本発明は、モータ等の回転駆動装置により回転させられ、その回転を種々利用できる回転体装置に関する。
従来、火力、原子力、水力、風力、太陽光、地熱、潮力等種々のエネルギーを利用した発電装置が利用されている。しかしながら、家庭、オフィス、工場等、様々な分野で電気機器や電気を利用した各種装置が利用されており、電気エネルギーの大量消費が社会的にも問題になっている。特に、発電量の多くを原子力発電や火力発電が占めているが、原子力発電では事故による放射能汚染や放射性廃棄物の処理等の問題が、火力発電では温室効果ガスによる環境汚染や化石燃料の枯渇の問題が深刻化している。さらに、大型の発電所は、広大なスペース及び大規模な設備等を必要とする問題があった。一方、本出願人は、先に出願した特許文献1にて炭酸ガス等の発生を抑えて発電機による発電を補助できるような比較的小型の回転体の技術を提案している。
特許文献1の回転体は、回転軸を中心として左右に円形側板を有し、該円形側板の円周に亘って複数個の棒状重錘を回転軸に対して3組の不等辺三角形の頂点となる位置に配設して構成されている。そして、電動モータにより回転体を回転させて回転エネルギーを蓄積できるとともに、回転体の回転力を利用して発電機を稼動し発電機で発生した電気エネルギーを供給できるものであった。本出願人は、更なる回転エネルギーの利用効率の向上を目指して改良を行った結果、新たな回転体装置の技術を開発した。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、回転エネルギーの効率良い利用を期待できる回転体装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、機枠12と、機枠12に回転自在に支持された回転軸14と、回転軸14に連結され回転軸14と一体回転する回転体16、16aと、回転軸14に連結され回転軸14と一体回転する重量部を備えたはずみ車18と、回転体16の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠12に固定された複数の磁石であり、それぞれ回転体16側に一方の磁極を向けそれらの全てが同極に設定された複数の第1磁石20と、回転体16に回転軸14方向から見て周方向に配列して取り付けられ、第1磁石20に対して反発する磁極を第1磁石20側に向けた複数の第2磁石22と、複数の第2磁石22の配列を、所定の角度単位UNにおいては周方向に向けてそれぞれの磁石の強さが次第に弱くなるように配置して磁力勾配ユニット48を形成し、かつその磁力勾配ユニット48を回転軸方向から見て周方向に繰り返した配列構成とすることにより、第1磁石20に対して第2磁石22を周方向に磁気反発させる反発機構24と、を有する回転体装置10から構成される。
また、第2磁石22は、板面が磁極となる円弧板状の磁石からなることとしてもよい。
また、複数の第1磁石20は、互いに周方向に離隔して疎に配置され、複数の第2磁石22は、互いに周方向に密に配置されたこととしてもよい。
また、第1磁石20は、機枠12から径方向内側に突出し、板面を回転軸14と平行にした直板状の磁石からなることとしてもよい。
また、第2磁石22は、所定角度UNの磁力勾配ユニット48ごとに回転軸14方向にずらして周方向に配列され、第1磁石20は、各磁力勾配ユニット48のそれぞれ回転軌跡の外側周囲に配置されることとしてもよい。
また、第1磁石20は、一方の磁極を回転体16側に向けて他方の磁極側を機枠12に固定され、第1磁石20の機枠12に固定された磁極の外側に、該第1磁石10の磁力線の方向を制御するように作用する磁性部材54が対向配置されたこととしてもよい。
また、はずみ車18は、回転軸14に固定された基体50と、基体50の外周側に互いに離隔して固定され重量部となる複数の錘体521、522と、を備え、錘体521は、回転軸方向から見て、周方向に配列される磁力勾配ユニット48どうしの境界位置近傍において、それらの錘体521の重心gが回転中心と該境界位置とを通る線上から周方向にずれた位置に配置されることとしてもよい。錘体521は、回転方向、回転逆方向のいずれにずれた位置に配置されていてもよい。
本発明の回転体装置によれば、機枠と、機枠に回転自在に支持された回転軸と、回転軸に連結され回転軸と一体回転する回転体と、回転軸に連結され回転軸と一体回転する重量部を備えたはずみ車と、回転体の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠に固定された複数の磁石であり、それぞれ回転体側に一方の磁極を向けそれらの全てが同極に設定された複数の第1磁石と、回転体に回転軸方向から見て周方向に配列して取り付けられ、第1磁石に対して反発する磁極を第1磁石側に向けた複数の第2磁石と、複数の第2磁石の配列を、所定の角度単位においては周方向に向けてそれぞれの磁石の強さが次第に弱くなるように配置して磁力勾配ユニットを形成し、かつその磁力勾配ユニットを回転軸方向から見て周方向に繰り返した配列構成とすることにより、第1磁石に対して第2磁石を周方向に磁気反発させる反発機構と、を有することから、回転体の回転効率の向上を期待でき、例えば、回転エネルギーの蓄積や、他の装置の回転の補助や、発電機の回転などに利用できる。
また、第2磁石は、板面が磁極となる円弧板状の磁石からなる構成とすることにより、回転する回転体に第2磁石を効率よく配置して反発機構を具体的に構成することができる。
また、複数の第1磁石は、互いに周方向に離隔して疎に配置され、複数の第2磁石は、互いに周方向に密に配置された構成とすることにより、固定された第1磁石側を疎に設けることで、回転体装置を製造する際に第2磁石を取り付けた回転体の設置を比較的簡単に行って製造の容易化を期待できる。
また、第1磁石は、機枠から径方向内側に突出し、板面を回転軸と平行にした直板状の磁石からなる構成とすることにより、効率良い配置構成で第1磁石を具体的に構成することができる。
また、第2磁石は、所定角度の磁力勾配ユニットごとに回転軸方向にずらして周方向に配列され、第1磁石は、各磁力勾配ユニットのそれぞれ回転軌跡の外側周囲に配置される構成とすることにより、例えば、第2磁石を密に配置する際に、互いに磁力反発するのを比較的減少でき、製造性の容易化を期待できる。
