JP2015223584A - 太陽光反射ミラーの洗浄方法及びその洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できる太陽光反射ミラーの洗浄方法及びその洗浄装置を提供することである。
【解決手段】太陽光反射ミラー10の洗浄方法であって、洗浄液(水など)と研磨材(、二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムなど)とを前記太陽光反射ミラー10の表面に吐出するプロセスと、前記洗浄液を用いて、前記研磨材を前記太陽光反射ミラー10の表面から除去するプロセスと、を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽光反射ミラーの洗浄方法及びその洗浄装置に関する。より詳しくは、太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できる太陽光反射ミラーの洗浄方法及びその洗浄装置に関する。
太陽光を用いた発電装置としては、太陽光を直接電力に変換する太陽電池、太陽光反射ミラーを用いて太陽光を集光し、得られた熱を媒体として発電する太陽熱発電装置等が知られている。
太陽熱発電装置によれば、得られた熱を蓄熱することにより、昼夜を問わず発電が可能である。長期的に見れば、太陽熱発電装置は、発電効率が太陽電池よりも高いため、太陽光を有効に利用できる。
この太陽熱発電装置は、砂漠地帯で利用されることが多い。
しかしながら、屋外に設置される太陽光反射ミラーには砂塵等の汚れが付着しやすく、この汚れが、反射率を低下させ、ひいては太陽熱発電装置の発電効率を低下させる原因となっていた。
特に、砂漠地帯における砂塵由来の汚れは、通常の汚れと異なり、強固な砂の膜を形成して太陽光反射ミラーの表面に固着する。これは、昼夜の温度差が大きい砂漠地帯において太陽光反射ミラーの表面に結露が生じることが原因の一つと考えられている。
具体的には、太陽光反射ミラーの表面に結露が生じると、当該表面上に堆積した砂塵由来の物質(例えば、NaCl、CaCO、SiO等)及び大気中の汚染物質(例えば、SiO等)等が結露に溶け込んで反応し、不溶性の塩を形成する。その後、水分が蒸発し、残った不溶性の塩及び砂塵粒子が凝集し、強固な砂の膜を形成する。
そこで、汚れによる反射率の低下を抑えるために、表面の防汚性に優れた太陽光反射ミラーにより、強固な砂の膜の形成を防ぐことが検討されている。
例えば、太陽光反射ミラーの最表面に光触媒を含有する層を備えて、付着した有機物を分解する太陽光反射ミラーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
他にも、太陽光反射ミラーの表面に、親水性ポリマー、金属アルコキシド化合物、コロイダルシリカを含有する親水性層を設け、汚れが付着しにくく、洗浄が容易な太陽光反射ミラーも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、汚れによる反射率の低下を抑えるには、太陽光反射ミラーの表面を定期的に洗浄する必要がある。
そこで、表面の防汚性だけでなく、表面の清浄度を高める洗浄方法についても検討されている。
例えば、ナノバブルを用いて、表面を傷付けずに、固着した汚れを容易に洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、前記光触媒による汚れの分解速度は、砂の膜が形成される速度に比べて遅い。このため、最表面に光触媒を含有する層を備える太陽光反射ミラーであっても、砂漠地帯における屋外のような過酷な環境下では、やはり表面に汚れが堆積してしまう。
また、親水性層によれば、降雨があると水が濡れ広がって表面から汚れが洗い流されるが、降雨の少ない砂漠地帯ではこのような自浄作用は期待できない。このため、表面に親水性層を設けた太陽光反射ミラーであっても、やはり定期的な洗浄作業が必要である。
このように、砂漠地帯における屋外のような過酷な環境下では、単に、太陽光反射ミラーの表面に防汚性を備えさせるだけでは、汚れの堆積を十分に防ぐことができなかった。
また、ナノバブルのような洗浄効果の高い洗浄方法を用いても、高い反射率を維持するためには、頻繁に太陽光反射ミラーを洗浄する作業を行う必要があり、洗浄負荷は従来のものと余り変わらなかった。
そこで、ブラシなどで拭き取ることで太陽光反射ミラーの表面から汚れを除去することが考えられる。
しかしながら、従来のブラシで洗浄する場合、ブラシ繊維との摩擦により、太陽光反射ミラーに傷が入ってしまい、この結果、高い反射率を維持できないという問題が生じてしまう。
国際公開2011/078024号 特開2012−8166号公報 特開2013−139958号公報
本発明は、前記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できる太陽光反射ミラーの洗浄方法及びその洗浄装置を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく、前記問題の原因等について検討する過程において、ブラシを用いず、洗浄液と研磨材とを洗浄面に吐出することで太陽光反射ミラーを洗浄すれば、太陽光反射ミラーの表面にブラシによる摩擦が生じず、この結果、太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る前記課題は、以下の手段により解決される。
1.太陽光反射ミラーの洗浄方法であって、
洗浄液と研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスと、
前記洗浄液を用いて、前記研磨材を前記太陽光反射ミラーの表面から除去するプロセスと、を有することを特徴とする太陽光反射ミラーの洗浄方法。
2.前記太陽光反射ミラーが、樹脂フィルム上に少なくとも太陽光の反射層を有するフィルム状のミラーであることを特徴とする第1項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
3.前記研磨材が、二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムのいずれかを合計で、少なくとも80体積%以上含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
4.前記研磨材の粒子径が、0.01〜0.5mmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
5.前記洗浄液と前記研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスにおいて、
洗浄液吐出軸と当該洗浄液吐出軸が前記太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度が、少なくとも5°以上あることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法を用いる太陽光反射ミラーの洗浄装置であって、
前記洗浄液と前記研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段と、
前記洗浄液を用いて、前記研磨材を前記太陽光反射ミラーの表面から除去する手段と、
を有することを特徴とする太陽光反射ミラーの洗浄装置。
本発明の上記手段により、太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できる太陽光反射ミラーの洗浄方法及びその洗浄装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
上述のように、太陽光反射ミラーの洗浄に従来のブラシを用いた場合、ブラシによる摩擦で、太陽光反射ミラーの表面に傷が入ってしまう。
そこで、本発明者は、ブラシを用いることなく洗浄する方法を検討した結果、洗浄面に対し、洗浄液を吐出しつつ研磨材も吐出することで、高度に洗浄できる太陽光反射ミラー洗浄方法を提供できることを見いだし、本発明に至った。
