乳児の高ビリルビン血症(乳児の黄疸又は新生児の高ビリルビン血症としても知られる)は、新生児において、ビリルビン生成と釣り合う速度でビリルビンが排出され得るように肝臓がビリルビンを結合できないときに生じる。ビリルビンは、出生時における胎児から成人のヘモグロビンの生理的変化の一端又は病的な溶血過程の一端としてのヘムの異化作用に由来する。酵素のヘムオキシゲナーゼはヘムを胆緑素まで酸化し、そしてビリベルジン還元酵素は胆緑素をビリルビンまで還元する。高い血清レベルのビリルビンは神経毒物質である。成人では、肝臓がビリルビンを結合した排出可能な形態に迅速に変化させる。しかしながら、新生児では、肝臓は未だ発育中であり、肝臓による結合と摂取は成人のように効率よくない。また、成人よりも大きい相対速度で溶血が生じることがある。これらの因子はいずれも、乳児に過剰なビリルビンをもたらす可能性がある。ある乳児においては、ビリルビンの高い血清レベルは、有害な生理的結果を起こす可能性がある。ビリルビンは黄色であり、過剰なビリルビンの乳児は、肌や白眼が黄色を帯びてくる。
ビリルビンの高い血清レベルを有する乳児は、核黄疸を発病する恐れがあり、脳性麻痺、アテトーシス、聴力低下、及び視覚障害などの重大な障害にわたる身体障害につながる可能性が少ないけれども存在する。早期の退院は、乳児の高ビリルビン血症の発見を損なう可能性があるため、高ビリルビン血症を迅速に治療する有効な手段が望まれている。成人では耐えられる副作用が新生児では全く許容不可能なことがあるため、新生児の特有な医学的状態は、出来るだけ安全な治療手段を必要とする。
高ビリルビン血症に対して現状で承認されて一般に用いられる治療には、光線療法と交換輸血がある。光線療法は、新生児に430〜490nmの光(青色光)を照射することを含む。この光はビリルビンをルミルビンとフォトビリルビンに変化させ、これらは低毒性の水溶性光異性体であり、乳児によってより迅速に排出され、このためビリルビンレベルを低下させることができる。光線療法を開始することの決定は、アメリカ小児科医アカデミー(AAP)が承認するノモグラムに準じた危険レベルと関係付けられた新生児の年齢と総血清ビリルビンレベルに基づくものである(図1参照)。光線療法の使用は、付加的な監視、患者管理、及び場合により追加の入院期間を必要とする。
交換輸血は、高ビリルビン血症の新生児においては、徹底的な光線療法がビリルビンレベルでも低下できない場合に検討されるべきである。この治療は、強い光線療法が有効なときには必要ないと考えられる。この処置は、部分的に溶血して抗体でコーティングされた赤血球と同時にビリルビンを除去し、それらを感作抗原を含まない未コーティングのドナー赤血球に置き換える。驚くことではないが、交換輸血は、非常に複雑であり、必要無ければ避けるべきである。交換輸血を開始する決定は、新生児の年齢と総血清ビリルビンレベルとともにAAP承認のノモグラムに準じた危険レベルに基づく(図2参照)。
乳児の高ビリルビン血症は、疫病学的、臨床的、及び経済的に重大な医学的状態を構成する。その報告された発生率は、用いられる定義と研究された集団によって異なるが、一般に、満期産の約50%、早期産の80%の乳児が生後1週間に黄疸を発生すると認識されている。
乳児の高ビリルビン血症の臨床所見は、治療的介入を全く必要としない軽度のビリルビンから光線療法(PT)及び/又は交換輸血(ET)を必要とする重度の高ビリルビン血症まである。その病気の乳児の大部分は、軽度から中位の高ビリルビン血症であり、実験室的臨床モニタリングを必要とするに過ぎない。カリフォルニア・アメリカ病院コーポレーションにより報告された重度の高ビリルビン血症(総血清ビリルビン(TSB)≧25mg/dL)の発生率は10万人の生誕あたり17.9であった。2009年におけるアメリカ合衆国の413万人の生誕については、6%超の乳児がPTを受け、毎年1000超がETで治療されている。このため、AAPは、1999年の新生児高ビリルビン血症の取組(2004年改訂)について改正ガイドラインを発行した。
乳児の高ビリルビン血症及び/又は黄疸を治療するための光線療法は、確立された技術である。新生児の年齢と危険レベルに基づいて、光線療法を開始するタイミングには確立されたガイドラインがある。乳児の在胎期間などのこれらの確立されたガイドラインに基づき、乳児は、軽度、中位、又は高度の危険レベルが評価される。AAP承認の光線療法を開始するためのノモグラムは周知であり、図1に再現されている。このノモグラムは、乳児の測定された総血清ビリルビンレベル(mg/dL)、乳児の生誕からの時間単位の年齢、及び乳児の危険レベルに基づいて、いつ光線療法を開始すべかを確立している。例えば、図1は、危険が中位の乳児において、ビリルビンレベルが約12mg/dL以上であれば、生誕後36時間に光線療法を開始すべきと示している。図2は、極端な場合に交換輸血を開始する同様なノモグラムを示し、とりわけ光線療法が有効ではなくてビリルビンレベルが異常に高い場合である。
いくつかの態様において、光線療法を開始するための閾値レベルを達成する前にスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与することは、ビリルビンレベルを大きく低下させ、光線療法の発生率又はその必要性を劇的に減らすことがある。いくつかの態様において、閾値レベルを達成する前にスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与することは、ビリルビンレベルを大きく低下させ、交換輸血の発生率又はその必要性を劇的に減らすことがある。理論に束縛される意図はないが、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与するタイミングは、ビリルビンレベルの低下に重要な役割をし、光線療法又は交換輸血の必要性を低下させる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、光線療法の時間を短縮することがある。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、光線療法の光強度を低下させることがある。
スタンソポルフィンは、合成のヘム類似体であり、ヘムの異化作用における律速段階として、ヘムオキシゲナーゼの有力な競合的阻害薬として作用する。スタンソポルフィンは、ヘムオキシゲナーゼの阻害を介してビリルビンの生成を低下させ、ビリルビン生成の低下の必要を生じる臨床的状況を出現する根拠をなすことが示されている。スタンソポルフィンは、インビトロとインビボの実験の双方において幅広く研究されている。動物実験では、スタンソポルフィンは、提案のヒト用量にほぼ等しい用量において、心電図(ECG)、中枢神経系、心臓血管、肺、及び腎機能に、生物的に重要な効果を有しないことが実証されている。
スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンは、投与後の約6〜12時間に効果を現し始める。図7に示すように、メタロポルフィリン、例えば、スタンソポルフィンの投与から最初の約12時間は上昇し、その後ビリルビンレベルは横ばいになり、次いで48時間を過ぎてかなり低下し(1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgの用量を参照)、一方、プラセボは、継続して増加し、24時間以降も上昇する。例えば、図10に見られるように、中位の危険性の乳児に36時間に与えた1回の1.5mg/kgの用量は、光線療法の閾値(約12mg/dL)よりも3mg/dL低い(約9mg/dL)の総血清ビリルビンを有する。また、図10に見られるように、1回の1.5mg/kgの用量で治療した乳児の17.6%のみが以降の光線療法を必要としたのに対し、プラセボでは53.3%であった。
理論に束縛される意図はないが、より早期の投与は、薬剤が作用する時間に余裕を与え、このため光線療法の必要性を少なくする。光線療法の閾値より低くは約2〜3mg/dLの用量の投与は、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンの効能に必要と考えられるものの6〜12時間の遅れと見積もることができる。
したがって、いくつかの態様は、メタロポルフィリンを必要とする被験者にその投与をすることを含む治療の実施の必要性を軽減する方法を提供する。いくつかの態様において、本方法は、光線療法及び/又は交換輸血の実施の必要性を低下させる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、既知年齢と既知危険レベルの乳児に光線療法を開始するとAAPノモグラムが示唆するレベル以下に乳児の測定された総血清ビリルビンレベルがあるときに行うことができる。
いくつかの態様は、高ビリルビン血症の治療方法を提供し、本方法は、既知年齢と高ビリルビン血症の既知危険レベルを有する乳児にスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、該投与は、乳児の測定された総血清ビリルビンレベルが既知年齢と既知危険レベルの乳児に光線療法を開始するとAAPノモグラムが示唆するレベル以下にあるときに行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、乳児の血清ビリルビンレベルが光線療法を認定するのに必要なものより低くは約0.5mg/dL〜約3mg/dLのときに投与することができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、乳児のビリルビンレベルが光線療法を認定するのに必要なものより低くは約1mg/dL〜約3.0mg/dLのときに投与することができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、乳児の血清ビリルビンレベルが光線療法を認定するのに必要なものより低くは約2mg/dL〜約3mg/dLのときに投与することができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、既知年齢の既知危険レベルについて図3に示されるレベルに血清ビリルビンレベルが達したときに投与することができる。
いくつかの態様において、高ビリルビン血症の治療方法は、高ビリルビン血症に対する既知危険レベルを有する既知年齢の乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、該投与は、既知年齢より約12〜約24時間早い年齢の同じ既知危険レベルの乳児において光線療法の開始を示唆されるほぼそのレベルに乳児の測定された総血清ビリルビンレベルがあるときに行われる。いくつかの態様において、総血清ビリルビンレベルが既知年齢の既知危険レベルについて図4で示されたレベルに達したときに、メタロポルフィリンを投与することができる。
いくつかの態様において、高ビリルビン血症の治療方法は、高ビリルビン血症に対する既知危険レベルを有する既知年齢の乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、該投与は、乳児の測定された総血清ビリルビンレベルが同じ既知年齢の乳児における次に高い危険レベルの光線療法を開始すると示唆されるレベルとほぼ同じレベルにあるときに行われ、該乳児は軽度又は中位の危険にある。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、既知年齢の既知危険レベルについて図5に示されたレベルに総血清ビリルビンレベルが達したときに投与することができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、既知年齢の既知危険レベルについて図12A〜12Cに示されたレベルに総血清ビリルビンレベルが達したときに投与することができる。
いくつかの態様において、光線療法を開始すると示唆されるレベルは、修正AAPノモグラムの使用によって確定される。いくつかの態様において、被験者は乳児であることができる。いくつかの態様において、被験者は約35〜約43週間の在胎期間を有してもよい。いくつかの態様において、被験者は約1700〜約4000gの出生時体重を有してもよい。いくつかの態様において、治療時の被験者の年齢は誕生間近から約20日であってもよい。いくつかの態様において、被験者は、介入治療を必要とする高い危険にあってもよい。いくつかの態様において、介入治療は、光線療法、交換輸血、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの態様において、本方法は、承認された慣例にしたがって被験者に光線療法を施すことをさらに含んでもよい。
ここでいくつかの態様は、ビリルビンレベルを低下させることが要求される光線療法の期間を低下させる方法に関し、メタロポルフィリンを必要とする被験者にそれを投与することを含む。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、光線療法の必要を無くす。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、約0.5〜約168時間、0.5〜約150時間、0.5〜約125時間、0.5〜約100時間、0.5〜約75時間、0.5〜約50時間、0.5〜約25時間、0.5〜約20時間、0.5〜約15時間、0.5〜約10時間、1〜約168時間、1〜約150時間、1〜約125時間、1〜約100時間、1〜約75時間、1〜約50時間、約1〜約25時間、約1〜約20時間、約1〜約15時間、約1〜約10時間、2〜約168時間、2〜約150時間、2〜約125時間、2〜約100時間、2〜約75時間、2〜約50時間、約2〜約25時間、約2〜約20時間、約2〜約15時間、約2〜約10時間、約3〜約10時間、約4〜約10時間、約5〜約10時間、約6〜約10時間、約1〜約8時間、約2〜約8時間、約3〜約8時間、約4〜約8時間、約5〜約8時間、又は約6〜約8時間にわたって光線療法の期間を低下させる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、25時間以上にわたって光線療法の期間を低下させる。
いくつかの態様において、乳児のビリルビンレベルが光線療法の閾値に達する約12時間前のスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンの投与は、光線療法が必要とされる可能性を大きく減らすことがある。不都合なことに、乳児が特定の閾値に達するであろう時を予測することはできない。しかしながら、光線療法を必要とする恐れのある乳児にスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与するための閾値を確立することはできる。この閾値は、mg/dL単位の測定された総血清ビリルビン、乳児の年齢、及び乳児の危険レベルに基づくことができる。いくつかの態様において、被験者の測定された総血清ビリルビンレベルが以下の場合、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与することによって12時間先行処置を見積もることができる。
(a)既知年齢と既知危険レベルの乳児に光線療法を開始するためのAAPノモグラムによって示唆されるレベルより少なくとも約0.5〜約3mL/dL低い、又は
(b)既知年齢から約12〜約24時間少ない年齢での既知危険レベルの乳児に光線療法を開始するためのAAPノモグラムによって示唆される、少なくともほぼそのレベル、又は
(c)治療されるべき乳児が軽度又は中位の危険性にあり、既知年齢の乳児における次に高い危険レベルで光線療法を開始するためのAAPノモグラムによって示唆される、少なくともほぼそのレベル。
−光線療法閾値に関してシフトしたノモグラムに基づく投与−
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症又はその症状を治療する方法に関し、本方法は、排除因子が存在せず、少なくとも1つのベースラインの総ビリルビンレベルが所定の閾値より高く、かつ少なくとも1つの危険因子が存在する高ビリルビン血症の乳児に、メタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、高ビリルビン血症又はその症状が治療される。
いくつかの態様は、乳児におけるベースラインの総ビリルビンレベルを確定することをさらに含む。いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンレベルは、総血清ビリルビンレベル、総皮膚性ビリルビン、又はそれらの組み合わせを含む。
いくつかの態様において、乳児の在胎期間は約35〜約43週間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、乳児はクームス陽性である。いくつかの態様において、乳児はクームス陰性であり、少なくとも1つの危険因子が存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンレベルの確定は、生後約6時間以内、生後約12時間以内、生後約24時間以内、及び生後約48時間以内から選択された時間に行われる。
