JP2015508781A - 癌の治療 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌の治療における使用のための医薬および技術を提供する。該アプローチは、低酸素活性化プロドラッグを投与して、その後に低酸素活性化プロドラッグではない別の化学療法剤の投与を行うことである。膵臓癌患者の中央値生存は、かかる医薬および技術を使用して数か月延長され得る。本発明はまた、臨床医が、該療法から最も大きな利益を受ける被験体を同定することを補助する方法を提供する。臨床医が治療の経過において生じ得る副作用を管理することを補助するための薬物組み合わせが提供される。

Description

関連出願
本願は、2012年2月21日に出願された米国仮特許出願第61/601,438号および2013年1月24日に出願された同第61/756,419号の優先権の利益を主張する。
優先権出願および以下のPCT公報、WO 07/002931、WO 08/083101、WO 2010/048330およびWO 2012/142520は、本発明により、全ての目的のために参照により本明細書中に援用される。
発明の分野
本発明は、単独で、または低酸素で活性化されない1つ以上の抗癌薬と組み合されて投与される低酸素活性化プロドラッグを用いて、選択された患者における癌を治療するための方法および組成物を提供する。本発明は一般的に、医学、薬理学および医化学の分野に関する。
発明の背景
癌は、ヒトの罹患率および死亡率の主要な原因の一つである。正常な細胞を損傷または殺傷することなく癌細胞を殺傷することは時々困難であるので、癌治療は難しい。癌治療の際の正常細胞の損傷または殺傷は、患者において有害な副作用を引き起こし、癌患者に投与される抗癌薬の量を制限し得る。抗癌薬が浸透できない脈管構造から離れた領域で癌細胞を殺傷することも困難である。
多くの癌細胞は、正常細胞よりも低酸素下(hypoxic)にある。腫瘍低酸素症は、抗癌治療に対する耐性、癌の再発および良好でない予後に関連する。前臨床的および臨床的な開発における特定の薬物は、低酸素癌細胞を標的とする。低酸素活性化プロドラッグまたは「HAP」と称されるこれらの薬物は、不活性形態またはプロドラッグ形態で投与されるが、低酸素環境で活性化され、毒性になる。PCT特許公報WO 07/002931およびWO 08/083101には、化学名(2-ブロモエチル)({[(2-ブロモエチル)アミノ][(2-ニトロ-3-メチルイミダゾール-4-イル)メトキシ]ホスホリル})-アミンで知られるTH-302などのHAPが記載される。Duan et al., 2008, 「Potent and highly selective hypoxia-activated achiral phosphor-amidate mustards as anticancer drugs」 J Med. Client 51: 2412を参照。
発明の概要
本発明は、固形腫瘍癌を含むがそれに限定されない癌の治療における使用のための医薬および技術を提供する。該アプローチは、低酸素活性化プロドラッグではない別の化学療法剤の投与が続く低酸素活性化プロドラッグを投与することである。この治療により、(例えば限定されないが)膵臓癌患者の中央値(median)生存は、数か月延長され得る。本発明はまた、治療から最良の利益を受ける被験体を臨床医が判断および選択し得る方法を提供する。治療の経過中に起こり得る副作用を臨床医が管理することを補助するための薬物組み合わせも提供される。
本発明の一局面は、被験体における癌の選択的な治療における使用のための製品、同定技術および治療方法である。被験体は、以下の特徴:
(i) 被験体が65歳以上である、
(ii) 癌の結果、被験体が肉体的に激しい活動を制限される、
(iii) 被験体が転移性の癌を有する、
(iv) 少なくとも一月前に、被験体において膵臓癌が最初に検出された、
(v) 被験体において、癌が肝臓に転移している、
(vi) 被験体が、癌のための放射線療法で治療されていない、
(vii) 被験体が、3.5g/dLまたは他のいくつかの標準より低い循環アルブミンレベルを有する、
(viii) 被験体が、12g/dLまたは他のいくつかの標準より低いヘモグロビンレベルを有する
の一つ以上について評価される。
この態様において、被験体は、上述の特徴の少なくとも1つを有すると決定された場合にだけ、式Iの低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与される。管理医の考え次第で、被験体は、スクリーニングされ、任意の組み合わせにおいて前記特徴の少なくとも2、3、4、5、6、7個または8個全てを有すると決定され得る。式Iは、以下の構造:
Figure 2015508781
である。
例示的な式Iの低酸素活性化プロドラッグはTH-302およびTH-281である。TH-302は、各投与(例えば4週間サイクル当たり3回)の間に、例えば240mg/mzまたは340mg/m2のいずれかの量で静脈内投与され得、第2の薬物は典型的に、TH-302(または他の低酸素活性化プロドラッグ)の投与が完了した後30分〜8時間の遅延後に投与される。進行した膵臓癌を有する患者は、本発明の方法に従った治療に適している。膵臓癌について、第2の化学療法剤は典型的にゲムシタビンである。
本発明の別の局面は、特に膵管腺癌を有する被験体における腫瘍の大きさを低減するための製品の使用および方法である。被験体は、式Iの低酸素活性化プロドラッグを投与され、次いで、低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与される。種々の態様において、この治療により、ベースラインから少なくとも20%の最下点への長径和(sum of longest diameter)(SLD)の中央値パーセンテージ変化がもたらされる。
本発明の別の局面は、膵管腺癌を有する被験体における中央値無増悪生存期間(median progression free survival)(PFS)または全生存(overall survival)(OS)を改善するための製品の使用および方法である。被験体は、式Iの低酸素活性化プロドラッグを投与され、次いで、低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与される。条件に応じて、この様式で治療された患者の中央値全生存は、(低酸素活性化プロドラッグではない)化学療法剤単独での治療と比較して、少なくとも2か月増加し得る。低酸素活性化プロドラッグはTH-302であり得、これは、投薬(例えば4週間サイクル中1週間に3回)当たり、240mg/m2または340mg/m2のいずれかの量で静脈内投与され得る。各サイクルにおけるゲムシタビンなどの第2の化学療法剤の投与は、(2種類の薬物が同日に投与される場合)TH-302の投与が完了した後、30分〜8時間遅れて開始される。
本発明のさらなる局面は、癌の治療における使用のための製品、製品組み合わせおよび治療方法である。被験体は、式Iの低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与される。次いで、患者は、療法への応答、特に疲労、末梢水腫、悪心、便秘、腹痛、嘔吐、食欲低下、発熱、下痢、発疹または口内炎についてモニタリングされる。これらの副作用のいずれかが、観察または検出される場合、臨床医は状況に適した支持的ケアを提供する。これは、治療のために使用される低酸素活性化プロドラッグおよび/または化学療法剤と任意に合わせてパッケージ化されるかまたは分配される、副作用(1つまたは複数)を低減するように調製された医薬剤の投与であり得る。
本発明の他の局面は、以下の説明から明らかとなろう。
図1は、低酸素腫瘍部位でまたはその周囲で、インビボにおいて、TH-302が低酸素条件下で化学傷害性剤に変換する機構を示す。 図2Aは、臨床試験下で治療を受けている膵臓癌を有するヒト被験体における、無増悪生存期間(PFS)の増加を示す、カプランマイヤー曲線である。ゲムシタビン単独で治療した対照群を、ゲムシタビン+240mg/m2または340mg/m2それぞれのTH-302を受けた2つの群と比較する。図2Bは、全生存(OS)は約2か月改善する方に向くことを示す。 図3Aは、3つの群における腫瘍サイズの低下を示すウォーターフォールプロット(waterfall plot)である。TH-302の後にゲムシタビンを受けた群は、より多くの腫瘍の縮小を示した。図3Bは、血中の腫瘍マーカーCA19-9のレベルの変化を示すウォーターフォールプロットである。最も早い低下を示した群は、340mg/m2のTH-302後にゲムシタビンを、4週間サイクル中3週のそれぞれの間投与された。 図4は、進行した膵臓癌について以前に治療を受けていない患者におけるTH-302およびゲムシタビンのヒト臨床試験についての試験設計を示す。 図5Aおよび図5Bは、ゲムシタビン単独、240mg/m2のTH-302後ゲムシタビン、または340mg/m2のTH-302後ゲムシタビンを用いた治療後のPFSおよび全生存それぞれの増加を示す。 図6は、患者のベースライン人口統計および疾患特徴に従った、PFSのサブグループ分析を示す。ゲムシタビン+TH-302治療組み合わせの有効性は、下記のように、特定のかかる特徴に関連する。 図7は、受けた治療プロトコルに従ってグループ分けされた全ての被験体で観察された腫瘍の縮小を示す。
詳細な説明
この発明の詳細な説明は、読者の便宜のためにセクションに分けている。セクションIは、本明細書で使用される特定の用語の定義を提供する。セクションIIは、本発明の実施に有用な低酸素活性化プロドラッグおよびヌクレオシド化学療法薬についての一般的な情報を提供する。セクションIIIは、低酸素活性化プロドラッグ群の例示としてのTH-302およびTH-281の医薬製剤を記載する。セクションIVは、ゲムシタビンにより例示されるヌクレオシドアナログである化学療法剤を記載する。セクションVは一般的に、かかる薬物を使用して癌を治療するための方法を記載する。セクションVIは、臨床試験法を記載する。セクションVIIは、患者サブグループの治療を記載する。セクションVIIIは、有害事象の管理を記載する。一般的な記載の後に、本発明により提供される方法および組成物の例示態様を提供する3つの実施例が続く。
I. 定義
以下の定義は、読者を補助するために提供される。そうではないと定義されなければ、全ての当該技術分野の用語、表記法、および他の科学用語もしくは医学用語または本明細書において使用される用語は、化学分野および医学分野の当業者に一般的に理解される意味を有することを意図する。いくつかの場合において、一般的に理解される意味を有する用語は、明確さのためおよび/または容易な参照のために本明細書において定義され、本明細書中にかかる定義を含むことは、当該技術分野において一般的に理解される用語の定義と一致しないものであると解釈されるべきでない。
「a」、「an」および「the」は、文脈でそうではないと明確に示されなければ、複数の指示物を含む。したがって、例えば化合物(a compound)についての指示は、1つ以上の化合物または少なくとも1つの化合物のことをいう。このように、用語「1つ(a)」(または「1つ(an)」)「1つ以上(one or more)」および「少なくとも1つ(at least one)」は、本明細書において交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、「約」は、所定の値が、異なる装置、試料および試料調製物の間で採られる測定値に見られ得る変量を考慮した端点よりも「わずかに高く」あり得るかまたは「わずかに低く」あり得ることを提供することにより、数値範囲の端点に融通性(flexibility)を提供するために使用される。一局面において、「約」は、量の±20%のことをいい、限定されないが、量の±15%、±10%および±5%を含む。
