JP2015224388A - 長周期積層構造マグネシウム合金および製造方法 - Google Patents

長周期積層構造マグネシウム合金および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Y(イットリウム)を用いずにGd(ガドリニウム)を用いる長周期積層構造マグネシウム合金であって、製造コストを低減できる長周期積層構造マグネシウム合金と製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の長周期積層構造マグネシウム合金は、全体に対して、0.2原子%〜3.0原子%の亜鉛(以下、「Zn」)と、全体に対して、0.4原子%〜6.0原子%の希土類金属(以下、「RE」)であって、ガドリニウム(以下、「Gd」)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一つと、残部のマグネシウム(以下、「Mg」)と、不可避混合物を含む、Mg−Zn−RE系であると共に長周期積層構造を有するマグネシウム合金であって、Mg、ZnおよびREを溶融して溶融金属を生成する溶融工程と、溶融金属を、所定条件で冷却する冷却工程と、冷却工程の後で溶融金属が固化する固化工程と、の工程で製造され、所定条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つを基準とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、長周期積層構造を有するマグネシウム合金であって、低コストで製造される長周期積層構造マグネシウム合金および製造方法に関する。
電気製品、自動車や航空機などの輸送機器、精密機器、製造機械など、様々なアプリケーションにおいて筐体などを構成するために種々の金属素材が用いられる。このような様々なアプリケーションの筐体などは、鉄やアルミなどの単一金属素材で形成されるだけでなく、様々な合金素材が用いられることが多くなってきている。
例えば、電気製品や輸送機器などにおいては、軽量化を目的として、合金素材が用いられることがある。精密機器や製造機械などにおいては、耐久性や強度の向上を目的として合金素材が用いられることがある。このように、従来の単一金属素材が使用されていたアプリケーションやそのアプリケーションの構成部分においても、種々の合金素材が用いられるようになってきている。特に、電気製品の分野では使い勝手の良さが求められることから、輸送機器の分野では低燃費が求められることから、軽量でありながら耐久性や強度に優れた合金素材が、これらのアプリケーションの構成部分に使用されることが多くなってきている。
このような軽量でありながら耐久性や強度に優れた合金素材として、近年長周期積層構造を有するマグネシウム合金が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示される長周期積層構造を有するマグネシウム合金(以下、長周期積層構造マグネシウム合金)という)は、マグネシウムおよび亜鉛に加えてイットリウム(原子記号「Y」)をその合金製造の原料の一つに用いる。この長周期積層構造マグネシウム合金は、従来のマグネシウム合金と同様に軽量でありながら、従来のマグネシウム合金よりもはるかに高い耐久性や強度を有することができる。このため、軽量性と強度との両立が求められている、上述の電気製品、輸送機器、あるいは精密機器などの様々なアプリケーションへの適用が望まれている。
長周期積層構造マグネシウム合金は、これらマグネシウム、亜鉛、イットリウムが溶融釜に投入されて溶融され攪拌等で均一化されることで得られる。このとき、溶融釜での溶融および均一化の後で、介在物を除去した上で、冷却によって、長周期積層構造マグネシウム合金鋳塊が製造される。
一方、特許文献1に開示される長周期積層構造マグネシウム合金は、イットリウムを原料に用いる。このイットリウムは、コストが高い。また、イットリウムは、マグネシウムや亜鉛よりも比重が大きいので、合金製造における溶融金属の段階で、溶融釜の中で均一に混ざりにくい問題を生じさせる。
例えば、溶融釜を用いた製造においては、当然に容量の大きな溶融釜で製造することが、製造コストおよび製造工程削減にとって効率的である。しかしながら、長周期積層構造マグネシウム合金を製造する上記の3種類の原料のうち、イットリウムは、(1)比重が大きく、溶融釜で溶融と攪拌を行った後でも溶融釜の底部に偏析しやすい傾向を有する、(2)空気に触れると酸化しやすく酸化イットリウムが発生しやすい。また、この酸化イットリウムは、比重の関係から、溶融釜にある溶融金属のどの位置に移動してしまうかがわかりにくい、などの問題も有している。これらの問題は、溶融釜が大きければよりシビアな問題として発生しやすい。
このイットリウムに起因する上記の問題を放置した状態で、大きな溶融釜で原料を溶融および攪拌した後の工程で冷却して鋳塊を得ても、全体として均一な成分を有する長周期積層構造マグネシウム合金を得ることは難しい。溶融釜が大きければ大きいほど、均一な成分を有する長周期積層構造マグネシウム合金を製造することが難しければ、長周期積層構造マグネシウム合金の製造コストを低減できず、様々なアプリケーションに適用することが難しくなってしまう。製造コストが高ければ、当然に長周期積層構造マグネシウム合金の単価が上昇して、部材費を安くしなければならない様々なアプリケーションでの適用がコスト面で難しくなるからである。
逆に、製造コストすなわち長周期積層構造マグネシウム合金の単価を下げるために、溶融釜を大きくすると、上述のような均一性の低い長周期積層構造マグネシウム合金となってしまう可能性もある。均一性が低ければ、その軽量性と強度との両立が、適用されるアプリケーションの構成部分において実現できない可能性もある。
このように、イットリウムを用いる長周期積層構造マグネシウム合金は、溶融金属の製造および溶融金属の均一化などの工程で、様々な工夫やノウハウを必要とする。この結果、イットリウムを用いる長周期積層構造マグネシウム合金の製造コストが高まる問題がある。
上述したように、長周期積層構造マグネシウム合金の適用が求められる電子機器や輸送機器の分野は、機器としての低コストが求められる。このため、部材の一つである長周期積層構造マグネシウム合金は、低コストに製造されることが必要である。
