なくとも一方を回転不能に収容するための少なくとも1つのネックブッシュと、ネックブッシュとロールネックの間の噛合い係合式の回転不能の結合部としてのドグ要素とを備え、ロールネックの外周面とネックブッシュの内周面が互いに相補的にシリンダ状に形成されている、冶金技術におけるロール装置に関する。
従来技術から、ロールネックがシリンダ状又は円錐形のネックブッシュ内に収容されたロール装置が公知である。周方向力を伝達するために、ネックブッシュとロールネックの間にドグ要素が配置されている。
例えば、圧延機における油膜軸受は、圧下シリンダからの圧延荷重を中継し、この圧延荷重をワークロールに伝達するバックアップロールを支承するために使用される。これは、高負荷を受ける滑り軸受のことであり、これら滑り軸受は、大抵は高いゾンマーフェルト数領域において、即ち比較的低い回転数及び比較的高い負荷の時に作動する。負荷ゾーン内に形成される部分的に1500bar以上までになる非常に高い圧力の場合、圧力負荷を受ける面の弾性変形もしくは扁平化が行なわれる。この扁平化により、例えば圧下シリンダによって加えられる外力の作用方向とは反対に大きい加圧有効面が生じる。従って、軸受は、大きい負荷を支持することができる。この効果は、“弾性流体(EHD)負荷能力向上”と呼ばれる。この効果を更に強化するため、いわゆるMogoil−KLM(登録商標)軸受が使用されるが、これら軸受は、円錐形に形成された薄肉のネックブッシュを滑り面として備える(米国特許第6,468,194号明細書及び欧州特許第1 213 061号明細書参照)。
文献“Newsletter 01/2009,SMS Group,第16年度刊第1号、2009年4月、50〜51ページ”から、ネックブッシュが円錐形のロールネックに装着されたロール軸受装置のためのMogoil−KLM(登録商標)軸受が公知である。トルク伝達のため、フェザーキーがネックブッシュとロールネックの間に配置されている。
独国特許出願公告第38 76 663号明細書には、流体潤滑膜上に回転する軸受を支持するためのシリンダ状のブッシュが記載されている。
欧州特許第1 651 876号明細書は、軸受ブッシュが内側に位置する少なくとも2つの静圧ポケットを備える、軸受ブッシュ内に支承されたロールネックのための油膜軸受に関する。
独国特許出願公告第38 76 663号明細書は、流体潤滑膜上に回転する軸受を支持するためのブッシュに関する。
独国特許出願公告第603 03 052号明細書から、シリンダ状のブッシュが、ドグ要素を介してロールネックと噛合い係合式に結合されている、圧延機内のロールネックのネック面を回転可能に支持するためのブッシュが公知である。
これまで公知のこれら解決策の欠点は、非常に高い負荷を伝達するために、負荷に適合させた大きい支承部の寸法設定が行なわれる点にある。
米国特許第6,468,194号明細書 欧州特許第1 213 061号明細書 独国特許出願公告第38 76 663号明細書 欧州特許第1 651 876号明細書 独国特許出願公告第603 03 052号明細書
Newsletter 01/2009,SMS Group,第16年度刊第1号、2009年4月、50〜51ページ
本発明の根底にある課題は、ロール装置の構造サイズもしくは組込みサイズを拡大することなく、ロール装置の負荷能力を更に向上させることにある。同時に、組立て費用及びこれと結びついたコストは、できるだけ少なくすべきである。
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴によって解決される。本発明は、1つのロール胴と2つのロールネックを有するロールと、ロールネックの少なくとも一方を回転不能に収容するための少なくとも1つのネックブッシュを備える、冶金技術において使用するためのロール装置を説明する。ロールネックの外周面とネックブッシュの内周面は、互いに相補的にシリンダ状に形成されている。噛合い係合式の回転不能の結合部として、ドグ要素が、ネックブッシュとロールネックの間に配置されている。本発明の特徴は、ロールネックが、半径方向の遊びをもってネックブッシュ内に支承され、これにより、無負荷状態で、半径方向の遊びに基づいて回転対称の環状の中空空間が、ネックブッシュとロールネックの間に形成されていることである。
