JP2015508753A - アレルギーの予防方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、患者におけるアレルギーの予防のための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、子供におけるアレルギーの皮膚上の保護に関する。また、本発明は、そのような方法に用いるための組成物及びその製造方法に関する。本発明は、特に食物アレルギー又は呼吸器アレルギーのいずれのアレルギーに対しても保護するために用いられ得る。【選択図】なし

Description

本発明は、患者のアレルギーを予防するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、子供の皮膚上におけるアレルギーの予防に関する。また、本発明は、そのような方法に使用するための組成物及びその製造に関する。本発明は、特に食物又は呼吸器アレルギーといったアレルギーに対する保護のために用いられ得る。
アレルギーは、徐々に増加して日常の医療業務の多くの部分を占めている。アレルギーは、WHOにより4番目の世界的な災難(the fourth worldwide scourge)として分類された世界的に周知の健康現象である。フランスにおいて、3人のうち1人のフランス人はアレルギーであり、呼吸器及び食物の両方のアレルギーは、大人及び子供の人口の大部分に影響を及ぼす。
脱感作(又は免疫療法)は、最小量のアレルゲンを投与することによる技術であり、それらのアレルゲンによるアレルギー反応をより強く又はより弱く抑制できる。一定の量、又は異なる量でのアレルゲンの漸次の投与により、患者はアレルゲンに寛容となる。免疫療法は、限られた数のアレルゲンに感作されるいくつかのIgE依存性アレルギーに罹った患者に有効であることが認められている。脱感作は、短期のアレルギー反応に関する症状、及び、例えばアレルギー性鼻炎から鼻炎への変換等のいくつかの臨床徴候に対する症候群の進行を抑制できる(Tij et al., 2004)。2000年の初めから、それは、WHOにより、アレルギーの唯一の一般的な治療方法として認識されてきた。
免疫療法の作用メカニズムは、未だよくわかっていないが、(i)IgEsの生物学的影響をインビトロにおいて阻害する抗体であるIgGs、特にIgG4分画の増大、(ii)より釣り合いがとられたTH1/TH2反応を促進するようなTH1及びTH2の免疫学的反応の変更、並びに/又は(iii)マスト細胞、特定のTリンパ球及び好酸球に対する抗アレルギー特性を示し、IgG4の産生を促進するインターロイキン10(IL−10)を産生するT細胞の生成に関わることは明らかである。
免疫療法は、皮下、舌下、経鼻又は皮膚上を含む、種々のプロトコール又は経路により達成され得る。皮下免疫療法は、広く用いられる。コストがかかり、それぞれの注射において専門医の関与の必要があるが、今日において、子供における標準の脱感作経路として認識されている(Pajno et al., 2005)。それはリスクが無いわけではなく、死亡の頻度は250万回の注射のうち1回死亡することがあり、1年に3.4人が死亡する。さらに、ナッツ類及び多くの食物アレルゲン等の高い反応リスクを有する潜在的にアナフィラキシー性のアレルゲンは、皮下脱感作処置に用いられない。
舌下免疫療法は、皮下免疫療法の良好な代替法としてWHOにより認められている。患者のより良好に許容された舌下免疫療法は、専門医の関与が必要なく、患者が自己投与できるため、他の投与経路よりも良好な費用対効果が得られると多くの著者により認められている(Pajno et al., 2005)。また、舌下経路による処置の際に副作用が起こることは稀であり、1000回の投与のうち0.1〜0.2回である。そのような反応は、主に軽微なものであり、口腔又は舌下領域、胃腸部のスフェア(sphere)に影響を及ぼす(La Rosa et al., 1999)。
しかしながら、有効性に関して、舌下経路は、皮下経路よりも有効性が低いと認められており、多量のアレルゲンの使用を必要とし、すべてのアレルゲンが認可されていない。ピーナッツ及びミルクにおける脱感作のためのこの経路による試験が進行中であるにもかかわらず、そのような状況である。他の食物アレルゲンを用いたこの技術の使用の安全性については未だ評価されずにいる。
経鼻免疫療法は、18の管理下臨床試験のうち17において有効であると認められている。従って、これは、少なくともアレルギー性鼻炎の処置のための有効で安全な経路である。しかしながら、それは、一般に、あまり患者に許容されず、その臨床用途が限られている。異なる脱感作経路と比較した研究において、経鼻の経路による処置は、1年前に約50%が早期中断され、一方、皮下又は舌下経路により処置された子供の10%未満が早期に中断された(Pajno et al., 2005)。
