JP2015508780A - 免疫不全患者のインフルエンザ及びパラインフルエンザウイルスを処置するための方法、化合物、及び組成物 - Google Patents

免疫不全患者のインフルエンザ及びパラインフルエンザウイルスを処置するための方法、化合物、及び組成物 Download PDF

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Abstract

治療有効量のシアリダーゼ活性を有するタンパク質を含む組成物を患者の気道に投与することにより免疫不全患者のパラインフルエンザ又はインフルエンザウイルス感染を低減又は処置する方法。【選択図】図21

Description

背景技術
ヒトパラインフルエンザウイルス(PIV)は呼吸器疾患の一般的な原因である。4種類のヒトPIVの臨床的及び疫学的特徴は異なる。PIV−1及びPIV−2感染症は、喉頭気管気管支炎又は声帯並びに上気道及び中気道のその他の部分の周辺の膨張に関連している。PIV−3はしばしば細気管支炎及び肺炎に関連している。PIV−4は一般的に、他の種類のヒトPIVより症状が穏やかである。
インフルエンザウイルス(IFV)は、主に鼻、咽喉、気管支、及び肺に影響する感染症を引き起こすことがある。感染症は、高熱、筋肉痛、頭痛、及び重度の倦怠感の突然の発生、乾性咳嗽、咽喉痛、並びに鼻炎を特徴とする。一部のインフルエンザウイルスは、感染した人が咳又はくしゃみをした時に生成する液滴及び小粒子を介して人から人へ容易に伝染する。ほとんどの感染者は医学的処置を必要とせずに1〜2週間以内に回復する。しかし、非常に若い人、高齢者、及び他の重篤な医学的状態を有する人では、感染症は、基礎となる状態の重篤な合併症、肺炎、及び死亡につながり得る。更に、インフルエンザウイルスの特定の株及び種類は健康な成人でも重篤な病気を引き起こし得る。
ドライパウダー吸入器は気道、例えば肺への薬物投与に一般的に用いられる。しかし、一部の患者、例えば子供、特に5歳未満の子供、高齢者、免疫不全患者、及び重篤な病人には、ドライパウダー吸入器は効率的に用いることが難しいことがある。
本発明は、シアリダーゼ活性を有するタンパク質、例えば融合タンパク質(例えば、DAS181)の液体(例えば、噴霧化)製剤を用いて患者を処置する方法及び製剤に関する。この方法及び製剤は、PIV又はインフルエンザウイルス(IFV)に感染した患者を処置するために用いることができる。本発明は更に、シアリダーゼ活性を有するタンパク質、例えば融合タンパク質(例えば、DAS181)を用いて免疫不全患者のPIV感染を処置する方法に関する。そのような免疫不全患者は、乾燥製剤又は液体(例えば、噴霧化)製剤で処置することができる。
シアルジアーゼ活性を有する有用なタンパク質には、シアリダーゼを呼吸上皮にアンカリングするアンフィレギュリングリコサミノグリカン結合配列と融合したシアリダーゼ機能性ドメインからなる46−kDa組換え融合タンパク質であるDAS181が含まれる。DAS181は、宿主細胞表面からシアル酸(SA)を切断することにより、PIV及びIFVの両方に認識される宿主細胞受容体を不活性化し、これにより、宿主細胞をPIV及びIFV感染に対して抵抗性にし得る。
本発明は、患者のPIV又はIFV感染を処置する方法であって、シアリダーゼ活性を有するタンパク質を含む治療有効量の液体組成物(例えば、噴霧化組成物)を含む組成物を患者の気道に投与することを含む方法に関する。本発明は更に、PIV又はIFV感染のリスクがある対象を処置する方法であって、シアリダーゼ活性を有するタンパク質を含む液体組成物(例えば、噴霧化組成物)又はドライパウダー製剤を含む組成物(例えば、治療有効量の組成物)を対象の気道に投与することを含む方法に関する。種々のケースで、患者は免疫不全患者であり;患者は原発性免疫不全症に罹患しており;免疫不全患者は続発性免疫不全症に罹患しており;免疫不全患者は免疫抑制療法で処置を受けている又は受けたことがあり;免疫不全患者は化学療法剤での処置を受けている又は受けたことがあり;免疫不全患者は移植患者であり;タンパク質は、配列番号1又は2と少なくとも90%(95%、98%)同一であるか完全に同一であるアミノ酸配列を含む又はからなり;タンパク質はDAS181であり;組成物は、1又は複数の追加的な化合物を更に含み;投与はドライパウダー吸入器の使用により;投与は鼻腔スプレーの使用により;投与はネブライザーの使用により;投与は気管内チューブ(ETチューブ)及びドライパウダー吸入器の使用により;タンパク質は、シアリダーゼ又はその活性部分を含む。場合によっては、シアリダーゼ又はその活性部分は、Actinomyces viscosusシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、Clostridium perfringensシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、Arthrobacter ureafaciensシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、Micromonospora viridifaciensシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、ヒトNeu2シアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、又はヒトNeu4シアリダーゼ若しくはその触媒ドメインと少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%同一なアミノ酸配列を含み、別の場合には、シアリダーゼ又はその活性部分は、Actinomyces viscosusシアリダーゼ又はその触媒ドメインと少なくとも90%同一である。場合によっては、ペプチドは、アンカリングドメインを含み、アンカリングドメインは、グリコサミノグリカン(GAG)結合ドメインである(例えば、GAG結合ドメインは、ヒト血小板因子4のGAG結合ドメイン、ヒトインターロイキン8のGAG結合ドメイン、ヒトアンチトロンビンIIIのGAG結合ドメイン、ヒトアポタンパク質EのGAG結合ドメイン、ヒト血管関連遊走タンパク質(angio−associated migratory protein)のGAG結合ドメイン、又はヒトアンフィレギュリンのGAG結合ドメインと少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%同一である)。
場合によっては、患者は、肺機能がドライパウダー吸入器を効果的に用いるのに不充分であるか、ドライパウダー吸入器を全く使用できず、例えば患者は人工呼吸器に維持されている。場合によっては、患者は、PIVに感染した免疫不全患者であり、液体製剤で処置されるか(例えば、ネブライザーを用いる)、乾燥製剤で処置される(例えば、ドライパウダー吸入器を用いる)。
場合によっては、免疫不全患者は、悪性腫瘍、白血病、コラーゲン−血管性疾患、先天性又は後天性の免疫不全症(例えばAIDS)の患者、免疫抑制療法を受けている臓器移植レシピエント、及び免疫抑制療法を受けているその他の患者を含み得る。
本発明のその他の特徴及び利点が以下の詳細な説明、図面、及び請求項から明らかになるであろう。
図1は、ウイルスの成長及び培養を示す写真のセットである。LLCMK−2細胞を感染の24時間前に播種し、その後、0.02又は0.2mLのウイルス培養陽性試料を接種した。細胞は感染前にちょうどサブコンフルエントであった。感染の進行を接種の3日後及び5日後に記録した。細胞死及びCPEは接種の3日後までに検出可能となり、接種の5日後までに有意に進行した。0.02及び0.2mLの初回接種はどちらも感染を開始させるのに充分である。NV=非ウイルス。PI=感染後。 図2は、DFA分析の結果を示す写真のセットである。細胞をカバースリップ上で成長させ、TFID50で感染させ、その後、感染の72時間後に固定した。固定後、Light Diagnostics PIV3 DFAアッセイを用いて細胞を染色した。染色に特異的なチャネルを用いて顕微鏡下で蛍光を可視化し、ProgRes CaptureProソフトウェア(イエナオプティック社(Jenoptik)製)を用いて写真を撮った。 図3は、DFA試薬を用いた代表的プラークを示す写真のセットである。プラークアッセイを24ウェルプレートで行い、次いで材料及び方法に記載されているようにDFA試薬を用いて染色した。各希釈物の代表的プラークが示されており、ウェル中の全プラークの計数から得られた最終タイターを画像の右側に示す。タイターを得るために、計数可能なウェルを平均化し、希釈倍率をかけた。プラークは緑色で示されており、核は青色で示されている。TNTC=多すぎて計数不可。PI=感染後。 図4は、DFA試薬を用いた代表的プラークを示す写真のセットである。プラークアッセイを24ウェルプレートで行い、次いで材料及び方法に記載されているようにDFA試薬を用いて染色した。各希釈物の代表的プラークが示されており、ウェル中の全プラークの計数から得られた最終タイターを画像の右側に示す。タイターを得るために、計数可能なウェルを平均化し、希釈倍率をかけた。プラークは緑色で示されており、核は青色で示されている。TNTC=多すぎて計数不可。PI=感染後。 図5は、6日目及び7日目の標準的なプラーク減少アッセイを示すグラフのペアである。プラーク減少アッセイを種々の濃度のDAS181を用いて6ウェルプレートで行い、プラークを可視化できた感染の6日後又は7日後のいずれかで固定した。DAS181はアッセイ全体を通してオーバーレイ中に残っていた。プラークを数え、グラフ化してEC50値を決定した。 図6は、蛍光分析を用いた代表的プラーク形成を示す写真のセットである。感染の48時間後に細胞を固定し、PIV3 DFA試薬を用いてプラーク形成を可視化した。プラークは緑色で示されており、核は青色で示されている。 図7は、3連で行ったプラーク減少アッセイを示すグラフであり、EC50値を各アッセイについて決定した。これらの値から得られた平均EC50値は約4nMであった。 図8は、TCID50の抑制を示す写真のセットである。LLCMK−2細胞を感染の24時間前に播種し、その後、公知のTCID50で感染させた。感染の2時間後、プレートを0.05%グルタルデヒドで固定し、次いでαPIV抗体で染色した。暗い染色はウイルスの拡散を示す。 図9は、ウイルス拡散分析を示す写真のセットである。細胞を0.1のMOIで感染し、その後、DAS181処置(10nM)あり又はなしで、感染の24、48、及び72時間後のウイルス拡散についてアッセイした。細胞を固定した後、PIV3特異的DFA試薬で染色し、顕微鏡下で可視化した。PIV3感染の存在が緑色で示されており、核は青色で示されている。 図10は、10nM DAS181処置でのウイルス放出を示すグラフである。感染後(MOI=0.1)、細胞を10nM DAS181で処置し(又は偽処置)、その後、細胞から放出された感染性ウイルスをプラークアッセイにより測定した。組織培養上清(DAS181あり又はなし)を1、2、及び3日目に試験し、時間に対してタイターをプロットした。 図11は、6日間のPIV3ウイルス放出実験を示すグラフである。細胞を低MOI(0.01)で感染し、その後、10nM DAS181処置又は偽処置した。組織培養上清の回収によりウイルス放出を測定し、プラークアッセイにより感染性ウイルスをアッセイした。 図12は、患者サンプルの初回接種を示す写真のセットである。EIND患者から回収されたPIV3を含むと思われるサンプルをLLCMK2細胞の接種に用いた。培養をCPE及びウイルス感染の証拠についてモニタリングした。感染後5日目までに、0.2mLの患者サンプルを接種したウェルは、ウイルス感染を示す相当のCPE及び細胞死を示した。これらのウェルから更なる増幅のためのウイルスを回収した。DFAアッセイによりPIV3の存在が確認された(図13)。NV対照は、PIV3抗原の陽性染色を示さず、感染したPIV3サンプルは視野中の全細胞がPIV3陽性(緑色で示される)であることを示している。核は青色で示されている。 図13は、ウイルスの種類の同定を示す写真のセットである。