「活性剤」は、所望の薬理学的効果を有する化合物のことをいい、記載される活性剤の全ての薬学的に許容され得る形態を含む。例えば、活性剤は、異性体混合物、イオン交換樹脂に結合した固体混合物などの中にあり得る。また、活性剤は、溶媒和化された形態であり得る。活性剤はまた、記載される活性剤の全ての薬学的に許容され得る塩、誘導体およびアナログ、ならびにそれらの組み合わせを含む。例えば、活性剤の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トロメタミン、L-リジン、L-アルギニン、N-エチルグルカミン、N-メチルグルカミンおよびそれらの塩形態、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられ得る。活性剤の任意の形態は、本発明の組成物、例えば活性剤の薬学的に許容され得る塩、活性剤の遊離酸もしくは遊離塩基、またはそれらの混合物における使用に適し得る。
「投与する」または患者への薬物の「投与」(およびこの文言の文法上の同義語)は、医学専門家による患者への投与であり得るかもしくは自己投与であり得る直接投与、および/または薬物を処方する行為であり得る間接投与のことをいう。例えば、患者に薬物を自己投与することを指示し、および/または患者に薬物の処方箋を提供する医師または診療所は、患者に薬物を投与している。
「進行した固形腫瘍」は、再発、進行、その後転移した、および/または開始もしくは第1のラインの治療に抗療性(refractory)である固形腫瘍のことをいう。進行した固形腫瘍としては、限定されないが、骨、脳、肝臓、肺、リンパ節、膵臓、前立腺および軟部組織(肉腫)における転移性の腫瘍が挙げられる。
「癌」は、白血病、リンパ腫、癌腫、ならびに浸潤により局所および転移により全身に広がり得る、無制限に増殖する能力を有する他の悪性腫瘍のことをいう。癌の例としては、限定されないが、副腎、骨、脳、乳房、気管支、結腸および/または直腸、胆嚢、頭部および頸部、腎臓、咽頭、肝臓、肺、神経組織、膵臓、前立腺、副甲状腺、皮膚、胃ならびに甲状腺の癌が挙げられる。癌の特定の他の例としては、急性および慢性のリンパ球性腫瘍および顆粒球性腫瘍、腺癌、腺腫、基底細胞癌、子宮頸部形成異常およびその場所の(in situ)癌、ユーイング肉腫、類表皮癌、巨細胞腫、多形グリア芽腫、毛様細胞腫瘍、腸神経節細胞腫(intestinal ganglioneuroma)、過形成角膜神経腫瘍(hyperplastic corneal nerve tumor)、ランゲルハンス島細胞癌、カポジ肉腫、平滑筋腫、白血病、リンパ腫、悪性カルチノイド、悪性黒色腫、悪性高カルシウム血症、マルファン症候群様体質腫瘍(marfanoid habitus tumor)、髄様癌、転移性皮膚癌、粘膜神経腫、骨髄腫、菌状息肉腫、神経芽腫、骨肉腫、骨原性および他の肉腫、卵巣腫瘍、褐色細胞腫、真性赤血球増加症(polycythermia vera)、原発性脳腫瘍、小細胞肺腫瘍、潰瘍型および乳頭型の両方の扁平上皮癌、過形成、セミノーマ、軟部組織肉腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、腎細胞腫瘍、局所皮膚病変、細網肉腫(veticulum cell sarcoma)、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
「化学療法剤」は、患者における1つ以上の悪性腫瘍の増殖速度または代謝を、主に根絶する、減少させる、安定化する、または低下させるために癌患者に与えられる医薬化合物である。
「用量」および「投薬量」は、投与のための活性剤または治療剤(1つまたは複数)の特定の量のことをいう。
「剤型」は、ヒト被験体および他の哺乳動物のための単位投薬量として適した、物理的に別個の単位のことをいい、それぞれの単位は、担体などの一つ以上の適切な薬学的賦形剤と共同して、所望の開始、許容性および治療効果を生じるように計算された所定量の活性剤を含む。
「賦形剤」は、都合の良い剤型を調製するためにTH-302などの活性剤と合わせられる任意の不活性物質および活性剤を送達するためのビヒクルを含む。
「製剤」および「組成物」は、交換可能に使用され、2つ以上の化合物、因子または分子の混合物のことをいう。いくつかの局面において、用語「製剤」および「組成物」は、1つ以上の活性剤と担体または他の賦形剤の混合物のことをいうために使用され得る。医薬製剤は、ヒトまたは哺乳動物への投与に適切である。
「低酸素活性化プロドラッグ」または「HAP」はプロドラッグのことをいい、ここで該プロドラッグは、対応する薬物よりも活性が低いかまたは不活性であり、該薬物および1つ以上の生体還元性(bioreducible)基を含む。HAPは、多様な還元剤および還元酵素、例えば限定されないが、一電子転移酵素(シトクロムP450レダクターゼなど)および二電子転移(または水素化物イオン転移)酵素により活性化されるプロドラッグを含む。いくつかの態様において、HAPは、2-ニトロイミダゾール誘導性低酸素活性化プロドラッグである。HAPの例としては、限定されないが、TH-302、TH-281、PR 104およびAQ4Nが挙げられる。TH-302の合成方法は、PCT特許出願公報WO 07/002931およびWO 08/083101に記載される。PR 104の合成方法は、米国特許出願第2007/0032455号に記載される。HAPの他の例は、例えば米国特許出願第2005/0256191号、第2007/0032455号および第2009/0136521号ならびにPCT特許出願公報WO 00/064864、WO 05/087075およびWO 07/002931に記載される。
「患者」および「被験体」は、癌または他の過剰増殖性(hyperproliferative)疾患の治療を必要とする哺乳動物のことをいうために交換可能に使用される。一般的に、患者はヒトである。一般的に、患者は、癌を有すると診断されたヒトである。特定の態様において、「患者」または「被験体」は、薬物および療法のスクリーニング、特徴付けおよび評価に使用される動物などの非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、マウスまたはラットなどの非ヒト哺乳動物のことをいい得る。
「薬学的に許容され得る担体、賦形剤または希釈剤」は、一般的に安全で、無毒性で、かつ生物学的にもその他でも望ましくないものではない、医薬製剤の調製に有用な担体、賦形剤または希釈剤のことをいい、ヒト医薬用途および/または獣医学用途に許容され得る担体、賦形剤または希釈剤を含む。「薬学的に許容され得る担体、賦形剤または希釈剤」は、1つ以上のかかる担体、賦形剤または希釈剤のことをいい得る。
「薬学的に許容され得る塩」は、比較的無毒性の酸を用いて調製される活性剤の塩のことをいう。本発明の化合物は、比較的塩基性の官能基を含み、酸付加塩は、かかる化合物の中性形態と十分な量の望ましい酸を、適切または好適な不活性いずれかの溶媒中で接触することにより得ることができる。薬学的に許容され得る酸付加塩の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素カルボン酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸などのような無機酸由来の塩、および酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的無毒性の有機酸由来の塩が挙げられる。また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩などおよびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩なども挙げられる(例えば、Berge, S.M, et al., 「Phannaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science, 66: 1 19, 1977参照)。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換し得る塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。該化合物の中性形態は、従来の様式で、該塩を塩基と接触させ、親化合物から分離することにより再生され得る。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度などの特定の物理性質において、種々の塩形態と異なるが、それ以外は、本発明の目的のために、塩は化合物の親形態と同等である。
「プロドラッグ」は、投与後、代謝されるか、またはそうでなければ、少なくとも1つの特性に関して生物学的に活性であるかもしくはより活性な化合物(または薬物)に変換される化合物のことをいう。薬物と比較して、プロドラッグは、薬物に対してより活性が低くまたは不活性にする様式で化学的に修飾されるが、該化学的修飾は、プロドラッグを投与後に、代謝的または他の生物学的プロセスにより対応する薬物が生成されるようなものである。プロドラッグは、活性薬物と比較して、変化した代謝安定性もしくは輸送特性、より少ない副作用もしくはより低い毒性、または改善された風味を有し得る(例えば、Nogrady, 1985, Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392参照)。プロドラッグは、対応する薬物以外の反応物を使用して合成され得る。
症状(1つまたは複数)の「低減」(およびこの文言の文法上の同義語)は、症状(1つまたは複数)の重症度もしくは頻度が減少すること、または症状(1つまたは複数)の排除のことをいう。
「副作用」は、投与された薬物または施与された治療が原因となり得るが、標的疾患または状態に対する薬物または治療の意図される効果から周縁の、二次的または異なる徴候、症状または研究所の所見である。副作用は実質的に良性であり得るか、または望ましくないかもしくは有害であり得る(「有害事象」、AE)。副作用は、適合させた対照集団よりも治療された集団でより頻繁に起こるか、または薬物もしくは治療の中止の際に戻り得るので、(例えば)病歴的な理由、機構的な理由について、薬物または治療が原因となり得る。
塊を形成することなく組織に拡散して浸潤し得るリンパ増殖性の悪性腫瘍(例えば白血病およびリンパ腫)とは対照的に、「固形腫瘍」は、不連続な腫瘍塊を形成する悪性腫瘍であり、例えば脳、乳房、前立腺、結腸直腸、腎臓の癌、肉腫、黒色腫である。
薬物の「治療有効量」は、癌または他の過剰増殖性疾患を有する患者に投与される場合に、意図される治療効果、例えば患者における癌または別の過剰増殖性疾患の1つ以上の症状発現の緩和(alleviation)、改善、緩和(palliation)または排除を有する薬物の量のことをいう。一用量の投与によって、治療効果が必ずしも生じるわけではなく、一連の用量の投与後にのみ生じることがある。したがって、一回以上の投与において治療有効量が投与され得る。
「治療する」または状態もしくは患者の「治療」は、臨床結果を含む有益または所望の結果を得るための工程を行うことをいう。本発明の目的について、有益または所望の臨床結果としては、限定されないが、癌もしくは他の過剰増殖性疾患の一つ以上の症状の緩和もしくは改善、疾患の程度の低減、疾患の進行の遅延もしくは疾患の進行を遅らせること、疾患状態の改善、緩和もしくは安定化、別の薬物の1つ以上の副作用の管理または他の有益な結果が挙げられる。いくつかの場合において、癌の治療は、部分的な応答または安定な疾患を生じ得る。
