以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る紙葉類取り出し装置100(以下、単に、取り出し装置100)を上方から見た平面図であり、図2は、図1の矢印II方向からこの取り出し装置100を見た側面図であり、図3は、この取り出し装置100の動作を制御する制御系のブロック図である。
取り出し装置100は、図1および図2に示すように、複数枚の紙葉類Mを互いに重ねて集積した状態で投入する投入部2を有する。投入部2は、図示左右方向に延びている。本実施形態において、紙葉類Mは、例えば、はがきや封書などの郵便書状であり、投入部2を介して立位で投入される。なお、本実施形態の取り出し装置100で取り扱う紙葉類M、すなわち書状Mは、大きさ、厚さ、および重さがバラバラのものであり、通常のものより厚くて大きい重い書状Mも含む。
投入部2の底には、複数本のフロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5cが図示矢印F方向に走行可能に互いに平行に延設されている。図2では、3本のフロアベルト3a、3b、3cを1本のフロアベルト3として図示してあり、2本のフロアベルト4a、4bを1本フロアベルト4として図示してあり、3本のフロアベルト5a、5b、5cを1本のフロアベルト5として図示してある。
各フロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5cは、その一部が投入部2の底に露出するように、それぞれ、複数のプーリ6に巻回されて無端状に張設されており、モータ7、8、9の回転軸に取り付けられたプーリに巻回されている。つまり、モータ7、8、9を回転することで、投入部2の底に露出したフロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5cの部位が矢印F方向に走行するようになっている。各フロアベルトの走行速度は、モータ7、8、9の回転速度に依存する。
また、投入部2の一端側、すなわち図示右端側には、バックアッププレート10が配設されている。バックアッププレート10は、投入部2に投入された書状Mのうちその重ね方向一端(図示右側の端部、すなわち後述する移動方向後端)にある書状Mの表面に接触する位置に配置されている。言い換えると、複数通の書状Mは、その重ね方向一端の書状Mがバックアッププレート10の内面に接触するように投入部2を介して投入される。
このバックアッププレート10は、矢印F方向に延設されたレール11に沿って移動可能に設けられ、モータ12によって無端走行する駆動ベルト13に取り付けられている。つまり、バックアッププレート10は、モータ12を駆動することで、レール11に沿って図示左右両方向に移動可能となっている。
しかして、バックアッププレート10を取り出し位置Pへ向けて図示左方向へ移動させるとともに、複数本のフロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5cを矢印F方向に走行させることで、投入部2を介して集積状態で投入された複数通の書状Mは、その重ね方向に沿って矢印F方向に移動される。この際、投入部2を介して投入された全ての書状Mは、その下端辺をフロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5cに接触させた状態で矢印F方向へ移動される。このようにして、移動方向先端(図示左側端部)の書状Mが、取り出し位置Pへ供給される。
取り出し位置Pへ供給された書状Mは、後述する取り出し機構によってその面方向(図1で上方、すなわち矢印T方向)に取り出される。このため、バックアッププレート10およびフロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5cは、基本的に、取り出し位置Pの書状Mが取り出される度に少しずつ矢印F方向に移動され、複数通の書状Mが1通ずつ取り出し位置Pへ供給されるようになっている。なお、上述したフロアベルト3a、3b、3c、4a、4b、5a、5b、5c、モータ7、8、9、バックアッププレート10、およびモータ12は、投入部2を介して投入された書状Mを取り出し位置Pへ供給する、本実施形態の供給機構として機能する。