中空空間は、最大軸受荷重に依存して正確に予め寸法設定されている。環状の中空空間は、環状の中空プロフィルの意味の回転対称のリング間隙の形態で、ロール装置の長手方向軸に対して垂直な平面内に形成されている。有利には、遊びによって、無負荷状態でネックブッシュとロールネックの間に予荷重が生じないことが得られる。
本発明による中空空間により、ネックブッシュとロールネックの間に拡大された自由空間が生じ、この自由空間内へ、ネックブッシュは、力作用の空間的な領域内の負荷下で、局所的に扁平化することができる。ネックブッシュの扁平化により、力を受け止めるための加圧有効面が拡大され、その構造サイズを拡大させる必要なしに、ロール装置の負荷能力が明らかに向上させられる。詳細は、明細書の終わりの“機能方式”の項目を参照されたい。
第1の実施例によれば、中空空間が、ロールネックの外周面及び/又はネックブッシュの内周面における、回転対称の凹のキャビティによって拡大及び画成されている。凹のキャビティは、それぞれ1つの回転対称のリング間隙を、回転対称の全中空空間の一部として構成/画成する。有利には、これにより負荷を受けた場合にネックブッシュとロールネックの間の、同様にネックブッシュと軸受ブッシュの間の、有効加圧面の付加的な拡大が得られ、これは、寸法設定もしくは組込みサイズを変更しない場合の支承部の負荷能力を更に向上させる。
本発明の別の形成では、ロールネックの外周面及び/又はネックブッシュの内周面は、ロール装置の縦断面で見て凹のそのキャビティの領域内が、少なくとも部分的に直線、サインカーブ、n次の多角カーブR(x)又はこれらの組合せの形態で輪郭付けされている。
更に、ロールネックの外周面の輪郭又はネックブッシュの内周面の輪郭は、ロール装置の縦断面で見て凹のそのキャビティの領域内が、隣接する2つのプロフィル部分の間の移行領域において連続的で細分化可能である。これにより、輪郭の経過は、以下ではプロフィルとも呼ばれるが、生じ得るノッチ作用の欠点に反作用するために、互いに隣接するプロフィル部分によってエッジなく、即ちスムーズな移行部で形成される。加えて、負荷を受けた場合、互いに向かって作用するネックブッシュとロールネックの周面における窪み箇所、例えば溝の形成が回避される。
更に、ロールネックの外周面の輪郭又はネックブッシュの内周面の輪郭は、ロール装置の縦断面で、即ち軸方向に見て凹のそのキャビティの領域が、軸方向の軸受荷重の分布と相関しているので、負荷下で局所的にネックブッシュのその弾性領域内でのできるだけ大きい扁平化が得られ、この扁平化は、構造サイズが変更されない時のロール装置の負荷能力を最大にする。
更に、本発明では、ロールが、ロールスタンドで使用するためのバックアップロール又は中間ロール又はワークロールである。
その他には、ネックブッシュとロールネックの間のドグ要素として、少なくとも1つのフェザーキーが配置されている。有利には、力伝達のために少なくとも1つの標準部品が使用され、この標準部品は、力伝達のための安価な標準部品として摩耗又は破壊時に問題なく交換することができる。
別の実施例によれば、ロール装置が、軸受ブッシュを有する少なくとも1つのチョックを備え、軸受ブッシュ内に、ネックブッシュが、ロールネックもしくはロールと共に、ネックブッシュと軸受ブッシュの間の支持油膜を使用して滑動するように支承されている。
全体として、本発明によるロール装置によって、既存の組込みスペースを変更する必要なしに支承部の負荷能力向上もしくは能力向上を得るために、例えば圧延装置内の既存のロール装置を本発明によるロール装置によって置換もしくは交換する単純かつ安価な可能性が得られる。本発明によるロール装置は、簡単に取り付けることができる。修理時には、単純かつ迅速な交換が可能である。これにより、同時に効率を向上させつつ整備及び保守コストが、全体として下げられる。
本発明の別の利点及び詳細は、従属請求項及び図に図示した本発明の実施形態を詳細に説明する後続の説明からわかる。この場合、前で述べた特徴の組合せ以外に、単独の特徴又は他の組合せの特徴も本発明にとって重要である。