接種したウイルス培養物を呼吸器系ウイルスの存在について及びPIV3の存在についてDFA分析で特異的に試験した。感染細胞をスライドガラス上にスポットし、適切な抗体(呼吸器系ウイルスのパネルを認識する抗体又はPIV3に特異的な抗体のいずれか)で染色した。染色に特異的なチャネルを用いて顕微鏡下で蛍光を可視化し、ProgRes CaptureProソフトウェア(イエナオプティック社製)を用いて写真を撮った。 図14は、DFA試薬を用いた代表的プラークの写真のセットである。プラークアッセイを24ウェルプレート中で行い、その後、材料及び方法に記載されているようにDFA試薬を用いて染色した。1つの希釈物の代表的プラークが示されており、これは48時間までのウイルスプラークの急速な拡散を示している。タイターを得るために、計数可能なウェルを平均化し、希釈倍率をかけた。プラークは緑色で示されており、視野中の全細胞が青色で示されている。 図15は、プラーク減少アッセイ(PRA)を示すグラフである。プラーク減少アッセイを3連で行い、各アッセイでEC50値を求めた。これらの値を用いて得られた平均EC50値は約28nMであった。 図16は、TCID50の抑制を示す写真のセットである。LLCMK−2細胞を感染の24時間前に播種し、その後、公知のTCID50で感染させた。感染の2時間後、プレートを洗浄して残留ウイルスを除き、その後、段階希釈したDAS181を含むアガロース/培地で表面を覆った。感染の3日後、プレートを0.05%グルタルアルデヒドで固定し、次いでaPIV3抗体で染色した。緑色蛍光は単層全体へのウイルスの拡散を示しており、一方、全細胞が青色の染色で示されている。 図17は、3日間のPIV3ウイルス放出実験の結果を示すグラフである。細胞を低MOI(0.01)で感染し、その後、100nM DAS181処置又は偽(mock)処置した。組織培養上清の回収によりウイルス放出を測定し、プラークアッセイにより感染性ウイルスをアッセイした。 図18は、ウイルス量の減少を示すグラフである(投与日を赤色で示す)。 図19は、ウイルス量の変化を示すグラフである。 図20は、処置日に対するウイルス量の変化を示すグラフである。 図21は、プレドニゾン及びタクロリムスによる処置、酸素投与、並びにPIV3量を示すグラフのセットである。
シリダーゼ活性を有する融合タンパク質であるDAS181がPIVの臨床単離株及びPIV感染患者に対して有効であることを示す実験を以下に説明する。シアリダーゼ活性を有する種々のタンパク質が米国特許第8,084,036号に記載されており、DAS181が米国特許第7,807,174に記載されており、これらの両方の全体を参照により本明細書に援用する。
DAS181は、シアリダーゼの触媒ドメイン及びアンカリングドメインを含む融合タンパク質である。単離されたDAS181は、アミノ末端メチオニン(Met)を有する場合もあり、有さない場合もある。本明細書中、DAS181という用語は、その配列が配列番号1及び2として本明細書中に提供されている2つの形態のいずれか又は混合物を指す。本明細書中に記載されている例の複数でDAS181又はDAS181を含む組成物を用いる。
DAS181及びシアリダーゼ活性を有する他のタンパク質、例えば米国特許第8,084,036号又は同第7,807,174号に記載のタンパク質は、液体製剤又は乾燥製剤で気道に送達される医薬組成物中に含められ得る。
本明細書に記載のタンパク質は、種々の補形剤(excipient)を含む医薬組成物へと製剤化され得る。場合によっては、製剤は、追加的な有益な作用をもたらす追加的な活性成分を含んでよい。
本発明は、少なくとも1つのシアリダーゼ活性を含む治療化合物及び組成物を用いる方法を含む。配列番号1又は2と少なくとも90%、95%、98%、又は99%同一なタンパク質がとりわけ有用であり得る。場合によっては、配列番号1又は2中のアミノ酸と異なるアミノ酸は保存的置換である。保存的置換は、以下の5グループのいずれかの内における交換として定義することができる:
I.小さく、脂肪族であり、非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly
II.負に帯電した極性残基及びそのアミド;Asp、Asn、Glu、Gln
III.正に帯電した極性残基:His、Arg、Lys
IV.大きな脂肪族非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys
V.大きな芳香族残基:Phe、Try、Trp
上記グループ中、以下の置換が「高度に保存的」であると見なされる:Asp/Glu、His/Arg/Lys、Phe/Tyr/Trp、及びMet/Leu/Ile/Val。半保存的置換は、上記(I)、(II)、及び(III)を含むスーパーグループ(A)又は上記(IV)及び(V)を含むスーパーグループ(B)に限定される上記グループ(I)〜(IV)の2つの間での交換として定義される。更に、本願中で疎水性アミノ酸が指定される場合、それらはアミノ酸Ala、Gly、Pro、Met、Leu、Ile、Val、Cys、Phe、及びTrpを指し、親水性アミノ酸はSer、Thr、Asp、Asn、Glu、Gln、His、Arg、Lys、及びTyrを指す。
ネブライザーによる投与又は剤形は一般的に、活性成分に加えて大量の水を含む。少量の他の成分、例えばpH調整剤、乳化剤、又は分散剤、保存剤、界面活性剤、又は緩衝剤及び他の安定化剤及び溶解補助剤も存在し得る。
経鼻製剤は、滴薬、噴霧薬、エアゾール剤として、又は任意の他の鼻腔内用の剤形で投与することができる。必要に応じて、送達系は単位用量送達系であり得る。1回の投薬で送達される溶液又は懸濁液の体積は約5〜約2000マイクロリットル、約10〜約1000マイクロリットル、又は約50〜約500マイクロリットルのどこかであり得る。これらの種々の剤形の送達系は、単位用量又は複数回用量パッケージでの、ドロッパーボトル、プラスチックスクイズユニット(squeeze unit)、アトマイザー、ネブライザー、又は薬剤エアゾールであり得る。
本発明の液体製剤は、以下を含むように変えることができる:(1)pHを調整するためのその他の酸及び塩基;(2)ソルビトール、グリセリン、及びデキストロース等のその他の等張化剤;(3)その他のパラヒドロキシ安息香酸エステル、ソルバート、ベンゾアート、プロピオナート、クロルブタノール、フェニルエチアルコール、塩化ベンザルコニウム、及び水銀剤等のその他の抗微生物保存剤;(4)カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及び他のゴム等のその他の粘稠化剤;(5)好適な吸収促進剤、(6)安定化剤、例えば、バイサルファイト及びアスコルバート等の酸化防止剤、エデト酸ナトリウム等の金属キレート化剤、並びにポリエチレングリコール等の薬物溶解促進剤;及び(7)アミノ酸等のその他の剤。
本発明の一実施形態は、約0.01mg〜約100mgのDAS181(又はシアリダーゼ活性を有する別のポリペプチド)投与量等の種々の投与量の液体医薬組成物を含む。そのような投与量の例としては、約0.05mg、0.06mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、20mg、50mg、又は100mg/日の用量が含まれる。上記の用量は、1日に1回又は複数回、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日、又はそれ以上の期間投与され得る。より多い又はより少ない用量も投与され得る。典型的には、投与量は、約1ng/kg〜約10mg/kg、約10ng/kg〜約1mg/kg、及び約100ng/kg〜約100マイクログラム/kgであり得る。本明細書に記載の種々の例において、0.0008mg/kg、0.004mg/kg、0.02mg/kg、0.06mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.6mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、及び5.0mg/kgの投与量を含む種々の投与量の本明細書に記載の組成物でマウスを処置した。
「シアリダーゼ」とは、基質分子からシアル酸残基を除去できる酵素である。シアリダーゼ(N−アシルノイラミノシルグリコヒドロラーゼ(N−acylneuraminosylglycohydrolase)、EC 3.2.1.18)は、シアロ−コンジュゲートから加水分解的にシアル酸残基を除去できる酵素の一群である。シアル酸は、糖タンパク質及び糖脂質に結合したオリゴ糖鎖の最も外側の位置に通常見出される9炭素骨格を有するαケト酸である。シアル酸の主な種類のシアル酸の1つはN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)であり、これは他の種類のほとんどの生合成前駆体である。基質分子は、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、ガングリオシド、又は合成分子であり得るが、これに限定されるものではない。例えば、シアリダーゼは、シアル酸残基と基質分子の残部との間でα(2,3)−Gal、α(2,6)−Gal、又はα(2,8)−Gal連結を有する結合を切断することができる。シアリダーゼは更に、シアル酸残基と基質分子の残部との間でいずれか又は全ての連結を切断することができる。Neu5Acと炭水化物側鎖の最後から2番目のガラクトース残基との間の2つの主な連結、すなわちNeu5Acα(2,3)−Gal及びNeu5Acα(2,6)−Galが自然界に見出される。ヒトウイルスはNeu5Acα(2,6)−Galを好むようであり、トリ及びウマのウイルスは主にNeu5Acα(2,3)−Galを認識するが、Neu5Acα(2,3)−Gal及びNeu5Acα(2,6)−Gal分子はどちらもインフルエンザウイルスに受容体として認識され得る。シアリダーゼは天然のシアリダーゼであってもよく、操作されたシアリダーゼ(例えば、限定されるものではないが、アミノ酸配列が天然シアリダーゼの配列に実質的に相同な配列を含む天然シアリダーゼの配列に基づくシアリダーゼ)であってもよい。本発明において、「シアリダーゼ」は更に、天然シアリダーゼの活性部分又は天然シアリダーゼの活性部分に基づく配列を含むペプチド若しくはタンパク質を意味し得る。
「融合タンパク質」とは、少なくとも2つの異なるソースに由来するアミノ酸配列を含むタンパク質である。融合タンパク質は、天然タンパク質に由来する又は天然のタンパク質の全部若しくは一部に実質的に相同なアミノ酸配列を含み得、それに加え、異なる天然タンパク質の全部若しくは一部に由来する又は実質的に相同な1個から非常に多数のアミノ酸を含み得る。あるいは、融合タンパク質は、天然タンパク質に由来する又は天然タンパク質の全部若しくは一部に実質的に相同なアミノ酸配列を含み得、それに加え、合成配列である1個から非常に多数のアミノ酸を含み得る。
「シアリダーゼ触媒ドメインタンパク質」とは、シアリダーゼの触媒ドメインを含むタンパク質又はシアリダーゼの触媒ドメインに実質的に相同であるが触媒ドメインが由来するシアリダーゼの全アミノ酸配列は含まないアミノ酸配列を含むタンパク質であり、シアリダーゼ触媒ドメインタンパク質は、触媒ドメインが由来するインタクトなシアリダーゼと実質的に同じ活性を保持している。シアリダーゼ触媒ドメインタンパク質は、シアリダーゼに由来しないアミノ酸配列を含み得るが、必ずではない。シアリダーゼ触媒ドメインタンパク質は、1又は複数の他の公知のタンパク質のアミノ酸配列に由来する又はこれと実質的に相同なアミノ酸配列を含んでよく、あるいは、他の公知のタンパク質のアミノ酸配列に由来しない又はこれと実質的に相同でない1又は複数のアミノ酸を含んでよい。
「治療有効量」とは、組成物又は化合物が単一剤形で対象に投与された時に所望の治療的、予防的、又は他の生物学的な作用又は反応に必要な組成物又は化合物の量を意味する。組成物又は化合物の具体的な量は、組成物又は化合物の性質、処置される状態の性質、対象の年齢及びサイズ等の条件に応じて広く異なり得る。