皮膚上免疫療法は、皮膚上への適用に基づくものである。通常、この方法は、皮膚の表層にアレルゲンの拡散を引き起こすように、患者の皮膚にアレルギーを引き起こすことが知られるアレルゲンを繰り返し適用することを含む。本発明者らにより行われた試験では、皮膚上免疫療法により生じた免疫反応のタイプが処置条件により制御され得ることを示す。例えば、国際出願WO2009/080934号は、アレルゲンに対する強い脱感作は、皮膚の無傷の領域において、アジュバントを用いずにアレルゲンを用いた皮膚上の処置により得られ得ることを開示している。同様に、国際出願WO2009/071599号は、ピーナッツに対する強い脱感作は、皮膚上免疫療法により得られ得ることを開示している。
上記の試験及び開示において、皮膚上免疫療法のアレルゲン特異的効果は、本発明者らにより研究されてきた。この研究を継続し、本発明者らは、処置条件に依存して、皮膚上免疫療法がアレルギー患者におけるアレルギーの発生を防止するための予防処置として用いられ得るという驚くべき知見を得た。従って、この予測されない結果は、患者のアレルギーを防止するための予防処置に用いられ得る。
本願は、アレルゲンの予防的な皮膚上への投与により、哺乳動物の患者のアレルギーを予防する新規の方法を提供する。より好ましくは、本発明は、子供のアレルギーを予防する方法に関し、その方法は、子供に対してアレルゲンを皮膚上に投与することを含み、そのアレルゲンは、同一のアレルゲン又は異なるアレルゲンに対するアレルギー反応の検出に基づいて子供に投与される。
本発明の更なる対象は、少なくとも1つのアレルゲンを子供の皮膚上に投与することを含む、子供のアレルギーを予防する方法にあり、その子供は6歳未満であり、少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー反応が検出される。その子供は乳児又は幼児であることが好ましい。
本発明の一態様において、方法は、子供のアレルギーを予防するために提供され、その子供は、ミルク又はチリダニに対してアレルギーを有し、6歳未満であり、その方法は、ミルク又はチリダニの少なくとも1つのタンパク質をその子供の皮膚上に投与することを含む。本開示のように、そのような皮膚上への投与は、子供の他のアレルゲンに対するアレルギーの発症又は発生を防止する。
本発明の更なる態様において、方法は、子供のアレルギーの予防を提供し、その方法は、子供における最初のアレルギー反応の発生を検出又は検査することと、その最初のアレルギー反応の検出又は検査に基づいて、その最初のアレルギー反応の原因である少なくとも1つのアレルゲンをその子供の皮膚上に投与することとを含み、その皮膚上への投与は、他のアレルゲンによる少なくとも1つの更なるアレルギーの発生からその子供を守る。
本発明の更なる態様において、方法は、複数のアレルギーの発生に対する子供の保護を提供し、その方法は、子供におけるアレルギー反応の発生を検出又は検査することと、そのアレルギー反応の検出又は検査に基づいて、そのアレルギー反応の原因となる少なくとも1つのアレルゲンをその子供の皮膚上に投与することとを含み、その皮膚上への投与は、複数のアレルギーの発生からその子供を守るための、その子供における免疫反応を誘導する。
また、本発明は、患者のアレルギーを予防するのに用いるための組成物に関し、その組成物は、アレルゲンを含み、アレルギーを有する子供の皮膚上に適用される。より好ましくは、その子供は6歳未満であり、乳児又は幼児である。さらに好ましくは、その子供は、ミルク又はチリダニに対するアレルギーを有する。最も好ましくは、その子供は、当該子供の最初のアレルギーの検出に基づいて処置される。
本発明は、処置される患者において、食物、呼吸器又は接触アレルギーを含む更なるアレルギーの発生を予防するために用いられ得る。それは、最初のアレルゲンに対する最初のアレルギーの発症を示す乳児又は幼児の処置、その子供をその最初のアレルゲンに対して脱感作すること、及び他の異なるアレルゲンに対する更なるアレルギーの発生を防ぐことに特に適する。
図1は、研究デザインを示す。BALB/cマウスをミルクに感作させ、2群に分け、一方は処置し(EPIT)、他方は処置しなかった(Sham)。処置は8週間行った。この期間の後、マウスをピーナッツタンパク質抽出物(PPE)に感作させるのに通常用いられるプロトコールと同一のプロトコールを用いて、すべてのマウスにピーナッツを与えた。マウスを10日間ピーナッツに曝露させた。組織学による食道内への好酸球浸潤の測定により食道の炎症を評価した。また、血清学的反応及び細胞性反応を調べた。 図2は、感作後43日目(D43)、EPITの間の78日目(D78)、処置の終了時の99日目及び127日目(D99及びD127)におけるミルクに対する特異的IgE(図2a)及びIgG2(図2b)の反応を示す。結果は、平均値±SDで示す(**p<0.01)。 図3は、EPIT後でありPPEの曝露前(D99)、及びPPEの曝露後(D127)におけるPPEに対する特異的IgE(図3a)及びIgG2(図3b)の反応を示す。結果は、平均値±SDで示す(*p<0.05, *** p<0.001)。 図4は、IL−4(図4a)及びIL−5(図4b)により測定された、ミルク(CMP)又はPPEによりインビトロで再活性化された脾臓細胞の細胞性反応を示す。結果は、平均値±SDで示す(*p<0.05)。 図5は、インビトロで再活性化された脾臓細胞からのFoxp3+CD25+CD4+T細胞(Treg)の誘導を示す。試験の最後において、脾臓細胞を回収し、インビトロでミルク(グラフの左側)又はPPE(グラフの右側)の存在下で3日間再活性化した。総CD4+ T細胞の数に対するTregの割合を平均値±SDで示す(*p<0.05 ** p<0.01)。 組織学的分析による食道内への好酸球浸潤の評価を示す。結果は、平均値±SDで示す(**p<0.01)。