いくつかの態様は、少なくとも1つの危険因子の存在を特定することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様は、少なくとも1つの排除因子の不存在を特定することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの排除因子は、新生児甲状腺疾患の臨床的示唆、妊婦の橋本病以外の母親の現状対処できない甲状腺疾患、眼科予防のエイトロマイシン以外のQT間隔を延ばし得る薬剤を用いた乳児における治療又は治療要請、長いQT症候群の家族歴、乳幼児突然死症候群の家族歴、既知のポルフィリン症、ポルフィリン症の危険因子、ポルフィリン症の家族歴、全身性エリテマトーデスの母親の既往歴、出産の30日前又は授乳の場合は出産後のフェノバルビタールの母親の使用、母親の現在の薬物又はアルコールの乱用、薬物又はアルコールの母親の経歴、アプガー指数が5分後に6以下、先天性の異常、感染、酸血症、敗血症、肝炎;予測可能な将来における外科手術又は手術室光照射を必要とする過剰リスク、1分間あたり60超の呼吸数で規定される心肺窮迫、新生児の一過性多呼吸の診断、異常な聴覚又は眼科的所見、実験的スクリーニング評価における臨床的に有意な異常、高い直接又は抱合型ビリルビン(TSBが5.0mg/dL未満の場合は1.0mg/dL超、又はTSBが5.0mg/dL以上の場合は20%超のTSB)、標準的治療にもかかわらず持続した低血糖(40mg/dL未満の血糖)、正常な上限(ULN)の2倍を超えるALT及び/又はASTとして規定される肝疾患、ULNの2倍を超えるクレアチン及び/又は血中尿素窒素として規定される異常肝機能、同種免疫血球破壊によって生じたものではない球状赤血球症のような構造的赤色細胞の何らかの血液汚れの所見、一貫した(連続3回)36℃超及び/又は37.5℃超の腋窩の温度として規定される体温調節障害、感光性薬物又は薬剤の使用;ULNを上回る血清ナトリウムである高ナトリウム血症として規定される脱水症、静脈内免疫グロブリン(IVIG)又はアルブミンの使用、ビリルビンをアルブミンから置換することが知られている又は疑われている薬剤(例、セフトリアキソン又はサルファ系抗生物質)を用いた出産後の治療、限定されるものではないが肺疾患や心疾患などの重大な病的症状、出産後の何らかの研究的な薬剤又は装置の使用、臨床試験への参加、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、所定の閾値は、既知の年齢で既知の危険レベルにある乳児に光線療法を開始するためのAAPノモグラフによって決められるレベルである。いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、及び乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dLから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、生後約6時間以内、生後約12時間以内、生後約24時間以内、及び生後約48時間以内から選択された時間に行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、錫メソポルフィリン、亜鉛メソポルフィリン、クロムメソポルフィリン、錫プロトポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、クロムプロトポルフィリン、ビスグリコールプロトポルフィリン、及びフェロポルフィリンから選択される。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、錫メソポルフィリン(スタンソポルフィンとも称する)である。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、錫メソポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、錫メソポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは筋肉注射によって投与される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後20日未満のときに行われる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後30日未満のときに行われる。
いくつかの態様は、メタロポルフィリン投与後の総ビリルビンレベルがベースラインの総ビリルビンレベルを超える光線療法の適用をさらに含む。
いくつかの態様は、メタロポルフィリン投与に続く治療後の総ビリルビンレベルの確定をさらに含む。いくつかの態様において、メタロポルフィリン投与に続く治療後の総ビリルビンレベルの確定は、乳児にメタロポルフィリンを投与した後の約6〜約72時間に行われる。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与24時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを少なくとも5%下回る。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与48時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを少なくとも10%下回る。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与72時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを少なくとも20%下回る。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与48時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを3mg/dL未満上回る。
いくつかの態様は、身体検査、皮膚科検査、聴能検査、眼科検査、神経学的検査、臨床検査、心電図、及びこれらの組み合わせから選択された検査を乳児に対して行うことをさらに含む。この検査は、治療前、治療後、及び/又は病院から退院後に行うことができる。治療後検査は、治療効果と同時に何らかの有害事象を評価するために繰り返してもよい。
いくつかの態様において、乳児年齢と危険レベルで行われる光線療法のノモグラム閾値レベルよりも乳児の総血清ビリルビンが少なくとも0.5mg/dL低い、少なくとも約0.5mg/dL〜約3mg/dL低いときの乳児へのスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンは、薬剤がビリルビン生成に及ぼすその効果を発揮するのに十分な時間を可能にすることができる。例えば、再び図1及び生後36時間の中位危険性の乳児に光線療法を開始する約12mg/dLの閾値に関し、この方法においては、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンは、閾値より低くは約2〜約3mg/dL、又は約9〜約10mg/dLで乳児に投与すべきである。このようにすることによって、12時間後の光線療法の必要を大きく減らすことができ、即ち、48時間の評価で光線療法を必要とする乳児は少なくなると考えられる。
いくつかの態様において、この閾値のシフトは年齢に関係し、年長児がより大きい閾値低下の得をすることがある。例えば、生後約12〜約48時間の乳児において、既定年齢の光線療法閾値より低くは約3mg/dLで投与を行うことがある。生後12時間未満の乳児において、既定年齢の光線療法閾値より低くは約2mg/dLで投与を行うことがある。図3は、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与するときの提案ノモグラムを示し、光線療法閾値からの3mg/dLのシフトを図示する。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、総血清ビリルビンレベルが図3に示すレベルに達したときに投与してもよい。
−年齢に関してシフトしたノモグラムに基づく投与−
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、被験者より約12〜約24時間若いが同様な状況の被験者とビリルビンレベルがほぼ同じ閾値レベルのときに、被験者に投与してもよい。例えば、生後36時間の中位危険性の被験者は、そのビリルビンレベル(36時間で)が約9.7mg/dL(24時間の中位危険性乳児の光線療法閾値)であれば、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与してもよい。基本的に、光線療法を開始するノモグラムは、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与するノモグラムを確立するのに、右に12時間シフトする。図4は、12時間シフトを図解する提案ノモグラムを示す。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、総血清ビリルビンレベルが図4に示すレベルに達したときに投与してもよい。
−危険性レベルに関してシフトしたノモグラムに基づく投与−
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、被験者の総血清ビリルビンレベルが図12A〜12Cで示されたレベル又はそれ以上にあるときに投与してもよい。図5は、患者の危険レベルが次に高い危険レベルにシフトした提案ノモグラムを示す。例えば、図5に示すように、36時間の軽度危険性の被験者においては約12mg/dLで、中位危険性の被験者においては約9.5mg/dLで光線療法を始めるべきことを示す。これは、軽度と中位の危険性の赤ん坊にあてはまり、より高い危険性の光線療法閾値では、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンの治療を始めるものと考えられる。いくつかの態様において、高い危険性の乳児は、別の理論にしたがって治療してもよい。いくつかの態様において、総血清ビリルビンレベルが図5に示すレベルに達したときにメタロポルフィリンを投与してもよい。
図12A〜12Cは、高度、中位、及び軽度の危険性の乳児についての提案ノモグラムを、それぞれ総血清ビリルビンレベルに関して3.0mg/dLのシフトに基づいて説明するものである。即ち、被験者の危険レベルが一旦評価されると、図12A〜12Cに示すようなノモグラムを使用し、どのタイプの治療を開始すべきかが判断される。例えば、図12Aは、高い危険性の乳児についてのノモグラムである。この1つのノモグラムは、既定の年齢とTSBレベルについて、どこでスタンソポルフィン、光線療法、又は交換輸血を適用するかを示す。いくつかの場合、複合治療を提案してもよい。いくつかの態様において、総血清ビリルビンレベルが図12A〜12Cに示すレベルに達したときにメタロポルフィリンを投与してもよい。また、図12A〜12Cは、血清ビリルビンレベル、被験者の年齢、及び被験者の危険レベルに基づいて光線療法及び/又は交換輸血を開始してもよい態様を開示する。上述のような年齢に関係するシフトと危険レベルのシフトに基づき、メタロポルフィリン治療のシフトについて同様な提案ノモグラムを調製することができる。これらのグラフは、AAPノモグラムの目視検査から開発され、実際の数値データに関与していなかったため、ノモグラムから若干相違することがある。何らかの相違は意図的ではない。
−上昇するビリルビンに基づく投与−
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症及びその症状の可能性を低減する方法に関し、本方法は、ベースラインの総ビリルビンレベルに比較した少なくとも1つの総ビリルビンの測定において乳児の総ビリルビンが増加していると確定された乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、高ビリルビン血症又はその症状の可能性を低下させる。
いくつかの態様において、乳児の在胎期間は約35〜約43週間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、乳児はクームス陽性である。いくつかの態様において、乳児はクームス陰性であり、少なくとも1つの危険因子が存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、乳児の総ビリルビンは、2つの連続的な総ビリルビンの測定において増加していると判断される。いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンの測定は、生後約6〜約96時間に行われる。いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンの測定は、生後約6、12、24、48、72、又は96時間に行われる。いくつかの態様において、少なくとも1つの総ビリルビンの測定は、ベースラインの総ビリルビンの測定後の約6〜約72時間に行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、少なくとも1つの総ビリルビンの測定において乳児の総ビリルビンが増加していると確定されてから約1〜約6時間以内に行われる。
いくつかの態様において、乳児は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの危険因子を有する。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。さらにいくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様は、身体検査、皮膚科検査、聴能検査、眼科検査、神経学的検査、臨床検査、心電図、及びこれらの組み合わせから選択された検査を乳児に対して行うことをさらに含む。この検査は、治療前、治療後、及び/又は病院から退院後に行うことができる。治療後検査は、治療効果と同時に何らかの有害事象を評価するために繰り返してもよい。
−ビリルビンレベルを安定化させるメタロポルフィリンの投与−
いくつかの態様は、乳児におけるビリルビンレベルを安定化させる方法に関し、本方法は、ベースラインの総ビリルビンレベルの測定値を取得し、乳児に対して治療量のメタロポルフィリンを投与することを含み、ここで、該乳児は、高ビリルビン血症、所定の閾値を上回るビリルビンレベル、上昇するビリルビンレベル、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを有し、該乳児のビリルビンレベルを安定化させる。
いくつかの態様において、乳児に対する治療量のメタロポルフィリンの投与は、単一用量のメタロポルフィリンを投与することを含む。
いくつかの態様において、乳児は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの危険因子を有する。いくつかの態様において、乳児はクームス陽性である。いくつかの態様において、乳児はクームス陰性であり、少なくとも1つの危険因子が存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、乳児の在胎期間は約35〜約43週間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、総ビリルビンレベルの安定化は、一回の治療量のメタロポルフィリンの投与後の所定の時点で得られた少なくとも2つの総ビリルビンレベルの測定値がベースラインの総ビリルビンレベル又はそれを下回る総ビリルビンレベルを示したときに達成される。
いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dL、及びAAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値である。
いくつかの態様において、治療量のメタロポルフィリンは、約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
−メタロポルフィリンと光線療法の併用−
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症及びその症状を治療する方法に関し、本方法は、乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与し、かつ乳児に光線療法の治療量を適用することを含み、高ビリルビン血症又はその症状が治療される。
いくつかの態様において、乳児の在胎期間は約35〜約43週間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、乳児はクームス陽性である。いくつかの態様において、乳児はクームス陰性であり、少なくとも1つの危険因子が存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様は、ベースラインの総ビリルビンレベルを確定することをさらに含む。
いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンレベルの確定は、生誕から48時間以内に行われる。
いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子の存在は、乳児に治療量のメタロポルフィリンを投与する前に特定される。いくつかの態様において、乳児は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの危険因子を有する。