「処置(treatment)」とは、状態、障害、又は疾患の症状の1又は複数を回復させるかその他の点で有益に変化させるあらゆる方法を意味する。処置は更に、例えば気道の粘液を減少させるための、本明細書に記載の組成物又は化合物の任意の医薬的使用を包含する。
「気道」とは、鼻、咽喉、咽頭、喉頭、気管、及び気管支を含む鼻から肺胞への空気の通り道を意味し、これは肺も含み、医師に呼吸器系と呼ばれることもある。
「吸入器」とは、鼻又は口を介して吸入される(自然に肺に吸い込まれるか機械により肺に吸い込ませる)スプレー又はドライパウダーの形態の薬を与えるためのデバイスを意味し、限定されるものではないが、受動的又は能動的な人工呼吸器(機械的構造であり、気管内チューブを備えても備えていなくてもよい)、ネブライザー、ドライパウダー吸入器、定量吸入器、及び加圧噴霧式定量吸入器を含む。
「吸入薬」とは、鼻又は口を介して吸入される任意の物質である。
本発明において「補形剤(excipient)」とは、薬剤の活性成分のキャリアとして単独で又は組み合せて用いられる1又は複数の不活性な物質又は化合物を意味する。本発明において、「補形剤」は更に、有益な作用を向上させるために医薬組成物に含められる又は活性成分との相乗作用を有する、1又は複数の物質又は化合物を意味する。
実施例1−臨床単離株
DAS181がPIVの臨床単離株を抑制できることを示すインビトロ実験を以下に記載する。PIVの臨床単離株はPIVの研究室株より患者に感染するPIVにより似ているので、この実験は意味がある。このウイルスで確立されたウイルス複製を50%抑制するのに必要な有効濃度(EC50)は約4nM DAS181であった。
更に、ウイルス成長分析により、DAS181なしでは、0.01又は0.1のMOIのどちらで感染させてもウイルスは細胞培養単層中を急速に進行することが示された。どちらの場合も、DAS181処置なしでは感染後3日目までに有意な細胞変性効果(CPE)及び細胞死が観察された。しかし、10nM DAS181の存在下では、細胞層は感染の経過中そのまま留まっており、プラークアッセイにより測定されるウイルス放出はかなり低減した。総合すると、これらのデータは、DAS181がこのPIV3の臨床単離株に対して有効であり、ウイルスにより誘発される細胞毒性及び細胞死に対して保護的であることを示している。
実験デザイン及び結果
ドライアイス上で受け取った試料を分析時まで−80℃で保存した。分析の準備ができた時、サンプルを、LLC−MK2細胞を用いてウイルスについて試験し、ウイルス感染について評価した(ウイルスの種類及び株)。感染が確認された場合、ウイルスを2回、ウイルスストックの増幅が充分になるまで継代した。ウイルスの成長特性の特徴解析及びDAS181の有効抑制用量を確立した。
Figure 2015508780
短時間の低速遠心により細胞を除去して上清だけを得た後、LLCMK2細胞への接種に試料(BAL及び組織培養陽性上清)を用いた。呼吸器系ウイルス直接蛍光分析(DFA)スクリーンを用いたウイルス種の最初の同定にDFAを行った。分離されたウイルス上清(0.02又は0.2mL)を、適切なラベリング及び同定手順を用いて6ウェルプレートに接種した。
初回ウイルス接種を含むウェルから得られた上清を、ウイルス成長培地(VGM)を含む新鮮な細胞の複数のウェルに入れた。細胞を前述したようにCPEについてモニタリングした。感染の3日後、各単離株のウェルの1つをDFA分析のために回収した。
LLC−MK2細胞の初回ウイルス接種物を数日間(ウイルス株及び成長特性によって異なる)CPEについてモニタリングした。細胞死、シンシチウム形成、細胞の円形化又は拡大、及び細胞成長の全体的変化等の観察結果を記録した。感染の約3〜5日後(又は細胞がCPEを示した時)、細胞を−70〜−80℃で凍結してウイルスを放出させた。より大きな成長容器中へのウイルスの増幅後、ウイルスを−70〜−80℃で凍結して長期間保存した。
ウイルスサンプルの継代:上記初回単離の複製ウェルを用いてウイルスの成長を続けた。実質的な細胞溶解/細胞死後、上清を新しい細胞に移した。ウイルスの各継代からのウイルスも−70〜−80℃で凍結してウイルスストックを保存した。増幅させるために、高いタイターのウイルスがかなりの体積で得られるまでウイルスを未感染細胞と継代した。ウイルスを凍結するために、1%DMSOを加え、ウイルスを小分けにして−70〜−80℃で凍結した。
呼吸器系ウイルス抗原の確認:呼吸器系ウイルス病原体(アデノウイルス、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ1型、パラインフルエンザ2型、パラインフルエンザ3型、及び呼吸器多核体ウイルスを含む)の存在についてスクリーニングするために最初のDFA分析を用いた。DFA分析はメーカーの指示書(カタログ番号3137、ミリポア社、テメキュラ、カリフォルニア州)に従って行った。呼吸器系ウイルス抗原の存在を示すスクリーニング試験の陽性結果の後、個々のウイルスの株及びサブタイプに特異的な上記キットの構成要素を用いてウイルス株を確認した。ウイルス株の分析後、メーカーの指示書に従って細胞をスライド上にスポットして(又はガラス製カバースリップ上で成長させて)適切な分析ができるようにした。
ウイルス単離株の同定:上記のようにウイルスを継代した後、増殖性感染を生じた試料で確認のためのDFA分析を行い、同定されたウイルスサブタイプを確認した。ウイルスの種類の変化をモニタリングできるようにウイルス実験中に異なる期間で連続的確認を行った。
ウイルスストックの凍結及び組織化:ウイルス株を同定及び確認した後、元の単離株からウイルスストックを増幅し、確実に継代数が少なくなるように複数に小分けして−70℃で凍結した。SOP、及びプラークアッセイの改変を以下に記載するように行った。元の単離株にできるだけ近い特徴(表現型及び遺伝子型の両方)を維持するために、その後の全ての分析に低継代ウイルスを用いた。
ウイルスストックのタイター測定:ウイルスストックをLLC−MK2細胞単層上でタイターし、感染後2〜7日目に、0.05%グルタルアルデヒド又は4%ホルムアルデヒドで固定した後、PIVサブタイプ特異的抗体及びDFA試薬と一緒にインキュベートすることによりアッセイした。染色後、プラークを数え、カウント数に従ってタイターを決定した。
TCID50の抑制:感染の1日前に3×10細胞/プレートの密度でLLC−MK2細胞を6ウェルプレートにプレーティングした。翌日、細胞を1×PBSで1回洗浄した後、ウイルスストックで同定されたTCID50で感染させた。感染の2時間後、1000nM〜0.1nMの種々の濃度のDAS181(10倍の段階希釈)を含むアガロースで細胞を覆った。非薬物対照及び非ウイルス(NV)対照も評価した。感染の3〜5日後(細胞が実質的な細胞変性効果を示した時)、細胞を固定し、次いでPIV2/3に特異的な抗体で染色した。抗体で染色した後、プレートを1×PBS+0.05%Tween−20で3回洗浄した。次いで、プレートをTBP/BCIP基質で10〜15分間又は染色が見えるようになるまで染色した。代表的な写真を撮り、ウイルスの拡散及びDAS181処置による抑制レベルに関して観察を行った。
プラーク減少アッセイ:改変プラーク減少アッセイ(PRA)を行って、感染を50%抑制するのに充分なDAS181レベル(EC50)を決定した。感染前日に3×10細胞/プレートの密度で細胞を24ウェルプレートに播種した。翌日、細胞を1×PBSで洗浄した後、100pfu/ウェル以下で2時間感染させた。最初の2時間の後、培地を吸引し、細胞を再度1×PBSで洗浄した。適切な濃度のDAS181(1000nM〜0.1nM)を含む、アガロースを含む2×イーグル最小必須培地(EMEM)(比率1:1)でプレートを覆った。各濃度のDAS181を2連(in duplicate)のウェルでアッセイし、得られたプラーク数を2つのウェルで平均化した。プラークを2日間形成させ、その時点で0.05%グルタルアルデヒド又は4%ホルムアルデヒドでプレートを固定した。固定後、メーカーの指示書に従って適切な抗体又はDFA試薬でプレートを染色した。
プラークアッセイを用いたウイルス成長曲線(+/−DAS181):DAS181あり/なしでの経時的ウイルス放出を、感染前日に24ウェルプレートに細胞を播種(3×10細胞/プレート)することにより評価した。翌日、細胞を低い感染多重度(MOI)(0.01〜0.1)で感染し、感染の2時間後、培地を除去し、ウイルスを抑制するのに必要な同定された濃度のDAS181と共に又はなしで新鮮な培地を補充した。対照処置ウェル中で約80〜90%の細胞死が明らかになるまでウイルス上清を24時間毎に回収し、次いでDAS181を含む培地を補充した。上清を−80℃で凍結した後、PIVの標準的プラークアッセイにより各サンプルのウイルス価を評価した。細胞をガラス製カバースリップ上で成長させ、次いでプラーク減少アッセイについて上記で記載したように固定及び染色したこと以外は同じ実験構成を用いて、ウイルスの拡散も評価した。
定量的リアルタイムRT−PCRを用いたウイルス成長曲線:上記(セクション8.3)のアッセイの構成で更に、定量的リアルタイム逆転写(RT−PCR)によるウイルス定量を試みた。ウイルス上清を上記と同様に回収し、次いでRNAを調製した。等体積のウイルス上清を出発材料として用い、サンプル間での精製の差による各サンプルから単離されたRNA量の差の対照として対照RNA(GAPDH)を各サンプルにスパイクした。次いで、1ステップRT−PCR反応でRNAを分析した。
PIV3サンプルの初回接種:培養液に0.02又は0.2mLの患者サンプル(BAL又は以前に同定された陽性組織培養上清)を接種した。細胞を5日間成長させ、CPE又はウイルス感染のその他の証拠について毎日観察した。感染後3日目及び5日目に、写真を撮り、組織培養上清を接種した細胞においてCPEを観察した(図1)。BALサンプルは増殖性ウイルス感染(productive viral infection)を生じず、一方、ウイルス培養上清は、感染の3日後には早くもCPEの徴候を示した。0.2mLのウイルス上清を接種した細胞は、0.02mL接種した細胞よりも比例的に多くのCPEを示した。感染後5日目までに、0.2mLのウイルス上清を接種した細胞はかなり進行し、約50%の細胞死を示し、これは培養全体へのウイルスの拡散を示している。0.02mLのウイルス上清を接種したサンプルはこの日までに更に進行したが、0.2mL接種サンプルと比べると感染はかなり少なかった。BALサンプルはこの時点までに依然としてウイルス感染の徴候を示さなかった。更なる観察(14日目まで延長)により、このサンプルでは増殖性ウイルス感染が単離されないことが確認された。DFAアッセイによりPIV3の存在を確認した(図2)。NV対照はPIV3抗原に対する陽性染色を示さず、一方、感染PIV3サンプルは、視野中の全細胞がPIV3に陽性であることを示している。
タイターを決定するためのプラークアッセイ:この患者から単離したPIV3をLLC−MK2細胞上で最小限継代した後、改変プラークアッセイを用いてタイター測定した。このウイルスがPIV3参照株ほど容易且つ一定してプラーク形成しなかったことから、この標準アッセイの複数の変法を試験した。以前のPIV参照株プラークアッセイと比べて、このウイルスは、適切な抗体で染色した時に目に見えるプラークを形成するまではるかに長い時間がかかった。感染後6日目までに、プラークサイズは不定であり、多くは依然としてサイズがはるかに小さかったが、プラークを可視化することができた。7日目までに、サイズのばらつきが依然として見られたが、プラークは非常に容易に可視化することができた(非公開データ)。比較すると、参照株はこの方法で感染後3日目までに容易且つ一定に可視化された。プラークアッセイ及びプラーク減少アッセイの両方で正確且つ一定の結果を得るために、一定のプラーク数に必要な培養の時間が短縮され且つこの特定のウイルス単離株に固有のより小さなプラークの可視化能が向上するように両方のアッセイを改変した。改変アッセイは、標準的なプラークアッセイ/プラーク減少アッセイについて説明したのと同じ原理に基づく。しかし、PIVのプラーク形成は大きな表面積を必要としないので、アッセイフォーマットを24ウェルプレートの構成で行うように変更した。ウイルスを段階希釈し(10−1〜10−6)、複製(duplicate)ウェルをプラークアッセイのために感染させ、次いでウイルスを洗浄し、通常のプラークアッセイの手順で記載したように2×MEM:アガロース混合物で覆った。感染を48時間進行させ、次いで、細胞を固定し、ウイルスの種類の同定及び確認に用いたのと同じDFA試薬で染色した(図4)。
