JP2015223887A - 車両用灯具システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用灯具の新たな使い方を提供する。
【解決手段】
本発明のある態様の車両用灯具システム1は、投光領域を変更可能な車両用灯具と、車両内に設けられて搭乗者に操作され、搭乗者が任意に定める視認目標に投光領域が重なるよう、投光領域の変更を指示するための操作部200と、操作部200の操作に応じて投光領域の変更を制御する配光制御部310と、停車中のみに配光制御部310による投光領域の変更を許可する制御許可部320と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】
本発明のある態様の車両用灯具システム1は、投光領域を変更可能な車両用灯具と、車両内に設けられて搭乗者に操作され、搭乗者が任意に定める視認目標に投光領域が重なるよう、投光領域の変更を指示するための操作部200と、操作部200の操作に応じて投光領域の変更を制御する配光制御部310と、停車中のみに配光制御部310による投光領域の変更を許可する制御許可部320と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は車両用灯具システムに関し、特に自動車などの車両に用いられる車両用灯具システムに関する。
従来、車両の走行状況に対応してランプ光の照射方向を追従変化させる適応照明システム(AFS:Adaptive Front-lighting System)が知られている(例えば、特許文献1参照)。AFSでは、操舵角センサの出力に基づいてランプの偏向角度が制御される。
本発明者は、車両用灯具について鋭意研究を重ねた結果、車両用灯具の新たな使い方を見いだした。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具の新たな使い方を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具システムである。当該車両用灯具システムは、投光領域を変更可能な車両用灯具と、車両内に設けられて搭乗者に操作され、搭乗者が任意に定める視認目標に投光領域が重なるよう、投光領域の変更を指示するための操作部と、操作部の操作に応じて投光領域の変更を制御する配光制御部と、停車中のみに配光制御部による投光領域の変更を許可する制御許可部とを備える。この態様によれば、車両用灯具の新たな使い方を提供することができる。
上記態様において、配光制御部は、車両が走行を開始する際に、操作部の操作に応じて変更した投光領域を、所定の車両走行用の投光領域に変更してもよい。これにより、車両用灯具の投光領域を任意に変更したことによる車両運転の安全性の低下をより確実に抑制することができる。また、上記いずれかの態様において、車両用灯具システムは複数の車両用灯具を有し、配光制御部は、一部の車両用灯具の投光領域を変更してもよい。これにより、車両の被視認性確保を図りながら、搭乗者が定める任意の視認目標の被視認性を高めることができる。また、上記いずれかの態様において、光源と、光源の光を灯具前方に走査して投光領域を形成する走査部とを備え、配光制御部は、光源の光量及び走査部の走査範囲の少なくとも一方を変化させることで、投光領域を変更してもよい。これにより、車両用灯具の大型化を抑制することができる。また、上記態様において、光源は、レーザ光源であってもよい。これにより、視認目標の被視認性をより高めることができる。
本発明によれば、車両用灯具の新たな使い方を提供することができる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両用灯具システムの概略構成を示す図である。配光制御ECU300は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
図1は、実施形態1に係る車両用灯具システムの概略構成を示す図である。配光制御ECU300は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
本実施形態に係る車両用灯具システム1は、車両用前照灯100と、操作部200と、配光制御ECU300とを備える。
