JP2015231984A - 2−ピリドン化合物を含有する医薬 - Google Patents

2−ピリドン化合物を含有する医薬 Download PDF

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Abstract

【課題】グルコキナーゼ(GK)活性化作用を有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬の提供。【解決手段】式[1]で表される2−ピリドン化合物(3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オン)の結晶若しくはこの互変異性体、又は薬学的に許容される塩、又は溶媒和物を有効成分として含有する治療薬。【選択図】図1

Description

本発明は、グルコキナーゼ(glucokinase)活性化作用を有する新規2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はその薬学的に許容される塩(該2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩を、以下「化合物等」と称する)、又は該化合物等の溶媒和物を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬に関する。
2型糖尿病患者数は世界的な増加の途上にあり、病態の進行と合併症の発症により深刻な予後がもたらされることから、新たな予防薬あるいは治療薬の開発が切望されている。2型糖尿病はその発症に対し関連が示唆される遺伝素因や加齢を背景として、先進国型の生活習慣、即ち身体活動量に対して摂取エネルギーが過剰な状態が加わることで発症リスクが大きく増大すると考えられている。また、病態の基礎にある代謝異常として、骨格筋や脂肪組織における糖利用の低下、膵ベータ細胞からのインスリン分泌障害、肝糖放出の抑制不全等が挙げられ、これらを是正する薬剤は2型糖尿病の予防及び治療に有用と考えられる。
骨格筋や脂肪組織における糖利用の低下に対しては、チアゾリジン誘導体(例、ピオグリタゾン)に代表されるインスリン抵抗性改善薬による薬物療法が有効と考えられているが、肥満の増悪、体液貯留、心不全リスクの増大、膀胱癌の発症率増加等が報告されており、使用の際は慎重な判断が求められる。また,インスリン分泌障害に対してはスルホニルウレア薬(例、グリメピリド、グリベンクラミド、グリピザイド)が有効と考えられているが、しばしば低血糖や過体重を惹起し、また長期使用時には治療効果が減弱し血糖コントロール不良(二次無効)に至る場合があることから安全性と有効性の両面で課題が残されている。食後高血糖に対しては、α−グルコシダーゼ阻害薬(例、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)やグリニド薬(例、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド)が用いられるが、糖尿病治療効果は限定的である。肝糖放出の抑制にはビグアナイド薬(例、メトホルミン)が有効であるが、病態の進行とともに血糖コントロールが困難になる上、消化管副作用や乳酸アシドーシスリスク等により、使用に際して制限が加わる場合がある。上記主要薬剤に関する知見から明らかなように、既存の薬剤は医療上の必要性を充足するものとはいえない。特に、直接的に肝糖代謝の是正をもたらす薬剤は実質的にメトホルミンのみしか存在せず、新規作用機序により肝糖代謝を是正しうる薬剤の必要性は非常に大きい。
グルコキナーゼ(glucokinase:以下GKと記載する)はヘキソキナーゼファミリーに属し、膵ベータ細胞や肝細胞などで、細胞内に取り込まれたグルコースのリン酸化を触媒する。肝臓と膵臓ベータ細胞のGKは、それぞれスプライシングの違いによりN末15アミノ酸の配列が異なっているが、酵素学的には同一である。GKは、グルコースに対する親和性S0.5が10mM前後と高く、かつ、生成物であるグルコース6リン酸による抑制は受けないため、その反応速度は血糖値の生理的な変動域に敏感に反応する。膵ベータ細胞ではグルコース依存的なインスリン分泌を調節し、一方、肝臓では、解糖系あるいはグリコーゲン合成を調節し、血糖値を維持・調節している。このため、GKは血糖値恒常性維持のためのグルコースセンサーとして機能していると考えられている(非特許文献1参照)。
GKが生体内グルコースセンサーとして機能するという仮説は、遺伝子操作マウスやヒトの遺伝子変異の発見によって支持されている。GKホモ欠損マウスは、生後まもなく高血糖を呈して死亡し、またヘテロ欠損マウスでは、高血糖、耐糖能不全が観察されている(非特許文献2参照)。一方、GK過剰発現マウスでは、血糖低下が確認されている(非特許文献3参照)。さらに、GK遺伝子変異が認められるヒトMODY2(maturity onset diabetes of the young)では若年から糖尿病を発症する(非特許文献4参照)。この遺伝子変異では、GKの活性低下が確認されている。一方、GK活性を亢進させる遺伝子変異を有する家系も報告されている(非特許文献5参照)。この遺伝子変異では、GKのグルコースに対する親和性が亢進し、血中インスリン濃度上昇を伴う絶食時低血糖症状が認められる。
このように、GKは、ヒトを含む哺乳類においてグルコースセンサーとして機能することが示されている。
GK活性を増大させる物質(以下GK活性化物質と記載する)は、肝臓での糖代謝やグリコーゲン合成、膵ベータ細胞からのグルコース応答性インスリン分泌を増大させることで、高血糖を是正することが可能と考えられる。中でも、肝臓優位にGK活性を増大させる物質は、インスリン非依存的に肝臓での糖代謝を亢進させることにより、高血糖を是正することができると考えられる。高血糖是正により、網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患、動脈硬化などの糖尿病性慢性合併症の治療及び予防、さらには肥満症、高脂血症、高血圧症、メタボリックシンドロームなどの糖尿病関連疾患の治療及び予防につながることも期待できる。よってGK機能を増大させる化合物は、有効な糖尿病治療薬となることが期待される。
一方、GKは、膵臓や肝臓だけでなく、摂食中枢にも発現し、かつグルコースによる摂食抑制作用において重要な機能を有していることが報告されている(非特許文献6参照)。従って、GK活性化物質は、摂食中枢に作用し、摂食抑制作用を有することも考えられ、糖尿病治療だけではなく、肥満治療薬としても期待できる。
なお、GK活性化物質として、2−ピリドンを有する化合物が報告されているが、本発明の化合物と構造が異なる(特許文献1及び2参照)。また、構造的に類似した2−ピリドン化合物が報告されているが、本発明化合物の具体的な開示は無く(特許文献3及び4参照)、また、医薬用途への記載は無く目的を2−ピリドン化合物の合成法としている点で本発明とは異なる(非特許文献7参照)。さらに、擬似の環状構造をとり得る、ある種のアシルウレア化合物がGK活性化物質として報告されているが、非環状の化合物であり、本発明化合物とは異なる(特許文献5及び6参照)。
Matschinsky F.M.and Magnuson M.A.,Frontiers in Diabetes,16,2004 Grupe A.et al.Cell,83,1,69−78,1995 Ferre T.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.,93,14,7225−7230,1996 Vionnet N.et al.Nature,356,6371,721−722,1992 Glaser B.et al.N.Engl.J.Med.338,4,226−230,1998 Kang L.et al,Diabetes,55,2,412−420,2006 Latif R.et al.J.Chem.Soc.C.Organic,17,2140−2144,1968
WO2008/079787号パンフレット WO2010/013161号パンフレット US4275069号明細書 WO2011/068211号パンフレット WO2000/58293号パンフレット WO2001/44216号パンフレット
本発明の目的は、優れたGK活性化作用を有する化合物を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することにある。
本発明者らは、上記に記載した状況に鑑み、GK活性化作用を有する化合物を見出すべく鋭意研究を進めた結果、下記式[1]で表される2−ピリドン化合物(化合物名:3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オン)若しくは該化合物の互変異性体、又はその薬学的に許容される塩、又は該化合物等の溶媒和物がこの目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
(I)本発明の1つの態様は、式[1]
Figure 2015231984
で表される2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩、又は該化合物等の溶媒和物を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである。
(II)本発明の他の態様としては、(I)に記載の、上記式[1]で表され、下記(a)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する。
