JP2015509934A - アミノピリジンを用いて、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療する方法 - Google Patents

アミノピリジンを用いて、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療する方法 Download PDF

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Abstract

多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療するための方法および組成における1つまたはそれより多いアミノピリジン類の使用をここに開示する。

Description

発明の詳細な説明
〔優先権の利益〕
本願は、2012年2月13日に提出された米国仮出願第61/598,332および2012年7月30日に提出された米国仮出願第61/677,466に対する優先権を主張し、上記出願が全体として本明細書によって参照することにより組み込まれる。
〔1. 技術分野〕
本発明は、1つまたはそれより多いアミノピリジン類を用いて、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスを改善することに関する。
〔2. 背景技術〕
〔2.1 多発性硬化症〕
多発性硬化症(MS)は、炎症性および変形性の構成要素を有する、中枢神経系(CNS)の慢性免疫媒介疾患である。これは、若い成人において、最も一般的な、神経系の、身体に障害を引き起こす疾患である(Frohman, 2003, The Medical Clinics of North America, 87(4): 867-897, viii-ix)。急性再発からの不完全な回復から、または、障害のゆっくりした進行の結果として、永久の、神経系の機能障害となりうる。
MSは、視覚、感覚、小脳、および/または、運動などの、種々の神経系システムに影響を及ぼしうる。これらの領域のいずれかでも、その領域の関与から派生する欠損は、歩行の変化となりうるものであり、しばしば、体位アンバランスを通して見られる。歩行の障害と非活動性とは、MSを有する個人にとって第1の関心事である。これは、Harris Interactive surveyによって検証され、MSの個人の64%が歩行トラブルを経験し、54%が、1週間に少なくとも2回バランスを失うことが報告されている。ほぼ94%が、歩行とバランスとの問題が総合の日常生活にいくらか破壊的であると感じている。
種々の程度の障害を有するMSの個人には、通常の活動への歩行機能障害の影響が存在する。機能的な関連は、最小の不足しかない人のジョギングの長さを制限するというようなことではなく、より重大な障害を有する人がトイレへ移動する能力を障害する。体位アンバランスおよびそれによって生じる歩行変化は、MS患者にとって重大な問題であり、通常の活動を制限し、転倒による負傷のリスクが増加する。臨床実務では、バランス機能障害は、従来の身体検査で臨床的に明らかになる前に、患者によってしばしば報告される。
バランス変化の、迅速な確認、特徴付けおよび治療が有利となりうる。
〔2.2 アミノピリジン〕
特定のアミノピリジンの代表的な特性は、それがカリウムチャンネルブロッカーであることである。
4−アミノピリジン(4−AP)は、このようなカリウムチャンネルブロッカー特性を有するアミノピリジンの例である。臨床研究で得られた4−APの血漿濃度では、これは典型的には<1μM(94ng/mL−1)であって、4−APのカリウムチャンネルブロッカー活性は、特定のタイプのこのようなチャネルに対して選択的である。興味深いことに、(ミリモラー濃度などの)高濃度では、4−APは、広域スペクトルのカリウムチャンネルブロッカーである。4−APの臨床的神経系効果は、カリウムチャンネル遮断の分子メカニズムと一致する。細胞レベルでは、この作用は、神経の興奮性を高め、脱髄した軸索の導電性遮断を除去し、シナプスと神経筋との伝導を可能にする。
4−アミノピリジンの研究は、静脈注射および経口投与を用いて、即放性(IR)、放出技術応用製剤(controlled-release)(CR)または徐放性(SR)で行われた。IRカプセルの投与により、血漿中の4−アミノピリジンのピークが迅速で、短時間持続した。早期の薬物動態学研究は、経口投与のための即放性(IR)を用いて行われ、これは、ゼラチンベースのカプセルの粉末または経口溶液での4−アミノピリジンからなっていた。投与により、容認されないような4−アミノピリジンの血漿レベルの迅速な変化が起きた。それから、徐放性マトリクス錠が展開された。4−アミノピリジンのマトリクス錠は、1日2回投与のための、改善された安定性と適切な薬物動態学プロフィールを示した。
4−アミノピリジンの徐放性(SR)組成とこのような組成の関連使用は、例えば米国特許5,370,879、米国特許5,540,938、米国特許8,007,826および米国特許公開2005−0228030に記載されている。例えば、徐放性アミノピリジン組成の好ましい形成、製造方法、薬物動態学的特徴と、種々の神経系障害を治療する方法は、2011年8月30日発行の米国特許8,007,826"Sustained Release Aminopyridine Composition"および2005年10月13日公開の米国特許公開2005−0228030"Methods of Using Sustained Release Aminopyridine Compositions"にさらに記載され、これはその全体が参照によってここに盛り込まれる。
ダルファンプリジンは、化学的な4−アミノピリジン(4−AP)の米国に適用される名前(USAN)である。歩行速度の増加によって示される通り、10mg錠(Ampyra(登録商標)のパッケージ挿入物参照)が、多発性硬化症の被験者の歩行を改善することを示したことが、持続型薬剤(ER)として、FDAによって承認された。ダルファンプリジンの承認された治療上用量は、食事有りまたは無しで、約12時間空けて、1日2回、10mgの持続型薬剤錠である。
ダルファンプリジンの、多発性硬化症の患者の歩行を改善する効果は、合計540人の患者を含めて、2つの二重盲検試験で、プラセボ制御されたフェーズ3試験で評価された(Goodman et al., 2009, Lancet 373: 732-738; Goodman et al., 2010, Ann Neurol 68:494-502)。両方の試験での効果の一次測定は、反応者分析を用いて、計時25フィート歩行(Timed 25 Foot Walk)(T25FW)によって測定される歩行速度(1秒当たり何フィートか)であった。反応者は、二重盲検期間中に、可能性のある4つのうち少なくとも3つの訪問について、5つの非治療訪問で達した最大値よりも速い歩行速度を示した患者として規定された。プラセボを服用した患者に比べて、ダルファンプリジン−ERの10mgを1日2回服用する患者の統計的に有意に、より大きな割合が、反応者であった。二重盲検治療期間中に、ダルファンプリジンを服用する患者の統計的に有意により大きな割合が、プラセボと比べて、ベースラインから、歩行速度が少なくとも10%、20%または30%増加した。両方の試験で、歩行速度の一致した改善は、歩行障害の患者自身による評価、12項目の多発性硬化症歩行スケール(MSWS−12)での改善に関与していることが示された。
低位先端手動筋肉試験(Lower Extremity Manual Muscle Test)(LEMMT) を用いて評価される脚強度も、多発性硬化症の患者で研究された。脚強度は、プラセボに対し、ダルファンプリジンで統計的に有意に改善される(p<0.05)ことがわかった(Goodman et al., 2008, Neurology 71: 1134-1141; Goodman et al., 2009, Lancet 373: 732-738; Goodman et al., 2010, Ann Neurol 373: 494-502)。
多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を効果的に治療する、この分野での長い間満たされない要請がある。
ここでの参考文献の引用は、これらが本発明に対する従来技術であることを認めるものだと解釈してはならない。
〔3. 発明の概要〕
アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を患者に投与することによって、多発性硬化症の患者の歩行の障害またはバランスの障害を治療するための方法をここに開示する。特に、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を患者に投与することによって、多発性硬化症の患者の歩行またはバランスを改善する治療をここに開示する。
ある実施形態では、ここに記載の方法は、多発性硬化症の患者に、治療上効果的な量な量のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することを含んでいる。ある実施形態では、ここに記載の方法は、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の投与の前に患者の歩行またはバランスを評価するステップと、および/または、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の投与の後に患者の歩行またはバランスを評価するステップと、を含んでいる。ある実施形態では、患者に投与される組成は、アミノピリジンの薬学的に受容可能な塩を含有しない。ある実施形態では、アミノピリジンは、4−アミノピリジンである。他の実施形態では、アミノピリジンは、3−アミノピリジンである。さらに他の実施形態では、アミノピリジンは、3、4−ジアミノピリジンである。
ある実施形態では、ここに記載の方法に関連して治療される患者は哺乳類である。好ましい実施形態では、ここに記載の方法に関連して治療される患者は人間である。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、徐放性組成で、患者に投与される。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、即放性組成で、患者に投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に1日1回投与される。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に1日2回投与される。個々に記載の全ての処方計画のうちのある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、経口で患者に投与される(例えば、錠剤、ピルまたはカプセル)。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者への投与のための錠剤の形に形成される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者への投与のためのカプセルの形に形成される。
ある実施形態では、アミノピリジン自身であって、その薬学的に受容可能な塩でないもの、が、ここに記載の方法のいずれかで用いられる。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に、経口で、徐放性組成で、b.i.d.で(すなわち1日2回)、投与される。ある実施形態では、1日2回の投与は、12時間ごとのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の投与を含む。ある実施形態では、徐放性組成のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、人間に、約2時間ないし約6時間のTmaxを提供する。他のある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に、経口で、1日1回、徐放性組成で、投与される。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、5ないし20mg、5ないし15mg、5ないし10mgまたは7.5ないし10mgの範囲の量が、患者に、1日1回または1日2回、好ましくは徐放性組成で、投与される。例えば、5,6,7,7.5,8,9,10,11,12,12.5,13,14,15,16,17,17.5,18,19,20,25,30,35または40mgのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、患者に、1日1回、好ましくは徐放性組成で、投与されるか、または、5,6,7,7.5,8,9,10,11,12,12.5,13,14,15,16,17,17.5,18,19または20mgのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、患者に、1日2回、好ましくは徐放性組成で、投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、10mgの量が、患者に、1日1回、好ましくは徐放性組成で、投与される。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、10mgの量が、患者に、1日2回、好ましくは徐放性組成で、投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、15mgの量が、患者に、1日1回、好ましくは徐放性組成で、投与される。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、7.5mgの量が、患者に、1日2回、好ましくは徐放性組成で、投与される。
ある実施形態では、治療上効果的な量な量のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、5ないし20mg、5ないし15mg、5ないし10mgまたは7.5ないし10mgの範囲の量が、患者に、1日1回または1日2回、好ましくは徐放性組成で、投与される。例えば、治療上効果的な量な量のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、5,6,7,7.5,8,9,10,11,12,12.5,13,14,15,16,17,17.5,18,19,20,25,30,35または40mgのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、患者に、1日1回、好ましくは徐放性組成で、投与されるか、または、5,6,7,7.5,8,9,10,11,12,12.5,13,14,15,16,17,17.5,18,19または20mgのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、患者に、1日2回、好ましくは徐放性組成で、投与される。
ある実施形態では、本発明に関する治療は、治療の開始から、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12週間、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12ヶ月、または、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12年間、続く。
ある実施形態では、ここに記載の方法は、多発性硬化症の患者の、バランス障害または機能障害、または異常歩行を治療するためのものである。ある実施形態では、ここに記載の方法は、運動中のバランス障害、すなわち患者が運動中(例えば歩行、ジョギングまたはランニング)のときに見られる障害を治療するためのものである。他の実施形態では、ここに記載の方法は、静止位置でのバランス障害(すなわち静止バランス)のように、患者が運動中でないときに見られるバランス障害を治療するためのものである。静止バランスは例えば、座って静止しているとき、立って静止しているとき、または固定位置にいるとき、または、固定軸の周りに回転するときのバランスとすることができる。ここで用いるときには、静止バランスは、一点から他の点への移動運動ではない静止位置でのバランスを意味し、静止バランスは、回転移動中のバランスとすることができる。ある実施形態では、ここに記載の方法は、患者が、座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、または回転、中のときに、患者の静止バランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここに記載の方法は、多発性硬化症の患者の体位アンバランスを治療するためのものである。ある実施形態では、ここに記載の方法は、患者が、座位、立位、背伸び(例えば静止位置で背伸び)、片足立ち姿勢維持、または回転(例えば静止位置で回転)、中のときに、患者の体位バランスの障害を治療するためのものである。
ある実施形態では、ここに記載の方法は、多発性硬化症の患者の静止バランスの障害を治療するためのものであり、該方法は、患者にアミノピリジン(例えば4−アミノピリジン)を徐放性組成で投与することを含んでいる。ある実施形態では、ここに記載の方法は、多発性硬化症の患者の静止バランスの障害を治療するためのものであり、該方法は、患者に10mgのアミノピリジン(例えば4−アミノピリジン)を1日2回徐放性組成で投与することを含んでいる。ある実施形態では、バランス障害は、バーグバランススケール(Berg Balance Scale)によって分析可能な障害である。
ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される患者は、寛解性、二次進行性、一次進行性、または進行性再発性のタイプの多発性硬化症を再発している。ある実施形態では、患者は、寛解性のタイプの多発性硬化症を再発している。
ある実施形態では、ここでは、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの1個、2個、3個または3個より多いパラメータの障害を治療する方法が提供される。ある実施形態では、ここでは、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療する方法が提供され、公知のここに記載の1個、2個、3個または3個より多い試験を用いて、障害が診断され、または、治療の効力が評価される。ある実施形態では、歩行の障害は、歩行速度ではない、歩行の少なくとも1つのパラメータを測定することによって判断される。
ある実施形態では、歩行の1個、2個、3個または3個より多いパラメータの障害を治療する方法が提供され、歩行のパラメータは、ステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度、回転揺動、からなるグループから選択され、歩行のパラメータのうちの少なくとも1つは、ステップ速度ではない。ある実施形態では、ステップ長さの障害(減少したステップ長さなど)、ステップ幅の障害(増加したステップ幅さなど)、ステップ速度の障害(減少したステップ速度など)、および/または、回転揺動の障害(増加したステップ回転揺動など)、を治療する方法が提供される。言い換えれば、ある実施形態では、多発性硬化症の患者のステップ長さを増加させる方法が提供される。別のある実施形態では、多発性硬化症の患者のステップ幅を減少させる方法が提供される。さらに別のある実施形態では、多発性硬化症の患者の回転揺動を減少させる方法が提供される。さらに別のある実施形態では、多発性硬化症の患者のステップ速度を増加させる方法が提供される。ある実施形態では、歩行の障害(減少したステップ長さ、増加したステップ幅さ、減少したステップ速度、増加したステップ回転揺動など)を治療する方法が提供され、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて、障害が診断され、または、治療の効力が評価される。これらの実施形態のある点において、歩行の障害は、ステップ速度ではない歩行の少なくとも1つのパラメータの障害である。
ある実施形態では、本発明に関する治療は、多発性硬化症の患者の歩行障害またはバランス障害の症状を治療(例えば改善、回復、重大度の減少)するのに効果的である。ある実施形態では、本発明に関する治療は、多発性硬化症の患者の歩行またはバランスを改善する。ある実施形態では、本発明に関する治療は、多発性硬化症の患者の体位バランスを改善する。ある実施形態では、本発明に関する治療は、多発性硬化症の患者のステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度、および/または回転揺動を改善する。ある実施形態では、本発明に関する治療は、ステップ速度ではない歩行の少なくとも1つのパラメータ、例えばステップ長さ、ステップ幅、または回転揺動を改善する。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の反復投与の後、または前と後に、歩行またはバランスの障害のレベルを評価する方法がさらに提供される。このような方法は、ここに記載のまたは公知の、歩行またはバランスを評価するなんらかの方法とすることができる。
ここに記載のある実施形態では、患者はアミノピリジン(例えば3−アミノピリジン、4−アミノピリジンまたは3,4−ジアミノピリジン)を投与され、アミノピリジンは、少なくとも10,11,12,13,14,15,16,17,18,19または20ng/mlのCminssを導出する量が投与される。患者にアミノピリジン(例えば3−アミノピリジン、4−アミノピリジンまたは3,4−ジアミノピリジン)が投与されるある実施形態では、アミノピリジンは、少なくとも30,35,40,45,50,55,60,65,70,75または80ng/mlのCmaxssを導出する量が投与される。患者にアミノピリジン(例えば3−アミノピリジン、4−アミノピリジンまたは3,4−ジアミノピリジン)が投与されるある実施形態では、アミノピリジンは、10,11,12,13,14,15,16,17,18,19または20ng/mlのうちの少なくともいずれかからなるグループから選択されるCminssを導出する量であって、30,35,40,45,50,55,60,65,70 75または80ng/mlのうちのいずれよりも少ないものからなるグループから選択されるCmaxssを導出する量が投与される。
〔3.1 専門用語〕
明細書と請求項との明確で一貫性のある理解を提供するために、以下の規定が提供される。
ここで用いるときには、流体が言及されず、文脈がそれ以外のものを示していなければ、Cminss、Cmaxss、Cavss値は、一般に、血漿に関する。
用語「歩行」は、ここで用いるときには、固体基板上の移動運動中の手足の移動のパターンを指す。ある実施形態では、歩行は歩行の様態およびスタイルである。
障害に関する用語「改善」は、治療方向へのパラメータ変化を示す。ここで用いるときには、「改善」はまた、そうしないと破壊的または非治療方向への移動となるようなパラメータの安定化を含む。
担体、希釈剤または賦形剤に関し、「薬学的に受容可能」によって、担体、希釈剤または賦形剤が、形成の他の成分と互換性を有する必要があり、また、食品医薬品局や欧州医薬品庁などの監督官庁によって人間または動物(その可能性がある場合)への投与に対して禁止されていない必要がある。