より具体的には、供給機構は、投入部2を介して投入された集積状態の書状Mのうち移動方向後端の書状M、すなわちバックアッププレート10に接触した書状Mを含む複数通の後端側の書状Mの下端辺を当接せしめて移動方向Fに走行する比較的長い3本の第1フロアベルト3a、3b、3cを有する。この3本の第1フロアベルト3a、3b、3cが投入部2の底に露出した部位は、投入部2の略全長にわたって取り出し位置Pの近くまで延びている。このため、投入部2を介して投入された書状Mの殆どは、第1フロアベルト3a、3b、3cに乗せられて取り出し位置Pの近くまで移動されることになる。
また、これら3本の第1フロアベルト3a、3b、3cの走行方向下流側には、比較的短い2本の第2フロアベルト4a、4bが設けられている。これら2本の第2フロアベルト4a、4bは、その走行方向上流側の端部を第1フロアベルト3a、3b、3cの走行方向下流側の端部と部分的に入れ子状に重ねた状態で配置されている。さらに、これら2本の第2フロアベルト4a、4bの走行方向下流側には、比較的短い3本の第3フロアベルト5a、5b、5cが配置されている。これら3本の第3フロアベルト5a、5b、5cも、その走行方向上流側の端部を第2フロアベルト4a、4bの走行方向下流側の端部と部分的に入れ子状に重ねた状態で配置されている。
第2フロアベルト4a、4b、および第3フロアベルト5a、5b、5cは、矢印F方向に沿った長さが第1フロアベルト3a、3b、3cより短く、取り出し位置に近付いた書状Mを第1フロアベルト3a、3b、3cから順次受け取って移動する。つまり、第1フロアベルト3a、3b、3cで取り出し位置Pの近くまで矢印F方向に移動された書状Mは、第2フロアベルト4a、4bに受け渡されて矢印F方向に送られて、さらに第3フロアベルト5a、5b、5cに受け渡されて取り出し位置Pへ供給される。
投入部2の他端、すなわち集積状態の複数通の書状Mの移動方向先端に対向する位置には、取り出し機構の支えローラ21(第1回転体)、および送りローラ22(第2回転体)が配設されている。つまり、支えローラ21および送りローラ22は、取り出し位置Pに対向して配置されている。
これら2つのローラ21、22は、図示のように、第3フロアベルト5a、5b、5cの走行方向下流側の端部の上方に部分的に重なる位置にそれぞれ配置されている。本実施形態では、支えローラ21は、送りローラ22より書状Mの取り出し方向Tに沿って上流側に配置されており、送りローラ22より取り出し位置Pからバックアッププレート10方向に突出した位置に配置されている。
支えローラ21は、第1支持機構23によって取り出し位置Pに離接可能(図示左右方向)に支持されており、送りローラ22も、第2支持機構24によって取り出し位置Pに離接可能(図示左右方向)に支持されている。また、支えローラ21は、モータ25によって図1で矢印方向に回転され、送りローラ22も、モータ26によって図1で矢印方向に回転されるようになっている。
取り出し位置Pに沿って書状Mの取り出し方向T上流側に配置された支えローラ21は、取り出し位置Pに供給された書状Mを支えて図示矢印方向に回転することで、当該書状Mを面方向(図1で上方、すなわち矢印T方向)に取り出すよう機能する。
支えローラ21は、取り出し位置Pに供給された比較的厚く大きくて重い書状Mが矢印F方向に押されたとき、当該書状Mの反対側の面を押えて重量を支える。このため、支えローラ21は、比較的大きな力で取り出し位置Pの書状Mの表面を押圧する。つまり、取り出し位置Pの書状Mは、概ね、この支えローラ21のみによって取り出し位置Pから取り出されることになる。
より具体的には、図2に示すように、支えローラ21は、鉛直方向に互いに離間して同軸に配置された2つのローラ部21a、21bを有し、各ローラ部21a、21bが、それぞれ、第1支持機構23の2本のアーム23a(第1アーム)の先端に回動可能に取り付けられている。そして、これら2本のアーム23aの基端が、固定的に配置された回動支点として機能する支持軸27に対して回動可能に取り付けられている。しかして、アーム23aが支持軸27を中心に揺動すると、支えローラ21の各ローラ部21a、21bが、取り出し位置Pの書状Mを押し込む方向および当該書状Mから離間する方向(図示左右方向)に移動する。
各アーム23aには、バネ28が取り付けられている。バネ28は、アーム23aを図1で反時計回り方向に付勢する位置および向きでアーム23aに取り付けられている。つまり、このバネ28は、各アーム23aの先端に回動可能に取り付けられたローラ部21a、21bを取り出し位置Pの書状Mに押し付ける方向に付勢する。なお、各アーム23aの図1で時計回り方向の回動を所定位置で規制する図示しないストッパが設けられており、支えローラ21の2つのローラ部21a、21bがバックアッププレート10方向に突出する突出量が制限されている。
