JP2015225037A - すきま腐食試験方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化物イオンを含む自然水環境で発生したすきま腐食を再現し、精度良く、実環境における金属材料の耐食性を評価することを可能にする、すきま腐食試験方法を提供する。【解決手段】塩化物イオンを含む溶液中にすきまを形成した試験片を浸漬してすきま腐食を進行させるすきま腐食試験方法において、上記浸漬した試験片の電位を一定に保持してすきま腐食を発生させた後、該試験片と、予め自然水に浸漬して電位を貴化させた貴化処理材とを短絡させることを特徴とするすきま腐食試験方法。【選択図】図9

Description

本発明は、海水、水、湖水、河川水、沼水、下水など、塩化物イオンを含む自然水環境において、金属材料に発生するすきま腐食を試験する方法に関するものである。
ゲート、堰、配管類、ポンプ、フランジ、グレーチングなどに使用される金属材料は、海水、水、湖水、河川水、沼水、下水などの塩化物イオンを含む自然水環境に、長期間にわたり、曝されるため、耐食性が求められる。炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、Ni基合金、Tiなどから、適正な金属材料を選定するためには、腐食環境の塩濃度や温度、pHなどに応じて、適正な電気化学的な手法を採用して、耐食性を評価することが必要である。
また、塩化物イオンを含む自然水環境で使用される構造物や機器類は、配管つなぎ目のすきま部や溶接欠陥、ゴミの付着物など、潜在的なすきま構造を有しており、ハロゲン化物によるすきま腐食などの腐食損傷が懸念される。
すきま腐食を電気化学的に評価する方法として、JIS G 0592(ステンレス鋼の腐食すきま再不動態化電位測定方法)が知られている。また、従来から、腐食すきま再不動態化電位(ER,CREV)と自然ポテンシャル(Esp)とを比較し、すきま腐食が自発的に発生するかどうかを判定する試験が行われている(例えば、非特許文献1〜3、参照)。
一方、すきま腐食の進展状況を評価するため、ガラス、石英、樹脂などの透明な物質と試験片との間にすきまを形成し、腐食媒中に浸漬した状態で、すきまの腐食状況を直接観察する試験方法が提案されている(例えば、特許文献1、参照)。
更に、光学顕微鏡の対物レンズと試験片との間を電解液で満たし、電気化学的測定を行いながら、すきま腐食の発生状況を観察する方法が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。この方法では、微小な領域の観察及び電気化学的測定が可能であり、すきま腐食の発生及び初期の状態については、その場観察が可能である。
特開昭51−147386号公報 特開2012−154783号公報
辻川茂男、久松敬弘、防食技術、第29巻、1980年、p.37 明石正恒、辻川茂男、材料と環境、第45巻、1996年、p.106 腐食防食協会報告、材料と環境、第47巻、1998年、p.100
従来のすきま腐食試験において、定電位法によって発生させたすきま腐食は、すきま部の外周の近傍で進展し易くなるという傾向があった。しかし、本発明者らが、長時間、自然海水に浸漬させたSUS304鋼やSUS316L鋼などの各種ステンレス鋼に発生したすきま腐食損傷を観察したところ、定電位法で発生するすきま腐食とは、形態が異なることがわかった。
塩化物イオンを含む自然水環境で発生したすきま腐食は、全面腐食的に活性溶解している部位と、全く腐食損傷が無い部分とが混在した腐食形態を有し、すきま部の外周での腐食が、特に進行し易いという傾向はない。したがって、従来のすきま腐食試験では、塩化物イオンを含む自然水環境で発生したすきま腐食を再現することが困難であり、精度良く、金属材料の耐食性を評価できていない可能性がある。
本発明は、このような実情に鑑み、塩化物イオンを含む自然水環境で発生したすきま腐食を再現し、精度良く、実環境における金属材料の耐食性を評価することを可能にする、すきま腐食試験方法を提供することを課題とする。