ここで用いるアミノピリジンに関し、用語「薬学的に受容可能な塩」は、無機の酸または塩基や有機の酸または塩基を含め、薬学的に受容可能な無毒の酸または塩基から調製される塩を指す。ある実施形態では、薬学的に受容可能な塩は、無機または有機の酸とすることができる薬学的に受容可能な無毒の酸から調製される。ある実施形態では、無毒の酸は、限定されないが、無機および有機の酸、例えば、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、フロイン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモイン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、燐酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、およびp−トルエンスルホン酸を含む。ある実施形態では、無毒の酸は塩酸である。好ましい薬学的に受容可能な塩は、当業者には公知であり、また、S.M. Barge et al., "Pharmaceutical Salts," 1977, J. Pharm. Sci. 66:1-19に記載のものを含んでおり、これはその全体が参照によってここに盛り込まれる。
他の用語および/または略語は以下の通りである。
Figure 2015509934
〔4. 図面の簡単な説明〕
図1は、4−アミノピリジンに関する情報を示す。
図2は、T25FW改善者の、オープンラベル、シングルセンター、3研究期間の治療スケジュールを示し、これは実施例に詳述されている。T25FW改善者は、研究に入る前の投薬有りと投薬無しとの評価間でT25FWについての改善を示す患者として規定されている。動画記録はオプションである。
図3は、NeuroCom ― 訪問による総合の歩行および総合のバランス(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の総合の歩行および総合のバランスのスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。両方の集成値について、高いスコアほど、能力が良いことを示す。
図4は、NeuroCom ― 訪問による渡り歩き(Walk Across)試験の結果(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の渡り歩き試験の変数のスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。以下の変数のスコアが測定された:ステップ幅(cm)、ステップ長さ(cm)、速度(cm/秒)、ステップ長さ対称性(%)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。ステップ幅については、低いスコアほど、能力が良いことを示す。他の全ての変数については、高いスコアほど良い。
図5は、NeuroCom ― 訪問による片側のみ変数(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の片側のみ姿勢試験変数のスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。以下の変数のスコアが測定された:左目開放揺動速度(度/秒)、左目閉鎖揺動速度(度/秒)、右目開放揺動速度(度/秒)、右目閉鎖揺動速度(度/秒)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。各集成値について、低いスコアほど、能力が良いことを示す。
図6は、NeuroCom ― 訪問によるタンデム歩行変数(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中のタンデム歩行試験変数のスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。以下の変数のスコアが測定された:ステップ幅(cm)、速度(cm/秒)、端部揺動(度/秒)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。ステップ幅および端部揺動については、低いスコアほど、能力が良いことを示す。速度については、高いスコアほど良い。
図7は、NeuroCom ― 訪問によるステップ/クイックターン変数(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中のステップ/クイックターン試験変数のスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。以下の変数のスコアが測定された:左回転時間(秒)、右回転時間(秒)、左回転揺動(度)、右回転揺動(度)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。各集成値について、低いスコアほど、能力が良いことを示す。
図8は、NeuroCom ― 訪問による感覚器官試験変数(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の感覚器官試験平衡集成値を示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。高い平衡集成値スコアほど、能力が良いことを示す。
図9は、NeuroCom ― 訪問による適合試験変数(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の適合試験変数のスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。以下の変数のスコアが測定された:つま先上げスコアおよびつま先下げスコア。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。各集成値について、低いスコアほど、能力が良いことを示す。
図10は、NeuroCom ― 訪問による安定性限界変数(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の安定性限界試験変数のスコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。以下の変数のスコアが測定された:反応時間集成値(秒)、移動速度集成値(度/秒)、端点軌跡集成値(%)、最大軌跡集成値(%)、方向制御集成値(%)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。各集成値について、低いスコアほど、能力が良いことを示す。他の全ての変数については、高いスコアほど良い。
図11は、バーグバランススケール ― 訪問によるトータルスコア(完全分析集団)を示す。この図は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中のトータルバランススコアを示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。高いトータルスコアほど、能力が良いことを示す。
図12は、2分歩行試験(Two Minute Walk test) ― 訪問による歩行距離(m)(完全分析集団)を示す。この図は、2分歩行試験を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の歩行距離(m)を示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。長い歩行距離ほど、能力が良いことを示す。
図13は、計時25フィート歩行 ― 訪問による歩行速度距離(ft/秒)(完全分析集団)を示す。この図は、計時25フィート歩行を用いて測定されたような訪問1,2,3,4,5中の歩行速度(ft/秒)を示す(より詳細な説明としては実施例3参照)。訪問1,2,5は投薬有り(ダルファンプリジン−ER)訪問であり、訪問3,4は投薬無し(中止)訪問であった。高い歩行速度ほど、能力が良いことを示す。
〔5. 発明の詳細な実施形態〕
〔5.1. 本発明の方法で使用されるアミノピリジン〕
本発明は、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害のような、ここに記載の特定の障害を治療するためのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。ある実施形態では、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療するためのアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の使用をここに記載する。本発明は、患者が必要としている、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療する方法を提供し、ここで、該方法は、患者にアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することを含んでいる。
アミノピリジンの構造は公知である。米国特許5,952,357に記載のように、モノまたはジアミノピリジンは、以下のような構造を有しており、ここで、xは1または2である。
Figure 2015509934
上記構造式を有し、xが1であるアミノピリジンは、例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジンおよび4−アミノピリジンである。上記構造式を有し、xが2であるアミノピリジン化合物は、例えば、2,3−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、4,5−ジアミノピリジンおよび4,6−ジアミノピリジンである。上記構造式を有し、xが2であるアミノピリジン化合物は、例えば、2,3−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジンおよび2,4−ジアミノピリジンである。
ある実施形態では、アミノピリジンはモノまたはジアミノピリジンである。ある実施形態では、モノアミノピリジンは、3−アミノピリジンまたは4−アミノピリジンである。ある実施形態では、ジアミノピリジンは、3,4−アミノピリジンである。
評価されている通り、アミノピリジンの薬学的に受容可能な塩は、ここに記載の治療方法のいずれかまたは全てにおいて、アミノピリジンの代わりにまたはアミノピリジンに加えて用いることができる。したがって、ある実施形態では、アミノピリジンの薬学的に受容可能な塩(すなわち、上に挙げたアミノピリジン化合物のいずれかについての薬学的に受容可能な塩)は、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療する方法に用いられる。これらの塩は、例えば、in situでの化合物の最終的な分離および精製によって、または、精製された化合物を遊離塩基形態で個別に、好ましい有機酸または無機酸と反応させてそのようにして得られた塩を分離することによって、調製することができる。ある実施形態では、モノアミノピリジンまたはジアミノピリジンの塩が本発明の方法で用いられる。他の実施形態では、3−アミノピリジンまたは4−アミノピリジンの塩が用いられる。さらに他の実施形態では、3,4−ジアミノピリジンの塩が用いられる。ある実施形態では、アミノピリジンの薬学的に受容可能な塩は、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、フロイン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモイン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、燐酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、またはp−トルエンスルホン酸を用いて調製される。ある実施形態では、ここで用いるアミノピリジンの1つの同等物は、1つより少ないまたは1つまたは1つより多い酸の同等物を有する酸の塩を形成してもよい。ある実施形態では、ここで用いるアミノピリジンは、ジヒドロクロライド塩を形成してもよい。ある実施形態では、ここで用いるアミノピリジンは、燐酸塩を形成してもよい。ここに記載の方法で用いうる薬学的に受容可能な塩のさらなる説明としては、例えば、S.M. Barge et al., "Pharmaceutical Salts," 1977, J. Pharm. Sci. 66:1-19に見られ、これはその全体が参照によってここに盛り込まれる。
好ましい実施形態では、アミノピリジン自身であって、アミノピリジンの薬学的に受容可能な塩ではないものが、ここに記載の方法のいずれにおいても用いられる。
〔5.2 本発明に関して治療された障害〕
特に、ここで提供されるのは、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害の治療方法であって、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与するものである。ある実施形態では、本方法は、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を改善するのに効果的である。ある実施形態では、ここでは、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの1つまたはそれより多いパラメータを改善する治療が開示される。
ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される障害は、多発性硬化症の患者のバランス障害またはバランス機能障害である。ある実施形態では、ここで提供される方法は、多発性硬化症の患者のアンバランスを治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、固体基板上の移動運動(例えば歩行、ジョギングまたはランニング)中のように、患者が動いているときにみられるバランス障害を治療するためのものであり、言い換えれば、運動中のバランスの障害(すなわち動的バランス)である。したがって、ある実施形態では、ここで提供される方法は、多発性硬化症の患者の動的バランスの障害を治療するためのものである。他の実施形態では、ここで提供される方法は、患者が動いていないときにみられるバランス障害を治療するためのものであり、例えば、固体基板上の移動運動ではないときであり、例えば、座っているとき、立っているとき、または別の静止状態のとき、または、空間的に固定された位置(すなわち静止バランス)である。したがって、ある実施形態では、本発明で提供される方法は、多発性硬化症の患者の静止バランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、多発性硬化症の患者の体位アンバランス(すなわち体位バランスの障害)を治療するためのものである。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される体位バランスの障害は、固体基板上の移動運動ではない体位バランスの障害でありうる。ある実施形態では、体位バランスの障害は、バーグバランススケールによって分析されまたは分析可能である。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、および/または回転、中のときに、MS患者の静止バランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、および/または回転、中のときに、MS患者の静止バランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が座位のときに患者のバランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が立位のときに患者のバランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が背伸びしているとき(例えば静止位置で)に患者のバランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が片足立ち姿勢を維持しているときに患者のバランスの障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここで提供される方法は、患者が回転しているとき(例えば固体基板上の移動運動に関する静止位置で)に患者のバランスの障害を治療するためのものである。
ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される障害は、多発性硬化症の患者の異常歩行である。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される障害は、歩行の異常様態およびスタイルである。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される障害は、多発性硬化症の患者の、歩行、ジョギング、ランニングおよび/または回転中の歩行の障害である。ある実施形態では、ここに記載の方法は、(例えば歩行、ジョギング、ランニングなどの歩行のように)固体基板上の移動運動中のように、患者が運動しているときにみられる歩行障害を治療するためのものである。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される障害は、多発性硬化症の患者の歩行中の歩行の障害である。
ある実施形態では、ここでは、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの1つまたはそれより多い(例えば1つ、2つ、3つ、4つまたは4より多い)パラメータの障害の治療方法が提供される。歩行および/またはバランスの1つまたはそれより多い(例えば1つ、2つ、3つ、4つまたは4より多い)パラメータのうちの少なくとも1つは、歩行速度ではない。ある実施形態では、バランスのパラメータは、限定されないが、座る、立つ、背伸びする、片足立ち姿勢を維持する、および回転する能力を含む。例えば、表面の不規則性や支持材表面傾斜の予想外の変化に曝されたとき、または、所定の方向に身体を傾けるときに、患者がバランスを失わないまたは転倒しない能力が、バランスのパラメータとして評価されてもよい。ある点では、転倒の発生の緩和(例えば減少)がバランスのパラメータとして評価される。バランスは、目を開けてまたは目を閉じて、被験者が片足で立ち、体位揺動速度を定量化する試験によって測定されてもよく、揺動が少ないほど、安定性が高いことを示す。歩行のパラメータは、限定されないが、ステップ幅、ステップまたは歩幅の長さ、ステップ速度、ステップ時間、ステップ長さ対称性、ステップ長さ/脚長さ比、速度(例えば端部揺動速度)、支持材ベース(例えば動的支持材ベース)および、歩行試験あたり二重または一重の支持材において費やされる歩行サイクルのパーセントを含む。ある実施形態では、歩行のパラメータは、限定されないが、体位、歩幅の長さ、ベースの幅、運動の速度および/または流動性、腕の揺動、運動活動の左右対称性、および神経系の欠損および徴候を含む。ある実施形態では、歩行のパラメータは、ステップ幅、ステップ長さ、ステップ速度、ステップ長さ対称性、揺動速度(例えば左目開放揺動速度、左目閉鎖揺動速度、右目開放揺動速度、右目閉鎖揺動速度)、端部揺動、回転時間(例えば左回転時間、右回転時間)、回転揺動(例えば左回転揺動、右回転揺動)を含む。ある実施形態では、歩行のパラメータは、体位揺動速度および端部揺動速度を含む。ある実施形態では、歩行のパラメータは、例えばNeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いてこのような試験が行われる場合、渡り歩き試験、片側のみ姿勢試験、タンデム歩行試験、および/またはステップ/クイックターン試験を含む。
ある実施形態では、多発性硬化症の患者の1つ、2つ、3つまたは3つより多い歩行パラメータ(例えば歩行)の障害を治療する方法が提供され、ここで、歩行のパラメータは、ステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度および回転揺動からなるグループから選択され、歩行のパラメータのうちの少なくとも1つは、ステップ速度ではない。ある実施形態では、多発性硬化症の患者のステップ長さを増加させる方法が提供される。他の実施形態では、多発性硬化症の患者のステップ幅を減少させる方法が提供される。他の実施形態では、多発性硬化症の患者のステップ速度を増加させる方法が提供される。さらに他の実施形態では、多発性硬化症の患者の回転揺動(例えば左回転揺動および/または右回転揺動)を減少させる方法が提供される。好ましい実施形態では、ここに記載の方法は、ステップ速度ではない、歩行の少なくとも1つのパラメータを治療するためのものである。ある実施形態では、本発明に係る治療は、多発性硬化症の患者の1つ、2つ、3つまたは3つより多い歩行パラメータ(例えば歩行)を改善するのに効果的であり、ここで、歩行のパラメータは、ステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度および回転揺動からなるグループから選択され、歩行のパラメータのうちの少なくとも1つは、ステップ速度ではない。ある実施形態では、本発明に係る治療は、多発性硬化症の患者のステップ長さを増加させ、ステップ幅を減少させ、ステップ速度を増加させ、および/または、回転揺動を減少させるのに効果的である。好ましい実施形態では、本発明に係る治療は、ステップ速度ではない歩行の少なくとも1つのパラメータを改善するのに効果的である。
ここに記載のまたは公知の1つまたはそれより多い(例えば1つ、2つ、3つまたは3つより多い)試験は、例えば、歩行および/またはバランスの障害を診断するために、および/または、治療効力を監視するために(後者は、治療後に試験が投与されたとき)、歩行および/またはバランス、および/またはパラメータ自身を評価するために用いることができる。1つまたはそれより多い試験は、評価に用いられる歩行速度以外のパラメータを測定する少なくとも1つの試験を含んでいる。ある実施形態では、1つまたはそれより多い試験は、歩行速度、低位先端筋肉強度(lower extremity muscle strength)、低位先端筋肉状態(lower extremity muscle tone)以外のパラメータを測定する少なくとも1つの試験を含む。したがって、歩行速度以外(および、オプションとして、低位先端筋肉強度、低位先端筋肉状態以外)の少なくとも1つの測定が、歩行および/またはバランスおよび/またはそのパラメータの評価に用いられる。ある実施形態では、歩行は、ここに記載のまたは公知の1つまたはそれより多い試験によって評価され、ここで、歩行速度(および、オプションとして、低位先端筋肉強度、低位先端筋肉状態)を測定しない少なくとも1つの試験の結果が、評価に用いられる。