(III)本発明の他の態様としては、(I)に記載の、上記式[1]で表され、下記(a)〜(c)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する;
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1にある;
(c)融点が199〜201℃である。
(IV)本発明の他の態様としては、上記式[1]で表される3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンを、アルコール系溶媒に加熱溶解させた後、水溶媒を加え5℃以下に冷却して結晶化させ、得られた結晶を60℃以下で乾燥させて製造することを特徴とする、下記(a)〜(c)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する;
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1にある;
(c)融点が199〜201℃である。
(V)本発明の他の態様としては、(I)に記載の、上記式[1]で表される2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩、又は該化合物等の溶媒和物を有効成分として含有し、さらに乳糖及びステアリン酸マグネシウムを含む経口用固体組成物である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである。
(VI)本発明の他の態様としては、(V)に記載の糖尿病の予防又は治療薬であって、投与量が0.01〜1000mg/日である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである。
(VII)本発明の他の態様としては、(I)に記載の、上記式[1]で表され、下記(a)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有し、さらに乳糖及びステアリン酸マグネシウムを含む経口用固体組成物である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する。
(VIII)本発明の他の態様としては、(VII)に記載の糖尿病の予防又は治療薬であって、投与量が0.01〜1000mg/日である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである。
(IX)本発明の他の態様としては、(I)に記載の、上記式[1]で表され、下記(a)〜(c)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有し、さらに乳糖及びステアリン酸マグネシウムを含む経口用固体組成物である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する;
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1にある;
(c)融点が199〜201℃である。
(X)本発明の他の態様としては、(IX)に記載の糖尿病の予防又は治療薬であって、投与量が0.01〜1000mg/日である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである。
(XI)本発明の他の態様としては、上記式[1]で表され、3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンを、アルコール系溶媒に加熱溶解させた後、水溶媒を加え5℃以下に冷却して結晶化させ、得られた結晶を60℃以下で乾燥させて製造することを特徴とする、下記(a)〜(c)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する;
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1にある;
(c)融点が199〜201℃である。
(XII)本発明の他の態様としては、(XI)に記載の糖尿病の予防又は治療薬であって、投与量が0.01〜1000mg/日である糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することである。
本発明により、優れたGK活性化作用を有する2−ピリドン化合物を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬を提供することができた。
本発明の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶の粉末X線回折パターンを示す。 本発明の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法、クリスタル:ダイヤモンド)を示す。 本発明の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。
以下に、本発明について詳細に説明するが、例示されたものに特に限定されない。
本発明において、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」及び「sec」はセカンダリーを、「tert」はターシャリーを、「c」はシクロを、「o」はオルトを、「m」はメタを、「p」はパラを示す。
まず、本発明化合物について説明する。
本発明において、薬学的に許容される塩とは、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような鉱酸塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなスルホン酸塩;シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩のようなカルボン酸塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩;あるいはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のような無機塩又はアンモニウム塩、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩のような有機塩基との塩であり、好適には塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩が挙げられる。
本発明における溶媒和物とは、本発明の化合物又はその塩の医薬上許容される溶媒和物である。本発明の化合物及びその塩は、大気にさらされ、又は再結晶することなどにより、水分を吸収し、吸着水が付く場合や水和物となる場合がある。本発明における化合物には、そのような水和物も含む。
本発明の化合物は、2個の不斉中心を持つが、本発明化合物は光学活性体であり、本発明の化合物の2個の不斉中心絶対配置は共に(R)である。本発明の化合物は、対応するラセミ体もしくはジアステレオマー混合物の光学分割によって得ることができる。光学分割の方法としては、当業者によく知られた方法、たとえば分別結晶法やキラルカラムを用いたクロマトグラフィーを用いることができる。また、本発明の光学活性体化合物は、この目的のためによく知られた有機化学的手法によって得ることもできる。また、本発明の化合物を得るための合成中間体には、(E)体、(Z)体などの幾何異性体が存在することがあるが、それらの異性体の割合は任意である。
本発明の化合物には互変異性体も含まれる。互変異性体とは、上記式[1]で表される化合物のケト−エノール互変異性体を意味する。例として、上記式[1]で表される化合物及びその互変異性体[1’]を以下に示す。
Figure 2015231984
本発明の2−ピリドン化合物は、その薬学的に許容される塩でも良く、又は該化合物等の溶媒和物であっても良い。以下、本発明の2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩、又は該化合物等の溶媒和物を含めて、「本発明化合物」という。
また、化学的又は代謝的に分解できる基を有し、加溶媒分解により又は生理的条件下のin vivoにおいて薬理学的に活性な本発明化合物を形成する化合物、通常プロドラッグと呼ばれる化合物についても「本発明化合物」に含む。
本発明化合物は、GK活性化作用を有する。よって、本発明化合物は、主に肝臓での糖代謝を増大させることで、高血糖を是正することができる。従って、既存の糖尿病治療薬とは作用機序の異なる新たな薬物療法として利用できる。糖尿病とは、I型糖尿病、II型糖尿病、特定の原因によるその他の糖尿病を包含する。さらに、本発明化合物は、ケトアシドーシス、細小血管症(網膜症、腎症)、動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈閉塞など)、神経障害(感覚神経、運動神経、自律神経など)、足壊疽、感染症などの糖尿病性合併症の治療及び予防にも有効である。
さらには肥満症、高脂血症、高血圧症、メタボリックシンドローム、浮腫、高尿酸血症、痛風などの糖尿病関連疾患の治療及び予防にも利用可能である。
また、本発明化合物は、GK活性化作用以外の異なった作用機序の糖尿病治療薬、糖尿病合併症治療薬、高脂血症治療薬、高血圧症治療薬などと併用して使用することもできる。本発明の化合物とその他の薬剤を組み合わせることによって、上記疾患においてそれぞれ単剤で得られる効果よりも併用した場合に相加的な効果が期待できる。
