JP2018091796A - 水の腐食性判定方法、及び水の腐食性判定装置 - Google Patents

水の腐食性判定方法、及び水の腐食性判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】廃液処理の必要が無く、銅又は銅合金に対する水の腐食性を短時間で明確に判定できる腐食性判定方法、及び腐食性判定装置を提供すること。
【解決手段】銅又は銅合金に対する水の腐食性を判定する方法、判定装置1である。作用電極2と対極3と基準電極4と有する三電極式電気化学セルの作用電極2と対極3とを試験用の水6に浸漬し、基準電極4を電解液7に浸漬する。作用電極2は少なくとも表面にスズを含有する。基準電極4と作用電極2との間に掃引電圧又は定電圧を印加したときにおける作用電極2と対極3との間を流れる電流値I、又は対極3と作用電極2との間に定電流を流したときにおける作用電極2と基準電極4との間の電位差Vを検知する。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅又は銅合金に対する水の腐食性を判定する方法、及びその判定装置に関する。
冷凍空調用配管、給水給湯用配管、電力機器の冷却系配管などには、熱伝導性に優れ、腐食に対する耐久性が高い銅、銅合金などの金属が使用されている。一方、配管を流れる水には、地域による水質の違いがあるため、銅、銅合金等の金属に対する孔食などの腐食の発生や進行にも違いがある。さらに、配管内を流れる水の水質変化等により、金属の腐食が促進されることがある。促進要因としては、pH、塩化物イオン、硫酸イオン、及び炭酸水素イオン等がある。孔食などの腐食が促進すると、例えば配管においては水漏れなどの不具合を生じるおそれがある。
このような不具合を回避するためには、水の腐食性の評価が有効になる。銅配管に対する水の腐食性の評価として、例えば水のイオン分析が知られている。具体的には、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、炭酸水素イオン濃度、及び炭酸イオン濃度の少なくともいずれかと、pHとの関係を評価する方法がある。しかし、このような水のイオン分析は、比較的高価で大規模な分析設備が必要な上に分析に時間がかかる。そこで、短時間で簡単に実施できる評価方法の開発が望まれている。例えば特許文献1には、薬剤を添加した水に、銅や銅合金からなる試験極、対極、基準極を浸漬した電気化学的手法により、水の腐食性を判定する方法が提案されている。
特開2004−239638号公報
しかしながら、上述の従来の方法においては、腐食性判定時間の短縮化は可能になるものの、腐食性の明確な判定が困難になる場合があった。すなわち、従来の方法においては、例えばアノード分極曲線の挙動に基づいて水の腐食性の判定を行うことができるが、孔食などの腐食が発生する水と腐食の発生のない水との間で分極曲線の挙動の違いが小さくなり、判定できない場合がある。
また、分極曲線において銅や銅合金よりなる試験極における腐食開始時点がそもそも不明確であるため、明確な腐食性の判定が困難であるという問題がある。さらに、水に薬剤を添加しているため、判定試験に用いた水をそのまま廃棄することができず、廃液を産業廃水などとして処理する必要がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、廃液処理の必要が無く、銅又は銅合金に対する水の腐食性を短時間で明確に判定できる腐食性判定方法、及び腐食性判定装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、銅又は銅合金に対する水の腐食性を判定する方法であって、
少なくとも表面にスズを含有する作用電極と、対極と、基準電極とを有する三電極式電気化学セルの上記作用電極と上記対極とを試験用の水に浸漬し、上記基準電極を電解液に浸漬し、
上記基準電極と上記作用電極との間に掃引電圧又は定電圧を印加したときにおける上記作用電極と上記対極との間を流れる電流値I、又は上記対極と上記作用電極との間に定電流を流したときにおける上記作用電極と上記基準電極との間の電位差Vを検知する、水の腐食性判定方法にある。
本発明の他の態様は、試験用の水に浸漬される作用電極及び対極と、
電解液に浸漬される基準電極と、
上記基準電極と上記作用電極との間に印加された電圧に対する上記作用電極と上記対極との間の電流値Iを検知する電流検知部、及び上記作用電極と上記対極との間を流れる定電流に対する上記基準電極と上記作用電極との間の電位差Vを検知する電位差検知部との少なくとも一方と、を備える三電極式電気化学セルからなり、