臨床PIV3単離株のDAS181試験:標準プラーク減少アッセイでは、見えるプラークが発達するのに7日まで延長したDAS181処置が必要であった。培養中留まる時間が長くなり、ウェル中の薬理学的活性が失われるので、ウイルスの抑制に必要なDAS181の量が増加した。この時間は、一定で正確な抑制情報を得るには長すぎると見なした(図5)。改変プラーク減少アッセイには、ウイルスを希釈してVGM中50pfu/ウェルで細胞に感染させた。感染の2時間後、プレートを洗浄し、段階希釈されたDAS181(1000nM〜0.1nM)を含む又は対照としてDAS181を含まない、2×VGM:アガロースのオーバーレイで覆った。ウイルス感染を48時間続け、その後、細胞を固定し、前述のDFA試薬で染色した。各希釈物の代表的プラークを図6に示す。プラークサイズもDAS181濃度の上昇と共に減少した。希釈物当たりの総数のグラフを示し、各グラフのEC50値を示す(図7)。プラーク減少アッセイは、複数の日数及び継代にわたる正確なEC50値を確実にするために、3つの異なる日数で3回行った。これらのデータから、このウイルスで得られた平均EC50値は約4nMである。
臨床PIV3単離株のTCID50のDAS181抑制:プラーク減少アッセイを用いてDAS181によりウイルス産生が強く抑制されたことから、本発明者らは更に、より高い感染多重度で薬物がウイルスを抑制する能力を調べた。そのために、PIV3臨床単離株で同定されたおおよそのTCID50で細胞への感染を行い、次いで、感染の2時間後に段階希釈DAS181(0.1〜100nM)で処置し、アガロースで覆った。感染の5日後、細胞を固定し、PIV3特異的抗体で染色した。アルカリホスファターゼとコンジュゲートした二次抗体を用いてウイルス抗原を可視化し、次いでTBP/BCIP基質で染色した(図8)。ウイルス抗原は暗い紫色の染色で示されている。1〜10nMでウイルス感染の抑制が観察され、一方、0.1nM DAS181で処置された細胞は非薬物対照と同様なウイルス拡散を示した。プラーク減少アッセイを裏付けるように、これらの結果は、ウイルス感染の拡散を限定するのに必要なDAS181の抑制濃度が1〜10nMであったことを示唆している。感染させたウェルのそれぞれでピンポイントプラークの形成が観察されたが、0.1nMを超える全試験濃度のDAS181で拡散はかなり抑制された。
DAS181によるウイルスの拡散及び放出の抑制:ウイルス感染の抑制をより良く定量化するために、ウイルス成長分析を行った。最初に、ウイルス拡散をモニタリングするためのDFA分析を用いて感染の経過全体にわたり(72時間)ウイルス拡散をモニタリングした。これを行うために、細胞をガラス製カバースリップ上で成長させ、0.1のMOIで感染させた。感染の2時間後にウイルスを除去し、細胞をDAS181で処置し(又はPBSで偽処置)、次いで24時間毎にウイルス拡散についてアッセイした。カバースリップをPIV3用DFA試薬で染色し、ウイルス感染の有無について評価した。感染後の全ての時点で、10nM DAS181処置はウイルスの拡散を有意に抑制した(図9)。図9で用いたのと同じ細胞を、経時的なウイルス放出についても評価した。DAS181処置又は偽処置されたウェルから24時間毎に組織培養上清を回収し、その後、分析時まで−80℃で凍結した。前述したようにプラークアッセイによりウイルス価(PFU/mL)を評価し、次いで時間に対してグラフ化した。未処置細胞と比べて、DAS181処置細胞から放出されるウイルスの量は時間と共に劇的に減少した(2log超)(図10)。
より長い感染期間にわたるウイルス放出を評価するために、より低いMOI(0.01)で細胞に感染させ、上記と同様に評価した。DAS181処置細胞が感染のタイムコース全体にわたり有意により少ない感染性ウイルスを産生したという同様な傾向が観察された(図11)。感染後3日目までに、未処置細胞でのウイルス感染は大幅に進行し、全ての細胞がCPEを示した。感染後4日目までに、未処置細部は死滅し始め(約50%)、6日目までに、未処置ウェルは約90〜95%の細胞死を示した。DAS181処置細胞では、ウイルス性CPEは感染後4日目まで観察されず、この時点で、ウイルス感染の徴候(円形化又は細胞死)を示した細胞の割合は少なかった。感染後6日目までに、ウイルス感染はわずかに拡散したが、大部分の細胞はまだ生きており、最小限のCPEの徴候を示した。DAS181処置サンプルでは感染後4日目までにウイルス放出も増加したが、これは依然として未処置サンプルよりかなり少なかった。
結論
DAS181は1〜10nMの全ての濃度でこのPIV3臨床株を効果的に抑制する。確立されたEC50は約4nMであり、これは、このアッセイで調べたほとんどのインフルエンザ株を抑制するのに必要なEC50より低い。細胞培養中の感染中のDAS181処置は、経時的ウイルス放出を効果的に2log超低減する。低MOIで感染した場合、PIV3感染により誘発される細胞毒性及び細胞死が感染後3日目までにかなり生じる。標準プラークアッセイ及びプラーク減少アッセイの改変により、これらのアッセイの一貫性及び実行可能性を向上させることができる。これらのデータは、現在知られているDAS181の能力を種々のPIV単離株の効果的抑制にまで拡張し、DAS181によるPIV臨床単離株の抑制を実証している。
材料及び方法
細胞及びウイルス:元のLLC−MK2細胞をATCC(マナサス、バージニア州)から受け取り、最低限の回数継代(4回未満)して複数のソースバイアルを得た。細胞は、研究対象試料を受け取る前に解凍し、試験サンプル接種前に少なくとも2回継代した。
細胞培養維持及びウイルス成長培地:細胞を3〜4日毎に分割し、イーグルMEM(カタログ番号11095−098、ライフテクノロジーズ社、カールズバッド、カリフォルニア州)、10%FBS(カタログ番号14−502F、ロンザ社(Lonza)、リバーサイド、カリフォルニア州)、1×Glutamax(カタログ番号35050、ギブコ社(GIBCO)、カールズバッド、カリフォルニア州)、及び1×Antibiotic/Antimycotic溶液(カタログ番号A5955、シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)を2〜3日毎に供給した。細胞を標準的なプロトコールに従って充分な培地中に維持し、維持又は試験のために取り出さない限り、5%CO2を含む湿ったチャンバー内で37℃で成長させた。細胞をPBS(カタログ番号14040、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)で洗浄し、TrypLE Express(カタログ番号12605−010、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)を用いてトリプシン処理した。細胞の個々のフラスコを標準的プロトコールに従って維持し、継代日、科学者のイニシャル、細胞継代数、及び細胞名をラベリングした。実験により決められた6ウェルプレート又は24ウェルプレート(コーニング社(Corning)、ローエル、マサチューセッツ州)を含む適切な試験装置中でウイルス感染を行った。感染前の増幅中、細胞をポリスチレン製フラスコ(コーニング社、ローエル、マサチューセッツ州)中に維持した。ウイルス成長培地は、E−MEM(前述)、1×Glutamax(前述)、終濃度3.0μg/mLに希釈した3.0mg/mLのアセチル化トリプシン(カタログ番号T6763、シグマ社)、及び1%ITS(カタログ番号41400、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)からなる。プラークアッセイのオーバーレイ培地は、dHO中で終濃度が1×培地及び0.9%アガロースである、前述のE−MEM培地(2×濃度)と1.8%Noble Agar(カタログ番号10907、USB社(USB Corp.)、クリーブランド、オハイオ州)との1:1(vol:vol)混合物からなる。これらの実験に用いたDAS181のロットは、濃度25.5mg/mLで2009年1月20日に調製されたLot#20080715であった。
RNA抽出及び増幅:QIAamp Viral RNA精製キット(カタログ番号52904、キアゲン社、バレンシア、カリフォルニア州)又はMagMAX(商標)−96 Total RNA Isolation Kit(カタログ番号AM1830、アンビオン社、フォスターシティー、カリフォルニア州)をメーカーの指示書に従って用いてRNA抽出を行った。TaqMan(登録商標) One−Step RT−PCR Master Mix Reagents Kit(カタログ番号4309169)をメーカーの指示書に従って用いてウイルスRNAの増幅及び定量を試みた。これらの分析を開始したが、現在確立されているアッセイフォーマットはこれらの実験に対して信頼性が高くないことが分かったので、これらのデータは本報告には含めなかった。
抗体及び染色試薬:TCID50プレート染色には、αPIV2/3(カタログ番号20−PG90、フィッツジェラルド社、アクトン社(Acton)、マサチューセッツ州)抗体を用い、次いでロバ抗ヤギ二次抗体(カタログ番号V1151、プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン州)を用いた。1−Step NBT/BCIP基質(カタログ番号34042、サーモサイエンティフィック社、ロックフォード、イリノイ州)を用いて抗体染色を可視化した。
実施例2−PIV3臨床単離株
実験デザイン及び結果
別個の実験で、PIV3の第2臨床単離株を試験した。参照(実験室適合)株と比べて、この臨床単離株は、培養中でより速く成長し、24時間以内に培養全体にすぐに広がるプラークを形成した。このウイルスは更に、非常に高いタイターに成長し、このことは、この特定のPIV3株の病原性が高いことを示している。このウイルスに対して確立されたEC50は約28nMであった。
更に、ウイルス成長分析により、DAS181なしで、0.01のMOIで感染した時に、ウイルスが細胞培養単層中を急速に進行することが示された。感染後3日目までに、DAS181処置なしで有意なCPE及び細胞死が観察された。しかし、100nM DAS181存在下では、細胞層は感染期間中主にインタクトなままであり、プラークアッセイにより測定されたウイルス放出はかなり低減した。総合すると、これらのデータは、DAS181がこのPIV3臨床単離株に対して有効であり、ウイルスにより誘発される細胞毒性及び細胞死に対して保護的であることを示している。
試料は分析時まで−80℃で保存した。分析の準備ができた時、LLC−MK2細胞を用いてサンプルをウイルスについて試験し、ウイルス感染を評価した(ウイルスの種類及び株)。感染が確認された場合、ウイルスストックのための増幅が充分になるまでウイルスを2回継代した。ウイルスの成長特性を特徴解析し、DAS181の有効抑制用量を確立した。
Figure 2015508780
臨床試料の接種:短時間低速で遠心して細胞を除去して上清だけを得た後、LLC−MK2細胞への接種に試料(鼻腔スワブ)を用いた。DAS181処置する前に回収した鼻腔スワブだけで増殖感染が行った。呼吸器系ウイルスDFAスクリーンを用いて任意のウイルス種の最初の同定のためにDFAを行った。分離したウイルス上清(0.02又は0.2mL)を、適切なラベリング及び同定手順で6ウェルプレートに接種した。ウイルスの種類に特異的なDFA試薬を用いてPIV3抗原の存在を調べた。
初回接種材料の単離:初回ウイルス接種材料を含むウェルに由来する上清を、ウイルス成長培地(VGM)を含む新鮮な細胞の複数のウェルに入れた。細胞を前述したようにCPEについてモニタリングした。感染の3日後に、各単離株のウェルの1つをDFA用に回収した。