本発明を以下で図1〜3bに関係させて詳細に説明する。
ロールとプロフィル形成されたシリンダ状のネックブッシュ プロフィルの深さtの詳細図 無負荷状態の半径方向の遊びを有するネックブッシュ内のロールネックの支承部の、最大の全中空空間の領域の断面図 負荷状体の半径方向の遊びを有するネックブッシュの変形の、最大の全中空空間の領域の断面図 軸受遊びを有するロールネック上のネックブッシュの支承部の概略図 ロールネックの外周面もしくはネックブッシュの内周面のための異なったプロフィル経過
図1には、1つのロール胴11と少なくとも1つのシリンダ状のロールネック10を有するロールを有する、例えば冶金技術において使用するためのロール装置100が図示されている。ロールネック10は、ロールネック10に対して相補的にシリンダ状に形成されたネックブッシュ20の収容孔内に半径方向の遊びをもって回転不能に支承されている。ネックブッシュ20とロールネック10の間の半径方向遊びは、回転対称もしくはロールネック10を囲繞する中空空間12によって構成されている。半径方向遊びにより、容易に、ネックブッシュ20をロールネック10上に装着すること、又は、逆にロールネック10をネックブッシュ20内に挿入することができる。ネックブッシュ20とロールネック10の間の直径差としての半径方向遊びは、最大で好ましくは0.10mm〜0.80mmの範囲内にある。
シリンダ状のネックブッシュの肉厚dは、更に以下で説明する選択的な回転対称の凹のキャビティを考慮せずに、10mm〜75mmである。
ロールネック10上に装着する時のネックブッシュ20の装着位置を制限するために、ロール胴11の端面とネックブッシュ20の間に、ストッパ25を有するスペーサリング28が配置されている。選択的に、ロール胴11は、端面側に、ロール胴と一体的に形成された、ストッパ25としての突起(図示してない)を備えることもできる。ネックブッシュ20は、ロールネック10上に装着した後、ロールネック10を支承するために選択的に配置されたスラスト軸受−インナリング16を介した加圧ショルダリング17とナット18とによって軸方向(x)にストッパ25に対して締め付けられ、こうして軸方向に移動しないように固定される。この場合、ロールネック10は、その端部に加圧ショルダリング17を収容するためにハブ突起26を備え、これに続き、ナット18を収容するためのネジ付ピン27を備えている。ナット18は、付加的に回転防止装置19、例えばロックナットによって解離しないように固定することができる。
噛合い係合式の結合部を形成し、回転運動時に生じる周方向力を伝達するために、ネックブッシュ20とロールネック10の間に、例えばフェザーキーの形態の少なくとも1つのドグ要素23が配置されている。別の可能な実施形態では、1つのドグ要素を、ロールネック10又はネックブッシュ20と一体的に形成することもできる。
例えば、ネックブッシュ20の内周面21は、例えば旋盤加工及び/又は研削盤加工によって形成された、以下ではキャビティ又はプロフィル40とも呼ばれる環状又は回転対称の凹の輪郭を備えている。ネックブッシュ20の内周面21のプロフィル40は、ネックブッシュ20の縦断面で見て凹のそのキャビティの領域が、少なくとも部分的に直線、サインカーブ、n次の、特に放物線の形態の2次の多角カーブR(x)又はこれらの組合せの形態で輪郭付けされている。選択的又は付加的にロールネックの外周面にも、環状又は回転対称の輪郭を形成することができる。
ロールネック10及び/又はネックブッシュ20におけるプロフィルの凹のカーブ経過(前者は図1には示してない)により、必然的に、回転対称のリング間隙の形態の深さtを有する凹部が構成され、この凹部は、既に無負荷状態でネックブッシュ20とロールネック10の間に存在する半径方向遊びによって構成される回転対称の中空空間12の拡大を生じさせる。また、中空空間12は、全体として、即ち半径方向遊びプラス凹部から成るが、環状の中空プロフィルの意味のリング間隙の形態で形成され、ロールネック10の中心軸15に対して垂直な平面内でロールネック10を中心として延在する。