併用可能な糖尿病治療薬、糖尿病合併症治療薬としては、例えばインスリン製剤、インスリン抵抗性改善薬(PPARγアゴニスト、PPARα/γアゴニスト、PPARδアゴニスト、PPARα/γ/δアゴニスト等)(例、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、アレグリタザール、ペリグリタザール、AVE−0897、MBX−8025)、α−グルコシダーゼ阻害薬(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール)、ビグアナイド薬(例、メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン)、インスリン分泌促進薬(例、グリベンクラミド、グリメピリド、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド)、グルカゴン受容体アンタゴニスト、インスリン受容体キナーゼ促進薬、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬(例、ビルダグリプチン、アログリプチン、シタグリプチン、リナグリプチン、サクサグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン)、SGLT阻害薬(例、ダパグリフロジン、ルセオグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トフォグリフロジン)、PTP1b阻害薬(例、バナジン酸ナトリウム)、グルコース6ホスファターゼ阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬(例、PSN−357、FR−258900)、FBPase阻害薬(例、MB−07803)、PEPCK阻害薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害薬、D−カイロイノシトール、GSK3阻害薬、GLP−1アゴニスト(例、リラグルチド、エクセナチド)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、11ベータHSD1阻害薬(例、INCB−13739、LY−2523199、Ro−5027838、Ro−5093151、S−707106)、プロテインキナーゼC阻害薬(例、ルボキシスタウリン)、ベータ3アドレナリン受容体アゴニスト、フォスファチジルイノシトールキナーゼ阻害薬、フォスファチジルイノシトールホスファターゼ阻害薬、ACC阻害薬、GPR40受容体アゴニスト(例、TAK−875)、GPR119受容体アゴニスト(例、APD−597、PSN−821、MBX−2982、DS−8500)、GPR120受容体アゴニスト、TGR5受容体アゴニスト、AMPK活性化薬、アルドース還元酵素阻害薬(例、エパルレスタット、ラニレスタット、フィダレスタット)、AGE阻害薬などが挙げられる。
また併用可能な糖尿病関連疾患の薬剤としては、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、胆汁酸吸着剤、IBAT阻害薬、CETP阻害薬、CPT阻害薬、フィブラート系薬剤、ACAT阻害薬、MGAT阻害薬、DGAT阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、膵リパーゼ阻害薬、MTP阻害薬、ニコチン酸誘導体、LXRアゴニスト、LDL受容体増多薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、レニン受容体アンタゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、カルシウム拮抗薬、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、エンドセリン変換酵素阻害薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト、食欲抑制薬、尿酸生成阻害薬、尿酸排泄促進薬などが挙げられる。
本発明化合物は、単独又は薬学的あるいは薬剤学的に許容される担体又は希釈剤と共に投与することができる。
本発明化合物を医薬として用いるためには、固体組成物、液体組成物及びその他の組成物のいずれの形態でもよく、必要に応じて最適のものが選択される。本発明の医薬は、本発明の化合物に薬学的に許容されるキャリヤーを配合して製造することができる。具体的には、常用の賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、糖衣剤、pH調整剤、溶解剤又は水性若しくは非水性溶媒などを添加し、常用の製剤技術によって、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、散剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤等に調製する事ができる。賦形剤、増量剤としては、たとえば、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール等やその他常用されるものを挙げることができる。
また、本発明化合物は、α、β若しくはγ−シクロデキストリン又はメチル化シクロデキストリン等と包接化合物を形成させて製剤化することができる。
本発明化合物をGK活性化物質として使用する場合は、本発明化合物をそのまま経口投与、又は非経口投与してもよい。また、本発明化合物を有効成分として含む剤として経口投与、又は非経口投与してもよい。非経口投与としては、静脈内投与、経鼻投与、経皮投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与が挙げられる。
本発明化合物の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などによっても異なるが、例えば、成人の糖尿病患者に経口投与する場合、通常1回量として約0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜100mgであり、この量を1日1〜3回投与するのが望ましい。
次に、本発明化合物の製造方法について説明する。
本発明化合物は、以下に示す方法によって合成することができるが、下記製造法は一般的製造法例を示すものであり、製造法を限定するものではない。
本発明化合物の合成は、化学の分野において自体公知の方法、又はそれに類似する一つ若しくは二つ以上のプロセスを経る方法を用いることも可能である。このような方法としては、例えば、オーガニック ファンクショナル グループ プレパレーションズ(ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS) 第2版 アカデミックプレス社(ACADEMIC PRESS,INC.)1986年刊、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション(Comprehensive Organic Transformations) ブイシーエイチ パブリッシャーズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊、ペプチド合成の基礎と実験 丸善株式会社刊 1985年、などに記載の方法等が挙げられる。
本発明化合物の合成において、出発原料又は中間体等に含まれる官能基の適当な保護及び脱保護の方法は、当業者に周知の方法、例えば、グリーンズ プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis) ジョン・ウィリー アンド サンズ(John Wily and Sons社)2006年刊等に記載の方法に準じて実施することができる。
本発明化合物の一般的な製造法をスキーム1〜2に示すが、製造法を限定するものではない。工程を実施する順番を変更する、ヒドロキシ基等に保護基を施して反応を実施し後の工程で脱保護を実施する、それぞれの工程途中において新たな工程を追加する等の当業者において周知の方法を用いることでも本発明化合物は製造できる。
スキーム1:化合物(1−a)から本発明化合物[1]の合成法
Figure 2015231984
(スキーム中、Gはヒドロキシピリジル基中のヒドロキシ基の保護基を、Rは2−ベンゾチアゾリル基又は1−フェニル−1H−テトラゾール−5−イル基を示す。)
なお、工程(1−4)で用いる化合物(1−g)は、市販化合物、公知化合物、又は当業者に公知である種々の有機合成手法を用いて入手容易な化合物より合成した化合物として入手できる。
工程(1−1):
化合物(1−b)の製造方法:化合物(1−a)に三フッ化N,N−ジメトキシエチルアミノ硫黄(ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄 三フッ化物、Deoxo−Fluor(登録商標))等のフッ素化試薬を用いた「フッ素化反応」を行うことにより化合物(1−b)を製造することができる。
該フッ素化反応としては、例えば、無溶媒もしくは不活性溶媒中、0℃乃至100℃の温度で、Deoxo−Fluor(登録商標)等のフッ素化試薬を化合物(1−a)に反応させることにより、化合物(1−b)を与える方法が挙げられる。
工程(1−2):
化合物(1−d)の製造方法:化合物(1−b)に不活性溶媒中、酢酸カリウム等の塩基及びパラジウム触媒存在下、化合物(1−c)を作用させることにより化合物(1−d)を製造することができる。
工程(1−3):
化合物(1−f)の製造方法:化合物(1−e)に不活性溶媒中、n−ブチルリチウムやn−ブチルマグネシウムクロリド等の塩基を作用させた後、N,N−ジメチルホルムアミドを作用させることにより化合物(1−f)を製造することができる。