ウイルス増幅:LLC−MK2細胞の初回ウイルス接種をCPEについて数日間モニタリングした。細胞死、シンシチウム形成、細胞の円形化又は拡大、及び細胞成長の全体的変化等の観察結果を記録した。感染の約3〜5日後(又は細胞がCPEを示した時)、細胞を−70〜−80℃で凍結してウイルスを放出させた。より大きな成長容器中へのウイルスの増幅後、ウイルスを小分けして−70〜−80℃で凍結して長期間保存した。
呼吸器系ウイルス抗原の確認:呼吸器系ウイルス病原体(アデノウイルス、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ1型、パラインフルエンザ2型、パラインフルエンザ3型、及び呼吸器多核体ウイルスを含む)の存在についてスクリーニングするために最初のDFAを用いた。DFA分析はメーカーの指示書(カタログ番号3137、ミリポア社、テメキュラ、カリフォルニア州)に従って行った。呼吸器系ウイルス抗原の存在を示すスクリーニング試験の陽性結果の後、個々のウイルスの株及びサブタイプに特異的な上記キットの構成要素を用いてウイルス株を確認した。ウイルス株の分析のために、メーカーの指示書に従って細胞をスライド上にスポットして(又はガラス製カバースリップ上で成長させて)適切な分析ができるようにした。
ウイルスストックの凍結及び組織化:ウイルス株を同定及び確認した後、元の単離株からウイルスストックを増幅し、確実に継代が少なくなるように複数に小分けして−70℃で凍結した。元の単離株とできるだけ近い特徴(表現型及び遺伝子型の両方)を維持するために、その後の全ての分析に低継代ウイルスを用いた。
ウイルスストックのタイター測定:ウイルスストックをLLC−MK2細胞単層上でタイターし、感染後2日目に、0.05%グルタルアルデヒド又は4%ホルムアルデヒドで固定した後、PIVサブタイプ特異的DFA試薬と一緒にインキュベートすることによりアッセイした。染色後、プラークを数え、カウント数に従ってタイターを決定した。
TCID50の抑制:感染の1日前に3×10細胞/プレートの密度でLLC−MK2細胞を6ウェルプレートにプレーティングした。翌日、細胞を1×PBSで1回洗浄した後、ウイルスストックに対して同定されたTCID50で感染させた。感染の2時間後、1000nM〜0.1nMの種々の濃度のDAS181(10倍の段階希釈)を含むアガロースで細胞を覆った。非薬物対照及び非ウイルス(NV)対照も評価した。感染の3〜5日後(細胞が実質的なCPEを示した時)、細胞を固定し、次いでPIV3特異的DFA試薬で染色した。抗体で染色した後、プレートを1×PBS+0.05%Tween−20で3回洗浄した。次いで、プレートをウイルスの拡散について分析した。代表的写真を撮り、ウイルスの拡散及びDAS181処置による抑制レベルに関して観察を行った。
プラーク減少アッセイ:改変プラーク減少アッセイ(PRA)を行って、感染を50%抑制するのに充分なDAS181レベル(EC50)を決定した。感染前日に3×10細胞/プレートの密度で細胞を24ウェルプレートに播種した。翌日、細胞を1×PBSで洗浄した後、100PFU/ウェル以下で2時間感染させた。最初の2時間の後、培地を吸引し、細胞を再度1×PBSで洗浄した。適切な濃度のDAS181(1000nM〜0.1nM)を含む2×EMEMを含むアガロース(比率1:1)でプレートを覆った。各濃度のDAS181を2連のウェルでアッセイし、得られたプラーク数を2つのウェルで平均化した。プラークを2日間形成させ、その時点で0.05%グルタルアルデヒド又は4%ホルムアルデヒドでプレートを固定した。固定後、メーカーの指示書に従って適切な抗体又はDFA試薬でプレートを染色した。
プラークアッセイを用いたウイルス成長曲線(+/−DAS181):感染前日に24ウェルプレートに細胞を播種(3×10細胞/プレート)することにより、DAS181あり/なしでの経時的なウイルス放出を評価した。翌日、細胞を0.01の感染多重度(MOI)で感染し、感染の2時間後、培地を除去し、ウイルスを抑制するのに必要な同定された濃度(100nM)のDAS181を含む又は含まない新鮮な培地を補充した。対照処置ウェル中で約80〜90%の細胞死が明らかになるまでウイルス上清を24時間毎に回収し、次いでDAS181を含む培地を補充した。上清を−80℃で凍結した後、プラークアッセイにより各サンプルのウイルス価を評価した。
PIV3サンプルの初回接種:培養に0.02又は0.2mLの患者サンプル(BAL又は以前に同定された陽性組織培養上清)を接種した。細胞を5日間成長させ、CPE又はウイルス感染のその他の証拠について毎日観察した。感染後5日目に、写真を撮り、0.2mL組織培養上清を接種した細胞においてCPEを観察した(図12)。0.2mLの上清を接種した細胞は、0.02mL接種した細胞よりも比例的に多くのCPEを示したので、これらのウェルでウイルス増殖を続けた。感染後5日目までに、0.2mLウイルス上清を感染させた細胞はかなり進行し、約50%の細胞死を示した。これは培養全体へのウイルスの拡散を示している。0.02mLウイルス上清を接種したサンプルはこの日までに幾分進行したが、0.2mLの接種サンプルと比べると感染はかなり少なかった。
接種したウイルス培養物を、呼吸器系ウイルスの存在及びPIV3の存在についてDFAにより特異的に試験した。感染細胞をスライドガラスにスポットし、呼吸器系ウイルスのパネルを認識する抗体又はPIV3に特異的な抗体で染色した(図13)。
タイターを決定するためのプラークアッセイ:この患者から単離したPIV3をLLC−MK2細胞上で最小限継代した後、改変プラークアッセイを用いてタイターした。以前のPIV参照株プラークアッセイ及び別のPIV3臨床単離株と比べて、このウイルスは、はるかに速く成長し、適切な抗体/染色試薬で染色した時に目に見えるプラークを形成した。感染後2日目までに、プラークを可視化することができ、この時点までに多くは有意に拡散していた。このウイルスに用いた改変アッセイは、標準的なプラークアッセイ/プラーク減少アッセイで説明したのと同じ原理に基づく。しかし、PIVのプラーク形成は大きな表面積を必要としないので、アッセイフォーマットを24ウェルプレートの構成で行った。ウイルスを段階希釈し(10−1〜10−6)、プラークアッセイのために複製ウェルを感染させ、次いでウイルスを洗浄し、通常のプラークアッセイの手順で記載したように2×MEM:アガロース混合物で覆った。感染を36〜48時間進行させ、次いで、細胞を固定し、ウイルスの種類の同定及び確認に用いたのと同じDFA試薬を用いて染色した(図14)。この接種から産生した感染性ウイルスで同定されたタイターは8×10PFU/mLであった。これは他のPIV3臨床単離株より実質的に高い(2×10PFU/mLと比べて)。
臨床PIV3単離株のDAS181試験:プラーク減少アッセイのために、ウイルスを希釈してVGM中50PFU/ウェルで細胞に感染させた。感染の2時間後、プレートを洗浄し、段階希釈されたDAS181(1000nM〜0.1nM)を含む又は対照としてDAS181を含まない2×VGM:アガロースオーバーレイで覆った。ウイルス感染を48時間続けた後、細胞を固定し、前述のDFA試薬で染色した。行った最初のプラーク減少アッセイでは、用量依存的なウイルス感染の減少により、その後のアッセイにおけるグラフとの比較でより低いEC50が示された点で、正確なEC50値が得られなかったため、平均EC50の計算に含めなかった。このウイルスの成長特性は、これまで調べた他のPIV3株と大きく異なっているので、この最初の実験は異常値であると決定された。ウイルスの成長特性が確立された後、3つの異なるプラーク減少アッセイを行った。各実験のEC50値を示す(図15)。複数の日数及び継代にわたる正確なEC50値を確実に得るために3つの異なる日にプラーク減少アッセイを3回行った。このウイルスで確立された平均EC50値は約28nMである。
臨床PIV3単離株のTCID50のDAS181抑制:プラーク減少アッセイを用いてDAS181によってウイルス産生が大幅に抑制されたことから、本発明者らは更に、より高い感染多重度で薬物がウイルスを抑制する能力について調べた。そのために、PIV3臨床単離株で同定されたおおよそのTCID50で細胞を感染させ、次いで、感染の2時間後に段階希釈DAS181(0.1〜1000nM)で処置し、アガロースで覆った。感染の3日後、細胞を固定し、PIV3に特異的な抗体で染色した(図16)。ウイルス抗原は緑色で表されている。10〜100nMでウイルス感染の抑制が観察され、一方、0.1〜1nM DAS181で処置された細胞は非薬物対照と同様なウイルス拡散を示した。プラーク減少アッセイを裏付けるように、これらの結果は、ウイルス感染の拡散を制限するために必要なDAS181の抑制濃度が10〜100nMであることを示唆している。感染したウェルのそれぞれでピンポイントのプラークの形成が観察されたが、試験した1nMを超える全濃度のDAS181で拡散が実質的に抑制された。DAS181なし又は0.1nM DAS181を含むウェルでは、細胞単層は、より高い濃度のDAS181で処置されたウェルと比べてCPEが有意に高まっており、このことは、DAS181が更に細胞毒性に関して保護的な作用を有することを示している(非公開データ)。
DAS181によるウイルスの拡散及び放出の抑制:ウイルス感染の抑制をより良く定量化するために、ウイルス成長分析を行った。最初に、DFA及びプラークアッセイを用いて感染期間全体(72時間)にわたりウイルスの拡散をモニタリングして、上清に放出されるウイルス量を決定した。これを行うために、細胞に0.01のMOIで感染させ、次いで、感染の2時間後にウイルスを除去し、細胞を100nM DAS181で処置(又はPBSで偽処置)した。24時間毎に、細胞をCPEについてモニタリングし、後でのタイター分析用にウイルス上清を回収及び凍結した。感染後の全ての時点で、100nM DAS181による処置は、ウイルス感染の細胞毒性作用から細胞単層を保護した(非公開データ)。感染後3日目までに上清に放出されたウイルス価(PFU/mL)は同程度であったが、ウイルス放出も感染期間中約1log抑制された(図17)。感染後3日目までに、偽処置した細胞は、ウイルス価の低下に示されるように約95%の細胞死を示し、一方、DAS181で処置したウェルは依然として約70%の細胞単層生存を示した。これらの結果は、このアッセイでなぜウイルス価が最終的に同程度になったのかを説明していると考えられ、この特定の単離株のウイルス感染の急速な進行によるものであると考えられる。
結論
DAS181は10〜1000nMの全ての濃度でこのPIV3の臨床単離株を効果的に抑制する。確立されたEC50は28nMであった。細胞培養中の感染期間中のDAS181処置は、活性感染サイクル中に経時的ウイルス放出を約1log効果的に低減した。低MOIで感染させてDAS181で処置しなかった場合、PIV3感染により誘発される細胞毒性及び細胞死が感染後3日目までに実質的に見られ、DAS181処置は、ウイルス誘発細胞毒性から細胞単層を保護する。これらのデータは、現在知られているDAS181の能力を種々のPIV単離株の効果的抑制に拡張し、更に、PIV3の臨床単離株に対して、更には最も病原性の高い株と見なされるものに対してさえDAS181が有効であることを示している。
材料及び方法
細胞及びウイルス:元のLLC−MK2細胞をATCC(マナサス、バージニア州)から受け取り、複数のソースバイアルを得るために最低限の回数(4回未満)継代した。細胞は、研究対象試料を受け取る前に解凍し、試験サンプル接種前に少なくとも2回継代した。PIV3を含む試料をLLC−MK2細胞に接種し、2回継代して大量のウイルス上清を得た。ウイルスの特徴を維持するために細胞培養中で最低限継代したウイルス上清を回収した。