このため、イットリウムを用いずに長周期積層構造マグネシウム合金を製造する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
再表2005−52203号公報 特開2009−221579号公報
特許文献2は、長周期積層構造マグネシウム合金を得るのに際して、イットリウムの代わりに、Gd(ガドリニウム)を用いる技術を開示する。Gd以外にも、Tb(テルビウム)、Tm(ツリウム)などが用いられる。すなわち、特許文献2に開示されるマグネシウム合金は、Mg、Zn、Gdを原料としている。
加えて、特許文献2に開示されるマグネシウム合金では、長周期積層構造を実現するために、次のような製造工程を必要とする。
まず、Mg,Zn、Gdなどの原料を溶融して溶融金属を生成し、更にこれを固化する鋳造工程を経て鋳造体を製造する。この鋳造体に熱を加えて溶体化処理する溶体化工程が加えられる。溶体化した鋳造体に、所定条件で熱処理を行う第1熱処理工程を付与する。次いで、第1熱処理工程の後に、別の所定条件での熱処理を行う第2熱処理工程を付与する。
このような2段階の熱処理工程を経ることで、特許文献2に開示されるマグネシウム合金は、長周期積層構造を発現させることができる。
イットリウムの代わりにガドリニウムが用いられることは、長周期積層構造のマグネシウム合金の製造において熱処理を通じて長周期積層構造を発現させることができる。特に、ガドリニウムが使用される場合には、長周期積層構造が、マグネシウム合金の中で均一的かつ分散して発現しやすい。このため、ガドリニウムが用いられる長周期積層構造マグネシウム合金は、マグネシウム合金の強度を向上させる相である長周期積層構造の相が、満遍なく発現して、より強度、耐久性、加工性の高いものとなる。
また、ガドリニウムを用いることで、β’相の発現も可能となり、強度の向上がより適切に図られるメリットがある。
しかしながら、特許文献2に開示されるマグネシウム合金は、長周期積層構造を発現させるために、2段階の熱処理工程である、第1熱処理工程と第2熱処理工程を必要とする。この2つの熱処理工程を必要とすることは、製造における手間とコストが掛かることを意味する。
特に、熱処理は、鋳造体の外部から所定条件に収まるように加熱を行う必要がある。所定条件に収まるように加熱を行う制御は、非常に細かな作業が必要となる。この細かな作業を正確に行うことは、装置や作業の手間やコストを必要とする。
また、熱処理を行うためには加熱装置が必要である。鋳造体の外部から熱を加える加熱装置は、鋳造体の数や大きさに合わせて大型化する必要がある。もちろん、上述の通り、細かな制御を必要とする加熱装置は、複雑化することにもなり、加熱装置そのものの導入コストやランニングコストが高くなることもある。
このように、特許文献2に開示されるマグネシウム合金は、2段階の熱処理工程を必要とすることで、結果的に得られる長周期積層構造マグネシウム合金の製造コストを増加させる問題を有していた。
長周期積層マグネシウム合金の製造コスト(結果として商品コスト)が高くなる事は、長周期積層マグネシウム合金の様々な機器への適用を困難とする問題も生じさせる。
本発明は、上記課題に鑑み、Y(イットリウム)を用いずにGd(ガドリニウム)を用いる長周期積層構造マグネシウム合金であって、製造コストを低減できる長周期積層構造マグネシウム合金と製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の長周期積層構造マグネシウム合金は、全体に対して、0.2原子%〜3.0原子%の亜鉛(以下、「Zn」)と、
全体に対して、0.4原子%〜6.0原子%の希土類金属(以下、「RE」)であって、ガドリニウム(Gd)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一つと、
残部のマグネシウム(以下、「Mg」)と、
不可避混合物を含む、Mg−Zn−RE系であると共に長周期積層構造を有するマグネシウム合金であって、
Mg、ZnおよびREを溶融して溶融金属を生成する溶融工程と、
溶融金属を、所定条件で冷却する冷却工程と、
冷却工程の後で溶融金属が固化する固化工程と、の工程で製造され、
所定条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つを基準とする。
本発明の長周期積層構造を有するマグネシウム合金は、余分な熱処理工程を不要として、長周期積層構造を発現することができる。この結果、製造コストを低減できる。
長周期積層構造マグネシウム合金の製造コストが低減できることで、長周期積層構造マグネシウム合金を様々な機器に適用することが容易となる。これも相まって、スケールメリットにより、長周期積層構造マグネシウム合金のコストを低下させることができる。
本発明の従来技術における溶融釜へ原料を投入している状態を示す模式図である。 本発明の参考技術における溶融金属を収容している溶融釜の模式図である。 参考技術における長周期積層構造マグネシウム合金の製造工程を加熱の観点から説明するグラフである。 この鋳造期間で得られた鋳造合金のSEM写真である。 この(2)でのマグネシウム合金の写真である。 この第2熱処理工程である高温化熱処理工程が終わった後の、マグネシウム合金のSEM写真である。 本発明の実施の形態におけるマグネシウム合金の溶融のための原料投入を示す説明図である。 本発明の実施の形態における溶融釜100で加熱を受けて原料が溶けた溶融金属を収容している状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態における冷却工程を示す模式図である。 本発明の実施の形態におけるマグネシウム合金の製造方法のフローである。 従来技術と実施の形態との製造工程を比較する製造工程フローである。 本発明の実施の形態における製造されたマグネシウム合金のSEM写真である。 本発明の実施の形態における冷却工程での温度変化曲線の一例を示すグラフである。
本発明の第1の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金は、全体に対して、0.2原子%〜3.0原子%の亜鉛(以下、「Zn」)と、
