JP2015508759A - 末梢血管疾患を処置するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、末梢血管疾患(PVD)の処置のための組成物および方法に関する。特に、本発明は、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターの使用に基づく、重症虚血肢、および関連する疾患、障害または状態の処置のための組成物および方法を提供する。一局面において、末梢血管疾患を処置するための方法が提供され、この方法は、アンジオテンシン(1−7)ペプチドを含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含む。
Description
関連出願への相互参照
この出願は、2012年2月10日に出願された米国仮特許出願第61/597,223号および2012年10月30日に出願された米国仮特許出願第61/720,301号(これらの開示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
この出願は、2012年2月10日に出願された米国仮特許出願第61/597,223号および2012年10月30日に出願された米国仮特許出願第61/720,301号(これらの開示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
配列表
本明細書は、2013年2月7日の「Sequence_Listing」という名称のASCIIテキストファイルとして電子的に提出した配列一覧を参照する。テキストファイルは2013年1月31日に作製し、サイズは39KBである。配列一覧の全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書は、2013年2月7日の「Sequence_Listing」という名称のASCIIテキストファイルとして電子的に提出した配列一覧を参照する。テキストファイルは2013年1月31日に作製し、サイズは39KBである。配列一覧の全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
末梢血管疾患(PVD)は一般に、心臓または脳の外側の血管系の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられ、とりわけ、アテローム性動脈硬化、狭窄をもたらす炎症過程、塞栓形成、または血栓形成に起因し得る。末梢動脈疾患(PAD)は、様々な内部器官および/または肢への動脈血供給の部分的または全面的な閉塞が存在するPVDの一形態である。PADについての危険因子には、血中コレステロールの上昇、糖尿病、喫煙、高血圧、不活動、および肥満が含まれる。50歳を超えた人の約5%は、PADを患っていると考えられる。PADの症状は、閉塞された動脈の位置および程度によって決まる。PADの最も一般の症状は、歩行の間に起こり、安静時に消失する疼痛(通常、ふくらはぎにおける)によって顕在化する間欠性跛行である。経時的にPADの重症度が上昇すると、症状はより短い期間の運動の後に現れる。PADがより重度となるとき、症状は、夜間の疼痛およびけいれん、足またはつま先における疼痛または刺痛、脚を上げているときに悪化し、(例えば、ベッドの側面上に)脚をぶら下げているときに消失する疼痛、および治癒しない潰瘍を含み得る。PADは、四肢における治癒しない皮膚のただれ、潰瘍、壊疽、および/または感染によって一般に特徴付けられる重症虚血肢(CLI)の段階に最終的に達し得る。多くの場合、切断が必要となり得る。
PVD(例えば、PAD)は、生活習慣の変更、医薬品、血管形成術および関連する処置、または手術によって処置することができる。これらの治療は症状を軽減し、生存期間を延長さえし得るが、何も疾病過程を逆行させ、長く続く損傷を直接修復することはできない。損なわれた血管形成は、虚血性疾患の特徴の1つである。治療的血管形成のための最も確立された標的はVEGFおよびその受容体であった。しかし、虚血を軽減する臨床治験は期待に背くものであった。このように、PVD(例えば、CLIなどのPAD)または損なわれた血管形成と関連する他の疾患、障害または状態の処置は、未だ対処されていない主要な医療的必要性であり続けている。
本発明は、とりわけ、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターに基づく、末梢血管疾患(PVD)、例えば、重症虚血肢(CLI)、および損なわれた血管形成と関連する他の疾患、障害または状態の、改善されおよびより有効な処置を提供する。本発明は、部分的に、アンジオテンシン(1−7)として公知の短い7個のアミノ酸ペプチドの投与が、後肢虚血の動物モデルにおいて血流を効果的に回復させ、肢機能を改善させ、虚血による切断を減少させることができるという予期せぬ発見に基づいている。本発明の前に、アンジオテンシン(1−7)は、主要な血管形成促進タンパク質である血管内皮増殖因子−Aを低減させることによって有意な血管形成抑制活性を有することが報告されていたため、この発見は特に驚くべきことである(Soto−Pantoja D. R.ら、「Angiotensin−(1−7) inhibits tumor angiogenesis in human lung cancer xenografts with a reduction in vascular endothelial growth factor」、Mol. Cancer Ther.、2009年;8巻(6号):1676〜83頁)を参照されたい)。しかし、下の実施例のセクションに詳細に記載されているように、動物後肢虚血モデルにおける天然に存在するアンジオテンシン(1−7)と同一の7個のアミノ酸を有するアンジオテンシンペプチドの投与は、血流を効果的に回復させ、改善された肢機能、組織の壊死および虚血による切断の低減をもたらすことを本発明者らは首尾よく示した。このように、先の報告に反して、本発明は、治療的血管形成を刺激するために使用することができるアンジオテンシンに基づく治療法、ならびに重症虚血肢、および損なわれた血管形成と関連する他の疾患、障害または状態の処置を提供する。
このように、一態様において、本発明は、アンジオテンシン(1−7)ペプチドを含有する医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含む、末梢血管疾患を処置するための方法を提供し、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、末梢血管疾患の少なくとも1つの症状または特徴が強度、重症度、もしくは頻度において低減し、または発症が遅延するように、治療有効量で投与される。本明細書において使用する場合、「アンジオテンシン(1−7)ペプチド」という用語は、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)、および天然に存在するアンジオテンシン(1−7)の任意の機能的同等物、類似体または誘導体の両方を指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」は互換的な用語であり、ペプチド結合によって一緒に結合している2個以上のアミノ酸を指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、直鎖状および環状ペプチドの両方を含む。
様々な実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)の機能的同等物である。特定の実施形態において、機能的同等物は、直鎖状ペプチドである。
いくつかの実施形態において、直鎖状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する7個のアミノ酸からの、それぞれ、少なくとも4個、5個または6個のアミノ酸を含む配列を含有し、それぞれ、少なくとも4個、5個または6個のアミノ酸は、これらが天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する相対的位置を維持し、各直鎖状ペプチドは、血管形成促進(pro−angiogenic)活性をさらに有する。様々な実施形態において、それぞれ、少なくとも4個、5個または6個のアミノ酸は、これらが天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現するようなそれらの相対的な間隔をさらに維持する。
いくつかの実施形態において、直鎖状ペプチドは、4〜25個のアミノ酸(例えば、4〜20個、4〜15個、4〜14個、4〜13個、4〜12個、4〜11個、4〜10個、4〜9個、4〜8個、4〜7個のアミノ酸)を含有する。
特定の実施形態において、直鎖状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)のフラグメントである。様々な実施形態において、直鎖状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(Aangiotensin)(1−7)におけるアミノ酸の置換、欠失および/または挿入を含有する。特定の実施形態において、直鎖状ペプチドは、Asp1−Arg2−Nle3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号4)のアミノ酸配列またはAsp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号5)のアミノ酸配列を有する。
様々な実施形態において、機能的同等物は、環状ペプチドである。特定の実施形態において、環状ペプチドは、アミノ酸の間に連結を含む。いくつかの実施形態において、連結は、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)におけるTyr4位およびPro7位に対応する残基に位置している。特定の実施形態において、連結は、チオエーテル架橋である。様々な実施形態において、環状ペプチドは、Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列とその他の点で同一であるアミノ酸配列を含有し、または環状ペプチドは、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)におけるVal3位を置き換えるノルロイシン(Nle)を含む。いくつかの実施形態において、環状ペプチドは、下記の式:
を有する4,7−環化アンジオテンシン(1−7)である。
様々な実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、プロテアーゼ耐性、血清安定性および/またはバイオアベイラビリティーを増加させる1つまたは複数の化学修飾を含有する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の化学修飾は、ペグ化を含む。
特定の実施形態において、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織は、個体の1つまたは複数の肢を含む。
様々な実施形態において、末梢血管疾患は、末梢動脈疾患である。いくつかの実施形態において、末梢動脈疾患は、重症虚血肢である。特定の実施形態において、末梢血管疾患は、急性虚血、慢性虚血であり、または糖尿病性血管疾患である。いくつかの実施形態において、糖尿病性血管疾患は、ネフロパシーおよび/またはニューロパシーである。
様々な実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織における血管形成および/または血管新生を誘発および/または増加させる。特定の実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織において細胞死を減少および/または遅延させる。いくつかの実施形態において、細胞死は、アポトーシスまたはネクローシスである。特定の実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織において細胞生存を増加および/または増強させる。
様々な実施形態において、治療有効量のアンジオテンシン(1−7)ペプチドは、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または全面的な閉塞を減少させるのに十分である。いくつかの実施形態において、治療有効量のアンジオテンシン(1−7)ペプチドは、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織における組織の損傷を減少または遅延させるのに十分である。特定の実施形態において、治療有効量のアンジオテンシンは、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織の機能を改善するのに十分である。
いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、非経口的に投与される。特定の実施形態において、非経口投与は、静脈内、皮内、吸入、経皮的(局所的)、皮下、および/または経粘膜投与から選択される。様々な実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、経口的に投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、シクロデキストリンと併せて投与される。特定の実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、隔月、毎月、3週間に1回、隔週、毎週、毎日、または可変間隔で投与される。
様々な実施形態は、異なる量のアンジオテンシン(1−7)ペプチドを使用し得ることが意図される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜1,000μg/kg/日の範囲(例えば、約1〜900μg/kg/日、約1〜800μg/kg/日、約1〜700μg/kg/日、約1〜600μg/kg/日、約1〜500μg/kg/日、約1〜400μg/kg/日、約1〜300μg/kg/日、約1〜200μg/kg/日、約1〜100μg/kg/日、約1〜90μg/kg/日、約1〜80μg/kg/日、約1〜70μg/kg/日、約1〜60μg/kg/日、約1〜50μg/kg/日、約1〜40μg/kg/日、約1〜30μg/kg/日、約1〜20μg/kg/日、約1〜10μg/kg/日の範囲)の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜500μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜100μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜60μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1ug/kg/日、約2ug/kg/日、約4ug/kg/日、約6ug/kg/日、約8ug/kg/日、約10ug/kg/日、約15ug/kg/日、約20ug/kg/日、約25ug/kg/日、約30ug/kg/日、約35ug/kg/日、約40ug/kg/日、約45ug/kg/日、約50ug/kg/日、約75ug/kg/日、約100ug/kg/日、約150ug/kg/日、約200ug/kg/日、約250ug/kg/日、約300ug/kg/日、約350ug/kg/日、約400ug/kg/日、約450ug/kg/日、約500ug/kg/日、約550ug/kg/日、約600ug/kg/日、約650ug/kg/日、約700ug/kg/日、約750ug/kg/日、約800ug/kg/日、約850ug/kg/日、約900ug/kg/日、約950ug/kg/日、または約1,000ug/kg/日から選択される有効用量で投与される。
特定の実施形態において、血管形成促進剤は、アンジオテンシン(1−7)ペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、血管手順または血管内手順は、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織において行われる。
別の態様において、本発明は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を使用した末梢血管疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含む、末梢血管疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、ACE2は、末梢血管疾患の少なくとも1つの症状または特徴が強度、重症度、もしくは頻度において低減し、または発症が遅延するように、治療有効量で投与される。
また別の態様において、本発明は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)のアクチベーターを使用した末梢血管疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)のアクチベーターを含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含む、末梢血管疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、ACE2の適切なアクチベーターは、ジミナゼンアセチュレート(DIZE)および/または1−[(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ]−4−(ヒドロキシメチル)−7−[(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ]−9H−キサンテン−9−オン(XNT)である。いくつかの実施形態において、ACE2のアクチベーターは、末梢血管疾患の少なくとも1つの症状または特徴が強度、重症度、もしくは頻度において低減し、または発症が遅延するように、治療有効量で投与される。
さらに別の態様において、本発明は、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストを使用した末梢血管疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストを含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含む、末梢血管疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、適切なアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、
の式を有する。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、末梢血管疾患の少なくとも1つの症状または特徴が強度、重症度、もしくは頻度において低減し、または発症が遅延するように、治療有効量で投与される。
本出願において、「または」の使用は、特に断りのない限り、「および/または」を意味する。本出願において使用されるように、「含む(comprise)」という用語およびこの用語のバリエーション、例えば、「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」は、他の添加物、成分、整数またはステップを除外することを意図しない。本出願において使用されるように、「約」および「概ね」という用語は、同等物として使用される。約/概ねの有無に関わらず、本出願において使用される任意の数字は、関連性のある技術分野における当業者が認識する任意の通常の変動をカバーすることを意味する。特定の実施形態において、「概ね」または「約」という用語は、特に明記しない限り、または文脈からその他の点で明らかでない限り(このような数が可能な値の100%を超える場合を除いて)、記述された参照値のいずれかの方向(これを超えるまたはこれ未満)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満の範囲に入る値の範囲を指す。
本発明の他の特徴、目的、および利点は、下記の詳細な記載、図面および特許請求の範囲において明らかである。しかし、詳細な記載、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示す一方、限定ではなく例示としてのみ示されることを理解すべきである。本発明の範囲内で様々な変更および修正は当業者には明らかであろう。
図面は、例示をする目的のみのためであり、限定のためではない。
定義
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語を最初に下に定義する。下記の用語および他の用語についてのさらなる定義を、明細書を通して記載する。
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語を最初に下に定義する。下記の用語および他の用語についてのさらなる定義を、明細書を通して記載する。
急性:本明細書において使用する場合、「急性」という用語は、組織の損傷および関連する疾患、障害、または状態に関連して使用されるとき、医学の技術分野における当業者によって理解される意味を有する。例えば、この用語は典型的には、症状の急激または重度の発症が存在する疾患、障害、または状態を指す。いくつかの実施形態において、急性損傷は、虚血性または外傷性事象による。典型的には、「急性」という用語は、「慢性」という用語と対照的に使用される。
アゴニスト:本明細書において使用する場合、「アゴニスト」という用語は、対象とするタンパク質の機能においてプラスの影響を有する任意の分子を指す。いくつかの実施形態において、アゴニストは、対象とするタンパク質の活性を直接的もしくは間接的に増強し、強化し、活性化し、かつ/または増加させる。特定の実施形態において、アゴニストは、対象とするタンパク質と直接的に相互作用する。このようなアゴニストは、例えば、タンパク質、化合物、小分子、核酸、抗体、薬物、リガンド、または他の薬剤でよい。
動物:本明細書において使用する場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態において、「動物」は、発達の任意の段階におけるヒトを指す。いくつかの実施形態において、「動物」は、発達の任意の段階におけるヒトではない動物を指す。特定の実施形態において、ヒトではない動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。いくつかの実施形態において、動物には、これらに限定されないが、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、魚、昆虫、および/または蠕虫が含まれる。いくつかの実施形態において、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子改変動物、および/またはクローンであり得る。
概ねまたは約:本明細書において使用する場合、「概ね」または「約」という用語は、1つまたは複数の対象とする値に適用するとき、記述された参照値と同様の値を指す。特定の実施形態において、「概ね」または「約」という用語は、特に明記しない限り、または文脈からその他の点で明らかでない限り(このような数が可能な値の100%を超える場合を除いて)、記述された参照値のいずれかの方向(これを超えるまたはこれ未満)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満の範囲に入る値の範囲を指す。
生物活性がある:本明細書において使用する場合、「生物活性がある」という句は、生物系、特に生物において活性を有する任意の薬剤の特徴を指す。例えば、生物に投与したとき、その生物に対して生物学的効果を有する薬剤は、生物活性があると考えられる。特定の実施形態において、ペプチドが生物活性がある場合、ペプチドの少なくとも1つの生物活性を共有するそのペプチドのポーションは典型的には、「生物活性がある」ポーションと称される。特定の実施形態において、ペプチドは内在性の生物活性を有さないが、1種または複数種の天然に存在するアンジオテンシン化合物の効果を阻害するペプチドは、生物活性があると考えられる。
担体または賦形剤:本明細書において使用する場合、「担体」および「賦形剤」という用語は、医薬製剤の調製のために有用な薬学的に許容される(例えば、ヒトへの投与のために安全および無毒性の)担体または希釈物質を指す。例示的な賦形剤には、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝化溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、無菌の食塩水、リンゲル液またはデキストロース溶液が含まれる。例示的な担体は、下でより詳細に考察するような、錠剤もしくはカプセル剤製剤のための、または吸入用製剤のための調製物を含む。
慢性:本明細書において使用する場合、「慢性」という用語は、組織の損傷、または関連する疾患、障害、もしくは状態に関連して使用されるとき、医学の技術分野における当業者が理解するような意味を有する。典型的には、「慢性」という用語は、持続性および/または再発性の症状が関与する疾患、障害、または状態を指す。慢性疾患、障害、または状態は典型的には、長期間に亘って発生する。「慢性」という用語は、「急性」という用語と対照的に使用される。いくつかの実施形態において、慢性疾患、障害、または状態は、細胞変性からもたらされる。いくつかの実施形態において、慢性疾患、障害、または状態は、年齢に関連する細胞変性からもたらされる。
対照:本明細書において使用する場合、「対照」という用語は、それに対して結果が比較される標準であるというその当技術分野で理解される意味を有する。典型的には、対照を使用して、可変部分についての結論を出すために、このような可変部分を分離することによって、実験における完全性を増大させる。いくつかの実施形態において、対照は、比較物を提供するために、試験反応またはアッセイと同時に行われる反応またはアッセイである。1つの実験において、「試験」(すなわち、試験される可変部分)を適用する。第2の実験である「対照」において、試験される可変部分を適用しない。いくつかの実施形態において、対照は、歴史的対照である(すなわち、先に行われた試験もしくはアッセイ、または既知である量もしくは結果のもの)。いくつかの実施形態において、対照は、印刷されたもしくはその他の点で保存された記録であり、または印刷されたもしくはその他の点で保存された記録を含む。対照は、陽性対照または陰性対照であり得る。いくつかの実施形態において、対照はまた、参照と称される。
重症虚血肢:本明細書において使用する場合、「重症虚血肢」または「CLI」という用語は一般に、四肢における組織の損傷または機能障害をもたらし得る、個体の四肢(例えば、手、足、脚)への血液または酸素供給の制限によって特徴付けられる状態を指す。重症虚血肢は、種々の要因のいずれか、例えば、末梢動脈疾患(PAD)に起因し得、他の症状の中でも重度の疼痛、皮膚潰瘍、またはただれをもたらし得、場合によって切断を引き起こす。重症虚血肢は、1つまたは複数の四肢における血管収縮、血栓症、または塞栓形成によって特徴付け得る。血液供給を通常受ける四肢における任意の組織は、重症虚血肢を経験することがある。
粗製物:本明細書において使用する場合、「粗製物」という用語は、生体試料に関連して使用されるとき、実質的に粗製の状況にある試料を指す。例えば、粗試料は、細胞ライセートまたは生検用組織試料でよい。粗試料は、溶液中にまたは乾燥調製物として存在し得る。