上記作用電極が少なくとも表面にスズを含有する、水の腐食性判定装置にある。
上記腐食性判定方法においては、作用電極として、少なくとも表面にスズを含有する電極を用いている。そのため、上記のごとく基準電極と作用電極との間に掃引電圧又は定電圧を印加したときにおける作用電極と対極との間を流れる電流値Iを検知すると、銅又は銅合金に対して腐食が発生する水と腐食が発生しない水との間で、検知される電流値Iに明確な違いがある。また、対極と作用電極との間に定電流を流したときにおける作用電極と基準電極との間の電位差Vを検知しても、銅又は銅合金に対して腐食が発生する水と腐食が発生しない水との間で、電位差Vに明確な違いがある。その結果、銅又は銅合金に対する水の腐食性の判定を明確に行うことが可能になる。
また、上記腐食性判定方法においては、少なくともスズを表面に含有する作用電極を用いるため、アノード分極曲線の不働態電位域が広い。さらに、腐食開始時における不働態電位域からの電流値I又は電位差Vの変動が大きい。そのため、腐食開始時点が明確になり、水の腐食性の判定を明確に行うことができる。
また、上記腐食性判定方法においては、上記のごとく三電極式電気化学セルを用いた電気化学的手法により腐食性の判定を行うため、短時間での判定が可能である。また、試験用の水に薬剤などの添加剤を添加する必要がないため、判定に用いた試験用の水を廃液として処理する必要がない。
また、上記判定装置においては、上記判定方法を行うことが可能になる。そのため、上記判定方法と同様の作用効果を奏することができる。
以上のように、上記腐食性判定方法及び上記腐食性判定装置によれば、廃液処理の必要が無く、銅又は銅合金に対する水の腐食性を短時間で明確に判定することができる。
実施形態1における、水の腐食性判定装置の概略図。 実施形態1における、スズ又はスズ合金からなる作用電極の断面図。 実施形態1における、素地と素地上に形成されたスズ又はスズ合金からなるめっき膜とを有する作用電極の断面図。 実験例1における、銅、スズ、又はスズめっき銅からなる各作用電極のアノード分極曲線を示す図。 実験例2における、腐食性の異なる複数の試験水についてのアノード分極曲線を示す図。
(実施形態1)
上記腐食性判定方法及び上記腐食性判定装置の実施形態について、図面を参照して説明する。腐食性判定方法は、例えば図1に示される水の腐食性判定装置1を用いて行うことができる。同図に例示されるように腐食性判定装置1は、例えば、作用電極2と、対極3と、基準電極4と、電流検知部52とを備える。
図1に例示されるように、作用電極2及び対極3は試験用の水6に浸漬される。試験対象の水6は、特に限定されるものではなく、例えば様々な地域における、水道水、工業用水、地下水、河川水等である。自然界に存在する水だけでなく、水配管、貯水槽などから採取した水を用いることもできる。
作用電極2としては、少なくとも表面にスズを含有する電極が用いられる。具体的には、図2に例示されるように、作用電極2としては、スズ又はスズ合金からなる電極を用いることができる。この場合には、電極の作製が容易であると共に、試験用の水6と接触する作用電極2の表面にスズが十分に存在するため、銅又は銅合金に対する水の腐食性の判定をより明確に行うことができる。
また、図3に例示されるように、作用電極2としては、各種材質からなる素地21と、その表面に形成されたスズ又はスズ合金からなるめっき膜22とを有する電極を用いることもできる。この場合にも、試験用の水6と接触する作用電極2の表面にスズが十分に存在するため、水の腐食性の判定をより明確に行うことができる。素地としては、例えば銅、銅合金、鉄鋼、ステンレス鋼、樹脂などがある。
対極3は、電気化学セルにおいて、作用電極2の対となる電極であり、電流を作用電極2に流すための電極である。対極3は、カウンタ電極、補助電極とも呼ばれる。対極3の材質としては、例えば、白金、金、銀、カーボン、導電性金属酸化物等がある。導電性金属酸化物としては、たとえば酸化チタンがある。
基準電極4は、三電極式電気化学セルにおいて参照極とも呼ばれる。基準電極4は、作用電極2の電位の測定時に電位の基準を与える電極であり、電解液7に浸漬される。基準電極4の材質と電解液7の組み合わせとしては、例えば、銀/塩化銀と飽和KCl水溶液、白金−白金/水素と塩酸、水銀/塩化水銀と飽和KCl水溶液などがある。
作用電極2、対極3、基準電極4の形状は、特に限定されるものではないが、例えば板状、管状、棒状、線状、コイル状、メッシュ状等である。対極3は、作用電極2よりも表面積を大きくすることが電気化学上好ましく、対極3の形状は、コイル状、メッシュ状等が好ましい。