全体に対して、0.4原子%〜6.0原子%の希土類金属(以下、「RE」)であって、ガドリニウム(以下、「Gd」)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一つと、
残部のマグネシウム(以下、「Mg」)と、
不可避混合物を含む、Mg−Zn−RE系であると共に長周期積層構造を有するマグネシウム合金であって、
Mg、ZnおよびREを溶融して溶融金属を生成する溶融工程と、
溶融金属を、所定条件で冷却する冷却工程と、
冷却工程の後で溶融金属が固化する固化工程と、の工程で製造され、
所定条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つを基準とする。
この構成により、従来技術のように、鋳造合金を製造した後で、さらに溶体化処理や熱処理工程を経ることなく、ガドリニウムを原料とする長周期積層構造マグネシウム合金を製造できる。
本発明の第2の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第1の発明に加えて、溶融工程から固化工程は、鋳造に基づく製造工程である。
この構成により、鋳造工程の中で全ての工程を含めることで、長周期積層構造マグネシウム合金が得られる。
本発明の第3の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第1または第2の発明に加えて、温度変化は、冷却開始温度と冷却終了温度の範囲であり、冷却開始温度は、略700℃であり、冷却終了温度は、略350℃である。
この構成により、冷却条件による冷却工程により、マグネシウム合金は長周期積層構造を発現できる。
本発明の第4の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第3の発明に加えて、温度変化は、冷却開始温度から冷却終了温度までにおいて、温度低下期間および温度維持期間を含む。
この構成により、段階的な温度低下による冷却工程により、長周期積層構造が発現しやすくなる。
本発明の第5の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第4の発明に加えて、温度低下期間および温度維持期間の少なくとも一方は、複数である。
この構成により、段階的な冷却条件によって、より効率的かつ確実に長周期積層構造が発現しやすくなる。
本発明の第6の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第4または第5のいずれかの発明に加えて、温度維持期間は、溶融金属が350℃以上500℃以下の範囲である場合に設定される。
この構成により、長周期積層構造が発現しやすい
本発明の第7の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第5または第6のいずれかの発明に加えて、複数回の温度低下期間が設定される場合において、第1温度低下期間の冷却速度と、第2温度低下期間の冷却速度は異なる。
この構成により、溶融金属の量や添加される希土類金属などの組成比に応じて、最適な条件で長周期積層構造が発現できる。
本発明の第8の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、固化工程では、溶融金属を水冷する。
この構成により、長周期積層構造を発現した状態で、固化したマグネシウム合金が得られる。
本発明の第9の発明に係る長周期積層構造マグネシウム合金では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、固化工程の後に、長周期積層構造に加えて、β’相を有する。
この構成により、より強度の高いマグネシウム合金が得られる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(参考例:従来技術の説明)
ガドリニウムを用いて長周期積層構造マグネシウム合金を製造する従来技術での参考例を説明する。
図1は、本発明の従来技術における溶融釜へ原料を投入している状態を示す模式図である。図1に示されるように溶融釜100に長周期積層構造マグネシウム合金の鋳造用の溶融金属に必要となる原料が投入される。ここでは、一例として、マグネシウム(Mg)と亜鉛(Zn)とガドリニウム(Gd)が、原料として溶融釜100に投入される。
原料としてのマグネシウム、亜鉛、ガドリニウムは、例えば地金であったり市販の粒状金属であったりする。このような原料が、必要な組成に合わせて溶融釜100に投入される。
溶融釜100は、外部から加熱されることで、収容している原料の各金属を溶融させる。溶融釜100は、適宜攪拌作業をうけることで、収容している内部の溶融金属を均一化できるようにする。例えば、溶融釜100に攪拌棒が設置されて、人的作業もしくは機械作業によって溶融釜100内部の溶融金属が攪拌される。
図2は、溶融釜100内部で加熱によって溶融した各原料が混ざり合った溶融金属10を示している。図2は、本発明の参考技術における溶融金属を収容している溶融釜の模式図である。溶融釜100の内部で、加熱によって原料が溶けて、溶融金属10が収容された状態となる。この状態となるのに合わせて、攪拌棒などで攪拌されると、均一化にちかづいた溶融金属10が、溶融釜100内部に収容される。
次いで、この溶融釜100のままで冷却されることで、固化した鋳造合金が得られる。あるいは、溶融釜100から別の鋳造用の容器に溶融金属10が移されて、当該鋳造用の容器が冷却されて固化されてもよい。
まず、溶融釜100で生成される溶融金属10は、この時点では長周期積層構造が発現していない。この固化されて得られる鋳造合金は、更に加熱を受ける。この処理を溶体化処理という。固体である鋳造合金が、加熱可能な容器に収容される。この加熱可能な容器に外部から加熱を施される。あるいは、皿などの容器の上に設置されて、プラズマ放電や加熱レーザーなどの加熱処理を受けてもよい。
このように、固化して得られる鋳造合金は、再び加熱を受けて、溶体化される。加熱を受けた鋳造合金は、溶体化した鋳造材となる。この溶体化した鋳造体に、2段階の熱処理工程が行われて、最終的なマグネシウム合金が得られる。この最終的なマグネシウム合金が、長周期積層構造を発現する。
