JP2015230787A - 絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置 - Google Patents

絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015230787A
JP2015230787A JP2014115621A JP2014115621A JP2015230787A JP 2015230787 A JP2015230787 A JP 2015230787A JP 2014115621 A JP2014115621 A JP 2014115621A JP 2014115621 A JP2014115621 A JP 2014115621A JP 2015230787 A JP2015230787 A JP 2015230787A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulating
insulating rod
preventing layer
deterioration preventing
insulating member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014115621A
Other languages
English (en)
Inventor
木村 俊則
Toshinori Kimura
俊則 木村
知孝 矢野
Tomotaka Yano
知孝 矢野
圭二 後藤
Keiji Goto
圭二 後藤
稲葉 繁
Shigeru Inaba
繁 稲葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2014115621A priority Critical patent/JP2015230787A/ja
Publication of JP2015230787A publication Critical patent/JP2015230787A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Trip Switchboards (AREA)
  • Patch Boards (AREA)
  • High-Tension Arc-Extinguishing Switches Without Spraying Means (AREA)

Abstract

【課題】ポリエステルプリミックス成形体を主体とする絶縁部材において、ポリエステルプリミックス成形体で構成された絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることを目的とする。【解決手段】円柱状の絶縁部材と、この絶縁部材の一方の端部に一部が埋設された第1の導電部材と、前記絶縁部材の他方の端部に一部が埋設された第2の導電部材とを備えた絶縁ロッド10であって、前記絶縁部材は、外周部から径方向に突出された複数の突出部28と、前記複数の突出部28の両側の前記外周部の表面に、前記絶縁部材の母材の表面抵抗の経時的な低下率よりも表面抵抗の経時的な低下率が小さい材料で構成された劣化防止層26とを備えたものである。【選択図】図5

Description

この発明は、高電圧機器で用いられる絶縁部材およびそれを用いた開閉装置に関するものである。
高電圧機器用の絶縁構造部品として炭酸カルシウム粉末を配合したポリエステルプリミックス成形部品が広く使用されている。このポリエステルプリミックス成形部品は、低価格であること、成形が容易であることなどの特徴があり、開閉装置の真空バルブの接点に可動スタッドを介して接続される絶縁ロッドや開閉装置の外箱として用いられる絶縁フレームの材料として一般的に用いられている。しかし、ポリエステルプリミックス成形部品は、大気中に塩素ガスや窒素酸化物などの酸性ガスが高い濃度で含まれる環境下で使用されると、ポリエステルプリミックス成形部品に含まれる炭酸カルシウムが塩素ガスや窒素酸化物と反応して、塩化カルシウムや硝酸カルシウムが生成される。これらの物質は潮解性が強く、大気中の水分を吸って成形部品の表層に潮解層が形成される。この潮解層が形成されることにより、ポリエステルプリミックス成形部品は、沿面の絶縁性能が低下するという問題がある。
上述のような潮解層が形成されることによる沿面の絶縁性能が低下を改善する方法として、従来はポリエステルプリミックス成形部品の一部の表面に沿面抵抗低下防止層として酸性ガスに対する耐性を有する合成樹脂フィルムを被着する方法が開示されている。合成樹脂フィルムとしては、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂などを基材とする粘着テープや熱収縮チューブが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−123610号(2頁、5カラム第18行〜6カラム第7行)
電力用の開閉装置は、大気中の塩素ガス窒素酸化物などに曝されるだけでなく、塩分や水分あるいは粉塵に曝される。さらに高温高湿な環境や結露が生じる環境にも曝される。このような環境下において、ポリエステルプリミックス成形体を主体とし、その一部の表面に沿面抵抗低下防止層を形成した従来の絶縁部材の構成では、次のような問題があることがわかった。
開閉装置の絶縁ロッドの両端の間には、例えば7kVや12kVの定格電圧が常時印加されている。低下防止層が形成されていない絶縁ロッドの表面(以下、主表面と記す)や沿面抵抗低下防止層の表面に塩分や水分が付着すると、主表面の表面抵抗および沿面抵抗低下防止層の表面抵抗が低下し、これらの表面に漏れ電流が流れるようになる。この漏れ電流によるジュール熱により表面の水分が蒸発する。このとき水分が蒸発した部位の表面抵抗が上昇するために、その部位に電圧が集中印加され電位分布に偏りが生じる。この電位分布の偏りによって放電が発生すると、その放電の熱によりさらに水分が蒸発した部位の乾燥が進む。このようにして絶縁ロッドの表面に他の部位よりも乾燥が進んだ部位(以下、ドライバンドと記す)が形成される。
このドライバンドが主表面(ポリエステルプリミックス成形体表面)に形成された場合、ドライバンドに電圧が集中印加され放電が継続的に発生する場合がある。そうすると放電の熱によって絶縁材料の劣化が促進され、主表面に絶縁材料が炭化してできた炭化路が形成される場合がある。このような現象により炭化路の発生が促進され電界集中がさらに大きくなると、絶縁材料の主表面の全路破壊に至る恐れがある。
