JP2015514164A - リグノセルロース紡糸液、リグノセルロース再生繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
−紡糸液が、リグノセルロースを溶解した状態で少なくとも10重量%の濃度で含む;
−紡糸液が、リグノセルロースを、低度の解重合ポリマー成分とともに含み、その結果として優れた紡糸特性を有する;
−紡糸液は、高比率のリグニン(5〜30重量%)およびヘミセルロース(5〜30重量%)のフィラメントを形成することができる;
−紡糸液中に腐食性(例えば、Cl-含有)ILが存在しない;
−紡糸液が、制限なく工業スケールで製造できる。
−紡糸液は、前もって蒸解法を行わずに、木材原料の直接溶解によって製造できる。その結果、紡糸液製造の際の時間とコストが削減されるため、紡糸液の製造が非常に経済的になる。
−全ての植物、好ましくは一年生植物及び/又は木、に基づく木材原料を、さらなる前処理(TMP、照射、酸または苛性溶液の作用等)なしで、非常に均一に溶解することができる。化学的前処理の削除によって、リグニンとヘミセルロースは、木材原料の標準的な蒸解法によって生じるような化学修飾なしで、紡糸液中に存在する。ここから、紡糸液製品に関する利点が生じる(例えば、再生繊維の強度および弾性係数に関する高い値)。
−木材原料の前処理、添加剤(例えば、DMSO、PEG等)の添加の免除および適度な温度によって、容易にリサイクルできる再生浴が紡糸プロセス後に得られる。その結果、環境負荷は大きく減少する。
a)少なくとも一つの二重結合を有する(特に、C3,C4及び/又はC5カルボン酸アニオンの場合);
b)少なくともその領域で分岐している(特に、C4,C5及び/又はC6カルボン酸アニオンの場合);及び/又は
c)少なくともその領域で環化している(特に、C6又はC7カルボン酸アニオンの場合)
a)少なくとも5重量%、特に好ましくは5〜35重量%の割合のリグニン;
b)少なくとも5重量%、特に好ましくは5〜35重量%の割合のヘミセルロース;及び/又は
c)少なくとも30重量%、好ましくは30〜70重量%の割合のセルロース;
を含む。
a)少なくとも10重量%のリグノセルロースを少なくとも一種のイオン性液体中に含み、80℃で測定した際、30000Pas以下のゼロせん断粘度を有するリグノセルロース紡糸液を、少なくとも一つの紡糸ノズルの少なくとも一つの孔を通じて押し出し、少なくとも一つの糸を製造する;
b)前記少なくとも一つの糸を少なくとも一つのエアギャップ中で引き伸ばす;
c)前記少なくとも一つの糸を少なくとも一つの再生浴中で凝固させる
a)少なくとも5重量%、好ましくは5〜35重量%のリグニン、
b)少なくとも5重量%、好ましくは5〜35重量%のヘミセルロース、及び/又は
c)少なくとも30重量%、好ましくは30〜70重量%のセルロース
イオン性液体として以下のものが使用された:
1−ブチル−メチルイミダゾリウム ピバレート;
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム シクロヘキシルカルボキシレート;
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム クロトネート;
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム シクロヘキシルカルボキシレート;および
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート(比較物質として)
280gの空気乾燥された小麦リグノセルロースに、2300gの1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム シクロヘキシルカルボキシレートが混合され、水平混練機中で、130℃の温度にて5時間以内に溶解された。その結果得られた黒い粘性のある溶液は、繊維残渣をほぼ含まず、80℃で測定した際、1200Pasのゼロせん断粘度を有する。これは、紡糸液の質を高めるために濾過された。前記溶液はその後、押出機により、40穴の紡糸ノズル(孔径200μm)を通じて押し出され、エアギャップ中で絞り比4で引き伸ばされた。フィラメントは、水性の凝固浴中で沈降させられた。蒸留水でフィラメントの洗浄が行われ、加熱ローラーによって105℃で乾燥が行われた。
280gの空気乾燥された麻藁に、2300gの1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム シクロヘキシルカルボキシレートが混合され、水平混練機中で、130℃の温度にて3時間以内に溶解された。その結果得られた黒い懸濁液は、繊維残渣をほぼ含まず、80℃で測定した際、1500Pasのゼロせん断粘度を有する。前記溶液は、押出機により、40穴の紡糸ノズル(孔径200μm)を通じて押し出され、エアギャップ中で絞り比6で引き伸ばされた。フィラメントは、水性の凝固浴中で沈降させられた。蒸留水でフィラメントの洗浄が行われ、加熱ローラーによって105℃で乾燥が行われた。