このような洗浄方法であれば、太陽光反射ミラーの表面がブラシによる摩擦によって傷つくことなく、太陽光反射ミラーを高度に洗浄できる。
また、本発明者は、二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムからなる粒子径0.01〜0.5mmの範囲内の研磨材を使用することで、より太陽光反射ミラーを傷付けることなく、高度に洗浄できることを見いだした。
特に、樹脂材料で形成される樹脂フィルム上に、少なくとも太陽光の反射層を有するフィルム状のミラーに対して本発明の洗浄装置を適用した場合、研磨材の衝突エネルギーが樹脂フィルムに吸収されるため研磨材によるへこみ等の発生を抑制でき、この結果、より太陽光反射ミラーが傷付くことがないため好ましい。
太陽光反射ミラーの構成の一例示す断面図 太陽光反射ミラーの洗浄装置と太陽熱発電装置との一例を示す概略図 太陽光反射ミラーの洗浄装置の一例を示す構成図 洗浄液吐出ヘッドの一例を示す底面概略図 洗浄液吐出軸とミラー法線とのなす角度を示す説明図
本発明の太陽光反射ミラーの洗浄方法は、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスと、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去するプロセスと、を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、太陽光反射ミラーが、樹脂フィルム上に少なくとも太陽光の反射層を有するフィルム状のミラーであることが、傷付きを更に抑制できるため好ましい。
また、本発明においては、前記研磨材が、二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムのいずれかを合計で、少なくとも80体積%以上含有したものであると、洗浄性がより向上し、かつ、傷付きを更に抑制できるため、好ましい。
さらに、本発明に係る研磨材の粒子径が、0.01〜0.5mmの範囲内であると、洗浄性がより向上し、かつ、傷付きを更に抑制できるため、好ましい。
また、本発明においては、前記洗浄液と前記研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスにおいて、
洗浄液吐出軸と当該洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度が、少なくとも5°以上あると、洗浄性がより向上し、かつ、傷付きを更に抑制できるため、好ましい。
さらに、本発明の太陽光反射ミラーの洗浄方法は、太陽光反射ミラーの洗浄装置に好適に用いられる。
当該太陽光反射ミラーの洗浄装置は、本発明の太陽光反射ミラー洗浄方法を用いており、前記洗浄液と前記研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段と、
前記洗浄液を用いて、前記研磨材を前記太陽光反射ミラーの表面から除去する手段と、を有することが好ましい。
これにより、太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できる太陽光反射ミラーの洗浄装置を提供することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[太陽光反射ミラーの洗浄方法の概要]
本発明の太陽光反射ミラーの洗浄方法は、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスと、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去するプロセスと、を有することを特徴とする。
(洗浄液)
洗浄液としては、水の他、水を主成分とする液体が好ましく用いられる。水を主成分とするとは、固体成分を除く液体成分のうち、水の含有量が30〜100質量%の範囲内にあることをいう。
水は砂漠地帯では貴重な資源であるが、太陽熱発電装置において発電時に生じる蒸気を利用することができる。また、水は、その成分自体が太陽光反射ミラー10の表面を汚染するものではなく、太陽光反射ミラー10の反射率を低下させて発電効率を低下させる等の弊害をほとんど生じさせない。よって、水は、太陽光反射ミラー10の表面を清浄化する液体として好都合である。
水を主成分とする液体には、汚れの付着の防止及び汚れの除去を容易にする観点から、有機溶剤、界面活性剤、塩類、酸・塩基類、樹脂、繊維及び粒子状物質等の添加剤を含有することもできる。添加剤には特に制限はないが、水と相溶する添加剤が好ましい。
水を主成分とする液体が含有できる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール及びプロピレングリコール等のアルコール類並びにアセトン及び塩化メチレン等の炭化水素等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性及び非イオン性が挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩及びラウリル酸塩等のアニオン性界面活性剤並びにポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
塩類としては、塩化ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、酸類としては、酢酸及びフタル酸等が挙げられる。
これら添加剤により、洗浄液による汚れの除去を容易とし、洗浄時の洗浄力を向上させることもできる。
(研磨材)
本発明に係る研磨材としては、セラミック系、ガラス系、樹脂系及び金属系など公知のドライサンドブラストに使用される研磨材が使用できる。具体例として、セラミック系ではケイ砂及びアルミナ、樹脂系ではポリカーボネート及びナイロン並びに金属系ではスチール及びステンレスなどがあり、他にも二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムなどを含有するものであってもよい。また桃種やコーンといった植物系複合有機材料も使用できる。
研磨材としては、特に、二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムのいずれかを合計で、少なくとも80体積%以上含有するものであることが、洗浄性がより向上し、かつ、傷付きを更に抑制できるため、好ましい。
また、本発明に係る研磨材は、粒子径が、0.01〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
(研磨材の粒子径)
ベックマン・コールター株式会社のMultisizer4を用いて測定された球相当径分布から得られる算術平均径(体積平均径MV)を本発明における粒子径とする。
具体的には、コールターカウンター法にて、ベックマン・コールター株式会社の粒度分布測定装置Multisizer4を使用し、分散媒ISOTON II、アパチャー径200μm及び2000μm、分散剤ピロリン酸ナトリウムの条件で、超音波を3分かけ粒子(研磨材)を測定溶媒中に均一に分散させて計測を行う。
測定方法:測定範囲である4.0〜120μm(アパチャー径200μm)及び40〜1200μm(アパチャー径2000μm)の範囲を、それぞれ256分割して頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積基準メディアン径)を体積平均粒径MVとする。
(太陽光反射ミラー)
本発明に係る太陽光反射ミラーは、基材としてガラス板、金属板等が用いられた板状ミラーであることもできるが、基材として樹脂フィルムが用いられたフィルム状ミラーであることが好ましい。フィルム状ミラーは、可撓性が高いため、太陽熱発電装置に用いる際に、太陽光を集光する位置に合わせて曲面状等に変形させることができる。