本明細書で使用する場合、複数の項目、構造的要素、組成物的要素および/または物質は、便宜のための共通のリスト中に示され得る。しかしながら、これらのリストは、該リストのそれぞれの構成メンバーが、個々に別々の構成メンバーおよび特有の構成メンバーと同一視されるように解釈されるべきである。したがって、かかるリストの個々の構成メンバーは、そうではないと指示がなければ、共通の群におけるそれらの提示のみに基づいて、同じリストの任意の他の構成メンバーと事実上同等なものとして解釈されるべきである。
濃度、量および他の数値データは、本明細書において範囲の形式で表示され得るか示され得る。かかる範囲の形式は、単に、便宜および簡潔さのために使用され、したがって、この範囲の境界として明確に列挙される数値を含むだけでなく、それぞれの数値および下位範囲(sub-range)が明確に列挙されているかのように、該範囲内に包含されるすべての個々の数値または下位範囲も含むように柔軟に解釈されるべきである。例示として、「約1〜約5」の数値範囲は、約1〜約5の明確に列挙された値だけでなく、示された範囲内の個々の値および下位範囲も含むように解釈されるべきである。したがって、2、3および4などの個々の値ならびに1〜3、2〜4および3〜5などの下位範囲など、ならびに個別に1、2、3、4および5がこの数値範囲に含まれる。これと同じ原則が、最小値または最大値として1つの数値のみを列挙する範囲に適用される。さらに、記載される範囲の幅または特徴に関係なく、かかる解釈が適用されるべきである。
II. 低酸素活性化プロドラッグ
本発明の態様は、式I:
Figure 2015508781
(式中、
Y2は、O、S、NR6、NCOR6またはNSO2R6であり、ここで、R6は、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである;
R3およびR4は独立して、2-ハロアルキル、2-アルキルスルホニルオキシアルキル、2-ヘテロアルキルスルホニルオキシアルキル、2-アリールスルホニルオキシアルキルおよび2-ヘテロアルキルスルホニルオキシアルキルからなる群より選択され;
R1は、式L-Z3を有し;
Lは、C(Z1)2であり;各Z1は独立して、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C8シクロアルキル、ヘテロシクリル、C1-C6アシル、C1-C6ヘテロアシル、アロイルもしくはヘテロアロイルであるか;または
Lは:
Figure 2015508781
であり;
Z3は:
Figure 2015508781
からなる群より選択される式を有する生体還元性基であり;
ここで、各X1は独立して、NまたはCR8であり;
X2は、NR7、SまたはOであり;
各R7は独立して、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキル、C3-C8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R8は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、CHF2、CF3、CO2H、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキル、C1-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルアミノ、C1-C6ジアルキルアミノ、アリール、CON(R7)2、C1-C6アシル、C1-C6ヘテロアシル、アロイルまたはヘテロアロイルである)
に示される構造を有する低酸素活性化プロドラッグまたはその薬学的に許容され得る塩を用いて実施され得る。特定の例は、TH-302およびTH-281である。
「TH302」または「TH-302」は、以下の式:
Figure 2015508781
を有する化合物のことをいい、その薬学的に許容され得る塩を含む。
「TH281」または「TH-281」は、以下の式:
Figure 2015508781
を有する化合物のことをいい、その薬学的に許容され得る塩を含む。
図1は、TH-302が、低酸素腫瘍部位またはその周囲で、インビボにおいて低酸素条件下で、化学傷害性剤に変換する機構を示す。
本発明の一般的な記載において使用する場合、化合物TH-302およびTH-281についての参照は、式Iに示される構造を有する化合物の一般的な群についての例示目的でなされる。特定の化合物に明確に限定されない限り、TH-302またはTH-281についての参照において考察される本発明の種々の局面は、使用者の裁量で、TH-302、TH-281または式Iの構造を有する他の低酸素活性化プロドラッグを使用してなされ得る。
III. TH-302およびTH-281の医薬製剤
TH-302およびTH-281は、任意の薬学的に許容され得る製剤において、本発明に従って、患者に投与され得る。例えば、PCT公報WO 08/083101およびWO 07/002931には、TH-302およびTH-281の液体医薬製剤を調製するための方法が開示される。WO 07/002931には、TH-302がバイアル中に凍結乾燥粉末として提供され得、投与の直前に食塩水または水中5%デキストロース(D5W)中で再構成され得ることが開示される。D5W中に再構成後、TH-302製剤は8時間以内に使用される。この凍結乾燥TH-302製剤の貯蔵寿命は、2〜8℃で約1年であり、-20℃ではより長い。WO 08/083101には、TH-302をエタノール中の液体製剤(1mL当たり50mgまでのTH-302を含む)として投与し得ることが開示される。
PCT公報第2010/048330号に記載されるように、TH-302などの低酸素活性化癌薬物のニトロ-ヘテロアリールホスホルアミド群の乏しい水溶性は、アルコール環境下での長期保存のための非イオン性界面活性剤を提供することにより、改善され得る。そのため、エタノール、およびTWEEN 80(登録商標)などの非イオン性界面活性剤を含む製剤は、TH-302またはTH-281を投与するために有利に使用され得る。TWEEN 80は、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、CAS番号9005-65-6である。有利なことに、これらの好ましい非経口投与可能な医薬組成物は、TH-302および他のTH-281などの乏しい溶解性を有する他のニトロ-ヘテロアリールホスホルアミド群低酸素活性化癌薬物に、改善された安定性ならびに分解および沈殿の低減を提供する。また、これらの製剤は、記載されている他の製剤と比較して、より高い濃度の活性薬物、例えばTH-302を提供する。これらの液体製剤は長時間にわたり安定であるので、薬物の凍結乾燥は必要なく、このことにより使用前に凍結乾燥物を再構成する必要が排除される。この薬学的に許容され得る製剤は、非経口投与に適する。
典型的に、本発明の液体組成物は、約10mg/mL〜約300mg/mLの活性剤を含む。前述の濃度は、使用される特定の活性剤および最終的な製剤中の望ましい活性剤の量に応じて調整され得ることを当業者は理解する。本発明の液体製剤中に含まれるTH-302の量は、意図される用途により規定される。一般的に、TH-302の濃度は、10mg/mL〜約300mg/mLまたは30mg/mL〜約300mg/mL、より典型的には50mg/mL〜200mg/mL、より通常は50mg/mL〜約150mg/mL、さらに通常は50mg/mL〜125mg/mLの範囲であり、最も通常は50mg/mLより高く、例えば約60mg/mL、60mg/mL〜100mg/mL、100mg/mL〜150mg/mL、100mg/mL〜200mg/mLの範囲、または100mg/mL〜約300mg/mLの範囲である。これらの濃度は、TH-302またはTH-281の遊離塩基形態のことをいう。
一態様によると、担体はエタノールであり、医薬製剤は、少なくとも5%v/vのTWEEN 80(登録商標)を含む。一態様において、該製剤は、約5〜10%(v/v)のTWEEN 80、90〜95%(v/v)のエタノールおよび約50mg/mL〜125mg/mLのTH-302またはTH-281、例えば約60mg/mLのTH-302を含む。一態様において、該製剤は、約5%のTWEEN 80、約95%のエタノールおよび約60mg/mLのTH-302を含む。
したがって、ある態様において、該製剤中の活性剤は、全ての薬理学的に許容され得る形態を含むTH-302である。一局面において、TH-302は、液体組成物として投与され、ここでTH-302はその非塩形態である。他の態様において、活性剤は、非塩形態のTH-281である。本発明の態様において、活性剤は、任意の適切な形態で本発明の製剤中への溶解のために提供され得る。例えば、活性剤は、粉末、ペレットまたは顆粒の形態(すなわち、より小さな単位の活性剤の凝集物)であり得る。任意の医薬等級のTH-302またはTH-281が使用され得る。
いくつかの態様において、該製剤は、任意に、本明細書に記載される他の成分をさらに含む。したがって、本発明の医薬製剤の種々の態様において、担体の混合物が使用される。(エタノールに加えて)第2の担体が使用される場合、該担体は一般的にN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)である。使用される場合、該アミド担体は、好ましくは、製剤の約20体積%までの量で含まれる。好ましくは、使用されるアミド担体の量は、約10体積%〜約20体積%である。いくつかの態様において、該製剤は、エタノールおよびTH-302からなる。いくつかの態様において、該製剤は、エタノール、DMAおよびTH-302からなる。
本発明の組成物はさらに、酸化防止剤、メチル-、エチル-およびプロピル-ヒドロキシベンゾエート、ブチル化ヒドロキシトルエンならびにブチル化ヒドロキシアニソールなどの保存剤、不透明化剤、ならびにキレート剤を含み得る。適切な酸化防止剤およびキレート剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)、パルミチン酸アスコルビル、EDTA二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸;エデト酸二ナトリウム(disodium edentate)としても知られる)、EDTA、酒石酸、クエン酸、クエン酸一水和物、亜硫酸ナトリウムが挙げられる。一態様において、前述の化合物は、約0.01%〜約5%w/wの範囲の量で医薬製剤中に含まれる。特定の一態様において、該医薬製剤は、約0.02%〜約1%の範囲で使用されるBHA、BHTまたはPG、および約2%〜約5%の範囲で使用されるEDTA二ナトリウム、クエン酸、クエン酸一水和物を含む。一態様において、該医薬製剤は、約0.05%w/wで使用されるBHAを含む。
活性剤、アルコール担体および非イオン性界面活性剤を含む製剤を混合するために任意の適切な方法が使用され得る。一態様において、活性剤、アルコール担体および非イオン性界面活性剤が合わされ、混合物は、任意に希釈後に、患者に直接投与される。
本発明の医薬製剤は、薬物製剤の安定性を高める(facilitate)任意のパッケージ中でパッケージ化される。本発明により提供される医薬製剤は、種々の大きさおよび容量のシリンジ、バイアルまたはアンプルなどの滅菌された容器中に含まれ得る。滅菌された容器は、TWEENおよび/またはDMAを含む製剤を使用する場合は、非DEHP材料製であり得る。滅菌された容器は任意に、1〜50mL、1〜25mL、1〜20mL、1〜10mLまたは1〜5mLの製剤を含み得る。滅菌された容器は、医薬製剤の滅菌性を維持し、輸送および保存を容易にし、かつ事前滅菌工程なしの医薬製剤の投与を可能にする。
容器中に提供された医薬製剤は、直接投与に適した形態であり得るか、または患者に投与されるものに比べて希釈を必要とする濃縮形態であり得る。例えば、医薬製剤は、静脈内投与を介した直接投与に適切な形態であり得るか、または投与前に希釈される濃縮された形態であり得る。一態様において、本発明の製剤中の約500〜2000mgのTH-302は、D5Wまたは食塩水に約500mLの総容量まで希釈した後、30〜60分にかけて患者に投与される。