上記構造の第1支持機構23の支持軸27は、図1に示すように、支えローラ21に対して図示左斜め下方に位置決め配置されている。この位置に支持軸27を配置することで、取り出し位置Pの書状Mから支えローラ21に対してその回転方向(図示矢印方向)と逆方向の反力が作用したとき、すなわち支えローラ21の回転を止める方向の力が作用したとき、支えローラ21の2つのローラ部21a、21bを取り出し位置Pの書状Mの表面に押し付ける方向に移動させることができる。
このため、取り出し位置Pの書状Mが比較的厚くて大きい重い書状Mである場合など、支えローラ21の回転トルクが不足して回転を停止するような力が当該書状Mから付与された際に、支えローラ21の当該書状Mに対する接触圧を大きくすることができ、当該書状Mに対してより強い繰り出し力を与えることができ、当該書状Mの取り出しをより確実にできる。
書状Mの取り出し方向Tに沿って支えローラ21の下流側に配置された送りローラ22も、鉛直方向に互いに離間した2つのローラ部(下方のローラ部は不図示)を有する。また、送りローラ22の第2支持機構24は、各ローラ部を先端に回動可能に取り付けた2本のアーム24a(第2アーム)(下方のアームは不図示)、各アーム24aの基端を回動可能に取り付けた支持軸30、および各アーム24aを付勢するバネ29(下方のアームを付勢するバネ29は不図示)を有する。送りローラ22の各ローラ部は、モータ26によって図示矢印方向に回転される。送りローラ22および第2支持機構24の基本的な構造は、上述した支えローラ21および第1支持機構23と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
2本のアーム24aを付勢するバネ29は、比較的弱い力で各ローラ部を取り出し位置Pの書状Mの表面に押し付ける方向および位置に取り付けられている。また、送りローラ22の2つのローラ部は、支えローラ21の2つのローラ部21a、21bより取り出し位置Pから離れた位置に配置されている。このため、送りローラ22は、取り出し位置Pに供給された書状Mを支えるのではなく、支えローラ21によって取り出し位置Pから取り出される書状Mを矢印T方向に送るとともに、後述する押さえローラ31(当接部材)と協働して支えローラ21を抜けた複数通の書状Mを図示のようにさしみ状にずらすよう機能する。
なお、第2支持機構24の支持軸30は、図1に示すように、送りローラ22に対して図示左斜め上方に位置決め配置されている。この位置に支持軸30を配置することで、取り出し位置Pの書状Mから送りローラ22の各ローラ部に対してその回転方向(図示矢印方向)と逆方向の反力が作用したとき、すなわち送りローラ22の回転を止める方向の力が作用したとき、送りローラ22の2つのローラ部が取り出し位置Pの書状Mの表面から離れる(逃げる)方向に移動することになる。つまり、この送りローラ22は、上述したように、書状Mに強い搬送力を与えるものではなく、あくまでも、取り出し位置Pの下流側へ書状Mをさしみ状に送り出すために設けられている。
特に、上述した支えローラ21が取り出し位置Pへ供給される書状Mの重量の殆どを支えるため、この送りローラ22は、取り出し位置Pの書状に対して大きな押圧力を作用させない。このため、支えローラ21を通過した書状M(すなわち、取り出し方向後端が支えローラ21のニップを抜けた書状)に対し、送りローラ22は、強い押圧力を作用させることなく接触することができ、この位置における書状間の接触圧を小さくでき、書状Mを容易にずらすことができる。
一方、押さえローラ31は、図1に示すように、投入部2を介して投入された書状Mのうち支えローラ21によって取り出し位置Pから取り出された書状Mに連れ出された2通目以降の書状Mの取り出し方向(図示矢印T方向)先端に当接する位置に配置されている。つまり、押さえローラ31は、取り出し位置Pから取り出された書状Mの搬送経路を挟んで送りローラ22と反対側で送りローラ22より書状Mの取り出し方向下流側に配置されている。