以下に、樹脂フィルム上に少なくとも太陽光の反射層を有するフィルム状のミラーである太陽光反射ミラーについて、図1を用いて説明する。
図1は、太陽光反射ミラー10をフィルム状ミラーとした場合の構成例を示す断面図である。図1において、矢印は太陽光の入射方向Aを表す。
太陽光反射ミラー10は、図1に示すように、樹脂フィルム11上に、アンカー層12、反射層13、腐食防止層14、接着層15、紫外線吸収層16及び親水性層17を、この順に備えている。
以下、各層の詳細を説明する。
〔樹脂フィルム〕
樹脂フィルム11としては、太陽光反射ミラー10をフィルム状とすることができるのであれば、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。
樹脂フィルム11としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなど公知のものが使用でき、例えば、国際公開第2011/077982号の段落0042及び0043並びに国際公開第2011/096309号の段落0046及び0047に記載のものを使用できる。
樹脂フィルム11は、溶融流延法により製造されたフィルムであってもよく、溶液流延法によって製造されたフィルムであってもよい。
樹脂フィルム11の厚さは、樹脂の種類に応じた厚さとすることができる。一般的には、10〜400μmの範囲内が好ましく、20〜300μmの範囲内がより好ましく、30〜200μmの範囲内がより好ましい。
〔アンカー層〕
アンカー層12は、樹脂フィルム11への反射層13の接着性を高めるため、樹脂フィルム11と反射層13との間に設けられている。アンカー層12により、耐熱性を高めて、反射層13の形成時の発熱による樹脂フィルム11の劣化を防ぐこともできる。また、樹脂フィルム11の表面を平滑化することができ、反射層13の反射率の低下を防ぐことも可能である。
アンカー層12の材料としては、高い接着性、耐熱性、透明性及び反射層13の反射率が得られるのであれば、特に制限はなく、例えば樹脂を用いることができる。好ましい樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、耐候性を得る観点から、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂がより好ましい。
アンカー層12の厚さは、密着性、平滑性及び反射層13の反射率を高める観点から、0.01〜3.00μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜1.0μmの範囲内であることがより好ましい。
アンカー層12の形成方法としては、例えばグラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知のコート法を使用できる。
〔反射層〕
反射層13は、太陽光反射ミラー10に入射した太陽光を反射するために設けられている。
反射層13は、樹脂フィルム11が太陽光によって劣化することを防ぐため、樹脂フィルム11よりも太陽光の入射側に配置されていることが好ましい。
また、反射層13の反射率としては、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。反射層13の反射率とは、正反射率をいう。
反射層13の材料としては、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、ビスマス、金等の金属を用いることができる。中でも、高い反射率及び耐食性を得る観点から、アルミニウム又は銀が好ましく、銀がより好ましい。アルミニウム及び銀をそれぞれ主成分とする層を二層以上積層して、反射層13とすることもできる。これにより、可視光領域から赤外領域まで、約400〜2500nmの範囲内の波長の光に対する反射率を高めることができ、反射率の入射角への依存性を低減することができる。
また、反射層13の材料としては、反射層13の耐久性を向上させる観点から、上記金属のうちの2種以上の合金を用いてもよい。そのような合金としては、銀と他の金属との銀合金が挙げられる。銀合金に用いる他の金属としては、耐湿性及び反射率を高める観点から、金が好ましい。
銀合金を用いる場合、反射層13における銀と他の金属との原子数の合計に対する銀の原子数の割合は、90.0〜99.8%の範囲内であることが好ましい。また、反射層13における銀と他の金属との原子数の合計に対する他の金属の割合は、耐久性を得る観点から、0.2〜10.0%での範囲内にあることが好ましい。
反射層13の形成方法としては、湿式法又は乾式法のいずれも利用することができる。
湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させて、金属膜を形成する方法である。湿式法の具体例としては、銀鏡反応を利用した銀めっきの形成方法が挙げられる。
乾式法とは、真空成膜法の総称であり、例えば、抵抗加熱型真空蒸着法、電子ビーム加熱型真空蒸着法、イオンビームアシスト型真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッター法等が挙げられる。太陽光反射ミラー10の製造には、長尺の樹脂フィルム11を用いることができるため、ロール・to・ロール方式により、反射層13を連続的に形成できる蒸着法が好ましい。
なお、銀を用いて反射層13を形成する場合には、上記湿式法及び乾式法以外に、配位子が気化及び離脱し得る銀錯体化合物を含有する塗布膜を形成し、当該塗布膜を焼成する方法を採用することもできる。
〔腐食防止層〕
腐食防止層14は、反射層13の腐食を防止するために設けられている。
腐食防止層14は、反射層13に隣接して設けられていることが好ましい。図1に示すように、一層の腐食防止層14が反射層13の片面に隣接していてもよいし、二層の腐食防止層14が反射層13の両面に隣接するように設けられていてもよい。
腐食防止層14は、例えば腐食防止剤が含有された層である。
腐食防止剤は、反射層13に銀が用いられている場合、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、公知のものが使用でき、例えば、国際公開第2011/077982号の段落0063〜0084及び国際公開第2011/096309号の段落0058〜0069に記載のものが挙げられる。これら腐食防止剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、腐食防止層14は、腐食防止剤として酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましく、例えば、国際公開第2011/077982号の段落0087〜0089及び国際公開第2011/096309号の段落0072〜0074に記載のものが挙げられる。
なお、腐食防止層14は、上記酸化防止剤と光安定剤を併用することもできる。併用できる光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤、ニッケル系紫外線安定剤等が挙げられ、例えば、国際公開第2011/077982号の段落0091〜0093及び国際公開第2011/096309号の段落0076〜0078に記載のものが挙げられる。
腐食防止剤は、分子量が800以下であることが好ましい。このような低分子量の腐食防止剤を含有することにより、腐食防止剤が反射層13との界面へ容易に移動することができ、腐食防止作用が向上する。
腐食防止層14の腐食防止剤の含有量は、使用する腐食防止剤によって異なるが、0.01〜1.00g/cmの範囲内であることが好ましい。
〔接着層〕
接着層15は、腐食防止層14と紫外線吸収層16の接着性を高めるために設けられている。
接着層15は、反射層13への透過光量を増やすため、透明性が高いことが好ましい。
接着層15は、高い接着性及び透明性が得られるのであれば、アンカー層12と同様にして形成することができる。
〔紫外線吸収層〕