糖尿病性血管疾患:本明細書において使用する場合、「糖尿病性血管疾患」という用語は、糖尿病による、血管、特に、動脈における閉塞の発生と関連する疾患、障害または状態を指す。糖尿病性血管疾患は、体全体で発生することがある。いくつかの実施形態において、糖尿病性血管疾患は、本明細書において使用する場合、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織において発生する。いくつかの実施形態において、糖尿病性血管疾患はまた、ネフロパシー(腎臓疾患)、ニューロパシー(つま先または足における保護的感覚の喪失をもたらす神経自体の状態)を含み得る。糖尿病性血管疾患の例示的な症状には、これらに限定されないが、かすんだ視界、顔もしくは肢の膨れまたは予想外の重量増加、靴ずれ、手または足における感触の喪失または燃えるような感触、歩行するときの脚の疼痛、および高血圧が含まれてもよい。糖尿病性血管疾患を患っている患者は、壊疽として公知である死んだ組織を最終的に発生し得る。これは感染および最終的に切断をもたらし得る。
剤形:本明細書において使用する場合、「剤形」および「単位剤形」という用語は、処置される患者のための治療剤の物理的な個別単位を指す。各単位は、所望の治療効果を生じさせるように計算した所定の量の活性材料を含有する。しかし、組成物の総投与量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医が決定することが理解される。
機能障害:本明細書において使用する場合、「機能障害」という用語は、異常な機能を指す。分子(例えば、タンパク質)の機能障害は、このような分子と関連する活性の増加または減少によってもたらされ得る。分子の機能障害は、分子自体、あるいはこの分子と直接的もしくは間接的に相互作用する、またはこの分子をレギュレートする他の分子と関連する欠陥によってもたらされることがある。
機能的同等物または誘導体:本明細書において使用する場合、「機能的同等物」または「機能的誘導体」という用語は、アミノ酸配列の機能的誘導体との関連において、本来の配列の生物活性(機能的または構造的)と実質的に同様である生物活性(機能的または構造的)を保持する分子を意味する。機能的誘導体または同等物は、天然誘導体であり得、または合成的に調製される。例示的な機能的誘導体は、1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失、または付加を有するアミノ酸配列を含むが、ただし、タンパク質の生物活性は保存される(例えば、これは、Mas受容体のアゴニストとして作用する)。置換するアミノ酸は望ましくは、置換されるアミノ酸の物理化学的特性と同様の物理化学的特性を有する。望ましい同様の物理化学的特性は、電荷、かさ高性、疎水性、親水性などにおける類似性を含む。
改善する、増加させる、または低減させる:本明細書において使用する場合、「改善する」、「増加させる」もしくは「低減させる」という用語または文法的同等物は、ベースライン測定、例えば、本明細書に記載されている処置の開始の前の同じ個体における測定、または本明細書に記載されている処置の非存在下での対照個体(もしくは複数の対照個体)における測定と比較した値を示す。「対照個体」は、処置される個体とほぼ同じ年齢の、処置される個体と同じ形態の疾患に悩んでいる個体である(処置される個体および対照個体(複数可)における疾患の段階が比較可能であることを確実にする)。
インビトロ:本明細書において使用する場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内で起こるよりもむしろ、人工環境中、例えば、試験管または反応槽中、細胞培養物中などで起こる事象を指す。
インビボ:本明細書において使用する場合、「インビボ」という用語は、多細胞生物、例えば、ヒトおよびヒトではない動物内で起こる事象を指す。細胞ベース系との関連において、この用語は、生細胞内で起こる事象を指すために使用し得る(例えば、インビトロ系とは対照的に)。
虚血:本明細書において使用する場合、「虚血(ischemia)」(また「虚血(ischaemia)」ともつづられる)という用語は典型的には、組織の損傷または機能障害をもたらし得る血液または酸素供給の制限を指す。虚血は、種々の要因のいずれか、例えば、血管における要因、血餅、血圧の重度の低下、コンパートメント圧の増加、および/または外傷によってもたらされ得る。「虚血」という用語はまた、本明細書において使用する場合、例えば、血管収縮、血栓症、または塞栓形成からもたらされ得る体または組織の所与の一部における局所的貧血を指す。血液供給を通常受ける任意の組織は、虚血を形成することがある。
単離された:本明細書において使用する場合、「単離された」という用語は、(1)最初に生成されたとき(自然においてであろうと、および/または実験の設定においてであろうと)、物質および/または実体が関連していた成分の少なくともいくつかから分離されており、かつ/あるいは(2)人の手によって生成され、調製され、かつ/または製造されてきた、物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、単離された物質および/または実体が最初に関連していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、または100%から分離し得る。いくつかの実施形態において、単離された薬剤は、約80%超、約85%超、約90%超、約91%超、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、実質的に100%、または100%純粋である。本明細書において使用する場合、物質は、他の成分が実質的にない場合、「純粋」である。本明細書において使用する場合、「単離された細胞」という用語は、多細胞生物中に含有されていない細胞を指す。
末梢血管疾患:本明細書において使用する場合、「末梢血管疾患」または「PVD」という用語は、心臓および脳の外側(例えば、冠血管、大動脈弓血管系、または脳内ではない)に位置する血管(例えば、動脈)の部分的または完全な閉塞によってもたらされる疾患、障害または状態を指す。本明細書において使用する場合、「末梢動脈疾患」または「PAD」という用語は、心臓および脳の外側(例えば、冠血管、大動脈弓血管系、または脳内ではない)に位置する1つまたは複数の組織、例えば、内部器官および/または肢への血液供給を実現する動脈の部分的または全面的な閉塞が存在するPVDの一形態を指す。本明細書において使用する場合、末梢血管疾患は、糖尿病性血管疾患を包含する。「糖尿病性血管疾患」の定義を参照されたい。
安定性:本明細書において使用する場合、「安定的」という用語は、長期間に亘るその治療有効性(例えば、その意図される生物活性および/または生理化学的完全性の全てまたは大部分)を維持する治療剤の能力を指す。治療剤の安定性、およびこのような治療剤の安定性を維持するための医薬組成物の性能は、長期間に亘って(例えば、少なくとも1カ月、3カ月、6カ月、12カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月またはそれを超える期間)アセスメントし得る。特定の実施形態において、本明細書に記載されている医薬組成物は、医薬組成物がそれと共に製剤された1種または複数種の治療剤を安定化させ、または代わりにこれらの分解を遅延もしくは防止することができるように製剤されている。製剤との関連において、安定的な製剤は、その中の治療剤が本質的に、貯蔵によって、ならびにプロセス(例えば、冷凍/解凍、機械的混合および凍結乾燥)の間にその物理的および/または化学的完全性ならびに生物活性を保持する製剤である。
対象:本明細書において使用する場合、「対象」という用語は、ヒトまたは任意のヒトではない動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマもしくは霊長類)を指す。ヒトは、出生前および出生後の形態を含む。多くの実施形態において、対象は、人間である。対象は、疾患の診断または処置のために医療提供者に提示されるヒトを指す患者であり得る。「対象」という用語は、本明細書において「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患もしくは障害に悩んでいることがあり、または疾患もしくは障害の影響を受けやすいが、疾患もしくは障害の症状を示してもよく、または示さなくてもよい。
実質的に:本明細書において使用する場合、「実質的に」という用語は、全面的もしくはほぼ全面的な程度または度合いの、対象とする特徴または特性を示す定性的状態を指す。生物学的および化学的現象が、あるとしても、めったに完結せず、かつ/または完全性に向かわず、または絶対的な結果を達成もしくは回避しないことを生物学の技術分野における当業者は理解する。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書において使用され、多くの生物学的および化学的現象において固有である完全性の潜在的な欠如を捉える。
患っている:疾患、障害、および/または状態を「患っている」個体は、疾患、障害、および/または状態であると診断されてきており、あるいは疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状を示す。
影響を受けやすい:疾患、障害、および/または状態に「影響を受けやすい」個体は、疾患、障害、および/または状態であると診断されていない。いくつかの実施形態において、疾患、障害、および/または状態の影響を受けやすい個体は、疾患、障害、および/または状態の症状を示し得ない。いくつかの実施形態において、疾患、障害、状態、または事象(例えば、虚血性脳卒中)の影響を受けやすい個体は、下記の1つまたは複数によって特徴付けられ得る。(1)疾患、障害、および/または状態の発生と関連する遺伝子変異;(2)疾患、障害、および/または状態の発生と関連する遺伝子多型;(3)疾患、障害、および/または状態と関連するタンパク質の増加および/または減少した発現ならびに/または活性;(4)疾患、障害、状態、および/または事象の発生と関連する習慣および/またはライフスタイル;(5)移植を受けており、受けることを計画しており、または必要とする。いくつかの実施形態において、疾患、障害、および/または状態の影響を受けやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を発生する。いくつかの実施形態において、疾患、障害、および/または状態の影響を受けやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を発生しない。
治療有効量:本明細書において使用する場合、治療剤の「治療有効量」という用語は、疾患、障害、および/または状態を患っている、あるいは疾患、障害、および/または状態の影響を受けやすい対象に投与するとき、疾患、障害、および/または状態の症状(複数可)を処置し、診断し、予防し、かつ/または発症を遅延させるのに十分な量を意味する。治療有効量は典型的には、少なくとも1つの単位用量を含む投薬レジメンによって投与されることを当業者は認識する。
治療剤:本明細書において使用する場合、「治療剤」という句は、対象に投与したときに、治療効果を有し、かつ/または所望の生物学的および/もしくは薬理効果を引き出す任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態において、本発明の治療剤は、本発明によるペプチド阻害剤またはその誘導体を指す。
処置すること:本明細書において使用する場合、「処置する」、「処置」または「処置すること」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を部分的にまたは完全に軽減し、寛解し、緩和し、阻害し、予防し、発症を遅延させ、重症度を低減させ、かつ/または発生率を低減させるために使用する任意の方法を指す。処置は、疾患と関連する病態を発生する危険性を減少させる目的のために、疾患の徴候を示さず、かつ/または疾患の早期の徴候のみを示す対象に投与し得る。
特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、とりわけ、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターの使用に基づく、末梢血管疾患(PVD)、例えば、重症虚血肢、および関連する疾患、障害または状態の処置のための改善された組成物および方法を提供する。
本発明は、とりわけ、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターの使用に基づく、末梢血管疾患(PVD)、例えば、重症虚血肢、および関連する疾患、障害または状態の処置のための改善された組成物および方法を提供する。
本発明の様々な態様を、下記のセクションにおいて詳細に記載する。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、特に断りのない限り、「および/または」を意味する。
アンジオテンシン(1−7)ペプチド
本明細書において使用する場合、「アンジオテンシン(1−7)ペプチド」という用語は、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)、および天然に存在するアンジオテンシン(1−7)の任意の機能的同等物、類似体または誘導体の両方を指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」は互換的用語であり、ペプチド結合によって一緒に結合している2個以上のアミノ酸を指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、直鎖状および環状ペプチドの両方を含む。「アンジオテンシン(angiotensin)−(1−7)」、「アンジオテンシン(Angiotensin)−(1−7)」、および「Ang−(1−7)」という用語は、互換的に使用される。
本明細書において使用する場合、「アンジオテンシン(1−7)ペプチド」という用語は、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)、および天然に存在するアンジオテンシン(1−7)の任意の機能的同等物、類似体または誘導体の両方を指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」は互換的用語であり、ペプチド結合によって一緒に結合している2個以上のアミノ酸を指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、直鎖状および環状ペプチドの両方を含む。「アンジオテンシン(angiotensin)−(1−7)」、「アンジオテンシン(Angiotensin)−(1−7)」、および「Ang−(1−7)」という用語は、互換的に使用される。
天然に存在するアンジオテンシン(1−7)
天然に存在するアンジオテンシン(1−7)(Ang−(1−7)とまた称される)は、下に示す7個のアミノ酸のペプチドである:
Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)
これは、レニン−アンジオテンシン系の一部であり、かつ主に肝臓によって恒常的に産生され、循環中に放出されるα−2−グロブリンであるアンジオテンシノーゲンとしてまた公知である前駆体から変換される。アンジオテンシノーゲンは、セルピンファミリーのメンバーであり、レニン基質としてまた公知である。ヒトアンジオテンシノーゲンは452個のアミノ酸の長さであるが、他の種は変動するサイズのアンジオテンシノーゲンを有する。典型的には、最初の12個のアミノ酸は、アンジオテンシン活性のために最も重要である。
Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7−Phe8−His9−Leu10−Val11−Ile12(配列番号2) 。
天然に存在するアンジオテンシン(1−7)(Ang−(1−7)とまた称される)は、下に示す7個のアミノ酸のペプチドである:
Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)
これは、レニン−アンジオテンシン系の一部であり、かつ主に肝臓によって恒常的に産生され、循環中に放出されるα−2−グロブリンであるアンジオテンシノーゲンとしてまた公知である前駆体から変換される。アンジオテンシノーゲンは、セルピンファミリーのメンバーであり、レニン基質としてまた公知である。ヒトアンジオテンシノーゲンは452個のアミノ酸の長さであるが、他の種は変動するサイズのアンジオテンシノーゲンを有する。典型的には、最初の12個のアミノ酸は、アンジオテンシン活性のために最も重要である。
Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7−Phe8−His9−Leu10−Val11−Ile12(配列番号2) 。
異なるタイプのアンジオテンシンは、様々な酵素の作用によって形成し得る。例えば、アンジオテンシン(1−7)は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の作用によって生じる。下の「アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)」セクションを参照されたい。
Ang−(1−7)は、Mas受容体のための内因性リガンドである。Mas受容体は、7回膜貫通領域を含有するGタンパク質共役受容体である。本明細書において使用する場合、「アンジオテンシン−(1−7)受容体」という用語は、Gタンパク質共役Mas受容体を包含する。
本明細書において使用する場合、「天然に存在するアンジオテンシン(1−7)」という用語は、自然源から精製された任意のアンジオテンシン(1−7)ペプチド、および天然に存在するアンジオテンシン(1−7)のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する、任意の組換え技術によって産生され、または化学的に合成されたペプチドを含む。
Ang−(1−7)の機能的同等物、類似体または誘導体
いくつかの実施形態において、本発明に適したアンジオテンシン(1−7)ペプチドは、天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物である。本明細書において使用する場合、天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物は、天然に存在するAng−(1−7)とアミノ酸配列の同一性を共有し、かつ天然に存在するAng−(1−7)と実質的に同じまたは同様の活性を保持する任意のペプチドを指す。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物は、本明細書に記載されている方法もしくは当技術分野において公知の方法を使用して決定するような血管形成促進活性、または活性、例えば、一酸化窒素放出、血管拡張、改善された内皮機能、抗利尿、もしくは血管形成にプラスの影響を与える本明細書において考察されている他の特性の1つを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているまたは当技術分野において公知の様々なアッセイを使用して決定するように、本明細書に記載されている天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物は、アンジオテンシン−(1−7)受容体(例えば、Gタンパク質共役Mas受容体)に結合し、またはこれを活性化することができる。いくつかの実施形態において、Ang−(1−7)の機能的同等物はまた、アンジオテンシン(1−7)類似体もしくは誘導体、または機能的誘導体と称される。
いくつかの実施形態において、本発明に適したアンジオテンシン(1−7)ペプチドは、天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物である。本明細書において使用する場合、天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物は、天然に存在するAng−(1−7)とアミノ酸配列の同一性を共有し、かつ天然に存在するAng−(1−7)と実質的に同じまたは同様の活性を保持する任意のペプチドを指す。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物は、本明細書に記載されている方法もしくは当技術分野において公知の方法を使用して決定するような血管形成促進活性、または活性、例えば、一酸化窒素放出、血管拡張、改善された内皮機能、抗利尿、もしくは血管形成にプラスの影響を与える本明細書において考察されている他の特性の1つを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているまたは当技術分野において公知の様々なアッセイを使用して決定するように、本明細書に記載されている天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物は、アンジオテンシン−(1−7)受容体(例えば、Gタンパク質共役Mas受容体)に結合し、またはこれを活性化することができる。いくつかの実施形態において、Ang−(1−7)の機能的同等物はまた、アンジオテンシン(1−7)類似体もしくは誘導体、または機能的誘導体と称される。
典型的には、アンジオテンシン(1−7)の機能的同等物は、天然に存在するAng−(1−7)とのアミノ酸配列の類似性を共有する。いくつかの実施形態において、本発明によるAng−(1−7)の機能的同等物は、天然に存在するAng−(1−7)において出現する7個のアミノ酸からの少なくとも3個(例えば、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個)のアミノ酸を含む配列を含有し、少なくとも3個(例えば、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または少なくとも7個)のアミノ酸は、これらが天然に存在するAng−(1−7)において出現する相対的な位置および/または間隔を維持する。
いくつかの実施形態において、Ang−(1−7)の機能的同等物はまた、天然に存在するAng−(1−7)のアミノ酸配列と少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、60、70%、80%、または90%)同一の配列を含有する任意のペプチドを包含する。アミノ酸配列の同一性の百分率は、アミノ酸配列のアラインメントによって決定することができる。アミノ酸配列のアラインメントは、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して、当技術分野の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長に亘り最大アラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含めた、アラインメントを測定するための適当なパラメーターを決定することができる。好ましくは、WU−BLAST−2ソフトウェアを使用して、アミノ酸配列の同一性を決定する(Altschulら、Methods in Enzymology、266巻、460〜480頁(1996年);http://blast.wustl/edu/blast/README.html)。WU−BLAST−2は、いくつかの探索パラメーターを使用し、これらの大部分はデフォルト値に設定する。調節可能なパラメーターは、下記の値で設定する。オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11。HSPスコア(S)およびHSP S2パラメーターは動的な値であり、特定の配列の組成によってプログラム自体によって確立されるが、しかし、最小値は調節してもよく、上で示したように設定する。
いくつかの実施形態において、Ang−(1−7)の機能的同等物、類似体または誘導体は、天然に存在するAng−(1−7)のフラグメントである。いくつかの実施形態において、Ang−(1−7)の機能的同等物、類似体または誘導体は、天然に存在するAng−(1−7)においてアミノ酸の置換、欠失および/または挿入を含有する。Ang−(1−7)の機能的同等物、類似体または誘導体は、置換、付加、および/または欠失によってアミノ酸配列を改変することによって作製することができる。例えば、天然に存在するAng−(1−7)の配列(配列番号1)内の1個または複数個のアミノ酸残基は、機能的同等物として作用する同様の極性の別のアミノ酸で置換することができ、サイレント改変がもたらされる。配列内のアミノ酸についての置換は、アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択し得る。例えば、正に帯電している(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシン、およびヒスチジンが含まれる。非極性(疎水性)アミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれる。非荷電極性アミノ酸には、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。負に帯電している(酸)アミノ酸には、グルタミン酸およびアスパラギン酸が含まれる。アミノ酸グリシンは、非極性アミノ酸ファミリーまたは非荷電(中性)極性アミノ酸ファミリー中に含まれてもよい。アミノ酸のファミリー内で行われる置換は一般に、保存的置換であると理解される。例えば、ペプチド阻害剤のアミノ酸配列は、修飾または置換することができる。
Ang−(1−7)の機能的同等物、類似体および誘導体の例は、下の「例示的なアンジオテンシン(1−7)ペプチド」という表題のセクションに記載されている。
アンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、任意の長さのものでよい。いくつかの実施形態において、本発明によるアンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、例えば、4〜25個のアミノ酸(例えば、4〜20個、4〜15個、4〜14個、4〜13個、4〜12個、4〜11個、4〜10個、4〜9個、4〜8個、4〜7個のアミノ酸)を含有することができる。いくつかの実施形態において、本発明によるアンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、5〜25個のアミノ酸残基、例えば、5〜20個、5〜15個または5〜10個のアミノ酸残基を含有することができる。いくつかの実施形態において、本発明によるAng(1−7)ペプチドは、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個の残基を含有する。
いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、プロテアーゼ耐性、血清安定性および/またはバイオアベイラビリティーを増加させる1つまたは複数の修飾を含有する。いくつかの実施形態において、適切な修飾は、ペグ化、アセチル化、グリコシル化、ビオチン化、D−アミノ酸および/もしくは非天然アミノ酸による置換、ならびに/またはペプチドの環化から選択される。
