JP2015227733A - 溶融金属鉄の製造設備 - Google Patents

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俊孝 中山
Toshitaka Nakayama
俊孝 中山
櫻井 雄一
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Abstract

【課題】サブマージドアーク炉の耐火物の損耗を抑え、エネルギー効率の向上を図り、電極の電流のショートパスを防止する。
【解決手段】酸化鉄と炭素系還元材とから製造された還元鉄3をサブマージドアーク炉20で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する溶融金属鉄の製造設備1において、サブマージドアーク炉20の炉壁21aの内側に円筒状の仕切り壁24を設置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とから製造された還元鉄をサブマージドアーク炉で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する溶融金属鉄の製造設備に関する。
鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とを混合してペレット状やブリケット状に成型した成型物から回転炉床式還元炉等で還元鉄を製造し、その還元鉄をサブマージドアーク炉で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する方法としては、既に多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、酸化鉄紛体と炭素質紛体とを混合して製造した原料ペレットを回転炉床式還元炉で還元し、回転炉床式還元炉で製造された還元鉄をサブマージドアーク炉に連続的に装入し、サブマージドアーク炉に装入された還元鉄を電極による通電加熱により順次サブマージドアーク炉で溶解すると共に、サブマージドアーク炉で副生されたCOガスを主体とする還元性ガスを、回転炉床式還元炉の還元鉄ペレット排出部近傍に流入させることを特徴とする溶融金属鉄の製造方法が提案されている。
しかしながら、この特許文献1の溶融金属鉄の製造方法では、図4に示すように、例えば還元鉄102を原料装入シュート126からサブマージドアーク炉120内に少量ずつ連続的に装入すると、サブマージドアーク炉120内にスラグ103と溶銑104とを充填させた状態で電極123による通電加熱を実施するため、炉内の耐火物が高温のスラグ103にさらされやすい。したがって、スラグ103がオーバーヒートした際には、耐火物の損耗が速くなる危険性が高い。その一方で、図5に示すように、炉内に還元鉄102を充填させる溶融金属鉄の製造方法では、耐火物を高温スラグ103から保護する観点から有利であり、熱効率の面でも優れている。しかしながら、還元鉄102の電気伝導率が高いため、サブマージドアーク炉120では、電極123間に充填された還元鉄102を通じて電流がショートパスし、十分なエネルギーをスラグ103及び溶銑104に伝えることができなくなってしまう虞がある。
特許第3403093号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とから製造された還元鉄をサブマージドアーク炉で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する溶融金属鉄の製造設備において、サブマージドアーク炉の耐火物の損耗を抑えつつ、エネルギー効率の高い溶融金属鉄の製造設備を提供することを目的とする。
更に、本発明は、サブマージドアーク炉に装入された還元鉄が電極間に流入されて充填されることを抑制して電流のショートパスを防止することが可能な溶融金属鉄の製造設備を提供することを目的とする。
本発明に係る溶融金属鉄の製造設備は、酸化鉄と炭素系還元材とから製造された還元鉄をサブマージドアーク炉で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する溶融金属鉄の製造設備において、該サブマージドアーク炉の炉壁の内側に円筒状の仕切り壁が設置されることを特徴とする。