本発明は、アレルギーの新規の予防処置を提供する。それは、アレルゲンに対するアレルギー反応を示す子供に対して、他の異なるアレルゲンに対する更なるアレルギーの発生から保護するための処置をするのに特に適する。それは、ミルク又はチリダニに対するアレルギー反応を示す若い子供達への処置に特に有効であり、これにより、他のアレルゲンに対する更なるアレルギーの発生からその子供達を保護する。実際に、最初のアレルゲンに対するアレルギー反応を起こす乳児又は幼児等の若い子供達は、他の物質に対してアレルギーを起こしやすい。本発明は、そのようなアレルギー患者の処置を可能とし、更なるアレルギーの発生を抑制する。
本開示は、以下の定義を参照とすることにより、良く理解されるであろう。
定義
「皮膚上への投与」とは、皮膚の表面に接触可能な条件下において、患者の皮膚上への物質(例えば、アレルゲン)の投与を意味する。皮膚への適用は、皮膚の穿孔処理又は前処理をすることなく行われることが好ましい。皮膚への適用は、皮膚の表面層にアレルゲンが浸透可能である条件で、及び/又は免疫細胞とアレルゲンとの接触が十分に可能な期間、維持されることが好ましい。皮膚上への投与は、パッチ等の皮膚デバイスを用いて行われることが好ましい。
本発明において、アレルギーの「予防」の用語は、更なるアレルギーの発生から患者を保護すること、更なるアレルゲンに対する感受性の発現を防止すること、更なるアレルゲンに対するそのような感受性若しくはアレルギーの発現若しくは発生を遅延すること、又は更なるアレルギー反応の大きさを抑制する若しくは低減することを含むことを意味する。
本発明において、「無傷の皮膚」の用語は、角質層の完全性が実質的に維持されているであろうことを意味する。本発明の実施のために、例えば角質層の完全性が本質的に維持されている皮膚の表面又は部分といった無傷(すなわち前処理されていない)皮膚上に抗原を適用することが最も好ましい。角質層の完全性、並びに角質層の下に位置するケラチノサイト及びランゲルハンス細胞の自然活性状態を維持することは、Th2免疫反応に偏ることを避けるために重要である。この完全性を維持することにより、得られる反応が、寛容性に向かって強く方向付けられる。従って、皮膚表面の穏やかな洗浄は、例えば角質細胞を除去するために、例えば水和、水洗浄又は極めて緩やかなシングルストリッピング(single stripping)等の処理がその領域において行われ得るが、角質層の実質的な完全性を維持するために、皮膚に前処理を行わないほうがよい。特に、皮膚のテープストリッピング又は強い研磨は、角質層の全部又は一部を破壊又は除去し、ケラチノサイトの刺激を引き起こすため、そのような前処理は行わないほうがよい。同様に、角質層の穿孔処理は避けるべきである。
「アレルゲン」の用語は、アレルギー反応に関する免疫学的分子を意味する。アレルゲンは、脂質、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、金属、プラスチック等の種々の性質のものであってもよい。特定の実施形態において、アレルゲンは、タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドである。アレルゲンは、天然物又は(例えば組換え及び/又は酵素技術による)人工物であってもよい。アレルゲンは、その安定性、免疫原性等を改善するために構造的に変更又は修飾されてもよい。アレルゲンは、純粋物又は他の成分との混合物であってもよい。アレルゲンは、いくつかの分子が混合されていてもよい(例えば抽出物)。さらに以下で論じるように、アレルゲンは、液体又は乾燥体等の種々の状態で用いられ得る。
アレルギーの予防方法
本発明の一態様において、アレルギーの予防的処置のための組成物及び方法が開示される。特に、本発明者らは、アレルゲンの皮膚上への投与が患者における非アレルゲン特異的免疫反応を誘導又は励起でき、これにより、他の異なるアレルゲンに対する更なるアレルギーの発生から患者を保護するといった予測されない発見をした。アレルギーのバックグラウンドを有する患者の皮膚上に免疫療法を適用することにより、既にあるアレルギーを脱感作するのみならず、更なるアレルギーの発生を防ぐことが可能である。以下で詳細に論じるように、本発明者らは、ミルクに対してアレルギー性を有する哺乳動物にミルクタンパク質を皮膚上に適用することが、ミルクに対して脱感作する、並びにピーナッツ及びチリダニを含む他のアレルゲンによる誘発に対して保護することをインビボの試験で証明する。