本明細書において使用する場合、その最も広い意味での「アミノ酸」という用語は、ポリペプチド鎖中に組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。特定の実施形態において、アミノ酸は、一般構造H2N−C(H)(R)−COOHを有する。特定の実施形態において、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。特定の実施形態において、アミノ酸は、合成または非天然アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸)である。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、D−アミノ酸である。特定の実施形態において、アミノ酸は、L−アミノ酸である。「標準的アミノ酸」とは、両方とも天然でペプチド中に組み込まれているL−アミノ酸およびD−アミノ酸の両方を含めた天然に存在するペプチドにおいて一般に見出される20種の標準的アミノ酸のいずれかを指す。「非標準的」または「通常ではないアミノ酸」とは、これが合成的に調製されるか、または自然源から得られるかに関わらず、標準的なアミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書において使用する場合、「合成または非天然アミノ酸」は、これらに限定されないが、塩、アミノ酸誘導体(例えば、アミド)、および/または置換を含めた、化学修飾されたアミノ酸を包含する。ペプチド中のカルボキシ末端アミノ酸および/またはアミノ末端アミノ酸を含めたアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、および/またはその活性に悪影響を与えることなくペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換によって修飾することができる。通常ではないまたは非天然アミノ酸の例には、これらに限定されないが、シトルリン、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、4−(E)−ブテニル−4(R)−メチル−N−メチルトレオニン(MeBmt)、N−メチル−ロイシン(MeLeu)、アミノイソ酪酸、スタチン(statine)、およびN−メチル−アラニン(MeAla)が含まれる。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与し得る。「アミノ酸」という用語は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指し得る。これが遊離アミノ酸、またはペプチドの残基を指すかは、用語が使用されている文脈から明らかである。
特定の実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドは、1種または複数種のL−アミノ酸、D−アミノ酸、および/または非天然アミノ酸を含有する。
天然に存在するアミノ酸のみを含有するペプチドに加えて、ペプチド模倣物またはペプチド類似体はまた、本発明によって包含される。ペプチド類似体は、テンプレートペプチドの特性と類似の特性を有する、医薬品産業における非ペプチド薬物として一般に使用される。非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物」またはペプチド模倣物と称される(Fauchereら、Infect. Immun.54巻:283〜287頁(1986年);Evansら、J. Med. Chem.30巻:1229〜1239頁(1987年))。治療的に有用なペプチドと構造的に関連するペプチド模倣物を使用して、同等なまたは増強された治療効果または予防効果を生成し得る。一般に、ペプチド模倣物は、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物学的活性または薬理活性を有するポリペプチド)、例えば、天然に存在する受容体結合ポリペプチドと構造的に同様であるが、当技術分野で周知の方法によって、連結、例えば、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(cisおよびtrans)、−CH2SO−、−CH(OH)CH2−、−COCH2−などによって任意選択で置き換えられている1つまたは複数のペプチド連結を有する(Spatola、Peptide Backbone Modifications, Vega Data、1巻(3号):267頁(1983年);Spatolaら、Life Sci.38巻:1243〜1249頁(1986年);Hudsonら、Int. J. Pept. Res.14巻:177〜185頁(1979年);およびWeinstein. B.、1983年、Chemistry and Biochemistry, of Amino Acids, Peptides and Proteins、Weinstein編、Marcel Dekker、New−York)。このようなペプチド模倣物は、より経済的な生成、より大きな化学的安定性、増強された薬理学的特性(例えば、半減期、吸収、効力、効率など)、抗原性の低減およびその他を含めた、天然に存在するポリペプチドを上回る有意な利点を有し得る。
Ang−(1−7)ペプチドはまた、通常ペプチドの一部ではないさらなる化学的部分を含有する他のタイプのペプチド誘導体を含むが、ただし、誘導体は、ペプチドの所望の機能的活性を保持する。このような誘導体の例には、(1)アミノ末端の、または別の遊離アミノ基のN−アシル誘導体であって、アシル基は、アルカノイル基(例えば、アセチル、ヘキサノイル、オクタノイル)、アロイル基(例えば、ベンゾイル)またはブロック基、例えば、F−moc(フルオレニルメチル−O−CO−)であり得る;(2)カルボキシ末端の、または別の遊離カルボキシもしくはヒドロキシル基のエステル;(3)アンモニアまたは適切なアミンとの反応によって生成される、カルボキシ末端の、または別の遊離カルボキシル基のアミド;(4)リン酸化誘導体;(5)抗体または他の生物学的リガンドにコンジュゲートした誘導体、および他のタイプの誘導体;ならびに(6)ポリエチレングリコール(PEG)鎖とコンジュゲートした誘導体が含まれる。
Ang−(1−7)ペプチドは、合成(例えば、独占的固相合成、部分的固相合成、フラグメント縮合、古典的な溶液合成、ネイティブ化学的ライゲーション)および組換え技術を含めた、当業者には公知のペプチド合成の任意の方法によって得てもよい。例えば、ペプチドまたはペプチド誘導体は、手短に言えば、C末端アミノ酸のカルボキシル基を樹脂(例えば、ベンズヒドリルアミン樹脂、クロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂)にカップリングし、N−α保護されたアミノ酸を連続的に加えることからなる固相ペプチド合成によって得ることができる。保護基は、当技術分野において公知の任意のこのような基であり得る。それぞれの新規なアミノ酸を成長している鎖に加える前に、鎖に加えられた先のアミノ酸の保護基を除去する。このような固相合成は、開示されてきた。例えば、Merrifield、J. Am. Chem. Soc.85巻:2149頁(1964年);Valeら、Science213巻:1394〜1397頁(1981年)、米国特許第4,305,872号および同第4,316,891号、Bodonskyら、Chem. Ind.(London)、38巻:1597頁(1966年);ならびにPiettaおよびMarshall、Chem. Comm.650頁(1970年)、Lubellら、「Peptides」Science of Synthesis、21.11巻、Chemistry of Amides.、Thieme、Stuttgart、713〜809頁(2005年)において概説されている技術による。適当な樹脂へのアミノ酸のカップリングはまた当技術分野で周知であり、米国特許第4,244,946号において開示されてきた(Houver−Weyl、Methods of Organic Chemistry.、第E22a巻、Synthesis of Peptides and Peptidomimetics、Murray Goodman、編集長、Thieme. Stuttgart. New York、2002年において概説されている)。
他に定義しない限り、本明細書において使用される科学および技術用語ならびに命名法は、本発明が属する当業者が一般に理解するような同じ意味を有する。一般に、細胞培養、感染、分子生物学の方法などの手順は、当技術分野で使用される一般の方法である。このような標準的な技術は、参照マニュアル、例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience、New York、2001年;およびSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.、2001年において見出すことができる。
Ang(1−7)ペプチドの調製の任意のプロセスの間に、関与している分子のいずれか上の感受性反応性基を保護することが望ましくてもよい。これは、通常の保護基の手段、例えば、Protective Groups In Organic Synthesis、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts、1991年、John Wiley and Sons、New−York;およびPeptides: chemistry and Biology、SewaldおよびJakubke、2002年、Wiley−VCH、Wheinheim、142頁に記載されているものなどによって達成し得る。例えば、αアミノ保護基には、アシルタイプの保護基(例えば、トリフルオロアセチル、ホルミル、アセチル)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、シクロヘキシルオキシカルボニル)、芳香族ウレタンタイプの保護基(例えば、フルオレニル−9−メトキシ−カルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、Cbz誘導体)およびアルキルタイプの保護基(例えば、トリフェニルメチル、ベンジル)が含まれる。アミノ酸側鎖保護基には、ベンジル(ThrおよびSer)、Cbz(Tyr、Thr、Ser、Arg、Lys)、メチルエチル、シクロヘキシル(Asp、His)、Boc(Arg、His、Cys)などが含まれる。保護基は、当技術分野において公知の方法を使用して好都合なそれに続く段階において除去し得る。
さらに、Ang−(1−7)ペプチドは、FMOCプロトコルによって有機相中で保護基によって合成し得る。望ましくは、ペプチドは、C18クロマトグラフィーカラム上の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)で70%の収率で精製され、10〜60%のアセトニトリル勾配で溶出される。ペプチドの分子量は、質量分析法によって検証することができる(Fields,G.B.「Solid−Phase Peptide Synthesis」Methods in Enzymology.、第289巻、Academic Press、1997年において概説されている)。
代わりに、Ang−(1−7)ペプチドは、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を使用して、組換え系において調製し得る。ポリペプチドは、同じポリペプチド内の複数の上記の修飾を含有し得ることが理解される。
ペプチドは生物活性をインビトロで引き出すことにおいて有効であり得る一方で、インビボでのこれらの有効性は、プロテアーゼの存在によって低減し得る。血清プロテアーゼは、特定の基質に対する必要性を有する。基質は、切断のためにL−アミノ酸およびペプチド結合の両方を伴わなければならない。さらに、血清中のプロテアーゼ活性の最も顕著な成分を表すエキソペプチダーゼは通常、ペプチドの最初のペプチド結合上に作用し、遊離N末端を必要とする(Powellら、Pharm. Res.10巻:1268〜1273頁(1993年))。これに照らして、ペプチドの修飾されたバージョンを使用することが有利であることが多い。修飾されたペプチドは、Ang−(1−7)の所望の生物活性を与えるが、有利にプロテアーゼおよび/またはエキソペプチダーゼによる切断の影響を容易に受けやすくない、本来のL−アミノ酸ペプチドの構造的特徴を保持する。
同じタイプのD−アミノ酸によるコンセンサス配列の1個または複数個のアミノ酸の系統的置換(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)を使用して、より安定的なペプチドを生じ得る。このように、本発明のペプチド誘導体またはペプチド模倣物は、順方向または逆方向の順序の全てL、全てDまたは混合D、Lペプチドであり得る。N末端またはC末端D−アミノ酸が存在することは、ペプチダーゼがD−アミノ酸を基質として利用することができないため、ペプチドのインビボでの安定性を増加させる(Powellら、Pharm. Res.10巻:1268〜1273頁(1993年))。逆方向−Dペプチドは、L−アミノ酸を含有するペプチドに対して逆方向配列で配置されているD−アミノ酸を含有するペプチドである。このように、L−アミノ酸ペプチドのC末端残基は、D−アミノ酸ペプチドなどについてN末端となる。逆方向D−ペプチドは、L−アミノ酸ペプチドと同じ二次的立体構造、したがって同様の活性を保持するが、インビトロおよびインビボでの酵素分解に対してより耐性であり、このように本来のペプチドに比べてより大きな治療有効性を有することができる(BradyおよびDodson、Nature、368巻:692〜693頁(1994年);Jamesonら、Nature、368巻:744〜746頁(1994年))。同様に、逆方向−Lペプチドは標準的な方法を用いて生じさせてもよく、親ペプチドのC末端は逆方向−LペプチドのN末端に取って代わるようになる。有意な二次構造(例えば、短いペプチド)を有さないL−アミノ酸ペプチドの逆方向L−ペプチドは、L−アミノ酸ペプチドの側鎖の同じ間隔および立体構造を保持し、したがって本来のL−アミノ酸ペプチドと同様の活性を有することが多いことが意図される。さらに、逆方向ペプチドは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸の組合せを含有し得る。アミノ酸の間の間隔、および側鎖の立体構造は保持され、本来のL−アミノ酸ペプチドと同様の活性をもたらし得る。
修飾されたペプチドはもはやペプチダーゼのための基質ではないため、ペプチドのN末端またはC末端残基上に作用するペプチダーゼに対する耐性を与える別の有効なアプローチは、ペプチド末端において化学基を加えることである。1つのこのような化学修飾は、いずれかまたは両方の末端におけるペプチドのグリコシル化である。特定の化学修飾、特に、N末端グリコシル化は、ヒト血清中のペプチドの安定性を増加させることが示された(Powellら、Pharm. Res.10巻:1268〜1273頁(1993年))。血清安定性を増強させる他の化学修飾には、これらに限定されないが、1〜20個の炭素の低級アルキルからなるN末端アルキル基、例えば、アセチル基の添加、および/またはC末端アミドもしくは置換アミド基の添加が含まれる。特に、本発明は、N末端アセチル基および/またはC末端アミド基を担持するペプチドからなる修飾されたペプチドを含む。
ペプチドのサブ配列において天然アミノ酸を天然に存在しないアミノ酸で置換することはまた、タンパク質分解に対する耐性を与えることができる。このような置換は、例えば、生物活性に影響を与えることなく、N末端上に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する耐性を与えることができる。天然に存在しないアミノ酸の例には、α,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、C−α−メチルアミノ酸、β−アミノ酸、およびβ−メチルアミノ酸が含まれる。本発明において有用なアミノ酸類似体には、これらに限定されないが、β−アラニン、ノルバリン、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、オルニチン(orithine)、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、シクロヘキシルアラニン、2−アミノイソ酪酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、フェニルグリシン、o−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジンおよび他の通常ではないアミノ酸が含まれてもよい。さらに、天然に存在しないアミノ酸を有するペプチドの合成は、当技術分野で通例である。
さらに、コンセンサス配列または実質的に同一なコンセンサス配列のバリエーションを含む拘束されたペプチドは、当技術分野で周知の方法によって生じさせ得る(RizoおよびGierasch、Ann. Rev. Biochem.61巻:387〜418頁(1992年))。例えば、拘束されたペプチドは、ジスルフィド架橋を形成することができるシステイン残基を加え、それによって、環状ペプチドをもたらすことによって生じさせ得る。環状ペプチドは、遊離N末端またはC末端を有さないように構成することができる。したがって、環状ペプチドは、ペプチド末端において切断しないエンドペプチダーゼの影響を受けやすくてもよいが、環状ペプチドはエキソペプチダーゼによるタンパク質分解の影響を受けやすくない。N末端またはC末端D−アミノ酸を有するペプチドの、および環状ペプチドのアミノ酸配列は通常、それぞれ、N末端もしくはC末端D−アミノ酸残基、またはこれらの環状構造の存在を除いて、これらが対応するペプチドの配列と同一である。
環状ペプチド
いくつかの実施形態において、天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物、類似体または誘導体は、環状ペプチドである。本明細書において使用する場合、環状ペプチドは、2個の隣接していない残基の間に分子内共有結合を有する。分子内結合は、骨格と骨格、側鎖と骨格または側鎖と側鎖の結合であり得る(すなわち、直鎖状ペプチドの末端官能基および/または末端もしくは内部残基の側鎖官能基は連結され、環化を達成し得る)。典型的な分子内結合には、ジスルフィド、アミドおよびチオエーテル結合が含まれる。ポリペプチドを環化するための種々の手段は、このようなペプチドに対して行うことができる多くの他の修飾のように当技術分野で周知である。一般的考察のために、これらの内容が参照により本明細書中に組み込まれている国際公開第WO01/53331号および同第WO98/02452号を参照されたい。このような環状結合および他の修飾はまた、本発明の環状ペプチドおよび誘導体化合物に適用することができる。
いくつかの実施形態において、天然に存在するAng−(1−7)の機能的同等物、類似体または誘導体は、環状ペプチドである。本明細書において使用する場合、環状ペプチドは、2個の隣接していない残基の間に分子内共有結合を有する。分子内結合は、骨格と骨格、側鎖と骨格または側鎖と側鎖の結合であり得る(すなわち、直鎖状ペプチドの末端官能基および/または末端もしくは内部残基の側鎖官能基は連結され、環化を達成し得る)。典型的な分子内結合には、ジスルフィド、アミドおよびチオエーテル結合が含まれる。ポリペプチドを環化するための種々の手段は、このようなペプチドに対して行うことができる多くの他の修飾のように当技術分野で周知である。一般的考察のために、これらの内容が参照により本明細書中に組み込まれている国際公開第WO01/53331号および同第WO98/02452号を参照されたい。このような環状結合および他の修飾はまた、本発明の環状ペプチドおよび誘導体化合物に適用することができる。
本明細書に記載のような環状ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、または任意のこれらの組合せの残基を含み得る。アミノ酸は、自然源または非自然源由来であってよいが、ただし、少なくとも1個のアミノ基および少なくとも1個のカルボキシル基が分子中に存在する。α−アミノ酸およびβ−アミノ酸が一般に好ましい。環状ペプチドはまた、多種多様の側鎖修飾および/または置換(例えば、メチル化、ベンジル化、t−ブチル化、トシル化、アルコキシカルボニル化など)のいずれかの有無に関わらず、1個もしくは複数個の希少アミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシリシン)、有機酸もしくはアミド、および/または一般のアミノ酸の誘導体、例えば、エステル化(例えば、ベンジル、メチルもしくはエチルエステル)またはアミド化されたC末端カルボキシレートを有し、かつ/またはN末端アミノ基の修飾(例えば、アセチル化もしくはアルコキシカルボニル化)を有するアミノ酸を含有し得る。適切な誘導体は、N−アセチル基(環化前の直鎖状ペプチドのN末端を表すアミノ基がアセチル化されているような)および/またはC末端アミド基(すなわち、環化の前の直鎖状ペプチドのカルボキシ末端はアミド化される)を有するアミノ酸を含む。環状ペプチドと共に存在し得る一般のアミノ酸以外の残基には、これらに限定されないが、ペニシラミン、β,β−テトラメチレンシステイン、β,β−ペンタメチレンシステイン、β−メルカプトプロピオン酸、β,β−ペンタメチレン−β−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトベンゼン、2−メルカプトアニリン、2−メルカプトプロリン、オルニチン、ジアミノ酪酸、α−アミノアジピン酸、m−アミノメチル安息香酸およびα,β−ジアミノプロピオン酸が含まれる。
N−アセチル化および/またはC−アミド化の有無に関わらず、直鎖状ペプチドの合成に続いて、環化は、当技術分野で周知の種々の技術のいずれかによって達成し得る。一実施形態において、結合は、反応性アミノ酸側鎖の間で生じ得る。例えば、ジスルフィド架橋は、種々の方法のいずれかを使用して、ペプチドを酸化することによって、2個のチオール含有残基を含む直鎖状ペプチドから形成し得る。1つのこのような方法において、チオールの空気酸化は、塩基性または中性の水性媒体を使用して、数日の期間に亘りジスルフィド連結を生じさせることができる。ペプチドを高希釈度で使用し、凝集および分子間の副反応を最小化する。代わりに、強力な酸化剤、例えば、I2およびK3Fe(CN)6を使用して、ジスルフィド連結を形成することができる。Met、Tyr、TrpまたはHisの感受性側鎖が酸化しないように慎重さが必要であることを当業者は認識する。さらなる実施形態において、環化は、アミド結合形成によって達成し得る。例えば、ペプチド結合は、末端官能基(すなわち、環化の前の直鎖状ペプチドのアミノおよびカルボキシ末端)の間で形成し得る。別のこのような実施形態において、直鎖状ペプチドは、D−アミノ酸を含む。代わりに、環化は、N末端アセチル基および/またはC末端アミドの有無に関わらず、1個の末端および残基側鎖を連結することによって、または2個の側鎖を使用して達成し得る。ラクタム結合を形成することができる残基には、リシン、オルニチン(Orn)、α−アミノアジピン酸、m−アミノメチル安息香酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、グルタメートまたはアスパルテートが含まれる。アミド結合を形成するための方法は一般に、当技術分野で周知である。1つのこのような方法において、カルボジイミドが媒介するラクタム形成は、カルボン酸とDCC、DIC、ED ACまたはDCCIとを反応させることによって達成することができ、O−アシル尿素の形成がもたらされ、これは遊離アミノ基と直ちに反応して、環化を完了することができる。代わりに、環化は、アジド法を使用して行うことができ、ここでは反応性アジド中間体は、ヒドラジドを介してアルキルエステルから生じる。代わりに、活性化エステルを使用して、環化を達成することができる。エステルのアルコキシ炭素上の電子求引性置換基の存在は、アミノリシスに対するエステルの影響の受けやすさを増加させる。p−ニトロフェノール、N−ヒドロキシ化合物およびポリハロゲン化フェノールのエステルの高い反応性は、これらの「活性エステル」を、アミド結合の合成において有用なものとしてきた。さらなる実施形態において、チオエーテル連結は、チオール含有残基の側鎖および適当に誘導体化されたα−アミノ酸の間に形成し得る。例として、リシン側鎖は、カルボジイミドカップリング方法(DCC、EDAC)によってブロモ酢酸にカップリングすることができ、次いで、上記のチオール含有残基のいずれかの側鎖と反応させて、チオエーテル連結を形成させる。ジチオエーテルを形成するために、任意の2個のチオール含有側鎖は、DMF中のジブロモエタンおよびジイソプロピルアミンと反応させることができる。
例示的なアンジオテンシン−(1−7)ペプチド
直鎖状アンジオテンシン(1−7)ペプチド
特定の態様において、本発明は、直鎖状アンジオテンシン−(1−7)ペプチドを提供する。上記で考察するように、天然に存在するAng−(1−7)の構造は、下記の通りである:
Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1) 。
直鎖状アンジオテンシン(1−7)ペプチド
特定の態様において、本発明は、直鎖状アンジオテンシン−(1−7)ペプチドを提供する。上記で考察するように、天然に存在するAng−(1−7)の構造は、下記の通りである:
Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1) 。
本発明のペプチドおよびペプチド類似体は一般に、式(I)によって表すことができ、
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7(配列番号3)
または薬学的に許容されるその塩である。
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7(配列番号3)
または薬学的に許容されるその塩である。
Xaa1は、任意のアミノ酸またはジカルボン酸である。特定の実施形態において、Xaa1は、Asp、Glu、Asn、Acpc(1−アミノシクロペンタンカルボン酸)、Ala、Me2Gly(N,N−ジメチルグリシン)、Pro、Bet(ベタイン、1−カルボキシ−N,N,N−トリメチルメタンアミニウム水酸化物)、Glu、Gly、Asp、Sar(サルコシン)またはSuc(コハク酸)である。特定のこのような実施形態において、Xaa1は、負に帯電しているアミノ酸、例えば、AspまたはGlu、典型的にはAspである。
Xaa2は、Arg、Lys、Ala、Cit(シトルリン)、Orn(オルニチン)、アセチル化Ser、Sar、D−ArgおよびD−Lysである。特定の実施形態において、Xaa2は、正に帯電しているアミノ酸、例えば、ArgまたはLys、典型的にはArgである。
Xaa3は、Val、Ala、Leu、Nle(ノルロイシン)、Ile、Gly、Lys、Pro、HydroxyPro(ヒドロキシプロリン)、Aib(2−アミノイソ酪酸)、AcpcまたはTyrである。特定の実施形態において、Xaa3は、脂肪族アミノ酸、例えば、Val、Leu、IleまたはNle、典型的にはValまたはNleである。
Xaa4は、Tyr、Tyr(PO3)、Thr、Ser、ホモSer(ホモセリン)、アザTyr(アザ−α1−ホモ−L−チロシン)またはAlaである。特定の実施形態において、Xaa4は、ヒドロキシル−置換アミノ酸、例えば、Tyr、SerまたはThr、典型的にはTyrである。
Xaa5は、Ile、Ala、Leu、norLeu、ValまたはGlyである。特定の実施形態において、Xaa5は、脂肪族アミノ酸、例えば、Val、Leu、IleまたはNle、典型的にはIleである。
Xaa6は、His、Argまたは6−NH2−Phe(6−アミノフェニルアラニン(aminophenylalaine))である。特定の実施形態において、Xaa6は、完全または部分的に正に帯電しているアミノ酸、例えば、ArgまたはHisである。
