JP2015223525A - 有機性排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機物を含む有機性排水に衝突噴流を起こさせ、有機物を微細化して分解を促進し、極短時間での浄化処理を可能にした有機性排水の処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】有機物を含む有機性排水を加圧して送水する加圧手段(水中ポンプ7)と、加圧された有機性排水を通水させる通水路2と、を有し、通水路2は、該通水路2内を流れる有機性排水の流路20が屈曲する複数の屈曲部20cを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機物を含む有機性排水を短時間で浄化処理する有機性排水の処理方法及び処理装置に関する。
従来、下水処理には、活性汚泥法が一般的に用いられている。活性汚泥法は、有機物を含む有機性排水を生物反応槽に滞留させ、活性汚泥の中に含まれる大量の微生物によって分解処理するため、広大な敷地と長い処理期間を要する。標準活性汚泥法では、好気下において生物処理するため、排水中に窒素分と燐分が残留し、海や湖沼、河川などの富栄養化の原因になっている。
有機性排水中の窒素分と燐分を除去する方法としては、嫌気・無酸素・好気法による排水の処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。嫌気・無酸素・好気法による処理施設は、嫌気槽、無酸素槽、好気槽、沈殿槽の順で配置され、好気槽から前段の無酸素槽に硝化液が送られ、沈殿槽から嫌気槽に汚泥が返送される。
嫌気槽では、返送汚泥に含まれるリン蓄積菌が排水中の溶解性BODを取り込む同時に菌体内に蓄積された燐を放出する。無酸素槽では、嫌気槽から流入する排水と、好気槽から送られる硝化液とが無酸素状態で接触し、該排水中の汚泥に含まれる脱窒菌が該排水中のBODを水素供与体として脱窒を行い、硝化液中の酸化態窒素が窒素ガスとして除去される。好気槽では、無酸素槽から流入する排水が曝気処理され、好気状態下で該排水中のBODが酸化分解される。同時に、好気槽では、汚泥中の硝化菌によって有機態窒素やアンモニア態窒素が硝化されると共に、リン蓄積菌によって燐が再摂取される。
特開2005−349337号公報(背景技術)
従来、脱窒処理には、活性汚泥法以外に有効な処理手段がなく、嫌気・無酸素・好気法などの生物的処理によってBOD、窒素及び燐の除去を行っていた。従来の有機性排水の処理方法では、生物反応槽として複数の反応槽(嫌気槽、無酸素槽、好気槽など)が必要であり、広大な敷地と長い処理期間を要するという課題があった。
また、生物的処理を中心とした従来の有機性排水の処理方法では、油分等を含む難分解の有機性排水や、窒素分を多く含む畜舎排水などの浄化処理に数日から一週間程度の長い期間を要し、処理後の排水が環境基準を満たすように処理するために、多大な費用と労力を要するという問題があった。
一方で、窒素や燐は、肥料、工業薬品などの原料、食料、飼料として大量に日本国内に輸入されている。特に、燐は枯渇が懸念される資源であり、循環型社会の形成のためにも「除去する」から「回収する」への転換が必要である。
そこで、本発明は、有機物を含む有機性排水に衝突噴流を起こさせ、有機物を微細化して分解を促進し、極短時間での浄化処理を可能にした有機性排水の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、有機物を含む有機性排水を加圧する加圧工程と、加圧された前記有機性排水を複数の屈曲部を備えた流路に通水して該有機性排水に含まれる有機物を分解する分解工程と、を有する有機性排水の処理方法を提供するものである。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、前記有機性排水中にイオンを供給するイオン供給工程を有してもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、前記有機性排水にイオンを含む空気を吹き込むエアレーション工程を有してもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記有機性排水に凝集剤を添加する凝集剤添加工程を有してもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記凝集剤添加工程が、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、珪素及びカルシウムを含有する溶質を酸溶媒に溶解した珪素ゾルを含む珪素凝集剤を前記有機性排水に添加してもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記分解工程後の前記有機性排水中に残存する固形分を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程で分離された固形分である汚泥の一部又は全部を、前記加圧工程又は前記分解工程の前の前記有機性排水に返送する汚泥返送工程と、を有してもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記屈曲部が流路の分岐又は合流によって形成され、流路の分岐と合流を交互に繰り返すように前記有機性排水を前記流路に通水してもよい。