車両用前照灯100は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する。一対の前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、図1には車両用前照灯100として一方の前照灯ユニットの構造を示す。車両用前照灯100は、第1車両用灯具110と、第2車両用灯具120とを有する。第1車両用灯具110は、ロービーム用配光パターンLo(図3(A)及び図3(B)参照)を形成するための灯具である。ロービーム用配光パターンLoを形成する第1車両用灯具110の構造は公知であるため、その説明を省略する。
第2車両用灯具120は、第1車両用灯具110が形成するロービーム用配光パターンの中心領域に、高光度領域であるホットゾーンを形成する付加配光パターンPa(図3(A)及び図3(B)参照)を形成するための灯具である。また、第2車両用灯具120は、投光領域を変更可能な車両用灯具である。投光領域とは、灯具前方の領域のうち、第2車両用灯具120の光が照射される領域、すなわち、第2車両用灯具120が形成する配光パターンが延在する領域を意味する。
第2車両用灯具120は、ランプボディに対して左右方向及び上下方向に揺動可能に固定される。また、第2車両用灯具120には、第2車両用灯具120を上下方向に揺動させるレベリングアクチュエータ122と、第2車両用灯具120を左右方向に揺動させるスイブルアクチュエータ124とが接続される。第2車両用灯具120は、レベリングアクチュエータ122及び/又はスイブルアクチュエータ124を駆動させることで、その投光領域を変更することができる。レベリングアクチュエータ122及びスイブルアクチュエータ124によって第2車両用灯具120を揺動させる構造は公知であるため、その詳細な説明は省略する。第2車両用灯具120の内部構造については、後に詳細に説明する。
操作部200は、車両内に設けられて搭乗者に操作される。例えば、操作部200はジョイスティック構造を有する。すなわち、操作部200は、搭乗者が把持するグリップ部210を有し、グリップ部210を車体に対して前後左右あるいは上下左右に変位させることができる。グリップ部210はさらに、グリップ部210を中心とする円の周方向にも変位可能であってもよい。操作部200は、グリップ部210が操作されると、グリップ部210の変位方向に応じた操作信号を配光制御部310に出力する。搭乗者は、操作部200を操作することで、第2車両用灯具120の投光領域の変更、より具体的には投光領域の変位方向を指示することができる。これにより、車両用灯具システム1は、搭乗者が任意に定める視認目標に対して、第2車両用灯具120の投光領域を重ねることができる。
配光制御ECU300は、配光制御部310と、制御許可部320とを有する。配光制御部310は、操作部200の操作に応じて第2車両用灯具120の投光領域の変更を制御する。配光制御部310は、操作部200からの操作信号が入力されると、操作信号に応じた駆動信号をレベリングアクチュエータ122及び/又はスイブルアクチュエータ124に出力する。一例として、グリップ部210の前方向、後方向、左方向、右方向への変位と、第2車両用灯具120の投光領域の上方向、下方向、左方向、右方向への変位がそれぞれ対応付けられる。そして、例えばグリップ部210が前方向に変位されると、配光制御部310はレベリングアクチュエータ122に対して、第2車両用灯具120の光軸を、グリップ部210の変位量に応じた量だけ上方向へ変位させる駆動信号を出力する。レベリングアクチュエータ122は受信した駆動信号に基づいて駆動し、第2車両用灯具120の光軸を上方に変位させる。この結果、第2車両用灯具120の投光領域が上方に変位される。
制御許可部320は、配光制御部310による第2車両用灯具120の投光領域の変更を許可あるいは禁止する。具体的には、制御許可部320は、停車中のみに配光制御部310による投光領域の変更を許可する。例えば制御許可部320は、シフトポジションセンサ410から出力される信号に基づいて、車両が停止中であることを判断することができる。制御許可部320は、シフトポジションセンサ410から入力される信号が例えばパーキングポジションあるいはニュートラルポジションを示す信号である場合に車両が停止中であると判断し、配光制御部310に制御許可信号を出力する。制御許可部320は、シフトポジションセンサ410から入力される信号がパーキングポジションあるいはニュートラルポジション以外のポジションを示す信号である場合に車両が走行中であると判断し、制御許可信号の出力を停止する。配光制御部310は、制御許可部320から制御許可信号を受信している間のみ、操作部200から受信する操作信号に基づいて駆動信号を出力する。