なお、出発物質である化合物(1−e)は、WO2011/068211号パンフレットに記載されている方法又はそれに準じる方法により入手することができる。
工程(1−4、1−5):
化合物(1−h)の製造方法:カルボニル化合物(1−f)と化合物(1−g)を用いた「カップリング反応」を行うことにより得られた(5R)−5−[2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)エテニル]ピロリジン−2−オン(E/Z混合物)に不活性溶媒中、臭素を作用させ、続いて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等の塩基を作用させることにより化合物(1−h)を製造することができる。
該カップリング反応としては、例えば、化合物(1−g)を基質とし、不活性溶媒中、−78℃乃至100℃の温度でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機金属試薬やリチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等の塩基を用いることにより発生したアニオンとカルボニル化合物(1−f)を反応させることにより化合物(1−h)を与える方法が挙げられる。得られるオレフィン化合物は一般にE/Z混合物として得られるが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーやHPLC等を用い、分割することでそれぞれ単離することができる。
なお、カップリング反応に用いる化合物(1−g)は、WO2011/068211号パンフレットに記載されている方法又はそれに準じる方法により入手することができる。
工程(1−6):
化合物(1−i)の製造方法:化合物(1−h)を基質とし、パラジウム触媒存在下、フェニルホウ素化合物(1−d)との「カップリング反応」を行うことにより化合物(1−i)を製造することができる。
該カップリング反応としては、例えば、20℃乃至160℃の温度で、不活性溶媒中、パラジウム触媒と塩基存在下、化合物(1−h)とフェニルホウ素化合物を反応させる方法が挙げられる。反応は、マイクロウェーブを用いることもできる。
カップリング反応に用いるパラジウム触媒としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)アセテート又は[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(1:1)等の当業者に公知のパラジウム触媒が挙げられる。また、塩基存在下、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)とトリ(2−フリル)ホスフィンを反応に用いることもできる。
工程(1−7):
化合物(1−j)の製造方法:化合物(1−i)を基質とし、0℃乃至80℃の温度で、不活性溶媒中、酸存在下又は非存在下、パラジウム−活性炭素、ロジウム−活性炭素、又は白金−活性炭素等を触媒量用いた接触水素添加反応により還元することで化合物(1−j)を製造することができる。
工程(1−8):
化合物(1−k)の製造方法:化合物(1−j)が有する保護基Gの「脱保護反応」を行うことにより化合物(1−k)を製造することができる。
該脱保護反応としては、例えば、(i)保護基Gがアルキル基・アリル基である場合、0℃乃至200℃の温度で、不活性溶媒中、酸、又は強酸存在下加水分解反応により除去する方法や、トリメチルシリルヨージド等を用いた方法や塩化アルミニウムとアルキルチオールを用いた方法などの脱保護反応を挙げることができ、(ii)保護基Gがベンジル基、4−メトキシベンジル基、2,4−ジメトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、又はベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基等である場合、0℃乃至80℃の温度で、不活性溶媒中、酸存在下又は非存在下、パラジウム−活性炭素、又はロジウム−活性炭素等を触媒量用いた加水素分解反応により除去する方法、又は硝酸セリウム(IV)アンモニウムや2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン等の酸化剤を使用する方法が挙げられる。
工程(1−9):
本発明化合物[1]の入手方法:化合物(1−k)を、例えば、HPLC等を用い、ジアステレオマーを分割することにより、本発明化合物[1]を入手することができる。
なお、上記スキーム1で原料化合物として用いられる化合物(1−a)及び化合物(1−c)は、市販により又は自体公知の方法により入手することができる。
スキーム2:化合物(2−a)から本発明化合物[1]の合成法
Figure 2015231984
(スキーム中、G及びRは上記に同じである。Gはオキソ基で置換されたピロリジニル基中の窒素原子の保護基を示す。)
工程(2−1):
化合物(2−b)の製造方法:化合物(2−b)は、WO2008/103185号パンフレットに記載されている方法又はそれに準じる方法により入手することができる。
工程(2−2、2−3):
化合物(2−c)の製造方法:化合物(2−b)とヘテロアリールリチウム等のリチウム試薬、ヘテロアリールマグネシウムブロミド等のグリニャール試薬などのアニオンを用いた「付加反応」を行い、得られた化合物を塩酸等の酸で処理することにより化合物(2−c)を製造することができる。
該付加反応としては、例えば、化合物(1−e)を基質とし、不活性溶媒中、−78℃乃至100℃の温度でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムブロミド等の有機金属試薬やマグネシウム等の金属試薬やリチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等の塩基を用いることにより発生したアニオンと化合物(2−b)を反応させる方法が挙げられる。
工程(2−4):
化合物(2−d)の製造方法:カルボニル化合物(2−c)と化合物(1−g)を用いた「カップリング反応」を行うことにより、化合物(2−d)を製造することができる。
該カップリング反応としては、工程(1−4)において既述の「カップリング反応」と同様の反応が挙げられる。
以上により得られた化合物(2−d)は、既述のスキーム1の工程(1−7)〜(1−9)に記載の方法で、本発明化合物[1]に導くことができる。
また、以下に示す方法によっても、本発明化合物[1]を製造することができる。
工程(2−5):
化合物(2−e)の製造方法:オキソ基によって置換されたピロリジニル基を有する化合物(2−d)に二炭酸ジ−tert−ブチル等を作用させることにより、保護基Gを有する化合物(2−e)を製造することができる。
工程(2−6):
化合物(2−f)の製造方法:化合物(2−e)を基質とし、0℃乃至80℃の温度で、不活性溶媒中、酸存在下又は非存在下、パラジウム−活性炭素、ロジウム−活性炭素、又は白金−活性炭素等を触媒量用いた接触水素添加反応により還元することで化合物(2−f)を製造することができる。
工程(2−7):
化合物(2−g)の製造方法:化合物(2−f)が有する保護基Gの「脱保護反応」を行うことにより化合物(2−g)を製造することができる。
該脱保護反応としては、塩酸やトリフルオロ酢酸のような酸を用いた方法が挙げられる。
工程(2−8):
本発明化合物[1]の製造方法:化合物(2−g)が有する保護基Gの「脱保護反応」を行うことにより本発明化合物[1]を製造することができる。
該脱保護反応としては、工程(1−8)において既述の「脱保護反応」と同様の方法が挙げられる。
なお、上記スキーム2で原料化合物として用いられる化合物(2−a)は、市販により又は自体公知の方法により入手することができる。
最後に、本発明の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶及びその製造方法について説明する。
本発明の化合物3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶(以下、「本発明結晶」ということがある)は、上記式[1]に示す化学構造式を有している。
本発明結晶は次の(a)〜(c)の物性を有する;
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα、測定方法:透過法)において、回折角2θ= 8.5、10.8、11.2、11.6、13.4、16.8、17.0、17.9、18.5、18.8、19.1、19.4、22.6、23.1、23.2及び24.5°にピークを有し、特に、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°に特徴的なピークを有する;
(b)赤外線吸収スペクトル(ATR法、クリスタル:ダイヤモンド)において、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1375、1614、1625、1651、1664、2837、2866、2909、2955、2986、3003、3088及び3146 cm−1にあり、特に、916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1に特徴的な特性吸収帯がある;
(c)融点が199℃〜201℃である。
なお、粉末X線結晶回折による特徴的なピークは、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明化合物の粉末X線結晶回折のピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