試験用の水6と電解液7とは、一般的な電気化学測定に用いられる三電極式電気化学セルのように、電気的な導通をとりつつこれらの液体が交わらないようにすることが好ましい。図1に例示されるように試験水6と電解液7との電気的導通には、例えば塩橋10を用いることができる。塩橋10としては、例えば試験用の水6側がルギン管型であり、管内に水溶液状又はゲル状の塩を封入したものを用いることができる。
電流検知部52は、基準電極4と作用電極2との間に印加された電圧に対する作用電極2と対極3との間の電流値を検知する。基準電極4と作用電極2との間には例えば掃引電圧を印加することができる。この場合には、電流検知部52は、基準電極4と作用電極2との間の電位を掃引したときにおける作用電極2と対極3との間を流れる応答電流を検知して水の銅又は銅合金に対する腐食性の判定を行うことができる。電流検知部52としては例えば電流計である。掃引電圧を印加する場合には、腐食性判定装置1は、掃引電源51を備えることができる。掃引電源51は、基準電極4と作用電極2との間の電位を掃引することができる。
所定電位以上では作用電極2に腐食が発生し易くなるため、掃引電圧を印加する場合には、掃引方向は、例えば負側から正側のように、低電位から高電位であることが好ましい。この場合には、より明確な腐食性の判定を行うことができる。
掃引速度は、例えば50mV/min〜1500mV/minである。より短時間で検出を行うという観点から、掃引速度は、100mV/min〜1500mV/minであることが好ましく、1000mV/min〜1500mV/minであることがより好ましい。掃引電位範囲は、例えば−0.3V〜+1.0Vである。孔食し易さを判定するための電流値の変化を迅速に把握するという観点からは、掃引電位範囲は−0.2V〜+0.8Vであることが好ましい。上記電流値の変化をより精度高く判定するという観点からは、掃引電位範囲は−0.2V〜+1.0Vであることが好ましい。
また、掃引電源51に代えて図示を省略する定電圧電源を用いてもよい。この場合には、電位を掃引せずに基準電極4と作用電極2との間に定電圧を印加した時における作用電極2と対極3との間を流れる電流値を電流検知部52が検知することより、腐食性の判定を行うことができる。定電圧電源は、基準電極4と作用電極2との間に定電圧を印加する電源である。定電圧を印加する場合には、水の腐食性の有無をより明確に判定するという観点から、電圧値の範囲は0.3〜0.4Vであることが好ましい。電圧の印加時間は、例えば1分以内でも十分に判定が可能である。
また、掃引電源51に代えて図示を省略する定電流電源を用い、電流検知部52に代えて図示を省略する電位差検知部を用いてもよい。この場合には、作用電極2と対極3との間に定電流を流した時における基準電極4と作用電極2との間の電位差Vを電位差検知部が検知することより、腐食性の判定を行うことができる。電位差検知部としては例えば電圧計である。定電流電源は、作用電極2と対極3との間に定電流を流す電源である。定電流を流す場合には、水の腐食性の有無をより明確に判定するという観点から、電流値の範囲は、1×10-6Acm-2〜1×10-4Acm-2であることが好ましく、1×10-6Acm-2〜1×10-5Acm-2であることがより好ましい。電流を流す時間は、例えば1分以内でも十分に判定が可能である。なお、本明細書において、電流値は電流密度と同義である。
掃引電源51及び電流検知部52としては、これらを兼ね備える電気化学分析装置5を用いることができる。このような電気化学分析装置5としては、例えばポテンショスタット/ガルバノスタットを用いることができる。ポテンショスタット/ガルバノスタットには、さらに定電圧電源、定電流電源、電位差検知部などの機能も兼ね備えるものがあり、この場合には、これらの機能を切り替えて使用することができる。
本実施形態の腐食性判定方法及び腐食性判定装置1においては、図1〜図3に例示されるように少なくとも表面にスズを含有する作用電極2を用いている。そのため、上記のごとく基準電極4と作用電極2との間に掃引電圧を印加したときにおける作用電極2と対極3との間を流れる電流値Iを検知すると、銅又は銅合金に対して腐食が発生する水と腐食が発生しない水との間で、後述の実験例において詳説する図4及び図5に例示されるように電流値Iの変動に明確な違いがある。