また、配光制御部310は、車両が走行を開始する際に、操作部200の操作に応じて変更した第2車両用灯具120の投光領域を、所定の車両走行用の投光領域に変更する。例えば、制御許可部320は、シフトポジションセンサ420から出力される信号がパーキングポジションあるいはニュートラルポジションを示す信号からこれら以外の他のポジションを示す信号へと切り替えられる際に、車両が走行を開始すると判断することができる。制御許可部320は、シフトポジションセンサ420から出力される信号がパーキングポジションあるいはニュートラルポジションを示す信号からこれら以外の他のポジションを示す信号へ切り替わると、制御許可信号の出力を停止する。配光制御部310は、制御許可信号の入力が停止すると、第2車両用灯具120の投光領域が所定の車両走行用の投光領域となるよう、レベリングアクチュエータ122及び/又はスイブルアクチュエータ124に駆動信号を出力する。これにより、搭乗者によって視認目標に重なるよう動かされた第2車両用灯具120の投光領域は、元の位置、すなわち車両走行用の位置に戻される。なお、シフトポジションがパーキングポジションにあるときのみ、車両が停止中であると判断されてもよい。
前記「所定の車両走行用の投光領域」は、第2車両用灯具120が形成する配光パターンが一般的に配置される領域である。本実施形態の第2車両用灯具120はホットゾーン形成用の灯具であるため、第2車両用灯具120における「所定の車両走行用の投光領域」とは、ロービーム用配光パターンLoの中心領域を意味する。配光制御部310は、車両走行用の投光領域についての位置情報を予め有し、この位置情報に基づいて第2車両用灯具120の投光領域を車両走行用の投光領域に戻すことができる。
車両の停止、走行の判断は、シフトポジションセンサ410以外のセンサからの信号に基づいて実施されてもよい。例えば制御許可部320は、車速センサから出力される信号に基づいて、車両の停止、走行を判断することができる。制御許可部320は、車速が所定のしきい値以下、例えば車速ゼロである場合に車両が停止中であると判断し、配光制御部310に制御許可信号を出力する。また、制御許可部320は、車速が所定のしきい値を超えた際に車両が走行を開始すると判断し、制御許可信号の出力を停止する。
図2は、第2車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。第2車両用灯具120は、いわゆるプロジェクタ型の灯具ユニットであり、光源モジュール130(光源)と、リフレクタ160と、シェード部170と、レンズホルダ180と、投影レンズ190とを有する。
光源モジュール130は、投影レンズ190の後方焦点Faよりも灯具後方側に配置される。光源モジュール130は、レーザホルダ131、レーザ光源132、集光レンズ134、発光部材136及びリフレクタ138を有する。
レーザホルダ131は、例えばアルミニウム等の金属で形成される筒状部材であり、レーザ光源132、集光レンズ134、発光部材136及びリフレクタ138を筒の軸AX上に配置して支持する。レーザホルダ131は、筒の一端側の開口部が閉塞されるとともに、閉塞部における筒の軸AXが交わる領域に貫通孔131aを有する。レーザホルダ131は、貫通孔131aがリフレクタ160側を向いた状態でシェード部170に固定される。貫通孔131aには、発光部材136が嵌め合わされる。
レーザ光源132は、例えば、青色レーザ光を出射するレーザダイオード(半導体レーザ)である。レーザ光源132は、その光軸がレーザホルダ131の軸AXと一致した状態で、レーザホルダ131の貫通孔131aとは反対側の端部近傍に固定される。レーザ光源132は、発光面が発光部材136を向いた状態で配置される。なお、第2車両用灯具120の光源は、固体レーザ、ガスレーザ等の他のレーザ装置や、LED等で構成されてもよい。集光レンズ134は、レーザ光源132から出射されるレーザー光が入射するように配置される。
発光部材136は、レーザ光源132から出射されて集光レンズ134によって集光されたレーザ光が入射するように配置される。発光部材136は例えば、レーザ光源132のレーザ光で励起されて発光するYAG蛍光体等で構成することができる。レーザ光源132から出射された青色レーザ光の一部は、発光部材136により黄色光に波長変換され、リフレクタ160側を向く光出射面から出射される。また、残りの青色レーザ光は、発光部材136を通過して光出射面から出射される。発光部材136で生成された黄色光と発光部材136を通過した青色レーザ光とは、混色されて白色光となる。レーザ光源132と発光部材136との組み合わせは、上述したものに限られず、例えば、紫外レーザ光を照射する光源と、紫外レーザ光を青色光に波長変換する青色発光蛍光体、及び紫外レーザ光を黄色光に波長変換する黄色発光蛍光体を含む発光部材との組み合わせであってもよい。