本発明の組成物は、例えば癌を治療するための治療用途において有用である。本発明の製剤は、種々の投与経路を介して送達され得、典型的には静脈内(例えば注入により)投与されるが、任意の許容され得る方法(例えば、カテーテルまたはステントによる局所送達を介した動脈内等)が使用され得る。
一態様において、低酸素活性化癌薬物製剤は、3つのアームを有しそれぞれがチューブに連結されたY部位コネクターなどのコネクターを通して注入される。例として、種々の大きさのBAXTER(登録商標)Yコネクターが使用され得る。低酸素活性化癌薬物製剤を含む容器は、チューブに接続されて、該チューブはさらにコネクターの1つのアームに接続される。0.9%塩化ナトリウムまたは5%デキストロースまたは5%グルコースまたは乳酸加リンゲル液などの注入液は、Y部位コネクターの他のアームに取り付けられたチューブを通して注入される。注入液および低酸素活性化癌薬物製剤は、Y部位コネクターの内部で混合される。得られた混合物は、Y部位コネクターの第3のアームに接続されたチューブを通して患者に注入される。先行技術に対するこの投与アプローチの利点は、低酸素活性化癌薬物が、患者の体内に進入する前に注入液と混合され、そのために、水との接触による治療製剤の分解が起こり得る時間が低減される。いくつかの態様において、TH-302またはTH-281は、患者の体内への進入の10、5、2または1分未満前に混合される。いくつかの態様において、TH-302またはTH-281は、患者の体内への進入の8、6、4、2または1時間未満前に混合される。
上述のように、非イオン性界面活性剤/アルコール溶液は、水、D5Wまたは生理食塩水と直ちに混合され得、製剤は投与の直前に、容易にかつ直ちにさらに希釈され得るので、本発明の医薬製剤は、さらなる利点を提供する。例えば、医薬製剤は、患者への投与前の8時間以内に、水、食塩水またはD5Wを用いて希釈され得る。
一態様において、注入投与は、患者の体表面積(m2)に240mg/m2または340mg/m2のいずれかの処方されたTH-302用量をかけることにより患者についてのmg用量を決定した後に、実施される。適切な数のTH-302のバイアル(例えば 100mg/バイアル)を-20℃のフリーザーから取り出し、周囲温度条件で30〜60分間放置して、バイアルを室温まで温める。それぞれ100mgのバイアルを、25mLの滅菌D5Wまたは食塩水で再構成し、よく振る。必要とされる再構成されたTH-302のmL数は、所望のmg用量に0.25をかけて(例えば、1000mg用量は250mLを必要とする)計算される。再構成されたTH-302を500/1000mLの滅菌D5W(または食塩水)IVバッグに添加する前に、バッグに添加される等容量のTH-302が取り出されるので、再構成された薬物をバッグに添加する場合、総容量は500/1000mLである。
患者は、任意の治療に適した時間、例えば約15、30もしくは45分または1、2、3、4、もしくは5時間以上で、TH-302またはTH-281の薬物製剤を注入され得る。注入の速度および容量は、患者の必要に応じて調節され得る。低酸素活性化癌薬物製剤の注入の調節は、既存のプロトコルに従ってなされ得る。例示のために、<1000mgの用量は500mLに希釈され得、約30分かけて注入され得、1000以上の用量は1000mLに希釈され得、約60分かけて注入され得る。代替的に、用量は、注入容量に応じた注入時間で、1〜4mg/mL(例えば、2mg/mL)の濃度に希釈され得る。希釈容量および注入時間は、TH-302について投与される総用量に基づく(注入容量を投与するために必要な時間の医師の判断に基づいてより長い注入時間が許容され、注入容量の許容性の医師の判断に基づいてより少ない注入容量が許容される)。
腫瘍学者および他の医療サービス提供者に公知である常套的な方法を使用して、個々の患者の表面積が決定され得る。成人について、1mg/m2の用量の活性剤(薬物)は、患者一人当たり約1.7mgの該薬剤または薬物である(すなわち、典型的な成人は、1.7m2の表面積を有する)。したがって、例えば100mg/m2の薬物は、患者一人当たり約170mgの該薬物である。
以下により詳細に記載するように、本発明の医薬製剤は、ゲムシタビンなどの他の薬剤と共投与され得る。本発明の文脈において、共投与は、臨床結果の改善を達成するために、協調された治療の経過において、1つより多くの治療剤の投与を意味するように定義される。かかる共投与はまた、同一の広がりを持ち(coextensive)得、すなわち重複する時間の間に起こり得る。投与されるさらなる薬剤は、任意の従来の形態であり得、注入液、治療化合物、栄養液、抗菌液、緩衝化剤および安定化剤を含み得る。この文脈において治療化合物としては、限定されないが、抗新生物形成剤、アルキル化剤、レチノイドスーパーファミリーの構成メンバーである薬剤、抗生剤、ホルモン性薬剤、植物由来薬剤、生物剤、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、免疫調節剤およびモノクローナル抗体が挙げられる。以下に詳細に考察されるように、さらなる薬剤が抗新生物形成薬物であり、かつ両方の薬物が同日に投与される場合、2つの薬剤の投与はしばしば、同時発生的であるが同時ではなく、低酸素活性化プロドラッグが最初に投与され、第2の薬物が少なくとも30分後に投与される。
IV. ヌクレオシド誘導体
低酸素活性化プロドラッグと組み合わせて使用され得る化学療法剤は、ヌクレオシドアナログを含む。これらは、有糸分裂のプロセスの間にDNA合成に取り込まれるが、その後複製DNAの伸長を防ぐように設計される。これらはまた、リボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)に不可逆的に結合して阻害し得、デオキシヌクレオチドの合成を防ぐかまたは低減する。
式II:
Figure 2015508781
(式中、Rは、窒素含有単環式または複素環式芳香族化合物であり、該化合物がヌクレオシドを模倣し得、DNA生合成に関連する酵素反応を阻害し得るように選択され、Rは、以下:
Figure 2015508781
から選択され得、式中、R1は、水素、メチル、ブロモ、フルオロ、クロロまたはヨードであり;R2はヒドロキシであり;R3は、水素、ブロモ、クロロまたはヨードである)に示される構造を有する化学療法剤が含まれる。米国特許第4,808,614号参照。
化合物ゲムシタビン(商品名Gemzar(登録商標)で流通される)が例示的であり、以下の構造:
Figure 2015508781
を有する。
本発明の一般的な記載において使用される場合、化合物ゲムシタビンについての参照は、式IIに示される構造を有する化合物の一般的な群の例示目的のためである。特定の化合物に明確に限定されない限り、ゲムシタビンに関して考察される本発明の種々の局面は、使用者の自由裁量で、ゲムシタビン、または式IIの構造を有する化学療法活性を有する他のヌクレオシドアナログを使用して実施され得る。
V. 癌を治療するためのTH-302およびTH-281の投与
TH-302(またはTH-281または式Iの他の化合物)は、癌を治療するために、任意の他の抗癌剤と組み合わせてではなく、単一療法として、すなわち単独で投与され得る。TH-302(またはTH-281または式Iの他の化合物)は、通常、単一療法または組み合わせ療法について(例えば注入により)静脈内投与される。種々の態様において、上述で考察されるTH-302/エタノール/TWEEN 80/DMA製剤は、注入のためにD5Wまたは食塩水に希釈される。種々の投薬スケジュールが可能であるが、典型的には、TH-302は、(a)4週間サイクルと称される、3の連続する週の間1週間に1回、その後1週間のTH-302投与なし(例えば、28日サイクルの1、8および15日目に投与);(b)1週間当たり1回;(c)3週間毎に1回;または(d)3週間毎に2回(例えば、21日サイクルの1および8日目に投与される)の1回以上のサイクルの間に、(例えば注入により)静脈内投与される。4週間サイクルを含む投与計画(regimen)について、TH-302は、例えば240mg/m2または340mg/m2の用量で投与され得、毎週の投与およびさらに3週間毎に1回の投与について、これらの用量が使用され得る。患者の年齢、健康状態および他の要因に基づいて他の用量が使用されることがある。
他の抗癌剤と同様に、TH-302およびTH-281は、通常、複数のサイクルで投与される。例えば、限定のためではなく、TH-302は、1〜13サイクル、1〜7サイクルまたは1〜4サイクルについて4週間サイクルを使用して投与され得る。第2の例として、TH-302は、3〜52、3〜28、3〜16または3〜8週間にういて、1週間毎に1回の頻度で投与され得る。第3の例として、TH-302は、3〜52、3〜28、3〜16または3〜8週間について、3週間ごとに1回の頻度で投与され得る。これらの期間のTH-302投与のあるものは、TH-302が投与されない1週間以上の薬物休息日を含むことが医療専門家に理解される。
上述の用量および投薬頻度は、ゲムシタビンなどの別の抗癌薬の投与と組み合わせてTH-302またはTH-281を癌患者に投与する工程を含む本発明により提供される、膵臓癌を含むがこれに限定されない癌を治療する方法にも有用である。これらの組み合わせ治療法において、TH-302またはTH-281および同時ではない他の抗癌薬を投与することにより、組み合わせ治療の治療有効性は最大になり、組み合わせ治療の毒性は最小になる。本発明に従ってある一定の時間を離して2つの薬物を投与することは、2つの薬物の「非同時投与」と称される。2つの薬物を一緒にまたは他の薬物の直後に1つの薬物を投与すること(第1の薬物の投与の終了と第2の薬物の投与の開始の間、遅らさずまたは30分未満遅らせて)は、2つの薬物の「同時投与」と称される。
したがって、一局面において、本発明は、2つの抗癌薬、TH-302またはTH-281のいずれかである低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素で活性化されないゲムシタビンなどの抗癌薬を、癌の治療を必要とする患者に投与することにより癌を治療する方法を提供し、ここで、第2の薬物は、低酸素活性化プロドラッグの直前の投与を終了して少なくとも約30分後に投与される。一態様において、第2の薬物は、第1の薬物の投与を止めた30分〜8時間後に投与される。他の態様において、第2の薬物は、第1の薬物の投与を止めた1〜6時間後(例えば、HAP薬の投与の約2時間後、約3時間後または約4時間後)に投与される。いくつかの態様において、TH-302またはTH-281の投与と非HAP薬(例えばゲムシタビン)の投与の間の時間の持続は、1〜10時間、2〜6時間または3〜5時間である。例示的な態様において、非HAP抗癌薬は、HAPの投与を止めた後、1時間以上(例えば、1、2、4または6時間)投与される。典型的に、少なくとも30分〜2時間の遅延が使用される。したがって、一般的に、非HAP薬の投与時間は、HAPの投与後、少なくとも30分〜1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、およびしばしば24時間以上である。種々の態様において、HAPの投与の完了と第2の薬剤の投与の間の遅延は8時間より短く、例えば、該遅延は、6時間未満または4時間未満であり得る。
典型的に、癌療法は、薬物投与の複数のサイクルを含み、多くの癌について、複数の薬物が投与される。限定のためではなく例示のために、2つの抗癌薬AおよびBは、以下:
i. ABAAABAAABAA (ABAAの反復またはサイクル);
ii. ABAABAABAABA (ABAのサイクル);
iii. ABABABABABABABAB (ABのサイクル);