食物アレルゲンを用いて、他の食物アレルゲン、及び呼吸器アレルゲン又は接触アレルゲンに対する更なるアレルギーの発生に対して防御免疫を引き起こすことが可能であるというこれらの結果は、特に驚くべきものであり、注目すべきものである。本発明は、更なるアレルギーを発生するリスクがある、最初のアレルギー反応を示す子供を保護するのに特に適する。本発明は、乳児(0〜1歳)及び幼児(1〜3歳)等の若い子供達に対して処置するのに特に適する。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、その反応が皮膚上における治療によるTreg細胞の産生の刺激により引き起こされて、患者におけるIgE産生細胞及び他のアレルギー免疫細胞の良好な制御を引き起こすと考える。
本発明の一態様において、方法は、検出されたアレルギー反応を有する子供における更なるアレルギーの予防を提供し、その方法は、少なくとも1つのアレルゲン、好ましくは前記検出されたアレルギー反応の原因となる1つのアレルゲンを前記子供の皮膚上に投与することを含む。
本発明者らは、少なくとも最初のアレルギー反応が患者で起こるとそのような防御効果が起こることを発見している。本願で示す結果は、そのような患者におけるアレルゲンの皮膚上への投与がTregを誘導又は刺激できることを証明する。皮膚上でTregを誘導する能力は、本技術分野においてこれまで報告されていなかった。さらに本願で示す結果は、皮膚上に投与されたアレルゲンが患者において検出されたアレルギー反応の原因となるアレルゲンである場合、Tregがそれらの患者で誘導されることを示す。従って、少なくとも最初のアレルギー反応(例えばアレルゲンに対する感受性)がTreg細胞の生成を誘導するのに必要である可能性があり、そのアレルゲンを用いた皮膚上の処置がこのTregの数を増大できて後のアレルギー反応に作用する可能性がある。この処置は、後に起こる新たなアレルゲンに対するアレルギーの発生を防止する非アレルゲン特異的免疫反応を発生させる。
本発明は、特に6歳未満の若い子供達等に対する処置に特に適する。そのような子供達において、免疫系は、複数のアレルゲンに対して未だ曝露されていない。特に、食物アレルゲンは、そのような子供達において未だ制限される。従って、最初のアレルギー反応の検出に基づく、本発明の防御的皮膚上処置は特に有効である。さらに、アレルギーは早くに発生し得るので、上記子供達に対して処置することにより複数のアレルギーの発生を予防することが可能となる。
その処置は、アレルギー反応を示す6歳未満の子供に適用することが好ましい。本発明は、乳児及び幼児に対して処置するのに特に適する。前記子供達において検出されるアレルギー反応は、典型的にミルクアレルギー又はチリダニアレルギーである。従って、その方法は、ミルクまたはチリダニに対するアレルギーを有する6歳未満の子供達に対して処置するのに特に適する。これらの患者に対して、予防的な量のミルク又はチリダニアレルゲンを皮膚上に投与することにより、更なるアレルギーの発生に対して子供達を有効に保護できる。
患者におけるアレルギー反応の存在の検出又は確認後に直ちに処置を行うことが好ましい。実際に、早くに(すなわち、患者が複数のアレルゲンに曝露される前に)行うことにより、種々のアレルギーの発生を防止することが期待される強力且つ有効な免疫反応を誘導できる。これに関して、すべての他のアレルゲンに対する防御効果が期待され得るので、最初のアレルギー反応の検出又は確認に基づいて子供達に対して処置することが最も好ましい。
好ましい一実施形態において、アレルゲンは、治療される子供における第2のアレルゲンに対する第2のアレルギー反応の検出前に投与される。アレルギー反応の検出又は確認は、本技術分野において周知の技術を用いて行われ得る。適切な方法の例は、プリックテスト、IgEの量、及び/又はアトピーパッチテストの使用を含む。アレルギー反応の検出は、アレルギーの臨床的サインが見られない場合のアレルゲンに対する感受性の検出を含む。一般に、その検出は、まず典型的なアレルギー症状(炎症、嚥下等)の出現からである。必要であればその後に、例えば医師により上記技術が用いられて再度試験され、又は確認され得る。アレルギー反応が患者で検出又は確認されると、本発明の処置が開始され得る。処置の有効性は、その処置がアレルギー反応の検出又は確認後に直ちに開始される場合(例えば、すぐに、又は4週未満等の数週間以内)、増大するであろう。実際に、早くに行うことにより、他のアレルギーに対する防御効果が生じる。この目的のために、その処置は、患者における最初のアレルギー反応の検出に基づいて行われ、更なるアレルギーの検出の前に(例えば、その子供において、第2のアレルゲンに特異的で検出可能なIgEの出現前に)行われることが最も良い。しかしながら、その処置は、更なるアレルギーに対する一般的な防御を発生し得るので、いくつかのアレルギー反応を示す患者に有効である。
従って、その方法は、最初のアレルギー反応を有する乳児(1歳未満)又は幼児(1歳〜3歳)に特に有効である。