自然水環境に金属材料を浸漬し、電位を測定すると、卑な電位から徐々に貴な電位に移動し、すきま腐食が発生すると電位が卑化し、その後も卑な電位を維持することがわかった。一方、従来の定電位法では、定電位電解装置を用いて試験片の電位を強制的に一定値に保持している。このような電位の変化の相違が、従来のすきま腐食試験では、実際に塩化物イオンを含む自然環境で発生するすきま腐食の形態を再現できない原因であると考えられる。
本発明者らは、塩化物イオンを含む自然水環境で、すきま腐食が発生する前後の電位の差が、すきま腐食の電位差であると考えた。そして、すきま腐食試験に供する試験片と、自然水環境に浸漬して電位を貴化させた同種の金属材料からなる試験片との電位差を利用し、塩化物イオンを含む自然水環境において発生するすきま腐食を再現する方法を検討し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 塩化物イオンを含む溶液中にすきまを形成した試験片を浸漬してすきま腐食を進行させるすきま腐食試験方法において、上記浸漬した試験片の電位を一定に保持してすきま腐食を発生させた後、該試験片と、予め自然水に浸漬して電位を貴化させた貴化処理材とを短絡させることを特徴とするすきま腐食試験方法。
[2] 前記試験片にすきま腐食が発生するまでの一定の電位を、100〜600mVの範囲内とすることを特徴とする上記[1]に記載のすきま腐食試験方法。
[3] 塩化物イオンを含む溶液が充填された試験槽と、該試験槽の一方の側面から、一部が前記試験槽の外側に露出するように嵌入された透明材料からなるすきま腐食観察用ロッドと、前記試験槽の内側において、該すきま腐食観察用ロッドの一端との間にすきま構造が形成されるよう配置された前記試験片と、前記試験槽の外側に露出された前記すきま腐食観察用ロッドの他端と接触して配置されたすきま腐食すきま腐食観察手段と、前記すきま腐食観察用ロッドが貫通する貫通孔が形成された対極と、を具備し、前記すきま腐食観察用ロッドは、前記試験槽の一方の側面から、前記貫通孔を貫通するよう嵌入され、前記対極及び前記試験片は、前記試験槽の外部に備えた電位制御測定手段に接続されたすきま腐食試験装置を用いて、前記電位制御測定手段によって、前記対極と前記試験片との間に一定のアノード電位を印加するか、又は、電位をアノード方向に動電位的に掃引しながら、電位を一定に保持し、前記すきま腐食観察手段によって、前記すきま腐食観察用ロッドを通じて、前記すきま腐食観察用ロッドの一端と前記試験片との間に発生したすきま腐食を観察することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のすきま腐食試験方法。
[4] 前記試験片に接続された前記電位制御測定手段によってアノード電流値を求め、前記すきま腐食の体積を算出することを特徴とする上記[3]に記載のすきま腐食試験方法。
本発明によれば、塩化物イオンを含む自然水環境で生じるすきま腐食の形態を再現することができ、従来のすきま腐食試験方法に比べて、金属材料が使用される実環境における耐食性を精度良く評価することが可能になり、金属材料の選定や寿命推定を実環境に即して行うことができる。
種々のステンレス鋼を自然海水に浸漬した際の自然電位の時間変化の一例を説明する図である。 貴化処理材とすきま腐食試験片とを短絡させた際の自然電位の変化の一例を説明する図である。 本発明の実施形態に係る試験装置であり、(a)は貴化処理材とすきま腐食試験片とを短絡させる前の電極配置及び構成、(b)は貴化処理材とすきま腐食試験片とを短絡させた後の電極配置及び構成を説明する図である。 本発明の実施形態に係る、(a)すきま腐食試験片の形状の例と(b)すきま構造を説明する図である。 本発明の実施形態に係る貴化処理材の例を説明する図である。 本発明の実施形態に係る、貴化処理材とすきま腐食試験片とを同一試験槽内で短絡させた際に測定された短絡電位の例を説明する図である。 本発明の実施形態に係る、貴化処理材とすきま腐食試験片とを同一試験槽内で短絡した際に測定された短絡電流の例を説明する図である。 本発明の実施形態に係る、すきま腐食観察手段によって撮影されたすきま内の画像の例を説明する図である。 本発明の実施形態に係る、すきま腐食試験方法によって求めたすきま腐食体積の例を説明する図である。