また、第1磁石は、一方の磁極を回転体側に向けて他方の磁極側を機枠に固定され、第1磁石の機枠に固定された磁極の外側に、該第1磁石の磁力線の方向を制御するように作用する磁性部材が対向配置された構成とすることにより、第1磁石に対する第2磁石の周方向への反発作用を向上して回転効率の向上を期待できる。
また、はずみ車は、回転軸に固定された基体と、基体の外周側に互いに離隔して固定され重量部となる複数の錘体と、を備え、錘体は、回転軸方向から見て、周方向に配列される磁力勾配ユニットどうしの境界位置近傍において、それらの錘体の重心が回転中心と該境界位置とを通る線上から周方向にずれた位置に配置される構成とすることにより、磁力の強弱を付けた磁力勾配が所定の配列で繰り返されるような反発機構の構成に対して、はずみ車の慣性による回転の安定化効果の向上を期待できる。
本発明の第1の実施形態に係る回転体装置の一部省略した斜視説明図である。
図1の回転体装置の内部を見せた正面図である。
図2の回転体装置の縦断面図である。
図2の回転体装置の一部拡大説明図である。
図1の回転体装置のはずみ車の説明図である。
図1の回転体装置の使用例を示す正面説明図である。
図1の回転体装置の使用例を示す平面説明図である。
本発明の第2の実施形態に係る回転体装置の一部省略した斜視説明図である。
図8の回転体装置の回転体の分割斜視説明図である。
図8の回転体装置の内部を見せた正面図である。
図8の回転体装置の縦断面図である。
本発明の他の実施形態に係る回転体装置の内部を見せた正面図である。
本発明の他の実施形態に係る回転体装置の一部省略した縦断面説明図である。
以下添付図面を参照しつつ本発明の回転体装置の実施形態について説明する。本発明に係る回転体装置は、例えば、モータ等の回転駆動装置で回転させられて、回転エネルギーの蓄積又は発電や他装置の回転の補助等に利用できる回転伝達装置又は回転補助装置である。図1ないし図7は、本発明の回転体装置の第1の実施形態を示している。図1、図2、図3に示すように、本実施形態において、回転体装置10は、機枠12と、回転軸14と、回転体16と、はずみ車18と、複数の第1磁石20と、複数の第2磁石22と、反発機構24と、を備えている。
本実施形態では、機枠12は、図1、図2、図3に示すように、例えば、内部空間を有する中空のケース体26と、ケース体26内に固定された内枠としての固定リング部材36と、を有する。ケース体26は、円筒ドラム状に形成され、円筒中心軸を水平方向に向けた横倒し状態で、図6に示すような支持脚28により地面や床面等の設置面上に安定的に支持される。ケース体26は、例えば、円筒状の周壁部30と一端側の端面を閉鎖する端壁部32が一体的に形成され、他端側が閉鎖蓋34で着脱可能に閉鎖される。端壁部32は、ケース体26の円筒中心軸位置に対応する中心位置で回転軸14を貫通状態で回転自在に支持する。なお、ケース体26は第1、第2磁石等の構成に応じて任意に設計しても良い。
固定リング部材36は、円形リング状にされ、ケース体26内に嵌合状に挿入され、図示しないボルト等で周壁部30に対して固定されている。固定リング部材36は、ケース体26の内径と略同じ外径で、ケース体26の軸方向長さよりも短い長さの中空円筒形状に設けられ、ケース体26と同心に設置されている。図2に示すように、固定リング部材36には、複数の第1磁石20の個数及び設置位置に応じて、内壁側に第1磁石20を受け入れる複数の凹設部38が周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、凹設部38は9個設けられている。固定リング部材36の内側空間の中央部分には回転軸14に連結された回転体16が収容状に配置されている。
回転軸14は、機枠12に対して回転自在に支持される。図1、図2、図3に示すように、本実施形態では、回転軸14は、長手軸方向を水平方向に向けた状態で、機枠12の中心すなわち円筒ドラム状のケース体26及び円形リング状の固定リング部材36の中心軸上に配置されている。回転軸14は、ケース体26の軸方向長さよりも長く設けられており、その端部がケース体26の端壁部32を貫通して外部に突出している。図6、図7にも示すように、回転軸14のケース体26から外側に突出した部分には、はずみ車18が連結されるとともに、該回転軸14の端部側に電動モータ40等の回転駆動装置や発電機42等の外部利用装置と連結するためのプーリやクラッチ等を含む連結部44が設けられている。回転軸14は、電動モータ40等の回転駆動装置から回転力が入力される回転入力軸となるとともに、発電機42等の外部利用装置に回転力を出力する回転出力軸となる。図1、図2、図4において、回転軸14は、例えば、電動モータ40等の回転駆動装置により回転方向Rを右回りとして軸回り回転駆動される。
図1、図2、図3に示すように、回転体16は、複数の第2磁石22を支持した状態で回転軸14に連結されて回転軸14と一体回転する。本実施形態では、回転体16は、例えば、円筒状に設けられ、その外周に複数の第2磁石22が固定されている。なお、回転体の形状や大きさは、機枠12、第1磁石20や第2磁石22等の形状、大きさ等に応じて任意に設計してもよい。回転体16は、その中心軸位置に回転軸14を貫通させて固定されている。
図1、図2、図4に示すように、複数の第1磁石20は、機枠12の内側で回転体16の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠12に支持されている。本実施形態では、例えば、9個の第1磁石20が回転軸14を中心として40度間隔で互いに離隔するように所定の間隔をあけて、比較的疎に機枠12の内側に配置されている。第1磁石20は、例えば、ネオジム磁石等の永久磁石からなり、一端を機枠12の固定リング部材36嵌合状に一部挿入されて接着材等によって固定されるとともに機枠12から径方向内側に突出し、突出先端を回転体16の第2磁石22に近接させている。第1磁石20と第2磁石22との間は、例えば、数mm程度に設定される。第1磁石20は、例えば、略矩形平板状の磁石からなり、板の厚み幅を回転体16の径方向に直交する接線方向に設定し、回転体16の径方向及び同回転体16の長手方向に沿う方向を縦横として面状に広がって、回転軸方向に平行な板面を形成している。第1磁石20は、回転体16側と機枠12側との平行に対向する2つの辺側に磁極が形成されている。全ての第1磁石20において回転体16に近接させた先端部に同じ磁極、例えば、S極を向けて設定されており、固定リング部材36の凹設部38側に挿入された基端部側がN極となる。さらに、第1磁石20は、第1磁石20に対向するS極端部すなわち内側へ向けた突出先端側が回転軸14に直交する断面で円弧状に形成されている。