また、本発明は、有機物を含む有機性排水を加圧して送水する加圧手段と、加圧された前記有機性排水を通水させる通水路と、を有し、前記通水路は、該通水路内を流れる前記有機性排水の流路が屈曲する複数の屈曲部を備えた有機性排水の処理装置を提供するものである。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記屈曲部が前記流路の分岐又は合流によって形成され、前記流路が分岐と合流を交互に繰り返すように前記通水路を形成してもよい。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路が、一組又は二組以上の流入口及び流出口を有する複数の環状路と、隣り合う前記環状路の前記流出口と前記流入口を連通する複数の連通路と、を備え、前記複数の環状路はその中心軸方向に並んで配置され、各環状路の前記流入口及び前記流出口は該環状路の周方向に等間隔で交互に配置されてもよい。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路から排出される前記有機性排水を貯留する貯留槽を有し、前記加圧手段が前記貯留槽内に貯留された有機性排水を加圧して前記通水路に送水し、前記有機性排水を循環処理してもよい。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路に通水させる前記有機性排水に、イオンを供給するイオン供給手段を備えてもよい。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路に通水させる前記有機性排水に、イオンを含む空気を吹き込むエアレーション手段を備えてもよい。
本発明の有機性排水の処理装置は、複数の前記エアレーション手段と複数の前記イオン供給手段を前記通水路に交互に設けてもよい。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記有機性排水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、前記有機性排水中の固形分を分離させる固液分離手段と、を備えてもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、有機物を含む有機性排水を加圧する加圧工程と、加圧された前記有機性排水を複数の屈曲部を備えた流路に通水して該有機性排水に含まれる有機物を分解する分解工程と、を有することにより、加圧された有機性排水が流路に備えられた複数の屈曲部で渦流(衝突噴流)を生じ、排水中の有機物を物理的に微細化して短時間で分解処理することができる効果がある。
また、本発明の有機性排水の処理方法は、渦流(衝突噴流)によって排水中の有機物を物理的に微細化することにより、処理排水中に含まれる微生物や、返送汚泥などによって処理排水に加えられた微生物による分解が促進され、有機性排水の浄化処理に要する時間が大幅に短縮される。さらに、本発明は、排水中の有機物を物理的に微細化することにより、沈殿などによって固液分離された固形分に有機物の窒素分や燐分が残るから、窒素分や燐分を含む有機肥料を簡単に得ることができる効果がある。
以上のとおり、本発明は、従来の活性汚泥法による生物反応槽に代えて、有機性排水を加圧して複数の屈曲部を備えた流路に通水する加圧工程及び分解工程によって有機性排水の浄化処理が可能になったから、小さな処理設備と極めて短い処理時間で有機性排水を浄化処理することができる。また、本発明は、従来の活性汚泥法と併用することによって、生物処理に要する時間を大幅に短縮することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、前記有機性排水中にイオンを供給するイオン供給工程を有することにより、排水中に陰イオン又は/及び陽イオンを供給し、排水に衝突噴流を生じさせることによって、水に溶解又は結合した有機物を水から分離させて沈降させ易くする効果がある。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、前記有機性排水にイオンを含む空気を吹き込むエアレーション工程を有することにより、排水中に陰イオン又は/及び陽イオンを供給し、排水に衝突噴流を生じさせることによって、水に溶解又は結合した有機物を水から分離させて沈降させ易くすると共に、排水中の好気性細菌を活性化させて、有機物の分解を促進することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記有機性排水に凝集剤を添加する凝集剤添加工程を有することにより、分解工程で有機物を分解処理した後の排水中に残存する微細な浮遊物を素早く凝集沈殿させることができ、浮遊物質(suspended solids)の少ない排水を得ることができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記凝集剤添加工程が、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、珪素及びカルシウムを含有する溶質を酸溶媒に溶解した珪素ゾルを含む珪素凝集剤を前記有機性排水に添加することにより、分解工程で微細化された有機物を珪素ゾルがゲル化する際に取り込んでフロックを形成するから、分解工程の後にフロックが速やかに沈降して、有機性排水を短時間で確実に固液分離することができる効果がある。
また、本発明は、凝集剤添加工程で添加される珪素凝集剤がカルシウムを含有し、ゲル化すると多孔質になるから、このカルシウム分と多孔質によって排水中に含まれる燐分を確実に取り込んで沈殿物と共に回収することができる。また、珪素凝集剤は、高分子凝集剤のように分解工程で分解されて排水が白濁することもないから、分解工程の前に凝集剤を排水中に添加することができる。さらに、珪素凝集剤は、珪素ゾルが豊富なカルシウムを含むから、排水中の微生物を活性化させることができる効果もある。