図3は、参考技術における長周期積層構造マグネシウム合金の製造工程を加熱の観点から説明するグラフである。
図3のグラフに示されるように、図1に示される各種原料が投入されて加熱される期間は、鋳造期間である。温度変化では、加熱によって温度が上がり、溶融釜100内部の原料が溶融される。この溶融によって溶融金属10が得られる。図3のグラフの鋳造期間で温度が維持されている期間は、この溶融金属10が攪拌等されている期間である。
次いで、溶融釜100の温度が低下される。温度が低下されることで、溶融金属10が固化して、固化した鋳造金属が得られる。図3のグラフの鋳造期間における温度が低下している期間に、この溶融金属10の固化が行われて鋳造金属が得られる。
図4は、この鋳造期間で得られた鋳造合金のSEM写真である。すなわち、図3のグラフの鋳造期間の最後での(1)のタイミングで得られる鋳造合金のSEM写真である。
図4のSEM写真からわかる通り、鋳造工程のみによって得られる鋳造合金では、長周期積層構造が発現していない。この状態の鋳造合金は、マグネシウムを含むマグネシウム合金であるが、強度や耐久性を生じさせる長周期積層構造を発現できていない。
一方で、固化された鋳造合金は、加熱されて溶体化処理される。図3のグラフにおける溶体化処理が、この溶体化の工程である。溶融期間における加熱よりは低い熱によって加熱される。この加熱によって、鋳造合金は、溶体化処理がなされる。
溶体化処理において、加熱によって溶体化された後で、再び図3のグラフの通り温度が低下される。温度が低下することで、溶体化されていたマグネシウム合金は、再び冷却される。図3のグラフにおいて(2)は、この溶体化処理(第1熱処理工程)完了時を示す。
図5は、この(2)でのマグネシウム合金の写真である。
図5においては、図4の鋳造合金の場合と異なり、僅かではあるが長周期積層構造の発現が見られる。第1熱処理工程を経ることで、一度製造された鋳造合金に長周期積層構造が発現することが分かる。但し、第1熱処理工程のみでは、まだ長周期積層構造の発現量は少ない。
この第1熱処理工程を経たマグネシウム合金は、第2熱処理工程を施される。すなわち、図3に示される高温化熱処理工程である。溶体化処理よりも低い温度での加熱による第2熱処理工程が、この高温化熱処理工程である。
高温化熱処理工程によって、結晶構造の成長などが、マグネシウム合金内部で促される。
図6は、この第2熱処理工程である高温化熱処理工程が終わった後の、マグネシウム合金のSEM写真である。図6の写真から明らかな通り、第2熱処理工程を経たマグネシウム合金は、長周期積層構造を発現している。この発現状態であれば、強度や耐久性に優れている長周期積層構造マグネシウム合金としての利用が可能である。
このようにして、溶融金属10を製造してから、溶体化処理である第1熱処理工程と高温化熱処理である第2熱処理工程を経て、初めて長周期積層構造の発現した、長周期積層構造マグネシウム合金が製造される。
参考技術として挙げた従来技術の製造方法では、長周期積層構造マグネシウム合金を得るには、溶融金属10の後に、2回ものの冷却と加熱の第1熱処理工程と第2熱処理工程を経る必要があり、工程の手間やコスト(工程管理の手間も大きい)が増加する問題を有している。
なお、必要に応じて、参考技術で製造された長周期積層構造マグネシウム合金は、押出加工などによって、棒材や角材とされる。
(全体概要)
実施の形態に係るマグネシウム合金は、参考技術での鋳造合金を得た後での第1熱処理工程と第2熱処理工程を簡略化することで、製造工程の手間とコストを削減することを目的とする。この削減にも係らず、長周期積層構造を発現させることを目的としている。
図7は、本発明の実施の形態におけるマグネシウム合金の溶融のための原料投入を示す説明図である。図1の場合と同じように、溶融釜100に原料となる素材が投入される。ここでは、全体に対して0.2原子%〜3.0原子%の亜鉛、全体に対して0.4原子%〜6.0原子%の希土類金属(RE)と、残部のマグネシウムが、溶融釜100に投入される。ここで、希土類金属の一例として、ガドリニウムが投入されている。
また、希土類金属としては、ガドリニウム以外に、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)が挙げられる。但し、実施の形態における製造工程によって長周期積層構造を発現しやすいのは、テルビウム(Tb)が適当である。
亜鉛、ガドリニウム、マグネシウムのそれぞれの原料は、板状部材の状態であったり、粒状部材の状態であったりする。それぞれの原料が上記の組成比となるように計量される。計量された上で、それぞれの原料は溶融釜100に投入される。
ここで、溶融釜100は、その形状や大きさは様々でよい。ただ、溶融釜100で投入された原料が溶融された後で、所定の冷却工程を経ることで長周期積層構造マグネシウム合金が得られる。このため、得たい長周期積層構造マグネシウム合金の形状や大きさに合わせて、溶融釜100の形状や大きさが選択されればよい。
なお、溶融釜100には、上述の通り亜鉛、ガドリニウム(希土類金属)、マグネシウムが所定の組成比に基づいて投入されるが、製造上において不可避に混入してしまう不可避混合物が含まれてしまうこともありえる。このため、最終的に得られる長周期積層構造マグネシウム合金が、不可避混合物を含んでいることを除外するものではない。
溶融釜100に亜鉛、ガドリニウム(RE)、マグネシウムが投入されて加熱されることで溶融金属20が得られる。図8は、本発明の実施の形態における溶融釜100で加熱を受けて原料が溶けた溶融金属を収容している状態を示す模式図である。溶融金属20が、溶融釜100内部に収容された状態となる。
溶融釜100で各原料が溶融して溶融金属20が生じると、攪拌棒や攪拌装置などが用いられて攪拌される。各原料が均一となりやすいように混ぜることが適当だからである。また、必要に応じて、目視できる不純物が取り除かれることもある。
このように、実施の形態における長周期積層構造マグネシウム合金は、まず、原料である亜鉛、ガドリニウム(RE)、マグネシウムを溶融釜100で溶融して溶融金属20を生成する溶融工程を経る。溶融工程を経ることで、必要な原料が混合されて溶融した溶融金属20が、溶融釜100内部に生成される。