また、開閉装置の絶縁フレームにも、真空バルブの接点と電気的に接続された取り出し端子と接地電位との間に絶縁ロッドと同様に、例えば7kVや12kVの定格電圧が印加されている。そのため、上述の絶縁ロッドと同様に、ドライバンドが形成され、放電の熱によって絶縁材料の劣化が促進され、主表面に絶縁材料が炭化してできた炭化路が形成される場合がある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ポリエステルプリミックス成形体を主体とする絶縁部材において、ポリエステルプリミックス成形体で構成された絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることを目的とする。
この発明に係る絶縁ロッドは、
円柱状の絶縁部材と、
この絶縁部材の一方の端部に一部が埋設された第1の導電部材と、
前記絶縁部材の他方の端部に一部が埋設された第2の導電部材と
を備えた絶縁ロッドであって、
前記絶縁部材は、
外周部から径方向に突出された複数の突出部と、
前記複数の突出部の両側の前記外周部の表面に、前記絶縁部材の母材の表面抵抗の経時的な低下率よりも表面抵抗の経時的な低下率が小さい材料で構成された劣化防止層と
を備えたものである。
また、この発明に係る絶縁フレームは、
開閉装置の遮断部の外枠を構成し、絶縁部材を母材とする絶縁フレームであって、
高電圧が印加される端子支持部の接続位置から接地電位となる支持台との間の内表面に、
複数の帯状の突出部と、
前記複数の突出部の間に、前記絶縁部材の母材の表面抵抗の経時的な低下率よりも表面抵抗の経時的な低下率が小さい材料で構成された劣化防止層と
を備え、
前記帯状の突出部の長手方向の断面形状は弓型形状であり、かつ前記帯状突出部の長手方向の長さは、前記端子支持部の接続位置から前記支持台に向かって徐々に長くなるように構成されたものである。
この発明は、絶縁ロッドの軸方向の表面に離散して配置された劣化防止層とその劣化防止層の間の絶縁部材の外周部から径方向に突出された複数のヒダ部とを備えているので、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることができる。
また、この発明は、絶縁フレームの高電圧が印加される端子支持部の接続位置から接地電位となる支持台との間の内表面に、複数の帯状の突出部と、前記複数の突出部の間に、前記絶縁部材の母材よりも表面抵抗の低下率が小さい材料で構成された劣化防止層とを備えており、前記帯状の突出部の長手方向の断面形状は弓型形状であり、かつ前記帯状突出部の長手方向の長さは、前記端子支持部の接続位置から前記支持台に向かって徐々に長くなるように構成しているので、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁フレームの長期信頼性を高めることができる。
この発明の実施の形態1による開閉装置の模式図である。 この発明の実施の形態1による開閉装置の断面図である。 この発明の実施の形態1による開閉装置の断面図である。 この発明の実施の形態1による開閉装置の正面図である。 この発明の実施の形態1による絶縁ロッドの断面模式図である。 この発明の実施の形態1による絶縁ロッドの説明図である。 この発明の実施の形態1による絶縁ロッドの特性図である。 この発明の実施の形態1による絶縁ロッドの断面模式図である。 この発明の実施の形態2による絶縁ロッドの説明図である。 この発明の実施の形態2による絶縁ロッドの特性図である。 この発明の実施の形態3による絶縁ロッドの断面模式図である。 この発明の実施の形態4による絶縁ロッドの断面模式図である。 この発明の実施の形態5による絶縁フレームの断面模式図である。 この発明の実施の形態6による開閉装置の模式図である。 この発明の実施の形態6による開閉装置の正面図である。 この発明の実施の形態6による補強枠の断面図である。 この発明の実施の形態6による補強枠の断面図である。 この発明の実施の形態6による突出部の模式図である。 この発明の実施の形態7による絶縁ロッドの模式図である。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1に係る開閉装置の模式図である。開閉器1は、遮断部2と開閉機構部3とで構成されている。開閉機構部3の駆動力発生部3aの駆動力は、ピン4を介して駆動レバー5に伝達される。駆動レバー5は、支持台7に固定された水平軸6を中心として回転可能である。駆動レバー5の端部には連結部材8が取り付けられており、駆動レバー5の回転により連結部材8は上下方向に駆動される。この連結部材8の上下方向の駆動によって、連結部材8の上部に取り付けられた操作ロッド9を介して絶縁ロッド10が上下方向に駆動される。絶縁ロッド10の上部には接続部材11を介して真空バルブ20の可動スタッド21が取り付けられている。真空バルブ20の可動スタッド21の先端部には可動接点22が取り付けられている。真空バルブ20の固定スタッド23の先端部には固定接点24が取り付けられており、この固定接点24と可動接点22とが接触および離間することで遮断部2において電流の投入および遮断が行われる。
真空バルブ20の固定スタッド23は、引出端子13aを挟んで真空バルブ固定部14に固定されている。また、真空バルブ20の可動スタッド21には、フレッキシブル導体15の一端が接続されている。フレッキシブル導体15の他端は、端子支持部16に固定されている。フレッキシブル導体15は、端子支持部16で引出端子13bと電気的に接続されている。引出端子13aおよび引出端子13bは、それぞれ端子入出力部17a、17bで絶縁フレーム18に固定されている。引出端子13aおよび引出端子13bは、絶縁フレーム18によって支持台7とは電気的に絶縁されている。
図2および図3は、本実施の形態における開閉装置1の遮断部2を上方から見下ろした断面図である。図2は、真空バルブ固定部14の部分の断面図であり、図3は端子支持部16の部分の断面図である。図2に示すように、真空バルブ固定部14は絶縁フレーム18に横通しで設けられている。また、図3に示すように、端子支持部16は、V字状で両端が絶縁フレーム18に固定されている。
図4は、本実施の形態における開閉装置1を端子入出力部17a、17b側から見た正面図である。本実施の形態では、開閉装置1がA相、B相およびC相に対応して3台並んでいる。本実施の形態では、各層の開閉装置1は独立で、遮断部2の絶縁フレーム18は箱状で各層独立している。なお、別の構成として、3相の絶縁フレーム18が一体となっており、相間に絶縁板が配備されて相間絶縁を確保するタイプの絶縁フレームであってもよい。
支持台7、開閉機構部3、駆動レバー5、連結部材8および操作ロッド9は電気的に接地されている。系統電流の流れる経路は、引出端子13a、固定スタッド23、固定接点24、可動接点22、可動スタッド21、フレッキシブル導体15および引出端子13bの経路である。電流投入状態では固定接点24と可動接点22とが接触しており、上記の経路で電流が流れる。電流遮断時には、開閉機構部3の駆動力が駆動レバー5などを介して伝わり、可動接点22が、例えば1m/sという高速度で下に動くことで固定接点24と可動接点22とが離間される。このように、電流遮断時には可動接点22は高速度で動くため、絶縁ロッド10には衝撃に耐え得る強度が求められる。