また、本発明は、珪素凝集剤を含む沈殿物を返送汚泥として分解工程又は加圧工程の前の有機性排水に返送し、再度分解工程を行うことも可能である。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記分解工程後の前記有機性排水中に残存する固形分を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程で分離された固形分である汚泥の一部又は全部を、前記加圧工程又は前記分解工程の前の前記有機性排水に返送する汚泥返送工程と、を有することにより、汚泥に含まれる微生物を処理排水に加えることができるから、排水中の有機物を分解工程で物理的に微細化することができるのみならず、微細化された有機物を微生物が分解して汚泥の発生量を少なくすることができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理方法は、前記屈曲部が流路の分岐又は合流によって形成され、流路の分岐と合流を交互に繰り返すように前記有機性排水を前記流路に通水することにより、加圧された有機性排水が勢いよく分岐に衝突し、分岐された有機性排水同士が合流で勢いよく衝突し、有機性排水がこの分岐及び合流を繰り返すことによって有機性排水に強い衝突噴流を生じ、排水中の有機物を極短時間で微細化することができる効果がある。
また、本発明の有機性排水の処理装置は、有機物を含む有機性排水を加圧して送水する加圧手段と、加圧された前記有機性排水を通水させる通水路と、を有し、前記通水路は、該通水路内を流れる前記有機性排水の流路が屈曲する複数の屈曲部を備えたことにより、加圧手段で加圧された有機性排水が通水路内を流れることによって、該通水路内の流路に備えられた複数の屈曲部で渦流(衝突噴流)を生じ、排水中の有機物を物理的に微細化して短時間で分解処理することができる効果がある。
また、本発明の有機性排水の処理装置は、渦流(衝突噴流)によって排水中の有機物を物理的に微細化することにより、処理排水中に含まれる微生物や、返送汚泥などによって処理排水に加えられた微生物による分解が促進され、有機性排水の浄化処理に要する時間が大幅に短縮される。さらに、本発明は、排水中の有機物を物理的に微細化することにより、沈殿などによって固液分離された固形分に有機物の窒素分や燐分が残るから、窒素分や燐分を含む有機肥料を簡単に得ることができる効果がある。
以上のとおり、本発明は、従来の活性汚泥法による生物反応槽に代えて、有機性排水を加圧して複数の屈曲部を備えた流路に通水する加圧手段及び通水路によって有機性排水の浄化処理が可能になったから、小さな処理設備と極めて短い処理時間で有機性排水を浄化処理することができる。また、本発明は、従来の活性汚泥法と併用することによって、生物処理に要する時間を大幅に短縮することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記屈曲部が前記流路の分岐又は合流によって形成され、前記流路が分岐と合流を交互に繰り返すように前記通水路を形成したことにより、加圧された有機性排水が勢いよく分岐に衝突し、分岐された有機性排水同士が合流で勢いよく衝突し、有機性排水がこの分岐及び合流を繰り返すことによって有機性排水に強い衝突噴流を生じ、排水中の有機物を極短時間で微細化することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路が、一組又は二組以上の流入口及び流出口を有する複数の環状路と、隣り合う前記環状路の前記流出口と前記流入口を連通する複数の連通路と、を備え、前記複数の環状路はその中心軸方向に並んで配置され、各環状路の前記流入口及び前記流出口は該環状路の周方向に等間隔で交互に配置されたことにより、通水路をコンパクトかつ簡単に製作することができ、環状路の流入口では有機性排水が環状路の壁面に衝突して分岐し、環状路の流出口では有機性排水同士が衝突して合流するから、有機性排水がこの分岐及び合流を繰り返すことによって有機性排水に強い衝突噴流を生じ、排水中の有機物を極短時間で微細化することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路から排出される前記有機性排水を貯留する貯留槽を有し、前記加圧手段が前記貯留槽内に貯留された有機性排水を加圧して前記通水路に送水し、前記有機性排水を循環処理することにより、通水路の長さを短くして処理装置を小型化できると共に、貯留槽によって有機性排水の流入量の変化を吸収して安定した排水の浄化処理を行うことができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路に通水させる前記有機性排水に、イオンを供給するイオン供給手段を備えたことにより、排水中に陰イオン又は/及び陽イオンを供給し、排水に衝突噴流を生じさせることによって、水に溶解又は結合した有機物を水から分離させて沈降させ易くする効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記通水路に通水させる前記有機性排水に、イオンを含む空気を吹き込むエアレーション手段を備えたことにより、排水中に陰イオン又は/及び陽イオンを供給し、排水に衝突噴流を生じさせることによって、水に溶解又は結合した有機物を水から分離させて沈降させ易くすると共に、排水中の好気性細菌を活性化させて、有機物の分解を促進することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、複数の前記エアレーション手段と複数の前記イオン供給手段を前記通水路に交互に設けたことにより、エアレーション手段によって好気性細菌を活性化することができると共に、エアレーションを伴わないイオン供給手段によって嫌気性細菌を活性化することができ、通水路において好気性処理と嫌気性処理を交互に連続して行うことができるから、有機性排水中に含まれる窒素分を短時間で除去することができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置は、前記有機性排水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、前記有機性排水中の固形分を分離させる固液分離手段と、を備えたことにより、通水路に通水されて有機物が分解処理された後の排水中に残存する微細な浮遊物を素早く凝集分離させることができ、浮遊物質(suspended solids)の少ない排水を得ることができる効果がある。
本発明の有機性排水の処理装置の一実施例を示す構成図。 その一実施例の要部の一例を示す斜視図。 その一実施例の要部の他の例を示す分解斜視図。 本発明の有機性排水の処理装置の他の実施例を示す構成図。
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
本発明に係る有機性排水の処理装置は、有機物を含む有機性排水を加圧して送水する加圧手段(例えば、水中ポンプ7)と、加圧された前記有機性排水を通水させる通水路2と、を有し、前記通水路2は、該通水路2内を流れる前記有機性排水の流路20が屈曲する複数の屈曲部20cを備えている。
図1は、本発明の有機性排水の処理装置の一実施例を示す構成図である。図2は、その一実施例の要部の一例を示す斜視図である。
排水処理装置10は、有機性排水の原水を貯留する原水槽1と、原水槽1に貯留された有機性排水にイオンを供給するイオン供給機構6と、原水槽1に貯留された有機性排水を加圧して通水路2に送水する加圧手段としての水中ポンプ7と、有機性排水の流路20が屈曲する複数の屈曲部20cを備えた通水路2と、通水路2から排出された処理排水を貯留する調整槽3と、処理排水の固形分を分離させる固液分離機構4と、原水槽1及び調整槽3に貯留された排水に珪素凝集剤を添加する凝集剤添加機構8,9と、を有する。
原水槽1は、例えば飲食店や食品工場などから排出される有機性排水の原水が流入するようにしてある。原水槽1は、イオン供給機構6と凝集剤添加機構8を備えている。図示の実施例において、原水槽1には有機物を分解するための有用微生物や活性汚泥を加えていないが、有用微生物や活性汚泥を加える構成にしてもよい。
イオン供給機構6は、陰イオン又は/及び陽イオンを発生させるイオン発生器と、発生したイオンを有機性排水に供給するための送風機と、を有している。イオン供給機構6には、マイナスイオン発生装置など公知のイオン発生器を用いることができ、実施例では電極間に高電圧を印加して放電させる電子放射方式発生装置を用いた。本実施例において、イオン供給機構6は、発生したイオンを有機性排水の表面に吹き付けることができればよく、有機性排水にイオンを含む空気を吹き込む必要はない。
凝集剤添加機構8は、有機性排水に所定濃度の珪素凝集剤を添加するように、凝集剤添加量の制御機構を備えている。本実施例において、珪素凝集剤は、珪素及びカルシウムを含有する溶質を酸溶媒に溶解した珪素ゾルを含むものであることが好ましい。珪素及びカルシウムを含有する溶質は、酸溶媒に溶解され易くなり、珪素ゾルがゲル化する際に有機物を取り込んでフロックを形成するから、珪素凝集剤の凝集力が向上する。
珪素及びカルシウムを含有する溶質には、入手が容易なものとしてセメント、セメントの中間生成物、高炉スラグ、石炭灰等を用いることができ、珪素含有物質(例えば、珪素を含有する土類)とカルシウムを含むアルカリ性物質(例えば、炭酸カルシウム、石灰など)を混合し熱処理された生成物を用いてもよい。この熱処理は、珪素含有溶質の酸溶媒への溶解性を向上させるために、珪素含有物質の熱融解点以下の温度で行うことが好ましい。本実施例では、珪素含有溶質には、珪素の含有率が高いシリカセメント(珪素とカルシウムの重量比で4:6)を用いている。
本実施例では、酸溶媒として塩酸(HCl)を用い、珪素含有溶質としてシリカセメントを33%濃度の塩酸に飽和するまで溶解させている。塩酸は、カルシウムの溶解性が高く、中和すると塩化カルシウム(CaCl)となり安全無毒であるから、酸溶媒として塩酸を用いることが好ましい。また、酸濃度に対する珪素の溶解度は一定であり、液体容積に分散する珪素ゾル密度も一定の水空隙の中でしかゾル状態の安定を保つことができないことから、酸溶媒として塩酸を希釈した希塩酸を用い、特に、3倍〜7倍に希釈した希塩酸を用いることが好ましい。なお、酸溶媒は、塩酸(HCl)に限られるものではなく、他の酸溶液を用いることも可能である。
本実施例において、酸溶媒は、酢酸(C)をゲル化抑止剤として含有してある。酸溶媒は、ゲル化抑止剤として酢酸(C)を含有することにより、酢酸のpH緩衝作用とゾル、コロイドの収斂性によって、酢酸の滴加量を調整して珪素ゾルのゲル化を抑止することができる。なお、酢酸アンモニウム(CHCOONH)又は塩化アンモニウム(NHCl)を希塩酸に加えた混酸によっても、酢酸と同様に珪素ゾルのゲル化を抑止することができるが、珪素凝集剤を長期間保存しない場合には、酸溶媒にゲル化抑止剤を加えなくてよい。