本発明によれば、酸化鉄と炭素系還元材とから製造された還元鉄をサブマージドアーク炉で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する溶融金属鉄の製造設備において、サブマージドアーク炉の炉壁の内側に円筒状の仕切り壁が設置されている。したがって、本発明によれば、仕切り壁と炉壁との間の空間部にスラグ等と比べて比較的温度の低い還元鉄を充填することができるので、炉壁の耐火物を高温スラグから保護することができ、寿命を延長させることができる。更に、本発明によれば、空間部に還元鉄を充填することで、溶解前に還元鉄を予熱することができ、エネルギー効率を高めることができる。よって、本発明によれば、還元鉄を還元・溶解するサブマージドアーク炉において、サブマージドアーク炉の耐火物の損耗を抑えつつ、エネルギー効率の向上を図ることができる。
更に、本発明によれば、還元鉄を還元・溶解するサブマージドアーク炉の炉壁の内側に円筒状の仕切り壁が設置され、この仕切り壁と炉壁との間の空間部に還元鉄が充填されるので、還元鉄が電極間に流入されて充填されることを抑制して電流のショートパスを防止することができる。
回転炉床式還元炉とサブマージドアーク炉とを示した正面断面図である。 サブマージドアーク炉を示した正面断面図である。 サブマージドアーク炉の一部を示した正面拡大断面図である。 還元鉄を少量ずつ装入させて溶融金属鉄を製造する従来のサブマージドアーク炉を示した正面断面図である。 還元鉄を充填させて溶融金属鉄を製造する従来のサブマージドアーク炉を示した正面断面図である。
以下、本発明を適用した溶融金属鉄の製造設備について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
図1に示すように、本発明を適用した溶融金属鉄の製造設備1は、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とから還元鉄2を製造する円環型の回転炉床式還元炉10と、回転炉床式還元炉10で製造された還元鉄2を還元・溶解して溶融金属鉄を製造するサブマージドアーク炉20とで構成されている。なお、図1では、円環型の回転炉床式還元炉10を平面状に展開して図示している。
回転炉床式還元炉10は、図1に示すように、粉状に粉砕された鉄鉱石等の酸化鉄及びコークス等の炭素系還元材が混合されてペレットやブリケットに成型された後に、その成型物が装入部11aから炉本体11の内部に装入される。すると、回転炉床式還元炉10は、内部に装入された成型物を、回転炉床12により移動させつつ、炉本体11の側壁等に設けられたバーナー13により発生された高温の雰囲気で加熱して、成型物内の酸化鉄と炭素とを還元反応を起こさせる。そして、回転炉床式還元炉10は、成型物を、金属鉄が多く含まれる還元鉄2として、装出部11bからサブマージドアーク炉20に排出する。回転炉床式還元炉10により製造された還元鉄2は、例えば、耐熱コンベア又は耐熱容器等の搬送部によりサブマージドアーク炉20に搬送される。
サブマージドアーク炉20は、図2に示すように、上面に上面開口部を有する有底筒状の炉本体21と、炉本体21の上面開口部を閉塞する炉蓋22とを有している。炉本体21及び炉蓋22は、共に耐熱鋼や耐火鋼で形成されている。更に、炉本体21及び炉蓋22は、炉内側等に耐火物等が配設され、耐熱処理や耐火処理が施されている。更に、炉本体21及び炉蓋22は、例えば、直径が5m〜15m程度の大きさで設けられ、内部が還元鉄2が充填される充填部となっている。なお、炉本体21及び炉蓋22は、共に内部水冷構造等を有するようにしても良い。
また、炉蓋22の中心付近には、図2に示すように、通電加熱により炉内に充填された還元鉄2を溶解して、スラグ3と溶銑4とを形成する電極23が設置されている。この電極23は、先端が炉内に配置された状態で、例えば等間隔に3本設置されている。なお、スラグ3は、炉壁21aに形成された出滓口28から炉外に排出される。溶銑4は、炉壁21aに形成された出銑口29から炉外に排出されて、図1に示すように、取鍋30等に収容される。
また、炉壁21aの内側には、図2に示すように、円筒状の仕切り壁24が設けられている。この仕切り壁24は、耐熱鋼や耐火鋼等で形成され、電極23よりも炉壁21a付近に配置されて、例えば炉蓋22に取り付けられている。なお、仕切り壁24は、内部水冷構造等を有するようにしても良い。更に、仕切り壁24と炉壁21aとの間には、空間部25が形成され、この空間部25には還元鉄2が充填される。この際、図3に示すように、電極23と仕切り壁24との隙間Xと、仕切り壁24の下端と溶銑4の上面との隙間Yと、空間部25に充填された還元鉄2の安息角αとが、Y/X<tanαの関係にあることが望ましい。この関係を満たすと、仕切り壁24により還元鉄2が電極23間に流入されて充填されることを抑制することができ、電流のショートパスを防止することができる。更に、仕切り壁24は、隙間Xを上記関係を満たす最小値となるように設置されることが好ましい。これにより、空間部25には、より多くの還元鉄2を充填することができる。