325gの空気乾燥された小麦リグノセルロースに、2300gの1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム シクロヘキシルカルボキシレートが混合され、水平混練機中で、130℃の温度にて4時間以内に溶解された。その結果得られた黒い高粘性の溶液は、繊維残渣をほぼ含まず、80℃で測定した際、2300Pasのゼロせん断粘度を有する。前記溶液はその後、押出機により、80穴の紡糸ノズル(孔径100μm)を通じて押し出され、エアギャップ中で絞り比8で引き伸ばされた。フィラメントは、水性の凝固浴中で沈降させられた。蒸留水でフィラメントの洗浄が行われ、加熱ローラーによって105℃で乾燥が行われた。
320gの小麦リグノセルロースに、2700gの1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテートが混合され、水平混練機中で、130℃の温度にて6時間以内に溶解された。その結果得られた黒い溶液は、繊維残渣をほぼ含まず、80℃で測定した際、200Pasのゼロせん断粘度を有する。前記溶液は、押出機により、40穴の紡糸ノズルを通じて押し出されたが、裂け目がノズルで直接観察されたため、糸の形成は不可能であった。
Claims (29)
- 少なくとも一種のイオン性液体中のリグノセルロースの溶液を含む、リグノセルロース紡糸液であって、
前記少なくとも一種のイオン性液体は、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム カチオンと本質的に疎水性のカルボン酸アニオンからなり、前記紡糸液が、少なくとも10重量%の濃度のリグノセルロースを含み、80℃で測定した際、30000Pas以下のゼロせん断粘度を有することを特徴とする、リグノセルロース紡糸液。 - 前記カルボン酸アニオンが、周期表の15,16及び/又は17族の原子より多くの炭素原子を含むか、あるいはそれからなることを特徴とする、請求項1に記載のリグノセルロース紡糸液。
- 前記カルボン酸アニオンが、少なくとも一つのカルボキシル基以外の親水基を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のリグノセルロース紡糸液。
- 前記カルボン酸アニオンが、3〜18、好ましくは3〜12、特に好ましくは4〜7の炭素原子を有するかあるいはそれからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース紡糸液。
- 前記カルボン酸アニオンが、
a)少なくとも一つのC=C二重結合を有する(特に、C3,C4及び/又はC5カルボン酸アニオンの場合);
b)少なくともその領域で分岐している(特に、C4,C5及び/又はC6カルボン酸アニオンの場合)、及び/又は
c)少なくともその領域で環化している(特に、C6又はC7カルボン酸アニオンの場合)
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース紡糸液。 - 前記カルボン酸アニオンが、2,2−ジメチルプロピオン酸アニオン、2−ブテン酸アニオンおよびシクロヘキシルカルボン酸アニオンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 前記紡糸液が、リグノセルロースを10〜35重量%、好ましくは10〜30重量%の濃度で含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 1−アルキル−3−アルキルイミダゾリウム カチオン中の1位のアルキル基が、置換もしくは非置換C1−C6アルキル基、もしくはアリール基であり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、ベンジル、イミダゾリル、メトキシメチル、メトキシエチルおよびエトキシエチル、特に好ましくはエチルおよびブチルからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 前記リグノセルロースは、リグノセルロースの総重量に対して、
a)少なくとも5重量%、特に好ましくは5〜35重量%の割合のリグニン;
b)少なくとも5重量%、特に好ましくは5〜35重量%の割合のヘミセルロース;及び/又は
c)少なくとも30重量%、好ましくは30〜70重量%の割合のセルロース;
を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の紡糸液。 - 前記リグノセルロースは、少なくとも一種の植物の木材原料、好ましくは少なくとも一種の一年生植物の又は少なくとも一種の木の、特に好ましくは、小麦、ライ麦、トウモロコシ、麻、亜麻、ポプラ及び/又はブナからなる群より選択される少なくとも一種の植物の木材原料を含むか、あるいはそれからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 前記紡糸液が、好ましくは紡糸液の濾過によって製造された、均一で粒子を含まない紡糸液であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 前記紡糸液が、80℃で測定した際、500Pas〜3000Pas,好ましくは1000Pas〜2500Pasのゼロせん断粘度を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 前記紡糸液が、5体積%以下、好ましくは2体積%以下、特に好ましくは1体積%以下の水を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の紡糸液。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の紡糸液を製造するための方法であって、
