JP2015514407A - Nadp依存性アラニンデヒドロゲナーゼ - Google Patents
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Abstract
本発明は、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体であって、ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとするポリペプチド若しくはその変異体、このようなポリペプチドをコードする核酸分子、並びに、ピルベートを本発明によるポリペプチド若しくは本発明による細胞との接触によりアンモニウム及びNADPHと反応させてアラニンへと転化する工程を含む、アラニン又はアラニン消費下に生じる化合物を産生するための方法に関する。
Description
本発明は、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼ(AlaDH)のアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体であって、ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとするポリペプチド若しくはその変異体、このようなポリペプチドをコードする核酸分子、並びに、ピルベートを本発明によるポリペプチド若しくは本発明による細胞との接触によりアンモニウム及びNADPHと反応させてアラニンへと転化する工程を含む、アラニン又はアラニン消費下に生じる化合物を産生するための方法に関する。
アミンは、エポキシ樹脂やポリウレタンフォーム、イソシアネート、また特にポリアミドといった数多くの化学工業製品のための合成成分として用いられている。最後に記載したポリアミドは、アミド基の繰返しが特徴的なポリマー種である。「ポリアミド」という概念は、化学的に近しいタンパク質とは異なり、一般には市販の合成熱可塑性プラスチックを指す。ポリアミドは、慣例的に化石炭化水素のクラッキングの際に生じるアルカンから出発して得られる第一級アミン若しくは第二級アミンから誘導される。しかしながら、アミンの誘導体、より具体的にはアミノカルボン酸やラクタム、そしてジアミンも、アミド系ポリマーの製造に使用可能である。さらに、再生可能原料から出発して生物工学的方法により得られ、次いでアミノ化することができる短鎖ガス状アルカンも、出発材料として重要である。
商業的に需要の高いポリアミドの多くは、ラクタムから出発して製造されている。例えば「ポリアミド6」はε−カプロラクタムの重合により得られ、「ポリアミド12」はラウロラクタムの重合により得られる。その他の商業的に重要な製品には、ラクタムのコポリマー、例えばε−カプロラクタムとラウロラクタムとのコポリマーが含まれる。
アミンの従来の化学工業による製造は化石原料の供給に依存するものであり、非効率的である上に望ましくない副生成物が多量に生じ、これは多くの合成ステップにおいて80%にものぼる。そのようなプロセスの一例はラウロラクタムの製造であり、これは慣例的にはブタジエンの三量体化により得られる。三量体化生成物であるシクロドデカトリエンを水素化し、これから生じるシクロドデカンを酸化してシクロデカノンとし、次いでこれをヒドロキシルアミンと反応させてシクロドデカンオキシムとし、最後にこれをベックマン転位によりラウロラクタムへと転化する。
このような欠点に鑑みて、再生可能原料から出発して生体触媒を用いてアミンを得る方法が考案されてきた。こうした方法では、糖や脂肪酸といった既にアルコール官能性を有し得る農産物を酸化してアルデヒドやケトンへと転化する。後続の工程で、アルデヒドやケトンを引き続きトランスアミナーゼによりアミノ酸消費下にアミンへと転化する。好ましくは、このトランスアミナーゼ反応の間に存在するアミノ酸デヒドロゲナーゼにより、無機窒素塩の消費下にアミノ酸が再生される。
例えば国際特許出願PCT/EP2008/067447号には、一連の好適な酵素活性を有しかつカルボン酸を相応のω−アミノカルボン酸へと転化させ得る細胞を用いてω−アミノカルボン酸を産生するための、生物学的な系が記載されている。特にこの細胞はシュードモナス・プチダGPO1由来のAlkBGTオキシダーゼ系を有しており、これはω−アミノカルボン酸をまずω−ヒドロキシカルボン酸へと酸化し、次いでアルデヒドへと酸化する。次いで、同様に発現されたトランスアミナーゼにより酸化生成物のアミノ化が行われる。
EP11174729.1号及びEP11006458.1号には、アルコールか又は第一の方法工程においてアルコールへとヒドロキシル化されるアルカンを、アルコールデヒドロゲナーゼによりNAD+の消費下にアルデヒド又はケトンへと転化し、次いでトランスアミナーゼによりアミンドナーとしてのアラニンの消費下にアミンへと転化することを特徴とする、アルカン又はアルコールから出発したアミンの産生法が記載されている。消費されたアラニンは、存在しているアラニンデヒドロゲナーゼによりピルベート及びアンモニウムの消費下に再生可能であるため、全体としてはアラニンの供給は不要である。
刊行物に記載されているアラニンデヒドロゲナーゼのうち、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼやその変異体はそのような方法に適している。特にこのアラニンデヒドロゲナーゼ群の欠点は、NADH依存性であるため、生物工学的に特に確立されている多数のNAD依存性アルコールデヒドロゲナーゼがアルコール酸化の際に再生するのとは異なる還元型レドックス因子を消費することである。
これは、in vitro反応の場合に、反応に未反応のアルコール1分子につき1分子のNAD+分子と1分子のNADPH分子を供給しなければならないことを意味する。これに対して、反応がin vivoでホールセル触媒を用いて行われる場合には、細胞はそれぞれのレドックス因子を基本的には一次代謝により調達することができる。しかしこれは代謝の著しい負荷を意味し、生成物収量の低下及び/又は細胞の有用性の低下は避けられない。
このような背景に鑑み、本発明は、アルコールのアミノ化のためのレドックスニュートラルな酵素系、つまりアラニン再生下でのアルコールからアミンへの転化を触媒するのに、外部で産生されたNAD+やNADPHやその他のレドックス因子の供給を必要としないような酵素を含む系を提供することを課題とした。
本発明のもう一つの課題は、NADPHの存在下に酵素により触媒されるアルコールからアミンへの転化に好適であって、この反応を出来る限り高いターンオーバー数で、つまり1秒当たりに反応する基質分子の数が出来る限り多くなるように触媒するアラニンデヒドロゲナーゼを提供することである。
本発明のもう一つの課題は、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼを、この酵素が、ピルベートからアラニンへの転化を基質よりも高いNADPHに対する親和性で以て触媒するように、さらにこの酵素のNADPHに対する親和性が好ましくはNADHに対する親和性よりも高くなるように、さらに好ましくはターンオーバー数が野生型酵素のターンオーバー数に比べて著しく低下することのないように、変化させることである。
本発明のもう一つの課題は、マイルドな反応条件下での、つまり特に極端な温度やpH値でなく、また重金属含有触媒やその他の毒性化合物なしでのワンポット反応に適している、アルコールのアミノ化のためのレドックスニュートラルな系を提供することである。
前記及び他の課題は、本願の対象により、また特に添付の独立請求項に記載の対象により解決され、その際、実施形態は従属請求項から明らかである。
本発明の基礎を成す課題は、第一の態様において、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体であって、ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとするポリペプチド若しくはその変異体により解決される。
前記課題は、第一の態様の第一の実施形態において、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸がアルギニンであるポリペプチドにより解決される。
前記課題は、第一の態様の一実施形態でもある第一の態様の第二の実施形態において、さらに、Asp196か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、中性の若しくは正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているポリペプチドにより解決される。
前記課題は、第一乃至第二の態様の一実施形態でもある第一の態様の第三の実施形態において、中性の若しくは正に帯電した側鎖を有するアミノ酸が、アラニン、グリシン、セリン及びシステインを含む群からのアミノ酸であり、好ましくはアラニンであるポリペプチドにより解決される。
前記課題は、第一乃至第二の態様の一実施形態でもある第一の態様の第四の実施形態において、配列番号1で示されるポリペプチドにより解決される。
本発明の基礎を成す課題は、第二の態様において、第一の態様及びその実施形態によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子により解決される。
前記課題は、第二の態様の第一の実施形態において、配列番号2で示されるヌクレオチド配列である核酸分子により解決される。