凝集剤添加機構8は、上記の珪素凝集剤を有機性排水に対して100〜1000ppmの濃度で添加するように制御している。珪素凝集剤の添加量は、有機性排水に含まれる有機物の種類や濃度によって調整する。珪素凝集剤は、塩化第二鉄などの鉄系無機凝集剤をさらに含んでいてもよい。通水路2に通水されて処理された処理排水が固液分離機構4のみによって固液分離可能な場合には、凝集剤添加機構8は珪素凝集剤を有機性排水に添加しなくてもよい。また、凝集剤添加機構8は、珪素凝集剤に代えて、塩化第二鉄などの他の無機凝集剤を用いてもよい。なお、高分子凝集剤は、有機性排水が通水路2を通る際に分解されて排水が白濁するから、凝集剤添加機構8では用いない。
本実施例において、加圧手段は水中ポンプ7である。水中ポンプ7は、送水量を調整可能なものが好ましく、原水槽1に貯留された有機性排水を加圧して通水路2に送水する。加圧手段は、水中ポンプに限られず、原水槽1と通水路2を繋ぐ配管に送水ポンプを設けた構成にしてもよい。なお、原水槽1は、通水路2に通水する有機性排水の流量を調整するために設けたものであり、原水の流入量の変化が少ない場合には原水槽1を設けなくてもよい。この場合、排水処理装置10は、有機性排水の原水を送水する送水管に送水ポンプを設けて加圧手段とし、通水路2を並列に複数設け、有機性排水を通水する通水路2の数を制御するようにしてもよい。
本実施例において、通水路2は、屈曲部20cが流路20の分岐又は合流によって形成され、流路20が分岐と合流を交互に繰り返すように形成している。図2に示すように、通水路2は、一組又は二組以上の流入口25及び流出口26を有する複数の環状路23と、隣り合う環状路23の流出口26と流入口25を連通する複数の連通路24と、を備えている。複数の環状路23は、その中心軸方向に並んで配置されている。各環状路23において、流入口25及び流出口26は、該環状路23の周方向、すなわち、所定半径Rの円周上に等間隔で交互に配置されている。
通水路2の両端には、円筒状のタンク部27,28を設けてある。タンク部27は、中心部に供給路21を設けてあり、水中ポンプ7で加圧された有機性排水が原水槽1から供給される。タンク部27は、所定半径Rの円周上において等間隔に6本の連通路29を有し、隣接する環状路23へ加圧された有機性排水を送水する。タンク部28は、所定半径Rの円周上において等間隔に6本の連通路29を有し、隣接する環状路23から加圧された有機性排水が送水される。タンク部28は、中心部に排水路22を設けてあり、通水路2に通水されて処理された処理排水を調整槽3に排水する。
環状路23は、6組の流入口25及び流出口26を有する。流入口25は、環状路23のタンク部27側に、所定半径Rの円周上に等間隔で配置されている。流出口26は、環状路23のタンク部27側に、所定半径Rの円周上に等間隔で配置され、隣り合う流入口25の中間に位置している。通水路2は、連通路24が隣り合う環状路23の流出口26と流入口25を連通し、流路20が分岐と合流を交互に繰り返すように形成している。
図2に示すように、通水路2は、環状路23の流入口25において屈曲部20cを形成している。すなわち、連通路24,29を流れる排水は、流入口25において環状路23の壁面に衝突して流路20が分岐する。さらに、流通路2は、環状路23の流出口26において屈曲部20cを形成している。すなわち、隣接する流入口25から環状路23に流入した排水は、環状路23を逆方向に流れ、流出口26において排水同士が衝突して流路20が合流する。通水路2は、複数の環状路23を、その中心軸方向に並んで配置したことにより、流路20が分岐と合流を交互に繰り返すように形成している。
通水路2は、金属や合成樹脂など、水圧に耐えうる種々の素材で形成することができる。なお、処理対象である有機性排水が油分を多く含む場合には、排水処理中に油分が固化して流路20が閉塞しないように有機性排水を加温する必要があるから、通水路2は、銅やアルミニウムなどの熱伝導性のよい素材で形成し、通水路2を温水やヒータなどで加温することが好ましい。
調整槽3は、通水路2に通水されて処理された処理排水を貯留する。調整槽3は、凝集剤添加機構9を備え、処理排水に対する珪素凝集剤の濃度を調整すると共に、固液分離機構4に流入する処理排水の流量を調整するために設けてある。凝集剤添加機構9は、上記の珪素凝集剤を処理排水に対して0〜1000ppmの濃度で添加するように制御し、凝集剤添加機構8で有機性排水に添加した珪素凝集剤の濃度が不足する場合にのみ凝集剤を添加する。なお、汚泥を原水槽1に返送しない場合には、凝集剤添加機構9は、珪素凝集剤などの無機凝集剤に限らず、高分子凝集剤を処理排水に添加してもよい。
図1に示す実施例において、固液分離機構4は、上下に蛇行した排水路を備え、調整槽3の上部から処理排水を排出して、処理排水中の固形分を分離する。固液分離機構4は、上向き流路部4aの下部に、断面積を他の部分より狭くした狭路部41を形成してある。本実施例において、狭路部41は、直径50mmの合成樹脂製パイプで形成してあり、他の部分の排水路は、直径100mmの合成樹脂製パイプで形成してある。
上向き流路部4aを流れる処理排水は、狭路部41を通過するときに、排水路の直径が変化する変化部42に当たって渦流を生じ、処理排水に含まれる固形分が分離される。分離された固形分は、狭路部41の手前に滞留して次第に沈降し、主に水のみが狭路部41を通過するから、処理排水が狭路部41を通過する毎に固形分を分離することができる。本実施例では、狭路部41は、上向き流路部4aにのみ形成してあるが、上向き流路部4aに加えて下向き流路部4bに形成してもよい。下向き流路部4bに形成した狭路部41は、分離した固形分が舞い上がって逆流するのを防止することができる。