また、この押さえローラ31に対して書状Mの搬送経路を挟んで反対側には、送りローラ22によって取り出し位置Pから送り出された書状Mを吸着保持して搬送路上に繰り出す繰り出し機構40が対向配置されている。この繰り出し機構40は、搬送路に沿って矢印T方向に無端走行する吸着ベルト41、およびこの吸着ベルト41を挟んで搬送路の反対側、すなわち吸着ベルト41の内側に配置された吸着チャンバ42を有する。本実施形態では、書状Mの取り出し方向に沿って2組の繰り出し機構40を併設した。
繰り出し機構40は、吸着ベルト41に設けた図示しない複数の吸着孔を介して、吸着チャンバ42で発生せしめた負圧を、吸着ベルト41の表面側、すなわち搬送路側に作用させて、吸着ベルト41の表面に書状Mを吸着させ、この吸着ベルト41を矢印T方向に走行させることで、書状Mを矢印T方向に繰り出す。
ところで、支えローラ21で取り出し位置Pから取り出されて送りローラ22で送られた書状Mを搬送路へ確実に送り出すため、支えローラ21が取り出し位置Pの書状Mに接触する位置と送りローラ22が当該書状Mに接触する位置との間の距離、送りローラ22が書状Mに接触する位置と取り出し方向上流側の繰り出し機構40が書状に接触する位置との間の距離、および2つの繰り出し機構40がそれぞれ書状Mに接触する位置間の距離が、この取り出し装置100で処理する書状Mのうち取り出し方向に沿った長さが最も短い書状Mの長さより少なくとも短くなるように、支えローラ21、送りローラ22、および2つの繰り出し機構40が位置決めされている。
押さえローラ31は、アーム32の先端に回動可能に取り付けられている。アーム32は、押さえローラ31を図示左右方向に揺動可能に設けられている。アーム32には、バネ33が取り付けられている。バネ33は、押さえローラ31を図示左方向に付勢する位置および向きに取り付けられている。押さえローラ31は、モータ34によって図示矢印方向(反時計回り方向)に回転トルクを与えられている。
よって、この押さえローラ31は、取り出し位置Pから取り出された書状Mに対し、取り出し位置Pへ戻す方向の力を与える。つまり、押さえローラ31は、上述した送りローラ22と協働して、支えローラ21を通過した書状Mをさしみ状にずらすよう機能する。なお、この押さえローラ31は、取り出し位置Pから取り出された1通目の書状Mと2通目以降の書状を分離するためのものではなく、押さえローラ31を通過した複数通の書状Mがさしみ状にずらされた状態で繰り出し機構40へ送り込まれることを許容する。
このため、繰り出し機構40の吸着ベルト41が書状Mの表面に接触する位置と押さえローラ31が書状Mに接触する位置との間の隙間は、基本的に、比較的薄い複数通の書状M(例えば、この装置100で処理する書状のうち最も薄い書状M)がまとめて通過可能な大きさに設計されている。このため、押さえローラ31を支持したアーム32には、図示しないストッパが当接されて、押さえローラ31の繰り出し機構40側への移動が規制されるようになっており、両者の間に所定の隙間が確保されるようになっている。
反面、この取り出し装置100で処理する書状のうち最も厚い書状が繰り出し機構40と押さえローラ31との間を通過することを想定すると、この最も厚い書状Mに接触した次の書状が連れ出される可能性が高くなるので、繰り出し機構40と押さえローラ31との間の隙間は最も厚い書状Mの厚さよりわずかに大きくすることが望ましい。
また、繰り出し機構40と押さえローラ31との間の隙間へ書状Mを送り込む送りローラ22も、適切な位置に位置決め配置されている。つまり、当該送りローラ22が書状Mに接触する位置が、書状Mの重ね方向に沿って、繰り出し機構40が書状Mに接触する位置と押さえローラ31が書状Mに接触する位置との間になるように、送りローラ22が位置決め配置されている。
このような位置関係で送りローラ22を配置することで、支えローラ21によって取り出し位置Pからまとめて取り出されて送りローラ21と押さえローラ31によってさしみ状にずらされた複数通の書状Mを、繰り出し機構40の吸着ベルト41の表面に向けて確実に安定して送ることができ、書状Mの重送の発生を抑制することができる。
なお、上述した支えローラ21、送りローラ22、押さえローラ31、および繰り出し機構40は、上述した供給機構によって取り出し位置Pへ供給された書状Mをその面方向に取り出す取り出し機構として機能する。なお、繰り出し機構40より下流側の搬送路上には、図示しない分離機構や引き抜き機構が設けられており、繰り出し機構40によって搬送路上に繰り出された書状Mが1枚ずつに分離されて引き抜かれることになる。ここでは、分離機構および引き抜き機構の詳細についての説明を省略する。