リフレクタ138は、貫通孔138aを有する略筒状の部材であり、貫通孔138aがレーザホルダ131の貫通孔131aと重なるように配置されてレーザホルダ131に固定される。貫通孔138aは、一端側から他端側に向かって直径が大きくなる形状を有し、直径の小さい側の端部が貫通孔131a側に配置される。貫通孔138aの内周面には、アルミ蒸着等の鏡面処理を施してなる反射面が形成される。リフレクタ138を設けることで、灯具前方に照射される光束を増やすことができる。貫通孔138aのリフレクタ160側の端部は、リフレクタ160の第1焦点Fbの近傍に配置される。
リフレクタ160は、略ドーム状の部材であり、光源モジュール130のリフレクタ138上方を覆うように配置される。リフレクタ160は、回転楕円面の一部で構成される反射面162を内側に有する。反射面162は、第1焦点Fbと、第1焦点Fbよりも灯具前方側に位置する第2焦点Fcとを有する。リフレクタ160は、第1焦点Fbが、光源モジュール130が有するリフレクタ138の先端部近傍に位置し、第2焦点Fcが投影レンズ190の後方焦点Faの近傍に位置するように、光源モジュール130及び投影レンズ190との位置関係が定められる。
シェード部170は、投影レンズ190の後方焦点Faからリフレクタ160の第1焦点Fb側に延びる平面部172と、平面部172よりも灯具前方側で光源光の投影レンズ190への入射を遮らないように下方に湾曲した湾曲部174とを有する。シェード部170は、平面部172と湾曲部174とが為す稜線176の近傍に、後方焦点Fa及び第2焦点Fcが位置するように、リフレクタ160及び投影レンズ190との位置関係が定められる。稜線176は、付加配光パターンPaが有するカットオフラインの形状に対応した形状を有する。
レンズホルダ180は、略筒状の部材であり、シェード部170の湾曲部174の先端に一体的に設けられる。なお、レンズホルダ180の構造は特にこれに限定されない。レンズホルダ180の灯具前方側の端部に、投影レンズ190が固定される。投影レンズ190は、灯具前後方向に延びる光軸O上に配置される。投影レンズ190は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点Faを含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方に投影する。
光源モジュール130から出射された光は、リフレクタ160の反射面162で反射され、投影レンズ190の後方焦点Faの近傍を通って投影レンズ190に入射する。投影レンズ190に入射した光は、投影レンズ190から略平行な光として灯具前方に照射される。また、光源光の一部がシェード部170の平面部172上にて反射することにより、稜線176を境界線として光源光が選択的にカットされる。これにより、稜線176の形状に対応するカットオフラインを有する付加配光パターンPa(図3(A)及び図3(B)参照)が、車両前方に投影される。
続いて、実施形態1に係る車両用灯具システム1の動作について詳細に説明する。図3(A)は、車両走行中に形成される配光パターンの一例を示す模式図である。図3(B)は、車両停止中に搭乗者によって第2車両用灯具の投光領域が変更された状態を示す模式図である。図3(A)及び図3(B)では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。
車両走行中は、図3(A)に示すように、第1車両用灯具110によってロービーム用配光パターンLoが形成される。ロービーム用配光パターンLoは、対向車線側と自車線側とに互いに高さ方向にずれた水平カットオフラインを有し、また2つの水平カットオフラインの先端をつなぐ斜めカットオフラインを有する配光パターンである。ロービーム用配光パターンLoの形状は公知であるため、その詳細な説明を省略する。また、第2車両用灯具120によって、ホットゾーン形成用の付加配光パターンPaが形成される。付加配光パターンPaは、ロービーム用配光パターンLoの中心領域に重ね合わされ、これによりロービーム用配光パターンLoにホットゾーンが形成される。ロービーム用配光パターンLo及び付加配光パターンPaが重ね合わされて形成される合成配光パターンは、車両走行中の運転者の視認性を確保するとともに、特に中心領域の視認性を向上させ、且つ前走車や歩行者へ与えるグレアを抑制できる配光パターンである。