好ましい実施形態において、その方法は、ミルク又はチリダニに対する検出されたアレルギー反応を有する6歳未満の子供達に対して処置するために用いられる。
本発明の一態様において、方法は、患者の皮膚上に少なくとも1つのアレルゲンを適用することを提供する。最も好ましくは、少なくとも1つの適用されるアレルゲンは、患者において検出されたアレルギー反応の原因となるアレルゲンである。実際に、そのようなアレルゲンを用いることで、防御効果が得られ、患者はそのアレルゲンに対して脱感作され得る。さらに、本発明者らは、その原因アレルゲンが患者においてTregを誘導できる一方で非関連アレルゲンでは誘導できないことを示している。
検出されたアレルギー反応の「原因となる」アレルゲン(又は「原因」アレルゲン)は、患者がアレルギーとなる物質由来のアレルゲンを意味する。アレルゲンは、アレルギー物質の成分(例えばミルク又はチリダニのタンパク質)、又は免疫原性エピトープを有するそのような成分の断片(例えばタンパク質の断片)であってもよい。上記のように、アレルゲンは、抽出物全体、精製された混合物、単離された免疫原等であってもよい。
本発明の一実施形態において、検出されたアレルギー反応はミルクアレルギーであり、投与されるアレルゲンはミルクタンパク質又は免疫原性エピトープを有するその断片を含む。
本発明の他の実施形態において、検出されたアレルギー反応はチリダニアレルギーであり、投与されるアレルゲンはチリダニタンパク質又は免疫原性エピトープを有するその断片を含む。
皮膚上の処置のプロトコールは、医師により調整され得る。一般に、アレルゲンは、防御的免疫反応を引き起こすのに十分な期間において、繰り返し(すなわち複数回)適用される。好ましい実施形態において、少なくとも3ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは6ヶ月から36ヶ月の間の期間、その処置は行われる。この処置期間において、アレルゲンは、毎週、一日おき、又は毎日等の種々の頻度で投与され得る。それぞれの適用のために用いられるアレルゲンの投与量は、当業者により調整され得る。一般に、それは、0.1〜10000μg、好ましくは20〜1000μgを含み得る。患者における防御免疫は、従来の試験によりいつでも確認され得る。特に、処置された患者における防御免疫反応の存在は、消化器疾患、皮膚徴候(例えば湿疹又は皮膚アトピー)、鼻炎又はぜんそく等のアレルギーの臨床的サインの低減、消失又は消滅により確認され得る。臨床的サインの消失は十分であっても、患者における免疫細胞又はメディエータ(IgE等)の投与が行われ得る。防御免疫が生じた場合、処置(投与量、適用の頻度、適用の期間)を低減又は停止できる。上述のように、その処置は、通常、種々の間隔で繰り返し投与されて、少なくとも3ヶ月の期間は維持される。
好ましい実施形態において、アレルゲンは、アジュバントを用いることなく適用される。しかしながら、好ましくはないがアレルゲンは、免疫反応の増強を引き起こすために、アジュバント、すなわち免疫系を活性化又は促進するような物質と組み合わせられてもよい。アジュバントの例は、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウム等の無機物塩、CpGオリゴヌクレオチド等の免疫賦活性DNA若しくはRNA、抗体、若しくはToll様受容体結合タンパク質等のタンパク質、QS21等のサポニン、ムラミルジペプチド誘導体、LPS、3D−MPLを含むMPL及びその誘導体、GM−CSF(顆粒球‐マクロファージコロニー刺激因子)、イミキモド、コロイド粒子、完全若しくは不完全フロイントアジュバント、リビアジュバント、又はコレラ毒素若しくはエンテロトキシン(LT)等の細菌毒素を含む。
更なる好ましい実施形態において、アレルゲンは、皮膚の無傷の領域に適用される。
アジュバントを用いずに無傷の皮膚にアレルゲンを適用することが特に好ましい。
アレルゲンは、アレルゲンと患者の皮膚との接触を維持するのに適する種々の技術又はデバイスを用いて適用され得る。そのようなデバイスは、以下のものに限定されないが、パッチ、テープ、包帯、シート又は当業者に周知の他の形態を含む。好ましくは、皮膚デバイスはパッチであり、より好ましくは閉塞性のパッチである。好ましいパッチデバイスは、皮膚の完全性を変更しない、すなわち非貫通的である。最も好ましい実施形態において、本発明の方法は、国際特許出願WO2002/071950及びWO 2007/122226に記載されているように皮膚パッチデバイスを用いる。そのようなデバイスは、閉塞性であり、乾燥形態でアレルゲンを用いるように構成され、そのアレルゲンは、接着剤を用いることなく静電力及び/又はファンデルワールス力を介してパッチに保持される。そのようなデバイス(Viaskin(登録商標))の製品及び特徴は、上記の出願に詳細に説明されており、それらの全体は参照として本願に組み込まれる。
本発明の実施のために、皮膚と密閉されたチャンバを作るように適合された基材を含むデバイスを用いるのに特に適し、この基材はチャンバ内の皮膚側の面に静電力及び/又はファンデルワールス力を介して接着された乾燥抗原デバイスを有する。皮膚への適用に基づいて、チャンバ内の水分が増大して、アレルゲンの溶解及び皮膚への接触が引き起こされる。