iv. ABBABBABBABBABB (ABBのサイクル);および
v. ABBBABBBABBBABBB (ABBBのサイクル)
に示されるように種々の投与順序で投与され得る。これら(および他)の投与サイクルのいずれかが、本発明に従って使用され得る。例えば、順序ABAAABAAABAAは、3サイクル反復され得、ここで「A」は、28日サイクルの1、8および15日目に投与されるTH-302であり、「B」は、サイクルの1日目にAとは同時でなく投与されたゲムシタビンである。複数のサイクルおよび/または1サイクル内に複数の薬物(1つまたは複数)投与がある場合は、HAPの投与の完了と、非HAP薬の投与の開始の間の遅延は、HAPと非HAPとの続いて起こる投与の間の期間のことをいうことが理解される。例えば、サイクルAB1B2B3において、Aの投与の完了とB1の投与の開始の間の期間(例えばAの投与の完了とB3の投与の開始の間の期間ではない)が測定される。
1つの重要な局面において、本発明は、240mg/m2または340mg/m2のいずれかの用量でTH-302を、ゲムシタビンと組み合わせて膵臓癌の治療を必要とする患者に投与することにより、膵臓癌を治療する方法を提供する。膵臓癌は、手術、放射線療法および化学療法を含む現在の治療選択肢を有する、膵臓の悪性新生物である。単一薬剤としてまたは他の治療と組み合されたゲムシタビンは、進行した膵臓癌を有する患者において、最も一般的に使用される化学療法剤である。2008年には、世界中で膵臓癌の約279,000の症例が診断されたと推定される。膵臓癌は、米国および国際的の両方における4番目ありふれた癌による死亡の原因である。米国癌学会は、2011年に米国において44,030人が膵臓癌を有すると診断され、この疾患により約37,660人が死亡したと推定している。
以下に考察されるように、かかる組み合わせ療法を使用して広範な固形腫瘍および進行した固形腫瘍が治療され得、治療的利益のために、広範な抗癌剤が、TH-302と組み合わせて投与され得る。TH-302は、抗療性または転移性の癌の治療のために、最初のまたは第1のラインの治療として、および補助療法および新補助療法として投与され得る。本発明の一態様において、癌は、診断後に新補助療法設定において治療される(化学療法は、原発性の腫瘍を収縮させ、原発性の腫瘍の除去を容易にするために手術の前に患者に施与される)。別の態様において、組み合わせ療法は補助治療として診断後に施与される(化学療法は、腫瘍が除去され、患者が病期分類された(staged)後に施与され、その後再発の可能性が高い場合、再発を遅らせ、生存を改善するために予防的化学療法が付与される)。別の態様において、組み合わせ療法は、腫瘍切除手術を有さないか、有する可能性が高くない患者に施与される。別の態様において、組み合わせ療法は、抗療性または転移性の癌の治療のために施与される(化学療法は、癌の再発(1つまたは複数)または拡散に対して付与される)。
そのため、本発明の方法により治療可能な癌としては、以前に治療されなかった癌、抗療性の癌および転移性の癌が挙げられる。本発明の一態様において、再発した癌、抗療性の癌または治療された転移性の癌は、膵臓癌である。他の態様において、癌は、胆管癌、卵巣癌、食道癌、膵臓癌、NSCLC、膨大部の癌(ampullary cancer)、神経内分泌癌、軟部組織肉腫または甲状腺癌である。
組み合わせ療法のために、TH-302(またはTH-281)は、上述の頻度および持続時間で投与され得る。したがって、本発明の一態様において、TH-302は、1週間に1回の頻度で投与される。本発明の別態様において、TH-302は、複数のサイクルで投与され、投与の各サイクルは4週間サイクルであり、ここで、TH-302は、3週間連続で1週間に1回投与される。この態様において、各投与サイクルについて、TH-302は、3週間連続して1週間に1回、1、8および15日目に投与され、その後1週間のTH-302投与なしが続く。本発明の一態様において、TH-302は、3週間〜52週間、3週間〜28週間、3週間〜16週間および3週間〜8週間の範囲の期間に投与される。したがって、本発明の方法によると、TH-302は、例えば限定されることなく、1〜13、1〜7または1〜4サイクルの間投与され得る。いくつかの態様において、TH-302投与のこれらの期間のあるものは、TH-302が投与されない1週間以上の薬物休息を含み得る。
本発明の方法に従って投与されるTH-302以外の種々の抗癌剤の投与の製剤および用量、経路、頻度ならびに他の様式は、本明細書に開示され、医学文献中で入手可能であり、および/または当業者に公知である。したがって、いくつかの態様において、非TH-302化学療法剤(例えばゲムシタビン)の用量は、それらの製品ラベルに列挙された、承認された用量である。本発明の方法に従って投与されるTH-302以外の抗癌剤の、使用について規制当局により承認された抗癌剤についての治療有効量は、医師に公知であり、例えば限定されることなく、PHYSICIANS' DESK REFERENCE, 2003, 第57版、Medical Economics Company, inc., Oradell, NJ;Goodman & Gilman's THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS" 2001, 第10版、McGraw-Hill, New Yorkに見られる製品説明に提供され、および/またはFederal Drug Administrationから入手可能であり、および/または医学文献に考察される。本発明の方法による種々の癌のための例示的な投薬量および投薬スケジュールが本明細書に記載される。
限定のためではなく例示のために、以下の投薬量およびスケジュールが使用され得る。ゲムシタビンは、30分かけて、1,000mg/m2で静脈内(IV)投与され得る。例えば、ゲムシタビンは、各28日サイクルの1、8および15日目に30分かけて、1,000mg/m2でIV投与され得、TH-302は、各28日サイクルの1、8および15日目に投与され得る。別の例において、TH-302の後にゲムシタビンが、7週間の間かけて1週間に1回投与され、その後1週間の投与なしが続き、TH-302およびゲムシタビンが各28日サイクルの1、8および15日目に投与される1回以上の28日サイクルが続く。
ゲムシタビンの治療有効用量は、FDAおよび/または医学文献から利用可能な材料に関して、医療専門家により決定され得る。例示的な用量は1000mg/m2であり、28日サイクルの1、8および15日目に30分かけてIVで付与される。TH-302の治療有効用量は上述される。医療専門家が適切と思い、および/またはFDAに承認される場合は、他の用量が使用され得る。
本発明は、治療有効量のゲムシタビンの投与と組み合わせて、治療有効量のTH-302を投与する工程を含む、膵臓癌を有すると診断された患者を治療するための方法を提供する。TH-302およびゲムシタビンの投与により、第1のラインの膵臓癌を有する患者に利益がもたらされる。240mg/m2または340mg/m2のいずれかの用量のTH-302は、第1のラインの膵臓癌を有する被験体を治療するために有効である。
いくつかの態様において、ゲムシタビンの投与は、TH-302の投与に先行して、TH-302投与の終了とゲムシタビン投与の開始の間隔は、少なくとも30分〜少なくとも1時間、または少なくとも2時間であるか、またはいくつかの態様において24時間以下である。いくつかの態様において、TH-302投与とゲムシタビン投与の間の時間の持続は、30分〜10時間、2〜6時間または3〜5時間である。いくつかの態様において、TH-302投与の終了とゲムシタビン投与の開始の間隔は、約30分〜約2時間である。
VI. 臨床試験
本発明の製品、方法および技術は、動物またはヒト被験体において適切に設計された試験で機能するように説明され得る。
例示のために、214名の患者で無作為化され、対照をとった、第2相臨床試験を行って、膵臓癌の治療におけるTH-302の有効性および安全性を説明した。ゲムシタビンと組み合わせた240mg/m2または340mg/m2のTH-302の投与を、進行した膵臓癌を有する患者における第1のラインの治療としてのゲムシタビン単独の投与と比較した。この試験で、無増悪生存期間において63%の改善を有する第1のエンドポイントを達成した。さらに、ゲムシタビン単独対照と比較して、第2の有効性エンドポイントも、ゲムシタビン+TH-302組み合わせアーム(arm)の方に傾いた。したがって、この試験は、TH-302が、進行性で治療が困難な膵臓癌を有する患者に明確な利益を付与することを示した。
第1のラインの進行した膵臓癌を有する患者において、ゲムシタビンと組み合わせたTH-302の複数機関での、無作為化された、対照をとった、用量変動させた、第2相交差(cross over)臨床試験として、臨床試験を行った。該試験の第1のエンドポイントは、無増悪生存期間であった。第2のエンドポイントは、全体応答率、全生存、CA 19-9の変化ならびに種々の他の効力および安全性のパラメーターであった。ベースラインおよび8週間毎にRECISTを使用して腫瘍応答を評価した。ゲムシタビンでの単一療法が標準療法とみなされる患者は、試験に適格であった。患者を、3つのコホート:240mg/m2の用量のTH-302+ゲムシタビン、340mg/m2の用量のTH-302+ゲムシタビン、またはゲムシタビン単独の1つに、均等に無作為化した。重大な治療関連毒性または進行性の疾患の証拠を有さずに、6サイクルの治療を成功裡に完了した患者は、治療を受け続けることができた。患者がゲムシタビン単独で癌の進行を経験した場合、患者は交差(cross over)してTH-302+ゲムシタビンコホートの1つに無作為化され得た。149の調査員が評価したPFS事象に基づいて第1の効力分析を行い、ゲムシタビン単独と比較して、1つのプロトコルあたり、2つのゲムシタビン+TH-302用量群由来のデータをプールした。
この試験の結果は一般的に以下の通りであった(添付の図面にも種々の結果を示す)。中央値(median)無増悪生存期間(PFS)は、240mg/m2のTH-302と組み合わせたゲムシタビンで治療した患者については5.6か月であり、340mg/m2のTH-302と組み合わせたゲムシタビンで治療した患者については6.0か月であり、ゲムシタビン単独で治療した患者については3.6か月であった。TH-302組み合わせとゲムシタビン単独を比較した際のPFS危険比は0.61であり(95%信頼区間:0.43〜0.87)、これは高度に統計的に有意であった(p=0.005)。組み合わせアームの応答比は、ゲムシタビン単独アームにおける12%と比較して、ゲムシタビン+340mg/m2のTH-302群において27%およびゲムシタビン+240mg/m2のTH-302群において17%の応答比を含み22%であった。他の有効性結果も、340mg/m2群において最も高い有効性を示し、TH-302についての用量応答と一致した。
この試験によると、薬物組み合わせは、良好な安全性プロフィールを有して良好に許容されることが示された。TH-302に関連する皮膚および粘膜の毒性は、用量依存的であったが、用量制限はなかった。骨髄抑制(myelosuppression)は、用量制限的であり、一般的に組み合わせアームにおいてより高かった。この試験によると、TH-302は、膵臓癌の治療についてゲムシタビンの有効性に寄与することが示された。
腫瘍塊を画像化して、各被験体における全ての腫瘍についての長径を合計した(SLD)。SLDは、治療の経過にわたり約20%の中央値を有する治療群において減少し、いくつかの治療群において30%、50%、75%および90%低減することが見出された(図7)。