取り出し機構は、次のように動作する。
供給機構によって取り出し位置Pへ供給された書状Mは、支えローラ21によって取り出し位置Pから繰り出される。このとき、供給機構による書状Mの供給圧力の殆ど全てを支えローラ21で受けるため、比較的強い力で取り出し位置Pの書状Mが支えローラ21に押し付けられて比較的強い力で矢印T方向に取り出される。このため、支えローラ21は、複数通の書状Mをまとめて取り出すことができる。
取り出し位置Pから取り出された書状Mの取り出し方向後端が支えローラ21を抜けた後、送りローラ22が、押さえローラ31と協働して複数通の書状Mをさしみ状にずらす。このとき、支えローラ21を抜ける前の書状Mは、支えローラ21によってしっかりと支えられているため、後端が支えローラ21を抜けた書状Mは、後続の書状Mとの間の接触圧が小さくなり、僅かな力でさしみ状にずらすことができるようになる。
一方、押さえローラ31が、送りローラ22より取り出し方向下流側で、且つ繰り出し機構40との間に隙間を確保した状態で配置されているため、送りローラ22と押さえローラ31との間で書状Mを強く挟んでしまうこともなく、書状Mをさしみ状にずらし易い。
このようにして、送りローラ22と押さえローラ31が協働して書状Mをさしみ状にずらした後、2つの繰り出し機構40によって、書状Mが搬送路上へ繰り出される。この後、搬送路を介して搬送される書状Mが重なった状態で搬送される場合もあるが、搬送路上には図示しない分離機構や引き抜き機構があるため、ここで1枚ずつに分離される。
図3に示すように、上述した取り出し装置100の動作を制御する制御系は、複数(本実施形態では4つ)のセンサS1〜S4による検出結果に基づいて、取り出し装置100の上述した各機構を動作制御するコントローラ110(制御部)を有する。
4つのセンサS1〜S4は、それぞれ、書状Mの移動経路を挟む両側に発光部および受光部を有する。コントローラ110は、各センサS1〜S4の発光部から発光されて受光部で受光される光の光軸を書状Mが遮ったことを検出して、各センサS1〜S4を配置した場所における書状Mの有無を判断する。図1および図2では、各センサS1〜S4の配置位置を、その光軸が通過する点として図示してある。
つまり、センサS1は、図2に示すように、第1フロアベルト3a、3b、3cと第2フロアベルト4a、4bが部分的に重なった乗り継ぎ部の近くでその光軸が投入部2を通過する位置に配置されている。また、センサS2は、第2フロアベルト4a、4bと第3フロアベルト5a、5b、5cが部分的に重なった乗り継ぎ部の近くでその光軸が投入部2を通過する位置に配置されている。これら2つのセンサS1、S2は、投入部2を介して装置に投入された書状M間の隙間を検出する検出部として機能する。
また、センサS3およびセンサS4は、図1に示すように、取り出し位置Pより書状Mの取り出し方向下流側の搬送路をその光軸が通過する位置に配置されている。より具体的には、これら2つのセンサS3、S4は、押さえローラ31が繰り出し機構40に対向した位置より書状Mの取り出し方向下流側で、搬送路を横切る方向に互いの光軸が並んで通過する位置関係でそれぞれ位置決め配置されている。
以下、図4および図5のフローチャートを参照して、上記構造の取り出し装置100による書状Mの取り出し動作について説明する。
コントローラ110は、まず、取り出し位置Pの下流側に配置された2つのセンサS3、S4を介して書状Mを検出する(ステップ1)。そして、コントローラ110は、このステップ1の検出結果に基づいて、この位置に複数通の書状Mが存在するか否かを判断する(ステップ2)。
ステップ2でコントローラ110が複数通の書状Mが存在することを判断した場合(ステップ2;YES)、コントローラ110は、押さえローラ31を超えた書状Mが複数通あることを判断し、モータ26の回転速度を制御して送りローラ22の回転速度を減速させるとともに(ステップ3)、モータ25の回転速度を制御して支えローラ21の回転速度を減速させる(ステップ4)。
これにより、繰り出し機構40へ多過ぎる書状Mが一斉に送り込まれることを防止でき、繰り出し機構40を介して複数通の書状Mが重なったまま繰り出されてしまう重送の発生を抑制することができる。より詳細には、押さえローラ31を超えた書状Mが複数通ある場合、図1に示すように、2通目以降の書状Mを支えローラ21や送りローラ22で送っている可能性が高い。よって、この状況において、2つのローラを減速させることで、2通目以降の書状Mを送る速度を小さくでき、書状Mの重送を抑制できる。