本発明の他の好ましい実施形態において、抗原は、アレルゲンと結合する支持体を含む閉塞性パッチデバイスを用いて患者の皮膚上に適用される。好ましくは、アレルゲンは、接着剤を用いることなく、静電力又はファンデルワールス力を介してパッチの支持体に結合される。特定の実施形態において、パッチの支持体は、ガラス、又はセルロースプラスチック(CA、CP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレン及びエチレンビニルアクリレート(EVA)からなる群から選択されるポリマーを含み得る。パッチは、接着性の縁により皮膚に保持され得る。
最も好ましい実施形態において、その方法は、好適に静電力皮膚デバイスを用いて皮膚上に適用される乾燥アレルゲン製剤を用いて行われ得る。これに関して、「乾燥」の用語は、アレルゲンが例えば、それぞれがばらばらである又は塊となった粒子の形態といった実質的に粉末の状態にされていることを意味する。
あまり好ましくないが、アレルゲンは、液体の形態であってもよく、リザーバ又は穿孔部材を有する閉塞性デバイス等の周知のデバイスを用いて適用され得る。
本発明の一態様において、方法は、子供におけるアレルギーを予防するために提供され、その方法は、ミルク又はチリダニに対する検出されたアレルギー反応を有する6歳未満の子供の皮膚上に少なくとも1つのミルク又はチリダニのタンパク質を投与することを含み、皮膚上への投与は、前記子供における他のアレルゲンに対するアレルギーの発生を防ぐ。
また、本発明は、複数のアレルギーの発生から子供を保護するための方法に関し、その方法は、子供における最初のアレルギー反応の発生を検出又は確認することと、その最初のアレルギー反応の検出に基づいて前記最初のアレルギー反応の原因となる一種のアレルゲンを前記子供の皮膚上に投与することとを含み、皮膚上への投与は、前記子供における免疫反応を誘導して複数のアレルギーの発生からその子供を保護する。
また、本発明は、患者におけるアレルギーを予防するのに用いるための組成物に関し、該組成物は、アレルゲンを含み、検出されたアレルギー反応を有する子供の皮膚上に適用される。より好ましくは、その子供は6歳未満である。より好ましくは、その子供はミルク又はチリダニに対してアレルギーを有する。最も好ましくは、子供はその子供の最初のアレルギーの検出に基づいて処置される。
本発明の更なる対象は、アレルギーの患者においてTregを誘導するための方法であり、その方法は、患者の皮膚上に原因アレルゲンを適用することを含む。
本発明の更なる態様及び利点は、以下の実施例の項に開示され、それは、例示としてみなされるべきものである。
方法
マウス
3週齢のメスのBALB/cマウス(Charles River Laboratories, France)をこの試験で用いた。すべての試験を動物飼育における欧州共同体のルールに従って行った。
ミルクに対する感作のプロトコール
3週齢のBALB/cマウスを、アジュバントとしての10μgのコレラ毒素と混合されたミルクを週に6回胃内投与することにより感作した。感作期間の終了前及び終了時に血清を後眼窩静脈叢から回収した。同一の日に未処置マウスを出血させた。
ミルクに対する皮膚上免疫療法のプロトコール
連続する8週間において、週に一度の皮膚上免疫療法(EPIT)を行った。まず、マウスに対して、ケタミン及びキシラジンを用いて腹腔内麻酔を行い、電気バリカン及び除毛クリームを用いて毛を剃った。その日の後、100μgのミルクタンパク質を背中に付け、接着性包帯により48時間保持した。
ピーナッツに対する感作のプロトコール
皮膚上免疫療法の終了後の2週間、マウスを、経口経路により一用量(80mg)のみのピーナッツタンパク質を投与することにより、確認されたピーナッツ感作プログラムにかけた。コントロールマウス(ミルクに感作されておらず、ミルクに対する処置がなされていない)を、陽性対照として同一のピーナッツ感作プログラムにかけた。未処置マウスを陰性対照として含めた。
継続されるピーナッツの経口投与
ピーナッツをマウスの規制飼育内に再導入した。これは、連続4日間、標準マウス飼料の代わりにピーナッツのみを与えることからなる。その後、その動物に6日間、標準飼料と混合されたピーナッツを与え、この第2段階の最後の3日間において毎日10mgのピーナッツタンパク質を含む溶液を胃内投与した。最後に、深鎮剤を用いた後にマウスを屠殺し、食道の組織、並びに食道粘膜におけるサイトカイン及び再活性化された脾臓細胞により分泌されたサイトカインのmRNA発現を試験するためにサンプルを取った。血液サンプルを、ピーナッツに対する血清学的反応を測定するために取った。
血漿サンプルにおける特異的なIgE、IgG1及びIgG2aの試験