Xaa7は、Cys、ProまたはAlaである。
特定の実施形態において、Xaa1〜Xaa7の1つまたは複数は、天然に存在するAng(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。特定のこのような実施形態において、Xaa1〜Xaa7の1個または2個を除いて全ては、天然に存在するAng(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態において、Xaa1〜Xaa6の全ては、天然に存在するAng(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。
特定の実施形態において、Xaa3は、Nleである。Xaa3がNleであるとき、Xaa1〜Xaa2およびXaa4〜7の1つまたは複数は、天然に存在するAng(1−7)における対応するアミノ酸と任意選択で同一である。特定のこのような実施形態において、Xaa1〜Xaa2およびXaa4〜7の1個または2個を除いて全ては、天然に存在するAng(1−7)における対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態において、Xaa1〜Xaa2およびXaa4〜7の全ては、天然に存在するAng(1−7)における対応するアミノ酸と同一であり、アミノ酸配列:Asp1−Arg2−Nle3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号4)をもたらす。
特定の実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列Asp1−Arg2−Nle3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号4)を有する。
特定の実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys(配列番号5)またはAsp1−Arg2−Val3−ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号6)を有する。
例示的な環状アンジオテンシン(1−7)ペプチド
特定の態様において、本発明は、AngにおけるTyr4位およびPro7位に対応するアミノ酸の側鎖の間などの連結を含む、環状アンジオテンシン−(1−7)(Ang(1−7))ペプチド類似体を提供する。これらのペプチド類似体は典型的には、7個のアミノ酸残基を含むが、また切断可能な配列を含むことができる。下でさらに詳細に考察するように、本発明は、フラグメントおよび類似体を含み、1個または複数個のアミノ酸は、別のアミノ酸(フラグメントを含めた)で置換されている。このようなフラグメントまたは類似体の一例は、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号22)であり、連結は、Ser4およびCys7の間で形成される。
特定の態様において、本発明は、AngにおけるTyr4位およびPro7位に対応するアミノ酸の側鎖の間などの連結を含む、環状アンジオテンシン−(1−7)(Ang(1−7))ペプチド類似体を提供する。これらのペプチド類似体は典型的には、7個のアミノ酸残基を含むが、また切断可能な配列を含むことができる。下でさらに詳細に考察するように、本発明は、フラグメントおよび類似体を含み、1個または複数個のアミノ酸は、別のアミノ酸(フラグメントを含めた)で置換されている。このようなフラグメントまたは類似体の一例は、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号22)であり、連結は、Ser4およびCys7の間で形成される。
下記のセクションは、4位および7位の残基を連結するチオエーテル結合に関して本発明の態様を記載するが、(上記のような)他の連結は、チオエーテル架橋を置き換えることができ、他の残基を環化することができることを理解すべきである。チオエーテル架橋はまた、モノスルフィド架橋と、または、Ala−S−Alaの場合、ランチオニン架橋と称される。チオエーテル架橋含有ペプチドは、下記の式:
の1つを有する2個のアミノ酸によって形成することができる。
これらの式において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立に、−H、アルキル(例えば、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルキル)またはアラルキル基であり、アルキルおよびアラルキル基は、1個または複数個のハロゲン、−OHまたは−NRR’基(RおよびR’は、独立に、−HまたはC1〜C4アルキルである)で任意選択で置換されている。特定の実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、−Hまたは−CH3であり、例えば、全ては−Hである。
特定の実施形態において、本発明は、式(I)によるチオエーテル架橋を含むAng類似体または誘導体を提供する。典型的には、R1、R2、R3およびR4は、−Hおよび−CH3から独立に選択される。式(I)によるチオエーテル架橋を含むペプチドは、例えば、ランチビオティック酵素によって、またはジスルフィドの硫黄の脱離によって生成することができる。一例において、そこから硫黄が脱離されるジスルフィドは、4位におけるD−システインおよび7位におけるL−システインによって、または4位におけるD−システインおよび7位におけるL−ペニシラミンによって形成することができる(例えば、Galande、TrentおよびSpatola、(2003年)Biopolymers、71巻、534〜551頁を参照されたい)。
他の実施形態において、2個のアミノ酸の連結は、式(II)または式(III)において示す架橋でよい。式(II)によるチオエーテル架橋を含むペプチドは、例えば、4位におけるD−ホモシステインおよび7位におけるL−システインによって形成されるジスルフィドの硫黄の脱離によって作製することができる。同様に、式(III)におけるようにチオエーテル架橋を含むペプチドは、例えば、4位におけるD−システインおよび7位におけるL−ホモシステインによって形成されるジスルフィドの硫黄の脱離によって作製することができる。
上記で考察するように、本発明のAng類似体および誘導体は、長さおよびアミノ酸組成が変動する。本発明のAng類似体および誘導体は好ましくは生物活性を有し、またはタンパク分解性に活性化することができる不活性な前駆体分子である(例えば、10個のアミノ酸を有するアンジオテンシン(I)が、2個のアミノ酸の切断によって活性フラグメントにどのように変換されるか)。Ang類似体または誘導体のサイズは変動することができるが、3〜7Nle−チオエーテル環状構造を含む「コア」五量体セグメントが包含される限り、典型的には約5〜10個のアミノ酸である。本発明の類似体または誘導体のアミノ酸配列は、変動することができるが、典型的にはただし、本発明の類似体または誘導体は生物活性があり、またはタンパク分解性に活性化されることができる。類似体または誘導体の生物活性は、放射性リガンド結合研究、インビトロでの細胞活性化アッセイおよびインビボでの実験を含めた当技術分野において公知の方法を使用して決定することができる。例えば、GodenyおよびSayeski、(2006年)Am. J. Physiol. Cell. Physiol.、291巻:C1297〜1307頁;Sarrら、Cardiovasc. Res.(2006年)71巻:794〜802頁;およびKoziarzら、(1933年)Gen. Pharmacol.24巻:705〜713頁を参照されたい。
ペプチドの長さのみが変動するAng類似体および誘導体には、下記が含まれる。
[Cyc4−7]Ang(1−7)と称される4,7−環化類似体、天然Ang(1−7)(Asp1−Arg2−Val3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7、配列番号7)に由来する。
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−10)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンI(Ang(1−10))(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8−His9−Leu10、配列番号8)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−8)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンII(Ang(1−8))(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8、配列番号9)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(2−8)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンIII(Ang(2−8))(Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8、配列番号10)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(3−8)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンIV(Ang(3−8))(Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8、配列番号11)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−7)と称される4,7−環化類似体、天然Ang(1−7)(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7、配列番号12)に由来する;および
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−9)と称される4,7−環化類似体、天然Ang(1−9)(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8−His9、配列番号13)に由来する。
これらの類似体は、Cyc4−7部分として式(I)〜(III)において示すチオエーテル架橋の1つを有することができ、例えば、Cyc4およびCyc7は、式(I)によって表され、例えば、R1〜R4は、それぞれ、−Hまたは−CH3、典型的には−Hである。
[Cyc4−7]Ang(1−7)と称される4,7−環化類似体、天然Ang(1−7)(Asp1−Arg2−Val3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7、配列番号7)に由来する。
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−10)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンI(Ang(1−10))(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8−His9−Leu10、配列番号8)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−8)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンII(Ang(1−8))(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8、配列番号9)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(2−8)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンIII(Ang(2−8))(Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8、配列番号10)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(3−8)と称される4,7−環化類似体、天然アンジオテンシンIV(Ang(3−8))(Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8、配列番号11)に由来する;
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−7)と称される4,7−環化類似体、天然Ang(1−7)(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7、配列番号12)に由来する;および
[Nle3、Cyc4−7]Ang(1−9)と称される4,7−環化類似体、天然Ang(1−9)(Asp1−Arg2−Nle3−Cyc4−Ile5−His6−Cyc7−Phe8−His9、配列番号13)に由来する。
これらの類似体は、Cyc4−7部分として式(I)〜(III)において示すチオエーテル架橋の1つを有することができ、例えば、Cyc4およびCyc7は、式(I)によって表され、例えば、R1〜R4は、それぞれ、−Hまたは−CH3、典型的には−Hである。
天然アンジオテンシンペプチドのアミノ酸配列と比較して、Cyc4−7類似体の4位および7位におけるアミノ酸は修飾され、上に示すチオエーテル環状構造の導入が可能となる。Ang類似体の長さに加えて、3位、4位および7位以外の位置におけるアミノ酸は、天然に存在するペプチドと同じまたは異なってもよいが、典型的にはただし、類似体は、生物学的機能を保持する。不活性な前駆体の類似体、例えば、[Cyc4−7]Ang(1−10)について、生物学的機能とは、類似体を生物活性があるフラグメント(例えば、Ang(1−8)もしくはAng(1−7))に切断することができるアンジオテンシン変換酵素に対する類似体の影響の受けやすさ、またはフラグメント自体の生物活性の、一方または両方を指す。特定の実施形態において、本発明のAng類似体または誘導体は内在性の機能を有さないが、1種または複数種の天然に存在するアンジオテンシン化合物の効果を阻害する。
特定の実施形態において、本発明のAng類似体は、式(IV)によって表される。
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cyc4−Xaa5−Xaa6−Cyc7(V、配列番号14)
Xaa1は、任意のアミノ酸であるが、典型的には負に帯電しているアミノ酸、例えば、GluまたはAsp、より典型的にはAspである。
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cyc4−Xaa5−Xaa6−Cyc7(V、配列番号14)
Xaa1は、任意のアミノ酸であるが、典型的には負に帯電しているアミノ酸、例えば、GluまたはAsp、より典型的にはAspである。
Xaa2は、正に帯電しているアミノ酸、例えば、ArgまたはLys、典型的にはArgである。
Xaa3は、脂肪族アミノ酸、例えば、Leu、IleまたはVal、典型的にはValである。
Cyc4は、Cyc7と併せてチオエーテル架橋を形成する。Cyc4は、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、典型的にはD−立体異性体でよい。(Cyc7と一緒の)Cyc4の例を、式(I)、(II)および(III)において示す。典型的には、式(I)、(II)および(III)におけるR基は、−Hまたは−CH3、特に、−Hである。
Xaa5は、脂肪族アミノ酸、例えば、Leu、IleまたはVal、典型的にはIleである。
Xaa6は、Hisである。
例えば、式(I)、(II)または(III)において、Cyc7は、Cyc4と併せてチオエーテル架橋を形成する。Cyc7は、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、典型的にはL−立体異性体でよい。(Cyc4と一緒の)Cyc7の例を、式(II)、(III)および(IV)において示す。典型的には、式(II)、(III)および(IV)におけるR基は、−Hまたは−CH3、特に、−Hである。
特定の実施形態において、Xaa1〜Xaa6の1つまたは複数(Cyc4およびCyc7を除いて)は、天然に存在するAng−(1−7)中の対応するアミノ酸と同一である。特定のこのような実施形態において、Xaa1〜Xaa6の1個または2個を除いて全ては、天然に存在するAng−(1−7)中の対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態において、Xaa1〜Xaa6の全ては、天然に存在するAng−(1−7)中の対応するアミノ酸と同一である。
特定の実施形態において、Cyc4およびCyc7は、Abu(2−アミノ酪酸)およびAla(アラニン)から独立に選択され、Alaは、少なくとも1つの位置において存在する。このように、環状類似体は、−Ala4−S−Ala7−(式(I)、R1〜R4は、それぞれ−Hである);−Ala4−S−Abu7−(式(I):R1〜R3は、−Hであり、R4は、−CH3である)または−Abu4−S−Ala7−(式(I):R1、R3およびR4は、−Hであり、R2は、−CH3である)によって形成されるチオエーテル連結を有することができる。環状類似体の具体例は、−Abu4−S−Ala7−連結または−Ala4−S−Ala7−連結を含む。
特定の実施形態において、本発明は、下記の構造的ダイアグラム:
によって表されるアミノ酸配列Asp1−Arg2−Val3−Abu4−Ile5−His6−Ala7(配列番号15)またはアミノ酸配列Asp1−Arg2−Val3−Ala4−Ile5−His6−Ala7(配列番号16)を有する、4位および7位の間にチオエーテル−架橋を伴うAng−(1−7)類似体を提供する。
特定の実施形態において、本発明のAng類似体または誘導体は、式(IV):
Xaa1−Xaa2−Nle3−Cyc4−Xaa5−Xaa6−Cyc7−Xaa8−Xaa9−Xaa10(IV、配列番号17)
によって表される。上記で考察するように、Xaa1、Xaa2、Xaa8、Xaa9およびXaa10の1つまたは複数は、特定の実施形態において存在しない。例えば、(1)Xaa10は存在せず、(2)Xaa9およびXaa10は存在せず、(3)Xaa8、Xaa9およびXaa10は存在せず、(4)Xaa1は存在せず、(5)Xaa1およびXaa10は存在せず、(6)Xaa1、Xaa9およびXaa10は存在せず、(7)Xaa1、Xaa8、Xaa9およびXaa10は存在せず、(8)Xaa1およびXaa2は存在せず、(9)Xaa1、Xaa2およびXaa10は存在せず、(10)Xaa1、Xaa2、Xaa9およびXaa10は存在せず、または(11)Xaa1、Xaa2、Xaa8、Xaa9およびXaa10は存在しない。これらの実施形態のそれぞれについて、残りのアミノ酸は、下記の値を有する。
Xaa1−Xaa2−Nle3−Cyc4−Xaa5−Xaa6−Cyc7−Xaa8−Xaa9−Xaa10(IV、配列番号17)
によって表される。上記で考察するように、Xaa1、Xaa2、Xaa8、Xaa9およびXaa10の1つまたは複数は、特定の実施形態において存在しない。例えば、(1)Xaa10は存在せず、(2)Xaa9およびXaa10は存在せず、(3)Xaa8、Xaa9およびXaa10は存在せず、(4)Xaa1は存在せず、(5)Xaa1およびXaa10は存在せず、(6)Xaa1、Xaa9およびXaa10は存在せず、(7)Xaa1、Xaa8、Xaa9およびXaa10は存在せず、(8)Xaa1およびXaa2は存在せず、(9)Xaa1、Xaa2およびXaa10は存在せず、(10)Xaa1、Xaa2、Xaa9およびXaa10は存在せず、または(11)Xaa1、Xaa2、Xaa8、Xaa9およびXaa10は存在しない。これらの実施形態のそれぞれについて、残りのアミノ酸は、下記の値を有する。
Xaa1は、存在するとき、任意のアミノ酸であるが、典型的には負に帯電しているアミノ酸、例えば、GluまたはAsp、より典型的にはAspである。
Xaa2は、存在するとき、正に帯電しているアミノ酸、例えば、ArgまたはLys、典型的にはArgである。
Nle3は、ノルロイシンである。
Cyc4は、Cyc7と併せてチオエーテル架橋を形成する。Cyc4は、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、典型的にはD−立体異性体でよい。(Cyc7と一緒の)Cyc4の例を、式(I)、(II)および(III)において示す。典型的には、式(I)、(II)および(III)におけるR基は、−Hまたは−CH3、特に、−Hである。
Xaa5は、脂肪族アミノ酸、例えば、Leu、Nle、IleまたはVal、典型的にはIleである。
Xaa6は、Hisである。
例えば、式(I)、(II)または(III)において、Cyc7は、Cyc4と併せてチオエーテル架橋を形成する。Cyc7は、D−立体異性体および/またはL−立体異性体、典型的にはL−立体異性体でよい。(Cyc4と一緒の)Cyc7の例を、式(I)、(II)および(III)において示す。典型的には、式(I)、(II)および(III)におけるR基は、−Hまたは−CH3、特に、−Hである。
Xaa8は、存在するとき、Pro以外のアミノ酸、典型的にはPheまたはIleである。特定の実施形態において、Ileは、Ang(1−8)の阻害剤をもたらす。特定の実施形態において、Pheは、Ang(1−8)またはAng(1−10)の生物活性を維持する。
Xaa9は、存在するとき、Hisである。
Xaa10は、存在するとき、脂肪族残基、例えば、Ile、ValまたはLeu、典型的にはLeuである。
特定の実施形態において、Xaa1〜Xaa10の1つまたは複数(Nle3、Cyc4およびCyc7を除いて)は、天然に存在するAng(Ang(1−7)、Ang(1−8)、Ang(1−9)、Ang(1−10)、Ang(2−7)、Ang(2−8)、Ang(2−9)、Ang(2−10)、Ang(3−8)、Ang(3−9)およびAng(3−10)を含めた)における対応するアミノ酸と同一である。特定のこのような実施形態において、Xaa1〜Xaa10の1個または2個を除いて全て(存在するものについて)は、天然に存在するAngにおける対応するアミノ酸と同一である。他の実施形態において、Xaa1〜Xaa10の全て(存在するものについて)は、天然に存在するAngにおける対応するアミノ酸と同一である。
特定の実施形態において、Cyc4およびCyc7は、Abu(2−アミノ酪酸)およびAla(アラニン)から独立に選択され、Alaは、少なくとも1つの位置において存在する。このように、包含されるのは、−Ala4−S−Ala7−(式(I)、R1〜R4は、それぞれ−Hである);−Ala4−S−Abu7−(式(I):R1〜R3は、−Hであり、R4は、−CH3である)または−Abu4−S−Ala7−(式(I):R1、R3およびR4は、−Hであり、R2は、−CH3である)によって形成されるチオエーテル連結を含む環状類似体である。特定の環状類似体は、−Abu4−S−Ala7−または−Ala4−S−Ala7−連結を含む。
特に、本発明は、アミノ酸配列Asp1−Arg2−Nle3−Abu4−Ile5−His6−Ala7(配列番号18)またはアミノ酸配列Asp1−Arg2−Nle3−Ala4−Ile5−His6−Ala7(配列番号19)を有する、4位および7位の間にチオエーテル−架橋を伴うAng(1−7)類似体または誘導体を提供する。
別の態様において、本発明は、Ang(1−8)アンタゴニスト活性を有する、4位および7位の間にチオエーテル−架橋を伴うAng(1−8)類似体または誘導体、特に、アミノ酸配列Asp1−Arg2−Nle3−Abu4−Ile5−His6−Ala7−Ile8(配列番号20)またはアミノ酸配列Asp1−Arg2−Nle3−Ala4−Ile5−His6−Ala7−Ile8(配列番号21)を有するAng(1−8)類似体または誘導体を提供する。
アルキル基は、完全に飽和している直鎖状または分岐状の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖状または分岐状のアルキル基は、1個〜約20個の炭素原子、好ましくは1個〜約10個の炭素原子を含む。直鎖状および分岐状のアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチルおよびオクチルが含まれる。C1〜C4直鎖状または分岐状のアルキル基はまた、「低級アルキル」基と称される。
アラルキル基は、アリール基で置換されているアルキル基である。芳香族(アリール)基には、炭素環式芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、およびアントラシル、ならびにヘテロアリール基、例えば、イミダゾリル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、およびテトラゾリルが含まれる。芳香族基はまた、縮合多環芳香族環系を含み、炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環は、1つまたは複数の他のヘテロアリール環に縮合している。例には、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、キノリニル、イソキノリニルおよびイソインドリルが含まれる。
アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト
本発明はまた、末梢血管疾患の処置におけるアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストの使用を意図する。本明細書において使用する場合、「アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト」という用語は、アンジオテンシン−(1−7)受容体、特に、Gタンパク質共役Mas受容体の機能においてプラスの影響を有する任意の分子を包含する。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、アンジオテンシン−(1−7)受容体(すなわち、Mas受容体)活性を直接的または間接的に増強し、強化し、活性化させ、かつ/または増加させる。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、アンジオテンシン−(1−7)受容体(すなわち、Mas受容体)と直接的に相互作用する。このようなアゴニストは、例えば、タンパク質、化合物、小分子、核酸、抗体、薬物、リガンド、または他の薬剤を含めて、ペプチドまたは非ペプチドでよい。
本発明はまた、末梢血管疾患の処置におけるアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストの使用を意図する。本明細書において使用する場合、「アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト」という用語は、アンジオテンシン−(1−7)受容体、特に、Gタンパク質共役Mas受容体の機能においてプラスの影響を有する任意の分子を包含する。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、アンジオテンシン−(1−7)受容体(すなわち、Mas受容体)活性を直接的または間接的に増強し、強化し、活性化させ、かつ/または増加させる。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、アンジオテンシン−(1−7)受容体(すなわち、Mas受容体)と直接的に相互作用する。このようなアゴニストは、例えば、タンパク質、化合物、小分子、核酸、抗体、薬物、リガンド、または他の薬剤を含めて、ペプチドまたは非ペプチドでよい。