図1、図2、図3に示すように、それぞれの第1磁石20の機枠12に固定された磁極の外側には、該第1磁石20のN極と所定の間隔をあけて対向して、鉄製の磁性部材54が設置されている。磁性部材54は、該第1磁石20の外周側の磁極(N極)からの磁力線の方向を該磁性部材に向けて制御するように作用するバッグガード手段といえる。磁性部材54は、例えば、細長角棒状に形成されており、固定リング部材36のケース体26に接する外周側に凹設された溝に嵌合されて固定されている。これにより、第1磁石20の磁力を第2磁石22に対して効率的に作用させることを期待できる。
図1、図2、図4に示すように、複数の第2磁石22は、回転軸方向から見て回転体16の外周側に周方向に配列されて取り付けられている。本実施形態では、第2磁石22は、例えば、板面が磁極となる円弧板状の磁石からなり、円弧外面側を第1磁石20に向けてその円弧外面側に第1磁石20と反発する磁極、例えば、S極を設定し、他方のN極となる円弧内面側を回転体16の外周に向けて固定している。図2に示すように、それぞれの第2磁石22は、円周を12等分して中心角が30度となる円弧板形状となっており、12個の第2磁石を隣接する第2磁石22どうしで端部を密着させて周方向に密に配置されている。第2磁石22の回転軸14方向に沿った方向の長さは、第1磁石20の回転軸方向長さと略同じ長さで設定されている。第2磁石20は、円弧板状の大きさ形状は全て同じであるが、後述のように磁力の強さすなわち磁束密度が所定の範囲では周方向に次第に弱くなるように強弱をつけるように異ならせて配列されて反発機構24を構成している。
反発機構24は、複数の第2磁石22の所定の磁石配列構成により構成され、固定された第1磁石20に対して、回転体16側の第2磁石22を周方向に向けて磁力反発させるための磁力反発手段である。図2、図4に示すように、反発機構24は、複数の第2磁石20の配列構成を、円周を等分割した角度となる所定の角度単位UNにおいてはそれぞれの磁石の磁力の強さを異ならせるとともに周方向に向けて次第に磁力が弱くなるように配置してそれらの磁石群で構成される1つの磁力勾配ユニット48を形成し、その角度単位UNで形成された磁力勾配ユニット48を周方向に1周繰り返すことにより構成されている。なお、図上の線SDは、角度単位UNの角度範囲を示す仮想的な分割線である。例えば、本実施形態では、360度を3等分し1つの角度単位UNを120度の場合の磁石配列を示しているが、該120度の角度単位UNについて、4個の磁力の強さが異なる第2磁石22が配列されてこれらの磁石群で1つの磁力勾配ユニット48を構成している。各角度単位UNにおいてこれらの4個の第2磁石22を左回りに順にM1、M2、M3、M4とすると、回転体16の回転方向Rとは逆方向となる周方向に向けて、次第に磁力が弱くなるように磁力の強さはM1>M2>M3>M4となっている。このように4個の第2磁石22を磁力の強さが周方向に次第に弱くなるように配列することにより構成された磁力勾配ユニット48が、周方向に全部で3組繰り返し配置されることにより、反発機構24が構成されている。反発機構24が上記のような第2磁石22の磁石配列で構成されているので、図4に示すように、局部的にみると、第2磁石22の磁力の強さが周方向に向けて強弱の差があることから、回転体16の回転軸14周り回転中において、回転体16に支持された第2磁石22が固定された第1磁石20に対して周方向に向けて移動促進するような磁気反発力が作用する。
なお、反発機構24は、周方向に繰り返される角度単位UNは120度に限らず、例えば、円周を6等分割して1つの角度単位UNを60度に設定したり、円周を12等分割して1つの角度単位UNを30度に設定したりてもよく、その他任意の角度で等分割してもよい。また、本実施形態では第1磁石20と第2磁石22とは互いにS極どうしを対向するように配置しているが、互いにN極どうしを対向するように配置してもよい。また、それぞれの角度単位の磁力勾配ユニットに配置される第2磁石22の個数は4個に限らず任意の複数個でもよい。
図1、図3、図5に示すように、はずみ車18は、慣性モーメントが比較的大きくなるようにある程度重い重量部を備え、回転軸14に一体的に連結されている。なお、図5は回転体装置の背面から見てはずみ車の要部を示しており回転方向は左回りとなっており、また第2磁石22を破線で示している。本実施形態では、はずみ車18は、例えば、回転軸14に固定された基体50と、基体40の外周側に固定されて重量部となる複数の錘体521、522と、を有している。基体50は、例えば、ホイール形状ロータからなり、中心のボス部に回転軸14のケース体26から外部に突出した部分を貫通させた状態で該回転軸14に固定されている。各錘体521、522は、例えば、金属製で中空円筒形状又は円柱形状に形成されている。錘体521、522は、9個が互いに周方向に所定間隔で互いに離隔して配置されており、円筒軸線又は円柱軸線方向を回転軸14と略平行になるように向けてボルト、ナット等の固定手段で基体のリム部に固定されている。これらの9個の錘体のうち3個は円柱状に形成された第1錘体521からなり、残りの6個は中空円筒状に形成されて第1錘体521よりも重量が軽く、例えば、重量が第1錘体の半分程度の第2錘体522からなる。
図5に示すように、3個の第1錘体521は、周方向に120度間隔で配置されるとともに、それらの第1錘体521の間にそれぞれ2個ずつ第2錘体522が配置されている。3個の第1錘体521は、回転軸方向から見て、周方向に配列される磁力勾配ユニット48どうしの境界位置(例えば、分割線SDで分けられる位置)近傍に配置される。さらに、各第1錘体521の重心gは、回転軸14の回転中心と該境界位置とを通る線(分割線SD)上から回転方向とは逆方向に5度ずれた位置に設定されている。磁力勾配ユニット48どうしの境界位置(SD)近傍では、上記のような第2磁石22の配列により磁石の磁力の強さの逆向き勾配となるが、この境界位置(SD)近傍に上記のように錘体561を配置したことにより、慣性による回転維持効果による回転効率の向上を期待できる。第2錘体522は、第1錘体どうしの間に不等間隔位置に設置されている。例えば、9個の錘体521、522が、30°、35°、25°、30°、35°、25°、30°、35°、25°の間隔で設定されている。なお、例えば、3個の第1錘体521は、回転軸の回転方向に約5度程度ずらした位置で設定してもよく、また周方向へのずれ角度は任意でもとよい。また、例えば、9個の錘体は等間隔に配置したり、全て同じ重量で形成してもよい。