両ロールネックにおける値的には半分の大きさであるが半体向きの軸受荷重F(リアクション)によって相殺される圧延荷重F(アクション)をロール装置に作用させた場合、ネックブッシュ20の内周面21のプロフィル40は、局所的及び弾性的にロールネック10のシリンダ状の外周面13に適合もしくは密着するので、これにより、図2bに詳細に示したように、拡大された軸受面が、ネックブッシュ20と軸受ブッシュ51の間に形成され、軸受荷重Fの圧力分布を最適化する。図1では、カーブ44が、負荷を受けた場合の軸方向の従来技術による圧力分布を示し、カーブ46が、負荷を受けた場合の軸方向の本発明によるロール装置100の最適化された圧力分布を示す。
図1は、部分負荷状体のロール装置を示す。部分負荷は、中空空間の無負荷状態で半径方向遊びに依存した部分が、図1でロール装置の上の力作用の場所において圧縮されるような大きさである。ネックブッシュは、図1による部分負荷図の場合、部分領域だけで、具体的には両側の支持面14だけで、ロールネックに載っている。しかしながら、これに対し、中空空間の、ネックブッシュの凹のプロフィルによって構成される部分は、未だ存在し、認識可能である。図1内の力作用は、未だ最大ではない。特に、この力作用は、未だ、ロール装置の上側の中空空間の、ネックブッシュの凹のプロフィルによって構成される付加的な部分も消滅し、ネックブッシュがその軸方向の全長にわたってロールネックに当接するような大きさではない。この負荷の場合は、未だ、より大きい圧延荷重及び軸受荷重F,Fを必要とする(図1には図示してない)。
ネックブッシュ20とロールネック10の間のプロフィル40の深さtもしくはこれから生じる付加的な中空空間12の大きさは、最大に生じる圧延荷重Fとネックブッシュ20の弾性係数に依存して、負荷状態での最大圧延荷重Fが大きくなるほど中空空間12の容積が大きくなるように形成されるよう、適合されており、ネックブッシュ20の変形は、弾性領域だけにとどまっている。プロフィルの実際の深さtは、マイクロメートル(μm)の領域内で、好ましくは1000μmまで変動する。
図示したロールは、特にロールスタンド内で使用するためのバックアップロール又は中間ロール又はワークロールとすることができる。この場合、ロールスタンドは、圧延機内の圧延ラインの一部として配置することができる。
加えて、ロールネック10と共にネックブッシュ20を収容するための軸受ブッシュ51を有する少なくとも1つのチョック50を設けることができ、チョック50の軸受ブッシュ51とネックブッシュ20の外周面22の間に支持油膜30が設けられている。この装置は、油膜軸受部とも呼ばれる。好ましい形成では、軸受ブッシュ51の内周面が、軸受メタルライニング、例えばホワイトメタルでコーティングされている。
ネックブッシュ20とロールネック10の間には、マイクロ摩擦によるマイクロ冷間圧接を回避するために、特に潤滑膜31が配置されている。
図1aの詳細図は、拡大したスケールで、ロールネックの外周面13とネックブッシュの内周面21の間の全遊びを明らかにする。全遊びは、図1aには詳細には示してないロールネック10とネックブッシュ20の間の予め選択された嵌合公差(遊び嵌め)とプロフィルの深さtから生じる。
図2aの図は、断面図で、無負荷状態の半径方向遊び24を有するネックブッシュ20内のロールネック10の支承部を示す。ネックブッシュ20とロールネック10の間の半径方向遊びは、環状の中空空間12を構成する。
図2bは、負荷状態の半径方向遊びを有するネックブッシュ20内のロールネック10の支承部を示す。ネックブッシュ20とロールネック10の間の中空空間12は、負荷を受けた場合に、負荷作用箇所で局所的に中断される。ネックブッシュ20は、図が示すように、負荷を受ける箇所でロールネック10に支持され、ロールネックに密着する。ネックブッシュ20は、圧力負荷時に、正確に予め寸法設定された中空空間12によって接触領域で受け止められる弾性変形を受ける。ネックブッシュ20とロールネック10の間の圧力分布は、力伝達のためにネックブッシュ20とロールネック10の間に拡大された扁平化された面が形成されるように行なわれ、扁平化は、同様にネックブッシュ20の外周面22に伝達され、従って最大の支持面もしくは山状流体圧力が、ネックブッシュ20とロールネック10の間と、ネックブッシュ20と軸受ブッシュ51の間に構成される(機能方式に関する詳細は更に以下を参照)。