本発明者らは、まず典型的な塩化物イオンを含む自然水環境である海水に浸漬されたステンレス鋼(SUS312L、SUS304及びSUS316L)のすきま腐食の発生と自然電位の変化との関係を明確にするため、検討を行った。ステンレス鋼の試験片を、自然界から採取した海水(自然海水)に浸漬する直前に、すきま部を形成するすきま会わせ面を湿式研磨し、自然海水に浸漬して自然電位の変化を測定した。
図1は、種々のステンレス鋼を自然海水に浸漬した際の自然電位の時間変化の一例を説明する図である。自然電位は、初め、卑な電位から徐々に貴な電位に移動し、その後は、ステンレス鋼によって、2つの典型的な挙動を示した。SUS312Lでは、自然電位は、ある一定の貴な電位を維持した。一方、SUS304及びSUS316Lでは、自然電位は、貴化している途中で、急激に卑な電位方向にシフトした。
試験片のすきま部を観察すると、貴な電位を維持していたSUS312Lには、すきま腐食が見られず、電位が変化したSUS304及びSUS316lには、すきま腐食による損傷が確認された。
自然海水に浸漬されたステンレス鋼の自然電位が貴化する理由として、自然海水に生息する好気性菌類が試験片表面に付着し、いわゆる生物膜が形成されることが考えられる。自然電位の貴化は、金属/生物膜界面で好気性菌が代謝する過酸化水素の酸化作用によるもので、耐すきま腐食性の低い材料の場合、自然電位の貴化が、すきま腐食損傷の原因となる。即ち、何らかの原因で、一旦、すきま腐食が発生すると、腐食が進行する部位は、新生面が露出した卑な電位となり、電位が貴化した部位との電位差で局部電池が形成され、すきま腐食が進行すると考えられる。
SUS304は、電位が貴化した部位と電位が卑な部位との電位差の再現が可能であるので、本発明者らは、SUS304を用いて検討を行った。まず、SUS304を自然海水に浸漬し、すきま腐食を発生させることなく、電位を貴化させた貴化処理材を準備した。そして、試験直前にすきま合わせ面を研磨したSUS304の試験片(すきま腐食試験片という)と、貴化処理材とを、同一の試験槽内で自然海水に浸漬し、途中で、両者を短絡させ、自然電位を測定した。
図2は、貴化処理材とすきま腐食試験片とを短絡させた際の自然電位の変化の一例を説明する図である。貴化処理材とすきま腐食試験片との電位は、これらを短絡させた後、急激に互いの電位が近づくように変化し、その後は、短絡前の両者の電位間を複雑に変化しながら推移してゆく挙動が観察された。短絡した直後の電位の変化によって、貴化処理材とすきま腐食試験片との間に流れる電流(短絡電流という)は、直接、すきま腐食部の腐食電流に相当するものである。
このような現象を利用すれば、自然界で電位が貴化した部位と、すきま腐食の発生によって電位が卑化した部位との間で形成される局部電池を実験室で再現できると考え、更に検討を行った。
まず、すきま腐食試験装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る試験装置であり、(a)は貴化処理材とすきま腐食試験片とを短絡させる前の電極配置及び構成、(b)は貴化処理材とすきま腐食試験片とを短絡させた後の電極配置及び構成を説明する図である。
透明材料からなるすきま腐食観察用ロッドcは、塩化物イオンを含む溶液が充填されるガラスセルである試験槽5の一方の側面から、一部が試験槽5の外側に露出するように嵌入される。試験槽5の内側では、すきま腐食観察用ロッドcの一端と、すきま腐食観察試験片aとの間に、すきま構造が形成される。そして、予め自然水環境に浸漬して貴化処理された貴化処理材dは、破線で示すように試験槽5の内側に配置されるが、試験を開始する前は、すきま腐食試験片aとは短絡していない。