本発明結晶の粉末X線回折パターンは図1に、赤外線吸収スペクトル(ATR法、クリスタル:ダイヤモンド)は図2に、示差熱分析/熱質量測定カーブは図3に示した通りである。
本発明結晶は、3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンをアルコール系溶媒を用いて、結晶化させることで製造できる。
アルコール系溶媒に溶解前の、原料の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンは、非晶質又は結晶である。
アルコール系溶媒を用いた結晶化又は再結晶により本発明結晶を得る際の、3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンのアルコール系溶媒への溶解及びアルコール溶液からの結晶化は通常の方法で行うことができる。例えば、アルコール系溶媒に、非晶質の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンを加熱溶解させた後、冷却する方法が用いられる。
アルコール系溶媒と混和する性質を有する溶媒としては、水溶媒又はヘプタン等の炭化水素溶媒などが挙げられる。
なお、アルコール系溶媒と混和する性質を有する溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒における混合比は適宜に変更することができる。
使用するアルコール系溶媒は、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの炭素数が1乃至4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はプロピレングリコールであり、さらに好ましくはメタノール又はエタノールである。
3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンを溶解させる濃度は1乃至50質量%、好ましくは17乃至25質量%である。ここで質量%とは、溶液中の3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの質量パーセントである。
3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶化温度は−78℃から溶媒の還流温度までの温度で実施可能であるが、好ましくは3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンをアルコール系溶媒中、55℃から75℃まで加熱して溶解後、場合によっては水などのアルコール系溶媒と混和する性質を有する溶媒を加え、5℃以下まで冷却して結晶を析出させる方法が挙げられる。
冷却させる時間は、10秒以上であれば特に制限されないが、通常10分から24時間であり、好ましくは30分から5時間である。工業的製造の観点からは、2時間から4時間であることが好ましい。
析出した結晶は、懸濁液をろ過、遠心分離などにより溶液と分離した後に60℃以下で乾燥する。
また、結晶化に際しては種晶を使用することができる。種晶は、晶析のための溶液が入った容器の壁をスパチュラ(Spatula)でこするなど、当業者にとって良く知られた方法で取得しておくことができる。
本発明化合物の一般的製造法の反応温度とは、−78℃乃至250℃、好ましくは−20℃乃至80℃である。反応時間は5分乃至3日間であり、好ましくは30分乃至18時間である。本製造方法は常圧下、加圧下、マイクロウェーブ照射下等で実施することができる。
本発明化合物の一般的製造法の記載における塩基、酸、及び不活性溶媒について、さらに具体的に記載するが、以下の例示に限定されない。また、使用できる単離手法についても具体的に記載するが、同様に以下の例示に限定されない。
「塩基」とは、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物(水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアミド類(リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のC−Cアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム等)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等)、アルカリ金属の炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩(リン酸三カリウム等)などの無機塩基、アミン類(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等)、塩基性複素環化合物(ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン−5−エン)、イミダゾール、2,6−ルチジン等)が挙げられる。
「酸」とは、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、有機酸(p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、カンファースルホン酸等)、ルイス酸(三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム、スカンジウムトリフラート、イッテルビウムトリフラート等)が挙げられる。
「不活性溶媒」としては、反応を阻害せず、出発原料をある程度溶解するものであれば特に限定はなく、例えば、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、スルホキシド系溶媒、水が挙げられ、これらは、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルが挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す場合もある)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが挙げられる。ハロゲン化炭素系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル(以下“エーテル”と略す場合もある。)、テトラヒドロフラン(以下THFと略す場合もある。)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンが挙げられる。芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジンが挙げられる。炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサンが挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ギ酸エチルが挙げられる。アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールが挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す場合もある。)が挙げられる。
上記製造法により得られた化合物は、公知の手段、例えば、溶媒抽出、液性変換、転溶、晶出、再結晶、各種クロマトグラフィーによって単離精製することができる。
本発明化合物の一般的製造における化合物が用いることができる保護基を以下に記載するがその例示に限定されず、他にも適当に選択することができる。
保護基Gは、例えば、ペプチド合成時に一般的に用いられるC−Cアシル基(ホルミル、アセチル、プロピオニル等)、C−C15アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチレノキシカルボニル等)、アリールカルボニル基(ベンゾイル等)、トリチル基、フタロイル基、N,N−ジメチルアミノメチレン基、置換シリル基(トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル等)、C−Cアルケニル基(1−アリル等)が挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、C−Cアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、及びニトロ基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
本発明は、以下の実施例および試験例によってさらに詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例において、NHシリカゲルカラムクロマトグラフィーとは、NH2タイプシリカゲル(クロマトレックス(登録商標)NH2タイプ、Biotage(登録商標)SNAP KP−NH Cartridge)を用いたカラムクロマトグラフィー分離精製を示す。溶出溶媒の比は特に断らない限り容量比を示す。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、関東化学「シリカゲル60」または富士シリシア「PSQ60B」またはパックドカラム(YAMAZEN Hi−FlashTM Column または MORITEX Purif Pack または Biotage(登録商標)SNAP KP−Sil Catridge)を使用した。
本明細書中で用いられている略語は下記の意味を示す。