本発明の基礎を成す課題は、第三の態様において、第二の態様及びその実施形態による核酸分子を含むベクターにより解決される。
本発明の基礎を成す課題は、第四の態様において、第一の態様及びそれぞれの実施形態によるポリペプチド、第二の態様及びそれぞれの実施形態による核酸分子、又は第三の態様及びそれぞれの実施形態によるベクターを含む細胞により解決される。
前記課題は、第四の態様の第一の実施形態において、さらにNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼを発現する細胞により解決される。
前記課題は、第一の態様の一実施形態でもある第四の態様の第二の実施形態において、第四の態様か又は第四の態様の第一の実施形態による、さらにトランスアミナーゼを発現する細胞により解決される。
本発明の基礎を成す課題は、第四の態様において、以下の工程:
c)ピルベートを、第一の態様によるポリペプチドとの、又は第二の態様若しくはそれぞれの実施形態のうちの一つによる細胞との接触により、アンモニウム及びNADPHと反応させてアラニンへと転化する工程
を含む、アラニン又はアラニン消費下に生じる化合物を産生するための方法により解決される。
c)ピルベートを、第一の態様によるポリペプチドとの、又は第二の態様若しくはそれぞれの実施形態のうちの一つによる細胞との接触により、アンモニウム及びNADPHと反応させてアラニンへと転化する工程
を含む、アラニン又はアラニン消費下に生じる化合物を産生するための方法により解決される。
前記課題は、第四の態様の第一の実施形態において、さらに以下の工程:
a)第一級若しくは第二級アルコールを、NADP+の存在下でのNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとの接触により、アルデヒド若しくはケトンへと転化する工程
を含む方法により解決される。
a)第一級若しくは第二級アルコールを、NADP+の存在下でのNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとの接触により、アルデヒド若しくはケトンへと転化する工程
を含む方法により解決される。
前記課題は、第一の態様の一実施形態でもある第四の態様の第二の実施形態において、さらに以下の工程:
b)工程a)において産生されたアルデヒド若しくはケトンを、アラニンの存在下でのトランスアミナーゼとの接触によりアミンへと転化する工程
を含む方法により解決される。
b)工程a)において産生されたアルデヒド若しくはケトンを、アラニンの存在下でのトランスアミナーゼとの接触によりアミンへと転化する工程
を含む方法により解決される。
前記課題は、第一乃至第二の態様の一実施形態でもある第四の態様の第三の実施形態において、工程a)、b)及びc)が、同一の反応混合物中で好ましくは同時に進行する方法により解決される。
前記課題は、第三若しくは第四の態様のもう一つの実施形態又は第三乃至第四の態様の一実施形態において、細胞が、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリペプチド、NADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼ及びトランスアミナーゼを含む群からの全ての酵素を細胞内で局在化して発現する細胞又は方法により解決される。
前記課題は、第三若しくは第四の態様のもう一つの実施形態又は第三若しくは第四の態様の一実施形態において、NADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼが、E.コリ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(YjgB、データベースコードZP_07117674、及びYahK、データベースコードBAE76108.1)及びラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号3)を含む群からのNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼであり、好ましくはラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号5)若しくはその変異体である細胞又は方法により解決される。
前記課題は、第三若しくは第四の態様のもう一つの実施形態又は第三若しくは第四の態様の一実施形態において、トランスアミナーゼが、クロモバクテリウムビオラセウム由来(データベースコードNP_901695)の、シュードモナス・プチダ由来(データベースコードYP_001668026.1又はYP_001671460)の、ロドバクター・スフェロイデス由来(ATCC 17023株;データベースコードYP_353455)のトランスアミナーゼ並びにそれらの変異体を含む群からのトランスアミナーゼであり、好ましくはクロモバクテリウムビオラセウム由来のトランスアミナーゼ(データベースコードNP_901695)である細胞又は方法により解決される。
本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ、好ましくはNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼと、トランスアミナーゼと、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体とを含む酵素系であって、ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとする酵素系を、アルコールのアミノ化をレドックスニュートラルに触媒するために使用できるという、本発明者の意想外の知見に基づくものである。
さらに本発明は、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されており、それにもかかわらずこの酵素が触媒活性を保持しており、かつ反応を高いターンオーバー数で触媒できることによって、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチドのNADPHに対する親和性を高めることができるという、本発明者の意想外の知見に基づくものである。
本発明は、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体であって、ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとするポリペプチド若しくはその変異体に関する。このポリペプチドは配列プロトコルにおいて配列番号1で示されている。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「アラニンデヒドロゲナーゼ」という概念は、ピルベートを、アンモニウムとNADH若しくはNADPH、好ましくはNADPHの消費下に、アラニンとNAD+若しくはNADP+、好ましくはNADP+に転化することを触媒する酵素活性ポリペプチドを表す。バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列は、本願においてデータベースコードの表記により示されるその他の分子の配列と同様に、NCBIのデータベースの2012年4月1日にオンライン取得可能であったバージョンで、データベースコードL20916で検索可能である。
しかしながら、本発明による教示は、例えばデータベースコードL20916で示されるアラニンデヒドロゲナーゼのような、厳密に本願明細書中に記載されている通りの生物巨大分子のアミノ酸配列若しくは核酸配列を用いて実施でき、またこのようなアミノ酸配列若しくは核酸配列に適用できるばかりでなく、このような巨大分子の、1つ以上のアミノ酸又は核酸の欠損、付加若しくは置換によって得られる変異体を用いて実施することもでき、またこのような変異体に適用することもできる。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる核酸配列若しくはアミノ酸配列の「変異体」という概念は、以下で「ホモログ」という概念と同義かつ互換的に用いられ、これは、相応の本来の野生型の核酸配列若しくは野生型のアミノ酸配列に対して70%の、75%の、80%の、85%の、90%の、92%の、94%の、96%の、98%の、99%の又はそれより高いパーセンテージの相同性(本願では同一性と同義で用いられる)を有する別の核酸配列若しくはアミノ酸配列を意味し、その際、好ましくは、触媒活性中心を形成するアミノ酸や構造若しくはフォールディングに必須のアミノ酸とは別のアミノ酸が欠失若しくは置換されているか、又はそのようなアミノ酸が保守的にのみ置換されており、例えばアスパラギン酸の代わりにグルタミン酸に、またバリンの代わりにロイシンに置換されている。従来技術では、例えばArthur Lesk (2008), Introduction to bioinformatics, 第三版に、2つの配列の相同性の程度の算出に利用可能なアルゴリズムが記載されている。本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、アミノ酸配列若しくは核酸配列の変異体は、好ましくは上述の配列相同性に加えて、野生型分子若しくは本来の分子と実質的に同じ酵素活性を有する。