JP2015502437A - ランタニド又は遷移金属酸化剤を用いて改質したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、一般的には、湿潤性の生体適合性表面を有する医療デバイス、特にコンタクトレンズ及び該デバイスの製造方法に関する。
一般に、コンタクトレンズには酸素透過性を改善するためにシロキサンが含まれている。しかしながら、シロキサンが含まれると、レンズの湿潤性又は親水性に有害な作用を生じ得る。この問題を解決する1つの適切な方法が、コンタクトレンズ表面を、好ましくは生体適合性材料で被覆又は改質することである。
親水性コンタクトレンズ配合物の酸素透過性は、例えば、種々のケイ素含有疎水性モノマーやフッ素含有疎水性モノマーを添加することによって改善され得る。しかしながら、このような改質は、レンズの湿潤性や生体適合性を犠牲にすることになる; 例えば、高レベルのケイ素又は他の強い疎水性モノマーを含むためガス透過率の高い材料はしばしば湿潤特性が低い。これは、眼上のレンズの動きが悪い、レンズ表面への脂質、タンパク質、及び/又は生体分子による汚れの増加、及びレンズの眼へ付着に及ぶ種々の問題につながり得る。これらの及び他の問題は、レンズ表面をかなり湿潤性にする表面改質によって改善され得る。
コンタクトレンズの親水性を改善させる種々の技術が開示されており、それの多くはプラズマ処理工程を含んでいる。これらの技術は非常にばらつきがあり、コストがかかり、且つ不便であり得るので、別個のプラズマユニット操作を必要としない表面改質プロセスを有することが望ましい。
本開示の種々の態様の中でケイ素含有ポリマーの表面を改質させる方法が提供される。
それ故、簡単に述べると、本開示は、ケイ素含有ポリマーの表面を改質させる方法であって、ケイ素含有ポリマー、重合モノマー、フリーラジカルレドックス開始剤系及び溶媒系を含む反応混合物を形成する工程であって、重合モノマーが双性イオンモノマーを含み、フリーラジカルレドックス開始剤系がランタニド又は遷移金属酸化剤を含んでいる、前記工程; 及び反応混合物中でモノマーを重合させて、ケイ素含有ポリマーの表面上に表面改質を形成する工程を含む、前記方法に関する。
開示の他の態様は、上記の要求の方法によって形成される製品に関する。一実施態様において、製品は、コンタクトレンズである。
他の目的及び特徴は、以下で部分的に明らかになり部分的に指摘されるであろう。
下記の定義及び方法は、本開示をより良く明らかにし且つ本開示の内容の実施において当業者を導くために示されている。特に明記しない限り、用語は、関連した技術の当業者が従来の使用法に従って理解すべきである。
本発明又はその好ましい実施態様の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、要素が1つ以上であることを意味するものとする。用語「含む」、「含める」及び「有する」は、含んでいることを意味し、挙げた要素以外の追加の要素があってもよいことを意味するものとする。
脂肪族: 特に明記しない限り、「脂肪族」又は「脂肪族基」は、必要により置換されていてもよい非芳香族炭化水素部分を意味する。部分は、例えば、直鎖、分枝鎖、又は環状(例えば、単環式又は多環式、融合、架橋、又はスピロ融合多環式等)、又はこれらの組み合わせであってもよい。特に指定されない限り、脂肪族基は、1〜20個の炭素原子を含有する。
アルキル: 特に明記しない限り、本明細書に記載されているアルキル基は、好ましくは、主鎖に1〜8個の炭素原子及び20個までの炭素原子を含有する低級アルキルである。アルキル基は、直鎖、分枝鎖又は環式であってもよく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等を含める。
アミノ: 特に明記しない限り、単独で又は他の基の一部として本明細書に用いられる用語「アミノ」は、部分-NR1R2(ここで、R1、及びR2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである)を示す。
アミド又はアミド: 特に明記しない限り、「アミド」又は「アミド」部分は式-CONR1R2(ここで、R1及びR2は、用語「アミノ」と関連して定義した通りである)の基を表す。例えば、「置換アミド」は、式-CONR1R2(ここで、R1及びR2の少なくとも1つは水素以外である)の基を意味する。例えば、「置換されていないアミド」は、式-CONR1R2(ここで、R1及びR2は各々水素である)の基を意味する。
アニオンモノマー、アニオンモノマー単位又はアニオン繰り返し単位: 特に明記しない限り、「アニオンモノマー」、「アニオンモノマー単位」又は「アニオン繰り返し単位」は、アニオン又は他のアニオン種をもったモノマー又はモノマー単位、例えば、負に荷電した状態で又は荷電されていない状態で、しかし、求電子(例えば、プロトン(H+)、例えばpH依存的方法で)又は保護基(例えば、カルボン酸エステル)の除去、又は求核基の付加のときに負に荷電することができる荷電されていない状態で存在する基である。場合によっては、基は、ほぼ生理的pHで実質的に負に荷電するが、プロトン化を受け、弱酸性pHで実質的に中性になる。該基の限定されない例としては、カルボキシル基、バルビツール酸及びその誘導体、キサンチン及びその誘導体、ボロン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルフィン酸、スルホン酸、ホスフェート、及びスルホンアミドが挙げられる。
抗菌剤: 特に明記しない限り、「抗菌剤」は、細菌、酵母、真菌、マイコプラズマ、ウイルス又はウイルス感染細胞、及び/又は原虫を含める微生物を殺滅(すなわち、殺菌)し、その微生物の発育を阻止(すなわち、静菌)し、且つ/又はその微生物による汚れを防止する分子及び/又は組成物を意味する。細菌に対する抗菌活性は、例えば、標準分析を用いて定量化され得る。そのような一分析においては、試料を50%ウシ胎児血清と37℃において120RPMで18〜20時間インキュベートすることになる。プレインキュベートした後、試料を一夜培養物から1×PBS又は他の適切な培養液で希釈した1%トリプトンソーヤブイヨン(TSB)中の1〜3×105 CFU/mLの浮遊性濃度に希釈されているスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus、ATCC 25923)に入れる。試料を37℃で撹拌(120rpm)しながら24〜26時間の細菌とインキュベートする。TSB又は他の培養液の濃度は、用いられている生物体によって変動し得る。インキュベートした後、試料を3mLのPBSに37℃において240RPMで5分間入れて、材料にしっかりと結合していない細菌を除去する。次に、材料上に蓄積した細菌を新しいPBS溶液中で音波処理によって取り出し、細菌細胞の合計数を平板希釈によって定量化する。細菌数の好ましくは少なくとも1、2、3又は4log減少が基準基体、すなわち、非汚れポリマー層がない同一かさもなければ機能的に等価な基体上のコロニー形成と比較して生じる。基準基体よりその上の細菌数が少ない表面を、微生物コロニー形成を減少させると言うことができる。
結合した: 特に明記しない限り、2つの部分又は化合物が、一例として、1つ以上の共有結合、1つ以上の非共有相互作用(例えば、水素結合、イオン結合、静的力、ファンデルワールス相互作用、これらの組み合わせ等)、又はこれらの組み合わせを含める任意の相互作用によって一緒に保持される場合には2つの部分又は化合物は「結合」している。
生体適合性: 特に明記しない限り、「生体適合性」は、特定の状況で適切なホスト反応によって行う材料の能力である。これは、国際規格ISO 10993を用いて評価され得る。本明細書に記載されている生体適合性組成物は、好ましくは実質的に非毒性である。
ブラシ/ポリマーブラシ: 特に明記しない限り、「ブラシ」又は「ポリマーブラシ」は、同意語として本明細書に用いられ、グラフトフロム法を用いて一般的には単一点の結合によって表面に結合されるポリマー鎖を意味する。ポリマーは、末端グラフト(末端基を介して結合)され得るか又は側鎖もしくは末端位置以外のポリマー鎖中の位置を介して結合され得る。ポリマーは、直鎖又は分枝鎖であり得る。例えば、本明細書に記載されているポリマー鎖は、双性イオン基を含有する複数の側鎖を含有し得る。側鎖は、非汚れ単一部分又はモノマー及び/又は非汚れオリゴマー(例えば、2〜10のモノマー残基)又はポリマー(例えば、>10のモノマー残基)からなり得る。
カルボキシアンモニウム: 特に明記しない限り、「カルボキシアンモニウム」部分は、カルボキシレートとアンモニウムの官能性を含む双性イオン部分であり、例えば、カルボキシアンモニウムモノマー、カルボキシアンモニウムオリゴマー、カルボキシアンモニウムポリマー、カルボキシアンモニウム繰り返し単位、及び他のカルボキシアンモニウム含有材料が挙げられる。例示的なカルボキシアンモニウム部分は、カルボキシベタインモノマー、オリゴマー、ポリマー、繰り返し単位及び他のカルボキシベタイン材料である。
カチオンモノマー、カチオンモノマー単位又はカチオン繰り返し単位: 特に明記しない限り、「カチオンモノマー」、「カチオンモノマー単位」又は「カチオン繰り返し単位」は、カチオン又は他のカチオン種、例えば、求電子(例えば、プロトン(H+)又はアルキルカチオン、例えばpH依存的方法で)の付加又は保護基又は求核基の除去のときに正電荷を有することができる部分をもったモノマー、モノマー単位又は繰り返し単位である(用語「モノマー単位」及び「繰り返し単位」は同じ意味で用いられている)。
透明度: 特に明記しない限り、「透明度」は、訓練されたオペレーターが拡大オプチカルコンパレータツールを用いてUV-vis器械技術及び/又は目視検査によって測定されるように材料を通過する光の能力を意味する。光の透過を防止するバルク材料の不透明度、又は光を散乱する表面不規則性は、材料の全体の透明度に関与し得る。例えば、拡大オプチカルコンパレータツールを用いて材料が以下の通り透明度スコア1〜5に割り当てられ得る: 1 = >90%(検査される表面積の)不透明; 2 = >50%(検査される表面積の)不透明; 3 = >90%(検査される表面積の)透明、いくつかの表面不規則性; 4 = >99%(検査される表面積の)透明、表面不規則性がほとんど観察されない; 5 = 100%透明、表面不規則性が観察されない。
コーティング: 特に明記しない限り、「コーティング」は、表面を処理するか又は覆っている、一時的な、半永久的な又は耐久性の層(1又は複数)を意味する。コーティングは、基礎にある基体の化学的改質であってもよく、基体の表面に新しい材料の付加をを必要としてもよい。コーティングは、基体への厚さの増加又は基体の表面化学組成の変化を含める。
コンタクトレンズ: 特に明記しない限り、「コンタクトレンズ」又は「レンズ」は、装用者の眼の上に又は眼の内部に配置され得る構造を意味する。コンタクトレンズは、使用者の視力を修正、改善、又は変えることができるが、それは症例である必要はない。例えば、コンタクトレンズは、さらに又は代わりに、光学的補正、創傷治癒、薬剤送達、診断上の機能性、美容上の変化又は向上、又はこれらの組み合わせを提供し得る。レンズ又はコンタクトレンズは、当該技術において既知の又は後に開発された適切な任意の材料であることができ、ソフトレンズ(例えば、ソフト、ヒドロゲルレンズ、ソフト、非ヒドロゲルレンズ等)、ハードレンズ(例えば、ハード、ガス透過性レンズ材料等)、ハイブリッドレンズ、眼内レンズ、オーバレイレンズ、眼内挿入物、光学挿入物等であり得る。当業者によって理解されているように、レンズが破壊されずにそれ自体に折り返され得る場合には、レンズは「ソフト」とみなされる。眼科用デバイスを含める生物医学デバイスを製造することが既知の任意の材料が本明細書に使用し得る。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、シリコーンヒドロゲル材料(シリコーン、シリコーン誘導体、例えばフルオロシリコーン及びこれらのコポリマーを含める)を含むコンタクトレンズを意味する。
分解生成物: 特に明記しない限り、「分解生成物」は、加水分解、酸化、酵素、又は他の化学的プロセスの結果として形成される水以外の原子、基、カチオン、アニオン又は分子である。
乾燥厚さ: 特に明記しない限り、ポリマー層に関連して本明細書で用いられる「乾燥厚さ」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたポリマー層の厚さを意味する。乾燥厚さを測定するために、試料を一晩脱水し、次に液体窒素に沈めることによって画像化のために凍結破壊し、次にウルトラミクロトームブレードで分解する。凍結破壊は、基体に直角のポリマー層の厚さを測定するためにポリマー改質表面にほぼ直角の平面で製品を破壊しなければならない。スパッタコーターを用いて試料を金で90秒間スパッタ被覆し、次に電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)によってSE2検出器を用いて5kVにおいて高真空中で画像化する。例示的なミクロトームブレードにはLeica Ultracut UCT Ultramicrotomeが含まれ、例示的なスパッタコーターにはCressington 208HRが含まれ、例示的なSEMにはSupra55VP FESEM, Zeissが含まれる。乾燥厚さは、グラフトポリマーのケミカルシグナルの強度を分析することによって、例えば、ATR-FTIRを用いることにより概算され得る。
全体的平均加湿厚さ: 特に明記しない限り、ポリマー層に関連して本明細書に用いられる「全体的平均加湿厚さ」は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5の局部的平均加湿厚さを平均することによって算出される平均を意味し、代表的な位置はポリマー層をもつ製品の部分全体にほぼ均一に間隔があけられている。ポリマー層で覆われる製品の部分の最長寸法全体の代表的な点で厚さを測定することが好ましい。全体的平均加湿厚さの標準偏差は、少なくとも5、好ましくは少なくとも10全体の局部的平均加湿厚さの標準偏差を算出することによってわかり、代表的な位置はポリマー層をもつ製品の部分全体にほぼ均一に間隔があけられている。
グラフト: 特に明記しない限り、ポリマーに関連して本明細書に用いられる用語「グラフト」は、グラフトポリマーを形成する「グラフトフロム」、「グラフトスルー」又は「グラフトツー」方法、又はこれらの組み合わせによってポリマーによる材料の表面の改質を意味する。
グラフトフロム法: 特に明記しない限り、ポリマーで材料を改質させる方法に関連して本明細書に用いられる用語「グラフトフロム」は、材料の表面で、又は材料の内部でポリマーのその場重合及び成長を意味する。
グラフトスルー法: 特に明記しない限り、ポリマーで材料を改質させる方法に関連して本明細書に用いられる用語「グラフトスルー」は、材料表面から存在する官能基によって重合させることができる材料の近くでモノマーのその場重合を意味する。例えば、材料は、重合が生じる表面から存在するビニル基を有する場合がある。
グラフトスルーポリマー: 特に明記しない限り、本明細書に用いられる用語「グラフトスルーポリマー」は、グラフトスルー法によって形成されるポリマーを意味する。
グラフトツー法: 特に明記しない限り、ポリマーで材料を改質させる方法に関連して本明細書に用いられる用語「グラフトツー」は、予め合成されたポリマーによる材料の表面の改質を意味する
グラフトツーポリマー: 特に明記しない限り、本明細書に用いられる用語「グラフトツーポリマー」は、グラフトツー法によって形成されるグラフトポリマーを意味する。
ヘテロアリール: 特に明記しない限り、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環員がヘテロ原子であり、且つ各環に好ましくは5又は6個の原子であるアリール基を意味する。芳香族複素環基は、好ましくは、環内に1又は2個の酸素原子、1又は2個の硫黄原子、及び/又は1〜4個の窒素原子を有し、炭素又はヘテロ原子によって分子の残りに結合されていてもよい。例示的な芳香族複素環は、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニル等が挙げられる。例示的な置換基としては、下記の基の1つ以上: ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト(すなわち、=O)、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル及びエーテルが挙げられる。
ヘテロシクロ: 特に明記しない限り、単独で又は他の基の一部として本明細書に用いられる用語「ヘテロシクロ」及び「複素環」は、少なくとも1つの環に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環に5又は6個の原子を有する必要により置換されていてもよく完全飽和又は不飽和の単環式又は二環式の芳香族基又は非芳香族基である。ヘテロシクロ基は、好ましくは、環内に1又は2個の酸素原子、1又は2個の硫黄原子、及び/又は1〜4個の窒素原子を有し、炭素又はヘテロ原子によって分子の残りに結合されていてもよい。例示的ヘテロシクロとしては、芳香族複素環、例えばフリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニル等が挙げられる。例示的な置換基には、下記の基: ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル及びエーテルの1つ以上が含まれる。
ヘテロヒドロカルビル: 特に明記しない限り、用語「ヘテロヒドロカルビル」は、鎖状の炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子と置き換えられているヒドロカルビル基を意味する。
炭化水素又はヒドロカルビル: 特に明記しない限り、本明細書に用いられる用語「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」は、元素の炭素及び水素だけからなる有機化合物又は基を記載するものである。これらの部分には、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールの部分が含まれる。これらの部分には、また、他の脂肪族又は環状炭化水素基、例えばアルカリール、アルケナリール及びアルキナリールで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールの部分が含まれる。特に明記しない限り、これらの部分は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含んでいる。
親水性ポリマー: 特に明記しない限り、「親水性ポリマー」は、水に対して親和性を有するポリマー表面を意味する。水に対するポリマー表面の親和性を定量する一方法は、接触角を測定することである。本出願のためには、表面が50度未満の前進接触角を有する場合には表面は親水性と定義される。超親水性ポリマーは、30度未満の前進接触角を有するポリマー表面を意味する。
疎水性: 特に明記しない限り、「疎水性」は、水からはじかれる溶媒、分子、化合物、ポリマー、混合物、材料、又は官能基を意味する。該材料は、典型的には、非極性官能基を含有する。
疎水性ポリマー: 特に明記しない限り、「疎水性ポリマー」は、水からはじかれるポリマー表面を意味する。ポリマー表面が疎水性である場合に定量する一方法は、接触角を測定することによる。本出願のために、前進接触角が50度より大きい場合にはポリマー表面は疎水性であると定義される。超疎水性ポリマーは、前進接触角が80度より大きいポリマー表面を意味する。
固定化/固定化した: 特に明記しない限り、「固定化」又は「固定化した」は、基体に直接又は間接的に共有結合又は非共有結合される材料又は生理活性物質を意味する。「同時固定化」は、2つ以上の物質の固定化を意味する。
局部的平均乾燥厚さ: 特に明記しない限り、「局部的平均乾燥厚さ」は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5の乾燥厚さ測定値を平均することによって算出される平均乾燥厚さであり、代表的な位置は約80〜120マイクロメートルにわたる製品の断面全体にほぼ均一に間隔があけられている。局部的平均乾燥厚さの標準偏差は、少なくとも5、より好ましくは少なくとも10全体の乾燥厚さの標準偏差を算出することによって定量され、代表的な位置は約80〜120マイクロメートルにわたる製品の断面全体にほぼ均一に間隔があけられている。
局部的平均加湿厚さ: 特に明記しない限り、「局部的平均加湿厚さ」は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5の加湿測定値を平均することによって算出される平均加湿厚さであり、代表的な位置は約80〜120マイクロメートルにわたる製品の断面全体にほぼ均一に間隔があけられている。局部的平均加湿厚さの標準偏差は、少なくとも5、好ましくは少なくとも10全体の加湿厚さの標準偏差を算出することによって定量されてもよく、代表的な位置は約80〜120マイクロメートルにわたる製品の断面全体にほぼ均一に間隔があけられている。