細胞培養の維持及びウイルス成長培地:細胞を3〜4日毎に分割し、Eagles−MEM(カタログ番号11095−098、ライフテクノロジーズ社、カールズバッド、カリフォルニア州)、10%FBS(カタログ番号14−502F、ロンザ社、リバーサイド、カリフォルニア州)、1×Glutamax(カタログ番号35050、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)、及び1×Antibiotic/Antimycotic溶液(カタログ番号A5955、シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)を2〜3日毎に供給した。細胞を標準的なプロトコールに従って充分な培地中に維持し、維持又は試験のために取り出さない限り、5%COを含む湿ったチャンバー内で37℃で成長させた。細胞をPBS(カタログ番号14040、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)で洗浄し、TrypLE Express(カタログ番号12605−010、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)を用いてトリプシン処理した。細胞の個々のフラスコを標準的プロトコールに従って維持し、継代日、科学者のイニシャル、細胞継代数、及び細胞名をラベリングした。実験により決められた6又は24ウェルプレート(コーニング社、ローエル、マサチューセッツ州)を含む適切な試験装置中でウイルス感染を行った。感染前の増幅中、細胞をポリスチレン製フラスコ(コーニング社、ローエル、マサチューセッツ州)中に維持した。ウイルス成長培地はE−MEM(前述)、1×Glutamax(前述)、終濃度3.0μg/mLに希釈した3.0mg/mLアセチル化トリプシン(カタログ番号T6763、シグマ社)、及び1%ITS(カタログ番号41400、ギブコ社、カールズバッド、カリフォルニア州)からなる。プラークアッセイのオーバーレイ培地は、、dHO中で終濃度が1×培地及び0.9%アガロースである前述のE−MEM培地(2×濃度)と1.8%Noble Agar(カタログ番号10907、USB社、クリーブランド、オハイオ州)との1:1(vol:vol)混合物からなる。これらの実験に用いたDAS181のロットは、濃度25.5mg/mLで2009年1月20日に調製されたLot#20080715であった。
抗体及び染色試薬:TCID50プレート染色では、Direct Fluorescence Antibody分析キットをメーカーの指示書に従って用いた(カタログ番号3137、ミリポア社、テメキュラ、カリフォルニア州)。
以下の実施例3〜10では、ネブライザー及びDAS181の液体製剤又はドライパウダー吸入器及びDAS181の乾燥製剤のいずれかを用いてDAS181処置したEIND患者のサブセットの結果を説明する。
実施例3−噴霧化DAS181を用いた患者1の処置
PIV3感染を診断された18ヶ月の乳児(女性)でDAS181処置を開始した。この乳児は、同時に急性リンパ性白血病(ALL)も診断された。既存の動物毒性学データに基づいて最初の保存的投薬プランを作製した。患者の年齢のため、薬物は噴霧化形態でしか送達することができなかった。この症例で用いたネブライザーを表1に示す。
Figure 2015508780
患者に挿管している間に最初の投薬プランを作製した。利用可能な毒性学の情報に基づいて2分間の投薬で開始するように勧められた。0.35mL/分のアウトプットで、呼吸可能(1〜5μm)な割合は0.24mL/分であり、これは1分当たり0.16mgのDAS181の送達に相当する。2分間の投薬で、0.32mgのDAS181呼吸用エアゾールが送達されるように噴射された(合計0.46mgのDAS181が送達)。
フォローアップ投薬プラン
有害作用の症状が観察されず、患者が臨床的に安定していた場合、噴霧化の時間を4分間に延ばし、その後の2日間、再度症状をモニタリングした。
最初の3日間の投薬後、PIV3に特異的な定量PCRによる測定で、PIVウイルス量は実質的に低下していた。患者は最初ウイルス量が非常に高かったが(気管呼吸中10/mL)、投薬最終日の後の2日以内に、このレベルは5log以上(10コピー/mLに)低下した。しかし、最初の投薬を中止した後、患者のウイルス量はリバウンドし、このことは、最初の投薬が感染を排除するのに充分でなかったことを示している。この期間中、患者は臨床的に改善し、わずかによりクリアな胸部X線を示した。更に、これらの最初のDAS181投薬後に人工呼吸器サポートの改善が観察された。ウイルスの排除がなかったこと及び患者の臨床状態から、患者へのDAS181の投薬を続けることが推奨された。
患者に再度4分間投薬した。穏やかな臨床的改善が観察されたが、定性的DFA及び定量的PCR評価の両方で患者はまだPIV陽性であった。患者に5回目のDAS181投薬を行った。患者の臨床状態は改善し続け、5回投薬後に患者から抜管した。
DAS181の1回の断続的投薬後には、臨床的改善が見られたものの、患者のPIVウイルス量はわずかに低下しただけであった(約1log)。患者をDAS181でもう1コース処置することが推奨された。上記のように患者から抜管したので、投薬プランを少し修正した。
挿管していない若い子供では、患者のコンプライアンス、使い易さ、及び患者の快適さの点から、噴霧化した薬物を送達する最も容易な方法はマスクである。適切な投薬を推定するために、マスクを用いた送達効率並びに口腔及び鼻腔への薬物のロスを検討した。送達効率の低下を補うためにより長い投薬が必要であった。
粒子サイズが3〜5μmのDAS181ドライパウダーの開発データから、送達される薬物の約30〜35%が口腔及び中咽頭に堆積することが示された。文献データも、理想的状況で子供にネブライザー及びマスクを用いた場合、肺への堆積は放出される用量の約48%であることを示している。乳児の肺への薬物堆積に関する文献はかなりばらつきがあり、流量、乳児の協力、マスクのフィット/デザイン、及び投薬時間に大きく依存することに留意すべきである。送達効率の寄与因子を総合すると、送達効率の少なくとも50%の低下が予想された。これに基づき、標準的なネブライザーをマスク装備と共に用いて8分間の投薬で開始することが推奨された。挿管しながらの患者への投薬と比べて、追加的な投薬時間により、口腔/鼻腔及びマスク環境への潜在的ロスを補った。投薬溶液標品には何の変更も加えなかった。8分間の投薬で、1.8mgの総DAS181が送達されると予想され、1.25mgのDAS181が呼吸可能な形態であると予想された。
1日1回(8分間)のDAS181投薬で5回患者を処置した。このラウンドの投薬後、各投薬の直前及び投薬後の日に患者から採取した鼻洗浄液サンプル中のウイルス量の定量的評価により示されたように、PIV3ウイルス量は再度実質的に低下した(3log超)。図18(投薬日を赤色で示す)に示されるように、ウイルス量の減少は、最後の投薬後5日間低下し続け、投薬のかなり後まで低下し続けた。最終的に患者は退院し、ウイルス量は検出不能になるまで低下した。
この症例の結果は、挿管された患者及びマスクを用いた患者の両方への噴霧化DAS181溶液の可能な送達方法を実証している。推定された投薬プランは正確であり、両方の方法で同等な量のDAS181が送達された。更に、これらのデータは、若い乳児におけるDAS181の使用を支持しており、この送達方法で用いた時の安全性、効果的な薬物送達、及び薬物の抗ウイルス作用を実証している。
実施例4−噴霧化DAS181を用いた患者2の処置
患者は、AMLで末梢血液幹細胞の移植を受けた61歳の男性であった。移植後の経過は、皮膚のGVHD、RSV肺炎、病因不明の肺小結節、及びGVHDによるものと思われる膀胱の症状のエピソード(これに対して患者はステロイドで処置されている)を合併していた。翌年、患者は咳、呼吸困難、及び胸部痛により外部の病院に来た。患者はBALの経験があり、アデノウイルス肺炎の可能性に対してシドホビルを開始しており、進行性の呼吸不全で7月1日に病院を移った。患者は血中アデノウイルス(86,000コピー/ml)を有することが見出され、PCRにより上咽頭サンプル中にアデノウイルス(Ct=38.4)及びPIV−3(Ct=32.3)を有していた。シドホビルが続けられた(1mg/kg、週3回)。患者に挿管し、この時点でBALはアデノウイルス又は他の病原体を示さなかったが、DFA及びPCRによりPIV−3陽性であった(Ct=18.8)。処置前、患者の状態は徐々に悪化してきており、換気サポート(FIO2=約90%、10mm PEEP)の必要性が増してきていた。気管吸引物はCt=13でPIV3に陽性であり、おそらく非常に高いウイルス量であった。
インラインネブライザーを介して1日1回DAS181を与えるものとした。溶液中のDAS181濃度は1.29mg/mLとした。1日目に1.5mlを送達するものとし、2日目は用量を2.5mlに増やすものとした。3〜5日目の推奨用量は2.5〜5mlであり、最後の用量は患者の臨床反応に基づいて選択した。ウイルス量、検査室分析、及び臨床観察を毎日行うものとした。
噴霧化DAS181(1.5mL)で1日処置した後、患者は薬物に良く耐え、ウイルス量は約1log低下した。0.35mL/分のアウトプット速度で、この量を約4分間投薬した。その結果の用量は、呼吸可能な範囲に約1.3mgのDAS181であった。
2回目の投薬(2.5mL、呼吸可能な範囲に2.2mgのDAS181)後、患者は生きており、患者の酸素化(oxygenation)がわずかに改善され、(FiO2=0.9、PEEPが、飽和度93%で1.0の代わりに10、飽和度88〜90%で12))、患者の肺コンプライアンスが改善された(1回呼吸量が、圧力調整20で380から圧力調整18で430へ)点でわずかに良いと記録された。患者の胸部X線写真は、びまん性の浸潤を有し続けていたが、肺の上側の両側で密度が低くなっていたかも知れない。以下の表2に示すように、2回の投薬後にウイルス量は1log超低下していた。
Figure 2015508780
2回目のDAS181投薬後、患者の家族は全ての延命措置の中止を望むと決断した。したがって、これ以上DAS181は投薬しなかった。
実施例5−噴霧化DAS181を用いた患者3の処置
この患者は、間質性肺疾患の可能性があると評価された47歳の女性であった。この患者は、過敏性肺炎の可能性が診断され、ステロイドで処置された。患者は呼吸不全で入院した。この患者から回収したBALは、定性的PCR(呼吸器系ウイルスパネル)でPIV−3に陽性であった。他の診断検査は全て陰性であった。この患者でびまん性肺炎が観察され、患者は酸素化のためにECMOに維持された。
この患者に提唱された投薬は、患者の肺機能状態の悪化のため、ネブライザーを介したDAS181の投与であった。最初の用量は、濃度1.3mg/mLの1.5mLのDAS181ストック溶液とし、総用量は呼吸可能範囲に1.3mg DAS181である。2回目の用量は、患者の状態及び検査室での読取から2.5mLに増やすものとした(2.5mLのストック溶液は、呼吸可能範囲の2.2mgのDAS181に等しい)。3〜5日目の用量は2.5〜5.0mLとした。エアロゲン社(Aerogen)製Pro−Xネブライザーシステムをメーカーの指示書及び臨床現場の推奨に従って用いるものとした。
DAS181を5日間投薬した後、患者は処置期間の大半でECMOに維持されたままであった。患者の胸部X線は最初の3回の投薬後に改善しているようであった。何らかの急性呼吸促迫症候群(ARDS)が起こっていることが疑われ、患者の肺状態の不良には複数の要因があると結論付けられた。処置コースの終了後、患者はECMOを外し、マスクによる酸素補充を用いて呼吸できるようであった。これは患者の臨床状態の顕著な改善であった。
この患者から得られた実験結果を表3に要約する。ウイルス学的結果は、各日の投薬直前の対象から回収した咽喉スワブサンプルから得られた(2つのスワブを3mLの標準コパン社(Copan)製ウイルス輸送培地に接種した)。
Figure 2015508780
上記表に示したデータを図19に示す。
実施例6−噴霧化DAS181を用いた患者4の処置