なお、溶融釜100が用いられるのではなく、最終的に製造したい長周期積層構造マグネシウム合金の形状に合わせた特殊な溶融容器が用いられてもよい。例えば、予め押出加工に用いることが容易な円筒状の溶融容器が用いられてもよい。
次いで、溶融工程で得られた溶融金属20が所定条件で冷却される冷却工程が施される。図9は、本発明の実施の形態における冷却工程を示す模式図である。溶融金属20を収容する溶融釜100が外部から冷却される。例えば、溶融釜100そのものが構造体として冷却機能を有しており、この冷却機能に基づいて溶融金属20を冷却してもよい。
あるいは、溶融釜100の外部から図9の矢印に示されるような冷却機能を受けて、溶融金属20を冷却してもよい。例えば、溶融釜100の外部に冷却装置が取り付けられて溶融釜100の外部から冷却されてもよい。あるいは、溶融釜100が、冷却液(例えば液体窒素など)を収容した容器に装入されて冷却されても良い。
いずれにしても、溶融釜100が冷却されることで、収容されている溶融金属20が冷却される冷却工程が施される。なお、後述するように冷却工程では、所定の冷却条件で冷却されることが必要である。
この冷却工程によって、溶融釜100内部の溶融金属20は、固化する。すなわち、固化工程を経る。この固化工程によって、溶融金属20は固化してマグネシウム合金となる。
ここで、参考技術の場合には、冷却条件を考慮せずに単純に冷却するだけであったので、冷却されて固化されて得られる固化したマグネシウム合金は、いわゆる鋳造された鋳造合金に過ぎない。図4の写真に示されるように、参考技術である従来方法の鋳造合金は、長周期積層構造を生じさせていない。
これに対して、実施の形態におけるマグネシウム合金の製造では、冷却工程において所定の冷却条件を前提とする。冷却条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つを基準とする。この冷却条件に従って溶融釜100に収容されている溶融金属20を冷却すると、溶融金属20は、固化工程の中で、長周期積層構造を発現する。
すなわち、実施の形態におけるマグネシウム合金は、参考技術で説明した従来技術のように、溶融金属を一度固化して鋳造合金にした後で、溶体化処理、再度の加熱処理といった2段階の熱処理を必要としない。これらの2段階の熱処理を必要とすることなく、溶融金属20を生成する溶融釜100のままで、長周期積層構造を発現することができる。
図7〜図9に示されるとおり、溶融釜100で生成された溶融金属20は、冷却工程と固化工程を経るだけで、Mg−Zn−RE系であると共に長周期積層構造を有する長周期積層構造マグネシウム合金が製造される。
従来技術のような2段階の余分な熱処理工程を必要としないので、製造の手間およびコストを大きく低減できる。もちろん、製造期間を短縮できるので、この点でも製造コストを低減できる。更には、鋳造合金を製造した後で、この鋳造合金を取り出して別の冶具などに移設するなどの手間も無いので、製造装置に係るコストも低減できる。もちろん、装置同士の移設などの作業における作業ミスも防止できるメリットがある。
なお、溶融工程から固化工程に至る工程は、従来技術に照らすと、鋳造に基づく(鋳造を想定した)工程である。
この実施の形態におけるマグネシウム合金の製造方法を、参考技術での従来技術の製造方法と比較する。図10は、本発明の実施の形態におけるマグネシウム合金の製造方法のフローである。
図10は、図3と対比させた状態を示している。従来技術では図3に示されるとおり、鋳造合金を製造した後で、更に2段階の熱処理を必要とする。これに対して、図10に示される本発明の実施の形態1におけるマグネシウム合金の製造方法は、鋳造段階での冷却工程と固化工程のみで、長周期積層構造を得ることができる。すなわち、余分な2段階の熱処理工程を必要としない。
この余分な2段階の熱処理工程を必要としないことは、作業時間、手間、コスト、作業ミスの低減との大きなメリットを生じさせる。
図11は、従来技術と実施の形態との製造工程を比較する製造工程フローである。
従来技術では、鋳造における溶湯処理をして鋳造合金を得た後に、更に2段階の熱処理を必要としている(溶体化処理と熱処理)。これに対して、実施の形態におけるマグネシウム合金の製造方法では、鋳造が完了したところで、全ての工程が終了している。この最終工程が完了したところで、実施の形態のマグネシウム合金は、長周期積層構造を発現している。図11からも明らかな通り、実施の形態におけるマグネシウム合金の製造方法は、従来技術よりも簡略化されている。
この実施の形態において製造されたマグネシウム合金は、従来技術の2段階の熱処理工程を経ずに、長周期積層構造を発現する。図12は、本発明の実施の形態における製造されたマグネシウム合金のSEM写真である。
図12の写真から明らかな通り、実施の形態の製造方法で製造されたマグネシウム合金は、強度や耐久性のキーとなる長周期積層構造が発現している。これは、従来技術の第2熱処理工程を経て得られる従来技術のマグネシウム合金と相違ない。
すなわち、図12の実験結果の写真からも明らかな通り、実施の形態におけるマグネシウム合金は、鋳造後の2段階の熱処理工程を経ることなく、長周期積層構造を有するマグネシウム合金を得ることができる。
(組成比)
ここで、実施の形態における長周期積層構造を有するマグネシウム合金は、亜鉛、希土類金属(RE)、マグネシウムをその原料とする。上述の通り、不可避に混合されてしまう不可避混合物を除外するものではない。
亜鉛は、原料全体に対して、0.2原子%〜3.0原子%である。ガドリニウムを始めとするREは、原料全体に対して0.4原子%〜6.0原子%である。残部が、マグネシウムである。
この組成比で原料が溶融釜100に投入されて図11に開示される製造工程(溶融工程、冷却工程、固化工程)によって、長周期積層構造を有するマグネシウム合金が得られる。
なお、ここで説明した組成比は、本発明をなす過程で得られた知見に基づくものである。このため、製造工程の条件(特に冷却条件)について、更なる知見が進む中で、この組成比以外の組成比が発見される可能性もある。このため、実施の形態においては、上記の組成比が、図11の製造方法で長周期積層構造を有するマグネシウム合金を得るのに最適であるが、厳密にこの組成比のみに限定されるものではない。