モノマー: 特に明記しない限り、「モノマー」は、重合され得る低分子量化合物を意味する。低分子量は、典型的には、700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
非分解性: 特に明記しない限り、「非分解性」は、加水分解的に、還元的に、酵素的に又は酸化的に生物環境内でほとんど反応せず、より小さい又はより簡単な成分に切断されない材料組成物を意味する。
非汚れ組成物/非汚れ材料/非汚れポリマー/非汚れポリマー層: 特に明記しない限り、本明細書に同じ意味で用いられる「非汚れ組成物」又は「非汚れ材料」又は「非汚れポリマー」又は「非汚れポリマー層」は、組成物が結合している製品の表面のタンパク質抵抗性を与えるか又は増加させる組成物である。例えば、基体に結合した場合、該組成物は、基準基体、すなわち、組成物のない同様のあるいは機能的に等価な基体への付着の量と比較して基質への血液タンパク質、血漿、細胞、組織及び/又は微生物を含むタンパク質の付着に抵抗し得る。好ましくは、基体表面は、ヒト血液の存在下に実質的に非汚れ性である。好ましくは、付着量は、基準基体と比較して20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%以上、例えば、85%、90%、95%、99%、99.5%、99.9%以上減少する。表面の非汚れ特性又はタンパク質抵抗性の特に好ましい一基準は、本明細書に記載されているフィブリノーゲン吸着分析において吸着されたフィブリノーゲン量である。好ましくは、本明細書に記載されているフィブリノーゲン吸着分析を用いた吸着フィブリノーゲンの量は、<125ng/cm2、<90ng/cm2、<70ng/cm2、<50ng/cm2、<30ng/cm2、<20ng/cm2、<15ng/cm2、<12ng/cm2、<10ng/cm2、<8ng/cm2、<6ng/cm2、<4ng/cm2、<2ng/cm2、<1ng/cm2、<0.5ng/cm2、又は<0.25ng/cm2である。
酸素透過性: 特に明記しない限り、「酸素透過性」は、酸素が材料を通過する割合を意味する。レンズ材料の固有「酸素透過性」、Dkは、レンズ厚に左右されない。酸素透過性は、通例、バーラーの単位で表され、「バーラー」は[(cm3酸素)(mm)/(cm2)(秒)(mm2Hg)]×10-10として定義される。これらは、当該技術において一般に用いられる単位である。したがって、整合性のために、単位「バーラー」は、上で定義した意味を有する。例えば、90バーラーのDk (「酸素透過性バーラー」)及び90ミクロン(0.090mm)の厚さを有するレンズは、100バーラー/mmのDk/t: [(90×10-10/0.09) = 100×10-9]を有する。開示によれば、材料又はコンタクトレンズに対する高い素透過率は、クーロメトリ法に従って厚さ100ミクロンの試料(膜又はレンズ)で測定した少なくとも40バーラー以上の見掛けの酸素透過性の特徴を有した。酸素浸透性を求める具体的な一クーロメトリ法は、ASTM F1927 - 07 - クーロメトリ検出器を用いたバリヤ材料を通る制御された相対湿度における酸素気体透過率、透過性及びパーミアンスの定量のための標準試験法による。
酸素透過率: 特に明記しない限り、本明細書に用いられるコンタクトレンズの「酸素伝達率」は、酸素が特定の眼科用レンズを通過する割合である。酸素伝達率、Dk/tは、通例、バーラー/mmの単位で表され、ここで、tは測定されている面積に対する材料の平均厚さ[mmの単位で]であり、「バーラー/mm」は[(cm3酸素)/(cm2)(秒)(mm2Hg)]×10-9として定義される。
ポリマー: 特に明記しない限り、「ポリマー」には、複数の繰り返し単位を含む天然及び合成の、ホモポリマー及びコポリマーが含まれ、特に明記しない限り、直鎖、分枝鎖、又は樹枝状であってもよい。コポリマーの例としては、ランダムコポリマー及びブロックコポリマー、スマートポリマー、温度応答性(例えば、NIPAM)ポリマー、及びpH応答性ポリマー(例えば、ピリジルベース)のポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
第四級窒素: 特に明記しない限り、本明細書に用いられる「第四級窒素」は、第四級アンモニウムカチオンの1種である窒素原子を意味する。
ケイ素: 特に明記しない限り、「ケイ素」又は「Si」は、記号Si及び原子番号14を有する化学元素を意味する。
シリコーン: 特に明記しない限り、「シリコーン」又は「シリコーン(複数)」は、ケイ素を炭素、水素、酸素と共に含み、必要により、他の化学元素(例えば、窒素、塩素、リン)を含んでもよいポリマーである。
シリコーンヒドロゲル: 特に明記しない限り、「シリコーンヒドロゲルは、少なくとも1つのケイ素含有モノマー又は少なくとも1つのケイ素含有マクロマー又は少なくとも1つの架橋性ケイ素含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合によって得られるシリコーン含有ヒドロゲルを意味する。シリコーンヒドロゲルには、シリコーン、シリコーン誘導体、例えばフルオロシリコーン及びこれらのコポリマーが含まれてもよい。
シロキサン: 特に明記しない限り、「シロキサン」又は「シロキサン(複数)」は、式R2SiO(ここで、Rは、水素又はヒドロカルビルである)を有する単位から構成される任意の化合物を意味する。
静的接触角: 特に明記しない限り、「静的接触角」は、水/蒸気境界面が平衡条件で又はその近傍で固体基体表面を満たす角度である。1滴の精製水(例えば、1μL)を試験表面に付着させ、「静止」液滴の形状はビデオ接触角システム(例えば、VCA 2000、AST社)を用いてCCDカメラで顕微鏡によって撮影され、次に接触角が定量される(例えば、VCA Optima XEを用いて)。接触角を定量するために用いられる水滴のサイズは、基体タイプ及び組成によって変動してもよい。コンタクトレンズでは、静止液の代わりに水中閉塞気泡技術がしばしば用いられる。コンタクトレンズを水中に沈め、湾曲したニードルを用いて、気泡をコンタクトレンズの表面に送り、空気/液体/固体境界面の角度を測定する。場合によっては、表面が非常に親水性である場合には、ニードルから遊離したときに気泡がコンタクトレンズと相互作用せず、浮遊する。
実質的に非毒性の: 特に明記しない限り、「実質的に非毒性」は、実質的に血液適合性及び実質的に非細胞毒性である表面を意味する。
置換された/必要により置換されていてもよい: 特に明記しない限り、用語「置換された」、「必要により置換されていてもよい」は、言及した基が、例えば、アセタール、アシル、アシルオキシ、アルケノキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキノキシ、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アジド、カルボニル、カルボキシアミド、カルボキシル、シアノ、エステル、エーテル、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換ヘテロヒドロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロ脂環式、ヘテロアリール、ヒドロキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、ケタール、ケト、メルカプト、ニトロ、ペルハロアルキル、シリル、スルファモイル、スルフェート、スルフヒドリル、スルホンアミド、スルホネート、スルホニル、スルホキシド、チオカルボニル、チオシアナト、チオール、及び/又はこれらの保護誘導体から個々に及び独立して選ばれ得る1つ以上の追加の適切な基で置換されるか又は置換されてもよいことを意味する。「置換」又は「置換された」には、該置換が置換された原子及び置換基の許容原子価に従い、且つ置換が結果として、例えば、再配列、環化、脱離等によって転換を自発的に受けない安定な化合物になるという暗黙の条件が含まれることが理解される。
基体: 特に明記しない限り、「基体」は、非汚れポリマーがグラフトされる材料を意味する。
デジタル摩擦試験に残存する: 特に明記しない限り、本細書に記載されているコンタクトレンズ上の表面改質に関して「デジタル摩擦試験に残存する」は、コンタクトレンズの洗浄液又は等価物の存在下にニトリル手袋をした手でレンズをデジタル的に摩擦した後、接触角の顕著な増大がないことを意味する。代表的な洗浄液としては、AQuify Multi-Purpose Solution(MPS)(Ciba Vision)、Opti-Free Replenish Multi-Purpose Disinfecting Solution(Alcon)、Renu Multi-Purpose Solution(Bausch & Lomb)、Biotrue Multi-Purpose Solution(Bausch & Lomb)、Complete Multi-Purpose Solution Easy Rub Formula、及びClear Care(Ciba Vision)が含まれる。好ましくは、本細書に記載されているコンタクトレンズ上の表面改質に関して「デジタル摩擦試験に残存する」は、上記の通りにレンズを20秒間デジタル的に摩擦した後に、前進接触角が、試験の前の前進接触角から5%、10%、15%、20%又は25%より増加しないことを意味する。
涙液層破壊: 特に明記しない限り、「涙液層破壊時間」は、観察された無傷層がコンタクトレンズの非存在下で角膜の外表面又はコンタクトレンズの外表面に維持されるまばたきの間の時間を意味する。一般に、涙液層破壊時間を得るために、検査者が最後のまばたきから最初の破壊、ドライスポット、又は涙液パターンに存在する歪みまで間隔を計る間、患者は両眼を開いているまま保つよう依頼される。患者が不快を感じる場合には患者はまばたきを勧められて、流涙反射を避ける。患者が涙液層破壊の前の試験手順の間にまばたきする場合には、その者は涙液層を安定化させるために短時間に休むように指示され、指示の補強によって計測を繰り返す。涙液層破壊時間は3回測定され、統計分析において平均が用いられる。涙液層破壊時間を測定する具体的な一方法は、Nichols et al., Ophthalmology & Visual Science, April 2006, Vol.47, No.4, p.1319-1328に記載されている。
アンダーコーティング層: 特に明記しない限り、非汚れポリマーがグラフトされている基体に一体化された「アンダーコーティング層」は、任意のコーティング、又はコーティングの組み合わせを意味する。
双性イオン/双性イオン材料: 特に明記しない限り、「双性イオン」又は「双性イオン材料」は、カチオン基及びアニオン基をもっている高分子、材料、又は部分を意味する。ほとんどの場合、これらの荷電基は平衡がとれており、結果としてゼロ正味電荷を有する材料になる。
双性イオンポリマー: 特に明記しない限り、「双性イオンポリマー」は、ホモポリマー又はコポリマーであってもよく、高分子両性電解質(例えば、異なるモノマー単位上に荷電基を有するポリマー)及びポリベタイン(同じモノマー単位上にアニオン基とカチオン基を有するポリマー)双方が含まれる。例示的な双性イオンポリマーには、2、3種以上のモノマーの交互コポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマー、ランダム共重合体及びブロックコポリマーが挙げられる。
本発明の一態様は、表面改質を有する医療デバイス、例えばコンタクトレンズに関する。医療デバイスが、例えばコンタクトレンズである場合、コンタクトレンズは、好ましくはシリコーン含有ヒドロゲル(シリコーン、シリコーン誘導体、例えばフルオロシリコーン及びこれらのコポリマーを含める)である。表面改質ポリマーがバルク基体材料、例えば、コンタクトレンズの表面に共有結合で組み込まれるような構造を改質が作成する。他の特徴の中で、表面改質は、浸出せず且つ安定である。例えば、表面改質コンタクトレンズは、複数のオートクレーブサイクルが含まれる、種々の滅菌環境下で安定である。さらに、又はあるいは、変質は、酸化溶液、コンタクトレンズ洗浄液及びUV曝露下で安定である。改質した製品は、また、耐久性であり、機械的課題に耐え、例えばコンタクトレンズに対してデジタル摩擦試験及び剥離試験に残存する。
製品を調製するための本明細書に記載されているプロセスは、製品(例えば、コンタクトレンズ)の表面に親水性ポリマーの適用を必要とする。ある種の実施態様において、モノマーは、好ましくは双性イオン化合物であり、スルホベタイン、カルボキシベタイン、ホスホリルコリン、及びこれらの誘導体が含まれる。特定のいかなる理論にも縛られることなく、これらのポリマーは、毎日の及び長期の摩耗の間、コンタクトレンズの快適性を改善し得る高い湿潤性、潤滑性、及び付着耐性を与えると考えられる。ポリマーは、また、微生物の密着に抵抗することによって感染を減少させ得る。好ましくは、本明細書に記載されている表面改質は、医療デバイスのこれら及び他の機械的性質に実質的には影響を及ぼさない。コンタクトレンズに関して、例えば、レンズの形状は視力に関連し、縁は快適性のために設計され、表面改質はこれらの特性に悪影響を与えない。
一般に、表面変質は、本明細書に記載されているように相対的に穏和な条件を用いて湿式化学法によって適用され得る。本明細書に記載されている方法は、好ましくは、液体反応のみを用いる。好ましい実施態様において、最小限の工程数が必要とされ、工程は現在のコンタクトレンズ製造プロセスに従うものである。好ましい実施態様において、5、4、3、2又は1つの反応工程が用いられる。有利には、プラズマ処理を必要としない。
改質ポリマーの濃度は、また、特有の元素分析法によって定量され得る。スルホベタインポリマー改質レンズに対して、例えば、全硫黄分析が燃焼及びガスクロマトグラフィー(GC)法を用いて測定され得る。特徴的元素のない改質ポリマーに対しては、改質及び未改質双方のレンズの全元素、例えばC、N、H、S、O の広範な調査分析が燃焼/GC、電量分析又は化学滴定法によって行うことができ、相対的改質濃度が測定され得る。
ユニークな元素が表面改質ポリマーに存在し且つレンズに存在しない場合には、レンズ中のその元素の質量分率が測定されてもよい。次に、単一の元素のこの質量分率を用いて、表面改質ポリマー中のその元素の質量パーセントに基づき表面改質ポリマーの質量分率が算出され得る。例えば、スルホベタインに対しては、全レンズ(又は他の製品)中の硫黄の質量分率を実験的に測定してもよい。スルホベタインのホモポリマー中の硫黄の質量分率は0.109gの硫黄/gスルホベタインであることが知られているので、製品中のスルホベタインの質量分率は0.109gの硫黄/gスルホベタインで割ったレンズ中の硫黄の質量分率に基づいて算出され得る。一実施態様において、ICP法によって分析されるコンタクトレンズ中の全硫黄濃度は、1μg、5μg、10μg、50μg、100μg、500μg、1mg、20mg、又は50mg/gコンタクトレンズであり; より好ましくは、硫黄濃度は1〜20mg/gコンタクトレンズである。
他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、前進接触角は約30度未満であり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有する。この実施態様において、例えば、浸透深さはレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、前進接触角は約25度未満であり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有する。この実施態様において、例えば、浸透深さはレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、前進接触角は約20度未満であり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有する。この実施態様において、例えば、浸透深さは、レンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、前進接触角は約19度未満であり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有する。この実施態様において、例えば、浸透深さはレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。一実施態様において、この段落での上記例及び実施態様の各々の製品は、コンタクトレンズである。
他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有し、使用中の涙液層破壊時間は10秒を超えている。この実施態様において、例えば、浸透深さはレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有し、使用中の涙液層破壊時間は15秒を超えている。この実施態様において、例えば、浸透深さはレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。他の具体的な実施態様において、ポリマーの表面改質は双性イオン性ポリマーであり、表面改質はレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの少なくとも約0.1%の浸透深さを有し、使用中の涙液層破壊時間は20秒を超えている。この実施態様において、例えば、浸透深さはレンズの表面に垂直な方向でレンズの表面より下にレンズの厚さの0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%又は45%であり得る。一実施態様において、この段落での上記例及び実施態様の各々の製品は、コンタクトレンズである。
本明細書の他でより詳細に記載されているように、基体への開始剤の取込みにより、ポリマー材料が表面から及び基体の表面近傍ゾーン内からグラフトされることが可能である。しかしながら、一般に、ポリマー材料が基体にあまり遠すぎないことが好ましい; したがって、一実施態様において、ポリマー材料は、表面近傍ゾーンに、深くない場所に、すなわち、バルクにではなく存在する。表面近傍ゾーンに伸びている最大深さは、少なくとも一部には、開始剤及び開始剤を基体内に取り入れるために用いられる技術の関数である。しかしながら、典型的には、表面近傍ゾーンのより低い境界が表面に垂直な方向で測定される基体表面から20マイクロメートルより大きくないことが一般に好ましい。一例として、より低い境界は、表面に垂直な方向で測定される基質表面から15マイクロメートルより大きくない場合がある。更なる例として、より低い境界は、表面に垂直な方向で測定される基体表面から10マイクロメートルより大きくない場合がある。同様に、表面近傍ゾーン、すなわち、基体表面から上方境界の距離の最小限の深さは、また、少なくとも一部には、開始剤及び開始剤を基体に取り入れるために用いられる技術の関数である。しかしながら、典型的には、上方境界は、表面に垂直な方向で測定される基体表面から少なくとも0.1マイクロメートルである。一例として、上方境界は、表面に垂直な方向で測定される基体表面から少なくとも0.2マイクロメートルであってもよい。更なる例として、上方境界は、表面に垂直な方向で測定される基質表面から少なくとも0.3マイクロメートルであってもよい。
グラフトポリマーの濃度勾配曲線の形状は(基体のポリマー材料と比較して)、各実施態様に対して幾分異なってもよいが、一般的には、また、段階的には、表面に垂直な方向で改質した製品の表面から増加する距離の関数として低下する。一実施態様において、例えば、グラフトポリマーの最大浸透深さの10%の浸透深さで、グラフトポリマーの濃度は、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の少なくとも50%である。したがって、例えば、最大浸透深さの10%の浸透深さにおけるグラフトポリマーの濃度は、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%でさえあってもよい。しかしながら、一般に、最大浸透深さの10%の浸透深さにおけるグラフトポリマーの濃度は、典型的には、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の95%を超えない。したがって、例えば、最大浸透深さの10%の浸透深さのグラフトポリマーの濃度は、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の85%未満、75%未満、65%未満、又は55%未満にさえなる。この段落での上記実施態様及び例の各々において、グラフトポリマーは、少なくとも50nm、100nm、150nm、200nm、250nm以上の最小浸透深さを有してもよい。しかしながら、一般に、グラフトポリマーは、10ミクロン、5ミクロン、1ミクロン、又は500nm未満でさえの最大浸透深さを有してもよい。