なお、仕切り壁24は、炉蓋22に取り付けることに限定されるものではなく、炉壁21aの内側に配置されていれば如何なる箇所に取り付けても良く、例えば、ブラケット等の支持部材を介して炉壁21aに取り付けるようにしても良い。この際、仕切り壁24は、仕切り壁24の上端と炉蓋22との間に隙間無く取り付けることが好ましいが、隙間をあけて取り付けるようにしても良い。
また、炉蓋22には、図2に示すように、炉内の空間部25に還元鉄2を装入する筒状の原料装入シュート26が設けられている。この原料装入シュート26は、先端が炉内に配置された状態で、空間部25の上方の炉蓋22に例えば等間隔に4個設置されている。そして、原料装入シュート26は、還元鉄2を溶解する際には空間部25に予め大量の還元鉄2を充填する。
なお、原料装入シュート26は、炉蓋22に4本設置されることに限定されるものではなく、少なくとも1つ設置されていれば良く、設置数はサブマージドアーク炉20のサイズや還元鉄2の性状や充填量等に応じて適宜変更可能である。更に、原料装入シュート26は、空間部25に均一に充填するために等間隔に設置することが好ましいが、不等間隔に設置するようにしても良い。
また、炉蓋22には、図2に示すように、炉内で発生した排ガスを炉外に排気する筒状の排気部27が設けられている。この排気部27は、空間部25の上方の炉蓋22に例えば等間隔に4個形成されている。これにより、排気部27は、炉内で発生した還元性の高い高温排ガスを空間部25に充填された還元鉄2に接触させた後に炉外に排気させる。したがって、空間部25に充填された還元鉄2は、予熱されて高温に保持されると共に、金属化が更に促進されて、溶解性が高まる。更に、排気部27は、原料装入シュート26の近傍に形成するようにする。これにより、原料装入シュート26の近傍に一般的に還元鉄2が山積みされて大量に配置されているので、確実且つ効率良く高温排ガスを還元鉄2に接触させることができ、加熱効率を高めることができる。
なお、排気部27は、炉蓋22に4本設置されることに限定されるものではなく、少なくとも1つ設置されていれば良く、設置数はサブマージドアーク炉20のサイズや還元鉄2の性状や充填量等に応じて適宜変更可能である。更に、排気部27は、高温排ガスを還元鉄2に均一に接触させるために等間隔に設置することが好ましいが、不等間隔に設置するようにしても良い。更に、排気部27は、原料装入シュート26の近傍に設置することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
以上のような構成を有する溶融金属鉄の製造設備1は、以下のようにして溶融金属鉄を製造する。
先ず、回転炉床式還元炉10において、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とから還元鉄2を製造する。
具体的に、回転炉床式還元炉10には、図1に示すように、粉状に粉砕された鉄鉱石等の酸化鉄及びコークス等の炭素系還元材が混合されてペレットやブリケットに成型された後に、その成型物が装入部11aから炉本体11の内部に装入される。すると、回転炉床式還元炉10は、内部に装入された成型物を、回転炉床12により移動させつつ、炉本体11の側壁等に設けられたバーナー13により発生された高温の雰囲気で加熱して、成型物内の酸化鉄と炭素とを還元反応を起こさせる。そして、回転炉床式還元炉10は、成型物を、金属鉄が多く含まれる還元鉄2として、装出部11bから直接的に又は搬送部を介してサブマージドアーク炉20に排出する。
次いで、サブマージドアーク炉20において、回転炉床式還元炉10で製造された還元鉄2を還元・溶解して溶融金属鉄を製造する。
具体的に、サブマージドアーク炉20には、原料装入シュート26を介して回転炉床式還元炉10から炉内に還元鉄2が装入される。そして、サブマージドアーク炉20は、電極23の通電加熱により空間部25内に充填された還元鉄2を溶解してスラグ3と溶銑4とを形成する。
その後、スラグ3は、炉壁21aの出滓口28から炉外に排出される。溶銑4は、炉壁21aの出銑口29から炉外に排出されて取鍋30等に収容される。
以上のようにして、溶融金属鉄の製造設備1は、溶融金属鉄(溶銑4)を製造する。