図4は、本発明の実施形態に係る、(a)すきま腐食試験片の形状の例と(b)すきま構造を説明する図である。すきま腐食試験片aは、長手方向長さL1、幅方向長さW1、厚さ方向長さt1を有する略矩形の板状体である。すきま腐食観察用ロッドcは、幅Dを有する。そして、すきま腐食観察用ロッドcとすきま腐食試験片aで、すきまを形成し、すきま腐食試験片aに示される略円形の領域が、試験面bである。
図5は、本発明の実施形態に係る貴化処理材の例を説明する図である。下方の図が貴化処理材の正面図で、上方の図が貴化処理材の上面図である。貴化処理材dの材質は、図4に示したすきま腐食試験片aと同一又は類似の材質とする。貴化処理材dは、スリット、長手方向長さL2、半径r1、厚みt2を有する管状体であり、直径(r1×2)が試験槽5よりも若干小さい。そして、軸方向の中央付近には、すきま腐食観察用ロッド貫通部半径r2を有する、すきま腐食観察用ロッドcの貫通穴がある。そして、すきま腐食観察用ロッドcの貫通容易性を考慮して、貫通穴の直径(r2×2)は、すきま腐食観察用ロッドcの幅Dより2mm大きくしている。ただし、貫通穴の直径は、すきま腐食観察用ロッドcが貫通できる大きさであればよく、幅Dより2mm大きくすることに限定されるものではない。スリットは、すきま腐食観察用ロッドcが貫通する穴の反対側にあり、スリット幅K1をすきま腐食試験片aを固定する押え棒7に触れないように調整する。
貴化処理材dを、試験槽内に設置する前に、予め、全表面を乾式ペーパー研磨し、アセトンで清浄な表面とし、リード線を取り付けて、自然海水に浸漬させ、自然電位が安定するまで放置した。自然電位が貴化し、安定したときの自然電位は、約600mV vs. SHEであり、貴化処理には、約300時間を要した。
すきま腐食観察用ロッドcは、すきま腐食試験片aとの間に生じたすきまにおいて、すきま腐食を発生させ、かつ、試験槽5の外部に設けられたすきま腐食観察手段6によって観察を可能とするために、透明な物質からなる棒状体である。すきま腐食観察用ロッドcの材質は、光を透過する透明な材質(光透過性物質)のものであれば、その種類は問わないが、使用による劣化やくもりなどが生じないものが好ましい。特に、石英ガラスが好ましく、両端を鏡面研磨仕上げにしておくと、すきま腐食の観察が容易になる。
更に、試験槽5内には、すきま腐食試験片aに対向するようにして、対極4を設置するとともに、参照電極3を設置し、これらは、試験槽5の外部に設けられた定電位電解装置1に接続されている。対極4は、試験槽5の上方から吊り下げられる形態で設けられ、通常の電気化学測定と同様、白金電極を使用することができる。
試験槽5の外側には、すきま腐食が観察可能なすきま腐食観察手段6を、すきま腐食観察用ロッドcの他端と接触させて配置する。すきま腐食観察手段6は、すきま腐食試験片aに発生したすきま腐食を撮像し、記録する手段であり、例えば、銀塩カメラ、CCDカメラを使用することができる。特に、測定時間の経過と簡便に同期できるインターバル機能付き自動焦点デジタルカメラを用いることが、測定データ類の精度上、好ましい。また、すきま腐食の進行の様子を記録できるデジタルビデオカメラを用いることが、より好ましい。
次に、すきま腐食試験方法について説明する。
図3(a)に示すように、すきま腐食試験片aを、貴化処理材dと短絡させることなく、定電位電解装置1に接続した。白金の対極4と、参照電極3と、すきま腐食試験片aとの3電極式の回路を組み、電位Eを499mVとして定電位電解処理を行った。すきま腐食観察手段6で、すきま腐食試験片aにすきま腐食の発生を確認し、速やかに、図3(b)に示すように、貴化処理材dとすきま腐食試験片aとを短絡させた。