一実施態様において、例えば、グラフトポリマーの最大浸透深さの50%の浸透深さにおいて、グラフトポリマーの濃度は、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の少なくとも5%である。したがって、例えば、最大浸透深さの50%の浸透深さのグラフトポリマーの濃度は、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%でさえあってもよい。しかしながら、一般的には、最大浸透深さの50%の浸透深さのグラフトポリマーの濃度は、典型的には、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の55%を超えない。したがって、例えば、最大浸透深さの50%の浸透深さのグラフトポリマーの濃度は、(改質した基体の表面で又はその近傍で)グラフトポリマーの最大濃度の45%未満、35%未満、25%未満、又は15%未満にさえなる。この段落での上記実施態様及び例の各々において、グラフトポリマーは、少なくとも50nm、100nm、150nm、200nm、250nm以上の最小浸透深さを有してもよい。しかしながら、一般的には、グラフトポリマーは、10ミクロン、5ミクロン、1ミクロン、又は500nm未満でさえの最大浸透深さを有してもよい。
一般に、医療デバイス基体材料は、例えば、1つ以上の金属、セラミック、ガラス、ポリマー、生物組織、リビング又はデッド、織繊維、不織繊維、半金属、例えばケイ素、及びこれらの組み合わせより選ばれる広範囲にわたる材料のいずれかを含んでいる。一実施態様において、基体は2つ以上の材料の複合体である。例えば、基体は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、織繊維、不織繊維又は半金属のコアの上に、しばしば本明細書において「アンダーコーティング」又は「プレコーティング」とも言われるポリマーコーティングを含んでいてもよい。あるいは、基体は、全体に、すなわち、その表面から及びそのバルクにポリマー材料を含んでいてもよい。更なる例として、基体は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、織繊維、不織繊維又は半金属のコア内層の上に横たわり、また、金属、セラミック、ガラス、ポリマー、織繊維、不織繊維又は半金属のコアの上に横たわるポリマーコーティングを含んでいてもよい。
基体は、ゲル、液体、フィルム、粒子(ナノ粒子、微小粒子又はミリメータ直径ビーズ)、繊維(創傷包帯、絆創膏、ガーゼ、テープ、パッド、スポンジ、織スポンジ及び不織スポンジを含めて及び詳しくは歯科用又は眼科用の手術のために設計されたもの)、血液保存バッグ 、外科用、内科用又は歯科用の器具、血液酸素付加装置、ステント(冠状動脈、尿管、腎臓、胆管、結腸直腸、食道、肺、尿道、血管、末梢、神経血管のものを含めて)、ステントグラフト(腹部、胸郭、神経血管及び末梢血管のものを含めて)、大静脈フィルタ、血管内コイル、カテーテル(中心静脈、末梢中心、正中、末梢、トンネル型、透析アクセス、尿路、神経学的、腹膜、大動脈内バルーンポンプ、血管形成バルーン、診断用、介入性、ドラッグデリバリーを含めて)、カテーテルコネクタ及びバルブ(ニードルのないコネクタを含めて)、静脈内デリバリライン及びマニホールド、薬剤送達バッグ及びチュービング、植込み型センサ(例えば、血管内、経皮、脳内、グルコースセンサ)、診断用デバイス(例えば、マイクロ流体、微小電気機械、光学)、コンタクトレンズ、眼内レンズ及び水晶体超音波吸引デバイスを含めた眼科用デバイス、又は身体又はこれらのいずれかの部分の内部に又はそこと接触して用いられる他の医療デバイスの形で、又はそれらの形の一部であってもよい。
様々な材料を本明細書において使用することができ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ材料が特に好ましい。ヒドロゲルは、一般に、平衡状態で水を含有する水和した架橋ポリマー系を含む周知の種類の材料である。シリコーンヒドロゲルは、一般的には、約5質量パーセントよりも多い、より一般的には約10〜約80質量パーセントの含水量を有する。このような材料は、通常は、少なくとも1つのケイ素含有モノマー及び少なくとも1つの親水性モノマーを含有する混合物を重合させることによって調製される。典型的には、ケイ素含有モノマー又は親水性モノマーは架橋剤(複数の重合可能な官能性を有するモノマーとして定義されている架橋剤)として機能するか又は別の架橋剤が使われてもよい。シリコーンヒドロゲルの形成に用いるための適用できるケイ素含有モノマー単位は当該技術において周知であり、多数の例が米国特許第4,136,250号明細書; 同第4,153,641号明細書; 同第4,740,533号明細書; 同第5,034,461号明細書; 同第5,070,215号明細書; 同第5,260,000号明細書; 同第5,310,779号明細書; 同第5,358,995号明細書; 同第5,760,100号明細書; 同第6,039,913号明細書; 同第7,919,136号明細書; 同第8,044,112号明細書に示されており; これらの開示内容は本願明細書に援用されている。
他の種類の代表的なケイ素含有モノマーとしては、ケイ素含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、例えば、1,3-ビス[4-ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ-1-イル]テトラメチルジシロキサン; 3-(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート; 3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]; 3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート; 3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート; 3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート; t-ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート; トリメチルシリルエチルビニルカーボネート; トリメチルシリルメチルビニルカーボネート等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
他の種類のケイ素含有モノマーには、ポリウレタン-ポリシロキサンマクロモノマー(しばしばプレポリマーとも呼ばれる)が含まれ、これは従来のウレタンエラストマーのようなハード-ソフト-ハードブロックを有するものである。これらは、HEMAのような親水性モノマーで末端キャップ処理されていてもよい。そのようなシリコーンウレタンの例は、Lai, Yu-Chin, 「The Role of Bulky Polysiloxanylalkyl Methacryates in Polyurethane-Polysiloxane Hydrogels」, Journal of Applied Polymer Science, Vol.60, 1193-1199 (1996)が含まれる、種々の文献に開示されている。PCT出願国際公開第96/31792号パンフレットには、そのようなモノマーの例が開示されており、その開示内容は本願明細書に全体で援用されている。
エチレン系不飽和基を有する適切な任意のシロキサン含有マクロマーもまた、シリコーンヒドロゲル材料を製造するために使用し得る。特に好ましいシロキサン含有マクロマーは、米国特許第5,760,100号明細書に記載されているマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、及びマクロマーDからなる群より選ばれ、その開示内容は本願明細書に全体で援用されている。2つ以上の重合性基(ビニル基)を含有するマクロマーは、架橋剤としても役に立ち得る。ポリジメチルシロキサン及びポリアルキレンオキシドからなるジ及びトリブロックマクロマーも用い得る。このようなマクロマーは、アクリレート基、メタクリレート基又はビニル基で一又は二官能基化され得る。例えば、酸素透過性を強化するためにメタクリレートエンドキャップ処理したポリエチレンオキシド-ブロック-ポリジメチルシロキサン-ブロック-ポリエチレンオキシドを用いてもよい。
なお他のコンタクトレンズ配合物は、米国特許第5,710,302号明細書、国際公開第9421698号パンフレット、欧州特許第406161号明細書、特開2000016905号公報、米国特許第5,998,498号明細書、同第6,087,415号明細書、同第5,760,100号明細書、同第5,776,999号明細書、同第5,789,461号明細書、同第5,849,811号明細書、及び同第5,965,631号明細書に開示されており、各々が本願明細書に全体で援用されている。
具体的な実施態様において、コンタクトレンズのコアポリマーバルク材料は、シリコーンエラストマー、シリコーンヒドロゲル、フルオロヒドロゲル、フルオロシリコーンヒドロゲル、ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート(p-HEMA)、又はこれらの組み合わせを含んでいる。
適切なバルク親水性材料の代表例としては、下記の米国一般名が知られている材料が挙げられるが、これらに限定されない: abafilcon A、acofilcon A、acofilcon B、acquafilcon A、alofilcon A、alphafilcon A、amfilcon A、astifilcon A、atlafilcon A、balafilcon A、bisfilcon A、bufilcon A、comfilcon A、crofilcon A、cyclofilcon A、darfilcon A、delefilcon A、deltafilcon A、deltafilcon B、dimefilcon A、droxifilcon A、efrofilcon A、elastofilcon A、enfilcon A、epsiflcon A、esterifilcon A、etafilcon A、focofilcon A、galyfilcon A、genfilcon A、govafilcon A、hefilcon A、hefilcon B、hefilcon C、hefilcon D、hilafilcon A、hilafilcon B、hioxifilcon A、hioxifilcon B、hioxifilcon C、hioxifilcon D、hydrofilcon A、iberfilcon A、lenefilcon A、licryfilcon A、licryfilcon B、lidofilcon A、lidofilcon B、lotrafilcon A、lotrafilcon B、mafilcon A、mesifilcon A、methafilcon B、mipafilcon A、narafilcon A、narafilcon B、nelfilcon A、nesofilcon A、netrafilcon A、ocufilcon A、ocufilcon B、ocufilcon C、ocufilcon D、ocufilcon E、ocufilcon F、ofilcon A、omafilcon A、oxyfilcon A、pentafilcon A、perfilcon A、petrafocon A-hem-larafilcon A、pevafilcon A、phemfilcon A、phemfilcon B、polymacon A、polymacon B、senofilcon A、shofilcon A、sifilcon A、silafilcon A、siloxyfilcon A、surfilcon A、tasfilcon A、tefilcon A、tetrafilcon A、trifilcon A、uvifilcon A、vasurfilcon A、vifilcon A、vifilcon B、及びxylofilcon A。
例えば、医療デバイスがコンタクトレンズである場合、該レンズは従来の種々の技術を使って製造して、望ましい後方及び前方レンズ面を有する成形品を得ることができる。スピンキャスティング法は、米国特許第3,408,429号明細書及び同第3,660,545号明細書(本願明細書に全体で援用されている)に開示されており; 静的キャスティング法は、米国特許第4,113,224号明細書、同第4,197,266号明細書及び同第5,271,876号明細書(本願明細書に全体で援用されている)に開示されている。モノマー混合物のキュアリング後に、望ましい最終構成を有するコンタクトレンズを得るために機械加工が続けられてもよい。一例として、米国特許第4,555,732号明細書(本願明細書に全体で援用されている)には、モノマー混合物の過剰量を金型内でスピンキャスティングによりキュアして、前方レンズ面と相対的にかなりの厚さを有する成形品を形成するプロセスが開示されている。キュアしたスピンキャスト製品の後方面を、引き続き レースカットして、望ましい厚さと後方レンズ面を有するコンタクトレンズを得る。レンズ面のレースカットに続いて、更なる機械加工、例えば、エッジ仕上げが行われてもよい。
コンタクトレンズをキャスト成形させる金型部分を製造する方法は、一般的には当業者に周知である。本発明のプロセスは、金型を形成する具体的な方法に限定されない。実際に、金型を形成する任意の方法は、本発明において使用し得る。第1及び第2の金型半体は、種々の技術、例えば射出成形又はレース加工によって形成され得る。金型半体を形成するのに適切なプロセスの例は、米国特許第4,444,711号明細書; 同第4,460,534号明細書; 同第5,843,346号明細書; 同第5,894,002号に開示され、これらもまた、本願明細書に全体で援用されている。
実質的に、金型を作るための当該技術において既知のすべての材料が、コンタクトレンズを作るための金型を作るために使用し得る。例えば、ポリマー材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標) COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンの透明なアモルファスコポリマー、Ticona GmbH製、Frankfurt, Germany及びSummit, N.J.)等が使用し得る。UV光透過を可能にする他の材料、例えば石英ガラスやサファイヤを用いることもあり得る。
他の実施態様において、レンズ形成材料が溶液(例えば、水、水と水混和性有機溶媒の混合物、又は有機溶媒に溶解したもの)、溶媒を含まない液体、又はエチレン系不飽和基を有する1つ以上のシリコーン含有プレポリマーの溶融物である場合、必要によりに他の成分の存在下でもよく、再使用可能な金型を用いて、レンズ形成材料を化学線の空間的制限下化学線によってキュアして、色付きコンタクトレンズを形成する。シリコーン含有プレポリマーの例としては、米国特許第6,039,913号明細書; 同第7,091,283号明細書に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの明細書の記載は本願明細書に全体で援用されている。
一般に、レンズ形成材料を2つの金型半体からなる金型に入れ、その2つの金型半体は相互に接触せずその間に配置される環状設計の細いギャップを有する。ギャップは金型空洞に接続し、その結果、過剰なレンズ材料はギャップに流れ込むことができる。一回だけ使用し得るポリプロピレン金型の代わりに、再使用可能な石英、ガラス、サファイヤ金型を用いることが可能であり、レンズの製造後、これらの金型を架橋されないプレポリマー及び他の残留物を水又は適切な溶媒を用いて急速に且つ効果的に洗浄することができ、風乾させることができるからである。再使用可能な金型は、また、Frankfurt、Germany及びSummit、N.J.Ticona GmbH製のTopas(登録商標) COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンの透明なアモルファスコポリマー)でできている場合がある。金型半体の再使用が可能であることから、極めて高い精度と再現性の金型を得るためにこれらの製造時に相対的に高い経費が費やされ得る。金型半体が製造すべきレンズの領域内で相互に、すなわち、空洞又は実際の金型面を接触させないので、接触の結果としての損傷が除外される。これは金型の高い耐用年数を確実にし、特に、製造すべきコンタクトレンズの高い再現性もまた確実にする。
化学線の空間的制限(又はエネルギー衝撃の空間的制限)は、米国特許第6,627,124号明細書; 同第6,800,225号明細書(本願明細書に全体で援用されている)に示されているように、用いられるエネルギーの具体的な形に少なくとも部分的に不透過性である金型のマスキングによって又は米国特許第6,627,124号明細書; 同第6,800,225号明細書; 同第7,384,590号明細書; (本願明細書に全体で援用されている)に示されているように、架橋を引き起こすエネルギー形態に少なくとも一面で高度に透過性であり且つエネルギーに不透過性であるか又は不充分な透過性を有する金型部分を有する金型によって達成され得る。架橋のために用いられるエネルギーは、放射線エネルギー、特にUV照射、ガンマ放射線、電子放射線又は熱放射であり、放射線エネルギーは、一方ではエネルギーの良好な制限、他方では有効利用を達成するために好ましくは実質的に平行ビームの形である。
一般に、非汚れポリマー材料は、医療デバイス基体、例えばコンタクトレンズからグラフトされている。表面改質を適用する際に種々のプロセス及びプロセス工程が使われ得る。選択される具体的なプロセス及びプロセス工程は、少なくとも一部には、改質されている基体、適用されているポリマー材料及びそれらのモノマー前駆体、重合法及び/又は改質した表面の望ましい特性に左右され得る。いくつかの実施態様において、例えば、レドックス開始剤を用いて、レンズ材料内に含有する官能基からグラフトされる、例えばCe(IV)の存在下にヒドロキシル基からグラフトされる。いくつかの実施態様において、例えば、レンズ成形プロセスから残留するレンズ内に存在するUV開始剤を用いて、非汚れポリマー材料がグラフトされる。いくつかの実施態様において、例えば、UV開始剤を、レンズ成形プロセスの間にコンタクトレンズに添加し、また、これを用いて非汚れポリマー材料がグラフトされる。いくつかの実施態様において、例えば、非汚れポリマー材料は、1つ以上の重合開始剤が組み込まれているコンタクトレンズ基体からグラフトされる。いくつかの実施態様において、例えば、非汚れポリマー材料は、2つ以上の材料の複合体である基体からグラフトされる。これら及び他のプロセス及びプロセス工程の組み合わせが使われてもよい。
好ましくは、基体からグラフトされる非汚れポリマー材料は、連鎖成長ポリマー(すなわち、付加重合によって形成されるポリマー又はポリマーブロック)、又はその組み合わせを含んでいる。連鎖成長ポリマーは、例えば二重結合又は三重結合を組み込んでいるモノマー、例えば、オレフィンから誘導される付加ポリマーであってもよい。更なる例として、連鎖成長ポリマーは、開環重合反応によって環状モノマーから誘導される付加ポリマーを含んでいてもよい。したがって、ポリマーは、連鎖成長ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。好ましい実施態様において、ポリマーは、連鎖成長付加ホモポリマー又は2つ以上のモノマーの残基を含む連鎖成長付加コポリマーである。
グラフト、逐次又は連鎖成長の技術によって、非汚れポリマー材料は、ポリマー型又はその組み合わせの範囲のいずれかを含んでもよい。ポリマー主鎖は、中性でもよく(例えば、ポリアルキレン又はポリエーテル)又は永久荷電部分(例えば、環状又は非環状四級化窒素原子)、又は双性イオン主鎖(例えば、ホスホリルコリン主鎖)さえも含有してもよい。それ故、一実施態様において、非汚れポリマー材料は、ポリアミド、ポリアミン、ポリ無水物、ポリアジン、ポリ(カーボネート)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグアニジン、ポリイミド、ポリケタール、ポリ(ケトン)、ポリオレフィン、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファジン、多糖、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリ尿素、ポリウレタン、ハロゲン化ポリマー、シリコーン、炭化水素、エーテル-エステル、エーテル-アミド又はイオン化ポリエチレン及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるポリマー又はコポリマーを含んでいる。