図3aは、ロールと、半径方向隙間24をもってロールネック10上に配置された少なくとも1つのネックブッシュ20とを有するロール装置100を原理的に説明する。この場合、ロールネック10の外周面13とネックブッシュ20の内周面21は、シリンダ状に形成され、それぞれの周面13,21は、互いに相補的に形成され、無負荷状態で、互いに半径方向遊びをもって向かい合って位置し、これにより、回転対称の中空空間が構成される。
図3aに示したロール装置において負荷能力を向上させるため、中空空間は、半径方向の遊びに基づいて、生じる圧延荷重及び軸受荷重F,Fに依存して適切に寸法設定すべきである。このため、付加的に、本発明によれば選択的に、中空空間を更に拡大するために、ネックブッシュ20の内周面21及び/又はロールネック10の外周面13の回転対称のプロフィル40を設けることができる。図3bは、模範的に、n次の数学関数R(x)の形態の軸方向の種々の可能なプロフィルを説明するが、このプロフィルは、負荷の場合に応じて他のプロフィルと組み合わせても使用可することができる。プロフィル部分を互いに組み合わせた時の均等なエッジなしの移行部を保証するため、プロフィル40は、隣接する2つのプロフィル部分の間の移行領域が、連続的で細分化可能に形成されている。図3bに図示したカーブ経過が、実際に実行可能なプロフィルを説明するものではないことを述べておく。図示した多数のカーブ部分もしくはプロフィル部分は、異なった可能なプロフィルバリエーションを概略的に図示するために使用されるに過ぎない。
・機能方式
半径方向遊びから生じる及び選択的で付加的にプロフィル40からも生じる、ネックブッシュ20とロールネック10の間の本発明による回転対称の中空空間12により、ネックブッシュ20とロールネックの間に拡大された自由空間が生じ、この自由空間内へ、ネックブッシュ20は、力作用の場所で膨張することができる。
具体的には、ロールスタンドでの圧延モードで、少なくとも実質的に垂直方向上方へ向いた圧延荷重Fが、上の(バックアップ)ロールに加えられ、これに対して同時に少なくとも実質的に垂直方向下方へ向いた圧延荷重Fが、下の(バックアップ)ロールに加えられる。これら圧延荷重は、ロール胴からそれぞれ半分だけロールネックに伝達され、これにより、上のチョック内のロールネックが上方へ、下のチョック内のロールネックが下方へ押し付けられる。
圧延荷重は、作用連鎖に従いロールネックから更にネックブッシュ、ネックブッシュと軸受ブッシュの間の支持油膜及び軸受ブッシュを介してチョックに伝達される。チョックから、圧延荷重は、更にチョックを支承するロールスタンド内へ導出される。
チョック及びチョック内に支承された軸受ブッシュは、理想化して圧延荷重に対して非可撓性及び非圧縮性であると見なすべきである。即ち、チョック及び軸受ブッシュは、これらがそれぞれ値的には同じであるが反対向きの軸受荷重F(リアクション)を対向させることによって、これらに作用するそれぞれ半分の圧延荷重FW/2を(アクション)を完全に受け止める。
既に僅かな圧延荷重Fによる圧延モード中のロールネックへの作用が、ロールネック10をネックブッシュ20と共に圧延荷重Fの方向に支持油膜30に押し付け、支持油膜を軸受けブッシュ51及びチョックに押し付けることを生じさせる(図2b)。しかしながらこの場合、ネックブッシュ20は、非圧縮性の支持油膜30に衝突し、この支持油膜自身は、非可撓性の軸受ブッシュ51及び非可撓性のチョック50によって、圧延荷重の方向への回避を阻止される。従ってその結果、ネックブッシュは、対立する軸受荷重Fによって、圧延荷重の方向への回避を阻止されている。
ネックブッシュ20自身は、本発明による中空空間12と関係して、ロールネック10へ向かって、前で示した(圧延)荷重の作用連鎖における最弱の成分である。