排水路の上側折り返し部4cは、調整槽3から固液分離機構4へ処理排水を取水する取水口43より低い位置に配置してあり、水圧を利用して処理排水を調整槽3から排出している。また、排水路は、複数回蛇行して配設してあり、複数の上側折り返し部4cを、取水口43側から排出口44側に向かって順に低くなるように配置してある。固液分離機構4は、上記のように構成したことにより、排水路が蛇行していることによる排水抵抗を軽減して、処理排水を調整槽3から容易に排出することができる。
図示の実施例において、固液分離機構4は、排水路の下側折り返し部4dに、固形分を排出する汚泥排出機構60を備えている。汚泥排出機構60は、内部にスクリュー62を備えた汚泥搬送路61と、スクリュー62を駆動するモータ63と、汚泥搬送路61で搬送された汚泥を排出する汚泥排出管64と、を有する。
排水路の各下側折り返し部4dには、それぞれ汚泥排出管45を設けてあり、下側折り返し部4dに沈殿した固形分が汚泥排出機構60に排出される。汚泥排出機構60は、モータ63でスクリュー62を駆動して、汚泥排出管45から汚泥搬送路61に受け入れた汚泥を搬送して、汚泥排出管64から排出する。汚泥排出管45,64には、それぞれバルブ46,65を設けてあり、汚泥排出機構60は、スクリュー62を駆動しているときにバルブ46,65を開いて、汚泥を排出する。
汚泥排出機構60から排出された汚泥は、原水槽1や調整槽3へ返送してもよい。排水処理装置10は、通水路2によって物理的に有機物を微細化すると共に、返送汚泥に含まれる微生物によって有機物を分解するから、有機性排水を効率よく浄化処理することができる。また、この汚泥は、本願の発明者が開発した有機性廃棄物の分解消滅装置(特開2011−230082)によって分解処理してもよい。
排水処理装置10は、排水路に狭路部41を形成した固液分離機構4によって、処理排水に含まれる固形分を簡易かつ迅速に分離することができる。本発明の排水処理装置10は、従来の下水処理に必要不可欠であった生物反応槽と固液分離槽が不要になり、装置全体を小型化することができると共に、有機物の分解工程と固液分離工程に要する時間を大幅に短縮することができる。なお、固液分離手段は、図示の固液分離機構4に限られず、流体沈殿槽など他の手段を用いてもよい。
本実施例において、排水処理装置10は、固液分離機構4から排出される処理排水を濾過する濾過装置を備えている。濾過装置は、平膜槽5と、濾過水を排水する排水管51と、を有する。平膜槽5は、各種限外濾過膜(UF膜)などによって処理排水を濾過し、再利用可能な処理水が得られる。平膜槽5には、逆洗機構などの膜洗浄手段を設けてもよい。なお、本発明の排水処理装置10は、固液分離機構4によって河川などに放流可能な処理水を得られるから、濾過装置を設けない構成にしてもよい。
次に、本発明の排水処理装置10を使用した有機性排水の処理方法について説明する。本発明の有機性排水の処理方法は、有機物を含む有機性排水を加圧する加圧工程と、加圧された前記有機性排水を複数の屈曲部20cを備えた流路20に通水して該有機性排水に含まれる有機物を分解する分解工程と、を有する。
飲食店や食品工場などから排出される有機性排水の原水は、原水槽1に貯留される。イオン供給機構6は、原水槽1に貯留された有機性排水に陰イオン又は/及び陽イオンを供給する(イオン供給工程)。
凝集剤添加機構8は、原水槽1に貯留された有機性排水に所定濃度の珪素凝集剤を添加する(凝集剤添加工程)。添加される珪素凝集剤は、珪素及びカルシウムを含有する溶質を酸溶媒に溶解した珪素ゾルを含む。凝集剤添加機構8は、上記の珪素凝集剤を有機性排水に対して100〜1000ppmの濃度で添加するように制御している。
水中ポンプ7は、原水槽1に貯留された有機性排水を加圧して(加圧工程)、複数の屈曲部20cを備えた流路20に通水させる。有機性排水の流路20が屈曲する複数の屈曲部20cを備えた通水路2は、有機性排水を環状路23の壁面に衝突させて流路20を分岐させ、排水同士を衝突させて流路20を合流させ、この流路20の分岐と合流を交互に繰り返して有機性排水に含まれる有機物を分解する(分解工程)。
排水処理装置10は、有機性排水にイオンを供給し、ミネラル分を含む珪素凝集剤を添加し、通水路2に通水させて衝突噴流を起こさせるから、人工的に渓流を作り出して環境にやさしい有機性排水の浄化処理を行っている。
通水路2に通水された有機性排水は、処理排水として調整槽3に貯留され、固液分離機構4によって処理排水中に残存する固形分を分離する(固液分離工程)。分離された固形分は、返送汚泥として原水槽1又は調整槽3に返送してもよい(汚泥返送工程)。平膜槽5は、固液分離機構4から排出される処理排水を濾過し、排水管51から河川などに放流する。
図3は、本発明の有機性排水の処理装置の一実施例の要部の他の例を示す分解斜視図である。
図3に示す実施例において、通水路2は、円柱状又は円筒状の部材201,202,203,204,205を組み合わせて形成される。部材201は、円盤状を成し、中心部には一方向にのみ突出する円柱状の突起201aを有する。また、部材201は、円盤の中心部から所定半径Rの円周上に等間隔に6個の貫通孔を有し、これらの貫通孔は連通路24,29を形成している。部材202は、円筒状を成し、部材201の円盤と同じ半径で、且つ、部材201の突起201aと同じ高さに形成されている。通水路2は、複数の部材201を突起201aが同じ方向を向くように中心軸を合わせて積み重ね、隣り合う部材201の間に中心軸を合わせて部材202を介在させることにより、環状路23が形成される。また、隣り合う部材201は、連通路24,29が一直線上に位置しないように、連通路24,29が一直線上に位置する状態から一方の部材201を中心軸を中心に30°回転させている。