ポリマーは、親水性、疎水性、中性、アニオン、カチオン、又は混合荷電した、広範囲にわたるペンダント(側鎖)基を含有してもよい。例えば、ペンダント基には、中性親水基、例えばヒドロキシ、オリゴ(エチレングリコール)及び/又はポリ(エチレングリコール)部分が含まれていてもよく、荷電基、例えばアニオン部分、カチオン部分、双性イオン部分が含まれていてもよい。
双性イオンは、同じ分子の中で隣接しない原子に正及び負の形式電荷をもつ分子及び求電子又は求核基の付加又は除去によって、又は保護基の除去によってイオン化し得る分子である。双性イオン官能性を含有する天然及び合成双方のポリマーは、タンパク質付着に抵抗することが示されている。一実施態様において、双性イオンモノマーは、ホスホリルコリン部分、カルボキシアンモニウム部分、スルホアンモニウム部分、これらの誘導体又はこれらの組み合わせを含有する。一実施態様において、双性イオンモノマーは、カルボキシアンモニウム部分、スルホアンモニウム部分、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含有する。一実施態様において、双性イオンモノマーは、スルホベタイン部分又はカルボキシベタイン部分を含有する。双性イオンポリマーは、1つ以上のモノマー、例えばスルホベタインメタクリレートモノマー又はカルボキシベタインメタクリレートモノマーの存在下にポリマーの基体中に存在するラジカルで重合を開始することによって形成され得る。
ポリスルホアンモニウムポリマー、例えばポリスルホベタイン、ポリカルボキシアンモニウムポリマー、例えばポリカルボキシベタイン及び他の天然及び合成の双性イオン化学は、本明細書に記載されている生物医学的適用のための非汚れ材料を設計するために使用し得る。非汚れ材料に使用し得る天然双性イオン化学のいくつかの例としては、アミノ酸、ペプチド、天然低分子(N,N,N-トリメチルグリシン(グリシンベタイン)、トリメチルアミンオキシド(TMAO)、ジメチルスルホニオプロピオネートサルコシン、リセルグ酸及びプシロシビンが挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。非汚れ材料をつくるために用いられ得る追加の合成双性イオンとしては、アミノカルボン酸(カルボキシベタイン)、アミノスルホン酸(スルホベタイン)、コカミドプロピルベタイン、キノノイドベースの双性イオン、デカフェニルフェロセン、及び非天然アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。天然及び合成のポリマーには、また、ペンダント基に、主鎖中に、又は末端基に正荷電部分及び負荷電部分双方を有する混合荷電構造が含まれる。
一実施態様において、非汚れポリマーは、ポリマー主鎖に直接又は間接に共有結合した双性イオンペンダント基を含有する。双性イオンペンダント基は、例えば、アニオン電荷の二価の中心及びカチオン電荷の一価の中心又はその逆を有することによって、又はカチオン電荷の2つ中心及びアニオン電荷の1つの中心又はその逆を有することによって、全体的な正味の電荷を有してもよい。しかしながら、好ましくは、双性イオンは、全体的な正味の電荷をもたず、最も好ましくは一価のカチオン電荷の中心及び一価のアニオン電荷の中心を有する。さらに、カチオン電荷の中心は、好ましくは永久的である; すなわち、好ましくは第四級窒素基、第四級ホスホニウム基又は第三級スルホニウム基である。さらに、アニオン電荷の中心もまた永久的である; すなわち、生理的pHで完全にイオン化されており、好ましくはカルボキシレート、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホネート、スルフェート、スルフィン酸、又はスルホネートである。
他の態様において、ポリマーは、ポリマー主鎖に直接又は間接に共有結合した双性イオンペンダント基を含有し、双性イオンは下記式ZI-3:
T8は、結合、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロであり、又はT9とT10及びそれらが結合している窒素原子と組み合わせて窒素含有芳香族複素環を形成し、
T9及びT10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロであり、又はT9及びT10は、T8及びそれらが結合している窒素原子と組み合わせて窒素含有芳香族複素環を形成し、
T11は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、エーテル、又はオキシレート化アルキレンであり、
Z3は、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホン酸、ホスホネート、スルフェート、スルフィン酸、又はスルホネートであり、
*は、ポリマー主鎖に式ZI-3の双性イオンの直接又は間接の共有結合の点を示す)
に対応する。
ポリマーが式ZI-3に対応する双性イオンペンダント基を含有するある種の好ましい実施態様において、T8、T9、T10及びT11は置換基のより狭い範囲より選ばれ、Z3はカルボキシレート又はスルフェートであり、双性イオンは式ZI-4:
に対応する。例えば、この実施態様において、T13及びT14は、独立して、水素又は低級のアルキル、例えば、メチル、エチル、又はプロピルでもよい。更なる例として、この実施態様において、T13及びT14は、独立して、水素又は低級アルキル、例えば、メチル、エチル、又はプロピルであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は、-(CH2)n-(ここで、nは1〜8である)であってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)2-又は-(CH2)3-であってもよく、T13及びT14はメチルであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)2-又は-(CH2)3-であってもよく、T13及びT14は水素又はアルキルであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T12は-(CH2)2-であってもよく、T13及びT14はメチルであってもよく、T15は-(CH2)2-であってもよく、Z4はカルボキシレートであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T12は-(CH2)2-であってもよく、T13及びT14はメチルであってもよく、T15は-(CH2)3-であってもよく、Z4はスルフェートであってもよい。
ポリマーが式ZI-3に対応する双性イオンペンダント(pendant)基を含有するある種の好ましい実施態様において、T8、T9及びT10とこれらが結合している窒素原子は窒素含有芳香族複素環を形成している。例えば、T8、T9及びT10とこれらが結合している窒素原子は、第四級窒素原子を含有する、必要により置換されていてもよい複素環を形成してもよい。このような一実施態様は、式ZI-5:
に対応する。例えば、この実施態様において、T15は、-(CH2)n-(ここで、nは1〜8である)であってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)2-又は-(CH2)3-であってもよく、Z4はカルボキシレート又はスルフェートであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)3-であってもよく、Z4はスルフェートであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)2-であってもよく、Z4はカルボキシレートであってもよい。式ZI-5に対応する例示的な双性イオンには、式ZI-6A及びZI-6B:
に対応する双性イオンが含まれる。例えば、この実施態様において、T15は-(CH2)n-(ここで、nは1〜8である)であってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)2-又は-(CH2)3-であってもよく、Z4はカルボキシレート又はスルフェートであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)3-であってもよく、Z4はスルフェートであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T15は-(CH2)2-であってもよく、Z4はカルボキシレートであってもよい。
一実施態様において、ポリマーは、ポリマー主鎖に直接又は間接に共有結合される双性イオンペンダント基を含有し、双性イオンは式ZI-7
に対応する。
一実施態様において、ポリマーはポリマー主鎖に直接又は間接に共有結合される双性イオンペンダント基を含有し、双性イオンは式ZI-1:
T3は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、エーテル、又はオキシル化アルキレンであり、
Z1は、第四級窒素、ホスホニウム又はスルホニウムカチオン基を含む部分であり、
*は、ポリマー主鎖への式ZI-1の双性イオンの直接又は間接の共有結合点を示す)
に対応する。
ポリマーが式ZI-1に対応する双性イオンペンダント基を含有するある種の好ましい実施態様において、T1及びT2は酸素であり、Z1は第四級窒素であり、双性イオンは式ZI-2:
に対応する。例えば、この実施態様において、T3は-(CH2)n-(ここで、nは1〜8である)であってもよい。更なる例として、この実施態様において、T4、T5及びT6は、独立して、低級アルキル、例えば、メチル、エチル又はプロピルであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T3は-(CH2)n-(ここで、nは1〜3である)であってもよく、T4、T5及びT6は、独立して、低級アルキル、例えば、メチル、エチル又はプロピルであってもよい。更なる例として、この実施態様において、T3は、-(CH2)n-(ここで、nは1〜3である)であってもよく、T4、T5及びT6の1つ以上は、置換ヒドロカルビル、例えばオリゴマーホスホリルコリン(例えば、式9)であってもよい。
一実施態様において、ポリマーは、ポリマー主鎖に直接又は間接に共有結合される中性親水性ペンダント基を含有する。例示的な中性親水基には、ヒドロキシ、チオール、オキシル化アルキル(例えば、オリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール)、エーテル、チオエーテル等が含まれる。このような個々の一実施態様において、ポリマーは、式POA-1:
に対応するアルコキシル化部分を含むペンダント基を含有する。例としてこのような一実施態様において、R1及びR2は各々水素であり、nは2又は3である。更なる例として、このような一実施態様において、R1及びR2は各々水素であり、nは2又は3であり、bは3〜5である。更なる例として、このような一実施態様において、R1及びR2は各々水素であり、nは2又は3であり、bは3〜5であり、R3はアルキルである。一実施態様において、繰り返し単位は、2〜20個のアルキレンオキシド単位を含有するマクロモノマーから誘導される。
一般に、双性イオンペンダント基、中性親水性ペンダント基、カチオンペンダント基及び/又はアニオンペンダント基を含むホモポリマー又はコポリマーは、広範囲にわたるモノマーのいずれかの重合によって調製され得る。好ましい一実施態様において、非汚れポリマー材料は、オレフィンモノマーから誘導された繰り返し単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。したがって、例えば、一実施態様において、非汚れポリマー材料は、オレフィンモノマーから誘導され且つ式1:
X3は、水素、アルキル又は置換アルキルであり、
X4は、-OX40、-NX41X42、-N+X41X42X43、-SX40、アリール、ヘテロアリール又はアシルであり、
X40は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ又はアシルであり、
X41、X42及びX43は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである)
に対応する繰り返し単位を含んでいる。
非汚れポリマー材料が式1に対応する繰り返し単位を含むある種の実施態様において、繰り返し単位の少なくとも一部分のX4がアルコキシル化部分、双性イオン部分、アニオン部分、又はカチオン部分を含むことが好ましい。このような実施態様において、例えば、X1及びX2は水素であってもよく、ポリマーは式2:
に対応する繰り返し単位を含んでいる。例えば、X3は、水素又は低級アルキルであってもよい。更なる例として、X4は、式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分を含むペンダント基であってもよい。更なる例として、X4は、式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分を含むペンダント基であってもよい。更なる例として、式2の繰り返し単位は、式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B又はZI-7に対応する双性イオン部分を含む双性イオン繰り返し単位であってもよい。更なる例として、式2の繰り返し単位は、カチオン繰り返し単位であってもよい。更なる例として、式2の繰り返し単位は、アニオン繰り返し単位であってもよい。更なる例として、X3は水素又はメチルであってもよく、X4は式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分又は式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B又はZI-7に対応する双性イオン部分を含むペンダント基であってもよい。
現在好ましい一実施態様において、非汚れポリマー材料は、式2(X4はアシルである)に対応する繰り返し単位を含み、繰り返し単位は式3:
に対応する。例えば、X44は、-OX45、-NX45X46又は-SX45(ここで、X45はオキシル化アルキレン部分、双性イオン部分、アニオン部分、又はカチオン部分を含む置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロ部分であり、X46は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである)であってもよい。例えば、X3は、水素又は低級アルキルであってもよい。更なる例として、X44は、-OX45、又は-NHX45であってもよい。更なる例として、X44は、-OX45、又は-NHX45(ここで、X45は式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分を含む)であってもよい。更なる例として、X44は、-OX45、又は-NHX45(ここで、X45は式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B、又はZI-7に対応する双性イオン部分を含む)であってもよい。更なる例として、式3の繰り返し単位は、カチオン繰り返し単位であってもよい。更なる例として、式3の繰り返し単位は、アニオン繰り返し単位であってもよい。更なる例として、X3は水素又はメチルであってもよく、X44は式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分又は式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B又はZI-7に対応する双性イオン部分を含んでいてもよい。特に好ましい一実施態様において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含有し、X44は-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)nSO3 -、-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)nCO2 -、-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)nCO2 -、又は-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)nSO3 -(ここで、nは1〜8である)である。一実施態様において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含有し、X44は-NH(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pSO3、-NH(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pCO2、-NH(CH2)mN+[(CH2)nCH3]2(CH2)pSO3、-NH(CH2)N+[(CH2)nCH3]2(CH2)pCO2、-NH(CH2)mNcyclo-(CH2)pCO2、又は-NH(CH2)mNcyclo-(CH2)pSO3、(Ncycloは、少なくとも1つの窒素元素を含有する複素環構造又は複素環誘導体である)(ここで、mは、1〜8であり; nは、0〜5であり; pは、1〜8である)である。一実施態様において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含有し、X44は-O(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pSO3、-O(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pCO2、-O(CH2)mN+[(CH2)nCH3]2(CH2)pSO3、-O(CH2)N+[CH2)nCH3]2(CH2)pCO2、-O(CH2)mNcyclo-(CH2)pCO2、又は-O(CH2)mNcyclo-(CH2)pSO3(ここで、mは、1〜8であり; nは、0〜5であり; pは、1〜8である)である。一実施態様において、ポリマーは式3に対応する繰り返し単位を含有し、X44は-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)3SO3、-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)2CO2、-NH(CH2)2N+(CH3)2(CH2)3SO3、-NH(CH2)2N+(CH3)2(CH2)2CO2、-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)3SO3、-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)2CO2、-O(CH2)2N+(CH2CH3)2(CH2)3SO3、-O(CH2)2N+(CH2CH3)2(CH2)2CO2、-O(CH2)2N+(CH2CH2CH2CH3)2(CH2)3SO3、-O(CH2)2N+(CH2CH2CH2CH3)2(CH2)2CO2又は-NH(CH2)3Ncyclo-(CH2)3SO3である。
の繰り返し単位を含む双性イオンポリマー又はコポリマーである。
ある種の実施態様において、非汚れポリマー材料は、式5、式6、式7、式8、又は式9:
X3は、水素、アルキル又は置換アルキルであり、
X4は、-OX40、-NX41X42、-SX40、アリール、ヘテロアリール又はアシルであり、
X5は、エステル、無水物、イミド、アミド、エーテル、チオエーテル、チオエステル、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、ウレタン又は尿素であり;
X6は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、又は尿素であり;
X7は、水素、アルキル又は置換アルキルであり;
X8は、アニオン部分であり;
X9は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、又は尿素であり;
X10は、水素、アルキル又は置換アルキルであり;
X11は、カチオン部分であり;
X12は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン又は尿素であり;
X13は、水素、アルキル又は置換アルキルであり;
X14は、アニオン部分であり;