ネックブッシュ20が圧延荷重を回避することができないので、圧延モード中に負荷を受けた場合は、ネックブッシュ20を弾性変形させる。ネックブッシュは、圧延荷重FW/2もしくは反対向きの軸受荷重Fによって−当初の−中空空間12内へ変形され、この場合扁平化される。扁平化は、最大で、ネックブッシュがロールネック10に押し付けられ、このロールネックによって支持されるまで行なわれる。ネックブッシュ20は、局所的に、弾性的にロールネックのプロフィル40に適合し、除荷後再び当初の状態に変形する。扁平化により、ネックブッシュ20と軸受ブッシュ51の間の加圧有効面が拡大される。ネックブッシュ20と軸受ブッシュ51の間に、支持油膜30が配置され、この支持油膜は、いわゆる流体油膜軸受部を構成する。本発明によるロール装置は、加圧有効面の拡大に基づいて、ネックブッシュと軸受ブッシュの間の流体油膜軸受部の負荷能力を向上させる。
現実では、圧延荷重もしくは軸受荷重は、点状又は線状ではなく、山状荷重の形態で作用する。山状荷重は、周方向及び軸方向に面状の広がりを有する。ネックブッシュの扁平化とこれに結び付いた加圧有効面の拡大により、面状に広がりを有する山状荷重のためのロール装置の明らかな負荷能力の向上が得られる。
本発明によるロール装置は、また、ネックブッシュが無負荷状態で既に例えば収縮による予荷重により摩擦係合式にロールネックと結合されたロール装置に対して明らかに多く負荷を受け得る。ネックブッシュの弾性的な扁平化のために必要な力の作用は、本発明による中空空間に基づいて、軸受ブッシュとネックの間に予荷重付与部を有する構造の場合よりも少ない。予荷重を受ける構造の場合、同じネックブッシュの変形を実現するために、より大きい力が必要である。
換言すれば以下のようである:
ネックブッシュ20の比較的薄い肉厚のために、ネックブッシュ20の内周面21における負荷下の変形は、変わりなく、即ち同じ方向に、ネックブッシュ20の外周面22において生じ、これにより、力の作用とは反対のネックブッシュ20と軸受ブッシュ51の間の加圧面の拡大/拡幅を生じさせる。これが更にまた、潤滑膜圧力の均等な分布を生じさせるので、より大きい力が受け止められ、支持油膜30内でのピーク圧力が、軸受ブッシュのもしくは軸受ブッシュの軸受メタルライニングの材料の限界値を上回ることはない。従って、本発明による装置は、ネックブッシュ20と軸受ブッシュ51の間の流体潤滑膜もしくは油膜軸受部の負荷能力を向上させる。
100 ロール装置
10 ロールネック
11 ロール胴
12 中空空間
13 ロールネックの外周面
14 支持面
15 中心軸
16 スラスト軸受−インナリング
17 加圧ショルダリング
18 ナット
19 ロックナット
20 ネックブッシュ
21 ネックブッシュの内周面
22 ネックブッシュの外周面
23 ドグ要素
24 半径方向遊び
25 ストッパ
26 ハブ突起
27 ネジ付ピン
28 スペーサリング
30 支持油膜
31 潤滑膜
40 プロフィル
44 圧力分布−従来技術
46 最適化された圧力分布
50 チョック
51 軸受ブッシュ
R(x) 数学関数としてのプロフィル
x 軸方向の座標
圧延荷重
軸受荷重
t プロフィルの深さ
d ネックブッシュの肉厚
独国特許出願公告第38 76 663号明細書、米国特許第2,955,002号明細書及び欧州特許出願公開第0 285 333号明細書には、流体潤滑膜上に回転する軸受を支持するためのシリンダ状のブッシュが記載されている。
米国特許第6,468,194号明細書 欧州特許第1 213 061号明細書 独国特許出願公告第38 76 663号明細書 欧州特許第1 651 876号明細書 独国特許出願公告第603 03 052号明細書 米国特許第2,955,002号明細書 欧州特許出願公開第0 285 333号明細書
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴によって解決される。本発明は、1つのロール胴と2つのロールネックを有するロールと、ロールネックの少なくとも一方を回転不能に収容するための少なくとも1つのネックブッシュを備える、冶金技術において使用するためのロール装置を説明する。ロールネックの外周面とネックブッシュの内周面はシリンダ状に形成されている。噛合い係合式の回転不能の結合部として、ドグ要素が、ネックブッシュとロールネックの間に配置されているロールネックが、半径方向の遊びをもってネックブッシュ内に支承され、これにより、無負荷状態で、半径方向の遊びに基づいて回転対称の環状の中空空間が、ネックブッシュとロールネックの間に形成されている。本発明の特徴は、中空空間が、ロールネックの外周面及び/又はネックブッシュの内周面における、回転対称の凹のキャビティによって拡大及び画成されているであることである。