また、希土類金属であるREは、上記の組成比であり、REがガドリニウムである場合でも同様である。他のREが使用される場合には、組成比は、上記範囲でありつつ他のREが使用されれば良い。
(冷却条件)
実施の形態における長周期積層構造マグネシウム合金および長周期積層マグネシウム合金の製造方法は、従来技術と異なり、溶融釜100で溶融されて鋳造される際に、冷却工程での冷却条件を適切にすることで、余分な熱処理工程を経ずに、長周期積層構造を発現させることができる。
ここで、冷却条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つ(もちろん、これらの組み合わせも含む)を含む。
(温度変化)
例えば、冷却条件の一つである温度変化は、溶融金属20の冷却開始温度と冷却終了温度の範囲によって定められる。ここで、実施の形態におけるマグネシウム合金(および製造方法)での冷却開始温度は、略700℃である。さらに、冷却終了温度は、略350℃である。冷却開始温度が略750℃であり、冷却終了温度が略350℃であることで、冷却条件が適切となる。温度変化としては略400℃の温度変化であり、この温度変化(差分)によって、溶融金属20を冷却する冷却工程を経ることで、従来技術のいわゆる鋳造段階での冷却に比較して、ゆっくりとしたかつ温度管理された冷却工程が実現される。
この冷却開始温度と冷却終了温度による温度変化の冷却条件によって、固化して鋳造合金を得た後の、余分な熱処理工程を経ることなく、長周期積層構造が発現する。
ここで、この冷却開始温度と冷却終了温度の間における温度変化では、徐々に温度を低下させることが一つとしては好適である。一気に温度変化の範囲で温度を低下させるのではなく、徐々に温度を低下させることで、長周期積層構造を発現させることができるからである。
また、冷却工程における温度変化の範囲が、この略700℃の冷却開始温度と略350℃の冷却終了温度で定められることで、単純に冷却する場合と異なり、冷却工程によって、長周期積層構造が発現する。
このように、冷却工程における冷却条件の一つである温度変化の範囲あるいは冷却開始温度や冷却終了温度を定義することで、従来のような余分な熱処理工程を経ることなく、溶融金属20からの凝固のみで、長周期積層構造が発現する。
(温度変化のさせ方)
また、冷却工程においては、冷却開始温度から冷却終了温度までにおいて、温度が実際に低下している温度低下期間および温度が維持される温度維持期間を含むことも好適である。
冷却工程においては、温度変化の幅や開始温度などの制御も、長周期積層構造の発現には有効である。この温度変化の幅などだけでなく、冷却工程における温度低下の温度変化曲線も、長周期積層構造の発現には重要である。
図13は、本発明の実施の形態における冷却工程での温度変化曲線の一例を示すグラフである。図13のグラフの横軸は、時間を示している。図13のグラフの縦軸は、温度を示している。
縦軸の温度においては、冷却開始温度の略700℃と冷却終了温度の350℃が示されている。この2つの温度範囲において、冷却工程は溶融金属20を冷却する。
この冷却温度の温度範囲における温度変化は、単調の温度低下であってもよいが、図13に示されるように、温度が低下する温度低下期間と温度が維持される温度維持期間とが混在していてもよい。図13のグラフにおいては、700℃から温度が低下する第1温度低下期間、第1温度低下期間の後で温度が維持される第1温度維持期間、第1温度維持期間の後で温度が低下する第2温度低下期間、第2温度低下期間の後で温度が維持される第2温度維持期間、第2温度維持期間の後で温度が低下する第3温度低下期間が示されている。
単調かつ一定に温度が低下するのではなく、温度が低下する温度低下期間と温度が維持される温度維持期間とが混在することで、溶融金属20が冷え固まる間に、結晶が成長しやすくなる。この結晶の成長が促される中で、長周期積層構造が発現する。
このように、冷却条件の一つである温度変化や冷却時間は、温度低下期間と温度維持期間とを含むことで、マグネシウム合金の長周期積層構造を発現させることができる。
ここで、温度維持期間は、温度を厳密に一定に保つことに限られない。積極的に温度を変化させない状態を含む。このため、自然現象的に不可避な温度変化が生じることを、温度維持期間は含むことに差し支えない。
温度低下期間は、温度低下速度が様々に設定される。温度低下速度は、亜鉛、ガドリニウム(希土類金属)、マグネシウムの組成比や、製造される溶融釜100の大きさなどのパラメータによって適宜定められればよい。
図13では、温度低下期間が、第1温度低下期間〜第3温度低下期間の3回である。また、温度維持期間は、第1温度維持期間〜第2温度維持期間の2回である。これらの回数は一例であり、温度低下期間および温度維持期間のそれぞれが複数回であってもよいし単数回であってもよい。
なお、温度低下期間および温度維持期間の少なくとも一方が複数回であることで、溶融金属20の冷却工程がより細かに行われる。この細かな温度変化の調節により、溶融金属20の冷却工程において、長周期積層構造がより確実かつ大きく発現しやすくなる。
また、図13において温度低下期間は、第1温度低下期間、第2温度低下期間および第3温度低下期間の3回が設けられている。温度低下期間が複数回も受けられる場合でも、3回は例示であり、2回であっても4回以上であってもよい。
また、第1温度低下期間〜第3温度低下期間のそれぞれの低下の傾き(低下する温度範囲と時間範囲のそれぞれ)は、適宜定められれば良い。
例えば、最初の温度低下期間である第1温度低下期間では、より大きな温度
幅の温度低下が実現されてもよい。一方で、第2温度低下期間および第3温度低下期間では、第1温度低下期間よりも小さな温度幅での温度低下が実現されてもよい。このように、最初の第1温度低下期間における温度低下の幅が、他の温度低下期間よりも大きいことで、長周期積層構造の発現と製造期間の短縮化とのバランスが図られる。
あるいは、逆に、後半の第2温度低下期間や第3温度低下期間の温度低下の温度幅が大きいことでもよい。長周期積層構造の発現がより容易となりうるからである。
また、第1温度低下期間〜第3温度低下期間においては、低下する温度幅だけでなく、温度低下に必要とする時間が様々に制御されてもよい。例えば、同じ温度幅であっても、温度低下に要する時間を長くしたり短くしたりすることで、長周期積層構造の発現と製造容易性とのバランスを取ることができる。