歩行速度以外(および、オプションとして、低位先端筋肉強度、低位先端筋肉状態以外)の少なくとも1つの測定が評価に用いられる場合、患者の歩行またはバランスのパラメータは、患者の歩行またはバランスの障害または改善と同様に、公知の方法を用いて評価できる。例えば、評価試験は、限定されないが、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて行える試験を含む。NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)は、安定または不安定な支持材表面上で、安定なまたは動的な視覚環境にて視覚フィードバックを有するバランスの感覚および自発的モータ制御の客観的評価と再教育を提供する装置であり、歩行およびバランスのパラメータはこのような装置を用いて測定することができる。NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて行える試験は、限定されないが、以下のものを含む:渡り歩き試験(ステップ幅、ステップ長さ、速度および/またはステップ長さ対称性などのパラメータを測定することによって歩行の特性を評価する)、片側のみ姿勢試験(被験者が目を開けてまたは閉じて片足立ちする体位揺動速度を評価し、そして特に、平均の重心揺動速度を測定する)、タンデム歩行試験(被験者がかかとからつま先へと歩くときの歩行の特性を評価し、そして特に、ステップ幅、速度および/または端部揺動などのパラメータを測定する)、ステップ/クイックターン試験(被験者が2ステップ前進して素早く180°回転して開始点に戻るときの回転実行特性を評価し、そして特に、回転時間および/または回転揺動などのパラメータを測定する)、感覚器官試験(バランス制御を維持するために個々の感覚系入力合図を効果的に処理する被験者の能力を評価し、そして特に、このような試験は、以下の条件のうちの1つまたはそれより多いものを含む:目を開けて固定表面、目を閉じて固定表面、目を開けて壁移動、目を開けて表面移動、目を閉じて表面移動、目を開けて表面および壁移動)、適合試験(表面の不規則性や支持材表面傾斜の予想外の変化に曝されたときに揺動を最小化する被験者の能力を評価し、そして特に、回転障害中の、平均の、生の揺動および/または力の中心などのパラメータを測定する)、および、安定性限界試験(バランスを失ったり補助のための段を付けたり補助のために手を伸ばしたりせずに、自身の重心を故意に移すことができる最大距離を評価し、そして特に、反応時間、移動速度、端点軌跡、最大軌跡および/または方向制御などのパラメータを測定する)。上記一覧の試験は、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)や、それとは異なる、歩行またはバランスの上記パラメータの1つまたはそれより多いものを測定する評価ツールやプロトコルを用いて実行できる。さらに、歩行速度以外(および、オプションとして、低位先端筋肉強度、低位先端筋肉状態以外)の少なくとも1つの測定が評価に用いられる場合、患者の歩行またはバランス(例えば歩行またはバランスの障害または改善)は、バーグバランススケール、2分歩行試験(2MWT)、計時25フィート歩行試験(T25FW)を用いて評価できる。ある実施形態では、バーグバランススケールは、患者のバランスパラメータの障害または改善を評価するために用いられる。ある実施形態では、バーグバランススケールは、患者の、座る、立つ、背伸びする、片足立ち姿勢を維持する、および回転する能力を測定するために用いられ、また、患者の以下の機能の全体性を測定するために用いられる:座位から立位へ位置を変化させる能力、立位から座位へ位置を変化させる能力、腕を外側に引き伸ばしながら前方の達する能力。ある実施形態では、歩行またはバランスは、2MWTまたはT25FW中の患者の歩行および/またはバランスを観察または動画記録することによって評価される。ある実施形態では、歩行速度以外(および、オプションとして、低位先端筋肉強度、低位先端筋肉状態以外)の少なくとも1つの測定が評価に用いられる場合、患者の歩行および/またはバランスを評価するために、6分間歩行(6MW)、体位安定性試験、または計時10m歩行試験を用いることができる。ある実施形態では、GAITRite(商標)の技術(例えば26フィートのGAITRite(商標))を用いて、MS患者の歩行が評価され、ここでは、機能的歩行プロフィール(FAP)スコア、速度、歩幅長さ、ステップ時間、支持材ベース、および/または、歩行試験あたり二重または一重の支持材において費やされる歩行サイクルのパーセントが評価される(Sosnoff et al., 2011, Gait & Posture 34:145-147参照)。GAITRite(商標)技術を用いて得られたFAPスコアは、ステップ長さ/脚の長さの比率、ステップ時間、正規化された速度、および動的支持材ベースに基づく(Sosnoff et al., 2011, Gait & Posture 34:145-147参照)。さらに他の実施形態では、歩行の1つまたはそれより多いパラメータ、例えば、体位、歩幅の長さ、ベースの幅、運動速度、運動の流動性、腕振り、モータ活動の左右対称性、または神経系の欠損および徴候、を直接観察することによって、身体検査中に評価できる。さらに、歩行速度以外の少なくとも1つの測定が評価に用いられる場合、多発性硬化症の患者の歩行またはバランスの1つまたはそれより多いパラメータを評価するのに、公知のいずれの試験または方法も用いることができる。このような評価は、ここに記載の方法に関して患者にアミノピリジンを投与する前および後に行うことができる。例えば、多発性硬化症の患者の歩行またはバランスは、アミノピリジンを投与する前および/または後、例えば、ここに記載の方法での治療開始から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日目またはその後に、1、2、3、4、5、6、7、8週目またはその後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ヶ月目またはその後に、1、2、3、4、5ヶ月目またはその後に、評価することができる。
ある実施形態では、本発明の方法により治療または改善される歩行障害またはそのパラメータは、ここに記載のように評価される歩行である。ある実施形態では、本発明の方法により治療または改善されるバランス障害またはそのパラメータは、ここに記載のように評価されるバランスである。
ある実施形態では、本発明の治療は、多発性硬化症の患者の歩行またはバランスの障害の症状の重大度を改善、回復または減じることである。ある実施形態では、本発明の治療は、多発性硬化症の患者の歩行またはバランスの障害の症状の重大度を改善、回復または減じることである。ある実施形態では、本発明の治療は、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスを改善する(例えば歩行および/またはバランスの1つ、2つまたはそれより多いパラメータを改善する)ことである。
ある実施形態では、歩行またはバランスのレベルは、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の反復投与の後、または、前後に、(例えば歩行またはバランスの1つ、2つまたはそれより多いパラメータを評価することによって)評価することができる。このような方法は、ここに記載のまたは公知の歩行または歩行および/またはバランスの任意の評価方法とすることができる。
ある実施形態では、ある量のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することによってMS患者を治療することは、多発性硬化症の患者の歩行または歩行および/またはバランスの障害を治療する(例えば、その症状を改善、回復、軽減し、または、その重大度を減じる)のに効果的である。ある実施形態では、ある量のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することによってMS患者を治療することは、多発性硬化症の患者の歩行または歩行および/またはバランスの障害を消去するのに効果的である。
ある実施形態では、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの改善を維持する方法が提供され、該方法は、アミノピリジンの投与中に患者の歩行および/またはバランスの改善を以前に達成した後で、該患者に、ある量(例えば治療上効果的な量の)(3,4−ジアミノピリジン、4−アミノピリジンなどの)アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む。
ある実施形態では、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療するまたは歩行および/またはバランスの改善を維持する方法は、拡大された期間において患者にある量(例えば治療上効果的な量の)アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む。ある実施形態では、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの持続的改善を達成する方法は、拡大された期間において患者にある量(例えば治療上効果的な量の)(3,4−ジアミノピリジン、4−アミノピリジンなどの)アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することを継続することを含む。ある実施形態では、拡大された期間は、少なくとも以下、またはそれより多い:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12ヶ月。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に、少なくとも以下、またはそれより多い期間、投与される:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21日間、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22週間、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18ヶ月、または、1,2,3,4,5,10年間または5または10年間より多い期間。
ある実施形態では、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの改善は、少なくとも以下、またはそれより多い期間、発生する:アミノピリジンの治療の、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21日間、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22週間、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18ヶ月、または、1,2,3,4,5,10年間または5または10年間より多い期間。
ある実施形態では、本発明のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害の治療に十分な、治療上効果的な投薬量で投与される。ある実施形態では、治療は、治療されていない被験者に対し、少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約80%、患者の障害のある量の症状を減じる。このようなパーセント変化の定量化は、T25FWなどの継続的リニアスケールの結果の測定を提供する歩行またはバランスの分析に好適に適用される。歩行および/またはバランスの他の試験は、パーセント変化としては表現されず、適切な統計的比較にて有意な変化の結果へと予測する。このような試験は、特定の技術を行う能力に対する値を指定する準定量的測定を含む。ある実施形態では、本発明に係る治療は、コントロールと比較して、(例えば特定の課題や技術を行う患者の能力によって測定されるような)歩行および/またはバランスの障害の統計的に有意な改善を生む。このようなコントロールは、治療の開始前に、評価された課題または技術を行う患者の能力とすることができる。
ある実施形態では、ここに記載の方法での治療の治療結果は、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の治療開始後、以下の時期のうちの任意の1,2,3,4,5またはそれより多い、またはそれぞれ、および/または、以下の時期のうちの任意の1つよりも遅い時期に、分析または検出される:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21日目、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24週目、2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,42,48,54,60,66ヶ月目、0.5,1,1.5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5,5.5,6,6.5年目。
ここに記載の実施例2は、4−アミノピリジンの徐放性形成が、歩行に正のおよび有意な効果を有することを示している。実施例2で示した時間におけるバランスの改善の観察された傾向は、薬理効果に加えて、以前報告されたNeuroCom SMART Balance Master(登録商標)の学習効果を反映しうる。実施例2はまた、被験者は、投薬無しよりも、投薬有りのときに、計時25フィート歩行試験(T25FW)、2分歩行試験(2MWT)およびバーグバランススケール(BBS)において有意に良好であったことも示している。
ここに記載の実施例3は、実施例2で示された研究の実験設計およびそこで得られたデータをより詳細に述べる。実施例2,3は、4−アミノピリジンの徐放性形成が、多発性硬化症の患者の歩行の総合の障害に正のおよび有意な効果を有することを示している。実施例2,3は、4−アミノピリジンの徐放性形成が、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて行う試験によって測定される歩行に対する正のおよび有意な効果を有することを示している。さらに、実施例3は、4−アミノピリジンの徐放性形成で多発性硬化症の患者を治療することが、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて行う試験によって測定されるように、ステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度および回転揺動のような多くの特定の歩行パラメータに対する正のおよび有意な効果を有することを示している。
実施例2,3は、4−アミノピリジンの徐放性形成が、バーグバランススケール(BBS)によって測定されるバランスに対する正のおよび有意な効果を有することを示している。特に、実施例2,3は、4−アミノピリジンの徐放性形成が、BBSによって測定される多発性硬化症の患者の体位バランスに対する正のおよび有意な効果を有することを示している。さらに、実施例2,3は、中止期間中に総合のバランスの低下は無かったが、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)によって測定される中止期間後に、4−アミノピリジンの徐放性形成で治療の再開時に患者においてバランスが改善したことを示している。学習効果および薬剤効果の両方が、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)によって測定されるように、4−アミノピリジンの徐放性形成投与の再開時にバランスの有意な改善に寄与したと考えられる。
総合的に、実施例2、3で示したデータは、4−アミノピリジンの徐放性形成が、(ステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度および回転揺動などの歩行パラメータを含む)歩行および(体位バランスの障害を含む)バランスの障害を治療するのに効果的であることを示している。
〔5.3 患者確認または選択〕
本発明の好適な実施形態では、患者が選択され、多発性硬化症の患者であって歩行および/またはバランスの障害を持っている、と確認され、または診断される。
ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される患者は、多発性硬化症を有し、バランスの障害(例えばアンバランス)を有している。ある実施形態では、バランスの障害は、転倒の発生の増加として認められる。ここに記載の方法で治療されるMS患者は、バランスまたは調整の障害または機能障害、身体全体の制御障害、身体感覚の障害、異常歩行または体位アンバランスと診断されることができる。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療されるMS患者は、患者が動くとき(例えば歩行、ジョギングまたはランニング)観察されるバランス障害と診断される。他の実施形態では、ここに記載の方法で治療されるMS患者は、患者が静止しているとき(例えば座っている、立っている、または他の静止または空間的固定位置にいるとき)観察されるバランス障害と診断される。
ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される患者は、多発性硬化症を有し、歩行の障害(例えば歩行、ジョギング、ランニングおよび/または回転中の障害)を有する。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療されるMS患者は、歩行の1つ、2つ、3つまたはそれより多いパラメータの障害を有する(例えばそう診断される)。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療されるMS患者は、以下の歩行パラメータのうちの1つ、2つ、または全てを有する(例えばそう診断される):ステップ長さ(例えばそうステップ長さの減少と診断される)、ステップ幅(例えばそうステップ幅の増加と診断される)、および回転揺動(例えばそう回転揺動の増加と診断される)。ある実施形態では、ここに記載の方法で治療されるMS患者は、歩行速度でもステップ速度でもない歩行の少なくとも1つのパラメータの障害を有する(例えばそう診断される)。
本発明の方法によって治療される患者または被験者は、限定されないが、野生動物、家庭動物、家畜などの、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物を含む。ある実施形態では、本発明で治療される患者は、哺乳類、例えばヒト、牛、犬、猫、山羊、羊または豚である。好ましい実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が投与される患者はヒトである。ある実施形態では、患者は18歳から55歳である。他の実施形態では、患者は18歳から70歳である。ある実施形態では、患者は40歳から70歳である。ある実施形態では、患者は16歳から40歳である。他の実施形態では、患者は55歳より上である。ある実施形態では、患者は女である。さらに他の実施形態では、患者は男である。ある実施形態では、患者は体格指数が16ないし35である。他の実施形態では、患者は体格指数が18ないし30である。
ある実施形態では、ここに記載の方法で治療される患者は、任意のタイプの多発性硬化症、例えば、再発寛解性、二次進行性、一次進行性または進行性再発性である(例えばそう診断される)。ある実施形態では、患者は、再発寛解性MSと診断される。他の実施形態では、患者は、二次進行性MSと診断される。他の実施形態では、患者は、一次進行性MSと診断される。他の実施形態では、患者は、進行性再発性MSと診断される。Devic病、Balo同心硬化症、Schilder拡散硬化症またはMarburg多発性硬化症などの非典型的なタイプのMSの患者も、ここに記載の方法で治療されうる。
ある実施形態では、ここで提供される方法で治療される患者は、発作および/または癲癇の臨床歴を持たない。ある実施形態では、ここで提供される方法で治療される患者は、熱性の発作を除いて、発作および/または癲癇の臨床歴を持たない。例えば、患者は、その生涯において発作および/または癲癇を経験しておらず、または、1,2,3,4または5年間またはそれ以上において、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の投与前に、発作および/または癲癇を経験していない。他の実施形態では、ここで提供される方法で治療される患者は、発作および/または癲癇の臨床歴を持つ。
〔5.4 処方計画〕
上述の治療方法のいずれも、以下の処方計画のいずれをも用いて行うことができる。ある実施形態では、このような方法で用いられるアミノピリジンは、徐放性組成の4−アミノピリジンである。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、徐放性組成で投与される。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、即放性組成で投与される。ある実施形態では、本発明の方法は、1日1回、1日2回または1日3回、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む。ある実施形態では、(例えば4−アミノピリジンなどの)アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、徐放性組成で、1日1回または1日2回、例えば経口で投与される。ある実施形態では、4−APの1日用量は、1日1回であるか、または、2つ、3つまたは4つに等しく分けられた副用量として与えられる。他の実施形態では、(例えば4−アミノピリジンなどの)アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、即放性組成で、1日1,2,3回またはそれ以上、例えば経口で投与される。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の単回投与が、(例えば徐放性組成または即放性組成で、)患者に投与される。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に、経口で、徐放性組成で、b.i.d.(すなわち1日2回)投与される。ある実施形態では、1日2回投与は、12時間ごとの化合物の投与を含む。
ある実施形態では、徐放性組成のアミノピリジンは、ヒトにおいて、約2時間ないし約6時間のTmaxを提供する。
ある実施形態では、投与は、患者に経口で、徐放性組成で1日1回投与される。
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、約4mgないし約20mg(例えば約4,5,6,7,7.5,8,9,10,11,12,12.5,13,14,15,16,17,17.5または20mg)、1日2回、好ましくは徐放性組成で投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、約4mgないし約35mg(例えば約4,5,6,7,7.5,8,9,10,11,12,12.5,13,14,15,16,17,17.5,20、22.5,25,27.5,30,32.5または35mg)、1日1回、好ましくは徐放性組成で投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、約5mgないし20mg、5mgないし15mg、5mgないし10mg、5mgないし7.5mg、7.5mgないし12.5mg、または7.5mgないし10mg、1日2回、または、約7.5mgないし20mg、7.5mgないし15mg、10mgないし30mg、10mgないし20mg、10mgないし15mg、15mgないし30mg、15mgないし40mg、または20mgないし40mg、1日1回、好ましくは徐放性組成で投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、5mgの用量で、1日1回または1日2回、好ましくは徐放性組成で投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、7.5mgの用量で、1日1回または1日2回、好ましくは徐放性組成で投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、10mgの用量で、1日1回または1日2回、好ましくは徐放性組成で投与される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、アミノピリジンは4−アミノピリジンである。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、約5mgないし20mg、8mgないし15mg、7.5mgないし12.5mg、または10mgないし15mg、1日1回、(例えば徐放性組成で、)投与される。
ある実施形態では、患者は、例えば以下のような期間、ここに記載の方法で治療される:少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、または、5ないし10年以上。ある実施形態では、治療計画(ここに記載の任意のものから選択されうる特定の用量および投与頻度)は、例えば以下のような期間、安定である:少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、または少なくとも1年。