L1及びL2は、独立して、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、又は尿素であり;
X40は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ又はアシルであり、
X41及びX42は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである
に対応する繰り返し単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
一実施態様において、非汚れポリマー材料は、式7(ここで、複素環、HETは式10、11又は12:
に対応する)に対応する繰り返し単位を含んでいる。
適切なコモノマーとしては、アクリレート、アクリルアミド、ビニル化合物、多官能性分子、例えばジ-、トリ-、及びテトライソシアネート、ジ-、トリ-及びテトラオール、ジ-、トリ-、及びテトラアミン、及びジ-、トリ-、及びテトラチオシアネート; 環状モノマー、例えばラクトン、ラクタム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。簡略にするため、例示的メタクリレートモノマーを以下に挙げる(しかし、類似のアクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミドモノマーが同様に挙げられてもよく、同様に含まれることは理解すべきである):
第一級、第二級、第三級アミンを有する荷電メタクリレート又はメタクリレート、例えば、3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロライド第四級塩、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチル-アンモニウムクロライド、メタクリロイルクロライド、[3-(メタクリロイルアミド)プロピル]-トリメチルアンモニウムクロライド)、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロライド、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、及び2-(tert-ブチルアミノ-エチルメタクリレート。
反応性又は架橋性メタクリレート、例えば、2-(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート、3-(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-(ジエトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート3-(ジメチルクロロシリル)プロピルメタクリレート2-イソシアナトエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、グリコールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、及び2-ヒドロキシプロピル2-(メタクリロイルオキシ) エチルフタレート。
多官能性モノマー、例えばジ、トリ、又はテトラアクリレート、ジ、トリ、又はテトラアクリルアミドを使用して、表面上に高濃度の非汚れ基を与えることができる高度に分枝した構造を形成し得る。前に述べたように、非汚れポリマー材料は、非双性イオン非汚れ材料を単独で又は双性イオン材料と組み合わせて含有し得る。これらの非汚れ基は、環境の範囲内で様々な程度の非汚れ性能を有してもよい。適切な非双性イオン材料としては、ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド-コ-プロピレンオキシド)(PEO-PPO)ブロックコポリマー、多糖、例えばデキストラン、親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン(PVP)やヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、アクリロニトリル-アクリルアミドコポリマー、ヘパリン、ヘパリン断片、誘導体化ヘパリン断片、ヒアルロン酸、混合電荷材料、及び水素結合受容性基を含有する材料、例えば、米国特許第7,276,286号明細書(本願明細書に全体で援用されている)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリマー構造としては、ZIが非双性イオン非汚れ頭部基で置き換えられている式Iのモノマーを含有するポリマー又はコポリマーが挙げられるが、これに限定されない。
いくつかの実施態様において、理論によって縛られることなく、荷電基がイオンによって水と溶媒和されることから非汚れ性能を改善することができる、永久に荷電基を有する双性イオンポリマーを使用することが好ましい。双性イオンポリマーにおいて永久電荷を有し得る一般に用いられる基の存在は、表面の約1〜50nm上部に存在する元素を分析するためにXPSを用いて検出され得る。双性イオンにおいて一般に用いられる1つの代表的な基は、第四級アミン基の窒素である。スルホベタインにおいて、窒素の基本的なシグナルは、硫黄のシグナルにほぼ等価であってもよい。更に、TOF-SIMSのような技術を用いて、グラフトされたポリマー層の双性イオン基を確認することができる。いくつかの好ましい実施態様において、グラフトされたポリマー層は、窒素のXPSシグナルを含有し、必要により硫黄のXPSシグナルを含有してもよい。
本開示のポリマーの表面改質は、フリーラジカル重合、イオン重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシドを介したラジカル重合 (NMP)、可逆的付加フラグメンテーション重合(RAFT)、開環メタセシス重合(ROMP)、テルル化物を介した重合(TERP)又は非環式ジエンメタセシス重合(ADMET)、及びUV、熱、又はレドックスフリーラジカル開始重合が挙げられるがこれらに限定されない合成手段によって形成され得る。好ましい実施態様において、ポリマーは、レドックスフリーラジカル重合の重合開始剤として酸化剤及び還元剤を組み合わせて、すなわち、レドックス対を用いて形成される。
いくつかの実施態様において、含臭素開始剤や含塩素開始剤及びビピリジンのようなリガンドのようなATRPにおいてしばしば用いられる開始剤及びリガンドがあるレベルで非生体適合性又は毒性であり得るのでプロセスには用いられないことが好ましい。回避すべき化合物又は残基を含有する代表的なブロミド又はクロライドとしては、tert-ブチル2-ブロモプロピオネート、tert-ブチル2-ブロモイソブチレート、ヒドロキシエチル2-ブロモプロピオネート、ヒドロキシエチル2-ブロモイソブチレート、ビニルクロロアセテート、アリルクロロセテート、グリシジル2-ブロモプロピオネート、グリシジル2-ブロモイソブチレート、4-シアノベンジルブロミド、ブロモアセトニトリル及び2-ブロモシアノプロパンが挙げられる。更なる実施態様において、ポリマー改質製品において又はポリマー改質製品の水抽出又は有機抽出のビピリジンの検出可能なレベルを有しないことが好ましい。更なる実施態様において、ポリマー改質製品において又はポリマー改質製品の水抽出又は有機抽出において臭素の検出可能なレベルを有しないことが好ましい。ビピリジン及び臭素は、例えば、HPLC又はUV分析によって検出され得る。いくつかの実施態様において、残留ブロミドを含有しない表面改質コンタクトレンズを有することが好ましい。好ましくは、ブロミド又はクロライドの濃度は、1ppm、5ppm、10ppm又は50ppm未満である。好ましくは、ブロミド又はクロライドは、XPS、SEM-EDS、及び他の元素分析法によって検出され得ない。
本開示によれば、本明細書において記載されているプロセスは、表面改質を医療デバイス、例えばコンタクトレンズ(例えば、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)に適用することを必要とする。例えば、プロセスは、一般的には、コンタクトレンズと本明細書に記載されている重合溶液とを接触させることを必要とする。一実施態様において、コンタクトレンズとポリマーの表面改質溶液とを接触させることは、レンズを溶液に浸漬するか又は沈めることによって又はレンズを溶液で噴霧することによって行われ得る。一例示的表面改質プロセスは、単独による浸漬-改質工程を含み、必要により浸漬-すすぎ工程を含んでもよい。他の例示的表面改質プロセスは、単独による噴霧-改質工程及び噴霧-すすぎ工程を含む。しかしながら、噴霧-改質工程及び浸漬-改質工程及び/又はすすぎ工程の種々の組み合わせを含む多くの別法が当業者によって設計され得る。
いくつかの実施態様において、基体への開始剤の取込みは、ポリマー材料が基体表面から及び基体表面の下の表面近傍ゾーン内からグラフトされることを可能にする。表面近傍ゾーンが伸びている最大深さ、すなわち、基体表面から測定される表面近傍ゾーンの下の境界の距離は、少なくとも一部には、開始剤の機能及び開始剤を基体に取り入れるために用いられる技術である。しかしながら、典型的には、下方境界が一般的にはコンタクトレンズの厚さの1%、5%、10%、20%、30%、45%より大きくないことが好ましい。同様に、表面近傍ゾーンの最小限の深さ、すなわち、基体表面から表面近傍ゾーンの上方境界の距離が、少なくとも一部には、開始剤の機能及び開始剤を基体に取り入れるために用いられる技術である。一例として、上方境界は、基体表面から少なくとも1%であってもよい。更なる例として、上方境界は、基体表面から少なくとも45%であってもよい。
しかしながら、典型的には、下方境界が一般的には基体表面から乾燥材料として1マイクロメートルを超えないか又は水和材料として20マイクロメートルを超えないことが好ましい。一例として、下方境界は、水和した基体表面から15マイクロメートル以下であってもよい。更なる例として、下方境界は、水和した基体表面から10マイクロメートル以下であってもよい。同様に、表面近傍ゾーンの最小限の深さ、すなわち、基体表面から表面近傍ゾーンの上方境界の距離が、少なくとも一部には、開始剤の機能及び開始剤を基体に取り入れるために用いられる技術である。しかしながら、典型的には、上方境界は、基体表面から少なくとも0.1マイクロメートルである。一例として、上方境界は、基体表面から少なくとも0.2マイクロメートルであってもよい。更なる例として、上方境界は、基体表面から少なくとも0.3マイクロメートルであってもよい。
開始剤が基体に組み込まれている実施態様においては、好ましくは重合混合物によって含まれる溶媒系の制限された溶解性を有し且つ本明細書において確認された開始剤のいずれかを含む。一般に、組み込まれた開始剤が25〜175℃の10時間T1/2分解温度を有することが好ましい。具体的な一実施態様において、組み込まれた開始剤は、70〜130℃の10時間T1/2分解温度を有する。有利には、70〜130℃の10時間T1/2分解温度を有することにより、レドックス反応から界面開始事象の密度を高め且つ熱開始を効果的に打ち負かす傾向がある。
一実施態様において、開始剤-前駆物質を基体に最初に組み込み且つ開始剤-前駆物質を開始剤に活性化することによって開始剤が基体に組み込まれる。
本発明の一態様によれば、重合開始剤は、種々の技術によって基体の中に及び/又はそれの上に組み込まれ得る。このような一方法において、基体(いくつかの実施態様において、前述したようにプレコート又はアンダーコートを有する基体を含めて)は重合開始剤で吸収されている; すなわち、重合開始剤が基体に吸収されている。一実施態様において、開始剤、すなわち、異なる開始剤の開始剤又は混合物は、物理吸着によって基体の表面の中に及び/又はそれの上に導入され、開始剤が溶媒の溶媒又は組み合わせに溶解され且つ基体(アンダーコーティング層の有無にかかわらず)がしばらく及び基体が充分な吸着を達成する温度で混合物に沈められる。基体に開始剤を吸収させて最終的に基体を膨張させる。一般に、浸透の間、基体に組み込まれる開始剤の量は、少なくとも一部には、溶媒系における開始剤の溶解性、基体における開始剤の溶解性並びに、溶液中の開始剤の浸透時間、温度及び濃度だけでなく、基体及び開始剤の化学組成の関数である。いくつかの実施態様において、基体が開始剤で吸収され、更にモノマー(後述するように)で吸収される; 例えば、開始剤及びモノマーを単一の溶液(必要により、しかし好ましくは溶媒又は溶媒系を含めて)に混ぜ合わせ、基体を溶液に浸漬する。
好ましい実施態様において、重合開始剤を吸収すべき基体の表面は、天然又は合成のポリマーを含んでいる。別の実施態様において、基体は、天然又は合成のポリマー、生物組織、リビング又はデッド、織繊維、不織繊維、及びこれらの組み合わせより選ばれる吸収可能な材料である。ある種の(被覆されていない)基体、例えば金属、セラミック、ガラス、及びセミメタリック基体は、充分な開始剤を吸収する能力がない。それ故、一般に、これらの基体に対して、金属、セラミック、ガラス又はセミメタリック基体の表面をアンダーコーティング又はプレコーティングでプレコートすることが好ましく、そこからポリマー材料がグラフトされ得る。例えば、金属、セラミック、ガラス及びセミメタリック基体が、ポリアミド、ポリアミン、ポリ無水物、ポリアジン、ポリ(カーボネート)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグアニジン、ポリイミド、ポリケタール、ポリ(ケトン)、ポリオレフィン、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファジン、多糖、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリ尿素、ポリウレタン、ハロゲン化ポリマー、シリコーン、アルデヒド架橋樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ラテックス、又はこれらのコポリマー又はブレンドより選ばれたポリマーでプレコートされてもよく、次に、プレコートされた基体が前述したように吸収される。
好ましい実施態様において、吸収した基体を、好ましくは、溶媒を用いて洗浄し、必要によりその基体を膨潤させる溶媒でもよく、必要によりに乾燥する。他の実施態様において、基体を、吸収する溶媒と同じでも異なってもよい溶媒で洗浄するか、又は基体を洗浄しなくてもよい。例えば、洗浄溶媒が、基体を膨潤させてもよく、基体を収縮させてもよく、又はいずれでなくてもよい。一実施態様において、基体を乾燥するか、部分的に乾燥するか又は乾燥しない。必要により、溶媒交換があってもよい。
本発明の他の態様によれば、コンタクトレンズの表面へのモノマー(例えば、親水性モノマー)の界面グラフト化は、重合反応の開始の前にレンズをモノマーで飽和することによって容易になる。この方法は、2種の反応溶液の使用を必要とする。レンズをモノマーで飽和した後、新な溶液を少量のモノマーで生成させる。この態様は、コンタクトレンズの表面に対する反応を制御し、レンズ面の改質を達成するのに必要とするモノマー量を減少させる。表面改質反応の間、モノマーは、溶液重合して、グラフトされていないホモポリマーを形成し得る。ホモポリマーは、一般的には、純水において難溶解性を有し、反応溶液中で沈殿し、溶液中及びレンズの表面上の双方に混濁を生じる。最少量のモノマーの使用は、ホモポリマー沈殿を制限するだけでなく、コスト及び化学廃棄物を減少させるのに好ましい。重合反応の開始の前にコンタクトレンズを親水性モノマー溶液で飽和することによって、重合がモノマー(レンズの範囲内)と開始剤(レンズの外側)の境界面であるレンズ面で進行し、表面反応が容易になる。あるいは、UV開始表面改質反応に対して、親水性モノマー溶液で予め飽和したレンズに直接照射した後、モノマー溶液から取り出し、未反応開始剤を用いることなく重合反応が開始し得る。好ましくは、バルク反応溶液の過剰なモノマーがなく、それによって、溶液中及びレンズの表面上のホモポリマー沈殿及び混濁が制限される。いくつかの実施態様において、基体がモノマーで吸収され、更に開始剤で吸収される(上記の通り); 例えば、モノマー及びモノマーを単一溶液中で(必要により、しかし、好ましくは溶媒又は溶媒系を含めて)混ぜ合わせ、基体を溶液に浸漬させる。
モノマーは、種々の技術によって基体の中に及び/又はそれの上に組み込まれ得る。このような一方法において、基体(例えば、前述したようにコンタクトレンズ)がモノマーで吸収される; すなわち、重合開始剤が基体に吸収される。一実施態様において、モノマー、すなわち、モノマー又は異なるモノマーの混合物を物理吸着によって基体の表面の中に及び/又はそれの上に導入し、モノマーが溶媒又は溶媒の組み合わせに溶解し、基体が混合物にしばらく及び基体が充分な吸着を達成する温度で沈められる。基体が膨潤し、最終的にモノマーを基体に吸収させる。一般に、浸漬の間に基体に組み込まれるモノマー量は、少なくとも一部には、溶媒系におけるモノマーの溶解性、基体におけるモノマーの溶解性並びに浸漬時間、温度及び溶液中のモノマーの濃度だけでなく、基体及びモノマーの化学組成の関数である。
一例として、コンタクトレンズを、10%、25%、又は50% SBMA水溶液中で30秒〜2時間(好ましくは1時間)予め平衡にした後、開始剤(例えば、0.5〜200mM Ce(IV)、好ましくは約5mM)を含む反応混合物に入れることができる。次に、25〜80℃(例えば、40〜60℃)で1時間反応が行われる。コンタクトレンズをまた、好ましくは40〜60分間水に予備浸漬した後、反応に加え; 反応混合物に直接入れた乾いたレンズが反応の完了時に不充分な透明度と形状を示す傾向があるので、このことはレンズの形状と透明度を保持するのを援助し得る。他の例として、0.15M NaCl中の5%SBMAに予備浸漬した後、0.15M NaCl中の5% SBMA及び1mM Ce(IV)と60oCで2.5時間反応させると、すすいだ後にレンズは良好な形状と透明度を示したが、予備平衡を含まないレンズは形状と透明度が良好でなかった。NMRによって溶液中に1%、2%、10%、又は20%を超えるポリマーが見られるまで浸漬溶液が再使用され得る。
本開示の他の態様によれば、表面改質は、電解液の存在下に行われる。一実施態様において、例えば、一価の塩のような電解液を反応溶液に添加して、イオン強度を増加させ且つ双性イオンポリマー沈殿を最小限にする。さらに、いくつかの塩、例えばKClがさらに高分子量ホモポリマーの形成を減少させるように作用することができ、これはまた同種の反応溶液を維持し且つ溶液中及びレンズの表面上双方の混濁を防止する。
一実施態様において、例えば、表面改質溶液には、本明細書に記載されているようにモノマー及び開始剤とともに電解液が含まれる。一般に、電解液は、反応の任意の段階で添加することができ、反応及び基体の任意のプレコンディショニング全体にわたって存在してもよい。一例として、電解液は、モノマー吸収時間、開始剤吸収時間、組み合わせのモノマー-開始剤吸収時間の間に存在してもよく、又はモノマー及び/又は開始剤吸収時間後(例えば、重合反応の開始時又はそれの直後)に添加してもよい。適切な電解液は、イオン強度を増加させ且つ他の溶液成分(例えば、双性イオンポリマー)の沈殿を最小にするか又は防止するものである。電解液は、典型的には、カチオン成分及びアニオン成分を有する塩を含んでいる。適切なカチオンは、一価又は多価でもよく、有機又は無機でもよく、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム、及びリチウムカチオン、並びに第一級、第二級、第三級又は第四級アンモニウム又はピリジニウムカチオンが挙げられる。適切なアニオンは、一価又は多価であってもよく、有機又は無機であってもよく、例えば、クロライド、スルフェート、ニトレート、ニトライト、カーボネート、シトレート、シアネートアセテート、ベンゾエート、タータレート、オキサレート、ホスフェート、及びホスホネートアニオンが挙げられる。適切な電解液としては、例えば、多価アニオンと一価カチオンとの塩、例えば、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、多価カチオンと一価アニオンとの塩、例えば塩化カルシウム、臭化カルシウム、ハロゲン化亜鉛、塩化バリウム、硝酸カルシウム、及び一価カチオンと一価アニオンとの塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、アルカリ金属硝酸塩、硝酸アンモニウムが挙げられる。好ましい実施態様において、電解液は、一価のカチオン成分及び一価のアニオン成分、例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含んでいる。