全生存(OS)もモニタリングした。膵臓癌について、該試験期間にわたり、約2〜3か月の中央値生存利益が達成されたことが見出された(図5B)。治療集団、治療の持続時間および他の要因に応じて、治療された患者は、少なくとも2か月、潜在的には3か月、4か月または4か月より長く延長された生存を達成し得る。
VII. 治療から利益を受ける患者サブグループの同定
癌患者の特定のサブグループは、本発明による低酸素活性化プロドラッグを用いた治療に特に適していることが発見された。
一般的に、管理臨床医は、治療を保証すると思われる任意の基準に基づいて、低酸素活性化プロドラッグにより任意の患者を治療することを選び得る。かかる基準は、癌の種類および病期、被験体の特徴、腫瘍の組織病理学、臨床的徴候、患者および家族の病歴、以前に受けた治療、ならびに任意の組み合わせにおける治療目的を含み得る。以下の情報は、特定の被験体または被験体の群が(他の理由と組み合わせて)、本発明の低酸素活性化プロドラッグでの治療の良好な候補であるかどうかを臨床医が決定することを補助する。
臨床試験により、以下のPFSサブグループ分析が得られた。
Figure 2015508781
被験体および被験体群は、それらの臨床的な状態、病歴および以前の治療の結果を考慮して、任意の組み合わせにおける本開示の上記および他の場所に挙げられた特徴のいずれかまたは全てに従って、治療について選択され得る。治療の性質(低酸素活性化プロドラッグおよび他の化学療法薬の用量およびタイミングなど)も、任意の組み合わせにおける本開示の上記および他の場所に挙げられる特徴のいずれかまたは全てに従って、選択され得る。さらに、被験体の選択のために、血清または血漿のバイオマーカーも使用され得る。例えば、参照により本明細書に援用されるPCT特許出願第US2013/023921号を参照。
したがって、本発明の一局面は、癌を有する被験体を、式Iの低酸素活性化プロドラッグと低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤の組み合わせによる癌の治療について、適格であるかまたは利益を受ける可能性が高いものと同定することである。該方法は、被験体が上述の特徴の1つ以上を有するかどうかを決定する工程、ならびに被験体が該特徴の少なくとも1つを有すると決定された場合に、被験体を、前記プロドラッグおよび化学療法剤を用いた癌の治療に適格であると同定する工程を含む。次いで癌は、これらの基準により同定された患者において選択的に治療され得る。
TH-302および関連のある低酸素活性化薬物での治療の好ましい結果に傾かせる要因としては、以下のことが挙げられる。被験体は50歳、60歳、65歳、70歳、75歳以上である。被験体は、癌の結果として、肉体的に激しい活動が制限される。これは、ECOG動作スケール(performance scale)で測定され得、0は、十分に活動的で、制限なく疾患前の全ての動作を行い得ることを意味し、1は、歩行以外の肉体的に激しい活動が制限されるが、軽度の家庭内またはオフィス内の作業は行い得ることを意味し、2は、歩行可能でありおよび自分自身の世話をすることは可能であるが、あらゆる作業活動を行うことができないことを意味し、3は、起床時間の50%より長くがベッドまたは椅子に制限されて、限定的に自分自身の世話をすることだけが可能であることを意味し、4は、完全に障害されていることを意味する。少なくとも1、2、3または4のECOGスコアは、該治療から特に利益を受け得る。
TH-302での治療の好ましい結果に傾かせる他の要因としては、被験体が転移性の癌を有するかどうかが挙げられる。これは、放射線学的画像化もしくは磁気共鳴画像化により、または生検により決定され得る。癌は、局所的または他の部位に転移し得る。肝臓に転移した癌は治療の良好な候補である。別の要因は、治療の少なくとも1か月、2か月、3か月または3か月より前の被験体における癌の検出である。被験体は、癌について放射線療法で治療されていない。被験体が以前に別の形態の化学療法に失敗してない場合にも、該治療は、より良好に作用し得る。被験体は、貧血、悪液質または炎症と一致する血液マーカー、例えば3.5g/dL未満もしくは1〜5g/dLの循環アルブミンレベル、または12g/dL未満のヘモグロビンレベルもしくは5〜15g/dLの範囲のヘモグロビンレベルを有する。TH-302に良好に応答する可能性を示す要因の多くは、そうでなければ負の予後要因である要因であることを当業者は理解する。例えば、12g/dL未満のヘモグロビンレベルは、貧血状態を示し、驚くべきことに、かかる患者は、本発明の方法によるTH-302などの低酸素活性化プロドラッグを用いた治療に良好に応答する可能性が高い。
良好、無効または有害な結果に傾かせる他の要因は、本開示に示される他の情報から読者に明らかであり、本発明のこの局面において実行され得る。
VIII. 副作用の管理
本開示で特定された低酸素活性プロドラッグの群は、任意にゲムシタビンなどの別の化学療法薬と組み合された低酸素活性化プロドラッグを用いて治療された被験体のある割合において、特定の好ましくない副作用または有害事象(AE)を引き起こし得ることが決定されている。典型的に、かかるAEは、被験体が治療を中止することを必要としない。しかしながら、管理臨床医は、一般的に、治療中にかかるAEに対して警戒するように助言され、AEが生じた場合にはこれらを管理する。これは、プロドラッグの許容可能性、コンプライアンス、治療の有効性および生活の質を改善し得る。
監視および管理するための副作用としては、発疹、悪心、嘔吐、口内炎、皮膚色素過剰、食欲低下、熱性の好中球減少、汎血球減少、血小板減少、蜂巣炎および疲労などの臨床的徴候および/または研究室結果が挙げられる。他の徴候は発熱および下痢である。
口内炎の臨床的な管理は、口腔内の健康および一般的なケアの改善、ならびに任意の組み合わせにおける以下の計画、(1)例えば食塩水または重炭酸塩溶液でのリンス、(2)1つ以上のコーティング剤もしくは滑剤またはサリチル酸ビスマス、スクラルフェート(suralfate)、Amphojel(登録商標)、Kaopectate(登録商標)などのデバイス、Zilactin(登録商標)およびGelclair(登録商標)などのヒドロキシプロピルメチルセルロース膜形成剤の適用、(3)塩酸ベンジダミン、リドカイン、塩酸ジクロニン、ジフェンヒドラミン溶液またはオピオイドなどの1つ以上の局所鎮痛薬または局所麻酔薬の適用、(4)商品名Palifermin(登録商標)で入手可能なケラチノサイト成長因子-1(KGF-1)などの成長因子、創傷閉鎖剤または治癒促進剤の投与のいずれか1つ以上を含み得る。
悪心および嘔吐の管理は、食事調整および適切な水分補給を含み得る。悪心および嘔吐を治療するために使用され得る薬物としては、アプレピタント、ドラセトロン、グラニセトロン、オンダンセトロン、パロノセトロン、プロクロルペラジン、プロメタジン、ロラゼパム、メトクロプラミド、デキサメタゾン、ファモチジンおよびラニチジンが挙げられる。
貧血(熱性の好中球減少、汎血球減少、血小板減少、汎血球減少、血小板減少)の管理は、輸血、ならびにエポエチン、ダルベポエチン(darboetin)および経口または静脈内鉄補給剤などの血液生成を促進する薬物または製品を含み得る。
本発明にしたがって低酸素活性化プロドラッグおよび他の癌薬物での癌の治療を行うための診療所を準備するために、製造業者または流通業者は、これらの薬物を合わせてパッケージングする、倉庫に保管するまたは販売を促進する選択肢を有する。したがって、本発明の一局面は、式Iの低酸素活性化プロドラッグ、任意に低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤、ならびに任意にプロドラッグおよび化学療法剤の投与により被験体中で誘導される1つ以上の副作用(1つまたは複数)を低減するように処方された薬剤を含む、癌の治療における使用のための薬剤の組み合わせである。
したがって、本発明は、癌を治療するため、および異常、病理学的または望ましくない細胞増殖を阻害するための技術を提供する。該技術は、医薬としての製剤、および他の薬物と組み合わせたTH-302などの式Iの低酸素活性化プロドラッグの臨床使用を含む。かかる薬物は、ゲムシタビンなどの化学療法剤、および/またはTH-302および/または共投与される化学療法剤の望ましくない副作用を管理するための薬物を含む。かかる組み合わせの活性成分は、管理臨床医に指示されるように、同時または連続的のいずれかで使用され得る。低酸素活性化プロドラッグは、いずれの薬物単独よりも優れた治療される条件の1つ以上の徴候および/または症状の改善を提供するために、本発明の組み合わせにおける1つ以上の化学療法剤と相乗的に作用し得る。
本発明はまた、TH-302などの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容され得る塩、誘導体、溶媒和物および立体異性体、例えば全ての割合のそれらの混合物の有効量、ならびにさらなる医薬活性成分の有効量の別々のパッケージからなるセット(キット)を提供する。該セットは、箱、個別の瓶、袋またはアンプルなどの適切な容器を含む。該セットは、例えば、それぞれが有効量の本発明の化合物および/またはその薬学的に許容され得る塩、誘導体、溶媒和物および立体異性体、例えば全ての割合のそれらの混合物、ならびに有効量のさらなる医薬活性成分を、溶解した形態または凍結乾燥した形態で含む別々のアンプルを含み得る。本発明のキットはまた、キット中の薬物の取り扱いを説明する記載された指示書を含むかまたは使用者に、該記載された指示書について注意を向けさせる物品を含み得る。
本発明はまた、望ましくない細胞増殖により生じるか、それに媒介されるかまたはそれにより伝播される(propagated)癌などの疾患の予防的または治療的な処置および/またはモニタリングのための、式Iの化合物および/またはその生理学的に許容され得る塩の使用に関する。さらに、本発明は、望ましくない細胞増殖により生じるか、それにより媒介されるかおよび/またはそれにより伝播される、癌などの疾患の予防的または治療的な処置および/またはモニタリングのための医薬の製造のための、式Iの化合物および/またはその生理学的に許容され得る塩の使用に関する。
式Iの化合物および/またはその生理学的に許容され得る塩は、さらなる医薬活性成分の調製のための中間体としてさらに使用され得る。該医薬は、例えば活性成分と、少なくとも1つの固体、液体および/または半液体の担体または賦形剤を、任意に適切な剤型の1つ以上の他の活性物質と合わせて、合わせることにより、非化学的な様式で調製され得る。
本発明の別の局面は、望ましくない細胞増殖により生じるか、それにより媒介されるかおよび/またはそれにより伝播される、癌などの疾患の予防的または治療的な処置および/またはモニタリングにおける使用のための、本発明の式Iの化合物および/またはその生理学的に許容され得る塩である。本発明の別の局面は、過剰増殖性障害の予防的または治療的な処置および/またはモニタリングにおける使用のための、式Iの化合物および/またはその生理学的に許容され得る塩に関する。式Iの化合物、例えばその任意の態様、例えばTH-302に関する本明細書の前述の教示は、過剰増殖性障害の予防的または治療的な処置および/またはモニタリングにおける使用のために、式Iの他の化合物およびそれらの塩に限定されることなく、効果的であり、適用され得る。
実施例
以下の実施例は、例示のみを意図し、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1
ゲムシタビンと組み合わせて投与した場合の、TH-302の有効性を示すため、およびTH-302の安全性を決定するために、従来の用量上昇設計後に、用量拡大(expansion)を続けるものを使用して、第1/2相、複数機関での、用量上昇試験を行った。TH-302の開始用量は、240mg/m2であった。TH-302を、28日(4週間)サイクルの1、8および15日目に30分かけて、静脈内(IV)注入により投与した(アームA)。TH-302注入を完了した2時間後にゲムシタビンを投与した。ゲムシタビンの開始用量は、それぞれの製品表示に記載される承認された用量に従って、一定のままにした。ゲムシタビンの治療計画、用量、スケジュールおよびサイクル長さは以下の通りとした。ゲムシタビンは、1,000mg/m2 IVで、各28日サイクルの1、8および15日目に30分間かけてIV投与した。TH-302は、各28日サイクルの1、8および15日目に上述のように投与した。