具体的には、所定の電位差においてアノード電流が急激に上昇し、このアノード電流が急激に上昇するときの基準電極4と作用電極2との電位差が低い場合に腐食が発生する水と判定し、大きい場合に腐食の発生がない水と判定することができる。さらに、スズを含有する作用電極2を用いているため、アノード分極曲線の不働態電位域が広く、腐食開始時における不働態電位域からの電流値Iの変動が大きい。そのため、腐食開始時点が明確になり、水の銅又は銅合金に対する腐食性の判定を明確に行うことができる。なお、不働態電位域とは、後述の実験例で示すアノード分極曲線において、電流がほとんど変化しない電位域のことをいう。なお、電位域とは、基準電極4の電位に対する作用電極2の電位の幅である。
また、本実施形態においては、作用電極2、対極3、及び基準電極4を用いた電気化学的手法により腐食性の判定を行うため、短時間での判定が可能である。また、試験用の水6に薬剤などの添加剤を添加する必要がないため、判定に用いた試験用の水6を廃液として処理する必要がない。
以上のように、本実施形態の腐食性判定方法及び腐食性判定装置によれば、試料水を廃液として処理する必要が無く、銅又は銅合金に対する水の腐食性を短時間で明確に判定することができる。なお、本発明は、本実施形態や以下の実験例に限定されるものではなく、本発明の作用効果を損ねない限り種々の変更が可能である。例えば、作用電極2と基準電極4との間に定電圧を印加したときにおける作用電極2と対極3との間を流れる電流値Iを検知することにより、腐食性の判定を行うことも可能である。また、対極3と作用電極2との間に定電流を流したときにおける作用電極2と基準電極4との間の電位差Vを検知することより、腐食性の判定を行うことも可能である。
(実験例1)
本例は、作用電極の種類を代えて水の腐食性の判定を比較評価する例である。評価には、作用電極として材質の異なる電極を用いた点を除いては実施形態1と同様の構成の腐食性判定装置を用いた。本実験例において使用した詳細な装置構成は以下の通りである。本例においても図1を参照して説明する。
具体的には、腐食性判定装置1の作用電極2の材質として、銅よりなる素地にスズよりなるメッキ膜が施されたスズめっき銅、スズ、又は銅をそれぞれ用いた。対極3としては、コイル状の白金を用いた。作用電極2と対極3とを浸漬する水6としては、3ヶ月の浸漬により銅管に対して孔食が発生することが予め確認された水を用いた。
基準電極4としては、Ag/AgClを用いた。基準電極4を浸漬する電解液7としては飽和塩化カリウム水溶液を用いた。
塩橋10は、作用電極2側がルギン管型で、先端にガラスフィルタが設けられたガラス管であり、管内には硫酸ナトリウム水溶液が封入されている。このような塩橋10を用いることにより、試験用の水6と電解液7を電気的につなぎながら、両者が混ざらないようにすることできると共に、試験用の水6に塩橋10内の塩(本例では硫酸ナトリウム)が入りにくくすることができる。
掃引電源51及び電流検知部52を備える電気化学分析装置5としては、ポテンショスタットを用いた。このポテンショスタットの掃引電源51により、基準電極4と作用電極2との間を低電位から高電位まで掃引し、作用電極2と対極3との間の電流値Iを検知し、図4に示されるアノード分極曲線を得た。図4において、横軸は、基準電極(SSE)に対する作用電極の電位(単位:V)を示し、縦軸は、電流密度(電流値)の対数を示す。
図4に示されるように、作用電極として、スズ(Sn)からなる電極、スズめっき銅(Sn−Cu)からなる電極を用いた場合には、作用電極の電位に関係なく50mV程度まで1×10-8A/cm2〜1×10-6A/cm2の範囲で電流値がほぼ一定の値をとる不働態化挙動を示した後、電流が急激に流れる。この電流が急激に流れ始める電位(50mV)が作用電極における腐食開始時点となる。一方、作用電極として銅(Cu)を用いた場合には、電流の急激な上昇は認められるものの不働態化挙動がほとんど確認されないため、腐食開始時点が不明確であった。腐食開始時点が明確になるためには、不働態電位域が30mV以上の電位範囲に存在することが好ましく、50mV以上の電位範囲に存在することがより好ましく、100mV以上の電位範囲に存在することがさらに好ましい。
このように、少なくとも表面にスズを含有する作用電極を用いることにより、アノード分極曲線の不働態電位域が広くなり、腐食開始時点が明確になることがわかる。さらに、腐食開始時点においては、不働態化挙動から電流値Iの変動が大きく、急上昇している。そのため、たとえば腐食開始時点における電位が明確になり、この電位に基づいて後述の実験例2に示すように腐食性の判定を明確に行うことができる。なお、アノード分極曲線における腐食開始時点とは、不働態化領域に連続して起こる電流上昇の開始時点を意味する。具体的には、例えば電位の変化量に対して電流値Iの上昇が実質的にない又は電位の変化量に対する電流値Iの上昇割合が小さい不働態化領域から、電流値が急激に上昇に転じるときの開始点のことである。この電流値の急上昇は、攻撃性アニオンが不働態皮膜を破壊し,局所的な活性溶解が起こっていることを示している。すなわち、孔食などの腐食が発生することにより電流値が急上昇する。