ある実施形態では、多発性硬化症で歩行および/またはバランスの障害を持つ患者は、4−アミノピリジン−SRで治療される。ある実施形態では、患者は1日2回、薬剤服用を指示される。ある実施形態では、患者は、以下のものから選択される用量の4−アミノピリジンで、b.i.dで、4−アミノピリジン−SRの服用を指示される:3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5,10,10.5,11,11.5,12,12.5,13,13.5,14,14.5,15,15.5,16,16.5,17,17.5,18,18.5,19,19.5,20,20.5,21,21.5,22,22.5,23,23.5,24,24.5,または25mg。ある実施形態では、4−アミノピリジン−SRの1日用量は、他の用量とは異なっており、ある実施形態では、朝の用量は、夜の用量より高い。ある実施形態では、4−アミノピリジン−SRの1日2回の用量のうちの少なくとも1つは、10mgの4−APである。
ある実施形態では、患者は、1日1回、4−アミノピリジン−SRの投薬を指示される。ある実施形態では、患者は、以下のものから選択される用量の4−アミノピリジンで、1日1回で、4−アミノピリジン−SRの投薬を指示される:5.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5,10,10.5,11,11.5,12,12.5,13,13.5,14,14.5,15,15.5,16,16.5,17,17.5,18,18.5,19,19.5,20,20.5,21,21.5,22,22.5,23,23.5,24,24.5,25,25.5,26,26.5,27,27.5,28,28.5,29,29.5,30,30.5,31,31.5,32,32.5,33,33.5,34,34.5,35,35.5,36,36.5,37,37.5,38,38.5,39,39.5または40mg。ある実施形態では、4−アミノピリジン−SRの1日1回の用量は、10mgの4−APである。
ある用量の実施形態では、4−アミノピリジンなどの十分な量のアミノピリジンが提供され、それによって、アミノピリジンは、4−アミノピリジン−SRの使用によって得られる範囲内にある定常状態を導出し、ある実施形態では、この定常状態の値は、定常状態での最大濃度 (Cmaxss)と、定常状態での最小濃度 (Cminss)と、である。定常状態の値は、血漿レベル、血液脳関門の脳側のレベル、またはCSFのレベルである。好ましくは、これらは血漿レベルである。
他の実施形態では、4−アミノピリジンなどの十分な量のアミノピリジンが提供され、それによって、アミノピリジンは、4−アミノピリジン−SRの使用によって得られる平均定常状態レベル (Cavss)から、約15,14,13,12,11,10,9,8,7,6,5,4,3,2または1%以下だけ異なる定常状態レベルを導出する。定常状態の値は、血漿レベル、血液脳関門の脳側のレベル、またはCSFのレベルである。好ましくは、これらは血漿レベルである。
〔5.5 薬剤組成〕
本発明はまた、ここに記載のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を含む薬剤組成を提供する。このような薬剤組成は、ある量(例えば治療上効果的な量)のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能な担体を含むことができる。ある実施形態では、薬剤組成は、経口投与に適し、例えば、ピル、錠剤またはカプセルにすることができる。薬剤組成は、例えば、2005年12月15日公開の米国特許公開2005/0276851、および、2005年10月13日公開の米国特許公開2005/0228030に記載されており、これはその全体が参照によってここに盛り込まれる。薬剤組成は、例えば、即放性組成、放出技術応用製剤組成、または徐放性組成とすることができる。ある実施形態では、薬剤組成は、4−アミノピリジンの徐放性組成を含む。本発明の薬剤組成は、ここに記載の任意の使用について患者に投与される。
アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、好ましくは、患者に経口または非経口で、カプセル、マイクロカプセル、錠剤、顆粒、粉末、トローチ、ピル、座剤、注射、懸濁またはシロップなどの、従来の調製形式で投与される。好ましい形成は、以下のものの1つまたはそれより多くのもののような、従来の有機または無機の添加物を用いて共通に採用される方法によって調製することができる:賦形剤(例えばスクロース、スターチ、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム)、結合剤(例えばセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロースまたはスターチ)、崩壊剤(例えばスターチ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウムまたはクエン酸カルシウム)、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、軽無水ケイ酸、タルクまたはラウリル硫酸ナトリウム)、香料(例えばクエン酸、メントール、グリシンまたはオレンジ粉末)、保存剤(例えば安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、安定化剤(例えばクエン酸、クエン酸ナトリウムまたは酢酸)、懸濁剤(例えばメチルセルロース、ポリビニルピロリクロンまたはステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、および、希釈剤(例えば水)、および、ベースワックス(例えばココアバター、ワセリンまたはポリエチレングリコール)。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の好ましい形成は、以下の添加物のうちの1つ、2つ、3つまたはそれ以上、または全てを用いて調製することができる:コロイド二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポリエチレングリコールおよび二酸化チタン。
薬学的に受容可能な担体または媒体は、賦形剤、希釈剤、またはそれらの混合物を含むことができる。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の好ましい形成(例えば経口投与に好ましい形成)は、以下の賦形剤のうちの1つまたはそれ以上を用いて調製することができる:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、USP;微結晶セルロース、USP;コロイド二酸化ケイ素、NF;ステアリン酸マグネシウム、USP;および、Opadry White。
薬剤組成にあるアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の量は、好ましくは、所望の効果を果たす量である。
アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は経口で投与されることができる。アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が経口で投与される実施形態のいくつかでは、組成は、錠剤、ピルまたはカプセルで形成される。アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、皮内、筋肉注射、腹腔内、経皮、静脈注射、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、または、耳、鼻、目または皮膚に局所的に、投与することもできる。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に静脈注射で投与される。投与の形態は、健康管理の実行者の裁量に任せられる。
組成は、錠剤、チュアブル錠、カプセル、溶液、非経口溶液、トローチ、座剤および懸濁液などの形式とすることができる。組成は、投薬量単位において、1日用量または1日用量の使いやすい画分を含むように形成されることができ、これは例えば、単独の錠剤またはカプセルまたは、使いやすい量の液体とすることができる。
カプセルは、好ましい担体または希釈剤でアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を混合し、混合物の適度な量をカプセルに詰めるなどの、公知の方法で調製することができる。カプセルと希釈剤は、限定されないが、多くの種々の種類のスターチ、粉末セルロース、特に結晶および微結晶セルロース、フルクトース、マンニトール、スクロースなどの糖、穀物、および、類似の食用粉末、などの不活性な粉末物質を含む。
錠剤は、直接圧縮、湿式顆粒化、乾式顆粒化などの公知の方法で調製することができる。この形成は、化合物同様、希釈剤、結合剤、潤滑剤および崩壊剤を通常含んでいる。典型的な希釈剤は、例えば、種々の種類のスターチ、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩および粉末糖を含む。粉末セルロース誘導体も有益である。典型的な錠剤の結合剤は、スターチ、ゼラチンおよびラクトース、フルクトース、グルコースなどの糖などの物質である。アカシア、アルギン酸塩、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどを含め、天然ゴムおよび合成ゴムも使いやすい。ポリエチレングリコール、エチルセルロースおよびワックスも結合剤として使用可能である。
ある実施形態では、薬剤組成は、4−APの徐放性組成の錠剤またはカプセルである。
〔5.6 併用治療〕
ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を、多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害の治療のための1つまたはそれより多い他の作用物質および/または理学療法または作業療法と併用することができる。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、1つまたはそれより多い追加の薬剤または療法と併用して、または順次、患者に投与される。例えば、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、発作を制御する薬剤や、苦痛を軽減する薬剤や、疲労を軽減する薬剤や、筋肉の痙攣を緩和する薬剤(例えばベンゾジアゼピン、バクロフェン、チザナジンおよびくも膜下のフェノール/バクロフェン)や、炎症を抑える薬剤(例えばコルチコステロイド)や多発性硬化症の治療に承認されている他の薬剤の投与と同時またはその前または後に、患者に投与することができる。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩と1つ、2つまたはそれより多い付加的な薬剤との併用は、固定用量併用である。例えば、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩と1つまたはそれより多い付加的な薬剤は、ピル、錠剤またはカプセルなどの1つの組成で形成することができる。他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、理学療法、作業療法、または言語療法、または血漿交換と併用して(例えば同時、前または後に、)患者に投与される。ある実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、補助機器(例えば杖、松葉杖または車輪付き歩行器)を使う多発性硬化症の患者に投与される。ある実施形態では、アミノピリジン(またはその塩)および他の薬剤または療法が、お互いについて、同じ医師の訪問時、1,2,3,4,5,6または12時間以内、または、1,2,3,4,5,6または7日以内に、投与される。
さらに他の実施形態では、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、追加の薬剤または療法無しで、または、1つまたはそれより多い(上述したような)追加の治療無しで、患者に投与される。ある実施形態では、本発明に係る治療は、(追加の薬剤または療法有りでもまたは無しでも、)多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害の治療に用いられる公知の他の薬剤または療法による治療よりも効果的である。
〔6. 実施例〕
〔6.1 実施例1: 多発性硬化症(MS)の被験者の歩行およびバランスのパラメータについてダルファンプリジンの効果を評価する研究〕
〔6.1.1 略語のリスト〕
この研究プロトコルでは、以下の略語および専門用語が用いられる(表1参照)。
Figure 2015509934
〔6.1.2 研究の目的〕
この研究の第1の目的は、規則的な臨床ケアの一部としてのスクリーニング訪問の前に少なくとも2週間一貫して薬剤を受けている被験者であって、研究に入る前の投薬無しと投薬有りとの評価の間でT25FWが改善したと規定される、治療に基づく改善者と考えられる被験者において、ダルファンプリジン−ER 10mg(すなわち4−アミノピリジン 10mgの徐放性処方)の中止後にて、多重の歩行およびバランスのパラメータについてと同様、総合の歩行について、変化を判断することである。
歩行およびバランスのパラメータは、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて、以下の試験を用いて測定される:ステップ幅、ステップ長さ、速度およびステップ長さ対称性を測定する渡り歩き試験(WA);平均の重心揺動速度を測定する片側のみ姿勢試験(US);ステップ幅、速度および端部揺動を測定するタンデム歩行試験(TW);回転時間および/または回転揺動を測定するステップ/クイックターン試験(SQT);感覚器官試験(SOT)(目を開けて固定表面、目を閉じて固定表面、目を開けて壁移動、目を開けて表面移動、目を閉じて表面移動、目を開けて表面および壁移動);回転障害中の、平均の、生の揺動および力の中心を測定する適合(ADT)試験;および、反応時間、移動速度、端点軌跡、最大軌跡および方向制御を測定する安定性限界試験(LOS)。
この研究の第2の目的は、ダルファンプリジン中止後にバーグバランススケール(BBS)、2分歩行試験(2MWT)および計時25フィート歩行試験(T25FW)の変化を測定することによって歩行とバランスのパラメータを評価することである。
〔6.1.3 治験計画〕
これは、MSと診断された被験者の歩行と、上で規定されたようにダルファンプリジンでの治療に反応した改善者とにおいて、体位バランスのパラメータについてダルファンプリジン中止の効果を評価する研究である。
全ての被験者は、書面によるインフォームドコンセントを提供する必要があり、その後、研究に含まれるまたは研究から除外されるよりも前に彼らのMSの主治医によって評価される必要がある。もし被験者がスクリーニング((−7)日目、訪問1)のときに適格であれば、被験者は研究に含まれて、以下の試験が投与される:NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FW。
被験者は、1週間後(1日目、訪問2)にMSセンターに戻る。この訪問では、被験者は、安全性と耐性の評価、短い医師評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FWを受ける。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取る。その後、被験者は、ダルファンプリジンの服用を止めるよう求められる。訪問1および2は期間1に対応し、これは、統計目的のための第1の投薬有り期間と規定される。
5日目(訪問3)に、被験者は、短い医師検査、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FWを受ける。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取る。
ダルファンプリジン中止に続く10日間である11日目(訪問4)に、被験者は、診療所に戻り、医師評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FWを受ける。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取る。安全性と耐性の評価が完了すると、被験者は、ダルファンプリジンの再スタートを指示される。訪問3および4は期間2に対応し、これは、統計目的のための投薬無し期間と規定される。
最終の訪問は15日目(訪問5)、期間3であり、これは、統計目的のための第2の投薬有り期間と規定され、被験者は、医師評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWT、T25FWおよび最終の状態評価を受ける。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取り、被験者は研究の参加が終わる。
被験者は、T25FW評価中に動画記録されるが、これは研究に参加するための要件ではない。動画記録の詳細は第6.1.7(a)節を参照されたい。
表2は評価のスケジュールの概略を提供する。
Figure 2015509934
〔6.1.4 被験者の選択と中止〕
各被験者は、研究への登録の前に適格性のための以下の判断基準(包含判断基準と除外判断基準)を満たさねばならない:
(a)包含判断基準
・ 多発性硬化症の診断
・ 男性または女性、18歳以上70歳以下
・ スクリーニング訪問の前に少なくとも2週間一貫してダルファンプリジン−ERを受けている被験者であって、研究に入る前の投薬無しと投薬有りとの評価の間でT25FWが改善したと規定される、治療に基づく改善者と考えられる被験者
・ 被験者は、Cockcroft-Gault方程式を用いて評価すると中程度または重度の腎臓障害(CrCl>50mL/分)が無ければ適格とできる
・ 単純な熱性の発作を除いて、発作歴を持たない
・ スクリーニングの4週間以内に尿路感染症が無い
・ 疾患修飾療法(「DMT」)または他の対症療法を含めて、いずれの併用薬剤についても、参加者は、スクリーニング前の4週間は安定な処方計画でなければならない
(b)除外判断基準
・ 上記判断基準のうちのいずれかでも満たさない
・ 外科的に不妊でなく、閉経後2年未満でなく、有効な出産制御方法を用いていない、出産可能な、性交経験のある女性
・ 評価者によって確認および立証された、妊娠しているまたは母乳で育てている被験者。
(c)中止判断基準
中止判断基準は、オプションであるが、以下の理由の1つまたはそれより多くを含む:
・ 被験者が不利事象を経験する
・ 妊娠
・ 被験者がプロトコルに準拠しない
・ 被験者が追跡検査に対し行方不明
・ 被験者がもはや適格性の判断基準を満たさず、評価者の判断で、これは有意な程度にまで臨床状態の評価に影響を及ぼす。
〔6.1.5 被験者の治療〕
1日目(訪問2)での薬剤中止後の11日目(訪問4)に、ほぼ12時間おきに1日2回与えられるダルファンプリジン−ER錠、10mgが再スタートされ、最後に、必要な評価が行われる。
〔6.1.6 治験製品〕
この研究での治験製品は市販の薬剤である。AMPYRA(登録商標)(ダルファンプリジン)持続型薬剤錠は、10mgの強度のものが利用可能であり、白ないしオフホワイトであり、両凸であり、卵形であり、フィルムコーティングされ、折り線の無い(non-scored)錠剤であり、平坦な縁を有し、片側に「A10」と彫り込まれ、ダルファンプリジンを10mg含んでいる。非活性成分は、コロイド二酸化ケイ素、ヒドロキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポリエチレングリコールおよび二酸化チタンから成る。
〔6.1.7 研究手順〕
(a)効力の評価
〔計時25フィート歩行試験(T25FW)〕
T25FW試験は、定量的データを提供する歩行機能の測定であり、MS集団で広く用いられる。もし必要ならば、被験者は、25フィート(7.62メートル)コースで端から端までできるだけ速く歩行する間、規則通りに用いられる補助機器(杖、松葉杖または車輪付き歩行器)を用いることができる。車輪無し歩行器は一般には用いるべきでない。この試験は、はっきりと印の付いたコースで行われ、毎回のT25FW試験ごとに用いられる。
この試験のために、個人は、スタートラインで、靴のつま先を印の付いた点に合わせ、足がラインを超えたらすぐに、ストップウォッチを使って時間計測を始める。時間計測は、最初の足が25フィートラインを超えたときに終了する。時間は秒単位で記録され、もし妥当であれば、最も近い0.1秒単位に秒を丸める。試行間の休憩は最大5分間とし、その後、被験者は同じ距離を再度歩く。
T25FWは、訪問1,2,3,4,5で一度行われる。
動画記録: 被験者は、T25FW評価中に動画記録されるが、これは研究に参加するための要件ではない。自発的被験者に対し、T25FWの動画記録は、訪問2,3,4で行われる。一貫した遠近感と角度を保証するために固定カメラ台を用いて動画の撮影画面を捕捉する。被験者が確認できないように、動画の撮影画面の生データを加工する。これは、視覚効果のソフトウェアプログラムであるAdobe After Effectsを用いて行われ、顔や、被験者の個人を区別できる特徴をたどって、区分の全長にわたって曖昧にする。最終的な動画は、被験者番号、研究フェーズおよびT25FWの経過時間を含めて、区分ごとに表題の画像を含む。この動画記録は、評価者によって観られ、投薬無しと投薬有りとの間の変化の定量的な評価を提供する。
〔2分歩行試験(2MWT)〕
被験者は、補助無しで2分間歩き、距離を測定し、ストップウォッチを使って時間を計測する。2分間の歩行でカバーされた距離をメートル単位で測定する。口頭で開始と終了が確認される。補助機器が必要であれば用いることもできるが、身体的な補助は許可されない。補助機器を用いる場合は、全ての試験で同じ機器を用いる(リハビリテーション測定データベースウェブページより2012-02-09検索)。
〔バーグバランススケール(BBS)〕
BBSは、臨床場面において年配集団でバランスを測定するように特に設計された14項目のスケールであるが(Berg et al., 1989; Tinetti, 1986)、体位バランスを評価するために卒中および外傷脳負傷を有する集団に用いられている(Berg et al., 1995; Newstead et al., 2005)。BBSは、被験者が、座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、または回転、する能力を評価する。スコア付けは、0(課題を行えない)から4(課題を普通に行う)までランク付けされる。この試験は、良好な妥当性と信頼性で、転倒について良好な予測を与えることが報告されている(Berg et al., 1992a; Berg et al., 1992b; Bogle et al., 1996; Creel et al., 2001; Shumway-Cook et al., 1997)。可能な最大スコアは56点であり、最小スコアは0であり、45点またはそれ未満は、転倒の危険性が高い(RiddleおよびStratford, 1999)。
〔NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)〕
SMART Balance Master(登録商標)は、安定または不安定な支持材表面上で、安定なまたは動的な視覚環境にて視覚フィードバックを有するバランスの感覚および自発的モータ制御の客観的評価と再教育を提供する装置である(Balance Master Family, NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)ウェブページより2012-02-09検索)。