用量は、240mg/m2で開始して、次いで、前の用量レベルから40%の増加で用量上昇を続けたが、治療結果に基づいて、20〜40%のより低い用量増加も適用可能であった。TH-302の用量は、3〜6名の患者のコホートで上昇させた。被験体が用量制限性毒性(DLT)を経験した場合、該コホート中合計で6名の患者について、3名のさらなる患者をかかる用量レベルに含めた。さらなるDLTが観察されなかった場合、用量上昇を再開した。しかしながら、コホート内の6名の患者中2名以上がDLTを経験した場合、該用量は、最大許容用量(MTD)を超えるものであるとみなした。次いで、6名の患者を治療して、1名未満の被験体がDLTを経験した次の低用量レベルでMTDを規定した。第1相において、2サイクルごとにCTスキャンを行った。
第1相試験の目的は、TH-302のMTDおよびDLTを決定すること、ならびにゲムシタビンと組み合わせたTH-302の安全性、薬物動態学(PK)および予備的な効果を評価することであった。TH-302+ゲムシタビンのMTDは340mg/m2であった。最初の用量制限性毒性は、血液学的であった。TH-302の血液学的毒性への寄与は、TH-302を骨髄抑制化学療法と組み合わせた場合に決定することが困難であるが、単一薬剤化学療法で予想されるよりも高い血液学的毒性が明らかとなった。240mg/m2を超える用量では皮膚および粘膜の毒性が一般的であった。機構は不明であるが、通常低酸素状態にある上皮の領域におけるTH-302の活性化のためであり得ると思われる。標準的な化学療法へのTH-302の追加は、他の体の系(body system)において毒性を高めるとは思われない。単一薬剤化学療法で予想されるよりも高い応答率は、第1/2相試験において明らかであった。
実施例2
別の第2b相試験において、TH-302は、240mg/m2または340mg/m2のいずれかで、28日サイクルの1、8および15日目に30〜60分かけて静脈内投与した。ゲムシタビンは、28日サイクルの1、8および15日目に、パッケージ挿入物に従って投薬した。214名の患者を無作為化した対照をとった第2b相臨床試験で、第1のラインの進行した膵臓癌を有する患者においてゲムシタビンと組み合わせたTH-302のこれらの用量(240mg/m2および340mg/m2) 対 ゲムシタビン単独の有効性および安全性を比較した。この試験で、無増悪生存期間において63%の改善を有する第1のエンドポイントが達成された。さらに第2の有効性エンドポイントも、ゲムシタビン単独治療アーム対照と比較して、ゲムシタビン+TH-302組み合わせアームの方に傾いた。したがって、この試験により、進行して治療が困難な膵臓癌を有する患者に、TH-302が実体的な利益を付与することが示された。
第1のラインの進行した膵臓癌を有する患者において、ゲムシタビンと組み合わせたTH-302の複数機関での無作為化した対照をとった用量変数第2b相交差臨床試験として、臨床試験を行った。該試験の第1のエンドポイントは、無増悪生存期間であった。第2のエンドポイントは、全体応答率、全生存、CA 19-9の変化、ならびに種々の他の有効性および安全性のパラメーターであった。ベースラインでおよび8週間毎にRECISTを使用して、腫瘍応答を評価した。ゲムシタビンを用いた単一療法が標準的な治療であると考えられている患者は、該試験に適格であった。患者を、3つのコホート、240mg/m2の用量のTH-302+ゲムシタビン、340mg/m2の用量のTH-302+ゲムシタビン、またはゲムシタビン単独の1つに均等に無作為化した。重大な治療関連毒性または進行性の疾患の徴候なく6サイクルの治療を成功裡に完了した患者は、治療を受け続けることができた。患者がゲムシタビン単独において癌の進行を経験した場合、患者は、TH-302+ゲムシタビンコホートの1つに交差(cross over)し得た。149の調査員が評価したPFS事象に基づいて、第1の有効性分析を行い、1回のプロトコルあたり、ゲムシタビン単独と比較した2つのゲムシタビン+TH-302用量群からデータをプールした。
試験の結果は一般的に以下の通りであった(添付の図面にも種々の結果を示す)。中央値無増悪生存期間(PFS)は、ゲムシタビン単独で治療した患者について3.6か月であったことと比較して、240mg/m2のTH-302と組み合わせたゲムシタビンで治療した患者については5.6か月であり、340mg/m2のTH-302と組み合わせたゲムシタビンで治療した患者については6か月であった。TH-302組み合わせとゲムシタビン単独を比較するPFS危険比は0.61であり(95%信頼区間:0.43〜0.87)、これは高度に統計的に有意であった(p=0.005)。組み合わせアームにおける応答率は、ゲムシタビン+340mg/m2のTH-302群において27%およびゲムシタビン+240mg/m2のTH-302群において17%の応答率を含んで、ゲムシタビン単独アームにおける12%と比較して22%であった。他の有効性結果も、TH-302での用量応答と一致して、340mg/m2群で最も高い有効性を示した。
該試験により、薬物組み合わせは良好な安全性プロフィールを有して良好に許容されたことが示された。TH-302に関連する皮膚および粘膜の毒性は用量依存的であったが、用量制限性ではなかった。骨髄抑制は用量制限性であり、一般的に組み合わせアームにおいてより高かった。該試験により、TH-302は、膵臓癌の治療についてゲムシタビンの有効性に寄与することが示された。
図2Aは、ゲムシタビン単独で治療した対照を、異なる用量のTH-302を受けた2つの群(組み合わせ)と比較した場合の無増悪生存期間(PFS)のカプランマイヤー曲線である。中央値PFSは、3.6〜5.6か月であり、TH-302治療群において約2か月の改善があった。図2Bは、並行して、ほぼ同量により全生存(OS)が改善したことを示す。
図3Aは、3つの群における腫瘍サイズの減少を示すウォーターフォールプロットである。腫瘍サイズは、治療前に確立したベースラインからの各被験体における全ての腫瘍の長径の和として計算する。TH-302の後にゲムシタビンを受けている群は、より大きな腫瘍収縮を示した。効果は、与えられたTH-302の用量に依存した。図3Bは、3つの群の被験体の血液中の腫瘍マーカーCA19-9の変化を示すウォーターフォールプロットである。最も大きな減少を示す群は、340mg/m2のTH-302と組み合わせたゲムシタビンを受けた。
実施例3
この実施例は、ゲムシタビンと組み合わせた2つの用量レベルのTH-302 対 ゲムシタビン単独のオープンラベル(open-label)での複数機関での無作為化した第2b相試験(NCT01144455)の更新版である。更新は、2012年9月に行い、実施例2に示したデータのさらなる追跡を含んだ。
患者は、それらの疾患病期に従って分類(stratify)し(切除できない局所的に進行 対 遠位の転移)、図4に示されるように無作為化した。治療は28日サイクルの1、8および15日目に連続して30〜60分の注入(TH-302後にゲムシタビン)で静脈内投与した。患者は、進行した疾患(PD)または許容できない毒性を経験しない限り、臨床的に有益と思われる場合に6サイクルを超えて治療を受け続けることができた。最初に、G単独に無作為化された患者は、PD後に交差し得、2つのG+Tアームの1つに無作為化され得た。
重要な適格性基準は、固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)バージョン1.1、0または1のEastern Cooperative Oncology Group (ECOG)動作状態、および正常値の上限の≦1.5倍のビリルビンレベルに従って測定可能な疾患である、組織学的または細胞学的に確認された局所的に進行した膵管腺癌または転移性の膵管腺癌を含んだ。
Figure 2015508781
結果の基準は無増悪生存期間(PFS)および全生存(OS)であった。両方は、サイクル1の1日目から計算し、カプラン-マイヤー法を用いて評価した。
全部で214名の患者を治療した。中央年齢は65歳(範囲:29〜86)であり、126名(59%)の患者が男性であった。ECOG動作状態は、患者の38%で0であり、患者の62%で1であった。全体的に、患者の76%および24%が、ベースラインでそれぞれ病期IVおよび病期IIIBの疾患を有した。G、G+T240およびG+T340アームそれぞれの32、45および55%の患者は、少なくとも6治療サイクルを受けた。
有効性
中央値PFSは、G+Tアーム 対 Gアームで有意に延長され(図5A)、Gで3.6か月に対して、G+T240で5.6か月[p=0.060]およびG+T340で6.0か月[p=0.008]であった)。患者のベースライン人口統計および疾患特性に従ったPFSのサブグループ分析は、図6に示す全ての分析された変数について、ゲムシタビン単独に対してTH-302と組み合わせたゲムシタビンで良好であった。治療アームに従ったCA19-9応答を以下の表に示す。
Figure 2015508781
客観的な最良の(確認せず)応答(完全応答[CR]+部分応答[PR])は、G+T240およびG+T340アームそれぞれにおいて17%および26%であるのに対して、Gアームにおける患者の10%で観察された(Gに対してG+T240についてp=0.220およびG+T340についてp=0.021)。図7は、観察された腫瘍収縮のウォーターフォールプロットを示す。G、G+T240およびG+T340のそれぞれで治療した患者の67、75および76%で、疾患調節(CR、PR+安定な疾患)が観察された。
G、G+T240およびG+T340についての中央値OSは、それぞれ6.9、8.7および9.2か月であった(図5B)。6か月の生存率は、Gアームにおいて57%、G+T240アームにおいて69%(p=0.123)およびG+T340アームにおいて73%(p=0.037)であった。12か月生存率は、Gアームにおいて26%、G+T240アームにおいて37%(p=0.178)およびG+T340アームにおいて38%(p=0.130)であった。組み合わせアームにおける6か月と12か月のそれぞれの生存率は、ゲムシタビンアームにおける生存よりも、統計的に有意に高かった(第2b相試験においてp<0.20有意性)。12か月後に生存曲線は交差(cross)して、ゲムシタビンからの交差(cross over)後に組み合わせ療法を受ける患者の寄与は、長期的な生存の結果を混乱させた。
最初にGに無作為化された合計14名および12名の患者が、G+T240およびG+T340のそれぞれに交差した。交差後の中央値PFSは、G+T240で1.8か月 対 G+T340で2.9か月であった(p=0.13)。交差後の中央値OSは、G+T240で2.6か月 対 G+T340で13.4か月であった(p=0.010)。
結論として、第1の試験エンドポイントであるPFSは、ゲムシタビン単独と比較して、ゲムシタビン+TH-302の組み合わせで治療した患者において有意に改善した。G+T240およびゲムシタビン単独アームと比較して、G+T340アームにおいて、PFSの改善、客観的な応答率の増加およびCA19-9レベルの減少に関して、一貫した用量効果が明らかになった。
Gアームと比較して、G+T240アームおよびG+T340アームの両方において6か月および12か月に全生存の有意な改善があった。全生存曲線は、治療アーム中で有意に異ならなかった。G+T治療アームの1つに交差したPDを有する対照アーム患者により結果は部分的に説明され得る。Gアームでの進行後の交差の後でG+T240よりもG+T340で有意な長い生存があった。