s : シングレット(singlet)
d : ダブレット(doublet)
t : トリプレット(triplet)
q : クァルテット(quartet)
dd : ダブルダブレット(double doublet)
m : マルチプレット(multiplet)
br : ブロード(broad)
J : カップリング定数(coupling constant)
Hz : ヘルツ(Hertz)
CDCl : 重クロロホルム
H−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)は下記のフーリエ変換型NMRで測定した。
300MHz: JNM−ECP300 (JEOL), JNM−ECX300 (JEOL)
600MHz: JNM−ECA600 (JEOL)
解析にはACD/SpecManager ver.12.01(商品名)などを用いた。
MS(マススペクトル)は以下の装置にて測定した。
micromass ZQ (Waters)
LTQ XL (Thermo Fisher Scientific)
LCMS−2010EV (Shimadzu)
LCMS−IT−TOF (Shimadzu)
Agilent 6150 (Agilent)
LCQ Deca XP (Thermo Fisher Scientific)
イオン化法としては、ESI(Electrospray Ionization、エレクトロスプレーイオン化)法または、ESIとAPCI(Atmospheric Pressure Chemical Ionization、大気圧化学イオン化)法とのデュアルイオン化法を用いた。
旋光度測定は、日本分光社製、旋光計(型番:P−1020)を使用して行った。
粉末X線回折測定は、PANalytical社製、X'Pert PRO MPD (線源:Cu・Κα)を使用して行った。
赤外線吸収スペクトル測定はThermo Fisher Scientific社製、Nicolet iS5を使用し、ATR法(attenuated total reflection、減衰全反射法)にて行った
融点測定は、Mettler Toledo社製のMP90自動融点測定システムを使用して行った。
分取用HPLCカラムには、Daicel Chemical Industries,LTD.CHIRALPAK IB 5μm(I.D.20mm、Length 250mm)等を用いた。
分析用HPLCカラムには、Daicel Chemical Industries,LTD.CHIRALPAK IB 5μm(I.D.4.6mm、Length 250mm)等を用いた。
化合物名はACD/Name ver.12.01(商品名)などを用いて命名した。
実施例1
3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オン
Figure 2015231984
(1)1−ブロモ−4−(1,1−ジフルオロエチル)ベンゼン
Figure 2015231984
1−(4−ブロモフェニル)エタノン(20.0g)にDeoxo−Fluor(登録商標)(22.2g)を加え、85℃で15時間撹拌した。氷冷下、反応液に氷水及び炭酸カリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製することにより、表題化合物(13.0g,収率59%)を黄色油状物質として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 1.91(t,J=18.2Hz,3H),7.50(d,J=8.3Hz,2H),7.86(d,J=8.3Hz,2H).
(2)2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン
Figure 2015231984
実施例1−(1)で合成した1−ブロモ−4−(1,1−ジフルオロエチル)ベンゼン(9.80g)の1,4−ジオキサン(60mL)溶液に、ビスピナコールジボレート(22.5g)と[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(904mg)と酢酸カリウム(8.70g)を加えて、90℃で10時間撹拌した。反応液を水に加え、クロロホルムで抽出した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製することにより、表題化合物(7.87g,収率66%)を無色固体として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 1.35(s,12H), 1.91(t,J=18.2Hz,3H),7.50(d,J=7.8Hz,2H),7.86(d,J=7.8Hz,2H).
(3)5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−カルバルデヒド
Figure 2015231984
トルエン(433mL)−テトラヒドロフラン(116mL)混合溶媒に、アルゴン雰囲気下、2M n−ブチルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液(74.5mL)を加えた。−12℃で1.6M n−ブチルリチウムのテトラヒドロフラン溶液(186mL)を滴下し40分間撹拌した後、6−ブロモ−3−シクロプロピル−2−メトキシピリジン(34.0g)を加えた。さらに1時間撹拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド(32.7g)を滴下した。さらに1時間半撹拌した後、反応液を13%クエン酸水溶液に加え抽出した後に有機層を水で洗浄した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5→90:10)を用いて精製することにより、表題化合物(21.2g,収率80%)を黄色油状物質として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 0.73−0.78(m,2H),1.03−1.08(m,2H),2.14−2.21(m,1H),4.07(s,3H),7.19(d,J=7.4Hz,1H),7.49(d,J=7.4Hz,1H),9.92(s,1H).
MS(+):178[M+H]
(4),(5) (5R)−5−[(Z)−2−ブロモ−2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)エテニル]ピロリジン−2−オン
Figure 2015231984
(4) (5R)−5−[(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルスルホニル)メチル]ピロリジン−2−オン(30.0g)と塩化リチウム(8.58g)のテトラヒドロフラン溶液(1.2L)に、−78℃で1Mカリウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン溶液(405mL)を滴下した後、1時間撹拌した。実施例1−(3)で合成した5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−カルバルデヒド(17.9g)のテトラヒドロフラン溶液(600mL)を滴下し、さらに0.5時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→70:30)で2度精製を行い、(5R)−5−[(Z)−2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)エテニル]ピロリジン−2−オン(8.40g,収率34%)を黄色油状物質として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 0.62−0.68(m,2H),0.93−0.99(m,2H),1.89−1.97(m,1H),2.03−2.09(m,1H),2.33−2.56(m,3H),3.98(s,3H),5.53−5.55(m,1H),5.70(dd,J=11.56,7.84Hz,1H),5.94−6.03(br.s.,1H),6.34(dd,J=11.56,1.24 Hz,1H),6.70(d,J=7.43Hz,1H),7.07(d,J=7.43Hz,1H).
MS(+):259[M+H]
(5)実施例1−(4)で合成した(5R)−5−[(Z)−2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)エテニル]ピロリジン−2−オン(8.40g)のクロロホルム(126mL)溶液に、0℃で臭素(1.33mL)を滴下した。1時間撹拌した後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(9.7mL)のクロロホルム溶液(42mL)を30分かけて滴下し、15分間撹拌した。反応溶液に1M塩酸(200mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→0:100)で精製を行い、表題化合物(7.50g,収率68%)を黄色固体として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 0.65−0.68(m,2H),0.95−1.00(m,2H),1.96−2.10(m,2H),2.40−2.59(m,3H),4.00(s,3H),4.80(q,J=7.4Hz,1H),5.68−5.70(br.s.,1H),7.10(d,J=7.8Hz,1H),7.15(d,J=7.8Hz,1H),7.24(d,J=7.8Hz,1H).