重ね合わせた部材201は、両端に突起が突出しないように、一端には突起を有さない部材203を配置する。部材203は、突起を有さないこと以外、部材201と同じ構成を有する。部材203は、部材201と隣接しない側に、円筒状の部材202を介して円盤状の部材205を配置して、タンク部28を形成している。部材205は、中央に排出路22を設けている。
部材204は、円筒状の部材202と円盤状の部材205を結合した形状を成し、中央に供給路21を設けている。部材204は、部材201の突起を有さない側に配置して、タンク部27を形成している。
図3に示すように、円柱状又は円筒状の部材201,202,203,204,205を組み合わせて形成された通水路2は、環状路23、連通路24,29及びタンク部27,28が実施例1の流路20と同じように配置される。すなわち、本実施例の通水路2は、屈曲部20cが流路20の分岐又は合流によって形成され、流路20が分岐と合流を交互に繰り返すように形成される。
通水路2は、円筒状の部材202の側面に、開閉バルブを備えた給水路及び排水路を設けてもよい。通水路2は、メンテナンス時に、この給水路から環状路23に温水を給水して、排水路から排水することにより、流路20に付着した油分などの有機物を取り除くことができる。
図4は、本発明の有機性排水の処理装置の他の実施例を示す構成図である。
排水処理装置10は、通水路2から排出される有機性排水を貯留する貯留槽11と、加圧手段としての水中ポンプ7と、を有し、水中ポンプ7は貯留槽11内に貯留された有機性排水を加圧して通水路2に送水し、有機性排水を循環処理する。
貯留槽11は、例えば飲食店や食品工場などから排出される有機性排水の原水を受け入れている。貯留槽11は、イオン供給機構6と凝集剤添加機構8を備えている。図示の実施例において、貯留槽11には有機物を分解するための有用微生物や活性汚泥を加えている。イオン供給機構6及び凝集剤添加機構8の構成は、実施例1の構成と同じである。
本実施例において、イオン供給機構6は、嫌気性細菌を活性化させるために、有機性排水にイオンを含む空気を吹き込まない構成にしている。なお、イオン供給機構6は、好気性細菌を活性化させるために、有機性排水中にマイナスイオンを含む空気を吹き込むエアレーション手段を備えた構成にしてもよい。また、貯留槽11は、好気槽と嫌気槽に分けて構成し、好気槽にエアレーション手段を備えたイオン供給機構6を設け、嫌気槽にエアレーション手段を備えないイオン供給機構6を設けてもよい。
水中ポンプ7は、貯留槽11に貯留された有機性排水を加圧して、通水路2に通水させる。有機性排水の流路20が屈曲する複数の屈曲部20cを備えた通水路2は、有機性排水を環状路23の壁面に衝突させて流路20を分岐させ、排水同士を衝突させて流路20を合流させ、この流路20の分岐と合流を交互に繰り返して有機性排水に含まれる有機物を分解する。通水路2に通水された有機性排水は、貯留槽11に貯留され、水中ポンプ7で加圧されて再び通水路2に通水される。
表1は、本実施例の排水処理装置10を用いて有機性排水を分解処理した処理排水と、有機性排水の原水とを比較した結果である。
Figure 2015223525
試験に用いた原水は、飲食店や食品工場などで排出される有機汚泥、水処理施設の余剰汚泥等を受け入れて処理している産業廃棄物中間処理施設における有機性排水である。この有機汚泥を含む有機性排水は、有機性汚泥の他、動植物性残渣や廃油などが混入しているために、従来の活性汚泥法では数日から一週間の生物処理を行っても完全に浄化することが困難な難処理排水である。
本試験では、貯留槽11に貯留された有機性排水を1時間だけ通水路2に循環通水させた後、貯留槽11内の処理排水を汲み取って30分間の自然沈降を行い、上水を回収して処理水とした。貯留槽11には、有機性排水に対して1000ppmの珪素凝集剤を添加し、エアレーション手段を備えないイオン供給機構6によって有機性排水にイオンを供給した。なお、処理水は、濾過膜処理を行っていない。
表1に示すように、原水の化学的酸素要求量(COD)は、2,300mg/Lであったが、僅か1時間半の処理によって得られた処理水のCODは、62mg/Lであり、有機性排水が完全に浄化処理されていることが分かる。
また、原水の窒素含有量は400mg/Lであったが、処理水の窒素含有量は12mg/Lとなり、有機性排水に含まれる窒素分が97%程度除去されていることが分かる。さらに、原水の燐含有量は130mg/Lであったが、処理水の燐含有量は2.6mg/Lとなり、有機性排水に含まれる燐分が98%以上除去されていることが分かる。
以上のとおり、本発明に係る有機性排水の処理方法は、従来の活性汚泥法では浄化処理が困難な難処理排水であっても、極短時間の分解処理工程によって、排水中に含まれる有機物を分解除去することができるのみならず、排水中に含まれる窒素分や燐分もほぼ完全に除去することができる。また、排水中から除去された窒素分や燐分は、珪素凝集剤によって沈殿物に取り込まれているので、沈殿物は窒素分や燐分を豊富に含んだ有機肥料として好適である。
本実施例において、有機性排水を通水路2に循環通水させる分解工程の時間は、有機性排水の性状、通水路2の形状、水中ポンプ7の出力などの条件によって、更に短くしてもよい。
なお、本発明の有機性排水の処理方法は、固液分離機構4における固形分の分離が不十分な場合にのみ、有機性排水に凝集剤を添加するようにしてもよい。また、排水処理装置10は、通水路2に複数のイオン供給機構6を備え、エアレーション手段を備えたイオン供給機構6と、エアレーション手段を備えないイオン供給機構6を交互に設けてもよい。