副作用
以下の表に非研究室的有害事象(AE)を報告する。発疹および口内炎は、G+Tアームにおいてより頻繁に生じた。しかしながら、わずか3名の患者が等級(grade)3の発疹を経験し、口内炎の全ての報告された事象は、等級1/2のものであった。治療により生じた等級3/4の血小板減少は、G、G+T240およびG+T340アームのそれぞれ10、28および57%で報告された。少ない血小板数の結果としての出血のために試験治療を中断した患者はいなかった。
治療により生じた等級3/4の好中球減少は、G、G+T240およびG+T340のそれぞれで治療した患者の16、32および42%で観察され、患者のそれぞれ0、1.4および5.4%が、等級3/4の熱性の好中球減少を経験した。熱性の好中球減少のために試験を中断した患者はいなかった。
皮膚または粘膜の毒性および骨髄抑制は、最も一般的に報告されたTH-302関連AEであった。これらのAEは管理可能であった。ゲムシタビン単独と比較して、治療中断の増加はなかった。
Figure 2015508781
Figure 2015508781
本発明は、特定の態様に関して記載されてきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、変更がなされ得、かつ同等物が置き換えられ得る。また、本発明の範囲を逸脱することなく、物質、方法、方法工程(1つまたは複数)の特定の状況、材料、組成を採用して有益な効果を達成するために、多くの変更がなされ得る。全てのかかる変更は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲内にある。
本明細書に引用される全ての刊行物および特許文書は、かかる刊行物または文書のそれぞれが、具体的かつ個別に参照により本明細書に援用されると示されたように、全ての目的のために、その全体において参照により本明細書に援用される。刊行物および特許文書の引用は、任意のかかる文書が直接関係ある先行技術のことを示すものとして意図されるのもではなく、またかかる引用は、その内容または日付についての何らかの容認を構成するものではない。

Claims (28)

  1. 被験体における癌を選択的に治療する方法であって、
    (a)該被験体が、以下の特徴:
    (i)該被験体が65歳以上である;
    (ii)癌の結果、該被験体が、肉体的に激しい活動を制限される;
    (iii)該被験体が転移性の癌を有する;
    (iv)癌が、少なくとも1か月前に該被験体において最初に検出された;
    (v)該被験体において、癌が肝臓に転移している;
    (vi)癌について、該被験体が放射線療法で治療されていない;
    (vii)該被験体が、3.5g/dL未満の循環アルブミンレベルを有する;および
    (viii)該被験体が、12g/dL未満のヘモグロビンレベルを有する
    の1つ以上を有するかどうかを決定する工程;
    (b)該被験体が、工程(a)に列挙された特徴の少なくとも1つを有すると決定された場合に、該被験体に、式I
    Figure 2015508781
    の低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤の組み合わせを投与する工程
    を含む、方法。
  2. 式Iの低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性プロドラッグではない化学療法剤の組み合わせを用いた被験体の癌の治療に対して、癌を有する被験体が適格であると同定する方法であって、
    (a)該被験体が、以下の特徴:
    (i)該被験体が65歳以上である;
    (ii)癌の結果、該被験体が、肉体的に激しい活動を制限される;
    (iii)該被験体が転移性の癌を有する;
    (iv)癌が、治療の少なくとも1か月前に該被験体において最初に検出された;
    (v)該被験体において、癌が肝臓に転移している;
    (vi)癌について、該被験体が放射線療法で治療されていない;
    (vii)該被験体が、3.5g/dL未満の循環アルブミンレベルを有する;および
    (viii)該被験体が、12g/dL未満のヘモグロビンレベルを有する
    の1つ以上を有するかどうかを決定する工程;
    (b)該被験体が、工程(a)に列挙された特徴の少なくとも1つを有すると決定された場合に、前記プロドラッグおよび化学療法剤を用いた被験体の癌の治療について、該被験体が適格であると同定する工程
    を含む、方法。
  3. 工程(a)が、該被験体が前記特徴のいずれか2つ以上を有するかどうかを決定する工程を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 工程(a)が、該被験体が前記特徴の少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ全てのいずれかの組み合わせを有するかどうかを決定する工程を含む、請求項1または2記載の方法。
  5. 以下の特徴:
    (i)被験体が65歳以上である;
    (ii)癌の結果、被験体が、肉体的に激しい活動を制限される;
    (iii)被験体が転移性の癌を有する;
    (iv)癌が、治療の少なくとも1か月前に被験体において最初に検出される;
    (v)被験体において、癌が肝臓に転移している;
    (vi)癌について、被験体が放射線療法で治療されていない;
    (vii)被験体が、3.5g/dL未満の循環アルブミンレベルを有する;および
    (viii)被験体が、12g/dL未満のヘモグロビンレベルを有する
    の1つ以上を有する被験体における癌の治療における、式Iの低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤の組み合わせの使用。
  6. 該被験体が、前記特徴のいずれか2つ以上を有する、請求項5記載の使用。
  7. 該被験体が、前記特徴の少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ全てのいずれかの組み合わせを有する、請求項5記載の使用。
  8. 低酸素活性化プロドラッグがTH-302である、前記請求項いずれか記載の方法または使用。
  9. TH-302が、治療の各サイクルにおいて240mg/m2または340mg/m2のいずれかの量で静脈内投与される、請求項8記載の方法または使用。
  10. 治療の各サイクルが、TH-302の投与に続いて、TH-302の投与が完了して30分〜8時間後に化学療法剤の投与を含む、前記請求項いずれか記載の方法または使用。
  11. 癌が膵臓癌である、前記請求項いずれか記載の方法または使用。
  12. 化学療法剤がゲムシタビンである、請求項11記載の方法または使用。
  13. (a)被験体に、式I:
    Figure 2015508781
    の低酸素活性化プロドラッグを投与する工程;
    (b)被験体に、低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与する工程
    を含む、膵管腺癌を有する被験体における1つ以上の腫瘍の塊を低減するための方法であって、
    それにより、ベースラインから最下点までの長径の和(SLD)における中央値パーセンテージ変化が少なくとも20%となるように前記腫瘍塊が低減される、方法。
  14. (a)患者に、式I:
    Figure 2015508781
    の低酸素活性化プロドラッグを投与する工程;
    (b)患者に、低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与する工程
    を含む、膵管腺癌を有する患者における全生存を上昇させるための方法であって、
    ここで、該方法に従って治療された患者の中央値全生存が、プロドラッグ単独で治療した前記患者が有すると推定される全生存と比較して、少なくとも2か月上昇される、方法。
  15. 膵管腺癌を有する被験体における、腫瘍の塊を低減するための式Iの低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤の組み合わせの使用。
  16. 膵管腺癌を有する被験体における、全生存を上昇させるための式Iの低酸素活性化プロドラッグおよび低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤の組み合わせの使用。
  17. 低酸素活性化プロドラッグがTH-302である、請求項13〜16いずれか記載の方法または使用。
  18. TH-302が、一回の投薬当たり240mg/m2または340mg/m2のいずれかの量で静脈内投与される、請求項17記載の方法または使用。
  19. 各サイクルにおける化学療法剤の投与が、低酸素活性化プロドラッグの投与を完了して30分〜8時間後に始まる、請求項13〜18いずれか記載の方法または使用。
  20. 化学療法剤がゲムシタビンである、請求項13〜19いずれか記載の方法または使用。
  21. (a)被験体に、式I:
    Figure 2015508781
    の低酸素活性化プロドラッグを投与する工程;
    (b)被験体に、低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤を投与する工程;および
    その後、該被験体において、低酸素活性化プロドラッグの1つ以上の副作用(1つまたは複数)が示される場合に、
    (c)副作用(1つまたは複数)を低減するように処方された医薬剤を投与する工程
    を含む、被験体における癌を治療する方法であって、
    該副作用が、疲労、末梢水腫、悪心、便秘、腹痛、嘔吐、食欲低下、発熱、下痢、発疹または口内炎から選択される、方法。
  22. 低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤と組み合わせた式Iの低酸素活性化プロドラッグの投与により癌患者において誘導される1つ以上の副作用(1つまたは複数)の治療における医薬剤の使用であって、前記医薬剤が、疲労、末梢水腫、悪心、便秘、腹痛、嘔吐、食欲低下、発熱、下痢、発心または口内炎の治療に有効であるように処方される、使用。
  23. (1)式Iの低酸素活性化プロドラッグ;
    (2)低酸素活性化プロドラッグではない化学療法剤;および
    (3)プロドラッグ(1)および化学療法剤(2)の投与により被験体において誘導される副作用(1つまたは複数)を低減するように処方された医薬剤
    を含む、癌の治療における使用のための薬剤の組み合わせであって、
    該副作用が、疲労、末梢水腫、悪心、便秘、腹痛、嘔吐、食欲低下、発熱、下痢、発疹または口内炎から選択される、組み合わせ。
  24. 低酸素活性化プロドラッグがTH-302である、請求項21〜23いずれか記載の方法、使用または組み合わせ。
  25. TH-302が、240mg/m2または340mg/m2のいずれかの量で静脈内投与される、請求項24記載の方法、使用または組み合わせ。
  26. 各サイクルにおける化学療法剤の投与が、低酸素活性化プロドラッグの投与を完了して30分〜8時間後に始まる、請求項21〜25いずれか記載の方法、使用または組み合わせ。
  27. 癌が膵臓癌である、請求項21〜26いずれか記載の方法、使用または組み合わせ。
  28. 化学療法剤がゲムシタビンである、請求項27記載の方法、使用また組み合わせ。
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