例えば、アラニンデヒドロゲナーゼとして酵素的に活性なポリペプチドの変異体は、同じか若しくは実質的に同じタンパク質分解活性、つまりピルベート、アンモニウム及びNAD(P)H、好ましくはNADPHからアラニンへの転化を触媒する能力を有している。特別な一実施形態においては、「実質的に同じ酵素活性」という概念は、野生型のポリペプチドの基質に対する活性であって、明らかにバックグラウンド活性を上回り、かつ/又は、野生型ポリペプチドが同じ基質に対して有するKM値及び/又はkcat値と三桁未満、好ましくは二桁、さらに好ましくは一桁異なる活性を意味する。さらなる好ましい一実施形態においては、核酸配列若しくはアミノ酸配列の「変異体」という概念には、核酸配列若しくはアミノ酸配列の少なくとも1つの活性部分若しくは活性断片が含まれる。さらなる好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「活性部分」という概念は、アミノ酸配列の全長よりも短い配列を有するか、あるいはアミノ酸配列の全長より短い配列をコードしているアミノ酸配列若しくは核酸配列を意味し、その際、前記のアミノ酸配列又はコードされたアミノ酸配列は、野生型のアミノ酸配列よりも短い長さをもって、野生型ポリペプチド若しくはその変異体と実質的に同じ酵素活性、例えばプロテアーゼとしての活性を有する。特別な一実施形態においては、核酸の「変異体」という概念には、相補鎖が好ましくはストリンジェントな条件下に野生型の核酸に結合する核酸が含まれる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーは、当業者には容易に決定でき、一般にプローブの長さ、洗浄時の温度及び塩濃度に依存している。一般に、プローブが長いほどハイブリダイゼーションに必要な温度は高くなり、一方でプローブが短いほどより低い温度でもうまくいく。ハイブリダイゼーションが起こるかどうかは、一般に、変性されたDNAが、その周囲に存在する相補鎖に特に融解温度未満でアニーリングする能力に依存する。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシー及び相応の条件は、Ausubelらにより1995年により詳細に記載されている。当業者は、ハイブリダイゼーションによるDNA配列の同定の手引きを、とりわけBoehringer Mannheim GmbH社のハンドブック「The DIG System Users Guide for Filter Hybridization」(ドイツ・マンハイム、1993年)及びLiebl et al.(International Journal of Systematic Bacteriology 41: 255-260 (1991))で入手できる。前記のハイブリダイゼーションは、好ましい一実施形態においてはストリンジェントな条件下に行われ、つまり、プローブと標的配列、つまりこのプローブで処理されるポリヌクレオチドとが少なくとも70%同一である場合にのみハイブリッドが形成される。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、洗浄工程を含めて、バッファー組成、温度及び塩濃度のバリエーションによって影響を受けるか若しくは決定されることが知られている。ハイブリダイゼーション反応は、一般に、洗浄工程と比較して相対的に低いストリンジェンシーの場合に起こる(Hybaid Hybridisation Guide, Hybaid Limited、英国テディントン、1996)。ハイブリダイゼーション反応のためには、例えば5×SSCバッファーに相当するバッファーを約50℃〜68℃の温度で使用できる。その際、プローブは、このプローブの配列に対して70%未満の同一性を有するポリヌクレオチドともハイブリダイゼーションできる。このようなハイブリッドはより安定性が低く、ストリンジェントな条件下での洗浄によって除去される。これは、例えば2×SSCへと塩濃度を下げ、任意に引き続き0.5×SSCへと下げることによって(The DIG System User's Guide for Filter Hybridization、Boehringer Mannheim、ドイツ・マンハイム、1995年)達成でき、その際、次第に好ましさの程度が増す順序で、約50℃〜68℃、約52℃〜68℃、約54℃〜68℃、約56℃〜68℃、約58℃〜68℃、約60℃〜68℃、約62℃〜68℃、約64℃〜68℃、約66℃〜68℃の温度に調整される。約64℃〜68℃又は約66℃〜68℃の温度範囲が好ましい。場合により、塩濃度を、0.2×SSC又は0.1×SSCに相当する濃度にまで下げることも可能である。ハイブリダイゼーション温度を50℃から68℃まで段階的に約1〜2℃ずつ高めることによって、例えば、次第に好ましさの程度が増す順序で、使用される核酸分子の配列に対して少なくとも70%の、若しくは少なくとも80%の、若しくは少なくとも90%の、少なくとも91%の、少なくとも92%の、少なくとも93%の、少なくとも94%の、少なくとも95%の、少なくとも96%の、少なくとも97%の、少なくとも98%の、若しくは少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド断片を単離することができる。ハイブリダイゼーションのためのさらなる手引きは、いわゆるキットの形で市販されている(例えばドイツ・マンハイム在のRoche Diagnostics GmbH社製DIG Easy Hyb、カタログ番号1603558)。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる核酸の「変異体」という概念には、本来の核酸と同じアミノ酸配列か又はこのアミノ酸配列の変異体を遺伝子コードの縮重の範囲内でコードする任意の核酸配列が含まれる。
本発明による教示を実施するに当たって重要なことは、使用されるバシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼが、酵素の野生型配列ではなく、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されている配列を有している点である。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「相同な位置」という表現は、調べられる分子のアラインメントにおける相応の位置が、バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼからのアミノ酸配列の位置Xに対して相同であると考えられることを意味する。当業者には、アミノ酸配列のアラインメントの作成が可能なパッケージソフトウェアやアルゴリズムが多数知られている。例示的なパッケージソフトウェアによる方法には、EMBL社より提供されているパッケージClustalW (Larkin et al., 2007; Goujon et al. 2010)があり、またArthur M. Lesk (2008), Introduction to Bioinformatics, 第三版において挙げられ、説明がなされている。好ましい一実施形態においては、「アミノ酸」若しくは「アラニン」という概念は、タンパク質を構成するL−アミノ酸若しくはL−アラニン、つまり生物の本質において全般にわたってポリペプチドの合成に用いられるアミノ酸を表す。「アミノ酸」という概念には、本願で挙げられている全ての化合物と同様に、相応の化合物の全ての結晶の形態、塩の形態又は類似の形態が含まれる。例えばヒスチジンには、プロトン化したヒスチジンと塩化物イオンとからの塩も含まれる。
アラニンデヒドロゲナーゼの活性にとって重要なことは、触媒する反応の出発物質、特に無機窒素源が十分な量で存在していることである。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「無機窒素源」とは、アンモニウムを含んでいるか、又は細胞の代謝の際にアンモニウムへと転化し得る無機窒素含有塩を表す。例えば塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどが含まれる。好ましい一実施形態においては、媒体中のアンモニウムの濃度は0.05〜5g/l、好ましくは0.1〜3g/l、極めて好ましくは0.5〜3g/lである。好ましくは、細胞の無機窒素源は、本発明によれば、相応の化合物を十分な量で水相に施与し、この中で反応を進行させることにより準備される。
正に帯電した側鎖を有するアミノ酸には、アルギニンや、リシン、ヒスチジンといったアミノ酸が含まれ、好ましいのはアルギニンやリシンであり、極めて好ましいのはアルギニンである。考えられる本発明によるポリペプチドは、例えばLeu197ArgやLeu197Lys、またLeu197Hisといった突然変異体を有する。好ましい一実施形態においては、バシラス・サチリス以外の生物に由来するアラニンデヒドロゲナーゼがバシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼの変異体の群に属する場合には、これも明らかに本発明による教示に含まれる。