車両停止中、搭乗者は、操作部200を操作して付加配光パターンPaを移動させることで、任意の視認目標Tに光を当てることができる。すなわち、搭乗者は、第2車両用灯具120をサーチライトやスポットライトとして利用することができる。ロービーム用配光パターンLoの形成とその位置は維持される。
搭乗者は、例えば夜間において、車両停止中に車両用前照灯の照射範囲から外れる領域に存在する標識や行き先表示板等の視認目標Tを見たい場合がある。従来は、車両が停止している状態で車両用前照灯の照射範囲を自在に変更する手段がなかったため、視認目標Tを見ることができないか、視認目標Tが照射範囲に入るように車両を移動させる必要があった。これに対し、本実施形態の車両用灯具システム1によれば、操作部200によって第2車両用灯具120の投光領域を変更することができるため、簡単に視認目標Tを照らし出すことができる。
また、車両用灯具システム1は複数の車両用灯具を有する。具体的には、第1車両用灯具110及び第2車両用灯具120を有する。そして、配光制御部310は、一部の車両用灯具、すなわち第2車両用灯具120の投光領域を変更する。車両停止中であっても、車両の被視認性の確保等を目的として、車両走行用の投光領域に光を照射しておくべき場合がある。そこで、車両用灯具システム1は、第1車両用灯具110の投光領域を固定し、第2車両用灯具120の投光領域を変更可能とする。これにより、車両の被視認性確保を図りながら、搭乗者が定める任意の視認目標Tの被視認性を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具システム1は、投光領域を変更可能な第2車両用灯具120と、第2車両用灯具120の投光領域の変更を指示するための操作部200と、操作部200の操作に応じて投光領域の変更を制御する配光制御部310と、停車中のみに配光制御部310による投光領域の変更を許可する制御許可部320と、を備える。車両用灯具システム1によれば、搭乗者が操作部200を操作することで、車内に居ながら第2車両用灯具120の照射範囲を任意の方向に動かすことができる。
一般に車両用前照灯は、車両走行に必要な運転者の視界の確保、車両の被視認性の確保、他の車両に対するグレア防止等に基づいて、その照射範囲、すなわち車両走行用の投光領域が決められている。しかしながら、停車中は必ずしも決められた照射範囲を維持し続ける必要はない。そこで、車両用灯具システム1は、停車中は搭乗者が任意の方向に第2車両用灯具120の照射範囲を動かせるようにした。これにより、車両用前照灯100の通常の照射範囲外に視認目標Tが存在しても、簡単に視認目標Tに光を照射して、視認目標Tを目視することができる。したがって、車両用灯具システム1によれば、車両用灯具の新たな使い方を提供することができる。
また、停車中のみに第2車両用灯具120の投光領域の変更を許可することで、車両走行中の運転者の視認性をより確実に確保することができる。これにより、第2車両用灯具120の投光領域を任意に変更可能としたことによる、車両運転の安全性の低下を抑制することができる。
また、配光制御部310は、車両が走行を開始する際に、操作部200の操作に応じて変更した投光領域を所定の車両走行用の投光領域に変更する。すなわち、配光制御部310は、車両の走行開始にともなって第2車両用灯具120の照射範囲を車両走行に必要な範囲に即座に戻す。搭乗者が操作部200を用いて第2車両用灯具120の照射範囲を元に戻す場合、正しい位置に戻せない可能性がある。また、搭乗者が第2車両用灯具120の照射範囲を元に戻し忘れる可能性もある。そこで、本実施形態の車両用灯具システム1では、第2車両用灯具120の照射範囲を自動で元に戻すように構成した。これにより、第2車両用灯具120の投光領域を任意に変更可能としたことによる、車両運転の安全性の低下をより確実に抑制することができる。
また、車両用灯具システム1は複数の車両用灯具、具体的には第1車両用灯具110及び第2車両用灯具120を有する。そして、配光制御部310は、第2車両用灯具120の投光領域を変更する。これにより、車両の被視認性確保を図りながら、搭乗者が定める視認目標Tの被視認性を高めることができる。また、車両用灯具システム1は、付加配光パターンPaに比べて光が拡散されたロービーム用配光パターンLoを固定する。このため、より確実に自車両の被視認性を確保することができる。また、車両用灯具システム1は、ロービーム用配光パターンLoに比べて集光された付加配光パターンPaの投光領域を変更する。これにより、視認目標Tの被視認性をより高めることができる。また、第2車両用灯具120の光源をレーザ光源としているため、局所的な光照射をより簡単に実現することができる。