いくつかの態様は、乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与する前に、少なくとも1つの排除因子の存在を特定することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの排除因子は、新生児甲状腺疾患の臨床的示唆、妊婦の橋本病以外の母親の現状対処できない甲状腺疾患、眼科予防のエイトロマイシン軟膏以外のQT間隔を延ばし得る薬剤を用いた乳児における治療又は治療要請、長いQT症候群の家族歴、乳幼児突然死症候群の家族歴、既知のポルフィリン症、ポルフィリン症の危険因子、ポルフィリン症の家族歴、全身性エリテマトーデスの母親の既往歴、出産の30日前又は授乳の場合は出産後のフェノバルビタールの母親の使用、母親の現在の薬物又はアルコールの乱用、薬物又はアルコールの母親の経歴、アプガー指数が5分後に6以下、先天性の異常、感染、酸血症、敗血症、肝炎;予測可能な将来における外科手術又は手術室光照射を必要とする過剰リスク、1分間あたり60超の呼吸数で規定される心肺窮迫、新生児の一過性多呼吸の診断、異常な聴覚又は眼科的所見、実験的スクリーニング評価における臨床的に有意な異常、高い直接又は抱合型ビリルビン(TSBが5.0mg/dL未満の場合は1.0mg/dL超、又はTSBが5.0mg/dL以上の場合は20%超のTSB)、標準的治療にもかかわらず持続した低血糖(40mg/dL未満の血糖)、正常な上限(ULN)の2倍を超えるALT及び/又はASTとして規定される肝疾患、ULNの2倍を超えるクレアチン及び/又は血中尿素窒素として規定される異常肝機能、同種免疫血球破壊によって生じたものではない球状赤血球症のような構造的赤色細胞の何らかの血液汚れの所見、一貫した(連続3回)36℃超及び/又は37.5℃超の腋窩の温度として規定される体温調節障害、感光性薬物又は薬剤の使用;ULNを上回る血清ナトリウムである高ナトリウム血症として規定される脱水症、静脈内免疫グロブリン(IVIG)又はアルブミンの使用、ビリルビンをアルブミンから置換することが知られている又は疑われている薬剤(例、セフトリアキソン又はサルファ系抗生物質)を用いた出産後の治療、限定されるものではないが肺疾患や心疾患などの重大な病的症状、出産後の何らかの研究的な薬剤又は装置の使用、臨床試験への参加、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与と光線療法の治療量の適用は、排除因子が存在せずに行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与と光線療法の治療量の適用は、所定の閾値を超えるベースラインの総ビリルビンレベルの少なくとも1つ、少なくとも1つの危険因子、又はこれらの組み合わせが存在する場合に行われる。
いくつかの態様において、所定の閾値は、既知の年齢で既知の危険レベルにある乳児に光線療法を開始するためのAAPノモグラフによって決められるレベルである。いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、及び乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dLから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後48時間以内のときに行われる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後約20日未満のときに行われる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後約30日未満のときに行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与と光線療法は同時に行われる。いくつかの態様において、光線療法は、メタロポルフィリンの治療量の投与の約12時間以内及びメタロポルフィリンの治療量の投与の約24時間以内から選択されたときに行われる。
いくつかの態様は、皮膚科検査、聴能検査、眼科検査、神経学的検査、臨床検査、心電図、及びこれらの組み合わせから選択された身体検査を乳児に対して行うことをさらに含む。
−早期又は予防措置−
乳児を治療するにおける1つの懸案事項、とりわけ新生児と早産児に対する予防的治療についての懸案事項は、発育中の組織が大人とは異なって反応することである。乳幼児はこうした治療に対応できないことが多い。FDA、医者、親等は、いずれも、こうした治療が必要であると証明されるまでは「治療しない」方が大抵適切であるとの考えを一様に有する。いくつかの例外があることは言うまでもない。新生児は通常、場合により法的規制により、以前は多発して危険であった感染症を防ぐため、各々の眼を抗生物質溶液で処置される。これら新生児の一部は感染の危険がなく、一部は全く感染していないにしても、危険にもかかわらず各新生児を処置する恩恵は、処置に伴う危険を上回る。抗生物質点眼薬で予防的に新生児を処置することは、今では一般的になっており、新生児における眼の感染症の数を劇的に低下させている。このことは、乳児の高ビリルビン血症及び/又は黄疸の場合にも将来的に可能性があると考えられる。
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症の危険性及びその症状を低減する方法に関し、本方法は、乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、該乳児は高ビリルビン血症に伴う少なくとも1つの危険因子を有する。
いくつかの態様において、乳児の在胎期間は約35〜約43週間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、乳児はクームス陽性である。いくつかの態様において、乳児はクームス陰性であり、少なくとも1つの危険因子が存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、乳児は、乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値を約3mg/dL未満下回る総ビリルビンレベルを有する。
いくつかの態様において、乳児に対する治療量のメタロポルフィリンの投与は、単一用量のメタロポルフィリンを投与することを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、危険因子は、所定の閾値又はそれ以上の総ビリルビンレベルである。いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dL、及びAAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値である。
いくつかの態様において、乳児に対する治療量のメタロポルフィリンの投与は、メタロポルフィリンの投与前の総ビリルビンレベルに比較し、総ビリルビンレベルにおける少なくとも1つの減少をもたらし、メタロポルフィリンの投与前の総ビリルビンレベルに比較し、総ビリルビンレベルにおける検出可能な増加をもたらさない。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様において、予防的仕方又は少なくとも早期介入を伴う仕方で、総血清ビリルビンレベルを問わず、高危険度及び/又は中間危険度の乳児に薬剤を使用してもよい。
いくつかの態様において、乳児における高ビリルビン血症を治療する方法は、乳児の総血清ビリルビンレベルを問わず、スタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンの治療量を投与することを含む。いくつかの態様において、投与は、乳児の危険レベルを問わずに行われる。いくつかの態様において、危険レベルは、知られていない及び/又は評価されていない。いくつかの態様において、乳児は中位の危険レベルにあることが知られている又は疑われている。いくつかの態様において、乳児は高い危険性の乳児であることが知られている又は疑われている。
投与のタイミングと根拠によらず、乳児の年齢、体重、危険レベル、及び投与されるメタロポルフィリンの種類と処方に関する以下のことは、本願に開示の各々の方法にあてはまる。
いくつかの態様において、被験者は、2004AAPガイドライン(2009年10月更新)にしたがって光線療法及び/又は交換輸血による治療介入を必要とする高ビリルビン血症の中位又は高度の危険にあってもよい。危険レベルは以下のように規定することができ、中位の危険は、期間(38週間以上の妊娠期間)及び危険因子(同種免疫の溶血性疾患)、又は早産乳児(35週間から37と6/7週間までの妊娠)及び良好(危険因子なし)であり、高度の危険は、早産乳児(35週間から37と6/7週間までの妊娠)及び交換輸血の危険因子(同種免疫の溶血性疾患)である。
いくつかの態様において、被験者は、満期又はほぼ満期出産の乳児であってもよい。いくつかの態様において、被験者の在胎期間は約35〜43週間であることができる。いくつかの態様において、被験者の在胎期間は、約35〜約45週間、約35〜約40週間、約35〜約39週間、又は約35〜約38週間であってもよい。
いくつかの態様において、被験者の出生時体重は、約1700〜約4000gであることができる。いくつかの態様において、被験者の出生時体重は、約2000〜約4000g、約2000〜約3700g、又は約2300〜約3000gであることができる。治療の時点で、被験者の年齢は、生誕から約20日、生誕から約15日、約1〜約20日、約1〜約15日、又は約4〜約13日であることができる。治療の時点で、被験者の血清ビリルビンレベルは、約14mg/dL超、約30mg/dL未満、約15〜約30mg/dL、約20〜約30mg/dL、又は約25〜約29mg/dLであることができる。いくつかの態様において、被験者の血清ビリルビンレベルは、交換輸血の適格に必要なレベルよりも、約2〜約3mg/dL低くてもよい。
ここに示すいくつかの態様は、乳児にメタロポルフィリンを投与することを含む乳児の高ビリルビン血症を治療する方法を含み、メタロポルフィリンは有害事象を全く生じさせない。ここに示すいくつかの態様は、乳児にメタロポルフィリンを投与することを含む乳児の高ビリルビン血症を治療する方法を含み、メタロポルフィリンはQT延長を生じさせない。
ここに示す態様は、メタロポルフィリンを必要とする被験者にそれを投与することを含む、黄疸を軽減又は防止する方法を含む。
いくつかの態様において、本治療は、少なくとも20時間、約20〜約60時間、又は約30〜約50時間にわたって入院期間を短くすることができる。いくつかの態様において、入院期間は、約130〜約200時間、約140〜約170時間、又は約140〜約150時間であることができる。
ここに示す方法によるメタロポルフィリンの投与は、さらなる治療介入の必要性を完全に無くすことが多いが、いくつかの態様において、こうした治療介入が、交換輸血の必要無しに光線療法を伴うことがあると考えられる。こうした光線療法は、乳児のビリルビンレベルが大きい速度で上昇しているときに適切なことがある。ここに示す方法によるメタロポルフィリンの投与に加えた光線療法の使用は、必要とされる光線療法の量を低下する及び/又は交換輸血の必要性を軽減することがある。
いくつかの態様において、本方法は、光線療法を必要とする被験者にそれを適用することをさらに含む。いくつかの態様において、光線療法は、約6〜約90時間、約60〜約90時間、又は約60〜約85時間にわたって適用してもよい。いくつかの態様において、光線療法は、約6〜約12時間に分割して適用してもよい。いくつかの態様において、乳児の再評価が、光線療法の分割部分の間に行われる。いくつかの態様において、光線療法の平均時間は約48時間〜約72時間である。いくつかの態様において、光線療法は、約10μW/cm2〜約40μW/cm2、約20μW/cm2〜約40μW/cm2、約25μW/cm2〜約40μW/cm2、約30μW/cm2〜約40μW/cm2、又は約30μW/cm2〜約35μW/cm2の光強度で適用される。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、ビリルビンレベルを低下させるのに必要な光線療法の量を低下させる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は、約0.5〜約25時間、0.5〜約20時間、0.5〜約15時間、0.5〜約10時間、約1〜約25時間、約1〜約20時間、約1〜約15時間、約1〜約10時間、約2〜約25時間、約2〜約20時間、約2〜約15時間、約2〜約10時間、約3〜約10時間、約4〜約10時間、約5〜約10時間、約6〜約10時間、約1〜約8時間、約2〜約8時間、約3〜約8時間、約4〜約8時間、約5〜約8時間、又は約6〜約8時間にわたって光線療法の期間を短縮する。いくつかの態様において、被験者は、メタロポルフィリンの治療の前に光線療法を受けることができる。いくつかの態様において、被験者は、メタロポルフィリンの治療と併せて光線療法を受けることができる。いくつかの態様において、被験者は、メタロポルフィリンの治療の後に光線療法を受けることができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの投与は光線療法の必要を無くす。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、交換輸血の前に投与される。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、交換輸血を行う代わりに投与される。いくつかの態様において、被験者は、治療の前に交換輸血を受けることができる。いくつかの態様において、被験者は、治療の後に交換輸血を受けることができる。
本発明のもう1つの局面は、メタロポルフィリン組成物を非経口投与することを含む哺乳類におけるビリルビンレベルを低下させる方法に関する。高ビリルビン血症を治療する本薬剤の対象とする受け手はヒトであり、とりわけ乳児であるが、メタロポルフィリン溶液は別な哺乳類にも有効なことがある。
−スクリーニングとベースラインの評価−
いくつかの態様は、適格性とスクリーニングの評価の確定をさらに含む。いくつかの態様において、適格性とスクリーニングの評価の確定には、限定されるものではないが、経皮的ビリルビン(TcB)の監視、聴性脳幹反応(ABR)(自動聴性脳幹反応(A−ABR)又は脳幹聴性誘発電位(BAEP)としても知られる)などの聴覚検査、12誘導心電図、母親と被験者の人口統計データの再調査、被験者の医療歴の再調査、包含因子と排除因子の再調査、被験者の併用薬の再調査、生命徴候の評価、体重、身長、頭囲及び眼などの身体検査、及び皮膚科検査、アミエル・タイソンの神経学的検査、臨床化学、血液学(血液塗抹標本など)、及び薬物動態学の分析用の血液採取、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様は、治療前、治療中、治療後、又はこれらの組み合わせにおいて被験者の継続した評価をさらに含む。いくつかの態様において、継続した評価には、限定されるものではないが、経皮的ビリルビン(TcB)の監視、聴性脳幹反応(ABR)(自動聴性脳幹反応(A−ABR)又は脳幹聴性誘発電位(BAEP)としても知られる)などの聴覚検査、3つの12誘導心電図、母親と被験者の人口統計データの再調査、被験者の医療歴の再調査、包含因子と排除因子の再調査、被験者の併用薬の再調査、生命徴候の評価、体重、身長、頭囲及び眼などの身体検査、及び皮膚科検査、アミエル・タイソンの神経学的検査、臨床化学、血液学(血液塗抹標本など)、及び薬物動態学の分析用の血液採取、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様において、生命徴候には、温度測定(腋の下)、血圧(年齢とサイズが適切な装置で測定)、脈拍数、呼吸数、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの態様において、身体検査には、被験者の一般的外観、被験者の体重、身長、頭(頭囲など)、耳、眼(赤色反射、瞳孔反射など)、鼻、口、咽喉、首、呼吸器系(肺/胸)、心臓血管系、腹、筋骨格(背骨/反射神経)、四肢、肌、リンパ液、結節、神経系、泌尿生殖器系、及びこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様において、皮膚科検査には、あるとすれば感光性反応の同定が含まれる。感光性反応は、メタロポルフィリンと広域スペクトル光とともに生じることあがる。感光性反応には皮膚発疹が含まれる。
いくつかの態様において、聴覚検査には、中枢(即ち、脳幹)の聴覚機能から抹消(即ち、蝸牛)と識別するテスト、新生児における聴覚機能の種々の失敗パターンと情報の検出を可能にするABR(A−ABR又はBAEPとしても知られる)、生理学的テスト(鼓膜聴力検査と音響反射の閾値)、行動測定(純音と語音聴力検査法)、及びこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様において、眼科検査には、水晶体又は網膜の光毒症の何らかの徴候についての被験者の監視、異常についての眼の前部(角膜と水晶体)と後部(網膜)の双方の部分についての検査、及びこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様において、神経学的検査には、被験者、測定トーン、反射神経、及び感覚反応の神経学的・発育上の評価、アミエル・タイソンの神経学的検査、及びこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様において、臨床検査には、血液学、臨床化学、及びこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様において、臨床的・血液学的パラメータには、限定されるものではないが、有差的全血球計算、電解液(Na+、K+、Cl−)、ブドウ糖、タンパク質、アルブミン、カルシウム、二酸化炭素、クレアチニン、血中尿素窒素、全直接血清ビリルビン、アルカリ性ホスファターゼ(alp)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ(alt)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ast)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(ggt)、及びこれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの態様において、12誘導心電図の測定は、心血管系イベントの明確化、心臓の間隔測定と形態的評価、RR、PR、QRS、及びQT間隔期間の測定、及びこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様において、QT間隔のバゼット修正(QTcB)、QT間隔のフリデリシア修正(QTcF)、及び心拍数(HR)を12誘導心電図の測定から導き出すことができる。