また、温度低下に要する時間は、温度低下の幅との関係で定まることも適当である。すなわち、温度低下期間における温度低下速度によって、長周期積層構造の発現と製造容易性のバランスを取ることもできる。例えば、ある温度においては(第1温度低下期間〜第3温度低下期間のいずれかにおいて)、温度低下速度が大きいことが、長周期積層構造の発現に好ましいこともある。
逆に、第1温度低下期間〜第3温度低下期間のいずれかにおいて、温度低下速度が小さいことで、長周期積層構造の発現に好ましいこともありえる。更には、第1温度低下期間〜第3温度低下期間のそれぞれで、温度低下速度が異なることも適当である。温度低下速度が異なることで、長周期積層構造の発現がより適切になることもありえるからである。
例えば、第1温度低下期間での温度低下速度、第2温度低下期間での温度低下速度および第3温度低下期間での温度低下速度のそれぞれあるいはいずれかは、異なってもよい。
一方で、温度維持期間も、維持される温度や維持される時間の調整によって、長周期積層構造の発現や製造容易性とのバランスを取ることができる。
一例として、温度維持期間は、溶融金属20が、350℃以上500℃以下の範囲である場合に設定される。この温度範囲において温度維持期間が設定されれば、図12に示されるような長周期積層構造が発現しやすいからである。
また、温度維持期間の時間も様々に調整されれば良い。これは温度低下期間の低下温度幅や温度低下速度との相関関係で定められれば良い。例えば、温度低下速度が速い場合には、温度維持期間の維持時間が長くされるなどの調整がなされればよい。
あるいは、図13のように複数の温度維持期間である第1温度維持期間と第2温度維持期間とが設けられる場合には、第1温度維持期間での維持時間と第2温度維持期間での維持時間とが異なってもよい。もちろん同じでもよい。
維持される温度、温度維持に入る前の温度変化、温度維持に入る前の温度変化速度などのパラメータに基づいて、第1温度維持期間での維持時間と第2温度維持期間での維持時間がそれぞれ異なるように調整されても良い。これらの調整も、長周期積層構造の発現や製造工程の容易性などとのバランスを取るためである。
以上のことから、この冷却工程においては次のパラメータが調整されて、長周期積層構造の発現や製造の容易性(確実性)が実現される。
(1)冷却開始温度と冷却終了温度の値
(2)冷却開始温度と冷却終了温度の差分値
(3)冷却開始温度から冷却終了温度までの温度低下時間
(4)冷却開始温度から冷却終了温度までの温度低下速度あるいはその平均値
(5)冷却開始温度から冷却終了温度までの、温度低下期間と温度維持期間の分割
(6)温度低下期間と温度維持期間の回数
(7)温度低下期間の開始温度、終了温度、低下させる温度幅
(8)温度低下期間のそれぞれの低下時間
(9)温度低下期間のそれぞれの温度低下速度
(10)温度低下期間のそれぞれの温度低下時間や温度低下速度の相違
(11)温度維持期間のそれぞれの維持温度
(12)温度維持期間のそれぞれおの維持時間
(13)温度維持期間のそれぞれの維持時間の相違
(14)温度低下期間および温度維持期間のそれぞれの順番
もちろん、これ以外にもパラメータが設定されればよい。
実施の形態におけるマグネシウム合金およびこの製造方法は、溶融釜100で得られた溶融金属20を、固化してから次の熱処理工程をへることなく、溶融金属20をそのまま冷却工程を経てこれらのパラメータ調整を行うことで、長周期積層構造を発現できる。
また、冷却においては、溶融釜100がそのまま冷却されたり、外部からの冷却機能が付与されたりすればよい。このような冷却方式も、種々選択されればよいものである。
(固化工程)
冷却工程に次いで、最終的に溶融金属20を固化して長周期積層構造マグネシウム合金とする固化工程が最後に行われる。
固化工程は、冷却工程の最終段階での冷却が進むことで、溶融金属20が固化する。あるいは、冷却工程の最後に更に低い温度での冷却機能が付与されることで、溶融金属20が固化する。
冷却工程と固化工程が相まって、固化して得られるマグネシウム合金は、確実に長周期積層構造を発現する。加えて、固化して得られるマグネシウム合金は、長周期積層構造に加えて、β相やβ´相を発現する。これらが相まって、最終的に得られる長周期積層構造マグネシウム合金は、高い強度と耐久性を有する。
固化工程は、溶融釜100がそのまま水冷されるなどして実現されればよい。
もちろん、溶融釜100から冷却工程で一定の固形化に近づいた溶融金属20が、別の容器に取り出されて、最終の冷却による固化工程を受けてもよい。
以上のように、実施の形態における長周期積層構造マグネシウム合金は、従来技術のような鋳造後に溶体化処理、熱処理といった余分な2段階の熱処理を経ることなく、長周期積層構造を発現させることができる。ガドリニウムを用いたタイプの長周期積層構造マグネシウム合金において、簡便かつ短時間での製造が可能となる。
なお、ここでは、希土類金属REとしてガドリニウムを例として説明したが、他にテルビウム(Tb)が用いられてもよい。
(長周期積層構造マグネシウム合金製造方法)
上述した通り、長周期積層構造マグネシウム合金は、原料全体に対して0.2原子%〜3.0原子%の亜鉛、原料全体に対して0.4原子%〜6.0原子%のガドリニウム(RE)および残部のマグネシウムとを、溶融釜100などに投入する。
投入においては、この組成比率となるように計量したそれぞれの原料が投入される。
溶融釜100は、外部に装着される加熱装置からの熱を受ける、もしくは内部に実装する加熱装置からの熱を受けることによって、内部に収容している原料を加熱出来る。この加熱によって、内部の原料は溶融して溶融金属20が生成される。
溶融金属20は、攪拌されたり不純物が取り除かれたりして、均一化が図られる。溶融金属20が溶融釜100内部で生成されることで、原料同士が混ざり合った状態となる。
溶融金属20は、外部からもしくは溶融釜100によって冷却工程を受ける。冷却工程では、上述した通りの冷却条件で冷却される。冷却条件に基づいた冷却工程の中で、長周期積層構造が発現する。また、β相なども発現する。