血液サンプルを麻酔下において後眼窩静脈叢から回収し、血漿サンプルを更なる分析まで−20℃で保管した。その中で発生した特異的抗体を、定量ELISAを用いて測定した。簡単にいうと、タンパク質濃度が5μg/mlであるミルク又はピーナッツのアレルゲン性物質を100μl/wellでマイクロタイタープレートをコーティングした。それぞれの50μlの血清の系列希釈をウェルに分注し、4℃で24時間インキュベートした。アルカリホスファターゼ(Serotec, Oxford, England)でラベルされた抗マウスIgE、IgG1又はIgG2a抗体を、トレーサーとして用いた。パラニトロフェニルリン酸(pNPP- Sigma, France)を、酵素の基質として用いた。特異的なIgE、IgG1及びIgG2aを、アレルゲン性タンパク質の代わりに、トレーサーと相補的な抗マウスIgE、IgG1又はIgG2a抗体(Serotec, Oxford, England)でコーティングされた固相を用いて同一の条件下で行われた総IgE、IgG1又はIgG2aの試験から得られた濃度‐反応曲線と比較することにより定量し、マウスイムノグロブリン標品をSerotec (Oxford, England)から得た。
細胞反応
マウスの屠殺後に、脾臓を単個細胞浮遊液内で引き裂き、RPMI-1640 (Gibco, France)で3回洗浄した。細胞をカウントし、4×10cells/mlの培養濃度に調整し、500μlの細胞懸濁液を24ウェルマイクロタイタープレート(Nunc)のそれぞれのウェルに、500μlの培地、ミルク又はPPE(100μg/ml)と共に入れた。72時間後、上清を回収し、説明書に従ってBioPlexサイトカインアッセイ(BioRad,marnes-la-Coquette, France)を用いてサイトカインの存在を分析した。細胞のカウント、並びにCD4、CD25及びFoxp3染色を、特異的抗体(BD Pharmingen)を用いて行った。捕捉を、規定されたFSClo/SSCloのacquiring 5000イベントによりCanto II cytometerで行った。CD4+の数におけるCD25及びFoxp3陽性細胞の割合を、FlowJoソフトウェアを用いて評価した。
結果
血清学的反応(図2及び図3)
ミルクに対する感作を1日目から43日目まで行い、その後、ミルクEPITによる処置を行った(図1のプロトコールを参照)。
図2aに示すように、ミルクに対する感作は、特異的IgEの産生によりマウスに示される(図2a:43日目)。
ミルク感作マウスにおいて、ミルクEPIT処置は以下を誘導した(図2a:44日目から127日目):
・まず、8週間の処置の間に特異的IgEが増加し(図2a:78日目から98日目)、
・次に、臨床研究で見られるように、EPITの終了後の1ヶ月で特異的IgEが減少し(図2a:99日目から127日目)、
・最終的に、Th1生物マーカーである特異的IgG2aが顕著に増加し(図2a:78日目から127日目)、127日目において、特異的IgEに対する特異的IgG2aの割合は、Th2プロファイルから、より特徴付けられたTh1プロファイルへの免疫反応の変更を示し、従ってEPTIの有効性を示した。
プロトコールの第2段階の間、マウスをPPEに曝露した。その結果は、99日目にピーナッツを曝露された(ピーナッツに対する感作のプロトコール)マウスのうち、sham処理マウス及びコントロールマウスのみがピーナッツに対する特異的IgEが増加することを示す(図3a)。反対に、皮膚上へのミルクの免疫療法により予め処置されたマウスにおいては、ピーナッツに対する寛容性反応の特徴であるピーナッツに対する特異的IgG2aの顕著な増加が観察された(図3b)。これらの結果は、ミルクEPIT処置が、後のPPEアレルギーからマウスを保護することを示す。
細胞反応(図4及び図5)
i)サイトカイン(図4)
図4は、IL−4(図4a)及びIL−5(図4b)により測定されるように、脾臓細胞の細胞反応が、ミルクタンパク質(CMP)又はピーナッツタンパク質抽出物(PPE)によりインビトロで再活性化したことを示す。結果は平均値±SDで示す。
図4aの左部分及び図4bの左部分:sham群におけるインビトロでの脾臓細胞の再活性が、コントロール及びEPITと比較してTh2サイトカインであるIL−4及びIL−5の産生により認められた(P<0.05)。この現象は、ミルクEPITマウスに適用されたEPITの防御効果を示す。
図4aの右部分及び図4bの右部分(EPIT/sham/control群におけるピーナッツタンパク質曝露プロトコールの効果):ミルク感作sham処理マウスにおけるピーナッツの曝露は、ミルク感作EPIT処置マウスと比較して、Th2サイトカインであるIL−4及びIL−5の多量の産生が認められた(P<0.05)。この現象は、ミルクタンパク質に感作されたマウスに適用されたEPITの全体的な防御効果を示す。
ii)Treg(図5)
Treg細胞の特異的誘導を以下の後に分析した:
‐感作(図5‐ミルク‐左部分)
‐ミルクEPIT(図5‐ミルク‐右部分)
‐ShamマウスにおけるPPE曝露(図5‐PPE‐左部分)
‐ミルクEPIT処置マウスにおけるPPE曝露(図5‐PPE‐右部分)。