例えば、図6、図7では、回転体装置10の一つの使用例を示している。図6、図7では、回転軸14に設けられた連結部44としてのプーリやベルト等を介して電動モータ40と連結されている。同様に回転軸14にプーリ、ベルト等を介して発電機42と連結されている。電動モータ40に図示しない電源から電気を供給して駆動すると、プーリ、ベルトにより回転力が伝達されて回転軸14に連結された回転体16及びはずみ車18が回転し、その回転に同期して発電機44が回転して発電される。回転体16及びはずみ車18が回転している状態では回転モーメントと磁気反発作用により効率よく回転でき、回転エネルギーとして蓄積される。そして、回転体16及びはずみ車18の回転により発電機42を回転でき、例えば、小さな出力のモータ40でも大きな出力の発電機42を回転して有効に発電することが期待できる。なお、回転軸14と電動モータ40又は回転軸14と発電機42とは、クラッチ等を介設して連結して、必要に応じて連結したり切断したりできるようにしても良い。例えば、最初に回転軸14は電動モータ40のみに連結して回転体装置10に回転エネルギーを蓄積しておき、必要に応じて回転軸14と電動モータ40との連結を切断して、回転軸14と発電機42とを連結して発電させるようにしてもよい。
次に、図8ないし図11を参照しつつ本発明に係る回転体装置の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図8、図9、図10、図11に示すように、本実施形態の回転体装置10−2では、回転体16aは、例えば、中心角が120度の3個の扇形部561〜563からなるとともに、3個の扇形部561〜563を位相を異ならせて、回転軸方向から見て円状となるとともに、回転軸14方向へは順にずれた状態で配置されている。
第2磁石22は、3個の扇形部561〜563の円弧外周側にそれぞれ固定されており、各扇形部561〜563の外周面を1つの角度単位UNとして、各4個の第2磁石22が周方向に向けて次第に磁力が弱くなるように配置され磁力勾配ユニット48を構成している。それらの磁力勾配ユニット48は、側面視では、図11に示すように回転軸14方向に沿ってずれて配置されるとともに、回自転軸方向から見た状態では、図10に示すように上記実施形態と同様な配列となっており、第2磁石22の配列による反発機構24を構成している。複数の第2磁石22を周方向に密に配列する構成であるので、互いに磁力反発しあうおそれがあるため、本実施形態のように磁力勾配ユニット48ごとに回転軸方向にずらした構成とすることにより、磁力勾配ユニット48どうしでの磁力反発を減少させて、回転体装置の製造の容易化を期待できる。
第1磁石20は、それぞれの扇形部561〜563及び第2磁石22で構成される各磁力勾配ユニット48のそれぞれ回転軌跡の外側周囲に配置される。よって、第1磁石20は、周状に9個配列されたものを1組とすると、磁力勾配ユニット48の配置位置に対応して、回転軸14の長手方向に沿って3組並設されている。なお、第1磁石20を支持するための固定リング部材36も3個設置されて、ケース体26の内部に並設されている。
本実施形態でも、上記実施形態と同様に回転軸14に電動モータ44、発電機46とベルト、プーリ等を介して連結して回転させると、回転エネルギーを発電に利用することができる。なお、回転体16aを円筒体で形成し、その円筒体の周壁に第2磁石22を中心軸方向に位置をずらしながら配列して構成することとしてもよい。
なお、3個の扇形部561〜563に第2磁石22を配置する場合に、回転軸方向から見て、位相をずらして軸方向に沿って配列される扇形部561〜563において各々の端部に配置される第2磁石22の一部が重なるように配置してもよい。例えば、図12に示すように、第2磁石22の端部に配置されているM4の磁石の円周角が35度で他の磁石M1,M2,M3より長く形成されており、1つの角度単位UNが125度で形成されている。すなわち、回転軸方向から見た際に、各扇形部561〜563の端部に配置されるM4の第2磁石22の一部分が、他の扇形部561〜563の端部に配置されるM1の第2磁石22の一部分に重なった構成となっている。このように、磁石を配置することでそれぞれの角度単位UNの境界部分における磁石の強弱の差により回転体16の回転効率の向上を期待できる。
また、回転体装置は、1つの回転軸14に対して複数の回転体及び、それに対応する第1、第2磁石等を組み合わせた構成としてもよい。例えば、図13に示すように、第1実施形態で示したような回転体16及び第2磁石22等の構成と、第2実施形態で示したような回転体16a及び第2磁石22等の構成とを、同一回転軸14に連結に連結し、それらの周囲に各第2磁石22に対応した第1磁石20を設けて1つの回転体装置10−3を構成することとしてもよい。
以上説明した本発明の回転体装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
本発明の回転体装置は、例えば、発電機の回転等、その他回転力を利用する種々の装置や機器類に適用される。
10、10−2、10−3 回転体装置
12 機枠
14 回転軸
16、16a 回転体
18 はずみ車
20 第1磁石
22 第2磁石
24 反発機構
48 磁力勾配ユニット
50 基体
521、522 錘体
本発明は、モータ等の回転駆動装置により回転させられ、その回転を種々利用できる回転体装置に関する。