本発明の有機性排水の処理方法は、本願の発明者が開発したパーム油排液(POME)の油分離方法(国際公開2013/062117号パンフレット)において、POMEの溶融工程として用いてもよい。
POMEの溶融工程は、POMEを貯留槽11に貯留して通水路2に通水可能な程度に溶融する加温工程と、POMEに含まれる一種類又は二種類以上の油分のうち、一部又は全部の油分の溶融温度より高い温度に通水路2を加熱してPOMEを通水路2に循環通水させて前記一部又は全部の油分を溶融する溶融工程と、を有する。通水路2は、熱伝導性のよい材料で形成することによって熱交換器としての機能も有するから、流路20を通るPOMEが短時間で溶融される。また、通水路2は、POMEに含まれる固形分を細分化して固形分に含まれる油分を溶出する。
POMEの分離工程は、通水路2に循環通水されて油分が溶融した液体中に、珪素及びカルシウムを含有する珪素含有溶質を酸溶媒に溶解した珪素ゾルを含む油水分離剤を加えて撹拌した後に静置して油分と水分と固形分に分離する。通水路2に循環通水された液体中には、回収が困難であった固形分に含まれた油分まで溶出しているから、POMEの分離工程で多くの油分が分離される。
1 原水槽
2 通水路
3 調整槽
4 固液分離機構
5 濾過槽
6 イオン供給機構
7 水中ポンプ
8,9 凝集剤添加機構
10 排水処理装置
11 貯留槽
20 流路
20c 屈曲部
21 供給路
22 排出路
23 環状路
24 連通路
25 流入口
26 流出口
27,28 タンク部
29 連通路
201,202,203,204,205 部材

Claims (15)

  1. 有機物を含む有機性排水を加圧する加圧工程と、加圧された前記有機性排水を複数の屈曲部を備えた流路に通水して該有機性排水に含まれる有機物を分解する分解工程と、を有する有機性排水の処理方法。
  2. 前記加圧工程又は前記分解工程の前に、前記有機性排水中にイオンを供給するイオン供給工程を有する請求項1に記載の有機性排水の処理方法。
  3. 前記加圧工程又は前記分解工程の前に、前記有機性排水にイオンを含む空気を吹き込むエアレーション工程を有する請求項1又は2に記載の有機性排水の処理方法。
  4. 前記有機性排水に凝集剤を添加する凝集剤添加工程を有する請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機性排水の処理方法。
  5. 前記凝集剤添加工程は、前記加圧工程又は前記分解工程の前に、珪素及びカルシウムを含有する溶質を酸溶媒に溶解した珪素ゾルを含む珪素凝集剤を前記有機性排水に添加する請求項4に記載の有機性排水の処理方法。
  6. 前記分解工程後の前記有機性排水中に残存する固形分を固液分離する固液分離工程と、
    前記固液分離工程で分離された固形分である汚泥の一部又は全部を、前記加圧工程又は前記分解工程の前の前記有機性排水に返送する汚泥返送工程と、を有する請求項5に記載の有機性排水の処理方法。
  7. 前記屈曲部が流路の分岐又は合流によって形成され、流路の分岐と合流を交互に繰り返すように前記有機性排水を前記流路に通水する請求項1乃至6の何れか一項に記載の有機性排水の処理方法。
  8. 有機物を含む有機性排水を加圧して送水する加圧手段と、加圧された前記有機性排水を通水させる通水路と、を有し、
    前記通水路は、該通水路内を流れる前記有機性排水の流路が屈曲する複数の屈曲部を備えた有機性排水の処理装置。
  9. 前記屈曲部が前記流路の分岐又は合流によって形成され、前記流路が分岐と合流を交互に繰り返すように前記通水路を形成した請求項8に記載の有機性排水の処理装置。
  10. 前記通水路が、一組又は二組以上の流入口及び流出口を有する複数の環状路と、隣り合う前記環状路の前記流出口と前記流入口を連通する複数の連通路と、を備え、
    前記複数の環状路はその中心軸方向に並んで配置され、各環状路の前記流入口及び前記流出口は該環状路の周方向に等間隔で交互に配置された請求項9に記載の有機性排水の処理装置。
  11. 前記通水路から排出される前記有機性排水を貯留する貯留槽を有し、前記加圧手段が前記貯留槽内に貯留された有機性排水を加圧して前記通水路に送水し、前記有機性排水を循環処理する請求項10に記載の有機性排水の処理装置。
  12. 前記通水路に通水させる前記有機性排水に、イオンを供給するイオン供給手段を備えた請求項8乃至11の何れか一項に記載の有機性排水の処理装置。
  13. 前記通水路に通水させる前記有機性排水に、イオンを含む空気を吹き込むエアレーション手段を備えた請求項8乃至12の何れか一項に記載の有機性排水の処理装置。
  14. 複数の前記エアレーション手段と複数の前記イオン供給手段を前記通水路に交互に設けた請求項13に記載の有機性排水の処理装置。
  15. 前記有機性排水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、前記有機性排水中の固形分を分離させる固液分離手段と、を備えた請求項8乃至14の何れか一項に記載の有機性排水の処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020172950A (ja) * 2019-04-08 2020-10-22 メタウォーター株式会社 配管ユニット

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