患者4は、7ヶ月の男性であり、基礎疾患としてSCIDS(T−/B+NK−)を有し、骨髄移植後GVHDを合併しており、持続性のPIV3感染で来院した。DAS181処置前にPIV3感染は約6週間持続し、患者は全期間にわたり持続的に酸素を必要とした。患者は、機械的換気が必要なまで進行し、更に肺炎が診断され、これはステロイド及び抗生物質による21日間の処置コースで処置された。患者はIVIGを受けたが、パラインフルエンザは持続した。胸部X線が異常で持続的に低酸素であり、持続的な酸素の補充が必要であったが、患者から抜管した。患者は、自家骨髄移植を受け骨髄移植後のGVHDに免疫抑制を受けた後、更に病気が悪化した。呼吸器系フィルムアレイPCRによりDAS181処置の前にPIV3感染が確認された。更に、直接蛍光分析(DFA)によりPIV3が確認された。
追加的な5日間の投薬によるフォローアップ処置コースをオプションとする、ネブライザーにより送達される溶解したDAS181ドライパウダーの最初の5日間のコースが推奨された。このEINDに対するFDAの承認を得た。薬物はAeronebネブライザーを用いてマスクを介して投与された。
最初のDAS181投薬(1.5mL;1.9mg DAS181)は有害作用なしになされた。その後、次の4回の投与を行った(1.5mL;1.9mg DAS181)。この最初の5日間の投薬中、患者は中程度の臨床的改善の徴候を示し始めた。肺のクラックルが存在したが、3回目のDAS181が投与されるまでに解消された。しかし、患者は、最初の5日間の投薬中、症候性のままであり、酸素補充(大流量鼻腔カニューレを介して4〜6L)が必要なままであった。処置経過中、試験薬に関連した有害作用は観察されなかった。医師は、もう1回の投薬ラウンド分、DAS181処置を続けることを推奨した。
マスクを用いて更に4回DAS181を投与した(1.5mL、1.9mg DAS181)。アルカリホスファターゼレベルの上昇により、最後の3回のDAS181処置中はDAS181を隔日で投与した。この処置経過中、患者は実質的な臨床的改善を示しているようであった。酸素補充の必要量は改善し始め、処置の最後にはたったの0.5L/分に低下した。胸部X線及び一般的観察の両方で肺機能も実質的な改善が報告された。患者は更に、処置経過中、咳が減少し、患者の呼吸パターンはより正常になった。
この患者のウイルス量の結果をDFA(半定量的)及びqPCR(定量的)による評価から得た。上咽頭サンプルを毎日qPCRで検査し、必要に応じてDFAで検査するものとした。以下の表4に、各評価から得られたウイルス量の結果を要約する。DFAの結果は、陰性(感染が全く観察されない)から4+(視野中の細胞の100%がPIV陽性)の間で測定されている。qPCRの結果はRNAコピー/mLで測定されている。上咽頭スワブを両方の評価に用いた。
Figure 2015508780
全体として、患者は処置の間ずっと顕著な臨床的改善を示し、アルカリホスファターゼの顕著な増加以外、薬物の有害作用は報告されなかった。ウイルス学的結果は幾分異なり、DFAの評価はウイルス感染の実質的な低減を示し、処置の終了までに陰性のDFA結果になったが、qPCRの結果は、処置経過の最後にサンプル中にウイルスが依然として存在することを示している。この時点ではなぜ結果が異なるのかは分かっていない。この矛盾する結果はDFA評価が能動的に感染したインタクトな細胞を測定するのに対してPCRは感染性であるかどうかに関わらずサンプル中の全ウイルスRNAを測定するということによるものである可能性がある。
実施例7:ドライパウダーDAS181を用いた患者5の処置
患者5は、左肺の移植を受けた、クローン病、糖尿病、及び間質性肺疾患の病歴がある59歳の男性であった。患者は、重度のクローン病に対する毎月のアダリムマブ療法に加えて、毎日5mgのタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、及びプレドニゾンの慢性維持免疫抑制レジメンで維持されていた。患者の移植後の経過は、気管支軟化症並びに呼吸器多核体ウイルス(RSV)肺炎及びクレブシエラ肺炎を含む複数の気道感染症を合併していた。患者は、これらの呼吸器系感染症の後、ほぼ自身のベースラインに戻った。
患者は、発熱、悪寒、及び膿性痰を発症して入院した。患者は、バンコマイシン、セフタジジム、及びレバフロキサシンを用いた経験的治療により熱が下がり、膿性痰から回復したが、労作後の呼吸困難、喘鳴音、及び咳の改善は遅かった。患者は、無熱性であったが、2リットルの酸素要求並びに肺検査における喘鳴音及びクラックルを有していた。胸部のコンピュータ断層撮影スキャンを行い、左下葉に炎症性とみられる浸潤が示された。患者はバンコマイシン、セフタジジム、及びレボフロキサシンを受け続けた。患者は気管支鏡検査を受け、黄色がかった分泌物を有することが確認された。患者の気管支肺胞洗浄(BAL)試料の定性的PCRによる検査の結果、パラインフルエンザ−3(PIV3)について陽性であった。全ての他の培養物及びウイルス実験からは何も明らかにならなかった。
反応及び有害作用に応じて、3〜5日間、10mg DAS181の投薬レジメンが提唱された。薬物はドライパウダー吸入器を介して投与するものとし、症候学及び安全性に基づいて追加的な処置経過を認めてもよい。上咽頭スワブを毎日回収してPIV−3の定量的ウイルス量を決定するものとした。毎日の実験(全血球計算、包括的化学、肝機能検査、PT、及びPTTを含む)も行うものとした。ベースライン及び毎日の肺機能検査も行うものとした。
処置直前に得られたバイタルサインから、患者が鼻腔カニューレによる2リットルの補充Oを必要とすることが示された。患者の最初のDAS181投薬の前に得られた肺機能検査から、FEV1が1.52リットル、FVCが1.70リットルであることが示された。
各投薬の前に以下のサンプルを回収した:ウイルス排出をモニタリングするための上咽頭(N/P)スワブ及び中咽頭(OP)洗浄液並びにDAS181レベルを調べるための血液サンプル。吸入訓練にIn−Check DIALを用いた。Cyclohaler及び空のカプセルを用いた吸入技術の更なる満足な訓練後、Cyclohalerを介してDAS181を投与した。患者はDAS181投与に対する即時反応を示さなかった。
明らかな有害事象なしに、患者は連続5日処置を受けた。患者は、呼吸器系及び全身の点で処置経過中、臨床的に改善した。処置の2日目までに、患者は呼吸困難を感じることが少なくなり、咳がより乾燥した。処置の最終日までに、患者は、エネルギー及び呼吸の点で自身のベースラインの約90%にまで戻っていると感じた。DAS181開始後6日目に、気管支鏡検査を行い、BAL液は再度、PIV3陽性であり、ウイルス量は3.50E+07であった。
DAS181処置終了の2日後、患者は退院した。患者の処置後のバイタルサインは全て改善を示しており、処置の2週間後に電話で接触した時、患者は再発の徴候がなく、気分が良いと報告した。患者の運動耐容能は、病気前の自身のベースラインレベルに戻った。全体として、患者は、処置後の酸素要求に関しても改善された。
鼻咽頭スワブ及び上咽頭洗浄液サンプルをPIV3ウイルス量検査に送った。結果を以下の表に要約する。
Figure 2015508780
定量的PIV3ウイルス量測定値は日によって幾分のばらつきがあったが、これは異なる供給者によるサンプル回収技術の差及びサンプル中のビリオンの小さな変動に対するアッセイ自体の優れた感度によるものと思われる。データは、サンプルの種類に関係なくウイルス量の1log以上の低下を示唆している。
実施例8:ドライパウダーDAS181を用いた患者6の処置
患者6は、乳癌の病歴及び同種HSCT後の処置に関連するAMLがある51歳の女性であった。白血病の寛解にも関わらず、患者は、ミコフェノール酸モフェチル、イマチニブ、及び慢性ステロイドによる処置が必要な慢性的な慢性移植片対宿主病及び閉塞性細気管支炎症候群を発症していた。患者は、日常生活の基本的活動を行えないほどに、呼吸困難の急激な増加を発症していた。患者は更に、新規に発熱及び持続性乾性咳嗽を発症した。患者は更なるケアのために入院した。胸部CTにより、広汎なすりガラス様陰影及びいくつかの気管支血管の結節状陰影が示された。入院時の上咽頭スワブのPCRは、パラインフルエンザ1(PIV1)について陽性であり、インフルエンザ及びRSVについて陰性であった。気管支肺胞洗浄を行い、PIV1のPCRは再度陽性であった。患者は持続性の乾性咳、労作時呼吸困難、及び2Lの補充酸素の要求を示した。
提唱された投薬レジメンは、反応及び有害作用が確認されたかどうかに応じて最大5日間、ドライパウダー吸入器を介した毎日10mgのDAS181送達であった。定量的パラインフルエンザウイルスPCRの決定及びウイルス培養のために上咽頭スワブサンプルを得るように計画した。全血球計算及び包括的化学を含む安全性実験を行うものとした。ベースライン及び治療中の毎日の肺機能検査を行うものとした。患者の症候学及び安全性が決定されるまで、追加的な5回のDAS181投薬を可能性として残した。
各投薬の前に、上咽頭(NP)スワブ、中咽頭洗浄液(OP)、及び血中DAS181のPKサンプルを含むサンプルを回収した。吸入の訓練にIn−Check DIALを用いた。肺機能検査(PFT)も行った。処置の1日目の結果は以下の通り:1秒量(FEV1)=0.78;努力肺活量(FVC)=1.78。充分であると見なされるまでCyclohaler及び空のカプセルを用いて吸入技術を更に訓練した後、臨床現場でCyclohalerを用いたDAS181カプセルの投与へと進めた。患者は、カプセルの内容物を空にするのに3回の吸入を必要とした。患者が投与に対する即時反応を示さなかった。
患者は、明らかな有害事象なしに連続5日間処置を受けた。患者は処置経過中に臨床的に改善した。処置2日目までに、患者は自覚的な息切れが少なくなり、退院した。患者は3〜4日目にDAS181処置を自己投与した。処置の最終日までに、患者は、運動耐容能がわずかに上昇して、はるかに気分良く感じるようになったが、自身の呼吸器系のベースラインまでは戻らなかった。分泌物及び咳は減少した。処置最終日のPFTでは、FEV1が0.83L、FVCが1.96Lであった。最後の投薬の4日後に患者を評価したところ、患者の症状は更に改善されていた。医師は数日後に患者に電話し、患者は、薬物に関連した有害作用もなく、気分が良いと述べた。患者の息切れは実質的に改善され、患者は自身の慢性肺移植片対宿主病及び閉塞性細気管支炎症候群を処置するためのステロイドの用量を減らすことができた。
上咽頭及び中咽頭サンプルを、PIV−1ウイルス量の検査に送り、以下の結果を得た。
Figure 2015508780
上咽頭及び中咽頭のどちらのPIVウイルス量も、DAS181処置後の実質的な低下を示し、これは患者の顕著な臨床的改善と並行していた。
実施例9:ドライパウダーDAS181を用いた患者7の処置
患者7は、右肺移植を受けた特発性肺線維症(IPF)の病歴がある64歳の女性であった。患者の最初の移植後の経過は、プラズマフェレシス及びIVIGにより管理される急性体液性拒絶反応を合併しており、MMF又はイムランに耐えることができず、そのためプレドニゾン及びタクロリムスで維持されていた。入院の数週間前、患者の夫は上気道感染症になり、順調に回復した。その後、患者は息切れ及び咳の増加を経験し始め、80%の在宅酸素療法(home O saturation)を受け、その後、臨床施設に入院した。気管支鏡検査(BAL)では、細菌若しくは真菌感染症又はPJPの証拠は示されなかったが、PCRではPIV3陽性であった。その後、患者は悪化する低酸素症を発症し、大流量酸素サポート及びモニタリングのために集中治療室に移された。患者は大流量酸素サポートを必要としつづけ、改善の証拠はなく、FiOは65%のままであった。患者の免疫抑制は可能な限り最低限に抑えられていた。
DAS181の投薬を開始した。患者はDAS181を5回投薬された(ドライパウダー吸入器を用いて10mg/日)。患者は薬物を投与され、非常に良く反応し、ウイルス学的パラメーター及び臨床的パラメーターの両方が急速に改善された。患者は薬物に関連する有意な有害作用を示さなかった。PIV3ウイルス量の顕著な改善が観察された。これを図20に示す。
投薬、同時の関連する薬物適用、ウイルス量、及びサポート酸素要求の概要を図21に示す。図に見られるように、ウイルス量及び必要な酸素サポートはDAS181投薬後に顕著に下がった。
実施例10:ドライパウダーDAS181を用いた患者8の処置