例示的なクラスのアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、1−(p−チエニルベンジル)イミダゾールである。これらの非ペプチドのアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストの例は、構造式(IV)によって表され、
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
R1は、ハロゲン、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、(C1〜C8)−アルコキシ(1〜6個の炭素原子は、ヘテロ原子O、S、またはNH(好ましくは、O)で置き換えられている)、(C1〜C4)−アルコキシ(飽和環状エーテル、例えば、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランで置換されている)、O−(C1〜C4)−アルケニル、O−(C1〜C4)−アルキルアリール、またはアリールオキシ(非置換もしくはハロゲン、(C1〜C3)−アルキル、(C1〜C3)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される置換基で置換されている)であり、
R2は、CHO、COOH、または(3)CO−O−(C1〜C4)−アルキルであり、
R3は、(C1〜C4)−アルキルまたはアリールであり、
R4は、水素、ハロゲン(クロロ、ブロモ、フルオロ)、または(C1〜C4)−アルキルであり、
Xは、酸素または硫黄であり、
Yは、酸素または−NH−であり、
R5は、水素、(C1〜C6)−アルキル;または(C1〜C4)−アルキルアリールであり、Yが−NH−であるとき、R5は、水素であり、
R6は、(C1〜C5)−アルキルである。
R1は、ハロゲン、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、(C1〜C8)−アルコキシ(1〜6個の炭素原子は、ヘテロ原子O、S、またはNH(好ましくは、O)で置き換えられている)、(C1〜C4)−アルコキシ(飽和環状エーテル、例えば、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランで置換されている)、O−(C1〜C4)−アルケニル、O−(C1〜C4)−アルキルアリール、またはアリールオキシ(非置換もしくはハロゲン、(C1〜C3)−アルキル、(C1〜C3)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される置換基で置換されている)であり、
R2は、CHO、COOH、または(3)CO−O−(C1〜C4)−アルキルであり、
R3は、(C1〜C4)−アルキルまたはアリールであり、
R4は、水素、ハロゲン(クロロ、ブロモ、フルオロ)、または(C1〜C4)−アルキルであり、
Xは、酸素または硫黄であり、
Yは、酸素または−NH−であり、
R5は、水素、(C1〜C6)−アルキル;または(C1〜C4)−アルキルアリールであり、Yが−NH−であるとき、R5は、水素であり、
R6は、(C1〜C5)−アルキルである。
特定の実施形態において、R2がCOOHまたはCO−O−(C1〜C4)−アルキルであるとき、R1は、ハロゲンではない。
いくつかの実施形態において、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、下記の構造によって表されるAVE0991、5−ホルミル−4−メトキシ−2−フェニル−1[[4−[2−(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)−5−イソブチル−3−チエニル]−フェニル]−メチル]−イミダゾールである。
別の例示的なクラスのアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、p−チエニルベンジルアミドである。これらの非ペプチドアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストの例は、構造式(V)によって表され、
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
R1は、(C1〜C5)−アルキル(非置換もしくはNH2、ハロゲン、O−(C1〜C3)−アルキル、CO−O−(C1〜C3)−アルキルおよびCO2Hから選択されるラジカルで置換されている)、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C1〜C3)−アルキル−(C3〜C8)−シクロアルキル、(C6〜C10)−アリール(非置換もしくはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、(C1〜C3)−アルキル−(C6〜C10)−アリール(アリールラジカルは、非置換またはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、(C1〜C5)−ヘテロアリール、または(C1〜C3)−アルキル−(C1〜C5)−ヘテロアリールであり、
R2は、水素、(C1〜C6)−アルキル(非置換もしくはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C1〜C3)−アルキル−(C3〜C8)−シクロアルキル、(C6〜C10)−アリール(非置換もしくはハロゲン、O−(C1〜C3)−アルキルおよびCO−O−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、または(C1〜C3)−アルキル−(C6〜C10)−アリール(非置換もしくはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)であり、
R3は、水素、COOH、またはCOO−(C1〜C4)−アルキルであり、
R4は、水素、ハロゲン;または(C1〜C4)−アルキルであり、
R5は、水素または(C1〜C6)−アルキルであり、
R6は、水素、(C1〜C6)−アルキル、(C1〜C3)−アルキル−(C3〜C8)−シクロアルキル、または(C2〜C6)−アルケニルであり、
Xは、酸素またはNHである。
R1は、(C1〜C5)−アルキル(非置換もしくはNH2、ハロゲン、O−(C1〜C3)−アルキル、CO−O−(C1〜C3)−アルキルおよびCO2Hから選択されるラジカルで置換されている)、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C1〜C3)−アルキル−(C3〜C8)−シクロアルキル、(C6〜C10)−アリール(非置換もしくはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、(C1〜C3)−アルキル−(C6〜C10)−アリール(アリールラジカルは、非置換またはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、(C1〜C5)−ヘテロアリール、または(C1〜C3)−アルキル−(C1〜C5)−ヘテロアリールであり、
R2は、水素、(C1〜C6)−アルキル(非置換もしくはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C1〜C3)−アルキル−(C3〜C8)−シクロアルキル、(C6〜C10)−アリール(非置換もしくはハロゲン、O−(C1〜C3)−アルキルおよびCO−O−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)、または(C1〜C3)−アルキル−(C6〜C10)−アリール(非置換もしくはハロゲンおよびO−(C1〜C3)−アルキルから選択されるラジカルで置換されている)であり、
R3は、水素、COOH、またはCOO−(C1〜C4)−アルキルであり、
R4は、水素、ハロゲン;または(C1〜C4)−アルキルであり、
R5は、水素または(C1〜C6)−アルキルであり、
R6は、水素、(C1〜C6)−アルキル、(C1〜C3)−アルキル−(C3〜C8)−シクロアルキル、または(C2〜C6)−アルケニルであり、
Xは、酸素またはNHである。
アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストのさらなる例は、その内容が本明細書において参照により組み込まれている米国特許第6,235,766号および同第6,538,144号に記載されている。
上記の様々なアンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、薬学的に許容される塩として存在することができる。本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、ペプチドまたは同等な化合物の所望の活性を保持するが、好ましくはペプチド、またはペプチドを使用する系の他の成分の活性に有害な影響を与えない塩を指す。このような塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などと形成される酸付加塩である。塩はまた、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸などと共に形成し得る。カチオン性材料から形成される塩は、これらの無機酸および有機酸の共役塩基を利用し得る。塩はまた、多価金属カチオン、例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケルなどと共に、またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミンもしくはエチレンジアミンから形成された有機カチオンと共に形成し得、またはこれらの組合せ(例えば、タンニン酸亜鉛塩(zinc tannate salt))である。無毒性の生理学的に許容される塩が好ましい。
塩は、通常の手段、例えば、生成物の遊離酸または遊離塩基の形態と、1当量もしくは複数当量の適当な酸または塩基とを、その中で塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中で、またはその後に真空中もしくは凍結乾燥によって除去される水などの溶媒中で反応させることによって、あるいは存在する塩のカチオンを適切なイオン交換樹脂上の別のカチオンと交換することによって形成させることができる。
アルキル基は、完全に飽和した、直鎖状または分岐状の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖状または分岐状のアルキル基は、1個〜約20個の炭素原子、好ましくは1個〜約10個の炭素原子を有する。直鎖状および分岐状のアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチルおよびオクチルが含まれる。C1〜C4の直鎖状または分岐状のアルキル基はまた、「低級アルキル」基と称される。
アルケニル基は、1つまたは複数の二重結合を含む直鎖状または分岐状の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖状または分岐状のアルケニル基は、2個〜約20個の炭素原子、好ましくは2個〜約10個の炭素原子を有する。直鎖状および分岐状のアルケニル基の例には、エテニル、n−プロペニル、およびn−ブテニルが含まれる。
芳香族(アリール)基には、炭素環式芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、およびアントラシル、ならびにヘテロアリール基、例えば、イミダゾリル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、およびテトラゾリルが含まれる。芳香族基はまた、縮合多環芳香族環系を含み、炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環は、1つまたは複数の他のヘテロアリール環に縮合している。例には、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、キノリニル、イソキノリニルおよびイソインドリルが含まれる。
アラルキル基は、アリール基で置換されているアルキル基である。芳香族(アリール)基には、炭素環式芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、およびアントラシル、ならびにヘテロアリール基、例えば、イミダゾリル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、およびテトラゾリルが含まれる。芳香族基はまた、縮合多環芳香族環系を含み、炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環は、1つまたは複数の他のヘテロアリール環に縮合している。例には、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、キノリニル、イソキノリニルおよびイソインドリルが含まれる。
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)
本発明はまた、末梢血管疾患の処置におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の使用を意図する。ACE2は、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン(aldoterone)系に関与する酵素である。ACE2は一般に、様々な器官、例えば、心臓、腎臓、肝臓および肺、ならびに血管において膜アンカー型糖タンパク質として発現する。ACE2は、アペリン、ブラジキニン、アンジオテンシン1−9に切断されるアンジオテンシンI、およびAng1−7に切断されるAng IIを含めた多数のペプチド基質を切断するカルボキシペプチダーゼである。本明細書において使用する場合、「ACE2活性」という用語は、Ang IIをAng1−7に変換することができるACE2酵素またはポリペプチドを指す。
本発明はまた、末梢血管疾患の処置におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の使用を意図する。ACE2は、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン(aldoterone)系に関与する酵素である。ACE2は一般に、様々な器官、例えば、心臓、腎臓、肝臓および肺、ならびに血管において膜アンカー型糖タンパク質として発現する。ACE2は、アペリン、ブラジキニン、アンジオテンシン1−9に切断されるアンジオテンシンI、およびAng1−7に切断されるAng IIを含めた多数のペプチド基質を切断するカルボキシペプチダーゼである。本明細書において使用する場合、「ACE2活性」という用語は、Ang IIをAng1−7に変換することができるACE2酵素またはポリペプチドを指す。
典型的には、ヒト野生型ACE2は、シグナル配列(アミノ酸1〜17、下の表1において下線を引く)および膜アンカーに関与するC末端疎水性端(下の表1においてボールド体である)を含めた805個のアミノ酸残基を有する。いくつかの実施形態において、C末端疎水性残基の除去は、タンパク質の溶解性の増加をもたらす。ヒト野生型ACE2のmRNAおよびアミノ酸配列は、それぞれ、アクセッション番号AB046569およびBAB40370において示され、下で表1において示される。
このように、いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、完全長成熟ヒトACE2タンパク質(配列番号25)である。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、完全長前駆体ACE2におけるアミノ酸740に対応する残基までを含めた成熟ACE2酵素である(配列番号26)。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、完全長前駆体におけるアミノ酸615に対応する残基までを含めた成熟ACE2酵素である(配列番号27)。いくつかの実施形態において、適切なACE2酵素は、成熟ヒトACE2酵素のホモログまたは類似体であり得る。例えば、成熟ACE2酵素のホモログまたは類似体は、実質的なACE2酵素活性を保持する一方で、野生型または天然に存在するACE2タンパク質(例えば、配列番号25)と比較して、1個または複数個のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含有する修飾された成熟ヒトACE2酵素であり得る。このように、いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、成熟ヒトACE2タンパク質(配列番号25)、またはタンパク質フラグメント(配列番号26もしくは配列番号27)と実質的に相同である。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える、配列番号25と相同なアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、成熟ヒトACE2タンパク質(配列番号25)、またはタンパク質フラグメント(配列番号26もしくは配列番号27)と実質的に同一である。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える、配列番号25、またはタンパク質フラグメント(配列番号26もしくは配列番号27)と同一なアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、成熟ヒトACE2タンパク質のフラグメントまたはポーションを含有する。
ACE2ヌクレオチドおよびアミノ酸配列のさらなる例は、これらのそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2011/0020315号、米国特許出願公開第2011/033524号、および米国特許出願公開第2010/0316624号において提供されている。
いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2は、有意なACE2活性を保持する、すなわち、Ang IIをAng1−7に変換することができる、天然に存在するACE2酵素のフラグメントである。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2酵素は、野生型ヒトACE2酵素活性と比較して、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、100%またはそれを超える活性を保持する。
いくつかの実施形態において、ACE2は、ACE2酵素の可溶性形態である。例えば、いくつかの実施形態において、ACE2は、C末端疎水性領域の一部または全てを欠如しているACE2酵素のフラグメントである。タンパク質の溶解性はまた、グリコシル化によって影響を与えられてもよい。ヒト野生型ACE2の可溶性ポーションは、7つのN−グリコシル化部位を有し、その部位におけるグリコシル化は、タンパク質の溶解性を増加し得る。いくつかの実施形態において、本発明に適したACE2は、タンパク質の溶解性が対照と比較して増加するように、グリコシル化パターンを有する。いくつかの実施形態において、ACE2のN−グリコシル化部位の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つは、グリコシル化されている。様々な実施形態において、ACE2酵素は、総ACE2の10%重量パーセント超、15%重量パーセント超、20%重量パーセント超、または25%重量パーセント超の糖組成を有する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のグリコシル化部位は、シアル酸付加されている。例えば、いくつかの実施形態において、53位、90位、103位、322位、432位、546位および/または690位に対応する1個または複数個のアスパラギン残基は、モノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−シアル酸付加されている。いくつかの実施形態において、アミノ酸の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%は、モノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−シアル酸付加されている。
ACE2は、基質としてAng IIを有する全ての哺乳動物において見出される。適切なACE2は、とりわけ、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、霊長類、またはウシを含めた任意の生物由来であり得ることを理解されたい。
いくつかの実施形態において、ACE2酵素は、組換え技術によって産生される。酵素が組換え技術によって産生される場合、任意の発現系を使用することができる。ほんの数例を挙げると、公知の発現系には、例えば、卵、バキュロウイルス、植物、酵母、または哺乳動物細胞が含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明に適した酵素は、哺乳動物細胞において生成される。本発明によって使用し得る哺乳動物細胞の非限定的例には、BALB/cマウス骨髄腫ライン(NSO/l、ECACC番号:85110503);ヒト網膜芽細胞(PER.C6、CruCell、Leiden、The Netherlands);SV40によって形質転換したサル腎臓CV1ライン(COS−7、ATCC CRL1651);ヒト胎児腎ライン(293細胞、または懸濁培養液における増殖のためにサブクローニングした293細胞、Grahamら、J. Gen Virol.、36巻:59頁、1977年);ヒト線維肉腫細胞ライン(例えば、HT1080);ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞+/−DHFR(CHO、UrlaubおよびChasin、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、77巻:4216頁、1980年);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol. Reprod.、23巻:243〜251頁、1980年);サル腎細胞(CV1ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1 587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065);マウス乳房腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y. Acad. Sci.、383巻:44〜68頁、1982年);MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞腫ライン(Hep G2)が含まれる。
ACE2アクチベーター
本発明はさらに、末梢血管疾患の処置におけるACE2アクチベーターの使用を意図する。本明細書において使用する場合、「ACE2アクチベーター」という用語は、ACE2の機能においてプラスの影響を有する任意の分子を包含する。いくつかの実施形態において、ACE2アクチベーターは、ACE2活性を直接的または間接的に増強し、強化し、活性化し、かつ/または増加させる。いくつかの実施形態において、ACE2アクチベーターは、ACE2と直接的に相互作用する。このようなACE2アクチベーターは、ペプチドまたは非ペプチドでよい。いくつかの実施形態において、ACE2アクチベーターは、小分子である。様々なACE2アクチベーターは当技術分野において公知であり、本発明によって使用し得る。例えば、ジミナゼンアセチュレート(DIZE):
本発明はさらに、末梢血管疾患の処置におけるACE2アクチベーターの使用を意図する。本明細書において使用する場合、「ACE2アクチベーター」という用語は、ACE2の機能においてプラスの影響を有する任意の分子を包含する。いくつかの実施形態において、ACE2アクチベーターは、ACE2活性を直接的または間接的に増強し、強化し、活性化し、かつ/または増加させる。いくつかの実施形態において、ACE2アクチベーターは、ACE2と直接的に相互作用する。このようなACE2アクチベーターは、ペプチドまたは非ペプチドでよい。いくつかの実施形態において、ACE2アクチベーターは、小分子である。様々なACE2アクチベーターは当技術分野において公知であり、本発明によって使用し得る。例えば、ジミナゼンアセチュレート(DIZE):
および1−[(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ]−4−(ヒドロキシメチル)−7−[(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ]−9H−キサンテン−9−オン(XNT):
は、ACE2アクチベーターとして機能することが示されてきた。例えば、これらのそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれている、Gjymishkaら、「Diminazene Aceturate is an ACE2 Activator and a Novel Hypertensive Drug」FASEB J.、24 1032.3(2010年)およびFerreiraら、「Evidence for Angiotensin−converting Enzyme 2 as a Therapeutic Target for the Prevention of Hypertension」Am. J. Respir. Crit. Care Med.179巻:1048頁(2009年)を参照されたい。適切なACE2アクチベーターまたはACE2アゴニストのさらなる例は、例えば、これらのそれぞれの内容が参照により本明細書中に組み込まれている、WO2004/000365および米国特許第6,194,556号において開示されている。
治療への適用
いくつかの実施形態において、本発明は、末梢血管疾患(PVD)ならびに関連する疾患、障害および状態の処置のための、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターを使用する方法を提供する。任意の特定な理論または仮説に束縛されるものではないが、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターは、治療的血管形成を刺激することによって、標的組織内の血流および機能的回復を改善し得ることが意図されている。
いくつかの実施形態において、本発明は、末梢血管疾患(PVD)ならびに関連する疾患、障害および状態の処置のための、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターを使用する方法を提供する。任意の特定な理論または仮説に束縛されるものではないが、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーターは、治療的血管形成を刺激することによって、標的組織内の血流および機能的回復を改善し得ることが意図されている。