更には、固化工程を受ける。固化工程によって、物理的には固化したマグネシウム合金が生成される。更には、内部組織としては、長周期積層構造が十分に発現して、強度や耐久性に優れた長周期積層構造マグネシウム合金が実現できる。
以上のように、実施の形態における長周期積層構造マグネシウム合金の製造方法は、従来技術で必要となっていた鋳造合金を製造した後での溶体化処理などの余分な熱処理工程を必要としない。この結果、より簡便且つ低コストで、長周期積層構造マグネシウム合金を製造できる。
また、冷却工程でのパラメータを制御するだけでよいので、様々な制御上のノウハウを多く必要としない。結果として、再現性も高く、より容易に長周期積層構造マグネシウム合金を製造することができる。
なお、図12の写真で示されるマグネシウム合金は、全体に対して、97原子%のマグネシウム、1.0原子%の亜鉛、2.0原子%のガドリニウムの組成比で製造されている。この製造工程においては、鋳造工程での冷却工程で、最初の溶融金属が得られる溶解温度が700℃である。この700℃から400℃までに、冷却速度を、300℃/5時間としている。その後に、外部からの水冷で冷却を行って得られたマグネシウム合金である。
このような冷却工程と固化工程(特に、冷却工程での冷却温度範囲と冷却速度が制御されることで)、図12の写真に見られるような長周期積層構造マグネシウム合金が製造される。これは、従来技術のような余分な2段階の熱処理を不要としており、製造工程の簡素化とコスト削減を両立できる。
なお、実施の形態1で説明された長周期積層構造マグネシウム合金は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
100 溶融釜
10、20 溶融金属

Claims (13)

  1. 全体に対して、0.2原子%〜3.0原子%の亜鉛(以下、「Zn」)と、
    全体に対して、0.4原子%〜6.0原子%の希土類金属(以下、「RE」)であって、ガドリニウム(以下、「Gd」)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一つと、
    残部のマグネシウム(以下、「Mg」)と、
    不可避混合物を含む、Mg−Zn−RE系であると共に長周期積層構造を有するマグネシウム合金であって、
    前記Mg、前記Znおよび前記REを溶融して溶融金属を生成する溶融工程と、
    前記溶融金属を、所定条件で冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程の後で前記溶融金属が固化する固化工程と、の工程で製造され、
    前記所定条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つを基準とする、長周期積層構造マグネシウム合金。
  2. 前記溶融工程から前記固化工程は、鋳造に基づく製造工程である、請求項1記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  3. 前記温度変化は、冷却開始温度と冷却終了温度の範囲であり、前記冷却開始温度は、略700℃であり、前記冷却終了温度は、略350℃である、請求項1または2記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  4. 前記温度変化は、前記冷却開始温度から前記冷却終了温度までにおいて、温度低下期間および温度維持期間を含む、請求項3記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  5. 前記温度低下期間および前記温度維持期間の少なくとも一方は、複数である、請求項4記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  6. 前記温度維持期間は、前記溶融金属が350℃以上500℃以下の範囲である場合に設定される、請求項4または5記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  7. 複数回の前記温度低下期間が設定される場合において、第1温度低下期間の前記冷却速度と、第2温度低下期間の前記冷却速度は異なる、請求項5または6記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  8. 前記固化工程では、前記溶融金属を水冷する、請求項1から7のいずれか記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  9. 前記固化工程の後に、前記長周期積層構造に加えて、β’相を有する、請求項1から8のいずれか記載の長周期積層構造マグネシウム合金。
  10. 長周期積層構造を有するマグネシウム合金の製造方法であって、
    全体に対して、0.2原子%〜3.0原子%のZnと、
    全体に対して、0.4原子%〜6.0原子%のREであって、ガドリニウム(以下、「Gd」)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一つと、
    残部のマグネシウムMgと、不可避混合物と、を溶融して溶融金属を生成する溶融工程と、
    前記溶融金属を、所定条件で冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程の後で前記溶融金属が固化する固化工程と、を備え、
    前記所定条件は、温度変化、冷却時間、冷却速度および冷却方式の少なくとも一つを基準とする、長周期積層構造マグネシウム合金の製造方法。
  11. 前記温度変化は、冷却開始温度と冷却終了温度の範囲であり、前記冷却開始温度は、略700℃であり、前記冷却終了温度は、略350℃である、請求項10記載の長周期積層構造マグネシウム合金の製造方法。
  12. 前記温度変化は、前記冷却開始温度から前記冷却終了温度までにおいて、温度低下期間および温度維持期間を含む、請求項11記載の長周期積層構造マグネシウム合金の製造方法。
  13. 前記温度低下期間および前記温度維持期間の少なくとも一方は、複数である、請求項12記載の長周期積層構造マグネシウム合金の製造方法。
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