一方、ステップ2でセンサS3、S4の位置に複数通の書状Mが存在しないことを判断した場合(ステップ2;NO)、コントローラ110は、バックアッププレート10の位置を判断する(ステップ5)。この際、コントローラ110は、例えば、バックアッププレート10を駆動するモータ12の図示しないエンコーダの出力を検出してバックアッププレート10の位置を判断する。
このとき、バックアッププレート10が動作開始位置であるホーム位置にあることを判断すると(ステップ5;NO)、コントローラ110は、全てのフロアベルト3、4、5を停止するためモータ7、8、9を停止し(ステップ6)、図示しない取り出しスイッチをオフにして(ステップ7、ステップ8;YES)、処理を終了する。
一方、ステップ5でバックアッププレート10が作動位置にあることを判断すると(ステップ5;YES)、コントローラ110は、書状Mの供給動作中であることを判断し、投入部2に配置した2つのセンサS1、S2を介して取り出し位置Pの近くまで供給された書状Mの有無を検出する(ステップ9)。
このとき、センサS1、S2の光軸を遮る書状Mが無いことを判断すると(ステップ10;NO)、コントローラ110は、第1フロアベルト3a、3b、3c、および第2フロアベルト4a、4bの走行速度を増し、書状Mの供給速度を速める(ステップ11)。これにより、取り出し位置Pへ書状Mを素早く供給することができ、書状Mの取り出し間隔が空いてしまう不具合を防止することができる。
また、ステップ10でセンサS1、S2を介して書状Mの存在を検出した場合(ステップ10;YES)、コントローラ110は、送りローラ22の回転速度を増すようにモータ26を駆動制御し(ステップ12)、支えローラ21の回転速度を増すようにモータ25を駆動制御する(ステップ13)。
上述したステップ3、4、或いはステップ12、13のように2つのローラ21、22の回転速度を上げた後、コントローラ110は、投入部2に配置したセンサS1、S2を介して書状Mを検出し(図5のステップ14)、この検出結果に基づいて取り出し位置Pへ供給される書状Mの厚さを推定する(ステップ15)。また、コントローラ110は、このとき、ステップ15で推定した書状Mの厚さを図示しないメモリに保存する(ステップ16)。
ステップ15で推定する書状Mの厚さは、例えば、そのときの書状Mの供給速度とセンサS1、S2が当該書状Mを検出している時間から算出できる。また、このとき、同時に、書状Mの供給速度とセンサS1、S2の検出時間から書状M間の隙間を検出することもできる。
ステップ15で推定してステップ16で保存した当該書状Mの厚さが予め設定したしきい値を超えていることを判断した場合(ステップ17;YES)、コントローラ110は、メモリに保存されている1つ前のデータ、すなわち先に供給されている書状Mの厚さが上記しきい値を超えているか否かを判断し(ステップ18)、1つ前の書状Mの厚さもしきい値を超えている場合(ステップ18;YES)、支えローラ21および送りローラ22の回転トルクを大きくする(ステップ19)。
これにより、しきい値を超えて厚い書状Mが連続して取り出し位置Pへ供給される場合に、支えローラ21による搬送力および送りローラ22による搬送力を大きくすることができ、厚くて重い書状Mの取り出しを確実にできる。
一方、上述した1つ前の書状Mがしきい値以下の厚さである場合(ステップ18;NO)、コントローラ110は、少なくとも厚い書状Mが連続して取り出し位置Pへ供給されていないことを判断し、センサS1、S2を介して検出した書状M間の隙間に関する情報から、先に供給されている書状Mの粗密状態を判断する(ステップ20)。
このとき、投入部2を介して投入されている書状Mの下端辺に供給方向に延びたスリット光を当てて書状Mの粗密状態を検出しても良いが、本実施形態では、上述した2つのセンサS1、S2の出力信号から書状Mの粗密状態を検出している。例えば、隙間を検出する時間間隔が長い場合、書状Mが密状態で供給されていることを検出できる。
ステップ20の判断の結果、先に供給されている書状Mが密であることを判断した場合(ステップ20;YES)、コントローラ110は、支えローラ21および送りローラ22の回転トルクを小さくし(ステップ21)、送りローラ22の回転速度を減速するとともに(ステップ22)、支えローラ21の回転速度を減速する(ステップ23)。