視認目標Tに光を当てる場合、必要とされる照射範囲は比較的狭いことが多い。このため、第2車両用灯具120の光源として、高輝度光源であるレーザ光源132を好適に用いることができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る車両用灯具システムは、第2車両用灯具120の構造が異なる点を除き、実施形態1に係る車両用灯具システム1の構成と概ね共通する。実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。図4は、実施形態2に係る車両用灯具システムにおける第2車両用灯具が備える走査部及び光源モジュールの斜視図である。
実施形態2に係る車両用灯具システムは、第2車両用灯具120の構造が異なる点を除き、実施形態1に係る車両用灯具システム1の構成と概ね共通する。実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。図4は、実施形態2に係る車両用灯具システムにおける第2車両用灯具が備える走査部及び光源モジュールの斜視図である。
実施形態1の車両用灯具システム1では、レベリングアクチュエータ122及びスイブルアクチュエータ124を用いて第2車両用灯具120の投光領域を変更している。これに対し、本実施形態の車両用灯具システム1は、第2車両用灯具120の投光領域を変更するための構成として、光源モジュール130の光を灯具前方に走査して投光領域を形成する走査部500を備る。以下、走査部500について詳細に説明する。
図4に示すように、第2車両用灯具120は、リフレクタ160、シェード部170及び投影レンズ190に代えて、走査部500を備える。走査部500は、光源モジュール130から出射されるレーザ光Wを灯具前方に走査して、所定の配光パターン(図5(A)及び図5(B)参照)を形成するための機構である。走査部500は、ベース502、第1回動体504、第2回動体506、第1トーションバー508、第2トーションバー510、永久磁石512,514、端子部516及び反射鏡518等を有する。
ベース502は、中央に開口部502aを有する枠体であり、車両用前照灯100のランプボディに固定される。ベース502には、所定位置に端子部516が設けられる。開口部502aには、第1回動体504が配置される。第1回動体504は、中央に開口部504aを有する枠体であり、例えば灯具後方下側から灯具前方上側に延在する第1トーションバー508により、ベース502に対し左右(車幅方向)に回動可能に支持される。
第1回動体504の開口部504aには、第2回動体506が配置される。第2回動体506は、矩形状の平板であり、車幅方向に延在する第2トーションバー510により、第1回動体504に対し上下(鉛直方向)に回動可能に支持される。第2回動体506は、第1回動体504が第1トーションバー508を回動軸として左右に回動すると、第1回動体504とともに左右に回動する。第2回動体506の表面には、メッキ又は蒸着等の方法により反射鏡518が設けられる。
ベース502には、第1トーションバー508の延在方向と直交する位置に、一対の永久磁石512が設けられる。永久磁石512は、第1トーションバー508と直交する磁界を形成する。第1回動体504には第1コイル(図示せず)が配線され、第1コイルは端子部516を介して配光制御部310に接続される。また、ベース502には、第2トーションバー510の延在方向と直交する位置に、一対の永久磁石514が設けられる。永久磁石514は、第2トーションバー510と直交する磁界を形成する。第2回動体506には第2コイルが配線され、第2コイルは端子部516を介して配光制御部310に接続される。
第1コイル及び永久磁石512と、第2コイル及び永久磁石514とにより走査用アクチュエータが構成される。走査用アクチュエータは、配光制御部310により駆動が制御される。配光制御部310は、第1コイル及び第2コイルに流れる駆動電圧の大きさと向きを制御する。これにより、第1回動体504及び第2回動体506が左右に往復回動し、また第2回動体506が単独で上下に往復回動する。その結果、反射鏡518が上下左右に往復回動する。なお、第1トーションバー508及び第2トーションバー510の延在方向、第1回動体504及び第2回動体506の回動方向は上述した方向に限定されない。
光源モジュール130から出射されるレーザ光Wは、反射鏡518により灯具前方に反射される。そして、走査部500は、反射鏡518の往復回動によりレーザ光Wで車両前方を走査する。これにより、灯具前方に付加配光パターンPa(図5(A)参照)を形成することができる。