また、可動スタッド21に接続された接続部材11には系統電圧が印加される。操作ロッド9は接地電位であるため、一方の端部に接続部材11が接続され、他方の端部に操作ロッド9が接続された絶縁ロッド10には、高い絶縁性能を長期にわたって維持することが求められる。
さらに、絶縁フレーム18にも高い絶縁性能を長期にわたって維持すること、および機械的強度が求められる。真空バルブ20が電流投入状態であると、絶縁フレーム18の引出端子13aと支持台7との間には系統電圧が印加されるため、これに耐え得る絶縁性能が必要である。また、真空バルブ20の固定接点24と可動接点22とが開いたときは、絶縁フレーム18の引出端子13aと引出端子13bとの間に系統電圧が印加されるので、絶縁フレーム18にはこれに耐え得る絶縁性能が必要である。さらに、絶縁フレーム18は真空バルブの固定接点24と可動接点22との開閉衝撃に耐え得る機械的強度必要がある。
このような絶縁ロッドや絶縁フレームの主材料として、良好な機械的特性、良好な成形性および高い絶縁性能をもち、低価格で入手しやすい不飽和ポリエステル樹脂が一般的に用いられている。ここで不飽和ポリエステル樹脂とは、主成分である不飽和ポリエステルに、充填材として炭酸カルシウムや水和アルミナが添加されており、さらにエポキシ、フェノール、ガラスファイバーを加えた材料でBMC(Bulk Molding Compound)とも呼ばれる材料のことを指す。上記の利点に加えて、この材料は寸法精度に優れ、複雑な形状でも一体成形できるため、部品数、組立工数の削減ができるという特徴がある。
図5は、本実施の形態における絶縁ロッド10の断面模式図である。絶縁ロッド10は円柱状の絶縁部材で構成されており、図5に示したC軸を中心とする軸対称の形状である。絶縁ロッド10の上部端面25aには第1の導電部材として接続部材11が埋め込まれている。下部端面25bには第2の導電部材として操作ロッド9が埋め込まれている。絶縁ロッド10の沿面には円筒形状の劣化防止層26がほぼ等間隔で4箇所に設けられている。劣化防止層26は厚さが1mm〜3mm程度のシート状の部材である。各劣化防止層26の間の沿面は絶縁ロッドの素材表面27となっており、さらに、この各劣化防止層26の間の沿面にはC軸方向に連続した突出部28が設けられる。図5では断面が略三角形である突出部の例を示している。
絶縁ロッド素材は上述の不飽和ポリエステル樹脂である。劣化防止層26はエポキシ樹脂で構成されている。このエポキシ樹脂は、充填材としてシリカ、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸リチウム、鉄粉、マイカなどが含まれるが、不飽和ポリエステル樹脂に添加されている炭酸カルシウムや水和アルミナは含まない。絶縁ロッドに用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、充填材として炭酸カルシウムや水和アルミナを含むのが一般的である。後述の劣化による潮解性物質の生成のことを考えると、不飽和ポリエステル樹脂の充填材を別の材料に変更することも考えられるが、そうすると、上記の特徴(良好な機械的特性、良好な成形性および高い絶縁性能など)が失われてしまう。そこで、本実施の形態では、絶縁ロッド素材は不飽和ポリエステル樹脂とし、劣化防止層26を別に設けている。劣化防止層26は、絶縁ロッドの素材である不飽和ポリエステル樹脂にインサート成形や接着を用いて取り付けることができる。
なお、劣化防止層26の材料としては、上述のエポキシ樹脂以外に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、あるいは、無機材料のマイカ複合絶縁体、石英ガラス、硼珪酸ガラス、セラミックなどを用いることもできる。
このように構成された絶縁ロッドにおける劣化防止層の効果について説明する。絶縁ロッドの素材である不飽和ポリエステル樹脂には、充填材として炭酸カルシウムや水和アルミナが添加されているが、開閉装置の部品として長期にわたって使用されると、大気中に含まれる窒素酸化物などの酸性ガスとの反応で、表面に潮解性の硝酸塩が生成して蓄積される。この硝酸塩によって沿面の表面抵抗率が経徐々に(経時的に)低下していく。炭酸カルシウムから生じた潮解性物質の場合は湿度50%、水和アルミナから生じた潮解性物質の場合は湿度65%以上で潮解するため、周囲の空気がこれらの湿度を超えると表面抵抗は大きく低下する。しかも、劣化が進んで硝酸塩の生成量が増えるほど潮解状態での表面抵抗は低くなる。このため、絶縁ロッドの不飽和ポリエステル樹脂が露出している表面は長期的に耐電圧性能が低下する
一方、劣化防止層を構成する材料は、潮解性の材料を含んでいないため沿面の表面抵抗率の経時的な低下は起こらない。そのため、耐電圧性能の経時的な低下も起こらない。このように、劣化防止層は、絶縁部材の母材の表面抵抗の経時的な低下率よりも表面抵抗の経時的な低下率が小さい材料で構成されている。この結果、絶縁ロッドは、初期に比べて耐電圧性能の低下した不飽和ポリエステル樹脂の沿面を、劣化防止層が補うことで所定の耐電圧性能を維持することができる。
絶縁ロッドの素材である不飽和ポリエステル樹脂は成形性が良く扱いやすい材料であるが、これに比べると劣化防止層の素材であるエポキシ樹脂は成形性の点で不飽和ポリエステル樹脂に劣る。したがって、絶縁ロッドを全てエポキシ樹脂に変更することは、製造工程の大幅な変更や、場合によっては絶縁ロッド形状の変更が必要となり、様々な困難が伴う。そこで、本実施の形態では不飽和ポリエステル樹脂の耐電圧低下を補う材料としてエポキシ樹脂を用いた劣化防止層を部分的に形成することにより、長期的な寿命を確保したものである。
次に、劣化防止層を絶縁ロッドの沿面を概略均等に分割するように複数に分けて配備する効果について説明する。図6は、従来構造1(比較例1)、従来構造2(比較例2)および本実施の形態(実施例1)の絶縁ロッドの構造と等電位線図並びにドライバンドの発生位置とを示した説明図である。
図6の上段には、絶縁ロッドの断面図を示している。比較例1の絶縁ロッドは、円柱状の不飽和ポリエステル樹脂の上下の端部の表面に円筒形状の劣化防止層26を形成した構成である。比較例2の絶縁ロッドは、不飽和ポリエステル樹脂の上下の端部の表面に劣化防止層26を形成し、劣化防止層の間の沿面には断面が三角形の突出部28が設けられた構成である。実施例1の絶縁ロッドは、図5に示した絶縁ロッドの構成である。