特定の実施形態において、本発明の方法および組成物を使用して、末梢血管性の疾患、障害または状態からもたらされた虚血によって損傷された組織および/または細胞の修復を刺激する。いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物を使用して、虚血からもたらされる急性状態、例えば、虚血性脳卒中における損傷された組織の修復を刺激する。非限定的例として、本発明の方法および組成物を使用して、末梢血管疾患、例えば、末梢動脈疾患(PAD)、特に、重症虚血肢(CLI)を処置し得る。本明細書において使用する場合、「重症虚血肢」または「CLI」という用語は一般に、四肢における組織の損傷または機能障害をもたらし得る、個体の四肢(例えば、手、足、脚)への血液または酸素供給の制限によって特徴付けられる状態を指す。重症虚血肢は、種々の要因のいずれか、例えば、末梢動脈疾患(PAD)に起因し得、他の症状の中でも重度の疼痛、皮膚潰瘍、またはただれをもたらし得、場合によって切断処置を引き起こす。重症虚血肢は、1つまたは複数の四肢における血管収縮、血栓症、または塞栓形成によって特徴付け得る。血液供給を通常受ける四肢における任意の組織は、重症虚血肢を経験することがある。
いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物を使用して、糖尿病性血管疾患を処置する。本明細書において使用する場合、「糖尿病性血管疾患」という用語は、糖尿病による、血管、特に、動脈における閉塞の発生と関連する疾患、障害または状態を指す。糖尿病性血管疾患は、体全体で発生することがある。いくつかの実施形態において、糖尿病性血管疾患は、本明細書において使用する場合、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織において発生する。いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物を使用して、特定のタイプの糖尿病性血管疾患、例えば、ネフロパシー(腎臓疾患)、および/またはニューロパシー(つま先または足における保護的感覚の喪失をもたらす神経自体の状態)を処置する。糖尿病性血管疾患の例示的な症状には、これらに限定されないが、かすんだ視界、顔もしくは肢の膨れまたは予想外の重量増加、靴ずれ、手または足における感触の喪失または燃えるような感触、歩行するときの脚の疼痛、および高血圧が含まれてもよい。糖尿病性血管疾患を患っている患者は、壊疽として公知である死んだ組織を最終的に発生し得る。これは感染および最終的に切断処置をもたらし得る。
末梢血管疾患
とりわけ、本発明の方法および組成物を使用して、末梢血管疾患を処置または寛解する。本明細書において使用する場合、「末梢血管疾患」または「PVD」という用語は、心臓および脳の外側に位置している血管の疾患を指す。
とりわけ、本発明の方法および組成物を使用して、末梢血管疾患を処置または寛解する。本明細書において使用する場合、「末梢血管疾患」または「PVD」という用語は、心臓および脳の外側に位置している血管の疾患を指す。
いくつかの実施形態において、処置は、対象における末梢動脈疾患の部分的もしくは完全な軽減、寛解、緩和、阻害、発症の遅延、重症度および/または発生率の低減を指す。本明細書において使用する場合、「末梢動脈疾患」または「PAD」という用語は、内部器官および/または肢への血液供給を実現する動脈の部分的または全面的な閉塞が存在するPVDの一形態を指す。いくつかの実施形態において、処置は、対象における重症虚血肢(critcical limb ischemia)の部分的もしくは完全な軽減、寛解、緩和、阻害、発症の遅延、重症度および/または発生率の低減を指す。本明細書において使用する場合、「重症虚血肢」または「CLI」という用語は一般に、四肢における組織の損傷または機能障害をもたらし得る、個体の四肢(例えば、手、腕、足、脚)への血液または酸素供給の制限によって特徴付けられる状態を指す。重症虚血肢は、種々の要因のいずれか、例えば、末梢動脈疾患(PAD)に起因し得、重度の疼痛、皮膚潰瘍、またはただれをもたらし得、場合によって切断処置を引き起こす。重症虚血肢は、1つまたは複数の四肢における血管収縮、血栓症、または塞栓形成によって特徴付け得る。血液供給を通常受ける四肢における任意の組織は、重症虚血肢を経験することがある。
いくつかの実施形態において、処置は、末梢血管性の疾患、障害または状態を患っている対象における改善された血流を指す。血流は、任意の利用可能な方法および/または計器類を使用して測定することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、血流は、レーザードプラを使用して測定される。血流は、処置の前および/または後の任意の適当な時間に測定することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、血流は、処置の0日目、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、または49日目の1つまたは複数において測定される。いくつかの実施形態において、血流測定は、正常組織における血流と比較した、病んでいるおよび/または損傷された組織における血流の比として表される。いくつかの実施形態において、病んでいるおよび/または損傷された組織における血流は、同じ個体における正常組織と比較して、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、または65%超である。いくつかの実施形態において、病んでいるおよび/または損傷された組織における血流は、1週間当たり平均して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、またはそれを超えて増加する。
いくつかの実施形態において、処置は、病んでいるおよび/または損傷された組織における壊死の低減または予防(例えば、虚血スコアの増加)を指す。例えば、いくつかの実施形態において、壊死は、病んでいるおよび/または損傷された組織における虚血の重症度の肉眼的評価によって決定される。壊死は、任意の適当な方法によって決定することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、Gotoら(Tokai J Exp Clin Med、31巻(3号):128頁、2006年)において開示されているように、壊死エリアについての形態学的グレードを割り当てる。マウスにおける壊死エリアについての例示的な形態学的グレードを、下の表2に示す。
いくつかの実施形態において、壊死エリアについての形態学的グレードは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0またはそれを超えるグレードだけ減少する。いくつかの実施形態において、壊死エリアについての形態学的グレードは、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、またはそれを超えて減少する。
いくつかの実施形態において、処置は、改善された肢機能を指す。任意の適当な方法および/または計器類を使用して、肢機能は、測定することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、肢機能は、虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントによって決定される(例えば、Stabileら、Circulation、108巻(2号):205頁、2003年を参照されたい)。マウスにおける肢機能の例示的なアセスメントスケールを、下の表3に提供する。ヒトにおける肢機能のアセスメントは、マウスのそれと相関することを理解されたい。
いくつかの実施形態において、肢機能壊死エリアについてのグレードは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0またはそれを超えるグレードだけ減少する。いくつかの実施形態において、肢機能についてのグレードは、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、またはそれを超えて減少する。
医薬組成物
医薬組成物は、経口剤形、局所的クリーム剤、局所パッチ、イオン泳動形態、坐剤、鼻用スプレーおよび吸入器、点眼薬、眼球内注射形態、デポー形態、ならびに注射剤および点滴液を含めた種々の形態でよい。医薬組成物を調製するための方法は、当技術分野で周知である。
医薬組成物は、経口剤形、局所的クリーム剤、局所パッチ、イオン泳動形態、坐剤、鼻用スプレーおよび吸入器、点眼薬、眼球内注射形態、デポー形態、ならびに注射剤および点滴液を含めた種々の形態でよい。医薬組成物を調製するための方法は、当技術分野で周知である。
医薬組成物は典型的には、本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を、不利な副作用を回避または最小化する一方で所望の治療効果を達成するに有効な量で含有する。活性剤の薬学的に許容される調製物および塩は本明細書において提供され、当技術分野で周知である。ポリペプチドなどの投与のために、治療的に有効であり、不利な副作用を殆どから全く伴わないように、投与される量は望ましくは選択される。特定の疾患、障害または状態の処置において有効な治療組成物または医薬組成物の量は、疾患の性質および重症度、作用の標的部位、対象の体重、対象が従っている特別な食事、使用される併用医薬品、投与経路、ならびに当業者が認識する他の要因によって決まる。投与量は、通常の要因、例えば、疾患の程度、および対象からの異なるパラメーターに従って臨床医が適応させることができる。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から外挿し得る(例えば、これらの全内容が参照により本明細書中に組み込まれている「Guidance for Industry: Estimating Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」、Pharmacology and Toxicology、2005年7月)において米国保健社会福祉省、米国食品医薬品局、および医薬品評価研究センターによって記載されているように)。
様々な送達系が公知であり、本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)またはこれらを含む医薬組成物を投与するために使用することができる。本明細書に記載されている医薬組成物は、静脈内または筋肉内注射、脳室内またはくも膜下腔内注射(中枢神経系投与のための)、経口的、局所的、皮下、肺内(例えば、吸入)、結膜下、眼球内、または鼻腔内、皮内、舌下、膣、直腸または硬膜外の経路を含めた任意の適切な経路によって投与することができる。
当技術分野で周知の他の送達系は、例えば、水溶液、微粒子(microparticules)、またはマイクロカプセルにおけるカプセル化による、本明細書に記載されている医薬組成物の送達のために使用し得る。本発明の医薬組成物はまた、制御放出系において送達することができる。例えば、ポリマー材料を使用することができる(例えば、SmolenおよびBall、Controlled Drug Bioavailability, Drug product design and performance、1984年、John Wiley & Sons;RanadeおよびHollinger、Drug Delivery Systems, pharmacology and toxicology series、2003年、第2版、CRRC Pressを参照されたい)。代わりに、ポンプを使用し得る(Saudekら、N. Engl. J. Med.321巻:574頁(1989年))。本明細書に記載されている組成物はまた、薬物の制御放出の達成において有用な一群の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、架橋両親媒性ブロックコポリマーおよびヒドロゲル、ポリヒドロキシ酪酸、ならびにポリジヒドロピランにカップリングし得る。
上記のように、医薬組成物は望ましくは、薬学的に許容される担体を含む。担体という用語は、それと共にペプチド、ペプチド誘導体またはペプチド模倣物が投与される、賦形剤、アジュバント、添加剤またはビヒクルを指す。このような医薬担体は、無菌の液体、例えば、水、および鉱油、植物性油(例えば、ダイズ油またはトウモロコシ油)、動物油または合成由来の油を含めた油を含む。水性グリセロールおよびデキストロース溶液ならびに食塩水はまた、本発明の医薬組成物の液体担体として用い得る。担体の選択は、当技術分野でよく認識されている要因、例えば、ペプチド、ペプチド誘導体またはペプチド模倣物の性質、その溶解性および他の生理学的特性、ならびに送達および適用の標的部位によって決まる。適切な医薬担体の例は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Alfonso R. Gennaro、2003年、第21版、Mack Publishing Companyに記載されている。さらに、経口投与のための適切な担体は当技術分野において公知であり、例えば、これらの開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,086,918号、同第6,673,574号、同第6,960,355号、および同第7,351,741号ならびにWO2007/131286に記載されている。
医薬調製物中に組み込み得るさらなる薬学的に適切な材料には、傍細胞吸収を増加させることを意図するものを含めた吸収増強剤、pH調節剤および緩衝液、容量オスモル濃度調節剤、保存剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、増粘剤、軟化剤、分散化剤、香味剤、着色剤、および湿潤剤が含まれる。
適切な医薬添加剤の例には、水、グルコース、スクロース、ラクトース、グリコール、エタノール、モノステアリン酸グリセロール、ゼラチン、デンプン粉(例えば、米粉)、チョーク、ステアリン酸ナトリウム、麦芽、塩化ナトリウムなどが含まれる。アンジオテンシンポリペプチドを含む医薬組成物は、溶液剤、カプセル剤、錠剤、クリーム剤、ゲル剤、散剤の持続放出製剤などの形態を取ることができる。組成物は、伝統的な結合剤および担体、例えば、トリグリセリドと共に坐剤として製剤することができる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Alfonso R. Gennaro、2003年、第21版、Mack Publishing Companyを参照されたい)。このような組成物は、対象への適切な投与のための形態を実現するために、適切な量の担体と一緒に、治療有効量の治療組成物を含有する。製剤は、投与のモードおよび作用の標的部位(例えば、特定の器官または細胞型)に合うように設計される。
本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を含む医薬組成物はまた、中性または塩の形態として製剤された組成物を含む。薬学的に許容される塩は、遊離アミノ基と共に形成されるもの、および遊離カルボキシル基と反応するものを含む。医薬品産業において一般に使用される無毒性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩には、当技術分野で周知の方法によって調製されるナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、およびプロタミン亜鉛塩が含まれる。また含まれるのは、本発明の化合物と適切な有機酸または無機酸とを反応させることによって一般に調製される無毒性の酸付加塩である。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、吉草酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩(laureate)、ホウ酸塩、安息香酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、チソレート(tysolate)、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、ナプシル酸塩などが含まれる。
本発明によって使用し得る充填剤または結合剤の例には、アカシア、アルギン酸、(第二)リン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、デキストレート(dextrates)、スクロース、チロース、アルファ化デンプン、硫酸カルシウム、アミロース、グリシン、ベントナイト、マルトース、ソルビトール、エチルセルロース、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ピロ亜硫酸二ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グルコース、グアーガム、液状グルコース、圧縮性糖、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、微結晶性セルロース、デンプン、およびゼインが含まれる。特定の実施形態において、充填剤または結合剤は、微結晶性セルロースである。
使用し得る崩壊剤の例には、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(低置換度)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、二亜硫酸二ナトリウム、エダサミル二ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、架橋ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、微結晶性セルロースが含まれる。
滑沢剤の例には、ステアリン酸カルシウム、キャノーラ油、グリセリルパルミトステアレート、水添植物性油(タイプI)、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムフマレート(sodium stearate fumarate)、ステアリン酸、タルクおよび、ステアリン酸亜鉛、グリセリルベハペート(glyceryl behapate)、ラウリル硫酸マグネシウム、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム/酢酸ナトリウム(組み合わせた)、DL−ロイシンが含まれる。
シリカ流動調整剤の例には、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよびグアーガムが含まれる。別の最も好ましいシリカ流動調整剤は、二酸化ケイ素からなる。
安定化剤の例には、アカシア、アルブミン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ベントナイト、第二リン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、シクロデキストリン、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、三ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、カルナウバワックス、キサンタンガム、デンプン、ステアレート(複数可)、ステアリン酸、ステアリン酸モノグリセリドおよびステアリルアルコールが含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を含有する経口製剤を意図する。例えば、本明細書に記載されている医薬組成物は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を含み得る。シクロデキストリンは一般に、1→4連結している5個以上のα−D−グリコピラノシド単位で構成されている。典型的には、シクロデキストリンは、環中に6〜8単位の範囲のいくつかのグルコースモノマーを含有し、錐形状を生じさせる(α−シクロデキストリン:6員の糖環分子、β−シクロデキストリン:7個の糖環分子、γ−シクロデキストリン:8個の糖環分子)。例示的なシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体は、これらのそれぞれの全内容が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第7,723,304号、米国特許出願公開第2010/0196452号、および米国特許出願公開第2010/0144624号に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本発明によるシクロデキストリンは、アルキル化シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン、またはアシル化シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。例示的なシクロデキストリン誘導体は、これらのそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれているSzejtli, J.、Chem Rev(1998年)98巻、1743〜1753頁;およびSzente, LおよびSzejtli, J.、Advance Drug Delivery Reviews、36巻(1999年)17〜28頁に記載されている。シクロデキストリン(cyclodextin)誘導体の例には、メチル化シクロデキストリン(例えば、RAMEB;ランダムにメチル化されたβ−シクロデキストリン);ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン(ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピルγ−シクロデキストリン);アセチル化シクロデキストリン(アセチル−γ−シクロデキストリン);反応性シクロデキストリン(クロロトリアジニルβ−シクロデキストリン);分岐状シクロデキストリン(グルコシル−およびマルトシルβ−シクロデキストリン);アセチル−γ−シクロデキストリン;アセチル−β−シクロデキストリン、スルホブチル−βシクロデキストリン、硫酸化α−、β−およびγ−シクロデキストリン;スルホアルキル化シクロデキストリン;ならびにヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが含まれる。
投薬
典型的には、0.001〜100mg/kg/日の範囲の量の本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を、対象に投与する。例えば、いくつかの実施形態において、約0.01mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、0.2mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.02mg/kg/日〜約0.1mg/kg/日、または約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日を、対象に投与する。いくつかの実施形態において、約10μg/kg/日、50μg/kg/日、100μg/kg/日、200μg/kg/日、300μg/kg/日、400μg/kg/日、500μg/kg/日、600μg/kg/日、700μg/kg/日、800μg/kg/日、900μg/kg/日、または1000μg/kg/日の量の本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を、対象に投与する。
典型的には、0.001〜100mg/kg/日の範囲の量の本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を、対象に投与する。例えば、いくつかの実施形態において、約0.01mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、0.2mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.02mg/kg/日〜約0.1mg/kg/日、または約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日を、対象に投与する。いくつかの実施形態において、約10μg/kg/日、50μg/kg/日、100μg/kg/日、200μg/kg/日、300μg/kg/日、400μg/kg/日、500μg/kg/日、600μg/kg/日、700μg/kg/日、800μg/kg/日、900μg/kg/日、または1000μg/kg/日の量の本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)を、対象に投与する。
いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜1,000μg/kg/日の範囲(例えば、約1〜900μg/kg/日、1〜800μg/kg/日、1〜700μg/kg/日、1〜600μg/kg/日、1〜500μg/kg/日、1〜400μg/kg/日、1〜300μg/kg/日、1〜200μg/kg/日、1〜100μg/kg/日、1〜90μg/kg/日、1〜80μg/kg/日、1〜70μg/kg/日、1〜60μg/kg/日、1〜50μg/kg/日、1〜40μg/kg/日、1〜30μg/kg/日、1〜20μg/kg/日、1〜10μg/kg/日の範囲)の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜500μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜100μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1〜60μg/kg/日の範囲の有効用量で投与される。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、約1ug/kg/日、約2ug/kg/日、約4ug/kg/日、約6ug/kg/日、約8ug/kg/日、約10ug/kg/日、約15ug/kg/日、約20ug/kg/日、約25ug/kg/日、約30ug/kg/日、約35ug/kg/日、約40ug/kg/日、約45ug/kg/日、約50ug/kg/日、約75ug/kg/日、約100ug/kg/日、約150ug/kg/日、約200ug/kg/日、約250ug/kg/日、約300ug/kg/日、約350ug/kg/日、約400ug/kg/日、約450ug/kg/日、約500ug/kg/日、約550ug/kg/日、約600ug/kg/日、約650ug/kg/日、約700ug/kg/日、約750ug/kg/日、約800ug/kg/日、約850ug/kg/日、約900ug/kg/日、約950ug/kg/日、または約1,000ug/kg/日から選択される有効用量で投与される。