MS(+):337[M+H]
(6) (5R)−5−{(E)−2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エテニル}ピロリジン−2−オン
Figure 2015231984
窒素雰囲気下、実施例1−(5)で合成した(5R)−5−[(Z)−2−ブロモ−2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)エテニル]ピロリジン−2−オン(1.0g)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液に、実施例1−(2)で合成した2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.59g)、炭酸セシウム(1.92g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(271mg)、トリ(2−フリル)ホスフィン(412mg)、蒸留水(10mL)を加えて、90℃で2時間撹拌した。反応液を水に加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)、さらにNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、表題化合物(1.13g,収率96%)を無色アモルファス状物質として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 0.56−0.64(m,2H),0.90−0.97(m,2H),1.93−2.09(m,5H),2.20−2.34(m,2H),2.37−2.45(m,1H),4.04(s,3H),4.07−4.16(m,1H),5.73−5.75(br.s.,1H),6.23(d,J=7.4Hz,1H),6.90(d,J=9.9Hz,1H),6.92(d,J=7.8Hz,1H),7.24(d,J=8.3Hz,2H),7.57(d,J=7.8Hz,2H).
MS(+):399[M+H]
(7) (5R)−5−{2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ピロリジン−2−オン
Figure 2015231984
窒素雰囲気下、実施例1−(6)で合成した(5R)−5−{(E)−2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エテニル}ピロリジン−2−オン(1.1g)のメタノール(44mL)溶液に、10%パラジウム−活性炭素(110mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液をセライト(登録商標)ろ過後、減圧下溶媒を留去し表題化合物(1.10g,収率99%)を無色アモルファス状物質として得た。
MS(+):401[M+H]
(8)3−シクロプロピル−6−{1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オン
Figure 2015231984
実施例1−(7)で合成した(5R)−5−{2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ピロリジン−2−オン(1.1g)のアセトニトリル(30mL)溶液に、クロロトリメチルシラン(707μL)及びヨウ化カリウム(1.37g)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液を水にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→80:20)で精製し、表題化合物(880mg,収率83%)を無色アモルファス状物質として得た。
MS(+):387[M+H]
(9)3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オン
Figure 2015231984
実施例1−(8)で合成した3−シクロプロピル−6−{1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンのRS混合物(180mg)をキラルHPLCカラム(CHIRALPAK IB,ヘキサン:エタノール=70:30 v/v,40℃,12mL/min,254nm)で分取して、表題化合物(70mg)を無色アモルファス状物質として、表題化合物のジアステレオマー(67mg)を無色アモルファス状物質として得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 0.54−0.67(m,2H),0.90−0.98(m,2H),1.68−1.75(m,1H),1.88(t,J=18.2Hz,3H),2.07−2.14(m,1H),2.14−2.40(m,5H),3.43−3.52(m,1H),4.07−4.12(m,1H),6.00(d,J=7.0Hz,1H),6.92(d,J=7.0Hz,1H),7.41−7.47(m,4H),7.60−7.68(m,1H),12.28−12.49(br.s.,1H).
MS(+):387[M+H]
CHIRALPAK IB 4.6×250mm 5μm (DAICEL),ヘキサン:エタノール=70:30 v/v,40 ℃,1.0mL/min,210nm,Rt=7.5min.

ジアステレオマー
Figure 2015231984
H NMR(600MHz,CDCl)δ ppm 0.54−0.66(m,2H),0.95−1.05(m,2H),1.75−1.84(m,1H),1.90(t,J=18.0Hz,3H),2.15−2.41(m,6H),3.54−3.64(m,1H),4.16(dd,J =10.1,5.57Hz,1H),6.01(s,1H),6.96(d,J=7.0Hz,1H),7.39(d,J=8.26Hz,2H),7.47(s,2H),7.83−7.92(m,1H),13.14−13.34(br.s.,1H).
MS(+):387[M+H]
CHIRALPAK IB 4.6×250mm 5μm (DAICEL),ヘキサン:エタノール=70:30 v/v,40 ℃,1.0mL/min,210nm,Rt=18.9min.
実施例2
(5R)−5−{2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エテニル}ピロリジン−2−オン
Figure 2015231984
(1) (5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]メタノン
Figure 2015231984
窒素雰囲気下、−78℃において、6−ブロモ−3−シクロプロピル−2−メトキシピリジン(41.5g)のテトラヒドロフラン(273mL)溶液に1.6M n−ブチルリチウムのテトラヒドロフラン溶液(127mL)を50分かけて滴下した後、−78℃で1時間攪拌した。続いて−78℃のまま反応溶液に4−(1,1−ジフルオロエチル)ベンゾニトリル(24.3g)のテトラヒドロフラン(137mL)溶液を75分かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。反応溶液を0℃に昇温後、1M塩酸(437mL)、テトラヒドロフラン(365mL)、1M塩酸(146mL)の順に滴下した。
反応液を有機層と水層に分離後、水層を酢酸エチル(1000mL)で抽出した。あわせた有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→95:5)で精製し、表題化合物(34.0g,収率74%)を無色油状物質として得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 0.72-0.81(m,2H),1.00-1.10(m,2H),1.96(t,J=18.2Hz,3H),2.10-2.25(m,1H),3.95(s,3H),7.24(d,J=6.9Hz,1H),7.59(d,J=9.0Hz,2H),7.67(d,J=7.8Hz,1H),8.21(d,J=8.6Hz,2H).
MS(+):318[M+H]
(2) (5R)−5−{2−(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エテニル}ピロリジン−2−オン
Figure 2015231984
窒素雰囲気下、−78℃において、実施例2−(1)で得られた(5−シクロプロピル−6−メトキシピリジン−2−イル)[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]メタノン(33.5g)と(5R)−5−[(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルスルホニル)メチル]ピロリジン−2−オン(37.5g)のジクロロメタン(1007mL)溶液に1.0Mリチウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン溶液(317mL)を50分かけて滴下し、−78℃で4時間40分攪拌した。
反応液を0℃に昇温後、飽和塩化アンモニウム水溶液(335g)を滴下して反応を停止させた。反応液を有機層と水層に分離後、水層をクロロホルム(339mL)で抽出し、合わせた有機層を水(502g)で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→0:100)で精製し、表題化合物を淡黄色アモルファス状物質の混合物(42.7g,E:Z=50:50)として得た。
但し、混合比は液体クロマトグラフィーの面積百分率にて決定した。
液体クロマトグラフィーの条件を以下に示す。
L−Column ODS, CHCN:0.01M acetate buffer(0.01M酢酸水溶液:0.01M酢酸ナトリウム水溶液=8:1) =80:20 v/v,1.0mL/min,40℃,254nm,
E:Rt=5.40min、Z:Rt=5.08min.