各々の構造で電界解析を行った結果の等電位線図を図6の中段に示す。電界解析において、劣化防止層26は高い表面抵抗を維持した状態を想定し、表面に導電性をもたない比誘電率5の誘電体とした。また、絶縁ロッドの素材表面27は潮解が生じて表面抵抗が低下し導電性となった状態を想定し、絶縁ロッドの素材表面27に導電層が形成されたものとした。劣化防止層26の幅は、比較例1と比較例2で同じである。また、実施例1の4つの劣化防止層26の各々の幅は、比較例1または比較例2の上下端部の劣化防止層の幅を合せた値の4分の1とした。
電界解析の結果、等電位線は劣化防止層26に集中し、劣化防止層の端部に高電界部位が生じることが分かった。図7は、比較例1、比較例2および実施例1における劣化防止層での電界強度の最大値を示した特性図である。図7において、縦軸は比較例1における劣化防止層での電界強度を1とした相対値である。本実施の形態においては、比較例2の劣化防止層での電界強度は1.05、実施例1の劣化防止層での電界強度は0.54となった。このように、比較例1と比較例2とではほぼ同じ電界強度となっており、突出部28の有無は劣化防止層26の電界に影響しない。一方、実施例1では約1/2の電界強度に緩和されており、劣化防止層26を複数に分割してほぼ均等に配置すると、劣化防止層26の電界強度を緩和する効果がある。
なお、後述するように水分の吸着や塩分の付着により劣化防止層の表面に導電性が生じても、劣化防止層の表面抵抗率は絶縁ロッド素材表面の表面抵抗率の十倍程度以上を維持し、等電位線は図6に示したように劣化防止層に集中するため、図7に示したように実施例1の方が比較例1や比較例2より劣化防止層26の電界強度を緩和する効果が現われる。
次に、図6の下段に示すドライバンドの発生位置を用いて、比較例1、比較例2および実施例1におけるドライバンドの発生について説明する。比較例1では以下の問題があることを見出した。比較例1の絶縁ロッドにおいては、周囲の空気の湿度が上昇して、絶縁ロッドの素材表面27で潮解が生じて表面抵抗率が低下すると、等電位線図に示すように劣化防止層26に電界が集中し沿面電界が高くなる。このため、劣化防止層26自体は表面抵抗が下がっていなくても、表面に吸着した微量の水分や塩分の影響で漏れ電流が流れる。すると、絶縁ロッド素材表面27を流れる漏れ電流のジュール熱で表面の水分が蒸発し、表面抵抗の大きい部位が生じる。抵抗分圧により抵抗の大きい部位に電界が集中するため、そこで微小な放電が発生し、放電のエネルギーで蒸発が促進し、絶縁ロッドの素材表面27に乾燥帯(ドライバンド29)が形成される。ドライバンド29の両端は電位の異なる薄い導体が対向した形状であるため高電界となり、放電30が引き続き発生する。その結果絶縁材料の劣化が促進され、さらには炭化路が形成される。炭化路の形成が進展すると沿面長が短くなったことと同じ作用があり、閃絡電圧が低下していく。そのまま使用し続けると最終的には絶縁ロッドの全路破壊に至る場合がある。
なお、図6の比較例1の下段に図示されているように、比較例1の絶縁ロッドは直径が一定であるので劣化防止層26でもドライバンド29が形成する可能性がある。しかし、後述するように、劣化防止層26は耐トラッキング性の高い材料で形成されているので表面抵抗の低下が抑制され耐電圧の低下が抑えられる。
比較例2の絶縁ロッドでは、劣化防止層26の間に突出部28を設けたため、絶縁ロッドの素材表面27部分の直径が大きくなり、漏れ電流の電流密度が低下する。そのため、漏れ電流によるジュール熱が減少し、水分の蒸発が抑制されるためドライバンド29は絶縁ロッドの素材表面27には形成されなくなる。一方、劣化防止層26は直径が小さいため、漏れ電流の電流密度が大きく、ドライバンド29が形成されるが、劣化防止層26は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、マイカ複合絶縁体といった耐トラッキング性能の高い材料で形成されているので、放電による耐電圧性能の低下が抑制される。このため、絶縁ロッドの寿命が長くなる。
ここで、トラッキングとは、絶縁物表面上の沿面方向に電界が存在する所に劣化導電路(トラック)が形成される現象をいう。上記のような、ドライバンドでの放電により炭化路が形成される現象がトラッキングの例である。耐トラッキング性を評価する方法としてIEC法(International Elecrotechnical Commision法)がある。絶縁物表面に600V以下の交流電圧を印加した状態で、塩化アンモニウム水溶液を30秒間隔で40mm以下の高さから滴下し、トラッキング破壊を生じる滴下数を電圧の関数として求める。これから50回の滴下で破壊する電圧を比較トラッキング指数CTI(Comparative Tracking Index)とする。したがって、耐トラッキング性の高い材料はドライバンドが形成されて放電が発生しても炭化路が形成されにくいという特性がある。したがって、劣化防止層26を耐トラッキング性の高い材料で形成すれば、放電が発生しても炭化路の形成が抑制され、耐電圧性能の低下を抑制することができる。
実施例1の絶縁ロッドでは、4つの劣化防止層26の間に突出部28が設けられており、さらに一番上の劣化防止層の上と一番下の劣化防止層の下にも突出部28が設けられている。この場合、突出部28の絶縁ロッドの素材表面27部分の直径が大きくなり、漏れ電流の電流密度が低下する。そのため、漏れ電流によるジュール熱が減少し、水分の蒸発が抑制され、絶縁ロッドの素材表面27にはドライバンドが形成されなくなる。一方、劣化防止層26は直径が小さいため、漏れ電流の電流密度が大きく、ドライバンド29が形成される。そこで、比較例2と同様に耐トラッキング特性の高い材料で劣化防止層を形成すれば放電の発生を抑えることができ、炭化路の形成を抑制することができる。さらに、図7に示したように、実施例1では、劣化防止層26の電界が緩和されているため、さらに放電の発生を抑えることができ、炭化路の形成をさらに抑制することができる。
以上のように、本実施の形態による開閉装置の絶縁ロッドは、炭酸カルシウムや水和アルミナを充填材として含まず、耐トラッキング性能の高い材料で形成した劣化防止層26を絶縁ロッドの沿面を概略均等に分割するように複数に分けて配備したため、劣化防止層26が表面抵抗の高い状態を維持し、さらに分割配置により劣化防止層26の電界が緩和されるため、絶縁ロッドの素材表面の抵抗が下がっても沿面耐圧が維持される。さらに、劣化防止層26の間の沿面に突出部28を設けたため、劣化防止層26表面に吸着した水分や塩分の影響で漏れ電流が流れた場合でも、突出部28の直径は大きいので漏れ電流の電流密度が低下するためジュール熱が減少し、水分の蒸発が抑制されドライバンドが形成されない。このため、ドライバンド形成に伴う放電による絶縁ロッドの素材表面の劣化が抑制される。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることができる。
なお、本実施の形態においては、突出部28を断面が三角形の構造としたが、突出部28は、水平方向の面をもたないことが好ましい。水平方向の面があると、水分や塵などが付着した場合、重力による落下が望めない。突出部28を斜面で構成することにより、付着した水分や塵が落下しやすく、絶縁ロッドの表面を清浄に保つ効果も期待できる。