続いて、実施形態2に係る車両用灯具システム1の動作について詳細に説明する。図5(A)は、車両走行中に形成される配光パターンの一例を示す模式図である。図5(B)は、車両停止中に搭乗者によって第2車両用灯具の投光領域が変更された状態を示す模式図である。図5(A)及び図5(B)では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。また、実線は光源モジュール130が点灯しているときの走査の軌跡を示し、破線は光源モジュール130が消灯しているときの走査の軌跡を示す。
配光制御部310(図1参照)は、光源モジュール130の光量の増減を制御する。たとえば、配光制御部310は、光源モジュール130の点灯と消灯とを切り替える。また、配光制御部310は、走査部500を駆動させる駆動信号を端子部516に出力して、反射鏡518の回動を制御する。そして、配光制御部310は、走査部500の駆動と、光源モジュール130の光量の変化、例えば光源モジュール130の点消灯とを組み合わせて、第2車両用灯具120の投光領域を変更する。
車両走行中は、図5(A)に示すように、第1車両用灯具110(図1参照)によってロービーム用配光パターンLoが形成される。また、第2車両用灯具120によって、ホットゾーン形成用の付加配光パターンPaが形成される。具体的には、走査部500は、配光パターンの形成領域よりも広い走査領域SA内をレーザ光Wで走査可能である。配光制御部310は、走査部500によるレーザ光Wの走査位置、言い換えれば反射鏡518の回動位置が、付加配光パターンPaの形成領域に対応する位置にあるとき光源モジュール130を点灯させる。また、反射鏡518の回動位置が付加配光パターンPaの形成領域に対応する位置以外にあるときは、光源モジュール130を消灯させる。これにより、レーザ光Wが付加配光パターンPaの形成領域に配光されて、ロービーム用配光パターンLoの中心領域に付加配光パターンPaが形成される。
また、配光制御部310は、操作部200の操作に応じて形成位置が変位するサーチ用配光パターンPbの位置情報を保持する。車両停止中、搭乗者が操作部200により第2車両用灯具120の投光領域の変更を指示すると、配光制御部310は、付加配光パターンPaに加えてサーチ用配光パターンPbを形成する。これにより、第2車両用灯具120の投光領域は、付加配光パターンPaの形成領域から、付加配光パターンPa及びサーチ用配光パターンPbの形成領域に変化する。また、配光制御部310は、操作部200からの操作信号に基づいて、サーチ用配光パターンPbの位置情報を繰り返し更新する。
そして、配光制御部310は、更新された位置情報に基づいてサーチ用配光パターンPbを形成するための光源モジュール130の点灯タイミングを決定する。配光制御部310は、走査部500の走査位置が付加配光パターンPa及びサーチ用配光パターンPbの形成位置と重なるときに、光源モジュール130を点灯させる。これにより、操作部200の操作に応じてサーチ用配光パターンPbが移動する。したがって、搭乗者は、操作部200を用いて視認目標Tをサーチ用配光パターンPbで照らすことができる。なお、配光制御部310は、操作部200が操作された際にサーチ用配光パターンPbのみを形成してもよい。
実施形態1の第2車両用灯具120のように、灯具全体をアクチュエータで変位させて投光領域を変更する構成では、灯具の変位を許容する空間を確保する必要がある。また、レベリングアクチュエータ122及びスイブルアクチュエータ124の設置スペースも必要である。このため、第2車両用灯具120ひいては車両用前照灯100が大型化してしまうことがある。これに対し、本実施形態の第2車両用灯具120は、走査部500を用いて第2車両用灯具120の投光領域を変更する。このため、灯具全体を変位させる場合に比べて、第2車両用灯具120ひいては車両用前照灯100の大型化を抑制することができる。
また、第2車両用灯具120の光源は、レーザ光源である。このため、高輝度光を視認目標Tに照射することができるため、視認目標Tの被視認性をより高めることができる。また、第2車両用灯具120の光源をレーザ光源としているため、局所的な光照射をより簡単に実現することができる。
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述した各実施形態同士の組み合わせ、及び上述した各実施形態と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