もう一つの好ましい実施形態においては、上記のLeu197の位置での置換に加えて、Asp196の位置か又はこれと相同の位置で、中性の若しくは正に帯電した側鎖を有するアミノ酸へさらに置換されているポリペプチドも本発明による教示に含まれる。好ましい一実施形態においては、中性の側鎖を有するアミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、トリプトファン、チロシン、イソロイシン、セリン、システイン、トレオニン、グルタミン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン及びアスパラギンを含む群が含まれる。好ましい一実施形態においては、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸には、アルギニン、リシン及びヒスチジンを含む群が含まれ、好ましいのはアルギニン及びリシンである。
本発明による核酸分子には、本発明によるポリペプチドをコードする核酸配列を含む、全ての未修飾若しくは修飾されたDNA分子及びRNA分子が含まれる。当業者は、例えばポリメラーゼ連鎖反応や固相合成といった分子生物学や合成化学の標準的方法を熟知しており、そうした方法を用いてこのような核酸分子を産生することができる。好ましい一実施形態においては、核酸分子は、配列番号2で表されるヌクレオチド配列であるか又はこのようなヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
本発明による教示は、本発明により単離されたポリペプチド、核酸分子又はベクターを用いて実施することができるばかりでなく、本発明による細胞をホールセル触媒として用いて実施することもできる。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「ホールセル触媒」という概念は、所望の酵素活性を提供する、生存しておりかつ代謝活性を示す完全な細胞を表す。ホールセル触媒は、代謝すべき基質(本発明の場合にはアルコール若しくはそれから生成される酸化生成物)を細胞内に輸送し、そこでこの基質を細胞質ゾル性酵素により代謝させることもできるし、また、当該酵素をその表面上で発現し、そこでこの酵素を媒体中の基質に直接曝すこともできる。当業者には、例えばDE60216245号から、ホールセル触媒を産生するための系が数多く知られている。特に好ましい一実施形態においては、細胞は、NADPH依存性アラニンデヒドロゲナーゼ活性を有する本発明によるポリペプチド、トランスアミナーゼ及び/又はNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼを細胞内で発現し、つまり、それぞれの酵素は発現後に持続的に細胞内に、特に細胞のサイトゾルにおいて、又は細胞のサイトゾルに入り込む膜タンパク質として、又は膜結合性タンパク質において局在化している。
好ましい一実施形態においては、ホールセル触媒として、又は発現系として使用される細胞は、原核細胞、好ましくは細菌細胞である。もう一つの好ましい一実施形態においては、これは哺乳類細胞である。もう一つの好ましい一実施形態においては、これは下等真核生物細胞であり、好ましくは酵母細胞である。例示的な原核細胞には、エシェリキア、特にエシェリキア・コリや、シュードモナス属菌、コリネバクテリウム属菌が含まれる。例示的な下等真核生物細胞には、サッカロマイセス属、カンジダ属、ピチア属、ヤロウイア属、シゾサッカロマイセス属、特にカンジダ・トロピカリス菌、シゾサッカロマイセス・ポンベ菌、ピチア・パストリス菌、ヤロウイア・リポリチカ菌及びサッカロマイセス・セレビシエ菌が含まれる。
本発明によるホールセル触媒を使用する場合、幾つかの基質、特に長鎖アルキル鎖を有する基質の場合、所望の物質を産生するためのホールセル触媒の内部への分子の進入が制限されることがある。長鎖アルカン及びアルコールの場合には、ホールセル触媒がAlkLポリペプチドを有していることが好ましい。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「AlkLポリペプチド」とは、230の連続したアミノ酸長にわたって、シュードモナス・プチダ由来のAlkL(データベースコードCAB69081)に対して少なくとも80%の、好ましくは90%の、さらに好ましくは90%の配列同一性を有し、かつ好ましくは長鎖アルカンを細胞内部へとインポートすることを促す能力を有するポリペプチドである。さらなる一実施形態においては、本願で用いられる「AlkLファミリーのポリペプチド」とは、配列モチーフDXWAPAXQ(V/A)GXRを有するグラム陰性菌の外膜に局在化しているポリペプチドであり、その際、Xはタンパク質原性アミノ酸を表すものとし、さらにシュードモナス・プチダ由来のAlkL(データベースコードCAB69081)若しくはその変異体が好ましい。AlkLファミリーの例示される構成員には、シュードモナス・プチダ由来(データベースコードCAB69081)の、マリノバクター・アクアエオレイVT8由来(データベースコードYP_957722)の、オセアニカウリス・アレクサンドリイHTCC2633由来(データベースコードZP_00953584)の、マリノバクター・マンガンオキシダンスMnI7−9由来(データベースコードZP_09158756)の、カウロバクター・スピーシーズK31由来(データベースコードYP_001672217)の、シュードモナス・オレオボランス由来(データベースコードQ00595)のAlkL及びそれらの変異体が含まれる。
しかしながら、本発明により使用される酵素活性ポリペプチド、特にアルコールデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ及びアラニンデヒドロゲナーゼは、粗溶解産物から単離ポリペプチドに至るまでのいずれの精製レベルの本発明によるポリペプチド調製物であってもよい。前記細胞は、本発明により使用される酵素をコードする1つ以上の核酸配列を、プラスミド上か若しくはそのゲノム中に組み込んで含むことができる。当業者には、酵素活性ポリペプチドを好適な細胞中で過剰発現させて精製ないし単離できる方法が数多く知られている。ポリペプチドの発現には、例えばpETやpGEXといったタイプのベクターのような当業者に利用可能ないずれの発現系をも使用することができる。精製には、クロマトグラフィーによる方法、例えば固定化配位子を用いた、例えばヒスチジンタグの場合にはニッケルイオン、標的タンパク質に融合したグルタチオン−S−トランスフェラーゼの場合には固定化グルタチオン、またマルトース結合タンパク質を含むタグの場合には固定化マルトースを用いた、タグ付き組換えタンパク質のアフィニティークロマトグラフィーによる精製が考えられる。
一連の用途のためには、本発明によるポリペプチドを単離形で用いることが明らかに望ましい。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「単離」という概念は、酵素がその天然源よりも純粋及び/又は濃縮された形で存在していることを意味する。好ましい一実施形態においては、酵素がポリペプチド酵素であって、相応の調製物のタンパク質質量分の60%超、70%超、80%超、90%超、又は好ましくは95%を占めている場合、この酵素は単離されているものと見なされる。当業者には、例えばSDSポリアクリルアミドゲル上の相応のタンパク質バンドの厚さに基づく目測やNMR分光法、また質量分析に基づく方法といった、溶液中のタンパク質の質量測定法が数多く知られている。
精製された酵素活性ポリペプチドは、溶解形でも固定化されていても使用可能である。当業者には、ポリペプチドを有機若しくは無機の固定相に共有結合により若しくは共有結合によらずに固定化できる好適な方法が知られており、例えばスルフヒドリルカップリングケミストリー(例えばPierce社製キット)による方法が知られている。
本発明により使用される酵素は、好ましくは組換え酵素である。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「組換え」という概念は、相応の核酸分子が本来存在しておらず、かつ/又は遺伝子工学的方法により産生されたことを意味する。好ましい一実施形態においては、相応のポリペプチドが組換え核酸によってコードされている場合に、これを組換えタンパク質と称する。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる組換え細胞とは、少なくとも1つの組換え核酸又は組換えポリペプチドを有する細胞を表す。当業者には、組換え分子又は組換え細胞の産生に適した方法が知られており、これは例えばSambrook/Fritsch/Maniatis (1989): Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第二版に記載されている。
本発明による教示を利用するためには、水相、つまり細胞や本発明によるポリペプチドの活性の少なくとも一時的な取得若しくは培養に好適な水性培地若しくは反応培地が存在していることが前提となる。当業者には、細胞、特に生物工学的に重要な細胞の取得若しくは培養に好適な水性培地が多数知られている。これには、LB培地のような均質な完全培地、M9培地のような最少培地、並びに選択培地、例えば高濃度の塩を含有するために好塩性か若しくは少なくとも耐塩性の生物の増殖のみが可能であるようなものが含まれる。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「水相」という概念は、疎水性溶剤とは実質的に混和し得ない水系の反応培地若しくは培地であって、関連する全てのファクターに関して、特にpH値、塩含分及び温度に関して、その中に含まれる細胞、好ましくは微生物の生存能力が少なくとも一時的に取得され、若しくは向上するような状態であるものを表す。生物工学的に重要な種々の細胞の温度に対する要求については、例えばFuchs/Schlegl, 2008のような微生物学的及び分子生物学的な教本から引用することができる。好ましい一実施形態においては、接触の時点での水性培地のpH値は、4〜9、好ましくは4.5〜8.5、最も好ましくは6.5〜7.5である。もう一つの好ましい一実施形態においては、温度は5〜42℃、好ましくは15〜40℃、最も好ましくは20〜37℃である。