このシステムは、被験者の足によって生まれる垂直な力を測定するための回転能力を持った動的な18”×18”の二重力板と、移動可能な視覚的周囲物とを用いる。
以下の標準化された歩行およびバランスの評価プロトコルが行われる。
〔機能制限評価〕
〔片側のみ姿勢(US)〕
この評価は、目を開けて、および目を閉じて、力板の上に、片足(右または左)で被験者が静かに立ち、体位揺動速度を定量化する。揺動が比較的無い場合は「安定性」であり、すなわち、指示が「静止」のとき、揺動が大きいほど安定性が小さいことを示し、揺動が小さいほど安定性が大きいことを示す。試験の指示者からの口頭の指示で、被験者は、右足または左足を持ち上げ、目を閉じてまたは目を開けて、10秒間できるだけ安定して立つよう努力する。この試験は4つの条件から成り、それぞれは、3つの試行から成り、通常、以下の順である:
(a)EO(目を開けて)左
(b)EO(目を開けて)右
(c)EC(目を閉じて)左
(d)EC(目を閉じて)右。
〔渡り歩き(WA)〕
WAは、被験者が力板の長さを渡り歩きするときの歩行の特徴を定量化する。このテストは、被験者に力板より十分下がってもらって、力板を越え続けることによって、定常状態の歩行を特徴付ける。力板の長さのせいで、このテストは、5フィート(152cm)より歩幅の長い、非常に壮健な個人には適さない。測定されるパラメータは、平均ステップ幅、平均ステップ長さ、速度およびステップ長さ対称性である。
この試験では、以下のパラメータが測定される:
ステップ幅 ― 連続ステップで左足と右足との間のcm単位での横方向距離
ステップ長さ ― 連続ステップで連続踵打ち間のcm単位での縦方向距離
速度 ― 前進の毎秒のcm単位での速さ
ステップ長さ対称性 ― 右と左のステップ長さの比較であり、合計歩幅(右長さと左長さ)のパーセンテージで表される。
〔タンデム歩行(TW)〕
TWは、被験者が力板の端から端までを踵からつま先へと歩くときの歩行の特徴を定量化する。測定されるパラメータは、ステップ幅、速度、および端点揺動速度である。
〔ステップ/クイックターン(SQT)〕
SQTは、個人が2ステップ前進して素早く180°回転して開始点に戻るときの特徴的な回転動作を定量化する。測定されるパラメータは、回転にかかる時間、および、回転実行中の揺動速度(回転時間および回転揺動)である。
〔感覚障害評価: 感覚器官試験(SOT)〕
感覚器官(感覚統合;多重感覚器官)は、バランス制御を維持するために個々の感覚系入力合図を効果的に処理する被験者の能力である。これは、不正確な感覚系入力を抑制し、他の、より正確な感覚系入力合図から適切に選択し、適切な運動および体位反応戦略を生むことによって行われる。SOTは、この能力を組織的に評価し、各感覚系の使用と、中枢神経系の適合(または不適合)反応とを、客観的に分離して定量化する。
感覚器官試験(SOT)のスコア付けは、正常な個人が、バランスを失わずに、ほぼ12.5°の合計範囲で、前方から後方まで揺動を示すことができるとの仮定に基づいている。各試行の平衡スコアは、被験者の最大の前方から後方までのCOG移動と、この理論的最大移動との間の角度差を比較することによって計算される。結果は、0と100との間の逆パーセンテージで表される。0に近づくスコアは、安定性限界に近づく揺動振幅を示し、値100は、完全な安定性を示す。0スコアは、その試行で被験者が「転倒した」ことを示す。
被験者の自発的限界または安定性の「錐体」が制限されれば、小さな程度の揺動でも利用可能な安定性限界を超えてしまい、試験中にバランスを失うかまたは転倒することになる。それゆえ、感覚器官試験(SOT)は、運動能力試験と結合して行って解釈される。平衡スコアの計算の元となる生データは、振幅、周波数、方向、被験者揺動の規則性について重要な情報をも含んでおり、それに応じて再検討される。
〔運動障害試験〕
〔自動運動評価: 適合試験(ADT)〕
ADTは、表面の不規則性や支持材表面傾斜の予想外の変化に曝されたときに揺動を最小化する被験者の能力を評価する。つま先上げ方向またはつま先下げ方向のプラットフォーム回転の連続が、自動的な運動反応を導出する。各プラットフォーム回転試行に対し、揺動エネルギースコアは、誘導された体位不安定を克服するのに必要な力反応の大きさを定量化する。
予期しないつま先上げ方向またはつま先下げ方向の回転は、被験者のバランスを不安定化する傾向のある自動的な運動反応を導出する。最初の(予想外の)試行中、最初の破壊的反応は、反対の筋肉での二次反応によって修正される。その後の各試行で、最初の反応は、減衰し、二次反応が強くなり、総合の揺動を減少させる。
ADTの実施は、効果的な運動適合同様、運動の適度な足首範囲と筋肉の強度とを要する。
〔自発的運動評価: 安定性限界試験(LOS)〕
LOSは、人が、自身の重心(COG)を故意に移すこと、すなわち、バランスを失ったり補助のための段を付けたり補助のために手を伸ばしたりせずに、所定の方向に自分の身体を傾けること、ができる最大距離を定量化する。測定されるパラメータは、反応時間、COG移動速度、方向制御、端点軌跡、および最大軌跡である。8つの各試行について、被験者は、中央の目標に対し、COG位置のカーソル表示によって示される支持材ベース上で、COGを中央に維持する。指令があると、被験者は、できるだけ速くかつ正確に、COGカーソルを、LOSの周囲(安定性限界の100%)に配置された第2の目標のほうへ移動させ、その後、できるだけ目標に近い位置を保持する。被験者は、各試行を完了するのに8秒まで許可される。
各試行に対するCOGの足跡は、報告の最上部の左に示されている。
反応時間(RT)は、移動指令と、被験者の第1の移動との間の秒単位の時間である。
移動速度(MVL)は、1秒当たりの度数で表されるCOG移動の平均速度である。
端点軌跡(EPE)は、最大LOS距離のパーセンテージで表される、示された目標のほうへの第1の移動の距離である。端点は、目標のほうへの最初の移動が終わる点とみなされる。
最大軌跡(MXE)は、試行中に達した最大距離である。
方向制御(DCL)は、意図した方向(目標に近づく方向)への移動量と、無関係な方向(目標から離れる方向)への移動量と、の比較である。
(b)研究順序
この研究では以下の評価が行われる。
〔スクリーニング: 訪問1((−7)日目)〕
評価者は、以下の手順が行われた後に適格性を評価する:
・ 署名付きのインフォームドコンセントを得る
・ 被験者番号を指定する
・ 病歴、MS歴および人口統計情報を得る
・ Godin余暇運動質問表(Godin Leisure-Time Exercise Questionnaire)を完了する
・ バイタルサイン、身長、体重を含む完全な身体検査を行う
・ 併用薬剤および療法の再検討
・ 被験者は、歩行およびバランスの分析、BBS、2MWTおよびT25FWを完了する
・ 適格であるとわかれば、1週間(±2日)で発生する次の訪問のための日と時を予定に入れる。
〔訪問2(1日目)〕
訪問2(1日目)では以下の評価が行われる:
・ バイタルサインを含む簡単な身体検査を行う
・ 併用薬剤および療法の変化を記録する
・ 被験者は、歩行およびバランスの分析、BBS、2MWTおよびT25FWを完了する
・ ダルファンプリジン濃度を判断するために血液を採る
・ 自発的被験者については、(書面の同意を得てから)T25FW評価中に動画記録する
・ 被験者は、ダルファンプリジンの使用を中止するよう指示される
・ 5日目(±2日)で発生する次の訪問のための日と時を予定に入れる。
訪問1および2は、期間1に対応し、これは、統計目的での第1の投薬有り期間として規定される。
〔訪問3(5日目)〕
訪問3(5日目)では以下の評価が行われる:
・ バイタルサインを含む簡単な身体検査を行う
・ 併用薬剤および療法の変化を記録する
・ 被験者は、歩行およびバランスの分析、BBS、2MWTおよびT25FWを完了する
・ 自発的被験者については、T25FW評価中に動画記録する
・ 11日目(±2日)で発生する次の訪問のための日と時を予定に入れる
・ ダルファンプリジン濃度を判断するために血液を採る。
〔訪問4(11日目)〕
訪問4(11日目)では以下の評価が行われる:
・ バイタルサインを含む簡単な身体検査を行う
・ 併用薬剤および療法の変化を記録する
・ 被験者は、歩行およびバランスの分析、BBS、2MWTおよびT25FWを完了する
・ 自発的被験者については、T25FW評価中に動画記録する
・ 被験者は、ダルファンプリジンを再スタートするよう指示される
・ 15日目(±2日)で発生する次の訪問のための日と時を予定に入れる
・ ダルファンプリジン濃度を判断するために血液を採る。
訪問3および4は、期間2に対応し、これは、統計目的での投薬無し期間として規定される。
〔訪問5(15日目および最終訪問)〕
訪問5(15日目)では以下の評価が行われる:
・ バイタルサインを含む簡単な身体検査を行う
・ 併用薬剤および療法の変化を記録する
・ 被験者は、歩行およびバランスの分析、BBS、2MWTおよびT25FWを完了する
・ ダルファンプリジン濃度を判断するために血液を採る
・ 最終状態の評価。
訪問5は、期間3に対応し、これは、統計目的での第2の投薬有り期間として規定される。
〔予定外の訪問〕
・ 簡単な身体検査とバイタルサインの評価とを行う
・ 併用薬剤および療法の変化を記録する
・ 最終訪問以来の不利事象を再検討して記録する
・ 訪問が、早い終了のためのものである場合は、最終状態の評価を完了する。
〔6.1.8 統計〕
この節は、研究データの分析に用いられる統計方法を概説する。
全ての計算は、SAS(登録商標)バージョン9以上を用いて行われる。得られるp値が0.05未満であれば、統計的に有意な治療の差異が認定される。全ての試験は両側検定である。暫定的分析は計画されない。
(a)統計的検出力およびサンプルサイズ
この研究では、評価された20人の被験者が登録される。このサンプルサイズは、さらなる研究の設計に役立つ適切なパラメータ評価を提供する。
(b)被験者集団
完全分析集団(FAP)は、一次効力分析の基準であり、投薬有りおよび投薬無しの両方の期間において、少なくとも1つのベースライン(訪問1または訪問2)および1つのポストベースライン(訪問3または訪問4)評価を有する全ての被験者を含む。プロトコルあたりの集団(PPP)は、FAPの副集団であり、主要プロトコル違反無しに全ての訪問を完了する全てのFAP被験者から成る。研究に入る全ての被験者は、すでにダルファンプリジンを服用しているので、安全性集団は、訪問1での研究において登録される全ての被験者を含む。
(c)人口統計および背景の変数
記述統計学を用いて、人口統計、疾患の背景、およびベースラインのデータが要約される。他のベースライン変数は、スクリーニングのときに、以下の評価を含む:併用薬剤/療法、身体検査、身長および体重を含むバイタルサイン。連続的な変数については、記述統計学は、平均、平均の標準誤差、標準偏差、中央値、最小値および最大値を含む。カテゴリー的な変数については、記述統計学は、各カテゴリーに入る被験者の数とパーセンテージを含む。
(d)効力の分析
一次効力変数
一次端点は、NeuroCom SMARTシステムからの規範的データにて断定される被験者内基準で判断された。ベースラインで正常に最も近いパラメータが、分析で従属変数として用いられる。パラメータは、以下の「付加的な効力変数」節に挙げられている。
〔二次効力変数〕
鍵となる二次端点は、一次端点と同様にして分析されるが、規範的データと比べて最も逸脱していることに基づく。
〔付加的な効力変数〕
以下に挙げられたNeuroCom SMARTシステムからの各パラメータも、一次および二次効力変数と同様にして分析される:
・ ステップ幅、ステップ長さ、速度およびステップ長さ対称性を測定する渡り歩き試験(WA)
平均の重心揺動速度を測定する片側のみ姿勢試験(US)
・ ステップ幅、速度および端部揺動を測定するタンデム歩行試験(TW)
・ 回転時間および/または回転揺動を測定するステップ/クイックターン試験(SQT)
・ 感覚器官試験(SOT)(目を開けて固定表面、目を閉じて固定表面、目を開けて壁移動、目を開けて表面移動、目を閉じて表面移動、目を開けて表面および壁移動)
・ 回転障害中の、平均の、生の揺動および力の中心を測定する適合(ADT)試験
・ 反応時間、移動速度、端点軌跡、最大軌跡および方向制御を測定する安定性限界試験(LOS)。
さらに、以下の効力測定も同様にして分析される:
・ バーグバランススケール(BBS)
・ 2分歩行試験(2MWT)
・ 計時25フィート歩行試験(T25FW)。
〔分析方法〕
個人一人について、1つの効力変数の測定データを表3に示す。
Figure 2015509934
各効力変数は4つの方法で分析される:
1.一次方法 ― 各効力端点を形成するために、変動の混合モデル(ANOVA)が用いられる;
2.二次方法は、以下のものを比較する:
・ 訪問4から訪問5への変化
・ ベースラインから訪問4への変化
・ ベースラインから訪問5への変化。
各変数について、ベースラインは、被験者が投薬有りのときに訪問1と2との平均として規定される。特定の変数について、もし被験者が訪問4で評価しなければ、値は、訪問3の評価を用いて入力される。
NeuroCom SMARTシステムと他の臨床的効力測定(BBS、2MWT、T25FW)との個々のパラメータ間の相関が計算される。
〔6.1.9 実施例1のための参考文献〕
・ Berg, K., Wood-Dauphinee, S., & Williams, J. I. (1995). The Balance Scale: reliability assessment with elderly residents and patients with an acute stroke. [Research Support, Non-U.S. Gov't]. Scandinavian journal of rehabilitation medicine, 27(1), 27-36.
・ Berg, K., Wood-Dauphinee, SL , Williams, JI , Gayton, D. (1989). Measuring balance in the elderly: preliminary development of an instrument. Physiother Canada, 41, 304-311.
・ Berg, K. O., Maki, B. E., Williams, J. I., Holliday, P. J., & Wood-Dauphinee, S. L. (1992). Clinical and laboratory measures of postural balance in an elderly population. [Research Support, Non-U.S. Gov't]. Archives of physical medicine and rehabilitation, 73(11), 1073-1080.
・ Berg, K. O., Wood-Dauphinee, S. L., Williams, J. I., & Maki, B. (1992). Measuring balance in the elderly: validation of an instrument. [Comparative Study Research Support, Non-U.S. Gov't]. Canadian journal of public health. Revue canadienne de sante publique, 83 Suppl 2, S7-11.
・ Bogle Thorbahn, L. D., & Newton, R. A. (1996). Use of the Berg Balance Test to predict falls in elderly persons. Physical therapy, 76(6), 576-583; discussion 584-575.
・ Creel, G. L., Light, K. E., & Thigpen, M. T. (2001). Concurrent and construct validity of scores on the Timed Movement Battery. [Clinical Trial Randomized Controlled Trial]. Physical therapy, 81(2), 789-798.
・ Frohman, E. M. (2003). Multiple sclerosis. [Case Reports Research Support, Non-U.S. Gov't Review]. The Medical clinics of North America, 87(4), 867-897, viii-ix.
・ Goodman A., Brown T., Krupp L., et al. (2009). Sustained-release oral fampridine in multiple sclerosis: A randomised, double-blind, controlled trial. Lancet 373, 732-738
・ Goodman A., Brown T., Edwards K., et al. (2010). A phase 3 trial of extended release oral dalfampridine in multiple sclerosis. Ann Neurol 68, 494-502
・ Newstead, A. H., Hinman, M. R., & Tomberlin, J. A. (2005). Reliability of the Berg Balance Scale and balance master limits of stability tests for individuals with brain injury. [Clinical Trial Validation Studies]. Journal of neurologic physical therapy : JNPT, 29(1), 18-23.
・ Riddle, D. L., & Stratford, P. W. (1999). Interpreting validity indexes for diagnostic tests: an illustration using the Berg balance test. Physical therapy, 79(10), 939-948.
・ Shumway-Cook, A., Baldwin, M., Polissar, N. L., & Gruber, W. (1997). Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults. [Research Support, Non-U.S. Gov't]. Physical therapy, 77(8), 812-819.
・ Tinetti, M. E. (1986). Performance-oriented assessment of mobility problems in elderly patients. [Research Support, Non-U.S. Gov't Research Support, U.S. Gov't, P.H.S.]. Journal of the American Geriatrics Society, 34(2), 119-126。
〔6.2 実施例2: 多発性硬化症(MS)の患者の歩行およびバランスのパラメータについてダルファンプリジンの効果を評価するために、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)、バーグバランススケール、2MWTおよびT25FWを用いる研究〕
〔6.2.1 略語のリスト〕
この研究プロトコルで用いられる略語については、実施例1の表1、節6.1.1を参照されたい。
〔6.2.2 研究の目的〕
この研究の第1の目的は、実施例1、節6.1.2のものと同じであった。
〔6.2.3 治験計画〕
この研究では、治験計画は、実施例1、節6.1.3のものと本質的に同じであった。この研究のスケジュールの簡単な説明は以下の通りである。
試験は、研究訪問ごとに行われた。研究は、以下の通り、3つの研究期間に下位分割された。
期間1(1週間続く第1の投薬有り期間): 包含/除外判断基準ごとに、全ての適格な被験者が、研究の開始時に少なくとも2週間ダルファンプリジン−ERで治療され、治療に基づく改善者と考えられ(実施例1、節6.1.4参照)、ダルファンプリジン−ER錠(「D−ER」)、10mgが、ほぼ12時間おきに1日2回与えられる。適格な被験者は、スクリーニング訪問((−7)日目、訪問1)を有し、1週間後に研究センターに戻った(1日目、訪問2)。その後、ダルファンプリジン−ERは、研究期間2のための研究被験者から中止された。
期間2(10週間続く投薬無し期間): ダルファンプリジン−ERの中止に続いて、被験者は、5日目(訪問3)および11日目(訪問4)に診療所に戻った。その後、ダルファンプリジン−ERは、研究期間3のために再開された。
期間3(4日間続く第2の投薬有り期間): 最終の訪問は15日目(訪問5)であった。
〔6.2.4 被験者の選択および中止〕
被験者の選択および中止の判断基準は、実施例1、節6.1.4のものと同じであった。
〔6.2.5 治験製品の説明〕
この研究で用いられた治験製品は、実施例1、節6.1.6のものと同じであった。
〔6.2.6 研究手順〕
(a)効力の評価
〔NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)〕
実施例1、節6.1.7(a)、国際出願時の段落00129−00153に記載の評価を用いて歩行およびバランスを評価するために、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)が用いられた。
〔計時25フィート歩行試験(T25FW)および2分歩行試験(2MWT)〕
実施例1、節6.1.7(a)、国際出願時の段落00123−00127に記載のプロトコルを用いて歩行およびバランスを評価するために、T25FWおよび2MWT試験が用いられた。
〔バーグバランススケール(BBS)〕
実施例1、節6.1.7(a)、国際出願時の段落00128に記載のプロトコルを用いて歩行およびバランスを評価するために、BBS試験が用いられた。
(b)研究手順
この実施例の研究手順は、実施例1、節6.1.7(b)のものと同じであった。
〔6.2.7 統計〕
この研究データの分析に用いられた統計方法は、実施例1、節6.1.8のものと同じであった。
(a)統計的検出力およびサンプルサイズ
さらなる研究の設計に役立つ適切なパラメータ評価を提供するために、20人の被験者が、この研究に登録された。
(b)ベースライン人口統計の特徴および病歴
合計20人の被験者がこの研究に登録された。この研究の被験者の傾向を表4に示す。この研究の被験者のベースライン人口統計の特徴および病歴(研究登録の前のダルファンプリジン−ER 10mgの使用を含む。)を表4および表5に示す。
Figure 2015509934
Figure 2015509934
Figure 2015509934
(c)効力の分析
〔第1の一次効力端点〕
第1の端点は、各被験者の歩行を評価する集成値であった。総合の歩行集成値は、NeuroCom SMARTシステムからの試験のうちの3つからの集成値において断定された:渡り歩き、タンデム歩行、およびステップ/クイックターン。
〔第2の一次効力端点〕
第2の端点は、各被験者のバランスを評価する集成値であった。総合のバランス集成値は、NeuroCom SMARTシステムからの試験のうちの異なる3つからの集成値において断定された:感覚器官試験、適合試験、安定性限界。
〔NeuroCom SMARTシステム試験を用いる歩行およびバランスのスコアの計算〕