紫外線吸収層16は、親水性層17を透過した太陽光の紫外線による各層の劣化を防止するために設けられている。
紫外線吸収層16は、太陽光反射ミラー10の可撓性及び耐候性を高め、軽量化を図る観点から、紫外線吸収基を有するか、紫外線吸収剤を含有するアクリル樹脂層であることが好ましい。
紫外線吸収層16が含有できる紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系及びベンゾエート系等の有機化合物並びに酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム及び酸化鉄等の無機化合物が挙げられる。具体的には、例えば、国際公開第2011/077982号の段落0144〜0147及び国際公開第2011/096309号の段落0126〜0129に記載のものを使用できる。
紫外線吸収剤のブリードアウトを低減するためには、分子量の1000以上の高分子の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。好ましくは、分子量1000〜3000の範囲内である。
また、上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては住友化学社製のSumisorb400)等が挙げられる。
なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤等を含有させることもできる。
紫外線吸収層16の紫外線吸収剤の含有量は、0.1〜20.0質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.25〜15.00質量%の範囲内であり、更に好ましくは0.5〜10.0質量%の範囲内である。
0.1質量%以上であれば密着性が良好であり、20質量%以下であれば耐候性が良好である。
紫外線吸収層16の厚さは、20〜150μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは40〜100μmの範囲内である。この範囲内であれば、入射光の透過率を向上させ、太陽光反射ミラー10の表面に適度な表面粗さを付与することができる。
紫外線吸収層16に用いることができるアクリル樹脂としては、メタクリル樹脂が好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、50質量%以上のメタクリル酸エステルと、50質量%未満の他の単量体との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。
メタクリル樹脂は、太陽光反射ミラー10の耐熱性を得る観点から、ガラス転移温度が60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
紫外線吸収層16は、腐食防止層14と同様の酸化防止剤を含有することもできる。また、酸化防止剤に光安定剤を併用してもよい。酸化防止剤により、溶融成膜時のアクリル樹脂の劣化を防止することができる。成膜後も酸化防止剤がラジカルを捕捉することから、アクリル樹脂層の劣化を防止できる。
〔親水性層〕
本発明の洗浄方法及び洗浄装置において、洗浄液に水を使用する場合は、太陽光反射ミラー10の表面が下記のような親水性の表面(親水性層)であるとより洗浄効果が大きい。親水性表面であれば、洗浄液と研磨材を前記太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスにおいて、洗浄液が太陽光反射ミラーの表面に塗れ広がることで研磨材が残留しにくく吐出する研磨材が効率よく太陽光反射ミラーの表面の汚れに衝突することで高い洗浄効果が得られる。
この親水性層17の表面は、水との接触角が30°以下であり、好ましくは20°以下である。
水との接触角(°)は、JIS−R3257に準拠して、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下において、親水性層17上に3μLの水を滴下して30秒後に接触角計DM300(共和界面化学社製)を用いて測定することができる。測定された接触角が小さいほど、親水性が高いことを示す。
親水性層17は、表面の水との接触角を30°以下とするため、親水化剤を含有することができる。
使用できる親水化剤としては、金属元素を含む化合物が挙げられ、例えばSi、Ti、Al、Sn、Fe、Zn、Sb、Zr等の金属元素を含む酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられる。
より親水性を高めるため、親水性層17は、上記化合物の他に、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子等の金属酸化物粒子を含有することもできる。金属粒子を用いることにより、表面粗さが大きくなり親水性が向上して、接触角が30°以下の親水性層17を形成することができる。また、表面粗さが大きいと、親水性層17の表面に汚れが接触しづらくなり、液膜が親水性層17と表面の界面に浸入して汚れを除去しやすくなる。
また、親水性層17は、シリケート化合物、Si−N結合を基本骨格とするポリシラザン等を含有してもよい。併用できるシリケート化合物としては、例えば、テトラヒドロキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラエトキシオキシシラン等が挙げられる。
親水性層17は、親水化剤として、太陽光によって親水性化する光触媒を含有する層であることもできる。光触媒は、伝導帯と価電子帯間のバンドギャップよりも大きいエネルギーの光が照射されると、価電子帯中の電子が励起し、伝導電子と正孔を生成する物質である。
光触媒を含有することにより、太陽光反射ミラー10の表面に付着した汚れの分解作用を得ることができ、更に高い親水性も得ることができる。
親水性層17が含有できる光触媒としては、例えばアナターゼ型の酸化チタン(バンドギャップ;3.2eV)、ルチル型の酸化チタン(バンドギャップ;3.0eV)、酸化亜鉛(バンドギャップ;3.2eV)、酸化スズ(バンドギャップ;3.5eV)、酸化タングステン(バンドギャップ;2.5eV)、タンタル酸カリウム(バンドギャップ;3.4eV)、チタン酸ストロンチウム(バンドギャップ;3.2eV)、酸化ジルコニウム(バンドギャップ;5.0eV)、酸化ニオブ(バンドギャップ;3.4eV)等が挙げられる。なお、光触媒のバンドギャップは、光触媒の結晶構造、精製度等によって分布を有するため、実際に測定されるバッドギャップは上述したバンドギャップと±0.2eV程度の差がある場合がある。
上記光触媒のバンドギャップは、2.4〜5.2eVの範囲内にあることが好ましい。
バンドギャップが5.2eV以下の光触媒を用いることにより、大気圏で吸収、散乱又は減衰することなく、地球上に到達する太陽光のエネルギーによって光触媒を励起することができる。また、2.4eV以上の光触媒を用いることにより、可視光の吸収による太陽光の反射率の低下を抑え、発電効率の低下を抑えることができる。また、できるだけ短波長側の光を吸収し励起する光触媒を利用することにより、発電に主に利用される可視光の波長領域だけでなく、紫外光の波長領域の光エネルギーも利用することが可能となり、発電効率が向上する。
親水性層17は、光触媒活性を高めるため、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os等の白金族金属を少量含有することができる。
また、親水性層17は、光触媒とともに、上述したシリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子等の金属粒子を含有することができる。また、シリケート化合物、Si−N結合を基本骨格とするポリシラザン等を併用してもよい。
光触媒を含有する親水性層17は、光触媒粒子の分散液を従来公知のコート法により塗布することにより形成することができる。