化合物は、それらが活性であるルートによって通常の仕方で投与することができる。投与は、全身、局所又は経口であることができる。例えば、投与は、限定されるものではないが、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、経口、頬側又は眼ルートであることができ、あるいは、腟内、吸入、蓄積注射、又はインプラントによることもできる。即ち、本発明における化合物(単独又は別の調合薬との組み合わせ)の投与の仕方は、限定されるものではないが、舌下や注射可能(短時間作用、持続性、皮下又は筋肉注射されるインプラントやペレットの形態など)であることができ、あるいは、膣クリーム、座薬、ペッサリー、膣リング、肛門座剤、子宮内器具、及びパッチやクリームなどの経皮形態であることができる。
種々のメタロポルフィリンが、高ビリルビン血症の予防と治療について可能性を示している。ここで使用する適切なメタロポルフィリンは、金属メソポルフィリン、金属ジュウテロポルフィリン、金属ヘマトポルフィリン、金属ビスグリコール誘導体、金属プロトポルフィリン、及びこれらの塩からなる群より選択される。いくつかの態様において、金属は、錫、鉄、亜鉛、クロム、マンガン、銅、ニッケル、マグネシウム、コバルト、白金、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、ヒ素、アンチモン、カドミウム、ガリウム、ゲルマニウム、及びパラジウムからなる群より選択することができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、錫メソポルフィリン、亜鉛メソポルフィリン、クロムメソポルフィリン、錫プロトポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、クロムプロトポルフィリン、ビスグリコールプロトポルフィリン、及びフェロポルフィリンからなる群より選択することができる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、錫IVメソポルフィリンIX二塩化物である(スタンソポルフィン又はSnMPとも称す)。錫IVメソポルフィリンIX二塩化物の構造は以下の通りである。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは錫(IV)錫IVメソポルフィリンIX二塩化物であってもよい。ここで用いられる錫(IV)錫IVメソポルフィリンIX二塩化物は、錫4+メソポルフィリンIX二塩化物とスタンソポルフィン(SnMP)を含む。錫(IV)錫IVメソポルフィリンIX二塩化物は、種々の方法によって得ることができ、例えば、米国特許第6818763号、米国特許第7375216号、2007年10月4日出願の同時係属の米国特許出願第11/867559号に開示の方法が挙げられ、これらは参照して本願に取り入れられる。ここで、錫IVメソポルフィリンIX二塩化物のようなメソポルフィリンハロゲン化物を製造するには、別な方法を使用することもでき、本発明は特定のメソポルフィリンの製造方法に限定されるものではないことを理解すべきである。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、医薬品の実質的に純粋な形態で存在してもよい。いくつかの態様において、医薬品中のメタロポルフィリンの全体的純度は、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約98.5%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.5%であることができる。いくつかの態様において、医薬品中の各々の個別製品に関係する不純物は、製剤の約1%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、又は約0.1%未満の量であることができる。いくつかの態様において、個別製品に関係する不純物は、製剤の約0.5%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、約0.15%未満、約0.1%未満、約0.09%未満、約0.08%未満、又は約0.07%未満の量で存在する。
医薬品は、単位用量形態であることができる。こうした形態において、医薬品は、活性成分の適切量を含む単位用量に再分割される。単位用量形態は、パッケージ化された製剤であることができ、そのパッケージは分離量の製剤を含み、バイアルやアンプルにパッケージ化される。
単位用量形態における活性成分の量は、約0.1〜約50mg、好ましくは0.1〜約40mg、より好ましくは0.1〜約20mgの範囲にある又は調節することができ、活性成分の特定用途と効能や患者のサイズによる。組成物は、所望により、別の適合性のある治療薬を含む。
高ビリルビン血症を治療する薬剤としての治療上の使用において、本発明の治療方法に使用される化合物は、体重1kgあたり約0.1mg〜約20mgの初期投薬量で投与される(IM)。特定の態様において、メタロポルフィリンでの治療は、1回の単回投与治療である。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、体重1kgあたり約0.5mg〜約6mgの投薬量で投与される(IM)。いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、約0.5mg/kg〜約4mg/kg、約0.5mg/kg〜約2mg/kg、約0.75mgkg〜約1.5mg/kg、約1.5mg/kg〜約4.5mg/kg又は約3.0mg/kg〜約4.5mg/kg、例えば、約1.5mg/kg、約3.0mg/kg、及び約4.5mg/kgなどの投薬量で投与される。ここで、この投薬量は、患者の要請、治療される症状の重症度、及び採用される化合物によって変わることがある。特定の状況に対する適切な投薬量の決定は、当業者の能力の範囲内である。1つの態様において、一般に、化合物の最適用量より少ない投薬量で開始される。その後、その状況下で最適な効果が得られるまで少しずつ投薬量を増加させる。
1つの態様において、医薬組成物は、約4.5〜約40mg/dL、好ましくは約4.5mg/dL〜約25mg/dLの濃度で水溶液中にメタロポルフィリンを含むことができる。ある態様において、医薬組成物は、水溶液中に混合されて、酸、塩基、又は緩衝剤をさらに含むことができる。この組成物は、殺菌され、生理学的オスモル濃度を有することができる。組成物又は薬剤は、琥珀ガラス薬瓶にパッケージにすることができる。
使用されるスタンソポルフィンは、薬理学的に許容される品質のものでよい。いくつかの態様において、超高純度のスタンソポルフィンを使用することができる。いくつかのこうした態様において、化合物は、少なくとも純度が90%のスタンソポルフィン、少なくとも95%のスタンソポルフィン、少なくとも97%のスタンソポルフィン、少なくとも98%のスタンソポルフィン、少なくとも98.5%のスタンソポルフィン、又は少なくとも99%のスタンソポルフィンである。また、いくつかの態様において、個々の不純物は、組成物の0.1重量%以下である。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンを含む医薬組成物は製剤の成分であり、この製剤は、一回の投与単位に含まれる。1つの態様によると、一回の投与単位は、少なくとも約0.5mlの溶液、より好ましくは、少なくとも約1mlの溶液を含むことができる。
この溶液は、アンプルやバイアルのような適切な容器の中にこの溶液を含む製剤の中に提供することができる。特定の態様にしたがうと、この溶液は安定であり、少なくとも約3箇月の保管寿命を有する。別の態様において、この溶液は、少なくとも約6箇月の保管寿命を有する。
いくつかの態様において、本組成物はさらに緩衝剤を含んでもよい。本医薬組成物を形成するのに適切な数多くの緩衝剤が存在する。こうした緩衝剤の例には、アルカリ土類金属系緩衝剤、カルシウム系緩衝剤、マグネシウム系緩衝剤、アルミニウム系緩衝剤、重炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウムの共沈物、グリシン酸アルミニウム、アルミニウムマグネシウム水酸化物、リン酸アルミニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸1水素2ナトリウム、リン酸三ナトリウム12水和物、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸カリウム、メタリン酸カリウム、炭酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、重炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、トリヒドロキシメチルアミノメタン、アミノ酸、アミノ酸の酸塩、アミノ酸のアルカリ塩、及びこれらの混合物が挙げられる。使用される緩衝剤は、塩基が溶液に添加される場合、溶液のpHを約10又はそれ以上に高めるのに有効な濃度で使用できるべきである。また、緩衝剤は、薬理学的に許容されなければならない。
例えば、いくつかの局面において、本願に記載の方法に使用するのに適切な医薬組成物は、上述した化合物及び薬理学的に許容される担体又は希釈剤、又は上述した化合物を含む医薬組成物の有効量を含んでなる。
本化合物は、それらが活性である任意のルートによって通常の仕方で投与することができる。投与は、全身、局所又は経口であることができる。例えば、投与は、限定されるものではないが、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、経口、頬側又は眼ルートであることができ、あるいは、腟内、吸入、蓄積注射、又はインプラントによることもできる。即ち、本発明における化合物(単独又は別の調合薬との組み合わせ)の投与の仕方は、限定されるものではないが、舌下や注射可能(短時間作用、持続性、皮下又は筋肉注射されるインプラントやペレットの形態など)であることができ、あるいは、膣クリーム、座薬、ペッサリー、膣リング、肛門座剤、子宮内器具、及びパッチやクリームなどの経皮形態であることができる。とりわけ、筋肉内(IM)注射が首尾よく使用されている。
投与の具体的な様式は、徴候によって決まると考えられる。投与の具体的ルートと用量計画の選択は、最適な臨床反応を得る目的で、臨床医が知る方法にしたがって臨床医によって調節又は漸増するべきである。投与される化合物の量は治療上の量である。投与されるべき薬用量は、治療されている被験者の特徴によって決まると考えられ、例えば、治療される特定の動物、年齢、体重、健康、現在の治療の種類、及びあるとすれば治療の頻度が挙げられ、当業者(例、臨床医)によって容易に判断することができる。
本発明の化合物と適切な担体を含有する製剤処方は、限定されるものではないが、錠剤、カプセル、薬包、ペレット、ピル、粉末、及び顆粒などの固体剤形、限定されるものではないが、溶液、粉末、流体エマルジョン、流体懸濁液、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ゲル、ゼリー、及び発泡体などの局所剤形、及び限定されるものではないが、溶液、懸濁液、エマルジョン、及びドライパウダーなどの非経口剤形であることができ、本発明のポリマー又はコポリマーの有効量を含む。また、当該技術で知られているように、こうした製剤に、薬理学的に許容される賦形剤、フィラー、崩壊剤、バインダー、潤滑剤、界面活性剤、疎水性媒体、水溶性媒体、エマルジョン、緩衝剤、保湿剤、モイスチャー、可溶化剤、保存剤などの活性成分を含めることもできる。投与のための手段と方法は、当該技術で知られており、技術者は、指針として種々の薬理学的文献を参照することができる。例えば、「Modern Pharmaceutics, Banker & Rhodes, Marcel Dekker, Inc. (1979)」、「Goodman & Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, 6th Edition, MacMillan Publishing Co., New York (1980)」を参考にすることができる。
本発明の化合物は、ボーラス注入や持続注入などの注入による非経口投与用に処方することができる。本化合物は、約15分間〜約24時間の期間にわたって皮下に連続注入によって投与することができる。注入用の処方は、添加した保存剤を含むアンプルや複数用量容器のような単位剤形で提供することができる。本組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液、又はエマルジョンのような形態を有することができ、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤のような処方用薬剤を含むことができる。
経口投与に関し、本化合物は、当該技術で周知の薬理学的に許容される担体を本化合物に混合することによって容易に処方することができる。こうした担体は、本発明の化合物を、治療される患者の経口摂取用に、錠剤、ピル、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などに処方することを可能にする。経口使用の医薬品は、固体賦形剤を添加し、得られた混合物を所望により粉砕し、必要なら適切な助剤を添加して混合物を顆粒に加工し、錠剤又はドラジェの芯にすることにより得ることができる。適切な賦形剤には、限定されるものではないが、フィラー類が挙げられ、限定されるものではないが、乳糖、サッカロース、マンニトール、及びソルビトールなどの糖類、限定されるものではないが、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)などである。必要により、限定されるものではないが、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩のアルギン酸ナトリウムのような崩壊剤を添加することもできる。
ドラジェの芯は、適切なコーティングを施すことができる。この目的に関し、濃厚な糖溶液を使用することができ、この溶液は、所望により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶剤又は溶剤混合物を含むことができる。活性化合物の用量のいろいろな組み合わせを識別又は特徴づけるため、染料又は顔料を錠剤又はドラジェのコーティングに付加することもできる。
経口使用することができる医薬品には、限定されるものではないが、ゼラチンからなる押し込み式カプセル、及びゼラチンとグリセロールやソルビトールなどの可塑剤からなる軟質封止カプセルが挙げられる。押し込み式カプセルは、ラクトースなどのフィラー、デンプン類などのバインダー、及び/又はタルクやステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び所望による安定化剤を混合された活性成分を含むことができる。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールのような適切な液体の中に溶かす又は懸濁させることができる。また、安定化剤を添加することもできる。経口投与用の製剤はいずれも、こうした投与に適する投薬量であるべきである。
口腔投与に関し、本組成物は、通常の仕方で処方された錠剤やトローチ剤の形態を有することができる。
吸入投与に関し、本発明にしたがって使用される化合物は、加圧型パック又は噴霧器からエアロゾル噴霧状態で好都合に搬送され、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの推進剤が使用される。加圧型エアロゾルの場合、投薬単位は、一定量を搬送するバルブを設けることによって決めることができる。吸入器又は吸引器に使用される例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジは、本化合物の粉末混合物と乳糖やデンプンのような適切な粉末基剤を含んで処方することができる。
また、本発明の化合物は、例えば、ココアバターその他のグリセリド類のような通常の座薬基剤を含む、座薬や停留浣腸のような直腸用組成物に処方することができる。
上述の製剤に加え、本発明の化合物は、デポー製剤として処方することもできる。こうした長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉注射によって投与することができる。
蓄積注射は、約1〜約6箇月又はさらに長い期間で投与することができる。即ち、本化合物は、例えば、適切な高分子又は疎水性物質(例えば、許容できるオイル中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂、あるいは若干溶け難い誘導体、例えば、若干溶け難い塩とともに処方することができる。
経皮投与において、本発明の化合物は、例えば、硬膏に適用することができ、あるいは、やがては生命体に適用される経皮の治療系に適用することもできる。
また、本化合物の医薬組成物は、適切な固体又はゲル相の担体又は賦形剤を含むことができる。こうした担体又は賦形剤の例には、限定されるものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン類、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
また、本発明の化合物は、別な活性成分と組み合わせて投与することもでき、例えば、その組み合わせが本願に記載の方法の望ましい効果を達成するのに望まれる又は有益であると考えられるアジュバント、プロテアーゼ阻害剤、又は他の適切な薬物又は化合物である。
−光線療法の適用−