いくつかの実施形態において、治療有効量のアンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)は、約10〜1,000mg(例えば、約20mg〜1,000mg、30mg〜1,000mg、40mg〜1,000mg、50mg〜1,000mg、60mg〜1,000mg、70mg〜1,000mg、80mg〜1,000mg、90mg〜1,000mg、約10〜900mg、10〜800mg、10〜700mg、10〜600mg、10〜500mg、100〜1000mg、100〜900mg、100〜800mg、100〜700mg、100〜600mg、100〜500mg、100〜400mg、100〜300mg、200〜1000mg、200〜900mg、200〜800mg、200〜700mg、200〜600mg、200〜500mg、200〜400mg、300〜1000mg、300〜900mg、300〜800mg、300〜700mg、300〜600mg、300〜500mg、400mg〜1,000mg、500mg〜1,000mg、100mg〜900mg、200mg〜800mg、300mg〜700mg、400mg〜700mg、および500mg〜600mg)の範囲の量であり得る。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、約10mg以上、50mg以上、100mg以上、150mg以上、200mg以上、250mg以上、300mg以上、350mg以上、400mg以上、450mg以上、500mg以上、550mg以上、600mg以上、650mg以上、700mg以上、750mg以上、800mg以上の量で存在する。いくつかの実施形態において、アンジオテンシン(1−7)ペプチドまたはアンジオテンシン(1−7)受容体アゴニストは、約1000mg以下、950mg以下、900mg以下、850mg以下、800mg以下、750mg以下、700mg以下、650mg以下、600mg以下、550mg以下、500mg以下、450mg以下、400mg以下、350mg以下、300mg以下、250mg以下、200mg以下、150mg以下、または100mg以下の量で存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療有効量は、1用量で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療有効量は、1日で提供される。
他の実施形態において、治療有効量は、例えば、約0.001mg/kg体重〜500mg/kg体重、例えば、約0.001mg/kg体重〜400mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜300mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜100mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜90mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜80mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜70mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜60mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜50mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜40mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜30mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜25mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜20mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜15mg/kg体重、約0.001mg/kg体重〜10mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療有効量は、1用量で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療有効量は、1日で提供される。
また他の実施形態において、治療有効量は、例えば、約0.0001mg/kg体重〜0.1mg/kg体重、例えば、約0.0001mg/kg体重〜0.09mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.08mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.07mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.06mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.05mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜約0.04mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.03mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.02mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.019mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.018mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.017mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.016mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.015mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.014mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.013mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.012mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.011mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.01mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.009mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.008mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.007mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.006mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.005mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.004mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.003mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重〜0.002mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、治療有効用量は、0.0001mg/kg体重、0.0002mg/kg体重、0.0003mg/kg体重、0.0004mg/kg体重、0.0005mg/kg体重、0.0006mg/kg体重、0.0007mg/kg体重、0.0008mg/kg体重、0.0009mg/kg体重、0.001mg/kg体重、0.002mg/kg体重、0.003mg/kg体重、0.004mg/kg体重、0.005mg/kg体重、0.006mg/kg体重、0.007mg/kg体重、0.008mg/kg体重、0.009mg/kg体重、0.01mg/kg体重、0.02mg/kg体重、0.03mg/kg体重、0.04mg/kg体重、0.05mg/kg体重、0.06mg/kg体重、0.07mg/kg体重、0.08mg/kg体重、0.09mg/kg体重、または0.1mg/kg体重であり得る。特定の個体についての有効用量は、個体の必要性に応じて、経時的に変動(例えば、増加または減少)することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療有効量は、1用量で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療有効量は、1日で提供される。
V、キット
特定の実施形態において、本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)、投与のためのツール、ならびに/あるいは使用説明書を含む、キットまたは他の製造品を提供する。例えば、キットまたは他の製造品は、投与において有用な容器、カテーテルおよび任意の他の物品、装置または設備を含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ(例えば、事前充填したシリンジ)、アンプル、カートリッジ、レザバー、またはlyo−jectが含まれる。容器は、種々の材料、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成し得る。特定の実施形態において、容器は、事前充填したシリンジである。適切な事前充填したシリンジには、これらに限定されないが、焼いたシリコーンコーティングを伴うホウケイ酸ガラスシリンジ、噴霧されたシリコーンを伴うホウケイ酸ガラスシリンジ、またはシリコーンを伴わないプラスチック用樹脂シリンジが含まれる。
特定の実施形態において、本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)、投与のためのツール、ならびに/あるいは使用説明書を含む、キットまたは他の製造品を提供する。例えば、キットまたは他の製造品は、投与において有用な容器、カテーテルおよび任意の他の物品、装置または設備を含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ(例えば、事前充填したシリンジ)、アンプル、カートリッジ、レザバー、またはlyo−jectが含まれる。容器は、種々の材料、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成し得る。特定の実施形態において、容器は、事前充填したシリンジである。適切な事前充填したシリンジには、これらに限定されないが、焼いたシリコーンコーティングを伴うホウケイ酸ガラスシリンジ、噴霧されたシリコーンを伴うホウケイ酸ガラスシリンジ、またはシリコーンを伴わないプラスチック用樹脂シリンジが含まれる。
典型的には、容器は、本明細書に記載されている活性剤(例えば、アンジオテンシン−(1−7)ペプチドまたは機能的同等物、類似体もしくは誘導体、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニスト、ACE2および/またはACE2アクチベーター)、ならびに本明細書に記載のような再構成および/もしくは使用のための指示を示し得る容器上のラベル、またはこれらと関連するラベルを含有する製剤を保持する。
実施例1. 慢性後肢虚血の動物モデルにおけるアンジオテンシン(1−7)処置は、血流および肢機能を改善した
アンジオテンシン(1−7)を使用して、虚血性疾患を効果的に処置することができることを本実施例は示す。この実施例において、Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)のアミノ酸配列を有する直鎖状アンジオテンシンペプチドであるTXA127を一例として使用して、マウス後肢虚血モデルにおけるアンジオテンシン(1−7)の治療効果をアセスメントした。
アンジオテンシン(1−7)を使用して、虚血性疾患を効果的に処置することができることを本実施例は示す。この実施例において、Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)のアミノ酸配列を有する直鎖状アンジオテンシンペプチドであるTXA127を一例として使用して、マウス後肢虚血モデルにおけるアンジオテンシン(1−7)の治療効果をアセスメントした。
後肢虚血モデル
安定的な後肢虚血モデルは先に記載されており、一般に様々な治療の効果を検査するのに有用な均一な虚血性損傷によって特徴付けられる(Gotoら、Tokai J Exp Clin Med、31巻(3号):128頁、2006年;Kang Y,ら、PLoS One.、2009年;4巻(1号):e4275頁))。この実施例において使用されるマウスの後肢虚血モデルは、大腿動脈の近位端の2回の結紮、および2つの結紮間の切開が関与する。手術によって血流の閉塞を引き起こし、それに続いて重度の虚血性損傷がもたらされる(Gotoら;Kangら)。この実験において、健康な成体雌性Balb/cマウスを使用した。先に記載したプロトコルを使用して、マウスにおいて後肢虚血を誘発した。手短に言えば、Balb/c雌性マウスは標準的な食餌を持続させ、水は自由に利用可能とした。マウスを麻酔し、鼡径部の皮膚の切り込みを行った。大腿動脈を6−0絹糸で2回結紮し、結紮間で切除し、この後、創傷を4−0絹糸で閉じ、マウスを回復させた。
安定的な後肢虚血モデルは先に記載されており、一般に様々な治療の効果を検査するのに有用な均一な虚血性損傷によって特徴付けられる(Gotoら、Tokai J Exp Clin Med、31巻(3号):128頁、2006年;Kang Y,ら、PLoS One.、2009年;4巻(1号):e4275頁))。この実施例において使用されるマウスの後肢虚血モデルは、大腿動脈の近位端の2回の結紮、および2つの結紮間の切開が関与する。手術によって血流の閉塞を引き起こし、それに続いて重度の虚血性損傷がもたらされる(Gotoら;Kangら)。この実験において、健康な成体雌性Balb/cマウスを使用した。先に記載したプロトコルを使用して、マウスにおいて後肢虚血を誘発した。手短に言えば、Balb/c雌性マウスは標準的な食餌を持続させ、水は自由に利用可能とした。マウスを麻酔し、鼡径部の皮膚の切り込みを行った。大腿動脈を6−0絹糸で2回結紮し、結紮間で切除し、この後、創傷を4−0絹糸で閉じ、マウスを回復させた。
TXA127の投与
アンジオテンシン(1−7)ポリペプチド組成物(TXA127)およびビヒクル対照(DPBS)を、すぐ使用できる溶液として供給し、使用するまで4℃で貯蔵した。TXA127を、1日目に虚血を誘発した24時間後に開始して毎日研究の終わりまで皮下注射した(500μg/kg)。陰性対照マウスにビヒクルを皮下注射した。表4は、動物群の割当てを提供する。
アンジオテンシン(1−7)ポリペプチド組成物(TXA127)およびビヒクル対照(DPBS)を、すぐ使用できる溶液として供給し、使用するまで4℃で貯蔵した。TXA127を、1日目に虚血を誘発した24時間後に開始して毎日研究の終わりまで皮下注射した(500μg/kg)。陰性対照マウスにビヒクルを皮下注射した。表4は、動物群の割当てを提供する。
虚血の評価
体重
動物の体重を、手術の前およびその後週1回測定した。
体重
動物の体重を、手術の前およびその後週1回測定した。
血流
動物の両側の脚における血流を、手術の前、ならびに手術後の1日目、7日目、15日目、21日目、28日目、35日目、42日目および49日目に非接触レーザードプラによって測定した。血流測定は、虚血肢における流れと正常な肢における流れの比として表した。
動物の両側の脚における血流を、手術の前、ならびに手術後の1日目、7日目、15日目、21日目、28日目、35日目、42日目および49日目に非接触レーザードプラによって測定した。血流測定は、虚血肢における流れと正常な肢における流れの比として表した。
虚血の重症度の肉眼的アセスメント
表5に示すように、虚血肢の肉眼的評価を、壊死エリアについての形態学的グレードを使用することによって手術後に1週間に1回行った(Gotoら、Tokai J Exp Clin Med、31巻(3号):128頁、2006年)。
表5に示すように、虚血肢の肉眼的評価を、壊死エリアについての形態学的グレードを使用することによって手術後に1週間に1回行った(Gotoら、Tokai J Exp Clin Med、31巻(3号):128頁、2006年)。
肢機能および虚血性損傷のインビボでのアセスメント
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、表6において示すスケールを使用して、手術後週1回行った(Stabileら、Circulation、108巻(2号):205頁、2003年)。
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、表6において示すスケールを使用して、手術後週1回行った(Stabileら、Circulation、108巻(2号):205頁、2003年)。
部分的または完全な四肢切断術の場合、肢機能は「適用せず」としてグレード付けする。このような場合、血流測定は、統計解析に含めない。
組織固定
動物を屠殺した日に、虚血性脚および対照脚の四頭筋筋肉を取り除き、分析のために4%緩衝ホルマリン中に固定した。
動物を屠殺した日に、虚血性脚および対照脚の四頭筋筋肉を取り除き、分析のために4%緩衝ホルマリン中に固定した。
結果
本明細書に記載されている方法を使用して生じさせた安定的な重度虚血モデルを使用して、反復皮下投与後のTXA127の血管形成の有効性をアセスメントした。
本明細書に記載されている方法を使用して生じさせた安定的な重度虚血モデルを使用して、反復皮下投与後のTXA127の血管形成の有効性をアセスメントした。
体重
例示的な体重分布を、図1において要約する。研究を通して、動物の体重において統計的有意差は観察されなかった。
例示的な体重分布を、図1において要約する。研究を通して、動物の体重において統計的有意差は観察されなかった。
血流
35日目から49日目の研究の終了まで、ビヒクル(対照)処置動物群(1F)と比較して、血流の統計的に有意な改善が、TXA127処置動物群(2F)において観察された。例示的な結果を、図2において要約する。
35日目から49日目の研究の終了まで、ビヒクル(対照)処置動物群(1F)と比較して、血流の統計的に有意な改善が、TXA127処置動物群(2F)において観察された。例示的な結果を、図2において要約する。
図2についての統計解析を、反復測定のための二元配置ANOVA、それに続いてボンフェローニ事後検定を使用して行った。対照群1FとTXA127処置群2Fとの比較は、35日目に統計的有意差を示した(p<0.001)。
インビボでの虚血の重症度のアセスメント
壊死エリアについてのグレード付けした形態学的スケールを使用して、虚血肢を7日目および49日目に評価した。四肢切断術が、両方の群の動物において見出された。対照群1Fにおいて、これは60%であり、TXA127処置群2Fにおいて、これは48%であった。虚血の重症度はまた、対照群およびTXA127処置群において異なった。重症度の減少が明らかな傾向は、対照処置群と比較してTXA127処置群において見られた。これらの結果を、図3において要約する。さらに、TXA127処置群における大部分の四肢切断術は、図4に示されているように後肢虚血の誘発35日目後にのみ起こる(研究を通して、0%は切断処置なしを表し、減少は切断処置の増加を反映する)。
壊死エリアについてのグレード付けした形態学的スケールを使用して、虚血肢を7日目および49日目に評価した。四肢切断術が、両方の群の動物において見出された。対照群1Fにおいて、これは60%であり、TXA127処置群2Fにおいて、これは48%であった。虚血の重症度はまた、対照群およびTXA127処置群において異なった。重症度の減少が明らかな傾向は、対照処置群と比較してTXA127処置群において見られた。これらの結果を、図3において要約する。さらに、TXA127処置群における大部分の四肢切断術は、図4に示されているように後肢虚血の誘発35日目後にのみ起こる(研究を通して、0%は切断処置なしを表し、減少は切断処置の増加を反映する)。
インビボでの肢機能のアセスメント
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、グレード付けした機能スケールを使用することによって7日目から49日目まで行った。肢機能における改善は、ビヒクルまたは対照処置群(1F)の動物と比較して、後肢虚血の誘発の後49日目までTXA127処置群(2f)において見出された。しかし、差異は統計的に有意でなかった。これらの結果を、図5において要約する。図6に示されているように、分析の「最終観察繰越」法が用いられたとき、この傾向は統計的有意性に達した。
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、グレード付けした機能スケールを使用することによって7日目から49日目まで行った。肢機能における改善は、ビヒクルまたは対照処置群(1F)の動物と比較して、後肢虚血の誘発の後49日目までTXA127処置群(2f)において見出された。しかし、差異は統計的に有意でなかった。これらの結果を、図5において要約する。図6に示されているように、分析の「最終観察繰越」法が用いられたとき、この傾向は統計的有意性に達した。
反復測定のための二元配置ANOVA、それに続いてボンフェローニ事後検定を使用して用いた「最終観察繰越」法を使用した図6についての統計解析。対照群1FとTXA127処置群2Fの比較は、49日目に統計的有意差を示した(p<0.01)。
まとめると、TXA127は、血流および組織修復を刺激することによって虚血性疾患を効果的に処置することができることをこれらの結果は示す。例えば、TXA127の皮下投与は、血流をその正常値の71%に復活させたことが見出された。血流灌流の復活は、TXA127処置が肢機能を改善させ、虚血による切断処理を減少させることを示す他の知見と一貫している。さらに、TXA127処置はまた、虚血性ストレスを受けた肢への損傷を軽減する。これらの知見は、アンジオテンシン(1−7)が、様々な虚血性疾患(ischmeic diseases)、例えば、重症虚血肢(critical limb iuschemia)および他の末梢血管疾患を処置するための治療的血管形成のために使用することができることを示す。
実施例2. 慢性後肢虚血の動物モデルにおけるPanCyte処置は、血流および肢機能を改善した
PanCyteを使用して、虚血性疾患を効果的に処置することができることを本実施例は示す。この実施例において、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号22)のアミノ酸配列を有する環状アンジオテンシンペプチドを一例として使用して、マウス後肢虚血モデルにおけるPanCyteの治療効果をアセスメントした。
PanCyteを使用して、虚血性疾患を効果的に処置することができることを本実施例は示す。この実施例において、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号22)のアミノ酸配列を有する環状アンジオテンシンペプチドを一例として使用して、マウス後肢虚血モデルにおけるPanCyteの治療効果をアセスメントした。
3つの群に分割した全部で49匹の雌性マウスを利用した。群1Fにおいて16匹、群2Fにおいて17匹および群3Fにおいて16匹。群の数および動物の総数は、これが指示的/有意な情報を得るのに十分な群毎の動物の最小数であったことを示す先の研究に基づいた。表7は、各群の設計を示す。
後肢虚血モデル
この実施例において使用されるモデルは、実施例1と同じである。手短に言えば、この実施例において使用したマウスの後肢虚血モデルは、大腿動脈の近位端の2回の結紮、および2つの結紮間の切開が関与する。手術によって血流の閉塞を引き起こし、それに続いて重度の虚血性損傷がもたらされる(Gotoら;Kangら)。この実験において、健康な成体雌性Balb/cマウスを使用した。先に記載したプロトコルを使用して、マウスにおいて後肢虚血を誘発した。手短に言えば、Balb/c雌性マウスは標準的な食餌を持続させ、水は自由に利用可能とした。マウスを麻酔し、鼡径部の皮膚の切り込みを行った。大腿動脈を6−0絹糸で2回結紮し、結紮間で切除し、この後、創傷を4−0絹糸で閉じ、マウスを回復させた。
この実施例において使用されるモデルは、実施例1と同じである。手短に言えば、この実施例において使用したマウスの後肢虚血モデルは、大腿動脈の近位端の2回の結紮、および2つの結紮間の切開が関与する。手術によって血流の閉塞を引き起こし、それに続いて重度の虚血性損傷がもたらされる(Gotoら;Kangら)。この実験において、健康な成体雌性Balb/cマウスを使用した。先に記載したプロトコルを使用して、マウスにおいて後肢虚血を誘発した。手短に言えば、Balb/c雌性マウスは標準的な食餌を持続させ、水は自由に利用可能とした。マウスを麻酔し、鼡径部の皮膚の切り込みを行った。大腿動脈を6−0絹糸で2回結紮し、結紮間で切除し、この後、創傷を4−0絹糸で閉じ、マウスを回復させた。
PanCyteの投与
アンジオテンシン(1−7)ポリペプチド組成物(PanCyte)およびビヒクル対照(DPBS)を、すぐ使用できる溶液として供給し、使用するまで4℃で貯蔵した。PanCyteを、1日目に虚血を誘発した24時間後に開始して毎日研究の終わりまで皮下注射した(500μg/kgまたは50μg/kg)。陰性対照マウスにビヒクルを皮下注射した。
アンジオテンシン(1−7)ポリペプチド組成物(PanCyte)およびビヒクル対照(DPBS)を、すぐ使用できる溶液として供給し、使用するまで4℃で貯蔵した。PanCyteを、1日目に虚血を誘発した24時間後に開始して毎日研究の終わりまで皮下注射した(500μg/kgまたは50μg/kg)。陰性対照マウスにビヒクルを皮下注射した。
虚血の評価
体重
動物の体重を、手術の前およびその後週1回測定した。
体重
動物の体重を、手術の前およびその後週1回測定した。
血流
動物の両側の脚における血流を、手術の前、ならびに手術後の1日目、7日目、15日目、21日目、28日目、35日目、42日目および49日目に非接触レーザードプラによって測定した。血流測定は、虚血肢における流れと正常な肢における流れの比として表した。
動物の両側の脚における血流を、手術の前、ならびに手術後の1日目、7日目、15日目、21日目、28日目、35日目、42日目および49日目に非接触レーザードプラによって測定した。血流測定は、虚血肢における流れと正常な肢における流れの比として表した。
虚血の重症度の肉眼的アセスメント
虚血肢の肉眼的評価は、上の表5において示す壊死エリアについての形態学的グレードを使用することによって、手術後週1回行った。
虚血肢の肉眼的評価は、上の表5において示す壊死エリアについての形態学的グレードを使用することによって、手術後週1回行った。
肢機能および虚血性損傷のインビボでのアセスメント
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、上の表6において示すスケールを使用して、手術後週1回行った。
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、上の表6において示すスケールを使用して、手術後週1回行った。
部分的または完全な四肢切断術の場合、肢機能は「適用せず」としてグレード付けした。このような場合、血流測定は、統計解析に含めない。
組織固定
動物を屠殺した日に、虚血性脚および対照脚の四頭筋筋肉を取り出し、2.5%緩衝パラホルムアルデヒドまたは亜鉛固定剤中で分析のために固定した。