典型的には、電解液(及び/又は他の反応物、例えばモノマー及び/又は開始剤)を溶媒に溶解する。溶媒は、水、適切な任意の有機溶媒、水と1種以上の水溶性又は水混和性有機溶媒の混合物、又はいくつかの有機溶媒の混合物であり得る。既知の適切な任意の溶媒が、電解液(及び/又はモノマー及び/又は開始剤)を溶解することができる限りは使用し得る。例示的溶媒としては、水、アセトン、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、グリコール、ケトン、エステル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチル2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトフェノン、二塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、二塩化エチレン、イソホロン、o-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、2-ニトロプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノール、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、クロロベンゼン、ニトロエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、1-ブタノール、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン、トルエン、エタノール、ジエチレングリコール、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールアミン、四塩化炭素、プロピレングリコール、ヘキサン、エチレングリコール及びホルムアミドが挙げられるが、これらに限定されない。水溶性又は水混和性有機成分の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、尿素、置換尿素、カルボン酸及びこれらの塩、エステル、アルコール、有機スルフィド、有機スルホキシド、スルホン(例えばスルホラン)、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エーテル誘導体、アミノアルコール、ケトン、N-メチルピロリジノン、2-ピロリジノン、シクロヘキシルピロリドン、ヒドロキシエーテル、スルホキシド、ラクトン、高分子電解質、メチルスルホニルエタノール、テトラヒドロフラン(THF)、イミダゾール、ベタイン、及び他の水溶性又は水混和性材料、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、溶媒は水である。他の実施態様において、溶媒は、水中に5%、10%、又は20%メタノールを含む溶媒の混合物である。
好ましい実施態様において、反応溶液は、透明でホモポリマーを含まない。反応溶液の混濁を定量化する一方法によって、コンタクトレンズの周りの反応溶液の600nmにおける光学濃度は、約0.2未満である。例えば、600nmにおける光学濃度は、約0.1未満、約0.05未満、又は約0.01未満であってもよい。一実施態様において、この段落で挙げた上記例及び実施態様の各々における光学密度は、本明細書に述べたUV重合反応条件で又は約60℃の反応温度で測定される。他の実施態様において、この段落で挙げた上記例及び実施態様の各々の光学密度は、室温で測定される。他の実施態様において、この段落で挙げた上記例及び実施態様の各々の光学密度は、試料バイアルを氷水浴中に入れた後に0℃で測定される。
ポリマーの表面改質反応は、開始剤の使用により開始される。一般に、既知の適切な任意の開始剤が本明細書に記載されているプロセスで使用することができ、これは開始剤、モノマー、及び基体を接触させるか又は混合するか、あるいは開始剤を反応混合物中に含めることを必要とする。当業者は、重合を開始する開始剤をどのように選ぶべきかをよく知っている。例えば、紫外線(UV)開始剤の1種以上、熱開始剤の1種以上、及び/又はレドックス開始剤の1種類以上が使われてもよい。
理論に関係なく、一般的には、基体に組み込まれる開始剤の量が、重合前の基体におけるその検出及び重合後の基体におけるそれの検出又は分解生成物の検出を可能にするのに充分であることが好ましい。一般に、抽出は、非極性及び極性溶媒を用いることができる。例えば、抽出溶媒、例えば水、アセトン又はエタノール; 及び/又は開始剤及び/又はその分解生成物の溶解度が少なくとも1mg/Lである他の抽出溶媒。抽出液の濃度の変化が毎時5%よりも増加しないように充分な時間、抽出が行わなければならない。あるいは、続いての抽出における抽出した材料の量が最初の抽出において検出した量の10%未満になるまで、又は検出した累積抽出材料レベルの分析的に有意な増加がなくなるまで抽出が行わなければならない。例示的抽出条件としては、37℃で72時間; 50℃で72時間; 70℃で24時間;及び121℃で1時間が挙げられる。例示的抽出率としては、6cm2/mLの表面積/容積及び/又は0.2gの試料/mLが挙げられる。ある場合には、基体の完全溶解が適切であってもよい。材料を抽出前に小片に切断して、抽出媒体に沈めることを強化する。例えば、ポリマー基体に対して、約10mm×50mm又は5mm×25mmが適切である。
開始剤又はその分解生成物は、前述の方法によって基体又はグラフトポリマー中で定量化及び/又は検出され得る。これらには、FTIR-ATR、化学分析用電子分光法(ESCA、X線光電子分光法、XPSとも呼ばれている)、二次イオン質量分析法(SIMS)、及び表面増感ラマン分光法(SERS)が含まれる。例えば、ペルオキシドは、下記の3つの方法のいずれかを用いて分光光度的に検出されてもよい: ヨウ化物方法(塩化第二鉄の存在下にペルオキシドによるヨウ化ナトリウムの酸化)、DPPH法(ペルオキシドを分解する1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、ラジカルスカベンジャによる処理)、又はペルオキシダーゼ法(グルタチオンによる還元、グルタチオンペルオキシダーゼによる触媒、続いてグルタチオン還元酵素の存在下にNADPHの結合酸化の測定)。例えば、Fujimoto et al., Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry, Vol.31, 1035-1043 (1993)を参照のこと。
他の実施態様において、基体予備重合における定量化及び/又は検出、又は基体後重合における開始剤又はその分解生成物の定量化及び/又は検出は、抽出に続いて分析技術の範囲のいずれかによって達成され得る。例えば、抽出液中の開始剤又はその分解生成物の量を定量化及び/又は検出することは、UV/VIS、FTIR、核磁気分光法、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び液体クロマトグラフィーが含まれる分光法及びクロマトグラフィーを用いて達成され得る。
疎水性基体の表面の改質のためのプロセスにおいて、親水性溶媒系が使われることが好ましい。水溶液は、好ましくは、必要によりイオン又は緩衝剤、例えばナトリウム、アンモニウム、カリウム、クロライド、ホスフェート又はアセテートを含有していてもよい溶媒系として用いられる。親水性基体を改質するためのプロセスにおいて、疎水性溶媒系を用いることが好ましい。このようなプロセスにおいて、好ましい媒体は、有機溶媒、典型的には非極性有機溶媒、又はその混合物である。例示的有機溶媒としては、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、及び脂肪族アルコールの1つ以上が挙げられる。好ましい実施態様において、溶媒系は、25容積%を超えて基体(又はポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を膨潤しない。例えば、このような一実施態様において、溶媒系は、10容積%を超えて基体(又はポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を膨潤しない。好ましい実施態様において、溶媒系は、5容積%を超えて基体(又はポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を膨潤しない。一実施態様において、溶媒系は、基体(又はポリマーがグラフトされる基体の少なくともその部分)を収縮することさえあり得る。
ラジカル重合プロセスの例としては、UV、熱及びレドックス開始プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、必要によりに最初に基体の中に1つ以上のモノマー及び/又は開始剤(例えば紫外線(UV)、熱又はレドックス開始剤)を吸収させ、表面から1つ以上のモノマーの重合を開始することにより、ポリマーが基体からグラフトされる。一実施態様において、基体に開始剤を吸収させるか又は開始剤を含む層、例えば、アンダーコーティング層(時には本明細書において同時付着層と言われる)で基体を被覆することによって開始剤が基体に組み込まれる。他の実施態様において、基体にモノマーを吸収させることによってモノマーが基体に組み込まれる。典型的には、重合すべき1つ以上のモノマーの溶液又は懸濁液及び開始剤で基体をさらすことによって、重合が開始される。基体に導入されるポリマー量は、溶媒溶液中のポリマーの濃度、ポリマー溶液の表面張力、重合温度、ポリマー溶液のpH、重合溶液撹拌又はフロー条件を変えることによって、1回の重合時間の間、基体がポリマー溶液中にあることを可能にする時間量を変えることによって、及び/又は必要とされる重合時間を何回も繰り返することによって制御され得る。複数の重合時間を用いる場合、続いての重合時間に用いられるポリマーは、前の重合時間に用いたポリマーと同じか、異なるか、又は混合物であり得る。
酸素は、開始剤によって生じるフリーラジカルと急速に反応して、安定なラジカル種を形成することができるので、フリーラジカル重合において阻害剤として作用することができ、また、他のラジカル種と反応して、非反応性種を形成することができる。それ故、典型的には、窒素又はアルゴン又は真空により脱ガスすることによって無酸素環境をつくることを用いて、重合の前と間の酸素を除去する。しかしながら、ある種の実施態様に対しては、商業的生産においてこのような脱ガス工程を必要としないことが好ましい。好ましい一実施態様において、重合法は、典型的には製造の間での達成が困難である酸素レベルの厳しい制御を必要とするATRP以外のものである。
モノマー及び溶媒系に加えて、表面グラフト化を促進するために、重合混合物は、必要によりフリーラジカル阻害剤を含有してもよい。特定の理論に縛られることなく、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェナザチオニウムクロライド、トリエチレンジアミン、t-ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び4-t-ブチルフェノールを含むフリーラジカル阻害剤をグラフト化溶液に添加すると、溶液重合が減少し、このことにより、より多くのモノマーが基体表面/重合混合物境界面で又はそれの近傍でグラフト化に利用できると現在考えられている。
表面重合の間及び/又はそれに続いていつでも可塑剤をグラフトされたポリマーに組み込むことができる。好ましい実施態様において、親水性可塑剤(例えばクエン酸エステル、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び/又はポリエチレングリコール[<2000Mw])が後重合の水性洗浄時間においてグラフトされたポリマーに組み込まれる。
一実施態様において、開始剤は、紫外線(UV)開始剤である。基体及び開始剤を、典型的には、双性イオンモノマーを含有する脱ガス水溶液に入れ、UV光に曝露して、ラジカル重合を開始する。典型的に、UV光は、約220〜400nmからの波長及び100Wの強度を有する。反応溶液の距離は、例えば、約2cm〜約50cmまでの距離で変動させることができる。UV曝露時間は、例えば、30秒〜約4時間に変動させることもできる。一例示的実施態様において、UV光は100WのUVで生じた365nmのピーク波長を有する。
開示の一態様によれば、抽出されていないレンズ中の未反応開始剤残留物を、UV反応による表面改質を容易にするために使用し得る。UV及び/又は可視光エネルギーにより重合したレンズは、ラジカルを生成し且つキュアリング重合プロセスを開始するためにUV-可視光で励起する化合物を用いる。過剰な開始剤を用いて充分な反応を確実にすることが好ましく; 過剰な開始剤残留物が後でレンズから抽出された後、包装及び滅菌され得る。
一実施態様において、表面改質反応は、レンズ形成からの残留開始剤のみを用いてコンタクトレンズの表面に親水性モノマーのUV開始重合を用いて行われる。他の開始剤を導入する必要がなく、この方法は、現在のコンタクトレンズ製造プロセスの範囲内に都合よく適合し、コスト及び化学廃棄物を低減し、且つ表面改質を簡易化する。例えば、コンタクトレンズを製造するための現行プロセスは、キュアしたコンタクトレンズを水溶液、溶媒及び/又はアルコールにさらして、残留開始剤及び未反応モノマーを抽出する抽出工程を含む場合がある。未反応の開始剤を抽出せずに、親水性モノマーを添加した後にUV開始重合を用いて別個の反応を開始させることができる。UVの波長及び強度を制御することによってレンズの片方の表面だけをUVに曝露してもよい。これにより、内側又は外側の表面のみが改質されたコンタクトレンズを製造することができる。この方法によって両面を改質することもできる。他の実施態様において、プロセスは、モノマーからコンタクトレンズを製造することを含み、UV開始剤を有するコンタクトレンズ基体モノマーを金型内に導入する工程、金型内で重合させる工程、表面改質のためのモノマーを添加する工程、及び新たな開始剤を導入せずにUV曝露を続ける工程からなる。ある種の実施態様において、より多量のレベルの開始剤をコンタクトレンズの最初の重合に用いて、表面改質工程において残留開始剤を可能にする。一例として、少なくとも約1ppm〜約50,000ppmの反応混合物の開始剤質量パーセントがUV開始段階に存在する。UVの異なる強度及び波長が、コンタクトレンズ本体及び表面改質の重合に用いられてもよい。表面改質後、コンタクトレンズを、未改質コンタクトレンズを製造する現行プロセスの抽出工程にさらしてもよい。
本明細書に記載されている実施態様及び例に用いるための代表的なUVラジカル開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4'-モルホリノブチロフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2-メチル-4'-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、3'-ヒドロキシアセトフェノン、4'-エトキシアセトフェノン、4'-ヒドロキシアセトフェノン、4'-フェノキシアセトフェノン、4'-tert-ブチル-2',6'-ジメチルアセトフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド/2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4,4'-ジメトキシベンゾイン、4,4'-ジメチルベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン、2-メチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'-ビス[2-(1-プロペニル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイルベフェニル、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルホーメート、ミヒラーケトン、スルホニウム、ヨジウム、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、2-tert-ブチルアントラキノン、9,10-フェナントレンキノン、アントラキノン-2-スルホン酸ナトリウム塩一水和物、カンファキノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、10-メチルフェノチアジン、チオキサントン、及びIRGACURE 2959が挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施態様において、上記のUV開始剤の代わりに又はそれに加えて熱活性化(熱)開始剤が用いられ、モノマー水溶液温度を望ましい温度に加熱し且つ望ましい重合度が達成されるまで温度を一定に保つことによりグラフトフロム重合が開始される。
適切な熱開始剤としては、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2'-アゾビス[(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,3-ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酸化ラウロイル、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、及び過硫酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
溶液が加熱される温度は、とりわけ、モノマー及び/又は開始剤、及び/又は基体に依存的である。ラジカル熱開始剤の例としては、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)が挙げられるが、これに限定されない。好ましいグラフト化温度は、選ばれた開始剤の10時間T1/2に近い。グラフトフロムラジカル重合反応は、開始剤半減期を超えて加熱することによって熱的に急冷され得る。
他の実施態様において、基体の表面から重合を開始するためにレドックス開始剤系が用いられる。レドックス開始剤系には、典型的には、一対の開始剤: 酸化剤及び還元剤が含まれる。本明細書において記載されているレドックス化学は、例えば、非汚れポリマー材料、例えば双性イオンポリマー材料を調製するために変更され得る。レドックス開始は、緩和な条件下でフリーラジカルを効果的に生成する一電子移動反応とみなされる。適切な酸化剤としては、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、ペルオキシ炭酸塩、ペルオキシ二硫酸塩、ペルオキシ二リン酸塩、過マンガン酸塩、金属、例えばMn(III)、Ce(IV)、V(V)、Co(III)、Cr(VI)、Fe(III)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
適切な還元剤としては、金属塩、例えばFe(II)、Cr(II)、V(II)、Ti(III)、Cu(II)、Ag(I)塩、及び硫黄、酸素酸、ヒドロキシ酸、アルコール、チオール、ケトン、アルデヒド、アミン、及びアミドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの実施態様において、還元剤は、鉄(II)塩、例えばL-アスコルビン酸鉄(II)、硫酸第一鉄、酢酸鉄(II)、アセチルアセトン酸鉄(II)、エチレンジアンモニウム硫酸鉄(II)、グルコン酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、又は硫酸鉄(II)である。
重合は、レドックス反応から直接形成されるラジカル及び/又はレドックス反応の間に形成される過渡ラジカルにより基体から水素原子の引き抜きによって形成されるマクロラジカルによって開始され得る。
一実施態様において、基体はアンダーコーティング被覆で被覆され、非汚れ材料はレドックス重合によってアンダーコーティング層からグラフトされる。アンダーコーティング被覆は、酸化剤又は還元剤を含有する。好ましい実施態様において、アンダーコーティング層は、1つ以上の還元剤、例えば酸、アルコール、チオール、ケトン、アルデヒド、アミン及びアミドを含有する。アンダーコーティング層の1つ以上の官能基と反応させて表面重合を開始するラジカルを形成するために酸化剤が用いられ。
具体的な実施態様において、アンダーコーティング層は、シラノール基及び/又はヒドロキシル基を含有する脂肪族鎖のペンダント基を有するコポリマーである。このような材料を用いて、ポリマーの基体、例えばポリウレタン(PU)上にアンダーコーティング層を形成し得る。酸化剤、例えばCe(IV)の塩はアンダーコーティング層中でヒドロキシルラジカルを形成する緩和な条件下でヒドロキシル基と反応して、双性イオンポリマーを成長させる。