いくつかの態様において、光線療法(PT)が被験者に適用される。いくつかの態様において、総血清ビリルビンレベルがメタロポルフィリン投与後にPTを開始するAAPガイドラインに合致すれば、被験者はPTを開始する。いくつかの態様において、PTの閾値より少なくとも2mg/dL下回る減少1の総血清ビリルビンの評価の後、PTを停止してもよい(血液が採取されたときの被験者の年齢によって判断)。いくつかの態様において、ネオBLUE光とネオBLUEコジー(ネイタスメディカル社、サンカルロス、CA)をメタロポルフィリン投与の後又は一緒に使用することができる。
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症又はその症状を治療する薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、該治療は、排除因子が存在せず、少なくとも1つのベースラインの総ビリルビンレベルが所定の閾値より高く、かつ少なくとも1つの危険因子が存在する高ビリルビン血症の乳児に、メタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、高ビリルビン血症又はその症状が治療される。
いくつかの態様は、乳児におけるベースラインの総ビリルビンレベルを確定することをさらに含む。いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンレベルは、総血清ビリルビンレベル、総皮膚性ビリルビン、又はそれらの組み合わせを含む。
いくつかの態様において、乳児の在胎期間は約35〜約43週間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、乳児はクームス陽性である。いくつかの態様において、乳児はクームス陰性であり、少なくとも1つの危険因子が存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンレベルの確定は、生後約6時間以内、生後約12時間以内、生後約24時間以内、及び生後約48時間以内から選択された時間に行われる。
いくつかの態様は、少なくとも1つの危険因子の存在の特定をさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様は、少なくとも1つの排除因子の不存在を特定することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの排除因子は、新生児甲状腺疾患の臨床的示唆、妊婦の橋本病以外の母親の現状対処できない甲状腺疾患、眼科予防のエイトロマイシン軟膏以外のQT間隔を延ばし得る薬剤を用いた乳児における治療又は治療要請、長いQT症候群の家族歴、乳幼児突然死症候群の家族歴、既知のポルフィリン症、ポルフィリン症の危険因子、ポルフィリン症の家族歴、全身性エリテマトーデスの母親の既往歴、出産の30日前又は授乳の場合は出産後のフェノバルビタールの母親の使用、母親の現在の薬物又はアルコールの乱用、薬物又はアルコールの母親の経歴、アプガー指数が5分後に6以下、先天性の異常、感染、酸血症、敗血症、肝炎;予測可能な将来における外科手術又は手術室光照射を必要とする過剰リスク、1分間あたり60超の呼吸数で規定される心肺窮迫、新生児の一過性多呼吸の診断、異常な聴覚又は眼科的所見、実験的スクリーニング評価における臨床的に有意な異常、高い直接又は抱合型ビリルビン(TSBが5.0mg/dL未満の場合は1.0mg/dL超、又はTSBが5.0mg/dL以上の場合は20%超のTSB)、標準的治療にもかかわらず持続した低血糖(40mg/dL未満の血糖)、正常な上限(ULN)の2倍を超えるALT及び/又はASTとして規定される肝疾患、ULNの2倍を超えるクレアチン及び/又は血中尿素窒素として規定される異常肝機能、同種免疫血球破壊によって生じたものではない球状赤血球症のような構造的赤色細胞の何らかの血液汚れの所見、一貫した(連続3回)36℃超及び/又は37.5℃超の腋窩の温度として規定される体温調節障害、感光性薬物又は薬剤の使用;ULNを上回る血清ナトリウムである高ナトリウム血症として規定される脱水症、静脈内免疫グロブリン(IVIG)又はアルブミンの使用、ビリルビンをアルブミンから置換することが知られている又は疑われている薬剤(例、セフトリアキソン又はサルファ系抗生物質)を用いた出産後の治療、限定されるものではないが肺疾患や心疾患などの重大な病的症状、出産後の何らかの研究的な薬剤又は装置の使用、臨床試験への参加、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、所定の閾値は、既知の年齢で既知の危険レベルにある乳児に光線療法を開始するためのAAPノモグラフによって決められるレベルである。いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、及び乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dLから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、生後約6時間以内、生後約12時間以内、生後約24時間以内、及び生後約48時間以内から選択された時間に行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは、錫メソポルフィリン、亜鉛メソポルフィリン、クロムメソポルフィリン、錫プロトポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、クロムプロトポルフィリン、ビスグリコールプロトポルフィリン、及びフェロポルフィリンから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは錫メソポルフィリンである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、錫メソポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、錫メソポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンは筋肉注射によって投与される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後20日未満のときに行われる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後30日未満のときに行われる。
いくつかの態様は、メタロポルフィリン投与後の総ビリルビンレベルがベースラインの総ビリルビンレベルを超える光線療法の適用をさらに含む。
いくつかの態様は、メタロポルフィリン投与に続く治療後の総ビリルビンレベルの確定をさらに含む。いくつかの態様において、メタロポルフィリン投与に続く治療後の総ビリルビンレベルの確定は、乳児にメタロポルフィリンを投与した後の約6〜約72時間に行われる。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与24時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを少なくとも5%下回る。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与48時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを少なくとも10%下回る。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与72時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを少なくとも20%下回る。いくつかの態様において、治療後の総ビリルビンレベルは、乳児へのメタロポルフィリン治療量投与48時間後にベースラインの総ビリルビンレベルを3mg/dL未満上回る。
いくつかの態様は、身体検査、皮膚科検査、聴能検査、眼科検査、神経学的検査、臨床検査、心電図、及びこれらの組み合わせから選択された検査を乳児に対して行うことをさらに含む。
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症及びその症状の可能性を低減する薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、ベースラインの総ビリルビンレベルに比較した少なくとも1つの総ビリルビンの測定において乳児の総ビリルビンが増加していると確定された乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与することを含み、高ビリルビン血症又はその症状の可能性を低下させる。
いくつかの態様において、乳児の総ビリルビンは、2つの連続的な総ビリルビンの測定において増加していると確定される。
いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンの測定は、生後約6〜約96時間に行われる。いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンの測定は、生後約6、12、24、48、72、又は96時間に行われる。いくつかの態様において、少なくとも1つの総ビリルビンの測定は、ベースラインの総ビリルビンの測定後の約6〜約72時間に行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、少なくとも1つの総ビリルビンの測定において乳児の総ビリルビンが増加していると確定されてから約1〜約6時間以内に行われる。
いくつかの態様において、乳児は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの危険因子を有する。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症及びその症状の治療のための薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、該治療は、メタロポルフィリンの治療量を乳児に投与し、光線療法の治療量を乳児に適用することを含み、高ビリルビン血症又はその症状が治療される。
いくつかの態様は、ベースラインの総ビリルビンレベルを確定することをさらに含む。いくつかの態様において、ベースラインの総ビリルビンレベルの確定は、生後48時間以内に行われる。
いくつかの態様は、乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与する前に、少なくとも1つの危険因子の存在を特定することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様は、乳児にメタロポルフィリンの治療量を投与する前に、少なくとも1つの排除因子の存在を特定することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの排除因子は、新生児甲状腺疾患の臨床的示唆、妊婦の橋本病以外の母親の現状対処できない甲状腺疾患、眼科予防のエイトロマイシン軟膏以外のQT間隔を延ばし得る薬剤を用いた乳児における治療又は治療要請、長いQT症候群の家族歴、乳幼児突然死症候群の家族歴、既知のポルフィリン症、ポルフィリン症の危険因子、ポルフィリン症の家族歴、全身性エリテマトーデスの母親の既往歴、出産の30日前又は授乳の場合は出産後のフェノバルビタールの母親の使用、母親の現在の薬物又はアルコールの乱用、薬物又はアルコールの母親の経歴、アプガー指数が5分後に6以下、先天性の異常、感染、酸血症、敗血症、肝炎;予測可能な将来における外科手術又は手術室光照射を必要とする過剰リスク、1分間あたり60超の呼吸数で規定される心肺窮迫、新生児の一過性多呼吸の診断、異常な聴覚又は眼科的所見、実験的スクリーニング評価における臨床的に有意な異常、高い直接又は抱合型ビリルビン(TSBが5.0mg/dL未満の場合は1.0mg/dL超、又はTSBが5.0mg/dL以上の場合は20%超のTSB)、標準的治療にもかかわらず持続した低血糖(40mg/dL未満の血糖)、正常な上限(ULN)の2倍を超えるALT及び/又はASTとして規定される肝疾患、ULNの2倍を超えるクレアチン及び/又は血中尿素窒素として規定される異常肝機能、同種免疫血球破壊によって生じたものではない球状赤血球症のような構造的赤色細胞の何らかの血液汚れの所見、一貫した(連続3回)36℃超及び/又は37.5℃超の腋窩の温度として規定される体温調節障害、感光性薬物又は薬剤の使用;ULNを上回る血清ナトリウムである高ナトリウム血症として規定される脱水症、静脈内免疫グロブリン(IVIG)又はアルブミンの使用、ビリルビンをアルブミンから置換することが知られている又は疑われている薬剤(例、セフトリアキソン又はサルファ系抗生物質)を用いた出産後の治療、限定されるものではないが肺疾患や心疾患などの重大な病的症状、出産後の何らかの研究的な薬剤又は装置の使用、臨床試験への参加、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与と光線療法の治療量の適用は、排除因子が存在せずに行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与と光線療法の治療量の適用は、所定の閾値を超えるベースラインの総ビリルビンレベルの少なくとも1つ、少なくとも1つの危険因子、又はこれらの組み合わせが存在する場合に行われる。
いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、及び乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dLから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後48時間以内のときに行われる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後約20日未満のときに行われる。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与は、乳児が生後約30日未満のときに行われる。
いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量の投与と光線療法は同時に行われる。いくつかの態様において、光線療法は、メタロポルフィリンの治療量の投与の約12時間以内及びメタロポルフィリンの治療量の投与の約24時間以内から選択されたときに行われる。
いくつかの態様は、皮膚科検査、聴能検査、眼科検査、神経学的検査、臨床検査、心電図、及びこれらの組み合わせから選択された身体検査を乳児に対して行うことをさらに含む。
いくつかの態様は、乳児における高ビリルビン血症及びその症状のリスクを低下させるための薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、乳児に治療量のメタロポルフィリンを投与することを含み、該乳児は、高ビリルビン血症に伴う少なくとも1つの危険因子を有する。
いくつかの態様において、乳児は、乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値を約3mg/dL未満下回る総ビリルビンレベルを有する。
いくつかの態様において、乳児に対する治療量のメタロポルフィリンの投与は、単一用量のメタロポルフィリンを投与することを含む。
いくつかの態様において、少なくとも1つの危険因子は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの態様において、危険因子は、所定の閾値又はそれを上回る総ビリルビンレベルである。いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dL、及びAAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値から選択される。
いくつかの態様において、乳児に対する治療量のメタロポルフィリンの投与は、メタロポルフィリンの投与前の総ビリルビンレベルに比較し、総ビリルビンレベルにおける少なくとも1つの減少をもたらし、メタロポルフィリンの投与前の総ビリルビンレベルに比較し、総ビリルビンレベルにおける検出可能な増加をもたらさない。
いくつかの態様において、治療量のメタロポルフィリンは、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、乳児の体重を基準に、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様は、乳児におけるビリルビンレベルを安定化させるための薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、ベースラインの総ビリルビンレベルの測定値を取得し、乳児に対して治療量のメタロポルフィリンを投与することを含み、ここで、該乳児は、高ビリルビン血症、所定の閾値を上回るビリルビンレベル、上昇するビリルビンレベル、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを有し、該乳児のビリルビンレベルを安定化させる。
いくつかの態様において、乳児に対する治療量のメタロポルフィリンの投与は、単一用量のメタロポルフィリンを投与することを含む。
いくつかの態様において、乳児は、溶血性疾患、ABO式血液型不適合、抗CのRh不適合、抗cのRh不適合、抗DのRh不適合、抗EのRh不適合、抗eのRh不適合、G6PD欠損、及びこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの危険因子を有する。
いくつかの態様において、乳児は約35〜約43週間の在胎期間である。いくつかの態様において、乳児は少なくとも約2500gの出生時体重を有する。いくつかの態様において、乳児は約1700g〜約4000gの出生時体重を有する。