また、本実施の形態においては、劣化防止層26を厚さ1mm〜3mmのシート状部材で形成しているので、開閉衝撃で劣化防止層にひびや割れが生じることがなく、機械的強度に関する長期信頼性も高い。
図8は、本実施の形態における絶縁ロッドの別の構成を示した断面模式図である。この別の構成は、図5で示した絶縁ロッドの構造において、絶縁ロッド10の上部端面25aおよび下部端面25bにも劣化防止層26を設けたものである。上部端面25aおよび下部端面25bは直径が小さいためドライバンドが発生しやすい位置であり、さらに系統電圧が印加される接続部材11や接地電位である操作ロッド9から電荷が直接供給される位置であるため放電が起こり易い。このような位置に劣化防止層26を設けることにより、さらに放電による絶縁材料の劣化を抑制することができる。
実施の形態2.
図9は、実施の形態2(実施例2)による絶縁ロッドの構造と等電位線図とを示した説明図である。実施の形態1においては、劣化防止層の断面形状は長方形であったが、本実施の形態においては、劣化防止層の端部の形状を工夫したものである。
図9の拡大図に示すように、本実施の形態の絶縁ロッドでは、劣化防止層26の突出部側端部に小突起30が設けられている。ここで、小突起30の断面形状は半円形状とした。劣化防止層、絶縁ロッド素材の材料は、実施の形態1に示したものと同じである。また、電界解析の条件も実施の形態1と同じである。図9の下段に示した等電位線からわかるように、突出部28の部分の電位分布は、実施の形態1の比較例2と同等である。
図10は、実施の形態1の比較例1、比較例2および実施例2における劣化防止層での電界強度の最大値を示した特性図である。図10において、縦軸は比較例1における劣化防止層での電界強度を1とした相対値である。本実施の形態においては、実施例2の劣化防止層での電界強度は0.72となった。このように、劣化防止層26の突出部側端部に小突起30を設けることにより、劣化防止層26の電界が緩和されるため、放電の発生を抑えることができ、炭化路の形成を抑制することができる。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることができる。
なお、本実施の形態においては、突出部28が1箇所の例を示したが、突出部28が2箇所以上ある場合でも同じ効果が得られる。
また、本実施の形態においては、小突起30の断面形状を半円形状としたが、半円形状に限るものではなく、滑らかな断面形状であれば楕円形状などでも同様の効果が得られる。
実施の形態3.
図11は、実施の形態3による絶縁ロッドの突出部の構造を示した断面模式図である。実施の形態1の絶縁ロッドでは、突出部28を断面が三角形の構造としたが、本実施の形態においては、突出部28の断面形状を工夫したものである。
本実施の形態における絶縁ロッドの突出部28の断面形状は、図11(a)に示すように、3つの凸部31で構成されている。あるいは、図11(b)に示すように2つの大きな凸部31と、この2つの大きな凸部の間の谷部に形成された小さな複数の凸部32とで構成されている。
開閉装置において、閉極されて系統電流が流れている状態では、開閉装置の各導体接続部の接触抵抗によって発熱が生じ、周囲の空気の温度が上昇するため、上昇気流が発生する。そのため、図11の矢印で示したように、突出部28の周囲を流れる空気は下方から上方に向かって流れる。本実施の形態のように、突出部28を複数の凸部で構成すると、上方に向かって流れる空気は突出部28の谷部には接触しにくくなる。この結果、空気中に窒素酸化物などの酸性ガスが含まれている場合でも、突出部28の谷部とは接触しにくいので、不飽和ポリエステル樹脂に含まれる炭酸カルシウムが塩素ガスや窒素酸化物と反応して、塩化カルシウムや硝酸カルシウムが生成されることを抑制することができる。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることができる。
実施の形態4.
図12は、実施の形態4による絶縁ロッドの断面模式図である。実施の形態1においては、円柱状の絶縁ロッド10の沿面にほぼ等間隔に劣化防止層を4箇所に設け、各劣化防止層の間の沿面に突出部を設けたが、本実施の形態においては、さらに絶縁ロッドに溝を設けて絶縁ロッドの機械的強度を向上させたものである。
図12(a)は、本実施の形態の絶縁ロッド10の縦断面図であり、図12(b)は、図12(a)に示すA−A線での絶縁ロッド10の横断面図である。図12(a)および(b)に示すように、絶縁ロッド10の上半分の部分には、劣化防止層26が2箇所に形成されており、その劣化防止層20の間の沿面には突出部28が設けられている。さらに、絶縁ロッド10の上部端面25aは傾斜した面となっており、その面にも劣化防止層26が設けられている。絶縁ロッド10の下半分の部分には、外周部から中心に向かって8個の溝35が設けられている。なお、本実施の形態の突出部28は、鉛直方向上側の面の傾斜角度が下側の面の傾斜角度より大きくなるように構成されており、上方から降下してくる水滴や粉塵が落下しやすい構成となっている。
図12(c)は、図12(b)に示したB−B線での絶縁ロッド10の縦断面図である。図12(c)に示すように、絶縁ロッド10の下半分の部分の溝以外の外周部は、上半分の絶縁ロッドよりも太く、突出部28と同じ外径をもつように構成されており、その外周部の沿面に劣化防止層26が等間隔で3箇所形成されている。さらに、絶縁ロッド10の下部端面25bにも劣化防止層26が設けられている。
このように構成された絶縁ロッドにおいては、溝35を設けることにより機械的強度を向上させることができる。また、表面に吸着した微量の水分や塩分の影響で絶縁ロッドの沿面に漏れ電流が流れるが、この漏れ電流は沿面距離が長くなる溝35には流れ込まず、外周部の沿面を流れる。この外周部に等間隔で劣化防止層26が設けられているので、劣化防止層26の電界が緩和されるため、絶縁ロッドの素材表面の抵抗が下がっても沿面耐圧が維持される。さらに、劣化防止層26の間の主表面の外径が大きいので、漏れ電流の電流密度が低下するためジュール熱が減少し、水分の蒸発が抑制されドライバンドが形成されない。このため、ドライバンド形成に伴う放電による絶縁ロッドの素材表面の劣化が抑制される。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁ロッドの長期信頼性を高めることができる。
なお、本実施の形態においては、絶縁ロッド10の下半分の部分の溝以外の部分の外周径を、突出部28と同じ外径となるように構成したが、厳密に同じである必要はなく、漏れ電流の電流密度を低下させてドライバンドの形成を抑制できるような外径であればよい。
実施の形態5.