樹脂フィルム11の耐熱性が高い場合、光触媒を含有する親水性層17は、ゾル塗布焼成法、有機チタネート法、真空成膜法等によって形成することもできる。
親水性層17は、水との接触角が30°以下となる親水性を示すのであれば、基材表面にプラズマ処理、エッチング処理等の表面処理が施された層であってもよい。
なお、親水性層17と紫外線吸収層16間に、無機コート層が設けられていてもよい。親水性層17が光触媒を含有する場合、紫外線吸収層16が含有するアクリル樹脂等の有機化合物が光触媒によって分解されることを、この無機コート層によって防ぐことができる。
この無機コート層の材料としては、例えばテトラエトキシシラン等のシリケート化合物、メタノール等のアルコールを含有する層等が挙げられる。また、無機コート層は、親水性層17と紫外線吸収層16の接着性を高めるため、親水性層の構成成分又は紫外線吸収層の構成成分を含有することができる。無機コート層は単層であっても複数層であってもよい。
親水性層17の厚さは、親水性層17の屈折率、含有成分及び発電に利用する光の波長範囲等に応じて、好適な厚さを選択すればよい。できるだけ広い波長範囲を利用することが発電効率の向上につながるため、光吸収の軽減を考慮すると、親水性層17は厚さが薄いことが好ましい。なお、親水性層17において、親水性を発現するのは極表層である。このため、親水性層17は、数nm程度の厚さがあれば、液膜の形成に必要な親水性を発現することができる。
光触媒粒子を用いて親水性層17を形成する場合は、光触媒粒子の保持及び脱落防止の観点から、少なくとも光触媒粒子の粒子径の1/2程度以上の厚さが必要であり、例えば平均粒子径が10nmであれば5nm以上の厚さが必要である。光触媒を含有する親水性層17を蒸着法及びスパッター法等により形成する場合は、光触媒の機能を発現するための厚さ、すなわち結晶構造が成立する厚さが必要であり、光触媒粒子を含有する場合と同様に5nm以上の厚さが必要である。
上記の観点から、一般的には、親水性層17の厚さを、5〜300nmの範囲内で選択することができる。
親水性層17は、必要に応じて公知の界面活性剤、レベリング剤及び帯電防止剤等を含有することもできる。
〔その他の層〕
太陽光反射ミラー10は、上述した各層に限定されず、その他の層を備えることもできる。
例えば、太陽光反射ミラー10は、各層の損傷を防止するため、紫外線吸収層16と親水性層17との間に設けられたハードコート層を備えることもできる。
ハードコート層の材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物及びシリコーン系樹脂等を用いることができる。硬度と耐久性の観点からは、シリコーン系樹脂又はアクリル系樹脂が好ましい。
ハードコート層は、上述した腐食防止剤、酸化防止剤、光安定剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等の添加剤を含有していていもよい。
〔太陽熱発電装置〕
本発明の太陽熱発電装置は、本発明の太陽光反射ミラーを具備するのであれば、トラフ型、フレネル型、タワー型等のいずれの型の太陽熱発電装置であってもよい。
以下、本発明の太陽熱発電装置の一実施の形態として、前記太陽光反射ミラー10を具備するトラフ型の太陽熱発電装置を説明する。
図2は、トラフ型の太陽熱発電装置300の概略構成を示している。
太陽熱発電装置300は、図2に示すような、太陽光反射ミラー10、支持部材50、角度調整部60及び集熱管80、さらに、図示しない蓄熱タンク、熱交換器及び発電機等を備えて構成されている。
太陽熱発電装置300は、曲面状の太陽光反射ミラー10により太陽光を反射させて集熱管80に集光し、集熱管80内の熱媒を加熱して熱交換器により蒸気を生成し、発電を行う。
図2においては、一つの太陽光反射ミラー10のみを示しているが、通常は数千単位の太陽光反射ミラー10が設置され、各太陽光反射ミラー10に対応して設けられた集熱管80が蓄熱タンクに接続されている。
支持部材50は、太陽光反射ミラー10と係合することで固定されている。この支持部材50は、回転軸61を回転自在に支持している。また、支持部材50は、集熱管80を支持する集熱管支持体83を更に有している。
太陽光反射ミラー10及び集熱管80の配置位置は、太陽光反射ミラー10により反射された太陽光が集熱管80に集光するように調整されている。
集熱管80は、外管81と内管82の二重構造を有し、内管82に供給された熱媒を移送する。熱媒は、集熱管80内において、太陽光反射ミラー10により反射された太陽光により加熱された後、蓄熱タンクへ移送される。発電時には、蓄熱タンクから熱交換器へと移送された熱媒が蒸気を発生させ、発電機が蒸気によりタービンを回転させて電気エネルギーを生成する。
太陽光の吸収率を高めるため、外管81が透明なガラス管であり、内管82の外表面が黒色に着色されていることが好ましい。また、外管81と内管82間が真空断熱空間であると、熱媒からの熱の損失を減らすことができる。
角度調整部60は、太陽光の入射方向に合わせて、太陽光反射ミラー10のミラー面の傾斜角度を調整する。
具体的には、角度調整部60は、回転軸61を中心に太陽光反射ミラー10を回転させる。回転軸61にはモーター62が取り付けられ、回転軸61は軸受64によって回転自在に支持されている。角度調整部60は、制御装置65によりモーター62を駆動し、太陽光反射ミラー10の回転角度を制御する。制御装置65は、軸受64に取り付けられた太陽光センサー66により太陽光の検出信号を取得し、太陽光の光量が最大となるように、回転角度を決定する。
[太陽光反射ミラーの洗浄装置]
本発明の太陽光反射ミラーの洗浄方法は、太陽光反射ミラーの洗浄装置に好適に用いることができる。これにより、太陽光反射ミラー10を傷付けることなく高度に洗浄できる。
太陽光反射ミラーの洗浄装置としては、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段と、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去する手段とを有することが好ましく、例えば、構成を有する車両や、4足歩行型のロボットなどが挙げられる。
図2には、本願発明に太陽光反射ミラーの洗浄装置の一例について、概略図が示されている。図2に示す太陽光反射ミラー10の洗浄装置Mは、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段と、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去する手段との他に、洗浄液吐出ヘッド100を太陽光反射ミラー10の表面に沿って鉛直方向及び水平方向に自在に移動させることができるロボットアーム23と、ロボットアーム23を駆動させるアーム旋回手段24及びアーム屈伸手段25を有している。また、太陽光反射ミラーの洗浄装置Mは、前述の構成の他、前輪29a及び後輪29b並びに当該前輪29a及び後輪29bの間に、洗浄液及び研磨材の収容部である洗浄用タンク26を有している。
図3は、太陽光反射ミラーの洗浄装置の一例を示す構成図である。
図3に示すように、洗浄用タンク26は、研磨材を収容し、かつ、吐出する量を調節するホッパー216と、洗浄液の収容部である洗浄液タンク219と、洗浄液タンク219に連通し、当該洗浄液タンク219から洗浄液吐出ノズル101に洗浄液を供給するコンプレッサー218と、を有する。
ホッパー216及びコンプレッサー218は、供給ホース222を介して洗浄液吐出ノズル101に連通している。研磨材及び洗浄液は、この供給ホース222を通って洗浄液吐出ノズル101に移送される。なお、供給ホース222は、内部にインラインミキサーを備え、当該インラインミキサーにより研磨材と洗浄液とを混合するようなものであってもよい。
また、供給ホース222と洗浄液吐出ノズル101の連通の態様は特に限定されないが、洗浄装置Mにおいては、ロボットアーム23の内部を通じて洗浄液吐出ノズル101に連通しているものとする。
(洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段)