動物を屠殺した日に、虚血性脚および対照脚の四頭筋筋肉を取り出し、2.5%緩衝パラホルムアルデヒドまたは亜鉛固定剤中で分析のために固定した。
結果
本明細書に記載されている方法を使用して生じさせた安定的な重度の虚血モデルを使用して、反復皮下投与の後にPanCyteの血管形成の有効性をアセスメントした。
本明細書に記載されている方法を使用して生じさせた安定的な重度の虚血モデルを使用して、反復皮下投与の後にPanCyteの血管形成の有効性をアセスメントした。
体重
例示的な体重を、図7において示す。研究を通して、動物の体重の統計的有意差は観察されなかった。
例示的な体重を、図7において示す。研究を通して、動物の体重の統計的有意差は観察されなかった。
血流
21日目から49日目の研究終了まで、ビヒクル処置対照(1F)と比較して、PanCyte(2Fおよび3F)で処置された動物群において血流の統計的に有意な改善が観察された(図8)。
21日目から49日目の研究終了まで、ビヒクル処置対照(1F)と比較して、PanCyte(2Fおよび3F)で処置された動物群において血流の統計的に有意な改善が観察された(図8)。
図8において示すデータの統計解析を、反復測定のための二元配置ANOVA、それに続いてボンフェローニ事後検定を使用して行った。対照群1FとPanCyte処置群2Fおよび3Fとの比較は、21日目から49日目まで統計的有意差を示した(p<0.05〜0.001)。
肢機能のアセスメント
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、グレード付けした機能スケールを使用することによって、7日目から49日目まで行った。肢機能における改善は、後肢虚血の28日目後に、対照群1Fの動物に対して500μg/kgのPanCyteで処置した群2Fの動物において観察された(図9を参照されたい)。
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、グレード付けした機能スケールを使用することによって、7日目から49日目まで行った。肢機能における改善は、後肢虚血の28日目後に、対照群1Fの動物に対して500μg/kgのPanCyteで処置した群2Fの動物において観察された(図9を参照されたい)。
毛細血管密度
筋肉試料のセクションを、各群からの6〜7匹の動物における同じエリアから採取した。異なるセクションからの全部で12のランダムな領域において、毛細血管を顕微鏡下で計数した。密度は視野当たりの毛細血管の平均数として表した。PanCyleによる処置は、処置の始まりの49日後に毛細血管の数を有意に増加させた。この効果は、動物の両方の処置群において見出された(図10)。
筋肉試料のセクションを、各群からの6〜7匹の動物における同じエリアから採取した。異なるセクションからの全部で12のランダムな領域において、毛細血管を顕微鏡下で計数した。密度は視野当たりの毛細血管の平均数として表した。PanCyleによる処置は、処置の始まりの49日後に毛細血管の数を有意に増加させた。この効果は、動物の両方の処置群において見出された(図10)。
この実施例は、50μg/kgまたは500μg/kgでのPanCyteのSC投与が、虚血性事象の後に血流をその正常値の85%まで復活させ得ることを示す。さらに、組織分析は、対照群と比較したPanCyteで処置した動物群の両方において毛細血管密度の増加を明らかにした。まとめると、PanCyteは、血流および組織修復を刺激することによって、虚血性疾患を効果的に処置することができることをこれらの結果は示す。PanCyteは、様々な虚血性疾患、例えば、重症虚血肢および他の末梢血管疾患を処置する治療的血管形成のために使用することができることをこれらの知見は示す。
実施例3. 慢性後肢虚血の動物モデルにおけるより低用量のPanCyteおよび連続注入処置は、血流および肢機能を改善した
1μg/kg〜50μg/kgのPanCyteの用量を使用して、虚血性疾患を効果的に処置することができることを本実施例は示す。この実施例において、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys(配列番号22)のアミノ酸配列を有する環状アンジオテンシンペプチドを使用して、マウス後肢虚血モデルにおいてPanCyteの治療効果をアセスメントした。
1μg/kg〜50μg/kgのPanCyteの用量を使用して、虚血性疾患を効果的に処置することができることを本実施例は示す。この実施例において、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys(配列番号22)のアミノ酸配列を有する環状アンジオテンシンペプチドを使用して、マウス後肢虚血モデルにおいてPanCyteの治療効果をアセスメントした。
3つの群に分割した全部で98匹の雌性マウスを利用した。群1Fにおいて15匹、群2Fにおいて17匹、群3Fにおいて17匹、群4Fにおいて16匹、群5Fにおいて17匹、および群6Fにおいて16匹。群の数および動物の総数は、これが指示的/有意な情報を得るのに十分な群毎の動物の最小数であったことを示す先の研究に基づいた。表8は、各群の設計を示す。
後肢虚血モデル
この実施例のために使用したモデルおよび手順は、他に特定しない限り、実施例1および2におけるものと同じである。
PanCyteの投与
アンジオテンシン(1−7)ポリペプチド組成物(PanCyte、環化Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys(配列番号22))およびビヒクル対照(DPBS)をすぐ使用できる溶液として供給し、使用するまで4℃で貯蔵した。群2F〜5Fにおいて、PanCyteを、1日目に虚血を誘発した24時間後に開始して毎日研究の終わりまで皮下注射した(1μg/kg、5μg/kg、25μg/kg、50μg/kg)。群6Fにおいて、浸透圧Alzetポンプを皮下にインプラントし、研究の期間に亘ってPanCyteの連続放出を実現した。陰性対照マウスに、ビヒクル(DPBS)を皮下注射した。
この実施例のために使用したモデルおよび手順は、他に特定しない限り、実施例1および2におけるものと同じである。
PanCyteの投与
アンジオテンシン(1−7)ポリペプチド組成物(PanCyte、環化Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys(配列番号22))およびビヒクル対照(DPBS)をすぐ使用できる溶液として供給し、使用するまで4℃で貯蔵した。群2F〜5Fにおいて、PanCyteを、1日目に虚血を誘発した24時間後に開始して毎日研究の終わりまで皮下注射した(1μg/kg、5μg/kg、25μg/kg、50μg/kg)。群6Fにおいて、浸透圧Alzetポンプを皮下にインプラントし、研究の期間に亘ってPanCyteの連続放出を実現した。陰性対照マウスに、ビヒクル(DPBS)を皮下注射した。
結果
本明細書に記載されている方法を使用して生じさせた安定的な重度虚血モデルを使用して、反復皮下投与の後にPanCyteの血管形成の有効性をアセスメントした。
本明細書に記載されている方法を使用して生じさせた安定的な重度虚血モデルを使用して、反復皮下投与の後にPanCyteの血管形成の有効性をアセスメントした。
体重
例示的な体重を、図11において示す。研究を通して、体重における統計的有意差は観察されなかった。
例示的な体重を、図11において示す。研究を通して、体重における統計的有意差は観察されなかった。
血流
ビヒクル処置対照(1F)と比較して、研究の14日目に開始して49日目の研究終了までの、Alzetポンプを使用した連続PanCyte投与で処置された動物群(6F)において血流の統計的に有意な改善が観察された(図12を参照されたい)。毎日の注射によって与えられる同様の用量のPanCyteで処置した群5Fにおいて、対照と比較して血流における有意な改善が35日目から49日目まで観察された。他の処置群において、血流改善は、42日目および49日目に統計的有意性に達した(群2F、3Fおよび4F)。
ビヒクル処置対照(1F)と比較して、研究の14日目に開始して49日目の研究終了までの、Alzetポンプを使用した連続PanCyte投与で処置された動物群(6F)において血流の統計的に有意な改善が観察された(図12を参照されたい)。毎日の注射によって与えられる同様の用量のPanCyteで処置した群5Fにおいて、対照と比較して血流における有意な改善が35日目から49日目まで観察された。他の処置群において、血流改善は、42日目および49日目に統計的有意性に達した(群2F、3Fおよび4F)。
肢機能のアセスメント
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、グレード付けした機能スケールを使用することによって7日目から49日目に行った。肢機能の改善は、対照群(1F)の動物に対して1μg/kgのPanCyteで処置された群(2F)および連続注入群(6F)において後肢虚血の後14日目および21日目に見出された(図13を参照されたい)。
虚血肢の損なわれた使用の半定量的アセスメントを、グレード付けした機能スケールを使用することによって7日目から49日目に行った。肢機能の改善は、対照群(1F)の動物に対して1μg/kgのPanCyteで処置された群(2F)および連続注入群(6F)において後肢虚血の後14日目および21日目に見出された(図13を参照されたい)。
PanCyteは、治療的血管形成のための有効な処置であり得ることをこの実施例は示す。虚血組織におけるPanCyteの用量依存的な治療活性をアセスメントするために、認められているマウス後肢虚血モデルを使用した。この実施例は、PanCyteの皮下投与が血流を用量依存的な様式でその正常値の84%まで復活させたことを示す。この実施例において試験した群の内、特に良好で早期の血液灌流の復活は、Alzetポンプを使用して連続PanCyte投与で処置された動物において観察された。
同等物および範囲
単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載されている特定の実施形態に対する多くの同等物を当業者は理解し、または確認することができる。本発明の範囲は上記の説明に限定されることを意図しないが、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されている。
単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載されている特定の実施形態に対する多くの同等物を当業者は理解し、または確認することができる。本発明の範囲は上記の説明に限定されることを意図しないが、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されている。
単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載されている本発明による特定の実施形態に対する多くの同等物を当業者は理解し、または確認することができる。本発明の範囲は上記の説明に限定されることを意図しないが、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されている。
特許請求の範囲において、冠詞、例えば、「a」、「an」および「the」は、それとは反対に示され、または文脈からその他の点で明らかでない限り、1つまたは複数を意味し得る。群の1つまたは複数のメンバーの間に「または」を含む特許請求の範囲または記載は、それとは反対に示され、または文脈からその他の点で明らかでない限り、群メンバーの1つ、複数、または全てが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在し、所与の生成物またはプロセスにおいて用いられ、または所与の生成物またはプロセスとその他の点で関連性のある場合、満たされていると考えられる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在し、所与の生成物またはプロセスにおいて用いられ、または所与の生成物またはプロセスとその他の点で関連性のある実施形態を含む。本発明は、群メンバーの複数、または全てが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在し、所与の生成物またはプロセスにおいて用いられ、または所与の生成物またはプロセスとその他の点で関連性のある実施形態を含む。さらに、本発明は、全てのバリエーション、組合せ、および順列を包含し、リストされた請求項の1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、節、記述用語などは、別の請求項中に導入されることを理解すべきである。例えば、同じ基礎請求項に従属する任意の他の請求項において見出される1つまたは複数の限定を含ませるために、別の請求項に従属する任意の請求項を修正し得る。さらに、請求項が組成物を記載する場合、他に示さない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることが当業者には明らかでない限り、本明細書において開示されている目的のいずれかのために組成物を使用する方法が含まれ、本明細書において開示されている作製方法または当技術分野において公知の他の方法のいずれかによる組成物の作製方法が含まれることを理解すべきである。
要素が一覧として提示される場合、例えば、マーカッシュ群形式において、要素の各部分群がまた開示され、任意の要素(複数可)を群から除去できることを理解すべきである。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の要素、特徴などを含むことが言及される場合、特定の本発明の実施形態または本発明の態様は、このような要素、特徴などからなり、またはこのような要素、特徴などから本質的になることを理解すべきである。簡潔さの目的のために、これらの実施形態は、本明細書においてこれらの言葉で特に記載していない。「含むこと」という用語は、開放型であることを意図し、さらなる要素またはステップを含むことを許容することがまた留意される。
範囲が示される場合、端点が含まれる。さらに、他に示さない限り、または文脈および当業者の理解からその他の点で明らかでない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態において、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで、記述された範囲内の任意の特定の値または部分範囲を想定することができることを理解すべきである。
さらに、従来技術の範囲に入る本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲の任意の1つまたは複数から明確に除外し得ることを理解すべきである。このような実施形態は当業者に公知であると見なされるため、たとえ除外が本明細書において明確に記載されなくても、このような実施形態は除外し得る。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の細胞型;任意の神経細胞系;シナプス小胞サイクリングの任意のレポーター;任意の電気刺激系;任意のイメージング系;任意のシナプス小胞サイクリングアッセイ;任意のシナプス小胞サイクルモジュレーター;任意の使用方法など)は、従来技術の存在に関連するかしないかに関わらず、任意の理由のために任意の1つまたは複数の特許請求の範囲から除外することができる。
参考文献の組込み
本出願において引用された全ての公開資料および特許文献は、それぞれの個々の公開資料または特許文献の内容が本明細書において組み込まれているのと同じ程度までその全体が参照により組み込まれている。
参考文献の組込み
本出願において引用された全ての公開資料および特許文献は、それぞれの個々の公開資料または特許文献の内容が本明細書において組み込まれているのと同じ程度までその全体が参照により組み込まれている。
Claims (48)
- 末梢血管疾患を処置するための方法であって、アンジオテンシン(1−7)ペプチドを含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含み、前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドは、前記末梢血管疾患の少なくとも1つの症状または特徴が強度、重症度、もしくは頻度において低減し、または発症が遅延するように、治療有効量で投与される、方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)の天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)の機能的同等物である、請求項1に記載の方法。
- 前記機能的同等物が、直鎖状ペプチドである、請求項3に記載の方法。
- 前記直鎖状ペプチドが、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する7個のアミノ酸からの少なくとも4個のアミノ酸を含む配列を含み、
前記少なくとも4個のアミノ酸は、これらが前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する相対的位置を維持し、
さらに、前記直鎖状ペプチドは、血管形成促進活性を有する、請求項4に記載の方法。 - 前記直鎖状ペプチドが、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する7個のアミノ酸からの少なくとも5個のアミノ酸を含む配列を含み、
前記少なくとも5個のアミノ酸は、これらが前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する相対的位置を維持し、
さらに、前記直鎖状ペプチドは、血管形成促進活性を有する、請求項4に記載の方法。 - 前記直鎖状ペプチドが、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する7個のアミノ酸からの少なくとも6個のアミノ酸を含む配列を含み、
前記少なくとも6個のアミノ酸は、これらが前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する相対的位置を維持し、
さらに、前記直鎖状ペプチドは、血管形成促進活性を有する、請求項4に記載の方法。 - それぞれ、前記少なくとも4個、5個または6個のアミノ酸が、これらが前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)において出現する相対的な間隔をさらに維持する、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記直鎖状ペプチドが、4〜25個のアミノ酸を含有する、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記直鎖状ペプチドが、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)のフラグメントである、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記直鎖状ペプチドが、前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)においてアミノ酸の置換、欠失および/または挿入を含有する、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記直鎖状ペプチドが、Asp1−Arg2−Nle3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号4)のアミノ酸配列を有する、請求項11に記載の方法。
- 前記直鎖状ペプチドが、Asp1−Arg2−Val3−Ser4−Ile5−His6−Cys7(配列番号5)のアミノ酸配列を有する、請求項11に記載の方法。
- 前記機能的同等物が、環状ペプチドである、請求項3に記載の方法。
- 前記環状ペプチドが、アミノ酸の間に連結を含む、請求項14に記載の方法。
- 前記連結が、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)におけるTyr4位およびPro7位に対応する残基に位置している、請求項15に記載の方法。
- 前記連結が、チオエーテル架橋である、請求項15または16に記載の方法。
- 前記環状ペプチドが、Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−His6−Pro7(配列番号1)の前記天然に存在するアンジオテンシン(1−7)アミノ酸配列とその他の点で同一であるアミノ酸配列を含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
- 前記環状ペプチドが、天然に存在するアンジオテンシン(1−7)におけるVal3位を置き換えるノルロイシン(Nle)を含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
- 前記環状ペプチドが、下記の式:
- 前記アンジオテンシン(1−7)ペプチドが、プロテアーゼ耐性、血清安定性および/またはバイオアベイラビリティーを増加させる1つまたは複数の化学修飾を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記1つまたは複数の化学修飾が、ペグ化を含む、請求項21に記載の方法。
- 前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織が、前記個体の1つまたは複数の肢を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記末梢血管疾患が、末梢動脈疾患である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記末梢動脈疾患が、重症虚血肢である、請求項23に記載の方法。
- 前記末梢血管疾患が、急性虚血である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記末梢血管疾患が、慢性虚血である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記末梢血管疾患が、糖尿病性血管疾患である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記糖尿病性血管疾患が、ネフロパシーである、請求項28に記載の方法。
- 前記糖尿病性血管疾患が、ニューロパシーである、請求項28に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)が、前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織における血管形成および/または血管新生を誘発および/または増加させる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)が、前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織における細胞死を減少および/または遅延させる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記細胞死が、アポトーシスである、請求項32に記載の方法。
- 前記細胞死が、ネクローシスである、請求項32に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)が、前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織における細胞生存を増加および/または増強させる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療有効量の前記アンジオテンシン(1−7)が、前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織への血流の部分的または全面的な閉塞を減少させるのに十分である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療有効量の前記アンジオテンシン(1−7)が、前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織における組織の損傷を減少または遅延させるのに十分である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療有効量の前記アンジオテンシンが、前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織の機能を改善させるのに十分である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)が、非経口的に投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記非経口投与が、静脈内、皮内、吸入、経皮的(局所的)、皮下および/または経粘膜投与から選択される、請求項39に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)が、経口的に投与される、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、シクロデキストリンをさらに含む、請求項41に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)が、隔月、毎月、3週間に1回、隔週、毎週、毎日、または可変間隔で投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アンジオテンシン(1−7)と組み合わせて血管形成促進剤を投与することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記心臓および脳の外側の前記1つまたは複数の組織に対する血管手順または血管内手順を行うことをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
- 末梢血管疾患を処置するための方法であって、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含む、方法。
- 末梢血管疾患を処置するための方法であって、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)のアクチベーターを含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含み、
ACE2の前記アクチベーターは、ジミナゼンアセチュレート(DIZE)および/または1−[(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ]−4−(ヒドロキシメチル)−7−[(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ]−9H−キサンテン−9−オン(XNT)である、方法。 - 末梢血管疾患を処置するための方法であって、アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストを含む医薬組成物を、心臓および脳の外側の1つまたは複数の組織への血流の部分的または完全な閉塞によって特徴付けられる末梢血管疾患を患っている個体に投与するステップを含み、
前記アンジオテンシン−(1−7)受容体アゴニストは、以下の式:
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