実施の形態1〜4においては、絶縁ロッドの長期信頼性を高める構成を説明したが、実施の形態5においては、開閉装置の絶縁フレームの長期信頼性を高めたものである。絶縁フレームの主材料も、絶縁ロッドと同様に、良好な機械的特性、良好な成形性および高い絶縁性能をもち、低価格で入手しやすい不飽和ポリエステル樹脂が一般的に用いられている。
図3に示すように、開閉装置の遮断部の端子支持部は、V字状で両端が絶縁フレームに固定されている。本実施の形態は、この端子支持部から下方の絶縁フレームの構成を工夫したものである。
図13は、本実施の形態における絶縁フレーム18の断面模式図である。図13(a)は、図3に示す端子支持部16が絶縁フレーム18に接続された部分の断面図である。また、図13(b)は、図13(a)を絶縁フレーム18の内側から見た図(矢印側から見た図)である。さらに、図13(c)は、図13(b)に示すA−A線での絶縁フレーム18の断面図であり、図13(d)は、図13(b)に示すB−B線での絶縁フレーム18の断面図であり、図13(e)は、図13(a)に示すC−C線での端子支持部16の断面図である。なお、実際には端子支持部16は絶縁フレーム18に斜めに接続されているため、図13(a)においては端子支持部16を切断する面での断面図を示している。
引出端子13bには系統電圧が印加されており、絶縁フレーム18の下部の支持台7は接地電位であるため、端子支持部16と引出端子13bとの接続用のボルト41と、支持台7に絶縁フレーム18を固定するボルト42との間に、系統電圧と同じ電位差が生じる。このため、絶縁フレーム18が主材料である不飽和ポリエステル樹脂だけで構成されていると素材表面が長期的に劣化し、さらに表面に生成した潮解性物質が高湿度雰囲気中で潮解して表面抵抗が低下する。その結果、ボルト41とボルト42と間に漏れ漏れ電流が流れる。
本実施の形態においては、図13(a)、(b)に示すように、漏れ電流経路に対して垂直方向に長い平板状の劣化防止層26、26aが絶縁フレーム18の内面の沿面に概略均等に分割するように複数に分けて配置されている。また、劣化防止層26の間の絶縁フレーム18の表面に、複数の帯状の突出部28が設けられている。突出部28は、図13(a)に示すように垂直方向の断面が三角形で、図13(b)に示すように漏れ電流経路に対して垂直方向に伸びた形状をしている。端子支持部16と絶縁フレーム18との接続面から下方に形成された1つ目の劣化防止層26aまでに設けられた帯状の突出部28は、水平方向の幅が徐々に広がるように構成されている。さらに、図13(c)に示したように、この部分の突出部28の断面形状は、弓型形状となっている。ここでは、弓型形状として円を直線で切り取った形状を示したが、楕円を直線で切り取った楕円弓型形状でもよい。また、1つ目の劣化防止層26aから下方の突出部28は、幅が一定であり、その断面形状は、図13(d)に示したように、長方形の形状となっている。また、支持台7に絶縁フレーム18を固定するボルト42には金属平板43を設けている。
このように構成された絶縁フレーム18では、絶縁フレームの素材表面が潮解により表面抵抗が低下しても、劣化防止層は表面抵抗が低下しない。さらに、劣化防止層26を概略均等に分割するように複数に分けて配置したため、劣化防止層に印加する電界が緩和されるため放電が抑制されるという効果がある。
劣化防止層の表面に吸着した水分や塩分の影響で漏れ電流が流れても、図13(b)の矢印で示した端子支持部16と絶縁フレーム18との接続面から金属平板43までの電流経路は、その絶縁フレーム上でのその電流経路の長さがほぼ同じになる。つまり、経路1においては、端子支持部16と絶縁フレーム18との接続面から1つ目の劣化防止層26aまでは、断面が弓型である突出部28の最も高い位置の表面が電流経路となり、経路2から3となるにしたがって断面が弓型である突出部28の低い位置の表面が電流経路となる。そのため、経路1〜3の電流経路の長さがほぼ一定となるので、漏れ電流は分散して引出端子13bから支持台7側へ流れることになる。その結果、漏れ電流の電流密度が低下するので、漏れ電流によるジュール熱が減少し、水分の蒸発が抑制されるためドライバンドが絶縁フレーム素材表面に形成されなくなる。
なお、本実施の形態においては、突出部28を垂直方向の断面形状を三角形の形状としたが、実施の形態1と同様に突出部28は、水平方向の面をもたないことが好ましい。突出部28を斜面で構成することにより、付着した水分や塵が落下しやすく、絶縁ロッドの表面を清浄に保つ効果も期待できる。
また、本実施の形態においては、図13(a)に示すように、端子支持部16の下面にも複数の突出部28が設けられている。また、この突出部28は、図13(e)に示すように、その断面が半円状となっている。このようにすることで、引出端子13bから端子支持部16と絶縁フレーム18との接続面までの電流経路が長くなるとともに、その長さが端子支持部16の側面や上面を迂回する電流経路と同等となる。その結果、漏れ電流は分散して引出端子13bから支持台7側へ流れることになる。その結果、漏れ電流の電流密度が低下するので、漏れ電流によるジュール熱が減少し、水分の蒸発が抑制されるためドライバンドが絶縁フレーム素材表面に形成されなくなる。
上述のように、本実施の形態においては、絶縁フレームに均等に劣化防止層を配置するとともに、劣化防止層の間に突出部を設けているので、ドライバンド形成に伴う放電による絶縁フレームの素材表面の劣化が抑制される。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁フレームの長期信頼性を高めることができる。
実施の形態6.