3つの各NeuroCom SMARTシステム試験からのZスコアに基づいて、総合の歩行およびバランス集成値が計算された。歩行のZスコアは、3つの構成要素のZスコアの平均を取ることによって計算された。バランスのZスコアは、その計算において、3つの構成要素のZスコアに対する異なる重みを用いた(感覚器官試験に対して50%、適合試験に対して20%、安定性限界に対して30%)。歩行結果が有意だった場合のみ、バランス構成要素からの個々のZスコアに基づいて、バランスの変化が評価された。その後、標準正規分布を用いて、歩行およびバランスのZスコアが、百分位数スコアに変形された。したがって、歩行およびバランスのZスコアがそれぞれ、0から100までのスケールに変形された。歩行およびバランスへの治療効果と期間効果とを比較するための一次分析方法は、変動の混合モデル分析(ANOVA)であった。
〔さらなる効力端点〕
研究中に収集されたさらなる効力測定は、バーグバランススケール(BBS)、2分歩行試験(2MWT)、計時25フィート歩行(T25FW)であった。
〔6.2.8 効力結果〕
〔6.2.8.1 NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いた効力結果〕
(a)総合の治療比較
総合の治療比較の結果(全ての治療有りの研究訪問を通してダルファンプリジン−ERを溜める)を、表7に要約する。被験者は、治療無しのときよりも、ダルファンプリジン−ERで治療されたほうが、総合の歩行が有意に良好であった(p=0.015)。平均して、被験者は、治療有りのほうが、ほぼ4ポイント分、良好なスコアであった。他の端点の結果である、総合のバランスは、投薬有り期間と投薬無し期間との間で総合のバランススコアの有意な差異がなかったため、治療に関し、この研究では有意でなかった。
Figure 2015509934
(b)研究期間治療比較
研究期間による総合の歩行およびバランスの集成値の治療比較の結果を、表8に要約する。総合の歩行については、被験者は、治療無しの期間2のときよりも、治療有りの期間3のほうが、有意に良好であり(p=0.032)、また、治療無しの期間2のときよりも、治療有りの期間1のほうが、数的に(しかし有意ではない)良好であった(p=0.124)。治療有りの期間での被験者については有意な差異はなかった(期間1対期間3、p=0.380)。
総合のバランスについては、被験者は、期間2(治療無し)のときよりも、期間3(治療有り)のほうが、有意に良好であった(p=0.029)。被験者は、期間1(治療有り)のときよりも、期間3(治療有り)のほうが、有意に良好であり(p<0.001)、また、被験者は、期間1(治療有り)のときよりも、期間2(治療無し)のほうが、数的に(しかし有意ではない)良好であった(p=0.114)。演繹的に規定された反復測定分析は、期間1から期間2まで期間3までバランスのスコアの進行的な増加を示した。
Figure 2015509934
〔6.2.8.2 バーグバランススケール(BBS)、2分歩行試験(2MWT)および計時25フィート歩行(T25FW)を用いた効力結果〕
(a)総合の治療比較
総合の治療比較の結果(全ての治療有り研究訪問にわたってダルファンプリジン−ERを溜める)を表9に要約する。治療無しのときよりも、ダルファンプリジン−ERでの治療のほうが、3つ全ての測定で被験者の能力は有意に良好であった(BBS:p=0.003,2MWT:p=0.006,T25FW:p<0.001)。BBSのトータルスコアについては、被験者は、平均で、治療した場合は1.7スコアだけ高かった。2MWTについては、被験者は、平均で、ダルファンプリジン−ERを服用した場合は7.73メートルだけ歩行トータル距離が長かった。最後に、T25FWについては、被験者は、治療した場合は歩行が0.36フィート/秒だけ速かった。
Figure 2015509934
(b)研究期間治療比較
研究期間による、BBS、2MWTおよびT25FWの治療比較の結果を表10に要約する。期間2(治療無し)と比べて、期間1(治療有り)のときは、被験者の能力は、治療有りのときに3つ全ての試験で有意に良好であった。同様に、期間2(治療無し)と比べて、期間3(治療有り)のときは、被験者の能力は、治療有りのときに3つ全ての試験で有意に良好であった。治療有り期間(期間1対期間3)では、被験者の能力には有意な差異は無かったが、期間1対期間3のスコアに数的な差異はあった。
Figure 2015509934
〔6.2.9 安全性結果〕
トータル6人(30%)の被験者がこの研究で少なくとも1つの不利事象を報告した:期間1で1人(5%)、期間2で5人(25%)。転倒が、1人より多い被験者で報告された唯一の不利事象であった(2人の被験者)。研究中止となるような不利事象はなく、また、研究中に登録された被験者の間で報告された深刻な不利事象は無かった。
〔6.2.10 結論〕
ダルファンプリジン−ERは、歩行に対し、正の、有意な効果を示した。示した時間におけるバランスの観察された改善傾向は、薬理効果に加えて、以前報告されたNeuroCom SMART Balance Master(登録商標)の学習効果を反映しているといえる。被験者の能力は、投薬無しよりも、投薬有りのときに、T25FW、2MWTおよびBBSにおいて有意に良好であった。
〔6.3 実施例3: 実施例2で示した多発性硬化症(MS)の患者での歩行およびバランスのパラメータに対するダルファンプリジンの効果を評価する研究の詳細な説明〕
この実施例は、実施例2で示した研究の実験設計をより詳細に説明する。
〔6.3.1 略語のリスト〕
この研究プロトコルで用いられる略語および専門用語を以下に示す(表11)。
Figure 2015509934
〔6.3.2 研究の目的〕
この信号検出研究の第1の目的は、規則的な臨床ケアの一部としてのスクリーニング訪問の前に少なくとも2週間一貫して薬剤を受けている被験者であって、研究に入る前の投薬無しと投薬有りとの評価の間でT25FWが改善したと規定される、治療に基づく改善者と考えられる被験者において、ダルファンプリジン−ER 10mg(すなわち4−アミノピリジン 10mgの徐放性処方)の中止後にて、多重の歩行およびバランスのパラメータについてと同様、総合の歩行について、変化を判断することであった。
歩行およびバランスのパラメータは、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)を用いて、以下の試験を含めて測定された:ステップ幅、ステップ長さ、速度およびステップ長さ対称性を測定する渡り歩き試験(WA);平均の重心揺動速度を測定する片側のみ姿勢試験(US);ステップ幅、速度および端部揺動を測定するタンデム歩行試験(TW);回転時間および/または回転揺動を測定するステップ/クイックターン試験(SQT);感覚器官試験(SOT)(目を開けて固定表面、目を閉じて固定表面、目を開けて壁移動、目を開けて表面移動、目を閉じて表面移動、目を開けて表面および壁移動);回転障害中の、平均の、生の揺動および力の中心を測定する適合(ADT)試験;および、反応時間、移動速度、端点軌跡、最大軌跡および方向制御を測定する安定性限界試験(LOS)。
この研究の第2の目的は、ダルファンプリジン−ER中止後にバーグバランススケール(BBS)、2分歩行試験(2MWT)および計時25フィート歩行試験(T25FW)の変化を評価することである。
〔6.3.3 治験計画〕
〔6.3.3.1 総合の研究設計および計画: 詳細〕
これは、ダルファンプリジン−ERでの治療に対して変数者であるMSと診断された被験者で歩行と体位バランスのパラメータについてダルファンプリジン−ERの中止の効果を評価する、シングルセンターで、オープンラベルの、信号検出研究である。
治療スケジュールを図2に示す。研究は、3つの期間から成る:7日間の投薬有りスクリーニングフェーズ、10日間の投薬無しフェーズ、第2の4日間の投薬有りフェーズ。より詳細には、評価スケジュール(表12)を参照されたい。
この研究では、約20人の被験者が登録された。
この研究では、暫定的分析は計画されない。
Figure 2015509934
〔6.6.6.2 コントロールグループの選択を含め、研究設計の議論〕
全ての被験者は、書面によるインフォームドコンセントを提供し、その後、研究に含まれるまたは研究から除外されるよりも前に彼らのMSの主治医によって評価された。Godin余暇運動質問表、身体検査、およびバイタルサイン測定に基づいて、病歴の再検討、過去の週における身体活動レベルの量によって、スクリーニング((−7)日目、訪問1)のときに適格性が判断された。もし被験者がスクリーニングのときに適格であれば、被験者は研究に含まれて、以下の試験が投与された:NeuroCom試験、BBS、2MWTおよびT25FW。
被験者は、1日目(訪問2)にMSセンターに戻り、安全性と耐性の評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FWを受けた。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取った。被験者は、ダルファンプリジン−ERの服用を止めるよう指示され、安全性勧告がなされた。訪問1および2は期間1に対応し、これは、統計目的のための第1の投薬有り期間と規定された。
5日目(訪問3)に、被験者は、安全性と耐性の評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FWを受けた。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取った。
11日目(訪問4)に、被験者は、安全性と耐性の評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWTおよびT25FWを受けた。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取った。安全性と耐性の評価が完了すると、被験者は、ダルファンプリジン−ERの再スタートを指示された。訪問3および4は期間2に対応し、これは、統計目的のための投薬無し期間と規定される。
最終の訪問(15日目(訪問5)に、被験者は、安全性と耐性の評価、NeuroComの歩行およびバランス試験、BBS、2MWT、T25FWおよび最終の状態評価を受けた。ダルファンプリジン濃度を判断するために血液サンプルを取り、被験者は研究の参加が終わった。訪問5は期間3に対応し、これは、統計目的のための第2の投薬有り期間と規定される。
研究に参加するための要件ではないが、幾人かの被験者は、訪問2,3および4のT25FW評価中に動画記録される。もし被験者が動画記録について自発的であれば、追加の署名入りの同意書面が得られた。
〔6.3.3.3 被験者の選択と中止〕
〔6.3.3.3.1 包含判断基準〕
研究の包含として、被験者は、以下の判断基準を満たさねばならなかった:
・ 多発性硬化症の診断
・ 男性または女性、18歳以上70歳以下
・ スクリーニング訪問の前に少なくとも2週間一貫してダルファンプリジン−ERを受けている被験者であって、研究に入る前の投薬無しと投薬有りとの評価の間でT25FWが改善したと規定される、治療に基づく改善者と考えられる被験者
・ 被験者は、Cockcroft-Gault方程式を用いて評価すると中程度または重度の腎臓障害(CrCl>50mL/分)が無い
・ 単純な熱性の発作を除いて、発作歴を持たない
・ スクリーニングの4週間以内に尿路感染症が無い
・ 疾患修飾療法(DMT)または他の対症療法を含めて、いずれの併用薬剤についても、参加者は、スクリーニング前の4週間は安定な処方計画でなければならない。
〔6.3.3.3.2 除外判断基準〕
以下のいずれもが、研究からの除外判断基準)とみなされた:
・ 上記判断基準のうちのいずれかでも満たさない
・ 外科的に不妊でなく、閉経後2年未満でなく、有効な出産制御方法を用いていない、出産可能な、性交経験のある女性
・ 評価者によって確認および立証された、妊娠しているまたは母乳で育てている被験者。
〔6.3.3.3.3 療法または評価からの被験者の中止〕
被験者に、医療ケアの損害無しに、いつでもどんな理由でも、研究から中止する権利があることを通知した。評価者はまた、以下の理由のいずれでも、研究から被験者を中止する権利を有した:
・ 被験者が不利事象を経験する
・ 妊娠
・ 被験者がプロトコルに準拠しない
・ 被験者が追跡検査に対し行方不明
・ 評価者の判断であって、被験者がもはや適格性の判断基準を満たさず、評価者の判断で、これは有意な程度にまで臨床状態の評価に影響を及ぼすものを含む
・ 上述していない他の理由。
〔6.3.3.4 治療〕
〔6.3.3.4.1 投与された治療〕
被験者は、(−7)日目(訪問1)の少なくとも2週間前と、7日間のスクリーニング期間とに、ダルファンプリジン−ER錠、10mgを、1日2回、投与され;1日目(訪問2)に10日間、ダルファンプリジン−ERから中止され、11日目(訪問4)に再スタートし、最後に、必要な評価が行われた。
〔6.3.3.4.2 治験製品の確認〕
処方箋によって、被験者は、市販の薬剤(AMPYRA(登録商標)、60錠のNDC 10144−427−60瓶)を入手した。この研究での治験製品は市販の薬剤であった。この薬剤は錠剤の形式で、フィルムコーティングされ、持続型薬剤であり、強度は10mgであった。
〔6.3.3.4.3 治療グループへの患者の指定方法〕
これは、(−7)日目ないし(−1)日目および11日目ないし15日目に、全ての被験者がダルファンプリジン−ER錠、10mgを、1日2回投与される、オープンラベル研究であった。
〔6.3.3.4.4 研究における用量の選択〕
ダルファンプリジン−ER錠、10mg、1日2回。
〔6.3.3.4.5 各患者に対する用量の選択と時期〕
スクリーニング時((−7)日目ないし(−1)日目)に、被験者は、ダルファンプリジン−ER錠、10mgを、ほぼ12時間おきに1日2回投与された。被験者は、1日目(訪問2)にダルファンプリジン−ERから中止され、11日目ないし15日目ダルファンプリジン−ERを再スタートした。
〔6.3.3.4.6 盲式〕
これはオープンラベル研究であった。
〔6.3.3.4.7 事前併用療法〕
併用の薬剤と療法とは、訪問ごとに再検討された。
〔6.3.3.4.8 治療準拠〕
被験者は、研究の参加中に投薬量記録を完了し、研究スケジュールに沿って治験製品が服用されたことを保証した。さらに、治療準拠は、ダルファンプリジン血漿濃度を測定することによって確認された。
〔6.3.3.5 効力および安全性変数〕
表12に示す時刻に、以下の効力および安全性の測定が収集された。
〔6.3.3.5.1 効力測定〕
〔計時25フィート歩行試験:〕
T25FW試験は、定量的データを提供する歩行機能の測定であり、MS集団で広く用いられる。もし必要ならば、被験者は、25フィート(7.62メートル)コースで端から端までできるだけ速く歩行する間、規則通りに用いられる補助機器(杖、松葉杖または車輪付き歩行器)を用いた。車輪無し歩行器は一般には用いるべきでないとされた。この試験は、はっきりと印の付いたコースで行われ、毎回のT25FW試験ごとに用いられた。
この試験のために、個人は、スタートラインで、靴のつま先を印の付いた点に合わせ、足がスタートラインを超えたら、ストップウォッチを使って時間計測を始めた。時間計測は、最初の足が25フィートラインを超えたときに終了した。時間は秒単位で記録され、もし妥当であれば、最も近い0.1秒単位に秒を丸めた。試行間の休憩は最大5分間とし、その後、被験者は同じ距離を再度歩いた。
T25FWは、訪問1,2,3,4,5で一度行われた。
被験者は、自発的に、T25FW評価中に動画記録されることができた。しかしながら、動画記録は研究に参加するための要件ではない。T25FWの動画記録は、訪問2,3,4で行われた。もし被験者が動画記録について自発的であれば、追加の署名入りの同意書面が得られた。一貫した遠近感と角度を保証するために固定カメラ台を用いて動画の撮影画面を捕捉した。被験者が確認できないように、動画の撮影画面の生データを加工した。これは、視覚効果のソフトウェアプログラムであるAdobe(登録商標)After Effects(登録商標)を用いて行われ、顔や、被験者の個人を区別できる特徴をたどって、区分の全長にわたって曖昧にした。最終的な動画は、被験者番号、研究フェーズおよびT25FWの経過時間を含めて、区分ごとに表題の画像を含んだ。この動画記録は、評価者によって観られ、投薬無しと投薬有りとの間の変化の定量的な評価を提供した。
〔2分歩行試験〕
被験者は、補助無しで2分間歩き、距離を測定し、ストップウォッチを使って時間を計測する。2分間の歩行でカバーされた距離をメートル単位で測定した。口頭で開始と終了が確認された。補助機器は用いることもできるが、身体的な補助は許可されないこととした。補助機器を用いる場合は、全ての試験で同じ機器を用いた。
2MWTは、訪問1,2,3,4,5で一度行われた。
〔バーグバランススケール〕
BBSは、臨床場面において年配集団でバランスを測定するように特に設計された14項目のスケールであるが(Berg et al., 1989; Physiother Canada 41:304-311; Tinetti, 1986, J Amer Geriatrics Society 34(2):119-126)、体位バランスを評価するために卒中および外傷脳負傷を有する集団に用いられている(Berg et al., 1989; Berg et al., 1995; Scand J Rehab Med 27(1):27-36; Newstead et al., 2005, J Neurol Phys Ther 29(1):18-23)。BBSは、被験者が、座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、または回転、する能力を評価する。スコア付けは、0(課題を行えない)から4(課題を普通に行う)までランク付けされる。この試験は、良好な妥当性と信頼性で、転倒について良好な予測を与えることが報告されている(Berg et al., 1992, Arch Phys Med Rehab 73(11):1073-1080; Berg et al., 1992, Can J Pub Health 83 (suppl 2):S7-11; Bogle Thorbahn, 1996, Phys Ther 76(6):576-583; Creel et al., 2001, Phys Ther 81(2):789-798; Shumway-Cook et al., 1997, Phys Ther 77(8):812-819)。可能な最大スコアは56点であり、最小スコアは0であり、45点またはそれ未満は、転倒の危険性が高い(RiddleおよびStratford, 1999, Phys Ther 79(10):939-948)。
BBSは、訪問1,2,3,4,5で一度行われた。
〔NeuroCom SMART Balance Master(登録商標):〕
SMART Balance Master(登録商標)は、安定または不安定な支持材表面上で、安定なまたは動的な視覚環境にて視覚フィードバックを有するバランスの感覚および自発的モータ制御の客観的評価と再教育を提供する装置である(Balance and Mobility Services/NeuroCom(登録商標), a division of Natus(登録商標); NeuroCom Products for Balance and Mobility; Balance Master(登録商標) Family; SMART Balance Master(登録商標)のウェブページを参照されたい)。このシステムは、被験者の足によって生まれる垂直な力を測定するための回転能力を持った動的な18インチ×18インチの二重力板と、移動可能な視覚的周囲物とを用いる。
NeuroComを用いて測定された歩行およびバランス変数は以下の通りである。
片側のみ姿勢(US): USは、目を開けて、および目を閉じて、力板の上に、片足(右または左)で被験者が静かに立ち、体位揺動速度を定量化する。揺動が比較的無い場合は「安定性」であり、すなわち、指示が「静止」のとき、揺動が大きいほど安定性が小さいことを示し、揺動が小さいほど安定性が大きいことを示す。試験の指示者からの口頭の指示で、被験者は、右足または左足を持ち上げ、目を閉じてまたは目を開けて、10秒間できるだけ安定して立つよう努力する。この試験は4つの条件から成り、それぞれは、3つの試行から成り、通常、以下の順である:
・ (目を開けて)左
・ (目を開けて)右
・ (目を閉じて)左
・ (目を閉じて)右。
渡り歩き(WA): WAは、被験者が力板の長さを渡り歩きするときの歩行の特徴を定量化する。このテストは、被験者に力板より十分下がってもらって、力板を越え続けることによって、定常状態の歩行を特徴付ける。力板の長さのせいで、このテストは、5フィート(152cm)より歩幅の長い、非常に壮健な個人には適さない。この試験では、以下の変数が測定される:
・ ステップ幅 ― 連続ステップで左足と右足との間のcm単位での横方向距離
・ ステップ長さ ― 連続ステップで連続踵打ち間のcm単位での縦方向距離
・ 速度 ― 前進の毎秒のcm単位での速さ
・ ステップ長さ対称性 ― 右と左のステップ長さの比較であり、合計歩幅(右長さと左長さ)のパーセンテージで表される。
タンデム歩行(TW): TWは、被験者が力板の端から端までを踵からつま先へと歩くときの歩行の特徴を定量化する。測定された変数は、ステップ幅、速度、および端点揺動速度であった。
ステップ/クイックターン(SQT): SQTは、個人が2ステップ前進して素早く180°回転して開始点に戻るときの特徴的な回転動作を定量化する。測定された変数は、回転にかかる時間、および、回転実行中の揺動速度(回転時間および回転揺動)であった。
感覚器官試験(SOT): SOTのスコア付けは、正常な個人が、バランスを失わずに、ほぼ12.5°の合計範囲で、前方から後方まで揺動を示すことができるとの仮定に基づいていた。各試行の平衡スコアは、被験者の最大の前方から後方までのCOG移動と、この理論的最大移動との間の角度差を比較することによって計算された。結果は、0と100との間の逆パーセンテージで表された。0に近づくスコアは、安定性限界に近づく揺動振幅を示し、値100は、完全な安定性を示した。0スコアは、その試行で被験者が「転倒した」ことを示した。被験者の自発的限界または「安定性の錐体」が制限されれば、小さな程度の揺動でも利用可能な安定性限界を超えてしまい、試験中にバランスを失うかまたは転倒することになった。それゆえ、感覚器官試験(SOT)は、運動能力試験と結合して行って解釈された。平衡スコアの計算の元となる生データは、振幅、周波数、方向、被験者揺動の規則性について重要な情報をも含んでおり、それに応じて再検討された。測定された変数は、目を開けて固定表面、目を閉じて固定表面、目を開けて壁移動、目を開けて表面移動、目を閉じて表面移動、目を開けて表面および壁移動であった。
適合試験(ADT): ADTは、表面の不規則性や支持材表面傾斜の予想外の変化に曝されたときに揺動を最小化する被験者の能力を評価する。つま先上げ方向またはつま先下げ方向のプラットフォーム回転の連続が、自動的な運動反応を導出する。各プラットフォーム回転試行に対し、揺動エネルギースコアは、誘導された体位不安定を克服するのに必要な力反応の大きさを定量化する。予期しないつま先上げ方向またはつま先下げ方向の回転は、被験者のバランスを不安定化する傾向のある自動的な運動反応を導出する。最初の(予想外の)試行中、最初の破壊的反応は、反対の筋肉での二次反応によって修正される。その後の各試行で、最初の反応は、減衰し、二次反応が強くなり、総合の揺動を減少させる。測定された変数は、回転障害中の、平均の、生の揺動および/または力の中心であった。