酵素の使用には、必要な基質が全て存在していることが求められる。例えば、アラニンデヒドロゲナーゼの活性は、基質であるアンモニウム、好適な還元型レドックス因子及びピルベートの存在が必要である。さらに、酵素活性には、好適な水溶液、つまり、存在する必要なバッファー、pH、温度、塩濃度の点で、必要な補因子や活性を向上若しくは取得するさらなるポリペプチドの存在やその他の関連するファクターが、酵素活性を少なくとも一時的に取得するのに好適である溶液が必要である。好適な溶液や酵素活性を決定し得る酵素試験を選択するための方法は当業者に知られており、従来技術において例えばCornish-Bowden (1995), Fundamentals of Enzym Kinetics, Portland Press Limitedに記載されている。
本発明によれば、本発明による細胞は、バシラス・サチリス由来の変性アラニンデヒドロゲナーゼの他に、好ましい一実施形態においてはNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼを発現する。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「アルコールデヒドロゲナーゼ」とは、第一級若しくは第二級若しくはそれ以外のアルコールを、相応のアルデヒド若しくはケトンへと酸化する酵素を表す。例えば、E.コリ由来のNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼ(YjgB、データベースコードZP_07117674、及びYahK、データベースコードBAE76108.1)及びラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号5)並びにそれらのそれぞれの変異体が含まれる。特に好ましい一実施形態においては、これはラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号5)である。
本発明によれば、本発明による細胞は、バシラス・サチリス由来の変性アラニンデヒドロゲナーゼの他に、かつ/又は、NADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼの他に、好ましい一実施形態においてはトランスアミナーゼを発現する。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「トランスアミナーゼ」という概念は、ドナー、好ましくはアミノ酸からアクセプター分子、好ましくはケトカルボン酸へのアミノ基の転移を触媒する酵素を表す。特に好ましい一実施形態においては、トランスアミナーゼは、クロモバクテリウムビオラセウム由来(データベースコードNP_901695)の、シュードモナス・プチダ由来(データベースコードYP_001668026)の、シュードモナス・プチダ由来(データベースコードYP_001668026.1又はYP_001671460)の、ロドバクター・スフェロイデス由来(ATCC 17023株;データベースコードYP_353455)のトランスアミナーゼ並びにそれらの変異体を含む群から選択されたものであり、好ましくはクロモバクテリウムビオラセウム由来のトランスアミナーゼ(データベースコードNP_901695)である。
少なくとも1種のホールセル触媒を使用する場合、反応時間が比較的長いケースでは、条件が、ホールセル触媒として使用する細胞のうちの少なくとも1種のバイアビリティに適合するように留意すべきである。当業者は、例えばFuchs/Schlegel (2007) Allgemeine Mikrobiologie, 2008, Georg Thieme Verlagのような標準的な研究から、このような細胞が生存し得る状態の保持を可能にする条件や解決策を得ることができる。
本発明による方法は、工業的に重要な数多くのアルコールへの適用が可能である。好ましい一実施形態においては、これはω−ヒドロキシカルボン酸若しくはそのエステル、好ましくはメチルエステルであり、これは酸化及びアミノ化によりω−アミノカルボン酸となる。もう一つの実施形態においてはジオールであり、これは酸化及びアミノ化によりジアミンとなる。もう一つの好ましい実施形態においては、第一級アルコールはヒドロキシアルキルアミンである。ここで、炭素鎖の長さは可変であり、xは少なくとも3である。好ましくは、炭素鎖は3個以上のC原子を有しており、つまり、xは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれを上回る。例示的な化合物には、ω−ヒドロキシ−ラウリン酸、ω−ヒドロキシ−ラウリン酸−メチルエステル、及びアルカンジオール、特に1,8−オクタンジオール及び1,10−デカンジオールが含まれる。
さらに、α−ヒドロキシカルボン酸、好ましくはα−ケトカルボン酸へと酸化し得るもの、つまり式Rs−C(OH)H−COOHのものが挙げられ、これもまたアミノ化によりタンパク質を構成するアミノ酸へと転化可能なものであり、これには特に、例えばメチオニンやリシンといった必須アミノ酸が含まれる。具体例には、RsがH、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3−NH−NH−NH2、−CH2−CH2−S−CH3、−CH(CH3)2、−CH2−CH(CH3)2、−CH2−(1H−インドール−3−イル)、−CH(OH)−CH3、−CH2−フェニル、−CH(CH3)−CH2−CH3を含む群からの置換基である前記酸が含まれる。さらなる第二級アルコールには、2−アルカノール、例えば2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール等が含まれる。さらに第二級多価アルコールが挙げられ、例えばエタンジオールのようなアルカンジオール、グリセリンやペンタエリトリットのようなアルカントリオールが挙げられる。さらなる例には、シクロアルカノール、好ましくはシクロヘキサノールやビス(p−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、H3C−C(OH)H−(CH2)x−R4の基のアルコールが含まれ、ここで、R4は−OH、−SH、−NH2及び−COOR5を含む群から選択されており、xは少なくとも3であり、R5はH、アルキル及びアリールを含む群から選択されている。
式H3C−C(OH)H−(CH2)x−R4のアルコールの場合、炭素鎖の長さは可変であり、xは少なくとも3である。好ましくは,炭素鎖は3個以上のC原子を有しており、つまり、xは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれを上回る。第二級アルコールは数多く市販されており、購入した形でそのまま使用可能である。また、第二級アルコールを予め、若しくはin situで生物工学的に、例えば好適なアルカンオキシダーゼ、好ましくはモノオキシゲナーゼによるアルカンのヒドロキシル化により産生することもできる。
特に好ましい一実施形態においては、式H3C−C(OH)H−(CH2)x−R4の第二級アルコールの場合、R4は−OH及び−COOR5を含む群から選択されており、xは少なくとも11であり、R5はH、メチル、エチル及びプロピルを含む群から選択されている。
特に好ましくは、第一級若しくは第二級アルコールは糖アルコールであり、これは、好ましい一実施形態においては、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する炭水化物を表す。特に好ましい一実施形態においては、これは二環式糖アルコールである。本願で用いられる「二環式糖アルコール」とは、好ましい一実施形態においては、少なくとも一時的に二つの環系を形成し得る糖アルコールを表す。好ましい一実施形態においては、糖アルコールはジアンヒドロヘキシトールであるか、又は1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール(イソソルビド)及び1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトールを含む群からの化合物である。