(実験例2)
本例は、実験例1において腐食開始時点が明確であることが明かとなったスズめっき銅からなる作用電極を用いて、実際に水の腐食性の判定を行う例である。
まず、3ヶ月間の浸漬により銅管に対して孔食が発生することが予め確認された4種類の水(具体的には試験水1〜4)と、孔食の発生のない2種類の水(具体的には試験水5及び6)を準備した。各試験水1〜6には、例えばSO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、Cl-等のアニオンが含まれており、そのアニオン組成が異なる。そして、これらのアニオンのうち、例えばCl-のような攻撃性の高いアニオンの含有量が高い水では銅、銅合金に対する腐食が起こり易くなる。
本例においては、作用電極としてスズめっき銅を用い、実験例1と同様にして、各試験水1〜6のアノード分極曲線を得た。各試験水1〜6のアノード分極曲線を図5に示す。
図5に示されるように、いずれの試験水においても、アノード分極曲線における不働態電位域が広く、その後に電流値が急上昇していた。したがって、腐食開始時点における電位が明確であった。腐食開始時点の電位を以下「腐食開始電位」という。各試験水の腐食開始電位を以下の表1に示す。
Figure 2018091796
表1に示されるように、銅に対して腐食性を有する試験水1〜4は、腐食性のない試験水5及び6に比べて腐食開始電位が低い。したがって、基準電極4と作用電極2との間に掃引電圧を印加し、作用電極2と対極3との間の電流値Iを検知し、アノード分極曲線における腐食開始電位から腐食性の有無を判定することができる。判定は、腐食開始電位の閾値に基づいて行うことができる。表1においては、例えば腐食開始電位の閾値を好ましくは300mV、より好ましくは350mV、さらにより好ましくは400mVに設定することができる。
このように、腐食開始電位の閾値を設定し、この閾値よりも腐食開始電位が低い場合には、腐食性があると判定し、高い場合には、腐食性がないと判定できる。
1 腐食性判定装置
2 作用電極
3 対極
4 基準電極
51 掃引電源
52 電流検知部
6 試験用の水
7 電解液

Claims (7)

  1. 銅又は銅合金に対する水の腐食性を判定する方法であって、
    少なくとも表面にスズを含有する作用電極と、対極と、基準電極とを有する三電極式電気化学セルの上記作用電極と上記対極とを試験用の水に浸漬し、上記基準電極を電解液に浸漬し、
    上記基準電極と上記作用電極との間に掃引電圧又は定電圧を印加したときにおける上記作用電極と上記対極との間を流れる電流値I、又は上記対極と上記作用電極との間に定電流を流したときにおける上記作用電極と上記基準電極との間の電位差Vを検知する、水の腐食性判定方法。
  2. 上記作用電極がスズ又はスズ合金からなる、請求項1に記載の水の腐食性判定方法。
  3. 上記作用電極が、銅、銅合金、鉄鋼、ステンレス鋼、又は樹脂からなる素地と、該素地上に形成されたスズからなるめっき膜とを有する、請求項1に記載の水の腐食性判定方法。
  4. 試験用の水に浸漬される作用電極及び対極と、
    電解液に浸漬される基準電極と、
    上記基準電極と上記作用電極との間に印加された電圧に対する上記作用電極と上記対極との間の電流値Iを検知する電流検知部、及び上記作用電極と上記対極との間を流れる定電流に対する上記基準電極と上記作用電極との間の電位差Vを検知する電位差検知部の少なくとも一方と、を備える三電極式電気化学セルからなり、
    上記作用電極が少なくとも表面にスズを含有する、水の腐食性判定装置。
  5. 上記電流検知部は、上記基準電極と上記作用電極との間の掃引電圧に応答する電流値、又は上記基準電極と上記作用電極との間に印加された定電圧に対する電流値を検知する、請求項4に記載の水の腐食性判定装置。
  6. 上記作用電極がスズ又はスズ合金からなる、請求項4又は5に記載の水の腐食性判定装置。
  7. 上記作用電極が、銅、銅合金、鉄鋼、ステンレス鋼、又は樹脂からなる素地と、該素地上に形成されたスズからなるめっき膜とを有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の水の腐食性判定装置。
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