開閉装置に求められる責務に、真空バルブが閉極した状態で、例えば80kAという大きな定格短時間耐電流が引出端子13aおよび引出端子13bに流れても問題を生じないというものがある。そのため、開閉装置には、通電能力と同時に、電流により発生する電磁力に対する機械的強度が確保されている必要がある。
図4に示すように、A相、B相およびC相の開閉器が3台並んでいる場合は、その大電流による電磁力により各相間の引出端子13a同士あるいは引出端子13b同士の間には大きな電磁力が発生するが、隣相の引出端子と電流と向きが同じ場合は吸引力が、異なる場合は反発力が作用する。さらに、同じ相の引出端子13aと引出端子13bとの間には電流の向きが異なるため反発力が作用する。このように向きの異なる大きな電磁力に耐えるために、開閉装置の外部に引出端子13aと引出端子13bとを強固に固定する補強枠が設けられる場合がある。実施の形態6においては、この補強枠の長期信頼性を高めたものである。
図14は、本実施の形態に係る開閉装置の模式図である。図14に示すように、本実施の形態では、開閉装置1の引出端子13aと引出端子13bとを機械的に補強するための補強枠50をさらに備えている。補強枠50は、引出端子13aおよび引出端子13bをそれぞれ支える引出端子支持部51a、51bを備えており、この引出端子支持部51a、51bを固定するとともに引出端子13a、13bをそれぞれ覆う絶縁バリア52a、52bを備えている。これら補強枠50、引出端子支持部51a、51bおよび絶縁バリア52a、52bの主材料も、絶縁ロッドや絶縁フレームと同様に、良好な機械的特性、良好な成形性および高い絶縁性能をもち、低価格で入手しやすい不飽和ポリエステル樹脂が一般的に用いられている。
図15は、本実施の形態における開閉装置1を補強枠50側から見た正面図である。本実施の形態では、開閉装置本体がA相、B相およびC相に対応して3台並んでおり、その3台に共通して補強枠50を備えた例を示している。図15は、引出端子13a付近を示したものである。図15に示すように、本実施の形態においては、絶縁バリア52aの各相に対向する面に断面が円形の球状突出部53aが複数設けられている。
図16は、図15に示すA−A線での補強枠50を上から見た場合の断面図である。また、図17は、図16に示すB−B線での補強枠50を横から見た場合の断面図である。本実施の形態においては、絶縁バリア52aの相間の面に断面形状が扇形、半円形、または半楕円形の球状突出部53aを設けている。A相の引出端子部13aとB相の引出端子部13aとの間に、大きさ電位差が生じた場合、漏れ電流の経路を図16に矢印で示したように、2つの経路がある。このとき、この2つの経路の漏れ電流は、絶縁バリア52aの相間の面を、図17に矢印で示したように広がって流れていく。このため、漏れ電流の電流密度が低下し、絶縁バリア52aの側面の素材表面にドライバンドが形成されなくなり、劣化が抑制されるため寿命が長くなるという効果がある。
また、図17に示すように、引出端子支持部51aは劣化防止層26で覆われている。このように構成することで、引出端子支持部51aの長期劣化を抑制することができる。
なお、絶縁バリア52aの相間の面に形成された球状突出部53aの配列は、漏れ電流のある経路が他の経路に比べて短いということがなく、漏れ電流の流れる沿面長が経路によらず一定となることが望ましい。図18は、本実施の形態における絶縁バリア52aの相間の面に形成された球状突出部の形状を示した模式図である。図18に示すように、直径の異なる2種の球状突出部53aを並べてもよい。
なお、上述の説明では、図15〜図18を用いて、開閉装置の引出端子13a付近を示して説明したが、引出端子13b付近も同様な構成とすることで、漏れ電流の電流密度が低下し、絶縁バリア52bの側面の素材表面にドライバンドが形成されなくなり、劣化が抑制されるため寿命が長くなるという効果がある。
このように補強枠を備えた開閉装置において、引出端子部を覆う絶縁バリアの相間の面に漏れ電流の沿面長が経路によらず一定となるように球状突出部を設けているので、漏れ電流が分散して流れて、電流密度が低下するためドライバンドが形成されなくなり、ドライバンド形成に伴う放電による絶縁フレームの素材表面の劣化が抑制される。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁フレームの長期信頼性を高めることができる。
実施の形態7.