定電位電解装置1に組み込まれた電位差計と、別途、用意した零抵抗電流計2を用いて、貴化処理材dとすきま腐食試験片aとを短絡させた後の短絡電位及び短絡電流を測定した。短絡とほぼ同時に、貴化処理材dとすきま腐食試験片aの電位は、同一となることから、貴化処理材d又はすきま腐食試験片aの一方と参照電極3との間の電位差を定電位電解装置1に組み込まれた電位差計で計測すると同時に、貴化処理材dとすきま腐食試験片aとの間に流れる電流を零抵抗電流計2によって計測した。
図6は、本発明の実施形態に係る、貴化処理材とすきま腐食試験片とを同一試験槽内で短絡させた際に測定された短絡電位の例を説明する図である。図7は、本発明の実施形態に係る、貴化処理材とすきま腐食試験片とを同一試験槽内で短絡した際に測定された短絡電流の例を説明する図である。図6及び図7には、比較のため、電位Eを299mmV、399mVとして、貴化処理材dと短絡させずに、定電位電解処理を行ったときの、すきま腐食試験片aの電位及び電流も参照値として示した。
図6から、貴化処理材dとすきま腐食試験片aとを短絡させた場合、電位は、貴な電位から卑な電位の方向に変化することがわかる。また、図7から、短絡しない場合は、貴な電位で電解するほど、また、時間が経過するほど、電流は増大するが、短絡した場合は、時間が経過しても電流の増加が小さいことがわかる。
図8は、本発明の実施形態に係る、すきま腐食観察手段によって撮影されたすきま内の画像の例を説明する図である。(a)の画像は、すきま腐食の発生後に、すきま腐食試験片aを貴化処理材dと短絡し、3500秒経過した時のすきま内の観察したものである。(b)及び(c)の画像は、それぞれ、電位を299mV及び399mVに維持して定電位電解を行い、すきま腐食試験片aにすきま腐食が発生してから、3500秒経過した時のすきま内の観察したものである。
一定の電位で定電位電解を行った場合、すきま部分の周囲が縁取りされるように、すきま腐食が進展している。一方、貴化処理材dとすきま腐食試験片aとを短絡させた場合、すきま部の周囲に明瞭なすきま腐食が観察されず、すきま内が一様に腐食している。
このように、自然水環境に浸漬して、自然電位を貴化させた貴化処理材dと、すきま腐食試験片aとを短絡させることにより、従来のすきま腐食試験方法に比べて、自然界で発生するすきま腐食を再現することができる。
すきま腐食が発生するまでの時間は、必ずしも、その場観察を行わずに、決定することができる。例えば、試験片を自然水環境に浸漬する時間を変化させて、すきま腐食が発生する時間を求めることが可能である。したがって、上記のような装置を用いずに、すきま腐食が発生するまでの時間を予め決定し、貴化処理材dとすきま腐食試験片aとを短絡させてもよい。
また、より貴な電位で金属材料を定電位電解すると、すきま腐食が発生するまでの時間は短縮するが、電位値が600mVを超えると、場合によってはすきま内ではなく、すきま外に孔食などの腐食が多発するようになることがある。一方、100mVより卑な電位で金属材料を定電位電解すると、すきま腐食が発生しないか又は発生するのに多大なる時間を要してしまう。したがって、定電位電解の電位Eは、100〜600mVとする。好ましくは、150〜500mV、より好ましくは、200〜400mVである。
更に、短絡電流は、すきま腐食によってイオン化する金属材料の量と相関があり、短絡電流を積算すると、すきま腐食体積を求めることができる。すきま腐食体積は、下記式(1)及び(2)を用いて算出する。
:電気量(C)
I:電流
CREV:すきま腐食体積(cm
:電気量(C)
M:モル質量(g・mol−1
m:価数
d:密度(g・cm−3
F:ファラデー定数(96485C・mol−1
図9は、本発明の実施形態に係る、すきま腐食試験方法によって求めたすきま腐食体積の例を説明する図である。すきま腐食体積は、図7に示した結果と、以下のすきま腐食試験片(SUS304)のデータを用い、式(1)及び(2)によって、求めた。
SUS304:17.85Cr−7.94Ni−0.20Mo−0.31Cu