洗浄装置Mにおいて、洗浄液吐出ノズル101は、本発明に係る、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段(以下、「吐出手段」ともいう。)である。
すなわち、洗浄装置Mにおいて、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出する場合は、コンプレッサー218から供給される洗浄液の圧力により、洗浄液とホッパー216内に蓄えられた研磨材212とが、供給ホース222を通って、洗浄液吐出ノズル101から太陽光反射ミラー10に向けて吐出される。このとき、研磨材212の吐出量は、ホッパー216により制御されることが好ましい。
なお、洗浄液及び研磨材の吐出のされ方は、特に限定されないが、洗浄面に散開するように洗浄液吐出ノズル101から吐出されることが、洗浄面積が広くなり、ひいては洗浄効率が向上するため好ましい。
(洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去する手段)
また、洗浄装置Mにおいて、洗浄液吐出ノズル101は、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去する手段(以下、「除去手段」ともいう。)でもある。
すなわち、洗浄装置Mにおいて、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラー10の表面から除去する場合は、コンプレッサー218から供給される洗浄液の圧力により、洗浄液が、洗浄液吐出ノズル101から太陽光反射ミラー10に向けて吐出される。これにより、研磨材は、太陽光反射ミラーの表面から除去される。
なお、このとき、研磨材212は、ホッパー216から研磨材が供給ホース222に供給されないよう制御され、洗浄液吐出ノズル101から吐出されない。
なお、洗浄装置Mにおいては、洗浄液吐出ノズル101が吐出手段と除去手段との両方を兼ねるものとしたが、本発明は、これに限定されない。
例えば、具体的には、洗浄液タンク219に連通し、図示しないコンプレッサー等により洗浄液が供給されることで、洗浄液のみを吐出するノズルを別途設け、これを除去手段としてもよい。
ロボットアーム23の先端部には、一つ又は複数の洗浄液吐出ノズル101を有する洗浄液吐出ヘッド100が、それぞれ駆動部28を介して装着されている。
図4は、洗浄液吐出ヘッド100を示す底面概略図である。図4に示すように、本発明実施形態では、洗浄液吐出ヘッド100は、吐出面Xを有し、当該吐出面Xに、洗浄液吐出ノズル101を四つ備えるものとする。なお、洗浄液吐出ヘッドが有する洗浄液吐出ノズルの数は特に限定されず、一つであっても複数であってもよい。ただし、洗浄の効率の観点から、洗浄液吐出ノズルの数は、複数であることが好ましい。
駆動部28には、回転数制御可能な駆動モーターが内装されており、当該駆動部28に装着された洗浄液吐出ヘッド100を回転中心Lの周りにおいて回転駆動させることができる。
アーム屈伸手段25は、例えば、油圧シリンダーで構成することができる。油圧シリンダーを配設することで、ロボットアーム23の先端部を前後あるいは鉛直方向に移動させることができる。これにより、洗浄液吐出ヘッド100を太陽光反射ミラー10に対し、洗浄可能な位置に配置できる。
また、ロボットアーム23は、フロアに配設されたアーム旋回手段24に接続されていることが好ましい。アーム旋回手段24にロボットアーム23を接続させておくことで、ロボットアーム23を水平面内に自在に回転させることができる。
また、アーム屈伸手段25及びアーム旋回手段24により、後述の、洗浄液吐出軸と当該洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線(以下、「ミラー法線」ともいう。)とのなす角度を調節することができる。
このように、太陽光反射ミラーの洗浄装置Mにおいては、洗浄液吐出ノズル101により、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラー10の表面に吐出しながら、洗浄液吐出ヘッド100を回転させて洗浄する手段として、アーム屈伸手段25及び駆動部28を有していることが好ましい。
具体的には、太陽光反射ミラーの洗浄装置Mにおいては、アーム屈伸手段25が洗浄液吐出ヘッド100を洗浄可能な位置に配置しつつ、前述の駆動モーターを内装した駆動部28が洗浄液吐出ヘッド100を回転させながら、コンプレッサー218により、洗浄液吐出ノズル101から、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラー10の表面に吐出することで、太陽光反射ミラー10を洗浄することが好ましい。
[太陽光反射ミラーの洗浄方法]
次に、本発明の太陽光反射ミラーの洗浄方法について、前述した太陽光反射ミラーの洗浄装置Mを用いて、詳細に説明する。
なお、以下の説明において、太陽光反射ミラーの洗浄装置Mは、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセス(以下、「洗浄プロセス」ともいう。)と、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去するプロセス(以下、「除去プロセス」ともいう。)をこの順に経ることで、太陽光反射ミラー10を洗浄するものとする。
<洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセス>
洗浄プロセスにおいては、洗浄液と研磨材とを太陽光反射ミラーの表面に吐出する。洗浄液と研磨材とを吐出する方法は、特に限定されない。例えば、洗浄液と研磨材とを混合したのち吐出する方式、洗浄液の吐出に合わせて、研磨材を別途吐出することで、洗浄液が吐出される箇所の近傍に、研磨材を付与する方式など、公知の方式を任意に選択できる。なお、以下の説明においては、図3に示すように、洗浄液と研磨材とを混合したのち吐出する方式で説明する。
洗浄装置Mにおいては、洗浄プロセスは、上述のように、コンプレッサー218から供給される洗浄液の圧力により、洗浄液とホッパー216内に蓄えられた研磨材212とが、洗浄液吐出ノズル101から太陽光反射ミラー10に向けて吐出されることで行われる。
なお、洗浄プロセスにおいては、洗浄液吐出軸と当該洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度が、少なくとも5°以上あることが、洗浄性がより向上し、かつ、傷付きを更に抑制できるため、好ましい。通常この洗浄液吐出軸は吐出ノズル設計時に定められている。
以下に図5を用いて本発明に係る、洗浄液吐出軸と洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度について説明する。図5は、洗浄液吐出軸と洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度の説明図である。
この図5において、洗浄液吐出ヘッド100は洗浄液吐出ノズル101を一つ有するものとし、Wは洗浄液吐出軸であり、Kは洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラー10の表面に交わる点における法線(ミラー法線)である。
具体的には、洗浄液吐出軸Wは、洗浄液吐出ヘッド100の吐出面Xから、50mm離れた任意の点Yを通る任意の面Y及び100mm離れた任意の点Zを通る任意の面Zのそれぞれにおいて、最も洗浄液が通過する領域の面積の小さい面をY1s及びZ1sとし(面Y及びZは図示しない。)、当該Y1s及びZ1sにおける、洗浄液が通過する領域(図5に示す面Y1s及びZ1sにおける実線部分)の重心Y1sc及びZ1scを求め、これら重心Y1scとZ1scとを結ぶ直線を洗浄液吐出軸Wとする。