いくつかの実施態様において、ポリマー、例えばシリコーンヒドロゲルポリマーを有機溶媒中のペルオキシド溶液に所定の時間浸漬することによって上述したペルオキシドのいずれか、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化水素、又はジクミルペルオキシドを吸収させ、乾燥させ得る。ペルオキシド含有ポリマーをモノマー溶液に入れる。還元剤、例えばFe(II)の塩、塩化Fe(II)、硫酸Fe(II)、硫酸アンモニウムFe(II)、又はグルコン酸Fe(II)等を室温又は高温でモノマー溶液に添加することによってレドックス重合を開始させる。
製品及び/又は表面グラフト重合の表面を改質するために、疎水性-親水性レドックス開始剤対を用いることが特に有効であるとわかった。例えば、一実施態様において、疎水性-親水性レドックス開始剤対の疎水性部分は、前述したように疎水性基体に組み込まれる。次に、モノマー、典型的には親水性モノマー、及びレドックス対の親水性部分を含有する水性重合混合物で基体表面を処理する。この方法は、ポリマーが改質すべき外部及び内部の表面(例えばカテーテル)をさらした構成部品及び光に容易にさらされ得ない任意の基体からグラフトされる場合に特定の利点がある。さらに、このような系は、重合混合物/基体表面境界面から離れたバルク重合混合物における非グラフト重合の程度を最小にする傾向がある。
別の実施態様において、親水性-疎水性レドックス対は、親水性酸化剤/疎水性還元剤対であり、(i)親水性酸化剤が、過酢酸、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、Fe3+、ClO3-、H2O2、Ce4+、V5+、Cr6+、もしくはMn3+、又はこれらの組み合わせであり; (ii)疎水性還元剤が、アルコール、カルボン酸、アミン、もしくはボロンアルキル、又はこれらの組み合わせである。
他の適切なレドックス系には、(1)有機-無機レドックス対、例えばCe4+、V5+、Cr6+、Fe3+ Mn3+によるアルコールの酸化; (2)レドックス対、例えばチオ硫酸塩プラスアクリルアミド、チオ硫酸塩プラスメタクリル酸、N,N-ジメチルアニリンプラスメチルメタクリレートの成分として作用し得るモノマー、及び(3)ボロンアルキル-酸素系が含まれる。
他の適切なプロセスによれば、例えば、Ce(IV)による開始についてのレドックス化学は、基体からグラフトし且つ基体に表面改質を固定するポイントとしてヒドロキシル官能性を用いる。しかしながら、任意のシリコーンベースのヒドロゲルコンタクトレンズ、すなわち、シリコーン(>5%の非水相)から構成され且つ50×10-11(cm2/秒)を超える酸素透過性、Dkを有するものは、ヒドロキシル部分が基体上に存在してもしなくても、この化学で改質され得る。いくつかの実施態様において、例えば、基体(例えば、コンタクトレンズ)におけるシリコーンの濃度は、少なくとも1質量%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%又は少なくとも30%である。これらの実施態様において、典型的には、Ce(IV)濃度は、水溶液中約1mM〜約10mMであり; いくつかの実施態様において、例えば、Ce(IV)濃度は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、又は約10mMである。反応混合物に適切な溶媒及び溶媒系は、並びに反応を行うための代表的な時間及び温度は、本明細書に他で記載されている通りである。
例示的開始剤としては、ジアシルペルオキシド、例えば過酸化ベンゾイル、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシドコハク酸ペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様において、ジアシルペルオキシドは、芳香族ジアシルペルオキシド、例えば過酸化ベンゾイルである。
他の例示的開始剤としては、ペルオキシジカーボネート、例えばジエチルペルオキシジカーボネート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソブチルペルオキシジカーボネート、ジ-4-tert-ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート; ペルオキシエステル、例えばt-ブチルペルネオデカノエート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート; t-ブチルモノペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネートやt-アミルモノペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネートに基づくモノペルオキシカーボネート; 過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム; クメンヒドロキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジ(tert-アミル)ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、2-ブタノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酸化ラウロイル、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、4-ニトロ-ベンゼンカルボペルオキシ酸t-ブチルエステル、シクロヘキサノンペルオキシド、[(メチルペルオキシ)(ジフェニル)メチル]ベンゼン、ビス(t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、及び2,4,6-トリフェニルフェノキシル二量体が挙げられるが、これらに限定されない。
対照的に、重合が光分解的に開始されないのでレドックス化学は一般的には重合を開始する光源に対して直接見通し線を必要とせず、それ故、UV源に曝露するのが難しい1つ以上の表面を有する基体を被覆するのに有利であり得る。さらに、レドックス重合は、典型的には、低温、例えば100℃未満、80℃未満、60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、35℃未満、又は30℃未満で行われてもよい。
グラフトフロム重合は、カチオン反応又はアニオン反応によって伝播させることができ、ここで、基体表面はカチオン開始剤又はアニオン開始剤として働くか又はカチオン開始剤又はアニオン開始剤を基体に固定し、モノマーが反応性オレフィンを含有している。アニオン重合の例は、ポリカプロラクトン又はポリカプロラクタムを合成する場合の様に、アニオン開環であり、ここで、重合はペンダント双性イオン基を含有する環構造におけるラクトン部分又はラクタム部分によって進行する。あるいは、1つ以上の不飽和単位及びペンダント双性イオン基を含有する有機環が重合する。一実施態様において、ペンダントオレフィンがモノマー単位に含まれ、架橋のために、例えば開環メタセシス重合(ROMP)に用いられる。
表面改質を与える上記の方法に代わるものとして、コンタクトレンズのような医療デバイスは、デバイスを上記のポリマー又はコポリマーを含有する包装溶液又は保存溶液に浸漬することによって表面改質され得る。一実施態様において、溶液は、レンズを保存するための包装溶液である。本開示の包装溶液及び蓄積溶液は、生理的に適合してもよく、レンズを洗浄又はすすぎ且つ生理的に適合する保存溶液に入れる最終使用者を必要としてもよい。一実施態様において、例えば、溶液はコンタクトレンズのようなレンズと用いるのに「眼科的に安全」であり、溶液で処理されるコンタクトレンズが一般的にはすすぐことなく眼上に直接配置するのに適切且つ安全であること、すなわち、溶液でぬらしたコンタクトレンズを介して眼との毎日の接触に溶液が安全且つ快適なことを意味する。眼科的に安全な溶液は、等張性及び眼と適合するpHを有し、ISO規格及び米国医薬品局(FDA)規制に従って非細胞毒性である材料、及びその量を含める。他の実施態様において、保存及び包装溶液は、その中に保存されたレンズが眼に配置される前に洗浄又はすすぎを必要とするようなものである。ポリマー又はコポリマーは、通常は、約10ppm〜約10質量%、好ましくは約0.1質量%〜約5質量%の範囲にある量で溶液中に存在する。
放出前の生成物に微生物汚染のないことが該生成物に必要な程度まで統計的示されなければならないという点で包装溶液又は保存溶液はまた無菌でなければならない。本発明に有効な液体媒体は、処理されるか又は手入れをされるレンズに対して実質的な有害作用がなく且つ1回以上の本レンズ処理を可能にするか又は容易にさえもするために選ばれる。液体媒体は、好ましくは水性である。特に有効な水性液体媒体は、生理的食塩水、例えば、慣用の食塩水又は慣用の緩衝生理食塩水から誘導されるものである。
典型的には、本発明の溶液は、また、等張化剤によって調整され、0.9パーセントの塩化ナトリウム溶液又は2.5パーセントのグリセロール溶液に等価である正常な涙液の浸透圧に近い。溶液は単独又は組み合わせて用いられる生理食塩水で実質的に等張にし、さもなければ、簡単に滅菌水と混ぜ合わせ、低張にするか又は高張にする場合には、レンズはこれらの望ましい光学パラメータを失う。対応して、過剰な生理食塩水は、結果としてヒリヒリするような痛みや眼への刺激を生じる高張液を形成することになる。
適切な等張化剤の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、デキストロース、グリセリン、塩化カルシウム及び塩化マグネシウム等並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの薬剤は、典型的には、個々に約0.01〜約2.5質量/容積%、好ましくは約0.2〜約1.5質量/容積%の範囲にある量で用いられる。好ましくは、等張化剤は、少なくとも約200mOsm/kg、好ましくは約200〜約400mOsm/kg、より好ましくは約250〜約350mOsm/kg、最も好ましくは約280〜約320mOsm/kgの最終浸透価を与える量で使われる。
例示的金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、アルカリ金属ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的粘度上昇剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的酸化防止剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、N-アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の他の態様は、本明細書において記載されている医療デバイス、例えばコンタクトレンズを包装及び保存する方法に関する。一実施態様において、方法には、コンタクトレンズ包装水溶液、例えば本明細書に記載されているように表面改質を与えることができる包装及び保存溶液に浸漬された本明細書に記載されているコンタクトレンズを少なくとも包装する工程が含まれる。方法には、顧客/装着者に送達前に、コンタクトレンズの製造直後にレンズを包装水溶液に浸漬する工程が含まれてもよい。あるいは、上記溶液における包装及び保存は最終顧客(装着者)に送達する前であるが乾燥状態でのレンズの製造及び運搬後の中間点で行われてもよく、乾燥レンズがコンタクトレンズ包装溶液にレンズを浸漬することによって水和される。結果として、顧客への送達のためのパッケージには、本開示の包装及び保存水溶液に浸漬された1つ以上の未使用のコンタクトレンズを含有するシール容器が含まれることになる。
一実施態様において、本眼科用レンズ包装システムをもたらす工程には、(1)後側及び前側金型部分を含む金型において眼科用レンズを成形する工程、(2)金型からレンズを取り出し、レンズを水和する工程、(3)その中にレンズが支持された容器に表面改質ポリマー又はコポリマーを有する包装溶液を導入する工程、及び(4)容器を密封する工程が含まれる。追加の工程には、本明細書に記載されているように吸収工程及び/又は1つ以上の表面改質工程を行うことが含まれてもよい。例えば、上記の工程(3)は、例えば、1つ以上のモノマー及び開始剤の組み合わせを導入し且つ本明細書に記載されているように重合を開始すること(例えば、紫外線(UV)、熱、又はレドックス開始重合)によって、包装溶液中の水和したレンズに表面改質を適用することを含んでもよい。好ましくは、方法には、容器の内容物を滅菌する工程も含まれる。滅菌は、容器の密封前に、又は最も便利にはそれの後に行われてもよく、当該技術において既知の任意の適切な方法によって、例えば、シール容器及びその内容物を約120℃以上の温度でオートクレーブ処理することによって行われてもよい。
他の実施態様において、本発明は、(1)後側及び前側の金型部分を含む金型において眼科用レンズを成形する工程、(2)レンズを金型から取り出す工程、及び(3)レンズ及び表面改質ポリマー又はコポリマーを有する溶液を容器に導入する工程を含んでいる。
本発明を詳細に記載してきたが、修正及び変更が添付の請求の範囲に定義した本発明の範囲を逸脱せずに可能であることは明らかである。さらにまた、本開示におけるすべての例が限定されない例として示されていることは理解すべきである。
下記の限定されない実施例は、本発明をさらに例示するために示される。本発明者らが見い出した方法を示す以下の実施例に開示される技術が本発明の実施において充分に機能するので、その実施のための方法の実施例を構成するとみなされ得ることを当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、多くの変更が開示され、さらに本発明の精神と範囲から逸脱することなく類似の又は同様の結果を得る個々の実施態様において行うことができることを理解すべきである。
Ce(IV)仲介反応によるコンタクトレンズ表面上のSBMAポリマーのグラフト化。
コンタクトレンズを、1mMの硝酸セリウム(IV)アンモニウムを有する5%(質量/質量)SBMAの水溶液で充填したガラスバイアルに入れた。バイアルを同じ反応溶液で仕上げ、気泡を入れずに蓋をした。電気テープで密封した後、バイアルを60℃で1時間100rpmの振盪機に置いた。反応後、試料を取り出し、0.15M NaClで一晩すすいだ。
UV化学によるコンタクトレンズ表面上のSBMAポリマーのグラフト化。
工程1. 開始剤IRGACURE 2959の吸収。IRGACURE 2959を37℃の水に溶解して、0.5%溶液にした。37℃で1時間100rpmの振盪機上の0.5% IRGACURE溶液を有する20mLのガラスバイアルにコンタクトレンズを入れた。水で約30秒間すすいだ後、コンタクトレンズをポリエチレンラックに置いて、相互に分離した。レンズを微小な空気流れで乾燥した後、さらなる乾燥のために暗所で一晩保持した。
工程2. UVグラフト化。
IRGACURE 2959を吸収したコンタクトレンズを、水中10%SBMA(質量)を有する石英ガラス管(チューブ当たりの1つのレンズ)に入れ、ゴム隔膜で栓をし、パラフィルムで固定した。SBMA溶液を、ニードルを通して窒素で20分間パージし、ニードルを取り出した。コンタクトレンズに付着した気泡を、チューブを軽くたたくことによって取り除いた。チューブをUV-反応器内に直立に置き、回転させながら30分間照射した。反応器からチューブを取り出した後に、各コンタクトレンズを0.15M NaClで一晩すすいだ。
TBEC-Fe(II)開始レドックス重合を用いてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ表面からpSBMAをグラフト化して表面親水性及び湿潤性を改善する。
t-ブチルエチルヘキシルペルオキシカーボネート(TBEC、熱開始剤)(1.0質量/容積%)をヘプタンに添加することによって溶液を調製した。5個のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを50mlの上記の溶液に浸漬した。溶液容器を光から保護し、120rpmに設定したオービタルシェーカーを用いて溶液を30分間撹拌した。30分後、上記の溶液を傾瀉し、レンズを浸漬し、約20mlのヘプタン中で約10秒間撹拌して、残留TBECを除去した。ヘプタンを傾瀉し、TBECを吸収したレンズを圧縮空気の穏やかな流れを用いて閉じることができるラックの両側で約10秒間乾燥した。次に、TBECを吸収したレンズを光から保護し、周囲条件で1〜2時間乾燥した。
N-(3-スルホプロピル)-N-メタクリルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン(SBMA)を脱イオン水に溶解することによって溶液を調製した。グルコン酸鉄(II)二水和物(グルコン酸第一鉄)を脱イオン水に溶解することによって溶液を調製した。グルコン酸第一鉄水溶液をSBMA水溶液に添加し、充分に混合して、反応溶液(1.0、5.0、又は10.0質量% SBMA、5mMグルコン酸第一鉄)を生成した。次に、反応溶液を反応溶液に添加し、予めTBECを吸収させたレンズを反応溶液に浸漬した。すべての気泡をレンズから取り除き、反応容器が完全に一杯になるまで反応溶液を添加した。反応容器に蓋をし、パラフィルムとビニル絶縁テープで固定して、気密シールを作成した。レンズを含有する溶液を、120rpmに設定したオービタルシェーカーを用いて撹拌し、60℃で2時間加熱してレンズ面から熱グラフト重合を誘導した。2時間の重合後、レンズを0.15M生理食塩水に浸漬し、120rpmに設定したオービタルシェーカーで30分間撹拌して、絡み合ったオリゴマー、ホモポリマー及び未反応モノマーをレンズ面から除去した。この30分のすすぎ手順を2回以上繰り返し、続いて一晩すすいだ。
静的キャプティブバブル法を用いて処理レンズの表面の接触角を測定した。対照レンズの接触角測定値は19°〜36°であったが、本発明の処理レンズの接触角測定値はすべて0°の接触角測定値を有し、閉じ込められた気泡と改質表面との相互作用はなかった。
データは、本発明の方法がシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの表面の親水性及び湿潤性を著しく強化することを証明している。
塩を添加して処理を改善する
Ce(IV)及びUV化学双方によるコンタクトレンズ上のSBMAのグラフト化において、SBMAのホモポリマーを反応の間に製造した。SBMAホモポリマーのUCSTの存在のため、反応が高温で行われなかった場合に溶液から沈殿した。ホモポリマーが塩溶液に可溶であるので、塩の添加が上記の反応の間の沈殿の形成を減少させ、透明溶液を保持した。例えば、実施例1及び2において0.15M NaClを添加した。
種々の製造プロセスにおけるUVプロセスの説明(開始剤なしで)
非抽出コンタクトレンズを石英ガラスチューブにおけるSBMA溶液の中に置いた。SBMA溶液を、ニードルを通して20分間窒素でパージし、ニードルを取り出した。コンタクトレンズに付着した気泡を、チューブを軽くたたくことによって除去した。チューブをUV-反応器内に直立して置き、回転させながら30分間照射した(100W、水銀ランプ、波長約360nm)。反応器からチューブを取り除いた後、各コンタクトレンズを0.15M NaClで一晩すすぎ、その後、ATR-FTIR及び接触角試験を用いて評価した。
他の開始剤を用いてベタインポリマーをグラフトする
コンタクトレンズ及びポリHEMAヒドロゲルを、1〜5mMの鉄(III)又は他の遷移金属又はランタニド金属を有する5%(質量/質量)SBMA水溶液で充填したガラスバイアルに添加した。反応溶液で一杯にするためにバイアルに添加し、気泡を入れずに蓋をした。絶縁テープで密封した後、バイアルを60oCで1時間100rpmの振盪機に置いた。反応後、試料を取り出し、0.15MのNaClで一晩すすいだ。他の開始剤を試み、反応を表1に示す。
他の開始剤を用いてベタインポリマーをグラフトする
コンタクトレンズ及びポリHEMAヒドロゲルを、1〜5mMの過硫酸カリウムを有する5%(質量/質量)SBMA水溶液で充填したガラスバイアルに添加した。反応溶液で一杯にするためにバイアルに添加し、気泡を入れずに蓋をした。絶縁テープで密封した後、バイアルを60oCで1時間、100rpmの振盪機に置いた。反応後、試料を取り出し、0.15MのNaClで一晩すすいだ。
他の開始剤を試み、反応を表2に示す。
CIBA、Cooper,J&J、B&L、及びContamac製の他のレンズ上にSBMAをグラフトする
異なる会社(すべてシリコーンベースのヒドロゲル)からの下記のレンズをセリウム及びUV化学を用いて改質し、表面上にSBMAをグラフトした。表面をATR-FTIRによって確認した。改質後の接触角を測定した。
複数のタイプのシリコーンヒドロゲルレンズを以前の実施例に従って改質し、エオシン染色又はEDSを用いて分析した。シリコーンヒドロゲルレンズ、測定反応条件を表1で識別し、結果を図1〜4に示す。図4は、レンズの外側の位置から、レンズの表面を通して(約4ミクロンで)、4ミクロンを超えたレンズの深さに進行するy軸による原子パーセントの測定を示す図である。これらの実施例は、各レンズ上の表面改質の一様性を示している。これらの実施例は、また、反応条件に基づいて種々の浸透深さを有する種々のレンズを改質する化学及び能力の適応性を示している。