患者8は、再発性疾患に同種HSCTを受けたホジキン病の病歴がある57歳の男性であった。患者はその後再発し、ドナーリンパ球輸注を受けた。患者の臨床経過は、移植片対宿主病(GVHD)を合併していた。
患者は、息切れ、咳、喀血、及び新たに発症したネフローゼ症候群を愁訴として入院した。気管支肺胞洗浄を伴う気管支鏡検査は、びまん性肺胞出血を示していた。胸部CTスキャンは、広汎なすりガラス様陰影が顕著であり、患者は、BAL液のPCRによりパラインフルエンザ3型が確認された。患者の臨床状態は悪化しており、5リットル/分の酸素(O)を必要とし、93%の飽和度であった。患者の酸素飽和度は最低限の活動で80台に低下した。
この患者の症例におけるDAS181の使用はFDAにより認証された。承認された投薬レジメンは、連続5日間のDAS181ドライパウダー投与であった。ウイルス量を評価するために各投薬の前に上咽頭スワブサンプルを回収した。Cyclohalerを用いた吸入技術の充分な訓練後、DAS181を投与した。患者は投与に対する即時反応を示さなかった。患者は明らかな有害事象なしに連続5日間の処置を受けた。患者はDAS181の最後の投薬を受け、臨床的な改善後、退院した。
上咽頭サンプルを1mL当たりのPIV3 RNAコピー数について評価し、ウイルス量の実質的な低下が示され、これは最終的に検出不可能なタイターになった。
Figure 2015508780
上の表に見られるように、5日間のDAS181ドライパウダー処置後にウイルス量は検出不能なまでに低下した。このウイルス量の低下は更に、臨床的改善及びその後のこの患者の退院とも関連していた。患者は更に、DAS181処置の前には実質的な酸素補充サポートを必要としたが、これは処置後に軽減された。
実施例11−DAS181の調製
エアゾール製剤中で用いるためのDAS181の調製
DAS181(1.0〜10.0mg/mL)のストック水溶液は少なくとも1週間2〜8℃で保存することができる。より低濃度の投薬溶液を毎日新たに調製し、使用時まで周囲条件で貯蔵するか冷蔵する。投薬溶液を得るために、ストック溶液を生理食塩水又は他の製薬用の好適な水溶液中に希釈することができる。
DAS181は、そのN末端を介してActinomyces Viscosusの触媒ドメインのC末端に融合したヒトアンフィレギュリンに由来するヘパリン(グリソサミノグリカン、すなわちGAG)結合ドメインを含む、融合タンパク質である(アミノ末端Metを有するDAS181のアミノ酸配列を配列番号1に示し;アミノ末端Metを欠いたDAS181のアミノ酸配列を配列番号1に示す)。
DAS181タンパク質は、その全体を参照により本明細書に援用するMalakhov et al. 2007 Antimicrobial Agents Chemotherapy 1470−1479に記載されているように調製及び精製することができる。簡潔に述べると、アミノ末端Metを有するDAS181をコードするDNA断片を、プラスミドベクターpTrc99a(ファルマシア社製)にIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)誘導プロモーターの制御下でクローニングした。得られたコンストラクトを大腸菌(E.coli)のBL21株中で発現させた。DAS181タンパク質を発現するE.coli細胞を、Toyopearlバッファー1、UFP−500−E55中空繊維カートリッジ(GEヘルスケア社製)、及びWatson−Marlow蠕動ポンプを用いた発酵回収洗浄ステップ中でダイアフィルトレーションにより洗浄した。組換えDAS181タンパク質は、その全体を参照により本明細書に援用する公開されている米国特許出願公開第2005/0004020号及び同第2008/0075708号に記載されているように細胞からバルク(bulk)で精製することができる。
他の実施形態
発明をその詳細な説明との関連で説明したが、上記の説明は例示であり、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定しないと理解されるべきである。他の態様、利点、及び変更例が添付の特許請求の範囲に含まれる。
Figure 2015508780
Figure 2015508780

Claims (46)

  1. 患者を処置する方法であって、治療有効量のシアリダーゼ活性を有するポリペプチドを含む液体組成物を前記患者の気道に投与することを含む、方法。
  2. 前記患者が、インフルエンザウイルス又はパラインフルエンザウイルスに感染している、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が呼吸機能低下を患っている、請求項1に記載の方法。
  4. 前記液体組成物が水性組成物である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者の呼吸機能が、ドライパウダー吸入器の使用に不適当である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記液体が、ネブライザー、気化器、気管内チューブ、鼻腔スプレー、加圧噴霧式定量吸入器、又は呼吸作動式(breath activated)加圧噴霧式定量吸入器を用いて投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記液体組成物中のポリペプチドの濃度が0.1〜10.0mg/mLである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記液体組成物中のポリペプチドの濃度が0.5〜2.0mg/mLである、請求項6に記載の方法。
  9. 前記ポリペプチドが、配列番号1と少なくとも90%同一である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記タンパク質が、配列番号1又は2を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 1回の投薬で0.001〜5mg/kgの前記ポリペプチドが前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
  12. 0.1〜100mgの前記ペプチドが30日間又はそれ未満にわたり前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記投与が、1〜30日間毎日なされる、請求項11に記載の方法。
  14. 1日に0.1〜10mgのポリペプチドが投与される、請求項1に記載の方法。
  15. 1日に有効用量0.1〜10mgのポリペプチドが投与される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記投与が、1〜10ミクロンのMMADを有する液体組成物のエアゾール粒子を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記患者が、呼吸補助を必要とする、請求項1に記載の方法。
  18. 前記患者が、挿管される、請求項17に記載の方法。
  19. 免疫不全患者のパラインフルエンザ又はインフルエンザウイルス感染を低減又は処置する方法であって、治療有効量のシアリダーゼ活性を有するタンパク質を含む組成物を前記患者の気道に投与することを含む方法。
  20. パラインフルエンザ又はインフルエンザウイルスの感染のリスクがある免疫不全患者を処置する方法であって、治療有効量のシアリダーゼ活性を有するタンパク質を前記患者の気道に投与することを含む方法。
  21. 前記免疫不全患者が、原発性免疫不全症を患っている、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 前記免疫不全患者が、続発性免疫不全症を患っている、請求項19又は20に記載の方法。
  23. 前記免疫不全患者が、免疫抑制療法で処置されている又はされたことがある、請求項19又は20に記載の方法。
  24. 前記免疫不全患者が、化学療法剤で処置されている又はされたことがある、請求項19又は20に記載の方法。
  25. 前記免疫不全患者が、移植患者である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記タンパク質が、配列番号1と少なくとも90%同一である、請求項1又は2に記載の方法。
  27. 前記タンパク質が、配列番号1又は2を含む、請求項19又は20に記載の方法。
  28. 前記組成物が、1又は複数の追加的化合物を含む、請求項19又は20に記載の方法。
  29. 前記投与が、鼻腔スプレーの使用によるものである、請求項19〜28に記載の方法。
  30. 前記投与が、吸入器の使用によるものである、請求項19〜28に記載の方法。
  31. 前記タンパク質が、シアリダーゼ又はその活性部分を含む、請求項19又は20に記載の方法。
  32. 前記シアリダーゼ又はその活性部分が、Clostridium perfringensシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、Actinomyces viscosusシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、Arthrobacter ureafaciensシアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、Micromonospora viridifaciensシアリダーゼ若しくはその触媒ドメインヒトNeu2シアリダーゼ若しくはその触媒ドメイン、又はヒトNeu4シアリダーゼ若しくはその触媒ドメインと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 前記シアリダーゼ又はその活性部分が、Actinomyces viscosusシアリダーゼ又はその触媒ドメインと少なくとも90%同一である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記ペプチドが、アンカリングドメインを含み、前記アンカリングドメインが、グリコサミノグリカン(GAG)結合ドメインである、請求項31に記載の方法。
  35. 前記GAG結合ドメインが、ヒト血小板因子4のGAG結合ドメイン、ヒトインターロイキン8のGAG結合ドメイン、ヒトアンチトロンビンIIIのGAG結合ドメイン、ヒトアポタンパク質EのGAG結合ドメイン、ヒト血管関連遊走タンパク質のGAG結合ドメイン、又はヒトアンフィレギュリンのGAG結合ドメインと少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 前記投与が、ネブライザー、気化器、気管内チューブ、鼻腔スプレー、ドライパウダー吸入器、加圧噴霧式定量吸入器、又は呼吸作動式加圧噴霧式定量吸入器による、請求項19〜28に記載の方法。
  37. 前記組成物が液体の形態である、請求項19又は20に記載の方法。
  38. 前記組成物がドライパウダーの形態である、請求項19又は20に記載の方法。
  39. PIV感染を患っている患者のPIVウイルス量を減少させる方法であって、前記患者にDAS181を含む組成物を投与することを含む方法。
  40. 前記組成物が、前記患者の気道に投与される、請求項39に記載の方法。
  41. 前記組成物が、ネブライザー又はドライパウダー吸入器を用いて投与される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記患者が免疫不全である、請求項39に記載の方法。
  43. PIV感染を患っている患者の肺機能を向上させる方法であって、前記患者にDAS181を含む組成物を投与することを含む方法。
  44. 前記組成物が、前記患者の気道に投与される、請求項43に記載の方法。
  45. 前記組成物が、ネブライザー又はドライパウダー吸入器を用いて投与される、請求項44に記載の方法。
  46. 前記患者が免疫不全である、請求項43に記載の方法。
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