これにより、比較的薄い書状Mを取り出し位置Pから一斉に取り出すことを抑制でき、繰り出し機構40と押さえローラ31との間で書状Mが詰まって繰り出し不良を生じる不具合を防止することができる。
一方、ステップ20で先に供給されている書状Mが粗であることを判断した場合(ステップ20;NO)、コントローラ110は、送りローラ22の回転速度を高めるとともに(ステップ24)、支えローラ21の回転速度を高める(ステップ25)ように、モータ25、26を駆動制御する。これにより、取り出し位置Pへ供給する書状Mの量が少なくなって取り出し間隔が空いてしまう不具合を防止することができる。
以上のように、本実施形態によると、支えローラ21が書状の重量を支えて、送りローラ22が押さえローラ31と協働して書状Mをさしみ状にずらすよう、2つのローラの役割を分担させるようにしたため、比較的厚くて大きい重い書状Mを取り出す場合であっても、重送を生じることなく安定して取り出しできる。このため、本実施形態によると、処理対象となる書状Mの厚さ、大きさ、重さの許容範囲を広げることができ、混在させて投入する書状Mの種類を多くすることができる。
図6は、上述した実施形態の取り出し装置100の供給機構の動作を説明するためのフローチャートである。ここで説明する供給機構の動作は、上述した図4、図5のフローチャートに基づく動作と並行して実行してもよく、図4、図5のフローチャートに基づく動作とは別に実行しても良い。
コントローラ110は、まず、第1フロアベルト3a、3b、3cと異なる速度で第2フロアベルト4a、4bを走行させ(ステップ31)、第3フロアベルト5a、5b、5cを第2フロアベルト4a、4bと異なる速度で走行させる(ステップ32)。すなわち、第2フロアベルト4を第1フロアベルト3と異なる速度で走行させることにより、書状Mの姿勢を崩して書状間に隙間を形成し、第3フロアベルト5を第2フロアベルト4と異なる速度で走行させることにより、書状Mの姿勢を元に戻す。
第2フロアベルト4a、4bを第1フロアベルト3a、3b、3cと異なる速度、すなわち第1フロアベルト3a、3b、3cより速い速度で走行させることにより、理論的には、第1フロアベルト3から受け渡されて第2フロアベルト4で供給される書状Mの下端辺の間に速度差に応じた隙間が形成される。このように、書状間に一旦隙間を形成することで、重なった書状Mをさばくことができ、重送を抑制する効果が期待できる。
例えば、取り出し位置Pの近くまで供給されている書状Mが比較的薄くて軽い書状Mである場合には、書状Mの下端辺同士の間に隙間が良好に形成される。反面、取り出し位置P近くまで供給されている書状Mが比較的厚くて重い書状Mである場合には、書状Mの下端辺同士の間に隙間が形成されにくい。つまり、重い書状Mには比較的大きな慣性力が働くため、フロアベルト3、4の速度を変えても書状Mの移動速度を変化させることは難しい。
このような書状Mの重さの違いに起因した挙動(隙間のでき具合)の違いを利用して、コントローラ110は、センサS1、S2の出力に基づいて、書状間に隙間ができたか否かを判断し(ステップ33)、この判断に基づいて、フロアベルト3、4、5を駆動制御するようにした。なお、このとき、コントローラ110は、フロアベルト3、4、5の制御に合わせてバックアッププレート10も駆動制御する。
つまり、ステップ33で書状間に隙間が良好に形成されたことを判断した場合(ステップ33;YES)コントローラ110は、比較的薄くて軽い書状Mが取り出し位置Pに向けて供給されていることを判断し、書状Mの供給速度を遅くするように、第1乃至第3フロアベルト3、4、5を駆動制御する(ステップ34)。これにより、薄くて軽い書状Mが取り出し位置Pへ一斉に供給される不具合を防止でき、書状Mが詰まって取り出し不良を生じることを防止できる。
一方、コントローラ110は、ステップ33で書状間に隙間があまりできなかったことを判断した場合(ステップ33;NO)、比較的厚くて重い書状Mが取り出し位置Pに向けて供給されていることを判断し、書状Mの供給速度を上げるように、第1乃至第3フロアベルト3、4、5を駆動制御する(ステップ35)。これにより、比較的厚くて重い書状Mの供給不良を防止でき、取り出し不良を防止できる。
コントローラ110は、投入部2を介して投入された書状Mが無くなるまで(ステップ36;NO)、ステップ31〜ステップ35の処理を繰り返し、フロアベルト3、4、5を駆動制御する。