洗浄液吐出軸と、当該洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度とは、洗浄液吐出軸Wと、ミラー法線Kとのなす角Tのことをいう。なお、上記任意の点Y,Zは、いずれも洗浄液が通過する領域にあるものとする。
また、洗浄液が通過する領域の面積は、洗浄液吐出ヘッド100の吐出面Xから150mm離れた任意の面における5mm×5mmの領域を通過する、洗浄液の量(液滴量)を測定し、その中で最大の液滴量の箇所を100%とした際、50%以上の液滴量を示す領域を洗浄液が通過する領域とし、当該領域の面積を積算したものを、洗浄液が通過する領域の面積として測定する。
なお、洗浄プロセスにおいて、研磨材使用量の限定はないが、本発明においては、研磨材と洗浄液の合計に対し、研磨材の量が3〜10体積%であることが好ましい。研磨材の量が3体積%以上であると、浄性が低下することを抑制でき、このため、使用する洗浄液の量を節約できる。なお、使用される洗浄液の量の節約は洗浄コストの抑制につながるため好ましい。
また、研磨材の量が10体積%以下であると、太陽光反射ミラー表面に研磨材が残留することを抑制でき、このため、研磨材を除去するための洗浄液量を節約でき、ひいては、洗浄コストの抑制につながるため好ましい。
<洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去するプロセス>
除去プロセスにおいては、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去する。
洗浄装置Mにおいては、コンプレッサー218から供給される洗浄液の圧力により、洗浄液(研磨材が混合されていない)が、洗浄液吐出ノズル101から太陽光反射ミラー10に向けて吐出されることで、研磨材を太陽光反射ミラー10の表面から除去する。
なお、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去する方法は、特に限定されず、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーの表面から除去できるものであれば、他の方法であってもよい。例えば、太陽光反射ミラーの上方に洗浄液を供給する手段を設け、上方から下方に、洗浄液を掛け流すような方法で研磨材を除去する方法であってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
本実施例では、図2に示す太陽光反射ミラーの洗浄装置(ウェットサンドブラスト)Mによって太陽光反射ミラー10の洗浄をし、傷付き及び洗浄性の評価を行った。なお、各実施例及び比較例における太陽光反射ミラーに洗浄時の研磨材種、研磨材の平均粒子径については、表1に記載のとおりである。
洗浄された太陽光反射ミラー10の構成は、下記のとおりである。
[太陽光反射ミラー]
二軸延伸により得られた厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという。)の片面に、厚さ0.1μmのアンカー層を形成した。アンカー層は、ポリエステル系樹脂であるエスペル9940A(日立化成工業株式会社製)、メラミン系樹脂、ジイソシアネート架橋剤であるトリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート(三井化学ファイン株式会社製)を、それぞれ20:1:1:2の質量比で混合した樹脂を、グラビアコート法により塗布して形成した。
次に、銀を用いて真空蒸着法により厚さ80nmの反射層を形成した。
上記反射層上に、腐食防止層の塗布液をグラビアコート法により塗布して、厚さ0.1μmの腐食防止層を形成した。当該塗布液は、エスペル9940A及びトリレンジイソシアネートをそれぞれ10:2の樹脂固形分比率(質量比)で混合した樹脂中に、樹脂固形分に対して10質量%のTinuvin234(ベンゾトリアゾール、BASFジャパン社製)を、腐食防止剤として添加して調製した。
次に、腐食防止層上に、ビニロール92T(アクリル系樹脂接着剤、昭和高分子社製)を厚さ0.1μmの厚さで塗布して、接着層を形成した。当該接着層上に溶液流延法により成膜したアクリル系樹脂フィルムを積層し、紫外線吸収層とした。紫外線吸収層の表面の算術平均粗さRaは0.1μmであり、厚さは50μmであった。
次に、エタノール、イソプロピルアルコール及びメタノールをそれぞれ10:60:30の質量比で混合した溶媒中に、テトラエトキシシランを1質量%で添加して混合し、さらに1質量%の酢酸水溶液を0.3質量%添加して、無機コート層の塗布液を調製した。調製した塗布液を、ダイコート法により乾燥後の厚さが100nmとなるように上記紫外線吸収層上に塗布し、無機コート層を形成した。さらに、当該無機コート層と同じ塗布液に平均粒径50nmのシリカ(SiO)粒子を1質量%分散させた分散液を無機コート層上に塗布し、親水性層を形成した。塗布時、乾燥後の厚さが80nmとなるようにダイコート法により塗布し、実施例で使用される太陽光反射ミラーを製造した。
太陽光反射ミラーのサイズは、水平方向が1700mm、上下方向が6000mmとした。
(実施例[1])
研磨材は、炭酸カルシウム(CaCO、株式会社ノムラ)二酸化ケイ素(SiO、和光純薬株式会社:石英砂)、酸化鉄(Fe、チタン工業株式会社:R−110−7)、酸化アルミニウム(Al、三昌研磨材株式会社:AF−16)、酸化マグネシウム(MgO:神島化学工業株式会社スターマグU−2)及びナイロン(三昌研磨材株式会社、ナイロンショットB−300)をアシザワファインテックのスターミルLMZを用いて粉砕後、JISZ8815に記載の分級操作を行い、表1及び表2に記載の研磨材組成比(体積%)及び粒子径に合わせ、研磨材A〜Hとした。実施例[1]では研磨材Aを用いた。太陽光反射ミラーの洗浄装置Mの時速は1.0km/hであった。なお、本実施例において、太陽光反射ミラーに対する太陽光反射ミラー洗浄用装置の洗浄液吐出ヘッド100の移動速度は、太陽光反射ミラー洗浄装置Mの移動速度と同じであるとする。
(粒径の測定)
ベックマン・コールター株式会社のMultisizer4を用いて測定された球相当径分布から得られる算術平均径(体積平均径MV)を粒子径として計測した。
具体的には、コールターカウンター法にて、ベックマン・コールター株式会社の粒度分布測定装置Multisizer4を使用し、分散媒ISOTON II、アパチャー径200μm及び2000μm、分散剤ピロリン酸ナトリウムの条件で、超音波を3分かけ粒子(研磨材)を測定溶媒中に均一に分散させて下記条件で測定した。
測定方法:測定範囲である4.0〜120μm(アパチャー径200μm)及び、40〜1200μm(アパチャー径2000μm)の範囲を、それぞれ256分割して頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積基準メディアン径)を体積平均粒径MVとした。
[洗浄]
図2に示した太陽光反射ミラーの洗浄装置Mのロボットアーム23a及び23bの先端部に上述の、洗浄液吐出ノズル101を四つ有する洗浄液吐出ヘッド100を一つ装着した。この太陽光反射ミラーの洗浄装置Mを用い、太陽光反射ミラーの表面に、アーム屈伸手段25及びアーム旋回手段24により、表1に示す洗浄液吐出軸と当該洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度(洗浄液吐出角度)に調整後、洗浄液吐出ヘッド100と太陽光反射ミラーとの間の距離を1500mmとして、供給ホース222内で水(洗浄液)及び研磨材を混合した後、洗浄液吐出ノズル101から吐出(噴射)することで、太陽光反射ミラー10の洗浄を行った。洗浄液吐出ノズル101への洗浄液供給圧力(洗浄液吐出ノズル101から洗浄液を吐出する圧力に相当。)は0.3MPa、洗浄液供給量は、四つの洗浄液吐出ノズル101の合計を5L/minとした。また、洗浄時、洗浄液吐出ヘッド100は、駆動部28により50rpmで回転させた。なお、各洗浄液吐出ノズル101の中心は、洗浄液吐出ヘッドの中心から300mmの位置になるよう配置した。