従来、火力、原子力、水力、風力、太陽光、地熱、潮力等種々のエネルギーを利用した発電装置が利用されている。しかしながら、家庭、オフィス、工場等、様々な分野で電気機器や電気を利用した各種装置が利用されており、電気エネルギーの大量消費が社会的にも問題になっている。特に、発電量の多くを原子力発電や火力発電が占めているが、原子力発電では事故による放射能汚染や放射性廃棄物の処理等の問題が、火力発電では温室効果ガスによる環境汚染や化石燃料の枯渇の問題が深刻化している。さらに、大型の発電所は、広大なスペース及び大規模な設備等を必要とする問題があった。一方、本出願人は、先に出願した特許文献1にて炭酸ガス等の発生を抑えて発電機による発電を補助できるような比較的小型の回転体の技術を提案している。
特許文献1の回転体は、回転軸を中心として左右に円形側板を有し、該円形側板の円周に亘って複数個の棒状重錘を回転軸に対して3組の不等辺三角形の頂点となる位置に配設して構成されている。そして、電動モータにより回転体を回転させて回転エネルギーを蓄積できるとともに、回転体の回転力を利用して発電機を稼動し発電機で発生した電気エネルギーを供給できるものであった。本出願人は、更なる回転エネルギーの利用効率の向上を目指して改良を行った結果、新たな回転体装置の技術を開発した。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、回転エネルギーの効率良い利用を期待できる回転体装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、機枠12と、機枠12に回転自在に支持された回転軸14と、回転軸14に連結され回転軸14と一体回転する回転体16、16aと、回転軸14に連結され回転軸14と一体回転する重量部を備えたはずみ車18と、回転体16の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠12に固定された複数の磁石であり、それぞれ回転体16側に一方の磁極を向けそれらの全てが同極に設定された複数の第1磁石20と、回転体16に回転軸14方向から見て周方向に配列して取り付けられ、第1磁石20に対して反発する磁極を第1磁石20側に向けた複数の第2磁石22と、複数の第2磁石22の配列を、所定の角度単位UNにおいては周方向に向けてそれぞれの磁石の強さが次第に弱くなるように配置して磁力勾配ユニット48を形成し、かつその磁力勾配ユニット48を回転軸方向から見て周方向に繰り返した配列構成とすることにより、第1磁石20に対して第2磁石22を周方向に磁気反発させる反発機構24と、を有し、第1磁石20は、一方の磁極を回転体16側に向けて他方の磁極側を機枠12に固定され、第1磁石20の機枠12に固定された磁極の外側に、該第1磁石10の磁力線の方向を制御するように作用する磁性部材54が対向配置された回転体装置10から構成される。
さらに、本発明は、機枠12と、機枠12に回転自在に支持された回転軸14と、回転軸14に連結され回転軸14と一体回転する回転体16、16aと、回転軸14に連結され回転軸14と一体回転する重量部を備えたはずみ車18と、回転体16の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠12に固定された複数の磁石であり、それぞれ回転体16側に一方の磁極を向けそれらの全てが同極に設定された複数の第1磁石20と、回転体16に回転軸14方向から見て周方向に配列して取り付けられ、第1磁石20に対して反発する磁極を第1磁石20側に向けた複数の第2磁石22と、複数の第2磁石22の配列を、所定の角度単位UNにおいては周方向に向けてそれぞれの磁石の強さが次第に弱くなるように配置して磁力勾配ユニット48を形成し、かつその磁力勾配ユニット48を回転軸方向から見て周方向に繰り返した配列構成とすることにより、第1磁石20に対して第2磁石22を周方向に磁気反発させる反発機構24と、を有し、はずみ車18は、回転軸14に固定された基体50と、基体50の外周側に互いに離隔して固定され重量部となる複数の錘体521、522と、を備え、錘体521は、回転軸方向から見て、周方向に配列される磁力勾配ユニット48どうしの境界位置近傍において、それらの錘体521の重心gが回転中心と該境界位置とを通る線上から周方向にずれた位置に配置される回転体装置10から構成される。錘体521は、回転方向、回転逆方向のいずれにずれた位置に配置されていてもよい。
また、第2磁石22は、板面が磁極となる円弧板状の磁石からなることとしてもよい。
また、複数の第1磁石20は、互いに周方向に離隔して疎に配置され、複数の第2磁石22は、互いに周方向に密に配置されたこととしてもよい。
また、第1磁石20は、機枠12から径方向内側に突出し、板面を回転軸14と平行にした直板状の磁石からなることとしてもよい。
また、第2磁石22は、所定角度UNの磁力勾配ユニット48ごとに回転軸14方向にずらして周方向に配列され、第1磁石20は、各磁力勾配ユニット48のそれぞれ回転軌跡の外側周囲に配置されることとしてもよい。
本発明の回転体装置によれば、機枠と、機枠に回転自在に支持された回転軸と、回転軸に連結され回転軸と一体回転する回転体と、回転軸に連結され回転軸と一体回転する重量部を備えたはずみ車と、回転体の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠に固定された複数の磁石であり、それぞれ回転体側に一方の磁極を向けそれらの全てが同極に設定された複数の第1磁石と、回転体に回転軸方向から見て周方向に配列して取り付けられ、第1磁石に対して反発する磁極を第1磁石側に向けた複数の第2磁石と、複数の第2磁石の配列を、所定の角度単位においては周方向に向けてそれぞれの磁石の強さが次第に弱くなるように配置して磁力勾配ユニットを形成し、かつその磁力勾配ユニットを回転軸方向から見て周方向に繰り返した配列構成とすることにより、第1磁石に対して第2磁石を周方向に磁気反発させる反発機構と、を有することから、回転体の回転効率の向上を期待でき、例えば、回転エネルギーの蓄積や、他の装置の回転の補助や、発電機の回転などに利用できる。
また、第2磁石は、板面が磁極となる円弧板状の磁石からなる構成とすることにより、回転する回転体に第2磁石を効率よく配置して反発機構を具体的に構成することができる。
また、複数の第1磁石は、互いに周方向に離隔して疎に配置され、複数の第2磁石は、互いに周方向に密に配置された構成とすることにより、固定された第1磁石側を疎に設けることで、回転体装置を製造する際に第2磁石を取り付けた回転体の設置を比較的簡単に行って製造の容易化を期待できる。