MS(+):399[M+H]
以下、実施例1の(7)〜(9)に記載した方法又はそれらに準じた方法で、表題の化合物を化合物[1]に導くことができる。
実施例3
化合物[1]の結晶
化合物[1]の結晶化法
75℃において3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オン(14.4g)のエタノール(72g)溶液に水(29g)を滴下した。75℃から徐々に冷却し、内温が40℃になった時点で種晶を一片加え、室温まで冷却した。さらに0℃に冷却し、終夜攪拌させることで懸濁液とした。
室温に戻し、得られた固体をろ取、水洗浄、乾燥(50℃,6時間)することで、8.7g(回収率60%)の無色結晶を得た。
(a)粉末X線回折図(Cu−Kα、測定方法:透過法)において、回折角2θ= 8.5、10.8、11.2、11.6、13.4、16.8、17.0、17.9、18.5、18.8、19.1、19.4、22.6、23.1、23.2及び24.5°にピークを有する。
(b)赤外線吸収スペクトル(ATR法、クリスタル:ダイヤモンド)において、特性吸収帯が916、1146、1167、1295、1375、1614、1625、1651、1664、2837、2866、2909、2955、2986、3003、3088及び3146cm−1にある。
(c)融点が199℃〜201℃である。
(d)比旋光度が[α] 23=+36(c 0.1、MeOH)である。
本発明化合物のGK活性化作用の評価は、例えば、試験例に記載した方法など、公知の手法に従って行うことができる。
本発明化合物[1]並びにWO2011/068211号パンフレットに開示の化合物A(実施例4−302)、化合物B(実施例4−248)及び化合物C(実施例4−340)のGK活性化作用を、以下の試験例に記載した方法を用いて測定した。
なお、WO2011/068211号パンフレットに開示の化合物A、化合物B及び化合物Cの構造を、以下に示す。
Figure 2015231984
(試験例1.)−GK活性化試験−
試験化合物のGK活性化試験は、Van Schaftingenらの方法(Eur.J.Biochem. 179:179−184,1989)を一部改変して実施した。GK活性は、グルコースを基質としGKにより産生されるグルコース6リン酸をG6PDH(グルコース6リン酸脱水素酵素)により脱水素する際に、thio−NAD+ (チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)より転換される還元型生成物であるthio−NADH量に基づく吸光度の変化として測定した。
本アッセイで使用する酵素源ヒト肝臓型GKは、アミノ末端にGST(Glutathione S−transferase)を付加した融合タンパク質として大腸菌に発現させ、Glutathione Sepharose 4B(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて精製した。
試験は平底の96穴ハーフエリアマイクロプレート(コーニング社)を用いて行った。プレートの各ウェルに試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液ならびに、コントロールとしてDMSOを、DMSO終濃度1%になるように添加した。さらに、それぞれ終濃度として、25mM Hepes−KOH(pH=7.1)、25mM KCl、2mM MgCl、2mM thio−NAD+、4mM グルコース、1mM DTT(ジチオスレイトール)、0.01units/μL G6PDH、2μg/mL ヒト肝臓型GKを添加した。次いで、終濃度2mMとなるようにATPを添加して反応開始し、室温に静置した。反応開始から15分後、マイクロプレート用吸光度計を用いて405nmにおける吸光度を測定した。
試験化合物によって最大に活性化されたGK活性を最大活性化能として、その50%を活性化するのに必要な試験化合物濃度(nM)をEC50値として表記した。
結果を以下に示す。
Figure 2015231984
(試験例2.)−C57BL6/Jマウスを用いた血糖低下試験−
試験化合物の血糖低下作用を確認する試験は、Grimsbyらの方法(Science 301: 370−373,2003)に代表される、一般的に用いられる方法に準拠して実施した。
試験前に自由摂食させたC57BL6/Jマウス(N=6)の体重を測定した。被験化合物を投与基剤(0.5%メチルセルロース)に0.06−20 mg/mLの濃度で懸濁又は溶解した。マウスに薬液(被験化合物0.3−100 mg/kg相当)もしくはコントロール(投与基剤のみ)5mL/kgを経口投与した。被験化合物投与直前及び被験化合物投与後0.5、1、2、4、6時間後に尾静脈からキャピラリーで血液約60μLを採取した。採取した血液を遠心分離後、血漿グルコース濃度を測定した。被験化合物投与後の血漿グルコース濃度の経時推移から曲線下面積(AUC)を算出し、コントロール群のAUCに対する低下率(%)を算出した。AUC低下率を縦軸に、用量を横軸に取った用量反応曲線から、AUC低下率が20%を示す用量(ED20値;mg/kg)を算出した。
結果を以下に示す。
Figure 2015231984
以上の試験結果より、本発明化合物は低い用量域から良好な血糖低下作用を示すことが確認された。よって、本発明化合物は糖尿病等の予防・治療薬として有用であり、その治療域はその他の化合物よりも明らかに広いといえる。
そして、WO2011/068211号パンフレットに開示の3化合物と比較して、本発明化合物は、より強力な血糖低下作用を有することが分かった。
なお、本発明化合物は、医薬品として望ましい性質を有している。例えば、良好な物性や薬物動態(例えば、肝代謝安定性等)を示すことにより、良好な血糖低下作用を示す等の性質が挙げられる。
本発明化合物は、優れたGK活性化作用を有し、糖尿病治療だけでなく、肥満治療、高脂血症などの糖尿病関連疾患、又は網膜症、腎症、動脈硬化などの糖尿病性慢性合併症の治療及び予防薬を提供することができる。

Claims (4)

  1. 式[1]
    Figure 2015231984
    で表される2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩(該2−ピリドン化合物若しくは該化合物の互変異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩を、以下「化合物等」と称する)、又は該化合物等の溶媒和物を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬。
  2. 請求項1に記載の、上記式[1]で表され、下記(a)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬;
    (a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する。
  3. 請求項1に記載の、上記式[1]で表され、下記(a)〜(c)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬;
    (a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する;
    (b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1にある;
    (c)融点が199℃〜201℃である。
  4. 上記式[1]で表される3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンを、アルコール系溶媒に加熱溶解させた後、水溶媒を加え5℃以下に冷却して結晶化させ、得られた結晶を60℃以下で乾燥させて製造することを特徴とする、下記(a)〜(c)の物性を有する3−シクロプロピル−6−{(1R)−1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]−2−[(2R)−5−オキソピロリジン−2−イル]エチル}ピリジン−2(1H)−オンの結晶を有効成分として含有する糖尿病又は肥満の予防又は治療薬;
    (a)粉末X線回折図(Cu−Kα)において、回折角2θ= 8.5、13.4、19.1及び24.5°にピークを有する;
    (b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が 916、1146、1167、1295、1651、1664、2909、2955、3003及び3146 cm−1にある;
    (c)融点が199℃〜201℃である。
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