以上のように供給機構を動作制御することにより、書状Mの厚さや重さに応じた適切な供給動作が可能となり、供給不良を防止でき、取り出し不良を防止でき、重送を抑制できる。特に、図4、図5のフローチャートを参照して説明した動作と合わせて図6のフローチャートで説明した供給動作を実行することで、書状Mの取り出し動作も最適化することができ、重送の無いより安定した取り出しが可能となる。
図7は、第2の実施形態に係る紙葉類取り出し装置200を上方から見た平面図である。この取り出し装置200は、支えローラ21の代りに支えベルト221を備え、送りローラ22の代りに送りベルト222を備え、押さえローラ31の代りに押さえベルト231を備えている。それ以外の構造は、上述した第1の実施形態の取り出し装置100と略同じ構造を有する。よって、ここでは、第1の実施形態の取り出し装置100と同様に機能する構成要素には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
支えベルト221は、モータ25によって図示矢印方向に回転される。また、支えベルト221は、アーム23aの両端にそれぞれ回動可能に取り付けられたプーリに巻回されて張設されており、支持軸27を中心にしてアーム23aを揺動することで取り出し位置Pの書状Mに対して離接される。支えベルト221が取り出し位置Pへ供給された書状Mに接触する位置と支持軸27の位置関係は、上述した第1の実施形態における支えローラ21と支持軸27との間の位置関係と同じである。このため、取り出し位置Pの書状Mから支えベルト221に対して反力が作用すると、支えベルト221が当該書状Mを押し込む方向に付勢される。
送りベルト222は、モータ26によって図示矢印方向に回転される。また、送りベルト222は、アーム24aの両端にそれぞれ回動可能に取り付けられたプーリに巻回されて張設されており、支持軸30を中心にしてアーム24aを揺動することで取り出し位置Pの書状Mに対して離接される。送りベルト222が取り出し位置Pへ供給された書状Mに接触する位置と支持軸30の位置関係は、上述した第1の実施形態における送りローラ22と支持軸30との間の位置関係と同じである。このため、取り出し位置Pの書状Mから送りベルト222に対して反力が作用すると、送りベルト222が当該書状Mから離れる方向に付勢される。
押さえベルト231は、モータ34によって図示矢印方向に回転される。押さえベルト231が書状Mの取り出し方向先端に当接する位置は、上述した第1の実施形態の押さえローラ31が書状Mの先端に接触する位置と同じである。
以上のように、取り出し位置Pに供給された書状Mを支える第1回転体はローラに限らずベルトであっても良く、書状Mをさしみ状にずらす第2回転体もローラに限らずベルトであっても良い。また、第2回転体と協働して書状Mをずらすための当接部材もローラに限らずベルトであっても良い。いずれにしても、本実施形態の取り出し装置200も、上述した第1の実施形態の取り出し装置100と同様に機能し、同様の効果を奏することができる。
図8は、第3の実施形態に係る取り出し装置300の平面図であり、図9は、第4の実施形態に係る取り出し装置400の平面図である。取り出し装置300は、押さえローラ31の代りに当接部材331を備えており、それ以外の構造は、第1の実施形態の取り出し装置100と同じ構造を有する。また、取り出し装置400は、押さえベルト231の代りに当接部材431を備えており、それ以外の構造は、第2の実施形態の取り出し装置200と同じ構造を有する。よって、ここでも、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
当接部材331(431)は、押さえローラ31(押さえベルト231)と同じ位置に配置され、同様に機能する。当接部材は回転しないパッドであるが、送りローラ22(送りベルト222)と協働して書状Mをさしみ状にずらす機能を担うため、必ずしも回転する必要は無い。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の紙葉類取り出し装置によれば、取り出し位置Pへ供給された書状Mを支える第1回転体、およびこの第1回転体の取り出し方向下流側で書状Mをさしみ状にずらす第2回転体を有することにより、比較的厚くて大きい重い紙葉類を重送を生じることなく安定して取り出しできる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。