図19は、実施の形態7の絶縁ロッド10を示した模式図である。本実施の形態においては、実施の形態6で示した球状突出部を絶縁ロッド10に設けたものである。図19に示すように、実施の形態1の図5に示した、断面が略三角形である突出部を球状突出部53で構成したものである。
このように構成された絶縁ロッドにおいては、面に漏れ電流の沿面長が経路によらず一定となるように球状突出部を設けているので、漏れ電流が分散して流れて、電流密度が低下するためドライバンドが形成されなくなり、ドライバンド形成に伴う放電による絶縁フレームの素材表面の劣化が抑制される。その結果、絶縁部材の表面でのドライバンドの発生を抑制して、絶縁フレームの長期信頼性を高めることができる。
1 開閉器、 2 遮断部、 3 開閉機構部、 4 ピン、 5 駆動レバー
6 水平軸、 8 連結部材、 9 操作ロッド、 10 絶縁ロッド
11 接続部材、 13a、13b 引出端子、 14 真空バルブ固定部
15 フレッキシブル導体、 16 端子支持部、 17a、17b 端子入出力部
18 絶縁フレーム
20 真空バルブ、 21 可動スタッド、 22 可動接点23 固定スタッド
24 は固定接点、 25a 上部端面、 25b 下部端面
26 劣化防止層、 27 素材表面、 28 突出部、 29 ドライバンド
41、42 ボルト、 43金属平板、
50 補強枠、 51a、51b 引出端子支持部、 52a、52b 絶縁バリア

Claims (8)

  1. 円柱状の絶縁部材と、
    この絶縁部材の一方の端部に一部が埋設された第1の導電部材と、
    前記絶縁部材の他方の端部に一部が埋設された第2の導電部材と
    を備えた絶縁ロッドであって、
    前記絶縁部材は、
    外周部から径方向に突出された複数の突出部と、
    前記複数の突出部の両側の前記外周部の表面に、前記絶縁部材の母材の表面抵抗の経時的な低下率よりも表面抵抗の経時的な低下率が小さい材料で構成された劣化防止層と
    を備えたことを特徴とする絶縁ロッド。
  2. 前記絶縁部材の一方の端部および他方の端部の少なくとも一方の前記第1の導電部材または前記第2の導電部材が埋設された位置に接する表面に前記劣化防止層をさらに設けたことを特徴とする請求項1記載の絶縁ロッド。
  3. 前記絶縁部材の母材は、
    充填材として炭酸カルシウムや水和アルミナが添加された不飽和ポリエステル樹脂であり、
    前記劣化防止層を構成する材料は、
    エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、マイカ複合絶縁体、石英ガラス、硼珪酸ガラスおよびセラミックの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2項に記載の絶縁ロッド。
  4. 突出部と接する劣化防止層の端部に小突起が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁ロッド。
  5. 突出部は、複数の山と谷とで構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁ロッド。
  6. 前記絶縁部材の軸方向の上半分の部分には前記複数の突出部と前記劣化防止層が備えられており、
    前記絶縁部材の軸方向の下半分の部分には複数の溝が設けられており、前記下半分の前記絶縁部材の外径は、前記複数の突出部の外径と同じであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁ロッド。
  7. 開閉装置の遮断部の外枠を構成し、絶縁部材を母材とする絶縁フレームであって、
    高電圧が印加される端子支持部の接続位置から接地電位となる支持台との間の内表面に、
    複数の帯状の突出部と、
    前記複数の突出部の間に、前記絶縁部材の母材の表面抵抗の経時的な低下率よりも表面抵抗の経時的な低下率が小さい材料で構成された劣化防止層と
    を備え、
    前記帯状の突出部の長手方向の断面形状は弓型形状であり、かつ前記帯状突出部の長手方向の長さは、前記端子支持部の接続位置から前記支持台に向かって徐々に長くなるように構成されたことを特徴とする絶縁フレーム。
  8. 遮断部と開閉機構部とで構成された開閉装置であって、
    前記遮断部は、前記開閉機構部からの駆動力で上下方向に駆動される請求項1記載の絶縁ロッドと、
    前記絶縁ロッドに接続部材を介して接続された真空バルブと、
    前記真空バルブの端子部を固定する端子支持部と、
    前記端子支持部と支持台とを電気的に絶縁する請求項7記載の絶縁フレームと
    を備えたことを特徴とする開閉装置。
JP2014115621A 2014-06-04 2014-06-04 絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置 Pending JP2015230787A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014115621A JP2015230787A (ja) 2014-06-04 2014-06-04 絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014115621A JP2015230787A (ja) 2014-06-04 2014-06-04 絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015230787A true JP2015230787A (ja) 2015-12-21

Family

ID=54887471

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014115621A Pending JP2015230787A (ja) 2014-06-04 2014-06-04 絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015230787A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5195281A (ja) * 1975-02-19 1976-08-20
JPS62123610A (ja) * 1985-11-25 1987-06-04 富士電機株式会社 高電圧機器用ポリエステルプリミツクス成形部品
JPH01319212A (ja) * 1988-06-20 1989-12-25 Fuji Electric Co Ltd 高電圧機器用ポリエステルプリミックス部品
JP2013137904A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Mitsubishi Electric Corp 開閉器

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5195281A (ja) * 1975-02-19 1976-08-20
JPS62123610A (ja) * 1985-11-25 1987-06-04 富士電機株式会社 高電圧機器用ポリエステルプリミツクス成形部品
JPH01319212A (ja) * 1988-06-20 1989-12-25 Fuji Electric Co Ltd 高電圧機器用ポリエステルプリミックス部品
JP2013137904A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Mitsubishi Electric Corp 開閉器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI267245B (en) Gas insulated switchgear
US9214292B2 (en) Compact vacuum interrupter with selective encapsulation
US10069285B2 (en) Gas-insulated switchgear
CN104937796A (zh) 气体绝缘开关装置
KR101860348B1 (ko) 진공차단기의 진공인터럽터
JP4177628B2 (ja) 複合絶縁方式ガス絶縁開閉装置
US20160049268A1 (en) Switchgear
JP2015230787A (ja) 絶縁ロッド、絶縁フレームおよび開閉装置
CN108431907A (zh) 支撑结构以及hvdc隔离开关的布局
JP2006325314A (ja) 電気機器
CN201007971Y (zh) 高压真空灭弧室固封相柱
JP2020161459A (ja) 接地開閉装置及びそれを備えたガス絶縁開閉装置
CN104106189A (zh) 气体绝缘开闭装置以及气体绝缘母线
JP2014007887A (ja) ガス絶縁開閉装置
JP2003319515A (ja) ガス絶縁開閉装置
JP6275061B2 (ja) 電気装置および開閉装置
JP4522318B2 (ja) ガス絶縁開閉装置
WO2019123889A1 (ja) 開閉装置
JP4373600B2 (ja) 電気絶縁母線及びその製造方法
RU2689978C1 (ru) Блок силового конденсатора для применений в условиях высокого давления
WO2018212124A1 (ja) 絶縁スペーサ及びそれを用いたガス絶縁開閉装置
JP4565888B2 (ja) 密閉型開閉装置
JP2011135675A (ja) ガス絶縁機器
JP7374668B2 (ja) 電気機器
KR200496186Y1 (ko) 가스 절연 개폐 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170919

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180508