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ(Air Optix(登録商標) Aquaレンズ)の複数のバッチを実施例1に記載されているように改質し(水溶液が1mMの硝酸セリウム(IV)アンモニウム塩を有する15%(質量/質量)SBMA水溶液であることを除く)、バイアルを振盪機に4時間置き、接触角及び寸法を測定した。平均前進接触角は、19.3±2.4度であった。平均寸法は、14.2±0.04mmの直径及び8.53±0.05mmのベースカーブであった。
実施例10の改質コンタクトレンズの試料を摩擦係数測定に供した。結果から、改質したレンズが未改質の対照レンズよりも摩擦が62%少ないことが証明された。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料を全硫黄分析に供した。結果は、0.078%であった。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料を、ポーラログラフィー法によって酸素透過性(Dk)測定に供した。結果は、効果的な浸透性が未改質のレンズ用の110 Fatt Dk単位と比較して106 Fatt Dk単位であったことであった。これは、Dk、レンズのバルク特性の1つが実質的には変わらなかったことを証明している。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料を、周囲温度で90日間保存の後、パワー測定に供した。改質したレンズの結果は、未改質のレンズの-0.50ジオプターと比較して-0.53ジオプターであり、レンズのパワーが表面を改質することによって実質的には変わらなかったことを証明した。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料を含水量に供した。結果は、未改質の対照レンズの33%含水量と比較して改質したレンズが36%含水量であった。これは、表面改質がバルク含水量を実質的には変えないことを証明している。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料をゼータ電位に供した。結果から、改質及び未改質のレンズ双方の中性電荷が証明され、表面改質による表面電荷の変化を示さなかった。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料を、オートクレーブによって滅菌し、無菌試験に供した。結果から、ダイズカゼイン消化ブイヨン(SCDB)又は液状チオグリコレート培地(FTM)において2週間にわたって生物体の発育が証明されなかった。この結果は、コンタクトレンズを滅菌することが可能であり且つ選ばれた包装がレンズの無菌状態を維持することが可能であったことを示している。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料について、LAL法によってエンドトキシンを試験した。結果から、レンズが検出可能な内毒素(デバイス当たりのエンドトキシン単位<0.025)を有しないことが証明された。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料を、生物適合性試験に供した。結果から、レンズがISO 10993-5で細胞毒性がなく、ISO 10993-10で眼組織に刺激性がなく、且つISO 10993-11で全身毒性の証拠がないことが証明された。
改質したコンタクトレンズの試料を、30サイクルのシミュレーションした洗浄法に供した。レンズを3%過酸化水素溶液ですすぎ、手袋をした手のひらと人差指の間で30秒間摩擦した。1ヵ月の洗浄をシミュレーションするためにこの応力を連続して30回行った。摩擦後の改質したレンズの前進接触角は17±2度であったが、対照レンズの平均前進接触角は30度を超えるまで増加した。
実施例10の改質したコンタクトレンズの試料について、IRB認可のプロトコールによって安全性の評価を10人の患者において試験した。安全性に対する懸念はみられなかった。
実施例10に従って調製した改質したコンタクトレンズ及び実施例10に従って改質されなかったそれ以外の同一のコンタクトレンズを、1.4866keVのX線エネルギー、0.85eVの線幅、及び400ミクロンのスポットサイズを用いて、12kVの電子ビームによって発生する単色化ソフトアルミニウムK-αX線を用いたThermo Scientific K-Alpha XPSにより分析した。炭素又は他のスパッタ-コーティングは用いなかった。深さプロファイルを実験するために、試料の各々をアルゴンスパッタ銃でエッチングした。アルゴンイオンは、1000eVのエネルギーを有した。ラスターサイズは、2mmであった。各エッチングサイクルは、30秒であった。各エッチング後に概略スペクトルを走査したので、表面素子が検出され且つ定量化され得る。改質した試料に対して、60エッチングサイクルを行った。未改質の対照試料に対して、30サイクルを行った。
結果を図5及び図6に示す。これらの各々において、元素の濃度を比率(X:B)として標準化し、「X」が測定点の測定値であり、「B」がバルク濃度であり、濃度は実質的に変化していない。これらの測定において、50nm連続間隔にわたって平均濃度を算出し、平均濃度が前の間隔の平均濃度の10%以内にある第1の間隔を確認することによって、バルク濃度「B」を定量した。図5及び図6において、濃度を50nm間隔にわたって平均し、濃度を間隔の最も左の点でプロットする(例えば、100nmでプロットした濃度は、100nmから150nmまでの濃度の平均である)。
未改質の試料に対しては、バルクよりも表面上のケイ素濃度が30%低かった(比率0.7)。改質した試料に対しては、表面上の硫黄濃度の標準化比率は、最初にバルク(200nm後)における硫黄濃度より10倍高く、200nmにわたって10から1にほぼ直線的に低下するが、標準化比率は表面上の0.04から1へ増加した。(図5を参照のこと)。
図6は、改質した表面の上部250nmの範囲内の第四級アミン(N1s)の分析である。第四級アミンN1sの最大標準化比率は約50(すなわち、硫黄の最大標準化比率の約5倍)であるが、N1s標準化比率曲線は表面改質の硫黄の標準化比率曲線の傾斜及び勾配と一致する傾斜及び勾配を有する。
Claims (42)
- ケイ素含有ポリマーの表面を改質させる方法であって、
ケイ素含有ポリマー、重合モノマー、フリーラジカルレドックス開始剤系、及び溶媒系を含む重合反応混合物を形成する工程であって、重合モノマーが双性イオンモノマーを含み、フリーラジカルレドックス開始剤系がランタニド又は遷移金属酸化剤を含んでいる、前記工程; 及び
反応混合物中でモノマーを重合させて、ケイ素含有ポリマーの表面上に表面改質ポリマーを形成する工程を含む、前記方法。 - ケイ素含有ポリマーが、少なくとも1質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ケイ素含有ポリマーが、少なくとも5質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ケイ素含有ポリマーが、少なくとも10質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ケイ素含有ポリマーが、少なくとも15質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ケイ素含有ポリマーが、少なくとも20質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ケイ素含有ポリマーが、少なくとも25質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ケイ素含有ポリマーが、少なくとも30質量%のケイ素を含有する、請求項1に記載の方法。
- ランタニド又は遷移金属酸化剤が、セリウム(IV)塩である、請求項1に記載の方法。
- ランタニド又は遷移金属酸化剤が、下記: Fe2+、Cr2+、V2+、Ti3+、Co2+、及びCu+より選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマーが、カルボキシアンモニウムポリマー又はスルホアンモニウムポリマーを含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマーが、カルボキシアンモニウムポリマーを含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマーが、スルホアンモニウムポリマーを含んでいる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマーが、双性イオンポリマーを含んでいる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマーが、カルボキシベタインポリマーを含んでいる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマーが、スルホベタインポリマーを含んでいる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマー、カルボキシアンモニウムポリマー、スルホアンモニウムポリマー、双性イオンポリマー、カルボキシベタインポリマー、又はスルホベタインポリマーが、連鎖成長付加ポリマーである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマー、カルボキシアンモニウムポリマー、スルホアンモニウムポリマー、双性イオンポリマー、カルボキシベタインポリマー、又はスルホベタインポリマーが、ポリオレフィンである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 表面改質ポリマー、カルボキシアンモニウムポリマー、スルホアンモニウムポリマー、双性イオンポリマー、カルボキシベタインポリマー又はスルホベタインポリマーが、下記式1
(式中、X1及びX2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、又は置換カルボニルであるが、X1及びX2は、各々、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロ置換カルボニルからなる群より選ばれず、
X3は、水素、アルキル又は置換アルキルであり、
X4は、-OX40、-NX41X42、-N+X41X42X43、-SX40、アリール、ヘテロアリール又はアシルであり、
X40は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ又はアシルであり、
X41、X42及びX43は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである)
に対応する繰り返し単位を含んでいる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。 - X1及びX2が、水素である、請求項21に記載の方法。
- X3が、水素又はアルキルである、請求項19又は20に記載の方法。
- X3が、水素又はアルキルである、請求項22に記載の方法。
- X4が、式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分を含むペンダント基である、請求項23に記載の方法。
- 式2の繰り返し単位が、式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B、又はZI-7に対応する双性イオン部分を含む双性イオン繰り返し単位である、請求項22に記載の方法。
- 式2の繰り返し単位が、カチオン繰り返し単位である、請求項22に記載の方法。
- 式2の繰り返し単位が、アニオン繰り返し単位である、請求項22に記載の方法。
- X3が、水素又はメチルであり、X4が、式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分又は式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B又はZI-7に対応する双性イオン部分を含むペンダント基である、請求項22に記載の方法。
- X44が、-OX45、-NHX45、又は-SX45であり、X45が、オキシル化アルキレン部分、双性イオン部分、アニオン部分、又はカチオン部分を含む置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロ部分である、請求項29に記載の方法。
- X3が、水素又はアルキルである、請求項29に記載の方法。
- X44が、-OX45、又は-NX45X46であり、X45が、式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分又は式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B、又はZI-7に対応する双性イオン部分を含み、X46が、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである、請求項29に記載の方法。
- 式3に対応する繰り返し単位が、カチオン繰り返し単位及び/又はアニオン繰り返し単位を含んでいる、請求項29に記載の方法。
- X3が、水素又はメチルであり、X44が、式POA-1に対応するオキシル化アルキレン部分又は式ZI-1、ZI-2、ZI-3、ZI-4、ZI-5、ZI-6A、ZI-6B、又はZI-7に対応する双性イオン部分を含んでいる、請求項29に記載の方法。
- ポリマーが、式3に対応する繰り返し単位を含有し、X44が、-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)nSO3 -、-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)nCO2 -、-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)nCO2 -、又は-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)nSO3 -(ここで、nは1〜8である)である、請求項29に記載の方法。
- X44が、-NH(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pSO3、-NH(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pCO2、-NH(CH2)mN+[(CH2)nCH3]2(CH2)pSO3、-NH(CH2)N+[(CH2)nCH3]2(CH2)pCO2、-NH(CH2)mNcyclo-(CH2)pCO2、又は-NH(CH2)mNcyclo-(CH2)pSO3であり、Ncyclo-が、少なくとも1つの窒素原子を含有する複素環構造又は複素環誘導体であり、mが、1〜8であり; nが、0〜5であり; pが、1〜8である、請求項29に記載の方法。
- X44が、-O(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pSO3、-O(CH2)mN(CH2)nCH3(CH2)pCO2、-O(CH2)mN+[(CH2)nCH3]2(CH2)pSO3、-O(CH2)N+[(CH2)nCH3]2(CH2)pCO2、-O(CH2)mNcyclo-(CH2)pCO2、又は-O(CH2)mNcyclo-(CH2)pSO3であり、Ncyclo-が、少なくとも1つの窒素原子を含有する複素環構造又は複素環誘導体であり、mが、1〜8であり; nが、0〜5であり; pが、1〜8である、請求項29に記載の方法。
- X44が、-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)3SO3、-O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)2CO2、-NH(CH2)2N+(CH3)2(CH2)3SO3、-NH(CH2)2N+(CH3)2(CH2)2CO2、-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)3SO3、-NH(CH2)3N+(CH3)2(CH2)2CO2、-O(CH2)2N+(CH2CH3)2(CH2)3SO3、-O(CH2)2N+(CH2CH3)2(CH2)2CO2、-O(CH2)2N+(CH2CH2CH2CH3)2(CH2)3SO3、-O(CH2)2N+(CH2CH2CH2CH3)2(CH2)2CO2又は-NH(CH2)3Ncyclo-(CH2)3SO3であり、Ncyclo-が、少なくとも1つの窒素原子を含有する複素環構造又は複素環誘導体である、請求項29に記載の方法。
- 表面改質ポリマー、カルボキシアンモニウムポリマー、スルホアンモニウムポリマー、双性イオンポリマー、カルボキシベタインポリマー又はスルホベタインポリマーが、下記式4:
bは、0〜1であり;
cは、0〜1であり;
dは、0〜1であり;
mは、1〜20であり;
n及びoは、独立して、0〜11であり;
p及びqは、独立して、0〜11であり;
X3は、水素、アルキル又は置換アルキルであり、
X4は、-OX40、-NX41X42、-SX40、アリール、ヘテロアリール又はアシルであり;
X40は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ又はアシルであり;
X41及びX42は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロであり;
X49は、水素、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルであるが、
a、b、c及びdの合計は、0よりも大きく、繰り返し単位DのX4は、繰り返し単位A、B及びCの対応するペンダント基と異なる)
に対応する繰り返し単位を含んでいる、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。 - 表面改質ポリマー、カルボキシアンモニウムポリマー、スルホアンモニウムポリマー、双性イオンポリマー、カルボキシベタインポリマー又はスルホベタインポリマーが、下記の式5、式6、式7、式8、又は式9:
(式中、HETは、複素環構造の一部であり、
X3は、水素、アルキル又は置換アルキルであり、
X4は、-OX40、-NX41X42、-SX40、アリール、ヘテロアリール又はアシルであり、
X5は、エステル、無水物、イミド、アミド、エーテル、チオエーテル、チオエステル、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、ウレタン又は尿素であり;
X6は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、又は尿素であり;
X7は、水素、アルキル又は置換アルキルであり;
X8は、アニオン部分であり;
X9は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、又は尿素であり;
X10は、水素、アルキル又は置換アルキルであり;
X11は、カチオン部分であり;
X12は、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン又は尿素であり;
X13は、水素、アルキル又は置換アルキルであり;
X14は、アニオン部分であり;
L1及びL2は、独立して、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロシクロ、アミド、無水物、エステル、イミド、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、又は尿素であり;
X40は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ又はアシルであり、
X41及びX42は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロである)
に対応する繰り返し単位を含んでいる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。 - 請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法によって形成される製品。
- 製品がコンタクトレンズである、請求項41に記載の製品。
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