いくつかの態様において、総ビリルビンレベルの安定化は、一回の治療量のメタロポルフィリンの投与後の所定の時点で得られた少なくとも2つの総ビリルビンレベルの測定値がベースラインの総ビリルビンレベル又はそれを下回る総ビリルビンレベルを示したときに達成される。
いくつかの態様において、所定の閾値は、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間以下の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約2mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値より低くは約3mg/dL、AAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値、乳児年齢に対応するAAPノモグラムに準じた光線療法の適用についての閾値より低くは約1〜約3mg/dL、及びAAPガイドラインによる生後約12時間〜48時間の乳児に対する光線療法の適用についての閾値である。
いくつかの態様において、治療量のメタロポルフィリンは、約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、メタロポルフィリンの治療量は、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、約0.75mg/kg〜約5mg/kgである。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3.0mg/kg、及び4.5mg/kgから選択される。
いくつかの態様は、上昇するビリルビンレベルの治療のための薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、所定年齢で高ビリルビン血症の恐れのある患者のベースラインのビリルビンレベルを確立し、ベースラインを確立した後、治療量のスタンソポルフィリンを患者に投与することを含む。いくつかの態様において、所定年齢は、出生から約6時間、約12時間、又は約24時間である。いくつかの態様において、光線療法適用のためのAAPノモグラム閾値における又は光線療法適用のためのAAPノモグラム閾値より低くは3.0mg/dL以下におけるベースライン読み取りは、治療の必要性を示唆する。
いくつかの態様は、高ビリルビン血症の治療のための薬剤の製造におけるメタロポルフィリンの使用に関し、治療量のスタンソポルフィンを、それを必要とする患者に投与し、少なくとも5000ng/mLのCmaxを達成することを含む。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は1.5mg/kgであり、約6450ng/mLのCmaxを達成する。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は3.0mg/kgであり、約11500ng/mLのCmaxを達成する。いくつかの態様において、スタンソポルフィンの治療量は4.5mg/kgであり、約20400ng/mLのCmaxを達成する。いくつかの態様において、Cmaxは、約1.5時間〜約2.5時間のTmaxで達成される。
本発明、本方法を説明する態様、及び使用される材料は、以下の限定されない例を参照することによってさらに理解することができる。
相2b、多施設、単一用量、盲目、ランダム化、プラセボ対照、用量増大、高ビリルビン血症の新生児におけるスタンソポルフィンの安全性と効能の試験
−治療の研究計画と期間−
これは、高ビリルビン血症の満期と遅い満期の被験者における相2b、多施設、単一用量、盲目、ランダム化、プラセボ対照、用量増大、スタンソポルフィンの安全性と効能の試験とした。
臨床研究は4相:適格性の判断、スクリーニング手順、治療、及び治療後の評価からなり、治療後の14日と30日の2回の追跡訪問を含んだ(訪問3と訪問4)。
被験者の3つのコホートを募集した。この臨床研究は、各コホートにおける安全性と効能のパラメータを評価するように計画した。被験者の第1コホートは、筋肉内(IM)注射により1.5mg/kgの単一用量でスタンソポルフィンを、又は食塩水のプラセボIM注射を受けた。コホート2の治療は、コホート1からの安全性データの吟味がデータ安全性監視委員会(DSMB)によって行われるまでは開始しなかった。コホート1の安全性プロフィルが承認されたため、コホート2は、3.0mg/kgIMの用量でスタンソポルフィンの単回注射又は食塩水のプラセボ注射を受けた。DSMBがコホート2からの安全性プロフィルが承認できると判断した後、コホート3は、4.5mg/kgIMの用量でスタンソポルフィンの単回注射又は食塩水のプラセボ注射を受けた。
23の研究センターがこの研究に参加し、米国で9と欧州で14であった(ウクライナで5、スペインで6、ポーランドで3)。研究期間は、入院(24〜48時間)と退院・追跡(30日)の両方の期間を含んだ。その後のプロトコルは、乳児が長期間の追跡研究に登録されることを許可した(研究64、185〜203)。
研究の主目的は、高ビリルビン血症の被験者におけるスタンソポルフィンの3通りの増加する用量の安全性を判定することであった。副次的目的は、高ビリルビン血症の被験者におけるスタンソポルフィンの3通りの増加する用量の効能を判定し、高ビリルビン血症の被験者におけるスタンソポルフィンの3通りの増加する用量の薬物動態(PK)を判定し、探索的な薬力学的解析もまた実施可能にすることであった。
−被験者の数−
約72人の被験者が、20〜30の臨床現場で3つのコホートに登録され(1.5、3.0、又は4.5mg/kgのスタンソポルフィン)、全体的に、各コホートで24人の被験者に達した。各コホートは、プラセボを受け入れる対照グループにランダムに割り当てられた6人の被験者、及びスタンソポルフィンを受け入れる治療グループに割り当てられた18人の被験者を含むようにした。72人の被験者の登録は、64人の評価可能な被験者を生むと期待された。すべての4.5mg/kgのコホートの登録前に研究が中断したため、実際に登録された被験者数は72人ではなくて63人であった。17人の被験者は1.5mg/kgのスタンソポルフィンを受け入れ、18人の被験者は3.0mg/kgのスタンソポルフィンを受け入れ、8人の被験者は4.5mg/kgのスタンソポルフィンを受け入れ、17人の被験者はプラセボを受け入れ、5人の被験者はランダム化したが治療しなかった。
−診断と主な参加基準−
満期と遅い満期の被験者(35週間以上で43週間未満の在胎期間)、生後48時間以下で高ビリルビン血症と溶血性疾患の危険因子を有し、クームス陽性、ABO式血液型不適合、Rh不適合(抗C、c、D、E、又はe)又はG6PD欠損の被験者を含み、少なくとも2500g(5.5ポンド)の出生時体重。同意が得られた後、生後12時間以下についてアメリカ小児科アカデミー(AAP)ガイドラインによる光線療法(PT)の閾値より1mg/dL低いウィンドウに又は生後12〜48時間についてのPT閾値より2mg/dL低い範囲内に血清ビリルビンレベルが入るまで見守り、その時点で、スクリーニング基準が適合すれば被験者はランダム化の資格があるとした。この試験対象患者基準のウィンドウは、第1コホートの間は、生後12時間以下の閾値より低くは2mg/dL、生後12〜48時間では低くは3mg/dLに修正した。新たな修正は、コホート2への途中では、生後12時間以下についてAAPガイドラインによるPTの閾値より低くは1mg/dL又は生後12〜48時間についてのPT閾値より低くは2mg/dL低いという元の基準に戻した。治験医薬品(IMP)を用いた治療は、総血清ビリルビン(TSB)レベルが記載のウィンドウの範囲内にあってその他の参加基準にすべて適合するまで開始しないとした。
直接クームス試験で陽性の被験者は、PTについてのAAPガイドラインにしたがい、高度又は中位の危険と分類した。プロトコル修正にしたがい、直接クームス試験で陰性のABO又はRh不適合の被験者は、AAPガイドラインに規定する少なくとも1つの付加的危険因子を有するならば、臨床研究に入れることができた。
−排除因子−
本研究で選択した重要な排除因子は、研究対象母集団を均質化し、かつ臨床的に重要な併存症、光に敏感な薬物又はアルブミンからビリルビンを置き換えることが知られた又は疑わしいものへの暴露、及び外科的光への暴露の危険がある者を除去することにより、患者の安全性を確保する。さらに、母親が出産前後の30日にフェノバルビタールを服用した被験者は、母乳を与えられたならば排除され、これはフェノバルビタールがビリルビンの結合と排出を増加させるためである。
−投与の用量と様式−
テスト治療は、1.5mg/kg(コホート1)、3.0mg/kg(コホート2)、又は4.5mg/kg(コホート3)のIM注射によるスタンソポルフィンの単一用量とした。プラセボの対照治療は、スタンソポルフィンの用量の体積に一致する一回の食塩水IM注射とした。
−評価のスケジュール−
同種免疫溶血性疾患を疑っていた新生児の親・保護者は、本臨床研究の同意について打診された。同意が得られた後、被験者は、黄疸の臨床的徴候について観察され、経皮的ビリルビン(TcB)又はTSBレベルをすべて揃えた。TcBの測定は、被験者のビリルビンレベルを追跡する助けに使用することができた。被験者が試験対象基準を満たせば、スクリーニング手続が完備され、被験者は臨床研究に入ることができた。被験者がこの基準を満たさなければ、臨床的指示として、生後48時間までTcB又はTSBレベルを繰り返すことができた。
スケジュール化した評価を(TSBなど)、治療前、及び治療又は早期中止後の0.75時間と2時間(又は1.5時間と3時間、PK血液採取指示による);6、12、24、48、及び72時間;及び14日と30日(TSBなし)に行った。
PTは本研究のために標準化した。PTが必要かどうかを判断するため、IM注射の6時間後にTSBレベルを最初に評価した。PTを開始するAAPガイドラインに被験者が適合すれば、PTが開始され、その時点で基準が満たされなければ、次のTSBレベルの評価まで(IMP注射から12、24、及び48時間)被験者は研究に係属する。これらのいずれかの時点でAAPガイドラインによるPT開始の基準を被験者が満たせば、PTが開始される。
PTを受ける被験者において、PTが依然として必要かどうかを評価する判断は、6時間(±15分)ごとに行われ、これらの6時間評価の2回にわたって減少していれば、TSB評価を12時間(±15分)ごとに行うことができた。減少しているTSB評価が吟味されてTSBレベルがPTの閾値(血液を採取したときの被験者の年齢によって決定)より少なくとも2mg/dL低ければ、PTを停止した。被験者の臨床管理の一部として、PTを停止した後、約6時間後にTSB評価を行い、ビリルビンレベルに反発がないことを確認した。TSBがPTの閾値より高くまで反発すれば、最初の調査員の判断でさらなる臨床管理を行った。訪問4(30日)の完了後、親・保護者に、完了した被験者に長期の安全性追跡研究に加わるかを質問した。
−効能管理−
一次効能終点は、ベースラインから治療後48時間までの調整済TSBの変化であった。調整済TSBは、AAPガイドラインによるPT開始についての年齢固有閾値からのTSBレベルの変化率の計算、即ち、経時的なPT閾値を下回る距離の指標である。
二次効能終点は、治療後48時間の未調整TSBにおけるベースラインからの変化、治療後の種々の別な時点における調整済と未調整のTSBにおけるベースラインからの変化、未調整TSBにおけるベースラインからの変化率、PT/交換輸血(ET)を必要とする被験者の割合、PT/ETまでの時間、PTの期間、及び退院までの時間である。
治療後の所定時点で血液サンプルを採取し、研究している3通りの用量でスタンソポルフィンのPKを評価した。
−安全性の測定−
安全性の測定には、有害事象(AE)、血液学・化学実験テスト、生命徴候の測定、健康診断、皮膚科検査、聴覚評価、眼科的評価、神経学的評価、及び定量的心電図(ECG)が挙げられる。スタンソポルフィンの血漿濃度と経時的QTc間隔の変化の関係を解析した。
−統計的方法−
本研究におけるいくつかの解析集団を規定した。
治療意図集団(ITT):臨床研究における治療にランダムに割り当てられ、IMPを受け、治療後の最初の48時間に少なくとも1つのポストベースラインTSB測定値を有する全被験者と規定した。被験者は、ランダム化した治療に基づいて取りまとめられた。
プロトコルに準じた集団(PP):ITT集団に属し、臨床研究を完了し、臨床研究の間に大きなプロトコル変化を有しなかった全被験者と規定した。
安全性集団:臨床研究に入り、IMPを受けた全被験者と規定した。被験者は、受けた治療にしたがって取りまとめられた。
一次効能解析は、ITT集団に対して行った。付加的な支持的効能解析はPP集団に対して行った。
記述統計学を使用し、すべての効能と安全性の結果を集約した。特に明記がなければ、すべての統計的解析は2乗のα=0.05とした。
効能パラメータの解析:一次効能解析は共分散(ANCOVA)法の解析を適用し、在胎期間の効果と調整済ベースラインTSBレベルについてコントロールした後の48時間後ベースラインからの調整済TSBレベルにおける変化に、治療グループ間で有意な変化が存在するかを判断した。ANCOVAの仮定が違っていると思われたなら、代わりにウイルコクソンの順位和検定を行うことができた。カプラン・マイヤー法を用いて時間−事象変数を解析し、カプラン・マイヤーの生存曲線を作成した。
薬物動態学的評価:より良好にPK曲線を特徴づけるため、被験者を異なるサンプリング時間を有する2つのグループに分類した。全被験者から得たサンプルからのモデル化は、すべての3つの活性治療グループにおいて、最高濃度に達するまでの時間、最高濃度(Cmax)、半減期、及び時間曲線に対する血漿濃度下面積などのPKパラメータの計算を可能にした。
安全パラメータの解析:記述的統計手法を使用し、安全集団に基づいて安全性パラメータの集約に使用した。すべての治療−緊急有害事象(TEAE)を集約した。また、強度、重大な有害事象(SAE)、及び中断をもたらすAEによって、IMP、TEAEに関係する可能性があると考えられるすべてのTEAEについて、表にまとめて示した。
すべての別の安全性の終了点(生命徴候の測定、血液学・化学実験テスト、健康診断結果、ECG結果、等)を治療グループと訪問によって集約した。また、ポストベースラインとベースラインを比較する実験室結果用に変換表を作成した。生命徴候の測定結果について、同様な変換表を作成した。
−予備データ−
予備データは、生後20日の乳児にスタンソポルフィンのようなメタロポルフィリンを投与することは、総血清ビリルビンレベルを効果的に低下させ、有意な副作用を有しないことを示唆する。
グループ間の有害事象の種類又は重症度に差異がない。1人の乳児が、治験薬と光線療法に関係すると考えられる自分だけの発疹(1.5mg/kg)を有した。4つの重大な有害事象、貧血、髄膜炎、及び光線療法のために入院を要する2ケースの高ビリルビン血症があった。化学的検査、肝機能検査、及び腎機能検査は正常であった。血小板数を除き、すべての別の血液学パラメータは正常であった。血小板数は、スタンソポルフィンの投与後48時間までベースラインから減少し、一方、プラセボにおける被験者の血小板数は安定のままであった。表13と表14を参照されたい。ここで、表13に見られるように、スタンソポルフィンの投与後14日までに、すべての試験グループにおいて平均の血小板数は正常範囲に戻った。表14は、4.5mg/kgの用量グループにおけるある被験者についてのベースラインと投与後48時間の血小板数を示す。
さらに、心拍数、PR間隔、RR間隔、QRC複合体、及びQT間隔には影響がなかった。これは、QTデータに関するヒトにおける最初の臨床研究であった。重要なことには、本研究は、QT延長がないことを示し、心臓効果の指標として使用される。すべての身体検査は正常であった。すべての神経学的検査は正常であった。聴覚検査は基本的に正常であった。
表7、表8、及び表9は、有害事象を報告する。重要なことには、異常の報告により、高ビリルビン血症と黄疸が、本研究の一部における有害事象として報告された。これらの状況は実際に治療されている状況であるため、報告されるべきではなかった。報告された事象はいずれも重症及び/又は薬物関連ではないと見られる。表10は有害事象を報告するもので、ここでは一人の患者が有害事象を報告した。図11は、重大な有害事象を報告するものであり、プラセボグループの高ビリルビン血症を含み、これはその後回復した。
スタンソポルフィン用量の投与は、限定されるものではないが、血圧、脈拍、呼吸数、及び体温などの生命徴候に影響を及ぼさない。さらに、一般的な身体的・精神的検査が行われたとき、影響が見られなかった。また、被験者の体重、身長の伸び、及び頭部成長にも影響がなかった。検査値は、限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、及び塩素のレベル、肝機能検査、アルブミン/総タンパク質、腎機能、ヘモグロビン/ヘマトクリット値、白血球数、リンパ球、好酸球、好塩基球、及び網赤血球などの化学的性質に影響を示さなかった。
表11と表12に示す皮膚科評価は、1.5mg/kgのスタンソポルフィンの投与をされた3人の被験者(17.6%)は発疹を有し、発疹を有する者のうち2人の被験者(66.7%)は光線療法を適用された。また、3.0mg/kgのスタンソポルフィンの投与をされた8人の被験者(44.4%)は発疹を有し、発疹を有する者のうち3人の被験者(37.5%)は光線療法を適用された。4.5mg/kgのグループにおいては1人の被験者(12.5%)が発疹を有し、光線療法を適用された。プラセボグループにおいては、2人の被験者(13.3%)は発疹を有し、発疹を有する者のうち1人の被験者(50%)は光線療法を適用された。表12は、観察された発疹のタイプを示す。
したがって、本薬剤は、副作用の心配が殆どなしに投与することができる。このことは、本薬剤がより早期により広範囲の数々の患者に投与することができ、恐らくは光線療法及び/又は交換輸血の必要性を無くすことを示唆する。