また、第1磁石は、機枠から径方向内側に突出し、板面を回転軸と平行にした直板状の磁石からなる構成とすることにより、効率良い配置構成で第1磁石を具体的に構成することができる。
また、第2磁石は、所定角度の磁力勾配ユニットごとに回転軸方向にずらして周方向に配列され、第1磁石は、各磁力勾配ユニットのそれぞれ回転軌跡の外側周囲に配置される構成とすることにより、例えば、第2磁石を密に配置する際に、互いに磁力反発するのを比較的減少でき、製造性の容易化を期待できる。
また、第1磁石は、一方の磁極を回転体側に向けて他方の磁極側を機枠に固定され、第1磁石の機枠に固定された磁極の外側に、該第1磁石の磁力線の方向を制御するように作用する磁性部材が対向配置された構成とすることにより、第1磁石に対する第2磁石の周方向への反発作用を向上して回転効率の向上を期待できる。
また、はずみ車は、回転軸に固定された基体と、基体の外周側に互いに離隔して固定され重量部となる複数の錘体と、を備え、錘体は、回転軸方向から見て、周方向に配列される磁力勾配ユニットどうしの境界位置近傍において、それらの錘体の重心が回転中心と該境界位置とを通る線上から周方向にずれた位置に配置される構成とすることにより、磁力の強弱を付けた磁力勾配が所定の配列で繰り返されるような反発機構の構成に対して、はずみ車の慣性による回転の安定化効果の向上を期待できる。
本発明の第1の実施形態に係る回転体装置の一部省略した斜視説明図である。
図1の回転体装置の内部を見せた正面図である。
図2の回転体装置の縦断面図である。
図2の回転体装置の一部拡大説明図である。
図1の回転体装置のはずみ車の説明図である。
図1の回転体装置の使用例を示す正面説明図である。
図1の回転体装置の使用例を示す平面説明図である。
本発明の第2の実施形態に係る回転体装置の一部省略した斜視説明図である。
図8の回転体装置の回転体の分割斜視説明図である。
図8の回転体装置の内部を見せた正面図である。
図8の回転体装置の縦断面図である。
本発明の他の実施形態に係る回転体装置の内部を見せた正面図である。
本発明の他の実施形態に係る回転体装置の一部省略した縦断面説明図である。
以下添付図面を参照しつつ本発明の回転体装置の実施形態について説明する。本発明に係る回転体装置は、例えば、モータ等の回転駆動装置で回転させられて、回転エネルギーの蓄積又は発電や他装置の回転の補助等に利用できる回転伝達装置又は回転補助装置である。図1ないし図7は、本発明の回転体装置の第1の実施形態を示している。図1、図2、図3に示すように、本実施形態において、回転体装置10は、機枠12と、回転軸14と、回転体16と、はずみ車18と、複数の第1磁石20と、複数の第2磁石22と、反発機構24と、を備えている。
本実施形態では、機枠12は、図1、図2、図3に示すように、例えば、内部空間を有する中空のケース体26と、ケース体26内に固定された内枠としての固定リング部材36と、を有する。ケース体26は、円筒ドラム状に形成され、円筒中心軸を水平方向に向けた横倒し状態で、図6に示すような支持脚28により地面や床面等の設置面上に安定的に支持される。ケース体26は、例えば、円筒状の周壁部30と一端側の端面を閉鎖する端壁部32が一体的に形成され、他端側が閉鎖蓋34で着脱可能に閉鎖される。端壁部32は、ケース体26の円筒中心軸位置に対応する中心位置で回転軸14を貫通状態で回転自在に支持する。なお、ケース体26は第1、第2磁石等の構成に応じて任意に設計しても良い。
固定リング部材36は、円形リング状にされ、ケース体26内に嵌合状に挿入され、図示しないボルト等で周壁部30に対して固定されている。固定リング部材36は、ケース体26の内径と略同じ外径で、ケース体26の軸方向長さよりも短い長さの中空円筒形状に設けられ、ケース体26と同心に設置されている。図2に示すように、固定リング部材36には、複数の第1磁石20の個数及び設置位置に応じて、内壁側に第1磁石20を受け入れる複数の凹設部38が周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、凹設部38は9個設けられている。固定リング部材36の内側空間の中央部分には回転軸14に連結された回転体16が収容状に配置されている。
回転軸14は、機枠12に対して回転自在に支持される。図1、図2、図3に示すように、本実施形態では、回転軸14は、長手軸方向を水平方向に向けた状態で、機枠12の中心すなわち円筒ドラム状のケース体26及び円形リング状の固定リング部材36の中心軸上に配置されている。回転軸14は、ケース体26の軸方向長さよりも長く設けられており、その端部がケース体26の端壁部32を貫通して外部に突出している。図6、図7にも示すように、回転軸14のケース体26から外側に突出した部分には、はずみ車18が連結されるとともに、該回転軸14の端部側に電動モータ40等の回転駆動装置や発電機42等の外部利用装置と連結するためのプーリやクラッチ等を含む連結部44が設けられている。回転軸14は、電動モータ40等の回転駆動装置から回転力が入力される回転入力軸となるとともに、発電機42等の外部利用装置に回転力を出力する回転出力軸となる。図1、図2、図4において、回転軸14は、例えば、電動モータ40等の回転駆動装置により回転方向Rを右回りとして軸回り回転駆動される。
図1、図2、図3に示すように、回転体16は、複数の第2磁石22を支持した状態で回転軸14に連結されて回転軸14と一体回転する。本実施形態では、回転体16は、例えば、円筒状に設けられ、その外周に複数の第2磁石22が固定されている。なお、回転体の形状や大きさは、機枠12、第1磁石20や第2磁石22等の形状、大きさ等に応じて任意に設計してもよい。回転体16は、その中心軸位置に回転軸14を貫通させて固定されている。