M≒55.39g・mol−1
m=+2.19
d=7.88g・cm−3
なお、電位を一定として定電位電解を行う場合も、図7に示した結果から、式(1)及び(2)によって、すきま腐食体積を求めることができる。これらの結果も参考のために、図9に示した。
貴化処理材dとすきま腐食試験片aとを短絡させた場合、すきま腐食体積の変化は、ほぼ一定であり、電位を一定とした従来のすきま腐食試験のような急激な増加は見られない。また、すきま腐食体積は、電位を、それぞれ、299mV及び399mVとして定電位電解処理を行った場合のすきま腐食体積のほぼ中央で推移しており、自然水環境で進展するすきま腐食の実態に近い値が得られている。
本発明によれば、海水、水、湖水、河川水、沼水、下水など、塩化物イオンを含む自然水環境を取り扱う機器である貯蔵タンク、製造タンク類、輸送パイプ、配管類、バルブ類などに使用される金属材料に発生するすきま腐食の進展度を評価にすることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が大きいものである。
1 定電位電解装置
2 零抵抗電流計
3 参照電極(RE)
4 対極(CE)
5 試験槽
6 すきま腐食観察手段
7 押さえ棒(ローレット)
a すきま腐食試験片(WE1)
b 試験面
c すきま腐食観察用ロッド
d 貴化処理材(WE2)
L1 すきま腐食試験片の長手方向長さ
W1 すきま腐食試験片の幅方向長さ
t1 すきま腐食試験片の厚さ方向長さ
D すきま腐食観察用ロッドの幅
L2 貴化処理材の長手方向長さ
r1 貴化処理材の半径
t2 貴化処理材の厚み
r2 貴化処理材のすきま腐食観察用ロッド貫通部半径
K1 貴化処理材後部のスリット幅

Claims (4)

  1. 塩化物イオンを含む溶液中にすきまを形成した試験片を浸漬してすきま腐食を進行させるすきま腐食試験方法において、
    上記浸漬した試験片の電位を一定に保持してすきま腐食を発生させた後、
    上記試験片と、予め自然水に浸漬して電位を貴化させた貴化処理材とを短絡させる
    ことを特徴とするすきま腐食試験方法。
  2. 前記試験片にすきま腐食が発生するまでの一定の電位を、100〜600mVの範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載のすきま腐食試験方法。
  3. 塩化物イオンを含む溶液が充填された試験槽と、
    前記試験槽の一方の側面から、一部が前記試験槽の外側に露出するように嵌入された透明材料からなるすきま腐食観察用ロッドと、
    前記試験槽の内側において、前記すきま腐食観察用ロッドの一端との間にすきま構造が形成されるよう配置された前記試験片と、
    前記試験槽の外側に露出された前記すきま腐食観察用ロッドの他端と接触して配置されたすきま腐食観察手段と、
    前記すきま腐食観察用ロッドが貫通する貫通孔が形成された対極と、
    を具備し、
    前記すきま腐食観察用ロッドは、前記試験槽の一方の側面から、前記貫通孔を貫通するよう嵌入され、
    前記対極及び前記試験片は、前記試験槽の外部に備えた電位制御測定手段に接続された
    すきま腐食試験装置を用いて、
    前記電位制御測定手段によって、前記対極と前記試験片との間に一定のアノード電位を印加するか、又は、電位をアノード方向に動電位的に掃引しながら、電位を一定に保持し、
    前記すきま腐食観察手段によって、前記すきま腐食観察用ロッドを通じて、前記すきま腐食観察用ロッドの一端と前記試験片との間に発生したすきま腐食を観察することを特徴とする請求項1又は2に記載のすきま腐食試験方法。
  4. 前記試験片に接続された前記電位制御測定手段によってアノード電流値を求め、前記すきま腐食の体積を算出することを特徴とする請求項3に記載のすきま腐食試験方法。
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