上述した実施形態2では、走査部500の走査範囲が走査領域SAに固定され、光源モジュール130の点消灯が切り替えられることで、第2車両用灯具120の投光領域が変更される。しかしながら、特にこの構成に限定されない。例えば、配光制御部310は、走査部500の走査範囲を変化させることで、第2車両用灯具120の投光領域を変更してもよい。具体的には、車両走行中は、走査部500の走査範囲が付加配光パターンPaの形成領域と重なる範囲に設定され、第2車両用灯具120の点灯状態が維持されて、付加配光パターンPaが形成される。車両停止中、操作部200が操作されると、配光制御部310は操作部200からの操作信号に基づいて、サーチ用配光パターンPbの位置情報を繰り返し更新する。そして、配光制御部310は、更新された位置情報に基づいて、サーチ用配光パターンPbの形成領域と重なるよう走査部500によるレーザ光Wの走査範囲を変更する。これにより、操作部200の操作に応じてサーチ用配光パターンPbを移動させることができる。
また、配光制御部310は、第2車両用灯具120の照射光量の増減と、走査部500の走査範囲の変更とを組み合わせて、第2車両用灯具120の投光領域を視認目標Tに重ね合わせてもよい。したがって、配光制御部310は、光源モジュール130の光量及び走査部500の走査範囲の少なくとも一方を変化させることで、第2車両用灯具120の投光領域を変更することができる。
上述した実施形態2では走査部500が用いられているが、走査部500に代えてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターやDMD(Digital Micromirror Device)等のMEMSデバイス、マトリックスLED、液晶シャッタ、回転式ミラー光学系等を用いてもよい。
操作部200の形状は、上述したジョイスティック構造に限定されない。例えば、操作部200は、第2車両用灯具120の投光領域の移動を指示するボタン型スイッチで構成されてもよい。また車両用灯具システム1は、少なくとも、投光領域を変更可能な第2車両用灯具120を有していれば、車両用灯具の新たな使い方を提供することができる。さらに、投光領域を変更可能な第2車両用灯具120は、車両用前照灯100における一対の前照灯ユニットの両方に設けられてもよいし、いずれか一方のみに設けられてもよい。
上述した実施形態1及び2では、車両停止中にロービーム用配光パターンLoが形成されているが、車両用灯具の新たな使い方を提供する上では、少なくとも付加配光パターンPaが形成されていればよい。また、第1車両用灯具110が形成する配光パターンは、ロービーム用配光パターンLoに限定されない。
1 車両用灯具システム、 110 第1車両用灯具、 120 第2車両用灯具、 132 レーザ光源、 200 操作部、 310 配光制御部、 320 制御許可部、 500 走査部、 T 視認目標、 W レーザ光。
Claims (5)
- 投光領域を変更可能な車両用灯具と、
車両内に設けられて搭乗者に操作され、前記搭乗者が任意に定める視認目標に前記投光領域が重なるよう、前記投光領域の変更を指示するための操作部と、
前記操作部の操作に応じて前記投光領域の変更を制御する配光制御部と、
停車中のみに前記配光制御部による前記投光領域の変更を許可する制御許可部と、
を備えることを特徴とする車両用灯具システム。 - 前記配光制御部は、車両が走行を開始する際に、前記操作部の操作に応じて変更した投光領域を、所定の車両走行用の投光領域に変更する請求項1に記載の車両用灯具システム。
- 車両用灯具システムは複数の車両用灯具を有し、
前記配光制御部は、一部の車両用灯具の投光領域を変更する請求項1又は2に記載の車両用灯具システム。 - 光源と、
前記光源の光を灯具前方に走査して前記投光領域を形成する走査部と、を備え、
前記配光制御部は、前記光源の光量及び前記走査部の走査範囲の少なくとも一方を変化させることで、前記投光領域を変更する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用灯具システム。 - 前記光源は、レーザ光源である請求項4に記載の車両用灯具システム。
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CN113568164B (zh) * | 2020-04-28 | 2024-05-03 | 船井电机株式会社 | 移动体用投光装置 |
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