本発明により転化すべきアルコールは、そのままではなく、アルカン前駆物質の形でのみ利用可能であるため、本発明による細胞がさらにモノオキシゲナーゼを発現するか、又は本発明による方法を、モノオキシゲナーゼがアルカンをヒドロキシル化する工程の分だけ拡張することが可能である。特に好ましい一実施形態においては、モノオキシゲナーゼはAlkBファミリー由来のモノオキシゲナーゼである。AlkBは、シュードモナス・プチダ由来のAlkBGT系からのオキシドレダクターゼであり、これはそのヒドロキシラーゼ活性が知られている。これは2種のさらなるポリペプチドであるAlkGとAlkTに依存している。AlkTは、電子をNADHからAlkGへと伝達するFAD依存性ルブレドキシンレダクターゼとして特徴付けられている。AlkGはルブレドキシンという含鉄のレドックスタンパク質であり、このタンパク質はAlkBのための直接的な電子供与体として機能する。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「AlkBファミリー由来のモノオキシゲナーゼ」という概念は、膜内在性アルカンヒドロキシラーゼを表す。さらなる好ましい一実施形態においては、同じ概念である「AlkBタイプのアルカンヒドロキシラーゼ」とは、シュードモナス・プチダGpo1由来のAlkB(データベースコード:CAB54050.1、前記データベースコード及び本願明細書中で用いられる他の全てのデータベースコードは、NCBIのGenbankタンパク質データベースの2011年11月9日に取得可能であったバージョンによるものである)の配列に対して、次第に好ましさの程度が増す順序で、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%又は99%の配列相同性を有するポリペプチドを表す。本願で用いられる「配列」という概念は、ポリペプチドのアミノ酸配列及び/又はこれをコードする核酸配列を表すことができる。
もう一つの好ましい一実施形態においては、モノオキシゲナーゼはCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼである。好ましい一実施形態においては、「CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ」という概念は、細胞質ゾル性オキシダーゼであって、さらにフェレドキシンとフェレドキシンレダクターゼを含む3成分系の一部であり、アルカン結合部位とアルカンのヒドロキシル化能力とを有するオキシダーゼを表す。特に好ましい一実施形態においては、これは、アルカニボラックス・ボルクメンシスSK2由来のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データベースコードYP_691921)に対して少なくとも80%の、好ましくは90%の、最も好ましくは95%若しくは99%の配列同一性を有している酵素であるか、又はアルカニボラックス・ボルクメンシスSK2由来のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データベースコードYP_691921)に対して少なくとも80%の、好ましくは90%の、最も好ましくは95%若しくは99%の配列同一性を有しておりさらにアルカンヒドロキシラーゼ活性を有している酵素である。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「アルカンヒドロキシラーゼ活性」という概念は、アルカンか、又は少なくとも5個の、好ましくは12個の炭素基を含む非置換の直鎖状のアルキル基のヒドロキシル化を触媒する能力を表す。さらなる好ましい一実施形態においては、「CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ」という概念は、非膜結合型のオキシダーゼであって、アルカンか、少なくとも5個の、好ましくは12個の炭素基を含む非置換の直鎖状のアルキル基か、又は一回ヒドロキシル化されたアルカンに対する結合部位とそのポリペプチド鎖モチーフLL(I/L)(V/I)GGNDTTRNを含む前記オキシダーゼを表す。好ましい一実施形態においては、本願で用いられる「CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ」という概念は、好ましくはアルカンヒドロキシラーゼ活性を有する、アルカニボラックス・ボルクメンシスSK2由来のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データベースコードYP_691921)若しくはその変異体である。
前出の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図に開示されている本願の特徴は、単独でも、また任意に組み合わせても、本発明をその種々の実施形態で実施するにあたっての本質である。
図1は、バシラス・サチリス由来のAlaDHのホモロジーモデル(白色;配列番号:1)と、シェワネラ・スピーシーズ由来のAlaDHのホモロジーモデル(灰色)と、結核菌由来のAlaDHの結晶構造(黒色;PDBコード:2VHW)とを構造的に重ね合わせたものを示している。示されているBasAlaDHのアミノ酸Asp196は、SheAlaDHにおけるアミノ酸Asp198、乃至はMtAlaDHにおけるアミノ酸Asp198に相当している。BasAlaDHのアミノ酸Leu197は、SheAlaDHにおけるアミノ酸Arg199、乃至はMtAlaDHにおけるアミノ酸Ile199に相当している。BasAlaDHのアミノ酸Asn198は、SheAlaDHにおけるアミノ酸Ser200、乃至はMtAlaDHにおけるアミノ酸Asn200に相当している。
図2は、3種の酵素RasADH、pCR6(L417M)及びAlaDH(D196A/L197R)により触媒されたイソソルビドとアンモニウム塩との反応の96時間後のFMOC/HPLC分析を示している。(a)は標準物質(図3によるアミノアルコールI、II、III及びIV各1mM+ジアミンDAI、DAS及びDAM各1mM)を示しており、(b)はRasADH、pCR6(L417M)及びAlaDH(D196A/L197R)により触媒された反応の96時間後を示しており、(c)は(b)と同様であるが、但しRasADHなしでの対照反応の96時間後を示している。誘導体化のために、それぞれの反応試料20μlを、0.5Mのホウ酸ナトリウム60μlの入ったpH9.0のHPLCバイアルに移し、十分に混合して、FMOC試薬(Alltech Grom社製)80μlを添加した。過剰のFMOC試薬をEVA試薬(Alltech Grom社製)100μlの添加により捕捉した。pH4.2の50mMの酢酸ナトリウム+70%アセトニトリル(v/v)440μlの添加により、HPLC分析のための条件を設定した。クロマトグラフィー条件:Agilent SB-C8カラム(4.6×150mm);流量:1ml/min;注入容量20μl;バッファーA:pH4.2の50mMの酢酸Na+20%アセトニトリル(v/v);バッファーB:pH4.2の50mMの酢酸Na+95%アセトニトリル(v/v);グラジエント:0分 B 16%、5分 B 16%、25分 B 18%、28分 B 52%、40分 B 25%。
図3は、出発基質であるイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビット(オール))、アミノアルコールの立体異性体(I〜IV)並びにジアミン最終生成物の立体異性体形(DAI:2,5−ジアミノ−1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−L−イジット(オール)、DAS:2,5−ジアミノ−1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−D−ソルビット(オール)及びDAM:2,5−ジアミノ−1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−D−マンニット(オール))の化学式を示している。
図4は、RasADH、pCR6(L417M)及びAlaDH(D196A/L197R)により触媒された、種々のアンモニウム濃度でのイソソルビドと酢酸アンモニウムとの反応のFMOC/HPLC分析によるモノアミン及びジアミンの収量を示している。反応条件:25mMのHepes/NaOH中の、300mMのイソソルビド、2mMのNADP+、100〜300mMのNH4OAc、5mMのL−アラニン、0.3mMのPLP、132μMのRasADH、40μMのpCR6(L417M)、24μMのAlaDH(D196A/L197R)、pH8.3;30℃でのインキュベーション。
実施例1:バイオインフォマティクスによる解析及びタンパク質工学によるアラニンデヒドロゲナーゼの共基質特異性の改変
バシラス・サチリス由来のL−アラニンデヒドロゲナーゼ(AlaDH)(BasAlaDH;配列番号1)の構造的ホモログを、HHpredサーバ(バイオインフォマティックス・ツールキット;MPI社、テュービンゲン在)を用いて同定した。その際、HHblits(バイオインフォマティックス・ツールキット;MPI社、テュービンゲン在;URL:http://toolkit.tuebingen.mpg.de/hhpred)を三回反復して用い、「Secondary Structure Score」をアクティブにして、グローバル多重配列アラインメント(MSA)を作成した。結核菌由来のAlaDH(MtAlaDH)が類似のタンパク質(配列同一性51%)であることが判明した。このAlaDHの結晶構造(PDBコード:2VHW、2VHX、2VHY及び2VHZ)を、HHpredサーバを用いてBasAlaDHとシェワネラ・スピーシーズ由来のAlaDH(SheAlaDH)のホモロジーモデルを作成するための構造モチーフとして使用した(図1)。