凹のキャビティは、それぞれ1つの回転対称のリング間隙を、回転対称の全中空空間の一部として構成/画成する。有利には、これにより負荷を受けた場合にネックブッシュとロールネックの間の、同様にネックブッシュと軸受ブッシュの間の、有効加圧面の付加的な拡大が得られ、これは、寸法設定もしくは組込みサイズを変更しない場合の支承部の負荷能力を更に向上させる。

Claims (8)

  1. 1つのロール胴(11)と2つのロールネック(10)を有するロールと、ロールネック(10)の少なくとも一方を回転不能に収容するための少なくとも1つのネックブッシュ(20)と、ネックブッシュ(20)とロールネック(10)の間の噛合い係合式の回転不能の結合部としてのドグ要素(25)とを備え、ロールネック(10)の外周面(13)がシリンダ状に形成され、ネックブッシュ(20)の内周面(21)が相補的にシリンダ状に形成されている、冶金技術におけるロール装置(100)において、
    ロールネック(10)が、半径方向の遊びをもってネックブッシュ(20)内に支承され、無負荷状態で、半径方向の遊びの形態の回転対称の環状の中空空間(12)が、ネックブッシュ(20)とロールネック(10)の間に形成されていること、を特徴とするロール装置。
  2. 中空空間(12)が、回転対称に形成され、ロールネック(10)の外周面(13)及び/又はネックブッシュ(20)の内周面(21)における、ロール装置(100)の縦断面で見て凹の同様に回転対称のキャビティによって画成されていること、を特徴とする請求項1に記載のロール装置。
  3. ロールネック(10)の外周面又はネックブッシュ(20)の内周面(21)は、ロール装置(100)の縦断面で見て凹のそのキャビティの領域内が、少なくとも部分的に直線、サインカーブ、n次の多角カーブR(x)又はこれらの組合せの形態で輪郭付けされていること、を特徴とする請求項2に記載のロール装置。
  4. ロールネック(10)の外周面の輪郭(50)又はネックブッシュ(20)の内周面(21)は、ロール装置(100)の縦断面で見て凹のそのキャビティの領域内が、隣接する2つの部分の間の移行領域において連続的で細分化可能であること、を特徴とする請求項3に記載のロール装置。
  5. 中空区間(12)の容積は、ネックブッシュ(20)の変形が弾性領域に留まっている間は、負荷状体での最大軸受荷重Fが大きくなるほど、大きくなるように形成されていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール装置。
  6. ロール(10)が、ロールスタンドで使用するためのバックアップロール又は中間ロール又はワークロールであること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のロール装置。
  7. ネックブッシュ(20)とロールネック(10)の間のドグ要素(25)が、少なくともフェザーキーの形態で形成されていること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のロール装置。
  8. ロール装置が、更に、軸受ブッシュ(41)を有する少なくとも1つのチョック(40)を備え、軸受ブッシュ内に、ネックブッシュ(20)が、ロールネック(10)もしくはロールと共に、ネックブッシュ(20)と軸受ブッシュ(41)の間の支持油膜(30)を使用して滑動するように支承されていること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のロール装置。
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