有効性データは、治療意図グループにおける総血清ビリルビンレベルの増加はプラセボグループよりもはるかに少ないことを示す。表15を参照されたい。治療意図の解析は、治験薬を投与されて少なくとも1つの効能評価を有する全被験者からのデータを使用する。プロトコルでは、分析は、有効性の評価に影響を与え得るプロトコル違反を有しない被験者のみを含む。脱落した者とプロトコルにしたがって治療しなかった者を除くと、プロトコルにしたがって治療したグループは、3.0mg/kgと4.5mg/kgのグループにおいて、総血清ビリルビンのベースラインからの統計的有意な変化を示す。表16を参照されたい。表17に見られるように、プラセボに対する4.5mg/kgのスタンソポルフィンで処理した被験者の総血清ビリルビンのベースラインからの変化をいろいろな時点で吟味すると、24時間後に、スタンソポルフィンで治療した患者に総計的に有意な変化をみることができると理解される。他方、プラセボグループにおいては、加速されたレベルで総血清ビリルビンが上昇を続ける。表17と図8〜9を参照されたい。図7は、スタンソポルフィンで治療した全グループについて、総血清ビリルビンレベルは12時間後まで遅い速度で増加し、12〜24時間と48〜72時間の間は減少することを示す。一方、プラセボグループのビリルビンレベルは増加を続け、48時間後に水平状態になった。
表18は、光線療法を必要とする被験者の発生率を示す。表18に示すように、1.5mg/kgのスタンソポルフィンのグループにおいて、3人の被験者(17.6%)が光線療法を必要とした。3.0mg/kg用量のスタンソポルフィンのグループからの6人の被験者(33.3%)と4.5mg/kg用量のスタンソポルフィンのグループからの2人の被験者(25%)が光線療法を必要とし、これに対して、プラセボグループからは8人の被験者(53.3%)が光線療法を必要とした。交換輸血はされなかった。したがって、全グループにおいて、スタンソポルフィンの投与は光線療法の必要性を低下させた。表19は、光線療法閾値に達した被験者についてのスタンソポルフィン投与後に要した時間の範囲を詳しく示す表である。光線療法を必要とした1.5mg/kg用量のスタンソポルフィンのグループは、約5.2〜約17.8時間で光線療法閾値に達した。光線療法を必要とした3.0mg/kg用量のスタンソポルフィンのグループは、約7.2〜約15.2時間で光線療法閾値に達した。光線療法を必要とした4.5mg/kg用量のスタンソポルフィンのグループは、約7.3〜約8.8時間で光線療法閾値に達した。プラセボグループにおいては、光線療法閾値に達して光線療法を必要とするまでの時間は広範囲に及び、約1〜約45.8時間であった。
光線療法の時間は、表20に示すように、1.5mg/kgのグループについては約20時間、3.0mg/kgのグループについては約14時間、4.5mg/kgのグループについては約14時間、プラセボグループについては約16時間であった。表21は、被験者の治療から退院までの時間の平均と範囲を詳しく示す表である。図24に示すように、平均退院時間は、1.5mg/kgのグループについては38時間、3.0mg/kgのグループについては42.8時間、4.5mg/kgのグループについては48.3時間、プラセボグループについては28.1時間であった。スタンソポルフィンを受け入れた者は誰も再入院しなかった。しかしながら、15人のプラセボ被験者の2人(13.3%)が再入院した。図10は、プラセボ用量を生後39時間で投与され、投与後29時間に光線療法を開始されたプラセボ患者のビリルビンレベルを示す。図11は、生後46時間で投与され、投与後48時間に7時間の光線療法を開始されたプラセボ患者の総血清ビリルビンレベルを示す。
−最終データ−
本研究を完了し、データ解析した。見出された内容は、予備調査結果と一貫しており、下記にさらに詳しく報告する。
−有効性結果の概要−
一次的な有効性評価項目の解析において、ITT集団におけるベースラインから治療後48時間までの調整済TSBレベルに、各治療グループにおいて減少が観察され、スタンソポルフィン用量が増加するにつれ、より大きな数値減少が見られた。最小自乗平均(LSM)調整済TSBのベースラインからの減少は、治療後48時間でのプラセボグループ(p=0.040、ANCOVA)におけるよりも、スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループにおける方が統計的有意に大きかった。PP集団に統計的差異は見られなかった。混合モデルの反復測定(MNRM)解析は、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループにLSMにおいて統計的有意なより大きい低下を示した。
二次的な有効性評価項目の解析において、平均未調整TSBレベルは、治療後6〜12時間以降のプラセボグループよりも、スタンソポルフィン処置グループの方が増加は少なく、TSBの最小増加(即ち、最大効果)がスタンソポルフィンの最大用量(4.5mg/kg)で見られ、最大増加がプラセボグループで見られた。ANCOVA解析は、プラセボグループよりもスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループで、LSMにおいて統計的有意なより小さい増加を示した。
評価した時点(6、12、24、48、及び72時間)の全体で、LSM調整済TSBにおけるベースラインからの低下は、スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループの方が、48時間後と72時間後の処置のプラセボグループよりも統計的有意に大きかった。これらの同じ時点での未調整TSBに関し、ANCOVA解析は、治療後24時間、48時間、及び72時間のプラセボグループよりもスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの方が、治療後72時間のプラセボグループよりもスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの方が、LSMにおいて統計的有意なより小さい増加を示した。
処置後14日で、平均TSBレベルは成人レベルまで低下し(スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループでは3.06mg/dL、スタンソポルフィン3.0mg/kgのグループでは5.23mg/dL、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループでは2.94mg/dL、及びプラセボグループでは5.70mg/dL)、用量効果は見られなかった。
ETを必要とする被験者はいなかった。19人の被験者がPTを必要とし、53.3%のプラセボ被験者がPTを必要とし(PTのために再入院した2人の乳児を含む)、一方、スタンソポルフィン治療グループの全体では、約26%がPTを必要とした。この差異は、サンプルサイズの制約により、統計的有意とは評価されなかった。スタンソポルフィン1.5mg/kgと3.0mg/kgのグループにおいて、PTを必要とする公算は、ベースラインの調整済TSBレベルに有意に関係した(即ち、被験者TSBの近傍から研究開始時のTSB閾値)。
PTまでの時間に関し、データは被験者の間で変動し、明確な薬物効果に関して解釈することが困難であったが、留意すべきことは、本研究は、PTまでの時間に及ぼす効果を測定するように計画されていなかったことである。すべての治療グループにおいて、PTまでの時間は、ベースラインの調整済TSBレベルに、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループでは年齢と治療に有意に関係した。重要なことには、プラセボグループには、退院後にPTのために再入院した被験者が2人いたが、スタンソポルフィンで治療した被験者にはこのようなことは起きなかった。被験者全体のPTの平均時間は、PTを受けたスタンソポルフィン被験者の少ない数を反映し、スタンソポルフィン治療グループでは約212〜280分間、プラセボグループでは約520分間であった。PTの最大時間は、スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループでは1426分間、スタンソポルフィン3.0mg/kgのグループでは1140分間、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループでは990分間、及びプラセボグループでは1840分間であった。
退院までの時間は、プラセボグループに比較してスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの方が有意に長かったが、これは主として、1人の被験者が骨髄炎の治療のために長期間入院を必要としたためである。この解析から骨髄炎の治療のために長期間入院した1人を除くと、退院までの時間は、プラセボグループと比較したスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループと同等になる。
暴露データの解析は、スタンソポルフィンがIM注射から迅速かつ十分に吸収されることを示し、ピークの血漿濃度が治療後1時間以内に観察された。血漿からのスタンソポルフィンの除去は線形動力学にしたがい、排出半減期は約10時間であった。血漿のスタンソポルフィン濃度は、3.0mg/kg以上の用量の被験者はいずれも、少なくとも治療後48時間に測定可能であった。CmaxとAUCの被験者間変動は概ね30%以下であったが、これは新生児については比較的小さいと考えられる。小さい被験者間変動は、IM注射箇所からの良好な吸収に関与すると同時に、スタンソポルフィンの排出における代謝作用の割合に小さい寄与に関与することができた。1.5〜4.5mg/kgの用量範囲にわたってCmaxに用量に比例した増加があり、注射箇所からのスタンソポルフィンの吸収が一次線形動力学にしたがうことを示唆した。スタンソポルフィンの時間ゼロから無限(AUC0〜∞)、とりわけ1.5〜3.0mg/kgの用量範囲の時間に対する血漿濃度の曲線の下の領域に、用量に比例した増加を若干上回る増加があり、これはある程度、計量限界を下回る1.5mg/kgのグループにおける低い血漿スタンソポルフィンの濃度によると考えられた。用量が3.0mg/kgから4.5mg/kgに増加したため、AUC0〜∞のスタンソポルフィンにおける用量に比例する増加をわずか20%〜25%上回ったが、このことは臨床的に重要ではないであろう。
−有効性評価結果の詳細な説明−
一次評価項目は、ベースラインから治療後48時間までの調整済TSBにおける変化であった。ベースラインから治療後48時間までの調整済TSBレベルにおける減少は、各治療グループで観察し、スタンソポルフィンの用量が増加するにつれてより大きい数値減少が見られた。ベースラインからのLSM変化は、プラセボグループの1.6%に比較し、15.0%(1.5mg/kgのスタンソポルフィン)、11.6%(3.0mg/kgのスタンソポルフィン)、及び16.5%(4.5mg/kgのスタンソポルフィン)であった。スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループとプラセボグループの間のLSM低下における差異は統計的有意であった(p=0.040、ANCOVA)(表22)。
ベースラインの調整済TSB値は、治療グループの間で若干の相違を示し、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループはPT閾値に最も近いTSBを有し(9%)、スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループは閾値をかなり下回るTSBを有し(20%)、プラセボグループは閾値を13%下回った。これらの知見は、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループで最も高い未調整レベルと一貫した。
感度解析において、(1)PP集団と(2)MMRM解析を用い、一次解析を繰り返した。一次解析と同様に、PP集団の解析は、ベースラインから治療後48時間までの調整済TSBレベルに減少を示し、スタンソポルフィン用量が増加するほど、より大きい減少が見られたが、しかしながら、ANCOVA解析は、プラセボグループと治療グループの間でLSMにおける統計的有意な差異を示さなかった。MMRM解析は、処理後24時間と48時間の時点で、プラセボとスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの間で、LSMにおける統計的有意なより大きい低下を示した(表23)。
−安全性結果の概要−
安全性集団の58人の被験者について(治験薬を受け入れた者)、17人の被験者がスタンソポルフィン1.5mg/kgを受け入れ、18人の被験者が3.0mg/kgを受け入れ、8人の被験者が4.5mg/kgを受け入れ、15人の被験者がプラセボの単一用量を受け入れた。
3つのスタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間には、TEAEの発生率に統計的有意な差異はなかった。各々の治療グループにおいて、30%を超える被験者が、少なくとも1つのTEAEを経験し、1つのTEAE以外はすべて軽度ないし中等度の重症度と考えられた。重症の打撲傷が報告された1つのケースがあり、これは本研究者による治験薬とは関係しないものと考えられた。4つのSAEが報告されたが(貧血、髄膜炎、2ケースの高ビリルビン血症)、いずれも回復し、治験薬とは関係しないものと考えられ、重症度は軽度ないし中等度であった。
臨床検査室の評価において、血液学・臨床化学パラメータの大部分は、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で、用量に関係する傾向又は平均値の顕著な差異を示さず、すべてのパラメータと治療グループについての平均値はいずれも、十分に通常範囲内にあり、殆どは第14日にベースラインに戻った。
スタンソポルフィンを用いた治療後に、正常から高い好中球レベルと正常から低い血小板数という若干のシフトが観察され、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの被験者はいずれも、48時間の血小板に穏やかな低下を示し、これは第14日に正常になった。臨床検査室の結果におけるベースラインからの個々のシフトの評価は、血小板以外のいずれのパラメータについても、プラセボグループに比較した各スタンソポルフィン治療グループの間で、用量に関係する傾向又は顕著な差異を示さなかった。
血小板には短時間の自己限定的な減少があり、48時間に明らかになって第14日に正常に戻った。血小板のこの減少に伴う出血性異常は存在しなかった。
本研究の中でAEと報告された多くの臨床検査室的変化があり、これらはいずれも重症度が軽度ないし中等度であり、増加したヘモグロビンと血小板減少症のみが、もしかすると治験薬に関係すると考えられた。
生命徴候の評価は、スタンソポルフィンを用いた治療後45分に観察される平均脈拍の減少を示し、これはプラセボグループでは生じなかった。この効果は、治療後1.5時間ではもはや観察されず、治療後72時間にプラセボ被験者で生じた87拍/分の1つの測定値を除き、本研究中に測定された脈拍数はいずれも正常限界内であった。これ以外の用量に関係する傾向又は顕著な差異は、治療グループ間の生命徴候には観察されなかった。
身体検査結果、あるいは、体重、身長、又は頭囲におけるベースラインからの変化に、治療グループ間での差異は存在しなかった。
スタンソポルフィン治療グループに対するプラセボグループにおいて、発疹を呈してPTを受けた被験者の比率の間に、有意な差異は存在しなかった。AEとして報告された肌と皮下組織の不調は軽度ないし中等度であり、殆どは治験薬に関係しないと考えられた。1つの紅斑のケース、1つの新生児中毒性紅斑のケース、及びスタンソポルフィン治療グループの1つの発疹のケースは、多分又はもしかすると治験薬に関係すると考えられた。
いずれの被験者も、スクリーニング時、治療後48時間/退院時、又は中断時に正常な聴覚検査値を有した。
眼科検診は、非常に少ない異常状態を示した。4人の被験者はレチナール色素沈着を有した。いずれの異常状態もAEとして報告されず、異常状態の数に、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で用量に関係する傾向又は顕著な差異は存在しなかった。
治療グループの間で報告された神経的異常は殆どなく、調査員により臨床的に有意ではないとみなされた。結果において、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で用量に関係する傾向又は顕著な差異は存在しなかった。スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの被験者(被験者038−0012)に報告された意識低下レベルのAEがあり、これは治療を受けて28時間後に始まって3日以内に回復した。この事象は重症度が中等度で、治験薬に関係しないと考えられた。
ECGの結果は、プラセボグループに比較したスタンソポルフィン治療グループの間で、用量に関係する傾向又は顕著な差異を示さなかった。すべての治療グループにおいてすべての時点で観察された少しのQTc異常値が存在した。
−有効性評価項目の結果の詳細な説明−
治療後48時間での未調整TSBにおけるベースラインからの変化を、ITT(表25)とPP(表28)の集団を用いて解析した。プラセボグループは、ベースラインからのTSBの増加を実証し、状態の自然過程を表した。3通りのスタンソポルフィン用量はいずれも、数値の用量応答で48時間のTSB増加を低下させ、ANCOVA解析は、ITTとPPの双方の集団についてスタンソポルフィン4.5mg/kgとプラセボのグループ間で、LSMにおける統計的有意な差異(より少ない増加)を示した。