図1、図2、図4に示すように、複数の第1磁石20は、機枠12の内側で回転体16の回転軌跡の外側周囲に離隔して配置され、さらに周方向に等間隔に配列されて機枠12に支持されている。本実施形態では、例えば、9個の第1磁石20が回転軸14を中心として40度間隔で互いに離隔するように所定の間隔をあけて、比較的疎に機枠12の内側に配置されている。第1磁石20は、例えば、ネオジム磁石等の永久磁石からなり、一端を機枠12の固定リング部材36嵌合状に一部挿入されて接着材等によって固定されるとともに機枠12から径方向内側に突出し、突出先端を回転体16の第2磁石22に近接させている。第1磁石20と第2磁石22との間は、例えば、数mm程度に設定される。第1磁石20は、例えば、略矩形平板状の磁石からなり、板の厚み幅を回転体16の径方向に直交する接線方向に設定し、回転体16の径方向及び同回転体16の長手方向に沿う方向を縦横として面状に広がって、回転軸方向に平行な板面を形成している。第1磁石20は、回転体16側と機枠12側との平行に対向する2つの辺側に磁極が形成されている。全ての第1磁石20において回転体16に近接させた先端部に同じ磁極、例えば、S極を向けて設定されており、固定リング部材36の凹設部38側に挿入された基端部側がN極となる。さらに、第1磁石20は、第1磁石20に対向するS極端部すなわち内側へ向けた突出先端側が回転軸14に直交する断面で円弧状に形成されている。
図1、図2、図3に示すように、それぞれの第1磁石20の機枠12に固定された磁極の外側には、該第1磁石20のN極と所定の間隔をあけて対向して、鉄製の磁性部材54が設置されている。磁性部材54は、該第1磁石20の外周側の磁極(N極)からの磁力線の方向を該磁性部材に向けて制御するように作用するバッグガード手段といえる。磁性部材54は、例えば、細長角棒状に形成されており、固定リング部材36のケース体26に接する外周側に凹設された溝に嵌合されて固定されている。これにより、第1磁石20の磁力を第2磁石22に対して効率的に作用させることを期待できる。
図1、図2、図4に示すように、複数の第2磁石22は、回転軸方向から見て回転体16の外周側に周方向に配列されて取り付けられている。本実施形態では、第2磁石22は、例えば、板面が磁極となる円弧板状の磁石からなり、円弧外面側を第1磁石20に向けてその円弧外面側に第1磁石20と反発する磁極、例えば、S極を設定し、他方のN極となる円弧内面側を回転体16の外周に向けて固定している。図2に示すように、それぞれの第2磁石22は、円周を12等分して中心角が30度となる円弧板形状となっており、12個の第2磁石を隣接する第2磁石22どうしで端部を密着させて周方向に密に配置されている。第2磁石22の回転軸14方向に沿った方向の長さは、第1磁石20の回転軸方向長さと略同じ長さで設定されている。第2磁石20は、円弧板状の大きさ形状は全て同じであるが、後述のように磁力の強さすなわち磁束密度が所定の範囲では周方向に次第に弱くなるように強弱をつけるように異ならせて配列されて反発機構24を構成している。
反発機構24は、複数の第2磁石22の所定の磁石配列構成により構成され、固定された第1磁石20に対して、回転体16側の第2磁石22を周方向に向けて磁力反発させるための磁力反発手段である。図2、図4に示すように、反発機構24は、複数の第2磁石20の配列構成を、円周を等分割した角度となる所定の角度単位UNにおいてはそれぞれの磁石の磁力の強さを異ならせるとともに周方向に向けて次第に磁力が弱くなるように配置してそれらの磁石群で構成される1つの磁力勾配ユニット48を形成し、その角度単位UNで形成された磁力勾配ユニット48を周方向に1周繰り返すことにより構成されている。なお、図上の線SDは、角度単位UNの角度範囲を示す仮想的な分割線である。例えば、本実施形態では、360度を3等分し1つの角度単位UNを120度とした場合の磁石配列を示しているが、該120度の角度単位UNについて、4個の磁力の強さが異なる第2磁石22が配列されてこれらの磁石群で1つの磁力勾配ユニット48を構成している。各角度単位UNにおいてこれらの4個の第2磁石22を左回りに順にM1、M2、M3、M4とすると、回転体16の回転方向Rとは逆方向となる周方向に向けて、次第に磁力が弱くなるように磁力の強さはM1>M2>M3>M4となっている。このように4個の第2磁石22を磁力の強さが周方向に次第に弱くなるように配列することにより構成された磁力勾配ユニット48が、周方向に全部で3組繰り返し配置されることにより、反発機構24が構成されている。反発機構24が上記のような第2磁石22の磁石配列で構成されているので、図4に示すように、局部的にみると、第2磁石22の磁力の強さが周方向に向けて強弱の差があることから、回転体16の回転軸14周り回転中において、回転体16に支持された第2磁石22が固定された第1磁石20に対して周方向に向けて移動促進するような磁気反発力が作用する。
なお、反発機構24は、周方向に繰り返される角度単位UNは120度に限らず、例えば、円周を6等分割して1つの角度単位UNを60度に設定したり、円周を12等分割して1つの角度単位UNを30度に設定したりしてもよく、その他任意の角度で等分割してもよい。また、本実施形態では第1磁石20と第2磁石22とは互いにS極どうしを対向するように配置しているが、互いにN極どうしを対向するように配置してもよい。また、それぞれの角度単位の磁力勾配ユニットに配置される第2磁石22の個数は4個に限らず任意の複数個でもよい。
図1、図3、図5に示すように、はずみ車18は、慣性モーメントが比較的大きくなるようにある程度重い重量部を備え、回転軸14に一体的に連結されている。なお、図5は回転体装置を背面から見てはずみ車の要部を示しており回転方向は左回りとなっており、また第2磁石22を破線で示している。本実施形態では、はずみ車18は、例えば、回転軸14に固定された基体50と、基体40の外周側に固定されて重量部となる複数の錘体521、522と、を有している。基体50は、例えば、ホイール形状ロータからなり、中心のボス部に回転軸14のケース体26から外部に突出した部分を貫通させた状態で該回転軸14に固定されている。各錘体521、522は、例えば、金属製で中空円筒形状又は円柱形状に形成されている。錘体521、522は、9個が互いに周方向に所定間隔で互いに離隔して配置されており、円筒軸線又は円柱軸線方向を回転軸14と略平行になるように向けてボルト、ナット等の固定手段で基体のリム部に固定されている。これらの9個の錘体のうち3個は円柱状に形成された第1錘体521からなり、残りの6個は中空円筒状に形成されて第1錘体521よりも重量が軽く、例えば、重量が第1錘体の半分程度の第2錘体522からなる。