洗浄後、洗浄液を用いて、研磨材を太陽光反射ミラーから除去する処理(リンス処理)をした。
洗浄液吐出ノズル101への洗浄液供給圧力(洗浄液吐出ノズル101から洗浄液を吐出する圧力に相当。)は0.3MPa、洗浄液供給量は30L/minとした。
(実施例[2])
実施例[2]については、実施例[1]における太陽光反射ミラーをRioglass社製の太陽光熱発電用ミラーstandard inner Mirror LS−3(ガラスミラー)に変更した他は、実施例[1]と同様に洗浄した。
(実施例[3]〜[9])
実施例[3]〜[9]については、実施例[1]における研磨材を、表2に記載の組成比の研磨材に変更した他は、実施例[1]と同様に洗浄した。
(実施例[10]〜[16])
実施例[10]〜[16]については、研磨材の平均粒子径を株式会社セイシン企業の高効率精密気流分級機クラッシールを用いて表1に記載のように変更した他は、実施例[1]と同様に洗浄した。
(実施例[17]〜[21])
実施例[17]〜[21]については、太陽光反射ミラーの洗浄装置Mを用い、太陽光反射ミラーの表面に、アーム屈伸手段25及びアーム旋回手段24により、表1に示す洗浄液吐出角度に変更した他は、実施例[1]と同様に洗浄を行った。
(比較例[1])
比較例[1]については、実施例[1]において、太陽光反射ミラー洗浄用装置を、明治機械製作所社製ドライサンドブラストユニットSSB−1Fを用いて、使用空気圧力0.3MPa、ノズルとの距離100mmとし、洗浄液は使用しなかった他は、実施例[1]と同様に洗浄を行った。洗浄後は、実施例[1]と同様にリンス洗浄を行った。
(比較例[2])
比較例[2]については、実施例[1]の太陽光反射ミラー洗浄用装置において研磨材を用いなかったこと以外は実施例[1]と同様に洗浄を行った(洗浄液のみで洗浄した。)。
実施例[1]〜[21]並びに比較例[1]及び[2]について、下記評価を行った。
なお、各評価において、○及び△を合格とし、×は不合格とする。
(傷付きの評価)
太陽光反射ミラー洗浄装置を用いて実施例[1]〜[21]並びに比較例[1]及び[2]の方法で洗浄を実施し、洗浄前後の太陽光反射ミラーの1mmrad反射率低下幅を傷付き評価とした。
具体的には、光源から発した光を太陽光反射ミラーで反射させて、1mmradに相当する反射光のみを、スリットを用いて通過させて、検出器にて測定値より算出した。
傷付きの評価基準は、下記のとおりである。結果は表1に示す。
○…1%未満
△…1%以上5%未満
×…5%以上
(洗浄性の評価)
屋外に1か月設置した太陽光反射ミラーを用意する。
太陽光反射ミラー洗浄装置を用いて実施例[1]〜[21]並びに比較例[1]及び[2]の方法で洗浄実施し、洗浄前後の太陽光反射ミラーの反射率(%)を、次のようにして測定した。
反射面の法線に対して入射光の入射角が20°となるように調整し、反射角20°の正反射率(%)を光沢計GM−268(コニカミノルタ製)を用いて測定した。得られた測定値を、太陽光反射ミラーの反射率(%)として求めた。
洗浄性は、設置から1か月後に測定した反射率(%)が、屋外に設置する前に測定した反射率(%)に対し、どの程度回復したかを百分率で計算し、その値を洗浄性として評価した。
洗浄性の評価基準は、下記のとおりである。結果は表1に示す。
○…99%以上
△…97%以上99%未満
×…97%未満
Figure 2015223584
Figure 2015223584
(まとめ)
実施例[1]と比較例[1]及び[2]とを比較すると、本発明実施例[1]によれば太陽光反射ミラーを傷付けることなく高度に洗浄できることがわかる。
実施例[1]と実施例[2]とを比較するとガラスミラーを洗浄する実施例[2]より、樹脂フィルム上に少なくとも太陽光の反射層を有するフィルム状のミラーを洗浄する実施例[1]のほうが傷付きにくく、本発明が好適に適用できることがわかる。
実施例[1]、[3]から[5]、[7]及び[9]と実施例[6]及び[8]とを比較すると、研磨材が二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムのいずれかを合計で、少なくとも80体積%以上含有していれば太陽光反射ミラーの表面をより傷付けることなく、高度に洗浄できることがわかる。
実施例[11]から[15]と実施例[10]及び[16]とを比較すると、研磨材の粒子径が0.01〜0.5mmの範囲内であれば、より太陽光反射ミラー表面を傷付けることなく高度に洗浄できることがわかる。
実施例[18]から[21]と実施例[17]とを比較すると、洗浄液吐出軸と洗浄液吐出軸が太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度が、少なくとも5°以上あることでより太陽光反射ミラー表面を傷付けることなく高度に洗浄できることがわかる。
10 太陽光反射ミラー
11 樹脂フィルム
12 アンカー層
13 反射層
14 腐食防止層
15 接着層
16 紫外線吸収層
17 親水性層
23 ロボットアーム
24 アーム旋回手段
25 アーム屈伸手段
26 洗浄用タンク
28 駆動部
29a 前輪
29b 後輪
50 支持部材
60 角度調整部
61 回転軸
62 モーター
64 軸受
65 制御装置
66 太陽光センサー
80 集熱管
81 外管
82 内管
83 集熱管支持体
300 太陽熱発電装置
100 洗浄液吐出ヘッド
101 洗浄液吐出ノズル
212 研磨材
216 ホッパー
218 コンプレッサー
219 洗浄液タンク
222 供給ホース
A 太陽光の入射方向
L 回転中心
M 太陽光反射ミラー洗浄装置(洗浄装置)

Claims (6)

  1. 太陽光反射ミラーの洗浄方法であって、
    洗浄液と研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスと、
    前記洗浄液を用いて、前記研磨材を前記太陽光反射ミラーの表面から除去するプロセスと、を有することを特徴とする太陽光反射ミラーの洗浄方法。
  2. 前記太陽光反射ミラーが、樹脂フィルム上に少なくとも太陽光の反射層を有するフィルム状のミラーであることを特徴とする請求項1に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
  3. 前記研磨材が、二酸化ケイ素、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウムのいずれかを合計で、少なくとも80体積%以上含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
  4. 前記研磨材の粒子径が、0.01〜0.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
  5. 前記洗浄液と前記研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出するプロセスにおいて、
    洗浄液吐出軸と当該洗浄液吐出軸が前記太陽光反射ミラーの表面に交わる点における法線とのなす角度が、少なくとも5°以上あることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の太陽光反射ミラーの洗浄方法を用いる太陽光反射ミラーの洗浄装置であって、
    前記洗浄液と前記研磨材とを前記太陽光反射ミラーの表面に吐出する手段と、
    前記洗浄液を用いて、前記研磨材を前記太陽光反射ミラーの表面から除去する手段と、
    を有することを特徴とする太陽光反射ミラーの洗浄装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019122893A (ja) * 2018-01-12 2019-07-25 日本製鉄株式会社 自己推進式吹付機および吹付方法

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