治療後6、12、24、48、及び72時間の時点での調整済TSBにおけるベースラインからの変化を表29に示す。ベースラインから治療後72時間までの各々の治療グループについての平均調整済TSBレベルを図13と表24に示す。
ANCOVA解析は、プラセボグループよりも治療後48時間と72時間のスタンソポルフィン1.5mg/kgのグループで、LSM調整済TSBレベルにおいて統計的有意なより大きい低下を示した。別の治療グループの結果は、統計的有意に達しなかった。
治療後6、12、24、48、及び72時間、並びに14日での未調整TSBにおけるベースラインからの変化を下記の表26に示す。
ベースラインから治療後14日までの各々の治療グループについての平均未調整TSBレベルを図14と表27に示す。いずれの治療グループにおいても、平均未調整TSBレベルは、ベースラインから治療後72時間まで増加した。平均未調整TSBレベルにおける減少は、第14日の時点で見られた。ANCOVA解析は、治療後24、48、及び72時間のスタンソポルフィン4.5mg/kgグループとプラセボグループの間、治療後72時間のスタンソポルフィン1.5mg/kgグループとプラセボグループの間で、LSMにおける統計的有意なより大きい差異(より小さな増加)を示した。
−安全性の概要−
安全性集団の58人の被験者のうち、17人の被験者がスタンソポルフィン1.5mg/kgを受け入れ、18人の被験者が3.0mg/kgを受け入れ、8人の被験者が4.5mg/kgを受け入れ、15人の被験者がプラセボの単一用量を受け入れた。
3つのスタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間には、TEAEの発生率に統計的有意な差異はなかった。各々の治療グループにおいて、30%を超える被験者が、少なくとも1つのTEAEを経験し、1つのTEAE以外はすべて軽度ないし中等度の重症度と考えられた。重症の打撲傷が報告された1つのケースがあり、これは本研究者による治験薬とは関係しないものと考えられた。4つのSAEが報告されたが(貧血、髄膜炎、2ケースの高ビリルビン血症)、いずれも回復し、治験薬とは関係しないものと考えられ、重症度は軽度ないし中等度であった。
臨床検査室の評価において、血液学・臨床化学パラメータの大部分は、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で、用量に関係する傾向又は平均値の顕著な差異を示さず、すべてのパラメータと治療グループについての平均値はいずれも、十分に通常範囲内にあり、殆どは第14日にベースラインに戻った。
スタンソポルフィンを用いた治療後に、正常から高い好中球レベルと正常から低い血小板数という若干のシフトが観察され、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの被験者はいずれも、48時間の血小板に穏やかな低下を示し、これは第14日に正常になった。臨床検査室の結果におけるベースラインからの個々のシフトの評価は、血小板以外のいずれのパラメータについても、プラセボグループに比較した各スタンソポルフィン治療グループの間で、用量に関係する傾向又は顕著な差異を示さなかった。
血小板には短時間の自己限定的な減少があり、48時間に明らかになって第14日に正常に戻った。血小板のこの減少に伴う出血性異常は存在しなかった。
本研究の中でAEと報告された多くの臨床検査室的変化があり、これらはいずれも重症度が軽度ないし中等度であり、増加したヘモグロビンと血小板減少症のみが、もしかすると治験薬に関係すると考えられた。
生命徴候の評価は、スタンソポルフィンを用いた治療後45分に観察される平均脈拍の減少を示し、これはプラセボグループでは生じなかった。この効果は、治療後1.5時間ではもはや観察されず、治療後72時間にプラセボ被験者で生じた87拍/分の1つの測定値を除き、本研究中に測定された脈拍数はいずれも正常限界内であった。これ以外の用量に関係する傾向又は顕著な差異は、治療グループ間の生命徴候には観察されなかった。
身体検査結果、あるいは、体重、身長、又は頭囲におけるベースラインからの変化に、治療グループ間での差異は存在しなかった。
スタンソポルフィンで治療した1人の被験者とプラセボで治療した1人の被験者は、PT後に発疹を有した。スタンソポルフィン治療グループに対するプラセボグループにおいて、発疹を呈してPTを受けた被験者の比率の間に、有意な差異は存在しなかった。AEとして報告された肌と皮下組織の不調は軽度ないし中等度であり、殆どは治験薬に関係しないと考えられた。1つの紅斑のケース、1つの新生児中毒性紅斑のケース、及びスタンソポルフィン治療グループの1つの発疹のケースは、多分又はもしかしたら治験薬に関係すると考えられた。
いずれの被験者も、スクリーニング時、治療後48時間/退院時、又は中断時に正常な聴覚検査値を有した。
眼科検診は、非常に少ない異常状態を示した。4人の被験者はレチナール色素沈着を有した。いずれの異常状態もAEとして報告されず、異常状態の数に、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で用量に関係する傾向又は顕著な差異は存在しなかった。
治療グループの間で報告された神経的異常は殆どなく、調査員により臨床的に有意ではないとみなされた。結果において、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で用量に関係する傾向又は顕著な差異は存在しなかった。スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの被験者(被験者038−0012)に報告された意識低下レベルのAEがあり、これは治療を受けて28時間後に始まって3日以内に回復した。この事象は重症度が中等度で、治験薬に関係しないと考えられた。
ECGの結果は、プラセボグループに比較したスタンソポルフィン治療グループの間で、用量に関係する傾向又は顕著な差異を示さなかった。すべての治療グループにおいてすべての時点で観察された少しのQTc異常値が存在した。
−結論−
高ビリルビン血症の新生児に対するこの盲検法のランダム化した研究は58人の被験者を含み、米国と欧州の23研究箇所で、被験者はそれぞれ単一用量のスタンソポルフィン(17人の被験者が1.5mg/kg、18人の被験者が3.0mg/kg、8人の被験者が4.5mg/kg)又はプラセボ(15人の被験者)を受け入れた。本研究は早めに終了し、このためスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループは8被験者のみが登録された。人口学的特性は治療グループの全体でうまくバランスし、人種と性の分布に若干の相違があった。各々の治療グループにおける被験者の平均在胎期間は約39週間であった。出生時体重は2614〜4490gであり、治療グループの間の平均出生時体重は大体3337〜3582gであった。
一次効能評価項目の解析において、ITT集団におけるベースラインから治療後48時間までの調整済TSBレベルに、減少が、各々の各治療グループに観察され、スタンソポルフィン用量が増加するほど、より大きい数値減少が見られた。スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループとプラセボグループの間のLSM低下の相違は、統計的有意であった。MMRM解析は、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループにおけるLSMのTSBレベルに統計的有意なより大きい低下を示した。未調整TSBレベルの二次解析において、プラセボグループよりもスタンソポルフィン4.5mg/kgのグループの方が、LSMのTSBレベルに統計的有意なより小さい増加が観察された。種々の時点での解析は、治療後72時間の時点まで、統計的有意な相違を示した。データは、約6時間以降からのTSBの上昇に及ぼす用量に関係する効果を示し、すべての3つのスタンソポルフィングループはTSBを減少し、最大は4.5mg/kgの用量であった。
治療後14日に、平均TSBレベルは成人レベルまで低下し(スタンソポルフィン1.5mg/kgのグループでは3.06mg/dL、スタンソポルフィン3.0mg/kgのグループでは5.23mg/dL、スタンソポルフィン4.5mg/kgのグループでは2.94mg/dL、及びプラセボグループでは5.70mg/dL)、用量効果は見られなかった。
約53%のプラセボ被験者がPTを受けに行き。これに対し、スタンソポルフィン被験者では26%であった。プラセボグループでは、退院後にPTのために2人の被験者が再入院したが、スタンソポルフィンで治療した被験者にはこのようなことは起きなかった。
暴露データの解析は、スタンソポルフィンがIM注射から迅速かつ十分に吸収されることを示し、スタンソポルフィンの吸収は一次線形動力学にしたがい、ピークの血漿濃度が治療後1時間以内に観察された。排出半減期は約10時間であった。
全体として、スタンソポルフィンへの暴露は良好に対処され、TEAEの発生率においては、3つのスタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で統計的有意な差異はなかった。1つの例外(打撲傷)を除けばすべて、重症度は軽度ないし中等度と考えられた。貧血、髄膜炎、及び高ビリルビン血症の2人の被験者の4人のSAEが報告されたが、いずれも治験薬に関係しないと考えられ、重症度は軽度ないし中等度であった。
臨床検査室の評価において、血液学・臨床化学パラメータの大部分は、スタンソポルフィン治療グループとプラセボグループの間で、用量に関係する傾向又は平均値の顕著な差異を示さず、すべてのパラメータと治療グループについての平均値はいずれも、十分に通常範囲内にあり、殆どは第14日にベースラインに戻った。本研究の中でAEと報告された臨床検査室的変化に関し、増加したヘモグロビンと血小板減少症のみが、もしかすると治験薬に関係すると考えられた。
治療グループ間では、生命徴候、身体検査、皮膚科検診、聴覚検査、眼科検査、又は神経学的評価においていて、問題とする用量に関係する傾向又は平均値の顕著な差異は存在しなかった。ECG評価においては、ベースラインからの変化と絶対値のいずれにも、顕著な用量に関係する傾向は存在しなかった。
結論として、高ビリルビン血症の58人の新生児に関するこの多数研究センターのランダム化された盲目法の研究は、4.5mg/kgまでの3通りの用量のすべてについて同様な安全性を実証し、スタンソポルフィンについて予測可能な線形PK、及び単一用量の12時間以降の調整済と未調整のTSBレベルにおける用量に関係する低下としての有効性を示した。
本願に開示の態様は、記載した特定の方法、組成物、又は手順は変化し得るため、これらに限定されるものではないと理解すべきである。また、説明に使用した専門用語は、特定の場合又は態様を記載する目的に過ぎなく、本発明の範囲を限定するものではないと理解すべきである。特段の明記がなければ、本願で使用した技術的・科学的用語は、いずれも当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本願で記載したものに類似又は同等な何らかの方法や材料が、本発明の態様の実施又は試験に使用可能であるが、ここでは、好ましい方法、装置、及び材料を記載している。本願で言及した刊行物はいずれも、全体として参照して取り入れられる。これらを、先行発明のおかげによる開示に本発明が先行する資格がない承認と解釈してはならない。
−光学異性体、ジアステレオマー、幾何学的異性体、互変異性体−
本願に記載の化合物は不斉中心を有することができ、このため光学異性体として存在することができる。本発明による化合物が2以上の不斉中心を有する場合、それららはさらにジアステレオマーとして存在することもできる。本発明は、実質的に純粋な分離された光学異性体、それらのラセミ混合物、及びジアステレオマー混合物のようなあり得る光学異性体をすべて包含する。その化学式は特定位置の明確な立体化学を含めずに示した。本発明は、こうした化学式のすべての光学異性体とその薬理学的に許容される塩を包含する。光学異性体の立体異性体のペアは、例えば、適切な溶媒から分別結晶によって分離させ、このようにして得られた光学異性体のペアを、例えば、分割剤として光学活性の酸又は塩基を使用して又はキラルHPLCカラムのような常套手段により、個々の立体異性体に分離することができる。また、一般式の化合物の光学異性体又はジアステレオマーは、既知の構造の光学的純粋な出発物質を用いる立体選択的合成によって得ることができる。
また、留意しなければならないことは、明細書と特許請求の範囲において、用語の単数形の表現は、特段の記載がない限り、複数形のものを包含することである。即ち、例えば、「ある化合物」との記載は、1種又はそれ以上の化合物及び当該技術で知られる等価の化合物に言及するものである。
本願における用語「約」は、それとともに記載している数値のプラス又はマイナス10%を意味する。したがって、約50%は45%〜55%の範囲を意味する。
治療手段に関係して用いる「投与する」は、標的組織の中に又はその上に治療薬を直接施す、又は患者に治療薬を施してそれによって治療薬が標的とされる組織に積極的に影響を及ぼすことを意味する。即ち、本願における用語「投与する」は、メタロポルフィリンに関係して用いる場合、限定されるものではないが、標的組織の中に又はその上にメタロポルフィリンを施すこと、及び例えば、静脈注射によって患者にメタロポルフィリンを全身的に施し、それによって治療薬を標的組織に到達させることを包含することができる。化合物を「投与する」は、注射、局所投与、又はこれらに別な公知技術を組み合わせた方法によって行うことができる。
本願における用語「動物」、「被験者」又は「患者」は、限定されるものではないが、ヒト、及びヒト以外の野生動物や家畜のような脊髄動物を包含する。最も好ましくは、「動物」、「被験者」又は「患者」は、ヒト、とりわけ乳児を指称する。
用語「改善する」は、本発明の対象が施される、適用される、又は投与される組織の外観、形態、特徴、及び/又は体格が変化することを伝えるために使用される。形態の変化は、肌の外観の向上、交換輸血の必要性の低下、光線療法の必要性の低下、ビリルビンレベルの減少、黄疸の減少、ゾーン5黄疸の防止又は減少、及び/又は入院期間の短縮の1つ又は組み合わせによって実証することができる。
用語「抑制する」は、本発明の化合物の投与が、症状の発現を防止する、症状を軽減する、又は疾病、状態もしく不調を解消することを包含する。
「薬理学的に許容される」は、担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の別な成分と適合し、その服用者に有害であってはならないことを意味する。
本願における「生理学的オスモル濃度」は、製剤又は組成物が、患者に投与されたときに炎症や薬害反応を生じないことを意味する。特定の態様によるオスモル濃度の適切な範囲は、約270〜328ミリオスモル/L、より好ましくは、約280〜300ミリオスモル/Lのオスモル濃度である。
本願における用語「治療薬」は、患者の望まれていない症状又は疾病を治療する、立ち向かう、軽減する、防止する、又は改善するために使用される薬物を意味する。一部において、本発明の態様は、高ビリルビン血症の治療又は総血清ビリルビンの低下に関する。
組成物の「治療量」又は「有効量」は、所望の効果を達成するために計算された所定の量であり、即ち、黄疸又は高ビリルビン血症を治療、防止、又は軽減し、ビリルビン生成を低下させ、ビリルビン排出を増加させ、又はこれらを組み合わせ、又は総血清ビリルビン及び/又は総皮膚性ビリルビンを低下させ、あるいはこの他に高ビリルビン血症の進行を遅延させ、阻害し、又は遅くする所定の量である。この方法によって考慮される活性には、必要に応じ、医療的治療及び/又は予防的措置の双方が含まれる。治療及び/又は予防上の効果を達成するために本発明にしたがって投与される化合物の具体的な用量は、当然ながら、場合に応じた特定の状況、例えば、投与される化合物、投与ルート、及び治療される状態などによって決められると考えられる。本化合物は、広い用量域にわたって有効である。ここで理解すべきことは、投与される有効量は、治療されるべき症状などの関連状況、投与されるべき化合物の選択、及び選択された投与ルートに照らして医師によって判断されると考えられることから、上記の用量域は多少なりとも本発明の範囲を制限するものではないことである。本発明の化合物の治療量は、一般に、生理的に耐えられる賦形組成物で投与されたときに有効な全身濃度又は組織の局所濃度を得るのに十分な量である。
本願における用語「治療」、「治療された」又は「治療する」は、治療措置及び予防又は防止手段の双方を指称し、その目的は、望ましくない生理的状態、不調又は疾病を防止又は遅延(軽減)すること、又は有益もしくは望ましい臨床結果を得ることである。本発明の目的に関し、有益もしくは望ましい臨床結果には、限定されるものではないが、症状の緩和;症状、不調又は疾病の範囲の減少;症状の状態の安定化(即ち、悪化ではない);症状、不調又は疾病の発現の遅延もしくは進行の猶予;症状、不調又は疾病状態の改善;及び鎮静(部分又は全体)が挙げられ、検出か可能であるかないか、症状、不調又は疾病の向上又は改善にはよらない。治療には、過剰レベルの副作用のない臨床的に重要な応答を導き出すことも含まれる。また、治療には、治療を受けない場合に予想される寿命よりも長くすることも含まれる。
本願における用語「ベースライン」は、治療措置及び予防又は防止手段を適用する前の乳児の血清ビリルビンレベルを指称する。いくつかの態様において、乳児のベースラインの血清ビリルビンレベルは、乳児の血清ビリルビンレベルにおける変化を測定するのに役立つ。
本発明の特定の好ましい態様を参照しながら本発明をかなり詳細に説明してきたが、これら以外の態様も可能である。したがって、特許請求の範囲の技術的思想とその範囲は、本明細書の説明と好ましい態様に限定されるべきではない。