安定性限界試験(LOS): LOSは、人が、自身の重心(COG)を故意に移すこと、すなわち、バランスを失ったり補助のための段を付けたり補助のために手を伸ばしたりせずに、所定の方向に自分の身体を傾けること、ができる最大距離を定量化する。8つの各移行について、被験者は、中央の目標に対し、COG位置のカーソル表示によって示される支持材ベース上で、COGを中央に維持した。指令があると、被験者は、できるだけ速くかつ正確に、COGカーソルを、LOSの周囲(安定性限界の100%)に配置された第2の目標のほうへ移動させ、その後、できるだけ目標に近い位置を保持した。被験者は、各試行を完了するのに8秒まで許可された。反応時間は、移動指令と、被験者の第1の移動との間の秒単位の時間である。移動速度は、1秒当たりの度数で表されるCOG移動の平均速度である。端点軌跡は、最大LOS距離のパーセンテージで表される、示された目標のほうへの第1の移動の距離である。端点は、目標のほうへの最初の移動が終わる点とみなされる。最大軌跡は、試行中に達した最大距離である。方向制御は、意図した方向(目標に近づく方向)への移動量と、無関係な方向(目標から離れる方向)への移動量と、の比較である。
SMART Balance Master試験は、訪問1,2,3,4,5で一度行われた。
〔6.3.3.5.2 安全性測定〕
不利事象(AE)は、訪問ごとに評価された。不利事象は、深刻な不利事象(SAE)を含め、CRFに記録された。全てのAEは、それが解決するまで、または、被験者が研究を完了するまたは中止するまでのうち、最初に行ったほうのときまで、監視された。
血圧、脈拍、呼吸数および温度が、訪問ごとに収集された。身長および体重がスクリーニング訪問ごとに収集された。バイタルサイン測定の前に、被験者は、5分間、仰臥位置で休憩した。
完全な身体検査が、スクリーニングのときに行われ、その後、簡単な身体検査が、研究の残りの訪問のときに行われた。
併用薬剤および療法が、訪問ごとに記録された。
〔6.3.3.5.3 測定の適切さ〕
NeuroComシステムは、効力評価(歩行およびバランス)を測定するのに用いられ、十分立証された道具である(Balance and Mobility Services/NeuroCom(登録商標), a division of Natus(登録商標); NeuroCom Products for Balance and Mobility; Balance Master(登録商標) Family; SMART Balance Master(登録商標)のウェブページを参照されたい)。歩行およびバランスは、感覚入力、中央感覚統合および適切な運動反応を統合する複合メカニズムの結果である。これらの機能のどれかでも異常があれば、移動性および安全性に負の影響を与える。NeuroComシステムは、特定のシステムおよび/または機能的制限の障害の客観的確認を可能にする。異なった評価プロトコルを用いることができる。この研究のために、通常の日常の活動をよりよく表すプロトコルが選択された。したがって、定常状態歩行、方向変化、表面不規則性への適合、背伸び、および感覚入力の統合、を表す評価が選択された。
〔6.3.3.5.4 一次効力変数〕
一次効力は、2つの共同一次(co-primary)効力変数に基づいて判断された: 中止と比べて、ダルファンプリジン−ERを服用したときの、歩行の集成値、および、バランスの集成値。歩行およびバランスの変数は、NeuroComを用いて、以下の試験を含めて測定された: WA,TW,SQT,SOT,ADT,およびLOS。
〔6.3.3.5.5 薬剤濃度測定〕
ダルファンプリジン濃度の分析のために訪問2,3,4,5で被験者から血液サンプルを取った。分析は、CovanceのSOPと有効な方法に沿って、Covance Analytical Laboratories (ウイスコンシン)によって行われた。サンプルは、元々、単独で分析された。少なくとも、各バッチは、校正範囲内の3つの濃度で、校正曲線、マトリクスブランク、コントロールゼロ(マトリクスブランクは、内部標準を含む。)、試薬ブランク、二重の品質管理(QC)サンプルを含んだ。サンプルは、バッチ内で、校正標準とQCサンプルに散在した。希釈QCサンプルは、分析前にサンプルが希釈されたバッチにも含まれた。研究サンプルは、もし値が曲線範囲を超えた場合には再分析された。全ての結果は、CovanceのSOPに沿って報告された。
〔6.3.3.6 プロトコルにて計画された統計的方法、およびサンプルサイズの判断〕
〔6.3.3.6.1 統計的および分析的計画〕
全ての計算は、SAS(登録商標)バージョン9以上を用いて行われた。得られるp値が0.05未満であれば、統計的に有意な治療の差異が認定された。全ての試験は両側検定であった。暫定的分析は計画されなかった。
〔6.3.3.6.2 サンプルサイズの判断〕
さらなる研究の設計に役立つ適切なパラメータ評価を提供するために、20人の被験者のサンプルサイズが選択された。
〔6.3.3.6.3 分析集団〕
異なるセットの被験者を確認するために、以下の規定が用いられた:
・ 完全分析集団(FAP)は、一次効力分析の基準であり、投薬有りおよび投薬無しの両方の期間において、少なくとも1つのベースライン(訪問1または訪問2)および1つのポストベースライン(訪問3または訪問4)評価を有する全ての被験者を含んでいた;
・ 研究に入る全ての被験者は、ダルファンプリジンを服用しているので、安全性集団は、訪問1での研究において登録される全ての被験者を含んでいた。
〔6.3.3.6.4 人口統計および背景の変数〕
記述統計学を用いて、人口統計、疾患の背景、およびベースラインのデータが要約された。他のベースライン変数は、スクリーニングのときに、以下の評価を含む:病歴、併用薬剤および療法、身体検査、身長および体重を含むバイタルサイン。連続的な変数については、記述統計学は、平均、平均の標準誤差、標準偏差、中央値、最小値および最大値を含む。カテゴリー的な変数については、記述統計学は、各カテゴリーに入る被験者の数とパーセンテージを含む。
〔6.3.3.6.5 効力の分析〕
〔一次効力端点:〕
この研究の2つの一次端点は、ステップダウン手順で試験され、投薬有り期間対投薬無し期間の比較に基づいた。第1の端点は、各被験者の歩行を評価する集成値であった。歩行集成値は、NeuroComシステムからの試験のうちの3つからの集成値において断定された:WA、TWおよびSQT。第2の端点は、各被験者のバランスを評価する集成値であった。バランス集成値は、NeuroComシステムからの試験のうちの異なる3つからの集成値において断定された:SOT、ADTおよびLOS。歩行およびバランスの集成値はいずれも、これまでに文献に記載されていない端点である。これらの端点は、歩行およびバランスを評価するための単一の測定を生成するために展開された。
各NeuroComシステム試験からのZスコアに基づいて、総合の歩行およびバランス集成値が計算された。歩行のZスコアは、3つの構成要素のZスコアの平均を取ることによって計算された。バランスのZスコアは、3つの構成要素のZスコアの重み付けされた平均として計算された(SOTに対して50%、ADTに対して20%、LOSに対して30%)。したがって、歩行およびバランスのZスコアがそれぞれ、0から100までのスケールに変形された。
〔二次効力変数:〕
この研究では多くの二次効力変数が検査された。
歩行およびバランスを測定するための個々のNeuroCom副構成要素スコア。NeuroComシステムからの各試験の以下の個々の副構成要素が、一次および二次効力変数と同様にして個々に分析された:WA,US,TW,SQT,SOT,ADTおよびLOS。
歩行およびバランスの他の測定。歩行およびバランスの3つのさらなる測定が、一次および二次効力変数と同様にして個々に分析された:BBS(バランス),2MWT(歩行)およびT25FW(歩行)。
さらなる標準化されたNeuroComスコア。3つのさらなる効力変数が、NeuroComシステムからの標準化されたデータにて断定される被験者内基準で生成された。全ての変数(WA、US、TW、SQT、SOT、ADTおよびLOS)は、以下の3つの二次効力変数の計算に含まれることについて適格であった:
1. 全ての7つのNeuroCom試験の標準化されたデータからの集成値(感受性)
2. ベースラインにおいて正常に最も近かった試験(「最良」)
3. ベースラインにおいて正常から最も逸脱した試験(「最悪」)。
〔分析方法:〕
各効力変数(NeuroCom集成値および個々の試験スコア;BBS、2MWTおよびT25FWスコア)は4タイプの分析に付された:
・ 各時点での記述統計学(訪問1/(−7)日目、訪問2/1日目、訪問3/5日目、訪問4/11日目、訪問5/15日目)、これは、サンプルサイズ(n)、平均、標準誤差、標準偏差(SD)、中央値、最小値および最大値、および、95%信頼区間を含む。記述統計学は、治療比較のために個別にも生成された(期間1対期間2(中止)、期間2対期間3(再開)、期間1対期間3(両方とも投薬有り期間));
・ ダルファンプリジン−ERを用いた変動の混合モデル分析(ANOVA)(ダルファンプリジン−ER投薬有り期間1および3対期間2のダルファンプリジン−ER中止);これは、一次統計的分析であった。各カテゴリーで、ダルファンプリジン−ER投薬有りとダルファンプリジン−ER中止との間の違いについて、結果の要約は、最小二乗平均、標準誤差、最小二乗平均に対する95%信頼区間、最小二乗平均の差異を比較するp値を含む;
・ 研究期間による混合モデル(ANOVA)。各期間について(期間1 ― ダルファンプリジン−ER、期間2 ― ダルファンプリジン−ER中止、期間3 ― ダルファンプリジン−ER再開)、および、各期間間の差異について(期間1 ― 期間2、期間1 ― 期間3、期間2 ― 期間3)、結果の要約は、最小二乗平均、標準誤差、最小二乗平均に対する95%信頼区間、最小二乗平均の差異を比較するp値を含む。さらに、要約は、多重比較について調整された最小二乗平均の差異に対するp値および信頼区間を含む;
・ ベースライン(訪問1および2の平均)を訪問4および5と比較し、訪問4を訪問5と比較するペアt−試験。ペアt−試験からのp値は、サンプルサイズ(n)、平均、標準誤差、標準偏差(SD)、中央値、最小値および最大値、および、95%信頼区間と同様に表示される。
0.05より小さいp値は、この研究集団での効力の証拠を提供すると判断された。効力分析はFAPで行った。多重度の調整は、節6.3.5.4.4「多重比較または多重度」で述べる。調整は、2つの共同一次効力変数を試験するステップダウン手順を含んでいた。もし期間1および3対期間2からの総合の歩行(すなわち総合の治療比較)に対するp値が0.05より小さければ、バランスに対する総合のスコアは同様のやり方で試験することができた。しかしながら、もし歩行の総合のスコア対するp値が0.05で有意でなければ、試験手順は停止するとした。
効力変数のさらなる分析は以下のものを含んでいた:
・ もし、直線性の仮定が満たされ、(例えばSpearmanの)ノンパラメトリックな方法は仮定が満たされなければ、NeuroComシステム変数(総合の歩行、バランスおよび個々のサブスケール)の個々のサブスケール間の相関および他の臨床的効力測定(BBS、2MWTおよびT25FW)が、Pearsonの相関係数を用いて評価された。相関が0とは有意に異なっているかを試験し、p値が、情報目的で表示され、多重度の調整はされなかった;
・ 変化についての評価者の定量的評価の分析が、以下の比較に対する各変化カテゴリーについて被験者の個数およびパーセンテージとして要約される:訪問2対訪問3、訪問3対訪問4、および訪問2対訪問4。
〔6.3.3.6.6 安全性評価〕
第1に、AEデータと、バイタルサインのベースラインからの変化とを再検討することによって、安全性および耐性が評価された。
不利事象。全てのAEは、Medical Dictionary of Regulatory Activities (MedDRA)のバージョン14.0を用いて符号化され、MedDRA system organ class (SOC)および好ましい用語によって分類された。AEの全ての要約は、治療緊急AE(TEAE)に基づいた。TEAEは、スクリーニング訪問(訪問1)のときまたはそれより後に時点に発生し、期間3で服用される治験製品の最終投与後30日間発生している、開始(または悪化)の日付を有するAEとして規定された。治療緊急深刻不利事象(TESAE)は、スクリーニング訪問(訪問1)のときまたはそれより後に時点に発生し、期間3で服用される治験製品の最終投与後30日間発生している、開始(または悪化)の日付を有するSAEとして規定された。
他の安全性および耐性の変数。バイタルサインを含む他の安全性および耐性の変数が、訪問によって要約された。もし適用可能ならば、ベースラインからの変化について記述統計学が計算された。ベースラインのバイタルサインは、研究薬剤の中止の前の最終の評価として規定された。もし被験者が訪問2で収集されたバイタルサインを持っていなければ、被験者のベースラインは、訪問1で収集されたバイタルサインを用いて転嫁された。臨床的に有意な変化がカウントされ、表にされた。
不利事象と他の安全性変数が、事象の時点で治療(ダルファンプリジン−ERまたは投薬無し)によって要約された。
〔6.3.4 研究患者〕
〔6.3.4.1 患者の傾向〕
1つのセンターで、トータル20人の被験者が研究に登録された。全部で20人の被験者が研究を完了した。研究被験者の傾向を表13に示す。
Figure 2015509934
〔6.3.4.2 プロトコルの逸脱〕
全てのプロトコルの逸脱が再検討され、PPP分析(すなわち、主要プロトコル違反無しに全ての訪問を完了した全てのFAP被験者から成るFAPの副集団)を保証するのに十分重度と判断されたものは無かった。全ての被験者は、体格包含判断基準から適格性免除を受けた。スケジューリングや輸送衝突により、研究訪問のいくつかがプロトコルに規定されたウインドウから出た被験者は免除された。USまたはTWの評価ができなかった5人の被験者と、1つの訪問でSQTを失敗した1人の被験者にプロトコルからの逸脱が許可された。
〔6.3.5 効力評価〕
〔6.3.5.1 分析されたデータセット〕
この研究の分析集団は、安全性集団とFAPを含んでいた。安全性集団は、訪問1においてこの研究に登録された全ての被験者を含んでいた。FAPは、投薬有りと投薬無しの両期間で少なくとも1つのベースライン(訪問1または訪問2)と1つのポストベースライン(訪問3または訪問4)の評価をした全ての被験者を含んでいた。
分析されたデータセットを表14に要約した。全ての分析には、全部で20人の登録された被験者が含まれた。
Figure 2015509934
〔6.3.5.2 人口統計および他のベースラインの特徴〕
研究被験者の研究登録の前のダルファンプリジン−ERの10mg使用を含めて、ベースラインの人口統計の特徴と病歴とを表15と表16にそれぞれ示す。被験者の60%が女性で、90%が白人で、平均年齢が53歳だった。平均して、被験者は、研究登録の前にほぼ1年間ダルファンプリジン−ERを服用していた。
Figure 2015509934
Figure 2015509934
もっとも一般的な病歴事象を表17に示す。
Figure 2015509934
自己報告による身体活動のベースライン量を立証するのに加えて、中程度活動および激しい活動には健康貢献という意味がある。4項目のGodin余暇運動質問表を用いて、研究被験者のベースライン身体活動レベルが判断され、結果を表18に要約する。平均して、被験者は、1週間に4回軽い運動に参加し、1週間に2回中程度運動に参加し、1週間に1回激しい運動に参加した。全ての被験者が、典型的な週にあるタイプの通常運動計画に参加したが、これは主に軽い運動の形であった。表18では、平均週間レジャー活動スコアが20というのは、いくつかの恩恵を受ける中程度活動的患者グループを反映しているが、彼らの週間レジャー活動からの実質的な恩恵ではない。
Figure 2015509934
研究被験者によって用いられるもっとも一般的な併用薬剤を表19に要約する。これらの薬剤のほとんどが、研究開始の前に始められ、研究中は持続したことに注意すべきである。
Figure 2015509934
〔6.3.5.3. 治療準拠の測定〕
ダルファンプリジン−ERの血漿濃度の要約を表20に訪問にて示す。訪問3および4には被験者はダルファンプリジン−ERを服用せず、全ての被験者は、プロトコルに従って訪問2および5にダルファンプリジン−ERを服用した。
Figure 2015509934
〔6.3.5.4. 個々の被験者データの効力結果と表形式化〕
〔6.3.5.4.1. 一次効力端点〕
2つの一次効力端点の結果を、図3に訪問にて、また表21に統計的に要約する。表21ないし32は、各効力変数に対する結果のハイレベルな要約を提供する。この表の目的は、どの変数が、治療、期間および訪問の比較に対して効力信号を示したかを示すことである。
統計的に、被験者は、治療されなかった場合(期間2(「P2」))よりも、ダルファンプリジン−ERで治療した(期間1(「P1」)および期間3(「P3」))ほうが、総合の歩行で有意に良好であった(p=0.015)。他の端点、総合のバランス、の結果は、治療に関して統計的に有意ではなかった(p=0.434)。
個々の研究期間を比較すると、総合の歩行は、ダルファンプリジン−ER中止中に被験者の歩行に数的に低下を示した(期間1(投薬有り)対期間2(投薬無し))が、この差異は統計的に有意ではなかった。治療が再開されると、総合の歩行について、期間3(投薬有り)と期間2(投薬無し)との間に統計的に有意な差異があった。総合のバランスについては、ダルファンプリジン−ER中止中に被験者のバランスには低下は見られなかった。これに対し、治療が再開されると、バランスについて、統計的に有意な改善があった。
Figure 2015509934
〔6.3.5.4.2 二次研究変数〕
この節では、オリジナルスケールでの各個々のNeuroCom変数を要約する。
〔NeuroCom歩行変数〕
〔渡り歩き(WA)試験〕
WA変数の結果を、図4に訪問にて、また表22に統計的に要約する。
統計的に、被験者は、治療されなかったときよりも、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、ステップ幅、ステップ長さおよび歩行速度の測定で有意に良好であった。しかしながら、平均して、被験者は、期間3でダルファンプリジン−ERの再開でステップ幅が予想したようには減少しなかった(表22の期間3対期間2の結果を参照されたい。)ので、ステップ幅の結論は解釈が困難であることに注意すべきである。ステップ長さ対称性については統計的に顕著な結果は無かった。
Figure 2015509934
〔片側のみ姿勢(US)試験〕
USの結果を、図5に訪問にて、また表23に統計的に要約する。これは不安定性に敏感な測定であるが、これは非特異的であり、被験者の大多数が行うのが困難であったため、US試験は総合の歩行または総合のバランス集成値には含めなかった。17人の被験者だけが、投薬有りおよび投薬無しの測定のうちの少なくとも1つを完了することができた。
統計的に、被験者は、治療されなかったとき(期間2(「P2」))よりも、ダルファンプリジン−ERで治療したほうが、総合の左目開放揺動速度で有意に良好であった。しかしながら、平均して、被験者は、期間3でダルファンプリジン−ERの再開で左目開放揺動速度が予想したようには減少しなかった(表23の期間3対期間2の結果を参照されたい。)ので、左目開放揺動速度の結論は複雑であったことに注意すべきである。US変数の他の全ての結果は統計的に顕著ではないか、評価不能であった。
Figure 2015509934
〔タンデム歩行(「TW」)試験〕
TWの結果を、図6に訪問にて、また表24に統計的に要約する。
TW変数のいずれについても、治療比較の統計的に有意な結果は無かった。しかしながら、期間1で、より速く歩く被験者では、期間3(投薬有り)対期間2(投薬無し)とで歩行速度に統計的に有意な差異があった。しかしながら、平均して、被験者は、投薬無し期間4(図6)で歩行速度が予想したようには減少しなかった(表22の期間3対期間2の結果を参照されたい。)ので、(投薬有り訪問の全てを投薬無し訪問の全てと比較する)歩行速度の総合の結論は解釈が困難であることに注意すべきである。TW変数の残りの結果は統計的に顕著ではなかった。しかしながら、投薬有りで、ステップ幅には正の傾向があった。
Figure 2015509934
〔ステップ/クイックターン(「SQT」)試験〕
SQTの結果を、図7に訪問にて、また表25に統計的に要約する。
被験者は、治療されなかったときと比べて、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、左回転揺動および右回転揺動の結果はどちらも、有意に良好であった。残りのSQT変数(すなわち左回転時間および右回転時間)には統計的に顕著な結果はなかった。
Figure 2015509934
〔NeuroComバランス変数〕
〔感覚器官試験(「SOT」)試験〕
SOT平衡集成値変数の結果を、図8に訪問にて、また表26に統計的に要約する。
被験者は、治療されなかったときに対して、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、平衡集成値に統計的に有意な差異は無かった。この発見は統計的に有意ではないが、被験者は時間ごとに良好に行うように思われた。この研究では、被験者が期間3でダルファンプリジン−ERの使用を再開したとき、より高い平衡集成値を持つ被験者の期間2(投薬無し)で統計的に有意な差異(ほぼ8ポイント)があり、これは、学習効果を超える潜在的薬剤効果を示唆している。これに対して、被験者は、治療されなかったときよりも、第1の投薬有り期間(期間1)中に数的に低いスコアを出した。
Figure 2015509934
〔適合試験(「ADT」)〕
ADT変数の結果を、図9に訪問にて、また表27に統計的に要約する。
被験者は、治療されなかったときに対して、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、つま先上げスコアで統計的に有意な差異があった;しかしながら、この差異は、投薬有りのときの、有意に、より高い、平均のスコアでは、予想外の方向であった。つま先上げスコアの個々の期間を比較すると、投薬有り期間1のスコアは、投薬無し期間2のスコアよりも高かった。この結果は、統計的に有意であった。投薬有り期間3のスコアは、投薬無し期間2のスコアよりも、数的に、ただし有意にではないが、高かった。つま先下げスコアには統計的に有意な発見は無かった。
Figure 2015509934
〔安定性限界試験(「LOS」)〕
LOS変数の結果を、図10に訪問にて、また表28に統計的に要約する。
被験者は、治療されなかったときに対して、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、運動速度集成値で統計的に有意な増加があった。期間2(投薬無し)と比較すると、期間3(投薬有り)では、運動速度集成値の増加で統計的に有意な差異があった。しかしながら、この結果は、期間1(投薬有り)によって混乱させられる;というのは、期間1(投薬有り)は期間2(投薬無し)よりも数的に低かったからである。LOSの他の全ての結果は、統計的に有意でないか、評価不能であった。
Figure 2015509934
〔歩行およびバランスの他の測定〕
NeuroCom変数とそこから得られる集成値とに加えて、3つのさらなる効力変数が収集された:BBS(バランス)、2MWT(歩行)およびT25FW(歩行)。
〔バーグバランススケール〕
BBSの結果を、図11に訪問にて、また表29に統計的に要約する。
統計的に、被験者は、治療されなかったときと比べて、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、BBSで有意に良好であった。期間によるトータルスコアを比較すると、被験者は、投薬有りのときのトータルスコアでも、統計的に有意な改善を示した。被験者は、期間2(投薬無し)と比較しての期間1(投薬有り)にて、および、期間2(投薬無し)と比較しての期間3(投薬有り)にて、トータルスコアで、統計的に有意な改善を示した。
Figure 2015509934
〔2分歩行試験〕
2MWTの結果を、図12に訪問にて、また表30に統計的に要約する。