図5に示すように、3個の第1錘体521は、周方向に120度間隔で配置されるとともに、それらの第1錘体521の間にそれぞれ2個ずつ第2錘体522が配置されている。3個の第1錘体521は、回転軸方向から見て、周方向に配列される磁力勾配ユニット48どうしの境界位置(例えば、分割線SDで分けられる位置)近傍に配置される。さらに、各第1錘体521の重心gは、回転軸14の回転中心と該境界位置とを通る線(分割線SD)上から回転方向とは逆方向に5度ずれた位置に設定されている。磁力勾配ユニット48どうしの境界位置(SD)近傍では、上記のような第2磁石22の配列により磁石の磁力の強さが逆向き勾配となるが、この境界位置(SD)近傍に上記のように錘体561を配置したことにより、慣性による回転維持効果による回転効率の向上を期待できる。第2錘体522は、第1錘体どうしの間に不等間隔位置に設置されている。例えば、9個の錘体521、522が、30°、35°、25°、30°、35°、25°、30°、35°、25°の間隔で設定されている。なお、例えば、3個の第1錘体521は、回転軸の回転方向に約5度程度ずらした位置で設定してもよく、また周方向へのずれ角度は任意でもよい。また、例えば、9個の錘体は等間隔に配置したり、全て同じ重量で形成してもよい。
例えば、図6、図7では、回転体装置10の一つの使用例を示している。図6、図7では、回転軸14に設けられた連結部44としてのプーリやベルト等を介して電動モータ40と連結されている。同様に回転軸14にプーリ、ベルト等を介して発電機42と連結されている。電動モータ40に図示しない電源から電気を供給して駆動すると、プーリ、ベルトにより回転力が伝達されて回転軸14に連結された回転体16及びはずみ車18が回転し、その回転に同期して発電機44が回転して発電される。回転体16及びはずみ車18が回転している状態では回転モーメントと磁気反発作用により効率よく回転でき、回転エネルギーとして蓄積される。そして、回転体16及びはずみ車18の回転により発電機42を回転でき、例えば、小さな出力のモータ40でも大きな出力の発電機42を回転して有効に発電することが期待できる。なお、回転軸14と電動モータ40又は回転軸14と発電機42とは、クラッチ等を介設して連結して、必要に応じて連結したり切断したりできるようにしても良い。例えば、最初に回転軸14は電動モータ40のみに連結して回転体装置10に回転エネルギーを蓄積しておき、必要に応じて回転軸14と電動モータ40との連結を切断して、回転軸14と発電機42とを連結して発電させるようにしてもよい。
次に、図8ないし図11を参照しつつ本発明に係る回転体装置の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図8、図9、図10、図11に示すように、本実施形態の回転体装置10−2では、回転体16aは、例えば、中心角が120度の3個の扇形部561〜563からなるとともに、3個の扇形部561〜563を位相を異ならせて、回転軸方向から見て円状となるとともに、回転軸14方向へは順にずれた状態で配置されている。
第2磁石22は、3個の扇形部561〜563の円弧外周側にそれぞれ固定されており、各扇形部561〜563の外周面を1つの角度単位UNとして、各4個の第2磁石22が周方向に向けて次第に磁力が弱くなるように配置され磁力勾配ユニット48を構成している。それらの磁力勾配ユニット48は、側面視では、図11に示すように回転軸14方向に沿ってずれて配置されるとともに、回自転軸方向から見た状態では、図10に示すように上記実施形態と同様な配列となっており、第2磁石22の配列によって反発機構24を構成している。複数の第2磁石22を周方向に密に配列する構成であるので、互いに磁力反発しあうおそれがあるため、本実施形態のように磁力勾配ユニット48ごとに回転軸方向にずらした構成とすることにより、磁力勾配ユニット48どうしでの磁力反発を減少させて、回転体装置の製造の容易化を期待できる。
第1磁石20は、それぞれの扇形部561〜563及び第2磁石22で構成される各磁力勾配ユニット48のそれぞれ回転軌跡の外側周囲に配置される。よって、第1磁石20は、周状に9個配列されたものを1組とすると、磁力勾配ユニット48の配置位置に対応して、回転軸14の長手方向に沿って3組並設されている。なお、第1磁石20を支持するための固定リング部材36も3個設置されて、ケース体26の内部に並設されている。
本実施形態でも、上記実施形態と同様に回転軸14に電動モータ44、発電機46とベルト、プーリ等を介して連結して回転させると、回転エネルギーを発電に利用することができる。なお、回転体16aを円筒体で形成し、その円筒体の周壁に第2磁石22を中心軸方向に位置をずらしながら配列して構成することとしてもよい。
なお、3個の扇形部561〜563に第2磁石22を配置する場合に、回転軸方向から見て、位相をずらして軸方向に沿って配列される扇形部561〜563において各々の端部に配置される第2磁石22の一部が重なるように配置してもよい。例えば、図12に示すように、第2磁石22の端部に配置されているM4の磁石の円周角が35度で他の磁石M1,M2,M3より長く形成されており、1つの角度単位UNが125度で形成されている。すなわち、回転軸方向から見た際に、各扇形部561〜563の端部に配置されるM4の第2磁石22の一部分が、他の扇形部561〜563の端部に配置されるM1の第2磁石22の一部分に重なった構成となっている。このように、磁石を配置することでそれぞれの角度単位UNの境界部分における磁石の強弱の差により回転体16の回転効率の向上を期待できる。
また、回転体装置は、1つの回転軸14に対して複数の回転体及び、それに対応する第1、第2磁石等を組み合わせた構成としてもよい。例えば、図13に示すように、第1実施形態で示したような回転体16及び第2磁石22等の構成と、第2実施形態で示したような回転体16a及び第2磁石22等の構成とを、同一回転軸14に連結に連結し、それらの周囲に各第2磁石22に対応した第1磁石20を設けて1つの回転体装置10−3を構成することとしてもよい。
以上説明した本発明の回転体装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
本発明の回転体装置は、例えば、発電機の回転等、その他回転力を利用する種々の装置や機器類に適用される。
10、10−2、10−3 回転体装置
12 機枠
14 回転軸
16、16a 回転体
18 はずみ車
20 第1磁石
22 第2磁石
24 反発機構
48 磁力勾配ユニット
50 基体
521、522 錘体