バシラス・サチリス由来のL−アラニンデヒドロゲナーゼ(AlaDH)(BasAlaDH;配列番号1)の構造的ホモログを、HHpredサーバ(バイオインフォマティックス・ツールキット;MPI社、テュービンゲン在)を用いて同定した。その際、HHblits(バイオインフォマティックス・ツールキット;MPI社、テュービンゲン在;URL:http://toolkit.tuebingen.mpg.de/hhpred)を三回反復して用い、「Secondary Structure Score」をアクティブにして、グローバル多重配列アラインメント(MSA)を作成した。結核菌由来のAlaDH(MtAlaDH)が類似のタンパク質(配列同一性51%)であることが判明した。このAlaDHの結晶構造(PDBコード:2VHW、2VHX、2VHY及び2VHZ)を、HHpredサーバを用いてBasAlaDHとシェワネラ・スピーシーズ由来のAlaDH(SheAlaDH)のホモロジーモデルを作成するための構造モチーフとして使用した(図1)。
MtAlaDHは、バシラス・サチリス由来の酵素と同様に、NADHに対してレドックス因子特異性を示すが、それに対してSheAlaDHは、NADHのみならずNADPHをも酵素的に転化し得ることが知られている唯一のAlaDHである(Ashida et al. (2004) J. Mol. Catal. B: Enzym. 30, 173-176)。BasAlaDHのホモロジーモデルとSheAlaDHのホモロジーモデルとMtAlaDHの参照構造を構造的に重ね合わせたものを、プログラムChimera(バージョン1.5.3;URL:http://www.cgl.ucsf.edu/chimera/、機能「Matchmaker」を使用;URL http://www.cgl.ucsf.edu/chimera/docs/ContributedSoftware/matchmaker/matchmaker.html)を用いて計算した(図1)。このために、Blosum62行列を用いたNeedleman-Wunschアルゴリズムを利用し、「Secondary Structure Score」を30%に設定した。反復中止として、対になる原子間の距離1.0Åを利用した。
上記の3種のAlaDHを構造的に重ね合わせたものは、「Rossmann Fold」モチーフに類似して、NADH特異性の明らかな原因となっている保存アスパラギン酸基を示している(配列番号1におけるAsp196;図1参照)。
保存アスパラギン酸基はBasAlaDHの酵素変異体であるD196A/L197Rを構成するための出発物質であり、その際、SheAlaDHの構造をテンプレートとして用いた。構造的に重ね合わせたものに示されているように(図1)、D196Aの置換によってNADHのリボースの2’−OH及び3’−OHへのAsp196の水素架橋の形成が阻まれるが、リボースの2’−OH上に存在するNADPHのホスフェートと酵素との結合が可能となる。改変体L197Rにより、新たな共基質特異性は、挿入されたアルギニン残基とNADPHのリン酸残基との間に塩架橋が形成される結果、さらに有利になる。
バシラス・サチリス由来のAlaDHの遺伝子(配列番号4)を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってオリゴデオキシヌクレオチドAlaDHfw(配列番号11)及びAlaDHrv(配列番号12)を用いて、プラスミドpUC18−AlaDHから増幅し、制限酵素KpnIで3’末端で切断し、制限酵素EheI及びKpnIで切断した発現ベクターpASK−IBA35(+)(IBA GmbH, ゲッティンゲン在)とライゲーションした。N末端His6タグを有するBasAlaDHがコードされている生じる発現プラスミドpASK−IBA35(+)−AlaDHを、分析用制限消化並びにDNAの塩基配列決定により確認した。酵素変異体D196A/L197Rをコードするプラスミドを、オリゴデオキシヌクレオチドAlaDH_D196A/L197Rfw(配列番号13)及びAlaDH_D196A/L197Rrv(配列番号14)を用いたQuickChange方式による部位特異的突然変異生成により作成した。生じる発現プラスミドpASK−IBA35(+)−AlaDH(D196A/L197R)をDNAの塩基配列決定により確認した。
このBasAlaDH及びその変異体D196A/L197Rのための発現プラスミドを、引き続きE.コリBL21の形質転換に使用した(Sambrook et al. (2001) Molecular cloning: a laboratory manual, 第三版, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。遺伝子発現を、それぞれ100μg/mlのアンピシリンを有するLB培地(Sambrook et al. 2001)(5Lの振盪フラスコ中で2Lの培養体積)中で、30℃で指数増殖期においてOD550=0.5で、0.2μg/mlのアンヒドロテトラシン(aTc、Acros、ベルギー・Geel在)の添加によって誘導した。3時間の誘導時間後に培養物を回収し、細胞を40mMのHepes/NaOH pH7.5、0.5MのNaCl中に取り込んで、フレンチプレスホモジェナイザー(G. Heinemann, シュヴェービッシュグミュント在)で機械的に破砕した。澄明な上清を、Zn2+を負荷したChelating Sepharose(R) Fast Flowカラム(充填体積2.8ml;GE Healthcare, ミュンヘン在)に施与し、His6タグと融合させた酵素を、0〜500mMの線形イミダゾール/HCl濃度勾配で、40mMのHepes/NaOH、pH7.5、0.5MのNaClに溶出させた。溶出分画を限外濾過により濃縮し、Superdex200(GE Healthcare)でのゲル濾過により、25mMのHepes/NaOH、pH8.3の存在下にクロマトグラフィーにより精製した。
これらの精製した双方の酵素のミカエリス定数(KM)及びターンオーバー数(Kcat)を、共基質であるNADH並びにNADPHに関して、ピルベートの還元的アミノ化をもとに決定し、さらに触媒効率(Kcat/KM)を算出した(第1表)。酵素試験を以下の通りに構築した:
ここで、改変体D196A及びL197RによりBasAlaDHの共基質特異性がNADHからNADPHへとうまく変化し、その際、ピルベートの還元的アミノ化に関する触媒効率はほぼそのままであることが判明した。
実施例2:アルコールデヒドロゲナーゼ、アミノトランスフェラーゼ及びアラニンデヒドロゲナーゼの共役酵素反応によるイソソルビド及びアンモニウム塩からのモノアミン及びジアミンの合成
ラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号5)の構造遺伝子を、PCRによってオリゴデオキシヌクレオチドADHfw(配列番号15)及びADHrv(配列番号16)を用いて、プラスミドpEam−RasADH(Lavandera et al. (2008) J. Org. Chem. 73, 6003-6005)から増幅し、制限酵素KpnIで3’末端で切断し、最後に、制限酵素EheI及びKpnIで切断した発現ベクターpASK−IBA35(+)とライゲーションした。N末端His6タグを有するアルコールデヒドロゲナーゼがコードされている生じる発現プラスミドpASK−IBA35(+)−RasADHを、分析用制限消化並びにDNAの塩基配列決定により確認した。
ラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号5)の構造遺伝子を、PCRによってオリゴデオキシヌクレオチドADHfw(配列番号15)及びADHrv(配列番号16)を用いて、プラスミドpEam−RasADH(Lavandera et al. (2008) J. Org. Chem. 73, 6003-6005)から増幅し、制限酵素KpnIで3’末端で切断し、最後に、制限酵素EheI及びKpnIで切断した発現ベクターpASK−IBA35(+)とライゲーションした。N末端His6タグを有するアルコールデヒドロゲナーゼがコードされている生じる発現プラスミドpASK−IBA35(+)−RasADHを、分析用制限消化並びにDNAの塩基配列決定により確認した。
パラコッカス・デニトリフィカンス由来のアミノトランスフェラーゼ(配列番号17)の遺伝子を、PCRによってオリゴデオキシヌクレオチドpCR6fw(配列番号18)及びpCR6rv(配列番号19)を用いて、プラスミドpET21a(+)−pCR6から増幅し、制限酵素HindIIIで3’末端で切断し、最後に、制限酵素EheI及びHindIIIで切断した発現ベクターpASK−IBA35(+)とライゲーションした。N末端His6タグを有するアミノトランスフェラーゼがコードされている生じる発現プラスミドpASK−IBA35(+)−pCR6を、分析用制限消化並びにDNAの塩基配列決定により確認した。アミノトランスフェラーゼの酵素変異体L417Mをコードするプラスミドを、オリゴデオキシヌクレオチドpCR6_L417Mfw(配列番号20)及びpCR6_L417Mrv(配列番号21)を用いたQuickChange方式(Agilent, ヴァルトブロン在)によるプラスミドpASK−IBA35(+)−pCR6の部位特異的突然変異生成により作成した。生じる発現プラスミドpASK−IBA35(+)−pCR6(L417M)を、DNAの塩基配列決定により確認した。