以上のように、溶融金属鉄の製造設備1は、還元鉄2を還元・溶解するサブマージドアーク炉20の炉壁21aの内側に円筒状の仕切り壁24が設置されているので、仕切り壁24と炉壁21aとで構成される空間部25に比較的温度の低い還元鉄2を充填することができ、耐壁21aの耐火物を高温スラグ3から保護することができ、寿命を延長させることができる。更に、溶融金属鉄の製造設備1は、空間部25に還元鉄2を充填することで、還元鉄2を予熱して高温に保持すると共に、還元鉄2の金属化を更に促進させて、還元鉄2の溶解性を高めることができ、エネルギー効率を高めることができる。よって、溶融金属鉄の製造設備1は、還元鉄2を還元・溶解するサブマージドアーク炉20において、サブマージドアーク炉20の耐火物の損耗を抑えつつ、エネルギー効率の向上を図ることができる。
更に、溶融金属鉄の製造設備1は、還元鉄2を還元・溶解するサブマージドアーク炉20の炉壁21aの内側に円筒状の仕切り壁24が設置され、この仕切り壁24と炉壁21aとで構成される空間部25に還元鉄2が充填されるので、電極23間に還元鉄2が流入されて充填されることを抑制して電流のショートパスを防止することができる。
また、溶融金属鉄の製造設備1は、電極23と仕切り壁24との隙間Xと、仕切り壁24の下端と溶銑4の上面との隙間Yと、空間部25に充填された還元鉄2の安息角αとが、Y/X<tanαの関係にあるので、電極23間に還元鉄2が流入されて充填されることを確実に抑制でき、より確実に電流のショートパスを防止することができる。
また、溶融金属鉄の製造設備1は、仕切り壁24と炉壁21aとで構成される空間部25の上方の炉蓋22に排気部27が形成されているので、炉内で発生した還元性の高い高温排ガスを空間部25に充填された還元鉄2に接触させることができる。したがって、溶融金属鉄の製造設備1は、還元鉄2を高温に保持すると共に、還元鉄2の金属化を更に促進させて、還元鉄2の溶解性をより高めることができる。よって、溶融金属鉄の製造設備1は、エネルギー効率の向上をより一層図ることができる。
なお、溶融金属鉄の製造設備1は、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とから還元鉄2を回転炉床式還元炉10で製造することに限定されるものではなく、回転炉床式還元炉10の代わりに、ロータリーキルン炉やシャフト炉で製造するようにしても良い。更に、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素系還元材とから還元鉄2を製造することができれば、如何なる炉であっても良い。
1 溶融金属鉄の製造設備、2 還元鉄、3 スラグ、4 溶銑、10 回転炉床式還元炉、11 炉本体、11a 装入部、11b 装出部、12 回転炉床、13 バーナー、20 サブマージドアーク炉、21 炉本体、21a 炉壁、22 炉蓋、23 電極、24 仕切り壁、25 空間部、26 原料装入シュート、27 排気部、28 出滓口、29 出銑口、30 取鍋

Claims (3)

  1. 酸化鉄と炭素系還元材とから製造された還元鉄をサブマージドアーク炉で還元・溶解することにより溶融金属鉄を製造する溶融金属鉄の製造設備において、該サブマージドアーク炉の炉壁の内側に円筒状の仕切り壁が設置されることを特徴とする溶融金属鉄の製造設備。
  2. 電極と上記仕切り壁との隙間Xと、該仕切り壁の下端と溶銑の上面との隙間Yと、該仕切り壁と上記炉壁との間の空間部に充填される還元鉄の安息角αとの関係が下記(1)式で示されることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属鉄の製造設備。
    Y/X<tanα ・・・(1)
  3. 上記サブマージドアーク炉の排気部は、上記仕切り壁と上記炉壁との間の空間部の上方に設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属鉄の製造設備。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020051690A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 株式会社デンソー 溶解保持炉
CN116064986A (zh) * 2022-08-11 2023-05-05 王兴贵 一种冶炼废渣综合回收装置及方法

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