それらの結果は、ミルクEPIT処置群において、高レベルのTreg(CD4+CD25+Foxp3+)細胞がミルク感作後に誘導されることを示す。このTregの数は、免疫療法により特異的に誘導される。反対に、Treg細胞の数は、PPEの存在下におけるインビトロでの再活性により増加されなかった。理論により拘束されないが、Treg細胞の存在は、EPIT‐ミルク(図5‐ミルク‐右側)により特異的に誘導され、PPEに対する免疫反応がTh2サイトカインの産生がない寛容性プロファイルに向くと考えられる。
食道における好酸球浸潤(図6)
継続的な経口でのピーナッツ曝露は、主に食道に作用し、ピーナッツに対して感作されたマウスにおける好酸球浸潤を強く誘導する(コントロール、図6)。
より多くの好酸球浸潤は、感作され且つミルクで処置されず、その後、PPE感作のプロトコールでのピーナッツの曝露がなされたマウスで見られた(sham、図6)。
感作され且つミルクでのEPIT処置がなされたマウスが、食道の炎症を誘導するためにピーナッツの曝露がなされた場合、未処置マウスと同等のレベル(ミルク及びピーナッツに対する感作がなされていないマウス:未処置、図6)の好酸球浸潤が食道で見られた(EPIT、図6)。
考察
この研究は、ミルクに対する早期の脱感作が他のアレルゲンに対する免疫反応に顕著に影響することをインビボで示した。これは、皮膚上療法により引き起こされるアレルギーの予防効果の最初の実証である。実際に、ミルクに対するEPIT処置は、制御性T細胞(Treg)の特異的産生を誘導した。Tregを介したミルクに対する寛容性の誘導は、ピーナッツ又はHDM等の他のアレルゲンに対する感作を防止した。EPITによるミルクに対する有効な脱感作プロセスの後に、処置された動物がPPEに対する感作から保護され、寛容性反応が、特異的IgG2aの多量の産生、及び再活性化された脾臓細胞により分泌された低レベルのTh2サイトカインにより得られたことが示された。さらに、ピーナッツに対する脱感作のプロトコールは、食道における極めて少量の好酸球浸潤を誘導した。
従って、これらの結果は、EPIT処置が患者における更なるアレルギーに対する有効な保護を誘導できることを証明する。

Claims (12)

  1. 検出されたアレルギーを有する子供の処置のために用いられ、前記子供における更なるアレルギーの発生を防止するための、アレルゲンを含む組成物であって、
    前記検出されたアレルギーの原因となるアレルゲンを含み、
    前記子供の皮膚上に投与され、前記投与により、前記子供における他のアレルゲンに対する少なくとも1つの更なるアレルギーの発生を防ぐことを特徴とする組成物。
  2. 前記子供は、乳児又は幼児である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記検出されたアレルギーは、前記子供の最初の検出されたアレルギーであり、
    前記アレルゲンは、前記最初の検出されたアレルギー反応の検出又は検査に基づいて投与される請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記検出されたアレルギー反応は、食物アレルギー、呼吸器アレルギー又は接触アレルギーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記検出されたアレルギーは、ミルク、チリダニ又はピーナッツに対するアレルギーである請求項4に記載の組成物。
  6. 前記アレルゲンは、繰り返し適用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記アレルゲンは、アジュバント非存在下で適用される請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記アレルゲンは、前記皮膚の無傷の領域に適用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記アレルゲンは、非侵襲的な閉塞性パッチデバイスを用いて適用される請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記アレルゲンは、3ヶ月から36ヶ月の期間で繰り返し適用される請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. ミルク又はチリダニに対する検出されたアレルギー反応を示す乳児又は幼児におけるアレルギーの予防に用いるための組成物であって、
    ミルク又はチリダニのアレルゲンを含み、
    前記アレルギー反応の検出に基づいて、前記乳児又は幼児の皮膚上に適用される組成物。
  12. 複数のアレルギーの発生から検出された最初のアレルギー反応を示す乳児又は幼児を守るために用いられる組成物であって、
    前記最初のアレルギー反応の原因となる1つのアレルゲンを含み、
    前記最初のアレルギー反応の検出に基づいて前記乳児又は幼児の皮膚上に適用され、前記皮膚上への投与により前記乳児又は幼児における複数のアレルギーの発生を防止する組成物。
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