統計的に、被験者は、治療されなかったときと比べて、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、歩行距離で有意に良好であった。期間による歩行距離を比較すると、被験者は、投薬有りのときの歩行距離で、統計的に有意な改善を示した。被験者は、期間2(投薬無し)と比較しての期間1(投薬有り)にて、および、期間2(投薬無し)と比較しての期間3(投薬有り)にて、歩行距離で、統計的に有意な改善を示した。
Figure 2015509934
〔計時25フィート歩行〕
T25FWの結果を、図13に訪問にて、また表31に統計的に要約する。
統計的に、被験者は、治療されなかったときと比べて、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、T25FWで有意に良好であった。期間による歩行速度を比較すると、被験者は、速度でも、統計的に有意な改善を示した。被験者は、期間2(投薬無し)と比較しての期間1(投薬有り)にて、および、期間2(投薬無し)と比較しての期間3(投薬有り)にて、歩行速度で、統計的に有意な改善を示した。
Figure 2015509934
〔変化に対する評価者の定性的評価〕
評価者は、NeuroComシステム試験中は不在であった。ビデオテープの再検討に基づいた、T25FWの能力に対する評価者の評価からの結果を、表31に要約する。研究に登録された最初の4人(20%)の被験者は評価されなかったが、これは、被験者が記録されることを許可するプロトコル補正が実施される前に彼らが入ったからである。
評価者は、第2の投薬有り訪問(訪問2)と比較して、第1の投薬無し訪問(訪問3)で、被験者の大部分である12人(60%)が、能力が「いくぶん悪化」したと判定した。別の1人(5%)の被験者は、中止後、さらに悪化した。残りの3人(15%)の被験者は、「変化無し」であった。
評価者は、第1の投薬無し訪問(訪問3)と比較して、第2の投薬無し訪問(訪問4)で、被験者の8人(40%)が、「いくぶん悪化」したと判定した。動画記録した残りの8人の被験者のうち、7人(35%)の被験者は「変化無し」であり、1人(5%)の被験者は「いくぶん改善した」であった。
評価者は、第2の投薬無し訪問(訪問4)と、第2の投薬有り訪問(訪問2)と、の比較から、被験者の大多数である13人(65%)が、T25FWで「いくぶん悪化」したと判定した。1人(5%)の被験者は「非常に悪化」であり、評価された残りの2人(10%)の被験者は「変化無し」であった。
Figure 2015509934
〔さらなる標準化されたNeuroComスコア〕
一次分析に加えて、感受性分析を行った(詳細は、節6.3.3.6.5、「二次効力変数」を参照されたい)。3つの感受性分析は、いずれの信号も明らかにしなかった。
〔6.3.5.4.3 相関分析〕
一次効力変数と非NeuroCom測定との間の相関を表33に示す。総合の歩行と3つ全ての測定との間に高い相関があった:BBS(0.76),2MWT(0.70)およびT25FW(0.71)。
Figure 2015509934
〔6.3.5.4.4 統計上および分析上の問題点〕
統計上および分析上の問題点の議論については、節6.3.3.6を参照されたい。
〔共変量の調整、および、脱落または行方不明データの取り扱い〕
この研究では脱落は無かった。
〔多重比較または多重度〕
0.05の総合のαレベルを維持するために、ステップダウン手順を用いて、2つの共同一次効力変数を分析した。これらの比較は多重度に対して保護されていないが、完全な臨床像を示すために、他の全ての分析に対するp値を示した。
期間を比較する混合モデルANOVAに対して、Tukey's Honest Significant Differenceを用いて、全ての信頼区間とp値とを調整した。
〔6.3.5.4.5 効力の結論〕
主要な端点分析の結果は、被験者が、治療されなかったときと比べて、ダルファンプリジン−ERで治療したときのほうが、総合の歩行に統計的に有意な差異があったということを示した。総合のバランスは、NeuroCom集成値に基づき、有意な影響を受けなかった。
個々の歩行NeuroCom試験の結果は、一般に、治療されないときよりも、ダルファンプリジン−ERで治療されるときのほうが被験者が良好であること、および、薬剤中止が歩行に負の効果を有することとを示唆する、総合の歩行の結果と一致していた。個々のNeuroCom試験では、バランスへの効果についての明らかなパターンは見られなかった。
BBS、2MWTおよびT25FWのスコアは、被験者は治療されないときよりもダルファンプリジン−ERで治療されるときのほうが統計的に良好であること、および、被験者はダルファンプリジン−ERを中止すると統計的に有意に低下すること、を示しており、歩行およびバランスの両方における薬剤中止の有害な効果を示している。治療が再開すると、被験者は、3つ全ての測定で能力が有意に良好になった。
〔6.3.6 安全性評価〕
〔6.3.6.1. 不利事象〕
〔6.3.6.1.1 不利事象の簡単な要約〕
トータル6人(30%)の被験者が、この研究で少なくとも1つの治療緊急AE(TEAE)を報告した。TEAEの大多数は軽い重大度であった。TEAEのうちで研究薬剤に関係すると思われるものは無かった。
TEAEは研究中止にはならず、また、登録された被験者ではSAEは報告されなかった。
表34は、研究中に報告されたTEAEの概観を含んでいる。
Figure 2015509934
〔6.3.6.1.2 不利事象の表示〕
転倒が、1人より多い被験者で報告された唯一のTEAEであった。6つのTEAEのうちの5つが、中止期間(期間2)中に発生した。表35は、頻度の多い順で、TEAEを要約する。
Figure 2015509934
〔6.3.6.2. 死亡、他の深刻な不利事象、および他の有意な不利事象〕
この研究では死亡は無かった(表34)。
〔6.3.6.3. バイタルサイン、身体上の発見、および研究に関連する他の観察〕
研究中には3つの臨床的に重要なバイタルサインの発見があった。発見のうちの2つである、脈拍増加および収縮期血圧増加は、投薬無し期間(訪問3および4、期間2)中に発生した。3つ目の発見である、収縮期血圧増加は、再開期間(訪問5、期間3)中であった。
Figure 2015509934
〔6.3.6.4. 安全性の結論〕
AE報告やバイタルサイン測定で示すように、被験者がダルファンプリジン−ERの治療を10日間中止しても、臨床的に重大な安全性の発見は無かった。
ダルファンプリジン−ERで治療した場合は、治療無しの場合と比べて、被験者の安全性と耐性のプロフィールは類似していた。トータル30%の被験者が、1つのTEAEを報告し、TEAEの大多数は軽い重大度であり、そのうちで研究薬剤に関係すると思われるものは無かった。TEAEは研究中止にはならず、また、SAEや死亡はなかった。耐性のプロフィールは、以前の研究と一致していた。
〔6.3.7 議論および総合の結論〕
これは、ダルファンプリジン−ERでの治療に対して変数者であるMSと診断された被験者で歩行と体位バランスの変数についてダルファンプリジン−ERの中止の効果を評価する、シングルセンターで、オープンラベルの、信号検出研究である。
研究は、3つの期間から成る:7日間の投薬有りスクリーニングフェーズ、10日間の投薬無しフェーズ、第2の4日間の投薬有りフェーズ。
この研究では、約20人の被験者が登録され、全員が研究を完了させた。被験者の60%が女性で、90%が白人で、平均年齢が53歳だった。平均して、被験者は、研究登録の前にほぼ1年間ダルファンプリジン−ERを服用していた。
この研究の2つの一次端点は、ステップダウン手順で試験され、投薬有り期間対投薬無し期間の比較に基づいた。第1の端点は、各被験者の総合の歩行を評価する集成値であった。総合の歩行集成値は、NeuroComシステムからの試験のうちの3つからの集成値において断定された:WA、TWおよびSQT。第2の端点は、各被験者の総合のバランスを評価する集成値であった。総合のバランス集成値は、NeuroComシステムからの試験のうちの異なる3つからの集成値において断定された:SOT、ADTおよびLOS。
統計的に、被験者は、治療されなかった場合(期間2)よりも、ダルファンプリジン−ERで治療した(期間1および期間3)ほうが、総合の歩行で有意に良好であった(p=0.015)。他の端点、総合のバランス、の結果は、治療に関して統計的に有意ではなかった(p=0.434)。
個々の研究期間を比較すると、総合の歩行は、ダルファンプリジン−ER中止中に被験者の歩行に数的に低下を示した(期間1(投薬有り)対期間2(投薬無し))が、この差異は統計的に有意ではなかった。治療が再開されると、総合の歩行について、期間3(投薬有り)と期間2(投薬無し)との間に統計的に有意な差異があった。総合のバランスについては、ダルファンプリジン−ER中止中に被験者のバランスには低下は見られなかった。治療が再開されると、バランスに統計的に有意な改善があり、これは、部分的には、学習効果により説明できたが、潜在的な薬剤効果によっても説明できた。最近の研究は、2週間の期間の間じゅうSOTを5回反復したときの学習効果を示している(Wrisley et al., 2007, Arch Phys Med Rehabil. 88:1049-1054)。学習効果は、3回目または4回目くらいの立ち会いでの集成値において頭打ちになると考えられた。この研究は、集成値での8ポイントより大きい改善が、SOTへの適合効果自体を超える回復を示唆していることを示した。
個々の歩行NeuroCom試験の結果は、一般に、被験者は治療されないときよりもダルファンプリジン−ERで治療されるときのほうが良好であること、および、薬剤中止が歩行に負の効果を有すること、を示唆する、総合の歩行の結果と一致していた。個々のNeuroCom試験では、バランスへの効果についての明らかなパターンは見られなかった。
ダルファンプリジン−ERが中止されると、BBS、2MWT、T25FWのスコアは、統計的に有意な低下を示し、歩行およびバランスの両方について薬剤中止の有害な効果を示した。治療が再開されると、投薬無し期間と比べて、3つの全ての測定において、被験者の能力は著しく良好になった。
〔6.3.8 実施例3のための参考文献リスト〕
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〔参照することによる組み込み〕
特許、特許出願、特許公開などの種々の参考文献がここに引用され、これはその全体が参照によってここに盛り込まれる。
4−アミノピリジンに関する情報を示す図である。 T25FW改善者の、オープンラベル、シングルセンター、3研究期間の治療スケジュールを示し、これは実施例に詳述されている図である。 NeuroCom ― 訪問による総合の歩行および総合のバランス(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問による渡り歩き試験の結果(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問による片側のみ変数(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問によるタンデム歩行変数(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問によるステップ/クイックターン変数(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問による感覚器官試験変数(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問による適合試験変数(完全分析集団)を示す図である。 NeuroCom ― 訪問による安定性限界変数(完全分析集団)を示す図である。 バーグバランススケール ― 訪問によるトータルスコア(完全分析集団)を示す図である。 2分歩行試験 ― 訪問による歩行距離(m)(完全分析集団)を示す図である。 計時25フィート歩行 ― 訪問による歩行速度距離(ft/秒)(完全分析集団)を示す図である。

Claims (53)

  1. 多発性硬化症の患者の歩行および/またはバランスの障害を治療する方法であって、該方法は、アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を患者に投与することを含む、方法。
  2. 患者にアミノピリジンを投与することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 患者にアミノピリジンの薬学的に受容可能な塩を投与することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 患者が人間であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. アミノピリジンが、モノアミノピリジンまたはジアミノピリジンであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. アミノピリジンが、4−アミノピリジンであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、徐放性組成であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、即放性組成であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  9. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、患者に1日1回投与されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、患者に1日2回投与されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  11. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日1回または1日2回、5ないし20mg、5ないし15mg、5ないし10mgまたは7.5ないし10mgの範囲の量を投与されることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
  12. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日1回または1日2回、5ないし20mg、5ないし15mg、5ないし10mgまたは7.5ないし10mgの範囲のアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩の量の徐放性組成を投与されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  13. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日2回、5mgの量を投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
  14. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日2回、7.5mgの量を投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
  15. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日2回、10mgの量を投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
  16. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日1回、10mgの量を投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
  17. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日1回、15mgの量を投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
  18. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、1日1回、20mgの量を投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
  19. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、経口で投与されることを特徴とする、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の方法。
  20. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩が、錠剤またはカプセルの形であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 患者が、歩行および/またはバランスの障害と診断されることを特徴とする、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 歩行および/またはバランスの障害が、歩行の障害であることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 歩行の障害が、歩行速度ではない、歩行の少なくとも1つのパラメータを測定することによって決定されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  24. 歩行の障害が、歩行の1つ以上のパラメータの障害であって、
    歩行の1つ以上のパラメータの障害が、
    ステップ長さ、ステップ幅、ステップ速度、回転揺動、からなるグループから選択され、
    歩行の障害が、ステップ速度ではない、歩行の1つ以上の上記パラメータのうちの少なくとも1つのものの障害であることを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
  25. 歩行の障害が、ステップ長さの障害であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  26. 歩行の障害が、ステップ幅の障害であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  27. 歩行の障害が、回転揺動の障害であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  28. 歩行の障害が、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)によって分析可能な障害であることを特徴とする、請求項22ないし27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 患者が、歩行の障害と診断されることを特徴とする、請求項22ないし28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 患者の歩行の障害を改善するのに効果的であることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
  31. 歩行および/またはバランスの障害が、バランスの障害であることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
  32. バランスの障害が、運動中のバランスの障害であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  33. 運動が、歩行、ジョギングまたはランニングであることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
  34. バランスの障害が、静止位置でのバランスの障害であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  35. バランスの障害が、体位バランスの障害であることを特徴とする、請求項31または34に記載の方法。
  36. 体位バランスの障害が、座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、または回転、中の体位バランスの障害であることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
  37. 静止位置でのバランスの障害が、回転バランスであることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  38. 患者が、バランスの障害と診断されることを特徴とする、請求項31ないし37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 患者のバランスの障害を改善するのに効果的であることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
  40. アミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を反復投与した後に改善のレベルを評価することをさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 徐放性組成が、人間において、およそ2時間ないしおよそ6時間のTmaxを提供することを特徴とする、請求項7または12ないし18のいずれか1項に記載の方法。
  42. 多発性硬化症の患者の、静止バランスの障害を治療する方法であって、該方法は、徐放性組成の4−アミノピリジンを患者に投与することを含む、方法。
  43. 4−アミノピリジンが、1日2回、10mgの量を投与されることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
  44. バランスの障害が、座位、立位、背伸び、片足立ち姿勢維持、または回転、中のバランスの障害であることを特徴とする、請求項42または43に記載の方法。
  45. バランスの障害が、バーグバランススケールによって分析可能な障害であることを特徴とする、請求項42ないし44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 患者が、静止バランスの障害と診断されることを特徴とする、請求項42ないし45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 患者の静止バランスの障害を改善するのに効果的であることを特徴とする、請求項46に記載の方法。
  48. 多発性硬化症の患者の、ステップ長さを増加させる方法、ステップ幅を減少させる方法、または回転揺動を減少させる方法であって、該方法は、徐放性組成の4−アミノピリジンを患者に投与することを含む、方法。
  49. 4−アミノピリジンが、1日2回、10mgの量を投与されることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  50. ステップ長さ、ステップ幅または回転揺動が、NeuroCom SMART Balance Master(登録商標)によって分析可能であることを特徴とする、請求項48または49に記載の方法。
  51. 患者において、ステップ長さを増加させる、ステップ幅を減少させる、または回転揺動を減少させるのに効果的であることを特徴とする、請求項48ないし50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 患者が、寛解性、二次進行性、一次進行性、または進行性再発性のタイプの多発性硬化症を再発したことを特徴とする、請求項1ないし51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 患者が、寛解性のタイプの多発性硬化症を再発したことを特徴とする、請求項52に記載の方法。
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