バシラス・サチリス由来のAlaDH(配列番号1)のD196A/L197R突然変異体のための発現プラスミドとして、実施例1からのpASK−IBA35(+)−AlaDH(D196A/L197R)を使用した。
3種の酵素のための発現プラスミドpASK−IBA35(+)−RasADH、pASK−IBA35(+)−pCR6(L417M)及びpASK−IBA35(+)−AlaDH(D196A/L197R)を、引き続きそれぞれE.コリBL21の形質転換に使用した。生じる3種における遺伝子発現を、それぞれ100μg/mlのアンピシリンを有するLB培地(5Lの振盪フラスコ中で2Lの培養体積)中で、30℃で指数増殖期においてOD550=0.5で、0.2μg/mlのaTcの添加によって誘導した。3時間の誘導時間後に培養物を回収し、細胞を40mMのHepes/NaOH pH7.5、0.5MのNaCl中に取り込んで、フレンチプレスホモジェナイザーで機械的に破砕した。澄明な上清を、Zn2+を負荷したChelating Sepharose(R) Fast Flowカラムに施与し、His6タグと融合させた酵素を、0〜500mMの線形イミダゾール/HCl濃度勾配で、40mMのHepes/NaOH、pH7.5、0.5MのNaClに溶出させた。溶出分画を限外濾過により濃縮し、Superdex200でのゲル濾過により、25mMのHepes/NaOH、pH8.3の存在下にクロマトグラフィーにより精製した。
精製した3種の酵素を、レドックス因子NADP+及びL−アラニンのリサイクル下に、イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビット(オール))のアミノ化に直接使用した。酵素試験を以下の通りに構築した:
30℃で0〜96時間にわたるインキュベーション後に、過剰のFMOC試薬(Alltech Grom, ロッテンブルク・ハイルフィンゲン在;図1参照)の添加下での反応生成物としてのモノアミン及びジアミンの形成を、HPLC(Agilent 1200シリーズ;図2参照)によって、蛍光検出器を用いて検出及び定量化した。
図2(中央)は、反応混合物の分離のクロマトグラムを示している。反応時間15.113分、15.720分、16.580分及び14.472分で生成物ピークが認められ、これらを、連行された標準物質をもとに、図3に示した6−アミノ−3−アルコールの4種の考え得る立体異性体形(IV:3S,6S;III:3R,6R;I:3S,6R;II:3R,6S)と同定できた。これらのピークは、FMOC/HPLC分析では、陰性対照(同様に調製及びインキュベートを行ったが、但しアルコールデヒドロゲナーゼなしの反応バッチ)においては現れなかった。さらに、反応時間が96時間経過した後に、37.479分及び38.135分の保持時間でさらなる生成物ピークが得られた。これらは、標準物質をもとに、2,5−ジアミノ−1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−L−イジット(オール)(DAI)及び2,5−ジアミノ−1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ジデオキシ−D−ソルビット(オール)(DAS)といったジアミンと同定できた。
3つの酵素反応の結合によって、NADP+については30、L−アラニンについては12のリサイクルファクターでの、イソソルビドから主要生成物としての(3S,6S)−6−アミノ−3−アルコールへの正味の転化が可能となる(図4)。
Claims (16)
- 以下のもの:
バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体であって、ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとするポリペプチド若しくはその変異体、又は、
このポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子
を含む細胞。 - 以下の工程:
c)ピルベートを、
請求項1に記載の細胞との接触により、又は
バシラス・サチリス由来のアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその変異体との接触により、
アンモニウム及びNADPHと反応させてアラニンへと転化する工程であって、
ここで、Leu197か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されているものとする工程
を含む、アラニン又はアラニン消費下に生じる化合物を産生するための方法。 - さらに以下の工程:
a)第一級若しくは第二級アルコールを、NADP+の存在下でのNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとの接触により、アルデヒド若しくはケトンへと転化する工程
を含む、請求項2に記載の方法。 - さらに以下の工程:
b)工程a)において産生されたアルデヒド若しくはケトンを、アラニンの存在下でのトランスアミナーゼとの接触によりアミンへと転化する工程
を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。 - 工程a)、b)及びc)が、同一の反応混合物中で好ましくは同時に進行する、請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法。
- 細胞がさらにNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼを発現する、請求項3から5までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- 細胞がさらにトランスアミナーゼを発現する、請求項3から6までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- ポリペプチド中で、細胞が、ポリペプチド、NADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼ及びトランスアミナーゼを含む群からの全ての酵素を細胞内で局在化して発現する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- NADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼが、E.コリ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(YjgB、データベースコードZP_07117674、及びYahK、データベースコードBAE76108.1)及びラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号10)を含む群からのNADP+依存性アルコールデヒドロゲナーゼであり、好ましくはラルストニア・スピーシーズ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(配列番号10)若しくはその変異体である、請求項6から8までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- トランスアミナーゼが、クロモバクテリウムビオラセウム由来(データベースコードNP_901695)の、シュードモナス・プチダ由来(データベースコードYP_001668026)の、シュードモナス・プチダ由来(データベースコードYP_001668026.1又はYP_001671460)の、ロドバクター・スフェロイデス由来(ATCC 17023株;データベースコードYP_353455)のトランスアミナーゼ並びにそれらの変異体を含む群からのトランスアミナーゼであり、好ましくはクロモバクテリウムビオラセウム由来のトランスアミナーゼ(データベースコードNP_901695)である、請求項7から9までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- 正に帯電した側鎖を有するアミノ酸がアルギニンである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- さらに、Asp196か又はアミノ酸配列中の相同な位置に存在するアミノ酸が、中性の若しくは正に帯電した側鎖を有するアミノ酸で置換されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- 中性の若しくは正に帯電した側鎖を有するアミノ酸が、アラニン、グリシン、セリン及びシステインを含む群からのアミノ酸であり、好ましくはアラニンである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- 配列番号1で示されるポリペプチドである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- ヌクレオチド配列が、配列番号2で示されるヌクレオチド配列である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
- 核酸分子が、核酸分子を含むベクターである、請求項1から15までのいずれか1項に記載の細胞又は方法。
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