リグノセルロースを水及び/又は脂肪族アルコールと混合し、および、140℃以下の温度にて、5時間以内に、前記水及び/又は脂肪族アルコールの少なくとも一部を分離しながら、前記イオン性液体中に溶解する
ことを特徴とする方法。 - リグノセルロースからなる再生繊維を製造するためのエアギャップ紡糸法であって、以下のステップを含む方法:
a)少なくとも10重量%のリグノセルロースを少なくとも一種のイオン性液体中に含み、80℃で測定した際、30000Pas以下のゼロせん断粘度を有するリグノセルロース紡糸液を、少なくとも一つの紡糸ノズルの少なくとも一つの孔を通じて押し出し、少なくとも一つの糸を製造する;
b)前記少なくとも一つの糸を少なくとも一つのエアギャップ中で引き伸ばす;及び
c)前記少なくとも一つの糸を少なくとも一つの再生浴中で凝固させる。 - 前記紡糸液が、60〜150℃、好ましくは80〜130℃、特に好ましくは90〜120℃の温度に設定されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
- 100μm以上の孔径、好ましくは100μm〜600μmの孔径を有する前記少なくとも一つの紡糸ノズルの孔を通じて前記紡糸液が押し出されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの糸が、少なくとも20mmの長さ、好ましくは20〜500mmの長さを有する少なくとも一つのエアギャップ中で引き伸ばされることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの糸が、2〜10、好ましくは3〜9、特に好ましくは4〜8の絞り比で引き伸ばされることを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの糸が、水、高分子溶媒、イオン性液体および脂肪族C1−C8アルコールからなる群より選択される液体を含むかあるいはそれからなる少なくとも一つの再生浴中で凝固されることを特徴とする、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの再生浴中での凝固後、前記少なくとも一つの糸は、さらなるステップにおいて、好ましくは少なくとも80℃の温度で、特に好ましくは少なくとも100℃の温度で乾燥されることを特徴とする、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの糸が、少なくとも一つの紡糸油で仕上げ加工され、この際、前記少なくとも一つの糸は、好ましくは、再生浴中での前記少なくとも一つの糸の凝固後及び/又は前記少なくとも一つの糸の乾燥後に、少なくとも一つの紡糸油で仕上げ加工されることを特徴とする、請求項15〜21のいずれか1項に記載の方法。
- 前記紡糸液は、80℃で測定した際、500Pas〜3000Pas、好ましくは1000Pas〜2500Pasのゼロせん断粘度を有することを特徴とする、請求項15〜22のいずれか1項に記載の方法。
- ステップa)の前に、紡糸液の均質化および紡糸液からの粒子の除去が、好ましくは紡糸液の濾過によって行われることを特徴とする、請求項15〜23のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載のリグノセルロース紡糸液が使用されることを特徴とする、請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項15〜25のいずれか1項に記載の方法によって製造できる、リグノセルロースからなる再生繊維。
- DIN 53834による
a)少なくとも20cN/tex、好ましくは20cN/tex〜50cN/texの強度;及び/又は
b)少なくとも1000cN/tex、好ましくは1000cN/tex〜2500cN/texの弾性係数
を有することを特徴とする、請求項26に記載の再生繊維。 - 前記繊維が、以下の含有量
a)少なくとも5重量%、好ましくは5〜35重量%のリグニン、
b)少なくとも5重量%、好ましくは5〜35重量%のヘミセルロース、及び/又は
c)少なくとも30重量%、好ましくは30〜70重量%のセルロース
を有することを特徴とする、請求項26または27に記載の再生繊維。 - 織物繊維としての、及び/又は熱可塑性プラスチック材料を含むコンポジットのための強化繊維としての、請求項26〜28のいずれか1項に記載の再生繊維の使用。
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